第345回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2021年6月18日(金)10:00~11:45

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)山本委員長
    (テレビ会議)生駒委員、受田委員、大石委員、柄澤委員、木村委員、清水委員、新川委員、丸山委員
  • 【説明者】
    公共料金等専門調査会若林座長代理
    消費者庁吉田参事官(調査・物価等担当)
  • 【事務局】
    加納事務局長、渡部審議官、太田参事官、事務局担当者

議事次第

  1. 開会
  2. NTT東西プライスキャップ制度の基準料金指数の見直しに関する意見案について
  3. 消費者白書について
  4. その他
  5. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1.開会》

○山本委員長 本日は、お忙しいところお集まりいただきありがとうございます。ただいまから、消費者委員会第345回本会議を開催いたします。

本日は、私が会議室で出席、生駒委員、受田委員、大石委員、柄澤委員、木村委員、清水委員、新川委員、丸山委員がテレビ会議システムにて御出席です。

片山委員長代理が御欠席です。

本日は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、3密を回避しながら消費者委員会会議室及びテレビ会議システムにより会議を進行いたします。

また、感染拡大防止の観点から、引き続き一般傍聴者は入れず、報道関係者のみ傍聴していただいて開催いたします。

議事録につきましては、後日消費者委員会のホームページに掲載いたしますが、議事録が掲載されるまでは、本日の会議の様子を6月21日月曜日15時頃よりホームページにて動画配信いたします。

それでは、配付資料の確認につきまして事務局よりお願いいたします。

○太田参事官 本日もどうぞよろしくお願いいたします。

資料は議事次第に記載のとおりでございます。お手元の資料に不足等がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上です。


《2.NTT東西プライスキャップ制度の基準料金指数の見直しに関する意見案について》

○山本委員長 最初の議題は「NTT東西プライスキャップ制度の基準料金指数の見直しについて」です。

NTT東西の加入電話、ISDN、公衆電話の料金は、平成12年10月よりプライスキャップ制度が導入されております。

同制度における料金水準の上限を示す基準料金指数の設定又は変更については、物価問題に関する関係閣僚会議に付議をする公共料金等となっております。

6月1日付けで消費者庁から消費者委員会宛てに意見を求める付議がなされております。これを受けまして、公共料金等専門調査会で意見の取りまとめが行われたところでございます。

本日は、公共料金等専門調査会より若林座長代理にお越しをいただいております。お忙しいところ御出席いただきまして、ありがとうございます。

最初に、若林座長代理から審議経過について、続いて、事務局から意見の概要について説明をいただきたいと思います。

その後、意見交換を行った上で当委員会としての意見を取りまとめたいと思います。

なお、本日は消費者庁調査・物価等担当吉田参事官に御臨席をいただいております。お忙しいところ、ありがとうございます。

それでは、合わせて10分程度で御説明をお願いいたします。

○公共料金等専門調査会若林座長代理 皆様、おはようございます。本日は、野村座長に代わりまして、私、座長代理の若林から簡単な経緯を御説明させていただきます。

NTT東西のプライスキャップ制度の基準料金指数の見直しにつきましては、6月2日開催の公共料金等専門調査会におきまして、総務省へのヒアリングを行っております。

このヒアリングを受けまして、6月2日当日及び6月14日開催の公共料金等専門調査会、2回におきまして、この基準料金指数を算定する際の生産性向上見込率、X値の算定等について、適正に行われたかを議論し、意見の取りまとめを行いましたので、御報告いたします。

今回の基準料金指数の改定は、プライスキャップの上限を0.1ポイント引き下げるというものです。基準料金指数算定に当たっての生産性向上見込率、X値の算定につきましては、従来と異なる部分もございましたけれども、コロナ禍の状況を織り込むものであるなど、合理性が認められ、結論としては、基準料金指数の改定は公共料金等専門調査会としましては、妥当という意見となりました。

今回の改定は、料金を引き上げる方向に働くものではなくて、今、述べましたように、改定自体に問題はないという意見となりました。ただ、平成17年から基準料金指数よりも実際の料金指数が大幅に低いという状況が継続しておりまして、プライスキャップ制度が経営効率化のインセンティブとして十分に機能しているのだろうかという点で、複数の意見がございました。

これにつきましては、将来的に算定方法の見直しの必要性等についても検討を行うと伺っておりますが、意見書でもこの部分を含めた見直しを行っていくべきとの付言を行っております。

それでは、意見書の詳しい説明につきましては、事務局からお願いしたいと思います。

○太田参事官 事務局でございます。

資料のほうでございますが、資料番号で申しますと、資料1-2という資料でございます。タイトルといたしましては、「東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社の提供する特定電気通信役務の基準料金指数の設定」等に関する公共料金等専門調査会意見という紙でございます。

まず、中身の御説明に入ります前に、この意見書の位置付けにつきまして、簡単に御説明させていただきます。

先ほど委員長及び若林座長代理からも簡単に御紹介があったところでございますが、総務大臣は電気通信事業法の規定に基づきまして、利用者の利益に及ぼす影響が大きい特定電気通信役務、具体的には、NTT東西の加入電話、ISDN、公衆電話等ということでございますが、こういったものの料金につきまして、基準指数を設定することになっておりまして、その基準指数を、毎年、適用日である10月1日の90日前までに、NTT東西に対して通知するということになっているわけでございます。

この基準料金指数の算定に必要な生産性向上見込率、X値と言われるものでございますけれども、こちらにつきましては、3年ごとに、次の3年間の数値というものを算定するということになってございまして、それに際しましては、料金に影響を与えるということでございますので、消費者庁への協議を行い、更に物価問題に関する関係閣僚会議への付議を要するということになっているわけでございます。

こういったことを受けまして、この度総務省から協議を受けた消費者庁より当委員会に対して、6月1日付けで付議がなされたとことでございまして、具体的な付議の文書につきましては、資料1-1ということでお示しをさせていただいております。

そういった付議を受けまして、公共料金等専門調査会で御審議をいただきまして、このような意見を取りまとめていただいたということでございます。

今回、総務省から示された基準料金の設定案は、1ページ目の真ん中ほどに示されている表にございますようなものでございます。

先ほど、若林座長代理から御紹介ありましたように、音声伝送バスケット、それから、加入者回線サブバスケットとございますけれども、それぞれ数字を0.1ポイント引き下げるということでございまして、この背景といたしましては、X値の計算を総務省の研究会のほうで検討していただいておりまして、向こう3年間のX値、生産性上昇見込率として0.1パーセントが採用されたということでございまして、それを適用することにより、基準料金指数の引下げにつながったということでございます。

こういった総務省からの案の提示を受けまして、公共料金等専門調査会において、6月2日に総務省からのヒアリングを踏まえて調査・審議を行っていただきまして、6月14日の専門調査会におきまして、本意見を取りまとめていただいたことでございます。

その結論といたしましては、こういった設定案については妥当であるとしております。

その理由が、2ポツのところにお示ししておりますけれども、料金基準指数の設定案につきましては、NTT東西の収入予測、費用予測、適正報酬率の予測、それから消費者物価指数の変動率の予測に基づいて、生産性向上見込率、X値を試算することにより算定されるということでございまして、具体的には、脚注の4のほうに算定の方法をお示ししておりますけれども、こういった式に当てはめて基準料金指数を算出していくということでございます。

公共料金等専門調査会におきましては、収入面においては、固定電話の回線契約数の減少を反映した使用料等収入減の予測、それから、費用面に関しましても、人件費の減少、それから回線数の減少を織り込んだ費用減と、更に経営効率性分析に基づいた非効率性の解消を勘案した費用減の予測を確認いたしまして、そういった予測には一定の合理性があるとの御判断をいただいたということでございます。

なお、先ほど御紹介がございましたように、今回のX値の算定に当たりましては、新型コロナウイルス感染症が経済や市場環境に様々な影響を与えていることを踏まえて、算定方法を一部変更しているということでございます。大きな変更点といたしましては、適正報酬率を算定する際に、自己資本利益率を下方修正して報酬率を抑制したということでございまして、これによって、X値については引き上げ、基準料金指数については引下げの方向に寄与するわけでございますが、こういった変更は、コロナ禍による影響を踏まえた合理的な理由に基づく措置であるということでございまして、こうして算定されたX値、更にそれを踏まえた基準料金指数設定案についても妥当であるとの結論をいただいたということでございます。

以上が結論と理由に関する部分でございますけれども、最後3ポツといたしまして、今後に向けた留意事項についても、幾つか御指摘をいただいているところです。大きく2つございまして、1つ目は、プライスキャップ制度の在り方そのものについて、2つ目は、消費者への情報提供と消費者の意見の反映について、それぞれ御指摘をいただいているということでございます。

まず、プライスキャップ制度の在り方についてでございますけれども、先ほど若林座長代理からも御紹介がございましたように、NTT東西の実際料金指数というのは、平成17年10月以降、その上限価格となる基準料金指数を大きく下回る水準で推移しているということでございます。これは、NTT東西にとっては値上げをする余地がある状態が継続しているということでございまして、プライスキャップ制度が事業者に対する経営効率化のインセンティブとして十分機能していないのではないかといった指摘もなされているところでございます。

他方、加入電話につきましては、高齢者世代をはじめとして、既存の利用者にとっては、依然として重要なサービスであるということでございますので、プラスキャップ制度本来の経営の効率化、インセンティブといった機能が十分発揮されるように制度を適切に運用するとともに、必要に応じて見直しを行うべきであるというような御意見を頂いております。

次のマルでございますけれども、今後も加入電話の回線数や、通信需要の減少が見込まれる中で、これまでの経営効率性分析手法を用いた場合、X値について正の値を得る、生産性の向上を見込むということが難しくなってきているということでございます。このため、X値の算定方法の在り方についても、今後、十分に検討すべきだという御意見を頂いております。

さらに、次のマルでございますけれども、固定電話網につきましては、令和7年までにIP網に移行するということが既に決まってございまして、これまでの固定電話のサービスについては、今後、メタルIP電話として提供されるということでございます。これにつきましても、これまでの加入電話と同様、利用者にとっては、引き続き重要なサービスでありますし、更にNTT東西によって独占的にサービスが提供されるということでございますので、所要の見直しを行った上で、引き続き、一定の料金規制の下に置くことが必要なわけでございますが、その際には、現行のプライスキャップ制度が有する様々な課題についても、十分な検討を行っていただきまして、所要の見直し・改善を図るべきであるという御意見を頂戴しております。

次に、2つ目の柱としまして、消費者への情報提供と消費者の意見の反映という点でございます。1つ目のマルにございますように、電気通信サービスの多様化ですとか、高度化が進む中で、このプライスキャップ制度をはじめといたしまして、電気通信サービスの制度的な仕組みというのが、必ずしも十分消費者に理解されているとは言えないのではないかという御指摘がございまして、総務省において、プライスキャップ制度の意義や位置付けなども含めまして、こういった電気通信サービスの制度的な仕組みでありますとか、今後の見直しの内容等について、消費者へ分かりやすく丁寧な情報提供に努めていただきたいという御意見を頂戴しております。

2つ目のマルでございますけれども、こういったプライスキャップ制度の見直しを行うに際しましては、政策決定のプロセスを透明化するとともに、消費者の納得を確保するといった観点から、可能な限り情報公開を行うことを基本とするということでございますし、さらに、その検討に際しましては、消費者の利益を代表する者を参画させるなど、消費者の意見を適切に反映すべきであるとの御指摘を頂いたところでございます。

意見の概要は、以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、御質問のある方は、御発言をお願いいたします。

なお、質疑応答の時間は20分を予定しておりますので、御発言や御回答は、なるべく簡潔に行っていただくよう、お願いいたします。

清水委員、お願いします。

○清水委員 御説明ありがとうございます。

意見書にすでに網羅されていますが、消費者にきちんと情報提供をしていただけるということで良かったと思います。もともとこの制度自体が難しいので、説明していただいても理解できないのが現状ですが、広く国民に分かりやすく周知する必要性は感じます。

2024年からIP網化、NTTはされるということで、これも国民に、今、周知しているところなのですが、なかなか理解されません。安心してくださいと、月に2,700円ぐらいの黒電話の機能は、そのまま使えますという説明をしています。1つお聞きしたいのは、自由化のときにも議論になりました、通信というのは、今や国民的インフラ、もともと黒電話というのは、災害時のときでも非常に連絡がつく手段として必要だったものです。

特に独り暮らしの高齢者などは、福祉の関係で、福祉電話みたいなものも利用されています。

今後、こういった弱者、自由化の前はナショナル・ミニマムという形で保護されてきたところなのですけれども、もうIPで自由化になっておりますので、なかなか難しい議論とは思いますが、やはり超高齢化の時代では、ナショナル・ミニマム的な考え方を残さないといけないと思いますが、こういった議論はあったのでしょうか。

よろしくお願いします。

○山本委員長 それでは、これは、若林座長代理にお願いすればいいのですかね。

○公共料金等専門調査会若林座長代理 そういう議論もございました。やはり、このライン自体は、これに頼っている層というのは、やはり需要者の中でも最も高齢者が多かったりすることもあって、非常にこれに頼っているということもあって、この部分はきちんと担保していくべきではないかという議論はございました。

それから、もっと広げて、本来的には、携帯等も含めた電気通信というのは、インフラとして非常に消費者にとって重要なので、広く考えていくべきではないかという議論もなされました。

○山本委員長 それでは、お願いします。

○太田参事官 事務局から少し補足させていただきますと、固定電話は、令和7年までにIP網へ移行し、メタルIP電話としてサービスが提供されるということでございますけれども、これは基本的に、現在の固定電話のサービスの受け皿となるものでございまして、これまでの固定電話の音声をIP網向けの音声に変換するような装置を使いまして、基本的には、これまでの固定電話と同様にお使いいただけるものと承知しております。

また、メタルIP電話につきましては、引き続き、一定の料金規制の下に置くということで、総務省でもそのように検討されているようでございまして、社会政策的な観点からも、高齢者などのニーズが高いサービスにつきましては、引き続き一定の料金規制がなされるものと御理解いただければと思います。

以上、補足でございました。

○山本委員長 ありがとうございます。

丸山委員、お願いします。

○丸山委員 御説明ありがとうございます。

提案されている意見については、異論はないところなのですけれども、先ほども少し言及がありました、消費者への情報提供に関して、具体的にどういう目的のための情報提供なのかという点、消費者に何か検討や行動を促したいという趣旨なのか、あるいは単に安心をもたらすということなのか、情報提供の目的という点を御教示いただければと思いました。また、プライスキャップ制度自体は、非常に専門的な政策のお話になると思いますので、分かりやすい情報提供という観点について、何か調査会自体でアイデアなどあったのかという点について、教えていただければと思いました。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

ほかの委員の方で、更に何かございませんか。

それでは、特段、今のところ来ておりませんので、若林座長代理からお願いできますでしょうか。

○公共料金等専門調査会若林座長代理 情報提供につきましては、やはり様々な意見が、こちらの調査会のほうでも出されました。

そもそもこの制度自体が理解されていないのではないかというところから、この料金制度自体についても、きちんと消費者に説明すべきであるし、まずは理解を得るというところからの御意見があったと思います。

それから、前回この調査会で審議をした際にも、実は消費者への情報提供をきちんとお願いしたいというような意見が付いていることもありまして、情報提供がどうなっているのかという話は、質問等もしたのですが、なかなか効果的な方法、革新的な方法というのは難しいのかなという答えを総務省からも頂いています。

ただ、先ほど委員の方からもお話がありましたように、非常に制度として見えにくい、分かりにくいということもあって、まずは、広く認知するというところを目指して情報提供をすることが必要なではないかと、そういうニュアンスでの議論だったかと思います。

こちらの調査会として何か具体的な情報提供の方法など、そういう話というのは特に出ませんでした。

○山本委員長 ありがとうございます。

更にございますでしょうか。

よろしいですか。

新川委員、お願いします。

○新川委員 新川です。

まず、専門調査会から頂きました意見案、これにつきましては、異論はございません。特に御意見を頂いているところ、そのとおりだと思って拝見をしております。

一連の経緯の中で気になった点だけ申し上げさせていただきます。

1つは、やはり上限価格設定というこのシステム自体が形骸化をしているということ、これは先ほど専門調査会座長代理からも御指摘があったとおりであります。マーケットメカニズムが働かない、インセンティブとして働かない、こういう実態というのを十数年続けてきているということ自体の問題というのを、私たちは改めて考えていかないといけないということだろうと思っております。

上限設定を持っております公共料金としての価値というのが非常に大きいので、これ自体の趣旨というのをどう合理的に担保をしていくのかというのが、大きな課題と思っております。

その点で、この問題を考えていく上で、2つ目に考えていかないといけないのは、この標準の定め方ということについて、やはり先ほど御説明のありましたX値も含めまして、この算式あるいはそれの持っております各指標の測定の仕方、これらについての客観性、合理性というのが改めて問われている。ここが2つ目の重要な論点かと思っております。

特に、生産性効率の今回の計測の仕方も、コロナという特殊な事情ということで勘案されていますけれども、過去3年間、そして今後3年間の料金設定ということを考えていったときに、果たしてどこまでX値の算定が合理的だったのかということについて、今回の算定そのものは客観的な根拠があるわけですが、これを料金設定期間の前後ということと含めて考えていたときに、やはり矛盾があるのではないかということであります。

この点で3つ目にどうしても申し上げておかないといけないのは、こうした固定電話の仕組みそのものが、今後大きく変わるということ。そのときに、本当に必要なサービスというのが、特に公共性の高いサービスというのが、適正な料金で提供され続けるということの保障というのをしていかないといけない。そのために、公共料金制度と、そして、そのための上限制度、さらには、それを実際に民間の事業者にマーケットメカニズムを通じて実現してもらうという、こういう制度の趣旨、こういうものが本当に機能する方式というのを検討していかなければなりませんし、令和7年のIP電話化に向けて、それほど時間は残されていないので、早急に検討していただきたいということをお願いしたいと思っております。

以上、意見でございますので、特に御回答は必要ありません。

ありがとうございました。

○山本委員長 ありがとうございます。

そのほかにございますか。

よろしいでしょうか。

何か若林座長代理から、更にございますか。よろしいですか。

○公共料金等専門調査会若林座長代理 特にございません。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、議論はここまでといたしまして、委員会としての意見案を配付いたします。

これから皆様のテレビ会議システムの画面のチャット欄に意見を表示いたしますので、意見案を御覧ください。

表示されていると思いますが、これを委員会の意見としてよろしいでしょうか。

(賛同の意思表示あり)

○山本委員長 それでは、チャットで賛同を頂きましたので、この意見案につきましては、皆様の御了解をいただいたものといたしまして、消費者庁長官宛てに回答をいたします。

若林座長代理におかれましては、お忙しいところ審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

○公共料金等専門調査会若林座長代理 どうもありがとうございました。

(公共料金等専門調査会若林座長代理退室)

《3.消費者白書について》

○山本委員長 それでは、次の議題ですが「消費者白書について」です。

消費者基本法では、政府は毎年国会に消費者政策の実施の状況に関する報告書を提出しなければならないと規定されております。

また、消費者安全法では、内閣総理大臣は消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果を国会及び消費者委員会に報告することとされております。

これらの消費者基本法に基づく政策の実施状況報告と、消費者安全法に基づく消費者事故等の取りまとめ結果を合冊した令和3年版の消費者白書が6月8日に閣議決定されたとのことですので、消費者庁からその概要について御報告をいただきたいと思います。

引き続きまして、消費者庁調査・物価等担当の吉田参事官に御出席をいただきまして、御報告をお願いいたします。

それでは、20分程度でお願いいたします。

○消費者庁吉田参事官(調査・物価等担当) ありがとうございます。

消費者庁調査・物価等担当参事官の吉田と申します。本日はよろしくお願いいたします。

ただいま山本委員長から御紹介ありましたとおり、令和3年版の消費者白書、今月8日に閣議決定、公表をさせていただきました。本日は、その概要について御報告申し上げます。

お手元の資料2として概要がお配りされているかと思いますので、そちらを御覧いただければと思います。

それでは、資料の説明に入らせていただきまして、まず1枚おめくりいただきまして、1ページ目となっているスライドでございますけれども、こちらは令和3年版消費者白書の構成でございます。

御覧いただきますように、左に第1部、右に第2部と2部構成になってございまして、第1部は、この消費者問題の動向、それから消費者の行動、消費がどうだったかということの分析の部分。

それから、第2部が、消費者政策はどうだったかという政策の部分というような構成になってございます。

左上の赤で囲んでいます部分が、先ほど委員長からも御紹介ありました、消費者安全法に基づく国会報告の部分。

それから、右下の赤く囲っていますのが、消費者基本法に基づく政策の実施状況の国会報告の部分ということで、この2つの法律に基づく国会報告を兼ねて白書として取りまとめているものでございます。

それから、例年白書としまして特集を設けて、例年テーマを設けて取りまとめてございまして、今年は左下、第1部第2章に青い文字特集と書いてございますけれども、今年は新しい生活様式における行動消費行動の変化ということで、コロナ禍で消費がどうだったか、消費者がどう行動したか、消費者問題がどうなったかというような辺りをテーマとして取り上げて分析してございます。

本日は、このうち第1部を中心に御説明申し上げたいと考えております。

続きまして、第2ページへ行っていただきまして、第2ページは、まず、消費者安全法に基づく国会報告の部分でございまして、消費者庁に2020年度に通知された消費者事故は1万1400件余りということでして、下にグラフがございますけれども、例年と同程度かやや減少したという格好になってございます。

下に青と赤で色をつけてございますけれども、この色のついている部分が生命身体事故、安全危害に関わる事故でございますけれども、これが大体合わせて2,400件余りということで、これも例年同様か、ちょっと減少したというような状況でございます。

続いて3ページ目、次のページですけれども、次のページは、消費者庁にいただきました事故情報に基づきまして、まず、安全危害に関する話としまして、こちらのページでは消費者安全調査委員会、いわゆる事故調の活動について御紹介しております。

赤で囲ってありますのが3つほどございますけれども、昨年、1件、機械式立体駐車場の事故については、国交大臣に改めて追加意見を出したと。

それから、昨年度、新しい話としましては、水上設置遊具による溺水事故、要は、としまえんの小学生の子が亡くなってしまった溺水事故の件。

あと、幼児同乗中の電動アシスト自転車、小さい子を電動アシスト自転車に乗せて、様々事故が多発していたということで、この2件を取り上げて、事故調のほうから報告して、それぞれ担当大臣へ意見を出したということで御紹介しております。

続いて、4ページ目でございますけれども、これは、消費者庁に事故情報をいただきましたものについて、財産事案に関して、どういう注意喚起をしたかというものを取りまとめてございまして、一覧になってございますけれども、例えば、偽ブランド品の販売や、あるいはインターネット通信販売、偽サイトみたいな話とか、そういったものを、合計三十数件注意喚起を実施したというところでございます。

続きまして、5ページ目へ行っていただきたいのですけれども、5ページ目から全国の消費生活相談窓口に寄せられました相談の状況でございます。

下にグラフがございますけれども、昨年度、一番右は93.4万件の相談がございまして、前の年から見てほぼ同水準だというものでございます。

これもグラフが、下に青く色をつけてある部分ございますけれども、これが架空請求に基づく相談の部分でございまして、こちらは2018年から19、20と足元で架空請求に関する相談は減ってきているという状況でございます。

ただ、架空請求の相談が減る一方で、2020年度はコロナに関する相談がちょっと増えたということでございまして、全体としては横ばいという姿になってございます。

続きまして、6ページ目でございます。

6ページ目は、若者の相談に関する状況を取りまとめてございまして、左側にどういう相談が上位に来ているかということを取りまとめてございます。

ピンク色に色をつけていますのが美容に関するもの、それから黄色に色をつけていますがデジタルコンテンツ関係ということで、こういったものが特に多くなってきていると。

それから20歳以上ですと、黄緑色をつけています独り暮らしがきっかけとなるようなアパート関連の相談ですとか、そういったものが出てくると、そういう格好になってございます。

ここ2年ほどの傾向としましては、上が男性、下が女性の、上が男性ですけれども、男性の15から19歳というところを御覧いただきますと、男性でもピンクの脱毛剤や食品健康、健康食品はダイエットサプリなど筋肉増強サプリ、そういうものですけれども、こういった美容関連のものが男性でも上位に来ているというのが、ここ2年ほどの傾向でございまして、特徴的なところかなと見ております。

それから右側に、オンラインゲームに関する消費生活相談の推移を入れておりまして、御覧いただきますように、オンラインゲームに関する相談件数が増えてきております。

特に過半数が20歳未満、未成年からのオンラインゲームに関する相談ということで、未成年に関する相談が、そういうものが増えているということは、注目すべきかと考えています。

続いて7ページでございます。

7ページ目からは、高齢者の相談の状況でございまして、まず、左の図を見ますと、2018年の35万件余りから2020年にかけて、これは減ってきています。

この内容は後ほど申し上げますけれども、一方で、ただ減ってきているとはいえ、右側の円グラフで、65歳以上が、やはり29パーセントということで、相談全体の29パーセント、約3割は高齢者からの相談になっていますので、依然として高齢者の消費者トラブルというものが大きな比率を占めているということでございます。

8ページでございますけれども、8ページ目は、高齢者の消費者問題の内訳、どういう商品・サービスが多いかということでございますが、一番上、毎年1位になっていますが、商品一般というカテゴリーで、これがいわゆる架空請求、商品が何だか分からないけれどもというもので、ここが架空請求のものです。

これが2018年12万件余りから、2020年は3万5000件と、全体のところでも一言を申し上げましたけれども、架空請求に関する消費生活相談は幸いなことに減ってきておりまして、これが、高齢者の相談が全体として減ってきている要因となっています。

一方で、黄色く塗ってございます光ファイバーなど、この辺りがインターネット関連のもの、この辺りが相変わらず多いのと、あと最近の話としましては、他の健康食品というのは、定期購入の関係で、サプリや青汁など、そういったものの定期購入トラブルが増えてきているということ。

あと、ピンク色は2020年に急に出てきていますのが、保健衛生品その他ということで、これは、マスクに関する相談が2020年に増えたということが、2020年度の特徴になっています。

続いて9ページをお願いします。

9ページ目は、販売購入形態別でどういうものの相談が増えているかということで見ますと、一番左側の店舗購入に関するものは減ってきていると。

一方で紫色あるいはその隣のオレンジ、真ん中辺りの通信販売に関するものは増えてきているということで、これは、やはりコロナ禍で、2020年の消費生活で、店舗購入が減って通信販売が増えてきたというようなことをある程度反映しているものかとは思います。

右上ですけれども、インターネット通販に関する消費生活相談、27万件ということで、かなりのボリュームになっています。

その中でも右下ですけれども、特に商品未着、連絡不能といったことに関する消費生活相談が特に足元で増えてきているという状況でございます。

続いて10ページ目でございますけれども、そのほかの注目すべき話につきましては、2つほど御紹介いたしますけれども、左側の図は、定期購入に関する消費生活相談の件数、これがやはり足元で増えてきているというのが1つ注目すべきことかと思っています。

それから右側でございますけれども、こちらはSNSが何らかの形で関係してきた、そういった消費生活相談ということで、SNSの広告をきっかけにしたトラブルですとか、SNSで勧誘されたとか、SNS自身が極めて急速に普及していますので、それを当然反映してということかと思いますけれども、そういった消費生活相談が増えてきているという状況がございます。

続いて11ページ目に行っていただければと思いますけれども、11ページ目は、毎年私どもで消費者被害トラブル額というものの推計を行っております。

足元の数字、2020年度、3つほど系列を出しておりますけれども、真ん中の既支払額、信用供与も含むというベースで見ますと、2020年は3.8兆円ということで、2019年、18年に比べて少し減少したというような推計結果になっていますけれども、ただ、この推計自体はかなりざっくりした推計でございまして、今年減った、今年増えたというような一喜一憂するようなものというよりも、長期的に長い目で見て減らしていけたらということで、幅を持って見ながら長期的なトレンドを見ていければというようなことで推計するものでございますので、ただ、今年の推計結果は、こういうことでしたということで御紹介しております。

続いて12ページをお願いします。

12ページからが、冒頭申し上げました特集の部分でございまして、特集は、コロナ禍での消費の動向、消費者問題の動向でございます。

消費の動向ですけれども、左の上の図を見ますと、去年の4月、5月に消費が落ち込みまして、その後6月以降持ち直してはいるけれども、まだ、元のところまでは戻っていないと、そういう格好になってございます。

右側のグラフにありますように、どういったものが増えた、減ったで言いますと、財のうち、特に一番左の食料の消費が増えたという一方で、サービスが減った、特に旅行や外食など、そういった辺りのサービスが減ったというような格好になってございます。

13ページでございますけれども、13ページは、消費の動向として左の図、棒グラフは、今、申し上げた消費全体の動向で、4-6、7-9と大分下がって、その後、ちょっと戻っているという姿ですけれども、その中でも赤の折れ線グラフは、インターネットを利用した支出の動向を見ております。

インターネットを利用した支出は、落ち込んでいる時期でも堅調に伸び続けているということで、インターネットの支出は極めて増加している、堅調に伸びているという格好です。

右側のグラフにありますように、これは年代別で見ましても、どの年代でも等しくインターネットを利用した支出は増えているという状況でございます。これは1つ特徴的だったかと思います。

続いて14ページです。

14ページは、インターネットでの商品・サービスの購入に関する消費者の意識を調査したものでございまして、左側のグラフで見ますと、インターネットでの商品・サービスの購入を安心と捉えている、そういう消費者の方が、合わせて約7割の方が安心と捉えているというような結果になってございます。

年齢別に見ますと、20代、30代の方は特に安心と考えている方が多く、年齢層が上がるにつれて、安心という比率が若干下がってくると、そういう格好になっています。

一方、右側でございますけれども、その一方でどういうことが心配かということで聞いたものをまとめますと、上から順に、個人情報が漏えい、悪用される。それから商品やサービスが期待とは異なる。それから望まない広告メールが送られてくる。こういったことがインターネット上での商品の購入で心配なことということで、挙がってきているところでございます。

続いて15ページでございます。

15ページは、コロナ禍での消費ということで、緊急事態宣言が発せられたときに、消費者の行動がどう変化したかというものを調べたものでございまして、左右とも、上下にグラフがございますけれども、上が最初に緊急事態宣言が出た去年の春、5月に初めて出たときのこと、下が今年の初めに、2回目に緊急事態宣言が出たときの行動の変化です。

左側は、食料品など、購入頻度の変化、買い物に行く頻度の変化を見ますと、上のグラフ、買いに行く頻度が減ったという人が一番右側の49.8パーセント、大体5割の人は買いに行く頻度を減らしたというのに対して、今年の頭の緊急事態宣言時には、6割の人が変わらないと回答しています。

右側で見ますと、右側の1回当たりの購入量が増えたか減ったかということで言いますと、去年の春のときには、6割の人が1回当たりの購入量を増やしたと。一方で、今年の頭のときには、6割の人が変わらないと答えていまして、去年の春のときには、要するに、買いに行く頻度を減らして、その代わり、まとめて買うというようなことが、かなり起こったのに対しまして、今年の頭では、特に行動の変化が起こらないと答えた層が大分増えたという調査結果になっています。

見方はあるかもしれないですけれども、今年の第2回目のときには、多くの消費者が落ち着いた消費行動取ったというような側面があったのかと思います。

続いて16ページをお願いします。

16ページは、コロナ関連で、どのような消費者トラブルがあったかということを取りまとめたページでございます。

左側の、まず、棒グラフでございますけれども、こちらは消費生活相談の件数の推移を見ますと、やはり去年の3月、特に4月、5月に増えて、その後、だんだん落ち着いてはきましたけれども、まだ、2000件から3000件ということで、それなりに一定数の相談が続いているという状況でございます。

右側に品目別、商品・役務別の表を付けていますけれども、一番が保健衛生品その他ということで、つまりマスクに関する相談、これが去年の春に増えて、これが特に多かったというものでございます。

そのほか、2位、3位の結婚式、スポーツ関連、それから航空サービスみたいなものは、キャンセルに関する相談。

それから、他の行政サービス、給付金に関するような消費生活相談。

あとは、7位がアルコール消毒液に関するものですとか、あるいは右側11位も、ちり紙類、トイレットペーパーに関するもの。

それから、16位が外食など、そういったものが出てきているところでございます。

続いて17ページでございますけれども、ここから若干参考的な資料になってまいりますけれども、17ページは、御参考までにコロナの感染者数と政府の大きな対応、緊急事態宣言発出等についてまとめたものでございます。

説明は省略いたしまして、18ページへ行きます。

18ページでございますけれども、これは、コロナ感染症に対して消費者庁が、どのような対応をしたかという主な対応を取りまとめたものでございまして、一番左の欄は、生活関連物資の関係で、マスク、アルコール消毒液の転売規制等を行ったというようなこと。

それから、真ん中の表示の関係でございまして、主には、コロナウイルスに対する予防効果を標榜するような商品、そういうものについて、ちゃんと目を光らせて必要な措置を行ったと。

それから、右側のその他の情報発信ということでございまして、ワクチン詐欺など、そういう悪質なものに引っ掛からないようにということと、あと新しい生活様式で、買い物のエチケット等の留意事項などを情報発信したと、そういうようなことでございます。

続いて19ページが、表示に関してどのようなことをやったかという実例と、続いて20ページも、今、申し上げた情報発信、どのようなことをやったかという実例を掲載させていただいているものです。

飛ばしていただきまして、21ページでございますけれども、21ページからは、分析パート、政策パートのうちの政策パート第2部の御紹介になります。

基本的には、消費者基本計画の工程表に沿った形で私どもはまとめて、それで消費者政策の状況について取りまとめたものを国会報告しているというものでございます。

詳細の御説明は割愛させていただきます。

22ページへ行っていただければと思いますけれども、22ページからは、特に消費者庁において、主にどんな政策をやっているのかということは、白書の中でも紹介をさせていただいています。

左側の新型コロナ感染症に対して、消費者庁は、どのようにやったかということで、今申し上げたような表示への対応など、あるいは悪質商法への注意喚起、それから転売規制に関するようなこと、そういったことを紹介しています。

右側から、あとは項目だけ少し御紹介させていただきますと、地方消費者行政の充実強化ということと、それから、23ページにございますけれども、デジプラに関する消費者利益の保護、それから悪徳商法に対する法執行強化ということで、これは、それぞれ今国会において法律を作って成立させたところでございます。

24ページが、こちらは、消費者、事業者と共同してくような、そういった方向性の政策でして、食品ロス削減、それから消費者志向経営ということで紹介しています。

それから、25ページ目、来年から成年年齢引下げが、実際に始まるということで、その消費者教育の推進。

それから、消費者庁の新未来創造戦略本部の設置といったことを紹介しています。

26ページと27ページは、先ほど申し上げたデジプラの法案と、あと特商法、預託法の改正法案についての説明でございます。

最後、28ページでございますけれども、一応、第2部第2章ということで、先ほど申し上げた、消費者基本計画工程表に基づいた形で、このような項目について国会報告として、政策の実績を取りまとめて、それで報告しているところでございます。

ちょっと長くなって、恐縮でございますけれども、私からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、御質問ある方は、御発言をお願いいたします。なお、質疑応答時間は約20分を予定しておりますので、御発言、御回答はなるべく簡潔に行っていただくようお願いいたします。

清水委員、お願いします。

○清水委員 御説明ありがとうございます

相談の現場を細かく分析していただいてありがとうございます。いかにこの白書が多くの国民の手に届くか、いつも私たちは悩んでいます。当然、消費生活センターの相談員の現場では、この資料を抜粋して消費者教育とか啓発に利用させていただいています。

その中で、コロナ禍のトラブルをまとめていただいて分かりやすかったです。生々しく現場をお伝えしますと、この1年半ほど、国民はもう本当にいらいらしています。何でもかんでも電話が掛かってきて、例えばコロナワクチンの問合せの電話が繋がらないとか、どこでワクチンが打てるのかとか、電話がつながらないことに対しての国の施策に対してのお叱りの言葉だとかの相談が増えました。あと、インターネット通販、コロナ禍で、国は急がない買い物をインターネットでやりましょうと言ったものですから、国民の皆様は、当然、クーリング・オフ等の保護がされていると思い込んでいます。国がやれと言っているから安全なのだろうと、お試しで注文したら、実は5回の定期購入で約3万円の契約になった、それがキャンセルできない、なぜかという相談が非常に多かったことを思い出しております。

相談員としては、やはりコロナ禍は誰しもが想像できなかった想定外のことではありますが、今まで、例えば消費者契約法のつけ込みの部分だとか、平均的損料のところをもう少し深く深く現場の声を聞いて法改正を進めていたら、キャンセルの問題も何とか対応できたかなと思っています。

また、コロナ禍で、なぜ訪問が来るのか、昨日相談があったのですが、コロナ禍で自粛しろと言っているのに、なぜ事業者が訪問するのか、新聞は売りに来るは、光回線の勧誘に来るは、また電気の勧誘、もろもろの勧誘で訪問してくる。なぜこれは規制されないのか、相談員としては「申し訳ないです、今、不招請勧誘の規制は全くありません」と、あの手この手で断るように、相談の現場ではアドバイスしています。

この白書では非常に問題点がはっきりしていますので、これからは消費者契約法、特定商取引法の不招請勧誘の規制、これを、スピード感を持ってやっていただきたいと思います。

こういった白書ができるだけ国民の目に留まるように、私たち相談員も協力しますが、消費者庁におかれましても、やはり消費者に周知していただきたいです。

長官と大臣も、先日、お話をされていましたが、なかなかテレビ等で報道されることはないのはとても残念です。引き続き、情報提供については、国民の目に留まるような工夫をお願いしたいと思います。

意見です。ありがとうございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、生駒委員、お願いします。

○生駒委員 御説明ありがとうございました。

消費者の消費行動において、急速なデジタル化が進んでいるという状況はよく分かりました。

それに伴ってどのようにして消費者保護が行われるのかということを考えますと、やはりネット上で迅速に対応できる、あるいは情報提供ができる、そういう環境を作らなくてはいけないのかなと思っています。

例えば、PIO-NETというものがあります。消費者被害の情報を抱え込んでいるビッグデータと言われていますけれども、こういったPIO-NETの、もう少し消費者が活用できるようなプラットフォームに進化、発展させることはできないのかなと常々感じております。データを集めて、それが眠っている状態ではなく、どのように直接的に情報提供できるかですけれども、そこは工夫が必要だと思いますけれども、デジタル上のこうした消費者行動に迅速に対応していくためには、やはりデジタル上での対応というのが必要だと思います。

そういった意味で、既に消費者庁でも保管されている、こういうPIO-NETの情報をうまく活用して、消費者被害を未然に防ぐような、デジタル化の時代の中ならではの対応を迅速に進めていく必要があるかなと感じました。こちらも意見です。よろしくお願いします。

○山本委員長 ありがとうございます。

大石委員、お願いします。

○大石委員 御説明ありがとうございました。

私からは、まず質問をさせていただければと思います。

御説明いただいたパワーポイントの資料の6ページ目に、若者の相談の概要が載っております。

もう次年度、成年年齢の引下げというのを見据えますと、今までのデータというのが大体20歳で区切って、こういう資料が出されているのですけれども、実際に18歳未満、それから18歳以上の人たちでどういうことが起こっているかというのを、やはり来年に向けて私たちは知っておく必要があるのではないかなと思います。

そういう意味で、今後、こういう年齢の区分けというのは変わってくるかと思いますけれども、もし、こういう資料も18歳で切ることができる、例えば、資料が出せるのであれば、いろいろな部分で、是非今後はそのようにしていただければ有り難いですし、今回もそのような資料が出されると有り難いなと思いました。

もう一点、7ページ目の高齢者の消費生活相談について、これも確認なのですけれども、3割の方が65歳以上ということで、これは契約当事者の属性ということで相談した人ではないということでしょうか。

よくお話を聞きますのは、電話相談など、高齢になればなるほど、本人が相談できないので、家族の人、当然65歳未満の方が多いと思うのですけれども、そういう方が高齢者のことについて相談をするという話をよく聞きます。

もしかして、3割よりもっと多い相談があるのかなと思いましたので、ここのところは、実際に被害に遭っている、相談の対象になっている方の65歳以上の割合なのかどうかということを少し確認させていただきたいと思います。

それから、持続可能性のところについても、今回いろいろと加えていただいてありがとうございました。ただ、私としては脱炭素社会に向けて、やはり消費者の役割というのも大きいと思いますので、是非、その辺りももう少し注目していただければ有り難いかなと思いました。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

質問が含まれておりましたので、お願いできますか。

○消費者庁吉田参事官(調査・物価等担当) ありがとうございます。

順に行きますと、まず、若者のデータの話でございます。

まず、どういうものが増えていくかということで言いますと、現在ですと、19歳までと20歳以上で切っていますけれども、20歳以上なると、これは成年に対する相談ということで、今後、18歳、19歳という層に対しても、20-24歳で出てきていますような、例えば、賃貸アパートやフリーローン、サラ金など、こういったものは、未成年にはないものが20歳以上だと出てきますので、今後、問題になってくる可能性はあろうかと思います。

それで、相談件数、PIO-NETから取っておりますけれども、PIO-NETは、必ずしも1歳刻みでデータを取れるもの、データ制約がございますので、今すぐ18歳、もちろん18歳以上は、今後区切りとして意味を持ってくるわけでございますけれども、すぐに同じような切り方で、同じようなデータを取れるかということは、なかなか難しい面もあるかもしれませんけれども、そこは、国民生活センターと相談しながら、どういう情報を取れるか、なるべく役に立つ形での情報提供を心掛けていきたいと思います。

それから、高齢者の相談の内訳ですけれども、こちらは、契約当事者の属性ということで、65歳以上の方が契約当事者である相談ということで、御家族の方が相談したものも、ここは含まれております。

ですので、例えば、認知症の高齢者の方の相談というのを若い息子さんとかがやったというものも、この29パーセントの中に入っているということで御理解をいただければと思います。

最後、持続可能な社会に向けての政策みたいなことを、コメントいただきまして、ありがとうございます。私ども消費者庁でも、そういった政策の方向性は、今後、重要と考えていまして、エシカル消費と言ったような消費者に対する働き掛けと、それから、消費者志向経営というようなことで、事業者と消費者が共同して、そういった社会を作っていくと、そのような方向性の政策をやっていこうと思っておりますので、引き続き、どうぞ、よろしくお願いいたします。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

受田委員、お願いします。

○受田委員 御説明ありがとうございました。

毎回、この消費者白書を拝見して、消費者行政全体をしっかりと俯瞰し、また、その変化を定点で把握、理解することができるというところで貴重な情報だと思っております。極めて整理をしていただいていることを、まず、敬意を表したいと思います。

その上で、先ほどの大石委員の意見とも重なるのですけれども、やはり成年年齢の引下げという大きな法律の改正があることを受けて、今回の消費者白書をどういうふうに活用していき、その当該の年齢及びその直前の年齢層に訴求していくかというところが、ますます重要なポイントになると思います。

したがって、毎回ありますけれども、白書をどういう啓発の方法で活用できるようにするか、この点は、いつも意識をされていると思いますけれども、今一度、その利用について伺いたいというのが1点。

それから、白書に関しては、基本的に状況を把握するということで、ある意味、過去を振り返りながら見ていくという現状の整理かと思います。

そんな中で、唯一、未来を予測しているデータが白書そのものの55ページでしょうか、人口の推移というところがございます。

これと同時に、例えば、インターネットの利用率ということで、年齢層別のデータが71ページに示されておりまして、この辺りが、今後を占う1つの大きなデータ資料ではないかと思っています。

71ページのインターネットの利用率が、もう年々高齢者側に普及していることがよく分かります。このことを踏まえて、消費者問題をどう捉えていくかという視点が、ますます将来推計においても重要になり、また戦略上、いろいろな作戦が立てられそうな点がございます。その点、経年的な変化が顕著に表われている、こういった人口の予測に基づいた整理を、今後はさらに一層深めていただきたいという要望でございます。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

もう少し頂いてから、ただいまの第1の質問に対するお答えをいただくということにいたしますが、木村委員、お願いします。

○木村委員 木村です。よろしくお願いします。

御説明ありがとうございます。

私は、やはりこの1年というのは、本当にコロナで翻弄されておりまして、そのことが本当にきちんと消費生活のこういうデータにも出ているのだなと思いながら説明をお聞きしました。

それで、8ページとか16ページに、保健用品の相談が増えて、それはマスクだとおっしゃっていたのですけれども、確認なのですけれども、これはマスクのどういった相談なのかというところで、手に入りにくいのかということでよろしいのかというのを1点確認させてください。

それから、このコロナ禍で、本当に生活様式が変わっていくことに、どんどんついていけないところもあるのですけれども、そこでインターネットや美容に関する相談が増えたというのは確かにそうで、家の中にいると、自分に対して掛ける時間も増えてきて、美容に関心が向くということもありますし、あと最近、若い男性の方も、私たちが若い頃と比べて、かなり外形に関する悩みというのが多いのだなというのを感じた次第です。

IT化に関してなのですけれども、いろいろ報道を見ていますと、ワクチン予約などもかなり混乱していまして、これは、IT化だけの話ではないのですけれども、ただ、自治体も、それから消費者も、なかなかデジタル対応というのができていないのだなということが露呈しましたので、白書にいろいろデジタル対応をしていただいているのはよく分かりますが、今後も経験を踏まえて、対応していただきたいと思います。

もう一つは、昨年10万円の交付というのがありましたけれども、そういったときにも露呈しましたけれども、デジタル弱者というときに、よく高齢者と、あと体の不自由な方という言い方をよくするのですけれども、あと、もう一つ、家庭内でパソコンなどのデジタル端末を使わせてもらえない人たちという視点もありまして、そういった分析も、もし、来年以降していただけると有り難いなと思っております。

具体的に言うと、DVなどで、夫に使わせてもらえない奥さんやお子さんがいるということを聞いておりますので、そういったデジタル弱者という視点も入れていただければと思います。

また、いろいろ取り締まってくださっているのはよく分かっていて、先日も空間除菌剤の対応をしていただいて、それが報道されまして、そういったことを消費者は、きちんとニュースで受け止めておりますので、今後もそういった取締りは、是非しっかりお願いしたいと思います。消費生活について、今後も対応をよろしくお願いいたします。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、質問がやはり含まれておりましたので、お願いできますでしょうか。

○消費者庁吉田参事官(調査・物価等担当) ありがとうございます。

まず、最初に受田委員から成年年齢引下げについて、当該年齢あるいはその前の年齢の方への訴求というようなことで、活用いただきたいということで、それは、私どもも当然、極めて重要な課題と認識しておりますので、是非努めてまいりたいと思います。

その利用について、啓発していただきたいというようなことで頂いたかと思いますけれども、もちろん、私どもせっかく白書を作って、当然、消費者の皆様に知ってもらって、やっと初めて何ぼということと思っていますので、消費者の方に、ネットでも無料で御覧いただけますし、冊子でも作っておりますので、そういったものを手に取っていただけるようになど、あるいは部分部分、情報を切り取った形で、様々啓発資料等を作って、普及と言いますか、世の中に知らしめていきたいというのは、私ども自身も当然、白書を作っている部署でやっておりますので、それぞれの政策をやっています部署とも連携して、例えば、先ほど申し上げた消費者の教育をやっているような部署では、当然、未成年に対する、成年年齢引下げに向けて、今、キャンペーンをやっていますので、そういったところで、私どもの情報も使っていただくなど、あるいは全国の消費生活相談窓口あるいは自治体さんなり、あるいはそのほか、関係省庁、様々なチャネルを通じて、私どもの情報を使っていただけるように、働き掛けてまいりたいと思います。

あと、状況の把握ということで、人口に対しては、未来の数字がある程度見えているというのと、トレンドについても、それなりに見えているものがあるということで、私どもも、この先、消費生活問題がどうなっていくかということを直接示すのは難しいですけれども、こういうトレンドについては、ほぼ固いだろうということは、ここまでの変化を示すことで、ある程度お示しできているかと思います。デジタル化の進展などというものは、正に不可逆的な変化として進んできているということで、多分、私どもの資料の中でも、そういったことは読み取っていただけるのではないかと思いますので、先の予測についても役立つようにということは、今後、私どもとしても留意してやっていきたいと思います。

それから、木村委員から質問で頂いたマスクについて、どういった内容かということで、手に入らない品不足だというようなことが当然多くございます。

あと、マスクの関連では、頼んでいないマスクが届いたみたいな、ネガティブオプションみたいなものとか、あと、通販で買ったけれども、商品が届かないとか、そういった通販絡みの消費生活相談、そういったものも、それなりに発生しているところでございます。

あと、デジタル対応につきましては、当然、私どもとしても留意してまいりたいと思いますし、特にデジタル弱者についての視点ということで、御指摘をいただきまして、私ども今後分析を、その視点を踏まえ、頂いた御意見を踏まえて進めてまいりたいと思います。

以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

丸山委員、お願いします。

○丸山委員 御説明ありがとうございました。

私からは、確認したい点が1点ございます。

資料の4ページに、消費者安全法に基づく重大な財産事案に関する注意喚起等に関してなのですけれども、私が記憶しているところですと、消費者基本計画などでは、毎年10件程度の目標数値が定められていたと思うのですが、2020年に関しましては、34件という注意喚起の件数というのが報告されています。

これは、原因としまして、単純に重大な財産事件の隙間案件というのが多かったということなのか、それとも消費者庁が執行に対して積極的になったのか、積極的な執行というのを続けていただければとは思うのですけれども、34件の原因・内容を教えていただければと思いました。

○山本委員長 ありがとうございます。

柄澤委員、お願いします。

○柄澤委員 ありがとうございます。柄澤です。

まず、この白書、受田先生からもございましたけれども、コラム面が非常に充実した内容で、改めてすばらしい白書だと思いまして、消費者庁の御尽力に心から敬意を表したいと思います。

そういう白書ですから、可能な限り周知いただくことが必要だと思っておりまして、私、在宅勤務が若干増えてきた関係で、ワイドショーとかをたまに見る機会があります。そういう中で、消費者庁の動きなど、消費者問題に関して取り上げているケースが非常に多いなと感じております。そういう意味では、こういう白書を、マスコミを使いながらうまく周知していく方法について御努力いただくことが重要なのかなと思っております。

また、悪質業者へのけん制の意味でも、白書をうまく周知して使っていくということも必要なのではないかと思います。

併せて、2点、簡単な意見ですけれども、1つは、私がよく白書を読むのは、環境白書や経済白書をよく読むのですけれども、あれは両方とも副題が付いていて、どんな方向にもっていくのかというメッセージがあるのですけれども、残念ながら消費者庁には、そういう点がございませんけれども、できたら、そういう時代へのメッセージという意味では、白書に副題を付けられることを御検討いただいたらどうなのかなと。

もう一点は、いわゆる財政再建問題というのが、これから大きくなってきたときに、やはりワイズスペンディングということで、政府と財政再建問題について自民党の方々とお話をしていても、EBPM、エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキングという考え方でやっている中では、この白書の最後のように、いろいろな政策あるいは相談現場での対応みたいなものが、いかに消費者問題を防いでいるかという観点をもう少し計量化できるような工夫をして、相談現場の効力とか、あるいは消費者庁の体制充実みたいなものが必要だというのを訴えておく必要があるのではないかと思いました。

以上です。ありがとうございました。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、若干質問がございましたので、お願いできますでしょうか。

○消費者庁吉田参事官(調査・物価等担当) ありがとうございます。

まず、最初に頂きました、今年、消費者安全法に基づく財産事案に関する隙間事案の注意喚起が34件と多かったことについて、申し訳ございません、私、ここで今年多かった理由というのが、特に何かというものを分析したものを、恐縮ですが、ございませんけれども、ただ、昨年、インターネット絡みとかの事案自体は、かなり問題だと捉えていまして、それで、担当の部局において、かなり精力的に注意喚起を行ったということであろうかと思います。

それから、まず、マスコミを使って周知してはどうかということについては、御意見ありがとうございます。私どもも、是非、新聞、テレビで取り上げてもらえるように働き掛けているところではございまして、引き続き、その努力は続いてまいりたいと思います。御意見ありがとうございます。

あと、副題のことでございますけれども、恐れ入りますが、実は今日お配りしている、あるいは事前に本体も送らせていただいたかもしれませんけれども、こちらの国会へ報告するという公文書の体裁で、タイトル等は、極めて無味乾燥なものになってございます。

一方、もう少ししますと、中身を少しだけ加えまして、市販版ということで、消費者の皆様に手に取っていただく形の冊子に、副題としてどういうものを我々として今回盛り込むかみたいなことは、例年付けているところではございまして、メッセージ性を出せるようにしたいと思っております。

今年の白書で申しますと、今年の白書は、政策の方向性を示すというよりも、コロナという極めて異常な事態の中で、どのようなことがあったかというところの、若干記録の意味合いが強い号かと考えておりまして、特集のところで、新しい生活様式における消費行動、消費判断のよりどころの変化というようなことを第1部第2章のタイトルにしておりますけれども、一応、こういった形のものを今年の白書の副題として考えているところでございます。

あと、消費者庁の取組、予算等、重要性を訴えることは極めて重要でございまして、私どもの活動の根源でもございますので、それは、引き続きやってまいりたいと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

新川委員、お願いします。

○新川委員 新川でございます。御説明ありがとうございました。

白書の内容、本当に充実した内容で、御苦労さまでございました。

例年のことで気になっている点が幾つかございます。1つは、やはり今回で言いますと、第2部実施状況について言えば、制度上は実績の報告でございますので、そのとおりなのではあるのですが、同時に、その実績の書き方、書きぶりとして、やはり何々が何件といったような記述も見られます。要するに、実績というのが実施した内容、とりわけ消費者庁として実行されたものというところで止まります。これは制度上致し方ないところもありますが、同時に、今後白書として国民の理解を広く得ようということであれば、やはり、こうした実績を通じて、社会的にどういう成果とか結果というのがあったのかというところ、部分的にはそうした問題事例を処理できたといったようなところまで書き込まれているところもありますが、この辺り少し全てをそろえるのは難しいかと思いますが、できるだけ成果主義と言いますか、成果志向の白書にしていただけると、広く理解も得やすいのではないか、また、国会での御審議にも裨益するのではないかと思っておりました。これが1点目であります。

それから、2点目は、先ほど柄澤委員の御質問、それから御回答にもありましたが、やはりせっかくの白書を、これが、もちろんこれまでの実績を中心にして書かれておりますので、それはそれで当然なのですけれども、やはり、その中で浮かび上がってくる方向付けといったようなことは、一定分析をし、それについて検討しておくということも、過年度の業務の責務としてはあるのではないかと考えております。

その点では、第1部のところで、特に事故の分析等、問題事例の分析等と言っておられるところ、この分析の中には、ただ単に事案の原因だけではなくて、それをどうすれば予防あるいは権利回復ができるのかといったようなところまで、若干記述をいただいているところもあって、むしろ、そちらにもう少しウエートが行っていると、この白書をそのものの重みというのも違ってくるのではないかというのが2点目であります。

最後にします。3点目は、工程表に基づいて、これを作っていただいております。もう少し工程表の平仄等の関連付けみたいなものがどこかで分かりやすく示されると、私たちも読みやすいなと思った。これは単なる希望であります。

以上、3点申し上げさせていただきました。ありがとうございました。

○山本委員長 ありがとうございました。

御要望でしたけれども、あと清水議員から追加で何かございますか。

○清水委員 すみません、ありがとうございます。

実は、定期購入のところで、本白書で言うと、39ページのところですが、実は地元の適格団体に、この資料が本当にタイムリーで助かったという声を、是非委員会で言ってほしいということでありましたので、報告させていただきます。

なかなか裁判官に、インターネット通販というのは自己責任なので、表示を見ない人が悪いのではないかというような裁判官もいまして、なかなか理解が難しいということがあって、これがタイムリーに出ましたので、ここの部分を裁判に利用して、全国でこんなに被害が出ているということを示すことができたということで、非常にそういった活用もあるので、先ほど柄澤委員も言われましたように、悪質業者へのけん制だとか、そういった裁判にも利用されているということを紹介、また、今後もよろしくお願いしたいと思います。情報提供ですね。ありがとうございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

何かございますか。特にございませんか。ありがとうございます。

種々の御意見を頂きましたけれども、この消費者白書は毎年ですけれども、消費者問題の現状と課題、消費者政策の実施状況等について、非常に分かりやすく説明することを目的にして作られており、その内容につきましては当委員会としても高い関心を持っております。

今、幾つかの利用の仕方についてお話があり、また、これから、こういうふうに、更に利用ができるのではないかといったような御意見もございました。

昨年の特徴としては、これは言うまでもないことですけれども、やはり新型コロナウイルス感染症の影響が非常に大きく、先ほども記録としての意味があるということをおっしゃられましたけれども、正にそうであると思います。

今後、これからどういう状況が展開されるかというのは、なかなか予想ができないところもありますけれども、やはり後々のために、去年のことをしっかりと記録にとどめておくというのは非常に重要なことであると思いますので、そういう意味でも、消費者白書は大きな意味を持っているのではないかと思います。

その中で、特にこの中にもありますけれども、通信販売に関する相談が非常に増えている。それからネット通販に関する相談が非常に増えているということ。そして、これは消費者委員会でも意見を出したところですけれども、定期購入に関する相談件数が、また非常に多くなっているといったようなことがあります。

こういったオンライン化、デジタル化に伴う消費者問題というのは今後も増えると思いますし、また、多様化していくであろうと思います。

委員の意見の中にもデジタル・デバイドの話がございましたけれども、そういったものに対応して、更に今後も、この白書の項目あるいは内容を見直していく必要が出てくるのではないかと思います。

これは、直接デジタル化と関わらないところですけれども、成年年齢の引下げに伴って、指標の取り方等についても少し改めていく必要があるのではないかというようなお話もございましたけれども、あるいは、これからの人口動向ないしは人口の構成との関係で、消費者問題を考えていく必要があるのではないかというような御意見もございましたけれども、そういうふうに、今後もやはり消費者を取り巻く環境の変化が非常に変わっていく、それに伴って消費者行政全般についてスピード感が求められていると思いますし、また、消費者白書についても、段々進化をさせていく必要があると思っております。

これは、いつも思うのですけれども、本当にこれだけ充実した内容なので、是非いろいろなところに宣伝をして、活用していただきたいと思いますし、消費者委員会としてもアピールをしていくことができれば良いと思っております。

本当に、これだけの内容をまとめていただきまして、どうも御苦労さまでした。また、ありがとうございました。

また、本日は御説明をいただき、審議に御協力いただきまして誠にありがとうございました。

○消費者庁吉田参事官(調査・物価等担当) ありがとうございました。

○山本委員長 ありがとうございました。

(消費者庁退室)

《4.その他》

○山本委員長 それでは、この件については、これぐらいにいたしまして、続きまして、その他といたしまして、6月9日に成立をいたしました特商法等の改正法についてですけれども、事務局から国会での修正等の概要について、説明をお願いいたします。

○大岡企画官 事務局でございます。

終了時間も過ぎておりますので、事務局から簡潔に説明させていただきます。

まず、法案成立の経緯を申します。

御存じかと思いますけれども、本年3月5日に国会に提出されまして、一部規定について衆議院において修正がされております。修正につきましてはこの後御説明いたします。

この修正を反映する形で、本年6月9日までに衆参両院において可決、成立されております。

それでは、内容について説明させていただきますが、資料は机上配付資料の1と2がございます。

まず、机上配付資料の1を御覧いただけますでしょうか。

こちらは、改正案に対する修正の内容となっております。

1つ目には、クーリング・オフを電子メール等で行う場合の効力の発生時期ということですが、申込みの撤回又は契約の解除に係る電磁的記録による通知を発したときとするということで、発信主義ということでございます。

2つ目は、書面の電子化に関する規定の施行の延期というものでございますが、公布の日から起算して2年、修正前は1年ですが、起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することでございます。

3つ目は、書面の電子化に関する検討条項の追加でございまして、政府は、2の施行後2年を経過した場合において、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすることということでございます。

修正の内容は、以上です。

続きまして、机上配付資料の2を御覧ください。

こちらは、参議院で出されました附帯決議でございます。

建議に関係する主な項目について説明いたしますが、まず、1でございます。

こちらは、消費者の承諾の要件につきまして、明示的な意思表明を行う場合に限定されることを確保するということと、最後の行にありますが、家族や第三者の関与なども検討することということでございます。

2つ目ですが、こちらも承諾の要件を検討するに当たり、学識経験者、消費者団体、消費生活相談員等の関係者による十分な意見交換を尽くすこととあります。

続きまして、少し飛ばしますが、次のページの5になります。こちらも建議に関係するところでございますけれども、こちらはクーリング・オフ制度の重要性に鑑み、電子メール等によるクーリング・オフ通知の発信方法及び効果について、十分な周知策を講ずることとございます。

事務局からは、以上になります。

○山本委員長 ありがとうございました。

この件につきまして、何かございますか。

附帯決議の、例えば、1の部分などは、かなり消費者委員会の建議で言われていたことが入っているといいますか、文字どおり入っている部分もあるように思いますが、そういう形で、消費者委員会の建議が反映をされていると思いますけれども、何かございますか。

大石委員、お願いします。

○大石委員 御説明ありがとうございました。

今、委員長がおっしゃられたこととも関連するのですが、この消費者委員会から出した建議に対して、消費者庁からの答申というのは、いつ、どのような形であるのか、その前に今後の政省令の制定に向けて、どのような進め方がなされるのかというのは、もう決まっているのでしょうか、もし、そういうことが分かっていれば教えていただきたいと思います。

以上です。

○山本委員長 何かその点については、既に分かっていることございますか。

○事務局担当者 現時点では、まだ具体的には決まっておりません。

○山本委員長 現時点では、まだ具体的にどのように進めるかということは、こちらとしては把握しておりませんけれども、国会でもかなり消費者庁のほうから、電子化の方法に関して具体的な様々な答えがされておりますので、消費者庁として、これから、更に具体的に検討するということであると思います。

したがいまして、建議に対する消費者庁の正式な回答がいつになるかということは、ちょっと現時点では分からないところがあるのですけれども、ただ、いずれにいたしましても、消費者委員会といたしましては、建議に対して、消費者庁がどのように取り組んでいるかということを、適宜、消費者庁から報告をしていただいて、消費者委員会として意見を言っていくという、そういうプロセスが必要であると思います。

したがまして、消費者庁から建議に対する正式な答えが来るというタイミングよりも前に、いろいろ消費者庁から報告を受けて、消費者委員会として、しかるべくに意見を言っていくということも考えられると思います。

丸山委員、よろしくお願いします。

○丸山委員 御説明ありがとうございます。

今回、机上配付資料2で示されているような適切な措置というのが確保されるのか、書面の機能を維持するなど、それを上回るような消費者保護の措置というのが、現実に制度設計されていくのかというところが重要だと認識しております。

その点に関して、消費者庁で検討されていき、消費者委員会が報告を受けていくというのは理解できたのですけれども、こういった制度設計について一定の判断をするには、やはりそれなりの知識や調査というのを踏まえて消費者委員会の側も判断、発言をしていく必要があるのではないかと、そういう認識を持っております。

そこから、今後に向けてということになるのですけれども、消費者委員会自体が、この問題について知見を深めるような何らかの準備体制を整えていくということは、現在のところ予定されているのかどうかというところを確認させていただければと思いました。

○山本委員長 ありがとうございます。

どうぞ。

○加納事務局長 加納ですけれども、当然そういう知識を深めるというか、いろいろ勉強をしていく必要はあると思っておりますので、事務局でも情報収集をしたりとか、ヒアリングするなど、それを適宜委員の皆様にはフィードバックをするとか、そういったことをやっていきたいと思っております。

○山本委員長 よろしいでしょうか。

何か、更にございますか。

消費者庁で、どのような体制で、どのようなプロセスで、政省令あるいはガイドラインの検討をしていくかということにもよるとは思いますけれども、消費者委員会としていろいろ意見を言っていく上では、当然、様々な分野の知見が必要になりますので、その点について、消費者委員会として勉強し、検討していく必要はあると思いますので、そこは事務局とも具体的な進め方について、更に詰めていくことができればと思っておりますが、よろしいでしょうか。


《5.閉会》

○山本委員長 それでは、本日の議題は、以上ということになります。

最後に、事務局より今後の予定について説明をお願いいたします。

○太田参事官 本日も御熱心に御議論いただきまして、ありがとうございました。

次回の本会議につきましては、日程が決まり次第、委員会のホームページを通じてお知らせいたします。

以上でございます。

○山本委員長 それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)