第403回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2023年6月1日(木)13:00~14:32

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)後藤委員長、生駒委員、大石委員、木村委員、黒木委員
    (テレビ会議)青木委員、飯島委員、受田委員長代理、清水委員
  • 【説明者】
    経済産業省資源エネルギー庁資源・燃料部 永井石油流通課長
    国際大学副学長・大学院国際経営研究科 橘川教授
  • 【事務局】
    小林事務局長、岡本審議官、友行参事官

議事次第

  1. LP ガスに関する消費者問題について
  2. その他

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1. 開会》

○後藤委員長 本日は、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから、第403回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

本日は、生駒委員、大石委員、木村委員、黒木委員、私が会議室にて出席。受田委員長代理、青木委員、飯島委員、清水委員がテレビ会議システムにて出席。星野委員は御欠席です。

開催に当たり、会議の進め方等について、事務局より説明をお願いいたします。

○友行参事官 本日は、テレビ会議システムを活用して進行いたします。

配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。もし、お手元の資料に不足等がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上です。


《2. LPガスに関する消費者問題について》

○後藤委員長 本日1つ目の議題は「LPガスに関する消費者問題について」です。

LPガス業界では、以前より賃貸集合住宅における「無償貸与」、戸建て住宅における「貸付配管」という商慣行が存在し、それが消費者の不利益につながっている可能性が指摘されていました。

そこで、LPガスの料金透明化、取引適正化に向けた今後の方向性を検討するため、令和5年3月から資源エネルギー庁の「液化石油ガス流通ワーキンググループ」において、議論が進められていると伺っております。

本日は、資源エネルギー庁より、ワーキンググループにおける検討状況等について御説明いただき、有識者の方から検討状況に対する御意見を頂きたいと思います。

本日は、資源エネルギー庁資源・燃料部石油流通課の永井課長。

それから、オンラインにて、国際大学副学長・大学院国際経営学研究科教授の橘川武郎様に御出席いただいております。

本日は、どうもありがとうございます。

最初に資源エネルギー庁、それから橘川様の順で、それぞれ15分程度御発言いただき、最後にまとめて質疑応答、意見交換の時間を30分程度取らせていただきます。

それでは、まず、最初に資源エネルギー庁より御説明をお願いいたします。

○資源エネルギー庁資源・燃料部永井石油流通課長 資源エネルギー庁石油流通課長をしております、永井と申します。

この議題に入ります前に、簡単にLPガスについてお話をさせていただきますと、LPガスにつきましては、今、全国で2,200万世帯、世帯数にして4割ぐらいの方が使っておられるものでございます。

料金につきましては、電気、都市ガスは、かつて総括原価方式の、ある種公共料金としてのチェックが入っていたところでありますけれども、LPガスにつきましては、どちらかというと石炭、練炭のような地域の燃料屋さんが、キロ単位のボンベで売っていたこともありまして、そもそも自由料金で成り立ってきた業界でございます。

その際、まず、家をつくると都市ガス管が引かれていないところは、LPガスを入れるのですけれども、基本的に一回契約をしてしまうと、なかなか業者を替えることがありませんので、基本的には囲い込み、最初の契約を取るのが非常に重要な業種になっている。

そのため、昭和の時代から家をつくるときには、LPの配管工事については、地元のLPの業者にやらせて、建築会社は、LPガスを紹介してあげるから、配管の工事はそっちでやってよという形になってきたところから、ある種紹介をしてもらうために、家を建てる段階から少し関与する形で顧客を取ってくる商慣行があったところでございます。

特に問題だと思っているのが、賃貸集合住宅でありまして、これは構造上どうしてもガス会社を一つに決めて、配管を各戸に回すことがありますので、オーナーが選んだガス会社と、そこに入る入居者の方は、オーナーが決めた会社と取引をせざるを得ないという状況になっているところであります。

そうなりますと何があるかというと、賃貸集合住宅に自分のガス会社を使ってほしいということから、工事をやります、更には入ってくるときのガスコンロ、給湯器は原価で入れますという話で、最初に契約を取るところに、ある種、顧客獲得費用を使ってきている背景があります。

こういうことがありますと、だんだんレベルが上がっていってしまいまして、エアコンまで付けてくれという話になってくるということで、最初はLP事業者のほうから持ち掛けて付けてもらうということだったのですけれども、今度は、そろそろ設備が古くなってきたときに、この設備もそっちでやってくれるかと、やってくれないのだったら別のガス会社に替えるよという形で、今度は不動産屋側から、そういった設備の要求をされると。ガス会社は、切り替えられたくないために、仕方なく入れるのですけれども、その入れた費用というのは、直接的にではないかもしれませんけれども、回り回ってガス料金に反映されることが背景にあるところであります。

こういったことは、非常に問題意識を持っておりまして、平成28年、後ほど出てきますけれども、その頃から何とかしなければいけないという検討をしてきたところでありますし、直近であれば、ちょうど2年前の令和3年の6月に、国交省と経産省が一緒になりまして、アパートの入居者がガス会社を選べるのは、正に家を選ぶときですので、入居をする際に仲介事業者から、そこのガス料金は幾らですと情報提供をしてくださいというお願いをするようになりました。

そうは言いながらも、まだ、このお願いが根付いていない部分もありまして、まだ賃貸住宅については、ガス料金に設備代が乗っかっているのではないか、それが結果として、消費者の不利益になっているのではないかという問題意識から、今年の3月から、このワーキングを始めさせていただいたところであります。

平成28年のワーキングの連番として、当時1、2、3回やらせていただいて、この3月に始めたのが第4回、そして、今回資料としてお渡ししている第5回というのが、実質、再開後の2回目の議論になりまして、ここでどんなことを議論したかというのを御紹介したいと思っております。

1枚めくっていただきますと、平成29年の改正のときに、ガス料金は基本料金、これはメーターとか固定的に掛かる費用、それから従量料金という使ったガス代だけ、大体これが二部料金になっていたのですけれども、そこに対して、もし設備費を乗せているのであれば、それは戸建ての関係でガスコンロも入れてくださいという話があれば、ちゃんと設備代として別に乗せてくださいと。こういう設備を乗せるのなら別にしましょうというクリアな料金制度、三部制というものを、前回のワーキングのほうで推奨させていただいたところでありますけれども、実際、アンケート調査、ヒアリング調査をしてみると、この三部料金制を使っている事業者は、わずか3.3パーセントしかいないということです。

考察のところにも書いてありますけれども、アパートを三部料金で、エアコン代を別にガス料金で取るなどと言ったら、それは困るということもありますので、むしろ三部料金にしていたところを、オーナーが二部に戻してくれという形で三部をやめたということもありますし、義務付けていないことがありましたので、三部料金を入れるインセンティブもペナルティもなかったのが一つ反省かなと。

それから、料金を透明化したいという思いから、エアコンでも何でもガス料金として請求するものについては、全部書いてくださいということで、ガスに無関係のエアコンまで含めて入れるということも例示として挙げてしまったところも、今となってみれば、一つの反省点といいますか、論点になるのかなと思っているところでございます。

それ以外のところ、しっかり契約の書面を交付しなさいというのが法律なのですけれども、その内容を説明しなさいとか、そういった部分については比較的進んできたところで、ある種、全く進んでない部分と、ある程度進んできた部分があるというのが、平成29年の反省点になります。

時間もありませんので、少し今回の議論をお話しさせていただきたいと思っていまして、7ページまで飛んでいただきますと、戸建ての人は、最後にガス会社を自分で替えることができますので、自分がガス会社を決めるときにガスコンロを入れてもらったのだったら、そのお金を分割で払うとか、そういう形はできると思っているのですけれども、賃貸の方は、ガス会社を選べないことがありますので、今回は、賃貸住宅に焦点を置いて議論をしようという話になってございます。

そのときの論点が、ここにある4つでありまして、まずは賃貸のガスを供給する権利を取るために、あまりにも過大な顧客獲得費用を使っているのではないかと、ガスコンロのみならず、エアコン、更にはWi-Fiまで入れてくれみたいな要求につながっている、これをどうするかということ。

賃貸においては、配管だったりガス器具、エアコンを含めて、こんなものは家賃に入るべきものでありまして、ガス代で取るのはおかしいということで、賃貸向けのLP料金で、そういった設備費を乗せるのはおかしいでしょうというのをやりたいと考えております。

3つ目のところは、ちょうど2年経ってなかなか進んでいないと言いました、入居希望者は、最初の入居のときしかガス会社を選べませんので、そのガス料金が高いのか安いのか、こういったことを理解した上で入らないと、後になって高いというトラブルにつながりますので、この辺の説明の徹底をしっかりやりたい。

それから、よくあるのがガス会社の切替えでありまして、次の設備をやり替えるために、ガス会社を替えるみたいなオーナーも一部いらっしゃるのが事実でありまして、LPガス事業者もオーナーの顔ばっかり見ているのですけれども、本来の消費者は入居者一人一人でありますので、ガス料金を変えるときには、ちゃんと説明しましょうといったことが論点になるのではないかと考えてございます。

そして、8ページの過大な顧客獲得費用につきましては、賃貸ではなく戸建てで言われたところではあるのですけれども、公正取引委員会のほうから、赤字で書いてありますけれども、業界の商慣行に照らして不当に高額な紹介料を支払うことによって、顧客を獲得する場合には「不公正な取引方法(不当な利益による顧客誘引)」ということで、独禁法の違反ということが明確に書いてあります。

これについて、今回の方針としては、液石法の中にもしっかり書いて、過大な営業行為を制限し、これをやろうとした場合には改善命令をかける、更には登録の取消しまで持っていける形にできないか、一つ考えているところでございます。

2つ目につきましては、次の9ページになりますけれども、賃貸向けのLP料金に設備費を乗せるべきではない、先ほど申し上げました方針の1つ目に書きましたけれども、賃貸集合住宅における給湯器、エアコンなどの設備は、本来家賃のほうに含まれるものでありまして、ガス料金として計上することは不適当ですので、基本料金、従量料金、設備料金は戸建てのほうではあり得るかもしれませんけれども、賃貸で設備費を取るのは、もうやめましょうという形にしたい。

もう既にガス料金に入っている可能性もありますので、今あるものについては、ある程度経過措置というのも、円滑な制度の移行では必要ではないかということを、少し議論をさせていただいているところであります。

論点の3つ目、これが先ほど申し上げました2年前から始めた、入居者が入る前にちゃんとガス料金の説明をしてくださいというところであります。

ただ、LP販売事業者のほうは、もし、不動産のオーナーが2か所、3か所のガス会社を使っているとなると、こっちが安い、あっちが安いと分かってしまうことがあって、なかなか情報を提供したがらない部分がある。

さらにオーナーにしてみても、このガス料金がほかと比べて高いというのが分かってしまうと、やはり嫌われるのではないかということで、どちらにもあまりインセンティブがないというところで、徹底されていない部分があるのですけれども、本ワーキングは、国土交通省にもオブザーバーで参加していただいておりますので、ここについては、しっかりフォローアップ調査と再周知をしようということで一致しているところでございます。

最後の4つ目につきましては、先ほど申し上げましたように、不動産事業者側のほうから、今度エアコンを替えてくれないと、ガスコンロを替えてくれないと、ガス会社を替えてしまうぞという形。もしくは新しいガス会社のほうが、替えてくれたら一世帯について5万円キックバックしますと、こんな形でガス会社の切替えのときの初期費用の部分、オーナーさんに対していろいろな勧誘はするのですけれども、それで結局置いてきぼりになるのは、消費者である入居者であると、この辺を徹底して、もし替えるのであれば、何でガス会社を替えなくてはいけないのと、ちゃんとオーナーが説明をするべきでありまして、そのオーナーから委任を受けている新しく替えるガス事業者のほうが、ちゃんと各入居者に同意を得ていかないといけないのではないかということも、議論をさせていただいているところであります。

それから、戸建てのほうも引き続き議論をしなくてはいけないところでありまして、やはりガス会社の切替えのときに、最初に工事した配管でありますとか、入れてあげたガス器具の残価が、まだ残っている状態でガス会社を切り替えられますと、初期投資分が回収できないということで、今、次のガス会社が適正な価格で買い取るという商慣行があります。

この商慣行自身が良いか悪いかというのは、議論があるのですけれども、こういったことをしながらガス会社を切り替えているのが現状でありまして、配管工事代でありますとか、ガス器具、これを初期に幾らで入れて、それを減価償却して、今、残価が幾ら残っているのか明示をすることが、事業者の切替えのトラブルを減らす状況になると思っていますので、これは三部料金制を徹底する。

13ページのほうに行きますけれども、注文住宅を建てる人からすれば、初期のローンは減らしたいので、配管工事であったり、ガスコンロ、給湯器といったものを入れてもらって、後でガス料金で分割的に払えたら、それはそれで有り難いというニーズもあるのも事実でありまして、こういったことがトラブルにならないように、仮に配管工事やガス器具を、ある種分割払い的に設備費として導入するのであれば、それはその旨しっかり書いてくださいということで、基本料金や従量料金の中でごちゃっと取るのではなく、ちゃんと外出しをしてくださいと。外出ししてあれば、ガス会社を切り替えるときに、適正な価格であれば、その価格を引き継ぐということが可能になりますので、こういったことをしっかり徹底することをやりたいと考えております。

また、三部料金にすること自身も、実はLPガス事業者は、全国に1万6,000事業者いまして、契約する戸数が500戸よりも少ない方が全体の60パーセントを超えるという、もともと先ほど申し上げた地域の燃料屋さんでありますとかお米屋さんが、ボンベに詰めたものを買ってきてお届けをするというビジネスモデルでありますので、非常に零細な方が多くて、そういった方々が、三部料金制に今から変えるのには、すぐには対応できないので、これも一定の猶予期間が必要かなと思っているところであります。

最後の14ページでありますけれども、何よりも消費者からの苦情にしっかり対応するのが重要でありまして、最近、電気、ガス、LPガスもやっている大手の事業者が、不実の告知で措置命令を受けたところでありますけれども、やはりコンプライアンスの部分、先ほどの独禁法の過大な顧客獲得費用を出すことによる不当な顧客誘引、こういったものを現場でしっかり理解してもらうことが必要であります。特にそれがブローカーによる勧誘の形でも行われていることがありますので、こういったことに対する対応が必要ではないかと。

ただ、このワーキングは、消費者団体の方にも入ってもらっていますけれども、かつてほどLPに対する苦情は減ってきた。PIO-NET等の件数で見ると、月100件くらいということで、かつてよりは減っている御評価は頂いているところですけれども、まだ課題かなというところでございます。

ほぼこれで15分ぐらいの説明になりますので、足早ではありましたけれども、今の審議状況について御説明をいたしました。

今後の予定でありますけれども、これを何とか夏ぐらいまでには方向性を出しまして、経過措置の調整もして、年度内には何とかこの省令を改正しつつ、その経過措置を考えるというスケジュール感で進めていきたいと考えております。

何よりも重要なのは、いかに実効的にやっていくかということで、変えたらおしまいではないので、そのフォローアップをどうしていくかも含めて、これは消費者側の意識の啓発も必要でありますし、何よりも国土交通省といいますか、不動産事業者が、ある種LP事業者に言えば何でも入れてくれたという状況ではなくなったということを、しっかり理解していただいて、そちらのほうが、もうこれ以上LP事業者に頼んでも出ないのだと、ほかの会社に頼んでも、法律上できなくなりましたという形に持っていけるような機運づくりも必要かと思っておりますので、これを今年度いっぱいかけて盛り上げていきたいと考えているところでございます。

私の説明は、とりあえず以上になります。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

続きまして、橘川様、よろしくお願いいたします。

○国際大学副学長・大学院国際経営学研究科橘川教授 ありがとうございます。国際大学の橘川と申します。

これから「LPガスの取引適正化をめぐって」ということで、15分ほどお話をさせていただきます。

私、実は現在動いております、液化石油ガス流通ワーキンググループの1回目から3回目までは座長をしておりました。平成29年、2017年のことであります。

そして、再開されました第4回目の現在は、私、総合資源エネルギー調査会の委員の任期が切れたということがありまして、オブザーバーとして参加しているものであります。

2ページ目を見てください。

やや問題が複雑なので、私は問題を整理していきたいと思います。

まず、LPガスの取引問題は2つありまして、取引適正化と言われる問題と料金透明化と言われる問題、関連はしていますけれども、別の問題だということです。

取引適正化という問題は、今、永井課長がお話しされたことですが、主として賃貸住宅の消費者、居住者が払っているガス代の中に、様々な設備費、ガス関係の器具の設備もあるのですが、エレベーターですとか、エアコンですとか、そういう関係のない設備まで含めて、そういうものが混入している問題であります。

これは、北海道の生協が中心となった消費者団体の地道な調査で、社会問題化したものであります。

北海道大学の生協が、新入生に賃貸住宅を世話したところ、後で、近くで同じ条件の住宅なのにガス代が違い過ぎると、なぜだろうということで見ると、LPガスの値段が違っていた。そこに設備費が混入していたことが判明したわけであります。

もう一つありますのが料金透明化で、LPガスはもともとお客さんごとに料金を決める相対取引という形を取っていたこともありまして、商品を売っているにもかかわらず、料金がはっきりしないところに問題がありました。

そこで、可能な限り料金を透明化しようという動きが始まりまして、これは平成29年のワーキンググループで主として力を入れたことでありまして、状況はかなり改善されたのですが、実は神奈川消費者の会が、神奈川県にいるLPガス事業者の全事業者に対して、全数調査で電話を掛けて料金を教えてくださいと言うと、教えてくれないところがかなりあるということで、実際には形式上ホームページあるいは店頭で開示していても、実質的な開示は遅れているのではないかということが問題になっている。

こういう2つの問題があるところを、はっきり理解する必要があると思います。

次のページをお願いしたいと思います。

まず、料金透明化について簡単に申し上げますと、これが平成29年に、前のワーキンググループが主として審議した点でありまして、取引適正化のガイドラインにつながりまして、そこに書いてあるような標準的なメニューの公表だとか、液石法14条で定める書面できちんと説明を行うとか、事前に料金の変更については通知することが決まりました。

これ自体は、形式的にはかなり進んでいるわけですが、一番簡単に料金を聞きたい電話で聞いても教えてくれないという問題が残っているということであります。

そういう意味で、問題ではありますが、一応対策は進められつつあると言えると思います。

次のページをお願いいたします。

より大きな問題が、今日問題になっています取引適正化ということであります。

これに対して、永井課長からお話があったように、ちょうど一昨年の6月に、経産省と国交省が連携して、この問題に対して、ある程度LPガス販売事業者が、賃貸物件のオーナーに料金を事前通知して、それが不動産仲介業者から入居前の消費者に伝えられる仕組みが一応でき上がったわけですが、このほど国交省が調査してみたところ、これがあまり機能していないと、実際には進んでいないという問題も明らかになっております。

これは法律で決めたわけではないだとか、制度上の弱点もありますし、もともとこれをカバーしているところが、不動産のオーナー、管理会社なのですが、実はそのバックに更にもう一つ別の業界がありまして、住宅建築メーカーです。この住建メーカーに大手が多くて、不動産のオーナーに対して、設備費についてはガス会社に負担してもらって大丈夫だということを事実上言っている問題もありますので、カバーしている範囲にも問題があるということで、現実には、これが未解決で、朝日新聞の記事にもなりましたし、前経産大臣の記者会見での発言にもつながって、今回のワーキンググループの再開につながったということであります。

次のページをお願いしますが、取引適正化の話をしてみたいと思います。

ここも問題の整理をはっきりする必要がありまして、賃貸住宅と戸建て住宅では状況が違うということであります。

前回のワーキンググループで、永井課長が消費者に不利益が生じているという発言がありました。これは、非常に大きな意味を持つ発言だと思います。

そして、消費者団体の委員の方は、消費者被害が生じているのではないかという言葉を使われました。例えば、消費者被害、公害のようなものが生じた場合には、業界団体はいろいろな都合があるでしょうけれども、大企業であろうが、中小企業であろうが、消費者被害に対しては、すぐに対応策を取らなくてはいけないわけでありまして、この問題は、今、LPガス業界は零細業者が多いからということで、猶予期間を長く設けてほしいという言い方を盛んにしていますけれども、消費者に不利益が生じている以上、可能な限り早く解決しなければいけない。そういう問題だと思います。

それが生じているのが、賃貸住宅ということでありまして、ガス料金にガス関連の設備費だけではなくて、ガス非関連の設備費が混入していると。

クレームを言った人には、少し料金を下げるという対応もあったりして、同じ賃貸アパートの中でも料金が違うなどということも生じたりしております。

ただし、この問題は必ずしも仕掛人は、LPガス事業者ではなくて、不動産のオーナーだったり、そのバックにいる住建メーカーであったりするところに問題の複雑さがあります。

一方、戸建てのほうは、状況が大分違います。これは保安上の理由もあって、液石法で、今のところ配管はLPガス事業者が所有しておりますから、それに対して減価償却のような形で15年ぐらいかけて料金の中に入れると。この行為自体は正当だと思うのですが、問題は、途中で別のLPガス事業者が来て、契約を新規更新してしまう。俗に言ってしまえば横取りしてしまうと、ビン倒しと言われる現象なのですが、これが起きますと、非常に問題であります。

ある場合には、新規の事業者がもともといた事業者に残された未償却の設備代を払う場合もあるのですけれども、かなりの場合は払わないで、しかも戸建ての住んでいる人に対して、これを裁判に持ち込んだとしても、残った分は払わなくていいと、違約金は払わなくていいということを言っている実態があるわけです。

そして、裁判においても消費者保護の立場から、多くの場合、切り替えた側のLPガス事業者の主張が通って、未償却の所有権を持っている元のLPガス事業者が回収できないという問題が生じています。

端的に言いますと、賃貸住宅では、被害者は消費者である。それに対して戸建て住宅では、被害者は既存のLPガス事業者であるところに大きな違いがあります。

仕掛人も賃貸の場合には、不動産オーナーであったり、住建メーカーである場合が多いわけですが、戸建て住宅の場合には、新規の契約を取ったLPガス事業者である場合が多いということで、問題が相当違うわけであります。

ワーキンググループで議論を始めましても、前者の賃貸については、こういう慣行はやめようではないかということは、大手も含めて一致点を見出しております。

それに対して、後者のほうは、既存の業者もいますし、新規の事業者もいますから、議論が沸騰していて、なかなか落としどころが見つからないということであります。

次のページですが、そういう意味で実施すべき対策としては、まず、賃貸住宅と戸建て住宅を分けて、消費者問題である賃貸住宅の解決に焦点を合わせるべきではないかと。そこでは、今までのやり方が、行政指導と業界の自主的な規制というのでは、十分ではなかったという反省を踏まえまして、LPガス料金にガス非関連の設備費用を含めることを法律で禁止することが必要です。

これは賃貸も戸建ても含めてなのですが、LPガス料金は全て三部制として、一つは基本料金、一つは従量料金、それ以外に設備費というものを設けて、この設備費の中にはガス非関連設備は含めてはいけない。これは、法律で禁止してあります。戸建てでガス関連設備を含める場合でも、それを明記するという形。もし含まれていない場合には、設備費ゼロと書けばいいと思いますので、そういうやり方を取るべきではないかと思います。

問題は、永井課長も言われましたように、これは完全に経産省だけではとどまりませんで、国土交通省あるいは消費者庁、公正取引委員会という省庁間連携が必要だと思います。

戸建てについては、私はもう少しじっくり時間を掛けて解決策を探っていくほうが現実的だと。まずは賃貸を早急に、猶予期間を設けるにしても、なるだけ短い猶予期間で、被害が現実に生じているわけですから、それを解消することが大事だと思います。

以上で私の話を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、質疑応答と意見交換をお願いいたします。時間は30分程度を予定しております。よろしくお願いいたします。

清水委員、よろしくお願いいたします。

○清水委員 清水です。御説明ありがとうございました。

20年来、消費生活センターで相談を受けているのですが、永井課長がおっしゃられたとおり、相談件数は減っています。しかし、たまに聞くとびっくりするような相談が、今なおあるというのは、今、橘川先生が言われたところで整理されていると思います。

びっくりするというのは、なかなかこの問題が奥深いということと、商習慣で昔からやられているということで、悩ましい限りでございます。

私たちも相談の現場で事業者に連絡して、あっせんをやっていますが、零細企業の方たちと話すと、なかなか法律ではないところでお願いしたいと言いながらも、この問題が、賃貸と戸建てでは大きく違うこと。消費生活センターでは、賃貸住宅の相談で入居者が被害に遭っていることなどが悩ましい限りでございます。

ただ、ここ1年ぐらいは、電気、ガス、LPガスともに、燃料費の高騰で圧倒的に値段が高いというのが多いところであります。

そこで、橘川先生が最後に実施すべき対策でまとめていただいて、職場でいろいろ悩ましく思っていたところが整理されました。ありがとうございます。

永井課長が話された方向というのは、ほぼこの方向で進んでいると考えてよろしいかと思ったのですが、永井課長、それで理解は正しいでしょうか、よろしくお願いします。

○資源エネルギー庁資源・燃料部永井石油流通課長 橘川先生には、都度、御相談をさせていただき、やらせていただいております。

その中で、橘川先生の最後のページにありますけれども、ガス料金にガス非関連の設備費を含めることを禁止ということも、しっかりやりたいと思っておりますし、三部制を徹底するということも、今度はしっかり法律に紐付く形でやりたいと思っておりますので、このとおりで結構だと考えております。

○清水委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。

○後藤委員長 ほかにいかがでしょうか、生駒委員、よろしくお願いします。

○生駒委員 御説明ありがとうございました。

私は、エシカル消費、エシカル経営の推進をしております立場からしますと、やはり非常に古い商慣習に利益最優先の環境が重なって、こういったことが起こっているのだなと理解できたのですけれども、今こそこの慣習を変えるときかなと思っております。

トレーサビリティ、情報公開、そして消費者志向経営というものも消費者庁によって推進されております。

その点から見ますと、本当に消費者が置き去りになっているかなという構造を改めて御説明いただきまして、是非とも、今こそ改革をしていただけると良いかなと思います。

今が最大のタイミングですね、いろいろなエネルギー問題もある中で、これだけ消費者が取り残されている状況があるというのは、私も改めて勉強になった次第です。

設備費が計上されているというのは、多分一般の消費者の方が聞くと、どきっとしてしまうフレーズだと思うのです。なるほど、そうなっていたのだなと。ですので、その辺りも是非丁寧に説明をしていただいて、どのように改めていかれるのか、そのことも消費者に、是非説明を続けていただければと思います。

以上です。

○後藤委員長 何かございますでしょうか。

○資源エネルギー庁資源・燃料部永井石油流通課長 正に今こそ変えるべきは、すごく良いタイミングだと思っておりまして、やはり脱炭素がうたわれている中で、化石燃料を使ったガス体エネルギーを今後どうしていくのか。当然、ガス自身もカーボンリサイクルの燃料に変えていく努力も、今しているところでありますし、何よりもオール電化が進められている中で、LPガス業界は、更に信頼されてやっていかなければいけないと。

そして、ロシアから大量にヨーロッパに流れているLNGのところは、今回、非常に大きな問題になりましたけれども、LPガスは、基本的に今、7割が北米のアメリカ、カナダから買っている。これは、シェールオイル、シェールガスから出てくる随伴ガスで、アメリカは、そんなにLPガスを使わないということで、非常に安定的に入ってきているものでありまして、価格についても原油連動で出てくるもので、最近は大分落ち着いているということでありまして、やはり都市ガスとは違うメリットがあるという、このLPをしっかり使っていきたいという話であります。

それから、設備費について言えば、一つモデルになるなと思っているのが携帯料金でありまして、これも過去に1円携帯ということで、とにかく機種をただで配って、それを実は通信費で回収していたという事情、これを強い意志を持って、設備と通信費は分けようという話で動いていたという中で、やはりガス料金についても、設備とガスというものはしっかり分けなければいけないという方向は、正にアナロジーとして説明できると思いますので、この機会に変えていきたいと思っているところです。

ただ、問題が起こらず、今更何でというところも、やはり地方だとありますので、現に問題が起こっているところは、正にこういう意識で突いてくるのですけれども、別に今、何ら問題が起こっていないという地域もそれなりにある中で、今回、三部料金を徹底するようなところ、やはり事業者の意識を変えていくところにおいて、業界団体、更には不動産業界などと併せて、変えていくという機運を盛り上げなくてはいけないと思っておりますので、そのためには、やはり消費者の意識の問題は非常に大きいと思っておりますので、是非、御協力をお願いできればと思います。

○生駒委員 エネルギー問題が環境問題と本当に密接に関係しているという御説明は、消費者にはすごく響くと思うのです。

一方で、セットだとお得だという販売方法が、結構広がっているではないですか、そこのトリックではないですけれども、そこでお得だからとすぐに乗らないで、ちゃんと消費者の側も分析して、説明を求めて自分で理解して、納得していくようなプロセスが必要かなと感じました。

そういったことでは、この委員会でもエシカル消費の推進は力を入れていますので、引き続き頑張りたいと思います。よろしくお願いします。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、飯島委員、よろしくお願いいたします。

○飯島委員 飯島でございます。

大変貴重な御説明を頂きまして、ありがとうございました。2点質問させていただきたく存じます。

1点目は、こうした問題の所在や構図は、長らく認識されてきたところ、これまではガイドラインや業界の自主規制など、市場原理を基礎とした規律がなされてきたのに対し、実効性がないということで、それに対する対応が検討されているものと存じます。資料1-1の8ページの論点1については、改善命令や登録の取消しもお考えだということでした。これに対し、論点2のほうは、民民の関係で、アクターなども異なると思うのですが、今回、仮に省令を改正して法的に義務付けたとして、それで十分なのか、意識を変えるという話もございましたけれども、実効性の確保について、もう少しお伺いできますと幸いです。

もう一点は、この業界には零細事業者が非常に多いとのことですが、資源エネルギー庁の資料で、令和3年度石油ガス流通・販売経営実態調査というものの中に、賃貸集合住宅のオーナーからの要求に応じて、機器の負担をしたことがあるかという問いに対して、零細事業者よりも大規模な事業者のほうが圧倒的に多いというアンケート結果をお示しいただいているかと思います。

一般的には、大規模な事業者が、例えば自主規制などをリードしていくイメージがありますが、そうではない、あるいはそうできないというのは、何か理由があるのでしょうか。

また、零細事業者の中には、それほど負担したことはないという回答も多いようです。経過措置をかなり長く考えるという話はございましたが、大規模な事業者と零細の事業者を同様に扱っていくことで、対応が可能なのかについて、御教示いただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。

○資源エネルギー庁資源・燃料部永井石油流通課長 ありがとうございます。

○国際大学副学長・大学院国際経営学研究科橘川教授 すみません。永井さんが答えにくい面もありますので、先に私が答えまして、それに永井さんから補足していただいたほうが良いと思います。

○後藤委員長 どうもありがとうございます。

それでは、橘川様、よろしくお願いいたします。

○国際大学副学長・大学院国際経営学研究科橘川教授 まず、実効性のほうの問題なのですが、当然、法律で禁止して三部制を義務化したとしても、それですぐうまくいくわけではないと思います。

ただし、問題が起きてきた経過を見ていただきたいと思うのですが、これは消費者団体の運動によって社会問題化してきたわけです。

それがどこで問題化したかというと、経産省がやられています、行政と消費者と事業者が地方ごとに集まる懇談会というのが毎年開かれているわけですが、その場でどんどん問題が燎原の火のごとく広がっていったわけで、一旦制度を入れた後のモニタリングの仕組みをつくることが実効性を高める上で必要だし、現実にそれが機能してきたからこそ、ここまで問題が出てきたところがあると思います。

それから、二番目の大手の問題は、今回のワーキンググループの再開後の最大の特徴は、従来は零細ばかりだったのですが、最大手と二番目の大手の会社が審議会に出てきたのです。それが大きな成果でありまして、賃貸の設備を負担する問題は、大手といえども、やや音を上げているところがありまして、そこを含めて過剰な投資をしないという合意ができたことは一歩前進で、流れが変わる可能性があります。

先ほどのアンケートの結果は、非常に重要なところを発見されたと思うのですが、どちらかというと、今まで賃貸の住宅のLPガスの契約を取るために、大手のほうは資金力がありますから、設備を負担しますと言って、零細の地元の業者から仕事を取ってしまっていた側面があります。よって、大手のほうの設備負担が大きいわけですが、その大手といえども、もう負担が重くなってきたというのが現状で、そこは、法律で止めてくれということを審議会でも言っているところが、大きな成果なのではないかと思います。

今後の経過措置期間の問題は、ここは永井課長と意見が違うかもしれませんけれども、やはり大手も中小も含めて一緒にしてやらないと、消費者には分かりにくいし、スピードもなるべく短いほうが良いのではないかというのが私の意見です。

以上、先に私が意見を申し上げておいたほうが、永井課長がしゃべりやすいかと思いましたので発言しました。

○後藤委員長 どうも御配慮ありがとうございます。

それでは、永井課長、よろしくお願いいたします。

○資源エネルギー庁資源・燃料部永井石油流通課長 橘川先生のおっしゃるとおりであります。

これは古い問題ではあるのですけれども、昔は住宅が、パイが広がっていた時代は、ある種、そんなに無理して取り合う必要がないのですけれども、今、パイが縮まっている中で、今の売上高、更には伸ばしたいと考えると、どうしても競争は過酷になるということで、小さいパイを奪い合う。

だからこそ、正に橘川先生もおっしゃったように、大手すらこういうことをやっている場合ではないという危機感が出てきたという意味でもチャンスだと思っておりまして、大手のガス事業者にも入っていただいて議論をしているというのは、今回は変わる大きなチャンスではないかと思っておりますので、正にモニタリング、実効性の確保、これは、また役所の悪い癖で、改正だけして放っておくということではなくて、しっかりそこをフォローしていくことが必要な分野だと思っておりますので、頑張りたいと思います。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

○飯島委員 どうもありがとうございました。

○後藤委員長 それでは、青木委員、よろしくお願いいたします。

○青木委員 御説明ありがとうございました。青木でございます。

橘川先生が御指摘のように、この問題は、賃貸住宅のところで上乗せをしている商習慣の是正、取引の適正化、これに焦点を当ててやっていただけたらと、私も感じました。

ただ、永井課長に御説明いただいたように、例えば三部料金制を適用している事業者の割合が3.3パーセントと、この辺に非常に大きなギャップがあるのが現実だと思うのです。

いろいろ御議論いただいていて、論点整理、それから対応策、今日お伺いしておりまして、是非しっかり進めていただきたいと思うのですが、現実問題、進まないところにおいては関係者が非常に多い。LPガスの販売事業者だけではなくて、不動産の管理、それからオーナー、先ほど出ました住設メーカーと。

そうすると、法改正においても、それぞれのところをしっかりと義務付けていただくという、単に販売事業者のところだけではなく、そういう対応策をしっかりと進めていただかないと、なかなか現状の是正は、法改正をしても非常に時間が掛かるのではないかという危惧をしております。

それで、今、お伺いいたしましたように、実際に法的なところが改正できたとして、禁止事項として取り上げられたとして、いわゆる移行期間の経過措置ですとか、暫定の対応とか、そこの持っていき方みたいなものを、是非、先ほどの三部料金制の指標を明確にしていただいて、モニタリングをしながら進めていただく。

聞いていても全くおかしな取引関係が残っているわけですので、ここを是非そういう形で強力に進めるために、どのようなところに焦点を当ててやっていただけるのかを、一つお伺いしたいと思っております。

それと先生が御指摘になっていました料金の透明化については、正に今、電力のほうも料金の是正の問題あるいは値上げの問題等あり、消費者側にとってエネルギーの料金体系が、非常に分かりにくい現状があると思っております。

ですので、LPガスだけではなく、電力等も含めて、エネルギーの問題というのは、もちろん環境問題も大きくありますし、災害時の問題もありますし、安定供給もあるし、自由競争もあるし、そういう意味では、まだまだ健全な市場になっていないところもあるなと感じております。

是非透明化のほうも、更に消費者への啓発も含めて進めていただけたらと思います。

以上、御質問と意見とですが、よろしくお願いいたします。

○後藤委員長 お願いいたします。

○資源エネルギー庁資源・燃料部永井石油流通課長 まずは、指標を設けるところ、定量的、定性的、両方あると思いますけれども、まず三部料金を徹底できているかというところは、定量的に取れると思いますので、これは毎年追って、どこの地域まで含めて進んでいるところ、進んでいないところというのは、多分出てくるのかと思います。

あとは、何を設備として貸与したり提供したりしているかは、なかなか定量的に取れるかなというのはあるのですけれども、6割が提供したことがあると、そこの比率を追っていけば、だんだんそこが減っていくのが目に見えてくれば、できるのかなというところがありますので、毎年全ガス事業者にアンケートを取っているところでありますし、今回も国交省と相談をして、国交省が見ている仲介事業者の団体でありますとか、オーナー、管理会社の団体にアンケートを取って、これも定期的にやっていこうということは合意しておりますので、しっかりその辺で、できれば定量的に取って、それをフォローアップしていくという形にしていきたいと思っております。

○青木委員 是非よろしくお願いいたします。

○国際大学副学長・大学院国際経営学研究科橘川教授 すみません。橘川ですが、料金透明化のほうについてですが、神奈川県の調査で大体分かったのですが、何で電話を掛けてきたときに料金を教えないかというと、ブローカーの存在というのが大きいわけです。ブローカーがどこかの家をひっくり返しに行こうとするときに、わざわざその直前に、地元のLPガス事業者のところに電話を掛けて、値段は幾らかと聞いて、その値段よりも安い値段で交渉するみたいなことが行われていますので、それで事業者も、非常に電話の問い合わせに警戒することになっていまして、根本的には、ブローカーの活動をどうやって抑えていくのかということも、今後問題になると思います。

ブローカーを雇えるのは、かなり大手のところでありますので、逆に言うと、消費者の側からすると、そういう勧誘があったときに、本当に何かあったときにすぐ駆け付けてくれるような事業者の人なのか、それともブローカーなのかということをちゃんと見分けることが大事になってくる。そういう問題が料金透明化の背景にはあると思います。

○後藤委員長 どうもありがとうございます。

それでは、受田委員長代理、よろしくお願いします。

○受田委員長代理 受田です。御説明ありがとうございました。

課題が極めてクリアに分類され、その課題に対する対応についても御説明いただき、かなり理解が進みました。

質問なのですけれども、私、典型的な地方であります高知で暮らしております。こういったLPガスの利用世帯というのは、都市部と比べて地方部に多いことを承知しておりますけれども、まず伺いたいのは、2,200万世帯とおっしゃった利用者のうち、賃貸と戸建て住宅の比率というのは、どれぐらいの数があるのか。加えて、いわゆる都市部と地方部の局在化といいますか、偏りの部分をどのように理解しておけばいいのか。つまり、今回のLPガスの取引適正化をめぐっての問題というのは、先ほどの橘川先生の御説明でいきますと、賃貸住宅の場合は被害者が居住者であるとすると、賃貸住宅の入居者の比率であり、また、都市部に対する地方部の比率で、被害者の局在性というのを一定見える化しておく必要があるのではないかというのが趣旨でございます。

2つ目の質問は、持続可能性についてです。

先ほど課長からも少し触れていただきましたけれども、今回のLPガスの取引適正化をめぐる課題は、ある瞬間において最適化されるということなのか、地方を含めた地方創生の考え方、国土審議会等で議論されている国の持続可能性のところを踏まえての議論となっているかどうか、1つ目の問題と絡めて、少しお考えを伺いたいと思います。

特に私の問題意識としては、空き家問題があり、更に地方においては、一定の人口規模が失われてきていることによって、いわゆるインフラも含めた公共サービスの脆弱性が極めて顕在化していることにあります。

したがって、今後の対応になりそうなのですけれども、LPガス販売事業者が脆弱であれば、戸建て住宅の問題は、もしかすると、ある意味持続可能性に対して、また相当大きな、国を挙げて解決しなければいけない問題へと発展しかねない。そんな考え方から、少し状況を教えていただければと思います。よろしくお願いします。

○後藤委員長 よろしくお願いいたします。

○資源エネルギー庁資源・燃料部永井石油流通課長 極めて違う角度からの質問で、どう答えようか悩むところではありますけれども、まず、賃貸、戸建ての比率については、データとしては、残念ながら持ち合わせていないのが現状であります。

地方部、都市部の偏りでありますけれども、都市部につきましては、人口が集積しておりますので、そこは都市ガスのパイプを通じて供給するほうが経済的に合理的であるということで、都市ガス化の比率というのが、少しずつですけれども増えている状況であります。

一方で、LPの大きな特徴が分散型のエネルギー源であることで、そのようなネットワークが届いていないところであっても、ボンベに詰めてお届けする形になり得るという点。

また、地方の戸建てのエネルギーの供給の非効率な点につきましては、これから太陽光のパネルが出てきて、その家がゼロエミッションの世界になってくると、またそこは変わってくるところでありますし、また、今後、脱炭素の社会の中でLPガスをどこからつくるかというときに、実は下水でありますとか、家畜からのふん尿を原料とした地産地消的なガス供給ができるという意味においても、今、研究開発を進めておりまして、大規模なものをつくろうとすると、太陽光であり、安い水素を使って合成していくという世界でありますけれども、地方部におけるLPガスという視点におきますと、地産地消が実は使えるのではないかと。

特に太陽光で足りない部分について、ガスのほうで供給するみたいなミックスができますと、これは、地方でも独立した、ある種の活動につながるのかなという期待を持って見ているところでありますので、分散型であるという利点を最大限生かせるような方向で持っていくのが必要かなと思っているところです。

○後藤委員長 お願いいたします。

○国際大学副学長・大学院国際経営学研究科橘川教授 非常に鋭い御質問です。

最初の話は、私もデータは知らないのですが、基本的には都市部が都市ガスで、そうではないところがLPガスということで、人口密度がそうなっているからで、賃貸住宅、集合住宅も当然都市部のところに多いということで、だったら問題は起きなそうに見えるのですが、実態はそうではなくて、都市ガスとLPガスは、混合しているエリアが相当あるわけです。

例えば、北大の生協の問題がなぜ発覚したかというと、北海道大学に通学できる賃貸アパートですから、正に札幌市内のかなり中心部なのですけれども、そこにもまだLPがかなり残っているということでありまして、札幌市ですとか、大阪市ですとか、日本のかなりの大都市でも、都市ガスとLPガスが混在しているエリアがたくさんあると。そこで、特に賃貸の問題が顕在化しているという構図になっていると思います。

それから、長期的な見通しは、非常に鋭い御質問だと思いますが、今後人口が減っていった場合に、いわゆるネットワーク型のエネルギー供給、四国電力などを見ても、本当に四国山地の中の一軒家みたいなところに配電するコストというのがものすごく高くなっていまして、都市ガスでも一部東北で始まっていますけれども、人口が減ってしまったので、都市ガスが維持できなくなってLPに替えていく動きもありまして、そういう地域においては、エネルギー源、発電もできるわけですから、容積当たりの熱量が断トツに高いLPガスの価値が見直される。むしろ人口が減っていく中で、きちんとエネルギーを末端まで届けていくサービスを進めていく上では、LPガスというのは、本来は最終兵器になるくらい重要な意味を持つと思います。

にもかかわらず、その取引のところに、かなりグレーのおかしなところがあるので、そういう立派なエネルギーだからこそ、きちんとした取引にしてもらいたいというのが私どもの考え方になります。

○受田委員長代理 ありがとうございました。

○後藤委員長 よろしいでしょうか。

黒木委員、よろしくお願いします。

○黒木委員 大変勉強になりました。ありがとうございます。

本来、イニシャルコストをランニングコストの中に溶け込ませていって、価格体系を見えなくすることは、消費者に対して極めて不誠実な事業者のやり方だということですので、三部料金制とか、その辺りのところを進めていかれる取組については、基本的には正しいと思います。

ただ、資料だけを見ていては分からないので、少し教えてください。資料1の9ページのところの図で行きますと、現行では無償で設備投資をして、無償による対応をしていて、それがLPガス料金に上乗せされているということです。これを整理すると、結局のところ、LP事業者が、オーナーに対しての不当利得が本来発生していて、その不当利得を入居者がオーナーに代わって弁済しているといった形に、法律家から見ると見えるわけです。

これを改正後で考えると、設備費をちゃんとオーナーがLP事業者に支払って、それを家賃として乗せていくのかどうかという話になると思うのですけれども、今後、この制度が動いていくときに、どういう形で整理していくのかということが、よく分からないので教えていただきたいです。

すなわち現行だとすると、もしもこれで不当利得が発生しているからということで、LP事業者がオーナーに、この分は、まだ未償却分が残っていますから請求しますとなったら、それをオーナーとしたら家賃に転嫁するためには、賃料の増額請求という話が必要になると思います。しかし、今までの長年の慣行だとすると、その辺りの賃料の増減額変更という形でオーナーにさせるのか、あるいは、三部料金だということで、とにかくガス料金の中は、このようになっているのですということだけで既存のものは続けていくのか、その辺りの移行期に関するものを、契約の世界に落としたときに、どうなっていくのかというお見通しがあれば、教えていただきたいのが第一点です。

それから、集合住宅ではなくて、戸建てということになってくると、注文者は、こういう形で考えているからいいのですけれども、戸建ては流通しているわけでして、次の人が買うときに、前のオーナーとガス事業者との間で、こういう契約があったということを仲介の中で、重説の中に取り入れていくのかどうなのか、そこがよく分かりませんでした。

これは、新しく中古住宅を買う方の立場からすると、また、ガス事業者との間で、ここをやりたくないとなったときに、トラブルとか、そういう話になる可能性があるのかなと思って聞いておりました。弱い付合なのか、強い付合なのかは別として、そういう議論があるときにどうなるのか、そこは国交省とのお話の中の仲介業者の重説の中に、その辺りを入れていく御予定があるのか、2点お尋ねしたいところです。よろしくお願いします。

○資源エネルギー庁資源・燃料部永井石油流通課長 ありがとうございます。

まず三部は、移行期のところは大変難しい話だと思っているのですけれども、既に投資をしてしまっている案件でもありますし、遡及適用というのはなかなか難しいかなと思っておりますので、少なくとも新規については、こういう設備計上はさせないところです。

それから、古い料金体系は、ずっとそのままでいいのかというわけにもいきませんので、一定期間を切ったときには、そこは直していただくことをしなければいけないというところで、やはり、こういう制度ものをやるときは、移行期が大変難しいところでありますので、ここは業界団体を含めて、これから、正にワーキングの中で議論をしていきたいと思っているところであります。

それから、戸建て住宅の件につきましては、重要事項説明のときに、ガス機器に関する所有権の状況は説明してくださいということで、現にもうなっていますので、これは新規だろうと、中古の取引だろうと、ガス機器に対する所有権がどちらにあるかということは、説明されるというルールになっております。

また、液石法においても、契約のときに取り交わす14条の書面のところに、その設備の所有権がどちらにあるのか明確にすることになっています。

そこについては、そういう決まりであるのですけれども、そこの残債が幾らかも含めて、もう少しクリアにしていくというのは、今回の改正の見直しの中でも少しやっていきたいと思いますけれども、基本的な所有権の有無については、重要事項説明事項の中にも、もう既に入っているというのが現状であります。

○黒木委員 ありがとうございます。

そうすると、新たに中古住宅を購入する側は、オーナーシップというか、所有権は少なくともガス事業者にあるという理解の下で買わなければならないと。だから、そこを変更するとなったときには、新しいオーナーになる側は、所有権を取得するときに、その問題も同時に検討しなくてはいけないことになるわけですね。

○資源エネルギー庁資源・燃料部永井石油流通課長 そうです。その時点で買い取る、もしくは、普通はガス事業者を継続する場合には、それはそのまま引き継がれる形になりますけれども、何らかそこは認識をしていただく必要があり、そこまで含めて住宅の売買を決定していただきたいと思います。

○黒木委員 分かりました。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、大石委員、よろしくお願いします。

○大石委員 御説明ありがとうございました。

私は、前の委員会の橘川先生が座長のときに、委員として参加しておりまして、やはりこの問題は昔から大変根深い問題で、そうは言いつつ、今回大手の事業者さんが参加されたということで、かなり進むのではないかと思って期待しているところです。

今回頂いた資料の1ページのところに書いてくださった、平成29年の改正の振り返りのところにあるように、まずは、料金の透明化というのが、この業界は一番大きな課題だったと思っております。

14条書面の説明は、多くの方がされていることなのですけれども、小売価格の公表というのは、電気や都市ガスでは当たり前のことが、LPガスの事業者さんではできていないことが問題とされていました。その当時、事業者によっては、消費者からあなたのところは高いようなので替えようと思う、と言われれば値段を下げ、何も言われない人には値段を上げるというような状況が横行していたために、一人に一つずつの料金体系ができ上がってしまい、標準のメニューが出せない事業者さんが多いのではないかということがよく言われました。

プラス、小規模な事業者が多いため、なかなかホームページに標準的な料金メニューも公表できないということで、そのときに話し合われたのが、それぞれの県にあるLP協会さんのホームページに、小規模の事業者さんたちの標準的な料金メニューを公表してもらったらどうかというお話だったのですけれども、今、その結果をいろいろ聞いておりますと、県のLP協会さんたちの役割というのもなかなか果たせていないようですし、料金の透明化、公表自体がなかなか進んでいないことが、ここにも書いてあるように思います。

賃貸においても、戸建てにおいても、消費者への情報提供の基本として、料金の透明化について、資源エネルギー庁ではどのように考えておられるのでしょうか、まずお聞きしてみたいと思いました。

以上です。

○後藤委員長 お願いいたします。

○資源エネルギー庁資源・燃料部永井石油流通課長 ありがとうございます。

まず、料金の表示につきましては、全国169のブロックに分けまして、2か月に1回その地域の最低料金、最高料金、平均値というものを5立米、10立米、20立米と分けた形で公表しております。

そして、石油情報センターというところで、自分が住んでいる市、調べたい町村名を入れれば、そこに入るブロックで価格が出るということでありまして、そういったものをやっているのですけれども、なかなかそういったものがあることの認知もされていないというのが状況でありまして、これは、むしろ消費者庁と一緒になってやっていかなくてはいけない課題だと思っているのですけれども、こういった価格については、調査をして公表していますので、こういったところで是非見ていただきたく、自分が入ろうと思っているガス料金、今払っているガス料金が、平均値なのか、平均より上なのかというところは、情報は提供しているのですけれども、そのPRが足りていないのが問題だと思っております。

それから、標準的料金というものの位置付けがすごく難しくて、高めに標準だと出しておいて、あなたのところは、それより安いですよという売り方もある一方で、表示が全てなので、標準的と言って安めの料金を入れておいて、あなたのところは少し山奥に入っているので、少し高めですよということもあり、一番多く適用されている料金が標準だというところなのですけれども、そこの検証ができないまま、各社のホームページを見ても、一般の戸建て住宅と、賃貸の住宅の料金は、立米当たりこれですと、しれっと書いておしまいなので、情報提供としては十分足りていないところがあると思っていて、単に料金を公表すればいいというものでもないところが、少し悩ましく思っているところであります。

すみません。振り返りの書き方は良くないのですけれども、ホームページを持っていない方は、店頭でもいいということにしていて、そういった意味では、99パーセントが何らかの公表はしていると。ただ、ホームページを持っているところ自身が少ないというところも、一つ問題があるところでありまして、解決しなくてはいけない課題でありまして、まず、エネ庁としては、各地域の料金調査をして、最低、最高、平均値を全部出していますので、こういったところと照らし合わせていただくことを、まずは消費者にPRをしていきたいと考えております。

○後藤委員長 お願いします。

○国際大学副学長・大学院国際経営学研究科橘川教授 橘川ですが、大石委員の発言の中に、LPガスの県の協議会が果たす役割が大きいと言われました。

これはものすごく正しいポイントなのですが、実際に、今回の取引適正化のほうですが、県の協議会が集まる全国のLPガス協会、全L協というところが調査した調査内容が発表されたわけですが、調査のアンケートに対する答え方に、ものすごくばらつきがあります。設備までお金を出しているのかとか、それを消費者に対して負担のお願いをしているのかとかという質問に対して、回答数がものすごいところと、ゼロもありました。非常に少ないところもありました。

回答率にもばらつきがあります。岐阜県などはものすごく熱心に県の協会が取り組まれたわけですけれども、一部はそうではないところがあります。

ここが問題でありまして、今後、もし今までどおりに自主規制で行くとなると、こういうことが起きてしまう可能性があるので、県の協会の取組にばらつきがあること自体が、やはり法律できちんと決める必要があることを強く示していると思います。

以上です。

○後藤委員長 ありがとうございました。

木村委員、よろしくお願いいたします。

○木村委員 ありがとうございます。

LPガスについてなのですけれども、主婦連には消費者相談室があり、以前料金の相談が多くて、先ほど大石委員からお話がありましたけれども、ホームページにあるので、そこを御覧になって比較されてはどうですかということを、何回か案内させていただいたことは確かにあります。

最近は、14条書面の件とか、いろいろ浸透してきたと思うので、相談はほとんどなくなってきたのが現状でございます。

ただ、今、燃料費が高騰していますから、また、これからどうなるか分かりませんけれども、今のところ、そんな状況でございます。

LPガスについて、値段が高いということで使いたくないと思う消費者がいるということも確かで、例えば、賃貸などを借りるときに、できればLPガスではないほうがいいという声もあることは事実でございます。

先ほどのどの地域にLPガスがという話ですけれども、やはり都内にも混在しているところはありますし、神奈川県などでも、この道路からこっちは都市ガスだけれども、こっちからはLPガスということで、混在している地域が多いことも事実でございます。それは地盤の関係とか、いろいろあるのでしょうけれども、住居の場合、選べる部分でもあるし、選べない部分でもあるところは、大変悩ましいと思っているところです。

LPガスは、熱量が高いですとか、先ほどの最終兵器という話ですけれども、非常時とかに大変有用であることで、本当に有効に利用すれば、とても良いものだとは思うのですけれども、ただ、先ほどから申し上げているような問題点もあることで、消費者にとっては、積極的に選びたくないと思っている方がいるのが実態でございます。

今回は、LPガスの賃貸集合住宅についてなのですけれども、不動産の業界というのは、LPガスに限らないのですが、グレーな点が多いというのは事実でございまして、まずLPガスから、こういった部分がきちんと透明化されていくことは、本当に重要なことと思いますので、そこはきちんとこの機会に、まずLPガスからということで、対応が取られることを希望いたします。

LPガスの料金についてなのですけれども、消費者は、価格が高い問題の原因が何か分からないで、そういうものかなと思って支払っていますので、それは、私から見ても理不尽だと感じているところです。

料金体系の透明化ということは、本当に重要ですし、また、消費者も値上げが続く中で関心を持つ必要があります。消費者が関心を持てるように、例えば広報ですとか、周知とかがますます求められると思いますし、引き続き関心を持っていきたいと思います。

よろしくお願いいたします。

○後藤委員長 コメントはございますか、よろしいですか。

○資源エネルギー庁資源・燃料部永井石油流通課長 周知を頑張っていきたいと思いますし、これは、経産省の問題というよりも、むしろ業界団体もそうですし、消費者団体もそうですし、この辺はしっかり連携をしながら解決していきたいと思っております。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

よろしいでしょうか。それでは、議論は以上にしたいと思います。

LPガス取引をめぐる問題に関しましては、賃貸集合住宅における商慣行の是正という論点があります。それとともに、戸建てにおける商慣行是正についての論点ということもございます。

本日は、主として賃貸集合住宅における商慣行是正に向けた論点について、議論していただきました。

戸建てについての問題についても議論が必要でありますけれども、これについては、今後、賃貸住宅と切り離して時間を掛けて対策を講ずる必要があるということであります。

賃貸集合住宅は戸建てとは違う状況がありまして、その構造上、居住者がLPガス事業者を選択できない。LPガス事業者は、賃貸集合住宅のガス供給権を獲得するため、あるいはオーナーや管理会社からの求めに応じて、ガス消費機器やエアコン等の無償貸与などを行って、その費用をLPガス料金から回収するという商慣行がありまして、これは、本来の契約者である居住者不在という状況になっていると考えることができます。

基本的な構造としましては、所有者が入居契約締結の前に、LPガス料金を知った上で、その物件を選択する機会を提供することが必要だということになりますが、こういう状況になっていない。そのことが、消費者問題がここで生ずる大きな要因になっていると思います。

資料の1-1の9ページでありますけれども、現行の制度と制度改正後の状況を比べますと、確かに今申し上げましたように、入居時点で料金が分かって選択できるということを、制度改正後は行っていただくことになりますけれども、実際これがどの程度実効性があるのか。実効性の確保の問題については、委員からも意見が出ています。

また、制度改正後の移行期の問題は、ほかの場面でも難しい問題がありますけれども、ここでも移行期の状況をどのように扱うかについては、十分な議論が必要だと思います。

それから、零細事業者に対する対応と、大規模事業者に対する対応が同じでよろしいのかについても意見が出ておりましたけれども、これに関しては、最大手とか二番手の大手のところの業者が審議会にも出てくるようになって、むしろ制度を新しくつくっていくことに関して、現在、非常に重要な機会であるということが、委員の方々からも、それから課長からも御指摘されているところであります。

正に、そういう状況でありますので、資源エネルギー庁の現在の検討をより進める。その方向性を消費者委員会としては支持いたします。

この問題は、消費者団体等でも大変関心の高い事項でありまして、資源エネルギー庁が検討を再開されたことについては高く評価をしたいと思います。

特に賃貸集合住宅における無償貸与の問題については、先ほども述べましたけれども、消費者の選択の機会を事実上奪っていることになりますので、まずは、この問題を中心に議論し、LPガス料金への設備費計上の禁止などのワーキンググループの検討の方向を進めていただきたいと思います。

当委員会としましても、引き続き資源エネルギー庁の検討状況を注視した上で、必要に応じて、今後も審議調査を行ってまいりたいと思います。

資源エネルギー庁及び橘川先生におかれましては、本日は、お忙しいところを審議に御協力いただき、ありがとうございました。

どうもありがとうございました。どうぞ御退席ください。

(説明者 退室)


《3. その他》

○後藤委員長 続きまして、新開発食品調査部会から報告事項がございます。

受田部会長から御報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○受田委員長代理 それでは、特定保健用食品の表示許可に係る答申について、御報告申し上げます。

令和5年2月27日に開催いたしました第62回「新開発食品調査部会」の議決について、新開発食品調査部会設置・運営規程第7条に基づき、委員長の同意を得て委員会の議決とし、令和5年5月18日付けで内閣総理大臣へ答申を行いました。

お手元の参考資料1の答申書を御覧いただきたいと存じます。

内閣総理大臣より諮問を受け、第62回「新開発食品調査部会」において、安全性及び効果について審議を行った結果、指摘事項を確認の上、了承することが部会長に一任され、申請者からの回答書を確認し、特定保健用食品として認めることといたしました。

私からの報告は、以上でございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

続きまして、地方消費者行政及び消費者団体調査に係る現地調査の実施について、事務局から説明をお願いいたします。

○小沼企画官 企画官の小沼でございます。

それでは、資料2「地方消費者行政及び消費者団体調査に係る現地調査の実施について」につきまして御説明させていただきます。

消費者行政の現場は地方であり、消費者行政の充実強化を考える上で、地方の実態を把握することは重要でございます。

これまでコロナ禍により、地方への現地調査を実施することができなかったところでございますが、5月8日に新型コロナウイルスの感染法上の位置付けが季節性インフルエンザと同じ5類に移行したことを受けまして、今般、地方の現場に明るい清水委員の御協力を得て、地方消費者行政及び消費者団体調査に係る現地調査を実施することといたしました。

日時は、令和5年6月26日月曜日、13時から16時半を予定してございます。

場所は、名古屋市消費生活センター。

概要といたしましては、名古屋市消費生活センターの施設の視察、消費生活相談員等との意見交換。2つに、地元の消費者団体からの活動状況のヒアリング、同団体との意見交換となります。詳細につきましては、資料2を御覧いただきますようお願いいたします。

これらを実施することにより、今後の調査審議の参考としていただくこととしております。

事務局より事前に、参加の可否を御確認させていただきまして、現在、後藤委員長、青木委員、生駒委員、木村委員、黒木委員、清水委員、星野委員に御参加いただけるとの御連絡を頂いております。

以上でございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

委員の皆様から何かコメント等がありましたら、お願いいたします。

お願いします。

○清水委員 清水です。

是非名古屋にいらしてください。現場を見ていただきたいと思います。答えは現場にあります。どうぞよろしくお願いします。

○後藤委員長 どうもありがとうございます。

ほかには、よろしいでしょうか。

それでは、最後になりますけれども、消費者委員会に寄せられた意見書等の概要につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○友行参事官 参考資料の2を御覧いただけますでしょうか。

4月に消費者委員会に寄せられた要望書・意見書・声明文等の一覧でございます。

4月は、たまたま4件となっております。

最初は、特商法における意見になっております。内容は、これまで幾つかの団体から頂いたものと重なっているところがございます。

1つ目は、訪問販売、電話勧誘販売について、拒絶の意思を表明した場合には、勧誘してはならない制度にしてほしいということ。

2つ目は、SNS等のインターネットを通じた通販について、行政規制やクーリング・オフなどを認めてほしい。

3つ目として、連鎖販売について、国による登録制、確認等の開業規制を導入してほしいという内容になっております。

次が日弁連さんからで、工程表についての意見書となっております。柱としては、2つでございます。

1つは、今回、目標やKPI、アウトプット指標、アウトカム指標といった区分を設けるといった構成については、評価するということでございます。

2つ目として、それらの指標について、時間軸の明示や、引き続いての指標の設定について、更に十分な検討を行っていくべきだという内容となっております。

3つ目が、SNS事業者の本人確認、義務等に関する意見書でございます。

こちらについても、これまでほかの団体から頂いた内容とほぼ同じ内容が含まれております。

ソーシャルネットワーキングサービス、SNSの本人確認についての話であったり、弁護士会照会についての話であったりということでございます。

最後は、特商法の見直し規定に基づく改正を求める意見書ということでございます。

特商法についての訪販や、電話勧誘販売、通信販売についてということで、幅広い分野、類型について、訪問販売であれば、お断りステッカーがあれば、意思表明に該当することを明らかにすべきであるといったこと。

通販については、先ほどもありましたように、クーリング・オフ制度の導入をしてほしいといったこと。

連鎖販売について、登録・確認制度の導入といった内容でございます。

御紹介は以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

委員の皆様から、何か御意見等がございましたら、よろしくお願いいたします。

よろしいでしょうか。どうもありがとうございます。

これらの意見書等については、今後の動向に注視するとともに、必要に応じて消費者委員会の調査審議において取り上げることといたします。


《4. 閉会》

○後藤委員長 本日の議題は、以上になります。

最後に事務局より、今後の予定について説明をお願いいたします。

○友行参事官 次回の本会議の日程などにつきましては、決まり次第、委員会ホームページを通してお知らせいたします。

以上です。

○後藤委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)