第382回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2022年10月28日(金)10:00~12:49

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 河野内閣府特命担当大臣
  • 【委員】
    (会議室)後藤委員長、大石委員、木村委員
    (テレビ会議)青木委員、飯島委員、受田委員長代理、黒木委員、清水委員
  • 【説明者】
    消費者庁楢橋参事官(公益通報・協働担当)
    消費者庁尾原消費者政策課長
    消費者庁山地消費者教育推進課長
    消費者庁加藤地方協力課長
    内閣府規制改革推進室山田参事官
    経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局新川事務局長
    経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局東取引制度企画室長
    都留文科大学教養学部地域社会学科高橋教授
  • 【事務局】
    小林事務局長、岡本審議官、友行参事官

議事次第

  1. 電力市場における競争環境整備に向けた諸課題について
  2. 霊感商法等の悪質商法への対策検討会報告書について
  3. その他

※冒頭、河野内閣府特命担当大臣より御挨拶がありました。

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1.開会》

○後藤委員長 本日は、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから第382回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

本日は、大変お忙しい中、河野大臣にお越しいただいております。お忙しいところ、誠にありがとうございます。

それでは、御挨拶を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

○河野大臣 おはようございます。

今日も委員の皆様お忙しい中、誠にありがとうございます。今月の5日付で電気料金に関しまして、消費者視点で御審議いただきたいことを問題提起させていただきました。

電気料金がかなり高騰し、家計に対する負担が大きくなっている中、本来、消費者の皆さんは、自らのライフスタイルに合わせて電力会社や電気料金のメニュー、自由に選択できる、そういう機会が確保されることが重要のはずでございます。

新電力の参入ですとか、あるいは再生可能エネルギーの導入の拡大といったことで、本来、消費者に対する様々な選択肢が増えていくことが期待されていたわけでございますが、残念ながら現状では、いまだ十分とは言い難いのが現実でございます。

発電、送配電あるいは小売、この分離を含めた電力市場の実態、また、電力市場の競争環境の整備といったものに様々な課題があるのではないかと思っております。

これまで規制改革推進会議の再エネタスクでも、様々この件につきまして検討、提言を頂いていると思いますが、また、今日その取組について御紹介を頂くことになっていると思いますが、大前提となります公正な競争を実現するための諸課題について、消費者の視点から御審議をしっかりとお願いしたいと思います。

また、公共料金等専門調査会において、既に議論をスタートさせていただいておりますが、電力の託送料金の妥当性についても併せてお願いをしたいと思っております。よろしくお願いいたします。

また、先日、河上委員長を始め、消費者庁の中に作りました霊感商法などの悪質商法への対策検討会報告書が出されておりますので、本日の御審議の後、報告書についても御説明をさせていただくことになると思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

是非活発な御議論をお願いして、この電力料金の高騰の中で、消費者にとって何ができるのか、消費者庁としてもしっかり取り組んでまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○後藤委員長 ありがとうございました。

河野大臣は御公務がございますので、ここで御退席されます。本日はお忙しいところ、誠にありがとうございました。

(河野大臣 退室)

○後藤委員長 本日は、大石委員、木村委員、私が会議室にて出席、受田委員長代理、青木委員、飯島委員、黒木委員、清水委員がテレビ会議システムにて御出席です。

生駒委員、星野委員は、御欠席です。

開催に当たり、会議の進め方等について事務局より説明をお願いいたします。

○友行参事官 本日は、テレビ会議システムを活用して進行いたします。

配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。

もし、不足等ございましたら、お申し出くださいますようお願いいたします。

以上です。


《2.電力市場における競争環境整備に向けた諸課題について》

○後藤委員長 本日の最初の議題は、「電力市場における競争環境整備に向けた諸課題について」です。

資料1-1のとおり、10月5日付けで内閣総理大臣より諮問を頂き、委員会の意見を求められております。

諮問事項は2つありまして、1つ目の「電気料金のうち、託送料金の妥当性」については、公共料金等専門調査会において審議を開始いただいており、その結果が出た後、改めて本会議において審議いたします。

本日は、諮問事項の2つ目でありますが、「消費者の自主的かつ合理的な選択の機会を確保する観点から、電力市場における競争環境整備に向けた諸課題」について審議することとし、関係府省庁より本件の概要や現状、問題意識等を御説明いただきます。

本日は、消費者庁公益通報・協働担当、楢橋参事官、内閣府再エネタスクフォース、高橋都留文科大学教授、規制改革推進室、山田参事官、経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局、新川事務局長、東取引制度企画室長に御出席いただいております。本日はありがとうございます。

それでは、まずは消費者庁から諮問内容について、5分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁楢橋参事官(公益通報・協働担当) 皆様、おはようございます。日頃よりお世話になっております。消費者庁参事官の楢橋でございます。

私から、まず諮問の趣旨等について、御説明をさせていただきます。

資料1-1に諮問書を用意しております。今ほど委員長から御紹介があったとおりでございます。電力に関しまして、2つの諮問をさせていただいておりまして、本日はそのうちの2つ目、電力市場における競争環境整備に向けた諸課題について、御審議をスタートいただくということになっているところでございます。

資料1-2を御覧いただきたいと思います。

諮問事項1つ目、2つ目について、趣旨等について示したものでございます。

本日の議題でございます諮問事項の2について、主に御説明をさせていただきます。

ページをおめくりいただきまして、2ページの下、上記2ポツについてというところを御覧いただきたいと思います。

御案内のとおり、平成28年、2016年に電力の小売全面自由化ということになりまして、消費者は電力会社あるいは電気料金のメニューを自由に選択することとなりました。

先ほど河野大臣からの挨拶にもありましたが、現状果たしてそうなっているのかどうかというような問題意識がございます。

一方で、消費者保護のために小売電気事業間の競争力が十分進展するまでの間ということで、経過措置として、大手電力会社、旧一般電気事業者の規制料金といわれるものが維持されることとされておりますが、小売電気事業間の競争が十分でないということで、この経過措置も、現在も全国全ての地域で維持をされているという状況にございます。

近年、電力の需給逼迫であるとか価格高騰というのが問題になっておりますけれども、電力の卸市場の価格高騰によって、消費者の電気料金にも影響が及ぶ可能性があるというか、実際に及んでいるところも多々ございます。

それから、小売の自由化の目的でございます、消費者の自主的かつ合理的な選択の機会の確保と、こういうものに影響が及ぶというおそれがあると考えているところでございます。

このような状況の中で、この電気料金の高騰については、原油やLNGの価格上昇ということは御承知のとおりかと存じますけれども、果たしてそれだけなのかと、電気料金の上昇について、市場の問題、特に卸売市場の問題があるのではないかということで、御審議を賜れればと思っております。

本日は、内閣府再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォースあるいは経済産業省電力・ガス取引監視等委員会から、社内外あるいはグループ内外の無差別な電力卸売について、特に御説明を頂くという予定と伺っておりますけれども、そのような状況の中で、これまで取り組んできておられることも含めて、御審議を頂きたいと思っております。

先ほど大臣からも挨拶がありましたけれども、消費者の自主的かつ合理的な選択の機会を確保ということの大前提となります競争市場を実現するために、消費者の視点から御審議を賜りたいと存じております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

それから、諮問事項1について簡単に御説明をさせていただきたいと思いますが、電力の託送料金についてでございますけれども、この送配電の事業、発電、送配電、小売ということに大きく3つに分けられたわけですけれども、その送配電につきましては、中立的な共通インフラということで、経済産業省、経済産業大臣の認可が必要とされているところでございますけれども、これまで消費者委員会におかれまして、経済産業省における、この託送料金の制度改革の議論、その議論の段階あるいは制度設計の段階、その機を捉えまして御議論を頂いてきたところでございます。

その経過の中で、来年の4月から新たなレベニューキャップ制度が導入されるということになったことに伴いまして、この度は、その料金の妥当性について御審議を頂くということで、10月7日から公共料金等専門調査会に御審議を頂いているところでございます。

雑ぱくではございますが、説明は以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○後藤委員長 ありがとうございます。

続きまして、高橋教授と内閣府規制改革推進室から再エネタスクフォースにおける内外無差別な電力取引についての議論及び考え方について、10分程度で御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○都留文科大学高橋教授 ありがとうございます。都留文科大学の高橋と申します。

先ほどから出ております、内閣府の再エネタスクフォースの委員をしておりますので、2つの立場から競争環境整備に向けた諸課題に対する意見を申し上げます。

最初に諮問事項ということで、こうした環境整備に向けた諸課題について、結論を最初に申し上げますと、不十分であると考えております。

資料1-3-1ですが、1番のところからお話をいたします。まず、確認ですけれども、政府はもう10年近く電力システム改革というものを進めておられます。こちらは、私、大賛成、大いに賛同をしているところでございます。

もともと2013年の2月に専門委員会の報告書が出ておりまして、私、この委員会の委員でもあったわけですけれども、何のためにするのかというと、この括弧のところにございますとおり、需要家の選択や競争を通じた創意工夫によって、安定的な電力供給を実現するということです。

消費者にとっては、やはり新たなサービス、あるいは料金のメニューを自由に選択できるのだと。その結果、競争が働いて、低廉な小売料金、小売価格も実現しますし、あと、供給側から一方的に需給を合わせるのではなくて、デマンドレスポンスといいますけれども、消費者側の工夫も期待できると。そういうことを通じて、消費者にとって様々なメリットがあるということが電力自由化の趣旨でございまして、今、一部で、自由化したから不安定供給になるのではないかとか、自由化自体がそもそも間違いだったのではないかというような御指摘がありますけれども、それは全く違うと。ここの報告書に書いてあるとおりの目的で実行すべきであり、ただ、その前提としては、公正な競争環境の整備、これが絶対に必要であるということです。

そのように考えますと、残念ながら、ここまでのところ政府も頑張って、電取委も頑張ってこられてはいるのですけれども、競争環境というのはまだまだ整っていないのではないかということです。

旧一電が小売市場でも発電市場でも8割を占有されていますし、幾つか業務改善指導とか、カルテルで公取委の立入検査が入っているとか、そういう具体的な事例もございます。

さらに言うと、特に今回卸売についてですから、スポット市場の問題が焦点になるわけですけれども、グロスビディングという仕組みによって、確かに約定量は拡大してきているのですけれども、旧一電は、自分で売って自分で買い取ってくるという部分がかなり多いということもあると。

その一つの帰結が、この図のところに書いてありますけれども、2021年の1月、この点線の部分で、150円ぐらいまで上がっているところがありますけれども、これが1年半前に起きたスポット価格の高騰という問題でありました。このとき新電力は、スポット市場に大いに依存しておりますので、大きな打撃を被ったということです。このとき、需給の逼迫とか、燃料が、今のウクライナ戦争のような理由で入ってこないとか、そういうこともなかったわけですけれども、1か月間にわたって、これだけ価格が高騰したというのは、なかなか外的要因で説明しづらいということだったと思います。

このようなことに対して、2ページの真ん中、図の下のところですけれども、我々タスクフォースからも様々な提言、意見を申し上げさせていただいて、資源エネルギー庁ですとか、電取委ともたくさん時間を使って議論をさせていただきました。その点、大変感謝を申し上げております。

電取委も、この後、説明になると思いますけれども、内外無差別な卸取引を行う自主的なコミットメントを20年の9月から旧一電に対して要請して、旧一電も基本的には従って、コミットメントを今履行していただいているところだと、認識しております。これも大いに賛同しているところであって、是非これを加速していただきたいと思っております。

2番目のところで、そういう中で、今年に入ってからスポット価格の高騰と需給逼迫という問題が起きているわけであります。

3ページ目に行っていただいて、まず、スポット価格の高騰、やはり今回の2022年の価格高騰は、化石燃料の問題です。化石燃料の国際価格の高騰の問題でありまして、先ほどの2ページの図を見ていただきたいのですけれども、これは赤い線のところですね、これが、去年の暮れから今年に入ってから、ちょっと2021年1月があまりにも飛び抜けているので、やや分かりにくいのですが、おおむね20円前後パーキロワットアワーでずっと推移をしていると。それ以外の年は2021年の1月以外も含めてほとんど10円以下、スポット価格は10円以下で推移しているところが、2022年、この赤い線だけは、20円を大きく超えることも平均的に起きていると。

単純に言うと、小売会社から見ると、仕入れ値が2倍以上になっているという状況であります。

3ページ目に戻っていただいて、これは、当然なぜ起きているかというと、日本の電源の4分の3が火力でございますから、やはり天然ガスや石炭といった価格が3倍、4倍ぐらい、この1年の間に高騰しておりますので、短期的にはやむを得ない、火力発電に依存している以上やむを得ないということでございます。

先ほど御説明があったとおり、家庭向けの電気料金も上がっております。今、政府でも補助金を考えていらっしゃるようですけれども、もう既に2、3割上がっておりますし、来年度、年度の初めに、更に2、3割上がるのではないかと言われておりますので、これはかなり深刻な問題だと思っております。

それで、化石燃料の価格が上がっているのだから、電気料金が上がるのは当然ではないかということなのですが、果たして競争環境が平等なのかと言われると、そこに疑問が残るということであります。もう既に新電力の1割以上が、契約停止や撤退・倒産に追い込まれているという数字がございます。もちろん競争力がない新電力が撤退するのはやむを得ないのかもしれませんが、競争条件が平等でないとすると、それは消費者にとって大きな不利益になるのではないかということです。

もう一つの需給逼迫ですけれども、これについては、3月の地震ですとか、6月末の猛暑、6月としては史上初と言われています。そういう自然現象に由来する要因が非常に大きいと考えております。

そういう際に、急に発電所を増やすわけにはいきませんから、やはり需要側でいかに賢く節電するのかと、それからデマンドレスポンスということで、先ほどの電力システム改革の報告書にも非常に強調されていたわけです。しかし、今般、3月も6月もスマートな節電、デマンドレスポンスができたのかというと、なかなかそうではなかったのではないかと。

結局、デマンドレスポンスは市場メカニズムに応じた需給調整ですから、やはり市場メカニズムが機能しない何らかの理由が背景にあるのではないかと考えられるわけです。

以上から3番目、主として4ページ目のところで、ではどうすれば良いのかを、最後にまとめたいと思います。

4ページ目の一番上のところ、まず総論としては、是非、これまでも頑張ってこられていますけれども、更に、競争環境の整備の徹底・加速をお願いしたいということであります。

価格を考えても、今、明らかに火力発電よりも再エネ発電のほうが安いということもございますし、やはり価格メカニズムを働かせることによって、少しでも消費者が電気料金を抑えられるということもございますので、そのための競争環境をしっかりと整備をすることが不可欠ではないかと。欧州などでは、もう20年以上前から自由化をやっておりまして、大手が強過ぎて新電力は全く戦えないというような状況は、基本的にはないと認識しております。

より具体的に言いますと、今回変動数量契約という問題を、特にタスクフォースでは、何度か指摘をさせていただいております。

変動数量契約というのは、確定数量契約に対する概念でありまして、普通は100個買うからこの価格ですというのが確定数量契約のわけですけれども、特段量を定めない、あるいは追加的に供給をしてもらえるのが変動数量契約であると、取引量が変動するわけですね。

事前に決めた価格で追加的に供給してもらえますから、小売側にとっては非常に有利な卸売のメニューになるわけでありますけれども、やはり旧一電は、発送電一貫でやっておられましたので、基本は変動数量契約でやっていらっしゃると聞いております。自社の発電所の電気を小売するという仕組みが残っているということです。

変動数量契約自体が悪いわけではありません。適正なオプション価値を価格に上乗せして供給するということと、あと、それが新電力に対しても、同様の対等な条件で提供されれば、変動数量契約が悪いわけではないわけですが、どうもそうなってはいないのではないかと考えております。

先ほどの電取委も、内外無差別のコミットメントのモニタリングにおいても、まだまだもう少し不十分なのではないかと。今、モニタリングの経過が出ておりますので、変動数量契約について内外無差別を更に徹底していただきたいというのが、1つ目の大きな提言です。

それ以外にも内外無差別のコミットメントの問題がございまして、5ページですけれども、変動数量契約以外でも、相対取引が今、増える傾向にあるわけですけれども、なかなか新電力の求めに応じて、その交渉がうまく進まないだとか、通告変更のタイミングでの条件が、新電力は不利ではないかというような声が上がっているということです。

あるいは旧一電に対して卸標準メニューの作成・公表を進めているところです。実行していらっしゃる旧一電もあるようですけれども、まだ不十分であるという話も出ております。

その他、発電部門と小売部門の情報遮断ですとか、社内取引の文書化についても、是非、徹底・加速していただきたいと。我々も電取委を応援しておりますので、お願いをしたいと思っております。

最後、このように、今、自主的な取組を基本に進めているわけですけれども、それだけでは不十分ではないかと思っております。やはり、どうしても同じ会社の中で発電部門と小売部門があると、社内取引を優先している点があるのではないかと。透明性を高める観点からも、発販分離といいますけれども、発電部門と小売部門を法的に分けることを、是非検討していただきたいと思っております。

それから、グロスビディングの話、さっき申し上げましたが、グロスビディングは、今、廃止される方向で議論がされていると認識しておりますけれども、それに代わるものとして、強制玉出し、発電電力量の10パーセント程度を、スポット市場にネットで玉出しをするということも提案したいと思っております。

以上、私から提言申し上げました。ありがとうございました。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

山田参事官から何か、よろしいでしょうか。

それでは、最後に経済産業省、電取委事務局から、再エネタスクフォースからの提言等を踏まえた内外無差別な電力取引に関し、その対応状況について10分程度で御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○電力・ガス取引監視等委員会新川事務局長 経済産業省電力・ガス取引監視等委員会の事務局長を拝命しております新川でございます。

日頃から消費者委員会、消費者庁及び消費者団体の皆様には、何かと電力システムに御理解、御指導賜っておりまして、ありがとうございます。まず、御礼を申し上げるところでございます。

今回、内閣総理大臣から10月5日に諮問されたということで、特に2ポツにつきまして、本日は御説明をさせていただきたいと思っております。

先ほど河野大臣、それから高橋先生の御説明にもありましたように、コロナからの経済回復、ロシアによるウクライナ侵攻ということを受けた燃料価格の高騰を受けた電力市場の高騰で、非常に電力システム改革も厳しい状況に今あると認識をしておりますが、その中でも、この内外無差別な卸取引につきまして、我々も力を入れて進めているところでございますので、その状況について御報告をさせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局東取引制度企画室長 同じく電取委の東と申します。本日は、どうぞよろしくお願いします。

資料1-4に沿って御説明させていただきたいと思います。

内外無差別の卸売ということで、少し聞き慣れない言葉ではないかなと思いまして、まず、そもそもどういった考え方なのかというところから、簡単に御説明をさせていただきます。

まず、3ページ目です。

電力事業、これはかなり簡素化した絵ですけれども、基本的には電気が届くまでには、発電事業者が電気を発電して、それを小売事業者に卸売をすると、小売事業者から需要家に、正に小売がなされているということになっていまして、今回の議論は、この発電事業者と小売事業者間の卸売のところがフォーカスであります。

そのときに、いわゆる大手電気事業者は、ここを一体会社として、1つの会社としてやっているのに対して、新電力の中には、小売だけを、発電はしないけれども小売をやるという事業者もいまして、そういう大手から買う人と大手の社内で取引されるものというのが、同じ条件で取引されているのかというのが、議論の焦点でございます。

4ページ目でございます。

ちょっと重複しますが、その際に、旧一般電気事業者と呼ばれる大手電気事業者が、下の絵で言いますと、この社内取引だけを、例えば優遇してしまうのではないかと、そういった場合に、その下流の小売取引のところでも、旧一般電気事業者のほうが有利に取引すると、そうすることによって、小売市場の競争をゆがめるおそれがあるのではないかというのが問題意識です。そもそも上流、一番上流の電源の大半を大手電気事業者が持っているということもありまして、ここが一つの論点となっております。

それで、上の箱の注釈にも書いてありますが、電気事業法あるいは独禁法においても、内外無差別という、一般論として、その社内で作ったものを必ず外に平等に卸しなさいといったルールはございません。

そうした中で、監査等委員会、私ども委員会において、各社にコミットしてもらうと、その競争のイコールフットを担保するという観点から、各社に自分たちのコミットメントとして内外無差別に卸すよう求めたと、こういうことでございます。

5ページ目ですが、コミットメントの中身です。エッセンスは以下のようになっていまして、発電部門と小売部門、それぞれが利潤最大化という観点から、マル1のところですけれども、社内外、グループ内外の取引条件を合理的に判断して、内外無差別に電力卸売を行うと。

それから2点目ですが、その社内取引価格をきちんとオンした価格を小売に設定してくださいと。これは、社内取引価格よりも低いような価格で結局小売を行ってしまうと、いわば不当廉売のおそれもありますし、それが競争をゆがめるということもございますので、まず卸売のところの条件を中と外で揃えてくださいと。それをきちんと小売価格に反映してくださいといったことを求めているということでございます。

1つ飛んで7ページ目でございます。

そのコミットメント、これは各社にコミットをするということで文書を提出していただいて、各社同様のコミットメントをいただいた上でですが、その後、それをずっとフォローアップすると、きちんと履行されているかというのを、私どもで定期的にモニタリングしているということでございます。

具体的に何をやっているかといいますと、各社から社内取引の単価条件ですとか、あるいはその社外との契約のデータ、各社から全部のデータを私どもに出していただきまして、それは価格でしたり、量だったり、締結時期だったり、先ほどありましたオプションの有無ですとか、そういったものを全部出していただいた上で、果たして本当に無差別になっているか、定期的にチェックを行っているということでございます。

下に年表のようなものがございますが、21年度の4月から、コミットメントに基づく運用というのが各社で始まっています。要は、ここからきちんと履行しますということになっていまして、昨年度に2回、それから今年度に入って1回と、それぞれフォローアップを行ってきたということです。

この中で、不十分あるいは更に取り組んでいく余地があるという部分に関しまして、今年の3月に、更に追加的にこういうことをやってほしいという要請も行っていまして、そこに基づく取組というのは、来年度以降の契約について履行を求めているという、こういったことになっております。

次のページ以降で、具体的にどんなポイントをチェックしているのかということを書いております。この大きな2番というところですけれども、8ページ以降、ここでは大きく6つの点について、チェックしているポイントについて記載しております。

まず、9ページ目です。

これは、まず、単純に量ですね、外に卸している卸売の量、ある種、売り惜しみなどを行っていないかということで、きちんと社外にも卸売をしていますかというのを確認してきております。

これで見ますと、コミットメントが始まった2021年度については、その前年度から約8割卸売が増加していると。さらに今年の見積値、暫定のものではあって、どちらかというと期中のものが含まれていない数字ではあるのですが、8パーセントぐらい増える見込みということで、取引量自体は増加傾向にあるということでございます。

それから、10ページ目です。

次は取引価格です。社内外の、端的には社内だけ安くて社外が非常に高いといったようなことが起きていないかというものを、チェックしているものでございます。

ここにつきましては、多くの会社においては、むしろ社外・グループ外の取引価格の平均値のほうが低くなっているということが確認されております。

また、一部社内のほうが、中のほうが安いというケースもありましたが、それは個々に、全てどうした理由でそういうことになっているかというのを確認しておりまして、不当に低くなっている事例というのは、これまでのところ確認されておりません。

少し飛びまして、14ページ目でございます。

次、3点目として交渉のスケジュールというのを確認しております。

これは、例えば、社内が先取りしてしまうと、限られた販売数量しかないときに、まず、社内が優先的に量を押さえてしまうということが行われていないかということで、どういったスケジュール感で交渉を行っているのかというのを確認しております。

ここにつきましては、多くの事業者においては、同じ時期に社内外並行して、どっちの条件が良いのかというのを見ながら卸売を行っているということです。

一方で、一部の事業者においては、先に社内の取引が決まっていたというケースも、今年行ったフォローアップでは確認されておりまして、これは、後ほど出てきますが、次年度以降については、ここのスケジュールを必ず揃えて交渉してほしいと、交渉機会を平等に提供すべしということを、今、要請しているところでありまして、これは今後まだ改善の余地がある点かと思います。

それから、すみません、参考がたくさん付いていまして、20ページまで飛んでいただきまして、4点目として、変動数量契約におけるオプション価値というところについてでございます。これは、先ほど高橋先生からも御説明がありましたが、変動数量契約というのは、結局、受け取る電気の量をある程度上げたり下げたりできるというようなオプションが付いているものでございますが、特に大きいものとして、2番目のポツのマル1マル2と書いていますが、どのタイミングまでその量を変えることができるかと、電気の場合は、必ず実際の、実需給といいますが、実際に受け渡すタイミングで需要と供給を一致させないといけないということで、これはぎりぎりまで変更できるほうがオプションの価値が高いと。要は、最後の最後まで需要を見ながら自分たちの供給量を確定できるほうが良いので、なるべく最後の瞬間まで上げ下げできるほうが価値が高いというのが1つですね。

それから2点目として変更できる幅という、この大きく2点が、こうした変動性のある契約のオプションなのだろうと思っております。

こうした点につきましても、各社、例えば社内だけはぎりぎりまで変更できるのだけれども、社外の人は大分前に、その変更のタイミングが切られてしまうとか、あるいは社内の人のほうが大きく数量を動かせるといったことがないかということで、フォローアップの中で確認を行っております。

この点につきましても、かなり取組は進展してきておりまして、5つ目のところに書いていますが、今、大分その期限、タイミングについて、外も中も全く同じタイミングでありますと、例えば、どちらも2日前までには量を確定してくださいといったような契約になった会社が増えてきているということであります。

それから、その次のところですが、変動の幅につきましても、外も中も同じにしているという会社も増えてきているというところでございます。

ここについても、引き続き、これも後ほど出てきますが、次年度以降は、標準的な契約のひな形というものを作ってもらって、中も外も同じような商品を、特に変動性のオプションのところについて、同じような商品を提供してほしいということを求めておりまして、更にここについてもしっかり取組を促していきたいと思っております。

それから、24ページ目です。

体制ということで、これは、そもそもの会社の体制として、きちんと無差別に卸売ができるような体制になっているかということで、大きく2つ書いていますが、1つは社内取引の文書をきちんと残して、取引価格というもの、要するに社内取引というのをきちんと文書で残してくださいということでございます。ここについては各社コミットメントの開始以降、全社できちんと文書化して、取引価格を設定しているということでございます。

それから、窓口、これも当たり前と言えば当たり前なのですが、小売側ではなくて、小売とは独立した部門できちんと卸売というのをやっていただきたい。昔は、ここも営業ということで、卸売というのも必ずしもこうなっていなかったわけですが、今は各社、独立した部門で設置している、小売ではない人が卸売をやっているということでございます。

それから、6点目として、すみません、28ページです。

小売価格との比較、冒頭申し上げたとおり、小売部門で不当廉売が行われていないかという点も同時にチェックしておりまして、ここにつきましても、各社、多くの事業者において、ほとんどの場合は小売価格が卸売価格よりも安くなっていると、正にその不当廉売の疑いのあるようなケースというのはなかったということでございます。

ただ、一部足元で燃料費が急激に上がってきている中で、調達コストがかなり上がっていまして、一部その小売と逆転するような会社が出てきております。

ここにつきましては、小売価格を上げていくということも含めて、こういった会社で検討が行われておりまして、そこについては、引き続き状況を注視していきたいと考えております。

最後に、3番目のパートとして33ページ目以降でございます。

次年度以降の契約について求めていることということで、先ほど申し上げたことと重複しますが、大きく3つ、更なる取組として今求めていることを書いてございます。

34ページ目ですが、大きく3つの1つは、先ほどもありました、交渉スケジュールをより内外で無差別にしてほしいと。これをきちんと明示した上で、一般的に商慣行として1年ものの電力の売買が多くなっておりまして、年度に合わせて4月から、例えば今ですと、これぐらいの秋冬ぐらいから、来年の4月から再来年の3月分の電気の売買が行われるというのが非常に多くなっていまして、いつからいつに交渉をやるのかというのをきちんと内外無差別に伝えた上で交渉をやってほしいと。気が付いたら、もうウィンドウが閉まっているとか、いつの間にか社内だけ交渉が進んでいたということがないように、そこをしっかりやっていただきたいという点。

それから、標準メニューを作ってほしいということで、先ほど申し上げた確定数量なのか変動数量なのかというのも含めて、同じ商品に中の人も外の人もアクセスできるように、分かりやすく標準的なメニューを作ってほしいということ。

それから、社内の情報遮断であったり、文書化、文書の粒度を更に細かくするということ、こうした中の体制整備も更に進めてほしいと、こういったことを、今、求めているところであります。

それで最後に、今、先ほど申し上げたように、来年度に向けた交渉が、正にこれから冬にかけて本格化していくと。3月までには契約をしないといけないので、そういう時期でありまして、今、正に各社で、こういった要請を踏まえた検討が進みつつあるところでして、これから恐らく、各社どんどん来年度どうしていくのかというのが出てくるタイミングだと思います。

39ページ、最後に、その中の事例として1つだけ御紹介させていただきますと、東北電力においては、既に先月、来年度に向けて、こういった形で卸売をしますということを発表されています。

これは、正に内外の無差別ということを意識して、社内の小売部門も、社外も同じ入札方式で電力の販売を決めるということになっております。非常に透明性の高いやり方だと思っております。もちろん、今後、結果的にどういうことが起きたというのは詳細にフォローしていく必要があると思っていますが、正に内外無差別という趣旨からすると、非常に透明性の高い取組を開始されているということだと思います。

このように、徐々に内外無差別に向けた取組というのは、進展してきているところだと認識しております。

先ほど応援といいますか、高橋先生から応援しているというお話も頂きましたので、引き続き私たちもしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

私からは以上です。ありがとうございました。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、質疑応答と意見交換をお願いいたします。時間は50分程度でお願いいたします。

清水委員、よろしくお願いいたします。

○清水委員 清水です。御説明ありがとうございました。

私は日頃、消費生活センターで消費生活相談員をしています。この自由化の5年ほど、小売が自由化になって思っていることは、新電力会社のリスクマネジメントがないだとか、参入がしやすかった、パソコン1台でもうけてやるという事業者が多くいて、消費者が翻弄されたと思っています。今日の話はBtoBですので、初めてお聞きしました。BtoBの契約も、最終的には電気料金に反映されると思っていますので、説明していただいてありがとうございます。

ただ、消費生活センターの相談員をやっていますと、旧一般電気事業者も、自由化になって代理店を使って不実告知だとか、書面不交付だとかもやっていましたし、新電力会社につきましては、特定商取引法の理解がないままやっていましたので、書面すら交付せずに電子書面を交付していました。まだ、特商法の電子書面は施行されていませんので、そんなのを見ていましたら、問題は新電力会社のそういった経営判断の悪さにあったのではないかと思っていました。

そもそも電気料金が高騰している背景というのは、原子力発電所が止まっていて、火力発電に依存しているという点、また、再エネルギーの普及、これはとても大切なことだと思っていますが、これを再エネ賦課金という形で消費者に負担をかけている、そういった総合的なもので高騰しているということがあると思います。消費生活センターの相談員で相談者の話をお聞きしていると、電気料金の構成すら理解していない現状があります。

ですから、残念ながら、先ほど高橋先生が、消費者が選択できる夢の自由化だというのは、まだまだだと思います。それには数多くの課題があると思っております。

そこで、高橋先生に御質問なのですが、今回初めてお聞きした内外無差別な卸売ということなのですが、新電力が供給できないような不利な状況があるというのは、どこかでこういう意見をまとめていたのか、電力・ガス取引監視等委員会がそういう相談を受けていたのかという点を、1つお聞きしたいと思います。

というのは、消費生活センターのトラブルをお聞きしていますと、市民の声は、なぜ自由化したのだと、私たちは地元電力の安定供給で満足している、安い電気を信頼できる地元の電力会社で買いたかったのだと。そうしたら、翌月電気の領収書を見たら、全く聞いたことのない会社からの請求書が来たみたいな相談を数多く頂きました。また電気という特質性でクーリングオフをしますと、普通の商品ではないので、簡単に取消しができないという事情があって相談者は翻弄されていました。

すみません、話が長くなって。今日のテーマは消費者庁から諮問されておりますので、BtoBのところということなので、この苦情というのは、どんな点があったのかというのをお聞きしたいということと、もう一つは、再エネを普及していく中で、これは、もう一つの託送料金のほうに入るかもしれませんが、消費者が託送料金のこと、電気料金の3割から4割を託送料金として負担しているということも知らないのですね。

そこで、やはり再エネを普及するためには、強靭な送電線だとか配電線だとか、不安定な太陽光だとか、風力を入れていくためには、そういった設備が必要だと考えられるのですが、こういった費用というのはどう考えたらいいのか、今日のテーマではないかもしれませんが、2点教えていただけると助かります。

以上です。

○後藤委員長 高橋教授、よろしくお願いいたします。

○都留文科大学高橋教授 御質問いただいてありがとうございます。

1点目については、消費者のトラブルの話というよりも、新電力が競争上不利に置かれている状況というか、それについて御質問という理解でよろしいですか。

はい、新電力につきましては、様々な問題のある新規参入者がいるではないかというのは、それは事実だと思っております。

そういう問題のある、法令に違反するような新電力については、それは適切に指導をして、場合によっては撤退してもらうことになります。それは、もちろん電取委がやっていらっしゃるとは思いますけれども、当然必要ですと。

ただ、自由化の大前提としては、やはり独占時代に問題があったと。そもそも消費者の選択肢が全くなかったわけであって、そこを変えましょうというところが出発点になっていることは御理解を頂きたいと思います。

電力に限らず自由市場においては、当然様々な企業が参入できますので、その中でどうしても問題のある事業者が出ることはやむを得ないので、それは法令に基づいて適切に対処していくと。

電力においても、基本的には供給者が増え、選択肢が増えることは、消費者の利益になるのではないかというのが基本的な考え方です。

とはいえ、これまで独占だったわけですから、急にその市場をオープンにして、さあ後は自由にやってくださいと言っても、絶対に新電力は勝てないわけです。そもそも発電所はほとんど持っていないという状態で新電力は参入してくるわけで、顧客基盤もゼロの状態から参入してくるわけですから、放っておいたら絶対に旧独占企業が勝つと。これは電力だけではなくて、通信とか、ほかの公益事業においても同じ構図があって、そのために、正に電取委が作られて、競争環境を整備しないといけないのだということでございます。

ですので、公益事業の自由化においては、少なくともそこが出発点になるということであって、いかに公正な競争環境を整備するかが鍵になるということです。

そのように考えた場合、今日のテーマである公正な競争条件、先ほど言った卸の取引においても、売り物を旧一般電気事業者がほとんど持っている状況ですので、なかなか対等な条件で新電力は戦えていないのは明らかだと思いますし、かなり状況は改善されてきているというお話でしたけれども、実際に個別に聞いてみると、なかなか交渉に応じてもらえないだとか、今、供給力が不足しているという話もありますから、そもそも玉がないという理由で断られたりですとか、交渉のスケジュールについても、どうも何か新電力のほうが後になっているのではないかという声も、新電力の方々からも聞いております。

それは、私ども内閣府の再エネタスクフォースが総合的に担当しているわけではないので、電取委が新電力と連絡を取って、確かに問題があるようだねということで、先ほどのコミットメントの取組をしていらっしゃるということだと思います。

新電力の中に、どれぐらいと言われても困るのですけれども、大半といいますか、比較的多くの数は真っ当な事業者だと思いますので、その真っ当な事業者が、真っ当な競争ができるようにすることが基本的な考え方でございます。これが1点目です。

2点目は、再エネ普及によって、送電網の建設費用が掛かるではないかという話です。これは、おっしゃるとおりです。送電網を増強することが、今後中長期的に必要になってまいります。

その際、考え方として重要なのは、再エネ単体の発電コストがどんどん今下がっていて、明らかに火力発電よりも原子力よりも安い状況になっているという中で、当然立地場所が既存の発電所と異なりますから、新しい発電所が各地にできていくわけですから、送電線自体も再編成をせざるを得ないことになります。

では、発電所を作るのと送電線を作るのはどっちが安いのだと考えると、もちろん、ケース・バイ・ケースではあるのですけれども、欧州で話を聞くと、新しく火力とかそういう発電所を作るよりも、送電線を作って足りているところから足りないところへ融通をしたほうが圧倒的に安いのだと、送電網の建設費用を含めても安くて効率的なのだというのが、彼らの基本的な考え方でありまして、日本においても、そういう考え方のもとに今、経産省で送電系統のマスタープランというものの策定を進めているところです。

ですので、電力料金トータルとして、いかに上昇圧力を抑えていくのかという考え方が大事であって、送電線のコストも含めて、やはり今、脱炭素ということも政府は言っているわけですから、再生可能エネルギーを増やしていくという方針に基づいて、計画的に進めていくことが大事だと思っております。

以上です。

○清水委員 ありがとうございました。よく分かりました。

電力・ガス取引監視等委員会の御説明をお聞きして、引き続きやっていただければ良いのではないかと思っております。どうもありがとうございました。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、受田委員長代理、よろしくお願いいたします。

○受田委員長代理 受田でございます。御説明ありがとうございました。

前回の委員間打合せでもいろいろと情報を頂き、今回の説明でかなり理解が深まっております。

その上で、大きく2点質問をさせていただきたいと思います。

まず、1点目なのですけれども、我々消費者委員会としては、消費者の自主的かつ合理的選択の機会の確保というところが、極めて大きな観点になります。

現在、コロナ禍あるいはウクライナ危機等があって、社会情勢が大きな激動の時期にあるのですけれども、もともとこの混乱の時期で、こういう議論をしているということは、極めてファクターが増えていて、なかなか解決に向けて議論を収束させるのが難しいのではないか、そういう印象を持っております。

それで、まず1点目の質問に関しては、このコロナ禍より前、あるいはウクライナ危機が生じる前、先ほどの20円という価格ではなく、その半分の10円キロワットアワーぐらいの価格というところで質問をしたいと思うのですけれども、その時点において電力の自由化、内外無差別に電力卸売していくという意味では、今の整理の仕方で十分理解はできるのですけれども、この危機的な状況において、消費者の自主的かつ合理的選択という面では、より価格を安くするという視点が、まず一義的なのではないかと、私自身は考えております。

そうなったときに、この内外無差別化ということを追求していくことが、今の危機的状況における消費者のメリットを最大化するのかどうか、改めて伺いたいというのが1点です。

それから2点目ですけれども、当然、今後アフターコロナや経済危機等が過ぎ去っていって、より落ち着いた社会が来ることを期待しつつ、その時点では内外無差別に電力の卸売をということ、これを追求していくこと、全く異論はございません。

そのためには、電力会社において発電部門と小売部門を、各々が中長期的に利潤を最大化できるように、完全に独立をさせていくことが求められると思います。

その際には、電力会社は株式会社ですので、株主に対する説明ということが極めて重要なファクターになっていくのではないか。すなわちNTTの前例のように、完全に分社化すべきではないか、そういうところを見据えていくべきではないかと思うのですけれども、それに対する御意見はいかがかというところです。

特に今、こういった電力会社がプライム市場にあると思うのですけれども、TCFDの観点から、気候変動に対する財務的なディスクロージャーが求められていくということがありますので、ここの部分と株主の意見、これをしっかりすり合わせて消費者に対して訴求していくことが、分社化の加速につながっていくように私は思うのですけれども、この辺りの議論というのはどうなっているのかというのが2つ目の質問でございます。

よろしくお願いいたします。

○後藤委員長 それでは、高橋教授、よろしくお願いいたします。

○都留文科大学高橋教授 大きく2つありました。

1点目が、今、危機であるから、危機の際の対応としてどうあるべきかということだったと思います。特に消費者から見ると、やはり価格を安くすることが重要なのだが、そういうことを考えた場合にどうすべきかということだと思います。

危機の対応であるからという際には、恐らく考え方は2つあると思います。危機であるから、国家、政府が大いに介入して、強制的に電気料金を下げさせるのだという考え方です。

例えば、韓国という国は、韓国電力公社、国営の電力会社が小売供給をやっておりまして、たしか100パーセントではないかと思いますけれども、これは規制料金になっています。規制料金ですから政府の命令で安く抑えていると聞いております。

その結果どういうことが起きているかというと、韓国電力公社が大赤字に陥っています。市場メカニズムに基づかない価格を付けていますので、大赤字になって、一部国家財政から補填をしていると聞いております。

フランスも比較的似たような状況にあって、フランス電力公社、国営ですので、赤字という状況に陥っていると。これは一つの考え方ではありますが、それが今の時代に適切な考え方なのかというと、私は疑問に思っております。

ではどうするかというと、もう一つの考え方は、やはり市場メカニズムを、こういう時期だからこそ働かせるということであります。燃料費が高くなっているのだから、そこは当然、放っておけば電気料金は上がっていくわけです。単価が上がっているのであれば、そこは消費者としては、いかに消費量を減らすのか、あるいは単価が高い時間帯の消費を減らすのか、工夫すると、知恵を使うということです。

小売事業者も市場価格が高い時間帯にたくさん電気を売りたくないわけですから、料金メニューを工夫する、デマンドレスポンスのサービスができるようにする、あるいはデマンドレスポンスがしやすいような、ハードウェアの販売を増やすことが考えられます。

市場メカニズムを使うのは、結局そういうことであります。高い要因があれば、どうしても単価は高くなるのだけれども、それを全体の料金として少しでも下げる方法があるのではないかと、そこに、消費者も事業者もしっかりと知恵を使ってもらおうという考え方が、自由化の根底にあるわけです。

ですので、自由化したから高くなるというのは、全く正しくはなくて、適切な自由化をして、適切な競争環境を整備すれば、そういう一部の困った事業者を除けば、やはり価格は相対的に見ると下がると考えられます。

ですので、私としては、できる限り後者を、今だからこそ進めるべきではないかと思っております。競争環境の整備が今こそ必要なのではないかということで、是非内外無差別のコミットメントも徹底してもらいたいということです。

2つ目の危機後については、先生おっしゃるとおり、更に競争環境を整備していくということであります。私としては、発販分離という提案を以前からしているわけでありますけれども、恐らく電取委から、これから説明があると思いますが、まずは、内外無差別のコミットメントをやりたいということで、それ以上の発販分離に関する議論は、現時点では行われていないと理解をしております。

私からは、以上です。

○後藤委員長 東室長、いかがでしょうか。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局東取引制度企画室長 ありがとうございます。

1点目につきましては、高橋先生のおっしゃっていたところと、かなり重複。

○受田委員長代理 ちょっと音声が途切れておりました。

すみません、先ほどの高橋先生の2問目のお答えを頂いている辺りから、ちょっと音声が途切れておりまして、聞き取りにくくなっておりました。すみません。

○後藤委員長 それでは、高橋教授、よろしくお願いします。

○都留文科大学高橋教授 2問目は、短い返答だったのですけれども、危機後については、もちろん、今、申し上げているような改革を更に進めていくべきということで、タスクフォースとしては、以前より分社化、発販分離をすべきではないかと申し上げておりました。現時点で電取委ですとか、資源エネルギー庁では、検討していくという方向性は出していらっしゃるようですけれども、具体的にこうするというようなところまでは議論が行われていないと、私は理解しております。この後、電取委から御説明を頂ければと思っております。

以上です。

○後藤委員長 それでは、東室長、よろしくお願いします。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局東取引制度企画室長 ありがとうございます。

1点目の御質問につきましては、高橋先生のおっしゃったことと、かなり重なる部分があるのですけれども、やはり1つは、競争の中で、市場メカニズムの中で、料金が下がっていくというのがもともとのシステム改革の趣旨でありまして、短期的に見ても中長期的に見ても、しっかり競争環境の整備というのが根底といいますか、基本的な考え方としてあるのだろうと思っています。

加えて、1点目で国の介入という話もありましたけれども、足元の電気料金の高騰につきましては、直接的にその補助をするといいますか、支援をするという形で消費者の負担を下げていくということが、正に政府では検討されておりまして、いわば先ほどおっしゃった両方を今やっていると。基本的には市場メカニズムの中でなのですが、余りに劇的な変化というのを避けるために、消費者に対する補助を行っていくということが、今、進められていると理解しております。

それから、2点目につきましても、これも先生がおっしゃっていただいたとおりなのですが、まず、内外無差別な卸売を確保していくと、実効性を高めていくという上では、今こうした法的なリーチもない中で、コミットメントというアプローチで、今、取組を始めております。まずは、やはりこれをしっかり追求していきたいと考えております。

実際に、先ほども御説明申し上げましたが、オークション形式で完全に無差別で売るといった事業者も出てきたり、あるいはオプション価値のところについても、かなり内外無差別に設定する事業者が増えてきたりと、取組としては確実に前進していると思っておりまして、こうしたことをまずはしっかり追求していきたいというのが、今の考え方でございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

○受田委員長代理 ありがとうございました。

そういう意味では、高橋先生がおっしゃられた2つ目の対応で、市場メカニズム、ここの部分を強調していくことが、消費者に対する啓発の部分、ここにつながっていくのだろうとも思います。

それで、ポートフォリオ的に消費者がより教育をしっかりと、要は電力のメカニズム、需給のメカニズムを理解して、自主的かつ合理的選択の機会を増やせるように、その上で、安定供給といいますか、今回の新電力の体質問題というのが、それに大きな影を落としてしまった。せっかく、学び、そして自主的かつ合理的に選択をしようとしたときに、退出をする新電力があったことが、消費者の決断をかなり脆弱にしたように思うのです。ですから、その辺りをもっともっとしっかりしたシステムに仕上げていただく必要があるのではないかと、強く思います。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、黒木委員、よろしくお願いいたします。

○黒木委員 ありがとうございます。

高橋先生の資料1-3-1の5ページ目、かなり同じような御質問が出て、御回答を頂いておりますけれども、ちょっと違った観点でお尋ねしたいと思っております。

私、弁護士なので、ソフトローとハードローのベストミックスという観点で考えてみますと、旧一般電力というのも、ある意味では事業者としての社会的な責任というものを考えて行動している事業者のグループではないか、一応信頼に値する事業者であると考えたときに、高橋先生は、法的分離を検討すべきだとおっしゃっています。

この点についてですが、どのような場合に法的分離が必要となると考えられるのでしょうか。先ほどのお話を聞いていますと、ある意味では、ソフトローのレベルで、一定程度成果が出てきているとも聞こえました。電取委の御説明とかを聞かせていただくと、ソフトローでもその対応が可能だとも聞こえております。

したがって、高橋先生にお尋ねしたいのですが、この5ページ目の最後の括弧の中のところですけれども、どういった場合には法的分離という形のハードローを政府として検討すべきなのかとお考えなのか、そのメルクマールみたいなものを、もしも高橋先生がお持ちであれば、その辺りのところを教えていただければ有り難いと思っております。

以上でございます。

○後藤委員長 お願いいたします。

○都留文科大学高橋教授 ありがとうございます。

私も法律家ではございませんので、どこまで正確に答えられるかどうかというのは分かりませんが、法的分離というのは、何かしら、先ほども御説明が電取委からあったとおり、法律に基づいて命令できるものではございません。あくまで民間企業の経営形態の話ですから、政府が要請して、それに対して各社が経営判断として受け入れるならば受けるというものだと理解しております。

御承知のとおり、既に送電事業については法的分離がなされています。その際も政府が命令したのではなくて、政府の要請に電力会社が経営判断で応じたということです。すみません、ソフトローなのか、ハードローなのか、私は区別が分かりませんが、もし、今回、小売と発電の法的分離をする際にも、恐らく方式としては似たような形になるのではないかと。政府とか経産省が要請をして、各社が判断をして、受け入れるなら受け入れるということになると思っております。

では、政府がどの時点でそこまで要請するのか、どこに線引きをするのかということですけれども、なかなか客観的な基準というのは、お示しすることが難しいわけです。とはいえ、今回の内外無差別の問題、特に変動数量契約の問題を見ていても、やはりまだまだ内部取引が多くて、かつそれが優遇されているということは、これが論拠となることは、ある程度言えるのではないかと思っております。

もう一つは、どれぐらいの期間、自主的な取組で競争環境を整備してきたのかを考えると、電力システム改革という意味では、2013年からと考えれば、10年近くやっているわけですし、実は、電力自由化全体で見ると、もう95年から日本政府はやってきたという事実があります。欧米諸外国と比べても、自由化についてはかなり時間を掛けてゆっくりとやってきていて、まだ、この状態に止まっているという説明の仕方もできるでしょう。

あと、もう一つ、法的分離をすると、発販分離をするということが、必ずしも旧一電にとってもマイナスになるわけではないということが、重要なポイントです。発電部門は発電部門で独立するわけですから最大限利益を追求できると、小売部門も最大限小売部門として利益を追求すると。だから、市場機能が生かされるという意味ですから、うまくやれば、旧一電にとって両方ともプラスになるということですので、そういうことも踏まえて政府が要請して、受け入れる電力会社は受け入れてくれるというものだと理解しております。

不十分な答えかもしれませんけれども、私からは以上です。

○黒木委員 ありがとうございました。

大分私も頭の整理をさせていただきました。

あと、もう一点なのですけれども、近時、例えば法的倒産手続を取ってしまったような新電電もあるということが、報道資料とかで確認できております。

それで、そういった場合に、今後こういう小売と卸とを完全に分離していってしまったときに、消費者あるいは排出事業者にとっては、いずれにしろ電気がなくなるというようなことというのは、非常に重大な社会的不利益を被らせてしまうので、セーフティネットとして、何かそういうような場合に、今は多分、旧一般電力の小売がそういうセーフティネット的な役割を果たしているのではないかと、理解しておりますけれども、そういうセーフティ、もしも新電電のほう、あるいは小売を完全に分離してしまったときの、いろいろこういう市場の混乱その他による新電電の経営破綻、あるいは新規の取扱いをしないといったようなことがまた起こったときに、セーフティネットとしての最終事業者に対する電力の供給というものは、市場原理だけで賄えるのかどうなのか、その辺り、少し教えていただければと思います。

以上です。

○後藤委員長 お願いいたします。

○都留文科大学高橋教授 電取委の御担当、御専門だとは思いますけれども、一般消費者については、現在でも規制料金が残っておりますので、仮に新電力が倒産をしても、旧一般電気事業者の小売と契約ができるということが保証されていると理解しています。

ですので、一般消費者については、現時点では、先ほど申し上げたような、いわゆる電力難民の問題は生じていないし、今後も原理的には生じ得ないと理解をしております。

もちろん、考えたくないことですけれども、旧一般電気事業者自身がどうなるかというのは、また別問題としてはあり得ますけれども、新電力が倒産したから、すぐに電気の契約ができなくなるという話ではないと思っています。

もう一つは、あくまでそれは小売の契約の問題ですので、旧一般電気事業者の中で発電部門と小売部門が法的に分離されることとは関係がないということです。小売契約は、旧一般電気事業者の小売部門と規制料金ですれば良いわけですから、その際に旧一電の発電部門と小売部分が法的に分かれていることは無関係であるということを申し添えておきます。

○黒木委員 ありがとうございました。

○後藤委員長 東室長、よろしくお願いいたします。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局東取引制度企画室長 本題と少しずれてしまうかもしれませんが、セーフティネットという意味で言いますと、まず、一般送配電事業者といわれるネットワークを担当している会社の方が、最終保障供給ということで、例えば、誰とも小売と契約できないというような需要家については、ネットワーク側で契約を結べるという制度になっていまして、いわゆる電力難民というのが非常に問題化されたわけですけれども、そういった需要家が無契約になって、誰からも電気の、要は電気が止まってしまうかというと、そういうことにはなっておりません。まず、システムとしては、最終的にはネットワークが必ず電気を供給するということで、セーフティネットというのが整備されております。

それから、御指摘の小売が果たしているということでは、旧一電の小売が果たしているセーフティネットの役割ということに関しては、先ほど高橋先生からもありましたが、足元では規制料金が残っておりまして、これは消費者保護の観点から、十分な競争状況が確認されるまでは、この経過措置料金というのは残すことになっておりまして、足元では、全エリアでそういうものが残っておりますので、今でも規制料金での契約というのは、これは、いわゆる家庭向けに限られてはおりますが、一部、沖縄はちょっとまたあれなのですけれども、契約したいということであれば、必ず旧一般電気事業者の規制料金での契約ができるということになっていまして、大きなセーフティネットとしては、こういうところが整備されているということでございます。

○後藤委員長 よろしいでしょうか。

○黒木委員 ありがとうございました。

○後藤委員長 それでは、木村委員、よろしくお願いします。

○木村委員 木村でございます。御説明ありがとうございます。

やはり、私、消費者の立場から言いまして、消費者にとって自由化になったときに何が心配かというと、先ほどお話がありましたけれども、新電力が破綻したときに、電力はどうなってしまうのかなと大変心配していたのですけれども、それは自由化になるときに、しっかりセーフティネットがあるということは御説明いただいたので、私はそこは理解しているのですけれども、まだまだ知らない方は多いのではないかなということと、今はそうなのですけれども、今後どうなっていくのか、規制料金が今度撤廃されるとか、そういった事態が今後起きるでしょうし、どうなっていくか今後見守っていきたいと思いますので、是非そこは、よろしくお願いしたいと思います。

やはり消費者にとって電力は、価格はもちろん大事なのですけれども、発電の価格はどういったものなのかというのが、なかなか情報として届いていない部分もありますし、もう一つ言うと、再エネの普及に、なかなか普及につながらないというのは、やはり消費者が再エネの電力を選びにくいという部分があるのかなと思います。

それで、私はやはり再エネの普及に期待しているところもありますので、やはり電力会社をきちんと選ぶことができるように整備していただきたいと思いますし、それには、やはり透明性が必要だと思いますので、情報開示していただく。

それから、先ほど、先生からの御回答にもありましたけれども、様々な料金プランがあるとか、使い方を工夫するとか、そういったことも必要だと思っていますので、是非お互いに頑張っていければと思っています。

それで、発電と小売部門の法的分離が必要だという先生の御指摘がありましたが、先生からのお答えは、先ほどの質問の御回答にあったので、電取委にお聞きしたいのですが、先ほどからコミットメントが望ましいということで、今いろいろ検討がされているというお話は伺っているのですけれども、ちょっと比較して、業種が違うので完全な比較はできないのですけれども、通信の場合に、やはりなかなか電電公社から自由化して携帯とか、いろいろそういう流れがあるのですけれども、やはり被害が大体多くて、消費者から苦情があって対応してきたという、ずっと経緯がございまして、やはりその間、かなりの年月が経っております。いまだにやはり消費者保護というのは、ずっと検討が続いているのですけれども、今回、法的分離の検討というところで、どのようなときに法的分離をするのか、先生からはお話がありましたけれども、電取委はどのように考えているのか、先ほどの回答と重なる部分はあるかもしれませんけれども、ちょっと聞かせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○後藤委員長 それでは、まず、高橋教授からコメントを頂いて、その後、東室長からよろしくお願いいたします。

○都留文科大学高橋教授 私からは、すみません、どの部分のコメントをすればよろしいですか。前半の部分ということですかね。

政府も脱炭素という方向性を出しておられて、しかも再エネ最優先でということも方針として出されておられます。2050年には50パーセントから60パーセント電源構成を再エネにしますよという方向性も出されていますので、やはり再生可能エネルギーを加速度的に入れていくということは、もう政府の方針になっているわけです。

今、もし供給力不足があるとすれば、やはり諸外国と比べても、再エネの割合が非常に少ないと。欧州諸国は、もう40パーセント以上の電源構成で再エネが入っておりますけれども、日本は残念ながら20パーセント程度にとどまっており、その結果、火力の割合が増えているという結果がございます。安定供給という観点からも、あとは当然、電気料金を下げるという観点からも、再エネを入れていくことは必須でありまして、ある意味、それは政府の方針にものっとっているということだと思っています。

そこで消費者は、先ほどおっしゃってくれたとおり、やはり再エネの料金メニューのある電力会社を選ぶとか、あるいは消費者自身が、東京都で屋根に太陽光パネルを設置するという条例ができるという話ですけれども、消費者自身が太陽光パネルを付けるとか、消費者自身がデマンドレスポンスのメニューを選ぶとか、やはり消費者自身が自ら望む方向で電力の未来を選ぶことができるということは、極めて重要なことだと思っています。

そういう観点からも選択肢をなるべく減らさないことが重要であって、競争が起きて、様々な料金メニューですとか、デマンドレスポンスのメニューを確保することが確実に消費者の利益につながると思います。長期的な安定供給ですとか、再エネの導入という観点からも、競争環境をしっかりと整備して、健全な新電力を育てていくという姿勢は大切だと思っております。

私からは、以上です。

○後藤委員長 東室長、よろしくお願いします。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局東取引制度企画室長 ありがとうございます。

先ほどのセーフティネットの話ですとか、料金プランも含め、情報開示といいますか、消費者に対する周知が重要だということだと理解いたしました。

私自身も担当しておいて何ですが、電気事業制度というのは非常に複雑だなと思っておりまして、なかなか平易な言葉で伝えていく、あるいは本当にどういうシステムになっているのかというのが、非常に悩ましいところではあるのですけれども、しっかり我々も努力して、少しでも消費者に御理解いただけるように、我々としての発信というのもよくやっていきたいと思います。

それから、後段の発販分離について、どういうふうになったらという点なのですけれども、先ほど申し上げたように、まずは、先ほどソフトロー、ハードローという話もありましたが、まずは今のコミットメントというアプローチで、最大限、内外無差別の確保に向けて取り組んでいきたいというのが、今の考え方であります。

他方で、仮にそういったやり方でずっとやっても、もう絶対にこれは無理だと、どうやっても無差別なんかにならないということだとすれば、御指摘の方法も含めて、どういうやり方があるのかというのを、更に検討していきたいと思っております。

○後藤委員長 山田参事官、よろしくお願いします。

○規制改革推進室山田参事官 最後の点について補足ですけれども、一応今日の電取委の資料の35ページにも、閣議決定された規制改革実施計画というのが載っておりまして、そこの一番上の段を御覧いただくと、内外無差別の話は、取組を求めて今後の進捗状況を確認するとともに、その他の課題ということで、括弧書きで、売り入札体制、会計分離、発販分離等についても検討していくと書いてございまして、一応、内外無差別の検討とそのフォローアップと並立した形で、閣議決定の文書の中には、検討の度合いとか、そういうのはあると思いますけれども、会計分離、発販分離というのが明記されてございます。

これは、実は、令和3年の閣議決定にも同様の表現が盛り込まれておりますので、そういう意味では、並行的にこれはこれでやらなくてはいけないものだと、私どもは理解をしております。

それから、今日議論されているのは発販分離の話だけですけれども、これは、発販分離をすれば当然会計分離もなるから、会計分離の話は明示的に出てございませんけれども、仮に発販分離をしない場合であっても、会計分離については、これは求めていく合理性というのは十分ございまして、これはどうしてかというと、結局、その発電部門・小売部門、その利潤を最大化とかいっても、今は会計がごっちゃになっていると、果たして利益補填をしているのか、していないのか、どちらの部門が赤字なのかどうなのか、さっぱり分からないわけなので、会計分離というのは少なくとも議論としてはあり得るのではないかなと、私どもは理解しております。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

よろしいでしょうか。

○木村委員 ありがとうございます。

いずれにしても透明性が必要だと思いますので、是非よろしくお願いいたします。

○後藤委員長 それでは、青木委員、よろしくお願いいたします。

○青木委員 恐れ入ります、青木でございます。

どうも御説明ありがとうございます。やはり電力業界というのは、事業者の構造というのが非常に複雑ということですが、ということで競争環境の整備ということなのですが、中心的な課題として挙げられておりました、内外無差別卸売のところは、経済産業省から実態、現在の要請に対する、あるいは社内取引の分断ですとか、あるいは変量契約における最終の期限ですとかを含めたところは、かなり進んでいるという理解を今日の御説明ではいたしました。

更に残っている課題がないのかという部分なのですけれども、まず、この内外無差別のところなのですが、こういうような形で要請を受けて、各社それぞれコミットメント、体制あるいはそういう記録のところというのを進めるという段階だと思うのですが、今後は、やはり各社の中で、あるいは内部統制、実際にコミットメントしたことがしっかり社内でできているかという、やはり、今回の趣旨、最終的には法的な義務化というところも入るかと思いますが、やはり各社の中でしっかり内部統制を行う、あるいは実態のところを確認し、それの情報開示を求めていくという、これは各社とも株式会社でございますから、やはり企業活動について様々な形で対処していく中に、まずは自社の中でコミットメントしたことをしっかりと確認していくという、そういう要請というのは、これは経済産業省だけではなくて、総務省を含めて金融庁を含めての話になるかと思うのですが、その辺の御検討があるのかどうかということ。

それから、要請していながらできていない部分ということの要因ですね。やはりそこの整理をお伺いしたいなと思っています。全体としては進んでいるということですが、進まない部分が更にどこなのか、あるいは先ほどありました、進んでいるが、それをしっかりと定着させるためのモニタリングのところを、私も監査役をやっておりますので、まずは自社の中でしっかりとコミットメントしたことに対する確認を行い、それを開示していくという、そのステージについてのお考えをお伺いしたいなと思っておりますが、いかがでしょうか。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、高橋教授からまず御発言を、もしなければ結構ですが。

○都留文科大学高橋教授 そうですね、基本的には結構ですけれども。

○後藤委員長 それでは、東室長から、よろしくお願いいたします。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局東取引制度企画室長 ありがとうございます。

資料の25ページ、26ページといったところに。

○青木委員 すみません、どの資料ですか。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局東取引制度企画室長 すみません、失礼しました。資料1-4でございます。

1-4の25ページ、26ページの辺りに、先ほど御説明では紹介しませんでしたが、各社の体制という中において、各社でどうやって意思決定プロセス、社内外の取引の意思決定をどうしているかとか、あるいは正に内外無差別のコミットメントを果たすために、どういう社内体制管理をやっているのかというのを、少し記載してあります。

各社各様ですが、こういった形でどうやってコミットメントを果たしていくのかというのは、我々のほうでも確認しておりまして、社内でのルール化というのも進めてもらっているところです。

それで、ちょっと御質問を正しく理解できているか、ちょっとあれですが、そうした開示なり、要するに自社内でのチェック、開示するような機能が備わるべきではないかということだと思いますが、現状においては、そういう意味ですと、我々が背中を押してといいますか、しっかりやってねというのを。

○青木委員 すみません、ちょっと音声が途切れてしまっていて、よく聞こえないです、もう少し。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局東取引制度企画室長 すみません、どの辺から。資料の中で、まず書いておりますというのと、今、各社においては、そういう意味で、それぞれに取り組んでもらってはいるのですけれども、我々が定期的に。

○青木委員 すみません、もう途切れていて。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局東取引制度企画室長 どうしましょう、聞こえますか。

○青木委員 すみません、先ほど御説明いただいたときに、もう途切れていて、御説明内容が聞こえなかったので、ちょっと簡潔に、そこだけ教えてください。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局東取引制度企画室長 すみません、25、26ページに、今の各社の意思決定プロセスですとか、内外無差別のコミットメントを果たすための体制管理方法というのが書いてございますというのが1つ、よろしいでしょうか。

○青木委員 ですから、それで進むという御認識なのか、足りないという認識なのかという、その場合にはきちんと開示を、結果ですね、各社で内部統制した内容の開示を求めるとか、この状態で今のところ問題ないという、高橋先生のニュアンスですと、まだ、内外無差別の、ここのところというのは全然進んでいないのだというような御認識の御発言があったので、今進めている段階だけれども、これで、まだ全然足りないのかどうか、その辺の部分ですね。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局東取引制度企画室長 すみません、まず、その体制というか、先ほどの自分たちで内部統制を行って情報開示を行うということについて言いますと、将来的にそうなっていくことが恐らく望ましいのだと思いますので、そこはよく御指摘を踏まえて考えたいと思います。

現状は、我々がこのように定期的にフォローアップを行って、審議会の場を通じて世の中に開示を行っているというのが実態でありまして、そこについては、今後更に、自分たちでどういうふうに開示するかというのは、検討の余地はあろうかと思います。

それから、今、御質問のどこが進んでいてどこが不十分かというのは、今日御説明の中でも少し触れましたが、例えば、その交渉スケジュールですとか、その商品、アクセスできる商品が本当に内外無差別になっているのかという点については、まだ改善の余地があるのではないかと思っておりまして、そうした点については、今年の3月に改善を求めた、34ページに書いてありますが、交渉スケジュール、内外無差別な交渉をしっかりやってほしいと、自社だけ先取りするなんてことはないですねというのと、標準メニューを作ってほしいということで、自分のところだけは、例えば変動数量契約があって、外には固定のしか売っていないとか、そういったことがないようにということで、今、求めているところでして、ここについてはまだ改善の余地がある点だと思っていまして、これからしっかりフォローアップしていきたい。来年度の受渡し、今、この冬に交渉して来年度から実際に渡される電気について、こうしたことをしっかり取り組んでほしいということを言っていまして、これをしっかり今後フォローアップしていきたい。

今のやり方は、こうしてフォローアップをしていく中で、足りないと思う部分について、更に要請していくという漸進的な進め方でやっていまして、これでしっかり前に進めていくということでやっていきたいと思います。

○青木委員 今日の御説明がそういう趣旨だったのですが、それで、はっきり言いますと、やはりこれから徐々にという、これまでも含めてされてきたことなので、やはり対応の時間軸がちょっと遅いのではないかなという問題認識だと思っているのですね。ですので、更にそこを加速していただくやり方として、やはり各社責任を持っていく、それから先ほど出ていましたが、やはり、同じグループ内で、同じ会社の中で、部門間での情報遮断ですとか、あるいはこういう部分というのは、非常に難しい、実行する側も難しいことで、分社化するところも、また会計分離も共通的な、当然、会計の会社の中に共通的なものというのを、各社横断的なものとか、部門横断などというのもいっぱいありますので、その辺りのところもかなり促していく、あるいは整理していくという形の、やはり推進が必要なのだなと思いますので、その点をよろしくお願いしたいと思っています。

それから、あと、高橋先生が、そのほかとして、例えば、必要な部分について、もう送電業者から、ある一定数量玉出しさせるという、スポットで、これは供給のところの安定化を図るためにするとか、そういうある程度自主的な取組だけでは進まない部分についての論点というのが、今日伺った中で、申し訳ありません、私ちょっと整理し切れていないので、今、内外無差別のところというのは、いろいろ進められていることは理解しておりますけれども、残っている課題のところを最後にちょっと整理していただけると助かります。よろしくお願いします。

○後藤委員長 高橋教授、御発言をお願いします。

○都留文科大学高橋教授 ありがとうございます。

卸売の電力というのは、大きく分けると2つ方法があって、1つは相対で取引をするということですね。もう1つは市場、スポット市場に出して、そこである意味自由に取引をしてもらうという方法があります。

それで、後者のスポット市場の拡大というのを、これまで電取委も頑張ってこられて、その一つの方法がグロスビディングという、自主的に社内で取引する部分も含めて市場に出してくださいと、逆に言うと、市場に出したものは各社が自由にというか、買い戻せば良いではないですかという仕組みで、それを頑張ってやってこられたのですが、どうもなかなか、本当にどこまで実効性があるのかが疑問に残るというのが、私どもの考え方でありました。結局、旧一電としては、高値で確実に買い取ることを、買い取らないと困るのでやるということでしたので、約定量全体としては増えたのですけれども、どうだったのかなと、どこまで実効性があったのかなと思っていた中で、去年の1月の例のスポット価格高騰の問題が起きたということであります。電取委は、たくさん調査をされたのですけれども、基本的には問題がないと、旧一電の行動には問題がないということでした。

結局、このグロスビディングについては、今、電取委では、基本的には廃止をする方向で考えていらっしゃると聞いております。とはいえ、そうすると、スポット市場が非常に小さくなってしまうので、何らかの方策が必要ではないかと、旧一電がスポット市場にちゃんと玉出しをするような仕組みが必要ではないかと考えております。私どもの資料1-3-1の最後のところに書いてありますけれども、一定量、ここに書いてあるのは、旧一電の発電電力量の10パーセント程度をスポット市場にネットで玉出しすることを義務付けることによって、確実にスポット市場の流動性を高めることを、私どもは提案しております。

とりあえず、以上です。

○青木委員 はい、それは理解いたしております。

ありがとうございます。一応論点のところというのを整理していただけていると思いますし、進める対応方向というものについては、今、確認させていただいたとおりなのですが、やはり、実現までの、いかにそこのスピードを上げるかということと、非常に環境的なところについては、変動が大きいですので、やはりこれらのところ、安定的なところをもう少し進める方策というところも詰めていただけたらと感じます。

全体の競争市場としては、今日、送電側のところでしたが、前にも少し、必要ではないかと思っているのは、もう一つ、小売側のところの、やはり適正な競争環境あるいはそこにおける公正な取引、それから消費者に対する適正な情報提供、この辺りのところは、もう一つ大きな課題があるかと思いますので、その辺りについても、どこかの機会できちんと整理していただけたらと思います。

以上です。ありがとうございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかに御質問等ございますか。

大石委員、よろしくお願いします。

○大石委員 御説明ありがとうございました。

私は、電力自由化については、初期から経産省の審議会にも参加しておりましたので、今回このようなお話があったこと、それを消費者委員会でこのように議論ができること自体は、大変意義があることだと思っております。

2016年に小売の全面自由化が行われて小売の参入が進めば、予定では、2020年には規制料金も解除されるという流れだったのですけれども、実際には、旧一電系の小売の事業者の割合がまだまだ大きいということで、いまだに規制料金は解除されていないという状況にあると認識しておりますが、今後は、規制料金に関しても、新たな検討が必要な時期に来ているのではないかと思っております。

やはり公平な競争ということで言えば、私は電力自由化ということについて、当初は、旧一電事業者の発電と送配電と小売という3業態は完全に独立し、それぞれが競争する市場ができるのだろうと思っておりましたが、そうではなかったということで勘違いしておりました。ですが、まずは送配電部門については、唯一公平性が必要ということで独立したということで、これは第一歩だと思います。ですが、現状について気になっていることとして、小売事業者の中には、新電力と言いながら、実は旧一電の系列の小売事業者も入っていて、はっきり言って、消費者から見て、新電力と旧一電系の電力会社というのは、名前を見ただけで区別が付かなくなっています。ということもありますので、私たちは、新電力とそうではない旧一電ということで話をしていますけれども、やはり消費者にとって一番重要なのは、小売の電気市場そのものが本当に公平で、しかも消費者に分かりやすい、安心して選べる市場になる、ということがとても重要なのだろうなと思っております。消費者が安心して自由に小売事業者を選択するために、市場が内外無差別であることが必要なのか、また、現状はどうなっているか、ということの議論に最終的には行くのだろうと思っております。

仮に、今回のこの内外無差別のためには、自主的コミットメントだけでは不十分であり、法的分離を行わなかった場合に問題があるのであれば、このデメリットというものについて、まず、高橋先生にお聞きしたいと思います。それから電取委にも、同じように質問させていただきます。これまでの御説明では、自主的コミットメントによってかなり進んでいるとのこと、私も今までのお話を聞いて、かなり自主的コミットメントで進んでいるとは思っています。が、それでも2016年に小売が全面自由化して、2022年で既に6年経っています。今、この状況で、それもやっと電取委からいろいろ進言があってここまで進んできたと考えますと、最終的には、やはり何らかの外的な形での分離の要請、会計なのか、法的なのか、そこは分かりませんけれども、それは必要ではないかなと思っています。電取委としては、このまま自主的コミットメントで良いと思っていらっしゃるのかということですね。自主的コミットメントなのか、それとも法的分離なのか、その辺りのメリット・デメリットのところを、高橋先生と、それから電取委からそれぞれお聞きしたいと思います。お願いいたします。

○後藤委員長 よろしくお願いします。

○都留文科大学高橋教授 ありがとうございます。

今の御質問は、発販分離を行わない際のデメリットはどうなのかということだと、理解しております。

理論的に言うと、発販分離というのは、なくて済むのが一番良いわけですね。発販分離を法的に政府が命じるというか、要請しなくても各電力会社が自らの利益の最大化を考えた際に、発電部門と小売部門は別々にやったほうが良いと。

例えば、市場で高く電気が売れるという際に、社内の小売部門により低い価格で売るのは、本来合理性がないわけですけれども、いや同じ社内なのだから当然でしょうという感覚で、もし小売部門に売っているとすると、それは、ある意味、自社の利益に反している可能性があるわけです。

ですので、各社の経営判断として、発電と小売が別々に考えて行動するという行動を取ってくれれば、要するに競争環境が整備されれば、別に政府が要請する必要はない。

同じことは、発送電分離についても言えて、送電事業、送電部門は、別に分社化しなくても、送電事業はフェアに忠実に貸し出すのですよという行動を取ってくれれば、発送電分離を要求する必要はないわけです。しかし当然、民間企業ですから、そういう発想はなくて、やはりどうしても社内を優先するということをやってきたと理解しています。ですので、政府が命じるところは命じて、要請するところは要請して、分離を行ってきたと。

では、発販分離を行わなければどうなるかというと、現状の日本の市場であれば、私の見解としては、なかなか競争がうまく進まないのではないかと。あるいは、まだまだ時間が掛かってしまうのではないかと考えております。

先ほど申し上げたとおり、もうかなり時間を掛けてここまでやってきていて、今、様々な環境変化が、先ほども御指摘があったとおり、電力業界、エネルギー業界を襲っている中で、それを解決する基本的な手段は市場競争ではないかと、様々な選択肢が消費者に提供されることではないかと、新規参入者も含めて電気事業者が切磋琢磨することではないかと、私は強く信じております。そういう環境を整えるという観点からすると、発販分離は、現時点で十分に検討に値するのではないかと。それを、いやもうちょっと、もうちょっとと言ってなかなか行わないと、競争環境の整備が更に遅れるというデメリットがあるのではないかと思っております。

他方で、旧一般電気事業者からすると、社内の一体性とか、社員の一体性ですとか、そういう観点から、なかなか分離はしたくないという感情があるのではないかと思います。他方で、先ほども申し上げたとおり、自社の真の利益ですとか、あるいは株主価値を向上させるという意味では、むしろ分離をすると、分離したほうが良いのだという考え方もあると思いますので、そういう観点からも旧一電に対して発販分離を要請していくということに、私は妥当性があると思っております。

○後藤委員長 よろしくお願いします。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局東取引制度企画室長 非常に難しい御質問で、正直申し上げると、すぱっとメリット・デメリットはこうだと、なかなかお答えするのは難しいのですが、まず、なかなか進んでいないという御指摘について申し上げますと、今のコミットメントという取組自体を始めたのは、昨年の4月からやりまして、この1年半でかなりぎゅっと進めてきたとは思っています。そもそもそれに着手するのが遅かったのではないかという御指摘も含めてだと思いますので、そこは反省すべきところかと思いますが、足元かなりこの1年半でやってきていまして、とにかく、先ほど来、スピード感が大事だという御指摘を頂いていますので、そこは、とにかくしっかり取り組んでいきたいと思います。

それから、発販分離に関して申し上げますと、競争の観点からだけではなくて、例えば、安定供給の確保の観点から、果たしてどういったシステムのほうが合理的なのかと、先ほどそういった御懸念もありましたけれども、そういった点も考慮する必要があろうかと思いますし、発販分離さえすれば、必ずイコールフットの競争条件になるのかというと、ここもよく考えていく必要があるのだろうと思っています。

現に発販分離している会社も既にありますが、そこについて、コミットメントの対象外かというと、そうもなっていなくて、そこについてもフォローアップしているという状況でありまして、何かそうすれば全てがバラ色かというと、恐らくそうではないと思いますので、その辺も含めて検討していく必要があるだろうと思っております。

○後藤委員長 お願いいたします。

○都留文科大学高橋教授 発販分離すれば、バラ色ではないというのは全く同感で、その後もモニタリング等を含めて、競争環境の徹底を進めていくというのは、おっしゃるとおりだと思います。

それで、発販分離を行うと、安定供給を損なうのではないかといったような、今、御発言があったと思うので、それはどういう理由なのか、説明をお願いできますでしょうか。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局東取引制度企画室長 ここは例えば、今の電源投資であったり、燃料調達というのは、ある程度長期の引き取り手がいることを前提として行われてきておりまして、そこは、長期的に買うことをコミットする小売がいるからできたという意見もございます。これが正しいかどうかというのは、正に検討の中で考えていくことだと思いますが、そういった観点から、必ずしも、申し上げたかったのは、競争だけの視点から発販分離だという解にたどり着くのかという点については、慎重に考える必要があるのではないかということを申し上げたかったところでございます。

○後藤委員長 よろしくお願いします。

○都留文科大学高橋教授 ちゃんと買ってくれる小売がいるから電源投資するというのは、かなり危ない考え方であって、それこそ、正に発送一貫時代の考え方だと思っております。発電部門には、もちろん顧客がいるというのは大事なわけですけれども、スポット市場が拡大すればするほど、卸電力は効率的に活用されます。北欧のノルドプールでは販売電力の8割ぐらいがスポット市場を経由しているわけですけれども、発電部門はスポット市場に売ることが基本です。相対契約が大きければ大きいほど良い、安定供給に寄与するということはないと、私は理解をしております。自由化して価格メカニズムに基本的には委ねるということは、相対の確実に買ってくれる大きな顧客がいるということではないわけですから、そこと安定供給を結び付けるというのは、電力会社の社内のマインドとしては非常に理解できるわけですけれども、それが発販分離をしない、発販分離をすると安定供給を阻害するというふうにはならないと私は思っておりますので、意見を申し上げました。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

よろしいでしょうか、ほかに御質問、御意見等ございませんでしょうか。

どうもありがとうございました。

今回の諮問につきましては、電力市場における内外無差別の卸取引等の確保は、消費者のニーズに沿った多様な電力メニューの提供において重要であって、消費者の選択の機会の確保につながるという観点からの諮問であると理解しております。

本日、委員の方々から多様な御意見が出ております。委員の方々の御意見を伺っていて、基本的にここが重要と思いましたのは、先ほど最後に大石委員が発言なさったこと、その内容でありまして、旧一電の自主的コミットメントなのか、それとも発販分離なのか、それぞれのメリット・デメリットがどういうところにあるのかということで、その点について関心を持ってお話を伺っておりました。

これについて、最後のところで御回答を頂いたわけでありますけれども、現在がどういう時点なのかということについての理解というのが、私はまだ進んでおりませんで、分離という方向に進むということが、どのような基準、基準というのはなかなか出しにくいというお話がありましたけれども、どのような段階において、そういう分離ということを検討する必要があるのかということに関して、まだ理解できていない部分もあるのですけれども、いずれにしても、高橋教授の御発言で、もう既に検討すべき時期だと、こういう御発言がありまして、それから競争環境の整備の徹底ということが不可欠であると、こういう御発言もありましたので、そういう意味での競争環境整備ということが重要であって、それに関わる問題であるということについては、確かにそのとおりだと考えます。その競争環境整備ということと、最後に議論がありましたけれども、安定供給の確保ということの関係についても、それぞれの御意見を伺いましたので、こちらでも検討させていただいて、考えていきたいと思っております。

ここは消費者委員会でありまして、消費者の視点ということが重要になってきますので、そういうことから考えますと、電力自由化によって消費者が今まで選べなかった電気を自分で選ぶことが可能になった、そのことは非常に重要なことであって、再生可能エネルギーを志向する消費者が再生可能エネルギーの電力会社を選択する、こういうことが可能になったということが電力自由化の重要なメリットだと考えております。

そういう意味で、消費者の選択ということが、そういうエネルギー政策等も含めて対象にできるようになっているということについては、よりそういう方向に環境整備を進めていただくことが必要なのではないかと思います。

それから、今日の委員の方々の御発言の中でも出ておりましたけれども、自由化によって、新電力で、割とガバナンス上問題がある、それによって消費者の被害が生ずるという問題も指摘されておりまして、こういう点についても、消費者委員会としては、重要な問題だと考えております。

この危機の状況、新型コロナウイルス感染症の拡大や、あるいはウクライナ情勢というような、そういった危機の状況において、本日テーマとしている問題を特にどう考えるのかという御発言も委員からありまして、この点についても重要な課題と認識しました。

以上のようなまとめにさせていただきたいと思います。基本的には消費者の自主的かつ合理的な選択の機会を確保する視点に立って、内外無差別の卸取引など、諮問事項を中心に、引き続き消費者委員会としては議論した上で、諮問に対する回答ということを検討してまいりたいと思っております。

関係府省庁におかれましては、本日はお忙しいところ審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。御退席ください。

(説明者退出)


《3.霊感商法等の悪質商法への対策検討会報告書について》

○後藤委員長 それでは、次の議題に移ります。

次の議題は、「霊感商法等の悪質商法への対策検討会報告書について」です。

委員の皆様も御存じのとおり、消費者庁は本年8月に、この「霊感商法等の悪質商法への対策検討会」を立ち上げ、極めて短期間に7回の審議を行って、10月17日に、消費者行政にとどまらない積極的な提言を含んだ報告書を取りまとめたと伺っております。

委員会としても検討会の審議を注視してきたところですが、この報告書には消費者契約法等の法制度の検討など、今後の消費者行政に重要な内容を多く含んでいるわけですので、その内容について御説明を頂きたいと思います。

本日は、消費者庁消費者政策課、尾原課長、消費者教育推進課、山地課長、地方協力課、加藤課長に御出席いただいております。本日はありがとうございます。

それでは、15分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁尾原消費者政策課長 消費者庁消費者政策課長の尾原でございます。この度は、御説明の機会を頂きまして、ありがとうございます。

本日配付資料の資料2でございます、報告書と打たれているものから、1枚おめくりいただきまして、「はじめに」のところでございます。

今、後藤委員長から御説明がありましたように、当検討会につきましては、霊感商法等に関する、これまでの消費者庁の対応を検証するとともに、消費者被害の発生及び拡大の防止を図るための対策等を検討する観点から、計7回の審議を行い、これまでの霊感商法に関する消費生活相談の状況及びその対応を振り返った上で、検討会として提言を頂いたものでございます。

2ページ目でございます。

まず、霊感商法等に関する消費生活相談の状況及びその対応です。

1ポツ、霊感商法等につきましては、2段落目でございますけれども、これまでの消費者庁及び独立行政法人国民生活センターにおける対応として、消費者被害の未然防止の観点からの注意喚起を継続的に行い、また、消費者契約法の平成30年改正の際に取消しの対象に追加された、いわゆる霊感等を用いた告知等による勧誘に対する取消権の内容等を周知してきたところでございます。

さらに、消費者被害の救済の観点からは、消費生活センターにおいて、消費生活相談の解決に向けて、情報提供や助言、必要に応じてあっせんを行うとともに、事案によっては、法律相談の専門機関等を紹介してきたところでございます。

また、消費者被害の未然防止及び救済の両方の観点から、消費者ホットライン188(いやや)を通じた早期の相談を呼び掛けてきたところでございます。

2ポツ目、旧統一教会関係でございます。

この2段落目のところ、個別の団体、事業者に関する消費生活相談の件数等は原則として公表しておりませんが、旧統一教会につきましては、旧統一教会問題の関係省庁連絡会議が設置され、政府全体で対策を講じることとされていること。

また、マル2、旧統一教会問題の合同相談窓口で把握した現時点での状況に加えて、過去の相談件数等の情報が被害の防止の対策の検討に資するという基準に照らして、公表することに社会的な公益性があると判断したことから、消費者庁において、9月30日に旧統一教会に関する消費生活相談の情報を公表したところでございます。

続いて、4ページ目でございます。

ここからは提言でございます。

総論として1ポツ、マル1が旧統一教会について、マル2マル3については法制度に関する提言、マル4については相談対応について、マル5については周知啓発・消費者教育に関してということで、5つの御提言を頂いております。順次、御説明させていただきます。

まず、初め、旧統一教会への対応でございますけれども、これにつきましては、ちょっと1ページ飛ばしていただいて5ページ目でございます。

5ページ目の最後のところでございます。「所轄庁において」というのが、2ポツの5ページ目の段落の下から3行目、3ポツになる前のところでございますけれども、「所轄庁において、解散命令請求も視野に入れ、宗教法人法第78条の2第1項に基づく報告徴収及び質問の権限を行使する必要がある」という御提言を頂いております。

続いて、先ほど言ったマル2マル3の法制度に関する事項でございます。

まず、消費者契約でございます。いわゆる霊感等を用いた消費者契約法の第4条第3項第6号については、霊感商法等による消費者被害の実態を踏まえつつ、その要件の緩和を検討すべきであると。

「また、当該取消権については」ということで、6ページ目でございます。

6ページ目の2行目、その行使期間、現行では追認をすることができる時から1年間、消費者契約の締結の時から5年間のいずれか早い方となっているわけですけれども、その延長を検討すべきであるという御提言を頂いております。

続いて、「(2)いわゆる寄附の位置付け等」でございます。

これは2段落目のところ、「寄附の要求等に関する規制について」で始まるところでございます。

寄附の要求等に関する規制につきましては、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の第17条、これは寄附の募集に関する禁止行為を定めたところがございます。この規定も参考としつつ、正体隠しの伝道等の本人の自由な意思決定の前提を奪うような活動方法や、マインドコントロール下にあって合理的な判断ができない状況が問題となる寄附の要求等への対応も念頭に、より幅広く一般的な禁止規範を規定すべきである。そして、当該禁止規範に違反した場合の効果については、意思表示の取消し・無効、寄附の無効等を規定することが考えられるが、その際、本人及び家族による主張の実効性の確保の観点も踏まえつつ、法制化に向けた検討を行うべきであるという御提言を頂いております。

その他の指摘事項として、何点か御指摘のあったことを記載しております。

続いて4ポツ目でございます。相談体制に関する事項でございます。

これも2段落目、「この点に関し」のところからでございます。

この点に関し、霊感商法による消費者被害については、消費生活相談の対応の一層の充実を図った上で、公認心理師、それから精神保健福祉士、精神科医、宗教社会学者、弁護士等の専門家とも連携しつつ、当事者及びその家族の支援を行う、より専門的な相談窓口を設けるとともに、関係機関等が適切に連携を図ることも必要と考えられる。特に、児童虐待等からの保護も視野に入れ、子供の側に立っていわゆる宗教二世に対する支援を行う必要があるという御提言を頂いております。

続いて、8ページ目でございます。

5ポツ目、周知啓発、それから消費者教育に関する事項でございます。

消費者被害の未然防止及び解決の促進を図るためには、被害情報を迅速に公表すること、更には消費生活センターの存在の周知を強化することが重要であると。

したがって、個別の注意喚起を行うとともに、幅広い世代への消費者教育を推進すべきである。また、国民生活センターが、消費生活相談の情報を消費者向けの注意喚起だけでなく、事業者に対する再発防止等の取組を働き掛ける方向で、活用するための制度的な担保を検討すべきであるという御提言を頂いております。

最後でございます。

その他のところで、消費者庁においては、本検討会における提言を踏まえた施策を、スピード感を持って着実に実施すべきである。特に上記の3から5までに記載した事項のうち、法制上の措置を要する事項については、現行法の改正又は新法の制定による対応を早期に行うことが求められると。

また、消費者庁の所掌事務の範囲を超える事項については、消費者庁がそれぞれの行政機関における実施を強く働き掛けるべきという御提言を頂いておるところでございます。

本報告書に関する概要は以上でございます。よろしくお願いいたします。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、質疑応答と意見交換をお願いいたします。時間は30分程度を予定しております。よろしくお願いいたします。

清水委員、よろしくお願いします。

○清水委員 清水です。御説明ありがとうございます。

非常によくまとめられていると思います。いかにこの報告書を現実のものにするかだと思いますので、消費者庁には頑張ってもらいたいと思っています。

特に7ページのところです。この点に関しては、霊感商法のというところは、本当に特に、連携というのを感じるところです。

実は、20年前に相談員になったのですけれども、その頃から、こういう問題というのは、最後の砦は消費生活センターしかない、ほかに相談窓口がないという状態だったので、長年弁護士会とお付き合いをしながら、また、子供の問題であれば、そういう窓口と連携を取りながらやってきました。まだまだ全国の消費生活センターにおいて徹底されていないですし、また、二世問題については、消費生活センターだけではなかなか難しい。今こそ、地域確保連絡協議会を作ろうといった趣旨が理解できます。徹底がまだされていないところに問題があったのかなと思っていますので、引き続き見守りネットワークの強化というのも必要かなと思っております。

最後に、8ページの啓発のところです。私は大学生の新入生研修のときには、必ずキャッチセールスには2つあると言っていました。信じると、もう大変なことになるのだと。1つは、一般的に消費生活センターで扱うキャッチセールス、エステだとか、高額なものを買わされる、宝石とか。もう1つは、自分探しとか自己啓発セミナーみたいなもので、実際は高額なスクールのものもありますけれども、その裏に、当時のオウム真理教があったりだとか、旧統一教会とか、目的を隠して2か月後か3か月後に、実は宗教だったということが分かるというのもありまして、力を入れて啓発をしていました。引き続き、消費生活センターの啓発教育では、この点もしっかりと、特に高校生・大学生にはやっていきたいなと思ったところでございます。報告書としては、実現を望むところであります。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

消費者庁からお願いします。

○消費者庁尾原消費者政策課長 清水委員から大変力強い御意見を賜りまして、ありがとうございます。

それぞれ消費生活相談体制と、あと啓発のところは、それぞれ担当課長から御説明させていただければと思いますけれども、引き続き、清水委員からも御指導いただければと思います。それぞれについては、課長から御説明をさせていただきます。

○消費者庁加藤地方協力課長 地方協力課長の加藤でございます。いろいろと御指摘を頂きましてありがとうございます。

消費生活相談につきまして、関係機関との連携をという御指摘ですけれども、正にそのような点、重要だと捉えておりまして、いろいろ、今、全体として動いている状況なども含めて、各センター等とも情報共有をしながら連携を図っていくということで、進めているところでございます。

それと、見守りネットワークですけれども、御指摘のとおり、とても大事な取組であると認識しておりまして、未然防止・拡大防止ということで被害を防止していく観点では、そうした見守りの中で取組を進めていくということが、とても大事だと考えております。

実際に設置する自治体も着実に増えてきておりますので、そうした中で御指摘のような点も含めて、取組を進めていけると良いかと考えているところでございます。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございます。

よろしくお願いします。

○消費者庁山地消費者教育推進課長 消費者教育推進課長の山地でございます。お話、ありがとうございました。

従前から大学の新入生研修の中で、そうした啓発もされてくださっていたというお話、今後、こういったことについて必要だということについては、やはりトラブル情報を事前に知っていれば、自らトラブルに近付かないことができるので、未然防止には消費者教育がとても重要というお話も、検討会の中で頂戴したところでございまして、私どもといたしましても、大学生だったらそういうケースが多かったりだとか、そういった具体的な手口といいますか、やり方とか、それへの対処方法といったことについて、いろいろな啓発資料を作りまして、これからしっかり行っていきたいと思ってございます。引き続き、御指導賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

○後藤委員長 それでは、受田委員長代理、よろしくお願いします。

○受田委員長代理 御説明ありがとうございました。

この報告書に関しては、極めて注目をしておりましたし、また、事前に内容についても拝見をし、先ほどの清水委員からのコメントのように、迅速に御対応いただいているということで、大変対応としてはすばらしいと思っております。

その後のことに関わるのですけれども、昨日とか一昨日も報道を見ていますと、6ページにあります「(2)いわゆる寄附の位置付け等」に関して、2パラ目ですけれども、今の正体隠しの伝道等というところから、次にマインドコントロール下にあってという、このマインドコントロールというのが、1つポイントになっているのではないかと、報道を見ていて感じているところでございます。

特にこのコントロールのエビデンスといいますか、そこをどういうふうに見るかという点については、続くページでいくと、7ページに公認心理師あるいは精神科医といった特定の専門家との連携が重要であるということが示唆されております。

そこで、ちょっとここで伺いたいのは、参考資料もございますけれども、この中に、公認心理師とか精神科医を含めた、マインドコントロールに関する専門的な立場の方がいらっしゃったのかどうか、また、この委員会の中で、マインドコントロールのエビデンス等について、議論をしたようなお話だったのか、教えていただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。

○後藤委員長 お願いいたします。

○消費者庁尾原消費者政策課長 受田先生、御質問ありがとうございます。

まず、この検討会ですけれども、河上座長、消費者委員会の委員長もされていらっしゃった河上先生に座長を務めていただいて、それぞれの分野の専門家の方々に入っていただいております。

この中で西田公昭先生、立正大学教授の西田先生が社会心理学の御専門でいらっしゃいます。長年、社会心理学の立場から御知見を、今回の検討会でも積極的な御発言を頂いておるところでございます。

という御質問でよろしかったですか。ちょっと私、答え切れていなかったら、また、更に頂ければと思いますけれども。

○後藤委員長 受田委員長代理、よろしいですか。

○受田委員長代理 すみません、その上で、検討会の中で、西田先生を中心にマインドコントロールに関することがポイントになるという議論や、そのマインドコントロールを受けているか、いないかといった、そういった心理学的な観点から見たときに、エビデンスについて議論というのがあったのかどうか、そこをちょっと教えていただきたいと思って質問をさせていただきました。

○消費者庁尾原消費者政策課長 ありがとうございます。

今回の検討会の報告書というか、検討会の開催に当たっては、原則公開でやっております。最終回は、非公開ではございましたけれども、最後、事後的に、議事録を公開しております。

その中で、西田先生においては、積極的に御発言を頂いている、あるいは、最終回においては、西田先生からも資料を提出いただいておるところでございます。

また、西田先生に限らず、例えば、個別具体的な事案を検討した会で、第4回で郷路先生、弁護士の郷路弁護士から事案を紹介いただきながら、これにつきましては、第4回は、当初、非公開でやったのですけれども、検討会の終了後に、これも公表することが有益という形で、議事録を公表させていただいておりますけれども、個別の事案についての御紹介をさせていただいて、その辺りを、また御覧いただければと思っております。

○受田委員長代理 分かりました。ありがとうございます。

○後藤委員長 それでは、黒木委員、よろしくお願いします。

○黒木委員 大変短い間に極めて精力的に検討した上に、しかも論点も多数にわたっている中、的確にまとめていただいたことについて、まず、本当に感謝というか、すばらしいなと思っています。これが率直な感想ですが、私としては、5ページ目の3ポツの(1)のところ、いわゆる消契法についての議論、まとめていただいているところについて、もう少しそこを詳しく教えていただければと思っているところであります。

まず1つは、いわゆる消契法の4条3項6号が、ここでは霊感商法として書いてあるのですけれども、いわゆる困惑類型で、つけ込み型をどうするかという問題というのは以前から議論がなされていました。

その要件の緩和を検討すべきであると書かれておりますけれども、ここは、どれぐらいのタイムスパンで、この要件の緩和というものを考えていらっしゃるのでしょうか。報道ベースではいろいろな記事が出ていて、よく分からなくなってきているのですけれども、今度の臨時国会にという話も、何か新聞報道で出ていたりしています。そうすると困惑類型全般を見直すのか、それとも霊感だけ見直すのか。霊感だけ見直すということになったら、結局、実体法なので遡及効はないと思うので、その辺りをどのように考えるのかという点について疑問があります。教えていただければと思っています。

それから、2点目は、取消権の期間の延長ですけれども、これについても、取消権の適用を考えるのかみたいな話の、適用の問題があれば、多少は考えられるのかもしれませんけれども、この辺りのところについても、どの程度のタイムスパンで、今回の臨時国会とか、その辺りのところまで考えて取消権の延長ということを考えていらっしゃるのか、この大きなところについて、2点、御質問させていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○消費者庁尾原消費者政策課長 黒木先生、御質問ありがとうございます。

消費者契約法の、特に要件の、いわゆる4条3項6号の霊感商法のところを、実態を踏まえて、その要件の緩和と、それから、その取消権について、その行使期間の延長についてのタイムスパンという御質問だったと思います。

それにつきまして、先ほど8ページ、最後のところですけれども、消費者庁においては、スピード感を持って着実に実施すべしと、それで、法制度については、現行法の改正又は新法の制定による対応を、早期に行うことが求められているというところでございますので、タイムスケジュール感から言えば、我々としては、御提言を頂いたものを踏まえて、できることから速やかにというタイムスパンになっております。具体的な期限というのは、もうできることからという形で、今日も大臣も記者会見等でもお答えしているとおりでございます。

○黒木委員 分かりました。ありがとうございます。

もう1点は、相談体制のところですけれども、この7ページ目のところでして、弁護士等の専門家と連携するということになっていまして、現実問題として、今、各省庁がやっていらっしゃる相談の後、それを日弁連にも回ってくる体制ができつつあります。

これは、我々としても、法テラスとかを使っての相談ということになるのですけれども、対応していこうと思っているのですけど、その各省庁の集中相談窓口による、各省庁の相談事案の中から、そこで法的対応が必要だという場合は日弁連に回ってきて、それが各地の単位会に照会されるという体制ができているのですけれども、この相談機関というのは、どれくらい今後も行われる予定なのかということについて、もしもお分かりでしたら、教えていただければと思っています。

○消費者庁尾原消費者政策課長 先生、御質問ありがとうございました。

ちょっと今日、通信環境が良くなかったみたいで、私のお答えで足りなかったら、また、再度御質問を頂ければと思います。

現行、今、法務省が中心となって、合同電話相談窓口を設けているところでございます。9月から始めまして当面の間という形でやっております。

これ以降につきまして、いつまでというのはないのですけれども、ただ、我々このスキームは大変重要だと思っておりまして、法務省で法テラスの拡充も含めて考えているところだと認識をしております。我々としては、当然、消費生活センターも、相談機関の一つではあるのですけれども、今回みたいに合同電話相談窓口のように、あらゆる分野のところで受け付ける、それを特に関係機関と連携していく体制というのは、大変重要だと思っておりますものですから、引き続き我々も関係省庁として、しっかりと連携していきたいと思っております。

○後藤委員長 黒木委員、よろしいでしょうか。

○黒木委員 分かりました。

○後藤委員長 黒木委員の御質問の中で、遡及効がないというお話が出ていたのですけれども、消費者契約法を改正しても、その改正法が施行されるという段階にならないと、被害に対応できない、従来の被害について消費者契約法を適用するということを考える場合に、何らかの手立てというようなことを考えていられるのかどうか、その辺については、いかがでしょうか。

○消費者庁尾原消費者政策課長 ありがとうございます。

一般的には、現行、被害に遭われている人は、今、相談対応の強化等、今ある仕組みできちんと対応していくというのが基本だと思います。

やはり、法律施行前に遡及するというのは、一般論で申し上げれば、そういうことはあまり考えられないのかなと思っております。当然、法施行後について、それがしっかりできるような体制を、今回この検討会では、法整備をしっかりせよという御提言を頂いていると思っております。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかに御質問や御意見、大石委員、よろしくお願いします。

○大石委員 御説明ありがとうございました。

今一番ホットであり大変重要な課題について取りまとめていただいたことを有り難く思っています。

私からは、今回のこの取りまとめの中の被害者というものの考え方について質問です。実際にマインドコントロールをされてしまった方だけでなく、実際には、その周りの家族や親族など、その方たちのほうが、実はいろいろな被害を受けている場面も多くあるのではないかと思います。

特にお子さんで、幼いときには自分では気が付かなかったのだけれど、大きくなって社会とつながるようになって、自分はそういう状況にあったのだということに後から気が付いたというようなお話も聞いたりしますし、実際に生活が破綻してしまって大変な思いをしたというような話も聞きます。

7ページのところ、この相談対応に関する事項ということで、相談窓口も設けていただくと書いてあるのですけれども、やはり、実際にマインドコントロールをされている本人以外の被害者に対する対策について、今回のこの検討会の中では、どのような話し合いがされ、どういう意見が出されたかということについて、1点教えていただければと思います。お願いいたします。

○消費者庁尾原消費者政策課長 御質問ありがとうございます。

7ページ目のところに、正に今、御質問を頂いたところについて、御意見を頂いたというところでございます。

やはり、本人だけではなくて、その家族、特に子供側に立って、いわゆる宗教二世の方に対する支援を行う必要があるという御意見を頂戴していると認識をしております。

その際に、これ自身は相談窓口、やはり消費者庁、いわゆる消費者問題でいくと、消費生活センターでやれることというのは、やはりその相談を受け付けたときに、それをきちんと必要に応じて、案件に応じて、専門機関等と連携するというところが大事だと思っております。ですので、そこについては、やはり、ここでも連携という言葉を使わせていただきましたが、やはり専門機関の方々と連携する、また、現在、政府全体では法務省で合同電話相談窓口という形で漏れがないように、金銭的な問題だけではなくて、やはり、お子さんの非金銭的なというのですかね、そのお子さんを含めて、それが漏れがないような体制を作っておりますものですから、こういう取組を引き続き政府全体として連携していくのが大事かなと、思っておるところでございます。

○大石委員 ありがとうございます。

この問題についてだけでなく、セーフティネットとして「いのちの相談」のような窓口が設けられておりますが、周囲も含め、今回の被害者の方たちが本当に安心して相談でき、被害回復が図られるようなことは大変重要だと思いますので、是非お願いしたいと思います。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

木村委員、よろしくお願いします。

○木村委員 御説明ありがとうございます。そして報告書をきちんとまとめていただいてありがとうございます。

やはり私も、実は高校の先輩がある日突然姿を消して、そういうことに入っていたという経験がありまして、誰のもとにも起こるというか、他人事ではないなという思いを感じております。

その方は、その後行方不明でどうなったか、私は分からないのですけれども、そういったこともありまして、直接の被害はないのですけれども、あまり他人事ではないなと感じている次第です。

相談窓口の連携というところで、もちろん、このことに限らず、今、大変重要だと思いますし、相談して自分のところではちょっと対応できないとか、専門外だけれどもという、そういうネットワークがすごく重要ですので、これは、この霊感商法とかに限らず、いろいろネットワークを張っていただきたいと思います。

あと、先ほど御質問があって、回答があったのですけれども、法律施行前のものは、対応が難しいということだったのですけれども、1点質問なのですけれども、それは、やはり、契約日というか、例えば寄附をしてしまった日が法律よりも前だったら駄目だとか、相談した日が、例えば法律施行よりも後だったとか、そういったことというのが分からないのですが、いつからでしたら法律に対応した相談がとか、対応を受けられるのかなというのが、多分、消費者も分からなくて混乱するのではないかと思うのですが、そこのところを教えていただきたいなと思っているのが1点目。

もう1つは、資料の6ページのところで、消費者契約法の延長を検討すべきであるとあるのですけれども、ここについての議論で、どういった形で、どのような延長が検討される予定なのか、分かる範囲で教えていただければと思います。お願いいたします。

○消費者庁尾原消費者政策課長 御質問ありがとうございます。

まず、過去に、法律が施行前に遡及できるかの問題については、今回の法律に限らず、法一般として、やはりそれは法施行後に適用されるのが一般的なのかなと思います。

ですので、今回の消費者契約法を仮に改正する、あるいは新法を作るみたいな話になったときには、やはり基本的には法施行後に法の効力を発するというのが一般原則なのかなと思っております。

その上で、では、現行の人をどうするかという話については、今も相談体制、9月から合同電話相談窓口を設けて、政府全体で取り組んでいるところでございます。その中で、きちんとそれぞれの御相談に応じて対応していくという対応が重要かなと思っているところでございます。

もう一つ、時効の話ですね、延長を検討すべきであると。これは検討会において、やはりこういう霊感商法の被害に遭われている方というのは、なかなか御本人が、そういう被害に遭われているというのが、なかなか気付くのが遅くなってしまうと。仮に気付いてからも、なかなか本人がどうしたいと、時間が掛かるときに、現行の取消期間というのは、追認できる期間から1年間、いわゆる困惑の状態から解消されて1年間、あるいは契約時から5年間となっています。これは、民法からすると、民法の場合は、契約時から20年のわけですけれども、他方で、この消費者契約法は消費者と事業者の間の情報の格差に基づいて、やはり消費者を保護する観点から取消権等を設けている、民法上の特例法という規定でありますので、そのバランス感からいって、今、現行5年になっていると、それについて、5年が適切なのかという御議論の中から延長を検討すべきであるという御提言を頂いていると、そういう議論でございました。

○木村委員 ありがとうございます。

相談については、やはり相談窓口の体制が強化されているということだと思うのですけれども、反面、相談を受ける相談員のスキルというのもすごく重要だと思いますので、相談員の養成ですとか、あと連携窓口にどう伝えるか、ネットワーク、そして待遇なども、是非御検討いただければと思います。

よく分かりました。ありがとうございます。

○後藤委員長 それでは、清水委員、よろしくお願いします。

○清水委員 すみません、時間のないところ。6ページのところなのですが、最後の「本人及び家族による主張の実効性の確保の観点も踏まえつつ、法制化に向けた検討を行うべきである」というところで、これは新法を作るということなのかなと、今の現行法では、本人以外のというのは難しいように思うのですが、いかがでしょうか。ただ、この問題というのは、先ほど来マインドコントロールというのも出ていますので難しいかと。私も20年来相談を受けていて、家族の方に怒鳴られたり、何とかせいと言い続けられた、もう生々しい相談を受けているので、何とかこの機会に一気に、何かこういう特別なものができたら良いなと思っているのですが、どんな感じでしょうか。お答えできたら教えてほしいと思います。よろしくお願いします。

○消費者庁尾原消費者政策課長 清水先生、ありがとうございます。

我々としては、この提言書で法制化に向けて検討を行うべきであると。それで、消費者庁はスピーディーに対応すべきとなっておりますものですから、我々は、できるだけ速やかにそれを検討して、できることから対応させていただくと、そういうスタンスで臨んでおるところでございます。

○後藤委員長 よろしいでしょうか。

○清水委員 ありがとうございます。

注視させていただきます。また、教えてください。よろしくお願いします。

○後藤委員長 ほかにございませんでしょうか。

青木委員、よろしくお願いします。

○青木委員 御説明ありがとうございます。

私も今回の報告書は、非常に踏み込んだ、しっかりした具体策も含めて出していただいている報告書だと思っております。

ただ、この中で法改正、宗教法人も含めた法改正ですとか、実際には救済の部分で、消費者庁としても、これらを統括推進していく役割という非常に大きな役割を担われていくと思いますので、是非、迅速な、やはり実行へお願いしたいなと思っておりますが、この中で特に、いわゆる宗教法人法とか、管轄のところで進めていただく問題と、それから消費者庁自身の管轄のところでやっていただく問題と、この辺りの整理と、それで、現実問題、救済のところについては、今、本当に清水さんが言われていましたように、現場で非常に御苦労いただいているところ、今回、もう少し専門的な対応がしっかり取れるようにという、窓口の設定もそうですし、その救済に向けての、やはり何らかの機関、非常にマインドコントロールと、それから御本人の意思と、それから被害を受けておられる家族の意思とのギャップですとか、本当に対応が難しいところですので、新たにそういう専門的な相談、解決するための機関、既存のところの活用でも良いのですが、そこについては、何か今、消費者庁でお考えのところがあれば、お伺いしたいと思っております。また、是非全体でどう推進していくかのところは、ある程度整理できたところで、是非また御報告いただければと感じます。いかがでしょうか。

○消費者庁尾原消費者政策課長 青木委員、御質問ありがとうございます。

今回の霊感商法というよりは旧統一教会に関する相談窓口というのは、今、法務省で合同電話相談窓口を設けております。これにつきましては、関係省庁が連携してやっておりまして、そこのところについて、今、9月からやっていて、当面の間という形で対応しておるところでございます。

今後については、まだ具体的にいつというのは、私も承知していないのですけれども、今後、法務省で、今までの知見を踏まえて、法テラス等の拡充等も御検討されていると伺っておりますものですから、それを我々としては関係省庁としてしっかりと連携をしていきたいと思っております。

○青木委員 ありがとうございます。

また、是非そういう大きな、今回出ておりました提言の進捗、あるいは全体的な、やはり進められるに当たっての課題等、実務レベルのところも落としていただいて、適宜御報告いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

よろしいでしょうか。御説明、御回答をいただきましてありがとうございます。

今回の報告書は、消費者行政の観点からは、法整備、相談体制、消費者教育などについて、極めて重要な指摘を行ったものとして評価いたします。

報告書は、それを超えて、消費者行政の所掌を超えた積極的な提言ともなっており、この点についても積極的に評価したいと思います。

先ほど委員の方の御質問の中でも、公認心理師とか精神科医の方々などとの連携や、マインドコントロールについてのエビデンスの御指摘がありましたけれども、消費者行政の所掌を超えた部分について消費者庁としてどこまで扱えるのかという問題はあると思いますけれども、これも重要な課題と認識しております。

委員の方々の御発言で、被害者の考え方という御発言もありまして、家族などの問題、宗教二世の問題ですね、そういう人への手当というのも重要な問題であって、消費者委員会としては、その問題についても関心を持っているところであります。

委員の方々からは、報告書の内容を高く評価した上で、報告書を踏まえた法整備や相談体制の強化の実現などを消費者庁等に求めるなど、消費者庁等の取組を後押しする発言がございました。

また、国会や関係各省庁において法整備や相談体制の強化のみならず、宗教法人法に基づく報告徴収・質問権の行使や、悪質献金被害に対する議論など、様々な検討が同時並行的かつ急速に進められていると承知しております。

消費者委員会としましては、まずはその動きを注視した上で、特に法整備等の議論などの要所要所において調査審議を行っていきたいと思っております。

消費者庁におかれましては、本日はお忙しいところ、審議に御協力を頂きましてありがとうございました。どうぞ御退席ください。

(消費者庁退室)


《4.その他》

○後藤委員長 続きまして、その他事項といたしまして、消費者委員会に寄せられた意見書等の概要について、事務局から説明をお願いいたします。

○友行参事官 それでは、参考資料1と参考資料2について、簡単に御報告いたします。

7月から9月の間におきまして、消費者委員会に寄せられた要望書・意見書の一覧が参考資料の1でございます。

頭のところから、ごく簡単に御説明いたします。

最初のところが、SNS事業者の本人確認義務等に関する会長声明ということで、福井の弁護士会から頂いているものでございます。

右側の要望書・意見書のポイントでございますけれども、SNSを犯罪ツールとして悪用した被害が増加している現状を踏まえまして、SNSが詐欺行為や消費者被害の誘引手段として使用されている実態や、それから、詐欺行為の誘引手段として多用されている実態などを調査するように求めるということや、そういったことを踏まえて、実効性のある措置を検討するよう求めるといったような内容になっております。

このSNSに関しては、ほか2件も同様の内容の意見書を頂いております。

次が、消費者契約法の改正についての御意見でございます。

3つ目が、ネット時代の製品安全を考える提言ということで、PLオンブズ会議からの一般社団法人全国消費者団体連絡会から来ております。7月1日に、そういった報告会を行っているということでございます。ネット上に危険な製品が販売されている実態があるということを指摘されております。そういった被害を防ぐために、消費者においては、そういった被害に遭った場合は、たとえ小さなことでも通報するようにと、消費者ホットラインに情報提供するようにというようなことが記載されております。

それを踏まえて、そういった情報などを共有して、事業者への指導や製品安全にしっかりつなげていくということが重要ではないかというような内容になっております。

次が、特商法に関する書面交付の電子化に関する意見書でございます。

続きまして、7月22日のものは、日弁連による特商法改正についての意見書でございます。この中、多数の事柄が、右側の中身には書いてございます。

2つ目の通信販売については、通販事業者がインターネットを通じて消費者を勧誘するといった対応に関しまして、クーリングオフや取消権を認めることが必要ではないかといったような趣旨の事柄も書かれております。

それから、7月22日はケフィアグループ被害対策弁護団の意見書でございます。このケフィアの事案自体については、既に関係者9名が詐欺ないし出資法違反で起訴されている事件でございます。

意見書の内容といたしましては、これは、預託法が改正されて原則禁止にはなっているのだけれども、その商法の仕方が脱法商法であるのではないかといった御指摘や、それから行政庁による破産申立制度や解散命令制度などの創設、そういった考え方もあるのではないかといったような御指摘がなされている、そういう内容の意見書でございます。

それから、続きまして、書面の電子化のことや、SNSの本人確認のことの意見書を何通か頂いております。

8月9日には、ポンジ・スキームを行う法人に対して、行政庁が解散命令を発出することができるよう、制度整備を行うことを求める意見書というのを、先物取引被害全国研究会から頂いております。

ルール形成ワーキング・グループ、消費者委員会の中に置かれておりますけれども、そこに関連した内容となっております。

それから、8月25日は、これは参考送付ということで、宛名は消費者庁でございますが、ある事業者に対して消費者庁が会社法による解散命令を通知するべきではないかといったような内容の意見書となっておりまして、委員会にも参考送付されているところでございます。

続きまして、8月1日には食品表示基準遵守についての申入れということで、食の安全・監視市民委員会から御意見を頂いております。

機能性表示食品につきまして、機能性表示食品という文字のところは、とても色合いが目立つような形、例えばオレンジ色に黒字の文字というように目立つような形で書いてあるけれども、そのほかの摂取方法の注意部分などについては、ちょっと色合いが見にくいのではないか、早急に改善を求めるといったような事柄の内容となっております。

それから、8月3日の東京特別区・武三地区の運賃改定要請についてということで、自交総連東京地連というところから、タクシーに関係してなのですけれども、意見書を頂いております。

これは、公共料金等専門調査会で審議いただき、もう既に答申を返しておる案件でありますけれども、議論の中でこの意見書についても、公共料金等専門調査会の委員の先生方には、お送りしておりまして、これを踏まえて答申を出していただいているというところでございます。

その他として、ワクチンの話ですとか、それから、主婦連から原子力発電所の再稼働及び新設に断固反対いたしますというような意見書を頂いているところでございます。

内容については、以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

委員の皆様から何か御意見等がございましたら、お願いいたします。

清水委員、よろしくお願いします。

○清水委員 ありがとうございます。

幾つかSNSに関連する御意見、声明等を頂いております。いまだ消費生活センターのトラブルは、8割方はSNS広告であったり、等々問題があります。また、匿名性によって、結局被害回復ができないということは依然ありますので、前回ワーキングは終わっておりますが、課題で残っているところの情報開示、本人確認義務等、何かできたら良いなと思いました。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、黒木委員、よろしくお願いします。

○黒木委員 今の清水委員のお話に関連するのですけれども、10月25日にSNS事業者の情報開示について意見書を発出した弁護士会の関係者の方々が、消費者委員会を訪問されまして、その際、私もWebexで拝聴していたところです。

このSNSに関するものについては、ワーキング・グループで、今後やはりこの問題については、どういう法形式かは別として、検討していくべき事項だなということは、非常に被害の実態、その他を聞くと思いました。

SNSワーキング・グループの今後の課題として、弁護士法23条の2の弁護士照会の機能強化なのか、特にLINEが中心なのですけれども、LINEの自主ルールをどういうふうに考えていくのかといったようなところも含めて、いろいろ考えていかなければならないなと思ったところです。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

よろしくお願いします。

○大石委員 頂いた意見の中で、ちょっと気になったのが、7月8日にPLオンブズ会議から出されているネット時代の製品安全を考える提言についてです。やはり、今、デジタル化の進展で、ネットで消費者がいろいろな商品を買う時代であり、それなのに、ネット取引での消費者被害の救済がなかなか進んでいない。特に海外から入ってきたものについての救済がなかなかできない状況にあるということは、これは消費者委員会としても重要視していかなければいけないテーマかなと思いました。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにはございませんでしょうか。

木村委員、よろしくお願いします。

○木村委員 私も頂いた意見の中で、8月1日付けの食品表示基準遵守についての申入れというところで、やはり消費者が商品を選ぶときに、見づらい、分かりにくいということは大変重要な問題だと思いますので、色という意見でございますけれども、色だけではなく、こういうことはきちんと検討していく必要があるかなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○後藤委員長 よろしいでしょうか。

それでは、ありがとうございました。これらの意見書等につきましては、今後の動向を注視するとともに、必要に応じて消費者委員会の調査審議において取り上げることといたします。


《5.閉会》

○後藤委員長 それでは、本日の議題は以上になります。時間がかなり超過してしまいまして、大変恐縮であります。

最後に事務局より、今後の予定について御説明をお願いいたします。

○友行参事官 次回の本会議の日程等につきましては、決まり次第、ホームページを通じてお知らせいたします。

以上です。

○後藤委員長 それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)