第348回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2021年7月29日(木)10:00~10:44

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)山本委員長
    (テレビ会議)生駒委員、受田委員、大石委員、片山委員長代理、柄澤委員、木村委員、清水委員、新川委員、丸山委員
  • 【説明者】
    消費者庁楢橋参事官(公益通報・協働担当)
    消費者庁参事官室(公益通報・協働担当)和瀬企画官
    消費者庁参事官室(公益通報・協働担当)金山政策企画専門官
  • 【事務局】
    加納事務局長、渡部審議官、太田参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 公益通報者保護法の指針案等について
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1.開会》

○山本委員長 本日は、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。

ただいまから、第348回消費者委員会本会議を開催いたします。

本日は、私が会議室で出席、生駒委員、受田委員、大石委員、片山委員長代理、柄澤委員、木村委員、清水委員、新川委員、丸山委員がテレビ会議システムにて御出席です。

新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、3密を回避しながら消費者委員会会議室及びテレビ会議システムにより会議を進行いたします。

また、感染拡大防止の観点から、引き続き、一般傍聴者は入れず、報道関係者のみ傍聴していただいて開催いたします。

議事録につきましては、後日消費者委員会のホームページに掲載いたしますが、議事録が掲載されるまでは本日の会議の様子を7月30日金曜日15時頃よりホームページにて動画配信いたします。

それでは、配付資料の確認につきまして、事務局よりお願いいたします。

○太田参事官 本日も、どうぞよろしくお願いいたします。

資料は、議事次第に記載のとおりでございます。

お手元の資料に不足等がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上でございます。


《2.公益通報者保護法の指針案等について》

○山本委員長 本日の議題は「公益通報者保護法の指針案等について」です。

令和2年6月12日に公布された公益通報者保護法の一部を改正する法律による改正後の公益通報者保護法第11条第1項及び第2項により、公益通報対応業務従事者を定めること及び事業者内部における公益通報に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備、その他の必要な措置を取ることが事業者に求められます。

同条第4項により、これらの事項に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針を内閣総理大臣が定めるものとされております。同条第5項では、この指針を定めようとするときは、あらかじめ消費者委員会の意見を聞かなければならないこととされております。

消費者庁からは、これまで委員会打合せや、消費者委員会本会議におきまして、公益通報者保護法に基づく指針等に関する検討会の報告書を踏まえて作成される指針案や、指針の解説案等について御説明をいただきました。

本日は資料1のとおり、内閣総理大臣から意見を求められていることから、指針案及び指針の解説案の作成方法等について説明を聴取した上で、消費者委員会としての意見を取りまとめたいと思います。

本日は、御説明者として消費者庁において公益通報を担当されている楢橋参事官、和瀬企画官、金山政策企画専門官にお越しをいただいております。お忙しいところ、ありがとうございます。

それでは、よろしくお願いいたします。

○消費者庁楢橋参事官(公益通報・協働担当) 消費者庁公益通報・協働担当参事官をしております、楢橋でございます。

この7月に消費者庁の組織改編がございまして、当庁と事業者との良き関係を構築、発展させ、良き消費を目指していくという観点で新設されたポストでございます。

本日議題としていただいております公益通報の関係を消費者制度課から引き継いでございます。

先日は、物価関係として電力託送料金制度改革等に関しまして御意見を賜ったところでございまして、改めて御礼申し上げますとともに、本日も、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

ただいま、委員長からお話もありましたけれども、昨年6月に成立、公布されました公益通報者保護法の一部を改正する法律によりまして、事業者に対して、公益通報対応業務従事者を定めるということと、内部通報を適切に対応するために必要な体制の整備、その他の必要な措置をとることが義務付けをされました。

そして、内閣総理大臣は、これら事業者がとるべき措置に関して、適切かつ有効な実施を図るために必要な指針を定めることとされました。

消費者庁としましては、指針を策定するに当たりまして、昨年10月から本年3月に掛けまして、有識者による検討会を開催し、報告書をまとめるとともに、この報告書に基づき指針案を作成し、本年4月下旬から約1か月間、パブリックコメントを行いました。

これらの経緯、手続を経て、今般、同法の規定に基づく法定手続として、消費者委員会の御意見を伺うものでございます。

資料1を御覧いただきたいと思います。

令和3年7月28日付けで、消費者委員会山本委員長に宛てまして、菅内閣総理大臣より諮問をさせていただきました。

次ページの諮問をさせていただきました。

少し読み上げますと、公益通報者保護法の一部を改正する法律による改正後の公益通報者保護法第11条第4項の規定に基づき定める同条第1項第2項の規定に基づき事業者がとるべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針について、その案を別添のとおり作成したので、改正法附則第3条第1項の規定によりその例によることとされる改正後の公益通報者保護法第11条第5項の規定に基づき貴委員会の意見を求めるということでございます。

おめくりいただきまして、別添を御覧いただきたいと思います。指針(案)について御説明をいたします。

第1は「はじめに」、第2は「用語の説明」でございます。

第3を御覧いただきたいと思います。2ページでございます。

改正後の法第11条第1項に規定する公益通報対応業務従事者についてでございます。

1つ目は、公益通報対応業務を行う者であり、かつ、公益通報を特定させる事項を伝達される者を従事者として定めること。

2つ目は、事業者の地位に就くことが従事者となる者に明らかとなる方法により定めることをそれぞれ規定するものでございます。

続いて第4は、同法第11条第2項に規定する内部公益通報対応体制の整備その他必要な措置についてでございます。

1つ目は、部門横断的な公益通報対応業務を行う体制の整備として、4つの項目、窓口の設置、独立性の確保、業務の実施、利益相反の排除についてそれぞれ規定をいたしております。

次のページ、2つ目は、公益通報者を保護する体制の整備として、2つの項目。

不利益な取扱いの防止と、範囲外共有等の防止について、それぞれ規定をいたしております。

3つ目は、対応体制を実効的に機能させるための措置ということで、4項目、教育・周知について、是正措置等の通知について、記録の保管、見直し・改善、運用実績の開示について、内部規程の策定、運用について、それぞれ規定をいたしております。

以上が指針(案)としてお示ししている内容でございます。

なお、5月21日の本会議におきましてお示しした段階の案からは、内容に関する実質的な修正はございません。

ここで、恐れ入りますが、参考1を御覧いただきたいと思います。

参考1でございます。

パブリックコメントで寄せられた意見や、前回の本会議での御指摘などを踏まえまして、ここに掲げております表のとおり、定義に関する表現の修正を行い、より明確化を図ったところでございます。

続きまして、指針の解説について申し上げたいと思います。

当庁では、事業者が指針の趣旨をより的確に理解をし、指針に沿った対応を取っていただけるよう、指針の解説を作成することとしており、参考となる考え方や想定される具体的取組事項等をお示ししたいと考えております。

指針の解説に記載する内容としては、有識者検討会の報告と、既存の民間事業者向けガイドラインの内容を盛り込む予定でございます。

民間事業者向けガイドラインの内容が、指針や検討会報告書等の内容と矛盾、重複する場合等には必要な調整を行いますけれども、基本的には全ての事項を解説に盛り込みたいと考えてございます。

また、その構成といたしましては、指針の項目ごとに、指針の趣旨と具体的な取組の例を記載する予定としてございます。

なお、この具体的な取組の例につきましては、これまで消費者委員会の委員の皆様から頂いた御意見の趣旨を踏まえますと、指針を遵守するために考えられる取組の例と、指針から更に進んだ取組として推奨される取組の例に分けて記載したいと考えてございます。

もう少々説明をさせていただきますと、検討会の報告書の内容につきましては、基本的に指針を遵守するために考えられる取組の例に記載をし、民間事業者向けガイドラインの内容については、基本的に指針から更に進んだ取組として推奨される取組の例に記載することを想定いたしております。

その際、検討会報告書において指針の範囲を超えた進んだ取組として記載されている内容につきましては、指針から更に進んだ取組として推奨される取組の例に掲げ、また、民間事業者向けガイドラインの内容であっても、検討会報告書の内容と重複あるいは強く関連しているものについては、検討会報告書の内容に吸収又は調整をして、指針を遵守するために考えられる取組の例に掲げることを想定いたしております。

消費者委員会の委員の皆様からは、これまでも本会議等の場において、様々な観点から御意見を頂戴しております。

事業者、特に中小企業や労働者等に対し、具体的な通報対応例等も含め、分かりやすい方法で周知・広報を徹底すること。

労働者等が安心して通報できるように、事業者が広域通報対応業務事業者に対し、実践的な教育を実施することを明らかにすること。

公益通報対応業務の担当部署に調査権限を付与し、調査の実効性を確保することが重要であることを明確にすること。

範囲外共有については、一度範囲外共有が行われた場合には、回復が難しい場合があることも踏まえ、防止措置が重要であることを強調することなどの御意見を頂戴しており、当庁といたしましても、重要な御指摘であると認識をしております。

これらの意見につきましては、指針の解説へ盛り込むことや、ハンドブックの改訂や動画等活用した周知・広報活動を通じて対応してまいりたいと考えておりますことを申し添えておきたいと存じます。

説明は以上でございます。よろしくお願い申し上げます。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、御質問等のある方は、御発言をお願いいたします。

質疑応答の時間、約35分を予定しております。御発言や御回答はなるべく簡潔に行っていただくよう、よろしくお願いいたします。

いかがでしょうか。

清水委員、お願いします。

○清水委員 清水です。

御説明ありがとうございました。私からお願いです。事業者は内部公益通報対応体制の実効的機能をさせるために、労働者、役員、退職者に対して教育・周知を行うということですので、是非お願いしたいと思います。

私は相談現場にいまして、こういった相談はあまりないのですけれども、この法律ができて、平成29年に、このようなハンドブックを消費者庁が作っていますが、問合せなどがありますと、このハンドブックのことを話していますがほとんどの相談者はハンドブックや法律を知らないです。

私たち消費者相談では、消費者の立場で電話を掛けてくるのですが、労働者が守られているとか、労働者が通報することによって、国民の消費生活の安全・安心が確保されるという説明もするのですが、まだまだ周知されていません。この法律の良さだとか重要性、企業の不祥事が続かないためにも、国民一人一人が利用していただきたいと思いますが、周知徹底がなされていません。消費者庁と私たち相談の現場の相談員は、一心同体だと思っていますので、私たちも今後きちんと理解して周知していきたいと思いますが、何かテレビなど、もう少し報道して見てもらうような工夫をお願いできたらと思っています。よろしくお願いします。

○山本委員長 ありがとうございます。

丸山委員、お願いします。

○丸山委員 私からもお願いということになると思います。

指針と別に解説が作成されるということになりましたので、解説を読めば疑義なく現場で何をすべきか、何に留意すべきかが分かるようなところを目指してほしいと思います。

例えばなのですけれども、範囲外共有とは何か、最小限の範囲というのは何を意味するのかというのを、迷わず現場で具体的な対応をとれるよう解説でお示しいただければと思います。

また、その違反が刑事罰に結び付く守秘義務を負うことになる従事者につきましては、特に現場でどのような教育・周知をすれば、実践的な対応が可能となるのかという観点から、解説などを作成していただければと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

柄澤委員、お願いします。

○柄澤委員 柄澤です。

事業者の立場で若干コメントをさせていただければと思いますけれども、昨今の企業不祥事については、清水さんからもお話がありましたけれども、大変遺憾に思っております。

例えば、経営が知らなかったということでこの問題を整理するのではなく、やはり経営が知る仕組みが機能しているかどうかについて、企業にとって課題認識を持つべきだと思っております。

そういう意味で、この企業の内部統制が重要な意味を持ち、この公益通報者の保護制度が1つの解決手段になるということを大いに期待しているところでございます。

附帯意見にございますとおり、制度の実効性を図っていくためにも、やはり匿名を含めた通報者保護、ためらわずに通報できる仕組みというものが非常に重要だと思いますので、その意味で、是非適切な形での指針の解説をお願いしたいと思うと同時に、一方で、企業側も社内体制の整備であるとか、OBを含めた関係者への周知等々が必要で、できる限り早期の対応をお願いしたいと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

消費者庁から、何か特に、お答えをいただくという感じのものでもなかったかと思いますけれども、受田委員からお願いをして、何かございましたら、お願いしたいと思います。

受田委員、お願いします。

○受田委員 受田でございます。

これに関しては、お願いということになると思うのですけれども、先ほど清水委員からも、従前のハンドブックの利用に関して不十分ではないかというコメントがございました。今後、やはり周知徹底という部分は、極めて重要な観点かと思います。

先ほど御説明をいただいた中で、動画等を活用して分かりやすく周知を図る、ここについては大いに期待を申し上げたいところでございます。

この動画を使った周知徹底というのを図るということであれば、そのアウトプットにおいて、啓発を図るということが、具体的にどれだけのアウトカムをもたらしているかということを、しっかりとデジタル解析をしていただきたいという要望でございます。

特に中小企業に、いかに浸透させていくかということは、この法律の具体的な実効性を考える上では、大きなポイントになってまいります。

解析をする上で、例えば、大企業抱える都市部のみならず、地域的なアクセスのポイントを解析することによって、十分に中小企業への浸透が図られているか、実効性がもたらされているかということも理解ができるものと推察をいたします。

そういう意味で、デジタル解析、この辺りは、国のDXの推進とも軌を一にすると思いますので、しっかりと取り組んでいただきたいという要請でございます。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、何かございましたら、お願いします。

○消費者庁楢橋参事官(公益通報・協働担当) 消費者庁でございます。

誠に御指摘ありがとうございます。清水委員からのハンドブックのことを知らないというのは、なかなか衝撃的な事実でございますので、しっかりと受け止めて周知をしてまいりたいと思います。

そういう意味では、この法改正、良いきっかけにもなればと思っておりまして、これを機に、義務付けされたからやるのが当たり前ということではなくて、趣旨を十分に理解していただいて、より良い通報の体制と言うか、ためらわずに通報ができるようにという御指摘もございましたけれども、そのような体制となるように周知徹底を図ってまいりたいと思います。

また、受田委員からありましたけれども、どれだけのアウトカムをもたらすかを明らかにということでございます。非常に重要な観点だと思いますので、研究しつつ、中小企業者への浸透も含めて尽力してまいりたいと思いますので、今後とも御指導いただければと思います。よろしくお願いいたします。ありがとうございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、木村委員、お願いします。

○木村委員 木村です。

御説明ありがとうございます。

やはり、指針の解説は、利用者が分かりやすく利用できるようにということで、安心して通報できるように周知・広報をしていただきたいと私も思います。

ただ、通報者に不利益がないようにというところで、例えば中小企業など、なかなか直接通報しづらい場合がありますので、そういうところに対しても指針の解説において、きちんと主旨が伝わるようにしていただきたいと思っております。

また、これで終わりではなくて、運用を行っていく上で検証を行っていくと思いますけれども、そこでもし不足の部分があれば、きちんと見直しをしていくことで、運用をしていただきたいと思っております。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

生駒委員、お願いします。

○生駒委員 御説明ありがとうございます。

私からは、発言というか希望でございますが、今後、エシカル消費を推進していく上で、また、SDGsを実践していく上で、また、消費者被害の未然防止のためにも、こうした企業の中での内部公益通報対応体制を整備し、公益通報者を保護することは、非常に重要であるということで、先ほど清水委員、他の委員からも意見がありましたが、是非労働者、役員、退職者の方々に対しての周知・広報を、是非、強化していただければと思っております。

何より消費者の命であるとか、身体、財産、その他の利益への被害拡大を防止するために、より通報しやすい環境を整えていく、そして通報者を保護する体制を強化するということは非常に重要であると思っております。

企業が健全なガバナンスを運用していくためにも、また、この日本の社会の信頼性を高めていくためにも、非常に重要な法整備だと思いますので、その点を期待して発言とさせていただきます。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

片山委員長代理、お願いします。

○片山委員長代理 ありがとうございます。

御説明ありがとうございました。皆さんと基本的には同じ意見ですが、公益通報者保護というのは、消費者の安全・安心、あるいは公正な市場を実現し維持していく上で、非常に重要な制度であるということは、皆さん、理論の上では理解しておられると思います。が、実際に事業者の経営トップで、本当に心から、その重要性を理解していただくということが非常に大切なことだと思っています。

この新しい制度、どうやって実効性を確保していくかということを考えた場合にも、公益通報の持つその意義を確実に組織の中、事業者の中に浸透させるということが最も重要です。そこが欠けていると、公益通報制度そのものに対する理解も、その持つ意義に対する理解も進まない。それは、ひいては、通報する側の不安につながっていくことになり今までの公益通報に対する間違ったイメージを払拭できないのではないかと思います。

そういう意味で、先ほど、今回の改正を良い機会にというお話がございましたけれども、徹底的に通報者の不安というものを解消できるように、是非指針の解説の中では、公益通報の持つ意義というものの徹底から始めていって、それをこういう形で具体的に実現していくという、実際の具体的なイメージというものをしっかりと指針の解説の中でお示しいただいて、通報者の不安を本当の意味で払拭できる、そういう解説の作成に心掛けていただきたいと思っています。

是非ともよろしく、良い解説をお作りいただきたいと思います。お願いいたします。

○山本委員長 ありがとうございます。

新川委員、お願いします。

○新川委員 新川でございます。ありがとうございます。

今までの委員と同じなのですが、今回の指針につきましては、今後の解説の中で、より具体的に実行できる体制をお示しいただけるということで理解をしております。

その際に、是非留意をいただきたい点、これまでの議論ももちろんでありますが、加えて、1つは公益通報の処理、そして通報者の方の保護ということに関わって、一定通報後の情報の管理や通報後の守秘義務の在り方や、ややもすれば、注意が欠けるというところもあるやに拝察をいたしております。

この辺り事前だけではなくて事後というところにも着目をして、しっかりと公益通報制度の意義というのを大いに活用し、また、通報者の保護ということを十全なものにしていただくように解説等の規定の仕方というのをしっかりと御検討いただければと思っております。

2点目は、今回の改正で義務付けあるいは努力義務が課せられるということで、大きな進歩があった、前進があったと考えておりますけれども、やはり、各委員からもありましたように、中小事業者の問題、更には当然範囲としては個人事業主等も入ってございますので、こうしたところについて、本当に実効性のある内部通報制度というのを確立していく、そういう観点からも、この指針のみならず、その解説というのが大変重要な位置付けになろうかと思います。

この辺り、丁寧にきめ細かく解説というのを作っていただく必要があるのではないかと考えておりまして、ここは要望、意見としてお伝えをさせていただきたいと思いました。

以上でございます。ありがとうございました。

○山本委員長 ありがとうございます。

何かございましたら、お願いします。

○消費者庁楢橋参事官(公益通報・協働担当) 消費者庁でございます。

様々な観点からありがとうございます。

今ほど御指摘もありましたけれども、消費者の安全・安心というのが、まず、一番大事なところでございますし、そのための公益通報制度がしっかりと運用されていくこと、これが大事だと思っておりますので、その観点しっかり肝に銘じながら進めてまいりたいと思いますし、これも御指摘がありましたけれども、更に上の段階と言いますか、良き消費者との、良き市場関係を作っていくという意味で、エシカル消費、SDGsであるなど、そのような面についても、この公益通報制度の適切な運用が図られることというのがプラスに働くように、こちらも意義として伝えていきたいと思っております。

また、通報後の情報管理については、御指摘のとおり重要だと認識をしてございますので、その点も分かりやすく解説できるように徹底してまいりたいと思います。

指針の解説あるいは先ほど申し上げましたハンドブックの改訂や動画の活用など、様々なツールで周知活動を行ってまいりたいと思いますので、今後ともよろしくお願い申し上げたいと思います。ありがとうございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

大石委員、お願いします。

○大石委員 ありがとうございます。大石です。

もう、既に消費者庁からお答えいただいた内容と重なってしまう内容で、他の委員からも既に出されていることですが、意見を述べさせていただきます。日本で多く存在しております中小企業、それから個人事業主に対しては、今回は努力義務になりましたけれども、やはり、私としましては、この中小企業において、どれだけこの公益通報が実効的に行うことができるのか、使えるのかということがとても重要ではないかと思っております。

指針の中で、今後具体的にいろいろ書いていただけることを期待しております。実例というのは、確かに、読み方によって違うほうに誘導したりすることもあるので、どのように実例を掲載するのかは難しいということも分かるのですが、一方、中小の企業などにお勤めの方などで、実際に自分が通報する側、それから通報を受ける側になったときに、一体自分は今どうしたら良いのかというのは、やはり、具体的な例があって初めて動けるということもあるのではないかと思います。

そういう意味から、指針には具体的な内容を書き込んでいただけるということですので、是非、そのように実行していただくとともに、従業員の方たちも入れ替わりもあると思いますので、継続的に何度も繰り返して周知・広報を行っていただくということを、是非お願いしたいと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

他にいかがでしょうか。何か更に追加して発言をするということがあれば、お願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

それでは、私から若干の意見を申し上げたいと思います。

まず1つは、指針の性格の問題ですけれども、これは前回も申し上げたかと思いますが、本来であれば、法律上、これが指針という形式に定められるということは、政省令等と違って、具体例等を盛り込んで、分かりやすく書くことが意図されていると思います。

現在、労働法規、あるいは景表法などについて指針がありますけれども、それを見ましても、そのような形がとられていますし、以前の消費者委員会の専門調査会におきましても、指針として、そのようなものを想定しておりました。

ただ、今回の指針に関しては、そこまでの具体的なものを作らず、解説という形で書くと伺いました。

私は、専門の立場からいうと、若干の疑問と言いますか、大いに疑問を覚えるのですけれども、ただ、現実になかなか難しいことも、以前に専門調査会の座長をしていた関係で、非常によく理解できるところですので、今回いろいろ委員から御意見を頂いた部分に関しましては、指針の中に入れることは難しいといたしましても、是非指針の解説の中に、しっかりと盛り込んでいただきたいと思います。

とりわけ、指針の解説の中に、指針を具体化した事項と、それの更に上乗せをする推奨事項とを入れるということだったかと思いますけれども、本来であれば、指針に書くべきようなことは、是非指針を具体化する事項の中に入れていただきたいと思っております。

これが全体的なことです。

それから、指針の解説の内容に関しまして、委員からいろいろな御意見を頂きましたけれども、幾つかのポイントが恐らくあるだろうと思います。

1つは、通報に対してしっかりと調査をして、案件の処理を行うことが重要でありまして、その調査の体制をしっかりと作っていくことが重要であると思います。

企業のコンプライアンス関係の制度を見ましても、まず、調査をする部署等が非常に重要で、そこに十分な予算をつけて、人をつけて、権限を与えて、しっかりと動くようにすることが、まず基本であると思います。

ですから、そこは、しっかりと指針の解説の中に入れていただければと思います。

2つ目は、情報管理の問題です。これは、先ほど新川委員からも御意見がございましたけれども、実際、情報の不適切な取扱いがあったために、通報者に対するいろいろな被害が発生したことも過去にございます。

具体的には、まず、事業者内でルールをしっかりと定めることが重要であると思います。どの範囲で、どの部署が、情報を共有するかを、しっかりと定めることです。

ただ、案件によっては、なかなかそれだけではうまくいかないこともあるでしょうから、そういった場合には、通報者とよく連絡を取って、コミュニケーションを取って、同意を得た上で個別の案件について、情報共有の範囲を少し拡張する扱いをすることになろうかと思います。その際にもしっかりと通報者と連絡を取って、どのような範囲で情報を共有するかを明らかにした上で、通報者の理解を得ることが重要かと思いますので、そこも是非入れていただきたいと思います。

3番目は、正に今申し上げたのですが、通報者とのコミュニケーションの問題でして、これも通報者によって、いろいろ事情があるだろうと思います。

先ほど匿名通報の話がございましたけれども、匿名通報に関しては、匿名性がしっかりと維持される形で通報の処理をすることが重要であると思いますので、具体的な方策等についても、是非指針の解説の中に入れていただければと思います。

それから、これは当然予定されていることかと思いますけれども、通報者に対して、調査等の結果がどうなったかということについても、しっかりと知らせていくこと、通報者に対する調査結果等の提示という点も非常に重要であると思います。

これが、やはり通報が実際にワークするための条件になるかと思いますので、そこもしっかりとしていただければと思っております。

あと、大きな4点目は、先ほど清水委員から御指摘がございますけれども、周知啓発、これが非常に重要ですし、それから、個々の事業者において、通報の制度が機能しているかを、継続的にモニターしていくことも重要です。

そして、消費者庁におかれましても、制度全体がうまく機能しているかを継続的に観察していくことが非常に重要であると思いますので、そのような継続的な周知啓発と、それから継続的なモニタリング、チェックをしっかりとしていただければと思います。

最後に申し上げた点は、指針の解説の問題を超えて、これからこの法律を運用していく上での問題ということになろうかと思いますけれども、是非お願いをできればと思います。

よろしいでしょうか。

よろしければ、議論はここまでにいたしまして、委員会としての意見(案)を配付いたします。

それでは、今、ここでは配付をいたしました。それから、各委員には、チャットで一番表の部分をお示しし、ただ、今回に関しましては附帯意見として、かなり分量の多いものが付けられておりまして、それについては、委員間でかなりやり取りをした上でまとめて、既に各委員にお配りをしておりますけれども、この内容をもちまして当委員会の意見とし、送付をしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

皆様から御了解をいただいておりますので、それでは、この意見(案)をもって回答としたいと思います。

消費者庁におかれましては、お忙しいところ、審議に御協力いただきまして誠にありがとうございました。


《3.閉会》

○山本委員長 それでは、本日の議題は以上になります。

最後に事務局より、今後の予定について説明をお願いいたします。

○太田参事官 本日も大変御熱心に御議論をいただきまして、ありがとうございました。

次回の本会議につきましては、日程が決まり次第、委員会のホームページを通じて、お知らせいたします。

以上でございます。

○山本委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございました。

(以上)