第344回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2021年6月10日(木)11:30~12:36

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)山本委員長
    (テレビ会議)受田委員、大石委員、片山委員長代理、木村委員、清水委員、新川委員、丸山委員
  • 【説明者】
    消費者庁内藤消費者政策課長
  • 【事務局】
    加納事務局長、太田参事官、大岡企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 消費者基本計画改定素案及び工程表改定案について
  3. その他
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1.開会》

○山本委員長 本日は、お忙しいところお集まりいただきありがとうございます。ただいまから、消費者委員会第344回本会議を開催いたします。

本日は、私が会議室で出席、受田委員、大石委員、片山委員長代理、木村委員、清水委員、新川委員、丸山委員がテレビ会議システムにて御出席です。

本日は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、3密を回避しながら消費者委員会会議室及びテレビ会議システムにより会議を進行いたします。

また、感染拡大防止の観点から、引き続き一般傍聴者は入れず、報道関係者のみ傍聴していただいて開催いたします。

議事録につきましては、後日消費者委員会のホームページに掲載いたしますが、議事録が掲載されるまでは、本日の会議の様子を6月11日金曜日15時頃よりホームページにて動画配信いたします。

それでは、配付資料の確認につきまして事務局よりお願いいたします。

○太田参事官 本日もどうぞよろしくお願いいたします。

資料は議事次第に記載のとおりでございます。お手元の資料に不足等がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上でございます。


《2.消費者基本計画改定素案及び工程表改定案について》

○山本委員長 本日の議題は「消費者基本計画改定素案及び工程表改定案について」です。消費者基本法では消費者基本計画の案を作成しようとするとき及び消費者政策の実施状況の検証、評価、監視について、結果の取りまとめを行おうとするときは、消費者委員会の意見を聞かなければならないとされております。今回の改定に当たり、4月1日の委員会で消費者庁から改定内容についてヒアリングを行ったところです。このヒアリング結果やこれまでの建議、意見、新型コロナウイルス感染症への対応をはじめとする今般の事情等を踏まえて、4月16日に消費者基本計画及び工程表の改定素案に対する意見を発出いたしました。消費者庁及び関係省庁においては消費者委員会の意見やパブリックコメントの結果を踏まえて改定内容の修正作業を行い、改定案を取りまとめたと聞いております。

本日は資料1-1のとおり、内閣総理大臣から意見が求められていることから、改定案の内容について聴取の上、消費者委員会としての意見を取りまとめたいと思います。

本日は、御説明者として消費者庁の消費者政策課より内藤課長にお越しいただいております。お忙しいところ御出席いただき、誠にありがとうございます。

それでは、20分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁内藤消費者政策課長 消費者政策課長の内藤でございます。よろしくお願いいたします。

それでは、お手元の資料1-2をお開きいただければと存じます。消費者基本計画の変更、それから、基本計画工程表の改定についてということで御説明を申し上げます。

表紙をおめくりいただきまして、1ページ目でございます。改めましての説明で恐縮ですが、消費者基本計画は、消費者基本法第9条に基づきまして定められております消費者政策の推進に関する基本的な計画、いわゆる5か年計画でございます。現在の消費者基本計画は第4期、4回目の5か年計画になってございまして、昨年3月31日に閣議決定をされたところでございます。昨年の3月の時点では、コロナはまだ拡大期にございました。緊急事態宣言も発令されていなかった時期でございます。

その後、コロナ禍における「新しい生活様式」の実践に伴いまして、デジタル化など消費者を取り巻く環境がこの1年で大きく変化をしてございます。これに対応した消費者政策を推進するという観点から「新しい生活様式」の実践に関する記述を追加すべく基本計画を変更するということ、それから、年次計画に当たります工程表について、必要な見直しを実施したいと考えているところでございます。

2ページ目は恐縮ですが飛ばさせていただきまして、3ページ目をお開きください。こちらが基本計画本体の構成になってございます。全体が5章構成になっておりまして、第1章が前文、それから、第2章が現状認識、第3章で大きな基本方針を示すとともに、第5章に重要施策を列挙しております。これを支える行政インフラの整備を一番下、第4章で記載しているところでございますが、この度、右側に赤字で書いてございますが、大きく3か所修正・変更させていただきたいと思っております。

まず第2章、現状認識の社会情勢の変化のところにコロナ禍における「新しい生活様式」の実践を追記。

それから、第3章の大きな方針のところの(5)「新しい生活様式」の実践や災害時への対応をしていくという旨を追記・修正。3か所目として、第5章の重点施策におきましても、3ポツのところでございますが、「新しい生活様式」の実践その他多様な課題への対応という施策を追加させていただきたいということでございます。

具体的には4ページ目をお開きください。ポイントは大きく3つございます。ここでは第2章の現状認識と第5章の施策を対比してございます。マル1からマル3までございます。左側のマル1でございますが、コロナ禍におきまして、物資の一時的な品薄のほか、コロナウイルス感染症に便乗した悪質商法やトラブルが発生をいたしました。これに対する施策として生活関連物資の需給状況も注視しつつ、悪質商法に厳正に対応していく旨を記載してございます。

左側にお戻りいただきましてマル2でございます。日常の消費行動において消費者及び事業者双方が新しい生活様式の対応が求められるようになったという認識の下、右側のマル2でございますが、消費者と事業者が協力して持続可能な社会に配慮した適切な消費行動の浸透を図る旨を記載してございます。

最後のマル3でございますけれども、簡単に申し上げますと、これはデジタル化の関係でございます。デジタル化その他新しい生活様式に基づいた消費行動が不可逆的に拡大しているとの認識の下、右下のマル3のところでございますけれども、いわゆる消費者のデジタル化への対応に関する取組を進める旨記載してございます。

これに基づきまして、年次計画である工程表も改定を行いたいと考えてございます。5ページ目をお開きください。こちらが工程表の構成になってございます。赤枠のところが主な改定箇所でございます。ここも含め黄色い枠の2つ目の中ポツでございますけれども、全ての施策につきまして令和2年度の実績、それから、KPIの最新値を追加するとともに、今後の取組予定の時点更新を行っております。

併せまして「新しい生活様式」の実践の関係で施策を幾つか追加をしております。工程表は現在153の施策が登録されておりますが、今回、コロナ禍への対応も含め3つ新しい施策が追加になりまして、156の施策を工程表に登録をし、これに基づきまして消費者政策を推進してまいります。

次の6ページ目でございますが、こちらは今年度、取り組むべき工程表の主なポイントということで書かせていただいております。「新しい生活様式」の実践への対応のほか、デジタル化への対応、それから成年年齢引き下げを見据えた若年者の消費者被害防止、食ロスその他の消費者・事業者の協働の推進、最後に消費者被害防止のための行政インフラ等の整備などがポイントになっております。

この素案に対しまして、先般パブリックコメントを実施したところでございます。こちらにつきましては資料1-4、1-6を後ほど御参照いただければと思います。基本計画本体につきましては6団体、個人の7名の方から延べ35件の御意見を頂戴してございます。

それから、1-6の工程表素案に対しましては16団体事業者、個人4名の方から延べ334件の御意見をいただいているところでございます。

こうした御意見を踏まえまして、計画本体の素案、それから工程表の改定案について、委員会に内容をお諮りをしたく存じます。

具体的にパブリックコメント、あるいは消費者委員会から頂いた御意見を踏まえて修正した箇所につきまして、資料1-7で御説明したいと思います。資料1-7を御用意いただければと思います。

こちらは、今年の4月16日にいただきました消費者委員会からの御意見への対応関係の表でございます。5月の委員間打合せ以降の変更箇所について、簡単に御紹介をさせていただきたいと思います。

最初は1ポツ(1)の最初の枠のところでございます。こちらはデジタル技術を活用した消費者保護ということでございまして、特定商取引法等の執行強化についての御意見をいただいてございます。昨日、特商法及び預託法等の改正法案の成立を受けまして、施策概要、実績のところの書きぶりを法案から改正法といったような言い方に変えているということ、それから、中ポツの上から2つ目のところでございますけれども、契約書面等の電磁的方法による提供については、今回の法案が成立したところ、御意見を踏まえて、今後の取組予定に見直しを踏まえた政省令等の見直しを追記しております。

次のページをお開きいただければと思います。真ん中あたりの(3)消費者生活相談体制のデジタル化という部分でございます。こちらにつきましては、デジタル化の具体的な内容についてもう少し記述が充実できないか、言語化できないかというような御意見がございました。そうしたことを踏まえまして、デジタル化の具体的な設計に向けて「消費生活相談デジタル化アドバイザリーボード」の設置及び民間で広く利用されているシステムの相談業務可能性や有効性などについて検証を進めるといったような記載を追記したというのが、前回からの変更点になってございます。

それから、次の3ページ目のところの3ポツでございます。食品表示の適正な運用に関する取組のところでございます。これは形式的な修正で恐縮ですけれども、前回、ネット販売における食品に関する情報提供のところは手引書と書いていた部分をガイドブックという分かりやすい言い方に修正をしております。

それから、下から2つ目、6ポツのところでございます。事故情報の収集、通知制度の意義の周知徹底という箇所でございます。こちらも通知制度の運用の見直しについて、もう少し具体的に書けないかという御指摘をいただいてございます。ここにつきましては若干言葉が足りておりませんけれども、警察庁、総務省消防庁の取組を新規に追加し「厚生労働省、警察庁、総務省消防庁の協力のもと」の後でございますが、都道府県等に対し通知手順の確認、整理を求めるなど、通知制度を円滑に運用するための方策の推進を図っていくというような形で文言を修正してございます。後ほど本体のⅠの16ページを御覧いただければと思います。

それから、一番下のところでございます7.消費者による公正かつ持続可能な社会への参画等を通じた経済・社会構造の変革の促進といったところでございます。

こちらにつきましては、次のページにお進みいただければと思いますけれども、最後のページでございます。まず、消費者のライフスタイルの変化について分かりにくいというような御指摘をいただいてございます。「脱炭素社会づくりに向けた」の部分について若干の修正を加えてございます。加えて「また」以下でございます。消費者のライフスタイルの変化については、脱炭素以外、の環境分野にも通じるところがあるのではないかという御指摘を踏まえまして、ライフスタイルの変化が事業者の行動変容を後押しすることにもつながるという旨を2か所、Ⅱ(2)マル2海洋プラスチックごみの削減の関係の施策及びマル3の循環型社会の形成、いわゆる3Rとかの箇所でございますが、この2か所の施策にもライフスタイルの変化に関する記載を追記したということでございます。

以上が前回の指摘からの修正でございまして、いただいた御意見・御指摘については、基本的に可能な限り反映をさせていただいたと考えているところでございます。

私からの説明は以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

ただいま御説明がございましたように、消費者委員会では一度かなり多岐にわたる意見を発出しておりまして、それを反映いただきました。さらに前回委員間打合せにおきまして委員から意見をいただき、その部分につきましても、今、内藤課長からお話のありましたように修正を可能な限り図っていただいております。私も拝見いたしましたが、できるところまで反映していただいているのではないかと思います。かなり消費者委員会の意見を反映した案をお出しいただいているのではないかと思いますけれども、特に委員の中でこの点を強調しておきたいということがさらにあろうかと思いますので、御意見のある方はいただければと思いますし、あるいは御質問のある方もいただければと思います。質疑応答の時間は30分程度を予定しておりますので、御発言・御回答はなるべく簡潔に行っていただければ幸いです。いかがでしょうか。

清水委員、お願いします。

○清水委員 清水です。説明ありがとうございました。

昨日、法案が参議院本会議で可決成立しました。私たちにとっては預託法の原則禁止、欺瞞的な定期購入商法の対策規制、もう本当に待ちに待った改正で本当によかったと思っています。しかしながら、特商法の電子化につきましては削除されることがなかったことは残念です。

工程表にも書かれておりますが、今後、消費者庁の、予定をお聞きしたいのです。政省令やガイドラインを詰めていくということで、特に契約書面電子化部分は公布から2年以内、スケジュールはどうなっているのか、検討会を立ち上げられると思います。特商法における不招請勧誘の規制が必要、私たち相談員は電子化の前にこちらを規制する、若しくは特商法事案をほとんど禁止するという感じで思っていたので、突発的に電子化になってしまったのは残念です。なったからにはしっかりと規制をするべきだと思います。

消費者庁も消費者被害が拡大するのは望んでないと思います。4月になって相談の現場では、未成年者から22歳ぐらいまでの被害が急増しています。連鎖販売取引、マルチ、業務提供誘引、継続的役務提供、エステですよね。昨日、電話相談で書面を持って来所してください」と助言しました。これが電子化だったらどうなるかと思って18歳の相談者に聞いてみたら、「自宅にはプリンターはありません。」とか、「ファクスも当然ありません、LINEで書面を送っていいですか。」と言われました。「いやいや、消費生活センターはLINEで書面を受け取ることはできません。」と伝えました。こんな状態になっています。成年年齢引下げも1年を切っています。

○山本委員長 最後の御質問の部分が少し聞き取りづらかったのですが、最後の質問のところだけで結構ですけれども、お願いできますか。

○清水委員 今後のスケジュールです。検討会をいつ頃立ち上げるとか、どういうメンバーで検討していくということを教えていただけたらと思います。

○山本委員長 ありがとうございます。

そのほかにございますか。

それでは、お願いします。

○消費者庁内藤消費者政策課長 特商法、預託法の関係の説明を中心に一度御説明申し上げまして、不足がありましたら、改めて御指摘いただければと思います。

先ほど申し上げましたように、昨日、特商法、預託法の改正法案が成立をしてございまして、この法案自体は公布後、基本的に1年以内に施行、契約書面の電子化に関する部分につきましては、2年以内の施行になってございます。今後、改正内容の周知と施行の準備をしていくということになってございますけれども、特に契約書面の電子化に関する部分につきましては、この国会でも多くの御議論をいただいておりますので、丁寧に政省令を作っていきたいと考えております。

今回の契約書面の電磁的な方法による提供を可能とするということに関しましては、消費者被害の防止に万全を期すということが非常に大事だと考えているところでございます。国会において様々な御議論もあり、私どもも答弁をさせていただいていたかと思いますが、今後はオープンな場で広く、例えば現場の消費生活相談に携われている方、それから、デジタルの技術に通じておられるような専門家の方々からも丁寧に御意見を伺った上で、検討したいと考えているところでございます。

スケジュール感等の御質問を頂いているところでございますけれども、さすがに昨日成立したばかりでございますので、現在検討中でございます。方針がまた固まりましたら、お知らせはしたいと思っておりますが、可能な限りオープンな場で今後も検討をしていきたいと考えているところでございます。

ひとまず私から以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、受田委員、お願いします。

○受田委員 御説明ありがとうございました。

消費者委員会から様々な意見を出させていただき、それに真摯にお答えをいただいていると感じております。

質問というよりもコメントなのですけれども、改めて今回修正していただいた先ほどの資料1-7の中で、補足的にも触れていただきましたけれども、食品表示の適正な運用に関する取組、特にECサイトにおける食品表示の在り方については、消費者の関心が日に日に高まっているという印象でございます。パブリックコメントの中にも多くの意見が寄せられていたところからも、そのことは反映されていると思います。今回、手引書という表現が、更にガイドブックという形で、恐らく私の印象では、より内容的には具体的なものを考えていかれるという方針ではないかと思うのですけれども、こういった日々興味、関心が増していく内容については、是非実効性という部分を今後お願い申し上げたいというところをコメントとさせていただきたいと思います。

以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

木村委員、お願いします。

○木村委員 木村です。御説明ありがとうございます。私どもの意見を取り入れていただいて修正していただいたということで、ありがとうございます。

やはり先ほどから話題に上っておりますけれども、コロナで状況が変化したこともありまして、世の中のデジタル化が進むということで、今後についてなかなか予想ができないということもあります。やはりデジタル化ありきということではなくて、デジタルとアナログの両輪というか、そういった施策を是非していただきたいと望んでおります。

契約書面の電子化についてなのですけれども、今回参議院で可決成立いたしましたけれども、今後きちんと話合いの場を持って、公の場で議論していただいて、消費者被害が増えないようにしていただきたいと思います。

デジタル化については、消費者を取り残さないということが本当に重要だと思います。デジタル格差という問題もいろいろと出ておりますので、そういった消費者のぜい弱性にどのように対応するのかということは、この工程表に盛り込まれておりますけれども、是非御対応いただきたいと思います。例えばワクチンの申込みですとか、本当にここはIT化しているのだろうかというぐらい皆さんアナログで困っていらっしゃる方もいらっしゃいます。

また、先ほど受田委員からも話がありましたけれども、食品表示にしてもネットを見て知りたい情報がない、食品表示に限りませんけれども、やはりまだまだそういったところで不備があるネットの表示の部分がいろいろあると思います。そういったところをきちんと対応していただくように是非お願いしたいと思います。

雑ぱくではございますが、以上です。よろしくお願いいたします。

○山本委員長 ありがとうございます。

そのほかございますか。

大石委員、お願いします。

○大石委員 大石です。御説明ありがとうございました。

今まで清水委員や木村委員からもありましたように、やはり今回一番気になっておりましたデジタル化の社会における消費者被害をいかに防ぐかというところです。今回いろいろと盛り込んでいただいてはいるのですが、確かにデジタル社会というのはコロナ禍で進めなければいけない面もあった一方で、やはりデジタル化が全てプラスだけではないと言いますか、それによるマイナス面、負の部分というのをしっかり認識して、いかに消費者被害を防ぐかということが消費者庁並びに消費者委員会としての使命だと思っております。

そういう意味で、今後検討会が立ち上げられるのだと思いますが、消費者委員会としても建議を出しております以上、それに対して、やはり消費者庁からは、検討内容については随時、また、できるだけ早く確実に、回答を頂きたいというのが一つお願いでございます。

あと、今回の国会の審議の中で思いましたのは、デジタル化する以前の問題として、特商法の被害をどうやって防いでいくかというところの根本的な対策が、やはりまだ不十分ではないかというところです。最初に清水委員もおっしゃいましたけれども、不招請勧誘ですとか、そういうものについても基本に立ち戻って今後考えていかなければいけないのではないかと考えております。今回の消費者基本計画の中には、その辺り十分に入っているとは思えないので、今後特に必要と感じたということで、意見として述べさせていただきます。

それともう一点、御説明いただいた中の7番です。消費者による公正かつ持続可能な社会への参画等に通じた経済・社会構造の変革の促進のところに、意見を取り入れていただきまして、2050年のカーボンニュートラルに向けての消費者としての取組についても追記いただきましたこと、ありがとうございました。

昨年、菅首相の宣言から本当に大きく世の中が変わっております。2050年のカーボンニュートラルについては厳しい現状もあり、2030年にまずどういう姿を描くかということで検討されていますが、そこには事業者だけではなくて、やはり消費者の側のライフスタイルを大きく変換する必要があると考えております。そのための消費者の理解を深めることは欠かせないわけで、その場合の消費者庁としての啓発や指導、消費者教育の果たす役割というのが大変重要であると思っております。この部分は毎年見直しを行うKPIの中でも、随時見直しながら十分に対応していただけることを期待しておりますし、私たちもそのように努力したいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

○山本委員長 ありがとうございます。

基本的には御意見をお三方の委員から伺ったのですが、何かございますか。

○消費者庁内藤消費者政策課長 ありがとうございます。

受田委員からECサイトにおける食品表示の在り方について、ガイドブックの中でもより実効性を伴う内容にしていただきたいという御意見を頂いているところでございます。御意見をしっかり受け止めまして、同時に、消費者にもしっかり分かりやすい内容になるように努力をしてまいりたいと思います。

木村委員から、デジタル化ありきではなくアナログ的な側面も含めて両輪で取り組んでほしい、特にデジタルデバイドの関係への対応をしっかりやるべきではないかという御趣旨で御意見をいただいております。私どもはデジタルデバイドの問題については、今回の国会でもいろいろと議論がなされたと承知をしております。

この工程表が153から156になった3つのうちの1つが総務省のデジタル支援員制度というものでございます。こちらは高齢者のITリテラシーを高めるという取組でございますけれども、そうした中でも消費者問題について取り上げてもらうように総務省側とも相談を始めたところでございます。このような取組をしっかり進めることによって、木村委員の御期待に応えられるように努力をしてまいりたいと考えてございます。

大石委員からは2点いただいてございます。1点目は特商法の関係のところでございます。特に今回の特商法では詐欺的な定期購入トラブルのようなものに対する規制の強化といったようなことを新たに追加したりしているところでございますけれども、私どもはこれで改正すべき事項が全てなくなったと考えているわけではございませんので、御指摘いただいた点も含めて、より良い法律になるように、あるいは実効性のある法執行ができるように、引き続き検討を進めてまいりたいと思っております。

大石委員の2点目のところで、いわゆる持続可能な社会に向けて大きく世の中が変わっていることを背景にして、消費者庁としても消費者教育の重要性が高まっているのではないかという御指摘をいただいていたかと思います。消費者教育につきましては、今回デジタル化への対応を重視するということが、消費者教育推進会議の分科会で提言を頂きまして、それを踏まえまして、今年度からデジタル化を踏まえた消費者教育について充実をしていく旨は今回の基本法の見直しの中にも一部反映をさせているところでございます。消費者被害の防止というのは、消費者教育の中で非常に重要なことでございます。加えまして、そういう持続可能な社会に向けた消費者自身の意識の変革、取組につきましてもしっかり配慮して、両者のバランスを取った消費者教育の充実に努めていきたいと考えております。

私からは以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

片山委員長代理、お願いいたします。

○片山委員長代理 消費者委員会の意見をいろいろ取り入れて改定素案に反映していただいたことに感謝を申し上げます。

私から1点だけ、消費者教育と消費者に対する情報提供というところで、1-7の資料でいくと12ページの辺りと関連するかと思います。デジタル化の推進の中で私が一番懸念しますのが、普通の消費者にとって、やはりデジタルということに対する抵抗感とともに仕組みがよく分からなくなってしまっている点です。取引の形態であるとか、書面であれば見えていたものがデジタルになることによって、仕組み全体が見えなくなってしまうということが多く出てくるのではないかと思っています。そういう中でも、日常生活を送っていくためには分からなくても利用せざるを得ない、あるいは分からないままとりあえず利用してみるということが、普通の消費者行動として起こっていく、その結果として消費者被害の増加につながるということを大変心配しています。

そういう意味で以前にも申し上げたと思いますが、デジタル教育、デジタルリテラシーを高めるのと同時に、このデジタル化が一気に進む時点で改めて基本的な取引の仕組みであるとか、デジタルによる取引のリスクであるとか、そういうことも含めて消費者にきちんと伝わるように、教育や情報提供の場面でしっかり取り組んでいただきたいと強く思っています。

新たな仕組みがどんどん出てきていますので、デジタルプラットフォームもそうですが、そういう仕組みを提供する事業者も含めて、社会全体の消費者に対する情報提供の在り方、何を伝えることによって消費者が真に自主的、かつ合理的に意思決定ができるようになって、消費者被害が減っていくのかというところをしっかりと理論的に構築した上で、それに基づく消費者教育や情報提供の推進というものをスピーディーにやっていただきたいと強く念じています。是非よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○山本委員長 ありがとうございます。

新川委員、お願いします。

○新川委員 新川です。御説明、それから、御修正、ありがとうございました。

もう既に各委員からありましたので、少しだけ要望のようなことを2点申し上げさせていただきます。

一つは、1ポツの(2)のところで、今回の修正点として示していただいたところ、消費者教育のところですが、特にその中でも学校教育の中でのデジタル消費に向けての教材開発やデジタル機器の扱いということについて留意をいただいて、これは本当に進めていっていただくとありがたいなと思っているのですが、同時に、これを進めていく上で、やはり文部科学省の所管ですので地方教育行政ということ、それから、その中で各地方公共団体の教育委員会の役割というのは極めて大きいですし、そこの地方教育行政の体系の中にこれをしっかりと組み込んでいただかないと、掛け声だけで止まってしまうという、そんなことも危惧をしております。このあたりは働き掛けのところで、そうした具体的な教育行政機関を名指しできるかどうか分かりませんが、働き掛けというのを是非強化をしていく、そういう方向があっても良いのではないかというのが1点目であります。

2つ目に、6ポツの通知制度の適正な運用とかについて、今回きちんと対応していただいておりますが、やはり事故情報についての通知制度そのものが、この工程表の中できちんと運用されるような見直しをしていくということ以上に、実際の消費者行政の中で通知がきちんとされているということを確保していく必要があるのではないか、そういう観点からこの工程上の表記、読み取れるようにきちんと書いていただくことはできないだろうかということを思っておりました。したがいまして、各関係機関が適切に通知をしていくこと以上に、今年度の工程表の中でも、その通知を確実に受けていく、あるいはそれが確実に運用されていくということを確保していく。その辺りの発想というか、視点というのが必要ではないかと思ったので、以上2点だけ追加して発言をさせていただきました。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

丸山委員、お願いします。

○丸山委員 私からは1点だけ意見を述べさせていただければと思います。

資料1-7の1(1)のところの下、デジタル化による消費者への対応を考えてほしいということで、一体的な研究プロジェクトの推進であるとか、消費者庁の未来創造戦略本部での研究推進ということをお書きいただきました。進めていただければと思うのですけれども、やはり国際的な動向も踏まえながら国内での状況を的確に把握して、対応が必要な部分については、迅速に国内の消費者政策に落とすというところが大切ではないかと思いますので、共同研究や調査の検討結果を踏まえまして、これは具体的に是非反映していただければと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

基本的には御意見だったと思いますが、いかがでしょうか。

○消費者庁内藤消費者政策課長 ありがとうございます。

片山委員長代理から、消費者教育に関連して御意見を頂いております。いわゆるデジタル化が進む中で、その仕組みが分からないままに消費者が利用をすることにならざるを得ないというようなことで、そこの部分についてのリスクが伝わるように、しっかり取り組んでほしいという御意見を頂いていたと存じます。直接の答えにはならないのですけれども、仕組みが分からないデジタル機器の典型としてはAIがございまして、これは昨年度の取組として、AIが持つリスクなど注意すべき事項についてハンドブックとしてまとめまして公表をいたしました。この取組について、今年のOECDの消費者委員会で発表し、加盟国からは評価をいただいているところでございます。

加えて、これは今年の取組ではございますけれども、デジタルプラットフォームを介した消費者取引について留意すべき事項をパンフレットにまとめました。こちらについてはデジタルプラットフォームの事業者様各社の御協力をいただいて内容に正確性を期すとともに、事業者からも周知を図っていただいているところでございます。

そうしたような事業者の協力も得て、事業者も巻き込んでデジタル化のマイナスの側面ともみなされるようなことについての情報提供の在り方については、情報発信とともに消費者教育の在り方についても反映をしていきたいと考えております。

新川委員からは御要望ということで2点いただいているところでございます。

消費者教育を進める上には、特に学校教育に当たっての文科省、あるいは地方の教育委員会の果たす役割が大きいということで、働き掛けを強化すべきではないかというのが1点目であったかと思います。

御指摘のとおり文科省、あるいは教育委員会といったいわゆる教育行政に携わる組織等との連携はとても重要でございます。私どもでも、若年者については若年者の消費者教育に関するアクションプランというのを文部科学省、法務省、金融庁と連携をして進めております。それから、今回御指摘をいただきましたデジタル教材についても、教材の中身については文部科学省に一定程度チェックをお願いするとともに、高校での実証実験については、徳島県の教育委員会に御協力をお願いしているところでございます。学校教育については、引き続き文部科学省その他の教育行政担当組織等との連携をしっかり進めてまいりたいと思っております。

新川委員の2点目は事故情報に関する通知制度のところで御指摘を頂いております。周知をしっかりすること、それから、内容の充実に関するところで、もう少し工程表にそのあたりを反映できないかというような御指摘であったかと思います。

先ほど御紹介した見直しの中で、都道府県に関する通知手順の確認・整理を求めるということを少し前回の御説明から追記をさせていただいたわけですけれども、この辺りはそういう運用の強化に役立つのではないかという観点から追記をさせていただいているところでございます。

具体的な通知制度の見直しにつきましては、先般の総務省の行政評価の中のいわゆる医療類似行為に関する評価勧告というのがございました。本来は御指摘を踏まえた対応を記載すべきところではございますけれども、現在、この勧告に対する対応については、まだ中身が十分詰まってございませんので、今回の修正からは追記は見送らせていただいております。新川委員の問題意識については、私どもも十分認識をしているところでございますので、工程表の記載の中身をより充実させるという意味で、具体的な取組を図ってまいりたいと思っております。

最後に、丸山委員から国際動向も踏まえてデジタル化対応については、国内にしっかり迅速にルール等を反映させるべきではないかということで、御要望を頂いているところでございます。こちらではOECDの話と徳島の話は書かせていただいているところでございます。もともとこのOECDのプロジェクトについては日本が拠出してスタートをしているところでございます。国際的な議論に参画した上で結論が出た暁には、国内法制の反映を含めてしっかりと検討していきたいと考えております。

私からは以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

事故情報の点に関しましては、工程表のⅠの18ページのところに今回、通知制度の周知徹底を図るとともに、通知手順の確認・整理を求めるなど方策を推進するという追記をいただいておりますので、一般的には、そういう制度があるので、きちんと情報を上げるようにということも含めて書いていただいていると思います。その上で、具体的にどうするかということは、総務省の勧告も出ておりますので、これから検討していただかなくてはいけない事柄であると思います。

ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

いろいろ御意見をいただきましたけれども、今回の基本計画及び工程表の改定素案そのものについて特に異論があったわけではなくなく、その中で、特に注意して今後施策を進めていただきたい点についての御意見であったかと思いますので、議論はここまでといたしまして、この消費者基本計画改定素案及び工程表改定案に対して、消費者委員会としての意見の案を配付いたします。これから皆様のテレビ会議システムの画面のチャット欄に意見案を表示いたしますので意見案を御覧ください。

それでは、ただいま追加資料として配付いたしました委員会の意見案は、消費者基本法の趣旨に鑑み妥当であり、その旨回答するとしております。これを委員会の意見としてよろしいでしょうか。

○太田参事官 委員の皆様は御了承です。

○山本委員長 それでは、皆様の御了解をいただいたということで、これを意見といたします。

消費者庁におかれましては、お忙しいところ審議に御協力いただきまして、どうもありがとうございました。

《3.その他》

○山本委員長 次に、議題2「その他」といたしまして、新開発食品調査部会から報告事項があります。

受田部会長からお願いいたします。

○受田委員 それでは、特定保健用食品の表示許可に係る答申について、私から報告をさせていただきます。

令和3年3月25日に開催をしました第56回新開発食品調査部会の議決について、新開発食品調査部会設置運営規定第7条に基づき、委員長の同意を得て委員会の議決とし、令和3年6月2日付けで内閣総理大臣へ答申を行いました。

参考資料2の答申書を御覧ください。内閣総理大臣より諮問を受け、第56回新開発食品調査部会において安全性及び効果について審議を行った結果、指摘事項を確認の上、了承することが部会長に一任され、申請者からの回答書を確認し、特定保健用食品として認めることといたしました。

私からの報告は以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

御報告ということでしたので、これで承りました。


《4.閉会》

○山本委員長 本日の議題は以上となります。最後に、事務局より今後の予定について説明をお願いいたします。

○太田参事官 本日も御熱心に御議論いただきましてありがとうございました。

次回の本会議につきましては、日程が決まり次第、委員会のホームページを通じてお知らせいたします。

以上でございます。

○山本委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)