第394回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2023年3月13日(月)14:00~14:50

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)後藤委員長、飯島委員、生駒委員
    (テレビ会議)大石委員、木村委員、黒木委員、清水委員
  • 【説明者】
    消費者庁消費者制度課 片岡企画官
  • 【事務局】
    小林事務局長、岡本審議官、友行参事官

議事次第

  1. 景品表示法について(不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案)

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1. 開会》

○後藤委員長 本日は、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから、第394回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

本日は、飯島委員、生駒委員、私が会議室にて出席、大石委員、木村委員、黒木委員、清水委員がテレビ会議システムにて御出席です。

受田委員長代理、青木委員、星野委員は、御欠席です。

開催に当たり、会議の進め方等について事務局より説明をお願いいたします。

○友行参事官 本日は、テレビ会議システムを活用して進行いたします。

配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。もし、お手元の資料に不足などがございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上です。


《2. 景品表示法について(不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案)》

○後藤委員長 本日の議題は、不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案についてです。

1月25日の第390回本会議において、景品表示法検討会報告書について、消費者庁から御報告を頂き、法律の改正に向けて作業を進めていると伺っておりました。

2月28日に改正法案が国会に提出されたとのことですので、概要について消費者庁から御説明を頂きます。

本日は、消費者庁消費者制度課、片岡企画官に御出席いただいております。本日はありがとうございます。

それでは、20分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁消費者制度課片岡企画官 御紹介ありがとうございます。消費者庁消費者制度課、景品表示法検討プロジェクトチームというところで企画官をしております、片岡と申します。本日は、お招きいただきまして、ありがとうございます。

本日は、御紹介いただきましたように、先月2月28日に閣議決定をいたしまして、国会に提出させていただいた景品表示法の改正法案について、概要を御説明させていただきます。

お配りしております資料の横長のポンチ絵がございますので、これに沿って御説明をさせていただければと思います。

まず、景品表示法でございますけれども、御存じかと存じますけれども、消費者を誤認させるような表示、これを禁止することによって、ちゃんとした表示がされるようにすると、そのことによって消費者が自ら合理的に、より良い商品・サービスを選べるような環境を確保する、これによって消費者の利益の保護を図るという法律でございます。

今回改正案を出させていただいておりますけれども、この一つ前の大きな改正は、御案内のとおり平成26年にしておりまして、その際は、食品メニュー表示の偽造問題もございまして、課徴金制度を導入するといった抑止力を強化するための大きな法改正をさせていただいたところでございます。

平成26年の大きな法改正もあったところでございますけれども、その後の状況の変化なども見ましたところ、恐らくインターネット広告、こういったものが増えているということも背景にあるかと思いますけれども、私どもに寄せられる景品表示法上問題があるのではないかという疑いのある表示についての情報というのも、平成26年当時であれば、6,000件台ぐらいだったものが、令和3年度で1万2,000件を超えるような状況になっておりまして、2倍ぐらいまで右肩上がりで増加しているという状況でございます。

こういった状況に対して、景品表示法をより良く執行できるように、対応力を強化していく。これが、この改正法の目指すところでございます。

このポンチ絵の緑で囲んでおりますところ、こちらに主な改正事項を記載しております。

まず、コアになりそうなところを、先に簡単に御説明申し上げます。

まず、1の「事業者の自主的な取組の促進」と書いているところでございます。

こちらで、確約手続の導入というものを記載しております。

現行の景品表示法をどのように運用しているかでございますけれども、私どもに、これは景品表示法上問題があるのではないかというような情報がまず寄せられます。寄せられますと、私どもで調査をして、ちゃんとその表示に根拠あるのかとか、そういったことを調べて、違反がしっかり認定できれば、まず措置命令というものを出させていただく。これは、問題のある表示を是正する、あるいは再発防止措置を取ってくださいということを命じる行政処分でございます。

併せて、一部の類型につきましては、課徴金納付命令と申しまして、お金を払ってくださいということで、問題のある表示に関係する商品又はサービスの売上額に3パーセントを掛けて、それを課徴金といたしまして徴収する。このように抑止力を確保する行政処分をしているところでございます。

ただ、ありていに申しますと、私どもが疑いのある表示を調査して、問題があると思うと、あとは、行政処分を出す、ある意味、1つのルートしかないというところでございます。

ただ、実際に景品表示法に違反される事業者などを見ていますと、中には、私どもの調査を受けて、そういう問題がありそうだということであれば、早めにその表示を是正したりとか、あるいは再発防止措置を取ったりとか、積極的に是正措置を取っていただける事業者もいるところでございます。

こういった事業者を念頭に置きまして、私どもに表示の是正ですとか、あるいは再発防止措置、こういう措置を取りますという計画を出していただいて、その計画の内容が十分なものであって、また、確実に実施していただけるということであれば、その計画を私どもで認定する、その認定された計画を事業者で、しっかりと実施していただくということによって、その手続を終えてしまう、これが確約手続という手続でございますけれども、こういう手続を導入しようとしているところでございます。

こうすることによって、ちゃんと是正の措置を取っていただけるような事業者であれば、従来のように長い時間を掛けて行政処分を行うのではなくて、早く問題の是正にたどり着くことができる、こういった措置を導入することを考えているところでございます。

他方で、2の「違反行為に対する抑止力の強化」というところも検討しているところでございます。

まず、上のほうに課徴金制度の見直しというのを書いております。

これの2つ目のポツのところでございますけれども、平成26年に課徴金制度を導入させていただいたところでございますけれども、残念ながら導入して以降も、繰り返し景品表示法違反をしてしまうという事業者は、多くはないですけれども一部いらっしゃるという状況でございます。

こういった事業者に対して抑止力を強化するために、現在は、課徴金は問題のある表示をしていた商品又はサービスの売上に3パーセントを掛けるものでございますけれども、これを1.5倍の4.5パーセントに引き上げて、抑止力を強化するということを考えております。

さらに、その下、罰則規定の拡充ということも盛り込んでいるところでございます。こちらは、先ほどの確約手続の導入のところでは、多くの事業者は、うっかり少し誇張した表示をしてしまった、それで善良な事業者の中には、積極的に是正措置を講じると、そういう事業者もいらっしゃるのですが、一方で、非常に少数でございますけれども、悪意を持って、最初から根拠がないのが分かっているのに、問題のある表示をしてしまうとか、そういった悪質な事業者も見られる。

こういった悪質な事業者に対しては、現状ですと、まずは措置命令を行って、その措置命令に従わなければ、罰則が科されるという間接罰しかないところなのでございますけれども、そこに直罰と申しまして、最初から刑事罰を科す、こういう道も新たにつくって抑止力を強化しようということを考えているところでございます。

一番コアになる部分は、こういったところでございまして、自主的に是正に取り組んでいただけそうな者には、確約手続の導入で、早期の是正を図り、他方で、繰り返し違反される方、あるいは悪質な事業者に対しては、抑止力の強化もしていく。こういったことでメリハリを付けて、景品表示法の対応力を高めていく。これが、この法案の最も中核となる部分でございます。

次に、それ以外の少し細かいところも御説明させていただければと思います。

まず、1の「事業者の自主的な取組の促進」の2つ目の「課徴金制度における返金措置の弾力化」というところでございます。

先ほど平成26年度に課徴金制度を導入したと申し上げたところでございますが、平成26年に導入した際、同時に入った仕組みといたしまして、課徴金制度における返金措置というものもございます。

これは、事業者のほうで個々の消費者に返金をされていれば、その返金された額を課徴金から減額するという仕組みであり、これは既に導入されているところでございますので、こういった仕組みを通じて、消費者に被害回復を実現していこうという狙いでございます。

ただ、残念ながら、個別の消費者をしっかり確認して返金していただくとか、いろいろ確認作業などもございまして、その返金措置が実施される事例が少し低調であるというところがございます。

これに対する対応策といたしまして、平成26年に導入された際は、消費者保護の観点から、ちゃんと金銭で返しましょう、現金の交付であるとか、あるいは個々の消費者から銀行口座を教えてもらって、そこに振り込むことに限定し、ポイントですとか、そういったものは認めないとしていたところでございますけれども、昨今、キャッシュレス化も大分進行しているところでございまして、消費者にとって不利益ではない範囲で、電子マネー等、こういったものも認めることとしてはどうかということで、そういう対応を盛り込んでおります。

返金の仕方も、ツールを増やしてあげることで、消費者の被害回復がより多く行われるということを期待しているところでございます。

次に、2の「違反行為に対する抑止力の強化」のところで、「課徴金制度の見直し」の1つ目のポツのところでございます。

こちらは、課徴金の計算をする際に、売上額を推計することができる規定の整備をすることとしております。

こちらの内容でございますけれども、私どもが課徴金納付命令をする際は、問題のあった表示に関係する商品又はサービスの売上額に3パーセントを掛けるという作業をしているわけでございますけれども、その際に、ちゃんと売上額を調査して特定しなければいけないというところでございます。

その作業をするに当たって、典型的には、中小企業でございますけれども、私どもが売上額をチェックする際に、違反をされていた期間全体にわたって、必ずしも売上額を細かい品目ごとに整理されているかというと、整理されていないケースがある。一部の情報が欠落していたりとか、あるいは品目ごとにちゃんと売上額を分けて、後から捕捉できないということが、事案としてはあるというところでございます。

こういった事案に対して、よりスムーズに課徴金が算定できるように、分かりやすく申しますと、例えば、2年間違反をしていた、しかし最後の1か月ぐらいで見れば、ちゃんと精査をすれば、問題となった商品役務の売上額が分かる。そうすると、それに24を掛ける、こういった方法で推計することもできるという規定を新たに導入いたしまして、課徴金の算定をよりスムーズに行えるようにするという規定を導入する予定としております。

最後に3のその他というところでございますけれども、「円滑な法執行の実現に向けた各規定の整備等」について御説明申し上げます。

まず、最初の「国際化の進展への対応」というところでございます。

景品表示法違反については、まだ、それほど多くはないのですけれども、海外の事業者が、日本の消費者に向けて問題のある表示をされるという事例も少しずつ出てきているところでございます。

こういった場合に、そういう事業者が、日本国内に拠点があるとか、あるいは日本国内に代理人を選任していただいているのであれば、そことやり取りすることによって、行政処分を打つこともできるわけでございますけれども、中には代理人を選任しないとか、そういった事業者もいらっしゃる。こういった事案にも、しっかりと行政処分で対応できるようにするために、送達制度の整備・拡充ということを考えております。

具体的に申し上げますと、一番極端な例としては公示送達ということで、消費者庁にある掲示版に措置命令書を貼り付ける。これによって行政処分の効力が発生いたしますので、よりスムーズに行政処分を実施することができるという規定を考えております。

また、後半のほうでございますが、外国執行当局に対する情報提供制度の創設ということでございまして、海外にも私どもと同様に、不当な表示に対応する行政機関というのがあるところでございますけれども、そこと相互に問題のありそうな事業者の情報をやり取りできるように、そういう規定の創設も盛り込んでいるところでございます。

最後は、一番下のところでございますけれども、「適格消費者団体による開示要請規定の導入」というのを入れております。

適格消費者団体は、御案内のところでございますけれども、消費者契約法上認定されている団体でございます。景品表示法上も問題のある不当な表示を適格消費者団体で差止めをすることができるという規定、これは、既に導入されているところでございます。

ただ、適格消費者団体を含め、いろいろお声を聞いておりますと、差止めをするに当たって、不当な表示であるということを立証するのは、なかなか難しい。つまり、例えば、ある効果効能がありますというようなことをうたっているのだけれども、買われた消費者からは全然効果が出ないのだみたいなことで、問題がありそうだということは分かるのだけれども、問題があるということをちゃんと訴訟で主張、立証しなければいけません。そうなってくると、その効果効能はないということを、ちゃんと調査、分析をしなければいけないということで、それはなかなか負担になっているとお伺いしているところでございます。

新たに導入しようとしております規定でございますけれども、これは、適格消費者団体のほうで、これは問題のある表示ではないかということを疑うに足る相当な理由があれば、事業者に、これの根拠を出していただけませんかという要請をしていただく。

事業者のほうでも、営業秘密等に該当しないのであれば、その要請に応じて根拠資料を出すよう努めなければいけない。努力義務規定でございますけれども、こういう規定を導入するということを考えています。

こうすることによって、事業者から表示の根拠となるような資料が、適格消費者団体に提出されて、適格消費者団体でその資料を基に更に検討をされて、必要に応じて差止請求をしていただく。これによって差止請求が、より活性化するのではないかという効果を期待しているところでございます。

大変雑駁でございますけれども、景表法改正法案の概要につきましては、以上のとおりでございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、質疑応答と意見交換をお願いいたします。時間は40分程度を予定しております。

清水委員、よろしくお願いいたします。

○清水委員 清水です。御説明ありがとうございました。

相談の現場では、入口は全て広告ということなので、景表法の強化というのは、本当にスピーディーにやっていただきたいと思っていました。ありがとうございます。

特に確約手続については、既に独禁法にも入っているということでしたので、創設というのも良かったと思いますし、優良誤認表示とか有利誤認表示に対する直罰の新設というのも良かったのですけれども、消費者庁も人数の制約がありますので、なかなか大変だとは思いますが、是非法律ができたら厳密に処罰していただきたいと思います。

課徴金制度における返金措置の弾力化というところで、電子マネーは、相談の現場では非常にトラブルが多く、まだ割販法並みの規制もないということで問題があるのではありますが、今回、分かって使っていただける方の支払い手段として、許容ということで、選べるということだと思いますので、問題ないと思います。引き続き、よろしくお願いします。感想です。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

コメントはございますでしょうか。

○消費者庁消費者制度課片岡企画官 正に、今、おっしゃっていただいたとおりでございまして、最後のところは、消費者の同意がある場合ですし、金銭と同様に使用できるようなものと限定を付そうと考えているところでございまして、きちんと消費者の利益が守られるようなものとしたいと考えております。ありがとうございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、大石委員、よろしくお願いいたします。

○大石委員 御説明ありがとうございました。

今回の改正法案については、全体的には、前に進んだと思っているのですが、1つ質問をさせていただきたいと思います。

今、清水委員からもお話がありました確約手続についてです。私もこれが入ったことで、早く問題の是正にたどり着くという点については、良いことだと当初は思っていたのですが、ただ、うがった見方をすると、わざとぎりぎりのところまで違反をしていても、結局、最終的に違反とならないということで、事業者が繰り返したとしても、消費者には、そのような事業者の存在が見えてこないわけですね。

先ほど、違反を繰り返した事業者に対しては、課徴金を1.5倍の4.5パーセントにするというお話でして、これは、あくまでも課徴金命令が下された事業者に対してで、繰り返すことによって1.5倍にするという話だと思います。一方、確約手続で終わってしまった事業者というのは消費者には見えないし、しかも、課徴金も課せられないということになるわけで、本当に、これが消費者にとってプラスになるのかというのは、一つ疑問に思っているところです。

この辺りについて、消費者庁の中ではどのような議論があったのか、是非、教えていただければと思います。

以上です。

○後藤委員長 お願いいたします。

○消費者庁消費者制度課片岡企画官 ありがとうございます。

1点目は、なかなか見えてこないではないかというお話のところ、この改正法に先立つ検討会というのを開催しておりまして、そちらで消費者団体、事業者団体、あるいは学識経験者の方にも御議論いただいたところなのですけれども、そこでも確約をやったときに、公表というのはちゃんとやったほうが良いのではないかといった御議論もあったところでございまして、私どもでも、あくまで違反の認定はしませんけれども、問題を是正していくということですので、きちんと消費者に周知する必要というのはあるかと思いますし、行政の運用をちゃんと透明にやっていく必要もあろうかと思いますので、確約をやって認定すれば、公表していく必要があるのではないかと考えているところでございます。

なお、独禁法でも同様でございまして、具体的には、例えば、どういう表示が違反のおそれがあったのかとか、あるいはどういう措置を取るのかとか、こういったことを公表していくことになる、いずれ運用のガイドラインなどもお示しすることを考えておりますけれども、公表していくということになるのではないかと考えているところでございます。ですから、通常の行政処分とよく似たような内容が公表されますので、そういう意味では、ちゃんと消費者からも見えてくるようになるのではないかと考えているところでございます。

課徴金を課すようなところは、確かに確約が認定されれば、課徴金納付命令は課されないわけでございますけれども、全ての事案ではないかもしれませんけれども、事業者の中には、例えば、消費者に返金をしたいと、そういった中身を計画の中に盛り込まれるケースもあろうかと思いますので、課徴金という行政に対してお金を納めるという形ではないですけれども、消費者に対して被害を、ちゃんと返金をされていくと、こういった取組も進んでいけばと考えているところでございます。

○後藤委員長 大石委員、よろしいでしょうか。

○大石委員 ありがとうございます。

今の状態では、確約手続を行った事業者は、表に出てこないような、私は認識だったのですけれども、今後は、ちゃんと確約手続を受けた事業者も表に出るようになっているという認識で間違いないでしょうか。

○消費者庁消費者制度課片岡企画官 独禁法の運営状況を見させていただいておりますが、独禁法の確約手続でも、どういう疑いがあったのかとか、あるいはどういう措置を取るのかみたいなことを、公正取引委員会のホームページにも載せられているところでございまして、導入当初は、あまり情報が出ないと困りますねみたいな議論があったと側聞しておりますけれども、結構、いろいろ情報がちゃんとホームページに掲載されているところでございますので、ちゃんと透明性を確保していくということになるのではないかと考えております。

○大石委員 どうぞよろしくお願いいたします。

以上です。

○後藤委員長 それでは、黒木委員、よろしくお願いします。

○黒木委員 御説明ありがとうございました。

私からは2点ありまして、報告書等の読み比べのことなのですけれども、まず、1つ目は、報告書の中で早期に取り組むべき流れとして、(7)、26ページ以下のところで、適格消費者団体との連携というものが挙げられていたのですけれども、今回、これが法案中から抜けたということで、この点につきまして、どうしてこの法案から抜けたのかということについて、再度の御確認をお願いしたいというのが第1点です。

それから、報告書の中では、中長期的に検討すべき課題として、課徴金の対象の拡大とか、デジタル表示の保存義務とか、供給要件を満たさないものへの規制対象の拡大あるいはダークパターンといったようなのが中長期的な検討課題ということになっていましたけれども、この中長期的検討課題というのは、今後どういう形で検討を進めていかれるのかという、この2点について、お知らせいただければ有り難いと思います。

以上です。

○後藤委員長 お願いいたします。

○消費者庁消費者制度課片岡企画官 ありがとうございます。

まず1点目の適格消費者団体との連携、御指摘いただいたとおり、検討会の報告書の26ページ以下でございます。これも御案内のとおり、特例法で既に特商法と預託法については、消費者庁で作成した文書を特定適格消費者団体に提供できるとなっているので、景表法でもやってはどうかという点について、御議論を頂いたところでございます。

報告書の27ページで書いておりますけれども、考えられる対応のところで、景表法についても、書類を提供したほうが特定適格消費者団体の訴訟を支援することになるので、意義があるのではないかという御意見があった一方で、一昨年の特例法について御検討いただいた検討会において、消費者庁からそういう処分で作成した資料を提供するということになると、その調査の過程において、事業者が調査に少し及び腰になってしまうというか、そういった効果がないかとか、そういった状況をしっかり踏まえていったほうが良いのではないかという御指摘もあったところでございます。

そういった御議論を踏まえて、この検討会の報告書でも、27ページ目の下のほうで書いておりますけれども、昨年6月に特例法及び預託法については施行されておりますので、そこから少なくとも1年程度見た上で、そういう状況を見た上で、近い将来に景表法についても対象とするかどうか検討すべきであると御整理いただいたところでございます。

ですので、私どもとしても、昨年6月施行ですので、今年の6月ぐらいで1年経つわけでございますけれども、その執行状況などを見ながら、近い将来と言っていただいていますので、適切なタイミングで検討をさせていただきたいと考えているところでございます。

2つ目の課徴金の対象の拡大ですとか、あるいはダークパターンですとか、いろいろな中長期的に検討すべき課題を御整理いただいたところでございます。

こちらは、先ほど申し上げた早期に対応すべき課題よりは、なかなかいろいろ難しい問題もあって、かなり腰を据えて検討したほうが良いのではないかというところでございますので、ちゃんと腰を据えて検討していくことになるのではないかなと考えているところでございます。

以上でございます。

○黒木委員 ありがとうございました。

腰を据えてということなのですけれども、また、いずれ検討会などで、この問題については、引き続き検討していかれるということでよろしいのでしょうか。

○消費者庁消費者制度課片岡企画官 ありがとうございます。

今回、規制について変更を加える法案でございますので、法律の附則においても、施行後5年後に検討をするという規定も入っておりますので、社会状況の変化なども踏まえて検討していくことになるのではないかと考えております。ありがとうございます。

○黒木委員 ありがとうございました。

○後藤委員長 ほかにございませんか。

生駒委員、よろしくお願いします。

○生駒委員 被害がすごく増えている状況の中で、景品表示法をより良く執行していくための改正法案というのは、非常に重要だなと思っております。

その中で、私、この法案をつくるプロセスに立ち会っていないものですから御質問したいのですけれども、まず、課徴金制度のことなのですが、売上額に対して3パーセントということ。それから、直罰が100万円以下ということなのですが、この数字が、どのような根拠で出されたのかというのを知りたいのです。

決して大きい額ではないなという印象で、これぐらいの額だと、罰を受けても大丈夫と思う業者が出てこないかなと、3パーセントと30パーセントでまたインパクトが違いますね、その辺りの根拠を教えていただければと思いました。

○消費者庁消費者制度課片岡企画官 ありがとうございます。

2つあったかと思います。まず1点目、課徴金で、問題のある表示のあった商品又は役務の売上の3パーセントということで、これは、もともと平成26年に課徴金制度を導入された際に、3パーセントと設定されたのですけれども、その際、どうしてそのように設定したかというのは、景品表示法に違反した過去の事例を洗っていきまして、その中の営業利益率を見ますと、その中央値が大体3パーセントぐらいであったというところでございます。

課徴金制度全体、景表法だけではなくて、独禁法とか金商法とか、ほかにもいろいろな法律に課徴金制度というのは入っているのですけれども、そこでは、不当利得であるとか、違法な行為をして獲得した問題のある利益を、それを放置しておくとやり得になってしまうので、それを取り上げて、やり得にはならないということで、違反を抑止していくと、そういう発想で入ってきたというところでございまして、景表法で設定する際も、営業利益率を見て、それを参照して3パーセントということで設定したところでございます。

ただ、3パーセントは、低いなという御意見もあるかと思いますが、結構売上を上げているケースもございますので、事例としては、多いところだと数億円単位の課徴金を命じる場合もありますので、それは、事案によりけりなのかなというところでございます。

2つ目は、罰則の100万円というところは、検討会でも御議論を頂いたところでございますけれども、消費者に誤認させるような表示をしていたときに、それを直接罰するような規定というのは、ほかにも例がございます。生命・身体に直接害がありそうな法律ですと、中には懲役刑が入っていたりするケースもあるのですけれども、景表法は、御案内のとおり、あらゆる商品・サービスが対象になるということで、そうすると、もちろん、健康に害がありそうなケースというのもあるでしょうけれども、こういう良いものが入っていますといって誇張してしまいましたみたいなことがございますので、そういうもので参照になりそうなものですと、これも御存じだと思うのですが、消費者庁で別途、特定商取引法という法律を持っておりまして、そちらでも、消費者に誤認させるような表示をしたものですと、100万円以下の罰金になっているというところでございます。いろんな法律の体系の全体の相場観として、まずは100万円ぐらいからスタートするのかなというところで入れさせていただいたところでございます。

ただ、低いのではないかという御意見もあるかと思います。それは、また、執行状況などをしっかり注視していくことになるのかなと考えております。

○生駒委員 御説明ありがとうございます。

おっしゃるとおり、社会の環境というか、状況が日々刻々と変わっておりますので、その辺りを視野に入れて御検討を重ねていただければと思います。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

飯島委員、よろしくお願いします。

○飯島委員 飯島でございます。御説明いただきまして、ありがとうございました。2点質問させていただきたく存じます。

1点目は、確約手続につきまして、独禁法を参照したとのことですが、独禁法と景表法とはかなり違う部分もあるだろうと思います。特に事業者と行政と消費者との関係性は大きく異なる部分もあるのではないか、独禁法については、事業者間の関係性をいわばダイレクトに活用するような制度設計をしている面もあるのではないかと思います。そういった独禁法の法制度にならって、景表法に確約手続を導入することの効果などについて、どのようにお考えなのかを教えていただきたく存じます。

また、現在、景表法9条に、課徴金対象行為を自発的に報告した場合に減額するという規定もございます。これは確約手続とはもちろん異なりますが、自主的な取組という点では、確約手続と共通する部分もあるかと思います。こういった手続を総体としてどのように活用していくのかは、今後の運用ということになるかと思いますけれども、その辺りも、もし可能でしたら教えていただきたく存じます。

もう一点は、直罰規定についてです。これも他法令を参照したとのことですが、まず、警察や検察がどのくらい動いてくれるか、警察との連携などの見通しについて教えていただきたいと存じます。

また、景表法の実効性担保の手法として、平成26年の課徴金制度の導入に続いて、今度は間接強制の直罰を導入するということが、どれくらいのインパクトを持つのか。実効性担保の手法として、新たな段階に進んだということになるのか。今後も恐らく実効性担保は追求していかなければならないだろうと思いますが、その辺りの見通しについても教えていただけましたら幸いでございます。よろしくお願いいたします。

○後藤委員長 お願いいたします。

○消費者庁消費者制度課片岡企画官 ありがとうございます。

細かく分けると4点頂いたかと思いますので、順にお答えを申し上げますと、まず、1点目、独禁法とは、少し性質が違うのではないかという御指摘で、確かに独禁法ですと、BtoBの取引であったり、例えば、優越的地位の濫用とか、そういった場合もございますので、確かに違う要素はあるのかなとも思うのですけれども、他方で、こういう制度を入れる動機といたしましては、それなりに件数があって、かつ早期に是正を図りたいというところでございまして、独禁法でも、ちゃんと疑いを早く是正してくれる事業者がいれば、そこも早く是正してしまったほうが、問題が早期に是正されるし、あと、行政のリソースも節約されるという効果がありますので、入れたいというところの狙いというのは共通しているのではないかなと考えているところでございます。

2点目、既に自主報告もございますねというところは、正におっしゃるとおりでございますけれども、私どもが調査をする前に、自分たちで問題があると思えば報告をしていただくという制度でございまして、今回入れる確約手続というのは、私どもが調査を開始して、そうすると事業者のほうも、調査を受けますので、何か疑いを持って調べられているのかなと分かるところだと思うのですけれども、その中で、私どもで、これは早期に解決するのに良いのではないかという事案について通知をして、それに対して事業者のほうから、是正のため計画等を作って出していただくという仕組みですので、そこはフェーズが違うのかなと考えているところでございます。

3つ目の直罰で、警察とどう連携するかというところでございます。そこは、正にこれからというところでございますけれども、御指摘のとおり、刑事の罰則でございますので、極論を言えば、警察ですとか、あるいは検察で自ら捜査をされることもあるかと思うのですけれども、私どもでも、あくまで基本は行政処分でちゃんと是正していこうということかと思いますけれども、行政処分だけでは足りないとか、そういった事情があれば、警察にも御相談をさせていただくとか、そういった連携の在り方を、今後、警察とも御相談等をさせていただけないかと考えているところでございます。

すみません、4点目は、ちょっとよく趣旨が。

○飯島委員 実効性担保の手法として、課徴金は行政処分を基礎としたものですけれども、直罰は直接に刑事手続に委ねるという点で、景表法の体系としては一つの転換になるのかもしれないと思いまして、実効性担保の手法としての景表法の今後の在り方を含めて、見通しを教えていただければと存じます。

○消費者庁消費者制度課片岡企画官 ありがとうございます。

今回、直罰を導入させていただいた趣旨として、従来、課徴金は、もともとは課徴金もなかったわけでございまして、問題のある表示があれば、我々で是正を命じさせていただいて、是正をしていただくという、それしかなかったわけでございますけれども、それだけだと、問題のある表示をしてもうかれば、それで良いのかと、後でばれたら直すと、それだけで良いのかというところで、やはりちゃんと不当利得といいますか、利益はちゃんと徴収しなければいけないと、やり得は許さないということで、抑止力を強化したわけでございます。

全体からいうと、非常に多くはないわけでございますけれども、中には、それでは足りないというか、普通の事案ですと、何がしかの根拠はあるのだけれども、ちょっと誇張し過ぎたと、セールストークが行き過ぎてしまいましたみたいなものが大半でございますけれども、中には、全然根拠はないのに、こういう効果がありますというようなことをうたっていて、私どもが調査に行くと、その根拠はないですと、信じる人が駄目なのではないですかというようなことを言うような、非常に悪質な事業者も、少ないですけれどもいらっしゃるところです。

その場合には、通常の行政処分だけでは不十分な場合もあろうかということで、いきなり罰則で、より強い抑止力を確保していくと。だんだん階段状になっているようなところがございますけれども、こういういろいろなツールを通じて、景表法の対応力を高めていきたいと考えているところでございます。

○後藤委員長 ほかにございませんでしょうか。

よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。

今回の改正法案につきましては、事業者の自主的取組を促進するための確約手続の導入、それから、違反行為に対する抑止力を強化するための、繰り返し違反行為を行った事業者への課徴金額の加算や優良誤認表示・有利誤認表示に対する直罰規定の導入などを主な内容としているとの御報告を頂きました。

委員の方々からは、基本的に、この法案について前進であるということで評価を頂いておりますけれども、部分的には御質問や御意見も出ております。

まず、課徴金制度における返金措置の弾力化ということから、消費者が電子マネーでの返金を強制されるというようなことはあってはならない、そうならないようにすべきであるという御意見がありまして、これについては、そのとおりであるということを消費者庁の御説明でも伺っております。

それから、確約手続について御意見が幾つか出ておりまして、確約手続を使った場合については、措置命令や課徴金納付命令の適用がないということになるわけですので、消費者から見ますと、問題となっている事業者が見えないということになってしまうのではないかという御質問が出ておりまして、これについては、消費者庁からの御回答として、確約手続を受けた事業者は公表する、そういう方向で考えているということ、運用のガイドラインを作るということも含めて、透明性確保をすることを考えていくという御返答がありました。

それから、確約手続については、独禁法の規定を参照したものであるということなのですけれども、独禁法と景品表示法の性質の違いということを考慮する必要があるのではないかという御質問がありまして、これについては、問題の早期解決などの狙いというのは共通しているということで、御回答を頂きました。

この辺については、それぞれの法律の位置付けとか性質等に関係する問題でありまして、深い議論が必要だと思われますけれども、今、消費者庁から頂いた御回答は、独禁法の規定について、景品表示法として参照できるところを参照したということでありまして、一つの手法ということで、私は理解いたしました。

それから、直罰規定に関しては、直罰の導入が、実効性担保という点で、どの程度のインパクトを持つのか、実効性担保の手法としての景表法の今後の在り方についても質疑応答がなされました。

直罰を適用するに当たっては、警察との連携ということも必要になってくると思いますが、ここで直罰を入れるということが、景品表示法にとって大きな転換ということになる可能性もあるということで、これについても、引き続き、どのような形で運用されていくかを見ていく必要があると思います。

それから、適格消費者団体との連携ということについても意見が出ております。具体的には、景品表示法に基づく処分に関して、消費者庁が作成した書類の特定適格消費者団体への提供規定が設けられなかったのだけれども、これはどうしてなのか、そういうことについて質問がありまして、これについては消費者庁から、検討会での議論状況等も含めて御説明がありまして、今後の状況を見つつ検討するという御回答を頂いております。

総じて、改正法案の内容につきましては、景品表示法検討会報告書において、早期に対応すべきとされた事項を反映したもので、その点、高く評価できると思います。

ただ、一方で、同報告書に記載があるものの、改正法案に盛り込まれなかった事項もあるわけでありますので、引き続き検討していくということを期待したいと思います。

消費者庁におかれましては、本日はお忙しいところ、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。どうぞ御退席ください。

(説明者 退室)


《3. 閉会》

○後藤委員長 それでは、本日の議題は以上になります。

最後に事務局より、今後の予定について説明をお願いいたします。

○友行参事官 次回の本会議の日程と議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページを通じてお知らせいたします。

以上です。

○後藤委員長 それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)