第340回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2021年3月12日(金)10:00~11:54

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)山本委員長
    (テレビ会議)受田委員、大石委員、片山委員長代理、柄澤委員、清水委員、新川委員、丸山委員
  • 【説明者】
    消費者庁黒木消費者制度課長
    消費者庁笹路取引対策課長
  • 【事務局】
    加納事務局長、渡部審議官、太田参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 消費者基本計画の検証・評価・監視(コロナ禍等緊急事態下の消費者問題(5))
    (「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律案」及び「消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律案」等について)
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1.開会》

○山本委員長 皆様、本日はお忙しいところ、お集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから、消費者委員会第340回本会議を開催いたします。

本日は、大石委員、片山委員長代理、柄澤委員、清水委員、新川委員、丸山委員がテレビ会議システムにて御出席です。受田委員、木村委員が御欠席です。生駒委員は間もなく入られるのではないかと思います。

まず、会議に先立ちまして、本日は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、3密を回避しながら消費者委員会会議室及びテレビ会議システムにより会議を進行いたします。

また、感染拡大防止の観点から、引き続き一般傍聴者は入れず、報道関係者のみ傍聴していただいて開催いたします。

議事録につきましては、後日、消費者委員会のホームページに掲載いたしますが、議事録が掲載されるまでは、本日の会議の様子を3月15日月曜日15時頃よりホームページで動画配信いたします。

それでは、会議の進め方につきまして、事務局よりお願いいたします。

○太田参事官 本日もどうぞよろしくお願いいたします。

資料は議事次第に記載のとおりでございます。お手元の資料に不足等がございましたら、事務局までお申し出くださいますよう、お願いいたします。

以上です。


《2.消費者基本計画の検証・評価・監視(コロナ禍等緊急事態下の消費者問題(5))(「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律案」及び「消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律案」等について)》

○山本委員長 本日の議題は、消費者基本計画の検証・評価・監視の一環として、コロナ禍等緊急事態下の消費者問題に関連して、取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律案及び消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律案について御審議いただきます。

まず、前者の法律案及びこれに関連して危険な商品の流通等の緊急事態下の消費者問題への対応について消費者庁からお伺いいたします。

消費者庁においては、本年1月にデジタルプラットフォーム企業を介在する消費者取引における環境整備等に関する検討会の報告書が取りまとめられ、その内容を踏まえた新規立法として、この法律案が今国会に提出されております。

本日は、御説明者として、消費者庁消費者制度課の黒木課長にお越しいただいております。お忙しいところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

それでは、消費者庁から20分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁黒木消費者制度課長 おはようございます。消費者庁消費者制度課の黒木です。

私ども、今回、3月5日に閣議決定いたしまして国会に提出させていただきました取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律案につきまして、御説明の機会をいただきましてありがとうございます。早速でございますけれども、資料に基づいて御説明をさせていただければと思います。

資料1-1から資料1-5が本件に関する資料でございますが、よろしければ資料1-1、いわゆる横置きのポンチ絵を御覧いただきながら、資料1-3の条文案を中心に見比べながらお聞きいただければと思います。

資料1-3の条文に沿って御説明をさせていただこうと思いますけれども、もともとの問題意識としましては、先ほど座長からも御指摘がございました、1月25日に取りまとめました検討会の報告書なども踏まえて、この法律は作成されております。取引の場となっているデジタルプラットフォームの利用が大変拡大している中で様々な問題も起こっているということで、これに対応するために新規の法律案として作成したものでございます。

第1条、目的の規定で、まず、取引デジタルプラットフォームが国民の消費生活にとって重要な基盤となっているという前提を押さえた上で、この法律で規定している内容について、以下、列挙しております。自主的な取組の促進。これは横置きの資料1-1で言いますと(1)の努力義務に関するところ。それから、内閣総理大臣による取引デジタルプラットフォームの利用の停止等に係る要請。これが資料1-1の(2)の商品等の出品の停止に関するもの。それから、消費者による販売業者等情報の開示の請求。これが資料1-1の(3)の販売業者に係る情報の開示請求権に関するもの。並びに官民協議会の設置ということで、これが資料1-1の(4)に書いてあるものでございますが、これらについて定めることにより、取引デジタルプラットフォーム上の通信販売に係る取引の適正化と紛争の解決の促進に関しまして、この取引デジタルプラットフォームを運用するプラットフォーマー、法律上は取引デジタルプラットフォーム提供者と定義しておりますけれども、このプラットフォーマーの協力を確保し、それによって消費者の利益を保護することがこの法律の目的ということで整理しております。

第2条に移らせていただきまして、定義でございます。取引デジタルプラットフォームとはということで、これにつきましては、さきの国会で成立しておりますいわゆる透明化法にデジタルプラットフォームの定義がございますので、この定義を引いた上で、そのデジタルプラットフォームのうち、次のいずれかの機能を有するものということで、機能として2つ挙げております。1号がいわゆるオンラインモールに関する定義、それから、2号がいわゆるオークションサイトに関する定義でございます。オンラインモールにつきましては、1号ですが、消費者が販売業者等に対し、通信販売に係る売買契約あるいは有償の役務提供契約の申込みの意思表示を行うことができる機能を有しているデジタルプラットフォームを取引デジタルプラットフォームと定義しております。2号はオークションサイトでございますけれども、こちらは競りその他の政令で定める方法により通信販売に係る契約の相手方となるべき消費者を決定する手続に参加することができる機能を有しているものということで、このような定義を置くことによって取引デジタルプラットフォームを定義しております。規模要件等は設けておりませんので、この要件に該当するものが取引デジタルプラットフォームの規模にかかわらず該当するという作りにしております。

2項、3項につきましては、2項はプラットフォーマーの定義、3項は消費者の定義ということで御覧いただければと思います。

4項で販売業者等ということで、売り手の定義を置いております。販売業者又は役務の提供の事業を営む者ということで事業者という定義をしております。商品又は特定権利あるいは役務の提供ということで、扱うものについては物品に限定しているものではなく、商品、権利、役務の提供を含むということにしております。

第3条に行かせていただきます。これは資料1-1の(1)のマル1、マル2、マル3が努力義務として講じる措置ですが、第3条の1項の1号、2号、3号がそれぞれマル1、マル2、マル3に該当するということでございます。1号で、消費者が販売業者等と円滑に連絡することができるようにするための措置を講ずること。それから、2号でいわゆる表示に関しということですが、具体的な例で言えば、例えば違法な商品が適法なものであるかのように表示されて販売されているとか、危険な商品が正規品のような形で販売されている、あるいは偽造品・模造品等が販売されている等々ございます。そういう表示に関してプラットフォーマーが消費者から苦情の申出を受けた場合において、当該苦情に係る事情の調査、その他の表示の適正を確保するために必要と認める措置を講ずることが2つ目でございます。それから、3号のところ、こちらは販売業者に対して必要に応じ販売業者等の特定に資する情報の提供を求めることとしております。いずれも、第3条の1項の柱書きにありますように、講ずるよう努めなければならない規定ということで、いわゆる努力義務の規定でございます。

2項で、1項で講じた措置の概要及びその実施の状況について開示するものとするということにしております。こちらも、例えば罰則とか行政処分の対象になるという規定はございませんので、いわゆる努力義務の規定でございます。

3項で、1項、2項の措置に関して、適切・有効な実施に資するために必要な指針を内閣総理大臣が定めるとしております。

第4条に移らせていただきまして、資料1-1で言いますと(2)で、内閣総理大臣、消費者庁はということでございますが、販売条件や提供条件の表示が次の要件、2つございますけれども、2つの要件のいずれにも該当する場合に取引デジタルプラットフォーマーに対して販売業者等によるプラットフォームの利用の停止その他の必要な措置を取ることを要請することができるとしております。2つの要件、これはかつの要件でございます。1つ目の要件が、商品の安全性の判断に資する事項や重要事項として内閣府令で定めるものについて、いわゆる不実表示や有利誤認・優良誤認の表示がされているというものでございます。2つ目の要件が、その表示をしている販売業者等が特定できないこと、その他の事由により、販売業者等によって表示が是正されることを期待することができない場合でございます。販売業者が捕捉できる場合には、そちらに対して特定商取引法等で適切な措置が講じることができるということでございますので、そうでない場合を想定しております。

このような場合に、消費者庁からプラットフォーマーに対して、その利用の停止等の要請をすることができるということでございまして、2項において、内閣総理大臣は、その要請をしたときは、その旨を公表することができるとしております。

3項では、プラットフォーマーが消費者庁からの要請に応じて措置を講じた場合に、販売業者等から損害賠償請求等をされることがないようにということで、賠償の責任を負わないという民事の手当てをしているということでございます。

第5条で、こちらは資料1-1では(3)になります。消費者は、自己の債権を行使するために、取引デジタルプラットフォーム提供者が保有する販売業者等に係る情報の開示を請求することができるということでございます。ただしということで、不正の目的で請求を行う場合は、この限りでないということにしております。自己の債権と言いますのは、括弧書きの中にございますように、金銭の支払いを目的とするものということにしております。この趣旨といたしましては、例えばそこの企業の嫌がらせをしたいとか、とにかく文句を言いたいとか、そういうことではなくて、やはり何らかの請求をする場合には代金の返還であれ、あるいは拡大損害の、危険なモバイルバッテリーとかを購入して、それが出火して家が燃えてしまったという例はあるわけですけれども、そういう場合に家が燃えたという損害賠償請求等をしたい等、何らか金銭的な請求に置き換えられるであろうということで金銭の支払いを目的とするものというふうにしております。

2項で、具体的にどのような形で請求するのかということを規定しております。3つ、明らかにして請求してもらいたいということで、1つ目が、販売業者等の情報確認が必要な理由。2つ目として、どういう情報が欲しいのかという情報の項目。3点目といたしまして、不正の目的のために利用しないことを誓約してもらうという、一筆入れてくださいみたいなことになるかと思いますが、こういうことに基づいて請求してもらうということでございます。

3項につきましては、プラットフォーマーは、販売業者等と連絡することができない場合を除き、販売業者等の意見を聞かなければならないということにしております。これは販売業者等の手続的な保障ということもございますし、あるいはプラットフォーマーが正当な理由があるのかないのか、請求の要件を満たしているのかどうなのかということを判断いただく一助になるということかと思っております。

販売業者が嫌だと言った場合には開示しなくて良いということになるのかという御指摘を受けることがございますが、決してそういうことではございませんで、嫌だと言われても請求の要件が満たされているということであれば開示していただくことに当然なろうかと思っております。

第6条が資料1-1の(4)の1つ目のポツになります官民協議会の規定でございます。消費者の利益の保護のための取組を効果的かつ円滑に行うためということで、内閣総理大臣、国の行政機関、あるいはデジタルプラットフォーマーの団体、それから、国民生活センターや地方公共団体及び消費者団体により構成される官民協議会を組織するということにしております。

第7条で、この官民協議会で具体的にする事務について規定しております。1項で、必要な情報交換、取組に関する協議、それから、施策に関し意見を述べるということを挙げております。

2項で、官民協議会の構成員は、1項の協議の結果に基づいて、それぞれ必要な取組を行うものとするとしております。

3項では、官民協議会は、構成員に対し、情報の提供、意見の表明その他の必要な協力を求めることができるとしております。

第8条では、官民協議会の事務に従事する者あるいは事務に従事していた者についての守秘義務の規定を置いております。

第10条で、資料1-1の(4)の2つ目のポツになりますけれども、いわゆる申出制度の規定でございます。何人も、消費者の利益が害されるおそれがあると認めるときは、消費者庁に対して、適当な措置を取るべきことを求めることができるという規定でございます。

2項で、申出があった場合には、消費者庁としては必要な調査を行い、申出の内容が事実であると認めるときは、この法律に基づく措置、その他適当な措置を取らなければならないとしております。これは既存の特定商取引法等にも既にある申出制度と同じような規定にしているということでございます。

第13条、罰則の規定がございますが、これは先ほどの官民協議会の関係で第8条にございます秘密保持義務の規定の関係で罰則の規定があるということでございます。

附則で、第1条で、施行日でございますけれども、公布の日から起算して1年を超えない範囲内で、政令で定める日としております。

第2条で、これは経過措置ですが、先ほどの開示請求権については、法律の施行日以後の消費者と販売業者等との間で締結される契約について適用するということにしております。

あとは第3条で、施行後3年をめどとしてという、見直し、検討の規定を置いている。そのような内容になってございます。

説明は以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、御質問、御意見のある方はお願いいたします。

質疑応答の時間は約40分を予定しておりますので、御発言、御回答はなるべく簡潔に行っていただきますよう、よろしくお願いいたします。

それでは、清水委員、お願いします。

○清水委員 清水です。御説明ありがとうございました。

消費生活相談の現場では、消費者の声を聞いていますと、やはりネットでは非常に迷っている、そんな中でデジタルプラットフォームを使うのが多いです。なぜ、そういうところから入っていったのですかと聞きますと、当然、デジタルプラットフォームの会社は、そこに入っている販売店の信用調査をしているだろう、トラブルがあったときに、必ず中に入ってトラブル解決をしてくれるだろうという期待を持っています。相談の現場ではなかなかそこまで現状では難しいということで私たちがあっせんする場合があります。

そこで1つ質問なのですが、今の説明の中では販売店の調査義務の徹底みたいなところはなかったように思うのですが、今回の新法の中で、私たち相談員はクレジットカード会社における販売店の調査の加盟店義務ぐらいは必要だと思っているのですが、その点、どのような議論がされているのかというのが一つ質問です。

もう一つは、法の第5条のところで、先ほど課長から開示について不正の目的に使用されるおそれがあるということだったのですが、私たち相談員も、嫌がらせとか文句というものの相談を受けていますので、そういうことを止めるように、相談があった場合は言っています。こういうものを織り込んだ上で開示しても良いのではないかと思っているのですが、今回、不正目的を排除の場合はこれを認めないことはいかがなのかなと思っておりますので、なぜ、その部分が必要なのかを教えていただきたいです。

今回、新法は全てのプラットフォーム会社に適用になっているのですが、大手の会社は良いのですが、今、問題なのは、トイレの詰まりのプラットフォーム会社そこを信用して消費者は業者を選ぶと、780円からと思ったら、実際は30万円取られたとか、不要品の回収のプラットフォームのトラブルがあります。今、コロナ禍で結構使われる消費者が多いのです。5,000円、7,000円で良いみたいに書いてあるのに、実際は5万円、6万円取られる。それも全てプラットフォームを信じて選んできた業者がそのようなことをやっている現状があります。

この2つの質問をお願いします。

○山本委員長 丸山委員からいただいてからお答えいただけますか。

それでは、丸山委員、お願いします。

○丸山委員 御説明ありがとうございました。丸山です。3点ほど教えていただきたい点があります。

まず、第1点としては新法の対象なのですけれども、例えばなのですが、クラウドファンディングのプラットフォームに関しましては、購入型は含まれるけれども、貸付型とか寄附型は含まれない。そういう整理というふうに捉えて良いのかという点です。この点はCtoCが含まれないのは分かりますし、今、述べたものも含まれないのかもしれないですが、今回含まれないようなタイプのプラットフォームに関しましても3年の見直しということが掲げられておりますので、何らかの形で問題状況などは情報収集を継続的にされていくという理解で良いのかという点を第1点としてはお伺いしたいと思いました。

第2点としましては、レビューであるとか問題のある広告表示一般関係は今回のプラットフォームとの関係では取り上げられていないと理解しました。確かにプラットフォームに限られる問題ではないので、幅広の議論をすべき問題かというふうにも思います。ただ、そこで景表法の解釈とか執行の活性化はもちろん必要と思うのですけれども、そこで不足する部分の洗い出しであるとか、関連する法令の改正の必要性などに関して今後検討は予定されているのかという点で、今回対象に取り上げられていないレビュー、広告関係について、少し射程を広く検討される予定はあるのかというのが第2点です。

第3点としましては、官民の協議会につきましては議事録とかが参照できるような形になるのかという点を確認させていただければと思いました。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、よろしいでしょうか。

○消費者庁黒木消費者制度課長 まず、清水委員から1点目、御質問いただきましたのは、販売店の確認というか、調査に関するところについて、何か規定が、想定しているものはあるのかという御質問であったかと思いますけれども、今回の法律案の中では、例えば第3条の、資料1-1で言いますとマル3に該当するものになりますが、条文ですと第3条の1項の3号ということになります。こちらにつきましては、販売業者等がどこの誰であるか分からないみたいなことがあっては困るので、必要に応じて販売業者等の特定に資する情報の提供を求めることも、努力義務という範囲ではございますが、しております。さらに、それについて、このマル3に限りませんけれども、どういう取組をしているのか。実際にどういう確認の仕方、あるいは登録の段階、あるいは定期的になどの確認のタイミング等、取組の方法はプラットフォームによって様々、工夫の余地があろうかと思いますが、それらが、例えばあるプラットフォームではこのような取組を3号に基づく取組として実施しているといった形で、2項に基づいて開示されることによって、これまで消費者から見たときにどのデジタルプラットフォームも同じようなことを全部してくれているはずだとかとか、あるいはその違いが分からないという状況もあったかと思いますけれども、こういう法案が無事成立いたしましたら、むしろそういうことの透明性も確保され、あるいはより消費者が、それぞれ消費者にとってもどういうところにポイントを置きたいかというのは様々だと思いますが、自分に合った取組をしてくれているプラットフォームを選ぶということがしやすくなってきて、そのことがまたプラットフォーマーの取組を促進していくことになっていくのではないかということを期待しているということでございます。

2点目の開示請求権に関しまして、不正の目的で使用する場合はこの限りでないと言っている点につきまして、不正の目的であっても開示しても良いのではないかという御指摘であったかと思いますが、ここでなぜ、この開示請求権がそもそも必要であるかという検討が検討会等でもなされていたかと言いますと、やはり一定のトラブルが起こった場合、物が違っていた、あるいは壊れていたとか、先ほどのような何か損害が発生して、賠償してもらいたいのに連絡がつかないといったことについて、何らかプラットフォーマーにも関与していただく余地があるのではないかということでございまして、トラブル解決のために、まずは売り主に連絡がつくという一歩がそもそもできないと困るところ、そこに、連絡をつけるとか、そういうためにも役立つ情報をプラットフォーマーが持っているのであれば、それを開示してもらう請求権があると役立つのではないかということでございます。検討会等においてそういう検討がされ、このような条文になっているということでございますので、信用毀損をしたいとか、とにかくクレームを言いたいとかという目的のために連絡先を教えろとか、あるいは何でもかんでも情報が欲しいとか、そういうものは対象とはならないと思っております。もちろん、販売業者は、通信販売事業者でございますので、それぞれ特定商取引法に基づいて連絡先というか、自分は何者であるかということは表示義務があるということでございますけれども、ここではそれが間違っていて、あるいはそこでは足りなかった場合に、更に違う情報で連絡を取り得るものがある場合に開示してもらうという目的の内容になってございますので、なかなか不正の目的まで含めてというのは難しいのではないかと考えております。

丸山委員から御指摘いただきましたクラウドファンディングについて、購入型の場合は該当するが、貸付型や寄附型の場合は該当しないという理解で良いかという御指摘がございました。基本的にはそのような御理解でよろしいかと思います。

それから、今回取引デジタルプラットフォームに該当していないようなデジタルプラットフォームについても問題を注視していく体制というものをどういうふうにしていくのかという御指摘であったかと思いますけれども、例えばこの法案との関係で言いましたら、官民協議会が設置された場合にこういう場を積極的に活用していくことがあろうかと思います。そのような中で、具体的に効果的な措置あるいは取組はどういったものなのだろうかという、ステークホルダーそれぞれに必要な取組はどういったものなのかというものをいろいろ議論していく中で、問題の整理、あるいは新たな課題等も見えてくるものがあろうかと思っております。

レビューの問題については、今回、対応に入っていないというのは御指摘のとおりでございます。景表法との関係の整理は、ちょっとすみません。景表法の担当にどういう形で具体的に検討していくのかというものをまた御確認していただいたほうが正確かと思いますが、景表法に基づいた検討も、プラットフォームに限らずですけれども、しかるべく進めていくものがあろうかと思っております。

それから、官民協議会の議事録等が公表されるのかということでございます。官民協議会につきましては、第8条で守秘義務がかかっておりますが、あらゆるものを全てクローズドでしなければならないということを想定しているわけでは全くございませんで、公開でして良いもの、あるいはどういうことが話されているのかというものが透明性を持って開示されてしかるべきものは多々あると思っております。どのような形で運用していくのかというものは官民協議会を設置してから官民協議会において定めていただくことかと思いますが、守秘にしなければならないものは、例えば販売業者等で、ちょっと微妙なのだけれども、こういうものの取扱いをどうしようかとか、そういったセンシティブな情報などについてはクローズドでしたほうが効果的な取組あるいは潜脱を防ぐことができるような場面を想定しております。そういう必要がない場合には積極的に取組を開示していくことが必要ではないかと思っております。

以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、大石委員、生駒委員から御発言があるということですので、大石委員からお願いします。

○大石委員 大石です。御説明ありがとうございました。私からは1点だけ御質問をさせていただきたいと思います。

今回の法律制定によって取引DPFにおける消費者利益の保護については、一歩進んだと感じております。ですが、実は先日、幾つかのデジタルプラットフォーマー事業者の皆様と消費者団体との意見交換会が開催されまして、各事業者さんが、それぞれに消費者保護に向けて努力をなさっているということをお聞きする機会がありました。消費者とのコミュニケーションについても消費者問題の解決に向けて努力をなさっているということで説明を受けたのですが、その折に一つ気になったのが悪質な販売業者(出店者)に関する情報についてです。情報を各事業者間で共有することは必要だろうと思うのですが、そのような仕組みができていない、ということです。多分、これから、できていくのだと思うのですが、この第3条にある取引デジタルプラットフォーマー提供者の努力義務の中に入るのではないか、と思うのですがいかがでしょうか。今後、指針を作成していくときに、このような悪質な販売事業者の情報はデジタルプラットフォーマーに対しても、また、消費者にとっても大変重要な情報であり、市場の正常化には必須の情報だと思います。今後、どのように取り扱っていくのか、社会のために活用できるような仕組みになるのか。まずは努力義務からなのかもしれませんが、指針に入れていただくような方向にあるのかどうかをお聞かせいただきたいと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

すみません。生駒委員、お願いします。

○生駒委員 御説明ありがとうございました。

私は先ほどの清水委員の御意見と重なるところがあるのですが、こうした消費者の被害を未然に防ぐことが非常に重要だと思っておりまして、この第3条の今、販売業者に対して、必要に応じ、身元確認のための情報提供を求めるとあるのですが、これは通常、オンラインプラットフォームの側の皆様が販売業者と取引されるとき、当然、身元確認されていると思います。なので、身元確認というものは最低限のことだと思っているのです。あと、通常、百貨店のような場所、あるいは実際の小売の現場で取引しようとすると、相当厳しい検品があるのです。納品時検品というものがありまして、有害な物質を使っていないかとか、そういったことが結構ハードル高くあるのですが、オンラインになると急にそのハードルが全くほとんどなくなって、身元確認程度で進んでしまうことにやはり危機感を覚えるところがあります。ですので、身元確認及びそういった取り扱う商材の検品的なものの情報提供も求められると良いのではないかと感じました。必要に応じて身元確認だけではなくて、その取扱いされている商品に関する情報も開示していただくということを義務付けしていただけることを希望しますが、いかがでしょうか。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、お答えをお願いいたします。

○消費者庁黒木消費者制度課長 大石委員から御質問いただきました、悪質な販売事業者に関する情報の共有が現在、デジタルプラットフォーマーの間でできていないのではないかということで、それについても努力義務の中に入ってくるのかどうかという御質問であったかと思いますが、これについては恐らく本法案の中では、官民協議会の中に官民協議会の構成員に対して情報の提供あるいは意見の表明、その他、必要な協力を求めることができるとしておりまして、先ほどの第8条の秘密保持義務がかかっている中で、こういう困った販売業者等があるデジタルプラットフォーマーのところにいる、あるいはそこに対して厳しく指摘したら、多分、よそのプラットフォームに流れていくかもしれないといったことも含めて、この官民協議会等で議論いただく、あるいは消費者庁で把握している問題として、こんなものを出品している販売業者等がいて、こういうものは困った問題だと思うのだけれども、どうだろうかということも含めて、この官民協議会の場では御議論いただけるかなと思っております。官民協議会には消費者団体も入るということにしておりますので、消費者団体の視点でも問題提起をし、あるいは御指摘等をいただき、それぞれの取組、どういうことをすればそういう悪質な販売業者等を排除していけるのかということについて、それぞれの必要な取組を協議し、協議の結果に基づいて取組をしていくという形になるのではないかと考えております。

それから、生駒委員から御指摘いただきました、身元確認だけではなくて、その取り扱う商品等の検品等のハードルがオンラインだと大変低いということについては何か考えられることがないのかという御指摘であったかと思います。これにつきましては、いずれも身元確認に関するものと同じレベルで、努力義務の規定ではございますが、第3条の1項の2号がそれに近い形かと思います。ただ、1つ申し上げておきたいのは、検品といっても、デジタルプラットフォーマーが販売業者等により販売されている商品を手元に一旦持ってきて、それを目の前で確認することは現在のプラットフォームの利用の状況から照らしておよそちょっと考えにくいことではないかと思っております。したがいまして、この第3条の1項の2号では、どのようなものが売られているのか、あるいはサービスが提供されているのかということは全てオンラインプラットフォーム上の表示の場面、側面から捉えていくということで、表示に関して消費者からこんな困ったものが売られているとかということを言われた場合に、調査をしっかりした上でそういうものが売られないようにとか、そのような措置を講ずることを努力義務として規定しているということでございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、新川委員、お願いします。

○新川委員 すみません。新川です。よろしくお願いいたします。

よく分かっていないところがあるので教えていただきたいのですが、1つは、第4条で規定されております措置の要請があったときに内閣総理大臣は公表できる規定になっております。この公表の必要性とか、あるいはこの公表が持っているある種の強制力のようなものが期待されているのか。このあたり、法案を検討されるプロセスでもしも何か議論があればお教えいただきたいのが1点目です。要するに、措置要求をしたときにそれが実際に効果のあるものになるのかどうかが気に掛かったのが1点目のポイントです。

2つ目に、第5条のデジタルプラットフォーマーによります情報の提供に関わってですが、提供義務が課せられているのですけれども、この義務履行についてはどのような確保手段があるのかというのが少し気に掛かって、もしもどこかに書かれているのであればお教えいただきたいし、あるいは当面そこまではということであればその理由もお教えいただければと思った次第です。

3点目、最後にしますが、官民協議会について重要だなと思ったのですが、この官民協議会に関して、1つ、デジタルプラットフォーマーを構成員にしていますけれども、デジタルプラットフォーマーの側にこの官民協議会に入る、言ってみれば義務付けとか、あるいはインセンティブとか、このあたりはどういうふうに考えたら良いのか。できるだけデジタルプラットフォーマー団体のようなものに関わっていただく。また、その団体にはできるだけ多くのプラットフォーマーに入っていっていただくとかというのが前提にはなろうかと思いますが、このあたり、ある種の義務的に強制力を持って入っていただくようなやり方も必要なのかもしれないと思ったものですから、この参加者の構成とかというものをいかに確保していくのかがそこでのポイントになるような気がしました。

以上、3点お教えいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、片山委員長代理、お願いします。

○片山委員長代理 ありがとうございます。

私からは1点、今の新川委員の質問とも関連するのかも分かりません。デジタルプラットフォーム提供者に努力義務を適正に実施してもらう仕組みが、じっくり読んでいくといろいろなところに組み込まれているのは理解しました。ただし、プラットフォーム提供者が講じた措置の概要やその実施の状況、その他の内閣府令で定める事項を開示するということも義務付けられていますが、具体的にはどういう形で、どのような内容で、どういう方法でこれが消費者に開示されていくのかというところが分かりにくいので、もう少し具体的にイメージできるようにお教えいただけますでしょうか。よろしくお願いします。

○山本委員長 ありがとうございます。もろもろ第3条からずっと官民協議会のあたりまで、実効性の確保という観点から御質問をいただいたかと思います。

私からもごく基本的なことを1つお伺いしたいのですけれども、先ほど新川委員が第4条の公表について言及されたのですが、この第4条の要請には事業者を義務付ける効果があるのでしょうか、ないのでしょうか。言い換えますと、行政処分なのでしょうか、行政指導なのでしょうかということを確認したいと思います。

それでは、お願いします。

○消費者庁黒木消費者制度課長 すみません。まず、新川委員から1点目に御指摘いただいていましたのは、第4条の要請の公表というものがどういった場合にするということを考えているのか、あるいは公表について、どういった問題意識というか、どういった効果を考えているのかという御指摘であったかと思いますが、この公表というものは何か処分的なものを考えているということではありませんで、やはりこういったものが危ないものとかが、あるいは偽ブランド品とかが出品されていて、そういうものを排除してもらったようなときに、更に似通ったものが別途販売されていたりということもあろうかと思いますし、一遍にはすぐ排除することができないようなこともあろうかと思います。そういう場合に、同種の被害が発生しないように、例えば消費者に向けて、こういう要請をして、こういうものは削除してもらっているのだということをお伝えすることがより効果的であろうという場面もあろうかと思いますので、そういった意味もあって、公表することが効果的であるときには公表するようなことを考えているということでございます。

2点目としまして、第5条の開示請求権についての義務履行の確保がどのようになされているのかという御質問をいただいていたかと思います。第5条につきましては、これは民事上の権利を新たに創設しているものでございます。消費者が開示請求権という民事上の権利を持つということでございます。そういう意味では、民々のことでございますので、消費者が開示請求したけれども、プラットフォーマーが要件を満たしていないと判断して開示してくれないという場合には、最終的には、消費者は裁判所等で請求し、裁判所等で判断していただくことになるということでございます。

3点目は、官民協議会にデジタルプラットフォーマーの団体が入るインセンティブがあるのかという、どうやってその構成を確保するのかという御指摘であったかと思います。なお、デジタルプラットフォーム個社を全て入れることは基本的には想定はしておりません。と言いますのは、かなりの数がいらっしゃると思いますので、そういう意味ではプラットフォーマーが構成する団体が構成員になると思っておりますが、委員御指摘のとおり、その構成する団体がなるべく広くのデジタルプラットフォームをその会員等にしていただいていることが望ましいということはそのとおりであろうと思います。そういうデジタルプラットフォーマーから成る団体が、官民協議会に入るインセンティブがあるのかということかと思いますけれども、この間、いろいろ検討会あるいは検討会外でもプラットフォーマーの方々、いろいろ御意見を伺っているところでは、むしろ入りたくないという御意見をうかがうことはあまりなくて、是非入っておいて、いろいろ、ちゃんと考えていきたいというか、一緒に考えていきたいという御意見が多いような気がしておりますので、どの団体も入られないということはあまり今のところ想定はしていないということでございます。

それから、片山委員長代理から、プラットフォーム、デジタルプラットフォーマーに努力義務があって、それについて尽くしてもらうために開示の仕組み等もあるのであろうという御指摘があったかと思います。その開示のイメージがもう少し分からないかということでありましたが、開示の対象になるものは講じた措置の概要と、それから、実施の状況ということで、例えば3号の販売業者等の身元確認ということであれば、我がプラットフォームでは例えば出店のときにはこういうものを確認している、あるいは何かこういう傾向が見受けられたときには更に確認しているとか、そういった実施していることの概要等を出していただくとかということが考えられるかと思いますけれども、いずれにしましても、何かこうしなければならないということを決めるイメージはございませんで、指針等で様々な有効な取組について例示も含めてお示ししていって、それにも沿っていろいろなこと、あるいはそれを参考にしながら、より良い取組をしていただけるようにということかと思っております。開示の方法につきましては、この開示の対象はデジタルプラットフォームを利用する消費者でございますので、個々の消費者ということにはなりますが、個々の消費者にそれぞれ開示をするというよりは、恐らくプラットフォーム上で分かる形で公表していただくことになろうかと考えております。

それから、山本委員長から御指摘いただきました第4条の要請は行政処分なのかどうなのかということで、行政処分ではないということでございます。こういう要請に応じる義務があるのかと言われると、何をもって義務というのかというのはありますけれども、御覧いただきましたとおり、要請に応じなかった場合に例えば行政処分があるとか何か罰則があるとかというものではございませんので、あくまでも要請ということではございます。こういったものが例えば行政法的にどのような位置付けになるのかというのは、是非委員長に御研究を深めていただいて、御教示いただければと思っております。

○山本委員長 ありがとうございました。あえて要請と書かれているので、どういう意図なのだろうと思ったものですからお伺いしたのです。刑罰はついていませんが、罰則はなくても義務がかかるという制度もあり得ますので、それで確認したということです。

ほかには。

清水委員、お願いします。

○清水委員 ありがとうございます。

相談の現場ではなかなかプラットフォームを信用している消費者が多いので、先ほども申し上げたのですが、新法に期待しているところがあります。しかし、努力義務となりますと、私たちは非常に心配なので、指針をしっかり作っていただきたいと思います。現状として、例えば消費者庁が処分するためにすごく努力してプラットフォームの中の販売店を調べても住所や所在地が分からないという現状があります。以前、大手プラットフォームの中に入っていた偽物ブランドを売っていた13社を処分した際も所在地が分からず、公示送達という形でやっている現状から見ると、やはり努力義務ではなくて、何度もくどいですが、クレジット会社の加盟店の管理義務ぐらいは欲しかったという気がします。

指針をしっかり作っていただくように、よろしくお願いします。

○山本委員長 ありがとうございます。

柄澤委員、お願いします。

○柄澤委員 柄澤です。ありがとうございます。

確認したい点が1点ございまして、この法律による内閣総理大臣と消費者庁長官の委任の関係なのですけれども、基本的には内閣総理大臣というものは第3条に定める指針の策定と官民協議会の組織を所管、それ以外は基本的には消費者庁長官に委任して、いわゆる自動的に対応していく。こういう理解でよろしいのでしょうか。お願いします。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、お答えをお願いします。

○消費者庁黒木消費者制度課長 清水委員から、指針をしっかり作るようにという御意見をいただきました。ありがとうございます。しっかり対応してまいりたいと思います。

1点補足でございますけれども、今回、努力義務とした大きな理由としましては、本日、取引デジタルプラットフォームとして捉える範囲を最初の御説明でも若干述べさせていただきましたが、規模要件等も設けないということで、いわゆるスターター的なプラットフォームも含めて全て入るということと、あと、そこで取り扱われているものにつきましても、商品だけではなくて、サービスでありますとか権利も全て含むということで、かなり幅広く捉えております。そういう意味では規模もいろいろであれば、プラットフォームの性質も様々なものが入ろうかと思っております。そういうときに、一律に罰則等を伴うような義務付けができるのかというのは、なかなか難しく、内容もかなり絞られかねないというか、なかなか捉えるのが難しいと思います。そういった場合に対応の方法としては、そもそも対象とするプラットフォームを例えば大きなところだけに絞ったところからスタートするやり方もあろうかと思いますが、やはり消費者法という観点から考えますと、そこで起こっている問題がプラットフォームの規模が小さければ起こらないとか、そういうものではないと思われますので、そういう意味では、まず新法を作るにあたっては、まず射程範囲というか、取引デジタルプラットフォームは漏れなく捉えるほうが優先するべきということもありまして、そういう意味で努力義務と定めているということでございます。

それから、柄澤委員から御指摘いただきました内閣総理大臣と消費者庁長官への委任関係につきましては御指摘のとおりでございますが、1点補足させていただきますと、内閣総理大臣とここでしておりますのは、いわゆる消費者庁所管の大臣としての内閣総理大臣でございますので、そういう意味では何か特にすごく重くしているとか、そういうことではございませんで、消費者庁の関係する法律は、消費者庁は何々するというときにはおおむね内閣総理大臣はという規定の仕方になっているということでございます。その上で、具体的にこれこれの範囲については消費者庁長官に委任するという規定を置くという形でいつも対応しているということでございます。権限の委任につきましては、御指摘いただきました第11条にその旨を規定しております。

以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

ほかにございますか。よろしいですか。

御説明、御回答いただきまして、ありがとうございました。デジタルプラットフォームが今般のコロナ禍における消費者の生活において、不可欠な取引基盤として非常に重要な役割を果たしている中で、消費者が安全・安心にこれを利用できる環境を早急に整備することが求められていると思います。その点、本法案では、BtoC取引が行われる場である取引デジタルプラットフォームについて、もろもろの規定が整備されたということでした。

今、課長からお話がありましたように、それから、委員の中にもたしかそういう言葉があったかと思いますけれども、とにかく新法ですのし、これが今後のデジタルプラットフォームに関する規律の第一歩になるという意味で、非常に意義が大きいと思います。課長からお話がありましたように、規模要件もありませんので、取引デジタルプラットフォーム事業者であれば、全て幅広い範囲で適用される。それから、商品、役務を含めて適用され、適用範囲の点でも広く網をかけているということに意義があるのではないかと思います。

ただ、他方で、先ほど来、議論があったところですが、第3条に関して、努力義務という形で定められているのですけれども、感じとしては、ここに書かれていることは努力義務ではなく、むしろ義務付けをしても良いような内容がかなり含まれているように思います。その意味ではミニマムなところで、努力義務ではなく、もう一段、先の部分がむしろ努力義務になってしかるべきだったのではないかという御意見がもろもろあったかと思います。

ただ、今回はそこまではせず、とにかく第一歩ということで、先ほど来、議論がありましたが、特に官民協議会において、実質的に、情報の共有をして、情報を出し合って、今後のあるべきデジタルプラットフォームの規律に向けて、更に検討がされていくということかと思います。先ほど丸山委員から少し話がありましたが、例えばCtoC取引は今回の対象にはなっていないということもあります。このことも含めて、今後につなげていくために官民協議会の役割は非常に大きいのではないかと思います。

消費者委員会といたしましても、法案審議の動向、あるいは残された課題への対応等、今後の消費者庁の取組状況について注視し、必要に応じて調査審議を行ってまいりたいと思います。

消費者庁におかれましては、お忙しいところ、審議に御協力いただきまして、どうもありがとうございました。

すみません。柄澤委員から御質問があるようです。

○柄澤委員 お手数を掛けてすみません。

私が聞きたかったのは、この第11条の委任で除く規定があるので、この除く規定によれば、ここは内閣総理大臣権限なのですかということを確認したかっただけで、後ほど文書でも結構です。

○山本委員長 そうですね。

○消費者庁黒木消費者制度課長 はい。御指摘のとおりでございます。

○山本委員長 そういうことです。指針が少し名義は重くしているということです。

よろしいでしょうか。

○柄澤委員 結構です。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、ありがとうございました。

(消費者庁消費者制度課退室、消費者庁取引対策課入室)

○山本委員長 続きまして、消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律案及びこれに関連して詐欺的な定期購入や送り付け商法等の緊急事態下の消費者問題への対応について御審議いただきます。

消費者庁においては、昨年8月に特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会の報告書が取りまとめられ、同報告書を踏まえたこの法律案が今国会に提出されております。

本日は、御説明者として、消費者庁取引対策課の笹路課長にお越しいただいております。お忙しいところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

それでは、20分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁笹路取引対策課長 山本委員長、ありがとうございます。消費者庁取引対策課の笹路でございます。

特商法と預託法などの改正の検討に際しましては、今、委員長からも御紹介ありましたとおり、昨年8月に専門家による委員会の報告書がまとまりまして、その取りまとめの過程でも消費者委員会の皆様からは建設的な議論、御意見を頂戴いたしまして、改めて御礼を申し上げますとともに、その報告書がまとまった後のいろいろな検討の過程でも時宜に応じて消費者委員会の皆様と議論、意見交換させていただいたことにつきましても御礼を申し上げます。

そうした様々な積み重ねを経まして、特定商取引法と預託法、それから、消費者裁判手続特例法の3つの法律を改正する束ね法でございます「消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律案」につきまして、3月5日に閣議決定いたしました。その趣旨、目的、主な内容につきまして、今日は私から御説明させていただきたいと思います。

それから、質疑のときには、この法律改正につきまして実質的に主要な役割を担ってきた課長補佐の落合と関口、この両名とともに委員の皆様からの御質問とか御意見の交換はやり取りさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

それでは、資料2-1、このパワーポイントの資料で1枚、全体の概要をまとめた資料がございますので、これに沿って御説明させていただきます。この資料2-1のタイトルが正に法律案の内容ということになっております。

趣旨ですけれども、その下にございますように、消費者の脆弱性につけ込む悪質商法に対する抜本的な対策強化ということが一つでございます。高齢化の進展とか、あるいは地域経済のいろいろな状況変化、過疎化とか、そこでも高齢化が進んでいたりするわけですが、あるいは若者をターゲットにしたいろいろな新たな商法ですとか、いろいろデジタル経済の中で消費者の誰もが脆弱性を持っているとか、そういう消費者の脆弱性につけ込む悪質商法はやはり社会環境の変化ですとか、あるいは技術革新なども巧みに利用して悪質事業者が新たなそういった悪用という状況が見て取れますので、それについて抜本的に対策を強化するのが一点。

さらに、この1年、正に新型コロナウイルス感染症への対応ということで、国民一人一人の生活も劇的に変化していると言えるのではないかと思っております。我々、新たな日常とかニューノーマルとかというのですけれども、例えば家にいる機会も前に比べると多くなったりする中で、ある意味、そういう状況を悪用するようないろいろな悪質商法の手口も出てきていますし、家にいながらお買い物ができるといったネット通販の需要、あるいは必要性・重要性。これは今までかつてないレベルにまで高まっている。今まで使っていなかった方々、例えばお年寄りなども含めて、そういったネット通販を利用することが非常にバイタルな意味を持ってきている。そういう中で、そういった空間を荒らすような、非常に問題のある手口なども出てきています。こういったものについて、一体として、この特商法と預託法等の改正による規制・制度改革によって消費者被害の防止ですとかフェアな取引環境の実現を図りながら、より望ましい国民の経済社会を作っていくことが今回の法改正の目的でございます。

資料の左側が特定商取引法の主な内容、右側が預託法の主な内容になっています。それから、下に消費者裁判手続特例法の改正内容になっております。

まず、特定商取引法の主な改正内容で、1番目、通販の詐欺的な定期購入商法対策ということを掲げてございます。御承知のとおり、初回無料とかお試し490円とか、非常に入り口は低く、アプローチしやすいような触れ込みでいながら、実は契約をしてみたら何回か購入しなければならない定期購入を余儀なくされて、しかも価格も跳ね上がっているなどといった消費者トラブルが激増しています。2015年と2020年を比較しますと、そのトラブルの増え方は約14倍になっているという、社会問題と言って良いと思うのですが、非常に問題だということでございます。昨年、消費者委員会の皆様からもこの点について意見を頂戴いたしておりまして、それも踏まえて厳格に対処するということで今回の法改正の内容になっております。

まず、定期購入でないと誤認させる表示等につきまして、新たに罰則を設けまして規制を強化するということでございます。罰則を設けますので、直接罰することが可能になると同時に、行政処分も可能でございますので、併せてこうした違反事業者に対しては対処していく。取締り、法執行を強化していくということでございます。

それから、そうした誤認させるような表示とか、いろいろな嘘偽りの表示とかによって誤認して申込みをした場合に、消費者が申込みの取消しをできる制度を今回新たに創設いたしました。これによって消費者被害の回復にも資することとなるのではないかと思っております。この点については、法律の規定があることによって、消費者相談の現場で相談員の方が仲介やあっせんをするときにも、こういう根拠規定を武器として使っていただいて、悪徳事業者から被害の回復を図る、返金をさせるといったことも積極的にやっていけるように少しでも一助となればと思っております。

それから、通信販売の契約の解除の妨害に当たる行為の禁止でございます。定期購入商法でもう一つ典型的なのは、定期購入だということは言っておきながら、いつでも解約できますと言って気安く契約をさせておきながら、実は解約ができない、解除ができないということが起こっているわけで、こういう解除妨害に当たる行為も禁止するということでございます。

こうした誤認させる表示ですとか解除妨害といった行為に対して、適格消費者団体の差止請求の対象にも追加するという改正を行うこととしております。

次に、2番の送り付け商法対策でございます。コロナ禍でマスクが送り付けられて代金が請求される、申し込んでもいないものについてお金を取られてしまうといった被害が起こっております。マスクだけではなくて、生鮮食料品とかも含めて、いろいろな全国の消費者センターに寄せられたトラブルから見ますと、非常に悪質かつ巧妙な詐欺的行為なのですけれども、こういった対策についても必要だということでございます。

現行法の特商法で、販売業者が送り付けた商品等については、14日経過したら返還が求められないといった規定になっているわけで、結果的に消費者は14日保管することを余儀なくされていたわけなのですが、この点については、送り付けなどという行為は認められたものではない。詐欺そのものに該当する場合もほぼ多いでしょうし、何ら正当なものではない。我が国では禁止されている行為と言って良いと思いますけれども、こういった行為について何ら正当性は認められないことから、直ちに消費者が送り付けられたものについては処分が可能になるといった規定に改正することにしております。

3番目は、消費者利益の擁護増進のための規定の整備でございます。

1点目は、消費者委員会から2月に建議もいただきましたが、消費者からのクーリング・オフ通知につきまして、消費者の利便性の確保ですとか消費者の選択肢の拡大という観点から、電磁的方法によるクーリング・オフの行使を可能にする改正を行っております。電子メールでの送付等を想定しておりますけれども、この点につきましては、消費者のデジタル化社会の中での選択肢の拡大に資する規定の整備となってございます。

2番目は、事業者が交付しなければならない契約書面等について、消費者の承諾を得た場合に限って、電磁的方法で行うことを可能にする規定を設けております。この点につきましては、同じく2月の消費者委員会からの建議で、全国の消費者団体の皆さんの御懸念なども踏まえて、非常に厳格な手続が必要なのではないか。例えば承諾を取るときのプロセスですとか、あるいは電磁的方法の具体的な方法の在り方などについて、非常に建設的な建議を頂戴しております。そういった意味で、全国の消費者団体、相談員の方々などの不安とか懸念をこれからも引き続きできるだけ聞きながら、具体的にそういう詳細な制度設計を政令、省令、通達などでするときに、しっかりと消費者保護を一寸たりとも損なうことのないように制度設計をしていく方針で考えてございます。

3番点目マルですが、外国執行当局に対する情報提供制度の創設でございます。ネット通販などでは海外の事業者が日本の消費者に何らかそういう違反行為を行う事例も見られるようになってきているところでございまして、そういった海外の事業者の行為に対しても海外の法執行当局、こうした消費者保護法関連の取締りを行っているような部局ときちんとやり取りしながら、情報を相互主義で提供したり提供してもらったりということが原則になるのですけれども、そのための根拠規定を今回整備することにしてございます。

それから、全体に関わることで、こうした違反事業者に対する行政処分、法執行の強化も大事ですので、法執行を強化するための関連規定の整備も今回、措置を講じてございます。

これが特定商取引法の主な改正内容でございます。

それから、資料の右側が預託法の主な改正内容で、1番目は販売預託の原則禁止でございます。

販売預託については、これも消費者委員会の皆様がそれこそ3年前から2年前にかけて精力的に議論を続けてこられまして、その検討内容も含めて総合的に検討しまして、昨年、有識者、専門家による特商法、預託法の検討委員会でこの販売預託の原則禁止という方向性が打ち出されまして、今回、法律での具体的な規定について整理しまして、改正法案に盛り込んだということでございます。

それで、販売を伴う預託等取引を原則禁止として、罰則を規定するということでございますが、最初の勧誘段階で物品ごとにそういった行為を原則禁止とするとともに、個々の契約締結についても原則禁止とする。例外的に認める場合には、厳格な手続の下で、消費者庁が、事業者が勧誘行為を始めようとするときですとか、あるいは個々の契約を結ぼうとするときに、確認という例外的な行為で認めるという法律の設計になってございます。他方、この販売を伴う預託等取引は、これまでの経験にも鑑みまして、非常に詐欺的な行為が本質的に含まれている。本来的に反社会性を帯びたような行為であるというふうに専門家委員会でも報告書で結論付けているところでございまして、やはり消費者保護あるいは公正な取引という観点から厳格な手続が必要だろうということで、消費者庁の個別の手続の確認に当たっては消費者委員会の意見も聞きながら行いたいと思っております。消費者委員会の委員の皆様、正に消費者問題ですとか関連の法令ですとか、あるいは関連のいろいろな事業の実態等々に詳しい知見・経験をお持ちの委員の皆様の審議も経るとともに、消費者委員会の審議は公開の場でなされていることにも着目しまして、やはり透明性のある場できちんと内容を吟味しながら、こういう例外的措置も講ずることで不測の消費者被害の発生も防止できるのではないかと考えているところでございます。

それから、仮にこの禁止を破って業者が契約してしまっても民事的に無効であるという規定も明示的に整備しているところでございます。

2番目ですけれども、預託法の対象範囲の拡大ということで、現行の預託法の政令で指定された特定商品制を廃止しまして、全ての物品等を対象にしております。

3番目、消費者利益の擁護増進のための規定の整備は、特商法で御説明したような内容を並びで預託法でも今回整備しているところでございます。

あと、行政処分の強化につきましては、預託法で例えば業務停止命令、正確には取引停止命令という言葉を使っていますが、その期間も2年に延長したりですとか、様々な法執行の強化に資する規定の整備、あるいは今まで規制の対象になっていなかったようなものに罰則をつけたりとか、もろもろ規制の強化をしているということで、預託取引一般についてもきちんとディシプリンを強化していくということで今回大きな改正内容となっております。

3番目の法律、消費者裁判手続特例法の改正でございますけれども、これは正に被害回復裁判に資するように、特定適格消費者団体が裁判を追行するときに、こういった特商法とか預託法で違反行為を行って行政処分を行った事業者のケースに、その関連した行政処分の違反行為を記したような書類を消費者庁から特定適格消費者団体に提供することを可能にして、少しでも裁判が迅速かつ消費者保護に資するように進んでもらえるように、こうした書類の提供を可能にする規定を今回、明示的に整備することにしてございます。

この3本の法律を束ねまして一括で改正するということで、今回の改正法案を閣議決定の上、国会に提出しております。

私からの説明は以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、御質問、御意見のある方は御発言をお願いします。

質疑応答の時間は約40分を予定しております。御発言、御回答はなるべく簡潔に行っていただきますよう、よろしくお願いいたします。

それでは、清水委員、お願いします。

○清水委員 清水です。御説明ありがとうございます。

特に今回、販売預託取引を禁止ということで、事件から始まって35年かかったのですけれども、本当にこの改正は相談の現場では待ちに待った結果、今年実現するということで、すごく喜んでいます。罰則規定がついたことも良かったです。特にジャパンライフ、安愚楽牧場等々、犯罪だと思っているので、犯罪で収益を上げたものが、なぜ、被害者に、消費者に戻されないのかというのはいつもテーマだったです。今回、このような改正がされるということで期待しております。

もう一つは、特定商取引法の定期購入です。5年前から非常に相談が多く、社会問題と課長も言っていただいて、共通認識でありがとうございます。どれだけ、この改正を待ったことか。そして、相談員の武器を作っていただいてありがとうございます。また、送り付け商法もしかりです。

ただ、やはり懸念は、先ほど課長もおっしゃっていましたが、書面の電子化です。これにつきましては、いろいろ意見を聞いていただいて、今後、政令や通達の制度設計をしていただけるということなので、一緒に現場の意見も伝えながらお願いしたいと思います。

○山本委員長 ありがとうございます。

そのほかにいかがでしょうか。

丸山委員、お願いします。

○丸山委員 御説明ありがとうございました。丸山でございます。私からも、清水委員が最後に御指摘しておりました消費者の承諾を得ての電磁的方法というところにつきまして、1つ述べさせていただきたいと思います。

紙ではない形を希望される消費者がいるのはそのとおりでございますけれども、今後、省令等を整備していく際に注意してほしいのは、紙に比べてメールの受信などの場合は、消費者は今の社会では有象無象のメールや情報が消費者のところに集まる状況にありますので、読むべきメールを仕分けるコストや読むべき情報にたどり着くコストが実は消費者にかかるということを、この間、行動経済に詳しい先生などとも議論して話したところです。そうなりますと、消費者はそういった不利益について自覚しないまま電磁的方法を承諾することも少なくないことが考えられます。したがって、電磁化に当たりましては消費者の利益を害さないことが出発点にあったと思いますので、実は承諾を得てもなお残る不利益もあるのではないかという点にも注意していただければと思います。

要するに、重要なメールについては読むという意識付けを消費者に具体的にどのように与えることができるのか。クーリング・オフなどの重要な情報については、紙を何気なく開くレベルと同じように消費者に認識を与えるような具体的な制度的手当てがどのようにできるのかということを、省令・政令などを整備する際に、できれば専門家の意見も聞きながら実効的な制度構築を考えていただきたいと思います。

同じような点なのですが、消費者委員会の建議が出てからも全国の相談現場からはやはり懸念が強く寄せられているのが書面ではなく電磁的方法を許容する部分だと思います。海外では訪問販売でも消費者の承諾を得て電磁的方法を許すような国はありまして、そういった先例はあるのですけれども、現場からこれだけ懸念が寄せられるということは日本特有の事情があるかもしれません。この辺は情報収集をしっかりとしていただければと思います。

私からは以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、何かございましたら、お願いいたします。

○消費者庁笹路取引対策課長 ありがとうございます。

清水委員からも丸山委員からも書面の電子化について、政省令、通達の整備のときにしっかり現場の意見も聞きながら、あるいは専門家の意見も聞きながら、消費者利益を害さないように、消費者利益の保護を一寸たりとも後退させないという御指摘をいただいて、正にそういう方向で考えていきたいと思います。

丸山先生のおっしゃった、メールが膨大な、いろいろな有象無象の情報が来て、本当に必要な情報を見つけるのがなかなか大変というのも現実としてあるのは確かにそういうところもあると思いますので、やはり消費者の意識付けに資するようなことがどういうものができるのかということも大事な検討だと思いますし、清水委員のおっしゃった、やはり相談員の皆さんの懸念が現実とならないように、きちんとしっかりとした手続とかルールを細かく今後作っていくということかなと思っております。

あと、できるだけ多くの方の、全国の方のお話、意見も直接聞いていきたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いできればと思っております。

○山本委員長 ありがとうございます。

大石委員、お願いします。

○大石委員 大石です。御説明ありがとうございました。

今回の法改正につきましては、先ほど清水委員もおっしゃいましたように、販売預託の原則禁止ですとか、それから、通販の詐欺的な定期購入商法の対策ですとか、今まで相談員の皆様はじめ消費者が要望してきたことが、このように法律案になったことは大変有り難いことですし、その意味からも、できるだけ早く実効性を持って進めていただいたいと思います。一方、清水委員、丸山先生もおっしゃいましたように、消費者委員会には、いまだに、特商法等での契約書面等における電磁的方法での交付を可能にすることについては、反対する意見書が寄せられております。私が消費者委員会の委員になって、これだけたくさんの反対の意見書が消費者委員会に寄せられることはまず経験がないことです。1月からこの3月に至るまでひっきりなしに、毎週1から2通ということで意見が寄せられていることを見ますと、やはりこの事案がいかに社会的に大きな関心を持たれて、しかも懸念を持たれているかということを正に実感しているところです。

そういう意味で、今回御説明いただいた資料、2-2になると思いますが、この1番の1の1の「販売業者等が契約締結時等に交付すべき書面の交付に代えて、購入者等の承諾を得て」という、この部分がいかに担保されるかという点、まずここに一番大きな論点があると思っております。建議の中にも書かせていただいておりますが、これをいかに担保するかということがまず重要だと考えております。

それから、3のところで書面による電磁的なクーリング・オフも可能になるということを書いていただいて、それは今までにない画期的な方法だとは思うのですけれども、この点についても、はっきりさせていかなければならない論点があると思っております。いつの時点で、どういう方法で、消費者がクーリング・オフの申出を実際にしたのかどうか、その根拠は、ということが大変重要になります。この点については、事業者の皆様にも大変気になる部分だと思いますので、建議を基に、是非具体的な、しかも実効性のある方策について今後検討いただき、納得のいく御説明をいただくことを、必ずお願いしたいと思っております。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

生駒委員、お願いします。

○生駒委員 預託法の原則禁止の法案はすばらしい方向に向かったと思っていますが、これはすばらしいニュースなのですが、どのように皆さんに、一般の消費者の方に周知させていくのか、広めていくのか。広報の方法についてお知らせください。

○山本委員長 ありがとうございます。

もう一方、片山委員長代理、お願いします。

○片山委員長代理 御説明ありがとうございました。また、特商法についても詐欺的定期購入商法対策を厳しくしていただいたり、送り付け商法についても非常に分かりやすい規制の形にしていただいた点については感謝を申し上げたいと思います。

1点、気になるところがありまして、資料2-1パワーポイント資料の3のところで契約書面の電磁的方法による交付を可能にするというのが「消費者利益の擁護増進のための規定の整備」というふうに断定的に表現されていることに正直違和感を覚えました。皆さんから発言があったように、今後の政省令の中で消費者保護を徹底して、真に消費者利益の擁護・増進につながるような、本当に消費者が承諾の意味を理解して、電磁的交付のメリットを自分が享受できるかどうかを本当に理解して承諾した人に限って電磁的方法を可能にするのであれば、それは擁護増進になると思うのですけれども、実はそこに大変な落とし穴があるかも分からないということが大変懸念される中で、このポンチ絵の表現は何とかならないのかというのが正直な感想です。

あとは意見ですが、承諾のところでもう一点、私のほうで御留意いただきたいと思いますのは、以前の建議のときにも申し上げましたが、承諾として評価できるというのは、承諾することによって電磁的方法で契約内容を交付されるのと、現物の書面で交付されるのと、どういうメリット・デメリットがあるのかということをきちんと理解した上で選択できる状態の中でしなければ承諾にならないところが大変重要だと思っています。だから、承諾で、電磁的でもらうほうがメリットなのだというふうに安易に消費者が誤解しないように、そこのところの承諾の取り方、承諾を取るためにどういう情報を消費者に提供すべきなのかというところも今後の政省令の検討の中では十分に御議論いただき、そのことが消費者にきちんと伝わるような整備をしていただくよう、よろしくお願いいたします。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、お願いいたします。

○消費者庁笹路取引対策課長 ありがとうございます。

大石委員と片山委員長代理から書面交付の電子化ですとか、あと、大石委員からクーリング・オフの話も含めてですけれども、正に消費者委員会の建議を基に、消費者保護に資するような実効的な対策は進めていきたいと思います。

片山委員長代理がおっしゃられたように、本当の承諾、電磁的方法で受け取ることのメリットを正確に判断して、その前提となる情報もきちんと提供されて判断することが消費者の承諾があった場合に当てはまることになるわけで、そうではない人が承諾を得たことになるような、落とし穴という表現を使われましたが、そういったことが絶対に生じないような細則を作るべきだというふうにも思っておりますし、しっかり消費者委員会の建議に盛り込まれた事項も含めまして、その承諾の実質的な内容、その前提となるためにどういう情報が必要なのかとか、どういうやり方だったら良いのかとか、あるいはどういうやり方だけだと駄目なのかとか、そういったところについて、きちんと今後の政令・省令、通達の作業では詰めていきたいと思っております。

それから、生駒委員からございました、いろいろ今回、大きく規制・制度を変えていく、改革していくわけで、禁止されるような行為も多いわけで、周知・広報活動は非常に大事な視点だと思います。消費者向けの周知・広報はやはりこれから全国的にいろいろ説明なども行う機会も作っていきたいと思っておりますし、必要に応じてマスメディアとか、あるいはインターネットも活用した広報も消費者庁全体で行っていくことを考えておりますので行いますし、一部、事業者向け、通信販売の事業者の人ですとか、あるいはいろいろなクーリング・オフの電子化の話で言いますと、そういった特商法関連の事業者になりますけれども、そういった事業者への準備の促進につきましても、一般的な広報活動とともに、事業者団体なども通じて周知徹底を行っていきたいと思っております。

あと、当然、全国の警察当局などとも連携しながら法の執行についてもしっかりと体制を整えていきたいと思っておりまして、そういった意味で、この新しい法令の周知・広報・啓発といったものはしっかりやっていきたい。御指摘のとおりで、しっかりやっていくということでございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

清水委員、お願いします。

○清水委員 何回もありがとうございます。

先ほど片山委員長代理が言われたポンチ絵の3のところなのですけれども、電子化のことがここに入っているのは相談員も全て違和感を持っているということを付け加えさせていただきます。質問があるのですが、質問は欄外の消費者裁判手続特例法の改正内容なのですが、これは団訴の団体の支援だと思うのですが、共通義務確認訴訟を支援していただける制度だと思うのですが、もう少し詳しく御説明をお願いします。

○山本委員長 ありがとうございます。

新川委員、お願いします。

○新川委員 新川です。幾つかお伺いしたいことがありまして、詳しく説明いただいたのですけれども、理解が及ばないところがありますので、お教えください。

1つ、大石委員からもございましたが、特商法のクーリング・オフの通知、電磁的な通知でクーリング・オフができるということになっておりますけれども、このクーリング・オフの手続、ある意味では、その効果をどの段階でどういうふうに発現したというふうに見るのか。このあたり、今後の検討課題かもしれませんが、お考えがあればお教えいただきたいというのが1点目。

2つ目は預託法の原則禁止なのですが、例外というものがあります。この場合、厳格にということで御説明はいただいておりましたけれども、どういう厳格性を想定しておられるのか。このあたり、考え方あるいは省令等でどういうふうにされるのかということがもしあればお教えいただきたいというのが2点目。

3点目は、これも今、清水委員からお話がありましたが、特定適格消費者団体への情報提供に関わって、必要に応じて提供されるということになるのですけれども、その場合の必要というものの基準というか、客観的な基準みたいなものはどういうところになるのか、少し気に掛かりました。ある意味では、こうした特定適格消費者団体が適切に機能していくことのために必要な情報基盤という意味合いも持っているのかなと思ったものですから、このところ、消費者庁からどういう基準でもって、恣意的ではなく提供がされていくことが重要かと思っておりますので、このあたりの客観基準について何かお考えがあれば御説明いただければと思った次第です。

以上、3点です。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、よろしいでしょうか。

○消費者庁落合課長補佐 恐れ入ります。お答え申し上げます。

清水委員と新川委員の消費者裁判手続特例法の関係は共通していると思われますので、まずそこから。清水委員から御指摘のあった消費者裁判手続特例法の提供される書類と共通義務確認訴訟との関係なのですけれども、今、特定適格消費者団体が共通義務確認訴訟をされている。その中でどうやって立証をうまくやっていくかということがやはり一つの鍵になるのであろう。その中で消費者が行政処分で行ったような書類、特に特定商取引法とか預託法の場合は、その被害の数とかが多く、金額も多くなってくるので、そういったものに関する行政処分の書類をうまく提供することでそういう共通義務確認訴訟の立証の負担にもつながっていくだろうということが意図としてあります。

それに関して、新川先生から、どういう基準で提供されるのか。恣意的なものも防がなければいけない。それもそのとおりでありまして、法律の条文上も特定適格消費者団体の求めに応じと、あと、その団体が被害回復裁判手続を適切に遂行するために必要な限度に応じてというふうにあります。そういう意味ではその中で行われることになるのですが、もう一つは行政において、そういう法執行の、手法とかが明らかにならないところも加味して、できるだけうまく情報を提供して、特定適格消費者団体の共通義務確認訴訟が円滑に進むようにやっていきたいと考えているということであります。

もう一つ、新川先生から、今回、預託法で販売預託について、当然、原則禁止なわけですけれども、例外的に確認が認められる場合にどういう厳格性を意図しているのかという御質問がありました。これは幾つかの観点がありまして、まず一つは手続において非常に厳格である。これは笹路課長の説明にもありましたとおり、一つは手続の厳格なところということで、消費者委員会の確認もお願いしますし、もう一つは実際に確認する際に、まず勧誘等を行って良いか。そこをまず確認する。その勧誘等の確認を行って良いかというものが認められた上で、実際に行われた勧誘に基づいて、具体的には契約がされる際に、契約の中身も確認して、それで初めて契約が締結できるという意味では、単に契約だけ確認するわけではなくて、まず勧誘を行う。これは事実上、営業を行うことですが、そこをまず確認した上で、それから契約の確認をするというふうに2段階でしっかり担保する。

中身のところも、その行う勧誘の中身になるような契約の内容、あと、事業者の経済的な状況、それから、預託でよくあるような物品がなくなってしまうのを防ぐために、物品の管理体制をしっかり見た上で、最後は契約の締結の際に個別の消費者の事情なども含めて確認するということで、手続と中身の両方において厳格性を担保するというものでございます。

○消費者庁笹路取引対策課長 あと、新川委員からの電磁的方法の通知書、書面の交付とかの効果について御質問があったのですけれども、これは紙での交付と基本的に一緒でございまして、消費者のところに到達したときに効果が発生するという規定になって、これは特商法だけではなくて、ほかのこういった電磁的方法による書面交付に関する法令と同じような規定になっていまして、具体的に言うと第4条の2項とか3項とか、その辺の話でございますが、訪問販売についてはそういうことになっているということでございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

そのほかにございますか。よろしいですか。

1つ、私から確認させていただきたいのですが、今日の資料2-4のちょうど最後に組織犯罪処罰法の改正案がありまして、この趣旨としては、要するに違法収益を剥奪することを想定しているわけですね。

○消費者庁笹路取引対策課長 まず、販売預託の原則禁止規定違反は今回、5年以下の懲役刑が規定されておりまして、それが組織犯罪処罰法の犯罪収益の没収の際の、犯罪収益の定義の規定で4年以上の懲役刑の罪ということで規定されているので、今回、5年以下の懲役なので、まず、犯罪収益の没収はそこで引っかかってきます。更にTOC条約という国際条約に基づいて、そういう組織的な重罪については準備罪も処罰するといった規定になっていまして、その準備罪の適用を受けるものの対象となる法令の各号列記にこの預託法を追加するという意味での、この組織犯罪処罰法に係る今回の法律案での附則での改正に関するものがこの資料2-4の新旧対照表の最後のところになっております。

○山本委員長 ありがとうございます。

それから、これは以前に話をしたことの確認ですけれども、裁判例において、法定されていない方法によるクーリング・オフに関しても、状況によっては、要するに意思が明確であることが証明できれば、クーリング・オフとして効果を認めるといったものがありました。これは要するに、特商法はあくまで消費者の利益のための法律であるので、それを不利に解釈して、それ以外の方法を一切認めないという趣旨ではない。そういう裁判例であったかと思いますけれども、改正後もそのような考えでよろしいのですね。

○消費者庁笹路取引対策課長 山本委員長のおっしゃるとおりでございまして、実務あるいは判例の運用では口頭でも認められたケースがあるということで、今までもそうですけれども、法律で例えば書面によりとか、今回、電磁的方法もあるわけですが、それはあくまでも後々、係争になったときに証拠として残っているほうが消費者保護に資するという趣旨で、万全を期するために、この法令上、法律上は行使の形式を法定しているわけですけれども、口頭でのものが一切認められないとか、そういうことではないということであります。法の趣旨にのっとって、正に判断すべき事柄に実務の世界ではなっていくのだろうと思いまして、山本委員長のおっしゃるとおりであるということでございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

よろしいでしょうか。

御説明、御回答いただきまして、ありがとうございます。今回の特商法・預託法の改正内容に関しましては、先ほど課長からも御指摘がございましたように、消費者委員会でいろいろ意見の発出等を行ってきたテーマでして、悪質なお試し商法については昨年6月に意見を発出しておりますし、販売預託に関しては2年前、もっと前ですか。

○消費者庁笹路取引対策課長 2年前の8月です。

○山本委員長 2年前に意見を発出しておりまして、それに対して非常に丁寧にと言いますか、根本的な対策を取っていただいたと認識しております。

そのほかにも、送り付け商法の問題、あるいは預託法の対象範囲の拡大についても前々からずっと議論があったところであると思いますし、それから、違法収益の剥奪等に関して、今、話がちょっとございましたけれども、これに関しても前からいろいろ議論があったところではないかと思います。そういったことに対して、かなり抜本的に対策を取っていただいたのではないかと思います。

引き続き、消費者庁におかれましては、消費者委員会の意見も踏まえて法律の制定に向けて万全を期していただきたいと思いますし、法律が制定された後の執行に関してもよろしくお願いしたいと思います。

書面の電子化に関しては、2月にやはり消費者委員会が建議を発出したところで、これから法律が制定された場合には政省令ガイドラインの策定といったステップに進んでいくと思います。このことに関しましても建議の中でいろいろ消費者委員会の考えを示しているところでございますので、それを踏まえて、また今日もいろいろ御意見がございましたが、様々な観点から、いろいろな方面から意見を聞いて取り組んでいただきたいと思います。

消費者委員会といたしましても、本日のヒアリング結果を踏まえまして、引き続き関係行政機関の対応や取組状況を精査して、必要に応じて調査審議を行ってまいりたいと思います。

それだけでなく、この預託法改正案では、先ほどの販売預託の原則禁止の例外として、それを認める場合の確認手続に消費者委員会で議論することになっておりますので、消費者委員会として、当然、そこのところは引き続き関心を持って取り組んでいきたいと思います。

消費者庁におかれましては、お忙しいところ、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

○消費者庁笹路取引対策課長 ありがとうございました。

(消費者庁退室)


《3.閉会》

○山本委員長 本日の議題は以上です。

最後に、事務局より、今後の予定について説明をお願いいたします。

○太田参事官 本日も大変御熱心に御議論いただきまして、ありがとうございました。

次回の本会議につきましては、日程が決まり次第、委員会ホームページを通じてお知らせいたします。

以上でございます。

○山本委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)