第377回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2022年9月2日(金)10:30~11:45

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)後藤委員長、大石委員、木村委員
    (テレビ会議)青木委員、飯島委員、生駒委員、受田委員長代理、黒木委員、清水委員、星野委員
  • 【事務局】
    小林事務局長、岡本審議官、友行参事官、田村企画官

議事次第

  1. 消費者教育について(消費者教育の推進に関する基本的な方針の変更に向けての意見案)
  2. デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループについて(報告書、建議案及び意見案)

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1.開会》

○後藤委員長 本日は、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。

ただいまから第377回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

本日は、大石委員、木村委員、私が会議室にて出席、受田委員長代理、青木委員、飯島委員、生駒委員、黒木委員、清水委員、星野委員がテレビ会議システムにて御出席です。

開催に当たり、会議の進め方等について、事務局より説明をお願いいたします。

○友行参事官 本日は、テレビ会議システムを活用して進行いたします。

配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。

もしお手元の資料に不足がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上でございます。


《2.消費者教育について(消費者教育の推進に関する基本的な方針の変更に向けての意見案)》

○後藤委員長 本日の議題は「消費者教育の推進に関する基本的な方針の変更に向けての意見(案)」についてです。

現在、消費者庁等において令和5年度以降に向けた基本方針の見直しの検討が進められているところであり、当委員会でも8月4日の第376回本会議において、消費者庁からその検討の内容についてヒアリングを行いました。

消費者委員会としては、これまでの審議を踏まえ、基本方針の見直しに当たり、盛り込むべき要素等を整理した意見案を作成しましたので、その内容について事務局から説明いただきます。

よろしくお願いいたします。

○田村企画官 事務局の企画官の田村と申します。よろしくお願いいたします。

それでは、意見案につきまして御説明させていただきます。

消費者教育の推進に関する基本的な方針でございますけれども、消費者教育を総合的・一体的に推進するため、国や地方公共団体の政策の指針となるだけでなく、消費者団体、事業者、事業者団体、教職員、消費生活相談員、地域福祉関係者、その他の幅広い消費者教育の担い手全ての指針となるもの、こちらが消費者教育の推進に関する基本的な方針ということでございます。

1ページ目の中段になりますけれども、令和3年の地方からの提案等に関する対応方針に基づきまして、次の基本方針でございますけれども、消費者基本計画との対象期間を一致させるために、次期基本方針に限りまして、令和5年度から11年度までの7年間を対象期間として策定されることとなったということでございます。

こういったことを踏まえまして、これまでの委員の先生方からの御意見を踏まえまして、7年間の計画期間ということでございますので、なかなか変化を予測するのも非常に難しいということでございまして、その都度重点的に取り組む課題を策定して、取組を進めるべきではないかと、こういった意見ですとか、新たな課題への対応、こういったことにもしっかり見直しをしていくべきではないかという御意見がございました。

こういったことを踏まえまして、1ページ目の中段以降ですけれども、対象期間が7年間と長いこと等から、期間中に社会環境の変化に即した重点課題を適宜示し、必要に応じ、新たな課題への対応を含む基本方針の見直しも検討すべきであると、こういった意見になっております。

なお、当委員会としては、本意見の基本方針変更案の反映状況等について、引き続き検討し、必要に応じ、意見表明を行っていくこととするということになっております。

続いて、記のところでございます。

1つ目のテーマでございますけれども、委員の先生方からSDGsの捉え方をしっかり重点的に記載すべきではないかとか、あるいは消費者教育自体がエシカル教育とイコールとなっても良い時代である、あるいは、考えるだけでなく、考え活動するという捉え方が重要であると、こういった御意見をいただいたことを踏まえまして、1つ目のテーマを立てさせていただいております。

1つ目、SDGs達成に向けて、消費者市民社会の一員として行動する消費者の育成ということでございまして、消費者市民社会の一員としての行動は、SDGs、エシカル消費、サステナブルの考え方と目指す方向性が同じであり、人・地域・社会・地球環境等に配慮した考え方及び行動を促す、そうした教育を実践することが重要であると言っております。

2ページ目でございますけれども、こちらも行動できることが重要であるということを強調しておりまして、消費者が、消費者市民社会の一員として自らの行動が社会経済及び地球環境等により良い影響を与え得ることを認識し、自立した消費者として考え、行動できることが重要であるとしております。

実現に向けての観点でございますけれども、1つ目のポツでございますが、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校から大学、専門学校、職域において各段階に応じた消費者教育を実施すること。

それから、3つ目のポツでございますが、消費者が社会的課題を自分事として捉え、消費行動により課題解決につながる消費者教育を推進すること。

それから、最後のポツでございますが、ここも行動できることが重要であるという視点を踏まえまして、具体例を紹介することとしておりまして、食品ロス、プラスチックごみの削減、エシカルファッション、水産エコラベルの普及等、こういった消費者が行動するに当たっての具体例を積極的に紹介することとしております。

それから、2つ目のテーマでございますが、「デジタル社会における消費者被害の未然防止と被害回復に向けた対応」ということでございます。

こちらのテーマにつきましては、消費者全体に対して新しいものに対しては、誰もが弱者である、こういった視点を是非取り入れていただければと、こういった御意見等をいただいております。

そういった御意見を踏まえまして、中段以降でございますけれども、誰一人取り残されない社会を実現するため、脆弱性を抱える消費者が、必要な情報を入手できるようにするとともに、周囲の人々が脆弱な消費者を支援できるよう、必要な消費者教育を実施していくことが重要であると。

また、社会のデジタル化に伴い、多様で複雑な契約、決済、サービス形態が絶えず出現していると。デジタル化の前には誰もが脆弱性を持ち得るとの認識に立ち、消費者被害の未然防止及び被害回復とデジタルの積極的活用といった双方の観点から、デジタルリテラシーに関わる消費者教育を充実させることが重要であるとしております。

実現に向けての観点でございますけれども、こちらについては、1ポツのSDGsと同じような観点が必要ということで、小中高、特別支援学校から大学、専門学校、職域における各段階に応じた消費者教育を実施することということを再度掲載させていただいております。

それから、3ページ目でございますけれども、特に消費者被害の未然防止の観点からは、例えば、消費者契約法等、そういった消費者法分野の教育を充実させることが重要であるということを1つ目に挙げさせていただいております。

更に、契約の成立の時期と契約に関する理解を深めるための教育、こちらにも力を入れること。

更に、委員の先生方の意見を踏まえまして、誰もがバイアスによる脆弱性を持ち得ることから、行動経済学、心理学の知見を踏まえ、そうした被害の未然防止に向けた消費者教育を実施すること。

更に、デジタルリテラシーに係る消費者教育につきましては、消費者に即時に意思決定させると、バイアスを生じさせる可能性があることを消費者が理解し、自らを守る視点とデジタルを積極的に利活用する視点の両方を踏まえ、継続的に最新情報を反映させていくこと。

更に、地方公共団体における取組については、関係行政機関、消費者団体、事業者、事業者団体の連携・協働を一層推進すること。

そういったことを実現に向けての観点として挙げさせていただいております。

最後の3つ目の点は、消費者教育の効果測定でございますけれども、ここにつきましては、委員の先生方から、最近の政府が、他部門で行われているEBPMの在り方を是非踏襲していただきたいといった意見ですとか、あるいは行政記録データの活用。それから、実際にどれだけ被害を防止できたのかという観点、そういった視点を盛り込んではいかがかといったような御意見をいただきました。

それを踏まえまして、前文でございますけれども、消費者教育の推進に当たっては、EBPMの考えに立ち、必要なデータ収集やKPI設定を行い、施策の効果測定を実施することが重要であるとしております。

実践に向けての観点でございますけれども、PIO-NET情報の積極的活用、それから行政機関が保有する情報の活用について検討すること。

更に、2つ目のポツでございますけれども、効果測定につきましては、アウトプットにとどまらず、対象者の理解度、課題解決力の向上、それから、対象者の行動変容、例えば、家庭内の食品ロスを2分の1にする等といった行動変容、それから被害件数の増減等のアウトカム、こういったことを重視することとしております。

それから、3つ目のポツでございますけれども、新未来創造戦略本部で既に実施された取組、効果測定に関する取組がございますので、そういった取組ですとか、他の分野の効果測定調査等を参考に発展させるなどした上で、横展開することを検討してほしいとしております。

4つ目のポツでございますが、適切なKPIの設定が容易でない施策については、調査研究の実施と、それを踏まえた新たな対応、こちらについて検討すること。

それから、最後でございますけれども、基本方針の消費者基本計画工程表に掲げる消費者教育の施策との連携に留意することとしております。

以上、基本的な方針の変更に向けての意見案について御説明させていただきました。

以上でございます。

○後藤委員長 ありがとうございました。

それでは、質疑応答と意見交換をお願いいたします。時間は30分程度でよろしくお願いいたします。

清水委員、よろしくお願いします。

○清水委員 清水です。説明ありがとうございます。

2ページの2、デジタル社会における消費者被害の未然防止と被害回復に向けた対応というところで、書いてあるとおりなのですが、最近、消費者被害に遭った場合の相談が、非常に解決困難なケースというのが多いです。消費生活センターは、最後の駆け込み寺ということで、市民の重要な窓口になっていますが、なかなか全面解約、全額返金というのは困難な状況にあります。

そんな中で、まず、未然防止ということが重要です。未然防止イコール消費者教育ということで、特に黒ポツ、2つ、実現に向けての観点というところにありますが、相談の実態から市民の多くの方々に、契約の成立の時期というのを知ってもらいたいです。今、目に見えない取引が非常に多い、インターネット取引が多いということ、また、契約に関する理解、きちんと契約書を読む、きちんと規約を読む、契約にはルールがあるということを知っていただきたいと思います。うまい話は、ありません。

特に若い方が、投資被害にだまされて多重債務になり、借金が膨らむということがあります。そして、命を落とすなどということは絶対あってはいけないと思っています。

そういう意味からも、今一度、契約の意味を知る、そして消費者法関連の法律が、なぜこのように改正が行われてきたということの勉強をすれば、必ず被害について知ることができます。知っているだけでは、なかなか対策はできませんので、頭で考えるということも必要です。是非この点は強調したいと思い、発言させていただきました。ありがとうございます。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

よろしくお願いします。

○木村委員 木村です。御説明ありがとうございます。

今回7年間というと、7年後にどのような社会変化が起こっているかと、なかなか予測できないところがあって難しいのですけれども、やはり今以上にデジタル化が進んでいるということを考えますと、消費者が、一応知っているとか、私は大丈夫という思い込みは大変危険だと思うのです。

そういったことを考えると、やはりどのように情報を伝えていくかということですとか、その情報の伝え方について、具体的に伝えていかなければいけないと思いますし、実例とともに、あらゆる方法、媒体も含めてですけれども、そういったことでの未然防止ということで、消費者教育を進めていく必要があると思います。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、ほかにございませんでしょうか。

大石委員、よろしくお願いします。

○大石委員 御説明ありがとうございました。

今、お二人の委員からお話がありましたように、デジタル化によるいろいろな消費者被害が起きているわけで、それに対して、未然防止をしていかなければいけないというのが、喫緊の課題だと思っています。それも含めて、今回記載していただきましたSDGs達成による自立した消費者、まさしく、そういうデジタル社会が進んでいったとしても、そこで被害を未然に防げるような自立した消費者というのを、どうやって育てていくのかというのが、消費者教育では一番重要ではないかなと思っております。

その意味で、今回、ここで記載していただいていますように、SDGsやエシカル消費ということについて、幼少期、小学校、中学校からも切れ目なく進めていくということを記載していただいたのは、大変有り難いと思っております。

また、今年度令和4年の消費者白書の中では、成年年齢の引下げに向けてということで、若者の特集をしておりましたが、やはり今の若者は、SDGsですとかエシカル消費に関心はあっても、実際にはどういう行動を取れば良いのか、自分がそこに寄与できるのかというところでまだ迷いがあると、そういう調査結果も出されていました。

また、日本の若者は、ほかの国に比べて自己肯定感が低いというようなことも言われている中で、やはり今回書いていただいておりますように、基本的なものの考え方、自分の目に見えるところ以外に思いを馳せるですとか、そういう具体例をしっかり書いていただくことが、自立した消費者を育てていくのに大変重要だということを記載いただき有り難く思っていますし、ここで強調させていただければと思います。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、生駒委員、よろしくお願いいたします。

○生駒委員 既に述べられた委員の御意見と重なるところもありますが、私も今回7年という期間に延ばされまして、2030年が達成年度になっているということで、ちょうどSDGsの目標を達成する年度と重なっているのですね。

消費者教育がイコールSDGsの達成と捉えても良いと私も考えておりますので、こういったメッセージを第一番に挙げて掲げてくださって、学校教育の中から、そして一般の社会の方まで広く、そういった教育を広めていくことを考えてくださったことは、とても有意義なことだと思っております。

何より、だまされない消費者を作ること、これが被害の未然防止ですね、被害が起こってからの対応も重要だと思いますが、私は何よりも消費者教育あるいは消費者基本法が目的とすべきことは、やはりだまされない消費者、被害を未然に防止することだと思っています。

そこで自分で考える消費者、想像力を持つ、自分で考えて判断を自分でしていける、そうした自立した消費者を作るということは、大きな目標ではないかと思っておりますので、今回のこの御提案、丁寧にまとめてくださって、有り難く思っております。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

星野委員、よろしくお願いいたします。

○星野委員 星野でございます。

3の効果測定に関しまして、EBPMの取組について積極的に記載してほしいとコメントをさせていただきました。それについて取り入れていただきまして、誠にありがとうございます。

せっかくなので、議事録に残るようにちょっと意見をさせていただきますと、ポツの1、行政機関が保有する情報の活用を検討することということでございますが、具体的に、警察への相談、受理だとか、あと検挙、それから、法務省の訴訟に関わるいろいろな情報、たしか6月の報道では、民事の裁判に関してビッグデータ化して、例えば紛争解決に使う、例えばAIを導入するみたいなことが、できるようにするような検討をしているということはございますが、例えばそういったものは、民間に活用させるのであったら、消費者保護のために、消費者庁が利用するということ等をすることは当然ながら、そこを是非、今、申し上げたみたいに、具体的な警察、法務省のデータ等も、具体的に活用していただきたいと、また可能であれば、統計情報ではなく、個票レベルで、個人情報があるとはいえ、これは、省庁内の、消費者保護のための取組ということでございますから、そうした方のための取組ということでございますから、是非、個票レベルで情報を連携できるようにしていただきたいと。

例えば、具体的に、すみません、長くなってしまいますけれども、効果測定は、例えば、どういうことをやるかと申しますと、地域間での消費者教育の取組の違いが、その地域での消費者被害に、今後どのように影響を与えるか、例えば、高校での消費者教育の実施度の違いが、その後の被害にどう反映されたかみたいなことというのを調べることで、具体的に、消費者教育の効果がどれだけあったかという、どんな教育がどれだけ効果があったかということを精緻に調べるようなEBPMの手法がございますので、是非そういったものを活用していただければと思います。

ありがとうございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

星野委員、詳しいコメントをありがとうございました。特に、意見案について、どこか書き加えるとか、そういうことではなくて、強調したい点をお話しいただいたということで、よろしいでしょうか。

○星野委員 そうですね、議事録に残れば、それを見ていただくことは可能かと思いますので、発言させていただきました。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、黒木委員、よろしくお願いいたします。

○黒木委員 どうもありがとうございます。

私も議事録に掲載させていただきたいという趣旨で、発言をさせていただきます。

この意見に関しては、全面的に賛成です。特に、重視したい点を2点だけ申しますと、3ページ目の1ポツです。

消費者法分野の教育を充実させることが非常に重要だという点です。とりわけ消費者契約法の4条3項の、いわゆる困惑類型と言われるのは、現在8項目も、増えているわけです。

これは、このような、例えばデート商法だとか、それから加齢によって認知能力が落ちている状態につけ込むとか、それから霊感とか、そういったような類型というのは、消費者が困惑して誤った契約を結びやすいから、あえてこういうような類型を消費者契約法の中の取消し類型としているということです。このような類型、それから特商法における販売類型がどうして、クーリングオフがあったりするのかといったようなことについて、やはり、その問題点を知ることが、こういう勧誘があったときの事前の、消費者がそれにディフェンスするための、本当に重要なリテラシーになると思います。そこで、消費者教育の中で、こういった分野の問題点というのを伝えるということは非常に重要だと、防止の観点で重要だと思っております。

それから、今回、7年間ということです。これは、3ページ目の終わりから4ページ目のところに記載されていますが、7年間の基本方針です。これは、消費者基本計画の期間に即応させるということです。

消費者基本計画については、毎年工程表の見直しといったような観点での見直しを続けていらっしゃいます。

したがって、この基本方針においても、消費者基本計画とのフィードバック関係を意識的にしていただきたいと思っております。

以上です。ありがとうございました。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、青木委員、よろしくお願いいたします。

○青木委員 青木でございます。

正にこの意見の中身について議論してきた内容が盛り込まれておりますが、少し私も強調しておきたいことについてコメントをさせていただきたいと思います。

1点目は、前回の基本方針については、体系化あるいは担い手の充実、特に成年年齢引下げがありましたので、若年層等々、重点課題が進められてきたと認識しております。

今回は、特に7年という期間がありますが、間違いなく、今回取り上げた3点、SDGs、消費者市民社会、それからデジタル、それから、今の効果測定も、これについての内容的なところについて、かなりしっかりと意見を述べさせていただいていると思っておりますので、是非この重点の中に、こういう視点というのを常に、やはり盛り込んでいただきたいなと思っております。

7年の中で新しい問題も起こりますが、やはり、その都度、明確に重点課題をしていっていただくということを、是非お願いしたいと思っております。

もう一点は、今回は、理解、それから認識というだけにとどまらず、やはり行動する消費者というものの育成というところに重点を置いていただけたらと思っております。

実際には、そのために、効果測定にも通じておりますが、あっと思っただけではなく、行動自体をどういうふうに変えていけるか、それについては、いろいろな、やはり具体例があったり、分かりやすい指標も必要だと思いますが、こういう行動を推奨して育成するという、ここの教育の視点において重点を置いていただけたらというところ、特に意識しておりますので、是非よろしくお願いいたします。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、受田委員長代理、よろしくお願いいたします。

○受田委員長代理 ありがとうございます。受田でございます。

これまでの議論をコンパクトに、かつ、しっかりと要点をまとめていただきまして、この案自体には、もう全く異論はございません。

その上で、私も一言だけ強調しておきたい点を申し上げます。1ポツにあるSDGsに関する観点です。

ここは、先ほど生駒委員からも御指摘がございましたとおり、この7年間と軌を一にするという意味で、極めて重要であるという観点です。

その中で、特に実現に向けて、幾つか項目が挙げられておりますけれども、ここの中には、責任という言葉は盛り込まれておりません。消費者教育を施していく上では、基本的には、消費者にも使う責任があると。12番の目標にある作る責任と使う責任、ここが密接につながっていくことが重要であるということは言うまでもございません。

そういった意味で、その使う責任の部分を、今回のこの消費者教育の推進に関する基本的な方針という中には、言外に盛り込まれていることを強調しておきたいと思います。その作る側、使う側、ここをつなぐメッセージ的なものとして、例えば、そこに具体例が挙げられております、認証のラベル等をしっかりと消費者に理解していただく、こういう活動が、具体策としてあり得るのではないかということで表現をされております。

是非、この点のみ強調させていただきたいと思います。

以上でございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかには、いかがでしょうか。

よろしいでしょうか。

それでは、各委員から今回の意見案につきまして強調しておきたいこと、あるいは補足しておきたいことを御発言いただきました。

この意見案自体については、特に異論がなかったと思いますので、皆様に御了解いただいたものとして消費者委員会の意見として、消費者庁長官宛て及び文部科学大臣宛てに送付したいと思いますが、よろしいでしょうか。

よろしいでしょうか、特に反対はございませんか。

ありがとうございます。

基本方針の案につきましては、今後、消費者教育推進会議における議論も踏まえまして、消費者庁と文部科学省が作成することになりますが、その際には、両省庁において当委員会の意見にも十分留意した上で検討を進めていただくことを期待しております。

それでは、ただいまの議題については、以上にさせていただきます。


《3.デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループについて(報告書、建議案及び意見案)》

○後藤委員長 次の議題ですけれども、デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループについて、報告書、それから建議案及び意見案についてです。

デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループは、SNSを利用した消費者問題等が増加している現状を踏まえ、被害の防止及び救済の観点から検討することを目的として、本年1月に設置しました。計9回の調査審議を経て、今般、報告書を取りまとめましたので、本日はワーキング・グループから委員会へ報告を申し上げます。

飯島座長代理から、よろしくお願いいたします。

○飯島委員 ありがとうございます。

デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループの座長代理の飯島でございます。

本ワーキング・グループは、SNS関連の消費生活相談件数が年々増加していること、また、成年年齢引下げに伴い、消費者被害の未然防止に取り組む必要性が高まっていることを受けまして、本年1月28日の第363回消費者委員会本会議において設置されました。

ワーキング・グループでは、相談事例等から、SNSに関する情報商材、もうけ話等の消費者被害の実態を中心に把握し、課題の整理を行い、関係法令における対応や今後の考えられる対策、SNS業界等の自主的取組の在り方等について検討し、その結果を取りまとめたものでございます。

本報告書で示された内容を起点として、消費者被害の未然防止、早期の被害回復の観点から、関係省庁やSNS事業者の適切な取組及び対応が行われていくことを期待したいと思います。

報告書の詳細につきましては、事務局から説明をお願いいたします。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

事務局から、お願いいたします。

○田村企画官 それでは、事務局から、この概要の1枚紙の表裏のペーパーに基づきまして、御説明をさせていただきます。ポンチ絵のほうでございます。

グラフのほうのページでございますけれども、図表の①にございますように、近年、SNSの利用率が非常に増加しておりまして、例えば、LINE社の場合は9割を超える利用率があるということでございます。そういった形でコミュニケーションツールとして一般化してきているということでございます。

それに伴いまして、事業者が販売促進ツールとして、こういったLINE等を使って活動をされているということが広く行われているという実態がございます。

そういったことを背景にいたしまして、SNS関連の消費生活相談件数につきまして、年々増加しておりまして、図表の②にございますように、2017年1万5000件程度でございましたけれども、2021年、約5万件という水準に達しているということでございます。

主な内容といたしましては、SNSでの広告がきっかけとなるケースですとか、SNSでの勧誘のメッセージがきっかけとなるケース、それから、SNSで知り合った相手との個人間取引のケースといったものが、こういった5万件の中に含まれているということでございます。

更に図表の③でございますけれども、情報商材に関する相談件数及びそのうちSNSが関連する相談割合というグラフがございます。情報商材と申しますと、副業ですとか投資あるいはギャンブル等で大金を稼げるといったようなことをうたっているマニュアルのことが一般的であるかと思います。

この情報商材に関する相談件数につきましても、やや凸凹はございますけれども、2021年にかけて増加傾向にあるということでございます。

更に、赤色の折れ線グラフのほうでございますけれども、2021年を見ますと、約半数にSNSに関連するものが寄せられているということでございます。

それから、傾向といたしましては、若干、20歳代が一番多いわけでございますけれども、40歳代、50歳代でも多くの相談が寄せられているということで、各年代にわたって、こういったトラブルが生じているということが言えると、図表の②の年代別のグラフから見て取れるかと思います。

こういったことを踏まえまして、ワーキング・グループで御検討いただきました内容を、めくっていただきますと、概要としてお示しさせていただいております。

事例の1つ目でございますけれども、誰でもスマホ1つで毎月50万円稼げる、すごい副業を紹介させていただきますとか、あるいは、放置で毎日1万円以上稼げる新しい副業を紹介していますとか、こういったSNS上のメッセージをきっかけに、こういった情報商材に関するトラブルが生じているということでございます。

検討いただきました内容でございますけれども、1つ目の事例に基づきました検討の内容でございますが、こういったSNSのメッセージにつきましては、吹き出しといった形で会話を伴うメッセージということでございまして、電話勧誘との類似性があるのではないかと。あるいは電話とは異なる特有の面があると考えられるのではないかと、こういった御指摘をいただいております。

電話とは異なる特有の面といたしましては、例えば、LINE上複数人でメッセージをたたみかけるようなケースですとか、そういった面、一対一だけでなくて複数人でたたみかけるようなケース、こういったケースもあるのではないかという分析をいただいております。

こういったSNSのメッセージによる広告でございますけれども、現行法の規制の対象となる法律といたしましては、特定商取引法上の通信販売に該当し、広告規制の対象となるということでございますけれども、電話勧誘販売のような勧誘に関する規制は、現在置かれていないということが現状でございます。

こういったことを踏まえまして、考えられる必要とされる対策といたしましては、例えば、執行の強化、周知という面では、今申し上げました特定商取引法第12条において、通信販売における誇大広告等の禁止の規定がございますので、こういった誇大広告等の禁止規定、違反については厳正な執行が求められると。

更に、消費者庁の財産被害対策室で、消費者安全法を活用した消費者への積極的な注意喚起、これまでも行われているところでございますけれども、これを更に積極的に注意喚起を発してほしいということ。

それから、こういった特商法や消費者安全法の連携あるいは関係する法制度、こういったものを連携させた運用が効果的ではないかといったようなことを御提案させていただいております。

更に事業者の自主的取組といたしまして、SNS事業者と消費生活相談に関わる行政機関との連携によりまして、事業者の利用規約等の違反行為に対するモニタリングの実効性の向上を期待したいといった内容を盛り込んでおります。

事業者の利用規約等の中には、例えば、LINE社の場合、こういった情報商材の取扱いを禁止するようなガイドラインを設けておりますので、そういったことの実効性を高めるために、消費生活相談の現場と何らかの連携を図っていただいて、情報を収集して実効性を向上していただきたいと、こういった内容を盛り込んでおります。

それから、制度的手当といたしまして、通信販売であれば、例えば、電話勧誘等の類似性とか、電話と異なる特有の面がSNSのメッセージにあると考えられることから、より積極的な勧誘をなされる類型については、場面ごとに整理の上、勧誘規制等の内容を検討することが必要ではないかといったような御提言もいただいております。

それから、2つ目の事例につきましては、相手方業者から電話勧誘販売の該当性を認めないという事例でございまして、例えば、電話連絡の日時を消費者側から予約するよう促されて、消費者が予約したような場合ですとか、例えば、ウェブ会議のようなもの、新しい手口やツールを使った勧誘がございます。

電話連絡の日時を消費者側から予約した場合、消費者が契約の締結意思を持って、請求を促しているような場合は、電話勧誘販売の適用除外となると考えられますので、そういったことについて、事業者側が強調するケースがあるといったことで、電話勧誘販売の該当性を認めないといったケースですとか、あるいはウェブ会議のような新しい手口やツールの場合、なかなかそれが電話勧誘販売に当たるのか、当たらないのかといった解釈に関して疑義があるといったようなことで、なかなか消費生活相談の現場におきましても苦労されているということでございます。

そういったことを踏まえまして、このワーキング・グループの提言でございますけれども、電話勧誘販売に該当すると思われる場合でも、販売業者等が該当性を認めないため、被害回復に難航するケースがあるということで、そういった面についての対応が必要ということで、特に電話勧誘販売に該当する類型について、解釈の明確化及び関係団体への周知をしっかりしてほしいといったことを報告書の中で求めております。

それから、3つ目の事例につきましては、第三者が、こういったSNSの勧誘メッセージに関与しているようなケースがあるのではないかということで、そういった販売の契約当事者以外の第三者が関わっているケース、SNSのメッセージ発信者ですとか、アフィリエイターですとか、そういったものについての対応が必要ではないかという視点が3つ目のテーマでございます。

執行の強化・周知の面でございますけれども、特商法の販売事業者の考え方でございますけれども、販売事業者等と連携・共同して事業を行っていると認められるのであれば、その事業者は、販売事業者相当となり、特商法の規制の対象になり得るとなりますので、そういった特商法の運用の考え方に基づいて厳正な執行を行っていただきたいというのが1点目でございます。

更に、消費者安全法を活用した積極的な注意喚起ということで、これまでの注意喚起をしていただいた事例を見ますと、販売事業者自体の事業者名の公表ですとか、あるいは周囲に指示を行っていたような販売事業者の事業者名を公表したりとか、そういった積極的な注意喚起を行っていただいておりますので、更にそういった注意喚起を行っていただきたいというのが2つ目でございます。

それから、事業者の自主的取組のところでございますけれども、これもLINE社の場合の例でございますけれども、第三者の商品・サービスについて、第三者のための広告媒体として使用を禁止するといった利用規約がございますので、こういったものについても、SNS事業者による利用規約の違反行為に対して、モニタリング強化をしていただいて徹底していただくこと、こういったことを期待したいというのが、事業者の自主的取組として挙げさせていただいております。

その部分の制度的手当ということでございますけれども、今、御説明しましたように、現行法の対応ですとか、あるいは事業者の自主規制でも被害の拡大防止が不十分な場合には、こういった第三者の不当な広告や勧誘を直接行政規制の対象とするよう検討していくことも必要ではないかといったような御提言をいただいております。

それから、4つ目の事例につきましてでございますけれども、SNSのメッセージで広告をするような場合でございますけれども、なかなか連絡先が分かりにくかったり、あるいはSNS上のメッセージに記載されていないようなケースがあるということでございます。

SNSのメッセージから、例えば、直接決済代行業者の画面に行ってしまったりとか、あるいはそういったケースですとか、SNSのメッセージの場合、ニックネームとかで記載されているケースが多いということでございまして、なかなか販売業者の連絡先が分からないケースがあるということで、なかなか消費生活センター等においても被害回復に難航するケースがあるということでございます。

そういったことを踏まえまして、特商法の第11条に表示義務、積極的な義務ですけれども表示義務の規定がございますので、その表示義務に違反する販売業者等に対しての執行強化、それから、今、御説明しましたようなSNSのメッセージから直接決済代行業者のサイトに行ってしまうような場合が事例としてありますけれども、消費者が容易に認識することができる場所に表示させること。その徹底を求めたいということが、執行強化・周知のところでございます。

更に、事業者の自主的取組でございますけれども、販売業者等に対して表示方法の好事例を示すなど、SNS上の表示について適切に販売業者等に関する情報を表示させるよう促進ということでございまして、SNS事業者自らが、そういったSNSを活用して商行為を行うような場合には、こういった連絡先といったような表示について、何らかを示していただいて、そういった表示を促進していただけるように期待するといった内容を盛り込んでおります。

それから、今回このワーキング・グループで、なかなか具体的な検討まで至らなかった課題といたしましては、決済の問題ですとか、情報開示請求の問題、その中でも弁護士法23条の弁護士照会が実態上、どのように行われているのかといったような問題ですとか、あるいは3つ目といたしましては、デジタルリテラシーの向上の問題。これも重要な課題となっておりますので、今回のワーキング・グループにおいては、十分な検討が行われなかったということで、今後の検討課題とさせていただいております。

以上、報告書の概要でございます。ありがとうございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ただいま御報告をいただきました報告書につきまして、消費者委員会としてどのように扱うかという検討に移りたいと思います。

委員間打合せにおきまして、委員の皆様と意見交換を行い、取りまとめられた報告書の内容に鑑み、当委員会として関係行政機関に対し、具体的提案と理由を含み、行為を促す意図がより明確な事項を建議という形で、また、SNS事業者の自主的な取組に期待する事項を意見という形で、意見表明を行うのが適切ではないかという方向で合意をいただいております。

本日は、建議案及び意見案を資料2-3及び2-4として配付しております。

それでは、事務局から説明をお願いいたします。

○田村企画官 御説明させていただきます。

まず、建議につきまして、御説明をさせていただきます。

建議の1枚目の表書きにつきましては、今、概要のポンチ絵で御説明させていただきました、消費生活相談が年々増加していることですとか、そういった背景について御説明をさせていただいたものでございます。

特に、そのページ下から3行目でございますけれども、本建議への対応について、内閣府特命担当大臣に対して、令和5年3月までにその実施状況の報告を求めるということで、フォローアップについても明記をさせていただいているということでございます。

建議の内容でございますけれども、第1でございますが、「SNSのメッセージを含むインターネットを利用した広告表示に対する法施行の強化等」ということでございます。

建議事項の1の1でございますけれども、今、ワーキング・グループの報告書でも御説明させていただきましたが、なかなか事業者が連絡を取れないケースですとか、あるいは、誰でもスマホ1つで月60万円稼げるといった誇大広告的な表示がございます。そういったものについて、第11条の表示義務、それから第12条の誇大広告等の禁止規定、こういった規定の執行を強化することというのが1の1でございます。

それから、1の2でございますけれども、先ほど事例で、少し口頭で御紹介させていただきましたけれども、例えばSNSのメッセージから直接決済画面に移行するようなケースの場合、なかなか事業者に関する表示が、どこに表示されているのか分からないといったような事例がございますので、特商法11条に基づき、販売業者または役務の提供事業を営む者が、広告に表示しなければならない事項を、消費者がSNSのメッセージ上で容易に認識できる場所に表示させることを徹底させることということを1の2とさせていただいております。

それから、1の3でございますけれども、これは、先ほどの概要の3つ目の事例に関連するものでございますけれども、契約当事者以外の第三者よる不当な広告や勧誘への対応ということで、消費者が形式的な契約当事者以外の事業者も含めて、事業者が販売業者等と連携・共同して事業を行っている場合において、特商法の執行を強化することというのを1の3で求めております。

それから、1の4でございますけれども、消費者庁は、近時、特商法上の執行とともに、消費者安全法上の注意喚起、これも情報商材に関するものをかなり行っておるわけでございますけれども、こういった法律の連携あるいは両法に限らず関係する法制度を連携させる運用を図ることというのを1の4とさせていただいております。

それから、理由につきましては、今、口頭で御説明をさせていただいたとおりの内容が、1の1から4まで記載させていただいております。

それから、補足をさせていただきます事項といたしまして、5ページの最後でございます。なお以下でございますけれども、先ほどの概要ペーパーの事例の最初のところで少し御説明させていただいたところでございますけれども、なお、本報告書においては、通信販売ではあるが、積極的な勧誘をなされる類型については、SNSのメッセージの勧誘と電話による勧誘の類似性を念頭に置きつつ、勧誘規制等を検討することが必要であると指摘されております。

この点については、更に深く検討することが必要であると考えられることから、引き続き、当委員会において調査、審議等を行っていくこととするという記載をさせていただいております。

それから、建議事項の2でございますけれども、「電話勧誘販売に該当する場合の解釈の明確化及び周知」ということでございまして、例えば、情報商材の場合、最初に安いマニュアルを買わせておいて、次により高額な契約をさせるといったようなケースが見受けられます。

こういったケースの場合、一段階目の契約において電話のサポートを実施すると称して、SNSで販売業者等が消費者に電話をかけることを要請したようなケースがあるということでございます。

消費者が電話予約をしてきた日時に電話したので、電話勧誘販売の適用除外に当たるのではないかと、こういった主張をする事業者がいるということでございます。

そういったケースでございますとか、あるいは新たな勧誘の手法として、ウェブ会議ツールにより勧誘がなされるケースもあるといったことでございます。

こういったことを踏まえまして、建議事項でございますけれども、当初の契約に加えて更に高額な契約を勧誘する事例や、ウェブ会議ツールによる勧誘事例にあるように、新たな手口やツールを利用して勧誘を行う取引が出現していることを踏まえ、消費生活センター等における消費者トラブルの解決に資するため、電話勧誘販売に関する解釈を事例に即して、分かりやすく関係団体等に対し周知することというのを建議事項の2とさせていただいております。

建議事項の3でございますけれども、消費者への注意喚起及び関係事業者等への情報提供ということでございます。

従来から消費者庁は、消費者安全法を活用しまして、こういった情報商材、SNSのメッセージを利用した消費者事故等の発生に関する情報について、注意喚起を行っております。

注意喚起の中身を見ますと、事業者名を掲載したりとか、あるいは具体的な手口、画面例を掲載したり、こういった運用は、消費者被害の未然防止の観点から注目される運用であるということでございますので、そういった注意喚起、引き続き積極的に行っていただくとともに、こういった情報について、関係事業者、特にSNS事業者等に分かりやすい形で情報を提供していただきたいと。そういったことで実効性のあるものにしていただきたいというのを、建議事項の3として、まとめさせていただいております。

建議事項につきましては、以上でございます。

それから、1枚紙の消費者委員会の意見につきまして、続いて御説明をさせていただきたいと思います。

建議につきましては具体的に、今回の場合は消費者庁でございますが、消費者庁に具体的な理由とともに実施を求めていく事項としてまとめさせていただいておりますけれども、消費者委員会の今回の意見につきましては、特にSNS事業者における自主的取組に関するものについて期待したい事項ということでまとめさせていただいております。

関係省庁においては、こういった取組を、SNS事業者における自主的取組を積極的に後押しすることを求めるとしております。

2ポツでございますけれども、SNS業者、例えば、LINE公式アカウントでは、情報商材の取扱いを禁止しているといったガイドラインを設けたりとか、あるいは第三者のための広告媒体として使用を禁止しているといった、幾つか禁止行為を定めております。

ただ一方で、例えば、消費者安全法の注意喚起に見られますように、情報商材に関するトラブルというのは、実際に起こっているということでございますので、こういった自主ルールが厳格に適用されなかったために、消費者被害が発生した例も報告されているということでございます。

こういったことを踏まえまして、具体的には、以下のような取組が期待されるということでございまして、1つ目でございますが、SNS事業者と消費生活相談に関わる行政機関との間で、連携の仕組みを設けたりですとか、消費者からの情報提供窓口等を設けていただいて、そこで提供された情報を活用して、禁止行為等の利用規約等の違反行為に対するチェックの実効性の向上に努めるといったことが期待されるというのが1つ目、(1)でございます。

それから(2)でございますけれども、SNSにおける勧誘メッセージには、販売業者等に関する情報が掲載されていないケースもあるということでございますので、SNS上の表記に関して、SNS事業者におきまして、何らかの好事例を示していただいて情報の表示を促進するとともに、そうした表示方法について、SNSのユーザーで消費者に対しても丁寧な周知を図ることによって、消費者が販売業者等を適切に選択することにつなげるといった取組が期待されるとしております。

それから、3つ目でございますけれども、消費者被害の防止の観点から、SNS事業者がSNSのユーザーに対して、関係省庁等が注意喚起によって発信する情報を、自ら積極的に発信し、周知していただいて、注意喚起を広めること、それでユーザーの保護につなげることが期待されるとしております。

それから、意見の3つ目でございますけれども、本報告書におきまして、今後の検討課題とされた決済、情報開示請求、デジタルリテラシーの向上については、いずれもデジタル社会における消費者トラブルの未然防止、被害回復の観点から重要な課題と考えられると。消費者委員会としても、今後、本報告書に盛り込まれた内容を踏まえ、関係省庁等の取組を注視し、消費者政策について調査、審議等を行っていくということとしております。

以上、意見の御説明をいただきました。建議と意見の御説明は、以上でございます。よろしくお願いいたします。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、質疑応答と意見交換をお願いいたします。時間は30分程度でお願いいたします。

清水委員、よろしくお願いいたします。

○清水委員 清水です。ありがとうございます。

相談の現場は急速なデジタル化に伴い、現行の法律では対処できない事案が数多くあります。しかしながら、すぐに法律改正というのは難しいと思われます。

このSNSのトラブルというのは、もう5、6年前からずっとあります。消費者庁は対策を数多く、そして国民生活センターも数多く国民に対して注意喚起をしていますが、浸透していないという現実があり、建議としたいと思っております。

報告書には、本当に現場の声を聞いていただいて分析していただいています。この報告書が絵に描いた餅にならないように、是非とも強化してほしい点が建議に書かれています。

私からは2点です。

この第1の理由の2のところです。特商法11条に基づく表示をさせることを徹底する。全ての相談者に聞きますと、表示を信じています。当然に興味があるわけですから、表示を次から次へと読んでいるのですが、大事なことは小さな字で、白抜きの字だったりして、読み飛ばしてしまっているところがあります。

そういうことで、まだトラブルが続いておりますので、11条に基づく行政処分というのは、まだなされていないと思いますので、是非、うそだらけの誇大広告が打てないようにするところまで、なかなか難しいですが、適正な事業者は守っているわけですから、是非極悪な事業者に対しては、行政処分の強化というのを望みます。

もう一つは、第2の理由3のところでございます。消費者庁は解釈を出しております。そして、今年の6月、特定商取引法の改正もしています。もちろんまだまだ浸透していないというのは致し方ないと思います。しかし、デジタル化が急速に進んでいますので、やはり徹底周知というのも急速にやらないといけません。支払いの決済方法としては、クレジット会社、多くの大手の会社が、こういった消費者庁の解釈を認めていません。いろいろ事情がある、解釈があるから即支払いの取消しをするというのは、難しいことは私たちも感じておりますが、まずは決済代行会社やクレジット会社が、法律の意味をよく分かっていただいて御対応いただきたいと思います。

そういう意味からすると、消費者庁には、きちんと周知徹底してもらいたいと思います。二段階の勧誘というのは奥深いです。最初の広告を見て消費者、相談者は、ちょっとおかしいなと思っています。それが2、3日後に電話をして、オンライン会議で1、2時間ほどしゃべって、いろいろと説得されてしまう中で、1日5分クリックするだけは無理だなと、広告で思っていたのですが、業者から「いやいやあなたのその前向きさがあるならやれる、奨学金があるの、大丈夫、奨学金の返済もできる、頑張ろうよ、まずやる気が大事。」などと高揚させられて、いつの間にか最初におかしいなと気付いていたところが、もうすっかり飛んでしまって、最後には消費者金融に借りる理由まで聞いて、インターネットで言われたとおりに、そうしたら当日90万円も消費者金融から借りてしまったと、そんなことが後を絶ちません。今でもあります。

すみません、話が長くなりましたが、ここら辺の徹底というのは、本当に必要だと思います。特に追加で補足させていただきました。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

黒木委員、よろしくお願いいたします。

○黒木委員 ありがとうございます。

私もこのワーキングには、オブザーバーとして参加させていただきまして、全回出席させていただきました。大変刺激にあふれたワーキングであったと思っております。これに参加させていただいたこと、本当に私にとって有り難いと思っています。

ワーキングの内容につきましては、概ね、特商法を中心とした議論だったのですけれども、感じたことだけを申します。特商法は、結局のところ、アナログで行われる商法を前提とした法規制体系であり、今回のデジタルという新しい方法によって意思表示、加入意思表示がなされるものについて、もう一度抜本的に、デジタルというものがどういう形で人間の意思表示、意思形成に関係するのかということについて、もう一度考え直さなくてはいけないということを、大変考えさせていただきました。

その観点で、今回の建議としてまとめていただいているものを見ますと、正に古い、こういう言い方をすると、ちょっと申し訳ないかもしれませんけれども、古い法である特商法を現在の執行強化としてどこまでやれば、このデジタル社会の中で使えるかということについて検討したものになると、建議事項の1、2、3はそういうことだと、消安法も含めて、そのように思っています。これは非常に重要な建議であって、この建議に基づく実際の執行強化において困難なところがあるとすれば、そこは何なのかということを、更にワーキングで分析していって検討していかなければならないと思っています。

その意味で、建議事項の4ページ目のところに、なお以下を入れていただいたことは、将来の含みを含めた上で大変私は意味があると思っております。

それから、今後の検討事項です。こちらも今後検討していかなくてはいけないと思っています。とりわけ、決済と、それから当事者の特定という問題としての情報開示、これは今後、絶対検討していかなければならないと思っています。SNSを通じた場合については、必ずデジタル決済が伴います。これは、クレジットカードであったり、それから今だと、もう収納代行を使ったような決済といった形で、できるだけ悪徳事業者というか、問題がある事業者は、そういう方法を取って決済をして利得を取っていこうとしているわけですので、この決済の方向について分析していく、分析していって問題点があったときはどう被害回復できるかということを考えないと、これはいけないと思っています。

更には、情報開示は非常に重要だと思っています。とりわけ、レンタルのSIMフリーの携帯電話でレンタルSIMを使うと、本当に行為者が誰か分からなくなります。そういうことも含めて、情報開示請求ということについても検討していかなければならないことは間違いないと思っています。

この辺りは、最終的には立法提案になるかもしれませんし、弁護士法23条の2だけで済むのかどうなのかも含めて、今後検討していきたいと思っております。ただ、今回の建議、これは大変意味のある建議だと思っておりますし、それから、意見につきましても、この時期にこれを提出して、SNS事業者に対して、我々が見ていると、あなたたち、ちゃんとやってくださいねということを述べるということは、大変意味があると思いますので、私はいずれも賛成でございます。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

木村委員、よろしくお願いします。

○木村委員 木村です。

私も今のデジタル化が本当に急速に進んでいくという、この流れにおいて、悪徳商法というものが、今回のSNSの事例のように、隙間をついて出てくるということを懸念しているところでございます。

やはり、先ほど黒木委員がおっしゃったように、法律がデジタル化に追い付いていないというところが、本当に問題だと思っておりますし、特商法をデジタル社会に合わせた形にどのようにアップデートしていくかということも一つの方法ですし、あと、それで取組の強化ということもあるのですけれども、やはりもう一つ、先ほど御提案があったように、デジタル化に合わせた法律をどのように策定していくかということまで踏み込んでいく必要が、今後あるのではないかと思っております。

消費者として見れば、やはり被害はなるべく受けたくない、未然防止ということは、本当に大事だと思いますので、先ほど消費者教育のほうで、私どもは意見を出しましたけれども、本当に具体例を出して、あらゆる方法で伝えていくことも必要ですけれども、事業者に対しても規制が必要であると考えております。

決済に対して、今後の検討課題ということですけれども、やはりスマートフォンの中で確認せずに押してしまうということが、本当に多々あると思います。確認しにくいと思っています。私もキャッシュレス決済を使うことがありますけれども、一々確認することが本当に難しいと思いながら、つい便利だからと使っています。

そういったことも含めて、今後どのようにしていくかということは、引き続き、消費者委員会としても検討していく必要があると思っています。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかには、大石委員、よろしくお願いします。

○大石委員 御説明ありがとうございました。

私も今回、オブザーバーとして参加させていただきました。実際にどういうことが相談現場で起こっているのかを、毎回清水委員から生々しく御報告いただき、やはり現場の相談員の方たちは、現行の法制度の中だけでは、なかなか被害回復に取り組むのが難しくなっているということを、詳細にお話いただきました。

特に、何とか救いたいために、電話勧誘販売と類似しているとして特商法で救済できないかと頑張っていらっしゃるのですが、やはり、今、黒木委員ですとか、皆さんがおっしゃいましたように、このデジタル社会の中では、今の法律体系だけで解決するというのは、大変無理があるというのは、本当にお話を聞いていて、よく分かったというところです。今回、建議では期限を決めて、令和5年の3月までに消費者庁に対策を検討するように出したということで、今、進んでいるデジタル社会で、これ以上の被害を防ぐという意味では、大変重要なものとなったのではないかと思います。

それから、今、木村委員もおっしゃいましたように、先ほど検討しました消費者教育の推進の中でも、デジタルリテラシーの話がありました。今回のワーキングではなかなかそこまでの話にはならなかったのですが、法体系それから事業者の自主的な行動、あとは、やはり消費者側のデジタルリテラシーの向上というのは、絶対に欠かせないものだと思っております。そういう意味では、意見案の中に、まだ検討が行われていない決済と情報開示の請求とともに消費者教育についても入れていただき、今後は検討していくとしたことは大変良かったと思っております。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

よろしいでしょうか。

それでは、委員の方々から今回の建議案及び意見案につきまして、強調しておきたいこと、あるいは補足しておきたいことを御発言いただきました。

この建議案及び意見案自体につきましては、特に異論はなかったと思いますので、皆様に御了解いただいたものとして、建議については、内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)宛てに、意見については関係行政機関宛てに送付したいと思いますが、よろしいでしょうか。

ありがとうございます。それでは、これをもちまして建議及び意見といたします。


《4.閉会》

○後藤委員長 本日の議題は、以上になります。

最後に、事務局より今後の予定について説明をお願いいたします。

○友行参事官 次回の本会議につきましては、9月8日木曜日の14時からの予定でございます。既に委員会ホームページを通じてお知らせしております。

以上です。

○後藤委員長 それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)