第380回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2022年10月5日(水)10:00~10:43

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)後藤委員長、大石委員
    (テレビ会議)青木委員、飯島委員、生駒委員、受田委員長代理、木村委員、黒木委員、清水委員、星野委員
  • 【説明者】
    消費者庁表示対策課荻野課長補佐
    国土交通省住宅局山下住宅生産課長
  • 【事務局】
    小林事務局長、岡本審議官、友行参事官

議事次第

  1. 住宅品質確保法について(日本住宅性能表示基準の改正)
  2. その他

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1.開会》

○後藤委員長 本日は、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから第380回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

本日は、大石委員、私が会議室にて出席、受田委員長代理、青木委員、飯島委員、生駒委員、黒木委員、木村委員、清水委員、星野委員がテレビ会議システムにて御出席です。

開催に当たり、会議の進め方等について、事務局より、説明をお願いいたします。

○友行参事官 本日は、テレビ会議システムを活用して進行いたします。

配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。

もしお手元の資料に不足がございましたら、お申し出くださいますようお願いいたします。

以上です。


《2.住宅品質確保法について(日本住宅性能表示基準の改正)》

○後藤委員長 本日の議題は、「住宅品質確保法について」です。

住宅品質確保法は、住宅の品質確保の促進、住宅購入者等の利益の保護、住宅に係る紛争の迅速かつ適正な解決を図ることを目的としております。

また、同法に基づく日本住宅性能表示基準は、住宅の性能に関して表示すべき事項や、その表示方法を定めるものであり、表示基準を変更する場合は、同法第3条第4項において消費者委員会の議決を経なければならないこととされております。

日本住宅性能表示制度における省エネ性能に係る等級に、ゼロ・エネルギー・ハウス、ZEH水準を上回る等級を設けることについては、戸建住宅については、本年1月28日の第363回本会議において審議の上、答申を行ったところです。

今回の改正は、共同住宅についても等級を設けるものである旨を伺っており、資料1-1のとおり、9月16日に内閣総理大臣から消費者委員会へ諮問があったところです。

この諮問事項について、消費者庁及び国土交通省からヒアリングを行い、審議を行った上で、本日は委員会としての判断を示すことといたします。

本日は、消費者庁表示対策課、荻野課長補佐、国土交通省住宅局住宅生産課、山下課長に御出席いただいております。本日は、ありがとうございます。

それでは、15分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁表示対策課荻野課長補佐 おはようございます。消費者庁表示対策課の荻野と申します。本日は、お忙しいところ、誠にありがとうございます。

このたび、住宅の品質確保の促進等に関する法律、こちらの規定に基づいて定めております、日本住宅性能表示基準を一部改正する予定でございますところ、本日、この内容について御審議いただきたいと考えております。

改正内容の詳細につきましては、国土交通省から御説明させていただきます。

○国土交通省住宅局山下住宅生産課長 国土交通省住宅生産課長の山下でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

消費者委員会の先生方におかれましては、住宅行政への推進に当たり、御指導、御支援賜りまして、ありがとうございます。

本日は、日本住宅性能表示基準の改正につきまして御説明をさせていただきます。

資料は、パワーポイントの資料で御説明をさせていただきます。

表紙をおめくりいただきまして、まず、2ページ目を御覧ください。

改めまして、日本住宅性能表示基準、それから評価方法基準の概要を示してございます。

御案内のとおりでございますが、住宅の性能に関する共通のルールを設けるということで、中ほどにございますが、10分野、35の項目につきまして、性能表示をする項目を示しているところでございます。

このうち、日本住宅性能表示基準におきましては、住宅の性能に関しまして表示をすべき事項ですとか、その表示の方法につきまして、例えば、等級で表示をするとか、それぞれの等級について、どのような性能を持っているかというようなことを定めているものでございまして、この改正に当たりまして、消費者委員会にお諮りするというものでございます。

今回、お諮りする中身でございますが、次の3ページを御覧いただければと思います。

共同住宅等におきまして、断熱等性能等級6、それから等級7を創設するというものでございます。

改正の背景につきましては、その上の囲みにございますが、かつては、住宅性能表示制度におきまして、省エネ性能に関する等級といたしましては、省エネ基準と申しました建築物省エネ法で定めております、近々これの適合を義務付けることになります、その基準相当を最高等級としていたところでありますが、ZEH、ゼロエネルギー住宅でありますとか、それを更に上回る省エネ性能を評価することができないということもありまして、これまでも段階的に、より上位の等級の創設をさせていただいたところでございます。

まず、先般は、ZEH水準の等級ということで、断熱等性能等級につきまして等級5、それから一次エネルギー消費量等級につきまして等級6を創設させていただきまして、本年の4月から施行したところでございます。

それから、先ほどもお話がございましたが、1月の委員会にお諮りいたしまして、戸建住宅につきましては、更にこのZEH水準を上回る等級を創設させていただきました。

断熱等性能等級6、それから等級7ということで創設し、この10月から、これを施行しているというところでございます。

それで戸建住宅以外の、この共同住宅等につきまして、同様の措置を講ずるかどうかということにつきましては、その実現可能性も踏まえて、当方で検討させていただきまして、その上で、その対応についてまたお諮りするということになってございました。

それで、今般の改正案を御覧いただきますと、いろいろ検証を重ねまして、また、我々の審議会でも、詳細な御検討を頂きました結果、この共同住宅等につきましても、等級6、それから等級7を創設させていただこうと考えてございます。

それで、外皮性能の水準、つまり断熱性能に関する水準につきましては、実際の実現可能性も踏まえまして、ほかの等級と同様、戸建住宅と同じ水準で対応したいと考えてございまして、戸建住宅の等級6、それから等級7と同等の水準で共同住宅等についても適用することとしたいと考えてございます。

ページおめくりいただきまして、4ページ目を御覧ください。

これが実際の表示基準の案でございますが、評価方法のところを御覧いただきますと、現行は、等級をどのように定めるかということで、一戸建ての住宅と、それから共同住宅とを書き分けてございまして、一戸建ての住宅につきましては、等級が1、2、3、4、5、6、7と、7までございますが、共同住宅につきましては、1、2、3、4、5と5段階になってございます。

つまり、その横にございます等級6と7につきましては、戸建住宅については適用されますが、共同住宅については適用されないということになってございました。

これを下のほう、改正案にございますように、もう戸建住宅、それから共同住宅という区別なく、全ての住宅につきまして、等級1から7までを適用させていただくと改正したいと考えておるところでございます。

それから、次の5ページでございますが、これは、実際、評価方法基準に定めることでございますが、断熱等性能等級6、7について、どのような水準を求めるかということでございます。

これは、この外皮、平均熱貫流率(UA値)、それから冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)というもので、具体の基準が定まっておりますが、この数値が小さいほど熱を通しにくいと、熱の出入りがしにくくなるということでございますので、数字が小さいほど性能が高いということになります。

この省エネに関する等級につきましては、地域区分、当然、日本の各地で寒いところ、暑いところございますので、その気候に応じて、その基準値を変えてございます。

結局、これも戸建住宅の基準と同じようにさせていただきますが、等級7、それから6、それぞれにつきまして、この各地域について戸建住宅と同様の基準を適用させていただくというものでございます。

続きまして、6ページでございますが、これも評価方法の中での話でございますが、結露の防止対策ということで、断熱等性能等級におきましては、断熱性能でございますとか、耐久性能を損なう要因となり得るような、その壁の中での結露の発生を防止するという観点から、防湿層を設けるとか、通気層を設けるとか、一定の基準を定めさせていただいてございます。

これも既に戸建住宅で等級6、7について一定の基準を定めてございますので、共同住宅につきましても同様のものとさせていただきたいと考えておるところでございます。

それから、次の7ページでございますが、この見直しのスケジュールをまとめてございます。

まず、今年の6月から7月にかけまして、私どもの社会資本整備審議会の中の、この建築物に関するエネルギー消費性能を扱う専門の委員会で御審議いただきまして、この共同住宅についての等級6、7の妥当性について御議論いただきました。

これを経まして、8月から9月にかけてパブリックコメントをさせていただいております。その結果は、また後ほど御紹介いたします。

それを経まして、先月9月28日に、社会資本整備審議会の建築分科会で、この等級6、7の創設につきまして、審議、議決を頂いたということでございます。

本日、消費者委員会にお諮りさせていただいてございますが、ここで御了解いただければ、速やかに公布の手続を取らせていただきまして、周知期間を経た上で、来年の4月からの施行を目指しているというところでございます。

それから、次の8ページを御覧ください。

先ほど申し上げました、パブリックコメントをしたところ、幾つか御意見を頂戴いたしましたので、それについて御紹介をさせていただきます。

意見数は5件でございましたが、直接関係ない御意見もございましたので、この3件についてまとめてございます。

まず、新設される上位等級のエネルギー削減効果を示されたいということでございますが、これにつきましては、通常の、いわゆる省エネ基準に適合する形で作られた住宅の場合と比較いたしまして、暖冷房にかかります一次エネルギー消費量の削減率が、等級6では、おおむね30パーセント、等級7では、おおむね40パーセントを目安として水準を設定しているというものでございます。

それから、2つ目の御意見でございますが、今回の改正に合わせてZEHを普及するというためには、このBELSの認証、住宅性能評価、いずれも一定の手数料が掛かりますので、それについて、国が減免等の補助をすべきではないかという御意見でございます。

これにつきましては、確かにこのZEH水準などの高い省エネ性能を満たす住宅の普及ということにつきましては、こういった評価に要する手数料もさることながら、その分、建設費も当然割高になるということもございますので、一定の支援をしていこうということで、私どもと、それから経済産業省、環境省と連携いたしまして、いろいろな補助メニューを設けて御支援をさせていただいているところでございますし、また、住宅ローン減税などにおきましても、この省エネ性能に応じて借入限度額の上乗せをするというような措置も講じているところでございますので、この評価の手数料ということにかかわらず、このZEHのような高い省エネ性能を持つ住宅の普及に対して、引き続き、支援を行ってまいりたいと考えてございます。

それから、3点目でございます。

外皮誘導仕様基準の施行スケジュールについてでございます。この外皮誘導仕様基準と申しますのは、これは、今回の等級6、7の話ではなくて、断熱等性能等級の5につきまして、基準といたしましては、外皮平均熱貫流率などでも、もちろん基準は決めておるのですが、仕様基準と申しまして、具体的に、例えば、どういう断熱材を入れるとか、窓はどういう仕様のものにするとかということを決めて、それを満たしていれば、この基準に相当しているということを、言ってみれば、使いやすく、分かりやすくするための仕様基準というのを、今回合わせて等級5について定めさせていただこうとしておりますが、これが、ほかの制度、例えば、建築物省エネ法の誘導基準とか、エコまち法の低炭素の認定基準とか、他の制度でも同じものを使っておりまして、そちらの施行時期と半年程度遅れることになるというのは不便ではないかという御指摘でございました。

これは、確かにパブリックコメントをかけさせていただいたときは、半年程度ずれると、来年の4月から施行させていただくという案でお諮りをいたしましたが、これは、おっしゃるとおり、全く中身は同じでございますので、ほかの制度との整合を図るという観点から、そこは施行時期を揃えさせていただくという方向で見直しをさせていただきまして、準備ができ次第、それぞれ同じタイミングで施行をさせていただくということで、今後進めてまいりたいと考えてございます。

以下、参考資料をお付けしてございますが、必要に応じて御参照いただければと思います。

説明は、以上でございます。よろしくお願いいたします。

○後藤委員長 ありがとうございます。

それでは、質疑応答と意見交換をお願いいたします。時間は20分程度でお願いいたします。

清水委員、よろしくお願いいたします。

○清水委員 清水です。説明ありがとうございます。

共同住宅等の断熱の6、7の創設につきまして異存ありません。技術に制度がついてきたということでしょうか。今後もいろいろな基準だとか制度がありますけれども、できるだけ各省庁に調整いただいて、現場で混乱がないようにしていただけたらと、それが脱炭素につながるなら良いことだと思います。

以上です。

○後藤委員長 ありがとうございました。

どうぞ。

○国土交通省住宅局山下住宅生産課長 御指摘ありがとうございます。

関係省庁ともよく連携いたしまして、きちんと整合のある形で省エネ対策を今後とも進めてまいりたいと思います。どうもありがとうございます。

○後藤委員長 それでは、ほかにございませんでしょうか。

大石委員、よろしくお願いします。

○大石委員 御説明ありがとうございました。

今、清水委員がおっしゃられましたように、省エネは、地球温暖化防止にも大変重要なことですので、先日の戸建の省エネ基準に引き続き、即御検討いただき集合住宅でも新しい基準を設置していただけたということ、大変有り難く思っております。

その上で、御説明いただいた内容について、何点か質問をさせてください。

今回設置された新しい基準6、7に相当するような建物というのは、現在、どのくらいの割合で存在するのでしょうか。それとも、この基準の建物は、これからできていく段階なのか、もし分かれば教えていただきたいというのが1つ目の質問です。

あとは、8ページのパブリックコメントの意見の2番目のところです。こういう良い制度に対して、いろいろな減免ですとか、補助をという意見が出ております。戸建住宅の場合には原則個人が建てるので、建て主に補助金等が直接行くというのは分かるのですけれども、こういう集合住宅の場合には、まず建てるデベロッパーといいますか、建築事業者がいて、最終的に住宅として買って住む個人の消費者の方がいらっしゃると思います。

それぞれについて、どのような補助策があるのか、今既にあれば教えていただければと思います。ここに記載してある住宅ローン減税というのは、多分、住宅を買われて入られた消費者の方への減税だと思うのですけれども、そもそもこのような大変省エネ基準の高い住宅を建てようとする事業者への補助のようなものはあるのかどうか、またそれが消費者に回ってくるのか、分かれば教えてください。

○国土交通省住宅局山下住宅生産課長 御指摘ありがとうございます。

まず、1点目、今回創設させていただく等級6、7に相当するようなものが実際にあるのかということでございますが、これは、性能表示に位置付けて実際制度が動き始めますと、実際どういう等級で評価書が出ているのかと、きっちり統計を取れますので、そうなると、どれぐらいの割合がというのが定量的に分かるようになってくるのですが、ちょっとまだ始める前ですので、実際、世の中にどれぐらいあるかというのは、なかなか正確には分かりかねるところはあるのですが、感覚といたしますと、6についてはそこそこ、そういったものも作られているのではないかと思います。7ぐらいになると、恐らくあるとは思いますが、結構頑張っていただく必要があろうかと思いますので、まず、数の面では、どれぐらいかなという状況かなと考えてございます。

それから、2点目のZEHなどに対する支援の中身についてでございますが、おっしゃるように戸建住宅は、割と個人が直接発注されて建てられるケースなどありますので、言ってみれば、建てる方と実際に住まれる方も御一緒ですから、比較的それは分かりやすいのですが、確かに分譲マンションのような場合は、御指摘のとおり、ローン減税は、あくまでも各個人ですので、住宅を取得される方が、その税金を払われるときに、そういった性能の高い住宅を取得されたのであれば、一定の控除をさせていただくという仕組みでございます。

あと補助も、実はいろいろなお金の出し方があるのですが、各省庁それぞれ仕組みがあって、いろいろありますが、私どもがよくやらせていただいているのは、事業者、実際に建てられる方に対して、戸当たり幾らという形で補助をさせていただいて、その補助をさせていただいた分については、所有者というか、住宅を取得される方にきっちり還元してくださいということをお約束いただいて、事業者に補助をさせていただくと、特に、今、ZEHを進めようということで各省連携して取り組んでございますので、ZEHの基準を満たすものを対象にいたしまして、ほかにも一定の条件を付けた上で、建てられる方に補助をさせていただいて、結果として、その分が住宅を購入される方に還元されるような形で、そうすることによって、ZEHのような性能の高い住宅が世の中に普及するように後押しをさせていただいているというところでございます。

○大石委員 ありがとうございました。

こういうものは、していくことが大事なので、是非周知にしっかり取り組んでいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○後藤委員長 それでは、受田委員長代理、よろしくお願いいたします。

○受田委員長代理 受田です。

御説明ありがとうございました。私も基本的に、現在の省エネの必要性や、促進の観点から断熱等性能等級、新たに共同住宅に対して、等級6、等級7、これを設定するということは大賛成でございます。

エネルギー削減効果も、おおむね等級6においては30パーセント、及び等級7においては40パーセントということで、その省エネ効果も極めて大きいということも含めて、この制度がしっかりと普及していくことを大いに期待を申し上げたいと思っております。

パブコメの中で、最初の質問は、エネルギー削減効果を具体的にという質問でございましたけれども、これは、今日お示しをしていただいた資料の中にも具体的に書き込まれていた内容かと思います。

その上で、こういうパブコメの質問が来るということは、提案の仕方として、十分にそこが訴求できていない可能性もあるのかなと思って、質問としては、パブコメでこういう質問が来ているということは、説明においての具体的な提案の仕方をより分かりやすくしていく必要があるという、そんな御指摘にも感じるのですけれども、その受け止めだけ教えていただければと思います。

以上です。

○国土交通省住宅局山下住宅生産課長 御指摘ありがとうございます。

おっしゃるとおり、我々、削減率は30パーセント、40パーセントというふうにしているところではございますが、この辺りがうまく伝わっていたかというところにつきましては、いろいろ今後工夫しなければいけない点があろうかと思っております。

確かに等級だけをお示ししますと、この削減率ということがすぐに分かるというわけでもございませんので、そこは、今回の御指摘なども踏まえまして、今後パンフレットになりますか、どういうやり方にするかは、ちょっと工夫をさせていただきますが、等級6、それから等級7の意味するところは、こういう削減率を表しているのだということを分かりやすくお示しできるような、少し工夫を考えさせていただきたいと思います。

○受田委員長代理 是非よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○後藤委員長 黒木委員、よろしくお願いいたします。

○黒木委員 黒木です。御説明ありがとうございます。

戸建住宅に加えて共同住宅もZEHを考えるということ、この方向性自体については、異論はないところなのです。ただ、私、弁護士なものですから、ハウスメーカーというか、共同住宅建設を勧誘している業者が、相続税対策の理由で共同住宅の建築を進めて、その結果として、かなりのローンを抱えてしまうけれども、当初の借入時の満室予測等が、極めて楽観的な見通しのもとに立てられていて、賃料収入での返済計画が狂い、結局のところ、不良資産を抱えてしまうというような案件を何件か経験しています。その観点でお尋ねなのですけれども、こういうふうに省エネ基準が上がっていくということについて異論はないのですが、この結果として、坪単価はどれくらい、通常の等級5ぐらいまでのものからすると、上がることを考えていらっしゃるのか。そして、それに基づいて抱えるローンとかということに対する補助金とか、そういうようなところについては、環境省とかいろいろなところでも、いろいろお考えのようですけれども、何か具体的な補助金とかいうものはお考えなのかということについてお尋ねしたいと思っております。

以上です。

○国土交通省住宅局山下住宅生産課長 御指摘ありがとうございます。

等級6、それから等級7にすることによって、どれだけコスト増になるかということ、すみません、ちょっと今、手元に資料がございませんが、いずれにしても、より高い性能を有する断熱材とか、それから、いろいろなサッシとかガラスとかを使うことになりますので、その分、コスト増にはつながるかと思います。

それで、もう一点ございました、支援策ということにつきましては、ここにも書かせていただきましたとおり、ZEHを始めといたしました高い省エネ性能の住宅を建てていただく際には、いろいろな支援策を、私どももそうですし、経済産業省、環境省と連携して、一定の補助をさせていただくようなメニューもございますし、また、税制面での優遇措置とか、更には、もし住宅金融支援機構などをお使いいただくのであれば、その融資の面でも優遇をさせていただくとか、そのような支援策も御用意させていただいておりますので、こういう省エネ性能の高い住宅の普及に向けましては、そういった支援策があるということも併せて、きっちりと周知をさせていただいて、普及に努めてまいりたいと考えております。

○黒木委員 ありがとうございます。

結局のところ、このZEHが作れるようなハウスメーカーの営業姿勢というか、最終的には、彼らのかなり乱暴な営業をしないようにという点も含めて、その辺りも含めて考えていただきたいと。補助金がありますという形で、また、今申し上げたような問題、結局、満室予測で建築したが、空室をいっぱい抱えてしまってローンの弁済ができないと、結構田舎のところに共同住宅を建てさせるという商法を行う業者がいます。その辺りも含めて、そのような影の部分もないわけではないですから、そこも含めて御検討いただき、すばらしい住宅を利便性の高いところに、環境基準を満たした共同住宅が建つようにお願いしたいと思っております。

以上です。

○国土交通省住宅局山下住宅生産課長 ありがとうございます。

御指摘のとおり、賃貸住宅を建てて、そこが結果として満室にならずに負債を抱えられるというようなケースは起こっておりますので、そういった対策も一方で進めさせていただいておりますので、そういったことと併せて、この省エネ住宅の普及についても、進めてまいりたいと考えてございます。

ありがとうございました。

○黒木委員 ありがとうございました。

○後藤委員長 それでは、木村委員、よろしくお願いいたします。

○木村委員 木村です。御説明ありがとうございます。

私もこの省エネの取組ということで、大変重要なことで賛成いたします。

建築時の取組として、補助金などが、もちろんあることは賛成なのですけれども、ただ、住宅というものは、本来消費者にとって住み続けるものですので、これを今度、住んで維持するために、省エネに対して引き続きどういう対応をしていくかということもすごく重要だと思いますし、また、住宅というのは、ある意味、経年劣化もいたしますので、そういったことについても、今後対応が必要なのではないかと考えているところです。

継続的に消費者が省エネについて取り組むということに対して、今後、この省エネの住宅の周知とともに、維持について、今後の課題になると思うのですけれども、検討していただくことが重要ではないかと思っている次第です。

以上です。

○国土交通省住宅局山下住宅生産課長 ありがとうございます。

省エネ性能の高い住宅というのも、もちろん大切でございますが、そういった性能の良いものを、長く性能を維持して使っていただくということも極めて重要なことでございまして、私どものほうでは、例えば、長期優良住宅などと申しておりまして、省エネ性能を含め、質の高い住宅を建てていただいて、きっちりそれの手入れをしながら長く使っていただくというような取組を進めているところでございますので、そういったことも併せまして、省エネ性能の高い、良いものを建てていただいて、それをきっちり維持して、必要に応じて補修なり改修なりをしながら、長くお使いいただけるような、そういった取組を引き続き努めてまいりたいと考えております。ありがとうございます。

○木村委員 御説明ありがとうございます。是非セットで周知をしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○後藤委員長 それでは、青木委員、よろしくお願いいたします。

○青木委員 青木です。どうも御説明ありがとうございます。

私も、やはり、こういう省エネの、更に高い性能の等級を作るということについて、戸建住宅だけではなく、共同住宅にもという今回の御提案については、賛成いたしております。

先ほど受田委員もおっしゃっていたのですが、やはり、特に昨今の地球環境の、消費者側の意識も高まっておりますので、こういう省エネ住宅のところについては、当然のことながら建築費用も高くなりますし、初期コストとしては、消費者側にとっても、購入のところについても高いのですが、先ほど出ておりましたようなランニングコスト、それから、コスト面のところだけではなく、CO2の削減、エネルギー削減、こういった辺りの選択のところが、もうちょっと消費者に分かりやすいような情報提供を、やはり強化していただくことによって、こういう高性能住宅の普及というのが促進されるのではないかと思いますので、是非その辺のところについては、これからも消費者目線でのいろいろな促進のところの施策というのをお願いしたいなという意見でございます。

以上です。

○国土交通省住宅局山下住宅生産課長 御指摘ありがとうございます。

おっしゃるとおり、住宅の断熱性能を高めますと、暖冷房に要する費用が削減されるということもございますが、加えまして、部屋の中の温熱環境が改善いたしますので、健康にも良いというような効果もございますので、そういったことも含めまして、消費者の皆様方に、確かに、その分、最初の建設コストは高くなるけれども、いろいろメリットがあって、長い目で見ると非常にメリットがあるということをお伝えできるように、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

○後藤委員長 よろしいでしょうか。

それでは、ほかにございませんでしょうか。

よろしいですか。

どうもありがとうございました。委員の方々から意見を出していただきまして、注意すべき点についての御指摘というのはございましたけれども、基本的には賛成という御意見だと受け止めました。

これから、テレビ会議システムの画面上で答申案を表示いたしますので御覧ください。

(答申案の表示及び配付)

○後藤委員長 ただいま追加資料として、皆様に配付しました委員会の答申案は、令和4年9月16日付けで、内閣総理大臣から当委員会に諮問のあった事項について、「『住宅の品質確保の促進等に関する法律』の趣旨に鑑み妥当であり、その旨答申する」というものです。

同意の場合もしくは修正意見がある場合、チャットにてお知らせください。

よろしいでしょうか。

それでは、皆様の御了解を頂いたということで、この内容で答申をしたいと思います。

消費者庁、国土交通省の皆様におかれましては、本日はお忙しいところ、審議に御協力いただきましてありがとうございました。御退席ください。

どうもありがとうございました。

(消費者庁、国土交通省 退室)


《3.その他》

○後藤委員長 次の議題は、消費者裁判手続特例法の改正に伴う特定商取引法施行令の改正についてです。

事務局から簡単に説明をお願いいたします。

○友行参事官 それでは、資料でございますが、資料の2-1と、それから資料の2-2と、それから資料の2-3でございます。

まず、全体的なことを最初に御説明いたします。

特商法においては、法律の中で、政令の制定または改廃の立案をしようとするときは、消費者委員会に諮問しなければならないということが、特商法の64条の中で規定されております。

今回、消費者庁から出てきております資料につきましては、その施行令の部分について改正があります。それについて、諮問・答申の手続についてどうするかということの御審議を頂くということでございます。

今回の施行令の改正でございますけれども、特商法の施行令の中で、適用除外というものを定めているところがございます。資料の2-2を御覧いただけますでしょうか。

特定商取引に関する法律施行令のところでございます。

施行令の5条の中の別表第2というところでございます。上の段が改正案で、下の段が現行でございます。

消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例法が改正されたことによりまして、このような形で、改正案と現行という形になっております。

改正案のところを見ていただきますと、別表第2の50のところでございますが、消費者の財産的被害等の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律のところ、財産的被害等ということで、「等」という文言が入っております。

こちらにつきましては、今回の特例法の改正によりまして、財産的被害だけでなく、慰謝料につきましても、この特例法の対象範囲に拡大されたということが背景となっております。一つ、この「等」が入ったところが変更でございます。

また、もう一つ現行のところでは、50のところを見ていただきますと、同法第65条第2項に規定する業務として行う役務の提供と記載されておりますが、改正案については、同法第71条第2項に規定する業務として行う役務の提供というようなところが変わっております。この変更は、特例法が変わったことによる条ずれでございます。

こうした形で引用条文がずれていたり、それから、法令名が変更になっているという形式的な改正となっております。

これまで委員会では、こうした形式的な改正の場合については、消費者委員会本会議において、諮問と答申の手続について省略することを諮り、承認を受けるという方法を取ってきております。

以前におきましても、法律名の変更、条文番号の変更等につきましては、こうした本会議において確認いただいた上で、諮問と答申の手続について省略しております。今回についても同様の方法でよろしいかということをお諮りいたします。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

諮問・答申を省略することについて、御意見等がございましたらお願いいたします。

よろしいでしょうか。特に御異論ございませんでしょうか。

それでは、御異論がないようですので、今回の特商法施行令改正については、形式的な改正であるため、諮問・答申を省略することといたします。


《4.閉会》

○後藤委員長 本日の議題は以上になります。

最後に、事務局より今後の予定について説明をお願いいたします。

○友行参事官 次回の本会議の日程と議題については、決まり次第、委員会ホームページを通してお知らせいたします。

以上です。

○後藤委員長 それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)