第390回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2023年1月25日(水)10:00~11:38

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)後藤委員長、大石委員、黒木委員
    (テレビ会議)青木委員、飯島委員、受田委員長代理、清水委員、星野委員
  • 【説明者】
    消費者庁南表示対策課長
  • 【事務局】
    小林事務局長、岡本審議官、友行参事官

議事次第

  1. 消費者基本計画の検証・評価・監視(景品表示法検討会報告書及びステルスマーケティングに関する検討会報告書)
  2. その他

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1.開会》

○後藤委員長 本日は、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから第390回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

本日は、大石委員、黒木委員、私が会議室にて出席。受田委員長代理、青木委員、飯島委員、清水委員、星野委員がテレビ会議システムにて御出席です。

生駒委員、木村委員が御欠席です。

開催に当たり、会議の進め方等について事務局より説明をお願いいたします。

○友行参事官 会議は、テレビ会議システムを活用して進行いたします。

配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。お手元の資料に不足がございましたら、事務局までお申し出ください。よろしくお願いいたします。

以上です。


《2.消費者基本計画の検証・評価・監視(景品表示法検討会報告書及びステルスマーケティングに関する検討会報告書)》

○後藤委員長 本日は、消費者基本計画の検証・評価・監視の一環として、「景品表示法検討会報告書」と「ステルスマーケティングに関する検討会報告書」について御議論いただきます。

景品表示法検討会では、平成26年改正から一定の期間が経過したことや、デジタル化の進展等の社会環境の変化等を踏まえ、必要な措置について検討を行ったと伺っております。

また、問題が顕在化しているステルスマーケティングについても検討会を開催し、対応について検討を行ったと伺っております。

今回、両検討会の報告書が取りまとめられましたので、消費者庁からその内容について御説明を頂きます。

本日は、消費者庁表示対策課の南課長に御出席いただいております。本日は、ありがとうございます。

それでは、30分程度で、景品表示法検討会報告書、ステルスマーケティングに関する検討会報告書の順に、まとめて御説明をお願いいたします。

○消費者庁南表示対策課長 ただいま御紹介にあずかりました、消費者庁表示対策課長をしております南でございます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、30分という限られた時間でございますので、二つの報告書それぞれ本体のほか、概要も御用意させていただいております。本日は、概要に基づきまして説明させていただきます。

まず一つ目、資料1、景品表示法検討会の報告書についてでございます。

こちらは、昨年3月より、今、正に後藤委員長から御紹介いただいたような背景事情を踏まえ検討してきたところ、年末に実質的に取りまとめが終了したのですが、技術的な修正等ございましたので、今年の1月13日に完成版たる報告書を公表させていただいたというところでございます。

先ほど後藤委員長からもお話がございましたが、改めて「検討の背景」を御紹介しておくと、ここには書いていないのですが、正に御紹介いただいたように、平成26年、いわゆるメニュー偽装表示問題という社会問題が起こりました。これへの対応をしなければいけないということで、26年に二つの法改正がなされました。一つ目の法改正は、社内体制の管理上の措置を講じなさいといったものを導入したと。さらに、二つ目の法改正は、違反行為に対する抑止力を強化するための課徴金制度、これは既に我が国においては独占禁止法等他法令にあったものでございますが、これについても景表法に入れたと。さらに、課徴金制度につきましては平成28年から施行されたという状況でございます。

当時の平成26年改正法の附則において、改正法施行5年を経過したら、政府は改正法の施行状況を検討しましょうという、いわゆる見直し条項が入っておりました。したがいまして、それにまず応える必要がございます。

さらには、景表法というのは昭和37年に制定された法律で、昨年でちょうど60年たったところでありますが、当然、昭和37年当時の広告をめぐる状況と、現在の広告をめぐる状況は大きく異なっているというところがございますので、そういった社会状況の変化を踏まえた景表法のあるべき措置とはどういったものだろうか、そういった観点から検討いただいたというところでございます。

そこで、検討項目は大きく二つに分かれたのですが、一つが、「早期に対応すべき事項」です。もう一つが、課題ではあるのですが、直ちに今目の前にあるということではなくて、将来的には課題にした方が良いのではないかということで、「中長期的に検討すべき事項」と。このように二つに分かれたということになっています。

さらに、「早期に対応すべき事項」の中でも、この資料の点々の線で囲ってあるところが、立法措置を講じないと達成できない事項ということになっております。

したがいまして、先に結論を言うようでございますが、消費者庁としましては、この検討会における提言を頂きましたので、「早期に対応すべき事項」のうち、法改正を要する事項については、検討、対応していかなければいけないというところでございます。

他方で、仮に法改正ということになりましたら、当然、我が国において立法機関は国会であります。もちろん、行政として政府提出法案ということもあるのですが、その場合はやはり政府、内閣全体として法案を提出するということになりますから、消費者庁だけでできない。したがいまして、現在、関係各省と調整しながら、政府全体として、今国会も始まっておりますが、景品表示法改正法案が提出できるように、今、作業をしているというところが現状でございます。

さて、中身について御紹介したいと思います。

まず一つ目のマル、「事業者の自主的な取組の促進」というところなのですが、詳細は省きますが、やはり端緒件数というのはコロナ禍の巣ごもり需要なども影響しているのかは分かりませんけれども、端緒件数は増えていると。

他方で、消費者庁というのは残念ながら地方機関がないというところもあって、リソースに限界がある。したがって、ある意味、端緒件数への処理に追い付いていないということもございます。

あとは、行政処分として、措置命令、課徴金納付命令があるのですが、処分というものは裁判で取り消し得る、相手方が不服ですということであれば訴訟を提起することが可能です。その場合、消費者庁がいい加減な証拠で事実を認定した、あるいは間違った法解釈で処分をしていた、そして、訴訟でばんばん消費者庁が負けてしまう。そんなことがあっては執行の信頼性が失われるということで、当然我々は行政処分をする以上、正しい証拠で事実認定をし、正しい法解釈で法適用していると。そうなると、おのずと時間が掛かってしまうという状況があります。措置命令だけであれば1年弱、課徴金も含めればやはり2年、3年掛かってしまう場合もあるというところがございます。

そういった背景の中、要は代替的な措置を導入して、リソースの適正配分ができるようにしてはどうかという話がございます。

さらには、事業者サイドにおきましても、景品表示法というのは行政法でございますので、公益を害する、すなわち、一般消費者の利益を侵害する事実があればそれだけで違反となってしまう。事業者の主観的事情は問わないということになっています。

やはり事業者の中にはどうしても、我々が認定する不当表示、優良誤認、有利誤認というのは法的評価が含まれてしまいます。まさかこれが優良誤認になるとは思いませんでしたと。そうなればさっさと改善しますなんていう人もいます。そういった方が迅速に問題解決ができるようにするための仕組みが要るのではないか。逆に、そこで迅速に問題解決して、そこで余力となったリソースを、本来やらなければいけない悪質な事業者への対応に振り向けると。そういったメリハリのある執行ができるのでないかということで、確約手続というものが提言されております。

これは、既に独占禁止法で導入されている仕組みを参考にしてということですが、さっき申し上げましたように、通常、行政庁がある法律の違反被疑事実に接したら、調査をして、事実を認定して、違反があれば処分をすると。もし違反がなければ打ち切り、あるいは、違反のおそれがあれば行政指導で終わるということもございます。

しかしながら、行政指導というのは事実上の問題であります。行政としては、一度調査を始めたら基本的には、もちろん事実認定が可能であるということを前提に、措置命令、課徴金納付命令に突き進むしかないという状況でございます。

そこで、先ほど申し上げました、ついうっかり違反とされてしまった一方で、早期に問題解決のための対応をしたいと考える事業者についてはそれを法的に認めてあげようと。行政としては、その事業者が提出してきた改善計画が適切であるということであれば、それに法的裏付けを与えて、他方で行政としてはそれ以上調査をしない。こういった仕組みを導入してはどうかというのが一つ目の確約制度の話でございます。

二つ目は、違反行為に対する抑止力の強化です。これは、先ほどのちょっと特殊事情のある方には早期に対応してあげるという話と真逆の話でありまして、本当に景表法上対応しなければいけない事案については、更に抑止力の強化が必要でしょうという話でございます。

一つ目が、課徴金制度が導入されて、やはり抑止力の強化ということで導入されたのですが、違反行為を繰り返す人たちがいると。課徴金制度導入後10件ばかりあったということでございますが、もちろん世の中全体がその抑止力を強化しなければいけない状況にはないのですが、少なくとも今の課徴金制度がありながら繰り返す違反行為者に対しては、今の抑止力では不十分ではないかということは言えるということで、これも独占禁止法に既にある制度でございますが、繰り返し違反に対しては原則の3パーセント、これを割り増す、課徴金算定率を割り増す制度を導入して、繰り返し違反行為をする人に対する抑止力を強化してはどうかと。

二つ目は、技術的な話でございます。課徴金というのは、対象商品の売上を計算してそれに3パーセントを掛けるという仕組みですが、対象商品というのはあくまで事後的に、行政たる我々が認定して決まるというところがございます。

一方で事業者、特に中小企業の方なんかは、我々が認定したその個別の商品そのものの帳簿をきちんと保存していないということがございます。もちろん売上全体としては帳簿を整えていらっしゃるのですが、我々が認定したところの個別の商品の売上はちょっと欠損があると。そういった場合に課徴金納付命令の手続が止まってしまってはよろしくないので、合理的な推計規定を入れてはどうかと。

三つ目が、抑止力強化ということなのですが、先ほど申し上げましたとおり、行政においては主観的事情を問いません。わざとであろうが、あるいは過失、通常尽くすべき注意義務を尽くさなかったから違反となってしまった、そこは問いませんというところがあるのですが、逆にわざと、すなわち、例えば、ある効果を標榜しながら、その効果を裏付ける根拠がそもそもないことが分かっていて違反行為をする。あるいは、中古自動車のメーターの過少表示ですね。これなんかは仕入れの時点でメーターの走行距離は分かっていますから、明らかに事実と表示が異なっていることを認識、認容しつつ違反行為を行う人たちがいる。これは行政処分、すなわち、侵害された公益を回復するという趣旨の行政処分ではもはや足りないだろうと。正に社会的道義的非難を与える制裁としての罰則が要るのではないか。正にルール、規範を乗り越えてあえて行為をする。本来、普通は、規範に直面したからそこでとどまっていただくべきところ、規範を乗り越えてあえて違反行為をしている人がいる。これはもはや行政では足りない、直罰を導入してはどうかという話でございます。

あと、下の三つはかなり手続的な細かい話ですが、真ん中のマル、「国際化への対応」でございます。現在、課徴金納付命令においては、送達規定が民事訴訟法の準用という形で整備されておりまして、外国における送達とか公示送達とかがありまして、一応在外企業に対しても手続が取れることになっているのですが、措置命令においてはちょっとそれがないので、この際、景表法上の送達書類に関して、公示送達までを含めた送達規定を整備して、在外企業だったとしても、仮に直接的に手が出せなかったとしても、手続は適正に完結できるようにしましょうという話でございます。

その下のマル、「消費者利益の回復の充実」ですが、現行の課徴金制度におきまして、事業者が自主的に消費者に対して返金をしたらその分減額してあげるという制度がございます。しかしながら、なかなか活発に利用がされていないという状況がありまして、もちろん要因はいろいろあるのでしょうが、一つ考えられるのが、今の制度は、その返金する対象を正に金銭に限っていると。これがちょっと面倒くさいのではないかということで、今のキャッシュレス化社会も踏まえまして、金銭、現金と同等の交換価値、代替的機能を有する電子マネー等も使えるようにしてはどうかという話でございます。

最後が、消費者庁と他の主体との連携等ということで、景品表示法に規定されている不当表示について、もちろん行政たる消費者庁長官が行政処分をするという権限があるのですが、更に、適格消費者団体が差止請求訴訟を起こすということもできることになっています。

他方で、こちらは我々の公権力の主体たる国が行使する行政処分とは異なりまして、適格消費者団体が差止請求訴訟を起こして、それを実行するためには裁判で認容判決を頂いて、その認容判決を債務名義として執行する。

失礼しました。給付訴訟ですので差止めの効力が発するということになるわけですが、民事訴訟の枠組みでやっているものですから、当然、その主張立証の責任を負う適格消費者団体が、不当表示を基礎付ける事実を立証主張しなければいけない。

他方で、不当表示、特に効果性能、目に見えない効果性能をうたう表示については、なかなかこの主張立証が困難であるという事情があると聞いております。

そこで、当該違反行為をしている疑いのある事業者に対して、あなたの行っている表示の裏付けとなる合理的な根拠は何ですかという開示要請をして、事業者はその努力義務が課される。これは未施行ではございますが、消費者契約法に導入されている、平均的な損害額を超える損害額の予約条項ですか、あれも差止めの対象となっているところですが、その平均的な損害を超える部分の根拠を出してくださいという要請規定が導入され、それを参考にしてというところでございます。

時間の関係上、その項目の中で法改正が必要となる事項ということとしては以上のような提言がなされましたので、冒頭申し上げましたとおり、消費者庁としましては関係各省と調整しながら、現在、政府提出法案をうまく提出できるよう作業しているところでございます。

それでは、続きまして、ステルスマーケティングに関する検討会の報告書、資料3でございます。これに基づきまして説明させていただきます。

1ページ目でございます。

元々のこの経緯でございますが、一昨年来、更にその前の年から消費者庁として、デジタル広告の適正化の検討シリーズとして、第1弾、アフィリエイト広告の適正化の対応をしてまいりました。そのアフィリエイト広告に関する適正化に関する報告書が昨年2月に出たと。その中で消費者アンケートを実施したら、企業の広告であったら、それは企業の広告であることが分かったほうが望ましいという消費者アンケートでの御意見を頂いたという状況もあって、これは検討しなければいけないよねということになりまして、まずは、先ほど御報告した景品表示法検討会の俎上に載せて、3月以来検討してきたのですが、昨年6月に景表法検討会で中間取りまとめを行いまして、ステルスマーケティングに関しては、やはり景表法一般の話というよりはデジタル分野、更には技術的な問題であるとか、あるいは消費者心理の問題とか、いろいろ専門家に集まっていただいて別の場で議論したほうが良かろうということで切り離されました。

そこで、昨年9月以降、このステルスマーケティングに関する検討会を開催して、河野大臣から年内に取りまとめなさいという御指示も頂きましたので、非常にスピード感を持ってやってきて、昨年12月28日に報告書を公表させていただいたというところでございます。

さらに、手続的なことを申し上げますと、昨年11月に一旦、報告書案をまとめて、それをパブリックコメントにも付したという手続も踏んでございます。

2ページとかは省略させていただきまして、時間の関係上、ちょっと背景事情は省略させていただきます。

5ページに行っていただきまして、ステルスマーケティングは日本に規制がないという話があるのですが、実はここは若干不正確でございまして、現行の景表法で、いわゆるステルスマーケティング、すなわち、実際は企業の広告であるにもかかわらず、それが広告であることが分からない表示に全く手が出せないのか。そこはそうではございません。

例えば、その現行の景表法で規制されているものとして、今、優良誤認、有利誤認というものがございます。

「景品表示法における不当表示の概要」という文字の下に、「事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う以下の表示」というものがございます。この、事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示というのが、正に「事業者の表示」、「事業者の広告」でございますので、その表示としては景表法の規制対象になる。すなわち、必ずしもその表示上に事業者の名前がなければ手が出せないかというとそういうわけではなくて、見かけ上第三者の表示になっているのだが、実際はそれは事業者の表示である、事業者が自己の供給する商品やサービスの取引について行う表示であるという事実認定が可能であれば、それは事業者の表示になるわけです。

したがいまして、消費者庁としては、いわゆるステマであっても、それが事業者の表示であれば現行の景表法で措置を行っているということでありまして、6ページでございます。

実際に措置命令を行った事例で、実は昨日、この措置命令に続く課徴金納付命令も一部の事業者に対して行ったところでございます。

なぜステマについて措置が取れたのかでございますが、これは正に先ほど御紹介した不当表示のうちの優良誤認、これは豊胸効果をうたっていた。しかしながら、その豊胸効果を裏付ける合理的な根拠がなかったということで優良誤認とされたものなのですが、右側の図にございますのはインスタグラムでございます。黒塗りしているところはアカウントをお持ちの方のお名前、お写真などが載っているのですが、見かけ上このアカウントを持っている方がこの商品について表示している。しかし、実際はこの会社がこのアカウントを持っている方に指示をして、この点々で囲っている赤字部分を書かせていた。そして、この書かせた内容が豊胸効果を標榜している、優良誤認に該当するということで措置が取れたというところでございます。

では、今何ができないのかというのが7ページでございます。

結局、景表法の要件というのは二つに分かれまして、まず、ある表示が事業者の表示ですという要件1をクリアする。次の要件2がございまして、その表示が不当表示に当たりますかというのがあります。したがいまして、要件1をクリアしたとしても、要件2である不当表示か否かという部分で不当表示とは言えない、すなわち、今であれば優良誤認・有利誤認がないということであれば規制できないということでございます。

他方で、諸外国におきましては、7ページの下にございますが、OECD加盟国、アメリカ、欧米各国では、やはり表示主体、広告を誰が表示しているかというのは消費者の商品選択に与える重要な要素であるということで、その広告主体を偽ることは消費者に誤認を与える行為であるということで規制されているのですが、残念ながら日本だけ、今、この広告主体を偽ること自体の法規制がないという状況でございます。

8ページが、今申し上げました関係図を御紹介したところでございまして、いわゆるステマ、広告であることを隠す表示があったとしても、その表示に優良誤認、有利誤認があれば今でも対応できるのですが、優良誤認、有利誤認に当たらない、単に表示主体を偽っている行為が今、法規制から漏れているという状況でございます。

9ページからが報告書の中身でございます。

我々は何をしたか、事務局として何をしたかというと、ステマというものは、残念ながら正にその事柄の性質上、発見することはできません。もし発見できたらそれはもはやステマではないということになりますので、ステマであるがゆえに目に見えてこれはステマですねということを取り出すことはできない。したがいまして、事業者からのヒアリングとか、あるいは第三者たるインフルエンサーへのアンケート調査を実施しました。

その結果、業界の方に言わせれば、やはりステマは行われているでしょうという声が多かったというところがあります。

それから、下のほうでございます。インフルエンサー300名に対してアンケート調査を実施しました。

その点々で囲っているまず上の問い、これまでに、あなたはステマを広告主から依頼された経験はありますかと。要は、広告主からインフルエンサーが宣伝を頼まれたときに、広告主の名前を出さないでくださいという依頼をされた経験があるという方が41パーセントいらっしゃる。

さらに、その次の問いですが、その依頼された方のうち、実際に受けてしまった方、それが約45パーセントもいる。これはある意味しようがない、今は法規制がないわけですから、これはインフルエンサーの人にしてみれば言われたとおりやったということで、これ自体はとがめられるものではないわけですが、ここから言えることは、やはり今の我が国において、ステルスマーケティングというのがなされているのであろうということが言えると。

続いて、10ページでございます。

こちらも間接事実ということになろうかと思いますが、SNS上で堂々と不正レビューの募集がなされていると。

したがいまして、例えば、右側のものでいいますと、「4,499円」、「星5つ+文字」と。恐らくこれは、レビューで星5を付けて何か文章を書けば4,499円あげますよという話かと思います。その下のハッシュタグに、拡散希望であるとかレビュー募集であるとかPayPalで返金とか、その現金の支払い、お金の支払い方法なども書いてあると。

11ページでございます。

こちらも間接事実でございますが、これはネットではなくてダイレクトメールです。ダイレクトメールでレビュー投稿キャンペーンという形でレビューを書く人を募集していると。こういった間接事実からも、やはり我が国ではステルスマーケティングというものが行われている実態があるのだろうということが言えるだろうと。

12ページでございます。ステルスマーケティングの実態に関する事業者の認識でございます。

まず二つ目、広告主のステルスマーケティングを行うインセンティブということですが、ここは端的に言って、広告であることを書いた場合と書かない場合で、書かない場合のほうが売上が伸びるのだということで、事業者にはステマを行うインセンティブがあるという話でございます。

三つ目は、事業者間の競争条件に関する問題ということで、真面目にやっている方、あるいは、もしステマをやったことがばれてしまうと多大なレピュテーションリスクを負ってしまうような方は、当然、自分たちの表示を第三者にさせる場合は、自分たちの広告であることが分かるようにしているわけですが、どうしても消費者は、いわゆる口コミに引かれがちであると。したがって、ステマで消費者を引き付けるということは、結局、公正な競争環境の整備につながらないし、ひいては、世の中ステマだらけだよねということになってしまうと、広告全体の信頼性も損なってしまう。そういった危機感を持っている事業者の方がいらっしゃるという御意見がございました。

そして、13ページ以降が、正に検討会の委員の知見を活用した部分なのですが、ステルスマーケティングによる消費者の影響とは何かということなのですが、「経済学、経営学の専門的知見からの報告」ということで、二つ目のダッシュでございます。これは、委員の経営学の先生から御報告いただいた話ですが、広告であることを開示すると、消費者の広告に対する懐疑心が高まる。インフルエンサーの商業的意図に対する認知によって、広告であると開示された商品に対する消費者の好感度は下がる。すなわち、広告であると分かると、ちょっと消費者は嫌悪感を抱いてしまう。逆に言うと、広告であることを隠すと、商品に対する好感度が上がるということが経営学上言えるということでございます。

三つ目のダッシュですが、これは経済学の先生から御報告いただいたのですが、アメリカで先行研究があって、実際に不正レビューを行ってみて消費者厚生がどれだけ阻害されるかというのを研究してみたと。要は、わざと低品質商品に良いレビューを書かせてみたと。そうすると、消費者はそのレビューに惹かれてそれを購入してしまう。しかしながら、元々が低品質商品でありますので、だんだん消費者が分かってきて、正しいレビューを書くようになる。そうすると評価は下がっていくという話なのですが、ここで得られた知見としては、結局、不正レビューによってちゃんとした商品を購入する機会が奪われてしまう。結果的に粗悪品を買ってしまうというところがあるので、1万円の買物に対して1,200円の損失があると推計されるという先行研究があったというところでございます。

13ページの5番は、先ほど御紹介した、諸外国では規制がなされていますという話であります。

14ページ目でございます。

以上のような実態等を踏まえて検討会でどういう議論をしていただいたか。

まず一つ目、ステマに対する規制の必要性です。これは当然必要でしょうというので、ほぼ第1回検討会で意見の総意となりました。

二つ目、では、規制が必要であるとして、具体的な規制の在り方はどうでしょうかというところで、やはり法規範というのはあまり具体的に書いてしまうと、その具体的な部分から漏れる部分、要は脱法行為が横行してしまって規制が意味をなさなくなる。したがって、もちろん、法規制は、無限定、無制約ではいけないのですが、その趣旨、目的の範囲内で抽象的な規制として、具体的な事案に適切に柔軟に対応できるようにしたほうが良いであろうと。

更に二つ目として、その規制の形式として、もちろん国法によることも考えられるのですが、法律というのはさっき御紹介したように、景表法のお話で御紹介したように、当然、立法機関たる国会が制定するということになります。そうしますと、国会というのは基本的にこの国に1個しかないわけでありますし、会期というのも通常国会であれば150日間と限定されております。要は時間が掛かってしまうよねという話でありまして、一方で景表法には、行政告示、行政立法として、景表法の所管大臣たる内閣総理大臣が、優良誤認、有利誤認以外の一般消費者に誤認を与える表示を告示で増やすことができるという法5条3号という仕組みがございます。これを活用するべきではないかと。

実はこの点、日弁連から既に2017年ですかね、告示で対応すべきであるという御意見を頂いていたところでもございます。

三つ目、規範そのものは抽象的である必要があるのですが、さはさりながら、やはり事業者がこれまでやってきたマーケティング活動、プロモーション活動ができなくなってしまうのかという誤解を生んで、かえって事業者の事業活動が萎縮してしまって、世の中にとってよろしくないということで、その規範の運用基準、考え方が必要でしょうということで、これは作らなければいけないよねという話になっております。

結果、どういう告示案かというのが、14ページの4の赤い四角で囲っているところでございます。

先ほど来、事業者の広告なのですが、それが分からないものが規制対象ということを申し上げていますが、これを景表法の条文に落とし込むと、まず前段、事業者の表示ですと。事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示。これは先ほど御紹介したとおり、今回新たに作ったものではなくて、そもそも景表法上の事業者の表示という条文を引っ張ってきた。要は、この告示を定めるに当たって、便宜上、法律上の用語を持ってきたものでありまして、ここは既にある概念であります。

では、その事業者の表示であるとして、次に何がステマに当たるか。やはりそれが広告であることが分からない。すなわち、一般消費者が当該表示、すなわち、当該事業者の表示であることを判別することが困難であると認められるものという定義が良かろうとなっております。

告示も当然、趣旨、目的の範囲ということで限定がありますが、要は、一般消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある行為を規制するというのが趣旨でございます。

では、広告であることを隠すこと自体は何を誤認させているのかということなのですが、それは正にその表示主体を誤認させている。誤認というのは、消費者が認識する表示内容と実際のものにかい離、ギャップがあること。これが誤認でございます。なので、消費者は第三者が表示していると認識している。でも実際は、それは企業、つまり、事業者の表示であるというところで誤認が生じるわけです。

では、なぜそれがいけないのか、なぜそれが景表法の趣旨、目的に反するのかということなのですが、ここは元々、優良誤認の考え方において「著しい」というものがございます。要は、14ページの4の真ん中のダッシュに書いてある話ですが、優良誤認、有利誤認というのは、表示と実際にかい離があればすべからく違反かというと、そういうわけではございません。あくまで「著しい」が必要です。

では、「著しい」とは何ぞや。それは、社会的に許容される程度を超える虚偽、誇大であるということなのですが、なぜそういう社会的に許容される程度を超えるものだけが規制されるのかということなのですが、そもそも企業の広告は、自分の商品・サービスを良く見せたい、安く見せたいというところがあるわけですから、事業者の表示であるということが分かれば、一般消費者は、ある意味、取引の反対当事者たる相手方は、どうせ良く見せ掛けたいのだろう、どうせ安く見せ掛けたいのだろうという警戒心、ある程度の誇張・誇大が含まれるという認識が生じる。こういう経験則があるわけでございます。

他方、事業者の表示であるということを隠してしまう。すなわち、当該取引とは関係ない第三者が表現しているとなると、一般消費者は、取引関係がないのだから、客観的な中立な第三者が意見を言っているのだから、それはそのまま信じて良いのだろうと。殊更にわざわざ関係ない企業のことを悪く言う人もいないよねということでそのまま信じてしまう。そこに一般消費者の誤認が生じるし、かつ、一般消費者の商品選択をゆがめる要素があるところが景表法で規制すべき趣旨だということになってございます。

15ページが、その運用基準の考え方でございます。

先ほど来、大きく二つの要件があると申し上げました。

(1)は既に今行っている、法律上規定されている事業者の表示とは何ぞやでございますが、これは規範となるのは、(1)の「ア」の一つ目のポツでございます。

これは、高裁判決で規範が示されておりまして、やはり景表法は行為規制、正にその行為を行ったから措置命令を受けるということでありますから、事業者がその行為をしていると言える場合、具体的に言いますと、その「表示内容の決定に関与した」と。正に一見第三者の表示のように見えるのですが、その表示をさせた意思の主体は事業者であるといったことが言える実態があるかどうかということになっています。

逆に、事業者の表示とならない場合というのが「イ」でございまして、「イ」のポツの後半にございます。第三者の自主的な意思による表示であると客観的に認められるもの、すなわち、事業者が当該第三者の表示の内容の決定に関与していない、第三者自身の自主的な意思による表示、これは当然、その方、第三者の自主的な表現行為でありますから、景表法の射程外、規制の射程外ということになります。当然、景表法もある意味、事業者の事業活動への制約ということでありますが、やはりそれは一般消費者に誤認を与える営利的表現ということでその規制の正当化がなされるわけですが、これが事業者の表示でもないのに規制するなんてことになったらそもそも違法な行政行為になりますし、やはり憲法上の国民の自由に対する不当な制約ということにもなってしまうということで、ここは、(1)はそもそも今の景表法の事業者の表示の解釈でございますが、改めてここを紐解いたというところでございます。

(2)が、その事業者の表示であるとして、一般消費者がそれが事業者の表示であると分からないものの要件でございまして、これも困難であるものと、困難でないものに分けました。

これは単純な話でありまして、「ア」は、ポツにありますように、表示全体から一般消費者に事業者の表示であることが明瞭となっていないというものは今回の告示案の対象ですねと。

下のほう、逆にそれが事業者の表示であるというふうに分かるようになっていれば、全然それはやってもらって構いませんということであります。

あと、16ページでございますが、以上を踏まえてこの検討会で頂いた提言ですが、一つは、正に告示案、運用基準案をお示しいただきましたので、消費者庁は告示を作りましょうという提言を頂きました。正にこれは今年度中を目途に、今、告示を制定するべく作業をしているところでございます。手続的には、行政手続法上のパブリックコメント、更には、景表法上の公聴会、更には、この消費者委員会の皆様に御意見を頂くという手続がございますので、今年度中を目途にそういった所要の手続を経て、告示制定、更には併せて、告示だけですとちょっとよく分からないというところもあるので、運用基準も併せてその手続に載せて作業していきたいと思っております。

あとは、それ以外の提言として、2番目、当然、ルールというのは執行しないと意味がありません。絵に描いた餅になってしまうわけですから、消費者庁は、この告示ができた暁にはしっかり執行してくださいという話です。

三つ目は、もちろん違反が起こったら執行していくというのも大切なのですが、違反が起こらないようにする。こちらがむしろ重要なわけでありまして、未然防止のための取組の提言を頂いていると。

さらには4番目、周知・普及啓発をしっかりしましょうと。特に景表法というのは事業者が規制対象となるわけですが、やはり我々が実施したアンケートでも明らかになったように、インフルエンサーの方もそもそも、当然、今は規制がないわけですからその規範に直面するということはないのですが、当然今後は、事業者から頼まれてステマをやってしまうと、もちろん、事業者が規制対象となるのですけれども、あなたもある意味、社会的にはちょっと変な目で見られるかもしれませんよというところで、そういった周知も必要になってくるのではないかというところでございます。

いずれにせよ、この辺は告示が制定された暁にやっていく話ということになっています。

申し訳ありません。10分ほど超過してしまいましたが、私の説明は以上でございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、質疑応答と意見交換をお願いいたします。

一応、景品表示法検討会報告書と、ステルスマーケティングに関する検討会報告書を分けて議論していただきたいと思います。

まず、景品表示法検討会報告書からお願いします。

時間は、両者合わせて30分程度でお願いいたします。

それでは、よろしくお願いいたします。

星野委員、よろしくお願いいたします。

○星野委員 御説明ありがとうございました。

確約手続の制度とか、繰り返し違反での課徴金の割り増し算定率などというのは、先ほどの独禁法とか公取の取組に準じたものということで大変良いかと思うのですが、ただ、一点ちょっと気になるのは、既に公取で導入されているので、その法制度の前後でどのような形で、例えば、端緒件数だとか申告件数みたいなものが、少なくともこの公取でどう変化したのかモニタリングされているのでしょうかということがございます。

例えば、その確約手続に関しましても自主的なということでございますので、そもそも多分これは独禁法の話では多分、TPPでしたか、協定の発効のためにやるみたいな形のものもあったかと思いますけれども、まずは諸外国、締結国で何か競争法違反の疑いがあったときに自主的に解決するような枠組みを設けるといった目的があったかと思いますが、それに対して今回、こちらは消費者保護ということになりますので少し毛色が違うとは思うのです。

となりますと、例えば、その確約手続をした企業サイドなんかで警告とか注意の対象になったりしたことが結構あったりしたのかということが実効性という形で結構問題になりますので、既に公取でこういったことがあったのでそちらはどういうふうに変わったのか。特に確約手続が気になるのです。

というのは、その端緒件数が増えたということで自主的な取組を推進するべきなのか、本来は件数が増えたので消費者庁の人員を増やすべきなのかみたいなこともあると思いますが、やはりその確約手続。課徴金の割り増しはもちろん良いとは思うのですけれども、確約手続に関しましては少しそのような問題があるかと思いまして質問させていただきました。

○後藤委員長 お願いいたします。

○消費者庁南表示対策課長 御質問いただきありがとうございます。

正に委員御指摘のとおり、独禁法におきましては、TPPの関係整備法で導入されたと我々も認識しております。ただ、今回は当然、TPPは関係ないわけでございまして、我々が考える確約制度の必要性、我々といいますか、検討会で検討いただいた確約制度導入の必要性を踏まえてこういった提言を頂いたということなのですが、まず、そもそも端緒件数が確約制度導入前後でどうなのかということは、申し訳ありません、他省庁の話なので把握しておりませんが、ただ、確約制度というのはその措置の一つでございますので、恐らくその措置が一つ増えたからといって端緒に何か影響するということはないのではないかなという気がしております。

あと、公正取引委員会の運用状況ですが、これまで10件ばかり確約の認定がなされているということは聞いております。確約も当然、これは行政処分でございます。認定という意味での、もちろん違反行為を認定するという事実、それは要件ではないのですが、企業が出してきた確約計画が法律の要件に照らして十分であるか、あるいは、ちゃんと実施するか、確実であるか。そういった要件を充足するとして初めて行政処分たる確約認定をして、企業は確約認定に従う義務が生じ、行政はそれ以上調査を行わないという義務が生ずるということになっていまして、仮に確約認定をして確約計画を出してきたにもかかわらず、もし確約を守っていないということがあれば、当然、これは確約認定を取り消して、本来の調査をして、処分に向かうということになるわけでございます。

あとは、これは公正取引委員会に聞いてみないと分からないところもあるのですが、恐らくやはり、例えば、独占禁止法の違反行為の中で優越的地位の濫用というものがあります。確約の効果という話ですが、優越的地位の濫用においては、もちろん排除措置命令、当該違反行為、要は、大規模小売業者が、ある意味、中小企業いじめをしている。そのいじめ行為をやめなさいというのもあるのですが、課徴金納付命令、これは裁量がございません。独占禁止法は必ず課徴金を課さないというところがありまして、優越的地位の濫用の場合は、当該取引先との売上額、あるいは、ほとんど納入業者でしょうから購入額なのでしょうが、個々の納入業者ごとの売上なり購入額を算定しなければいけないということで、その納入業者が100社もいればそれだけ手間が掛かる。ところが、企業が、いやいや、行為をやめます。さらには、納入業者に返金もしてしまいますということを言ってくれれば、それで確約として終えることができるということで、ちょっと数値的なところはあれですけれども、当然、その確約による早期解決、実効性ある早期解決がなされているのではないかなというふうには認識しているところでございます。

すみません、質問にストレートな御回答になっていないとは思うのですが、今言えるところは以上でございます。

○星野委員 ありがとうございます。

確約手続については安定的に利用されるもので、慎重に確約計画を出してきた企業に対するモニタリングとか、そもそもこの手続自体の実効性に関して、調査、検討いただければと思います。ありがとうございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、清水委員、よろしくお願いいたします。

○清水委員 清水です。御説明ありがとうございました。

報告書は本当にすばらしいと思っているのですが、これを法律化するというのが一山あるのだと思います。是非実効性のある法律を作っていただいて、悪い人たちがやり得で生き延びて、また名前を変えて生き延びていくことのないよう、法整備をお願いします。今や被害の未然防止のためには景表法の強化がないとやっていけないと思っていますのでよろしくお願いします。

一つ、ダークパターンについては、この報告書については中長期的に検討するということできちんと書かれているのですが、相談の現場で相談者に聞くと、商品やサービスは、口コミを見た、レビューを見たとか、また、ショッピングモールではお勧めの表示とか、誰かが購入したという購入実績を見ています。また、自分が検索した場合に、検索した上位でアクセスするリスティング広告も問題です。あと、カウントダウン表示、点滅とか揺れるボタンで早く押してくださいというものも問題です。最後には定期購入で今、極悪層がやっているのですが、注文後に割引のクーポンを表示させて、条件のまた厳しい契約をさせています。定期なし、いつでもやめられると思って注文したはずなのに、おめでとうございます、あなたには特典がありますと言って、極端に安いかのように見せて実は定期購入をさせて縛りがある表示が非常に多いというのは相談者から聞き取っています。これは引き続きダークパターンということで検討をしていかなければいけないし、文字だけではなくて、表示される場所だとか時間とかタイミングも巧妙です。悪い人ほど巧妙に消費者の心をつかむことが上手です。健全な事業者やアフィリエイト、インフルエンサーはいます。あまりにも悪質な人が目立ってしまっていますので、早期の検討をお願いしたいと思います。

どうぞよろしくお願いします。頑張ってください。これから一山乗り越えてください。

○後藤委員長 何かコメントはございますでしょうか。

○消費者庁南表示対策課長 応援の御意見と承りました。ありがとうございます。

ダークパターンは中長期的課題としておりますが、ただ、ちょっと、この報告書にも書いていますが、欧州でもまだ定義も抽象的でよく分からないところもあって、そういったものも注視しながら我が国でも検討しなければいけないということなのですが、当然、今、委員のおっしゃった話の中には、景品表示法違反、あるいは特商法違反、現行法でも対応できるものは当然ございますので、そういった消費者庁が所管している法律に当たり得る事案に接したら、消費者庁としては、現在でも厳正に対処していく所存であるということだけはお伝えさせていただきます。ありがとうございます。

○後藤委員長 それでは、受田委員長代理、よろしくお願いいたします。

○受田委員長代理 ありがとうございます。

御説明いただきましてありがとうございました。非常に精力的に御検討いただき、また、その検討結果についても当を得ていると理解いたしました。

その上で、今回、こういった検討がなされた背景には、違反事例に関して、端緒把握から措置命令までの日数が相当掛かっている、あるいは課徴金調査終結までの処理日数が非常に長いというところが一つ、こういった背景にあるというふうに御説明もございました。

その点を踏まえてみると、今回のこういった報告書を受けて立法化していくことによって、この平均処理日数等がいかに短縮化されていくかということを、消費者基本計画の、例えば、工程表の中にあるKPIに盛り込んでいく、そういうことによってPDCAが回っていくということが想定されるかと思います。今後のことになると思うのですけれども、消費者基本計画にどういうふうに、例えば、KPIに落とし込んでいくか。そういった点についてはこの検討会において既に議論になっているのか。また、消費者庁としてどのようにお考えなのかという点についてコメントをいただければ幸いでございます。

以上です。

○消費者庁南表示対策課長 ありがとうございます。

そもそもこの検討会は、冒頭申し上げましたとおり、社会状況の変化に応じて、今、景表法に足りない措置は何でしょうか、導入したら良い措置は何でしょうかというところまでしか検討しておりませんので、導入後それをどう検証していくかというところまでは、当然、射程外ということになっています。

そして、後半の、消費者庁としてその検証といいますか、そういったものをどう考えているのかということなのですが、確約もこれはまた執行手続の一つでございまして、御案内のとおり執行というのは、冒頭も申し上げましたように、処分をするためには、証拠に基づいた事実認定、正しい法解釈で法適用していくということであります。ある意味、相手方がいる話でもありまして、我々として別に件数をある意味作っているわけではなくて、とにかく我々が認知した端緒を厳正に対処していった結果が、例えば、昨年度であれば40数件の措置命令に結び付くということになっておりまして、先生がおっしゃるような形でのKPIでの設定がなかなか難しいかなというところは、確約に限らず、執行に関しては抱いているところでございます。

したがいまして、確約についても、例えば、何か計画予定件数とかを定めてしまいますと、変に件数に縛られて、本来確約に載せるべきではないものまで載せてしまうような事態があったら、それは消費者利益の保護という観点からも本末転倒になってしまいますので、ちょっとそこは慎重に検討させていただければと考えているところが現在のコメントとなります。ありがとうございます。

○受田委員長代理 ありがとうございました。

今の御発言については、私自身もしっかり理解をしているつもりでございます。見かけに走ることなく明確に消費者利益に直結をしていくような実効性ある法改正であるべきという点については、是非よろしくお願いを申し上げます。ありがとうございました。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、ほかにございませんでしょうか。

では、大石委員、よろしくお願いします。

○大石委員 御説明ありがとうございました。

今回のこの景表法につきまして、本当に精力的に検討いただいて、大変今後に楽しみだと思うのですけれども、最初にお話がありましたように、やはりかなり以前に作られたもので、今の世の中に対応するために、今回、いろいろな検討がされたということでいえば、やはり今の社会でデジタル化が進んでおり、それにいかに対応できるかというところが、今、一番求められているのではないかと思っております。

今回、本当にいろいろと前向きに検討いただいたのですけれども、私としては一つ残念だったのは、「早期に対応すべき事項」以外の「中長期的に検討すべき事項」の中にデジタル表示の保存義務が入っているということなのです。やはりこれだけ時代が進んで、広告であっても次の瞬間に違うものがまた表示されるというものであると、やはり報告書を読ませていただいて、事業者の方にあまり大きな負担を掛けるのはということも分からなくはないのですけれども、実際に被害を受ける側としては、やはりそういう根拠となるべきデジタル表示の保存というのは、やはりこれは必須のものではないかと思います。

そういう意味で、報告書の中を読ませていただくと、例えば、アフィリエイトプログラムの場合には根拠となるようなものを、資料の保管等を行うことということが既に書かれているということですけれども、やはり基本的に事業者の責任として、自分たちが表示したものについてはある一定期間の保管をするようにということは是非、これは中長期ではなくて早期にでも進めてほしいと思うのですけれども、その辺りの御対応がどういうものかを是非教えていただければと思います。

○後藤委員長 お願いします。

○消費者庁南表示対策課長 ありがとうございます。

正に委員はこの報告書を読んでいただいた上での御意見だと思っておりますが、その確約を導入しなければいけないという背景にも我々のリソースの限界があるという話を申し上げました。当然、その政策的課題に対応するためにも、結局、行政、国といっても動かしているのは我々のような生身の人間でありますので、やはり生身の人間は無限ではございません。表示対策課であれば今は80名ほどのスタッフで作業しているというところもありまして、どうしてもやはり、これは資源の効率的な配分というところと関係するのですが、具体的な課題にまず手を着けて、逆に言うと、こういう言い方は大変失礼なのですが、ある種、抽象的な課題は先に持っていってしまうというのは、これはしようがないのかなというところがございました。まずはすみません、我々としては今回、検討会の報告書として頂いた「早期に対応すべき事項」、まずはこれを全力でもって対応させていただいて、「中長期的に検討すべき事項」は次というふうになってしまうというところを御理解いただければというところでございます。

○大石委員 おっしゃるところも分からなくはないのですけれども、中長期といってもできるだけ早期にお願いいたします。

以上です。

○後藤委員長 黒木委員、よろしくお願いします。

○黒木委員 南課長、どうもありがとうございます。

この報告書の方向性に対しては、基本的にはよく考えていただいたと思っております。その関係で確認的なところなのですけれども、適格消費者団体との連携の点についてお尋ねします。

今、南課長がおっしゃったとおりで、リソースとして、行政庁だけではなく中間団体である適格団体、特定適格とか適格団体が、やはりこれは消費者の利益に直結する活動をしておりますので、そのような特定適格あるいは適格団体に対して、どのような形でこの法執行の一翼を担う活動をさせるかという観点で景表法が進んでいくということは、消契法の中にある一つの特殊な団体の活動がより社会的な意味を持つという意味で大変大きなことだと思っています。今でも対象になっているのですけれども、どんどんそれが進化すると。

その関係で、報告書の中の26ページから27ページのところで、結局、行政庁が集めた書類がどれくらいの形で出せるかということについて1年を目途に検討しましょうというふうに考えてあるということで、このような議論の状況を踏まえると、特商法に関する書類の提供の運用状況等を1年程度見た上で、近い将来に検討すべきであるという最後のまとめになっているのですけれども、これをどのような、こういうふうに書いてありますけれども、これを具体的にどういう形でこの資料の提供の問題とかというのを今後検討していかれるのかという点について少しお尋ねしたいと思っているところです。よろしくお願いします。

○消費者庁南表示対策課長 ありがとうございます。

ちょっとこの辺も先ほどの大石委員の御意見にも関係するのですが、すみません、リソースの問題もあって、まずは「早期に対応すべき事項」の中でも特に法改正を要する事項について、今国会に政府提出法案を提出するべく、今、作業に注力しているところでございます。今御意見いただいた、いわゆる消費者裁判手続特例法91条に景表法を導入すべきかどうかという話でございますが、読んでいただいているとおりの結論となっておりまして、現時点で今後どうなるのかというところまでまだ考えは至っていないところでございます。申し訳ありません。

○黒木委員 意見ですけれども、多分、特商法のその資料が出たからといって、そんなに特定適格団体がむちゃくちゃなことをするとは思えないのです。したがって、景表法に関しても同じことが起こると思うので、同じ庁内ですから、その辺りのことを見て、正に中間団体にリソースとしてあるわけだから、それをエンカレッジする形で運用できるような法改正等々を早急に検討していただきたいと思っているということでよろしくお願いいたします。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

それでは、ステルスマーケティングに関する検討会報告書に移りたいと思います。これについて御質問、御意見をお出しください。よろしくお願いいたします。

清水委員、よろしくお願いいたします。

○清水委員 ありがとうございます。

こちらも報告書は良くできているので是非頑張ってもらいたいと思います。特に説明の9ページのところに、現役のインフルエンサー300名に対してアンケート調査をしていただいたということはとても重要なことだと思います。日頃私たちも相談を受けている中で、インフルエンサーから状況をお聞きすることもあります。PIO-NETにどうやって書くかなと。直接相談者の被害は別のところにあって、雑談として実は自分はインフルエンサーをやっているのだと言われ、状況をお聞きすることもあります。本題からはずれる場合もあるのですが、どうしてそういうことをやっているのかとか、幾らもらえるのかということを聞いています。このアンケート調査に私がお聞きした内容が反映されています。やらされていると、お金をもらっているというのがなかなか表に出てこないところ、きちんと調査していただいて本当にありがとうございます。

被害回復に特化してしまうので、入口のところがとても大事なのですが、なかなかPIO-NETに書き切れていないです。そもそも消費者が知らず知らずに契約しているので、それがステマかどうかというのが分からないので、丁寧に聞き取り、「えっ、そうだったのですか、私は誘導されていたのですか」ということに気付いてもらいます。入口は全て表示であると。現在の法律で規制もできると思っています。エビデンスを残すことが大切だと思っていますので、PIO-NETにきちんと書いていきたいと思います。

どうぞ引き続きよろしくお願いします。

○後藤委員長 よろしいですか。お願いいたします。

○消費者庁南表示対策課長 ちなみにこちらから質問なのですけれども、PIO-NETですと取引関係にない第三者のことは書けないということですか。

○清水委員 いえ、PIO-NETは契約先というのをまず入力するのですけれども、その他事業者という形で書くようになっております。フリーで相談員に任されているところもあります。例えば、SNSがトラブルの入口だというのがありますので、SNSと相談概要に書いた場合にその他事業者名に実名を入れています。プラットフォームの広告を見たと相談概要に書いた場合は、その他事業者にプラットフォームと書いて、実際の会社名とかサイト名を書くようにしています。そうしないと、消費者庁等に見ていただいても何のことを言っているのか分からないと思います。最後に、PIO-NETは急増指数というのがありますので、数字が上がってきた事業者をまず見ていただく、調査していただくことが早い時期での未然防止になります。それには私たちがきちんとPIO-NETに記入していくことだと思っています。

○消費者庁南表示対策課長 すみません、ありがとうございました。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

大石委員、よろしくお願いします。

○大石委員 御説明ありがとうございました。

アフィリエイトの広告のときにもやはりこういう議論があって、やはり消費者が、それが本当に広告なのか、それとも、本当にその人が書いているものかということによってやはり購買の意識が違うというのはすごく影響が大きいと思いますので、今回、このような取りまとめをしていただいてこれを実行に移していただけるということは、消費者としては大変有り難いと思っております。

一つ、細かなことで質問です。報告書の概要の12ページの3で、事業者間の競争条件に関する問題というところで、これは報告書の12ページ、13ページのところにも同じような内容があったのですけれども、問題が発覚したときのリスクが大きい広告主はステルスマーケティングを行うインセンティブは小さいけれども、そうではない事業者にとっては法律上問題がないためと。その問題が発覚したときのリスクが大きい広告主と大きくない広告主というのが私にはちょっとここがよく理解できずに、やはり広告主というかみんな事業者なので、誰であってもそういうリスクは同じではないかと思ったのですけれども、この辺りのところをもし御説明いただければ有り難いです。

○消費者庁南表示対策課長 ありがとうございます。

ここは事業者団体様の御意見ですので正に書いてあるとおりではあるのですが、今、いわゆるステマについて規制はないとは言いながら、やはり過去の新聞報道を見ていると、あたかも第三者の表示であるかのように見せ掛けて実は企業が何かさせていたということが明るみに出ると、やはり社会的な非難は受けるわけであります。ちゃんとした上場企業であるとか継続的にビジネスをやっている人たちは、やはりそういったいわゆるレピュテーションリスクというのを非常に恐れますから、そういったところは気を付けていると。第三者にプロモーションをしていただく場合には、それは当社がお願いしているものですということを書くと。

一方で、特にやはりネットというのは変な話、私だって今日からネットビジネスができてしまうような状況でございます。そういった人たちは、はっきり言って、ヒットエンドランといいますか、とにかく売るだけ売り尽くして逃げてしまうということがあるわけですから、その人たちは正にさっき申し上げたような社会的な評価であるとかそんなのは関係ないわけでありまして、とにかく売れれば良いやと。そういう人たちにとってはステマはやるだけ得だ、みたいなことになってしまうと。そういったお話ではないかと思います。

○大石委員 ありがとうございました。

それだけステマというもの自体が本当に消費者が被害を受けているかどうかというのが分かりにくいということなので、そういう意味でも、それを解明するのは難しいと思いますけれども、やはり諸外国の例もありますし、是非進めていただければ有り難いと思います。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

どうぞ。

○黒木委員 このステルスマーケティングに関する報告書と、今、告示案まで作っていただいておりまして、これはちょっと先ほどおっしゃっていた、2017年に日弁連がこれをやってくれと言ったのが、今、正に具体的な法規範としてやられようとしていて大変うれしいです。

それと同時に、今おっしゃったみたいに様々なプラットフォームがありまして、例えば、食事サイトみたいなのは幾つも同じようなサービスを提供している事業者がいらっしゃって、その中でステルスマーケティングがあるかないかによって、さっきのようにレピュテーションとかが変わってくるわけでして、その辺りも考えると、非常に大きな、今回、ステルスマーケティングに関することを規制されていくと。そして、法執行の対象になるよということは消費者にとって、あるいは、そういう意味では、そういうプラットフォーマーにとってもウィン・ウィンになるはずですので、是非年度内にきちんとした告示を出していただけますようにお願いしたいと思っています。

以上です。これは質問ではなくて意見です。

○後藤委員長 よろしいですか。

○消費者庁南表示対策課長 応援の御意見等を頂きました。ありがとうございます。

また、説明でも申し上げましたとおり、景表法に基づきまして消費者委員会の御意見を聴くという仕組みもございますので、また改めて告示案が取りまとめられましたらこういった機会を頂ければと考えておりますので、その節はどうぞよろしくお願いいたします。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、受田委員長代理、よろしくお願いいたします。

○受田委員長代理 ありがとうございます。

この検討会の報告書も大変すばらしい議論がなされていたというふうに高く評価をしたいと思っております。ありがとうございます。

その上で、今後に向けてこれが実効性を持つということについては、いかに消費者へ啓発をしていくか、ここが肝になるということかと思います。その際に、これは、要はなりすましとかいろいろな方法を使って分からなくする、消費者に対する姿をくらますということでマーケティングをやっていくという手法ですので、それをステルスマーケティングという言葉で表現しているということはよく理解をしているところですが、是非啓発においては消費者により分かりやすい言葉を使っていただいて、ステルスマーケティングすなわちこういうような俗称というところで、徹底的に消費者にこれが伝わっていくようなプロモーションの方法を是非御一考いただければ幸いでございます。これはコメントです。よろしくお願いいたします。

○後藤委員長 何かございますか。よろしいですか。

○消費者庁南表示対策課長 コメントということでありがとうございます。

当然、御報告した検討会でも周知徹底が必要ですよという御提言を頂いていますので、先生の御意見も踏まえながら、告示が制定された暁には、適切な周知広報方法を考えてまいりたいと思います。ありがとうございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

○受田委員長代理 ありがとうございます。

○後藤委員長 ほかにございませんでしょうか。

青木委員、よろしくお願いいたします。

○青木委員 御報告ありがとうございました。

景表法、ステルスマーケティングについては、かなり何度もずっと議論がされて、今回、報告書という形でまとめていただきまして論点が更に明確化されたことと、それから、やはり事業者にとっても健全な競争関係を、これがやはり一番重要だと思います。今回、景表法もそうですし、それから、ステルスマーケティングも、その広告であることをきちんと出すとか、やはりこういうことが、ただ、実態調査の中で結局やり得みたいな、こういう悪循環というのは是非起こらないように、今回のことが進められることを是非徹底していただきたいとともに、やはり事業者団体の中でも業界内でモニタリングし、お互いの中での、そういう活動をしている業界団体もかなりあると私は認識しておりまして、今回の消費者保護ということ、それから、健全な事業者の競争関係というところの双方から是非働き掛けながら、これは一日も早く強化していっていただきたいと感じております。

それからもう一点は、先ほど大石委員からありましたが、やはりこのステルスマーケティングとかをやったときに、デジタル広告はすぐ削除されてしまうと。結局、削除されることによって消費者被害というのが早期に防止できることもあるのですが、やはりその調査の段階で非常にここが困難になるということがありますので、景表法の中長期課題に、報告の中にも挙げられておりました、広告を保存するということについては、引き続き是非検討を進めていっていただければと感じております。

これは意見でございます。どうもありがとうございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。よろしいでしょうか。

どうもありがとうございました。

景品表示法検討会の報告書につきましては、確約手続の導入による事業者の自主的な取組の促進を通じて、不当表示事案の早期是正を図ることや、課徴金の割増など、違反行為に対する抑止力の強化などの事項について早期に対応すべきであるとの結論を報告書の内容として示していただきました。

委員からはたくさんの意見が出ておりまして、資料1ですけれども、この中で「早期に対応すべき事項」と、それから、「中長期的に検討すべき事項」というふうに分けて資料1でまとめられております。やはり広告に関して社会のデジタル化の進展ということが非常に重要な問題であって、そういう意味では、デジタル表示の保存義務が中長期のところで検討すべき事項として挙げられているけれども、これについては引き続き、できるだけ早期に検討していただきたいという御意見がありました。

それから、「早期に対応すべき事項」として、立法措置を講ずべき事項と、それから、そうではない事項。そういうふうに分けて記載されていますけれども、特にこの立法措置を講ずべき事項、法改正を要する事項ということにつきまして、実効性ある法改正をという意見が非常に強く出されておりました。消費者基本計画におけるKPIの設定にどのように落とし込んでいくかということが一つの課題になってくると思いますけれども、これに関しても注目しているという御意見が出ております。

それから、実効性ある法改正ということで従来の、例えば、先ほどの確約手続の導入については、独占禁止法で導入されていて、その導入前後の状況の変化というものも参考にしながら考えていくということも必要なのではないかという示唆も頂いたところであります。

その他、問題となる点として、繰り返し違反に対する課徴金の割増というのが抑止力の強化として十分なのかどうか。こういうことも事後の検証を含めて検討する必要があるのではないかと思います。

中長期的な課題として挙げられた景品表示法の供給主体、責任主体の位置付けの見直しや、ステルスマーケティングを含めた指定告示に対する課徴金制度の導入等についても引き続き検討をしていただきたいと思います。

そのような点で、今後、景品表示法の法改正などを検討するに当たっては、報告書の内容や本日の委員の意見なども踏まえて取り組んでいただきたいと思います。

次に、ステルスマーケティングに関する検討会報告書についてでありますけれども、これについては、広告主が自らの広告であることを隠した広告を出稿するといったいわゆるステルスマーケティングにより、一般消費者の自主的かつ合理的な選択が阻害されていることから、景品表示法第5条第3号の告示に新たに規定することが妥当であるとの御報告を頂きました。

これに対しても意見がいろいろ出ておりまして、取引の入口という点で表示というのは非常に大事であって、そういう意味で契約先、誰が主体なのかということについての問題というのは非常に重要な問題であり、ステルスマーケティングの問題について今回取り組んでいただいたということには大きな意味があるという御意見がありました。

ただ、実効性ということから言いますと、消費者への啓発が重要であり、分かりやすい言葉を使うこと、ステルスマーケティングという言葉自体も一般には分かりにくいと思いますので、そういう言葉遣いも含めた分かりやすい周知啓発ということが特に重要でありますし、それから、プラットフォーマー等との連携を行って執行を強化するということも重要な課題になってきます。

今後、指定告示の制定及び運用基準の作成について、報告書の内容や本日の委員の意見なども踏まえて作業を進めていただきたいと考えております。

消費者庁におかれましては、本日はお忙しいところ、審議に御協力いただきましてありがとうございました。どうぞ御退席ください。

○消費者庁南表示対策課長 どうもありがとうございました。失礼いたします。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

(消費者庁 退席)

《3.その他》

○後藤委員長 続きまして、その他事項といたしまして、消費者委員会に寄せられた意見書等の概要につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○友行参事官 それでは、参考資料を御覧いただけますでしょうか。

まず、10月から12月までの間、消費者委員会に寄せられた要望書・意見書等の一覧でございます。

最初、11月7日に受け付けられているものは、労働基準法施行規則の一部改正の省令案についてでございます。

右側のポイントのところでございますけれども、いわゆるお給料について資金移動業者の口座への賃金支払いを解禁するといったことについて、日弁連から反対であるという意見書が届けられております。

それから、11月14日のところは、特商法の5年後見直しの件でございます。

それから、1つ飛んで、同じく5年後見直し、特商法の抜本的改正を求める全国連絡会から、5年後見直しのことについて御意見を頂いております。内容については、特商法の訪問販売や電話勧誘販売についての不招請勧誘への規制の見直しといった事柄になっています。

それから、SNSを利用して行われる取引に関する意見書というのも、関東弁護士会連合会から頂いています。内容については、例えば、SNSのメッセージによって勧誘がなされる取引類型について、通販の特別類型として定め、規制を設けてはどうかといった事柄でございます。

それから、12月5日にNACSから、消費者トラブル防止に関する要望書「ネット取引・デジプラなんでも110番を実施して」というものを頂いています。内容としましては、特商法については通販におけるインターネット通販の規制の強化ですとか、副業、情報商材、連鎖販売の契約における特商法、景表法の規制の強化を求めるといったことになっています。

それから、景表法検討会の報告書についての意見も、消団連と日弁連から頂いています。

消団連から頂いておりますものについては、たった今御説明がありましたけれども、確約手続のことですとか、特定適格消費者団体に対して情報提供できる制度とすることを盛り込むといった内容になっています。

日弁連から頂いた景表法についての意見書については、検討会の報告書の中に盛り込まれていることもありますけれども、それよりもより幅広く、例えば、2ポツのところですと、不当表示規制の対象範囲の拡張についてといったところでございまして、優良誤認表示・有利誤認表示の文言の中に読み込んで適用されている「打消し表示」についても、上記これらの不当表示類型から切り離して、新たに設けてはどうかといった内容が提言されております。

それから、12月22日のところについては、特商法の見直しについての御意見を大阪弁護士会から頂いております。

次に、食品表示関係でございますけれども、二つ届いております。

一つは、食の安全・監視市民委員会から、加工食品の原料原産地表示の改善を求める意見書でございます。加工食品の原料原産地表示については規定がございまして、右側のところでございますけれども、(1)の製造地表示の見直しというところでございます。現在、加工食品について、例えば、「小麦粉(国内製造)」と書けば良いこととなっておりますけれども、それについてはその産地まで遡って、「小麦粉(国内製造)」に加えて、「小麦(米国、カナダ)」といったところまで表示するよう求めるといったことが一つ挙げられております。それから、大括り表示ということで、3か国以上から輸入する場合には、例えば、「大豆(輸入)」というところで良いところを、「大豆(米国、ブラジル、その他)」という書き方にするよう改正を求めるといった内容でございます。

それから、食品についてもう一つ、遺伝子組み換え表示の改善とゲノム編集食品の表示義務付けを求める要望書ということで、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンから頂いております。内容としましては、遺伝子組み換え表示について、例えば、「分別生産流通管理済み」という表示をするようにという、例示としてこういうことがオーケーという形になっておりますけれども、同時に、「遺伝子組み換えでない」という文字がないので分かりにくいですねといったことですとか、また、4ポツのところは、ゲノム編集食品の表示について、現在、表示が義務付けられておりませんけれども、その表示を義務付けることといった内容でございます。

変わりまして、11月1日には、自然人の自己破産手続等における公告制度の見直しを求める意見書というものが届けられております。内容については、自然人の自己破産手続及び個人再生手続において公告されることになっているのですけれども、それ自体を行わない、又は、あるいは公告の方法を官報掲載から裁判所に設置した閲覧専用の端末において一定期間確認することができるという方法に見直してほしいということでございます。

それから、その次でございます。その他といたしまして、4件頂いています。

健康保険証との一体化による「マイナンバーカード」の実質義務化の撤回についてや、それから、国民の暮らしを最優先とする政策の実現を求めますということについて、主婦連から頂いています。

また、薬害オンブズパースン会議からは、コロナの薬品のゾコーバの緊急承認に反対ですとか、シルガード9、子宮頸がんワクチンの件ですけれども、それについての意見書などを参考送付として頂いております。

この間、委員会に寄せられた意見書は以上です。

また、皆様に参考情報としてもう一つお伝えいたします。

参考資料2には、国民生活センターの記者公表案件一覧が掲載されております。

中身についての詳しい御説明は、全ての御説明は割愛いたしますけれども、真ん中ぐらいの11月のところに、「成年年齢引下げ後の18歳・19歳の消費者トラブルの状況(2022年10月末時点)」というものが国センから公表されています。ちょっとだけ御紹介いたしますと、国センから、成年年齢引下げ後の18歳・19歳が契約当事者となっている相談の件数、それから、内容などが公表されております。件数だけ御紹介しますと、前年の2021年は同じ時期に4,800件だったものが、2022年の同じ時期で比べたときには5,100件に増えています。2020年、2021年、それから2022年においてもコロナなどがあって相談件数は多少、その他の要因で変動はしているとは思いますけれども、事実としてこの成年年齢が引き下げられた後の18歳・19歳の相談件数が若干増えているということは留意を要するということで情報提供いたします。

御説明は以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

委員の皆さんから何か意見等がございましたらお願いいたします。

清水委員、よろしくお願いいたします。

○清水委員 ありがとうございます。

まず、消費者委員会に寄せられた意見等の最初の日弁連の、給与ペイ払いというのはとんでもないことだと思います。まだペイ払いの関連の法律等とか消費者保護はまだ全然進んでいないですし、お客様の窓口といっても、電話ではなくメールのみとかそういうのも多いので、相談員としては非常に懸念しています。

もう一つは、今御説明があった国センの成年年齢引下げの数字の件です。数字でも増えていますが、いつも言うのですが、この数字より多くあると。バックには10倍ぐらいあるのではないかと私たち相談員は思っています。そんな中で、コロナの行動制限がある中での成年年齢引下げがあって、今はないですけれども、これから実際に来年、再来年という形でどんどん増えていくかもしれません。現場では啓発、教育の必要性を感じていますが、なかなか人員不足でできていないので、全事業者だとか、行政だけではなくやっていく必要があると思っています。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんか。

受田委員長代理、よろしくお願いいたします。

○受田委員長代理 ありがとうございます。

食品関係の御意見も頂いておりますので、一言だけコメントしておきたいと思います。

頂いた食品関連の御意見、具体的内容については、これまで食品表示部会においても食品表示基準の改正や、新たに食品表示基準を設ける議論の際に委員の皆様から頂いた疑問や御意見が、その多くがその中に含まれていると思っております。

特に具体的に、原料原産地表示に関しては猶予期間も既に終わっておりますので、その後の運用状況等について定期的に食品表示部会において消費者庁から現状の御報告を受けるようにしております。頂いた御意見があることをしっかり意識をしながら、特に食品表示部会の中でまた実際にタイミングを見ながら議論していくという考えでございますので、私から部会長として補足をさせていただきたいと存じます。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

大石委員、よろしくお願いします。

○大石委員 いろいろな御意見を頂いて、御説明いただきました件につきまして、特に今回、5年後見直しの御意見ですとか、あと、NACSの110番の意見が出ておりますけれども、現在、消費者委員会のデジタル化のワーキングですとか、それから、ルール形成のワーキングで検討している内容に大変通じる内容ですから、SNS等を使った勧誘のことですとかマルチのこともありますので、今後、本当に消費者委員会でのワーキングの検討でも是非こういう意見を参考にして前向きに進められればと思います。

あともう一点、国民生活センターの成年年齢の引下げのところですけれども、先ほど清水委員からもお話がありましたように、やはり引下げから1年、これは半年の結果ですけれども、今、どういう状況になっているかというのは、やはり消費者委員会としてもしっかり見ていく必要があると思いますので、またそういう現状の説明なども頂く機会を頂ければと思います。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんか。

○黒木委員 一言だけよろしいでしょうか。

○後藤委員長 黒木委員、よろしくお願いします。

○黒木委員 今、大石委員が言っていただいたのと被るのですけれども、やはり特商法の5年後見直しに関して、消費者庁で今御検討されている内容というものにより広いものを、日弁連もそれをこの前に出しているのですが、意見書を出しておりまして、その辺りも今後もいろいろ。例えば、登録制の問題とか議論があるものは、SNSに関して今、非常に精力的にやっていただいているデジタル化に関する問題ということについても当然なのですけれども、それ以外についても社会的な関心があります。その点について、今後、消費者委員会としてどういうふうに考えていくかということも中長期的には考えていかなければならないのかなと思っておりますので、このような社会的な意見があるということを踏まえて、その辺りも検討の俎上に載せておいてはいただきたいと思っています。

以上です。

○後藤委員長 ありがとうございました。

ほかにございませんか。よろしいでしょうか。

どうもありがとうございました。

これらの意見書等につきましては、今後の動向を注視するとともに、ただいまの委員の方々の御意見も踏まえて、必要に応じて消費者委員会の調査審議において取り上げることといたします。


《4.閉会》

○後藤委員長 それでは、本日の議題は以上になります。

最後に、事務局より今後の予定について説明をお願いいたします。

○友行参事官 次回の本会議の日程等につきましては、決まり次第、ホームページなどを通じてお知らせいたします。

以上です。

○後藤委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)