第389回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2023年1月20日(金)10:30~11:46

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)後藤委員長、飯島委員、大石委員、木村委員
    (テレビ会議)青木委員、受田委員長代理、黒木委員、清水委員、星野委員
  • 【説明者】
    消費者庁奥山取引対策課長
  • 【事務局】
    小林事務局長、岡本審議官、友行参事官

議事次第

  1. 特定商取引法及び預託法について(特定商取引に関する法律施行令及び預託等取引に関する法律施行令の改正等)

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1.開会》

○後藤委員長 本日は、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから第389回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

本日は、飯島委員、大石委員、木村委員、私が会議室にて出席。受田委員長代理、青木委員、黒木委員、清水委員、星野委員がテレビ会議システムにて御出席です。

生駒委員は、御欠席です。

開催に当たり、会議の進め方等について事務局より御説明をお願いいたします。

○友行参事官 本日は、テレビ会議システムを活用して進行いたします。

資料は、議事次第に記載のとおりでございます。もし、不足等がございましたら、事務局までお申し出くださいますよう、お願いいたします。

以上です。


《2.特定商取引法及び預託法について(特定商取引に関する法律施行令及び預託等取引に関する法律施行令の改正等)》

○後藤委員長 本日の議論は「特定商取引法及び預託法について」です。

消費者委員会では、特定商取引法等における契約書面等の電子化について、令和3年2月に建議を発出するとともに、継続して消費者庁における検討状況を確認してきたところです。

本日は、この契約書面等の電子化に関する内容を含む特定商取引法施行令、預託法施行令の改正に当たり、資料1のとおり諮問がされましたので、消費者庁から改正の内容について御説明いただきます。

本日は、消費者庁取引対策課、奥山課長に御出席いただいております。本日は、ありがとうございます。

それでは、20分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁奥山取引対策課長 ありがとうございます。

消費者庁取引対策課の奥山でございます。本日は、お招きくださいまして、ありがとうございます。

ただいま、委員長から御紹介がございましたとおり、特定商取引に関する法律の施行令、それから、預託等取引に関する法律施行令の改正に当たりまして、消費者委員会に諮問を申し上げる件がございまして、そちらにつきまして、御説明を申し上げたいと思います。諮問文の本文は、お手元の資料1でございます。

法律の規定に基づきまして、政令改正の場合は、消費者委員会への諮問を行うということとされておりますので、その公文でございます。

それから、資料2に概要を御用意してございますので、これに基づきまして御説明を申し上げたいと思います。

ただいま申し上げましたとおり、政令の改正に当たっては、消費者委員会への諮問を行うということと法律に定められてございます。

今回の諮問事項に関しましては、特定商取引法と預託等取引法の契約書面等の電子化に係る規定の新設、それから、諮問事項の(2)でございます、特定商取引法におけます、電話勧誘販売に関する規定の改正。具体的には、電話を掛けさせる方法についての規定の改正が諮問事項でございます。

具体的に諮問内容につきまして、資料の3ページをお開きいただければと思います。

特定商取引法の改正法、令和3年改正なのですけれども、3段階で施行を進めてまいりました。まず、第一段階目は、送り付け商法に関する規定の施行。これは、令和3年公布後すぐに施行をいたしました。

第二段階目、例えば、定期購入商法に関する対策の部分に関しましては、昨年の6月1日施行ということで進めました。

残っておりましたのが、今回御説明申し上げます、契約書面等の電子化に係る規定につきましては、公布後2年以内の施行ということで、政令案を定めた次第でございます。

契約書面等の電子化のための政令につきましては、ほかの書面電子化の法律の例を参考にいたしまして、以下について規定をしてございます。

まず初めは、消費者から電磁的方法による提供について承諾を得るに当たって、どのように承諾を得るかという、その方法でございます。利用する電磁的方法の種類及び内容を示した上で、書面又は電子情報処理組織を使用する方法、これは平たく申しますと、コンピュータを通じて、いわゆる電子的な方法で承諾を得るということでございます。

また、一旦した承諾につきまして撤回ができること、更に、その撤回を上書きする形で再承諾が可能なことということも定めてございます。

この上の二つの2点につきましては、ほかの書面電子化に係る法律に定められてございます政令の内容とほぼ同じというものでございます。

3点目につきましては、ほかの法律にはあまりない規定でございます。事業者が、電磁的方法により提供した書面記載事項が、消費者の使用する電子計算機に備えられたファイルに記録されたか及び閲覧に支障があるかの確認をすること、これを規定してございます。

これは、平たく申しますと、電子ファイルを消費者に届けるという形で電子交付を行うのですけれども、そのファイルが、メールなり、ダウンロードなりの方法が想定されますけれども、消費者のもとにきちんと届いているか、かつ、届いたものが、しっかりと見る、読むことができるかと、これを確認するということを政令案に定めてございます。

これが、書面電子化に関わる規定の改正案の内容でございます。

次に、5ページ目にお進みいただきたいと思います。

特商法の電話勧誘販売に関する規定の改正案でございます。

電話勧誘販売、基本的な形は、事業者から消費者に電話を掛けて、その上で商品の購入もしくは役務の提供について勧誘を行うという手順を想定して様々な規制を設けておるのですけれども、消費者から電話を掛けるように、事業者がそのようにさせるといって、事業者と消費者の間で電話、通話が開始された場合であっても、同じように事業者の側から消費者に対して新たな勧誘がなされるというような場合があると。

その電話を掛けさせても、同じような電話勧誘販売が行われて、消費者への勧誘行為が行われるのであれば、やはり、これは、先ほど申し上げた通常の事業者から電話を掛けるような電話勧誘販売と同じ規制に係らしめることが適切ではないかという問題意識のもと、事業者から消費者に対して電話を掛けさせる方法について、今、限定列挙があるのですけれども、現行法ですと、5ページの四角囲みの中の赤字を見ていただきますと、消費者に電話を掛けさせる方法として列挙されておりますのが、電話、郵便、信書便、それから電報、ファクス若しくは電磁的方法、又はビラ若しくはパンフレットを配布ということを列挙しておるのですが、下に書いておりますように、テレビコマーシャルで、こちらにお電話くださいというような電話を掛けさせる方法、更に新聞広告に掲載するような方法、更にはウェブサイトの動画配信の中に、電話しましょうというようなことを呼び掛けるような方法というのが、なかなか明示的に読めるかどうかが少し心もとない状況でございますので、6ページ目にございますように、実際に、このようないろいろな方法で消費者に電話を掛けさせるような勧誘の方法があるということを踏まえまして、改正案では、先ほどございました手段に加えまして、広告を新聞、雑誌、その他の刊行物に掲載し、若しくはラジオ放送、テレビ放送、更にはウェブページ、ネットで閲覧できるような情報、これを利用して電話を掛けさせるという方法も、電話勧誘販売の規制対象とするという旨の追加の規定をしようというものでございます。

以上、2点につきまして、政令案の改正を行いたいと考えてございますので、よろしく御審議のほど、お願い申し上げます。ありがとうございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございます。

それでは、質疑応答と意見交換をお願いいたします。時間は、30分程度でお願いいたします。

清水委員、よろしくお願いいたします。

○清水委員 清水です。御説明ありがとうございました。

まず、電話勧誘の適用を広げていただいたこと、本当にありがとうございます。現場では、きちんとしている事業者は、こんなことはしないのですね。普通は、常識的な事業者はしないのですが、やはり名前も売れていない、何とかチャンスを逃さないという、ちょっと悪質な事業者は、こういった法律の抜け穴をすぐ利用して、また、消費生活センターでは、そういう業者が、いかに消費者の心をつかむのがうまいのか、本当にこれでトラブルが少し少なくなると喜んでおります。ありがとうございます。

その中で、やはり電話勧誘にすると、契約書に赤字、赤枠、8ポイントの表示がありますので、消費者は、はっと気が付いて、それを見て消費生活センターにクーリング・オフできるのならやりたいという相談が多くあります。

そこで、最初の電子化の部分なのですが、計算機、電磁的なもので交付しても良いと消費者が言った場合、やはり電磁的な契約書面でも赤字、赤枠、8ポイント以上というのは堅持していただきたいと思っています。

もちろんスマートフォンを大きくすれば、字が見えることは承知しております。バックも、例えば、赤に、もっと言うと、ピンクのバックに赤字で良いのかみたいなところも承知していますが、まともな、本当に健全な事業者は、そんなことはしないのです。やはり通信販売の、これから伸びていく業界を健全な取引の場とするためには、ここは細かく規定していただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

○後藤委員長 いかがでしょうか。

○消費者庁奥山取引対策課長 御意見ありがとうございます。

電話勧誘販売で消費者から電話を掛けさせるというのは、おっしゃるような悪質商法があるというような事例は、私どもも把握してございまして、一見、非常に良さそうな条件で、魅力的な商品を安価で販売するように見せかけて、電話をしてみると、いや、それよりもこっちを買いませんかとか、これを買わないと、良さそうな商品は買えないのですよとか、いろいろ、あの手この手があるようですので、少しでもそうした被害が減ることにつながればと考えてございます。

それから、電子的な書面の交付で、しっかりと消費者に伝わるという御指摘でございますが、これは、大事なことであると私どもも認識してございまして、今回の諮問事項からは外れるのですけれども、今、やはり策定を予定しております省令案の中には、消費者が明瞭に読めるものであることという、まず、規定を置いた上で、これから策定を予定しておりますガイドラインでは、先ほどおっしゃったような、赤字、赤枠だけれども、ピンクの背景で読めないとか、そういったことは、明瞭に消費者が読めることには該当しないというようなことをしっかりと手当していきたいと考えておりますし、それから、もう一つ、いわゆる電子的に交付した情報というのは、消費者の側で自由に拡大、縮小はできるといえばできるのですけれども、そのまま交付書面と同じものがプリントアウトで作成できるような情報も併せて交付するというような建付けを考えてございますので、ひと手間、プリントアウトの手間は要るのですけれども、まず、画面でしっかり伝わると同時に、紙で念のために見たいなと思えば、今、法定の書面と同じ見た目のしっかりしたものが、いつでも得られるという形を確保するようにしたいと考えてございます。ありがとうございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

○清水委員 ありがとうございます。

とにかく特定商取引法ですから、普通ではない業者がばっこしている世界ですので、どうぞよろしくお願いします。

○後藤委員長 それでは、ほかにいかがでしょうか。

木村委員、よろしくお願いします。

○木村委員 木村です。御説明ありがとうございます。

質問なのですけれども、資料の3ページ、契約書面などの電子化に関わる規定の新設のところで、下から2つ目の「承諾の撤回及び再承諾」と書いてあるのですけれども、それは、例えばどういった方法でやることを想定されているのかというのをお伺いしたいのと、もう一点は、その下で「事業者が電磁的方法により提供した書面記載事項が」とあるのですけれども、「ファイルに記録されたか及び閲覧に支障があるかの確認」なのですが、確認はどのような方法を想定されているのか、教えていただけますでしょうか。

○消費者庁奥山取引対策課長 ありがとうございます。

撤回と再承諾ですけれども、基本的には、普通の、もともとの承諾を得る方法と同様の方法でということを考えております。書面又は電子情報処理組織を使用する方法でございます。

言った、言わないになることを防ぐためには、これが確実と考えておりますが、他方で、事業者がきちんと分かりましたと言ってもらえるような状態、例えば、対面の取引であれば、口頭で、やっぱり止めますということを妨げるものではございません。

さらに、もう一つ頂きました御質問でございます。確認の方法でございますが、これも、その取引の対応に応じて適切な方法を使っていただくことを考えております。消費者が、ちゃんと読めますよということを事業者に対して伝えたということが認識される方法ということで、対面取引であれば、口頭でちゃんと読めますかと言って、それで読めますよと、開けましたよというのは、もちろん使えますし、電話勧誘であれば、改めて電子交付の後に消費者に電話をして、読めますかということも使えますし、更に、ネットであれば、別途メールをするとか、きちんと読めましたという旨のメールを消費者から送ってもらうというような方法でも良いですし、事業者が確実に消費者から返事をもらったと言えるような方法で確認していただかないと、これは、この義務を果たしたことにはならないと考えております。

○木村委員 ありがとうございます。

是非、確実に執行されるように、よろしくお願いいたします。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、受田委員長代理、よろしくお願いいたします。

○受田委員長代理 ありがとうございます。受田です。

まず、今回の特商法における契約書面の電子化に関しては、第6次の消費者委員会でも議論が活発に行われ、また、一方で特商法に関係するということで、多くの消費者の方が、これに対する心配をしていること、また、反対の声も相当あったという背景のもと、現在に至っているということは、再確認をしておきたいと思います。

その上で、その後の多くの議論をしっかり反映していただいていることについては、一定評価を申し上げたいというところと、その具体的な話として、消費者委員会からの建議を超えるような、例えば到達確認義務を入れていただくというようなところは、大いに評価をしているところでございます。

冒頭申し上げたように、多くの方々が心配をしているという経緯から、今後、契約書面の電子化が実際に施行された後、書面の交付と電磁的方法による提供の違いが、多くの消費者の皆様の心配と比較して、実態としてどうなっていくのか、この追跡調査をしっかりと行っていただきたいと、付け加えておきたいと思います。

その際に、これまでの議論の中でも心配されております成年年齢の引下げとの関連、また、ぜい弱な消費者として高齢者の方々に対して、様々な被害が起こることが懸念されておりますので、そういった消費者の属性等もしっかりと反映をした追跡を行っていただき、当然、それに対する見直しも機動的に行っていただくよう、その点を強調させていただきたいと思います。

以上です。

○消費者庁奥山取引対策課長 ありがとうございます。

御指摘の点は、肝に銘じつつ、適切な改正法の施行に努めてまいりたいと考えてございます。

追跡調査につきましては、私どもも、やはり一番頼りになる情報と申しますと、PIO-NETでございますので、電子化の後の相談につきまして、一体どちらの、物理的な紙でもらってなのか、それとも電子交付を受けたケースなのかというのは、やはり各地の消センの相談員の皆様にしっかりと記録していただくことで、初めて信頼できる調査が行われるということもございますので、施行までの間に、できるだけそうした御協力も得られるように、しっかり周知を図りながら、その上で、電子交付に伴う特有の消費者被害が出ていないかというのは、しっかり、おっしゃったような属性の情報も合わせた上で分析をしながら、法律には、もう2年後には見直しをせよという規定が盛り込まれておりますので、それに向けてしっかりと実態を踏まえた見直し材料というのを引き出していくようにしたいと考えてございます。

御指摘ありがとうございます。

○受田委員長代理 よろしくお願いいたします。

○清水委員 今の件で、清水ですけれども、今、課長がおっしゃられたように、私たち相談の現場では、PIO-NETというデータベースに入力しているのですが、キーワードというものが後追いで国民生活センターから付けるようにと指示してきます。これは早急に、国民生活センターは遠慮しているのですね、私たち地方公共団体なので、相談員にお願いするのは大変だというような遠慮があるようですが、SNSのキーワードも遅過ぎましたし、定期購入というキーワードも遅過ぎましたので、今、契約書面というものしかないですので、電子書面というキーワードを早急に入れていただきたいと思います。

もちろん、私たち相談員も、全相協ですから、この点は、きちんと記録するように徹底していきたいと思います。

○消費者庁奥山取引対策課長 大変心強い御意見を頂戴しまして、ありがとうございます。

担当課に、しっかりと施行前に対応が完結するように調整をしたいと思います。その際に、清水先生から、こういったお話を頂戴しておりますというのも、すみません、引用させていただければと思います。ありがとうございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、黒木委員、よろしくお願いいたします。

○黒木委員 黒木です。大変的確な御説明をありがとうございました。

受田委員長代理からもおっしゃっていただいたところなのですけれども、この特商法の改正については、消費者庁で検討会を作っていただいていて、そして、これはずっとホームページに出ていますけれども、検討会だけでも6回、それからワーキングチームを別個に立ち上げられて作られていて、そして、その結果として報告書をまとめていただいています。

2022年の10月6日に報告書がまとめられていて、私どもは、この報告書の中身というものをかなり精査、御説明も頂きまして、これは、当初立法時に懸念されたものについて、検討会で緻密な議論をしていただいた上で、それをフォローしていただいたなと評価しておりました。

この前、パブリックコメントに付されたところの中で、幾つか検討会の報告書と、齟齬があるのではないかと懸念しているところがありまして、日本弁護士連合会も、その点について指摘をした意見書を、昨年の12月23日にまとめまして発出しているところです。

まず、そういう前提、この辺りのところは、前提条件として統一の理解ができると思っているのですけれども、その上で、検討会報告書から、どうして少し、私たちの観点からすると後退したのか、デジタル化の利便性と、それからデジタル化の問題点というのは、やはり二律背反するところがありますので、その辺りのところについて、御説明をもう一度頂きたいというのが第1点。

それから、今後、この2年後見直しについて、今、清水委員もおっしゃっていましたけれども、問題点があったときには、またそれについて検討の場とかを設けていただいて、利便性との関係、特にデジタルを利用する人たちは、良い人たちもいらっしゃることは間違いないのですけれども、そういう人たちは、別にフェイクをかけないのですね。

ところが、フェイクをかけようと思っている人は、意識的にフェイクをかけているので、消費者は、そこには大変弱いというのがあります。その辺り、もしもそこでトラブルが起こったりしたときに、どういうふうに、また、今後これをリカバーしていくのかという点の2点を、御質問させていただきたいと思っているところです。

以上です。

○消費者庁奥山取引対策課長 ありがとうございます。

すみません、今、おっしゃっていただいた点でございますが、少し今日の諮問内容と、そこから、はみ出すところもありますが、併せて、お話を申し上げることをお許しいただければと思います。

おっしゃった点、デジタルの利便性との関係とおっしゃいましたところですが、まず、大きな論点としてございましたのは、私も記憶しておりますのは、電子交付の対象とするデバイスの範囲についての議論があったかと思います。

それにつきましては、検討会報告書の書きぶりですと、書面並みの一覧性を有する形でというような結論がございまして、これを踏まえまして、政府全体の、いわゆるデジタル化原則との関係で、いかに実際の制度に落とし込んでいくべきかというところを、改めて多角的に検討したところでございます。

いわゆるデジタル臨調の事務局からも、考え方につきまして見解を頂いたところ、この制度は、大前提として消費者が望む場合に電子交付を受けるようにできる制度であると、原則としては書面であることは維持されているという中において、いかなるデバイスでないと電子交付が受けられないというような制約、これは、消費者が電子が良いと希望している限りにおいては、できるだけ制約は少ないほうが良いというような見解を、まず頂戴しております。

さらに、今、消費者の方ですので、もう全国民が消費者になり得る存在だと理解しておりますけれども、いかなる電子機器をもって、皆さん電子化になったと捉えるかという観点から、総務省が毎年出しております情報通信白書をひも解きますと、デバイスの世帯ごとの普及状況というのがございまして、最新の情報から御紹介しますと、いわゆるスマートフォンにつきましては、世帯普及率で9割に届く勢いで、かつ、まだ今伸びている状況と。

他方で、いわゆるパソコン、これが、ひと世代前ですと、これが電子機器の標準であったというか、大多数がパソコンであったのですが、これは、もう70パーセントを切るような情勢で推移をしておると。

あと、もう一つタブレット、これは、大体4割ぐらいで頭打ちの状況であると。

そういう状況を見ますと、圧倒的に大多数の方は電子化されますよというと、スマートフォンをその対象としてお考えになるのではないかと考えられると。

今、スマートフォンで、いろいろコロナの対策ですとか、災害対応ですとか、いろいろな、マイナンバーカードのシステムもそうなのですけれども、いろいろな社会システムが、スマートフォンを前提にやはり組まれているような状況というのも、これは併せて考える要因に入っているべきではないか、というようなことも併せて考えましたし、更には、実際の交付書面の中身をスマホ画面の大きさに表示したら、どうなるかというような実験めいたことも実施しまして、法定の伝達事項というのがございます、赤字、赤枠、8ポイントで表示すべきというところを、実際に赤字、赤枠、8ポイントで表示しますと、意味のまとまりである1つの段落が途切れずに表示できる大きさというのが確保できるというのは、スマートフォンの大きさであれば、それが可能であると。

逆に、その大きさを下回ってしまいますと、意味の一つのつながりが、もう途切れてしまうと。ということで、消費者に伝わるという状況を確保しつつ、かつ、望んでいる消費者が利便性を享受できるような状況というのは、やはりスマートフォンの大きさを持って設定するのが妥当ではないかと考えて、省令を作成するに至りました。

その際に、同時に、ただ、スマートフォンをいろいろ悪用する形で消費者に読みにくくするような手口を使う悪質商法の事例も、私ども当然承知しておりますので、これを許さないために、同時に消費者が明瞭に読むことができるという規定を併せて設定することによって、これを、また、そのガイドラインでしっかりと落とし込むという根拠にすることによって、安全性と利便性の両立を図りたいと考えた次第でございます。

もう一点ございました議論では、消費者に対して、電子的な交付をするに当たりまして、消費者がメールなりを見落とさないように、しっかり件名ですとか、メールの本文に大事なことは書くべきであるという御指摘を頂戴して、その旨、報告書には書いてございます。

この点につきましては、第1の目的が、消費者が見落とさないこと、大事な情報をしっかりと認識するということが目的でございまして、これを入り口で、そのメールを、件名をどう書くべき、本文をどう書くべきという、いささか細かい規定で箸の上げ下ろしを縛るよりは、より効果的な手段として、今回、諮問事項にあります政令に規定しておりますとおり、きちんと届いたことを事業者に確認させると、消費者に読めますかと、ということは、消費者はファイルを開いて、もう大事なこと、赤字、赤枠はあるなということも含めて、具体的に見ていただくわけですので、出口で縛っております。そちらのほうがより強力で効果的ではないかという考え方で、出口を縛る方針といたしましたので、入り口のところ、むしろ細かい規定というのは、今回の省令案には盛り込まれていないというように、あえて頂いた案よりも消費者保護寄りにできるような新たな考えが、実現しそうなものに関しては、そのような形で、別の手段で実現したというような点もございます。

すみません、その辺りが、少し報告書とずれがあるところかなと、私が認識する限りではございまして、ほかに関しては、基本的に全て報告書を条文の文章に焼き写したような形で規定をさせていただいていると認識しておりまして、足らざるは、ほかのパブコメの意見とともに、またしっかりとお返事をしていきたいと考えてございます。ありがとうございます。

○黒木委員 ありがとうございました。

丁寧な御説明ありがとうございました。私ども消費者委員会といたしましても、この問題については、非常に関心の高いところでございますので、今の御説明、しっかり受け止めさせていただきましたけれども、また、今後どういうふうに考えていったら良いかということについては、委員会内部でも議論をさせていただきたいと思っております。ありがとうございました。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、大石委員、よろしくお願いいたします。

○大石委員 御説明ありがとうございました。

先ほど、受田委員長代理からもありましたように、私たち6期から、この課題について取り組んでおりまして、まず、最初に消費者委員会として出した建議について、なかなかきちんと伝わっていなかったというところもあるという、その中で、消費者庁でも丁寧に検討を頂いて、今回の政省令につながったことについては、大変感謝しております。

ただ、やはり社会がデジタル化になっていく、これは、もう本当に方向としてはありますし、それで利便性を得る消費者、国民がいることも確かですけれども、では、そのデジタル化によってマイナスの面というのはないのだろうかということを、逆に今だからこそ、きちんと考えておく必要があるのではないかなというのが基本的な思いです。

デジタル化にすれば全て利便性が確保され、国民にとってはプラスかというと、それだけではないということを、まず、基本的には考えていかなくてはいけないと思っております。

その中で、今回の取りまとめ、最初に報告書の御報告を頂いており、先ほど黒木委員もおっしゃいましたけれども、消費者委員会で報告書の取りまとめの御報告を頂いたときに、そもそも私どもが希望していたことが、ほぼ中に加えられていて大変すばらしい報告書だなと思ったのですけれども、その後、この政令、省令になったときに、やはり、今、おっしゃられた2つの点については、私たちとしては、少し後退したのではないかなと思ったのは事実です。

今、理由をお聞きしましたら、確かに、まず、電子書面のスマートフォンのインチを規定しなかった理由というのは分かるのですけれども、見る消費者というのは、若者もいますし、あと本当に不慣れなお年寄りもいますし、誰が使うかというのは、本当にこれは一律ではないということを考えると、やはり先ほどから出ておりますように、2年後の見直しに向けて、やはり、しっかりその後、それによって何が起こったかということを、是非確認していただきたいというのが、1点です。

それから、2点目、御説明いただきました、今回少し後退したのではないかなと思いました件名表示、これが、出口のところで絞っているから、表のところはあまり書き込んでいないのだという話だったのですけれども、逆に私たちたくさんのメールをもらう中で、何が本当に書いてあるものかというのは、最初の件名表示のところで、まずは認識します。ですので、やはりこの件名表示のところに、しっかり消費者が重要性を認識するようなことというのは、出口ももちろん必要ですけれども、入り口のところも、しっかり事業者の方には、そこを書いていただくようにというのを、是非今後もお願いしたいと思います。

以上です。

○後藤委員長 お願いいたします。

○消費者庁奥山取引対策課長 ありがとうございます。

2年後見直しに向けてというのは、2年は本当に早いですので、しっかりと見ていきたいと考えております。受動的にPIO-NETのデータを見るだけではなくて、実際にどんなことが行われているのかというのを、なかなか個別の契約を追いかけるのは難しいときもありますけれども、できるだけ生の状況も含めて見ていければと考えております。

それから、先ほどの件名について、出口で縛るよりは入り口についてもという点ですけれども、埋まってしまうような件名を付けると、事業者は出口での確認に苦労してしまって、なかなかできないというのもございますので、政省令で規制の形としていろいろ増やすというのは限界がございますので、そういった点、しっかり分かるようにしないと、後で事業者が苦労するよというようなところは、ガイドラインなりに規定したり、それから実際に事業者への説明の際に盛り込むなど、少し工夫はしたいと思います。

すみません、少し追加なのですけれども、先ほど木村先生から御指摘がありました、承諾の撤回と再承諾なのですけれども、口頭でと私は申し上げましたが、やはり承諾を得るときと同じ方法というのが基本ということでございます。承諾を得るときに、やはり簡単な方法が認められていないと、書面もしくは、ちゃんとそのパソコンでということですので、撤回と再承諾についても同じ方法と。やはり言った、言わないを防ぐというのは、消費者、事業者両方に大事なことであるということで、あまり簡単な承諾をさせないということも議論を頂いておりましたので、そういうことでございました。

施行令案下の第4条、箱が2つ並んでいる下の第4条の柱書に、主務省令で定めるもの、以下書面等によって得るものとすると規定しておりますので、書面又は電磁的方法ということでございます。

すみません、失礼いたしました。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

木村委員、よろしくお願いします。

○木村委員 木村です。ありがとうございます。

私からも、この電子書面の件について、私も6次から引き続き、こちらに対応しておりますので、是非意見をと思いまして、よろしくお願いいたします。

やはり一番大切なのは、消費者が、自分がどういう契約をしたのかということがきちんと理解できるようになるべきだと思っているのですね。

これは、もうデジタル化という手段でも同様ですので、画面表示について、本当に丁寧に御説明いただきましたけれども、やはり私も少し腑に落ちないなというところもあります。ただ、きちんと消費者が明確に判断できるように表示することが大事だというのは、本当に思っております。

電子化に当たっては、先ほど委員の皆さんもおっしゃっていますけれども、契約条項が読みやすいようなページ構成ですとか、文字の大きさであることが必要だと思っていますし、それについては、文字や背景の色ですとか、あと、活字のポイント数ですとか、あと、見やすいフォントの種類などが、きちんとされるべきだと思いますし、視覚障害者ですとか、色弱者の方など、配慮が必要な方はいますので、そういった方がきちんと認識できるようにするものにしていただきたいと思っております。

これを踏まえまして、クーリング・オフが全ての消費者に認識できるように、きちんと明瞭に表示することが必要だと思います。

画面をスクロールして見なければいけないようですと、クーリング・オフの期間が過ぎてしまったりとか、やはりスマートフォンなど特にそうなのですけれども、やはり下のほうに書いていることをよく見ないで画面を閉じてしまうということがあると思いますので、そういったことがないようにしていただきたいと思います。

本当に、これ以上いろいろなことが、消費者がきちんと契約を理解して、クーリング・オフを理解できるようにしていただきたいと思います。利用者視点で、是非お願いします。

もう一点、先ほどメールの件名もありましたけれども、私もメールが届いているときに、やはり件名でかなり判断いたしますので、ここは本当に、契約のときは大切だと思いますので、やはり、入口と出口と両方が必要なのではないかなと考えております。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

○友行参事官 事務局から御連絡でございます。

奥山課長は、所用がございまして、ここで退席させていただきます。代わりの担当者が着席しておりますので、引き続き議事をお願いいたします。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかに御意見はございませんでしょうか。

大石委員、よろしくお願いします。

○大石委員 すみません、もう1点質問になるのですけれども、今回の3ページにもあります、消費者の使用する電子計算機という言葉があるのですけれども、これは、消費者は、この電子計算機というのが何かというのは分かるのでしょうか、それとも、何か消費者庁では、このガイドラインなどに説明はしていただけるかなと思うのですけれども、今の特に若い人たちは、電子計算機といっても、ぴんと来ないのではないかと思うのですけれども、これについては、どのようにお考えでしょうか。

○消費者庁担当者 ありがとうございます。

電子計算機は、確かに分かりにくくて、本来はパソコンとか、あと、先ほどから議論があったスマートフォンとか、そういうCPUを備えた装置だと思うのですが、法令上は、こう書くことになっていて、政府として統一的に、こうなっているので、そこは、どういうものか分かるように、かつ、重要なところなので、そこは何らか今後、運用の過程で工夫したいと思います。一般的には、パーソナルコンピュータ、パソコンであるということであります。

○大石委員 ありがとうございます。

今、おっしゃったパソコンとか、スマートフォンとかも入るということですね。要するに、そういうものを全て含めて電子計算機と呼ぶということで、よろしいでしょうか。是非、ここら辺は分かりやすい説明をお願いします。

○消費者庁担当者 ありがとうございます。

確かに、先般の打合せでも御議論になった電子情報処理組織とかを含めて、分かりにくい言葉が並んでいるので、そこは、そういうことを普及啓発のときには、うまく伝えるように工夫していきたいと思います。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

飯島委員、よろしくお願いします。

○飯島委員 飯島でございます。

非常に細かな形式のことで恐縮ですけれども、委任命令の在り方に関して、2点質問を、教えていただきたく存じます。

大変細かいことで恐縮なのですけれども、最近の最高裁判決は、委任命令の適法性の審査の際に、授権の趣旨の明確性を要求するものがございますけれども、授権の趣旨についてどのように捉えて、政令省令案の立案をなされたのかということを、少し具体的にお教えいただきたく思っておりました。

御説明の中でも、既に契約書面等の電子化を導入済みの他の政令とか府省令にならってということでございますけれども、特商法などは、導入済みのものとは違うということも、立法過程で一緒に指摘をされていたところではあったかと思います。

その違いというのは、先ほどからございました、事業者の到達確認義務のところ、そこの典型的に配慮されたのだろうと思うのですが、この政令の4条3項というところにつきまして、法律の授権の趣旨というところからしますと、文言からは、必ずしも到達義務を課すというところまで読み取れないところはあるかと思うのですが、事業者に対して義務を付加するということについて、委任の範囲であるとかということをどのように捉えられたのか、あるいは、ここは義務の付加というよりは、立証責任の問題として立案されたのかといった、今の点に限らなくても結構なのですが、授権の趣旨ということについて、もう少し具体的にお教えいただきたいのが1点目でございます。

もう一つ、政令事項と省令事項と、省令は直接の諮問の対象ではございませんけれども、大変恐縮なのですが、今の特商法の4条2項は、基本的には政令で定めるところによりというふうにありまして、電磁的方法については、主務省令で省令に委任をしていると理解をしておりますけれども、省令になってくるのですが、特に省令の10条のところで、10条が、承諾の取得に当たっての説明及び確認等とございまして、9条の電磁的方法の種類、内容は、法律から直接省令に委任されておりますので、これをリンクさせることで、省令で定めておられるのだろうと思うのですけれども、ただ、内容を見ますと、そういった説明とか、確認の手続というよりは、実態的な要件を定めているようにも見える、これは、政令事項ではなく、省令事項にしたということは、どのような考え方に基づいてなさったのか。

また、10条1項の4号で、電子計算機のところ、括弧書きで、こういった大きさということが規定されておりますけれども、ここは、省令では10条、12条というところでの限定かと思うのですが、12条は政令の4条3項に飛んでいるということで、この政令の4条3項で、ここの括弧書きのようなことをせず、この10条1項4号の省令で、これを定めているといったようなところが、あと、この政令事項と省令事項の書簡形式のところで、やや恣意的に見えはしないかといったおそれが、もしあるとしますと、そういったことについて、どのようなお考えのもとに、こういった振り分けをなさったのかということについて、大変細かくて恐縮ですけれども、お教えいただけましたら幸いでございます。よろしくお願いいたします。

○消費者庁担当者 ありがとうございます。

非常に重要な点で、かつ、難しい点だろうと思います。

まず、政令に関して、今回の施行令に関してが諮問の対象なので、申し上げます。まず、これは、当然委任の範囲内で考えたと。それで、先生の御指摘にあった特商法でいうと、この4条3項とか、この確認のところなのです。これも実は、ほかの法律でわずかですけれども、実際例がございます。これは、具体的に言うと割賦販売法等で例がありまして、それを踏まえた上で確認をしていると。

その趣旨としては、正に特商法の法律の4条2項の政令で定めるところによりと、手続の内容を付加しているというものであります。

そういう意味では、この特商法施行令4条3項は、委任の範囲であろうと理解しております。

その上で、なぜ、そのような踏み込んだ委任をしているかというところは、この点、やはり今回、黒木委員、大石委員、あと、木村委員からも御指摘を頂いているように、やはり消費者保護のために一定程度踏み込んだ規定をする必要があるだろうということで、近時の書面電子化に関する政令を見ると、4条3項的な規定はないのですが、限られていますが先例はあり、かつ、それも消費者保護を図る趣旨での先例なので、それを参考にしたということであります。

あと、省令のところも、これは、やや諮問を離れて、これらの御説明は難しいところがあるのですが、省令のところは、基本的には、先生御賢察のとおり、法律、政令に掲げた府令事項を書いているのですが、御指摘あったように、10条のところは、やや今回の検討の趣旨、特に消費者保護を図るために必要性があるという点から、やや実施府令的に書いているところはあるということです。その意味では、実施するためというところを明示してやっていこうということであります。

そういう意味では、ほかに類のないところがあるのですが、それも含めて、今後の運用をしっかりやっていきたいという趣旨であります。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

青木委員、よろしくお願いいたします。

○青木委員 どうも御検討及び御説明ありがとうございました。

非常に今までの様々な論点を盛り込んでいただけているなとは感じております。

これは、お願い事項ですけれども、今回非常に重要な、先ほど奥山課長からも御説明があったように、様々な視点での検討の結果ですので、是非、これを普及させるといいますか、やはり啓発していっていただく段階で、現状のスマホの普及度合い、それから、これから、このデバイスにしろ、機器にしろ、非常に速いスピードでどんどんいろいろな形で開発され、機能追加等々になってくると思いますので、今回御説明いただいた中の、特に5ページでしたか、電子化の中で確認の方法ですとか、ここは消費者に負担なく、しかも、しっかりと確認できる方法ですとか、これは、開発する業界のところへも、是非、こういう趣旨の中で、双方が、事業者側のもちろん確認義務と、それから消費者の負担のない、しっかりとした、こういう被害を防ぐためのもの、この辺のところの働き掛けもしていただけたらなと思います。

それから、やはり用語が、法律用語ですが、先ほど大石委員からもありましたが、例えば、この電子情報処理組織とか、電子計算機とか、やはり一般には何を指しているのか分からない、この分野の表現というのは、非常に難しいので、普及のときには、是非具体的な事例を、好事例、それから問題事例、そういうものを含めて啓発を、これは情報リテラシーも含めてなのですけれども、是非しっかり推進を併せてしていただけたらと思っております。

以上です。

○後藤委員長 お願いいたします。

○消費者庁担当者 ありがとうございました。

非常に重要な点で、消費者側はもちろん、あと、事業者側も含めて両方に、かつ、分かりやすく、特に電子計算機とか、そういう言葉はちゃんと置き換えて、かつ、良い事例も含めて、しっかり啓発していく必要があろうかと認識しております。引き続き、御指導を賜れればと存じます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

どうもありがとうございました。

本日は、消費者庁から特定商取引法施行令、それから、預託法施行令の改正内容を中心に御説明を頂きました。

諮問事項である政令については、特に異論はなかったと思いますけれども、それ以外のものについては、委員から御指摘がたくさん出ております。

まず、令和3年2月に消費者委員会で建議を発出しているわけでありますけれども、消費者の承諾の取得の実質化等については、その建議以上の措置が取られているところもあり、その点については、評価できるという御意見がありました。

他方、幾つかの御質問とか御指摘がありまして、具体的な質問が出たところとしましては、資料2の3ページの「承諾の撤回及び再承諾」の具体的な方法はどうなるのかということ。

それから、「事業者が電磁的方法により提供した書面記載事項が、消費者の使用する電子計算機に備えられたファイルに記録されたか及び閲覧に支障があるかの確認」、この確認は、どのようにするのかという方法の問題ですが、それらについての御質問がありました。

御指摘としまして、消費者庁の検討会の報告書との齟齬があるのではないか、見方によっては後退したのではないかという御指摘もありまして、関心事項として、画面サイズに関する問題、具体的には、スマートフォンサイズまで認められているという点をどう考えるかという点についての御指摘。

それから、クーリング・オフ等の重要事項が消費者に伝わるようになっているかという問題、具体的には、クーリング・オフに係る事項について、8ポイント以上、赤字、赤枠で記載する規定の適用がないという点。

それから、重要なものであることが認識できるよう、メールの件名や本文に記載することについて、これも規定がないということでありますけれども、こういう点について、どのような対応になるのかという御質問がありました。

契約書面等の電子化については、利便性があるとともに、光と影というのでしょうか、マイナス面もあるわけでありまして、これらについて、特にマイナス面の御指摘があったわけでありますけれども、それぞれについて、2年後の見直しということもありますので、その見直しに向けての検討、そういうことについても非常に重要な問題だと思っております。

特に書面等の交付という従来のやり方とともに、今回、電磁的方法による提供ということが認められるということになるわけですので、両者で違いが出てこないのか、違いが出てくるとすれば、どんな点が違いとして出てくるのか、消費者に不利な状況というのが出てこないのかということ、これが非常に重要な問題となってくると思います。その部分の追跡ということに関しては、具体的に成年年齢の引下げとか、高齢者の被害とか、そういった問題も関係してくるところでありますので、消費者の年齢等の属性なども勘案しながら追跡をしていくということが大事だと思います。

それから、用語の問題でありますが、パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォン、そういったものが、電子計算機の種類としては考えられると思いますけれども、どうも言葉として電子計算機と出てくると、分かりにくく、消費者の理解ということに関しては、問題があるのではないかという御指摘も頂きまして、これについても消費者の理解を得られるような対応をしていくということで御説明いただきまして、委員の問題意識を消費者庁としてもしっかり受け止めていただいていると認識しましたので、その方向で、この点についても扱っていただきたいと思います。

ほかにも重要な議論がありまして、委任命令の在り方でありますけれども、そのような法的な専門的な問題についても、重要な御指摘が出ておりますので、この点についても踏まえていただきたいと思います。

委員の方々から様々な御意見が出ていますが、消費者がどういう契約をしたかということが理解できるようにするということが、一番、大事なところでありまして、そういう方向で対応していくことを考えていただけたらと思います。

そういうことで、諮問事項というのは政令事項であって、今、主に議論となっていたのは、それ以外のところということでありますので、各委員からの御指摘を踏まえて、答申案とともに、消費者庁に対応していただきたい事項を、附帯意見としてお示ししたいと思います。

それでは、消費者委員会からの答申案をテレビ会議システムの画面上で表示いたしますので、しばらくお待ちください。

(答申案を表示)

○後藤委員長 ただいま、追加資料として皆様に配付しました委員会の答申案は、令和5年1月19日付けで内閣総理大臣から当委員会に諮問のあった事項について、特定商取引に関する法律及び預託等取引に関する法律の趣旨に鑑み妥当であり、その旨答申するというものです。

その上で附帯意見を付しております。附帯意見につきましては、事務局より説明をお願いいたします。

○友行参事官 それでは、附帯意見の、まず、最初に総論のところでございます。

特商法等における契約書面等の電子化については、法律、政令、府省令、ガイドラインを一体に運用することが重要です。

法施行に向けては、法改正に伴う制度の変更点について、消費者に分かりやすく、かつ丁寧に説明するようにお願いいたします。施行後においては、書面の交付と電磁的方法による提供の違い、年齢等の消費者の属性などにも着目して、消費者被害について把握し、法施行前後での比較を含めて分析を行い、結果を踏まえて必要に応じ見直しも含めて検討するようお願いいたします。

各論でございます。

令和3年2月4日に消費者委員会から発出いたしました建議の中で、消費者の承諾の取得の実質化や、クーリング・オフ期間の起算点の明確化と承諾の取得に関する立証責任についてお願いしておりました。

そこについては、政令や府省令、改正案において適切に手当がなされているものと見られます。

特に、電磁的方法による提供の承諾を得たときは、原則、当該承諾を得たことを証する書面を消費者に交付することを事業者に義務付けている点。

電磁的方法により提供した書面記載事項が消費者に到達していることを確認するよう、事業者に義務付けている点など、建議を上回る手当もなされているところは、評価できると考えられます。

その上で、電磁的方法による提供の具体的方法については、消費者庁に置かれました検討会において検討された報告書の内容と比較しても、消費者保護の点から配慮を要すべき点があると考えられ、以下の点について、特にお願いいたします。

まず、1つ目は「電子計算機の種類等について」としております。そういった電子計算機の種類などについて、消費者が理解できるよう丁寧な説明を行い、法施行後においては、そうした電子計算機の種類などにも着目して、消費者被害について把握し、法施行前後での比較を含めた分析を行い、結果を踏まえ、必要に応じ見直しも含めて検討するようお願いいたします。

2つ目としまして、クーリング・オフ等の重要事項がぜい弱性を抱える消費者も含め、全ての消費者に伝わるよう、クーリング・オフに係る記載について電子計算機の画面に分かりやすく目立つよう表示すべきことをガイドラインに示すようお願いいたします。

そうしたガイドラインに示すとされた事項や、新たに規定された到達確認義務について事業者に対して十分に周知していただき、そうした重要性を消費者が見落とすことのないよう、認識できるようにお願いいたします。

消費者委員会においては、本附帯意見への対応状況について、消費者庁から、今後、御説明をお願いすることとさせていただければと思います。

以上でございます。

それから、付け足しといいますか、ただいま御議論のあった中で、電子計算機の種類について分かりやすくしていただきたいというような御意見がございました。それについては、この附帯意見の中で、脚注などに、例えば、パーソナルコンピュータやタブレット、スマートフォンなどという電子計算機などといった形で、文言は、また考えなければいけないと思いますが、そういった形での脚注などを入れるということについては、付け足していただくと、事務局としては理解いたしました。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、附帯意見の内容も含めて、これを委員会の意見としてよろしいでしょうか。今、参事官からお話がありました、脚注などに、電子計算機ということについての説明を加えるということも含めて、御議論を頂けたらと思います。よろしくお願いいたします。

受田委員長代理、よろしくお願いいたします。

○受田委員長代理 ありがとうございます。

この答申で異論はございません。

友行参事官からも補足をしていただいたように、この答申自体が、より多くの皆様に御理解を頂き、実効性のあるものになっていく必要がありますので、電子計算機といった先ほどの議論も含めて、より分かりやすく、法律用語ということを理解した上で、この答申が実質化できるようにという思いも込めて、先ほどの点について、是非よろしくお願い申し上げます。

以上です。

○後藤委員長 よろしいでしょうか。どうもありがとうございます。

ほかに御意見ございますか。

黒木委員、よろしくお願いいたします。

○黒木委員 黒木です。

こういう形で諮問を超えた省令の話ですけれども、そこについて、きちんと我々の懸念と、それから問題点を指摘するという附帯意見を付けるということについては、当委員会の持っている機能としては、非常に重要なものだと思いますので、私としては賛成させていただきたいと思っております。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

よろしいでしょうか。

それでは、本日の御意見を踏まえまして、先ほどの電子計算機については、分かりやすく説明を入れるということ。それも含めて御賛同いただいたと受け止めます。

具体的には脚注になると思いますけれども、その文案をどのように書くかということについては、私に御一任いただけるということでよろしいでしょうか。

(異議なしの意思表示あり)

○後藤委員長 ありがとうございます。

それでは、その部分について修正を加えた上で、内閣総理大臣宛てに送付したいと思います。どうもありがとうございました。

本日は、お忙しいところ審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。消費者庁の皆様、御退席ください。

(消費者庁 退室)


《3.閉会》

○後藤委員長 本日の議題は、以上になります。

最後に、事務局より今後の予定について説明をお願いいたします。

○友行参事官 次回の本会議は、1月25日水曜日、10時から開催いたします。

以上です。

○後藤委員長 それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございました。

(以上)