第347回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2021年7月19日(月)13:00~15:06

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)山本委員長
    (テレビ会議)生駒委員、大石委員、片山委員長代理、柄澤委員、清水委員、新川委員、丸山委員
  • 【説明者】
    公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会 ICT委員会 金藤委員長
    日本司法書士会連合会 伊見副会長
    日本司法書士会連合会消費者問題対策委員会 貝瀬前委員長
    特定非営利活動法人消費者機構日本代表理事 佐々木副理事長
  • 【事務局】
    加納事務局長、渡部審議官、太田参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 特定商取引法等における契約書面等の電磁的方法による提供に係る政省令やガイドラインの整備に当たって留意すべき事項について関係団体等からのヒアリング
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1.開会》

○山本委員長 ただいまから、第347回消費者委員会本会議を開催いたします。

本日は、私が会議室で出席、生駒委員、大石委員、片山委員長代理、柄澤委員、清水委員、新川委員、丸山委員がテレビ会議システムにて御出席です。

受田委員と木村委員は、御欠席です。

新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、3密を回避しながら消費者委員会会議室及びテレビ会議システムにより会議を進行いたします。

また、感染拡大防止の観点から、引き続き、一般傍聴者は入れず、報道関係者のみ傍聴していただいて開催いたします。

議事録につきましては、後日消費者委員会のホームページに掲載いたしますが、議事録が掲載されるまでは本日の会議の様子を7月20日火曜日15時頃よりホームページにて動画配信いたします。

それでは、配布資料につきまして、事務局よりお願いいたします。

○太田参事官 本日も、どうぞよろしくお願いいたします。

資料は、議事次第に記載のとおりでございます。

もしお手元の資料に不足等がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上でございます。


《2.特定商取引法等における契約書面等の電磁的方法による提供に係る政省令やガイドラインの整備に当たって留意すべき事項について関係団体等からのヒアリング》

○山本委員長 6月に成立いたしました改正特定商取引法及び預託法に関して、契約書面等の電磁的方法による提供に係る政省令やガイドラインの整備に当たって、今後、消費者委員会が消費者庁の取組を進捗させる上で参考とするために、本日は、消費者団体をはじめとする関係団体様にお越しいただきました。

御紹介いたします。

日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会より、ICT委員長、金藤博子様が、会議室にて御参加です。

日本司法書士会連合会より、副会長、伊見真希様、消費者問題対策委員会前委員長、貝瀨隆男様が、会議室にて御参加です。

特定非営利活動法人消費者機構日本より、代表理事副理事長、佐々木幸孝様が、テレビ会議システムにて御参加です。

以上でございます。

本日は、お忙しいところ、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

本日は、団体様ごとに用意いただいた資料を用いてそれぞれ15分間御説明をいただき、その後、委員との意見交換を約25分間させていただきます。

最初に、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会、金藤様からお願いいたします。

○日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会金藤ICT委員長 NACS、ICT委員会委員長、金藤です。よろしくお願いいたします。

本日は、このような発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。

まず、発言の前に、NACS及びICT委員会について簡単に紹介させていただきます。

NACSの設立は1988年で、2011年に公益社団法人に認定されました。消費生活に関わる日本最大の専門家集団で、全国7支部に2,400人の会員がおります。会員の構成は、消費生活相談員、企業の消費者部門、その他団体など様々で、構成員の多様性がNACSの特徴でもあります。活動の3本柱ですけれども、消費者トラブルの解決、消費者教育、行政や企業、団体などとの連携です。具体的には、週末電話相談、コンシューマーADR、学校や一般への講師派遣、高齢者のICTリテラシー啓発事業やテキスト作成、パブコメの提出などの活動をしています。

次に、ICT委員会について紹介させていただきます。昨年、2020年6月に本部の委員会として発足しました。消費者の立場からIT関係の行政施策などに対しての提言と消費者のICTリテラシー向上の普及を図ることを目的に活動しています。最近では、6月末に「ネット広告の課題」と題した公開勉強会を行って、200名の参加がありました。また、7月には、出版社ぎょうせいから、NACSそう書として「ネット・SNSの危険から子どもを守れ!」と題する消費者と保護者と教師向けの本を出版しました。もし目にしたら、是非手に取ってください。

それでは、本題に入らせていただきます。

今般の特商法改正により予想される消費者保護機能の低下をいかに防ぐか、その視点で書面交付義務の電子化とクーリング・オフ電子化の2項目について意見を述べさせていただきます。

資料1を御覧ください。

1番目に書いてあります書面交付義務の電子化についてです。大体のところを読ませていただきます。

今まで紙ベースでの書面交付を義務化していた目的には、書面を見ることで合意の内容を一覧できるという確認機能と、書面を手元に置いておくことで特定継続的役務提供などの長期にわたる契約でも実際に受けてみてサービスが契約内容どおりに履行されているかなどチェックを容易にできる保存機能の2点があります。また、これらの機能のほかにも、契約内容をよく理解せずに契約に至ることが多い、判断能力が低下した高齢者や人生経験の不足した若年者の契約について、紙の契約書が目につくところにあることで、見守りの人や家族など周りの人も被害に気が付き、救済が行いやすくなる機能があると考えます。そのためにも、一対一の通信であるメールなど電磁的方法による個人間のやり取りをどのように第三者に気付かせるかが書面交付義務の電子化でのポイントになると考えます。確かに、割賦販売法でも、クレジットカードの利用規約などにおいて、書面の一部電子交付が認められています。しかしながら、これらの業者には、特定商取引法の規制対象の業者とは異なり、参入規制が課されていて、当局の厳しい監督に付しています。一方、消費者被害の多発を背景に制定された特定商取引法においては、規制対象の業者には参入規制がありません。この度の電子交付により、再び被害が拡大するのではないかと懸念する声が相談の現場では根強いです。書面交付に代えて電子交付で行う方法を認めることが決まった以上は、書面の電子交付について具体的な規定を定めることが必要であり、それが守られなければ書面交付義務が果たされていないとみなすぐらいの定めを政省令で置くべきだと考えます。

具体的項目に関する提言をします。

まず1点目、(1)です。書面交付方法は、添付ファイル、いわゆるダウンロード方式で書面を交付するだけではなく、必ずマイページを作り、クラウド方式でそこにも保存する。

その具体的方法論について、細かく書きました。

ア、ダウンロード方式のみは認めない。紙の交付書面を保存する場合、意識的に処分をしない限りは、長期間保存すると思われますが、電子交付の場合は、端末の交換や不具合でファイルを失うこと、また、メモリーの空き容量の関係で消去することが間々あります。交付された電子書面を長期に保存するためにも、クラウド上のいわゆるマイページでも保存することとし、どの端末、ブラウザからでも見られるようにするということです。

イ、電子書面は、どの端末、どのブラウザでも同じように閲覧できるよう、クラウドの電子書面の記載事項を見出しにして、項目番号を押すとその項目の詳細が出る統一したフォーマットを定める。この統一したフォーマット定める理由としては、例えば、単に紙の書面をPDFにした場合には、クーリング・オフの赤字、赤枠、8ポイントなどは、端末によって見え方が変わり、意味をなしません。さらに、スマホなど小さな画面では、スクロールしていかなければ何が書かれているか分からず、一覧性がないこともあります。利用規約の承諾などでも問題になっていますけれども、何が書かれているか最後までずっとスクロールをして読まなくては分からないような書式は避けなければならないと考えます。一覧性の観点からフォーマットの例として書きましたけれども、いわゆる見出しには書かなければいけない項目を出します。例えば、相手方事業者というところをタップやクリックをすると、そこで、名称、住所、連絡先、担当者名、メールアドレスなどが出る。2番目の契約年月日などを見れば、そこをタップすれば、そこで、契約日だけでなく、継続的役務提供などではいつまでかと確認できる。そういうふうに、まず、1つの画面のところで、クーリング・オフについてなど、そういう項目を全て確認できるようにして、そこを見られるようにするとしたらどうかと提案します。印刷のアイコンをつけて印刷できるようにすると、更に良いと思います。

次、ウです。マイページの表示方法を標準化し、記載場所を統一する。車、テレビのリモコン、ビデオのリモコン、電話機などでは、色や記号などが標準化されています。それと同じように、記載場所をすぐに見付けられるようにする必要があると考えます。

エ、マイページのログイン、ID、パスワードは、圧着はがきなどの紙媒体で重要確認事項として郵送することを義務付ける。実際にマイページに慣れていない高齢者などは、マイページのログイン方法や見方が分からないです。また、マイページを訪問販売業者などに勝手に設定されることもあります。圧着はがきが郵送されることにより、そのはがきを取っていれば、周りの人の気づきの機会も増えると考えます。特商法ではないですけれども、相談室に入った相談事例としては、このようなことがありました。パソコンは所持せずに、スマホはあるけれども通話にしか使っていない高齢者が、通信会社のIP電話を加入するときに、来訪の勧誘員に勝手にスマホから専用メールアドレスを設定されて、そこに毎月請求書が届いていました。そのため、ほかにオプション契約もされていることや、高額な請求額などに、本人、遠くに住んでいる、別居している家族は全く気づきませんでした。不審な引き合い引き落としがあると相談室に相談があって、郵送された契約書の記載事項からIDなどが分かって契約内容の全貌が見えて解決できたということがありました。

次に、今までのところは書面の作りというところでお話しましたけれども、(2)として勧誘員の行為について書きました。高齢者の所持する端末を操作してアドレスを作ることを禁止する。電気通信サービスの契約などで、保護者に勝手にスマホを操作されてアドレスを作られることがあります。今紹介した相談事例のように、端末の操作に慣れていない人の場合、分からないからといって他人が設定することもありますけれども、本人が操作して登録をしなければならないとする。

次に、(3)です。承諾方法です。これは結構問題になると思いますけれども、全契約者について、電子交付の承諾を取る場合には、承諾をするときの様子を動画で撮影し保存しておく。この動画がなくて争いになった場合には、未承諾として書面不交付でクーリング・オフに応じるように規定をする。なお、事業者にとっても、後日争いになった場合に備えて承諾の正当性を主張するために必要な措置だと考えます。なお、この承諾画面では、いわゆる電子書面を交付するかという説明義務段階から撮影をして、承諾は、イエス・ノー、いわゆる電子書面で良いですよねと聞いて、はいと言わせるというようなことではなく、本人に、紙にしますか、電子書面にしますかなどと聞いて、紙で下さいなど、明言させることが必要だと考えます。録画と言いますけれども、今、スマホやタブレット端末を大抵の事業者は持っていって、録画するのは大して事業者の負担にはならないと思いますので、これを提案させていただきます。

次に、大きな論点の2つ目、クーリング・オフ通知の電子化について説明をさせていただきたいと思います。

通常の場合には、最近の通信取引は、発信後、瞬時に相手には届いています。しかし、事業者から受信していないと言われた場合、一般消費者には発信したことの証明が難しいです。また、消費者が正常に発信し、事業者に届いたとしても、相手方で改ざんが簡単であり、メールアドレスも書き換え可能という問題点があります。事業者にメールなどが届かない原因としては、通信障害、事業者のスパム判定で、別のところ、いわゆる迷惑メールというところに格納されること、消費者でのメールアドレスの入力ミスなどが考えられます。しかし、今般の法改正では、書面によるクーリング・オフと同様に、電磁的方法によるクーリング・オフの通知においても、発信主義、いわゆる電磁的記録を発送したときを採ることが明らかにされました。これを受けて、事業者が届いていないと主張しても、消費者側に発信する意思があったことが立証できれば、仮にメールアドレス違いなどの消費者側の過失があった場合においても発信したと認めるというスタンスが必要ではないかと考えます。

具体的に、(1)です。クーリング・オフ専用のアドレスを作る。電子書面ならば、書面のクーリング・オフのところにアドレスを書いてリンクを張る。専用フォームを設けることも良いと思います。専用アドレスでは、自動返信を含めて必ず事業者には返信をするように義務付けます。消費者からは、専用アドレスに連絡があったならば速やかにクーリング・オフを実行するという意味合いを持たせることが大事だと思います。

(2)電子的にクーリング・オフする場合には、発信した証拠を削除せず残すことを消費者に周知し、消費者が発信したと言えば認めることにする。消費者側の安全対策、いわゆる発信したことの証明として、クーリング・オフ通知を送るときに、CC、カーボンコピーに信頼できる第三者を入れることが考えられますが、第三者には事情を言いにくいものでもあります。信用できる第三者として消費生活センターをCCに入れるように周知していければ良いと思います。ただし、CCについて消費生活センターは遅れていまして、セキュリティーの関係ですぐにはCCに消費者センターを入れるのは難しいかもしれません。ただし、調べましたら、民間企業のサービスを探しますと、メールやSMSの送信を5年間証明すると有償サービスがあります。100円からと書いてありましたけれども、実際に幾らかはよく分かりませんが、そういうサービスがあります。CCにこの企業を入れることで内容保全をするというサービスなので、このようなクーリング・オフの電子化が進むと、同様のサービスをする企業が複数出てくるのではないかと私は考えています。

次、(3)です。電子的記録は、メール、SMS、メッセージ等を問わないとする。クーリング・オフは、一定の契約に限り、一定期間、無条件で申込みの撤回又は契約を解除できる消費者の権利です。ですから、期間内の意思表示を重視し、LINEなどのSNSに消費者トークルームを作っている場合は、そこでの解約も認めることとする。

次、(4)です。代表者宛てでなくても、社員、担当者にクーリング・オフの意思表示をすれば、表見代理として政省令でクーリング・オフを認めることにする。はがきでは、確かに事業者の代表者宛てに出します。ただし、ネットで取引している若者などの場合は、担当者のみとメールやメッセージでやり取りをしていることが多いです。クーリング・オフの通知は事業者宛てであることは、消費者への注意喚起には当然必要だと考えます。しかし、万一会社代表者ではなく担当者に送ったとしても、表見代理としてクーリング・オフを認めるようにすることが必要だと考えます。

(5)クーリング・オフに際し、本人確認との名目で身分証明書の提示を求めることは禁止する。これは定期購入で非常に多い相談ですけれども、相談事例を紹介します。通信販売で定期購入とは気付かずに初回500円という健康食品を購入した、解約はLINEからしか受け付けないと言われて、LINE登録を拒否したところ、本人確認のために身分証明書を電子データで送らなければ解約できないと言われてどうしようかという相談が、かなりの数で入りました。このように、電子メールだからなりすましではないかと業者が言い掛りをつけてくることもあると思うのですが、こういう身分証明書を電子データで送ることは禁止してほしいと考えます。

これでクーリング・オフと書面交付の電子化の話は終わりですけれども、大きな3番目として、その他の意見です。そもそも論になりますけれども、書面電子化の流れと高齢者のトラブルが引き続き多い現状を鑑みると、不招請勧誘禁止規定の導入を検討すべきだと消費者団体では考えています。ですから、今後、このような検討もしていただければと思います。

以上で、NACSの発表を終わらせてもらいます。ありがとうございました。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、質疑応答に移ります。

質疑応答の時間は約25分程度ですけれども、御質問、御意見がございましたら、お願いします。

清水委員、お願いします。

○清水委員 清水です。

御説明をありがとうございました。

冒頭のところで、1の書面交付義務の電子化について、書面交付に加えて電子交付で行う方法を認めることが決まった以上というところは、私も相談員ですので、同感です。建議の検討をしたときには、消費者庁にこのことは強く申し上げ、電子化だとしても書面を交付したほうが簡単なのだというぐらいに政省令をきちんと決めますと言われましたので私は建議について認めたという経緯があることを御紹介させていただきます。

もう一点は、クーリング・オフの通知の電子化についてです。事細かい御提案ですごいなと思いました。ただ、地方の消費生活センターの相談員からすると、CCに消費生活センターのアドレスを入れることはすごくとっぴな気がしまして、そうなればどんなに良いかと、今、思いました。しかし、ここは必ず書面でクーリング・オフを通知すれば足りると思っております。でも、将来的には、デジタル化が加速したときには、こういうこともちゃんと担保されなければいけないと感じました。

ありがとうございました。意見です。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、丸山委員、お願いします。

○丸山委員 御説明いただき、ありがとうございました。

現場で問題に感じているような点をどんどん出していただくことは非常に重要だと思います。

私からは、クーリング・オフの通知に関して一言だけ述べておきますと、ここで述べられている懸念についてはごもっともな点があるのですけれども、例えば、メールなどで事業者がクーリング・オフをもらったら、必ず受領しましたという通知をするなど、海外で見られるような、ホームページでクーリング・オフができて、それを受け付けましたというお知らせがきちんと消費者にも届くということは、技術的には可能性があるのではないかとも思っておりますので、この辺りは、現場の声と技術的な可能性と海外の先行例なども見ながら、問題のないような制度設計が進めば良いと思っております。

取りあえず、以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

そのほかはいかがでしょうか。

もし金藤様から何かありましたら、お願いします。

○日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会金藤ICT委員長 特にありません。

○山本委員長 特にはよろしいですか。

ほかにいかがでしょうか。

片山委員長代理、お願いします。

○片山委員長代理 大変詳細な御意見をありがとうございました。

私も、被害の現場を見聞きする立場の者として、今回の電子化については本当に慎重であるべきという思いをずっと持ち続けておりました。そういう意味で、建議が大変難しく悩ましい議論の中であのような形になったということを、是非皆さんにも理解していただきたいと思っています。

今日金藤様から頂いた御意見は本当に詳細かつ具体的ですごいなと思ってお聞かせいただいておりました。特に、マイページのログイン方法をきちんと書面で本人に郵送することを義務化するという御提案があったと思いますが、これはスマホやITに慣れていない人間にとっては記録を保存する上で大変有益だと感じました。私もスマホなどは非常に苦手なのですが、その中でいろいろなマイページができてくると、本当にログイン方法が分からなくて、つい勧誘者にやってもらったり、そこでこうすれば良いと教えてもらうだけて終わってしまいがちで、そういう消費者が多いのではないかと思いますので、ログイン方法と記録をきちんと書面で残していって、他人に確認してもらったり、本人も常にいつでも確認できるような状況を作っていくことが、1つ、大きなことだということは改めて感じました。

1点、質問なのですが、先ほど、統一したフォーマットを作って一覧性を高めることと同時に、多分アイコンや色も標準化してしまえば良いのではないかというお話だったと思いますが、そこのところでもし具体的にお考えの点がありましたらもう少し詳細にお教えいただけますでしょうか。

○日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会金藤ICT委員長 どうもありがとうございます。御質問について、お答えします。

フォーマットを作るという方法ですけれども、私も実際にこれを作ったことはないので、どういう方法がというのは具体的にはありませんけれども、例えば、そこの裏にJavaで作るなど、いろいろとリンクを張らなくて折り畳むような作る方法はあると思います。かなりいろいろな方法はあるのではないかということは知り合いの詳しいものに聞いたら言われましたので、とにかく何が書かれているかを一覧できるようにすることは必要だと思います。

それに関連して、今御質問頂いた表示場所なのですけれども、例えば、マイページなどは業者さんがそれぞれいろいろとどういうふうに作っても良いと思うのですけれども、例えば、開いたら、右の上のところに、赤か何か、そういうものでしっかりと、契約書がある場合は、そこを見れば分かるという、いわゆる置き場所や色を統一してもらうようにして、そこの統一したところを開くと、このフォーマット、いわゆる契約書が出てくる。できれば、そこに印刷したければできるようにというアイコンをつけてもらえれば良いと考えております。

頭の中で考えた形なのでこれ以上は言えませんけれども、検討いただければと思います。

以上でよろしいですか。

○片山委員長代理 ありがとうございました。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、新川委員、お願いします。

○新川委員 新川でございます。

ただいま、非常に詳細にわたりまして御提案いただきまして、ありがとうございました。

頂きました御提案で少し教えていただきたいのですが、特に電子的な処理に際しての書面の交付についてマイページという具体的な手法についていただいているのですが、この場合、法律上の義務付けとして、電子的な処理に際してマイページの設置自体を義務付けること、もう一つは、マイページの中のそれぞれのフォーマットの内容についてもいただいているのですが、この辺りは、どこまで政令で書き込んで、実際の運用もありますから、どこから省令若しくはその他のガイドラインにしていくのか、この辺りでもしお考えがあればお伺いしたかったというのが1点目でございます。

同様のことは、クーリング・オフ通知の電子化ということで、クーリング・オフ通知については電子化で通知ができるということでありますけれども、専用アドレスの設置あるいは発信通知の記録・保存など、事業者・消費者双方の義務ということもあるのですが、この辺りはどこまで政令で定めたら良いとお考えなのか、あるいは、望ましい措置のような形でガイドラインのようなものを設けることがよろしいのか、この辺りは、少し御提案を細かく頂きましたので、その中で区分ができるようであればちょっと教えていただけると有り難いなと思った次第です。

よろしくお願いいたします。

○日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会金藤ICT委員長 御質問をありがとうございます。

まず、1点目の電子書面の交付なのですけれども、本来でしたら交付するのは自分のサーバーに到達したときだと思います。到達したというのは、電子商取引の準則などでも相手に到達したときとなりますから、私が消費者だとすると、私のところのサーバーに来なければいけないという形になる。それに対して、マイページは、クラウドですから、事業者側に自分がアクセスをして事業者の側のサーバーを見るという形になると思うのです。ですから、これはダブルで両方をやってくれということをお願いしたい。これは政令や省令としていただきたいというところがあります。その理由としては、前にも書きましたように、ダウンロードだととにかく端末の不具合やちょっとしたことでその書面がなくなる。今、スマホの方も多いですから、プリントアウトができない人も多いということがあるので、政令か省令か分かりませんけれども、どちらかでしてもらいたいと考えます。

2点目の御質問のクーリング・オフ通知は、専用アドレスに関して、私はガイドラインで良いかなと考えます。業者さんがあまりにもたくさんいらっしゃいますので、その次のところにいろいろ書かせていただきましたけれども、電子的記録は、メール、SMS、メッセージを問わないなど、代表者宛でなくてもクーリング・オフの意思表示をすれば表見代理として社員に宛てたメールでもオーケーにするというところを、政省令で設定していただいた上で専用アドレスを作ってもらうと更に良いという形で、ガイドラインなどの形にしていただければと考えます。その辺りは、私ども、NACSの意見を検討いただいて、更に良い形にしていただければと希望します。

以上です。

○新川委員 どうも御丁寧にありがとうございました。

○山本委員長 ありがとうございます。

ほかにございますか。

よろしいですか。

私も、非常に単純な質問なのですが、3ページ目の動画撮影というアイデアは面白いと思いましたけれども、これは対面という場合を想定しているのですよね。その場合に、撮影されたくないなど、プライベートなものが映ってしまうなど、要するに、個人情報の問題が出てくる、しかもそれを保存するということになりますと、それを事業所がずっと持っていることになるので、むしろ嫌だという消費者もいるかと思ったのですけれども。

○日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会金藤ICT委員長 今、山本先生のおっしゃられることはごもっともだと思います。

ただし、説明義務などは電気通信事業法などで結構しっかりありまして、チェックシートをよく書かされます。そのような説明のチェックシートは、説明した側がちゃんと読まないうちにどんどんチェックを入れていって、最後、サインしてくださいという形になっていると思います。説明した・しないで争いになっているというのが事実です。特に、今回の場合は、対面の訪問販売などが多い場合に、契約書は普通の紙書面でやれば良いと個人的には思いますけれども、実際に電子的交付の形になった場合に、電気通信事業法などと同じように承諾を取ることが紙書面のチェックシートだけになると、承諾が形骸化されて大変だと思います。そうすると、今の時代、動画だと思います。

クレジットなどや、いわゆる電話勧誘などで、電話での受け答えのときには、これは録音しますと言って、全部電話の音声を記録して何か月か持っているというのが普通です。それと同じような形で、まずは、法律で決められていますから、録画しますという承諾を取った上で撮ることがもちろん必要だと思います。動画のよさは、先ほど申し上げたように、そのとき、実際にどういった説明をしたか。そのときの表情などで、いかにも答えなければいけないから承諾したのか、本当に本人が選んだのかというのも分かるという利点があると思います。今の時代、そこから先、動画の保存方法などについては個人情報保護法でいろいろ又問題は出てくるとは思うのですけれども、承諾を確実に取るという意味では良い方法ではないかということが、私どもの意見です。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

承諾の実質化が難しいと言いますか、そこをどう担保するかという問題は消費者委員会でも随分議論しましたし、恐らく今後の議論の焦点になってくると思います。今日はアイデアをいろいろ頂きましたので、今後の参考にしていきたいと思います。

ほかにございますか。

よろしいですか。

それでは、本日は大変具体的なアイデアをいろいろ頂きまして、どうもありがとうございました。

続きまして日本司法書士会連合会、伊見様、貝瀨様より、よろしくお願いいたします。

○日本司法書士会連合会伊見副会長 皆様、こんにちは。日本司法書士会連合会でございます。私は、副会長を務めております、伊見真希と申します。

当会では、今般の特商法等の契約書面等の電磁的方法による提供に関しましては、お手元の資料2の1ページにありますように、法案審議前の段階から強い関心を持っております。このように、1月時点のものではございますが、消費者の保護という観点を損なうことがないように、トラブルの実態の精査や、様々な専門的知見、実務の知見を含めて、公開の場で議論を行う等、慎重な検討を行うべきであるという意見も発出させていただいているところであります。

今回成立しました改正法に基づきまして、政省令、ガイドラインの整備に当たりまして、私ども、日々全国で消費者トラブルの相談や法的な支援に当たる司法書士の意見を申し述べる機会を与えてくださいましたことに、感謝を申し上げたいと思います。

書面の電磁的方法につきましては、現行の書面の交付により図られるべき消費者の保護が損なわれることがないことはもちろんでありますけれども、電磁的な方法の特色を生かして、より一層の消費者保護を図っていけるような方向で考えていくということも併せて検討なされるべきだと思っているところであります。

そのような中で、現時点までで検討しているものにつきまして、今日、お話しさせていただく予定でございます。もとより、検討がまだ十分に練れていないところもあろうかと思いますけれども、何かしらのお役に立てればと思うところでございます。

詳細につきましては、貝瀨委員からお願いしたいと思います。

○日本司法書士会連合会消費者問題対策委員会貝瀨前委員長 日本司法書士会連合会消費者問題対策委員会の貝瀨と申します。

私から、報告させていただきます。

1ページに参りまして、(2)の本日の報告の流れについて御説明させていただきます。1番目に、書面交付義務の役割の確認をいま一度させていただきまして、実務家の視点から現在の特商法取引の被害事例について問題点の提示等をさせていただきたいと思っております。それを受けて、書面の電磁的方法による交付についての検討の視座及び課題を抽出し、4つ目で具体的な検討内容をお示ししていこうと思っております。

続きまして、2ページ目の書面交付義務の役割に参ります。書面交付義務の役割のマル1確認機能、マル2保存機能、マル3警告機能、マル4告知機能、マル5発見機能というところは、皆さんも御議論されているところかと思いますので、省略させていただきます。確認というところで示させていただきました。

3ページ目に参りまして、現在の特商法取引の被害事例について、最近増加傾向にある事例としましては、情報商材の典型例でして、高額な商品について電話勧誘販売などで契約させられるケースが多いかと思います。そのような事例においては、カリスマ的な存在を登場させて、その者に対してリスペクトの念を抱かせるような働き掛けをさせたり、具体的な数字を示して勧誘の段階で誤信や浅慮に陥らせて契約を成立させることが多くあります。その場合に、事後的に書面交付がされるわけなのですけれども、契約の目的の性能やリスク等をよく理解しておらず、書面自体によく目を通していなかったケースもございます。単に書類を受領したという形で形式的な役割にとどまってしまっていて、本来の役割を果たせていないケースがあります。このように現在においても現行法の規定では必ずしも十分な規定にはなっていないと思われますので、法の目的に沿った規制の一層の強化が望まれる中で、今回の検討の中で更に規制を強化できるような観点を持っていくことが重要なのではないかと考えております。

4ページに関しましては、意思形成の時系列的なところでの行為規制や民事規定に関するものですので、省略させていただきます。

5ページ目の検討の視座及び課題について、参ります。電磁的方法によって提供した場合には、以下の3つの類型が発生すると考えられます。まず、1つ目としましては、電磁的方法による提供を悪用し、被害を深刻化させる類型。2つ目としましては、電磁的方法による提供ですけれども、書面交付等の場合とその役割は実質的には変わらない類型、現状維持になります。最後、3つ目としましては、電磁的方法による特色を生かして、書面交付の役割を一層充実化させる類型。この3つが考えられます。この下の図を見ていただいて、BからAを阻止、現状維持よりも電磁的方法による提供を悪用し被害を深刻化させる類型を防止するというのは当然のことですけれども、さらに、現状維持だけではなくて電磁的方法による特色を生かして書面交付義務の役割を一層充実化させる方向に持っていく検討をする必要があるのではないかと考えております。

6ページ目に参りまして、時系列的に3つの場面を想定しております。電磁的方法による提供について同意を求めて承諾をした場面を1つ目、電磁的方法による提供をした場面を2つ目、提供した後3つ目と分けておりまして、それぞれに課題が考えられます。まず、1つ目の課題としましては、書面の電磁的方法による提供について承諾することについて、顧客等の自主的かつ合理的な選択の機会を確保するにはどのような規定が必要だろうかということが考えられます。2つ目の課題としましては、販売業者等の電磁的方法による提供として適当な方法とは何であろうか。3つ目の課題としましては、書面交付の役割、先ほど申し上げたマル1からマル5の役割を十分に果たすためにはどのような規定が必要であろうか。こういう課題の3つを挙げさせていただきました。

次の7ページの(4)については、その他の留意点ということでこのようなことも考えられますが、今回に関しては、検討させていただいておりませんので、割愛させていただきます。

続きまして、8ページ目、それぞれの課題について具体的に見てまいります。まず、課題1、承諾につき、顧客等の自主的かつ合理的な選択の機会を確保するにはどのような規定が必要かということで、ここについては4つほどの問題点を挙げさせていただいております。まず、1つ目としましては、顧客等自身の判断で決定をしているのかどうか。2つ目としては、時的密接性や閉鎖的空間において落ち着いて判断できているかどうか。3つ目としましては、電磁的方法による提供の承諾について不当な勧誘をされていないか。4つ目としましては、承諾の態様が後日不分明となるおそれがあることが考えられます。

次のページで、具体的な対応案について見てまいります。まず、初めの1つ目、顧客等自身の判断で決定しているかどうかに関しましては、対応策の方向性としては、第三者、親族や福祉関係者の相談する機会の確保を対応策の方向性として考えております。政省令としては、顧客等の申出がある場合は、電磁的方法による提供することにつき、承諾を求めるに際し、第三者の意見を聞く機会を確保しなければならない旨及びその旨を顧客等に説明しなければならない旨を規定することではどうかと考えております。また、販売業者等に上記説明をしたこと及びその後の具体的な態様の記録の作成保存を義務付けるとして、ガイドラインで具体的に第三者と相談機会を設けることが望ましい類型について具体的に示したり、第三者として望ましい例をガイドラインでお示しすると考えております。続きまして、問題点マル2、時間的密接性、閉鎖的空間による問題については、客観的に販売業者等の影響を受けない状況等の確保を考えております。政省令では、客観的に販売業者等の影響から離脱した状況を確保しなければならない旨を規定する。販売業者等に、客観的な記録、勧誘日時場所、勧誘業者担当者の離脱の時間、承諾を得た日時場所等の作成保存を義務付けると考えております。ガイドラインとしまして、具体的な例は、例えば、電話勧誘販売であれば一旦電話を切るなど、ウェブ会議アプリ等の勧誘であれば一旦退出させて別日に再度電話等でアクセスさせるなどが考えられるかと思います。

続きまして、問題点マル3に参ります。電磁的方法による提供の承諾につき、不当な誘導がされるおそれに関しましては、電磁的方法による提供の具体的な方法の説明、不当勧誘行為の禁止として、政省令では、その電磁的方法により提供することにつき承諾を求める場合、その具体的な方法を説明しなければならないとして、指示等の対象行為について省令で定める禁止行為等を規定する。例えば、スマホで不慣れな人に対してはやってはならないという形で禁止をするようなイメージです。ガイドラインとして望ましい説明方法の具体例を示すと書いてありますけれども、具体的に電磁的方法で確認するにはどのような手順に従って見れば良いのかという手順書のようなものを提供することを例として挙げたりすることをイメージしております。続きまして、問題点マル4、承諾の対応が後日不分明となるおそれに関しましては、顧客等へ承諾を得た事実を証する書面の交付、情報の提供、承諾等を得た事実及びその具体的態様についての記録作成保存義務などを考えております。政省令については、当該顧客等に当該承諾をした事実を記載した書面の交付又は情報の提供をしなければならないと定め、販売業者等は、承諾の具体的な対応、日時、場所、承諾の経緯等の記録の作成保存を義務付けるなどを考えております。ガイドラインとしましては、承諾をした事実を記載した書面の交付若しくは情報の提供の具体例等を示すということで考えております。

続きまして、課題2、販売業者等の電磁的方法による提供として適当な方法とは何かに参りたいと思います。こちらに関しましては、問題点を2つ挙げさせていただいております。1つ目としましては、顧客等に電磁的方法により提供したか否か不分明になるおそれはないか、2つ目としましては、電磁的方法による提供は当該顧客にとって可読性や判読性等につき問題がある方法となるおそれはないかなどが考えられます。

具体的な対応策を見てまいります。まず、問題点1につきましては、顧客等に電磁的方法により提供したか否か不分明になるおそれはないかということで、こちらに関しては、電磁的方法により提供した事実の記録作成保存義務を義務付ける。政省令において、電磁的方法により提供したときは、提供の日時、提供の方法等の記録の作成保存を義務付ける。ガイドラインで、作成保存の具体例等、留意点等を示してはどうかと考えております。問題点の2つ目、可読性や判読性について問題がある方法となるおそれはないかについては、確認機能の観点から、電磁的方法による提供ごとに適切な具体的方法を示す。適合性原則の観点から、電磁的方法による提供が行われるべきことを示してはどうかと考えております。政省令において、消契法3条に準じまして、顧客等にとってその内容が一義的に明確かつ平易で、かつ、一覧性を有する方法によらなければならないと規定し、電磁的方法による提供は、顧客等の年齢、知識、経験等に適合した方法によらなければならない旨を規定してはどうかと考えております。その上で、例えば、メール、プラス、添付ファイルで提供する場合であったり、ウェブサイトからダウンロードする場合等、細かく具体的な水準を示してはどうだろうかと考えております。ガイドラインとしましては、望ましい提供方法ということで、少しずつ画面が表示されるなどの具体的なイメージなどがガイドラインに載せられたらよろしいかなと考えております。

続きまして、13ページ、課題3に参ります。こちらは、電磁的方法による交付後にその役割を十分に果たすためにはどのような規定が必要かということで、先ほど冒頭で申し上げたマル2保存機能からマル5発見機能についての問題になります。それぞれの機能の確保・充実化が問題点として挙げられるかと思います。

具体的に、14ページで見てまいりますと、問題点マル1、まず、保存機能の確保・充実化に関しましては、紛失等をした場合であっても再度確認できる手段の確保をすることが考えられます。政省令において、顧客等の求めに応じてその提供した内容を契約締結から何年間と期間を定めて改めて提供することができる体制を構築しなければならない旨を規定してはどうだろうかと考えております。ガイドラインでは、その具体的な方法等を例示することを考えております。また、問題点マル2、警告機能の確保・充実化においては、政省令において当該取引の目的及び取引上の社会通念に照らして重要な事項について、顧客等がその内容を明確に認識できると客観的に認められる相当な方法によらなければならない。こちらは、現行のクーリング・オフの規定等に平仄を合わせることをイメージしております。また、ガイドラインでは、インターネット通販における意に反して契約の申込みをさせようとする行為のようなガイドラインのイメージをしております。

続きまして、15ページに入りまして、告知機能の確保・充実化については、クーリング・オフに関する記載について強調して表示するように規定することを考えております。こちらは先ほどの問題点マル2と重複してしまいますが、同様に今回の書面交付と平仄を合わせた形で規定をしてはどうかと考えております。こちらに関して、先ほど5ページで現状維持だけではなくて更に電磁的方法による特色を生かして書面交付の役割を一層充実させられないかということを検討すると申し上げましたけれども、例えば、クーリング・オフの記載をクリックするだけでそのままクーリング・オフの手続ができるような機能に移行できるようなことが案としては考えられるのではないかという意見が委員から挙げられました。また、問題点マル4として、発見機能の確保・充実化ということで、先ほど電磁的機能の承諾をする際に、9ページのマル1で第三者が関与させる機会を設けるということを申し上げましたけれども、承諾する際に第三者の意見を聞く機会を確保した場合には、当該顧客等の同意を得て、当該第三者に対しても電磁的方法により提供しなければならないという形で定めてはどうかと考えております。先ほどの現状維持から更に充実化させるというところで、機能としては、恐らく確認機能や警告機能の充実という意味で該当するのかなとは思うのですけれども、例えば、文章のところに、クリックをし、マウスを合わせる若しくはスマホの該当部分をタップすると、音声によって読み上げてくれるという機能を付加することによって、電磁的方法によって書面よりもメリットがあるような確認機能を持たせることができるのではないかという御意見も出ております。そのほか、※1に関しては、クーリング・オフ機能について、例えば、リマインド機能の導入なども考えられると書いてありますけれども、こちらについては、例えば、記載不備があるにもかかわらず、クーリング・オフがあと1日という形で、だんだんできないと思い込ませてしまうというデメリットもあるので、若干の検討が必要であるかと考えております。

なかなか具体案に関しまして細かく検討できなかった部分もありますけれども、以上をもちまして日本司法書士会連合会消費者問題対策委員会の発表とさせていただきます。ありがとうございました。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、質疑応答に移ります。約25分間、時間を取ることにいたしますが、いかがでしょうか。

丸山委員、お願いします。

○丸山委員 丸山でございます。

本日は、説明をありがとうございました。非常に理論的に整理をしていただいて、ありがたく思いました。

少し教えていただきたい点と、こういう考え方はどうだろうかという点について御意見を伺えればと思った点があります。まず、ページ数で言いますと9ページの点でございます。第三者の見守りの機能を確保する。書面でたまたま見つかるではなくて、そういった第三者の見守り機能を電磁化ならではの方法で高めていこうという方向性は必要ではないかと個人的には思っているところです。そこで、御提案についての確認なのですけれども、こういった第三者見守りについては、高齢者や若年層に必要ではないかといった意見は聞かれていたところなのですけれども、御提案の趣旨としましては、そういったぜい弱な消費者層だけではなくて契約相手になる全員についてこういった機会を設けたほうが良いという趣旨でよかったかという点を確認させていただければと思いました。これが、確認事項の第1点になります。

続けて、10ページで顧客に対して電磁的な方法による提供をするときに具体的な方法を説明しなければならないと御提案いただいております。この点についても教えていただければと思うのですけれども、私自身は、承諾をもらう前に、例えば、書面と電磁的な方法ではクーリング・オフの起算点が違ってくるといった重要な情報提供もしていったほうが良いのではないかと思っていたのですけれども、ここでの具体的な方法の御提案は手段的なことだけなのか、そういった重要情報の提供も承諾前にすることを含む趣旨なのかという点を確認させていただければと思いました。

第3点でございますけれども、14ページのところになります。この点も御意見を伺えればと思ったのですけれども、書面交付義務の警告機能を充実するという点でございます。ここで、書面に代えて電磁的方法で提供する場合に重要な事項がしっかり明確に認識できるようにしなければいけないという御指摘をいただいておりまして、ごもっともであると思います。こういった警告機能やしっかりと認識させることについては、行動経済学などにも詳しい先生に聞きますと、別枠を設けることで認知度を高めることはよく機能するという御意見を伺ったことがあります。例えば、重要な情報についてはメールだったら、メール本文のところに別枠で記載する、そういった別枠を作ることによって強調するといったこともあり得るのかというところを御感触として教えていただければと思いました。

最後に、15ページに関連して、ここで具体的に言及されているわけではないのですけれども、電磁的な手段によりますと、非常に大量の情報が毎日入ってくるという人も多いと思います。そこで、そういった電磁的な方法で添付書面などを頂いたときに、開封の確認といったことを行って、これは重要な連絡が来たんだということを認知させるような措置の必要はないかという点はどういったお考えをお持ちなのか、お聞かせいただければと思いました。

私からは、以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

丸山先生から理論的な御質問をいただいて、即答いただくのは少し難しいかもしれませんが、お願いできればと思います。

○日本司法書士会連合会消費者問題対策委員会貝瀨前委員長 貝瀨から回答させていただきます。

まず、1つ目の御質問、9ページの第三者の確保に関しまして、ぜい弱性を持っている方のみではないのかというところで、ガイドラインとしては、現在、第三者の相談する機会を設けることが望ましいと考えられる類型を例示しようと考えておりまして、そちらでは先ほど挙げられていた独居高齢者の訪問販売や若年者に対する連鎖販売取引などを示すことが良いかなと考えておりますが、ただ、これは私の個人的な意見になってしまうので、何とも言えないのですけれども、ごめんなさい。第三者の意見を聞く機会を設けることができるというのは全顧客に対して御説明して、その上で判断してもらうほうが、顧客等に対する保護という意味では厚いのではないかと考えております。その辺りは、今後、皆様でもまた御検討いただければとは考えております。

続きまして、10ページ目の具体的な方法というところでは、現在では、単純に、電磁的方法をどのような形で確認するのかというところを、例えば、ソフトのダウンロードで更新したときに手順書みたいなものが配付されるかと思うのですけれども、そのような形で、どのような方法にのっとってやっていけば電磁的方法の確認ができるかというところを手順書的な形でお示しするというイメージにとどまっております。

続きまして、3つ目の質問で、別枠で作るというのもあり得るのかというところで、こちらの記載においてはまだ現行の書面交付と同様のイメージを持っておりますけれども、御指摘頂いたように別枠で設けたほうが認識機能は良いという研究があるということですので、そのような考え方で検討していただくというのも十分に問題はないと考えております。

最後の開封通知の確認の措置が必要ないかどうかに関しましても、現行ではまだそこまで詰め切れておりませんけれども、開封通知の確認等でお互いがちゃんと確認したのかどうかというところは担保が取れるほうがより保護が厚くなるのではないかと考えますので、そのような考えを入れていただくのも十分可能かと考えております。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

ほかにございますでしょうか。

大石委員、お願いします。

○大石委員 大石でございます。

御説明ありがとうございました。

最初に司法書士会の皆様からもおっしゃっていただきましたように、私どもも、契約書面等の電子化により今以上の消費者被害が起きてはいけないわけで、でき得る限り前段階で予防策を講じて対策することができるのであれば、ですが、実際には大変難しい状況である、という思いからではあったのですが、結果として決まってしまったということで、いかに今後は被害が起こらないようにしていくかということを皆様と一緒に考えていかなければいけないと思っているところです。

それで、質問なのですけれども、10ページの問題点マル3、「電磁的方法による提供の承諾につき不当な誘導がされるおそれがある」という、ここは本当に今回の一番肝になる部分だと思っておりまして、承諾の実質化と言いますか、本当に本人が納得して電磁的な方法を受け入れたのかどうかというところをきちんと見極めることが一番重要だと思っています。先ほどの御説明の中で、禁止行為として、例えば、スマホに不慣れな人、高齢者など、そういう方については、というお話があったと思うのですが、ある意味、年齢など、スマホに慣れている・慣れていない、ではなく、状況によっては、ほとんどの人に自主的な承諾ができない可能性もあるということを考えます。本来は、自主的に自分から申し出て承諾しましたということを表明できる消費者以外には、書面の電子化は適用すべきではないのではないかと私自身は考えておりまして、先ほどの御説明の中でありましたように、どのような人に対しては問題行為であると考えるべきなのか、もしお考えがあればもう少し詳しく教えていただければと思いましたのが質問の1点目です。

もう一点としまして、その前のNACSの発表の中にもありましたけれども、実際に本人が納得して承諾をしたのかどうかということを確認するために、動画の撮影という提案をいただいております。委員長からも御質問いただいておりましたが、この動画の撮影という点につきまして、司法書士会の皆様としての何かお考えのようなものがあれば是非お聞きしたいと思いました。

よろしくお願いいたします。

○山本委員長 ありがとうございます。

何か、ほかの委員からございますか。

よろしいですか。

それでは、お願いできますか。

○日本司法書士会連合会消費者問題対策委員会貝瀨前委員長 ありがとうございます。

10ページ、まず、不当な誘導のおそれということで、先ほど例えばということでスマホが不慣れな人を例示させていただきましたが、現状ではそういう形で具体的な対象に対して禁止することを想定して作っておりました。ただ、こちらに関してもこれを締めるという考えではございませんので、当然議論の中でその範囲等を検討していただければというところでございます。

先ほどの動画の撮影のような対策について何か検討されていますかというところでございますが、そちらに関しましても、動画の撮影の御意見を頂いたときは随分大きな御発言だなと考えて、ただ、なかなか難しいなとも考えてはおります。現行であれば、先ほど申し上げた第三者の関与を幅広く定めることによって御本人の意思が反映されるかどうかというところを客観的な視点を加えることで担保する方法が考えられるのではないかと考えております。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、新川委員、お願いします。

○新川委員 新川でございます。ありがとうございました。

非常に明快な御提案を頂いたかと思っておりますが、その中でも、幾つか、先ほど来の御質問にもあったのですが、少しお考えをお伺いしたいと思った点の1つは、9ページで最初の問題点としていただいておりましたけれども、こういう第三者性を確保してというのは誠にそのとおりだなと思いながらお話は聞いていたのですが、実際に本当に第三者として望ましい例とは何なのかというのは非常に難しいなと思いながらお話を聞いていたということがございました。1つは、顧客等の申出がある場合という形で規定するという考え方に対して、別のところでは適合性原則のようなものに基づいてというようなこともありましたし、先ほどの大石委員との御議論でもございましたけれども、この第三者性のようなものをどこまで義務付けるのか、この第三者としてどういう存在が的確なのか、この辺りはガイドラインで相当様々なケースを想定しなければ難しいなと思いながら話を聞いていました。現時点で、あるいは、これまでの司法書士会様で御経験されてきたところで、こうした第三者的な意見が有効に働くようなケースなども御存じかと思いますので、どういう範囲で規定していったらよろしいのかということについて少しお考えがあればと思いました。

2つ目の御質問したい点は、同じく9ページのもう一つ、影響からの離脱でございます。そうした離脱した状況の確保は誠にそのとおりだなと思いながらお話をお伺いしていたのですが、実際にどういう条件であれば離脱したとみなすことができるのか、翻って本当に消費者にとって影響圏から外れた状態をどういう状態として想定するのかは非常に難しいなと思いながらお話を聞いていました。ガイドラインのところでも、そこの難しさの範囲かと思いますが、日時を変える、一旦退出などをガイドラインで想定されていますが、こうしたところは、例えば、時間の長さや日にちの置き方など、もしこれまでの御経験や何かの中でもこの辺りはガイドラインとしてどういうものが望ましいのかということについてお考えがあれば頂きたいと思いました。

長くなって申し上訳ありません。3点目で、特に電磁的方法によりましてこうした書面等の機能をむしろより適切に消費者が把握できるようにしていくというのが本来の在り方なのだろうなと思いながらお話を聞いていました。そのときに、現時点でこうした電子ファイル等の閲覧の仕方の限界で考えてみますと、画面をスクロールをしながら見ていくというイメージしか今のところは思い浮かんでいないのですけれども、こうした実際の確認機能という観点から、特に今回御説明をいただいたところでいうと、12ページ目の一覧性のようなものをどう確保していくのか、電子ファイルをどんなふうに展開していくことがここでいう一覧性の確保につながっていくのか、もしお考えがあればいただければと思っております。ガイドラインでも、具体例、留意点ということでは言っていただいているのですけれども、お考えがあれば教えていただきたいというのが3点目です。

以上、よろしくお願いいたします。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、お願いできますか。

○日本司法書士会連合会消費者問題対策委員会貝瀨前委員長 ありがとうございます。

まず、1つ目の御質問に関しまして、9ページ目の第三者の確保というところで、これは顧客の申出がある場合はと書いてあるのですけれども、説明しなければならない旨を規定すると書いているので、あなたの申出があれば第三者の機会を設けられるのですよと、私のイメージでは、全顧客に対して説明をして、どうしますかという機会を確保してあげるのが良いのではないかと考えております。先ほどの第三者として望ましい例ということで、当然高齢者同士の配偶者では家族といえどもふさわしくないと考えますので、その辺りはどういうふうに規定ぶりをガイドライン等で定めていくかというのは難しいかなとは思っておりますけれども、当然、子供であったり、一定の活躍されている年齢層を家族であれば対象としますし、福祉関係者等の関与がある場合にはそういうものも該当させていく、弁護士、専門職等もその中に入れていくという形では考えております。

2つ目の御質問に関しまして、どういった状況で離脱と言えるか、どれぐらいの期間を考えられるかということですが、これはなかなか悩ましいかなと私も考えております。ただ、翌日はなかなかあれですので、2、3日程度を空けるというのが、気持ちを冷やすという意味では妥当なのかなとは考えてはおりますが、その辺りは更に議論を進めていただければと考えます。申し訳ございません。

最後の電磁的方法の一覧性に関しましても、私どもも、提案はしてはございますが、なかなか難しいところはあるなとは考えております。先ほどおっしゃったように、画面をスクロールしない、ということは考えられておりまして、それぞれ章ごとに画面表示をするなど、若しくは、ちょっと先ほども申し上げましたけれども、スクロールでは当然読まないで読み飛ばしてしまうことが多いかなと考えますので、例えば、画面表示している部分を音声で聞き取った後でなければ次のページに進めなくて、全て聞き取った後に確認したという状態にする形なども電磁的記録の独自性ではないかなとは考えますので、そのような書面にはないサービス方法で確認機能を充実化させる方法もあるのではないかと考えております。

以上です。ありがとうございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

今御指摘のあった一覧性のところは、委員会でも議論がありましたし、既存のガイドラインの中にも一覧性ということがうたわれてはいるのですけれども、果たしてこれをどうやって担保するのか。例えば、連鎖など、かなり複雑な取引になりますと、一覧性はどうやって担保するかということがありまして、これも非常に難しいというか、重要な部分ではないかと思います。

私からは、今の12ページの一覧性と書いてあるところの下に、電磁的方法による提供が、その顧客等の年齢、知識、経験等に適合した方法によらなければならないとあって、これは電磁的方法によるかどうかという話ではなく、どのような電磁的方法を取るかという話ではないかと理解したのですけれども、具体的には、例えば、どういう方法をイメージしておられるのかということを伺いたいと思います。

もう一つは、本題とは関係がないのですが、9ページの一番下にウェブ会議アプリによる勧誘の場合とあって、私も、日々ウェブ会議アプリを使っておりまして、悪用する事業者が出てくる可能性もあるかと思っていたのですけれども、具体的にこれでトラブル等々がいろいろ起きているということはあるのでしょうか。

○日本司法書士会連合会消費者問題対策委員会貝瀨前委員長 ありがとうございます。

まず、1つ目の御質問、12ページに関しては、電磁的方法による場合に、年齢等でより見にくい・見やすいということがあるかと思いますので、その辺りを配慮した形での提供をしなければならないような形で規定をするというイメージをしていたと考えております。

2つ目のウェブ会議アプリ等のトラブルに関しましては、現行では、今のところ、相談事例等では特に上がってきていませんけれども、今後は十分に可能性としてはあり得るのかなと考えております。

ありがとうございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

よろしいでしょうか。

それでは、また大変具体的な御提案等を頂きまして、どうもありがとうございました。

最後に、消費者機構日本、佐々木様、よろしくお願いいたします。

○消費者機構日本佐々木代表理事副理事長 本日は、消費者機構日本に意見を述べる機会を頂きまして、ありがとうございます。

私は、副理事長を務めております、佐々木と申します。よろしくお願いいたします。

当機構は、消費者契約法に基づく適格消費者団体として、不当勧誘や不当契約条項などの差止請求、消費者裁判手続特例法に基づく特定適格消費者団体として対象となる被害当事者のための共通義務確認訴訟の提起を行うなどの被害回復業務を行って、消費者被害の未然防止と被害回復のための活動をしております。

差止請求業務の関係では、御承知のとおり、ここ数年、定期購入事案の被害が多く、その不当表示の差止請求を検討したり、あるいは、インターネットを介して契約する際の契約条項の不当性が問題となることも多いために、ネット上の表示や契約条項を検討する機会が非常に多くなっております。

そのようなときに、パソコン、タブレット、スマホ上の契約条項を見たり、表示を見たりする場合のもどかしさと言いますか、画面上の制約、一覧性の悪さを常々感じているところです。

また、特定適格消費者団体としましては、東京医大に対して、入試の際の女性等の属性による得点調整により被った損害に対して共通義務確認訴訟を提起し、その判決を受けまして、現在560名ほどの対象消費者に返金を行う簡易確定手続が進んでいます。その関係で、消費者庁の協力を得まして、対象消費者の方にアンケートを実施しました。その中に、現在は当機構と対象消費者との間では、契約書その他、現実の書面のやり取りをしているわけなのですけれども、これをオンラインで行うことを望むかというアンケートの質問をさせていただきました。

この質問に対して、回答者からは、肯定的な回答が54パーセント、否定的な回答が46パーセントありました。デジタル技術を巧みに使いこなす20代前半の若年者が対象消費者であったわけですけれども、半数近くがオンライン化を望んでいませんでした。このケースは若年者でしたけれども、対象消費者が高齢者である場合には、リアルな書面でのやり取りを望む方がかなりの部分を占めることが想定されるところで、これらの方々が意に反して契約書面のデジタル化に巻き込まれることがないようにすることは非常に重要であると考えています。

また、さきに述べたアンケート結果は、若年層を中心に取引のオンライン化に抵抗感がない方々が一定程度は存在することを示しています。しかし、既にほかの団体の方が先ほど述べられましたけれども、契約書面などのデジタル化によりまして、これまで特商法が契約書面等の交付を義務付けてきた根拠である、確認機能、保存機能、警告機能、クーリング・オフ等の告知機能が失われる、あるいは、その機能が大きく低下することが危惧されるところですけれども、オンライン取引に抵抗感がないだけに、これらの機能が失われたり大きく低下することを認識しないままに誓約書面のデジタル化に誘導されてしまわないかということを大変危惧しているところであります。

そのようなことも踏まえまして、本日の議題であります契約書面等の電磁的方法による提供に係る政省令やガイドラインの整備に当たって留意すべき事項について、当機構の意見を述べさせていただきます。

これ以降は、お配りしてあります資料を基に説明させていただきます。

資料の1ページ、特商法の販売類型ごとの書面をデジタル化する場合の考慮事情を挙げていますが、この点は既に御存じのところと思いますので、説明は省かせていただきます。

2ページは、書面交付が電子化されることによって危惧される、私たちが考えている主な問題点を挙げています。1つは、法律上、本人の承諾が前提となっているわけですけれども、消費者の真の承諾が得られないまま、形式上、承諾を得たとされてしまうような事例の多発が危惧されるところです。訪問販売、電話勧誘販売、訪問購入は、消費者にとっては不意打ち的な強引なセールがなされ、消費者が事業者に言われるままに契約を承諾してしまうことがありがちなのですから、書面交付のデジタル化の承諾も同様の状況でなされることが想定されるところです。2つ目は、端末による、書面の内容確認、保管、事後紛争等の活用が困難となる事例が多発することを心配しております。実際の書面交付であればこういったことは容易にできるわけですけれども、端末に送られることによってこういう事例が多くなるのではないかということを心配しています。3つ目は、端末に送られますと、書面と異なり、親族や介護の人などが目にする機会がなくなり、被害の発見、被害の回復の機会を逸する事例が出てくることが問題点であろうと思っています。

次の3ページは、デジタル化での承諾手続について、問題意識としましては、1つ目は、書面交付をデジタル化するのであれば、少なくとも前述した問題点をできる限り解消し得る措置が設けられる必要があると考えています。2つ目は、主に勧誘の態様を踏まえて考察することです。これは、訪販、電話勧誘、訪問購入では、不意打ち的な勧誘がなされ、連鎖、業提では、利益誘導的な勧誘がなされ、特役では契約内容が複雑ですぐには理解しがたいことから、デジタル化への承諾も、消費者が冷静さを欠いた状況下で事業者の誘導でなされる可能性が強いことを意識する必要があるということでございます。3つ目は、デジタル化が認められるためには、書面交付と同等と認められる効果が図られることが前提であるわけですから、契約者である消費者が端末に保管されたデータを書面同様に扱えるだけのデジタル対応能力を有することが承諾の前提条件になります。また、私どもとしては、契約書面の電子交付の方法としては、PDF等の画像化したファイルをメール添付する方法によることを考えております。これは、改ざんを防ぐため、あるいは、到着時期を明確にするため、このような方法はどうかと考えている次第でございます。

4ページ目ですけれども、これは承諾を得る手続の概要についての考え方でございます。消費者からの承諾は書面で明確にする必要があるので、意思確認書面の取得が要件と考えています。この書面に記載する内容としましては、マル1として、契約者のデジタル対応能力をまずは確認すること、電磁的に交付された書面を、受領、保管、必要に応じて参照ができる程度の対応能力を有していることが電子交付の前提であり、それに必要な事項を確認する。この事項については、私どもとしてもまだ検討途中なので、皆様におかれましても、今後、検討していただければと考えております。1つは、パソコン又はタブレットを保持しているか。スマホ・携帯では、契約書の一覧性が再現困難なために、これは不可とするべきではないかと考えております。メールアドレスを保持し、送受信環境を有しているか。SNS登録では、相手方から一方的にブロックされ、連絡が不能になる等の事例も現実にあるために、これも不可と考えております。メール添付ファイルをパソコン又はタブレットの所定の場所に保存し、そのファイルを任意に開けられるか。これは基本的なことですけれども、こういった対応能力があることが必要であり、これを一つでも満たさない場合には書面の電磁的な交付はできないものとするべきではないかと考えております。

マル2として、さきに触れましたけれども、若年層ではデジタル化の利便性のみを考慮し、その書面の機能とその保管の重要性を認識していないことが考えられるので、それを分かりやすく説明する必要があります。それを理解した上で承諾してもらわなければならないと考えております。マル3として、契約書面等は郵送での交付を希望するのか、電磁的交付を希望するのかという点について、自分の意思で明確に選択するような様式にする必要があるということでございます。マル4として、電磁的交付を選択した者に対しては、本人が希望しない場合を除いて、第三者、親族、保佐人、補助人等ですけれども、こうした方に交付するということなのですけれども、これは第三者視認性を考えた要件なのですけれども、本来であれば本人の希望を要件とするべきなのでしょうけれども、事業者の誘導によって本人の意向が曲げられてしまうことも考えられるために、本人が希望しない場合を除いてとしてあります。契約の内容や年齢など、一定の条件を満たす場合に限定するという考え方はあり得ると思いますし、先ほど委員長からもこの点についていろいろと疑問な点等を述べられておりましたところでありますけれども、私たちも、現実の事案として、書面であったがために高齢者の被害が防げたなど、被害が回復できたという事案を多数経験するものですから、何らかの形で第三者視認性を確保する方法はないものだろうかといろいろ検討して、少し強過ぎるかなと思いながらも、こういう提案をしている次第でございます。

次が承諾の意思確認書面の取得方法と事業者の保管義務の関係で、訪問販売と訪問購入の場合には、契約申込みの際に、現地にいるわけですから、書面を提示して、口頭で説明して、質問に回答する。氏名記入については、自署を原則とするということではどうかと考えています。電話勧誘の場合は、契約申込みの際に、消費者から電子メールアドレスの提供を受け、そのアドレスに承諾の意思確認書面を添付して電子メールで送信する。一定期間内に、電子メールにより、本人から、デジタル対応能力を有しかつ電磁的交付を選択する旨の連絡があった場合に、電磁的方法による書面交付ができるものとする。一定期間内にメールでの返信がない場合は、デジタル対応能力が書面の電磁的交付を受けるには足りないと推認されるために、郵送等で交付することにするということです。連鎖販売取引、特定継続役務提供、業務提供販売に関しましては、対面であるのか、オンラインであるのかということもありまして、それぞれ、マル1、マル2に準じた方法で書面の交付を行うことを考えているところです。消費者から受領した承諾の意思確認書面については、事業者に保管義務を課すことを考えております。

その他の措置に関して3項目あります。一つは、再交付であります。電磁的方法による交付の承諾を受けた後、再交付を消費者から求められた場合には、書面再交付は郵送等で行うこと、電磁的交付では受信又は保管ができなかったと推認されるためであるということでございます。電磁的方法によるものに関しては、消費者が誤って消去してしまうことも考えられますので、再交付については、事業者の義務として行っていただくことが必要かと思っています。2つめは交付書面を見やすくするということですけれども、電磁的方法で交付する場合には、記載の文字ポイント・体裁・書式などを工夫して、より見やすくしていただくことが必要だろうと思っています。3つ目は、必ずしも本件の議題ではありませんけれども、通信販売の書面交付義務化を検討する必要があるということでございます。これは私たちが日頃検討を行っている中で、通信販売においても書面交付の義務は必要ではないかと考えておりますので、御提案をさせていただきました。

私たちの団体の意見としては、以上のとおりでございます。御清聴ありがとうございました。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、質疑応答に移ります。約25分間といたしますけれども、いかがでしょうか。

清水委員、お願いします。

○清水委員 清水です。

御説明をありがとうございました。

私たち相談員は、電子化については本当に真の承諾が得られないのではないかと思っています。非常に難しい問題です。でも、実際は勧誘の様態を踏まえて考慮することが大事だと思っています。御提案がありましたように、パソコン又はタブレットを保持しているかどうかは重要です。通信販売の定期購入の相談が、ここ4年ほど、消費生活センターをハイジャックしておりましたが、一時よりは相談が少し減ってはいますけれども、今は悪質なものが残っているという状態です。最後の通信販売の書面交付化の義務は、絶対に必要だと相談員は思っています。ちょっと話が飛びましたけれども、承諾手続の中でパソコン又はタブレットを所持しているかどうかは重要です。今、相談で聞いていますが、高齢者、若者は一様にスマホしかないという世帯が増えてきています。こういうことを入れることによって、書面を電子化にする承諾を取るよりは、今までどおり、現物交付するほうが良いという形になれば良いと思います。この確認とメールアドレスの保持等々、ここに提案されていることが一つも満たない場合は書面の電子化交付はできないというのが筋ではないかと思っております。本当に全ての説明がそのとおりと共感しておりました。是非こういう細かなところを入れていってほしいと思います。特に電話勧誘販売なども、今、書面交付があるからこそ助けられるというところがあるのですが、今後、これが電子化になり確認が取れたみたいな形になりますと、非常に被害が拡大すると思います。ここの中に、一定期間でメールをしたけれども、返信がない、だったら、これは全て書面、郵送だというものがない限りは、難しいと思っています。この機会に一気に訪問販売と電話勧誘は不招請勧誘禁止を進めないと、相談の現場はやっていられないです。

またいろいろ教えていただけたらと思います。ありがとうございます。

○消費者機構日本佐々木代表理事副理事長 ありがとうございました。

○山本委員長 ありがとうございます。

そのほかにいかがでしょうか。

いかがでしょうか。特にありませんか。

私から1つ質問させていただきたいのですが、スライド番号の6と書いてあるところに、電話勧誘販売の場合と訪販等の場合について、承諾の意思確認書面のことが書かれているのですが、印象として、電話勧誘はかなり厳重な感じがするのですけれども、訪販は逆にこれだけで本当に大丈夫かという感じがいたしました。スライド番号4と書いてあるところに記載事項とあって、これを示して、チェックをしてもらうのですかね。それで、訪販の場合ですと、サインをしてもらって、承諾を取ったということなのですが、これだけで本当に大丈夫かという気がしないでもないのですけれども、いかがでしょうか。

○消費者機構日本佐々木代表理事副理事長 おっしゃるとおりで、もともと訪販に関しては不意打ち的で消費者が冷静に考える状況に置かれないままに意思表示をさせられるところが問題なわけなので、その意味では、電子化の承諾についても、かなり不当な圧力を受けている状況で、申込みの際に承諾を求められることになると、本当の真意を確保できるのだろうかというのは、御指摘のとおり、あるのだろうと考えています。司法書士の先生方がおっしゃっておられた、少し冷静になる期間を置くみたいなことを検討しなければいけないのではないかとは、今日のお話を聞いている中で、私、個人的には思ったところでございます。

この辺りは、もう少し慎重に検討していただいたほうが、確かに、今、言われた、私自身も考えている問題意識からしますと、そのほうがよろしいかなという気がいたします。

○山本委員長 ありがとうございます。

そのほかに、委員からございますでしょうか。

新川委員、お願いします。

○新川委員 新川でございます。ありがとうございます。

具体的な御提案を頂きまして、私たちも整理が随分できたなと思っております。少しお伺いしておきたかったのですけれども、特に今日のスライドの5ページ目、マル2、マル3、マル4につきまして、少し御説明をいただければと思ったのです。

1つは、マル2の書面の保管について、これは当然双方の保管義務みたいなものを想定しなければならないのでしょうけれども、特にその重要性を分かりやすく記すときに、本当にどういうふうに書いたら良いのかなと思い悩みながらお話を聞いていました。少しここのイメージをお持ちであれば、もう少し詳しくお話しいただければと思いました。

マル3のところで、書面交付か電磁的交付かということについての選択なのですが、これも本当に消費者自身が選択をするのだということが明確に意識され、示されなければ選択にならないと思っておりまして、この辺り、明確に選択する様式というときに、それこそ画面上でいうとどういう形式になるのかなと思いながら考えておりまして、もしこれもお考えがあればお伺いしたかったというのが2点目です。

マル4の第三者は、本当にお話の中でも悩ましいところとお伺いしましたけれども、3点目としてお伺いしたかったのは、特に本人が希望しない場合を除いてと限定的にしていかれようとしていますが、もう一方では、第三者の適格性みたいなものも、先ほどの司法書士会のお話もありましたけれども、ここも難しいなということがございました。また、そこで第三者にも書面の送付をすることも重要なところなのですが、本当にその第三者が適切に機能するかどうかというのもとても気にかかりまして、これは法令レベルで書き込めることではないかもしれませんけれども、ガイドライン的に書くとすると、どんなアイデアがおありなのかということをお伺いしたかったということであります。

以上、3点、恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

○山本委員長 ありがとうございました。

お願いします。

○消費者機構日本佐々木代表理事副理事長 保管の重要性等を分かりやすく記す、書面上、マル3の選択をどんな形としてもらうのかというところなのですけれども、ここのところは、最初のところで述べましたように、結構オンライン化については慣れているというか、割合親和性を持っている人たちがいらっしゃるわけで、そういう人たちがいつも行っている取引とはちょっと違うのだということをよく理解してもらいたいというところがこのマル2なのです。特商法では、こういうことで書面の交付をしているのですよということ、普通の取引とは違うのですよということを十分に説明した上で承諾したのでなければ真の承諾とは言えないのだというインフォームド・コンセントみたいなことをこの2つで行えないかということで提案しているわけです。マル3に関しましては、いわゆるチェックを外すなど、そういう簡単な方法ではなく、もう少し書面の持つ各機能の重要性を認識した上で選択を行ってもらえるような広報手段であるべきだとは思っているのですけれども、具体的な方策としてどのようにしたら良いのかというのは浮かんでこない。私たちの中でもなお検討して、この中身について具体的なものをもしお示しできるのであれば、今後、お示ししていきたいと考えているところです。答えにならなくて申し訳ないところでございます。

マル4のところは、本当に大変難しいところで、そこを外してしまって、本来、今まで、例えば、介護の方や消費者センターがそこで何とか解決できていたものができなくなってしまうことをできるだけなくすための一つの深め方の切り口としてお示ししたものです。これはいろいろな要件で絞っていく必要はあるのかもしれないのですけれども、今の段階ではこれ以上は具体的にできないと、正直、申し上げざるを得ないところでございます。

○新川委員 御丁寧にありがとうございました。

○山本委員長 ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

よろしいでしょうか。

大石委員、お願いします。

○大石委員 ありがとうございます。

大変瑣末なことなのですけれども、1つ、教えていただきたいと思います。

4ページでパソコンとタブレット等並びに、スマホと携帯が出ていて、パソコン又はタブレットであれば良いけれど、というお話なのですけれども、タブレットもいろいろな大きさや種類があるとは思うのですけれども、タブレットであれば、視認性、一覧性が可能であるということで、書かれているということでしょうか。タブレットとスマホの機能的な違いについて、私はよく分かってはいないのですけれども、ほかにも何か理由があれば是非教えていただきたいなと思いました。

以上です。

○消費者機構日本佐々木代表理事副理事長 今、おっしゃったとおり、一覧性の問題から私たちは発想しておりまして、私たちの中でも結構検討するのですけれども、タブレットでやっている場合はまだ契約書面を確認しやすいのですけれども、スマホになってしまうと、どこにどういう情報があるのかは非常に探しにくくなることもありますものですから、このような形で少し分けさせていただいたということでございます。

○大石委員 ありがとうございました。

○山本委員長 ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

よろしいでしょうか。

どうもありがとうございます。

消費者委員会では、本年2月4日に特定商取引法及び預託法における契約書面等の電磁的方法による提供についての建議におきまして、契約書面等の電子化をする場合には、契約書面等が消費者の権利行使及び被害救済を図る上でも重要な機能を有していることを踏まえて、契約書面等の制度趣旨や機能が維持されなければならないといたしまして、承諾取得の実質化、電磁的方法による提供の具体的方法、デジタル技術を活用した消費者保護について、具体的な方法や具体例を例示いたしましたけれども、本日、3団体様から、この件に関しまして、専門的あるいは実務的な御意見、それを踏まえた具体的な方法等を御説明いただきました。

幾つかのポイントがあると思いますけれども、まず、承諾の実質化という部分です。そして、消費者の側が保存をして、それがいつでも見られる状態にあるということ。これはいずれも基本的なことであると思います。

それから、一覧性の問題ですね。これは特に契約の内容、あるいは、機器によって、今、御指摘がありましたように、スマホ等を使う場合に非常に確保することが難しい問題ではないかと思います。

消費者委員会でも実際は一番難しいだろうと議論していたのが第三者の目が入るという要素で、これをどういう形で入れていくかというところが一番難しいという議論はしておりました。

本日、3団体様から、それぞれ今申し上げたような問題意識を共有していただいて、具体的なアイデア等を頂きました。恐らく、これを具体化する場合には、情報技術の専門家の方等ともよく議論をして、具体的な内容を詰めていく必要があるのではないかと思います。そういう専門家の方から見ると、意外と、いや、これはこんなふうにすればできるよということもあるかと思いますし、これは難しいということもあるかと思いますので、消費者団体等関係団体の方とそういったいろいろな分野の専門家の方とが更に議論をして、本当に消費者利益をきちんと守ることができるような形で電子化に関する政省令あるいはガイドラインの議論が進んでいけば良いのではないかと思います。

消費者委員会も、ちょうど任期が今年の8月末までということですので、今期の消費者委員会でできることはかなり限定されているかと思います。これから消費者庁で検討会が立ち上がって、議論が本格的に始まるのは、恐らく、消費者委員会で申しますと次の期、9月以降の第7次の消費者委員会の時期になるかと思います。したがいまして、次の期の消費者委員会で本格的に消費者庁の動きを見ながら更に議論をしていくことになると思いますけれども、ただ、この第6次の委員会でできるところはきちんとまとめておきたいと思います。引き継ぎをきちんとする上でも、今日頂いた様々な考え方やアイデアを基にして、今次の消費者委員会としての考え方をある程度まとめて、次の期の委員会に引き継いでいきたいと考えております。

よろしいでしょうか。


《3.閉会》

○山本委員長 それでは、本日は以上となります。

最後に、事務局より、今後の予定について説明をお願いいたします。

○太田参事官 本日も、大変に御熱心に御協議いただきまして、ありがとうございました。

次回の本会議につきましては、日程が決まり次第、委員会のホームページを通じてお知らせいたします。

以上でございます。

○山本委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、また、熱心に、御議論、御意見等をいただきまして、どうもありがとうございました。

(以上)