第398回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2023年4月18日(火)13:00~15:04

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)後藤委員長、生駒委員、大石委員、清水委員
    (テレビ会議)青木委員、飯島委員、受田委員長代理、木村委員、黒木委員
  • 【説明者】
    公共料金等専門調査会野村座長
    公共料金等専門調査会若林座長代理
    消費者庁片岡政策立案総括審議官
    消費者庁楢橋参事官(公益通報・協働担当)
    経済産業省電力・ガス取引監視等委員会新川事務局長
    経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局東取引制度企画室長
    経済産業省資源エネルギー庁電力・ガス事業部吉瀬電力産業・市場室長
    公益財団法人自然エネルギー財団大林事業局長
    内閣府規制改革推進室山田参事官
    公正取引委員会事務総局審査局宮本管理企画課長
  • 【事務局】
    小林事務局長、岡本審議官、友行参事官

議事次第

  1. 電力市場における競争環境整備に向けた諸課題について

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1. 開会》

○後藤委員長 本日は、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから、第398回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

本日は、生駒委員、大石委員、清水委員、私が会議室にて出席、受田委員長代理、青木委員、飯島委員、木村委員、黒木委員がテレビ会議システムにて出席です。星野委員は御欠席です。

また、本日の議題は公共料金等専門調査会における審議内容と関連性があることから、公共料金等専門調査会の野村座長、若林座長代理にもテレビ会議システムにて出席いただいております。

開催に当たり、会議の進め方等について事務局より説明をお願いいたします。

○友行参事官 本日もテレビ会議システムを活用して進行いたします。

配付資料は議事次第に記載のとおりでございます。もし不足等がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上です。


《2. 電力市場における競争環境整備に向けた諸課題について》

○後藤委員長 本日の議題は「電力市場における競争環境整備に向けた諸課題について」です。内閣総理大臣からの諮問を受け、昨年10月28日の第382回本会議において審議を開始いたしました。その後、電力各社による電気規制料金値上げ認可申請や、カルテルや顧客情報不正閲覧等の問題発覚など、状況の変化があったことから、委員会として状況を注視するとともに、公共料金等専門調査会において電気規制料金値上げ認可申請に関する事項を中心に、並行して審議を重ねてきたところです。

こうしたことも踏まえ、本日は関係省庁における取組等について審議を行いたいと思います。本日は、関係省庁に御出席いただいておりまして、誠にありがとうございます。

会議の進行ですけれども、まず、野村座長と事務局から御報告を頂いた上で、関係省庁から取組を順次御説明いただきたいと思います。

それでは、野村座長と事務局から、計5分程度でお願いいたします。

○友行参事官 それでは、事務局から最初に御説明いたします。資料1-1「消費者委員会及び公共料金等専門調査会のこれまでの取組について」でございます。

1として、内閣総理大臣諮問に対する審議でございます。2つの事項について、10月5日付けで当委員会に諮問がございました。

(1)の「電気料金のうち、託送料金の妥当性について」は既に答申をお返ししております。

(2)の「消費者の自主的かつ合理的な選択の機会を確保する観点から、電力市場における競争環境整備に向けた諸課題(内外無差別の卸取引など)について」は、10月28日の本会議において審議を開始いたしました。

その後、電気規制料金の値上げの認可申請やカルテルや顧客情報不正閲覧等の問題などがあったことも踏まえまして、本日の本会議において関係省庁にお集まりいただきまして、それぞれの取組などについて発表いただいた後に審議を行うということでございます。

2として、電力各社による電気規制料金値上げ認可申請に対する審議でございます。重要な公共料金等の認可に当たりましては、物価問題に関する関係閣僚会議に付議されることとなっており、委員会としては、消費者庁から付議を受けて意見を述べております。既に昨年11月以降、電力各社によって電気規制料金の値上げ認可申請は行われておりますが、論点が多岐にわたること、それから、途中段階も含めて丁寧に状況を確認していく必要があることから、消費者委員会では、消費者庁からの付議を待たずに公共料金等専門調査会において審議を既に開始しております。

別添を御覧いただけますでしょうか。諮問事項「電力市場における競争環境整備に向けた諸課題」関係の経過でございます。真ん中に線を引いて、左側につきましては本会議の動向でございます。若干繰り返しになりますが、10月28日に本会議にて1回、諮問事項について議論をしていただいております。その後、11月頃からカルテル問題や顧客情報不正閲覧等の問題が発生しております。そして、3月30日には公正取引委員会から排除措置命令や課徴金納付命令などが出されております。そして、昨日4月17日には経済産業省から顧客情報不正閲覧問題に関連して業務改善命令が出されております。そして、今日の本会議を迎えております。

右側が電気規制料金値上げ認可申請の公共料金等専門調査会における動きでございます。11月に5社から値上げ申請がございました。その後、年明け1月に2社から認可申請が出ております。公共料金等専門調査会では2月に2回、3月に2回、そして、この後も審議を続けていく予定となっております。それぞれ本会議と公共料金等専門調査会におきまして、メインで御審議いただく内容は若干違いますけれども、同じ電力市場で起きている事柄ということもありまして、それぞれ、時には連携させながら審議いただいているところでございます。

次に資料1-2でございます。こちらは第73回の公共料金等専門調査会において消費者団体と意見交換を行った概要をまとめたものでございます。本日は、内容についての御説明は省略させていただきます。

資料の1-3でございます。こちらは公共料金等専門調査会において御提示しているものでございます。題名としては「電気規制料金値上げ認可申請に関する論点(案)」となっております。規制料金の値上げに関しまして、公共料金等専門調査会委員から出された現時点における疑問点や意見などを、このような論点という形でまとめたものでございます。御説明については、こちらについても本日は省略させていただきます。

次に、本日は先ほど委員長からも御紹介がございましたように、公共料金等専門調査会から野村座長と若林座長代理に御出席いただいております。ここで野村座長から公共料金等専門調査会における審議の状況について御発言をお願いできればと思います。

野村座長、よろしくお願いいたします。

○公共料金等専門調査会野村座長 公共料金等専門調査会の座長を務めております、野村です。よろしくお願いいたします。

ただいま事務局からの説明にもありましたとおり、電力各社からの電気規制料金値上げ認可申請を受け、消費者庁からの付議を待たずに公共料金等専門調査会における議論を開始しております。2月13日の第72回専門調査会をスタートとし、これまでに4回の専門調査会を開催してまいりました。具体的には電力各社へのヒアリング、電力・ガス取引監視等委員会事務局へのヒアリング、消費者庁へのヒアリング、地元消費者団体等へのヒアリング、この4つを行いますとともに、専門調査会としての論点整理を進めているところでございます。特に、顧客情報の不正閲覧やカルテルといった問題は、消費者からの信頼を裏切る行為であると考えております。申請内容の適正性はもちろんのことでございますが、これらの問題が申請内容に影響を与えていないかどうか、信頼回復に向けて消費者への説明をどのように行っていくのか等についても着目して審議を進めております。

専門調査会としましては、引き続き調査審議を行っていくとともに、消費者庁からの付議を受けた場合には、専門調査会としての意見をまとめまして、消費者委員会に報告する予定でございます。

以上でございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございます。

続きまして、諮問時点からの状況変化を踏まえた消費者庁として考える現時点での論点について御説明を頂きます。消費者庁から片岡政策立案総括審議官、公益通報・協働担当の楢橋参事官に御出席いただいております。10分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁楢橋参事官(公益通報・協働担当) 消費者庁でございます。御審議、誠にありがとうございます。

冒頭、委員長から御紹介いただきましたように、10月5日に諮問をさせていただきました。託送料金の妥当性と、本日の議題でございます電力市場における競争環境整備に向けた諸課題についてということでございます。託送料金につきましては既に答申を頂いておりまして、消費者担当大臣から経済産業大臣に向けて意見を発出しているところでございます。

本日の議題でございます電力市場における競争環境整備に向けた諸課題についてでございますが、これも冒頭に御紹介がありましたとおり、10月28日に審議をスタートしていただいたところでございますけれども、その後の不正事案の発覚の状況について見るということで、今日の開催になったと承知をしております。

資料2を御覧いただきたいと思います。前回の10月28日の御審議で頂いた御意見等を踏まえて、論点として整理をさせていただいたものが前段でございまして、後段の不正事案につきましては、本日、経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会及び資源エネルギー庁、あるいは内閣府の規制改革推進室並びに公正取引委員会から状況等について御説明があるということでございますので、その事案の内容であるとか対応の検討状況、あるいは提言等も踏まえて活発な御審議を頂ければ有り難いと思います。

まず、消費者の視点ということが大事でございます。消費者委員会としても御審議の中で、消費者の自主的かつ合理的な選択の機会の確保を図るために、電力会社、あるいは経済産業省などに対して求めるべき対応等について御議論を頂きたいと思います。

それでは、1ページの論点から簡単に御説明をいたします。これは前回の議論を踏まえて整理をさせていただいたものでございます。まず、大きなこととしては、消費者への分かりやすい情報提供が必要であるということで、各委員から御意見を頂戴したところでございます。そもそも電気料金の仕組みが複雑であること、それと相まって、電気料金が値上がりを続けている中で、消費者の関心も非常に高まっているのですけれども、実際のところ何で上がっているのかとか、そもそも電気料金がどういう仕組みになっているのかということが十分に理解できていないのではないかということで、分かりやすい、かつ消費者に届くような情報提供が継続的に行われていくことが必要であるという御意見としてまとめ、整理させていただいたところでございます。

その際ですけれども、消費者が合理的な選択をするに当たって、どのような情報が必要なのかというところも論点になろうかと思っております。

それから、3ポツ目でございますけれども、これは前回、再エネタスクフォースからの御提案もありましたけれども、再生可能エネルギーのメニューを選ぶであるとか、デマンドレスポンスのメニューを選ぶなど、消費者が自らのライフスタイル等に合わせて最適な選択ができるようにするためには何が必要かということも論点の一つかと存じます。

2ページ目でございますけれども、内外無差別の確保も前回御議論いただいたものを論点として整理をさせていただきました。まず、内外無差別の確保について、現在は大手電力会社の自主的コミットメントの取組が進められているところでございますけれども、各社の進捗にバラツキがあるということ、全体として取組を加速すべきであるという御意見を頂戴したものと整理をしてございます。

また、御提案の中で、電力・ガス取引監視等委員会において、その取組、実態、実効性をよく確認すべきであるとか、あるいは大手電力会社自らが内部統制の中で自主的にチェックをし、その結果を情報開示するという方法も考えられるのではないかという御意見も頂戴したところでございます。

本日、電力・ガス取引監視等委員会から状況のアップデートを行っていただく予定でございますので、それを踏まえて、また議論を深めていただければ有り難く存じます。

それから、これも後ほど説明があろうかと思いますけれども、確認すべき項目を定めて内外無差別を評価するという検討がされていると承知しておりますので、その際に留意すべき点は何かということも御議論いただければと思っております。

また、最後のポツですけれども、これも委員から御指摘がございましたスポット市場の拡大に向けて、スポット市場に玉出しすることを義務付けるなども含めて、更に踏み込んだ検討が必要ではないかという御意見を頂戴しているところでございます。

3ページに移りまして、今、自主的コミットメントの取組だけで内外無差別が確保できるのかという論点も頂戴しております。発販分離、会計分離であるとか、所有権分離の方法も具体的検討を進めるべきではないかということで、参考として、これも前回の議論で紹介がございましたけれども、令和4年6月の規制改革実施計画、閣議決定されたものを掲載しておりますので、御参照いただければと思います。

それから、発販分離が実行された場合であっても、市場のモニタリング等により内外無差別が確保されているかを絶えず確認していくことが必要ではないかという論点も頂いているところでございます。

3ページの後半ですけれども、不正事案の再発防止の対応についてということでございます。これは本日の新しい論点ということになりますので、各省庁からの説明をお聞きいただき、状況等を踏まえて御議論いただければと思いますけれども、消費者の視点から申し上げると、大手電力会社への不信感が高まっているということでございます。二度と不正事案を起こさないため、あるいは起こさせないためにどのような取組が必要であるかということで、再発防止策として、例えば今、システムの物理的な分割であるとか、社員教育、内部統制強化ということが議論されていると承知しておりますけれども、これらについて十分と言えるのか、むしろこのようなものは電力システム改革の当初から行っておくべきことだったのではないかという問題意識を持っているところでございます。御議論いただければと思います。

また、電力の安定供給ということがよく出ますけれども、それらを大義名分として、ややもすれば体制・仕組みを抜本的に見直すことがおろそかになっていたのではないかという問題意識もございます。公平公正な競争を阻害する結果となっていたのではないかということも論点の一つとして挙げさせていただいております。

それから、各社の関係からすると、便宜を図る動機をなくすためには、所有権分離を徹底することを検討するということ、今後二度とこういった不正事案が発生することがないよう、発生させないための取組は何かということについても論点として挙げさせていただいてございます。

最後の4ページでございますが、まず、電力市場についての監視体制ということで、本日もお越しいただいております電力・ガス取引監視等委員会があるわけですけれども、これらの不正を見抜けず、電力市場を監視する立場としての役割を果たせていなかったのではないかという指摘もあると承知しております。我々もそういう問題意識を持っておりますが、高い専門性を有する職員の配置であるとか、使命感、中立性、独立性を確保して機能強化を図ることが求められるのではないかという論点出しをさせていただいてございます。

それから、その他でございますけれども、これは前回御議論いただきました中で、新電力の撤退ということに関して、ややもすると新電力会社自体のリスクマネジメントが不足していたりということによって、撤退したことによって消費者にとってはトラブルとなるケースがあるという御指摘がございました。これにつきましては後ほど説明があるかと思いますが、経済産業省において小売電気事業者に対する規律の強化が御議論されていると承知しております。消費者保護が図られるよう、実効性が担保される方策を具体的に検討するべきであろうという論点出しをさせていただいております。

それから、これも前回御議論がありましたけれども、セーフティーネットについての御議論でございます。現在、消費者にとっては契約ということになりますけれども、規制料金がまだ経過措置として存置されている状況で、それがセーフティーネットの役割を果たしているということでございますが、経過措置が解除された場合、国民にとって欠くことのできない電力供給のセーフティーネットの在り方について検討すべきではないかという論点出しをさせていただいております。特に不正事案のところにつきましては、これから各省からの説明を踏まえて、この後、御議論を深めていただければと思っております。まずは論点出しということで紹介をさせていただきました。よろしくお願い申し上げます。

○後藤委員長

どうもありがとうございます。

続きまして、電力・ガス取引監視等委員会の取組について御説明を頂きます。電力・ガス取引監視等委員会事務局、新川事務局長、東取引制度企画室長に御出席いただいております。10分程度で御説明をお願いいたします。

○電力・ガス取引監視等委員会新川事務局長 電力・ガス取引監視等委員会事務局長をしております新川でございます。日頃から消費者委員会の皆様方、事務局の皆様には大変お世話になっておりまして、厚く御礼を申し上げます。

それでは、資料3、電力・ガス取引監視等委員会における取組状況等についてという資料を用いまして御説明させていただきます。御説明させていただく内容がかなり多いので、端折りながらの御説明となることは御容赦いただければと思います。

資料の3ページ、まず、内外無差別な卸売のコミットメントの2022年度下期のフォローアップ状況でございます。

4ページは23年度交渉に向けた各社の取組状況でございます。昨年3月に開催されました第71回制度設計専門会合におきまして、23年度当初からの通年契約に向け、旧一般電気事業者に対して交渉スケジュールの明示、内外無差別な交渉の実施、卸標準メニュー、いわゆるひな形の作成・公表、発電・小売間の情報遮断、社内取引の文書化の更なる徹底等を求めて、取組の進捗を定期的に確認していくこととされております。

これを受けまして、昨年11月に各社の23年度に向けた取組状況の確認を行っております。その結果、ブローカーが運営するプラットフォーム上での卸販売を実施することとした事業者、マルチプライスオークションによる入札を実施することとした事業者等もあった一方で、相対協議を続けるとした事業者も見られたところでございます。

こうした取組に対しまして、委員からは北海道電力、東北電力、関西電力については公正なやり方、透明性が高いという評価があった一方、JERA、東京電力、中部電力については内外無差別という観点から全く評価できないといった厳しい御意見を頂いているところでございます。

内外無差別性を評価するに当たりましては、こうしたスキームに基づいて実際にどのような卸売が行われたのか等、事後的な確認も行うことが必要であるということから、23年度の相対契約については交渉・契約が終わり次第、速やかに次回のフォローアップに着手し、その内外無差別性について、2023年半ばを目途に改めて御審議いただくこととなっております。

資料の5ページは制度設計専門会合での御議論の御紹介、また、6ページ、7ページには各社の卸販売の概要についてまとめさせていただいております。現時点の評価と論点につきましては、10ページ、11ページ、12ページに記載をさせていただいておりますが、概要は今御説明したとおりでございます。

続きまして、13ページから2023年度の評価方針でございます。

14ページ、先ほど申し上げましたように、昨年11月におきまして、23年度の相対契約について交渉・契約が終わり次第、速やかに次回のフォローアップに着手して、内外無差別性について23年半ばを目途に改めて御審議いただくことにしております。

ここには書いておりませんけれども、常時バックアップという制度につきまして、内外無差別性が確認されたところから廃止をするとなっておりまして、内外無差別性をしっかりと確認をしていくことが必要だと思っておりますけれども、どのような確認・評価の方法で、その評価をするのかということが大事でございます。

2ポツ目でございますが、本年3月の会合におきまして、内外無差別性の確認・評価に先立って、どのような基準に照らして評価を行うことが適切か、評価方針案について御議論いただいたところでございます。

確認すべき項目としまして27項目を抽出しまして、項目ごとに3段階で評価する。「二重マル」、「マル」、「バツ」ということでございまして、「二重マル」については現時点で内外無差別が担保されている、「マル」につきましては合理的な理由なく内外差別している事例は確認されなかったというもの、「バツ」につきましては合理的な理由なく内外差別している事例が確認されたというものでございまして、各確認項目の中で特に重要な項目で全てが「二重マル」評価、かつそれ以外の項目で全てが「マル」評価以上の場合、現時点で内外無差別性が担保されているという評価をするという御提案をさせていただいたというものでございます。

15ページ、委員からは大きな方向性について異論は出ておりません。また、長期契約における転売制限や足下の需要での入札上限の設定といった事項については、詳細に確認するように御指摘がございました。

以上の御議論を踏まえまして、確認項目に基づいて各社にヒアリングを行い、23年度の通年の相対契約について内外無差別性を確認した上で、本年6月頃を目途に確認結果を御報告させていただくこととなっております。その上で、内外無差別な卸売が担保されているか、エリアごとに確認することを予定しているものでございます。資料の16ページはそのときの御議論の御紹介でございます。

18ページにコンセプトが書いてあります。確認項目として、そこではA~Mまで、交渉スケジュール、卸標準メニュー、情報遮断、オプション価値、長期契約であるとか、いろいろな項目を評価項目に挙げまして、そして、「黒星」が付いてオレンジになっているのは特に重要な確認項目で、これらが全て「二重マル」で、その他の項目が全て「マル」である場合に、現時点で内外無差別が担保されていると評価をするという考え方でございます。

それぞれの項目について、どういったことについて確認項目として確認基準を設けているのかということが、19~28ページまで掲載をさせていただいております。今後、この内外無差別性の評価につきまして、6月頃を目途に、エリアごとに確認していきたいと思っております。

続きまして、31ページでカルテル事案への対応でございます。後ほど公正取引委員会から御紹介があると承知しておりますが、関西電力との間でカルテルを結んでいたとして、3月30日付けで中部電力、中部電力ミライズ、中国電力、九州電力、九電みらいエナジーに対して、公正取引委員会が排除措置命令、又は課徴金納付命令を発出したと承知をしております。別途、電気事業連合会に対して独占禁止法違反行為やそれにつながる情報交換が行われないように申入れがあり、また、私ども電力・ガス取引監視等委員会に対して適正な競争を阻害するおそれがある他の事案についての情報提供を頂いたところでございます。

この4社に対しては、総額1,000億円超の課徴金納付を命じる処分が通知されていると承知をしておりまして、これは過去最高額の課徴金であると認識をしております。私どもの委員会としましては、3月30日付けで関西電力を含む5社に対して報告徴収を実施しております。今後、各社からの報告やヒアリング等を踏まえまして、電気事業法上の対応についても検討していきたいと考えております。

32ページからが情報漏えい事案に関します対応状況でございます。

33ページ、まず、事案の概要を御説明する前に、電気事業のライセンス制の導入につきまして御説明をさせていただきます。2000年3月の特別高圧の自由化後、自由化範囲を段階的に拡大しておりますが、16年4月から低圧部門も含めた小売全面自由化を実施しておりまして、さらに小売部門の公平な競争を促進するため、2003年以降、送配電部門への規制を導入しております。2020年4月に分社化、法的分離を義務付けるとともに、行為規制遵守のための体制整備を義務付けたという状態になっております。発電所の部分は届出制、送配電事業につきましては許可制、小売事業については登録制というのが現在の状況でございます。

34ページ、昨年末、関西電力送配電から新電力の顧客情報が関西電力側から閲覧可能になっており、実際に多数の関西電力社員・委託先から閲覧があったという一報がありまして、電力・ガス取引監視等委員会では、全事業者に対してアクセスログ解析等の緊急点検を指示しております。一部事業者には電気事業法に基づく報告徴収や立入検査を実施しております。調査結果を踏まえまして、3月31日付けで当委員会より経済産業大臣宛てに、関西電力送配電、関西電力、九州電力送配電、九州電力及び中国電力ネットワークの5社に対して業務改善命令を行うように勧告を実施しております。

これを踏まえまして、昨日4月17日付けで、経済産業省からこの5社に対して業務改善命令が発出されたところでございます。また、同日付けで我々の委員会から中国電力など6社に対して業務改善勧告、四国電力送配電など2社に対して業務改善指導を発出しております。これは報告徴収や立入検査に基づいて事案を確認したところの事案に応じて、こういった差がついているとお考えいただければと思います。

35ページ、閲覧した情報の利用方法でございますが、関西電力の社員の一部は積極的な顧客獲得活動など、営業活動に利用するために新電力顧客情報を不正に閲覧していたと認定しております。新電力の顧客情報を意図的に見るとしても、比較的影響が小さい分野、普通に業務に利用したところから、積極的顧客活動などの営業活動に利用するというもので幅広いものだと思っております。ほかの事案では顧客からの問い合わせ対応等のために閲覧したものでありますけれども、営業活動に利用していたということは認定されなかったということでございます。

他方で、意図的に閲覧する行為そのものが電気事業法の趣旨に照らして不適切であるということから、今回の関西電力以外も含めて命令、それから、勧告・指導を行わせていただいたところでございます。

再発防止策の方向性でございますが、再発防止策の検討に当たりましては、マスキング漏れのような情報の漏えいが生じる機会をなくすということ。それから、不正閲覧は許されない行為であるということを関係者が認識共有するなどして動機をなくすということ。お客様のためなら許されるというような口実を認めず、正当化をなくすといった観点から検討させていただきまして、その下の表にありますように、情報システムを物理分割するということ、それから、モニタリングとしてアクセスログの解析を含むモニタリング強化をしてもらって、不正閲覧がすぐに発見されるようにするというようなこと、それから、動機のところにつきましては、顧客対応の手続を容易化するということ、それから、不正閲覧は許されない行為であるということを認識共有するというようなことについて、対応を考えたところでございます。

37、38ページにつきましては報告徴収等の概要、それから、事案の概要についてまとめさせていただいております。

39ページ、情報提供受付フォームを作りまして、一般の方から、もしくは新電力の方から情報提供を受け付けさせていただきました。本日4月18日現在で40件の情報が寄せられているという状況でございます。

それから、41ページでございますが、経済産業大臣宛ての勧告につきまして、もう少し詳しく書いたものでございます。3月31日に出しておりますが、ここでは2ポツ目でございますが、3月27日の制度設計専門会合の議論を踏まえて、処分時に求める業務改善策として、そこに書いております①②③といった内容につきまして、対象事業者に求めることが適当ということを勧告させていただいております。

42ページから、中国電力の問題となる取引について記載をさせていただいております。

43ページの中国電力の事案でございますが、2022年3月及び10月に適時に公表が求められている情報を保有していたにもかかわらず、これを公表せずにスポット市場で関連する取引を行っていたことが判明しております。

「※」のところにもう少し詳しく書いてございますが、燃料在庫が払底するおそれから、燃料の消費を抑制することを目的として、スポット市場で高値で買うという入札を継続的に行って、自社の発電ユニットの出力抑制を行っておりました。これ自体が悪いということではございませんが、本来、一定規模以上の出力低下が合理的に見込まれる場合には、価格に重大な影響を及ぼす事実として適時開示することが適正な電力取引についての指針で定められているところでございます。この行動は、他の市場参加者に重大な影響を及ぼす情報を開示しなかった点で、市場の健全性と公正性を損なうおそれがあるということから、3月31日に業務改善勧告を実施させていただいたところでございます。

45ページ、公正取引委員会から情報提供を頂いているということでございます。3月30日付けで、公正取引委員会から情報提供を受けております。担当の取引監視課長が概要の説明を受けている状況にございます。情報提供及び報道発表資料のみでは何ら具体的な対応を行うことができないということから、電取委としましては、公正取引委員会からの更なる情報提供を求めた状態にございますが、個社名、固有名詞等は全て伏せられた情報にとどまっておりまして、電取委としては具体的な事案として対応できる状況ではないと理解をしております。

一般論として申し上げれば、公取委からの情報提供はいささか古い断片的な情報が多くて、内外無差別のように既にルール上対応済みのものもあると理解しております。ただ、貴重な情報を御提供いただきましたので、電力業界においては、このような不適切な行為があり得るという前提で厳正に監視を行っていくとともに、今後、適切なルール整備に努めてまいりたいと考えております。

以上でございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございます。

続きまして、資源エネルギー庁の取組について御説明いただきます。資源エネルギー庁、吉瀬電力産業・市場室長に御出席いただいております。10分程度で御説明をお願いいたします。

○資源エネルギー庁吉瀬電力産業・市場室長 資源エネルギー庁電力産業・市場室長の吉瀬と申します。私自身、消費者行政は役人人生において非常に思い入れのある分野でございまして、本日、このような機会を頂いたことを大変光栄に思っております。

例えば2006年の消費生活用製品安全法において事故報告制度を立案いたしましたり、あるいは2008年の特商法改正などを担当しておりました。

本日は、電力卸取引等に関する検討状況等についてということで、資料に基づいて御説明をさせていただきます。資料4を御覧ください。

まず、2ページ目、初歩的なおさらいで恐縮ですが需要家の分布でございます。家庭等向けと書いてある右側が低圧需要、左側が高圧・特高でございます。契約件数ベースで見ますと、99パーセントが低圧ということでございますが、販売電力量ベースで見ますと、低圧が占めるのは37パーセント程度、その中で更に規制料金が占めるのは13パーセント程度となっておる状況でございます。

3ページ目に3つほど、本日御説明するテーマを挙げております。それぞれのテーマごとに最初のページにサマリーを作成しておりますので、それに基づいて基本的には御説明をいたします。

4ページ目、競争と安定を両立する市場・取引環境の整備の概要といたしまして、今ほど御説明がございました電取委における内外無差別のモニタリング等に加えまして、現在我々の電力・ガス基本政策小委員会におきまして、小売電気事業者が需要家に対して競争的な料金で安定的に電気を供給するために望ましい長期から短期の取引、ポートフォリオの在り方、更には必要な市場・取引環境の整備に関する施策について議論を行っておるところでございます。

加えまして、そういった取引の課題、ニーズ等と制度の検討が乖離したものにならないように、まずは丁寧な実態把握を行うということでアンケート調査を実施しております。現在、分析を進めておるところでございまして、後日また電ガ小委において御審議いただくつもりでございますが、一端を御紹介させていただきますと、発電事業者、小売電気事業者ともにより長期の取引を望んでおられる。一方で、スポット市場での取引は減少させたい傾向があるところが見えるところでございます。

また、子BGの関係でございますが、子BGとして営業されている小売電気事業者の3分の2程度は親BGに電気の調達を委託している。一方で、親BGがどこから電気を調達しているかというのを完全に把握している子BGは限定的であるといった実態も浮かび上がってきております。

また、小売電気事業者も半分以上の会社において電源保有、特に分散型のものが多いですけれども、そういったものの保有の意向があるということがアンケートから少し垣間見えてきております。

5ページ目を御覧いただきますと、冒頭に申し上げました長期から短期までの電源の卸取引については、それぞれ検討課題ということを真ん中に整理しておりますが、いずれにせよこういう長期から短期までのものを組み合わせることで、競争と安定を両立する卸取引が実現できるのではないかと考えております。

6ページ目以降は先ほど申し上げたアンケートの結果でございます。適宜御参照いただければと思っております。

なお、10ページを御覧いただくと、自社電源の保有については分散型と申し上げましたが、水力、あるいはLNGも多少あるのですが、あとは一番右にある再生可能エネルギー、更に蓄電池といったものについての新たな保有の意向が見られるかと思っております。

続きまして、11ページ以降でございます。話は少し変わりますが、小売電気事業者に対する規律の在り方、あるいは消費者の選択肢と安定性の確保ということについて御説明を申し上げます。スポット市場価格が小売全面自由化以降、一定期間はかなり低水準で推移をしておったわけですけれども、2021年1月の市場価格の高騰、あるいは昨今の国際的な燃料価格の高騰によりまして高水準で推移をいたしました。その結果、小売電気事業からの撤退が相次いだ。その結果、需要家、これは事業者としての需要家も一般消費者の方も双方でございますが、要は投げ出されるような格好になりまして、その保護の強化が必要という認識に至ったところでございます。

これにつきましては、まず、スイッチングの検討・実施に要する期間を十分確保することが重要であろうと考えまして、休廃止等の周知期間として低圧契約については60日、特別高圧・高圧契約については90日としてはどうかということで、電ガ小委で御議論いただきまして、既に4月から電気事業法施行規則の改正を行いまして、施行しておるところでございます。

加えて、市場価格変動を反映する料金メニューの増加といった新たな料金メニューの多様化も進んできております。更にはそういった中でリスク、あるいはメリット・デメリット、事業者・商品の特性といったものが需要家に十分に理解されるような情報提供を充実することがますます重要になっているという認識でございます。その認識の下に、電ガ小委におきまして、説明義務、書面交付義務の在り方を含めまして、需要家への情報提供の在り方について今議論を進めておるところでございます。

次のページ以降は、そういった議論に関するこれまでの電ガ小委における資料を御参考までに付けさせていただいております。

1点触れさせていただくと、15ページに経過措置規制料金について、小売電気事業者にアンケートを取った結果をお示ししておりますけれども、経過措置規制料金が自由料金を下回ることになるので、経過措置の解除基準を改正して、経過措置を廃止することが必要とお答えになった新電力さんが非常に多かったということになっております。御指摘いただいておりましたセーフティーネットとしての規制的な電気料金の在り方についても、議論をキックオフしておるところでございます。

17ページを御覧いただきまして、こちらは電取委と我々のほうと同じような議論をしてきたところでございますが、小売電気事業者が需要家に対して、ある種迷惑を掛けずに価値を提供するために、事業の開始時点、事業の開始後、あるいは事業の撤退時、こういった3つのフェーズに分けて、それぞれ小売事業者の規律を強化していく必要があろうということで、これまで議論を進めてきておるところでございます。

情報提供につきましては非常に悩ましいと思っておるところがございまして、例えば26ページでございます。先ほど申し上げた料金の変動性、あるいはそのリスクということは必ず一般消費者の方に十分に説明し、御理解いただく必要があると認識しておりますが、先ほどの御指摘にあったように、市場連動というものの考え方をそもそもどのぐらい御理解いただけるのかというところについては、非常に悩みを持っておるところでございます。

また、電源構成でありますとか、あるいは価格変動がある電源調達のコスト変動への対応、つまりそれは小売事業者の経営の安定性ということにもつながるわけですが、我々の電ガ小委における議論においても、こうした情報をたくさん出していくことが重要なのだが、一方で、あまり情報を過多にしても消費者は受け止めきれないのではないかというような御指摘も頂いておるところでございます。

続きまして、28ページからが大手電力における不祥事事案に関する課題と対応の方向でございます。

29ページ、もう事案の概要は申し上げるまでもございませんが、経済産業省といたしまして、一連の事案は中立性・信頼性に疑念を与える重大な事案であり、極めて遺憾と考えております。こうした事案を踏まえた対応の検討について、一般送配電事業者に対する緊急指示を行ったり、あるいは先ほど御紹介いただきました、昨日業務改善命令を発出したりということを重ねてきております。一連のクロノロジーは30ページ以降、数ページにわたって記載をしております。

こうした中で、現在議論させていただいておりますのは33ページ以降でございまして、大きくシステム面とガバナンス面について分けて議論をさせていただいているところでございます。システム面については、先ほど電取委から御紹介のあったものと重複いたしますので一個一個は申し上げませんが、システムの物理分離といったことはもちろんながらアクセスの監視、あるいは災害時の情報共有も一つのテーマではございますが、これもむしろ新電力とイコールフッティングな情報利用を可能とするような方向で検討してはどうかという御意見も頂いておるところでございます。

続いて35ページ目、内部ガバナンス関係につきましては、いわゆるスリーラインディフェンスといわれるガバナンスの体制構築はもちろんのことながら、社内における懲戒事由の明確化であったり、あるいは外部人材を活用したチェック、特にシステム監査の必要性について、電ガ小委における有識者からの御指摘を頂いておるところでございます。

今後の検討についてというのが37ページでございまして、今申し上げたようなところは更に今後引き続き議論を深めていくつもりでございますが、それに加えて、特定関係事業者、小売との関係でありますとか、小売の競争促進の観点についても次回以降、4月でございますが、議論を更に深めていくことにしたいと思っております。委員からのこれまでの御指摘については、その後に付けさせていただいておりますので御参照ください。

また本日、追加で資料の4-2を配付させていただいております。電気料金の関係で幾つか御指摘いただいた中のものでございますが、もう御存じかと思いますけれども、電気・ガス価格の激変緩和対策事業を行っておりまして、電気は低圧需要家につきましては7円/kWhというものを1月使用分から値引きするという事業を私のところで行っております。

また、次のページは地方創生臨時交付金、いわゆる電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金というものでございます。こちらは3ページを御覧いただくと、これは内閣府が執行しておりますけれども、生活者支援、事業者支援、それぞれ合わせて特に低所得者の支援も含めて1兆2,000億という予算が先般3月に予備費として決定されております。

その次に付けております資料は、今回規制料金の公聴会を開催しておりますので、そこに向けて寄せられた国民の声の意見概要でございます。資料1で御紹介いただいた消費者団体等の御意見を拝見いたしましたけれども、こちらを御覧いただくと、もう少し幅広い視点からの御意見があることが御理解いただけるのではないかと思いまして、御紹介でございます。なお、ディマンド・リスポンスについても御指摘を頂いておりましたが、これも私のところで昨年の夏から節電プログラム促進事業というものを行いまして、それまでいわゆるディマンド・リスポンスプログラムを提供している会社が30社程度であったところ、現在280社に大きく拡大という成果を得られているところでございます。

最後に少しだけ、御提示いただいている資料に関して申し上げますと、先ほども申し上げたのですが、電気料金が分かりづらいという御指摘は非常に重たいと思っており、我々も非常に難しさを感じておるところでございます。お配りいただいた資料の中などを見ても、幾つか事実誤認ではないかというような記載もございますし、あるいは我々から見ると基本的なことと思っていることでも、必ずしも御存じいただけていないというものが散見されるなと思うところでございます。是非、消費者委員会様、消費者庁様におかれましても都度的確な情報をお伝えするということで御協力を頂けると大変有り難いと思っております。

最後に、消費者基本法第7条第1項の精神も重要だと思っておりまして、電気料金は今後更に複雑化をしていくと予想されます。ただ、そういった要素を需要家の方々に見ていただけないと、小売事業者の差別化が、とりわけ内外無差別な卸取引の下では行われにくいのではないかと懸念をしておるところでございます。

ひとまず私からの御説明は以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

続きまして、再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォースの取組について御説明いただきます。内閣府再エネタスクフォース構成員の大林ミカ公益財団法人自然エネルギー財団事業局長と内閣府規制改革推進室の山田参事官に御出席いただいております。10分程度で御説明をお願いいたします。

○自然エネルギー財団大林事業局長 御紹介ありがとうございます。私は公益財団法人自然エネルギー財団の大林でございます。

私ども内閣府の再生可能エネルギー等規制総点検タスクフォースでは、3月に、「大手電力会社による新電力の顧客情報の情報漏洩及び不正閲覧に関する提言」を発出しております。こちらは御覧になっていただいてお分かりのように、3月の時点では不正閲覧の話を取り上げさせていただいておりますが、その後、公取からカルテルについての処分が下されましたので、カルテルについても私どものほうで現在様々な議論を重ねているところでございます。

私どもは、今回の顧客情報の情報漏えいと不正閲覧は非常に大きな事案だと考えておりまして、まず、電力市場の公正な競争を揺るがしかねない事態であると考えております。先ほど電取委と資源エネルギー庁のほうからどういった対策を取っているのか、また、今後の対策についてのお話があったのですけれども、まず1点、そのお話を聞いていて私自身が思ったのは、需要家、消費者の観点が抜けているというところでございます。と言いますのは、こういった情報漏えい・不正閲覧が起こって、公正な競争が市場にもたらされないということになりますと、何らかの時点で電力の価格が上がっていた可能性があるわけです。そういう意味では、消費者は電力市場では一方的に商品を買う立場にいるわけですから、そういった中で消費者の権利が侵害されていたと考えるところでございます。

私どもの提言にいろいろ書かせていただいているのですが、今後取るべき制度改正事項といたしましては、行為規制の抜本的な強化ということで情報遮断を言っています。物理的には例えば情報が別々になっているところもあったわけですけれども、実際には、物理的に遮断をしていた会社でも情報漏えいが起こって不正閲覧が進んでいたということになりますので、行為規制を抜本的に強化することと同時に、こういった不正閲覧が起こった場合に、電気事業法上の罰金を増額して直接罰にしていくこと、また、罰金の対象を当該違反行為をした者だけではなく、法人や代表者に拡大していくこと、あるいは懲役刑の対象を拡大していく、電取委が違法行為について検察に告発する権限を電気事業法に明記するなどの行政上の再生の更なる強化が必要であると考えております。また、電取委による業務停止命令や課徴金の制度を電気事業法に規定していくことが必要と思います。

先ほど電取委のほうでお話があった処分というか、これから先の対応の観点としては、意識改革が非常に重要であるということであったのですけれども、意識改革ではなくて、構造的な対応を取ることによって、そもそもこの不正閲覧が起こらないようにしていく必要があると思います。私どものほうで海外の送電事業者などに聞き取りを行った結果によりますと、このデータというのは送電事業者が持っているデータになるので、これを見ることがほぼ不可能であるということ。見た場合、見ていた理由としては、緊急時への対応ということを旧一般電気事業者は言っているわけですけれども、そうではなくて、緊急時でも送電事業者がきっちり対応するべきものなので、この情報を閲覧していたこと自体が法的にもあり得ないこと、インポッシブルだというようなことを言われておりました。ですから、情報閲覧をしていたこと自体が、例えば強盗に入られたような感覚で海外の送電事業者は受け止めておりましたので、そういった法的な規制の強化とともに、構造的に全くできないようにしていくことが必要なのではないかと考えております。

私どもはこの提言の中で一つ、所有権分離の実現をすることによって、構造的にこういったことができなくするという提案をしたのですけれども、それについて、所有権分離の実現というのは非常に行き過ぎではないかといった反応も頂いているのですが、今回のこの後に公表されたカルテルの処分の内容を見ますと、所有権分離の実施に当たるような事案ではないかと、私自身は確信を深めております。

と言いますのは、ドイツも同じように国営の電力事業者ではなくて民間の電力事業者で、それが所有権の分離に至った経緯があるのですけれども、2000年代の初めにE.ONがEUに訴えられて、所有権分離を実現したというケースがございます。E.ONのケースは2つ大きなケースがございまして、一つはE.ONがガス市場でその頃のフランスのガス会社と一緒にカルテルを結んでいたということと、もう一つは、電力取引における市場調整を行っていたのではないかというところでございます。

この電力市場における調整ですが、こちらも2つございます。一つは、E.ONが意図的に自らの発電設備の発電を絞って、それで電力価格をつり上げていたのではないかということです。自分が発電を絞ることによって、そういう意味で販売ができなくなるわけですけれども、日本の電力会社と同じように、E.ONは非常に市場支配的な立場におりますので、様々なポートフォリオの発電設備を持っているわけです。化石燃料の発電、水力の発電、あるいは原子力の発電を持っていますので、意図的に例えば一部の発電を絞ったとしても、ほかの価格が上がってくることによって、そこは利益を得ることができる。そういう判断をされたということが一つございます。そして、もう一つは、E.ONが持っている送電事業者が意図的に自らの所属する電力会社の卸売電力を買っていたのではないかという2つの疑惑がございました。

これについて、結果的に電力市場の価格が上がった。さらに、自らの所属する電力会社、E.ONの発電を優先していたということが分かって裁判に訴えられたわけですけれども、結果として、E.ONは自らが持っている発電の500万キロワット分、5ギガワット分を売るということで、今後は、容量を不正に市場から撤退させ価格をつり上げることはしませんということを行いました。

2点目は送電網を売りに出す、所有権分離をすることによって、送電事業がE.ONの発電を優遇することができないという構造的な改革を行いました。

私はこういった例からも、自らの所属する会社に対して情報を提供したり、あるいはそういった発電事業者や小売事業者が情報を見ることができるような状況を遮断するためには、こういった発電と送電の所有権の分離というような構造的改革は、非常に有効に動くのではないかと考えております。

私どものタスクフォースでは、こういった形で再生可能エネルギーが優先的に買われていくような市場を目指して活動をやっておりますが、もう一つの観点から言いますと、例えば再生可能エネルギーが今市場で増えて、需要よりも多くなったときには出力抑制というのを再生可能エネルギーはやられるわけですけれども、そのときは、基本的に電力が市場で余っている状況なわけです。諸外国では例えばネガティブプライスという形で、そのときの電力の価格がマイナスになるような制度を導入して、市場の適正性を図っているわけです。

これは一方で考えてみると、消費者にとって一番安い電源が余っているときに、その電源で出力抑制を行うことによって、それ以上価格が下がることがない。そういった機会を奪われている一つの例になるのではないかと思っておりますので、こういった市場改革も含めて、主に再生可能エネルギーが市場で取引されるような制度を入れていく必要があるのではないかと思っております。

今回、カルテルや顧客情報の不正閲覧が起こったことによって、抜本的な市場改革の必要性が出てきていますし、主にそれが消費者の観点に立って行われることが重要であると思っております。先ほど様々な情報を出して、消費者が本当にそれでいっぱいいっぱいになってしまうのではないかというコメントもございましたけれども、むしろそれは電力市場を分かりにくくしている現状があるからそうなるのであって、シンプルに取引がされる、一番安い電源がちゃんと取引をされるような市場であって、どういう電力ポートフォリオになっているということがはっきり分かるような状況が常にリアルタイムで開示されていれば、消費者はそういった情報を見て、いっぱいいっぱいになって選ぶことができないということはないと思いますので、こうした改革がなされることを望んでおります。

もう一つは、電力・ガス取引監視等委員会についてですが、電取委がこういった状況を監視していくためには、抜本的に強化することが必要だと思っておりまして、電取委の機能を抜本的に強化して、中立化をして、そういう中で、電力市場を公正に保っていくための監視を続けていくことが必要だと考えております。

私からは以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

最後の御説明者となります。公正取引委員会の取組について御説明いただきます。公正取引委員会事務総局審査局、宮本管理企画課長に御出席いただいております。10分程度で御説明をお願いいたします。

○公正取引委員会事務総局審査局宮本管理企画課長 公正取引委員会審査局管理企画課長をしております宮本でございます。本日は、御説明の機会を設けていただき、どうもありがとうございました。

先ほど電取委からの説明でも言及がありましたけれども、公正取引委員会では、3月30日に中部電力、中部電力ミライズ、中国電力、九州電力及び九電みらいエナジーに対して排除措置命令、課徴金納付命令を行っております。

資料6-2の図に基づいて説明させていただきたいと思います。本件の基本構造ですけれども、基本的には今言った各社に加えて関西電力が違反行為者として認定されているのですけれども、この6社が集まってそれぞれ話し合ったというよりは、構図といたしましては、関電と中電及びその子会社であるミライズ、関電と中国電力、関電と九州電力みらいエナジーという3つの合意があったと認定しているところでございます。これが本件のカルテルの基本構造でございます。

本件の背景・経緯ですけれども、左上の図にありますように、かつては各一般電気事業者に供給独占が認められていたのが、平成12年頃から順次自由化するようになった。これによりまして、旧一般電気事業者と呼ばれる会社が、かつての供給区域を越えて電力供給することが可能になり、そういう意味では競争が働くようになったのですけれども、必ずしもそういった状況が見られたかというと、そういうわけではなかったのです。しかしながら、平成29年頃から特に関西電力が中国電力や中部電力、あるいは九州電力の管轄内に進出して、そこで競争が行われる。この結果、料金の低下も見られるようになったということがあります。

その一方で、料金が低下するということで、収益の確保の観点から、関西電力、中部電力、中国電力、九州電力は危機意識を平成30年の春頃から抱くようになって、下の赤い点線で囲んでありますけれども、自社利益の確保が必要、旧一電間での安値競争は避けたいというような意識を持つようになり、それを契機としまして、こういった旧一電の6社の間で会合を重ねる、これは担当者レベルもありますし、役員間レベルで会合をしています。

そういった状況を踏まえまして、最終的には資料の、合意とありますように、お互いに相手方の供給区域で顧客獲得競争を制限するというようなカルテルが結ばれたということでございます。

3つほど合意があると申し上げましたけれども、基本的には関西地区と中部地区、関西地区と中国地区、関西地区と九州地区と、ここに書いてありますが、互いに相手方の供給区域で顧客獲得競争を制限するという点では、基本的には一致しておりますけれども、その対象については若干ずれが生じております。これは関西電力と各電力会社との間の競争状況が地区ごとによって異なっている。どこを主戦場としたかという違いによるものと考えられます。

簡単に説明させていただきますと、関西電力と中部電力、そこに大口顧客と書いてありますけれども、具体的には特別高圧需要、又は高圧大口需要に係る電気で、これに官公庁は含まれておりません。

一方、中国電力と関西電力の間の対象となったのはもう少し広くて、相対顧客、官公庁と書いてありますけれども、相対顧客というのは中部電力のような特別高圧、それから、高圧大口に加えて高圧小口需要も含まれております。また、官公庁につきましては、関西電力が中国電力管内で入札参加や安値入札をしないというもので、中国電力のほうは関西地区ではあまり官公庁のほうに進出していなかったということが背景にあります。

それから、関西電力と九州電力の間には、もう少し対象が狭くて官公庁の間についてということで、関西電力が九州電力に対しては関門海峡を挟むということで、送電の関係で電力供給に制限があるということで、基本的には官公庁に競争が絞られているということが背景にあるようです。

こういったことが平成30年の秋頃に合意がなされたということで認定しておりまして、具体的には中部電力と関西電力の間では平成30年11月2日、関西電力と中国電力の間では平成30年11月8日、関西電力と九州電力の間では平成30年10月12日以降、こういった合意に基づいて顧客獲得競争を制限していくものでございます。合意の実施後も、会合などを担当者間、あるいは役員間で行っておりまして、ちゃんと約束が守られているかということを確認し合っていたという状況が見て取れます。

この結果として、一番下にありますように、各社の供給区域において電気料金の水準を維持、又は上昇させていた事実が認められます。

合意の消滅につきましては、令和2年10月29日に関西電力が公正取引委員会に減免申請を行いまして、合意に基づく行為をしないように社内に指示したということをもって、合意は終了したと認定しているところでございます。

今回、大きな課徴金の額が課せられまして、資料6-1の第1の下のほうにありますように中部電力グループに対しては275億5,590万円、中国電力については707億1,586万円、九州電力に対しては27億6,223万円になっております。また、関西電力については課徴金減免制度という、公正取引委員会の調査の前に自主的に違反行為について申告した場合には課徴金を免ずるということで、課徴金納付命令は行っておりません。

また、排除措置命令につきましても、関西電力は既に必要な再発防止措置を講じているということ、また、自主的に違反行為を社内調査の上で確認して、公正取引委員会に報告したということで、少なくともカルテルに関しては自浄機能が作用していると認定しまして、改めて再発防止のための排除措置命令を講ずる必要はないと認定して、排除措置命令の対象からは除外しているところでございます。

また、本件につきましては、資料6-1の6ページ目、第2、第3の部分になりますけれども、電気事業連合会の申入れと電力・ガス取引監視等委員会に対する情報提供を行っているところでございます。

電気事業連合会に関しましては、当該違反行為でいろいろな情報交換が行われたのですけれども、それが電気事業連合会で行われたということはないのですけれども、電気事業連合会が開催された機会を利用して担当者間で話し合いが行われた。あるいは同連合会に出向したことがある者同士が、出向した際に構築した業務上の関係を利用して違反行為に係る情報交換を行っていたということもありますので、こういった独占禁止法の違反につながる情報交換が行われないよう、周知徹底を電気事業連合会に対して申し入れているところでございます。

また、電力・ガス取引監視等委員会に対しても、違反の過程でいろいろな電力会社の行為について認められた事実について情報提供を行っております。例えば2にありますように、旧一般電気事業者及びその販売子会社は、営業活動に関して「仁義切り」という形で当該顧客に営業活動を行うことに関する情報交換を慣習的に行っていたことが認められたというような情報提供を行っているところでございます。

私の説明は以上でございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、質疑応答と意見交換をお願いいたします。時間は30分程度でよろしくお願いいたします。

清水委員、よろしくお願いいたします。

○清水委員 清水です。御説明ありがとうございます。

私は日頃、消費生活センターで相談員をしています。小口が自由化になってからは、新電力の問題ある訪問販売、電話勧誘、電気を売りながら抱き合わせてウォーターサーバーを売る等のトラブルに翻弄されています。その中で、この自由化が消費者に伝わっていないことが分かりました。問題ある新電力はメリットしか言わないのです。問題になったのは、消費者はネットで調べて、一番安いというと新電力が出て、それを信用して、そこと契約してしまう。また、不動産仲介業者と新電力が提携して、ここの賃貸アパートに入れば、この電力しか契約できないという売り方をしています。そういう背景から、消費者が契約は自由である、選ぶことができることを知らなかったということがあると思います。

今日、経済産業省の説明や電取委の説明で、情報提供の在り方について議論を深めていただいていると確信しました。是非今後もお願いしたいと思います。

そこで、電取委に質問なのですが、消費生活センターでは、今回の不祥事、カルテル、個人情報漏えいについての苦情というのは入ってなくて、圧倒的に電気料金が高くなった、市場連動なんて聞いていない、規約なんて読んでいない、そんな相談が多かったのですが、電取委のほうに、消費者からこの不祥事に関連する相談というのは入っていたのでしょうか。入っていたのであったら、どのような内容か、件数等がありましたら教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○後藤委員長 いかがでしょうか。

○電力・ガス取引監視等委員会新川事務局長 電力・ガス取引監視等委員会も燃料価格の高騰とともに苦情の件数が増えてきたという傾向にございます。そういう意味では、多くは電気料金が高すぎるとか、もしくは市場連動とは何かというお話が主流を占めていたと認識をしております。

今回のカルテル、それから、不正閲覧についても、手元に数字を持っていませんが、そんなに多くはないと思っております。先ほど御紹介した情報提供フォーム、40件頂いておりますが、うち10件は消費者から頂いたものと理解しております。

○清水委員 ありがとうございます。

○後藤委員長 ほかにいかがでしょうか。

大石委員、よろしくお願いします。

○大石委員 御説明ありがとうございました。

私はもともと経産省の電力・ガスの基本政策小委員会にも参画しており内容についても一度は聞いてはいるのですが、これらの内容というのは、消費者にとってはなかなか理解が難しい状況です。ですので、今回のお話の中で、消費者がなかなかこの内容について、特に電力の自由化について理解ができないというところは私自身も常々実感しているところです。

その中で、今回、各省庁の方からそれぞれの立場でいろいろな御意見を頂いたのですが、一番重要だと思ったのは消費者への情報提供と内外無差別のための所有権分離のお話だったと思うのです。まず、情報提供のところで、確かに事業者の皆様も、努力はされていると思うのですが、特に今、清水委員からお話があった契約でのトラブルについて、これは消費者の側にも問題があると思います。ただ安ければいいということで値段だけで選んだが、最終的に値段が急激に上がってしまって困ったということもあるのではないかと思います。

私が一番思うのは、電気というのは消費者にとって一番身近で重要で、生活の中でなくてはならないものなので、販売方法や事業者に問題を感じたとしても、最終的には安さで選んでしまっているというところがあるのではないかということです。そして、仮に事業者に問題があると分かっても、すぐに他の事業者に移るということができないということだと思いました。そのぐらい電気というのは消費者にとって重要なものであるということが基本的にあるのではないかなと思っています。

その中で、今回こういう不正事案が起きたということは、消費者にとって、電力会社に対しても、電力の自由化に対しても不信感が大変高くなっています。どのように最終的な対策を取るか、情報提供も含めて大変難しいと思うのですけれども、今の議論の中で疑問に思っているのが、所有権分離をしたら本当にこういう問題事案がなくなるのか、また、値段が上がらなくなるのかというところです。疑問を持っている人も多いと思いますので、実際に所有権分離をした場合のメリット・デメリットについて、是非それぞれの皆様から一言ずつ、教えていただければ有り難いなと思います。

以上です。

○後藤委員長 御質問の相手としては全員ということでしょうか。

それでは、消費者庁さんからコメントがありましたらお願いいたします。

○消費者庁楢橋参事官(公益通報・協働担当) 簡単に申し上げますと、先ほど資料2で論点出しをさせていただきました同じグループ会社として何らかの関係があることを断つということが、便宜を図りましょうという動機をなくすためにも根幹として必要ではないかという議論で、所有権分離も含めて検討するということで、踏み込んだ議論が必要ではないかと考えております。

○後藤委員長 それでは、電取委さんからお願いいたします。

○電力・ガス取引監視等委員会新川事務局長 電力・ガス取引監視等委員会で今回の不正閲覧に関して大臣への勧告、それから、委員会としての勧告をさせていただいたのは、現行法の体系の下でできることについて、最も厳しいと思われる措置についてやらせていただいたと思っております。電力システムがいかにあるべきかということについては、考えなくてはいけないことがものすごくたくさんあると思っております。現在、日本でバランシンググループ制ということをやらせていただいておりますけれども、ほかに例えばアメリカではプール制といった形でやられております。どのような電力システムが良いのかということについては、しっかりと議論していくことが必要ではないかと思っておりまして、そんなに簡単に資本分離ということがすぐ出てくるということではないと思っております。

○後藤委員長 それでは、資源エネルギー庁さんからお願いいたします。

○資源エネルギー庁吉瀬電力産業・市場室長 組織としての統一見解をまだ持ち合わせておりませんので個人見解になりますけれども、先生がおっしゃったように、メリット・デメリット双方をしっかり考えることが必要であろうと思っております。

その点で申しますと、メリットという意味で言えば、既に御指摘がありますように、より中立性が高まる期待値が高いということであろうと思います。一方で、私は実務家なものですから実務とか実益で考えてしまうのですが、それが直ちに消費者にとってどれほどのメリットになるかというのがよく分からないというのが正直なところです。一方で、実務を仮に考えた場合に、私個人が一番懸念するのは経済安全保障の観点でございます。株式を売却することを考えなければならないわけですけれども、誰がそれを引き受けるのかというところは、極めて重たい問題だと考えております。

○後藤委員長 それでは、再エネタスクフォースさんからお願いいたします。

○自然エネルギー財団大林事業局長 実際に様々な事例が海外ではあるわけですけれども、まず、海外で国有化から民営化に移ったときに、電力市場の自由化というのが行われます。そのときに、例えばスウェーデンなどでは一夜にして全て自分たちが供給される電力会社を強制的に変更しなくてはならない。それは消費者が迫られることでございます。それをやることによって、消費者は自由化の中に入っていって、自分たちが違う電力会社を選ぶということを実践するわけです。ですので、知らないままに既存の電力会社を選んでいくということがない。そういったようなやり方をしている国もございます。

それで、所有権分離でございますけれども、先ほど消費者庁からも話があったように、物理的に分離をしていくことによって、明らかにほかの会社になりますので、自分のところの会社を優先する、あるいは情報を漏えいさせるといったようなインセンティブというのは全く働きにくくなると考えております。海外では、特に欧州においては国営の電力会社、国営の送電網もあるわけですけれども、そこも分離をすることによって、そこに国営の規制が入ることによって、きっちりと競争が公平に保たれているかということを見ておりますし、先ほど申し上げたドイツの例は非常に日本に近い例ですが、民営の電力会社でありながらも所有権分離をすることによって、実際に競合他社を市場の中で抑制する懸念が少なくなっていく。自社の電力会社を優遇することがなくなっていくということが言えると思います。

○後藤委員長 公正取引委員会さん、お願いいたします。

○公正取引委員会事務総局審査局宮本管理企画課長 違反事件を審査する立場からすると、なかなかお答えは難しいのですけれども、少なくとも今回のカルテルの事件の関係からすると、資本分離すればカルテルがなくなるというわけでもないし、資本分離がされていないからカルテルがあったというわけではなくて、もう少し別の面での協調構造というのが今回の問題の背景にはあったと考えているところです。

○自然エネルギー財団大林事業局長 1点よろしいでしょうか。送電網の所有権分離というのは、カルテルにおける例えば販売の部分での考え方とは全く別になりますので、公取委の方がそのようにおっしゃるのは非常に理解できますけれども、それが果たして一体的に支配的な構造を持っている電力会社、発電も持っている、送電も持っている、販売も持っているという中で見たときには、それがどのように動いていくかというのは、一概に影響がないとは言えないと思います。

○後藤委員長 公正取引委員会さん、何かコメントはございますでしょうか。

○公正取引委員会事務総局審査局宮本管理企画課長 これはあくまで今回のカルテルの事件に関してということでございますので、もう少し大きな構造の中でということで、資本分離のメリット・デメリットはいろいろあると思うのですけれども、今回、違反事件を説明するという立場でこちらに出席させていただいておりますので、そこら辺の点についてはコメントを差し控えさせていただければと思っております。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

大石委員、よろしいでしょうか。

○大石委員 ありがとうございました。

今、皆様のお話を聞いていても、一概に消費者にとって本当に何がメリットかと言い切れないところが大変あるなと思いました。委員会のほうでも、また委員の皆様と検討できればと思っています。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、黒木委員、よろしくお願いいたします。

○黒木委員 大変専門的なところで、まだまだ私も十分理解できていないところがありまして、法律家的なところに多少引きつけて御質問させていただければと思います。

まず、消費者庁さんですけれども、論点たたき台という資料の消費者に分かりやすい情報提供ということを言っていただいております。

例えば規制料金については、特定小売供給約款の変更手続ということに最終的になると思っておりますが、これは規制約款ではありますけれども、民法上は典型的な定型約款であると考えられているのではないかと思います。そうすると、民法上の定型約款の変更に関する民法の規定があって、民法548条の4第1項第2号です。条文は読み上げませんが、そのような形で変更手続の必要な事情・情報・資料を提供しないと定型約款を一方的に変更できないのですけれども、このようなものを最終的にどういう形で提供しようとお考えなのかということについて、分かりやすい情報提供というところで、もしもこの規制料金を変えるとすると、法律からすると看過できない論点が生じると思っております。まず、その点についての消費者庁のお考えがありましたら、教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○消費者庁楢橋参事官(公益通報・協働担当) 規制料金の認可というのは経済産業省でございますので、今のところに対して消費者庁でコメントする立場なのかどうかというのはちょっと思いますけれども、そういうことも含めて御議論いただければという形で諮問をさせていただいている立場でございます。

○黒木委員 すみません、そうしたら、経産省のほうで。

○資源エネルギー庁吉瀬電力産業・市場室長 私はどこまで法的に正確か自信がございませんが、先生が御指摘された民法の定型約款との関係で申しますと、一般法と特別法の関係に立つと思っておりまして、電気事業法においては経済産業大臣の認可をもって効力を発し、公表されて10日後から、その料金の適用が可能になるという明文で規定をされておりますので、これが法律としては適用されるものと考えております。

○黒木委員 ただ、経済産業省のグリーンエネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネスに関するガイドライン等でも、このような情報提供をちゃんとしていけという形で書かれていると思っておりますので、その辺りのところについては、仮に民法が適用になるとしても、かなりの情報を提供しなければならないのではないかと理解しているのですけれども、その辺りはどうでしょうか。

○資源エネルギー庁吉瀬電力産業・市場室長 別途の意味で、情報提供しなければならないということは全くおっしゃるとおりだと思います。電力会社によって取組は様々でございますけれども、各地域において住民説明会のようなものをやっておる電力会社もございますし、我々として電気事業法の規定に基づいてでございますが、公聴会を開催し、その場において、各電力会社から説明をさせるというようなことも取組として行っております。

さらに、審査を行っておる電力・ガス取引監視等委員会においても、全ての審査プロセスは公開で行っておりますので、これを見に来ていただくということが必要になりますが、全てのプロセスはオープンで行われているということでございます。

○後藤委員長 電取委さんから御発言はございますか。

○電力・ガス取引監視等委員会新川事務局長 今、資源エネルギー庁から回答がありましたことで解は尽きていると思いますが、私どもの料金審査の過程でも消費者への御説明、もしくは地域での御説明会をどのような形でしているのかということについては、電力各社から確認をさせていただいているところでございます。

○黒木委員 ありがとうございます。

続いて、電力・ガス取引監視等委員会添付資料、資料4-1の33~37ページのいわゆる不正閲覧事案のところです。ここは結局のところ、単なる仲間内の問題だとか、そういう話ではなくて、一般送配電事業者というのは、個人情報取扱事業者に該当することは間違いなくて、個人情報保護法上の27条に完全に違反している事案であって、同法では罰則もあるわけですので、個人情報取扱事業者として、そもそもイロハができていないということになって、電気事業法の前に個人情報保護法上の問題でも真っ黒だという事案ではないかなと思っているのです。この点について、個人情報保護委員会に同時に共管して、この問題について単なる業務改善命令だけではなくて罰則といったような強い行政措置をすることは考えられないのでしょうかという質問です。

○後藤委員長 お願いいたします。

○電力・ガス取引監視等委員会新川事務局長 個人情報保護法に基づいて、今回、不正閲覧事案で問題を起こしている会社は個人情報保護委員会に対して報告をしていると承知をしております。その上で、個人情報保護委員会から報告徴収もされていると理解しておりますけれども、まだ、処分については出ていないと理解しておりまして、そちらのほうで御検討されていると考えております。

○黒木委員 ありがとうございます。

最後ですけれども、タスクフォースの方へ御質問です。資料5の9ページの片括弧、結局所有権分離したほうが、コストが低くなるという結論をまとめていただいております。この関係で、投資家保護という観点で御質問させていただきたいと思います。旧一般電力は結局ほとんどプライム市場にいて、もし、このようなプライム市場の株を、こういう形で法的に分離するということをした場合、株価にすごい影響を与えるのではないかと思うのですけれども、その辺りのところは、社会的効果が少ないというところでは、どのようにお考えなのかという点について、御質問をさせていただきたいと思います。

○自然エネルギー財団大林事業局長 御質問ありがとうございます。

委員のおっしゃられたことは、例えば送電部門が何らか株価に影響をするような利益を生み出すといったことが前提になっているかと思います。そもそも送電事業に関して言うと、一定の利益水準が法的に定められておりまして、ある意味で公的な設備としての運用が求められておりますので、もしそれを株価に反映すると、今議論になっているある程度自社の発電を優遇するとか、そういったことが前提となってしまうのではないかと思っております。

そういった観点から言うと、先ほど吉瀬室長からお話があった売りに出すということですけれども、送電事業を所有権分離したとしても、今の所有というか、送電事業者が分離されるだけですので、送電事業を売りに出すという形にはならないと理解をしております。もう既に法的に分離されているわけです。東京電力と中部電力は、そういう意味では独立しておりますし、送電部門を分離して売りに出すということにはならないと考えております。

○後藤委員長 吉瀬室長、よろしくお願いします。

○資源エネルギー庁吉瀬電力産業・市場室長 我々としては、あまり議論する場ではないのかもしれませんけれども、所有権分離というものが意味しているのは、例えば東京電力で言えば東京電力パワーグリッドの株式を東京電力ホールディングスが保有しており、この東京電力ホールディングスが保有している株式を東京電力ホールディングスグループ以外の者に移転するということをもって、それを指しているものと理解をしておるのですけれども、違いますでしょうか。

○自然エネルギー財団大林事業局長 パワーグリッドとして独立する方法もあると思います。

○資源エネルギー庁吉瀬電力産業・市場室長 株式会社として独立するためには、それを保有する株主が必要になりますけれども、いかがでしょうか。

○自然エネルギー財団大林事業局長 それはもちろんあると思いますけれども、運用としては、エネルギー安全保障の観点からとおっしゃられたので、それは中立的に運営されると思っております。

○資源エネルギー庁吉瀬電力産業・市場室長 それは一つの観点として申し上げましたけれども、いずれにしても、東京電力ホールディングスの代わりになる株主を東京電力パワーグリッドは探さなければならないことには変わりはないという、そこは事実としてお伝えいたします。

○自然エネルギー財団大林事業局長 承知いたしました。

○黒木委員 ありがとうございます。

この観点では結局のところ、自社所有の株価の評価という点が出てくることだけは間違いないような気もしまして、要するに投資家保護というものを、プライム市場にいる会社ですので、私どもとしては、その辺りのところも今後検討していかなくてはいけない論点ではないかなと思っておりましたので質問させていただきました。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、木村委員、よろしくお願いいたします。

○木村委員 木村です。御説明ありがとうございます。

消費者にとって電気は使わざるを得ないものなので、提供された後払いですので料金を支払うしかないなと。契約は確かに自分でするのですけれども、値上げされてしまった料金について、今月の料金はすごく高いと思っても払うしかないというところだというのは、最近すごく実感しているところなのです。

電力の自由化がありましたけれども、消費者にとって自由化というのは、電気料金が安くなると思っている方が多いのではないかと感じているところです。料金体系が複雑で分かりにくいということが再三言われておりますけれども、急に値上げされても選ぶ暇がないというのが正直なところで、そこは価格が妥当なのかということですとか、料金体系が、携帯電話のときと本当に同じなのですけれども、システム的に分かりやすいのかとか、必要な情報がきちんと提供されているのかというところは、少し疑問もありますので、そこはきちんとしていただくことを求めたいと思います。

また、不祥事問題については、消費者にきちんと説明していただきたい。いろいろと報道されていますけれども、やはり当事者から分かりやすく説明していただくことが必要だと思いますし、あと、個人情報をきちんと管理していただくということは、本当に基本の基だと思います。不信感を消費者が持つと、企業にとってみたら結果的に不利益になるのではないかと思うところです。

質問としまして、まず、電力・ガス取引監視等委員会の資料の33ページです。電気事業の類型の見直しとありまして、ここは見直したけれども、結局不祥事が起きてしまったところです。ここに関して、今後更に監視を深めていくということで、どのような感じで、説明いただいたのですけれども、例えば小売電気事業に関して登録制で良いのかどうかというところはどのようにお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。

2つ目の質問としましては、資源エネルギー庁の資料の12ページ目です。スイッチングということがありました。スイッチングの周知期間を徹底するというお話だったのですけれども、これは教えていただきたいのですが、例えば60日とか90日とか周知期間があるのですけれども、休止されてしまって、何か夜逃げのように止められた場合に、電気は止まってしまうのでしょうか。少しハード的なことについて教えていただきたいのですが、よろしくお願いいたします。

○後藤委員長 それでは、電取委さんからよろしくお願いいたします。

○電力・ガス取引監視等委員会新川事務局長 まず、今回の不正閲覧事案についての対応策としては、経済産業大臣宛ての勧告の実施についてという資料41ページに記載させていただいておりますけれども、情報システムの物理分割を速やかに行う計画を立案するべきであるとか、それから、内部統制の強化といったことを言っておりますし、我々の監視としても、今回、アクセスログの解析をしたというのは非常に大きく、アクセスログを見られると、パソコンにアクセスしたのは一発で分かりますので逃げ場がないという意味で、しっかり見られるといったことでございますので、そういった監視・監査をしっかりやっていくことで、不正閲覧の防止には対応していきたいと思っております。

それから、御質問いただいた小売事業が登録で良いかどうかということにつきましてでございますけれども、御指摘のように、小売電気事業者の燃料価格の高騰に伴う電力市場高騰に伴って撤退が相次いでいるという状態にあると思っております。先ほどエネ庁のほうでも御説明がありました。今日、そちらの資料を私は持ってきていませんが、小売事業に対する監督を強化することを一つの方向性として打ち出しております。登録をしたとき、それから、事業を行っているとき、そして、撤退をするときという3つに分けて、監督を厳しくするということを打ち出しております。

情報提供についてもそうでございますし、リスクアセスメントをしっかりやっていただくということを、私どもとしてしっかり指導していきたいと思っております。

また、撤退については周知期間の御説明としてエネ庁からもございましたけれども、そこの規律を強化して早めの周知ができるようにということを一つの着眼点として出させていただいているところでございます。

以上です。

○資源エネルギー庁吉瀬電力産業・市場室長 電気が止まるのかという御質問でございますけれども、現状の仕組み上、残念ながら新電力が夜逃げのようなことでどこかにいなくなったときに、無契約状態というのは発生し得るのですけれども、その間においても電気の供給は続きまして、次に契約を結んだ小売電気事業者がその不在期間を含めて引き継ぐこととなっております。

○木村委員 ありがとうございます。

消費者はそこが分からないとすごく不安になると思うのです。そういうことも含めて情報提供をしていただきたいことと、電取委さんの監視強化というのは大変望ましいと思うのです。ただ、監視強化に対して透明性をきちんと持っていただきたいということを要望させていただきます。

○電力・ガス取引監視等委員会新川事務局長 御指摘ありがとうございます。透明性の確保がなるべく図れるように努力してまいりたいと思います。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、野村座長、よろしくお願いいたします。

○公共料金等専門調査会野村座長 野村です。よろしくお願いします。

消費者問題としては料金が高騰していることが一番問題かと思います。電力の市場を競争的に環境整備していくというのも長期的にはもちろん重要だと思っていますが、喫緊の課題として、どれだけ電力の料金を抑制できるかというところに我々の専門調査会のほうでは注目しております。その中で、資源小国であるがゆえに輸入燃料、特にLNGの価格が乱高下するし、この数年逼迫していて値上げが起きているところに着目しております。

エネ庁さんと再エネタスクフォースさんにお伺いしたいのですが、我々の専門調査会のほうでは原子力の再稼働が遅れたら、値上げせざるを得なくなるということを書き込もうと考えております。原子力の安全性確保も競争環境整備と無縁ではないと思われます。その辺りをどのようにお考えになっているかということをお教えください。お願いします。

○資源エネルギー庁吉瀬電力産業・市場室長 今御質問いただいた原子力発電の再稼働が遅れたら値上げせざるを得なくなるのかという点でございますけれども、ここは会社によっても、一気に動いたときにどのぐらい燃料費を節約できるかというところが、エリアの需要規模によって全く異なっているというのはございます。一方で、現実問題として、現在原子力発電所が稼働している九州電力及び関西電力においては、値上げをせずに耐えられているという状況にあると認識をしておるところでございます。更には今回、規制料金の値上げの申請におきましても各社、原子力発電所の再稼働を織り込むことによって値上げ幅の抑制を図っていると承知をしております。

○公共料金等専門調査会野村座長 分かりました。ありがとうございます。

○後藤委員長 再エネタスクフォースさん、お願いします。

○自然エネルギー財団大林事業局長 原子力が再稼働して、市場の価格が安く抑えられるかどうかということについては、例えば発電部門と小売部門というのは、そういう意味では情報を分断されているはずですので、発電部門で原子力があったからといって小売部門の電気料金が下がるというのは、一体的に考えられているということの証左でもありますので、おかしいと思います。まず、それが1点です。

もう一つは、東北電力が値上げ申請しておりますけれども、30数パーセント値上げいたしますと、女川が動いた場合には5パーセントの抑制効果がありますと言っておりますので、そういう意味では、原子力が動いた場合の抑制効果も数パーセントにとどまるのではないかと思っております。

例えば送電網の分離についてですけれども、それについてもこういった事案が起こるたびに、例えば罰金であるとか、電力市場の競争性が保たれていないということがありますので、結果的に見た場合に、電力市場に十分競争性があれば、全体の電気料金が下がっていて、それが需要家、消費者にとって利益になりますし、経営の合理化、あるいは新しい競争の導入ということが図られていくことにもつながりますので、私自身は、全体として見たときに、電力の需要を健全に保つためには、消費者や需要家にとっても利益があることだと考えております。

結果的には電気料金が低減し、また、省エネサービスが推進されたり、そういったことが起こってくるのではないかと思っております。

○公共料金等専門調査会野村座長 分かりました。ただ、料金と数量、やはり発電量が私は影響してくると思いますので、また改めて専門調査会でも考えさせていただきます。ありがとうございました。

○後藤委員長 若林座長代理、よろしくお願いいたします。

○公共料金等専門調査会若林座長代理 御説明をいろいろとありがとうございました。

専門調査会でも料金そのものはもちろんなのですけれども、不祥事について消費者の信頼を損なうものであるというような形で議論がなされておりまして、その観点から先ほど御説明を頂きました電取委さんのほうに公正取引委員会から情報提供があったという件についてです。結構古い情報があったということで、現在、必ずしも該当するものがないようなお話がございましたけれども、現在はこういうものが行われていないという確認であるとか、あるいは今後の取った措置によって、このような行為の確認がなされたのかという点について1点お伺いしたいです。

それから、公取委さんには、今回の話とはずれるので、もしかしたらお答えができないかもしれません。現在、内外無差別の問題も含めて市場の調査をされているかと思いますけれども、もし見通し等をお話しできればお教えいただきたいという2点御質問があります。

それから、1点コメントとしましては、これまで結構分かりにくいとされていた情報通信などの分野でも、消費者に向けての情報提供というのは非常に苦労されていて、例えば総務省さんなどでは消費者向けのポータルのようなページを作ったりとか、いろいろ工夫をされていると思います。エネ庁さんのほうでも良い情報を出されていると思いますので、それを例えば消費者向けのポータルにするなど、届きやすい情報提供をお願いしたいと思っております。

以上です。

○後藤委員長 電取委さん、よろしくお願いします。

○電力・ガス取引監視等委員会新川事務局長 若林先生、ありがとうございます。

まず、先ほどいささか古いと申し上げたことが本質ではないと思っていまして、そういう意味では個社名、固有名詞が伏せられた情報であることから、現在事案化ができないと考えております。現在行われているかどうかということについて分からないというのが正直なところでございますけれども、もし仮にこういったことが行われていれば、それは極めて遺憾なことであると考えておりますし、我々として厳格に監視する必要があると考えておりますので、引き続き電力・ガスの取引についてしっかりと監視していきたいと思っております。

○公正取引委員会事務総局審査局宮本管理企画課長 公正取引委員会で情報提供について1点補足させていただきますと、我々としては、いろいろ審査の証拠を収集して、事業者の秘密もありまして、審査で集めた秘密資料ということもありますので、そのままストレートにほかの行政機関に提供できないということを御理解いただければと思います。情報提供をもって、直ちに電取委に何か調査を行ってというよりは、こういったことをやっていることが見られるので今後の監視などに役立ててくださいという意味で情報提供したものでございます。

先ほどの内外格差の実態調査ですけれども、現在、これは審査部門ではなくて、別の実態調査を専門に扱っている部門がやっています。その見通しについては、現段階ではっきりいつまでに公表できるということは申し上げる段階ではないですけれども、可及的速やかに実態調査を取りまとめて、結果を公表したいと考えております。

○後藤委員長 よろしいでしょうか。

生駒委員、よろしくお願いいたします。

○生駒委員 御説明ありがとうございます。

私も今日出席させていただいて、いろいろ勉強になっております。私自身は専門家が集まりまして協議会を作りまして、エシカル消費、エシカル経営を推進しております。企業に向けてエシカル基準というものも作りまして、その8項目のうちの一つがガバナンスのエシカルさ、エシカル経営を推進しているのですけれども、今お伺いして、電力市場のいろいろな不正行為が明るみに出ていることに改めて深刻な状況があることを感じます。メディアでは価格が上がっていることと同時に、こういった不正行為、情報漏えい、不正閲覧、カルテルの問題があるというニュースが報じられていることは、一般の消費者からすると、本当に信頼を裏切る状況になっていると思われますので、是非、電力市場がエシカル化に向けて改善されることを望むところです。

同時に、エシカルといいますと、サステナビリティとトランスペアレンシーなのです。持続的であることと、情報公開、情報開示の問題がすごく重要です。消費者は、どのような理由でこの価格が上がっているのかというところを知りたいところだと思います。そして、電力料金の構造について、すごく興味があると思います。

一つ質問としまして、恐らく消費者庁さんにさせていただくのが良いかと思うのですが、一般の消費者の皆さんに向けて、今後、電力料金、あるいは電力市場の説明をどのようにしていかれる御予定があるのか。そのことについてお伺いしたいと思います。

○消費者庁楢橋参事官(公益通報・協働担当) 実は10月5日に諮問した中のもう一つの託送料金の話のときも、託送料金についての仕組みが分かりにくいと、電気料金のうち3割ほど取られていることなど消費者は誰も知らないのではないかみたいなことで問題提起を頂きました。その後、コンテンツの作成等も含めて経済産業省さんと一緒になって、消費者庁としても何ができるかということについて議論をさせていただいておりますので、電気料金のそもそもの仕組みについても資源エネルギー庁さんで非常に分かりやすい情報提供、私もホームページで電気料金の仕組みは勉強させていただきましたので、そういうものが今おっしゃったように消費者に届くためにどうしたらいいかということについては、経済産業省さんとも一緒に議論させていただければと思っております。

○生駒委員 今、これから取り組まれるということでしょうか。電力の自由化についても皆さん更に現状を知りたいと思っていると思われます。是非そういう情報提供をこのタイミングでこそ、積極的に取り組んでいただけると有り難いと思います。

○消費者庁楢橋参事官(公益通報・協働担当) 今おっしゃった電力の自由化のときには、どうやって選んだらいいのかとか、だまされないためにどうしたらいいのかということについては、消費者庁としてもチラシを作って皆様に情報提供を分かりやすくさせていただいたところでございますので、そのような流れも含めて今後充実させていきたいなと思ってございます。

○生駒委員 よろしくお願いいたします。

○後藤委員長 ありがとうございました。

それでは、黒木委員、よろしくお願いいたします。

○黒木委員 先ほどからずっとお話を聞いていて勉強になっております。先ほど大石委員からは送配電の所有権分離のメリット・デメリットについて質問があったのですけれども、今度は発電と販売分離のメリット・デメリット、この問題についてどのように皆さんお考えなのかということについてもお知らせいただければ、今後、審議していくときに参考になると思います。よろしくお願いいたします。大石委員と同じように全関係者の方々に御質問させていただきたいと思います。

○後藤委員長 それでは、消費者庁さんからよろしくお願いいたします。

○消費者庁楢橋参事官(公益通報・協働担当) これも内外無差別のときに前回御議論いただきましたけれども、グループ会社であるからこそ差別的な行為をするのではないかということが払拭されていない状況でございますので、その根源としては発販分離を徹底するということが手法の一つであろうと考えているところでございます。

○電力・ガス取引監視等委員会新川事務局長 電力・ガス取引監視等委員会の新川でございます。若干私見も入っておりますけれども、まず、我が国は戦後ずっと民営で電力事業を行ってきておりまして、国営の会社を国の意思で形を変えるのとは大きく状況が違うと思っておりまして、まず、国が一定の形態を私企業に強制するということについて、議論は慎重であるべきと思っております。私どもは内外無差別の卸売で、発電分野で発電された電気が新電力の方も含めて内外無差別に行き渡るように今ずっと取組を進めておるところでございますので、まずはそれをしっかりとやっていくことが必要であると思っておりますし、フォローアップにしてもしっかりやっていきたいと思っております。そういう意味で、内外無差別の基準についても議論させていただいておりますので、更にそこの検討を深めていきたいと考えております。

○資源エネルギー庁吉瀬電力産業・市場室長 本日も議論のございました内外無差別というものを前提にすれば、本質的にすごく大きな差異はないのかなと思っております。

一方で、1点御指摘をさせていただきたいと思いますのは、例えばJERAのケースでございますけれども、発電事業者同士の企業結合によって、より燃料の調達力を高めるでありますとか、投資力を高めるでありますとか、そういった経済合理性に基づいた判断をされる事業者さんが出てくれば、自然と発電というものは分離し得るものだと思いますが、今、新川事務局長からございましたように、我々が何か強制するということとは少し違うのかなと思っております。

○自然エネルギー財団大林事業局長 先ほどから話が出ています内外無差別の実現のためには、発販の分離は必要だと考えております。と言いますのは、容量市場や長期脱炭素電源オークションなど、政府の実質的な補助金というのは、発電部門に対して支援が行われていくわけです。そういう中で、厳格な発販の分離を行っていかない限り、旧一般電気事業者における発電部門から小売部門への内部補助というのが常態化してしまうのではないかという懸念がございます。それが小売部門の自由化をゆがめていく可能性がございます。ですので、現時点での内外無差別というのは、電気事業法等による強制力が実質的にないですので、法整備も必要であると思っております。

それで、黒木委員、申し訳ございません。先ほどの送配電の所有権分離でございますけれども、少し補足させていただきたいと思います。発販分離に関しては、かなり株式市場の抵抗もあるかと思うのですけれども、送配電の所有権分離に関して言うと、今後、電力市場の中で何に投資が行われていくかということを考えると、発電分野で言うと再生可能エネルギー、洋上風力を中心としたものと、送配電については、かなり大きな投資が今後も見込まれていきます。そういう意味では、株式の市場の方々ともお話をしているのですけれども、送配電を分離することによって、金融市場、株式市場の賛同を逆に得ることができる、新しい投資が進んでいくことが見込まれるといったような意見もあります。

先ほど申し上げたE.0Nとかバッテンフォールなど、ドイツの例で言うと、経営効率化も図られて新しい投資先が伸びていくということですので、私は電力市場の健全な成長と、むしろこれは投資家の健全な投資を考えた場合には、所有権分離というのは一つの方法であると考えております。

○後藤委員長 公正取引委員会さん、いかがでしょうか。

○公正取引委員会事務総局審査局宮本管理企画課長 繰り返しますが、違反事件の行った立場としましては、カルテルにつきましては、発電と小売の分離が原因というわけではないと考えているところでございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

黒木委員、よろしいでしょうか。

○黒木委員 ありがとうございました。

先ほどの投資家の視点という点も勉強させてもらいましてありがとうございました。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

それでは、議論は以上にしたいと思います。御説明・御回答いただき、ありがとうございました。

消費者庁からは諮問時点からの状況変化を踏まえた消費者庁として考える現時点での論点について御報告いただきました。

電取委からは前回以降の電力会社の自主的コミットメントの取組状況や、いわゆる不祥事事案への対応状況について御説明いただきました。

エネ庁からは市場・取引環境の整備や消費者の選択肢の確保に向けた検討状況や、不祥事案件への対応状況について御説明いただきました。

再エネタスクフォースからは顧客情報不正閲覧問題を踏まえた対応策の提案について御説明いただきました。

公正取引委員会からはカルテル問題に係る排除措置命令、それから、課徴金納付命令の概要について御説明いただきました。

これらを中心に御説明いただいたと理解しております。

委員からの御指摘・御質問というのは、主に3つにまとめることができるのではないかと思います。

第1は消費者への情報提供です。電力の各制度は消費者にとって複雑で分かりにくいものとなっていることから、電力会社や経済産業省は消費者への分かりやすく丁寧な情報提供に努めるべきであるという点が、委員の重大関心事だと思います。

第2は送発電会社の所有権分離や発販分離などについて、それぞれのメリット・デメリットがどこにあるのかということです。これについては総合的にメリット・デメリットを検討すべきで、その上で、経済産業省として現在の取組では不十分と判断する場合には、更に踏み込んだ検討を行うべきではないかと感じました。

第3は不祥事問題への対応ですけれども、電力会社は消費者にきちんと不祥事についての説明をすべきであって、また、電取委の監視機能の強化を図るとともに、今回の対応が一過性のものとならないようにすべきだと考えます。電取委の監視機能の強化を図る必要があると委員からも御指摘があったところであります。そのような方向で、経済産業省としまして、状況によって法令上の対応も含めた検討を進めるべきではないかと思います。

本日は多様な議論がなされましたけれども、私としては以上の3点にまとめて理解をいたしました。本日の議論も踏まえて引き続き審議を行って、内閣総理大臣からの諮問へどのようにお答えするか、検討していきたいと考えております。

野村座長、若林座長代理、関係省庁の皆様におかれましては、本日はお忙しいところ、審議に御協力いただきましてありがとうございました。


《3. 閉会》

○後藤委員長 本日の議題は以上になります。最後に、事務局より今後の予定について説明をお願いいたします。

○友行参事官 次回の本会議は4月20日木曜日の13時から開催いたします。

以上です。

○後藤委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございました。

(以上)