第378回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2022年9月8日(木)15:45~16:38

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 河野内閣府特命担当大臣
  • 【委員】
    (会議室)後藤委員長、生駒委員、大石委員
    (テレビ会議)飯島委員、受田委員長代理、木村委員、黒木委員、清水委員、星野委員
  • 【事務局】
    小林事務局長、岡本審議官、友行参事官

議事次第

  1. 消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループについて(中間取りまとめ)
※途中、河野内閣府特命担当大臣より御挨拶がありました。

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1.開会》

○後藤委員長 本日は、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから第378回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

本日は、生駒委員、大石委員、私が会議室にて出席、受田委員長代理、飯島委員、黒木委員、木村委員、清水委員、星野委員がテレビ会議システムにて御出席です。

青木委員は、御欠席です。

開催に当たり、会議の進め方等について、事務局から説明をお願いいたします。

○友行参事官 事務局でございます。

本日は、テレビ会議システムを活用して進行いたします。

配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。

もしお手元の資料に不備がございましたら、事務局までお申出くださいますようお願いいたします。

以上です。


《2.消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループについて(中間取りまとめ)》

○後藤委員長 本日の議題は「消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループの中間取りまとめ」についてです。

このワーキング・グループでは、公正な市場を実現するための消費者法におけるルール形成の在り方や、ルールの実効性確保に資する方策、行政・事業者・消費者の役割について検討することを目的として、第5次委員会より活動しております。

第7次委員会では、多数の消費者に被害を生じさせた者の不当な収益を剥奪し、被害者を救済するための制度の検討をする際の考え方等を整理することを目的に、本年3月より議論を重ねてまいりました。

このたび、中間取りまとめが取りまとめられましたので、本日は、ワーキング・グループから委員会へ報告を申し上げます。

黒木座長代理から、よろしくお願いいたします。

○黒木委員 黒木でございます。

ただいま御紹介いただきました、消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ座長代理の黒木でございます。

本ワーキング・グループは、先ほど後藤委員長に御紹介いただきました目的で、第5次消費者委員会にて設置されたものです。

第5次では、消費者法分野のルール形成の在り方として、事業者の自主的取組、民事ルール及び行政規制がベストミックスされることが重要であることを提言しております。

第6次では、事業者及び事業者団体の自主的取組にフォーカスした調査審議を行いました。

今次、第7次は、自主的取組、民事ルールでは対応しきれない悪質商法について、実効的な法整備や違法収益の剥奪、財産保全等の制度について検討する目的で、本年1月28日の第363回消費者委員会本会議において再開されたものです。

先日、中間取りまとめをいたしましたので御報告をいたします。

今回の中間取りまとめでは、近年発生した多数消費者被害事案を整理して、現行制度による対応の可能性、その限界などについて検討をしております。

また、中間取りまとめ以降に議論が必要な論点を提示しております。

報告書の詳細につきましては、事務局から御説明をお願いいたします。

○友行参事官 事務局でございます。

それでは、お手元に資料があるかと思います。資料1が、中間取りまとめの本体となっております。資料2が、その中間取りまとめの概要でございます。

本日は、資料2に基づきまして御説明申し上げます。

消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ中間取りまとめでございます。

今次ワーキング・グループの目的でございます。

2つ目のマルでございますが、今次ワーキング・グループでは、悪質商法について実効的な法整備や違法収益の剥奪、財産保全、それから、それを被害者に給付するといった、この一連の制度の在り方について検討をしております。その取りまとめを目的に検討しております。

ワーキング・グループの審議体制でございます。構成員は御覧のとおりでございます。後藤委員長に座長、それから、先ほど御説明いただきました、黒木委員に座長代理をお願いし、木村委員に入っていただいております。

オブザーバーは、そこに記載のとおりでございます。

審議経過は、左側下でございますが、御覧のとおりで、35回から、これまで7次に入ってからは6回ほど検討しております。

右側にまいります。近年発生した多数消費者被害のところを御覧いただけますでしょうか。

ここでは、まず、ジャパンライフについて、事案の概要を記載しております。

訪問販売や連鎖販売取引に預託取引を組み合わせた取引形態となっておりました。磁気式の治療器を販売しており、商品を顧客の手元に置かず、ジャパンライフが預かって、第三者にレンタルすることで得られる賃料から、年間6パーセント程度の配当が支払われるということをうたっておりました。

実際には、商品の数が契約上存在するはずの数量に対して著しく不足しておりました。顧客から支払われた商品購入代金を原資として、ほかの顧客へ配当が支払われているという自転車操業でございました。

消費者庁から4度の行政処分を受けたにもかかわらず、潜脱的に営業が継続されておりました。被害者は約7,000人、被害総額は約2,000億円となっております。

それから、その下のケフィア事業振興会でございます。

形態として、買戻特約付売買契約を締結して、一口数万円を出資することにより、干し柿や、ジュース、ヨーグルトなどのオーナーとなると。そして満期になると10パーセント前後の利息を上乗せして、当該対象商品を買い戻すという制度でございました。

こちらは、新規の会員から調達した資金から、会員への利息、事業経費等の支払いを行っており、自転車操業の状態でございました。被害者は約3万人、被害総額は1,000億円となっております。

その下は、MRIインターナショナルといった事件でございます。

アメリカに本社を置く会社でございまして、医療機関・薬局が有する保険会社・政府に対する診療報酬請求債権の購入と、その回収から生じる利益の一部を配当するといったことをうたい、その権利を販売しておりました。

顧客から集めた資金の運用により、年間6パーセントから10パーセント程度の利回りが出せると言っておりました。

実際には、顧客の資金を上記の事業に用いることなく、他の顧客に対する配当金及び償還金の支払いに充てておりました。

被害者は、アメリカにある会社でございますが、日本人のみ約8,700人、被害額は1,365億円となっております。

こうした被害の事案を確認いたしましたところ、共通する本質的な問題点として、以下が挙げられております。

高配当・高利益をうたって、多数の消費者を強力に誘引する。

それから、2つ目といたしまして、利益が上がらないと、他の消費者から得た出資金を配当ないし利益の提供を行わざるを得ない状況に陥り、そのため、新たな出資者を集めるということを繰り返す。

出資が増えるほど、配当ないし利益の提供をしなければならない金額が増えるため、更に出資者を集めて被害が拡大するという悪循環に陥っているといったところでございます。

2ページ目にまいります。

こういった事業形態に対して、現行法では、どういった手当ができるかというのを、整理できるのかということと、その限界について検討し、調べてまとめたのが、現行制度の概要といったところでございます。

現在、こうした事案に対抗する手段として、1つ目として、民事的手法がございます。消費者裁判手続特例法でございます。

特定適格消費者団体が、消費者被害の集団的な回復を図るといった制度となっております。一人一人の金額は少数であっても多数の被害が出ている場合に、特定適格団体が代わって、被害者救済を行うといった仕組みであります。

それから、行政的手法として、消費者安全法の注意喚起でありますとか、それから、勧告・命令といった制度がございます。

「いわゆるすき間事案について」と書かれておりますのは、財産事案に関わる消費者被害についても手当がなされておるといったところでございます。

それから、特定商取引法・預託法がございます。指示や措置命令、こういった業務を行ってはいけないということを言ったり、業務停止命令、それから取引停止命令というものがございます。

こちらは、会社に対してでございますけれども、役員等に対しては、新たな業務開始を禁ずる業務禁止命令といった規定もございます。

この特商法は、累次の改正を重ねまして、どんどん厳しくなってきているところでございます。

ただ、ジャパンライフの例にもありましたように、4度の行政処分においても、4つ目のポツでございますが、潜脱的に法令違反が繰り返されるといった実態もございます。

右側にまいりまして、会社法による解散命令でございます。裁判所が、法務大臣又は株主、社員等の申立てにより、会社の解散を命ずることができる制度がございます。

申立ての要件といたしましては、3つございます。

①として、会社の設立が不法な目的に基づくとき。

それから②として、業務執行取締役等が、刑罰法令等に触れる行為を法務大臣の警告にかかわらず、継続的に又は反覆して行うときなどでございます。

官庁等は、職務上、解散命令の申立て又は法務大臣の警告をすべき事由があることを知ったときは、法務大臣に通知しなければならないといった建付けになっております。

こうしたことが、この解散命令が発せられると、包括的に財産を保全する制度があるということで、財産を保全することによって、そこに残っている財産を被害者に給付するといったことにつながるといったことでは、一つ参考になる制度でございます。

それから、課徴金納付命令、景表法の課徴金制度。こちらは、優良誤認や有利誤認を行った事業者が対象となっており、事業者が被害者に自主返金することにより、課徴金の減額を定めることによって、被害救済につなげるといった仕組みが置かれております。

その次の金融機関等の更生手続の特例等に関する法律でございますが、こちらは、金融庁が銀行や保険、金融商品取引業者などに破産申立てをできるといった制度でございます。

また、刑事的手法というのもございます。被害回復給付金支給制度でございます。こちらは、没収・追徴した金銭等を検察官が給付資金として保管して、それを対象犯罪行為の被害者に給付金として支給する制度でございます。

また、振り込め詐欺救済法、こちらは通称でございますけれども、こちらの制度としては、犯罪に利用された預金口座を凍結して、そこに預金が残っている場合には、被害者に分配するといった制度でございます。

こうした現行制度がございますが、それぞれ活用できる部分もあれば、見解もあるといったことを、中間取りまとめでは確認したところでございます。

一番下の中間取りまとめ以降に議論が必要な論点といったところでございます。

まず、中間取りまとめ以降、これからどういうふうに検討を進めていくかというところでございますが、まず、このワーキング・グループの目的は、悪質商法について、違法収益の剥奪、財産保全、それを被害者に給付するという一連の制度を検討しているわけでございますけれども、その悪質商法というのをどういうふうに定義するかといったところが、どのような事案に対処が必要かというところでございます。

議論の前半では、先ほど紹介いたしましたように、ジャパンライフやケフィア事業振興会、MRIインターナショナル、それからもう一つ同様の自転車操業に陥っている事業者の類型を検討いたしました。

そこで共通する本質的な問題点というのを、先ほど1ページ目の右下で御説明したものでございますけれども、ワーキング・グループでは、4つ程度の事案を精査したところだけでございますので、本当に、この悪質商法といったものの特徴が、先ほど整理した、高配当・高利益とか、ほかの消費者から得た出資金から配当するといった、そういう仕組みだけで良いのかどうかということを、更に後半では、もう少し同様の類似の事件を精査して、ほかに共通する本質的な問題はないかということを確認する作業を行う予定でございます。

それから、こうした悪質商法といった構造を確認した後に、では、その悪質商法、悪質事業者に対して対応するために必要な制度、要素は何かということを、更に検討してまいります。

まず、こうした事業者は、早期に事業を停止する必要がございます。被害の拡大防止というところにございますけれども、事業が継続する限り、新たな被害を増やし続けます。そのため、市場から速やかに排除されるべきであり、まずは事業を停止させるということでございます。

その際、停止なのか、解散なのか、破産なのか、いろいろなタイプがございます。その辺りをどうしていくかということを検討していくというところでございます。

それから、右側にまいります。調査権限・情報収集能力でございます。

○事務局 大臣、間もなく入られます。

○友行参事官 一旦、説明を中止いたします。

○後藤委員長 それでは、ここで中断いたします。

河野大臣が、もうしばらくでいらっしゃいますので、しばらくお待ちください。

(河野大臣 入室)

○後藤委員長 それでは、河野大臣にお越しいただきましたので、御挨拶をいただきます。

河野大臣、よろしくお願いいたします。

○河野大臣 河野太郎でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。

何年か前にも、消費者担当大臣をやらせていただきましたので、2回目になりますので、しっかりやらなくてはいかんなと思っております。

消費者担当を拝命しまして、すぐ霊感商法の話がありましたので、やたらと今、消費者庁がメディアでクローズアップされておりますが、当然、それだけでは済まないことでございますので、消費者庁、消費者委員会、しっかり一丸となって監視機能を果たしていかなくてはいかんと思っております。

今、メディアのグループインタビューを受けてまいりましたけれども、成年年齢が引き下げられ、その一方で、日本社会の高齢化はますます進み、いきなりデジタルがどんどんと進展をし、更には、いろいろなSDGsとか、もう肉をそれこそ培養してハンバーガーが食べられるというような時代にもなりましたから、デジタルだけでなく、新しい技術も生活の中に入ってくる中で、消費者お一人お一人に、これを全部フォローして、その中で生活をしてくださいと言っても、なかなか酷なところはあると思います。

そういう中で、ちょっと気を抜いたら被害に遭うというのでは、それこそ、おちおち生活もできませんから、いかにそういうバラエティに富んだ消費者の皆さんお一人お一人を、きちんと守っていけるのか、被害が起きる前に、その被害を未然に防ぎ、被害があった場合には、いかにそれを救済するか、大変な時代になったのかなと思っておりますが、消費者庁は、小さく産んで大きく育てようと言っていて、小さく産んだのは小さく産みましたけれども、あまり大きくなっていないなというところもあると思いますので、そこは今度、公務員制度も担当することになりましたので、そこは私の責任で、ある程度対応はしっかりしていかないといかんかなとは思っておりますが、是非、この消費者委員会、皆さん頑張っていただいて、何とか日本の消費者をしっかり守っていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

何か消費者庁のほうに御要望があれば、しっかり対応してまいりたいと思いますので、そこは遠慮なく声を上げていただけたらと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

消費者委員会としましては、河野大臣のお力添えをいただきながら、今後もより充実した調査審議を進めてまいります。

河野大臣は御公務がございますので、ここで御退席をされます。

本日は、お忙しいところ誠にありがとうございました。

○河野大臣 どうぞよろしくお願いいたします。

(河野大臣 退室)

○後藤委員長 それでは、審議を再開いたします。

御説明を続けてください。

○友行参事官 事務局でございます。

それでは、先ほどの資料2の2ページ目の中間取りまとめ以降に議論が必要な論点の右側のところの「調査権限・情報収集能力」のところでございます。

こうした悪質事業者に対応していくためには、当該事業の実体を把握することが必要と、実際に破綻必至に陥っているのかどうかといったことの把握が必要でございます。

それにふさわしい情報収集能力や、それから強制力を伴った調査権限が必要であるということで、具体的にどういった事柄が必要かということを検討していく予定でございます。

それから、財産保全制度でございます。

これまでの事案を見てみますと、破綻必至商法では、時間が経つにしたがって破産状態に近づき、事業者の財産は散逸してしまっております。また、このような商法を行う事業者は、責任追及を予期して、事業者の財産隠しをするということも見受けられるかと思います。そのため、被害回復の実効性を高めるためには、財産の保全を早期に行うことが必要というところでございます。

この財産の所在を早期に把握するための方策、又はその包括的な保全の仕組みを検討していくといったところでございます。

中間取りまとめの後、後半に向けて、以上のような議論を重ねていただく予定としております。

事務局からの御説明は以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございます。

それでは、消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループの中間取りまとめについて、質疑応答と意見交換をお願いいたします。

時間は20分程度を予定しております。よろしくお願いいたします。

清水委員、よろしくお願いいたします。

○清水委員 ありがとうございます。清水です。

現行制度の概要の説明がありましたけれども、これは、洗い出しただけと。実際に現場では、役に立っていない現状があるということをお伝えしたいと思います。

私たち相談員は、ジャパンライフのときも、ケフィアのときも、西山ファームのときも、どれだけ早く国が実名公表をして、未然防止に努めてもらえたら良かったか、また、何らかの方法で解散命令をして、こちらから潰していくということをやってもらえば、少なくとも何千人という人たちの未然防止ができたはずだと思っています。

先ほど、河野大臣も未然防止、そして、事後の被害回復と言われましたが、現場では、今、厳しい状態です。行政的手法で、スピード感を持って注意喚起と行政処分をやっていくというのは、喫緊の課題です。

今後、後半ですが、是非とも、例えば、ある制度がなぜ使われないのか、なぜ絵に描いた餅なのかというところを徹底的に追求して、是非とも建議に持っていけるような、仕組みを変えていくという形になれば良いなと、思います。

以上です。

○後藤委員長 ありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

木村委員、よろしくお願いいたします。

○木村委員 木村です。

私は委員として、これに参加しておりまして、これまでワーキングで、ヒアリングなどで、事例ですとか、対応について検討してまいりました。

今後、いろいろ検討していかなければいけないと思うのですけれども、消費者が被害を受けていると気付くような周知、広報というのが、まず必要であると思います。

また、消費者が相談しやすいように、相談体制の整備が必要です。それで、相談体制の整備のためには、行政が、使える手段の整理を行う。そして、法整備も視野に入れて進めていくというのが必要だと思っています。

もう一点は、被害額が大きいものは、もちろん問題なのですけれども、1件1件当たりの被害額が小さいもの、比較的少ないものも、やはり問題であって、それは件数が多いと、総額で被害額が大きくなるわけですけれども、少額だからといって、消費者が泣き寝入りするような、そういうことにはならないような体制が必要ではないかと思っております。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

生駒委員、よろしくお願いします。

○生駒委員 今の木村委員の御意見と重なるのですけれども、消費者の立場から、今、行われているワーキング・グループのいろいろな事案、考えさせていただきますと、やはり、例えば、自分が何かに関わろうとする、ちょっと魅力を感じる、何かこういう事業に関わろうとするときに、こういう行政処分がもう既に行われている事業かどうかなど、確認先というか相談先がないか。何かここを見れば、この事業者が、本当に行政的に問題があることをしているか、いないかというようなことが確認できるような、そういう検索サイトというか窓口があると良いのかなと思います。

もちろん、センターへの相談という方法はあると思うのですけれども、このようにネットが発達している時代ですから、必ずそこを検索すると、引っ掛かる事案があるとか、ないとか、消費者の側から既に関わる前に、未然防止の意味も含めて、そういうシステムというかインフラというか、相談先、確認先が作られると、消費者にとっては有益なのではないかと思いました。

あるいは、そういう機能を持った制度というかシステムを、もう既に作ろうとされているのかどうか、あるいは消費者庁の機能の中に、そういった窓口があると、消費者としてはアクセスしやすいかなと。

188というのは、もう既に被害に遭った段階で連絡するところですけれども、そうではなくて、自分が関わる前に検索できる、調べることのできる、悪質事業者かどうかを判断できるそういう装置があると良いのではないかと思いました。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

大石委員、よろしくお願いします。

○大石委員 ありがとうございます。

私も今回のこのワーキングは、オブザーバーで参加させていただきました。これまで繰り返された多数の消費者被害というものが、やはり被害について回復されずに、皆さん泣き寝入りしているという状況をいろいろと知り、まずは被害を未然に防ぐということもそうですし、それから被害回復もできるだけ早期に行う仕組みというのが必要なのだと思った次第です。

今の木村委員や生駒委員のお話にもありましたように、被害に関する端緒情報をいかに早く出していただくかが重要だと思っています。これは、消費生活センターに集まる相談事例もそうですけれども、やはり情報がないと、自分が悪質商法にだまされているということには、まず気が付かないということではないかなと思います。ネットを使うなどは、お年寄りの方は、なかなか難しい面もあると思いますけれども、いかにその端緒情報を集約して早く出していくかということが重要だと思っております。

それから、被害回復ができるのに、なかなか被害者自身が声を上げないという事実もあります。上げにくいという状況もあるということを、今回ヒアリングでお聞きしましたので、被害者が安心して声を上げられるような仕組みというのも作る必要があると思った次第です。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

よろしいでしょうか。

○清水委員 清水です。

すみません、今の大石委員の被害者が声を上げられないというところを、もう少し詳しく教えていただいてよろしいでしょうか。

○大石委員 御質問ありがとうございます。

ヒアリングの中で、COJの方の説明の中で、実際に被害回復ができる状況になっているのに、実際に被害回復に手を挙げてくれる消費者が、案外少ないのだとお聞きしました。それは、戻ってくる金額があまり多くないからかもしれないなど、いろいろな理由が考えられると思うのですが、なぜ被害回復が可能なのに被害に遭った方が声を上げないのだろうかというところに大変疑問を持ちました。やはり、その辺りをしっかり検討して、被害回復できる人が、声を上げられるような仕組み作りも必要なのではないかなと思って発言させていただきました。以上です。

○清水委員 ありがとうございます。

まさしく相談の現場でも同じように悩んでいまして、特にケフィアなどは、友達同士で広がっている、私だけが助かって良いのかというような感じの方も実際いらっしゃって、いや、みんなで相談に来てくださいと伝えました。

ただ、もうそのときには遅すぎて、間もなく倒産してしまうというようなことがあったので、本当に、一人でも多くの方に周知し、実際に危ないと思ったら一人でも多くの人を被害回復していく仕組みというのは、必要だと思いました。ありがとうございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、黒木委員、よろしくお願いします。

○黒木委員 黒木です。

今回、座長代理ということで議論に参加させていただきました。

この中間取りまとめにおいて、一つ意味があると思っているのは、会社法上の解散命令という制度にフォーカスしたということだと思っています。

この解散命令というのは、現行法の概要の中で、金融機関の更生手続の特例法というのは、これは、もう対象事業者は、金融機関だけで監督官庁が申立てをするということなのですけれども、会社法の解散命令は結局のところ、行政と司法手続、これを法務大臣に介してつなげるという制度です。

しかも、官公庁が通知をしなくてはならないという規定があるわけでして、こういう意味で、行政の情報、いろいろな知見を、法務大臣を介してですけれども、裁判所によって司法を使って、そして最終的には、今度は、私法ですけれども、個々の被害者の人たちに関する財産保全と分配につながる可能性があるということがあります。そこで、この制度に着目して検討しているということについて、非常に意味があったのではないかなと思っています。

同時に、今後の中間取りまとめで議論が必要な論点も、非常に幅広く、かつ検討するとかなり骨のあるというか、重大な論点がいっぱいあります。ただ、これは、途中にも書いてありますが、消費者庁が設置されたとき、それから、消費者委員会が設置されるときの附則の中にも、この問題を検討するようにとなっていたし、平成25年の消費者庁の研究会以降、これだけまとまって検討されたこともなかったわけですので、是非形のあるものに、この中間取りまとめ以降の論点をまとめていって、第7次の消費者委員会として、一つのマイルストーンになったというふうにやりたいなと思っています。

以上でございます。ありがとうございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

受田委員長代理、よろしくお願いします。

○受田委員長代理 ありがとうございます。

取りまとめ、本当にありがとうございました。また、今後の議論に、様々な重要なポイントが入ってくると思いますので、期待を申し上げたいと思います。

その上で、ちょっと今の中間取りまとめの中に、言葉として、破綻必至商法という言葉がございます。

ちょっと伺いたいのは、この破綻必至商法という言葉は、これまでも、この悪質商法を表現するときに、こういう使い方をしていたのかどうか、それを教えていただきたいのですけれども、いかがでしょうか。

○後藤委員長 これは、事務局、いかがですか。

○友行参事官 黒木座長代理、何かございますか。

○黒木委員 大変鋭い御質問だと思います。

破綻必至商法というのは、基本的には、別の言葉では、ポンジ・スキームと言われているものなのだと思っています。

すなわち、自らは積極的な経済活動をしない、関係者のお金をただ集めて、それを配って、その支払期限が違うことだけで、あたかも利益による配当があるような、事業やっているかのような外見を作ってしまう、つまり社会に対して事業活動による利益を生むことは全くなく、ただ、右から左にお金を回しているというようなもの、こういうものをアメリカの事例で、ポンジという人がやったことによって、ポンジ・スキームという名前があるのですけれども、そういうものだと。

経済活動による積極的な財を、社会活動として財を生んでいませんので、こういうところが、会員とか、そういう顧客と称する人たちにお金を渡すということについては、もう破綻必至であると、ただ単にほかの人のお金を財源にして、100万円集まったら、それを10万円ずつ配るから、まだ回っているというだけですので、これで破綻必至だと考えています。

それで、破綻必至という言葉は、恐らくそういう意味では、僕たちは使っていたものですけれども、行政用語として使っていたかと言われると、ちょっとそこはリサーチ不足でございます。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

○受田委員長代理 ありがとうございます。

行政用語でどうだったのかということは、依然、興味があるのと、そのポンジ・スキームという言葉は、私もこの消費者委員会において耳にしておりましたけれども、その表現が破綻必至商法ということであれば、消費者に対して極めて訴求力というか、理解をしやすい言葉になると、まず感じたところです。

そして、こういったケフィアやジャパンライフといったこういう事件が、先ほどからコメントがございますように、まだ、あまり顕在化していない段階から、この商法自体が、破綻必至商法であるというように、消費者にもしその情報が伝われば、一部はもう被害が出ているということにはなりますけれども、通常のような連鎖的あるいは大掛かりな被害の未然防止にはつながっていくのではないかなと。

そういう意味で、私はこの言葉、これを活用していく必要があるのではないかなと思って伺いました。ありがとうございました。

○黒木委員 御指摘ありがとうございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございます。

○清水委員 清水です。関連でよろしいでしょうか。

○後藤委員長 はい、よろしくお願いいたします。

○清水委員 ありがとうございます。

消費生活センターの相談員は、古くから破綻必至商法と言っています。それは、行政用語かと言われると、行政では、どうかというと、まだ、実名も公表されていない、逮捕もされていない事業者に対しては、非常に神経をとがらせています。

ただ、私たちは相談の現場では言っております。これは、マルチでもありますし、まさしくこのジャパンライフが表に出ていない頃、ケフィアもまだ出ていない頃、私たちは必死になって言っていたのですが、なかなか広くは伝わりませんでした。でも、実は実名を挙げずに、啓発・教育では、常日頃、この言葉は使っております。ただ、公表されない段階では、実名は言えませんので、恐らくこの事業者のビジネスのやり方はということで、言っています。

相談する人が、1人相談したらバックに10人いると、私たちは思っています。相談する方は1割にも満たないという現状があるので、この周知のやり方というのは、今後検討が必要かと思います。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

生駒委員、よろしくお願いします。

○生駒委員 すみません、私もワーキング・グループに参加していないものですから、ちょっと基本的な質問かもしれないのですが、先ほど、黒木委員から会社法の解散命令が制定されるというのは、すごく意味がある、一つのゴールになるということをお聞きしたのですけれども、実際、こうした破綻必至商法を行っていると思われる企業が、解散命令を出された例というのは、年間どれぐらいあるのでしょうか、あるいは、まだないのでしょうか、ちょっとそこのところお聞きしたい。これから施行されるということなのでしょうか。

○後藤委員長 黒木委員、いかがですか。

○黒木委員 これは、誰も重要視していなかった制度だったのです。条文はあるのです、会社法に、824条と826条とあるのですけれども。

○生駒委員 では、まだ使われていないということですね。

○黒木委員 条文はあるけれども、誰も使っていなかったと。少なくとも行政は使っていなかったのです。

○生駒委員 なるほど、先ほど来、いろいろな悪質商法の名前も挙がってきていますが、まだ、そういうものは使われていないということでございますね。今後は、そういう形で、解散命令を法に基づいて出していこうということですね。

○黒木委員 そこを一つフォーカスしたというのが、今回のこの報告書、中間取りまとめの一つの重要な意義だと思っています、社会的な。

○生駒委員 一つの目的といいますと、ゴールである、と。

○黒木委員 意義です。条文は、もう既にあるのですね。あるけれども、誰も使っていなかったと。会社法にあるのに。

○生駒委員 こうした悪質商法の難しさ、名前や姿を変えて生き延びていかれることもあるのかなと思っておりまして、それを追跡していくことも難しいかなと、なかなか感じておりますが、一旦こういう行政処分が、厳しく出されるのだということが提示されるということで、悪質な事業が少しは抑制される部分も出てくるのかなと思いますので、興味深く見ております。

御説明ありがとうございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ただいまの黒木委員の御説明の部分というのは、ワーキング・グループの中間取りまとめの会社法上の解散命令の29ページ以下に規定されていまして、今、このワーキングで取り上げているような大規模な悪質な消費者被害については、使われていないということなのですが、今までこの制度が使われたのは9件あるということで。

○生駒委員 何件ですか。

○後藤委員長 9件です。

○黒木委員 委員長のおっしゃるとおりで、22ページですか、あるのです。ただ、それは、結局のところ、法務大臣の申立てによる解散命令というのは、少なくとも戦後はないということなのです。

○後藤委員長 そういう意味では、ほとんど使われていなかったと、それに光を当てようというのが、今回このワーキングでは、今、そういうことを考えているということです。

○生駒委員 なるほど、意義深いと思いました。

○後藤委員長 よろしいでしょうか。

○友行参事官 事務局ですけれども、補足でよろしいでしょうか。

○後藤委員長 お願いします。

○友行参事官 今、こういうふうに会社法という建付けはありますけれども、実際には使われていなかったというわけで、これが、この限界とか、限界がどこにあるのかということも含めて、後半において検討していくということでございます。

○後藤委員長 よろしいでしょうか。

それでは、星野委員、よろしくお願いいたします。

○星野委員 すみません、私もワーキングに参加しておりませんで、ちょっといろいろ分からないのですが、本質的には、解散命令はすごく大事だと思いますけれども、未然防止という観点で、消費者保護法の注意喚起というところがあって、そこでホームページに、多分記載されているのですね。例えば、財産分与の注意喚起みたいなのをホームページで記載されて、大体月に1件とか2件とか出ております。

例えば、4月の株式会社サポートとかを見てみたところ、例えば、グーグルとかで調べると全然出てこないのですよ。何とかという会社を書いて、普通何か仕事をする際に、その会社のことを調べて、ちょっと考えたりしますね。ただ、現時点でも、そういう情報が出てこないというのは、ちょっとどうなのかなと。もう少し工夫をして広報をいただかないといけないのかと。

例えば、一応消費者庁の、例えばツイッターのサイトとかがありますけれども、例えば、消費者庁で株式会社サポートとやっても全然出てこないですね。ちょっと、もう少し実効的なというか、やはり若い方とかが、気になったら調べて、例えば、このような注意喚起というのが出てくるような状況に、現状はないので、もう少しそこを工夫していただきたいということ。

もっと言うと、例えば、注意喚起を受けた企業だったら、会社のホームページに最初に注意喚起を受けましたみたいな感じで出てくるぐらいの、何か強制力があるようなものはないのかなと、ちょっと思ってしまいました。

もう少し、いずれにしろ、注意喚起の情報提供に関しては、工夫する余地があるのではないかなということでございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

よろしいでしょうか、ほかにございませんか。

どうもありがとうございました。

このルール形成の在り方等検討ワーキング・グループの中間取りまとめということなのですけれども、現在、中間取りまとめが、報告書がまとまったという段階でして、今後の課題というのもたくさん残っております。

最初に清水委員が指摘なさったように、現行制度を基本的に洗い出していると、こういう段階でありまして、それが、今の会社法上の解散命令が典型的なのですが、制度があるのに使われていないという状況、こういうことも確認しまして、使われていないのはどうしてなのかというようなことも含めて、今後、もっと活用するという方向を考えていこうと、こういうことであります。

先ほど、会社法上の解散命令について、中間取りまとめの31ページでありますけれども、先ほど9件と申し上げましたけれども、その9件申立てがあったということでして、それから解散命令の決定がなされたのが1件、それから、却下決定が1件なされているということで、ほとんど使われていないと、こういう状況であります。

そのように制度上の問題ということについて、今後、より使える制度ということを、現在の制度も含めて考えていきたいということで、後半のワーキングが開始されると、こういうことになります。

この問題は、非常に重要な問題でして、社会的にも非常に注目されているということでありますので、しっかり今後も議論を詰めて、そして、成果を得るということを目指したいと思っておりますので、御協力のほど、よろしくお願いいたします。

それでは、本日の議題は以上になりますけれども、何か委員の方々で御発言、まだなされるという方は、何かございますか。

よろしいですか。


《3.閉会》

○後藤委員長 それでは、最後に、事務局より今後の予定等について、御説明をお願いいたします。

○友行参事官 次回の本会議の日程と議題につきましては、決まり次第、ホームページを通じてお知らせいたします。

以上です。

○後藤委員長 それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)