第346回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2021年7月16日(金)10:00~11:45

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (テレビ会議)山本委員長、生駒委員、受田委員、大石委員、片山委員長代理、柄澤委員、木村委員、清水委員、新川委員、丸山委員
  • 【説明者】
    公共料金等専門調査会電力託送料金に関する調査会若林座長代理
    消費者庁楢橋参事官(公益通報・協働担当)
  • 【事務局】
    加納事務局長、渡部審議官、太田参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 電力託送料金制度改革等の検討に係る意見案について
  3. その他
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1.開会》

○山本委員長 本日は、お忙しいところ、皆様お集まりいただきましてありがとうございます。ただいまから、第346回消費者委員会本会議を開催いたします。

本日は、私、生駒委員、受田委員、大石委員、片山委員長代理、柄澤委員、木村委員、清水委員、新川委員、丸山委員がテレビ会議システムにて御出席です。

新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、3密を回避しながら、消費者委員会会議室及びテレビ会議システムにより会議を進行いたします。また、感染拡大防止の観点から、引き続き一般傍聴者は入れず、報道関係者のみ傍聴していただいて開催いたします。

議事録につきましては、後日消費者委員会のホームページに掲載いたしますが、議事録が掲載されるまでは、本日の会議の様子を7月19日月曜日15時頃よりホームページにて動画配信いたします。

それでは、配付資料の確認につきまして事務局よりお願いいたします。

○太田参事官 本日もどうぞよろしくお願いいたします。

資料は議事次第に記載のとおりでございます。もしお手元の資料に不足等がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上です。


《2.電力託送料金制度改革等の検討に係る意見案について》

○山本委員長 最初の議題は、電力託送料金制度等の詳細設計の在り方についてです。

当委員会の公共料金等専門調査会の下に設置をされた「電力託送料金に関する調査会」におきまして、現在、経済産業省において検討が行われている新たな電力託送料金制度等の詳細設計について調査審議を行ってまいりました。

6月24日付けで消費者庁から消費者委員会宛てに、経済産業省による電力託送料金制度改革及び配電事業に関するもののうち、電力料金に係るものの検討につき意見を求める付議がされております。これを受けまして、先般、「電力託送料金に関する調査会」において意見の取りまとめが行われたところでございます。

本日は、「電力託送料金に関する調査会」より若林座長代理にお越しいただいております。お忙しいところ、御出席いただきましてありがとうございます。

初めに、若林座長代理から審議経過について、続いて、事務局から意見の概要について説明いただきたいと思います。その後、意見交換を行った上で、当委員会としての意見を取りまとめたいと思います。

本日は、消費者庁において物価問題を担当されている楢橋参事官にも御臨席をいただいております。お忙しいところ、ありがとうございます。

それでは、よろしくお願いいたします。

○公共料金等専門調査会電力託送料金に関する調査会若林座長代理 おはようございます。「電力託送料金に関する調査会」で座長代理を務めております若林でございます。本日はよろしくお願いいたします。

それでは、説明を始めさせていただきます。

当調査会におきましては、経済産業省で行われています電力託送料金制度等の詳細設計の在り方について検討するため、昨年8月より調査審議を再開しまして、第10回から第15回までの計6回にわたって、経済産業省の資源エネルギー庁及び電力・ガス取引監視等委員会事務局から、それぞれの会合における検討状況についてのヒアリングを行ってまいりました。

その後、本年6月7日に資源エネルギー庁の「総合エネルギー調査会 持続可能な電力システム構築小委員会」において、第2次中間取りまとめが行われますとともに、同年6月24日付けで消費者庁から消費者委員会に対して、経済産業省による電力託送料金制度改革及び配電事業に関するもののうち、電気料金に係るものの検討について意見を求められたことを受けまして、6月29日、7月9日開催の専門調査会におきまして意見を取りまとめましたので、本日御報告いたします。

本年6月の構築小委員会第2次中間取りまとめの内容につきましては、当調査会が平成28年7月に公表しました「電力託送料金に関する報告書」の趣旨に沿うものであり、一定の評価を行っております。

しかしながら、今般の制度改革は消費者向け電気料金に占める託送料金の割合が高いことなどを鑑みますと、消費者への影響が大きく、丁寧に制度設計及び運用を行うべきとの認識から、制度設計時及び運用時における留意事項を指摘しまして、併せて消費者への分かりやすい情報提供や消費者意見の反映を求めるなど、当調査会の意見を述べております。

なお、電力託送料金制度改革に関し、専門性の高い詳細な論点につきましては、料金制度専門会合の下に設置された料金制度ワーキング・グループにおきまして現在も検討が継続されております。このため、当調査会の意見におきましては、第2次中間取りまとめにおいて示されたレベニューキャップ制度の骨格に関わる事項を検討の対象にしております。

それでは、意見書の詳しい説明につきましては事務局からお願いいたします。

○太田参事官 事務局でございます。

お手元に資料1-2とございます資料をお出しいただければと思います。タイトルといては、「電力託送料金制度等の詳細設計の在り方に関する意見」でございます。

本意見書の趣旨、位置付けにつきましては、先ほど若林座長代理から御紹介があったとおりでございます。6月に経済産業省におきまして第2次中間取りまとめが行われたことを受けまして、6月24日付けで消費者庁長官から当委員会に対して付議があったということでございます。その付議の具体的な内容につきましては、本日の資料1-1でお示ししているとおりでございます。それを踏まえまして、6月29日、7月9日の2回にわたりまして調査会で御議論いただき、この意見を取りまとめていただいたということでございます。

早速、中身につきまして掻い摘んで御説明させていただきます。

まず、1ページ目、前文でございますが、1段落目につきましては、消費者にとっての託送料金制度改革の意義について簡単に御紹介しております。消費者が支払う電気料金の中には、送配電設備を利用する際の利用料である託送料金が含まれているということでございまして、この託送料金は電気の小売料金に転嫁されて、最終的には消費者をはじめとする需要家が負担するということでございます。託送料金につきましては、消費者向け電気料金の3から4割と比較的大きな割合を占めているということでございます。

さらに、この託送料金につきましては、送配電事業が地 域独占で営まれていることから、電力小売全面自由化以降においても総括原価方式による料金規制が措置されているということでございます。

こういった中で、近年頻発している自然災害への対応、あるいは再生可能エネルギーの導入拡大といった要請を背景といたしまして、電力託送料金制度につきましても、一般送配電事業者における必要な投資の確保とコストの効率化、この2つの目的を両立させるといった観点から見直しが行われているということでございます。このような見直しにつきましては、電気の安定供給や料金の低廉化を通じまして消費者利益の向上に資するということでございますし、さらに、現在進められております電力小売全面自由化の帰すうにも大きく影響するということで、消費者委員会としてもその在り方について大きな関心を寄せてきたといったことが書いてございます。

ここで脚注4を御覧いただければと思います。先ほど若林座長代理からも御紹介がありましたように、平成28年5月に内閣総理大臣から当委員会に対して託送料金制度について諮問が行われたといった経緯がございます。その諮問を受けまして、「公共料金等専門調査会」の下に「電力託送料金に関する調査会」を設置いたしまして、平成28年7月に報告書を取りまとめ、内閣総理大臣への答申を行ったといったということでございます。

この平成28年7月の報告書のポイントにつきましては、別紙1として添付しておりますので、併せて御参照いただければと思います。

2段落目以降につきましては、本意見書の取りまとめの経緯でございまして、冒頭、若林座長代理から御紹介があったとおりでございますので、御説明は省略させていただきます。

2ページ目の中ほどに「記」とございますが、それ以降が具体的な意見の内容になります。大きく2つに分けておりまして、1つ目といたしまして「電力託送料金制度改革について」、2つ目といたしまして「配電事業について」ということで、大きく2つの柱立てにより意見を述べています。

さらに、別紙2と別紙3というものを後ろに付けておりまして、それぞれ、電力託送料金制度改革、配電事業につきまして、経済産業省の第2次中間取りまとめにおいて示された制度設計のポイントを御紹介しておりますので、併せて御参照いただければと思います。

まず、1つ目の「電力託送料金制度改革について」でございます。(1)から(6)までの6項目に分けて意見を述べてございます。

まず、(1)の「全般的な評価」のところでございます。最初の段落は、現行の託送料金制度についての問題点を指摘しております。現行の託送料金制度につきましては総括原価方式で決定されているということでございまして、一般送配電事業者からの値上げ改定の申請があった場合に、国が審査を行って認可を行うといった仕組みになってございます。

こういった仕組みにつきましては、従前から、事業者における効率化インセンティブが十分に働きにくいのではないかといった課題が指摘されているところでございまして、こういったことを受けて、先ほどの「電力託送料金に関する調査会」の報告書におきましても、一般送配電事業者による更なる効率化やコスト削減等に向けた取組を促すために、原価の定期的な洗い替えや一般送配電事業者による効率化努力の検証・評価等の対応策を講じることを求めてきたといった経緯がございます。

2段落目以降、新たに導入されることになったレベニューキャップ制度について述べてございます。

レベニューキャップ制度の目的といたしまして、3ページに参りますけれども、一般送配電事業者における必要な投資の確保とコスト効率化の両立を図るものということでございまして、こういった全般としての趣旨につきましては先ほどの当調査会における報告書の提言の趣旨にも沿ったものであるということでございまして、一定の評価を行っていいのではないかという御指摘をいただいています。

(2)以下、個別の論点について指摘をしてございます。

まず(2)、「目標の設定・評価とインセンティブ付与の在り方」でございます。現在検討されているレベニューキャップ制度の案におきましては、安定供給、経済効率性、環境への適合といった複数の分野にわたって達成目標を設定する。その達成状況に応じまして、一つの規制期間の翌期の収入上限の上げ下げ等に反映して、それによりインセンティブを付与していくことが提案されています。

こういった仕組みは、インセンティブを付与するという意味では非常に評価できるわけでございますが、あまり複数分野にわたって数多くの目標を設定してしまいますと、費用の増加を通じて託送料金の引上げにつながりかねないといった懸念もございまして、優先度の高い項目への重点化を図るなど、消費者と一般送配電事業者の双方にとって過度な負担とならないように配慮すべきだという御指摘をいただいてございます。

次の段落でございますが、達成目標としましては明確で評価しやすいものを選定するということでございますし、更に目標の設定・評価ですとかインセンティブを付与する際には、透明性を高めるといった観点から、十分な情報公開を行うべきであるといったことを指摘していただいております。

(3)でございますが、収入上限の審査方法でございます。収入上限を設定する際に見積費用の査定を行うわけでございますが、その査定に際しましては、事業計画の実施に真に必要な費用であるかを厳正に確認するといったことを通じまして、適正かつ効率的な費用を算定することを徹底すべきであるといったことを御指摘いただいております。

次の段落でございますが、見積費用の査定とか収入上限の審査に当たりましては、適切かつ合理的な方法によって透明性を確保した形で行ってほしいといったことを御指摘いただいてございます。

4ページ目を御覧ください。(4)といたしまして「託送料金等の設定・変更」でございます。

レベニューキャップ制度の下では、一定の収入上限の下で料金をある程度柔軟に設定できるということがあるわけでございますけれども、頻繁な料金改定に伴う混乱を避けるといった観点からは、一つの規制期間内における託送料金についてはできるだけ一定となるように努めるべきではないかということでありますし、仮に期中に収入上限ですとか託送料金の変更を行う場合には、消費者をはじめとする需要家に対しても十分に情報提供を行うべきであるとしております。

さらに、外生的な費用や効率化が困難な費用などを制御不能費用と位置付けて、託送料金に反映するという措置も取られているわけでございますが、こういったことをする場合には、十分な検討を行った上で、制御不能費用の範囲を明確化するということで、安易に託送料金への反映が行われないように特に留意すべきであるとしております。

更に次の段落でございますが、送配電ネットワーク整備のための固定費の電圧別の配分につきましては、これは前々から言われていることでございますが、一般家庭向けの低圧部門にコストが過大に配分されているのではないかといった指摘があるところでございまして、こういったところにつきましては、実績データ等のエビデンスを踏まえた上で、より公正な配分基準に修正することを速やかに検討すべきであるとしております。

(5)「規制期間の終了時の評価と利用者への還元」でございますが、規制期間終了時の計画・目標の達成状況の評価、費用・収入の評価、翌期の収入上限への反映につきましては、適正かつ明確な方法に基づき、透明性を確保した形で行うべきであるとしてございます。

さらに、その次の段落でございますが、翌期以降における利益配分(プロフィットシェア)については、公正かつ合理的な方法によって行い、消費者をはじめとする需要家にも適切に還元される仕組みとすべきであるとしております。逆に、損失分担(ロスシェア)を行う場合には、消費者をはじめとする需要家が一方的に不利にならないような仕組みとすべきだとしております。

(6)「消費者への情報提供、消費者の意見の反映」でございますけれども、託送料金の水準や内容につきまして、消費者からの信頼や納得を確保することが重要でございますが、そのためには消費者にこういった制度についての理解を得ることが不可欠であるということでございます。5ページ目に入っておりますけれども、一般の消費者にとっても分かりやすい説明資料を作成して周知するなど、消費者への丁寧かつ分かりやすい情報提供を行うべきであるとしております。

次の段落でございますが、収入上限の運用に伴う各手続を行うに当たりましては、十分な透明性を確保することが重要でありますし、更に消費者の意見を適切に反映していくことが重要であるとしております。このため、経済産業省において検討を行う際には、消費者利益を代表する者からの意見聴取やパブリックコメントの実施など、消費者からの意見を反映する機会を十分に設けるべきであるとしております。

さらに、消費者庁は、こういったプロセスを適切にフォローするとともに、必要に応じて当委員会の意見を聴取するなどして、消費者参画の促進や消費者利益の観点からの所要の対応を行うべきであるというような御指摘をいただいております。

以上が託送料金制度改革についてでございます。

次に、2ポツといたしまして、配電事業についても併せて御意見を述べていただいております。(1)から(3)の3項目について御意見をいただいております。

まず(1)といたしまして「全般的な評価」でございますが、1段落目につきましては、配電事業ライセンス導入の意義を述べてございます。配電事業ライセンスというのは、消費者利益の向上にも資するものであるということでございまして、地域の関係者の意見を十分に踏まえて適切な制度設計を行うべきであるとしております。

2段落目以下、制度導入に伴う留意事項について述べております。これは消費者の保護の観点からこういったことに留意すべきだということを述べてございます。

まず、配電事業につきましては、一部の業務につきまして一般送配電事業者に委託を行ったり、あるいは小売事業と兼業して行ったりといったことも想定しておりますけれども、こういったことに伴いまして責任の所在が不明確になったり、あるいは中立性が損なわれたりすることによって消費者に不利益が及ぶことがないように、適切な行為規制を課す等の措置を講じるべきであるとしております。

3段落目でございますが、配電事業者が撤退するといった場合にも備える必要があるということでございまして、配電事業への参入時に、撤退時の取決めについてもあらかじめ明確な定めを置いておくですとか、不測の事態におけるセーフティーネットの在り方についても十分検討しておくべきであるとしております。

6ページ目を御覧ください。(2)といたしまして「配電事業による託送料金の適正性」でございます。配電事業の託送料金につきましては、当該エリアの一般送配電事業者の託送料金と比較して適正な水準であることが求められているということでございまして、その具体的な水準につきましては、制度開始当初におきましては、一般送配電事業者の託送料金の個別需要家ごとの単価と比べて、配電事業者の託送料金に係る個別需要家ごとの単価水準が年平均プラスマイナス5パーセント以内と提示されたということでございます。

こういったことによりまして、配電事業者による供給地域につきましては、その他の区域と異なる水準の託送料金が適用される場合が生じ得るということでございます。ただ、地域の消費者にとっては配電事業者を選択する自由がないということでございますので、こういった違いが生じる理由など、料金の妥当性につきまして十分な情報提供がなされるべきであるとしております。

さらに、年平均プラスマイナス5パーセント以内という基準の妥当性につきましては、制度の運用状況についての検討を踏まえ、必要に応じ見直すことを検討すべきと指摘していただいております。

(3)「消費者への情報提供、消費者の意見の反映」でございますが、レベニューキャップ制度と同様に、消費者への情報提供、消費者の意見の反映が重要だということでございます。

まず、配電事業につきましては、なかなか消費者との直接的な接点が少なくて認知度も低いということでございますので、配電事業の具体的な仕組みや運用方法、それによるメリット、それから課題といったところにつきまして、消費者が十分に認識できるようにする必要がありますので、分かりやすい情報提供を行うとともに、地域の需要家向けの説明会を積極的に開催することなどによって十分な理解を得るように努めるべきであるとしております。

さらに、新しい制度の下では、レベニューキャップ制度によって決まる一般送配電事業者の託送料金、配電事業者の託送料金、小売料金との関係が複雑化して、消費者にとって分かりにくくなるといったことが懸念されておりますので、こういった料金の関係を十分に整理するとともに、消費者に対しても丁寧かつ分かりやすい情報提供を行うべきとしております。

最後の段落でございますが、配電事業の運用状況を検証・評価して、必要に応じて見直ししていくことが必要になるわけでございますが、そのためにも経済産業省におきましては、各地の配電事業の運用状況についてしっかり情報収集を行いまして、分かりやすく情報提供を行うということが必要でありますし、消費者をはじめとする需要家からの意見も踏まえて制度の見直し・改善を行っていくべきであるとしております。さらに、消費者庁におきましても、必要に応じてこういった取組をフォローした上で、消費者参画の促進、消費者の利益向上の観点からの対応を行うべきであるとしております。

事務局からの説明は以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、御質問のある方はお願いいたします。

なお、質疑応答の時間は約20分を予定しておりますので、御発言、御回答はなるべく簡潔に行っていただくよう、よろしくお願いいたします。

いかがでしょうか。

○清水委員 清水でございます。

一つ、レベニューキャップ制度についてです。意見書の2ページ目、1の(1)の「全般的な評価」で、「各国の事例も参考にした上で」と書かれていますが、レベニューキャップ制度自体はまだ歴史がないように思っています。成功事例と言えるような結果は出ていないような気がするのですが、イギリスやドイツの事例が参考になるとしたら、詳しく欄外に説明を入れたほうが良いのではないかと思っています。非常に難しい制度と思いますが、そこが気になりました。

もう一点は、配電事業ライセンスについてです。相談の現場ですと、今、電力の改革がされていて、数年前に小売が自由化になったところですけれども、この小売事業者の参入が非常にしやすいということで無責任な事業者が増えています。結果として電気料金が安くなるどころか高くなったり、要らない商品を買わされたりということが現場で起こっています。

そこで、将来的に配電事業ライセンスを持った事業者が小売事業者と組んでやっていくことが想定されると思います。電力については安定供給と安価、外国の電気料金並みに安くするというなかなか難しい課題があり、あとCO2削減についての課題があるかと思います。現在、日本の電気は品質が最高でして、年間に22分ぐらいしか停電しないという品質を保ちつつ、こういった自由化というのは非常に厳しくて、最終的には消費者被害が発生するような構図になるのではないかと思っています。先ほど説明にもありましたが、その点は十分相談現場の事情を考慮しながら、新規の事業者の参入は、経済産業省、エネ庁がしっかりとやっていただけるという理解でよろしいでしょうか。よろしくお願いします。

○山本委員長 まず若林座長代理からお答えをいただいて、その後、事務局から何か補足があればという感じでよろしいですか。

それでは、若林座長代理、お願いできますか。

○公共料金等専門調査会電力託送料金に関する調査会若林座長代理 2つ御質問をいただいたかと思いますけれども、1つ目の海外の事例ということで、おっしゃるように経産省ではイギリスやドイツの例を参考にしたかと思います。イギリス辺りでは90年代あたりからレベニューキャップをしていたかと思いますけれども、現在まで送配電ネットワークの設備のための投資が増加したとか、コスト削減による効率性が向上したということで、一定の成果が出たと理解されているということでございます。そのような説明を私たちも受けております。話によりますと、配電に係る事業コストは導入前から導入後に4分の1程度減少したというデータもあるということで、一定の成果が出たと評価されていると私たちも理解いたしました。

他方で、もちろん課題がないかと言えばそうではなくて、それぞれの国が導入後、トライ・アンド・エラーと言いましょうか、調整を経ながら現在に至っているということが現状でありますので、日本におきましても見直しを随時しながら導入することが適切なのではないかと理解したところです。

それから、先ほどの配電事業につきましては、取りまとめの中にもございますように、むやみに参入がなされて消費者に影響が及ぶようなことにはならないのではないかと理解をいたしますが、しかしながら、実際に運用に当たってもちろん注視していく必要があるかと思いますし、詳細な設計におきましてはそれが現実に起こらないような担保が必要かと思います。

それでは、事務局からお願いいたします。

○太田参事官 事務局からの補足でございますが、まず1点目の海外の例につきましては、若林座長代理から御紹介いただいたとおりでございまして、一定の投資の確保と効率性の両立というところで、全般としては一定の評価がされているというのが現状ではないかと思っています。

ただ、細かな制度設計のところでどうしても試行錯誤が必要ということは各国も同様でございまして、そういったものを随時見直しながら制度の改善を図っているというのが実情かと思います。そういったことで、日本におきましても同様なトライ・アンド・エラーをしながら制度を改善していくというアプローチが必要なのではないかということでございます。

2点目は、配電事業の導入に伴う消費者トラブルの問題でございますけれども、経済産業省の検討におきましても、御指摘のことがないように、配電事業者にも一定の行為規制を課したり、区分会計を適用したりという形で対応を考えているということでございまして、例えば配電事業者と小売事業者が結託して中立性が阻害されたり、あるいは十分なサービスが提供されなかったり、事業者が撤退してしまって消費者が放置されてしまったりといったことが生じないよう、慎重に制度設計を行っていただいていると承知しております。

それから、清水委員からの御指摘の中で、小売事業者の営業活動に伴うトラブルは確かに散見されているところでございまして、消費生活センターにもそれに伴う相談が寄せられているのが実情かと存じます。そちらにつきましては、経済産業省電力・ガス取引監視等委員会でも国民生活センター等と連携して、小売事業者の活動を監視して必要な対応を行っているということでございますし、更に消費者庁におきましても悪質な事案に対しては行政処分を行っているところでございまして、そうした取組を今後もしっかり行うことを通じまして、そういったトラブルが生じないようにしていく必要があろうかと考えております。

以上でございます。

○山本委員長 それでは、新川委員、お願いします。

○新川委員 新川でございます。

今回の公共料金の調査審議会からの御意見につきましては、丁寧に議論をしていただいて得られた結論で、これ自体は妥当な内容かなと思っております。

その上で審議の過程でも出てまいりましたが、幾つか気になる点があって、そこだけは改めて強調しておきたいと思っております。

一つは、託送料金の(1)「全般的な評価」に関わりにございます。レベニューキャップ制度によって、確かに投資の確保とコストの削減、特に料金の低減化が狙われるわけでありますが、もう一方では、そのために実は5年間の固定ということが予定されています。ある意味では、この5年間の固定制ということ自体が持っております負の効果、そこで本当に適正な料金や投資が確保できるのか、こういったところについての懸念はやはり残るということであります。その点では、プロセスのモニタリングが重要だということは強調しておきたいと思っております。

2つ目に、託送料金の(4)に関わりますけれども、料金改定、変更等に関わって、もちろん様々な不測の事態があり得るわけでありますけれども、同時にそうした改定、変更に関わって、それを的確に監視をしていく、モニタリングをしていくことが重要で、この辺りは経産省サイドでのしっかりとした監視体制を望みたいと考えているところでもあります。

3点目は、(5)の終了後評価に関わろうかと思っておりますけれども、現在の制度の仕組みでは5年間のレベニューキャップの結果を踏まえて、次の5年間のレベニューキャップを考えていく、その中で投資とコスト効率のバランスが更に良くなっていく、こういう構図を考えておられるわけでありますが、先ほど来、諸外国の事例でもお話がありましたように、必ずしもこのレベニューキャップ制度、同じ制度がそのまま続いていくということでもありませんし、これまでにもプライスキャップからレベニューキャップへというような大きな変更があったように、実はレベニューキャップ制度そのものがまだまだ試行段階であります。

翻って、我が国の需要に合わせて今回のようにカスタマイズされている場合に、これをどういうふうにより的確に運用していくのかというのは、いわば実験段階であります。その点では、終了後の評価といったところで、レベニューキャップ制度の根幹に関わるところ、抜本的な見直しが必要であるということも想定しながらこの制度を考えていく。場合によっては、総括原価方式に戻るといったことも踏まえて検討するべきではないかということを意見として申し上げておきたいと思います。

それから、配電事業につきましては、特に(2)のところで、料金の5パーセント上下ということを言っておられます。これ自体は現時点において一定妥当性があるのかなと思っていますけれども、もう一方では、今後の供給、需要、そして事業者の変化ということを踏まえると、本当にこれが妥当なのかどうか、この辺りは事後的にも相当しっかりと監視をしていく、その上で慎重に検討するべき、そうした事項ではないかと考えております。この辺り、今後経産省におかれましても、また、消費者委員会の消費者保護の観点からも、しっかりと監視をしていく必要があるのではないかと考えておりました。

以上、多岐にわたりますが、意見として申し上げておきたいと思います。

○山本委員長 ありがとうございました。意見ですので、取りあえずお答えを直接いただくことはよろしいかと思います。

生駒委員、今日は早めに御退席ということですので、先に質問をお願いします。

○生駒委員 ありがとうございます。

御説明いただきましてありがとうございます。

消費者の目線からお話しさせていただきますと、電力のトレーサビリティとサステナビリティは非常に重要だと思います。

ただ、今の消費者の主に電気料金、重要な生活インフラとしての電気料金への関心事は大きく2つあると思うのです。1つは、電力の自由化によってプランや価格が、例えばガス料金とかいろいろなものとセットになっていくことで料金が調整されていくのかなということが一つ。もう一つは、再生可能エネルギーなのかどうかといったような点です。環境への影響。そういった点が一般の消費者においては今一番重要な観点かなと思っています。

そういった状況の中で、託送料金とかレベニューキャップに関しては全く認識がない環境にあると思うのですけれども、先ほど御説明の中で、4ページ目の(6)とか6ページ目の(3)に、消費者への明快な説明とか情報開示をしていきたいと書かれているのですが、具体的にはどのような方法で一般の消費者に対して情報開示をされる御予定なのか、そこをお聞きしたいと思いました。

○山本委員長 その点は、若林座長代理からお願いできますしょうか。

○公共料金等専門調査会電力託送料金に関する調査会若林座長代理 御質問につきまして、情報開示については必要だということ。それから、その前提として消費者からは託送料金の制度自体が見えづらいというのはそのとおりでございまして、調査会の中でもそのような指摘が多数出されたこと、それに対する分かりやすさを伴った透明性が必要だということは議論されたところです。

実際に、こちらからエネ庁に質問などもさせていただいて、前回の調査会の結論としてもそのような意見がついていたので質問をさせていただいたのですけれども、もちろん開示はしており、今後も分かりやすく説明することを心掛けるけれども、なかなか難しいというような御説明があったところです。

どのような形で開示をすべきかという具体的な手法についてまでは調査会では検討はなされませんでしたが、先ほども申し上げましたように、やはり分かりやすい説明が必要なのだというところでは非常に強い意見が出たということかと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、丸山委員、お願いします。

○丸山委員 私からも、情報開示の関連になります。

意見案で言及されている方向性には異論はないところです。託送料金につきまして、再エネ拡大やレジリエンス対応の必要性が理解できるのですけれども、そのための投資というのが消費者の負担となって電力値上げになる可能性もあると理解しました。

意見で示されている情報提供や説明に際しては、そこで行われている投資が過大な投資ではないということを消費者や消費者団体が評価・判断できるような資料が公開される必要があると考えておりますけれども、そういった評価・判断ができるレベルの情報開示、過大投資ではないといったことを判断できるような情報開示を期待して良いのかというところを確認させていただければと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

ほかの委員の方から、更に何かございますでしょうか。

それでは、今の点について若林座長代理からお願いできますでしょうか。

○公共料金等専門調査会電力託送料金に関する調査会若林座長代理 詳細な事項についてはこれから検討がなされるということで、それについての開示がどのような形で行われるかというのも今後の課題になるかと思いますけれども、少なくともこの調査会の意見において書きました、情報開示が必要だ、分かりやすい情報提供が必要だというのは、そのような趣旨を込めたということかと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

よろしいでしょうか。

今、種々御意見をいただきました。今後の課題に関することが基本であったと思います。この意見案につきましては特に御異論はなかったのではないかと思いますけれども、よろしいでしょうか。

それでは、議論はここまでといたしまして、委員会としての意見案を配付いたします。

大石委員、どうぞ。

○大石委員 時間のないところ申し訳ありません。

ワーキングにオブザーバーとして参加しておりますのでここで発言するべきかどうか迷いましたが、私も資源エネルギー庁の審議会にも出ておりまして、今、委員の皆様の御質問に対し、若林座長代理からお答えいただいた部分につきましては、今後の検討が大変重要だと思っておりますし指摘されている部分でもあります。

特に、これまでは紙での検針票が各家庭に配付されていたものが、それこそデジタル化により紙媒体で見る機会がなくなっている中で、どのように消費者に分かりやすく、きちんと情報提供していくかということは、本当にこれからの課題だと思っております。

消費者団体、消費者としても、この点については、きちんと見て意見を届けていきたいと思っております。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

種々、いろいろ今後の課題につきまして御指摘をいただきましたので、その点はさらに委員会としても注視をしていきたいと思います。

それでは、意見案を皆様のテレビ会議システムの画面のチャット欄に示しますので、そちらを御覧いただけますでしょうか。

(意見案表示)

○山本委員長 ただいま画面上に表示をされております意見案をもちまして、これを当委員会としての意見といたしまして消費者庁に送付をしたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

(「異議なし」との声あり)

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、御了解いただいたということで、意見を送付することにしたいと思います。

それでは、この議題につきましてはここまでといたします。

若林座長代理におかれましては、大変お忙しいところをありがとうございました。

○公共料金等専門調査会電力託送料金に関する調査会若林座長代理 どうもありがとうございました。失礼いたします。

(公共料金等専門調査会電力託送料金に関する調査会若林座長代理退室)

《3.その他》

○山本委員長 続きまして、その他事項といたしまして、消費者委員会に寄せられた意見等の概況につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○太田参事官 事務局でございます。

参考資料1と右肩にございます資料を御覧ください。タイトルは、「消費者委員会に寄せられた要望書・意見書・声明文等一覧(4月分から6月分)」でございます。

今回、4月から6月の四半期におきまして合計21件の意見書、要望書等を頂いてございます。

中身の内訳を御紹介いたしますと、まず分野別で見ますと、取引・契約関係で16件いただいております。最初のページを御覧いただいても明らかなように、特商法・預託法の契約書面の電子化につきまして、反対でありますとか、慎重な検討を求めるといったような意見書を多数頂戴しているところでございます。

2ページ目を御覧いただきまして、中ほど、6月10日以降ぐらいからが改正法が成立した後にいただいた意見書になります。改正法の成立を受けまして、今後の政省令等の詳細検討につきましてしっかり消費者委員会でも検討してほしいですとか、関係団体などに加わっていただいて公開の場合でしっかり丁寧な議論を行ってほしいといったような趣旨の意見書を頂いているということでございます。

それから、特商法・預託法の書面電子化以外の御意見といたしましては、2ページ目の3つ目ですとか、最後のところですとか、3ページ目の最初のところにございますけれども、成年年齢引下げが来年4月からスタートするということでございまして、それに向けてしっかり対策を行ってほしいといった趣旨の御意見を頂いております。

以上が取引・契約関係でございまして、3ページ目にその他として5件ほど頂いております。

最初にございますように、「消費者基本計画工程表改定素案」に対する意見書といった形で、各項目について詳細な御意見を頂いているといったことでございますし、更に御覧のような各種の御意見をいただいている状況でございます。

事務局からの御説明は以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

委員から何か意見等がございましたらお願いしたいと思います。

○清水委員 取引・契約関係の成年年齢引下げに伴う対策を早急にというところですが、相談の現場でもここ4から5か月ぐらい前から、18歳から22歳のマルチ・マルチまがい、エステ、投資被害、副業サービス等々の被害が急増しています。その中身を見ますと、被害額が高額化している。なぜ学生や若者の被害額が高額化するかというと、消費者金融を1日で3社ぐらい回って90万円近く借り入れて、相手に手渡ししてしまうというような手口もあるからです。

消費者教育は時間が掛かりますから引き続きやっていくとしても、何らか広報をするべきではないか。これは消費者庁にお願いするのか、消費者委員会としても何らか注意喚起ができたら良いなと思いました。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

丸山委員、お願いします。

○丸山委員 ありがとうございます。

特商法、預託法改正の関係につきまして、書面の問題ではないのですけれども、検討の積み残し事項としまして、意見等において指摘されることがあります、行政庁による破産申立てと被害回復措置の強化、検討の必要性について、コメントさせていただければと思います。

本来、今期の消費者委員会のルール形成のワーキング・グループのところで、自主規制の後に、悪質事業者対応の武器強化としましてこういった問題を検討することが当初予定されていたと記憶しております。ただ、コロナ禍での立ち上げの遅れということもありまして、今期の消費者委員会では自主規制の検討までということになっております。

もちろん来期の消費者委員会の取組などを縛るということではございませんけれども、気になる動向としましては、消費者安全法の注意喚起などを契機としまして、振り込め詐欺の救済法を利用した金融機関の口座凍結に関して判決が増えている状況でございまして、こういった仕組みが金融機関にとって過度な負担となっていないか、犯罪利用口座というような概念で安定した対応が可能なのかという点の検討の必要性を感じるところでございます。

こういった口座凍結、破産申立て、消費者債権の優先順位の問題であるとか、利益吐き出しなどの問題は、恐らく消費者庁では検討が予定されていないと考えますので、必要に応じまして調査を進める必要はもしかしたらあるのではないかと思った次第で、コメントさせていただきました。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

ほかにございますか。特によろしいでしょうか。

今、2点御指摘いただいた点は非常に重要な点で、すなわち成年年齢引下げの問題は従来から消費者委員会でずっと議論しているところでございますので、ただいまの清水委員の御指摘を踏まえて、消費者委員会としても更に動向に注意していきたいと思います。

それから、丸山委員の御指摘の財産保全等の点につきましては、私も大変関心を持っているところなのですけれども、今期はもう時間がありませんので、恐らくこれ以上検討を深めることは難しいと思いますけれども、従前からの積み残し課題であり、消費者委員会として本来いろいろ言っていくべきところではないかと個人的には考えておりますので、是非そこのところは引継ぎ事項ということになってしまうかと思いますけれども、特に消費者委員会として関心を持っているということを示しておきたいと思います。

ほかはよろしいでしょうか。

大石委員が何か入力中ということですが。

○大石委員 いつも最後で申し訳ありません。

今回の意見書の中でも要望が出ておりますが、特商法・預託法の書面の電子化の部分については、今後、消費者庁で検討会が立ち上がり、キックオフされると聞いております。消費者委員会としましても建議を出した以上、その検討会を見据えつつ、対応についての検討も進めていくことがとても重要かと思っておりますので、一言コメントさせていただきました。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

今の点につきましても、委員会としてこれまでも言ってきたことですので、今後の動向に消費者委員会として適時に応じていくということが必要かと思います。


《4.閉会》

○山本委員長 それでは、本日の議題は以上となります。

最後に事務局より、今後の予定について説明をお願いいたします。

○太田参事官 本日も大変御熱心に御議論いただきましてありがとうございました。

次回の本会議につきましては、7月19日月曜日、13時から消費者委員会会議室及びテレビ会議システムにおいて開催いたします。

当日の議題といたしまして、特定商取引法等における契約書面等の電磁的方法による提供に係る政省令やガイドライン整備に当たって留意すべき事項につきまして、関係団体等からのヒアリングを実施いたします。

以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

平日で数えますと翌日ということになりますけれども、そのように開催いたしますので、よろしくお願いいたします。

それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)