第339回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2021年2月19日(金)12:58~13:48

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)山本委員長
    (テレビ会議)受田委員、大石委員、片山委員長代理、柄澤委員、清水委員、新川委員
  • 【説明者】
    消費者庁黒木消費者制度課長
  • 【事務局】
    加納事務局長、渡部審議官、太田参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 消費者基本計画の検証・評価・監視(コロナ禍等緊急事態下の消費者問題(4))
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1.開会》

○山本委員長 それでは、少し時間よりも早いのですけれども、皆さんおそろいですので、ただいまから消費者委員会第339回本会議を開催いたします。

本日は、受田委員、大石委員、片山委員長代理、柄澤委員、清水委員、新川委員は13時20分頃出席の予定ですけれども、以上の委員の方がテレビ会議システムにて御出席です。

生駒委員、木村委員、丸山委員が御欠席です。

まず、会議に先立ちまして、本日は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、3密を回避しながら消費者委員会会議室及びテレビ会議システムにより、会議を進行いたします。

また、感染拡大防止の観点から、引き続き一般傍聴者は入れず、報道関係者のみ傍聴していただいて開催いたします。

議事録につきましては、後日、消費者委員会のホームページに掲載いたしますが、議事録が掲載されるまでは、本日の会議の様子を2月22日月曜日15時頃よりホームページで動画配信いたします。

それでは、会議の進め方及び配付資料の確認につきまして、事務局よりお願いいたします。

○太田参事官 本日もどうぞよろしくお願いいたします。

資料は議事次第に記載のとおりでございます。お手元の資料に不足等がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上でございます。


《2.消費者基本計画の検証・評価・監視(コロナ禍等緊急事態下の消費者問題(4))》

○山本委員長 本日の議題は、消費者基本計画の検証・評価・監視の一環として、コロナ禍等緊急事態下の消費者問題のうち、キャンセル問題について御審議いただきます。

工程表では、主に新型コロナウイルス感染症の拡大等の緊急時における対応の強化に係る取組がそれに関連しています。新型コロナウイルス関連の消費生活相談において、各種契約のキャンセルに関する相談が多数発生していたことを踏まえ、不測の事態におけるキャンセル問題に関する消費者庁の対応状況をお伺いするということです。

本日は、御説明者として、消費者庁消費者制度課の黒木課長にお越しいただいております。お忙しいところ御出席いただき、誠にありがとうございます。

それでは、15分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁黒木消費者制度課長 消費者庁消費者制度課の黒木でございます。よろしくお願いいたします。本日は、御説明のお時間をいただきまして、ありがとうございます。

早速ですが、資料に基づきまして御説明させていただきます。資料1と資料2をお配りいただいているかと思います。

まず、資料1に基づきまして、経緯等を含めて簡単に御説明させていただきます。不測の事態における消費者契約のキャンセル料につきまして、消費者庁の消費者契約に関する検討会において御議論いただいた状況の御報告をさせていただきます。

まず、この検討をした経緯でございますけれども、先ほど委員長からも御指摘がございましたが、全国の消費生活センター等において、新型コロナウイルスに関連する解約や解約料に関する相談が多数寄せられていたこと。もう一点、消費者委員会から令和2年5月の消費者基本計画工程表の素案に対する意見の中で、自己都合と評価するのは酷なキャンセルの問題について、消費者契約に関する検討会の検討も踏まえながら対応することという御指摘をいただいていたという状況を踏まえまして、昨年11月と12月の2回にわたりまして、先ほど申し上げました消費者契約に関する検討会におきまして、この検討会の委員の先生方に御議論いただいたということでございます。

御議論に当たりましては、新型コロナウイルス関連のキャンセルに関する事態等を踏まえつつでございますけれども、消費者、事業者双方にとって不測の事態が発生した場合における消費者契約のキャンセルについて、考え方などを検証していってはどうかということで御議論いただきました。

御議論いただくに当たりまして、調査と専門家のヒアリングをいたしました。

調査は、大きく分けると業界団体・業界事業者の調査と消費者の調査がございます。

事業者関係の調査としましては、資料1にもありますけれども、四角で囲っている8つの業界、これはPIO-NETの相談件数は全てが多いというわけではなくて、多いものあるいは少ないものもあるわけですが、そういうものの状況と、あるいは売上げの減少率などの公表資料から分かるものを参考にしながら、例えば売上げは結構減っているはずなのだけれども、相談が少ないという事情なども勘案しながら、8つの御協力いただける業界団体へのヒアリングを消費者庁で行ったということと、業界団体の御協力を得まして、その業界団体に所属の事業者へのアンケート調査を実施していただいたということでございます。

事業者のアンケートにつきましては、そもそも不測の事態に係るキャンセルの規定を定めていますか、どうですかという質問とか、定めていた場合に、今回の新型コロナウイルスに関連してその規定を適用したのか、しなかったのか。あるいは規定を定めていない場合に、なぜ定めていなかったのか、定めていないにしても、コロナ禍で何らかの対応等を行ったのかどうか。あるいはコロナウイルス以外で不測の事態におけるキャンセル料の規定を使った場面として、どういう場合があったか、あるいはそのときにはどういう事情で使ったのか。あるいは規定によらず、自主的にどのような対応をされたのかということをアンケート調査したということでございます。

それから、消費者に対するモニター調査は、令和2年2から6月の間に、事業者のものとおおむねかぶっている業界で、旅行、コンサート・イベント、遊園地・テーマパーク、スポーツクラブ、文化教室、結婚式、飲食店といった関係で、全国のこの期間にキャンセルの経験のある方1,000人にモニター調査を行いました。

モニター調査は、大まかに言いますと、緊急事態宣言前、あるいは今のではなくて、前のでございますけれども、緊急事態宣言中、緊急事態宣言後に分けて、キャンセルをした際に、もともとの取引の金額が最も高かったものについてお伺いしますという形でお聞きしたわけですが、そのキャンセル料等を支払った消費者について、納得して支払ったのかどうかということを随時お聞きしていったという内容でございます。

もう一つ、専門家へのヒアリングを行っております。

1つ目は、ミクロ経済学の観点から、キャンセル料といったものをどのように捉えるかということで、経済学の安田先生にヒアリングをさせていただきました。

安田先生からは、経済学の考え方からすると、リスクに対して強い主体が損害を負担するのが基本原則であり、リスクに対して弱い主体の損害をそうやって補填するのが経済学の観点から見た原則なのであるという御指摘とか、あるいは経済の観点からということですが、望ましいキャンセル料はどのように考えていくのかというときに、リスク負担を重視して、消費者を守りたいと言えばキャンセル料はゼロになるわけだけれども、他方で効率性の観点から一方の極端にいくと、事業者にとってのもうけを全て確保したいということであれば、キャンセル料が高くなるということになりますが、恐らく最適なキャンセル料は、ゼロでもなければ、もうけを全部確保することでもなくて、その間のどこかに当たるのだけれども、それをいろいろな場合に分けて、どれが効率が良いかとかそういうことを考えていけるのだというお話をいただいたということでございます。

それから、丸山先生からは、消費者契約法あるいは民法の原則から考えて、どのように考えていくことができるのかということで、ヒアリングをしていただきました。

丸山先生からは、自己都合ではない不測の事態等におけるキャンセルの問題について、自己都合の場合と別途に考える必要があるのか、あるいはあるとしてもどのような事態を別に考える必要があるのかという問題提起をいただきまして、主に3つの側面から、1つ目が、消費者契約法9条1号の考慮要因との関係でどのように考えていくか。2つ目に、不測の事態等とデフォルトの民法の規範との関係はどうなっているのかという点。3つ目に、消費者契約や消費者の特性を考慮した規範を考えていくのかどうなのかという観点から御見解をいただいたということでございます。

これ以外に、国民生活センターからは、コロナ禍あるいは自然災害時のキャンセルについて、どのような相談事例があるかということの御紹介をいただいたということでございます。

これらの調査結果あるいはヒアリングなどを検討の素材にしていただきまして、先ほどの消費者契約に関する検討会で御議論いただきました。その御意見の概要をまとめたものが資料2になります。

資料2は、この2回を通じてこうするべきという明確な考えがまとまったということではなくて、こんな点からも考えられるとか、こういう観点が重要である等、様々な御指摘をいただきました。私どもとしましては、こういう御意見の状況、あるいは調査結果等も踏まえて、今後、消費者あるいは事業者の皆さんに参考にしていただければと考えているところでございます。

資料2の内容を御紹介させていただきますと、1ページ目の不測の事態におけるキャンセルにつきましてですが、不測の事態といっても一律に考えるのは難しいであろう、特に今回の新型コロナウイルスは、台風あるいは地震とも違う特殊な事例だったのではないかと。

例えば1つ目の「■」(黒シカク)の下にあります3つ目のポツですと、台風とか地震等の災害とは異なって、どこまでのキャンセルが関連してあるのかが想定できないとか、収束時期も分からないといった特徴もあるのではないかという点等の御指摘をいただきました。

それから、1ページ目の2つ目の「■」(黒シカク)では、自己都合と評価されるキャンセルの類型を改めて整理していく必要があるのではないかということで、事業者側が債務を履行できる状況で、消費者側からキャンセルをする場合が自己都合キャンセルだけれども、例えば感染防止等の理由でキャンセルをするような場合は、自己都合キャンセルと呼べるのかどうなのかということで、そういう再整理をしていくのは有益ではないか。

また、十分なコロナ対策が取られている施設でも消費者からキャンセルすることはあるのだけれども、そういう場合が自己都合と言われるのは酷だと言えるのか、どうなのかということも考えていく必要があるという御指摘もあったところでございます。

2ページ目に行きまして「事業者側の対応・取組について」ということで、先ほどの実態調査のヒアリングや事業者へのアンケート調査などでも、規定などがなくてもこんな取組をしましたとか、いろいろなものがあったわけですけれども、そういうものについて、キャンセル条項が存在することを前提としつつも、特別な事態で柔軟に対応するということで、一定数の紛争が未然に防止されているのではないかという御指摘があり、キャンセル料の規定に不測の事態についてのキャンセル料の規定があるのも意味が大きいのではないかという御指摘もありました。

それから、いろいろな柔軟な対応といっても、業種や事業規模によって対応内容はまちまちになる、経営体力の問題もあるという御指摘もあったということでございます。

消費者側の反応につきましても、先ほどの消費者のモニター調査などでも、納得してキャンセル料を払ったというお答えも比較的多くあったわけですけれども、そうは言っても、もともと規約に記載があるから、仕方ないと思って払った人も「納得して」に入っているのではないかとか、事業者側がどのように困っているといった事情が消費者に分からないので、納得できていないという場合もあるのではないかといった御指摘もあったということでございます。

それから、3ページ目で、調査結果等から示唆される事項ということですけれども、契約前に事業者がキャンセル料について十分に説明するのは必要なのではないかとか、先ほども若干述べましたけれども、不測の事態に対応できるキャンセル規定が設けられる方向が望ましいという御指摘、あと、そうはいっても、業界や事業者ごとの対応の規定にばらつきがあり、あるいは業界ごとでこういう対応をしましょうということが定められると、対応のばらつきによって消費者の不公平感が生じないという形になって望ましいのではないか。

ただ、コロナの状況を一般のキャンセルポリシーにどこまで反映すべきかについては、やはり慎重な議論が必要なのではないか。新型コロナウイルスの関係につきましては、事態が収束してから望ましい在り方を検証するのが良いのではないか。今時点で基準を設けることはなかなか難しかろうという御指摘等がございました。

4ページに行っていただきまして、不測の事態におけるキャンセルの整理としてですけれども、状況の場合分けをして考え方を整理することが必要であろうということで、消費者契約の解除が消費者側の事情によるものなのか、事業者側の債務不履行等によるものなのかを分ける、あるいは1回的契約と継続的契約かで区別するべきであるとか、消費者が不当性を感じる理由が、予測できない事態のリスクを負わされるという点で不当性を感じるのか、あるいは自己都合ではないキャンセルの責任を負わされるから不当だと感じるのかというあたりを整理する必要があるのではないかという点。

あるいはリスクの回避可能性という観点から見ると、今回のコロナの件について言いますと、事業者は広くあらゆるものがキャンセルされるということで、実はリスクが負担できない状況になっていて、他方、消費者は、負担することはあったとしても、消費者のリスクが分散されている状況と見ることもできるのではないかという御指摘等もあったところでございます。

それから、事業者、消費者のどちらかの事情として説明することが困難な場合があるのではないかという御指摘もございました。帰責性よりももう少し広い概念としては支配領域とも考え得るけれども、それであっても、消費者の支配領域あるいは事業者の支配領域のどちらにも入らない場面が存在するのではないか、そのような場面でのルールの検討をもっと深掘りしていく必要があろうという御指摘でございます。

それから、5ページに行っていただきまして、一番下の「■」(黒シカク)で、自主的な対応を様々にされていたということもありますけれども、一律に同じような対応をしなければいけないということがコンセンサスでもなかろうという御指摘とか、様々な義務などを超えた対応を行うかどうかというのは、自主的な判断によるしかないだろうという御指摘、とは言え、自主的な解決がある程度図られているから、ルールが要らないというのは違うだろうという御指摘等がございました。

それから、最後のページになりますけれども、6ページは、やむを得ない事情がどういうものか、それぞれの業界で検討していくべきではないかという御示唆、事業者あるいは消費者が不測の事態を理解して、お互いに情報のコミュニケーションに役立てることができればトラブルが減るのではないかという点。それから、不測の事態に対応したキャンセル料の条項であっても、実はカバーされない場合があるのではないかということで、新型コロナウイルスの場合、既知の天災等と異なって、更に未知の事態が起こっているということではないか。そうすると、不測の事態に関するキャンセル料の条項があったとしても、それでカバーされていると見るべきなのか、そうではなくて、合意を超えたところに事情変更を考えていくとすると、そういうところで考えていくものではないかといった御指摘、御示唆。キャンセル料の考え方で、事業者が既に費用をかけている場合に、その部分を賠償していくと考えていく余地はあるかもしれないという御指摘、あるいは民法651条を手がかりとして、逸失利益や得べかりし利益の全てをキャンセル料として取って良いのか、それとも実費を損害の基礎と捉えるべきかということを民法のルールがどうかというものを押さえて、それから消費者契約法に転換した場合に、どう考えるのかを整理したら良いのではないかということ。

あと、最後になりますけれども、現在、キャンセルではなくて延期という対応をしている場合もあるだろうけれども、それも今後、長引いたりすると、やはりキャンセルということになった場合、同じように問題が起こってくるだろうから、延期後のキャンセルなどについても考えていく必要があるのではないかという御示唆等をいただいたということでございます。

私からは以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、御質問、御意見のある方は、御発言をお願いいたします。

質疑応答の時間は、約30分を予定しております。

いかがでしょうか。

それでは、清水委員、お願いします。

○清水委員 ありがとうございます。清水です。

御説明ありがとうございました。現場の相談員としては、現状を御理解いただいていると思います。

1年前ぐらいからキャンセルのトラブルが急増しました。特に、その中で、今の御説明にもありましたが、消費者が契約イコール約款もしくは規約であるという認識がなかったのは、消費者の知識不足もありますけれども、契約時に事業者がしっかりと説明していないことも大きな理由かと思います。

この1年はコロナが悪いわけではない、コロナは誰の責任でもない、不測の事態だということで、全国の消費生活相談員はそのような説明をしながら、個々の取引に対しての業界のルールとか、契約書にどのように書いてあるか等を確認しながら、場合によってはあっせんしてきました。そのあっせん内容は、契約時にきちんと説明がされていないことで何とかキャンセル料を減額してほしいというものでありました。

相談員としては、コロナ禍だからということではなくて、今回、この1年の急増した相談現場を見ますと、本来埋もれていた問題点、これからの超高齢化社会とか成年年齢引下げといったところのぜい弱な消費者をどう助けるかという問題です。今回は、特別に何か手当てというよりは、なかなか相談の現場で使えない消費者契約法ではありますが、付け込みの部分の強化、また、キャンセル料の平均的損害の条項のところの強化が必要です。事業者側がキャンセル料の根拠の情報を出してこないという現実がありますので、是非消契法の強化が必要だとこの1年つくづく思っています。消費者庁におかれましては、その点をどのように考えていらっしゃるか、お聞かせいただけたらと思います。よろしくお願いします。

○山本委員長 それでは、お願いいたします。

○消費者庁黒木消費者制度課長 御指摘いただきました付け込み型の取消しの在り方についてどのように考えていくのか、平均的損害の規定がございますけれども、それについてどのように考えていくのかというのは、先ほどの御説明でも述べました消費者契約に関する検討会で正に今御議論いただいているところでございますので、御指摘なども参考にさせていただきながら議論を進めていただいて、その辺の議論も3クール目ぐらいに入ってきていて、今、皆さんに熱心に御議論いただいているところでございますので、更に検討を深めていっていきたいと考えているところでございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

更にいかがでしょうか。

大石委員、お願いします。

○大石委員 大石です。御説明ありがとうございました。

基本的なことで質問をさせていただければと思います。

先ほどお話しいただいた中の資料2の4ページ目だったと思うのですけれども、どちらの領域にも入らない相談があるという御説明があったと思うのですが、ここのところは具体的にどういう問題がどちらにも入らない問題なのかというところが少し分からなかったので、教えていただければありがたいと思います。お願いいたします。

○山本委員長 それでは、お願いします。

○消費者庁黒木消費者制度課長 具体的に、例えばこんな場面がどちらにも入らない事例ですねという御議論があったわけではないわけでございますけれども、コロナの状況を目の前の状況として想定しながらいろいろと御議論いただいた中では、先ほどの1ページなどで感染防止をしなければいけないので、業者からキャンセルをしたという場合、お店は営業されているけれどもキャンセルしたという場合、それは純粋に消費者の支配領域だったのかというと、そうなのか、どうなのか、感染防止をしなければいけないという事情は、消費者にとってはなかなかコントロールし難いものであろうということがあるなど、一方で、事業者側も例えば債務不履行と言えば事業者側の状況と言えるのかもしれませんが、感染防止あるいは緊急事態宣言下等で、そうはいっても止めなければならないといった場合に、それは事業者の支配領域で、あなたが営業を止めたのだから、事業者側の支配領域ですねと簡単に割り切れるのかはなかなか難しい場合がありますね、という御議論状況だったかと思っております。

○山本委員長 ありがとうございます。

よろしいでしょうか。

○大石委員 はい。ありがとうございます。

おっしゃるように、本当に領域もそうですし、実際にキャンセル料は、事業者側も被害を被る場合もあるので、これは本当に難しい問題だと思っておりまして、本当に案件ごとに検討していかない部分が大変大きいのかなと思って聞いておりました。ありがとうございました。

○山本委員長 ありがとうございます。

片山委員長代理、お願いします。

○片山委員長代理 ありがとうございます。

御説明ありがとうございました。お聞きしていて、本当に難しい問題だと改めて感じました。

教えていただきたい点が2つあります。

一つは、業界団体や消費者モニター調査など、ベースの調査を随分丁寧にしていただいたようですが、特に業界団体へのヒアリングや事業者アンケートの中で、特徴的な考え方、対応をしていた事業者なんか等があったのかどうか。それから、このアンケート結果は、私たちはどんな形で見ることができるのかを教えていただきたいと思いますというのが1点。

もう一点は、資料2の6ページの(7)の1つ目の「■」(黒シカク)の中の3つ目のポツで「今までの法解釈は、科学の発展みたいな知識の変化に追いついていない」と記載されているのですが、これはどのようなことをこれから考えるべきという趣旨で御発言があったのかということをお教えください。よろしくお願いいたします。

○山本委員長 ありがとうございます。

先ほどから大変難しい問題が提起されておりますけれども、よろしくお願いします。

○消費者庁黒木消費者制度課長 全てに十分なお答えをさせていただけるかというのは、ちょっと心もとなくて恐縮なのでございますけれども、1つ目に御指摘いただきました事業者あるいは業界団体へのヒアリングなり、アンケート調査で何か特徴的な取組なり、そういうものがあったかということですが、全体でいえば、まだ皆さんいろいろと模索をされているという状況かなと思いますけれども、中には、業界団体で我が業界団体では、こういう場合はキャンセル料を取らないのだとか、このように取るのだということについて打ち出されて、入っていらっしゃる事業者の皆さんがそれに沿っていたので、そういう場合に消費者も、その業界ではこの場合には取られたのに、こっちは取られていないみたいなトラブルというか、不公平感が比較的少なく済んでいたのではないかというものが見られたりということもございました。

他方で、そうやって決めることが良いのかというと、競争法的な観点からもなかなか問題がある場合もあるのではないかといったこともあるので、業界団体が率先して決めれば良いという問題でもないけれどもということで御議論があったかと思います。

それから、事業者団体、事業者に御協力いただいたアンケート調査の結果、消費者に対するモニター調査の結果は、いずれも「消費者契約に関する検討会」第10回、第11回の検討会の資料として消費者庁のホームページから御確認いただけます。

それから、資料2の6ページの法解釈が科学の発展みたいな知識の変化に追いついていないのではないかという御指摘は、たしか心理学の先生からの御指摘であったと思います。そういう意味では、法解釈だけではなくて、心理学的な学問の成果なども使っていくほうが良いのではないかとか、そういう御関心からの御指摘であったかと思っております。

あと、先ほど御紹介が漏れましたけれども、大石委員からの御指摘で、事業者の支配領域とか消費者の支配領域に入らないものがどんなものかということでちょっと御参考になるかと思いますのは、経済の観点からの見解は、ある意味なかなか面白いというか、皆さん検討会でも新しい視点という形で御関心が深かったかと思っておりますけれども、資料については、それも公開はしておりますので、安田先生のレジュメを御確認いただければと思いますが、様々な場面に照らして、コロナ禍でキャンセルをしなければという事態が起こった場合にも、それが消費者にとって、そうはいってもキャンセルをする期待が大きい場合と、使うほうの期待が大きい場合とか、そういう場合に分けて考えると、事業者側のキャンセル料の設定はこれぐらいにすると一番効率が良いのであるとか、効率というのは事業者にとってという意味ではなくて、社会全体から見た場合に、これが一番経済としては良いのだとか、そういう意味では、ミクロ経済的な観点から考えていくのも、事業者側の責任なのか、消費者側の責任なのかだけでは捉え切れない場面を捉えていくときには参考になる面もあろうかとは思いました。

以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

さらに、ほかにいかがでしょうか。

清水委員、お願いします。

○清水委員 ありがとうございます。

もう一件気になることがあります。コロナ禍で事業者の営業が進まず、取引ができない中で、強引に取引をして、キャンセル料目当てで消費者を困らせるなど、生活に支障を及ぼすような勧誘が増えています。

具体的に言うと、不動産取引で、片や不動産は郊外のマンションが売れているというプラスの面はあるのですが、そうではなくて、キャッチセールスでマンションや戸建ての住宅を売る事業者がいます。契約をその日中にさせて、契約に縛りをつけて、解約料を取る。これは国土交通省の管轄かと思いますが、是非消費者庁に注視していただいて、これは何か法改正というよりは、行政処分の強化みたいなところが必要かと思います。本当に悪質な例です。普通の事業者は話合いができるのですけれども、明らかに付け込み型で、高額な契約をさせて、キャンセル料を取る、もうけるまではいかないのでしょうけれども、平均損害を逸脱した解約料を請求する。

消費生活センターでなかなか解決できないので、弁護士会と連携しながら、弁護士の方に解決していただくというやり方をしています。コロナ禍での事業者の悪質な囲い込みについて、消費者庁はどのように考えられていらっしゃいますでしょうか。よろしくお願いします。

○山本委員長 それでは、お願いします。

○消費者庁黒木消費者制度課長 消費者制度課の範囲でお答えできることはなかなか限られているかと思いますが、一般的に、当然、コロナ禍で特に悪質な事業者による消費者被害が広がって良いということではないと思っておりますので、御指摘等を関係のほうにも伝えまして、なるべく新たな被害とか、そういうものがないようにということはしっかりと注視してまいりたいと思います。

○山本委員長 ありがとうございます。

そのほかにいかがでしょうか。特にございませんか。

どうぞ。

○片山委員長代理 片山です。

先ほど御質問した6ページの一番上の「■」(黒シカク)の3つ目のところにとても関心を持っているのですが、その最初の一文で、要するに事業者、消費者それぞれに不測の事態が発生している中で、それぞれの状況で何が起こっているのかということをお互いが正確に理解して、情報のコミュニケーションに役立てれば、トラブルが減る。要するに、何が公平なのかということの共通理解がそこに生まれてくるのではないかという御指摘かと思って、大変関心を持っているのですが、そのような理解で良いでしょうかということが一つと、そのためには、特に消費者側からすると、今のような不測の事態が起こったときに、事業者側でどういう損害とかどういう経営上の問題が起こってくるのかということを消費者もある程度情報として知り得ることが大事だなと感じたのです。

この検討会の資料は後ほど拝見させていただきますが、それ以外に今回のコロナ禍でいろいろな事業者側に生じている問題、あるいはその客観的な状況を知る上で何か有益な資料がありましたら、教えていただけますでしょうか。ちょっと勉強したいと思いますが、お願いします。

○山本委員長 それでは、お願いします。

○消費者庁黒木消費者制度課長 今の6ページの一番上の「■」(黒シカク)の3ポツ目に関する御指摘は、おおむね御指摘のとおりかと思います。

そのときの委員の御発言等をもう少し詳しめに御紹介させていただきますと、いろいろとヒアリング等を聞いていて、消費者と事業者との間の相互のコミュニケーションがうまく取れていないことによって問題になっている場合が多いのではないかという感じを受けたということで、社会心理学の分野では、人が不測の事態をどのように認知して理解するのかという思考のプロセスや心のプロセスの研究が50年来いろいろとなされていて、そういう整理も進んでいて、人それぞれというのではなくて、どんな情報を受け取って、どのように推論して、どういう結論に至るのかということで、自己責任、自己都合なのか、あるいは天災のような場合なのか、あるいは事業者に帰属する場合なのかというもののパターンを整理してきているという成果もあるのだけれども、そういうものがもう少し反映されていけば良いのだけれども、法律の分野ではなかなかそこまで行っていないのですねといった御指摘があったということでございました。

それから、事業者がどういう状況にあって、どういうことをというのは、私どもでここにこんなまとまった良い資料がありますよというのはなかなか把握していないのが今の状況でございます。できましたら、業界へのヒアリングの内容もそうですし、業界団体に御協力いただきまして、事業者のアンケートを取っていただいたものも、業界団体で独自に工夫をしていただいて、質問項目を作って、この業界ではこういう質問の仕方が良いということで別途質問項目を取っていただいた成果とかも含めて、先ほどの検討会の資料としてアップしておりますので、そういうものを多少なりと参考にしていただければと思います。

以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

清水委員。

○清水委員 ありがとうございます。

コロナ禍という中で、直接的にここに出ている実態調査の中ではないのですが、やはりインターネット取引が増加しておりまして、そこでの解約問題もあります。

最後にお願いなのですけれども、今、特商法の改正が議論されていると思いますので、是非とも定期購入等の問題は表示のみではなくて、取消し権の強化もお願いします。コロナ禍で孤立した消費者がインターネットで買い物をしてトラブルになる、インターネットの契約での解約も強化していただけたらと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

何かありますか。よろしいですか。

○消費者庁黒木消費者制度課長 特商法の改正に向けたということだと思いますので、担当課に御指摘をお伝えさせていただければと思います。

○山本委員長 ありがとうございます。

更にほかにございますか。よろしいでしょうか。

委員の皆様からいろいろと貴重な御意見、御質問をいただきました。

消費者庁では、消費者委員会が昨年5月に発出した意見も踏まえて、キャンセル問題について検討され、各業界団体等に対してヒアリング等の実態調査を行われたということで、ありがとうございます。

先ほど大石委員からも指摘があったのですが、コロナ禍の問題は、普通の災害とも若干違っているところがあって、今日いただいた資料の中にもございましたけれども、普通の災害ですと、直接それによって例えば事業者側が事業活動をできなくなるとか、あるいは消費者側が活動できなくなるというように、どちらの側に原因が生じたかということがはっきりするのですけれども、コロナ禍の場合には、それによって社会全体で活動とかコミュニケーションが抑制、制限されるために、事業者側とか消費者側という区別をすることが容易にできない状況があるのだろうと思います。

そのときに、私の専門分野で申しますと、損失補償という制度があって、これは一方で何らかの公益を実現するために、誰かが特別の犠牲を被っているときには、国が損失を補償する、あるいは自治体が損失を補償するという制度ですけれども、コロナ禍の場合には、言わば皆さんが犠牲を被っているところがあり、事業者側が犠牲を被ったのか、消費者側が犠牲を被ったのかという区別も容易にできない状況があるので、そのままでは使いにくいところがある。そのときに、先ほどもお話がございましたけれども、結局、社会全体において、リスクとか負担をどのように分担、分散していくかという発想で考えなくてはいけないのだろうと思います。

そのときに、先ほどミクロ経済学の観点等のお話がございましたけれども、いろいろな知見を使って考えていかざるを得ないという気がいたしまして、実際にどのように具体的、客観的に基準を作るかということになるとなかなか難しいと思うのですが、少なくとも、先ほど片山委員長代理から何度か御指摘がございましたし、資料2の3ページにも、「契約前に事業者がキャンセル料について十分説明することが必要」であり、その際に、「不測の事態に対応できるキャンセル規定が設けられる方向が望ましい」ということが指摘されております。これは非常に重要なことであると思いますし、さらに、その事態が起きたときに、事業者側がどのような状態であって、消費者側がどのような状態であるといったことについて、お互いに情報を出し合う、コミュニケーションをとることがやはり重要ではないか。事前のコミュニケーションに当たるキャンセル規定の策定とか説明、そして、実際に事態が生じたときのコミュニケーションは、少なくとも必要ではないかという感じがいたします。

あとは、今は本当に状況がいろいろだろうと思いますので、一律に客観的にこうだと言うのはなかなか難しいという感じもいたしますけれども、典型的な場合、想定される場合の考え方を今から整理しておくことは有益ではないかと思います。

これは非常に難しい問題で、本来であれば、消費者庁でもヒアリングをされた丸山委員が御専門なので、丸山委員のお話も伺いたかったのですけれども、今日は御都合で御欠席なので、それがかないませんで、私が素人的なことを若干申し上げるだけになってしまい、大変申し訳ないのですが、この問題は今後も更に続いていく可能性もあろうと思いますので、消費者庁におかれましては、引き続き積極的に検討を行っていただきたいと思いますし、消費者委員会としても、本日のヒアリング結果も踏まえて、引き続き関係行政機関の対応、取組状況を精査し、必要に応じて調査、審議を行ってまいりたいと思います。

消費者庁におかれましては、お忙しいところ、審議に御協力いただきまして、どうもありがとうございました。

○消費者庁黒木消費者制度課長 ありがとうございました。

○山本委員長 どうもありがとうございました。


《3.閉会》

○山本委員長 本日の議題は以上です。

最後に、事務局より、今後の予定について説明をお願いいたします。

○太田参事官 次回の本会議につきましては、日程が決まり次第、委員会ホームページを通じてお知らせいたします。

以上でございます。

○山本委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)