第336回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2021年1月20日(水)11:00~12:26

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)山本委員長
    (テレビ会議)生駒委員、受田委員、大石委員、片山委員長代理、柄澤委員、木村委員、清水委員、新川委員、丸山委員
  • 【説明者】
    公益社団法人全国消費生活相談員協会 増田理事長
    公益社団法人日本訪問販売協会 大森専務理事
    消費者庁笹路取引対策課長
  • 【事務局】
    加納事務局長、渡部審議官、太田参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 特定商取引法及び預託法における契約書面等の電子化について(関係団体等からのヒアリング)
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1.開会》

○山本委員長 皆様、本日はお忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから、消費者委員会第336回本会議を開催いたします。

本日は、生駒委員、受田委員、大石委員、片山委員長代理、柄澤委員、木村委員、清水委員、丸山委員がテレビ会議システムにて御出席です。新川委員はまだ入られておりません。

まず、会議に先立ちまして、本日は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、3密を回避しながら消費者委員会会議室及びテレビ会議システムにより会議を進行いたします。

また、感染拡大防止の観点から、引き続き一般傍聴者は入れず、報道関係者のみ傍聴いただいて開催いたします。

議事録につきましては後日、消費者委員会のホームページに掲載いたしますが、議事録が掲載されるまでは本日の会議の様子を1月21日木曜日15時頃よりホームページで動画配信いたします。

それでは、配付資料の確認につきまして、事務局よりお願いいたします。

○太田参事官 本日もどうぞよろしくお願いいたします。

資料につきましては議事次第に記載のとおりでございます。お手元の資料に不足などございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上でございます。


《2.特定商取引法及び預託法における契約書面等の電子化について(関係団体等からのヒアリング)》

○山本委員長 本日の議題は、前回、第335回消費者委員会本会議に引き続きまして、特定商取引法及び預託法における契約書面等の電子化について審議をいただきます。

当該事案について、実際に消費者からの相談や、会員である事業者に接しておられる関係団体からヒアリングをさせていただきたいと思います。

今回は、公益社団法人全国消費生活相談員協会及び公益社団法人日本訪問販売協会から説明をいただいた後、質疑応答を行いたいと思います。

本日は、御説明者として、公益社団法人全国消費生活相談員協会の増田理事長、公益社団法人日本訪問販売協会の大森専務理事に、テレビ会議システムにて御参加いただいております。

また、質疑応対といたしまして、消費者庁取引対策課の笹路課長にお越しいただいております。

皆様、お忙しいところ御出席いただき誠にありがとうございます。

それでは、公益社団法人全国消費生活相談員協会の増田理事長、公益社団法人日本訪問販売協会の大森専務理事から、それぞれ15分程度で御説明をお願いいたします。

具体的な相談現場において今まで書面の電子交付に関してどのような相談があったか。あるいは特商法、預託法で書面の電子交付をもしする場合に、どのような相談が想定されるかといったことを具体的に今日はお話しいただけると思います。

また、訪問販売協会からは、今まで、書面交付というときに、具体的なやり方等についてそれほど明らかになっておらず、規制改革会議で出た英会話の特定継続的役務提供に関しては具体的に例が出たわけですけれども、それ以外にはあまり例が出ておりませんので、本日は、具体的にニーズとしてどのようなものがあって、どのような形で書面を電子交付することが想定されるかといった点をお話しいただけると、非常に今後の議論の参考になるのではないかと思います。

それでは、それぞれにお願いしたいと思います。

まず、増田理事長からお願いいたします。

○全国消費生活相談員協会増田理事長 全国消費生活相談員協会の増田でございます。本日は、意見を述べる機会をいただきましてありがとうございます。

まず、デジタル化、オンライン化の必要性は十分に承知しておりますし、私自身も利便性を享受しておりますので、デジタル化そのものに反対するものではございません。その上で、契約書面等の電子化について意見を述べさせていただきます。

1番目に、特商法の目的と改正の必要性についてです。

御存知のとおり、特商法は全ての消費者取引を規制しているものではなく、特に消費者トラブルを多発させてきた、そして今も消費者トラブルを発生させている業種を特定して規制しています。行政機関が把握できない様々な事業者が行う取引の中でも、特別に消費者保護が必要な取引類型について規制している業法であって、金融商品取引法や建築士法など、許認可を受けている事業者が行う取引を規制している法律とは根本的に異なります。特商法の法目的に照らして、消費者にとっては、オンライン書面交付の利便性のために改正の必要性やその要望などがあるとは現状では考えられません。

2番目に、オンライン書面交付の場合、書面交付の意義が損なわれる可能性があるということです。

まず、クーリング・オフについてですが、特商法で規制している取引は、いずれも契約内容が複雑で高額な契約となる傾向にあります。消費者は勧誘時の説明や大きく書かれた広告の文言が記憶に残り、デメリットとなる条件や詳細な内容を十分に理解できていないことが多くあります。加えて、特商法で規制されている取引においては、デメリットを説明しない、虚偽の説明をするなどがよく起こっております。消費者は法定書面を受領して、初めて契約の全体を理解して、同時に、その内容を全て自身が守る義務があるということを認識することになりますが、オンラインによる書面交付は一覧性がなく、文字を拡大できたとしても一目瞭然とはなりません。まして、法定書面は何ページにもなります。連鎖販売取引では、概要書面、契約書面等で40ページを超えるケースもあります。そのため、若い人であっても全体を読むために忍耐力が必要です。特に、クーリング・オフの記載を一目で探すことが困難であり、その場合、クーリング・オフの機会を逃す可能性があります。インターネット上の定期購入のトラブルからも分かるように、普通の判断力を持った消費者も、オンラインにおいてはぜい弱な消費者となっています。オンラインによる書面交付は丁寧な説明が欠かせませんが、特商法の取引においてそれを望むことは難しいと考えます。

次に、消費者のリテラシーの問題があります。

オンライン化が急速に進んでいるとはいえ、スマホの利用だけ、しかもネット検索やSNSの利用程度の人が大変多くいます。書面を受領しても保存方法を知らない。スマホを買い換えて紛失する、あるいは、スマホの設定により添付データを受け取れないという相談者によく対面しています。また、プリンターを持っていない、スマホからプリントする方法が分からないということも日々経験しております。

さらに、事業者のサイト内にマイページがあっても、ID、パスワードの管理ができないなど、ID、パスワードを忘れた場合、すぐに提供してくれるかどうかという問題があります。このような状態で、消費者が書面の重要性を理解せずに同意をするということが考えられます。

さらに、特商法の対象となる事業者は小規模の事業者が多いですので、マイページのシステム導入などができるかどうかという問題もあると思います。

そして、「見守り」の機能についてです。

高齢者が自ら守るということが困難であるため、消費者庁は、見守りネットワークの構築を最重要課題としているはずです。家族、ヘルパー等の気付きが重要だとして、研修も広く行っています。そのおかげで、消費生活センターには、家族や訪問介護事業者の方々から、「テーブルの上に不審な契約書があった。本人に聞いてもよく分からないと言う。どうしたらいいか」という相談がたくさん寄せられるようになりました。そうした気付きの機会を失う可能性があります。被害に遭っている意識が乏しい高齢者は、自らスマホを見てほしいと申し出ることは考えにくく、消費者被害を周囲が把握できなくなります。トラブルが顕在化していれば別ですが、本人がトラブルと気付いていない段階で、スマホを見せてもらうということは、ヘルパーにとっては大きな負担ですし、家族であっても簡単ではありません。

「3 インターネット機器の不具合、通信回線事故等」の問題があります。

スマホやパソコン等の機器の不具合で、データを受け取れないなど、保存していても消滅してしまう可能性があります。毎日パソコンを確認する消費者ばかりではなく、書面交付の意味を理解せず、サーバーに入っても見ないままに時間が経過するということがあります。また、迷惑メールフォルダに入ってしまい、確認しないということもあり得ます。特定継続的役務提供や、連鎖販売取引、業務提供誘引販売取引は長期にわたる契約ですが、そうした事故により書面が消失してしまった場合、再交付されるか、改ざんされないかという問題もあります。機器の不具合は消費者の責任になるのでしょうか。また、通信回線事故として、通信事業者が認識する程度の大規模事故であれば交渉は可能ですが、そうではない通信不具合もあり、責任の所在はどうなるのかなど、書面交付の問題に加えて新たなトラブルの要因をつくることになります。

「4 悪質な事業者に利用される可能性」についてです。

法律やガイドライン等で、どんなに消費者トラブルの未然防止を図ったとしても、悪質な事業者は法律の隙間をついたり、故意に違反をしたりすることは、特商法の処分が後を絶たないことから容易に想定されます。

例えば、オンライン書面交付の適合性のない消費者にも、事業者によりオンライン書面交付に誘導されることが考えられます。「同意」のチェックボックスのデフォルトがオンライン書面交付になっていたり、マイページで閲覧するケースでは改ざんされたり、期限を切って削除するなどがあり得ます。書面の改ざんが容易であるため、行政処分をするに当たって確認ができず、迅速な処分につながらない可能性もあるのではないでしょうか。

さらには、メールアドレスやSNSのIDなどを事業者に教えることによって、以降、それらを利用した勧誘、より閉鎖的な状況でトラブルが起きるという可能性も考えられます。

5番目に、消費生活センターの問題があります。

現在、消費生活相談の現場では、来所のほか、ファクスや郵便で契約書を送付してもらうことで契約内容を確認しています。多くの消費生活センターではメールによるやり取りをしていないため、契約書のオンライン書面交付が認められると、契約内容の全貌を把握するだけでも多大な労力を要することになります。また、行政のセキュリティーが高く、メールを受け取れないということがあります。メールで行わないことの理由としては、現状の人材不足という問題もあります。仮に、消費生活センターがIT化の体制整備をされたとしても、相談者自身が契約書をデータで消費生活センターに送付できるかどうかは別問題です。

そして、たとえ法律、施行規則、ガイドライン等で消費者保護を手当てしたとしても違反する事業者はいます。そうした事業者と交渉して被害回復をするのは消費生活相談員ですが、行政処分と違って、悪質な事業者を説得して返金してもらう必要があります。悪質な事業者との取引は現金の支払いが多く、返金は困難を極めています。

今でも書面不交付、書面不備で争っていますが、オンライン書面交付の規制がされたとしても、違反した事業者に「書面交付したとはみなされません。クーリング・オフとして返金してください」と言っても当然認めず、あっせん不調になるのが容易に推測でき、消費生活相談の現場の負担が大変大きくなると思います。

電気通信サービス関連の事例として、ペーパーを1枚出させていただいております。

マル1、価格比較サイトから申し込むと1年後にキャッシュバックするとうたう格安SIMを2個契約した。1個5,000円がキャッシュバックされる。手続案内が迷惑メールフォルダに振り分けられ、気付いたら2週間の手続期間が終了していた。

迷惑メールフォルダに入ったまま確認できなかったという事例です。

マル2、昨日実家の父が家庭訪販で光回線の契約をした。父は脳梗塞で契約が理解できていないと思う。工事日が3日後になっている。解約したいがどうすればいいか。

これは訪問販売でしたので、書面が手交されていたので家族が気付いたと思われます。オンライン書面交付では気付いたときには工事が済んでいるということになりかねません。

マル3、約1年半前、自宅ポストに投げ入れられていたチラシを見て電話して、Wi-Fiルーター機器と通信回線を勧誘され契約した。解約を申し出ると、違約金9,500円とWi-Fiルーター機器の残債3万5000円を請求された。残債は予定外だということです。契約時、書面を受領した記憶もないし、そのような説明は聞いていない。

このケースでは、マイページに書類が届いていたようですが、消費者には説明がなく、見に行かなかったということです。

そして、金融関連の事例としては、保険を勧誘され、タブレットで入力したようだが、何を入力したか分からないという事例がよくあります。

確認したところ、タブレットで申込みの入力をして、書面も受領していたことが分かりましたが、契約したことの認識が薄いということだと思います。

金融商品の取引の場合、現状では、申込みをタブレットで行うということは多くないと思われます。契約するまでには、ヒアリングシート、意向確認書、設計書、契約締結前交付書面、目論見書など複数の書面の記入や資料の確認があり、理解するためには十分な時間が必要です。

生命保険の契約の際にも、商品パンフレット、契約締結前書面、設計書、約款が交付され、契約前と後に意向確認をし、申込書、告知書には署名が必要です。

既にオンラインでの契約申込も普及しつつありますが、商品の仕組みが単純なものであったり、事前に商品の知識を得ているということを前提に契約手続のみをオンラインで行うという方法が多いと思われます。

金融関連の取引では、企業が消費者の理解を求めるための工夫を凝らして、十分な説明をしています。それでも理解していなかった、聞いていないという苦情が寄せられています。

最後になりますが、今回、全国の消費生活相談員である会員に緊急に意見を聴取いたしました。特商法を一番活用しているのは、消費生活相談員です。これまで特商法の改正は消費生活相談員が入力しているPIO-NETの情報や、消費生活相談員からの要請を受け止め、被害の未然防止のために改正が重ねられてきたと考えています。オンラインによる書面交付を可能とする改正については、全国の消費生活相談現場で消費者被害の回復に尽力している消費生活相談員が反対していると御理解いただきたく、お願い申し上げます。

以上でございます。ありがとうございました。

○山本委員長 増田理事長、どうもありがとうございました。

続きまして、日本訪問販売協会の大森専務理事にお願いいたします。

○日本訪問販売協会大森専務理事 日本訪問販売協会専務理事の大森でございます。本日は、こういった機会をいただきましてありがとうございます。

消費者委員会の事務局から事前にいただいています質問が6つございまして、それについて差し支えのない範囲内で御教示いただけますと幸いですという文書がございます。皆さん方のお手元にそのペーパーがあるという前提で、この質問項目に沿って説明をさせていただきたいと思います。

まず、「1 契約書面等の電子化の必要性」ということで、書面等の電子化の必要性はあるかということと、業界紙の中で「業界の念願だった」という記事掲載があったと。対面で行う訪問販売等において、書面等を電子で送る必要性について、それから、消費者または事業者からのそのような要望があったかという点です。

(2)でございますけれども、消費者や事業者から要望がある場合、いつ頃からそんな要望があったのかということでございます。

電子化につきましては、随分以前から当会の事務所に事業者から契約書面等につきまして、ファクスとかあるいはメールで送ることはできないのかという問合せを受けることが結構ございました。その都度、現状では認められていないということをお答えしているわけでございます。

今般のこういった動きは、デジタルの進展とかあるいは環境に配慮していく持続的な社会を目指すという社会的な背景に対応するために、従来の紙ベースの書面交付に加えて電子でできるような検討を今進めていると理解をしておりますけれども、先ほど言いましたとおり、過去よりこういったものを期待している事業者にとっては、ある意味念願がかなうということになろうかと思います。

一方で、業界全体をふかん的に全部見ているわけではないのですが、デジタル化があまり進んでいないという事業者もいて、業界のデジタル化の進度というのは未知数な部分というのもあるわけでございます。今後こうした法整備が一つの布石となって将来に向けてデジタル化が進めば、事業者側の事務処理の効率化というのは当然あって、それともう一つには書面の不備とか不交付などの事故防止にも、ある意味会社の管理面で役立つと思っております。結果として、それらが消費者利益の保護と業界の健全な発展につながるのではないかと考えています。

(2)につきましては、電子化の要望が先ほど事業者からと申し上げましたが、この点については明確な答えを指し示すものはないのですけれども、協会に寄せられてきている問合せは、おおむね、現場の販売員の声を事業者を通じて協会に尋ねてくるということでございますので、当然、その中には消費者の声が反映されているのだろうと思っています。

(3)でございますけれども、その要望がある場合、想定する消費者の年齢層はどのくらいの年代かということなのですけれども、なかなかこの答えをするのが難しいのですが、こういった電子的な作業を基本的にやる場合には通信環境があってそれを活用できる人が形成する年齢層ということになるのではないかなと考えます。

そして、「2 電子交付を行う場合の具体的なプロセス」ということで、訪問販売等において、申込書面、契約書面を電子交付する場合のプロセスというのはどんなことを想定されるかということですが、恐らくは、販売員が勧誘活動の現場で実際にしている、例えばタブレットだとかスマホ、あるいはノートパソコンなどに直接必要な記載事項を記入し、お客さんの電子機器に転送するような方法というのが考えられるのではないかと思っています。

それから、「3 電子交付する際の承諾を得る方法」です。

(1)として、電子交付に関する消費者の承諾を得る方法として、どういうものが想定されるか。

(2)として、トラブルを防止するためには、承諾が形式的なものにならないことが必要だと思われるけれども、どのような方法が良いと思われるかと。「例えば」ということで書いてありますが、これにつきましては非常に法技術的なテクニカルな内容というのでしょうか、そういう点でいうと回答が大変難しいことでありますけれども、電子化をしたことでかえって消費者の皆さん、あるいは健全な事業者の業務に過度な負荷がかかることは避けていただきたいと思いますので、整備を検討される際には、慎重な検討、対応をお願いしたいと考えております。

続いて、「4 電子交付の方法」でございます。

(1)に具体的にどのような電子交付の方法が考えられますでしょうかということで、一つは電子メールに添付をして提供する場合、あるいはファクスのほかで概要書面などはウェブサイトのURLの送信もあるのかなと。ウェブサイトのURLを見ていただきたいという方法もあるのかなというところでございます。

(2)、前記(1)の場合、掲載内容の一覧性を確保する方策等がございましたら教えてくださいという内容でございます。これは先ほどの技術的な問題もあるので私どもが答えて良いのかどうかというのはなかなか難しいところがあるのですが、基本的に紙ベースと電子媒体では基本的に違いがあるのは当然のことなのですけれども、一覧的に見られないという点では、紙ベースでも、例えば、クレジットなんかの契約書面なんかではこれは複数枚になっていますので、これは同じことが言えるのだろうと思います。

また、デジタル交付で行う場合に、例えば、重要な確認事項だとか見やすさというものを求めるのであれば、書面を見ていただく、前書きなんかに注意喚起を行って、適切にしていただく場合の方法などを誘導するということも取れますし、文字のサイズを拡大するということもできますし、紙よりは利点がある部分もあるのではないかと思っています。

次に、「5 クーリング・オフの通知」でございます。

消費者からのクーリング・オフの通知をメールなどの電子的な方法で認めることについてどう考えるかと。懸念点などはあるかということでございます。クーリング・オフの通知の電子化という点は、事業者の持っているデジタル環境に関係なく、消費者がある意味一方的にその通知ということをされる可能性があって、慎重な検討が必要なのだろうと思っています。

例えば、現在、郵送でクーリング・オフの通知をするにははがき、書面で行うということとなっていまして、はがきで送る場合で、我々の相談室もそうですし、消費者センターの方もそうですが、簡易書留によってその証拠性を高めることでやり方を説明されていると思うのですけれども、これを仮にファクスやメールでやった場合に、その証拠性を残す、高めるための手当てというのがどういうものがあるのかなというふうに考えてございます。ですからそういった点も含めて慎重に検討を進めていただければと思っています。

それから、通知自体が契約者本人から行われているのかどうかという判断、どういった内容を通知することで有効な通知となるのかといったことも懸念されます。

最後の6番のその他でございますが、契約書面の電子化というのが、課題と考えられることがあればお教えくださいということです。電子交付が可能となった場合は、これは原則紙ベースという前提で、電子交付というのを選択肢の一つとして取れるということになるわけですけれども、そのときに事業者が電子交付を採用するかという点については、現状、私どもは予測がつきません。仮に法整備が実現した際には、当協会が持っている自主行動基準というのがあって、こういったものについてはさらなる消費者利益の点と業界の健全発展を目指して、必要な見直しをしていく必要性があるのではないかと考えております。

所管官庁におかれましては、法の整備に当たっては、健全な事業者の業務または消費者利益の保護という観点から、過度な負荷がかからないように慎重な御対応をいただければありがたいと思っております。

以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、御質問、御意見のある方はお願いいたします。

ここからの進め方ですけれども、まず、冒頭15分程度で全国消費生活相談員協会への質問、次の15分程度で日本訪問販売協会への質問、最後の15分程度で全体的な質問という形で一応進めていきたいと思います。

それでは、まず、増田理事長への御質問ですけれども、私から一つ伺いたいと思います。

幾つか議論のポイントがあると思うのですが、まず承諾をどう取るか。この点については、電子交付の承諾が実質的に行われなければならないという議論をしており、今日いただいた資料の4ページの下にあります、例えば、デフォルトで電子交付をするのでは実質的に承諾を取ったとは言えないだろうという議論をしておりました。

さらに、今日のペーパーの4ページの下から4行目に、「通信事業者が電子交付に誘導するようなケースが見られる」と書かれているのですけれども、具体的にどういうふうに誘導するケースが見られるかということを教えていただければと思います。

○全国消費生活相談員協会増田理事長 電話勧誘を受けて申込みをしたり、自らメールでの申込みをしたりするわけですけれども、書面は後でメールで送るとか、マイページで見るようにということで書面交付がされるということになります。やはり電話勧誘で契約をした場合、説明が分かりにくいこともあり、現在自分が契約している事業者や大手事業者と勘違いするケースが多く、新たな契約をしたという認識がないことがあります。やはり速やかに書面を郵送していただくということをしないと、はっきりと確認ができないということが現実に起こっていると思います。

○山本委員長 ありがとうございます。

丸山委員、お願いします。

○丸山委員 本日は貴重なお話をありがとうございました。

現場の状況に関して確認をさせていただきたいのですけれども、挙がっている問題事例などを確認しますと、電子で契約をしてしまった、あるいは電子的な方法での書面交付というのを受けてしまったのだけれども、後でアクセスの方法が分からなくなったとか、届いている時期が分からなかったとか、問合せをしても返信がなかったとか、そういった事例というのが挙がっております。これというのは、例えば、電子的な交付がされましたということが何らかの認識できる形でリマインドがされるであるとか、あとはそもそもその業者の対応体制の問題というのがあって、そこがしっかりしている場合には問題の解決ができる事例と考えて良いのか。

もう一回繰り返しますと、こういった問題というのは、例えば、書面を今アップしましたとか、メールで出しましたみたいなリマインドとかがあると解決できるような事例が多かったり、業者に連絡が取れれば解決された事例が多いのか。見守りのところについてはほかの手段ではなかなかカバーできないのかなと思ったのですが、トラブルによっては何らかの対応策がしっかりされるとカバーできる事例もあるという認識で良いのかというところを、御意見をいただければと思いました。

以上です。

○全国消費生活相談員協会増田理事長 家にいるような方は、パソコンを毎日見るという方は少ないと思われます。そもそもスマートフォンでもメールを受け取る設定がどうなっているのかということもありますので、リマインドで来たからといって必ずしも確認ができるというわけではないと思います。スマートフォンからマイページに飛んでそこから確認をするという方法を知らないという方もいらっしゃいますので、リマインドの連絡があったら必ずそれが可能かというのは非常に難しいかなと思います。一部はクリアされることもあるのかなと思います。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、片山委員長代理と生駒委員から質問があるようですので、まず、片山委員長代理にいただいて、その後に生駒委員にいただいて、それで御回答いただくということにしたいと思います。

では、片山委員長代理、お願いします。

○片山委員長代理 ありがとうございます。

貴重な現場の御意見をいただきまして、増田さん、ありがとうございました。

私の質問は1点なのですが、今回の議論というのはオンライン完結型の特定継続的役務提供、英会話学校のことから端を発して議論が進んでいるのですけれども、現場の相談員の皆さんの御意見としては、今日配付されている意見書を見ても、特定継続的役務提供についての電子化というのは非常に消費者被害の拡大につながるおそれがあって問題であるという御意見だと理解しました。今日いただいた意見書の最後のところに、オンライン英会話学校の事例も書いていただいているのですけれども、日本における特定継続的役務提供の被害の状況とか、その背景にあるものを端的にもう一度お教えいただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、生駒委員、お願いします。

○生駒委員 御説明ありがとうございました。

書面の電子化に当たりいろいろなことが起こると予測される中で、消費者が契約時あるいはそのクーリング・オフに関しましても気軽にといいますか、相談できる窓口、連絡先などが必要ではないかと私は感じています。先ほども御説明がありましたが、別に高齢者だけがデジタルに弱いわけではなくて、オンラインでの契約になると、あらゆる瞬間に消費者が弱者になり得るということを考えますと、例えばですが、今は相談員の方の手配も厳しくなっていると聞いていますが、例えば、ITに強い相談員をその窓口に用意するような御予定はあるのか。あるいは、IT担当省庁に対してあるいは政府のDX政策に対して、ITによる産業の振興と並行して消費者の相談を受ける、そういった窓口を設けるべきではないかという働き掛けをなさる、そういった見込みはおありなのでしょうか。そういったことをちょっとお聞きしたいと思いました。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、増田理事長、お願いいたします。

○全国消費生活相談員協会増田理事長 特役につきましては、今は語学であるだけではなくて、今はコロナの時代で家にいることを利用して何かの資格を取ったり学習したりしようということから、例えばプログラミングなどの契約をすることが増えていると思います。そういうことからは、現状で指定されている特役だけではなくて、様々な継続的な役務提供の契約についての御相談というのが増えていると思います。

それから、エステティックなどについても自宅でできるエステとか、自宅でできる医療行為、美容医療ですね。そういうものが契約トラブルとなっているように聞いておりますので、特役だけの問題ではなく、やはり継続的役務提供の問題は広くトラブルが増えているのではないかなと思います。コロナの影響というところがあるのかなと思います。

相談できる場所についてのことですけれども、今、オンラインでの相談ができるようにするということで、オンラインによる紛争解決について、今、国では方向が検討されていると思います。消費生活相談員がITに弱いということではなくて、そもそも行政の消費生活相談窓口のIT化が進んでないということもあります。でもそれは、IT化の体制整備だけ進めばいいということではなくて、メール対応であるとかチャットに対応するとか、そういうことにまで対応する相談員の数がまず少ないという問題があります。消費生活相談員は、非常に深い知識、広い知識が必要だということと、一方で処遇が伴っていないということがありますので、やはりなかなか人材が増えていないというのが、今、全国の地方消費者行政の大きな課題であると認識しております。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、柄澤委員、受田委員の順にお願いします。

柄澤委員、お願いします。

○柄澤委員 ありがとうございます。

増田理事長、御説明大変ありがとうございました。

現場での現状の御懸念というのは大変重要な課題だと改めて認識させていただきました。その上で、御指摘のオンライン化の消費者保護のための規制強化と執行の強化を要望するというのは私も同感でございます。

あわせて、現在課題となっている電子的方法による交付という問題に関しまして、現場において、例えば、電気通信事業法であるとか、私どもの保険業務もそうなのですけれども、電子的方法で良いですよと一回承諾した後に、消費者が改めてそれをやめて、書面による交付を要望しますと言った場合は、それはできる規定になっていると理解しているのですけれども、こういうことが相談の現場で何か活用された事例とか、そういうことによって解決できたような事例というのはないでしょうか。

質問は以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、受田委員、お願いします。

○受田委員 ありがとうございます。

増田理事長、御説明ありがとうございました。

私からは質問なのですけれども、同意取得あるいはクーリング・オフを含めて極めて重要なステップがあると思います。そういうところで増田理事長が先ほど御説明された資料の5ページ、「消費生活センターの問題」として、最後のパラグラフですけれども、今でも書面不交付、書面不備で争っているということなのですけれども、この具体的な内容についてもう少し詳しく教えていただきたいと思います。特に、書面不備ということになりますと、その備えるべき書面の内容としてどういったところに不備が生じているのか。ここが電子的なやり取りになってくると、同様に関連してくることが想定されますので伺えればと思います。

よろしくお願いいたします。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、増田理事長、お願いします。

○全国消費生活相談員協会増田理事長 御質問ありがとうございます。

金融商品、保険関係などの書面のことについては、あまり相談には上がってこないです。ただ、書面を下さいと言ったときに再度交付ができるということを知らないということはあり得ますので、書面が欲しいのだけれどもどうしたら良いかという御相談があった場合には、申入れをすれば交付してもらえますよということになりますし、通常は適切な事業をされている事業者たちですので、申し出したときに当然書面交付してもらえると私たちも信頼しておりますので、そういう助言になるだろうと思います。

もともと、消費者が書面を依頼したときに交付してもらえるという知識がなければ、再交付してもらうという行動につながりませんので、そこまでの丁寧な説明が事前にされているかどうか、そういうことを期待できるかどうかという問題があるだろうと思います。

それから、受田先生から御質問いただきました書面不備、不交付の問題ですけれども、不交付は言葉のとおり、書面を交付したとかしないとかということが、事業者と消費者との間で争いがあるということです。書面がないという、交付されていないということの証明は消費者ではできませんので、書面を交付したという証明を事業者からしていただかなくてはいけませんが、それもなされていないというのが実情で、争いになっているという状況になります。

それから、書面不備に関しましては、特商法で規制されています法定記載事項については非常に細かい記載事項が法定されておりますので、本来であれば、その1つが欠けたとしても違反になります。ですので、問題が大きい場合はその書面を逐一細かく見て、担当者の名前が書いていないとか、この製品の性能について十分に記載されていないとか、そういう問題で書面不備ということもありますし、大きな記載事項の書面不備という問題もあります。これは書面不備ですので、法定書面を交付したとはみなされないので、クーリング・オフとして対応してくださいと言ったとしても、この書面はこれで十分であるという反論がなされますので、そうした場合、最終的には裁判で結果を求めなくてはいけないという状況になりますから、現場においては書面不備でクーリング・オフを勝ち取るということは非常に難しいという状況にあります。

以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

大石委員、お願いします。

○大石委員 ありがとうございます。

増田さん、御説明ありがとうございました。NACSにもたくさんの相談員がおりまして、増田理事長が今おっしゃったことは本当にNACSの相談員も同じようにみんな心配しているところです。

1つ御質問したいのが、最後におっしゃいましたクーリング・オフのことです。そもそもあり得るべきではないというのは分かるのですけれども、今回、クーリング・オフは別途という話になっておりまして、これはやはりクーリング・オフの電子化というのが同時でないということは、消費者保護にすごく反するのではないかと思っているのです。

○太田参事官 大石委員、すみません。通信が途切れましたので、発言をもう一度お願いいたします。

○山本委員長 すみません。それでは、また再度ということにさせていただきます。

それでは、よろしければ、次に、日本訪問販売協会への質問に移りたいと思います。

何か御質問、御意見はございますでしょうか。

それでは、私から一つお伺いしたいのですが、私たちがお送りしたヒアリング事項に沿ってお話をいただいたわけですけれども、その2番に「具体的なプロセス」とございます。これはどういう関心かと申しますと、今、話に出ております英会話学校にオンラインで申し込んで、全部オンラインでサービスを受ける消費者であれば、それは増田理事長の先ほどのお言葉によりますと、消費者のデジタル適合性というのでしょうか、一応デジタル機器にある程度は慣れていて、電子書面が送られればそれに対して適切な反応ができると一応考えられると思うのですけれども、訪問販売の場合はそれが必ずしもない状況の中で、どのようなステップで電子交付をするのか。

例えば、対面でタブレットを出して、「では、電子交付で良いですか。良ければサインしてください。電子交付は便利ですよ」と言ってサインをしてもらって、「今度メールで送っておきますから」、あるいは「マイページ、ここを見ておいてください」という形のプロセスを想定しているのか。具体的にどういうやり取りを想定しておられるのかという点をお伺いしたいと考えました。

そして、3の(1)で、今との関連で申しますと、先ほどもちょっと話が出ておりましたけれども、電話とか口頭で承諾を得るのでは不十分ではないか、あるいはデフォルトで承諾を得るのではやはり不十分でないかという議論があるのですけれども、そういうことで業界としては構わないとお考えかという点をお伺いしたかったのです。

それから、もう一つは、4番の(1)の電子交付の方法ですけれども、現在の電気通信事業法等々においては、例えば、ウェブ閲覧を一定の期間可能な状態にしておけば、電子交付のやり方としては足りると理解されているようなのですが、私たちの議論ではそれではやはり足りないのではないかと。

例えば、メールでPDFファイル添付で送る、あるいはウェブ閲覧だとしてもダウンロードが可能な状態にしておくとか、そういう形で電子交付のやり方はある程度限定すべきではないかと議論しているのですけれども、事業者から見てそれで支障がないとお考えかということをお伺いしたいと思います。

○日本訪問販売協会大森専務理事 御質問ありがとうございます。

まず、3ついただきましたけれども、1つ目の電子交付の方法論ですけれども、これは例えば対面で行う場合に、正に今御指摘があったのと状態はちょっと似ていると思うのですけれども、訪販の場合は対面ですから、その場で例えば入力した情報をお客様のデジタル機器にお送りするというやり方というのが想定できます。これは例えば訪販なんかですと、申込書面とか契約書面とかというのを2度出すことになっていまして、申込書面を出した後に実際には契約書面を出すというふうに法律上はなっています。こういった契約書面は、一旦会社に帰って交付、契約をするかどうかを確認し、契約が成立すればその際にまたお客様の自宅に伺って出す場合というのが現状やっているわけでございますけれども、こうした契約書面を電子媒体で送るというがやり方が1つ考えられます。

また、その場で契約が成立するような場合には契約書面をすぐにその場で出すわけですけれども、その場合でもお客様が電子で送っていただきたいということであれば、その場でお客様のデジタル機器にお送りするということも想定できるのかなと思います。

あと、承諾の方法についてございますけれども、これにつきましては承諾を得たという記録を残す方法として考えられますのは、例えば録音や承諾書等へのサインというのもあり得ると思います。最近は、宅配が使用されているケースというものが結構あって、そういう場合の中でタブレット端末にサインをしてもらう方法というのもあり得るのかなと。状況によってはパソコンの画面で承諾にチェックを入れてもらう方法も考えられるかなと思います。

それから、3つ目の御質問ですけれども、この件に関しましては非常に位置付けが問題でございますので、メールでPDFを送るだとか、ウェブサイトの閲覧等をするということについてどうかというふうに質問を受け止めたのですけれども、それで利用者側の支障がないかという御質問だと思うのですけれども、現状は業界でこういったことをしているということは当然ないわけでありまして、PDFでということとウェブサイトを見られるということであれば、それは支障がないのではないかなと思います。

3番目の御質問に正確に答えられたかどうかはちょっと分かりませんけれども、もしそういう御趣旨であれば支障がないのかなと思います。

以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

3番目の質問は、電子交付を仮に認める場合、その方法を限定しても支障はないかという質問でした。お答えでは、例えばメールにPDFファイル添付といった限定があったとしても、今のところということだとは思いますけれども、特に支障は見当たらないというお答えだったかと思いますが、よろしいでしょうか。

○日本訪問販売協会大森専務理事 はい。

○山本委員長 それでは、御質問を更に受けますが、大石委員、清水委員の順にお願いします。

大石委員の御質問は先ほどの続きですから、それは後にしまして、清水委員、お願いします。

○清水委員 ありがとうございます。

御説明ありがとうございました。訪販協の大森専務理事に意見と質問でございます。

日頃、相談の現場にいますと、訪販協に入っている事業者の会員の苦情は少ないです。いかに訪販協が会員のメンバーに情報提供をしたり、また、特商法が過去に何回も改正しておりますが、その都度、会員の方々に特商法の趣旨を徹底していただいている結果だと思います。

先ほど、自主規制を、万が一電子化になった場合は見直すというお言葉をいただきましたが、万が一電子化になったときには自主規制の強化ということでよろしいでしょうか。

もう一点は、訪販協に全ての事業者が入ってもらえればいいのですが、私たちが現場で交渉する事業者はほとんどが入っていないです。入会の条件というのを簡単に再確認させていただければ幸いでございます。よろしくお願いします。

○山本委員長 それでは、丸山委員にお願いをしてからお答えをいただければと思います。丸山委員、お願いします。

○丸山委員 お忙しいところ御説明ありがとうございました。

私からは2点教えていただければと思います。

契約書面の電子化の要望というのが以前から事業者からは上がっていたということなのですけれども、電子化を進めたいとおっしゃっていた訪問販売の事業者には、扱っている商品とかそういうことについて傾向というのはありますでしょうか。こういう取引についての業者からの要望が多かったといった傾向があったら教えてほしいというのが第1点です。

第2点としましては、電子交付の際の承諾を得るというところです。先ほど方法の限定とかも考えられるのではないかというお話が出ていたところなのですけれども、そういった承諾を得る際に、承諾前の情報提供というのを充実させたほうが良いのではないかという意見があります。こういった承諾前の情報提供であるとか、あるいは先ほども出ていましたリマインドをするということについて、法令とかで難しい場合には自主規制ということになると思うのですけれども、そういった承諾前の情報提供とか、あるいは消費者に気付きを与えるリマインドというものを充実させていくということは、自主規制とかガイドラインのレベルでは可能という印象があるのかどうか。この点を教えていただければと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、お答えをお願いできますでしょうか。

○日本訪問販売協会大森専務理事 どうもありがとうございます。

最初の清水先生からのお話では、会員の苦情が少ないということを大変御評価いただきまして本当にありがとうございます。協会では日頃から法律の改正があれば、その際、またそうではない時期でも問題性のある点については、法律の遵守、また、自主行動基準の遵守等について会員に呼び掛けているという実情がございます。

それと、自主規制を見直すということについてでございますけれども、これは自主行動基準と言っております。これについて強化するという考え方があるのですけれども、法律の内容が仮に改正されたときに、その全容を見て、それに対して法律遵守というために、円滑な遵守をするために、自主行動基準の中に、やや高めのところで自主行動基準の制度設計をしたほうが健全な事業の推進につながるのであれば、多少ハードルが高いところでセットをするということ。

それから、もう一つの入会の条件でございますけれども、基本的に入会の承認を判断する規定があるのですけれども、これにつきましては一番は、苦情等の調査をしていくわけですが、その実態と、それから、そこに対する企業側の相談対応です。その現状を聞かせていただく。その他の特商法関係の書類等につきましては提出いただきますので、そういったものをチェックさせていただくと。その他いろいろありますけれども、そういったチェックをしていき入会を保留するケースも少なくないです。

それから、次の御質問ですが、電子化の希望の傾向について詳細は不明ですが、おそらくは消耗品の業界が傾向としてはあるのではないかなと思います。耐久消費財よりは消耗品のほうがあると感じております。

それから、情報提供の点でございますけれども。

○山本委員長 すみません。通信回線の具合がちょっとよくないようなので、最後の御質問に対するお答えの部分ですかね。

○日本訪問販売協会大森専務理事 承諾の情報提供のところでございますか。

○山本委員長 そうですね、そこからお願いします。

○日本訪問販売協会大森専務理事 分かりました。

情報提供に関しましては、事前情報やリマインドというものも含めて、自主行動基準の中で検討し、しっかり電子交付をする際に必要な事項というものは定めていきたいなと思っています。

以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、大石委員、木村委員の順にお願いしてお答えをいただくことにいたします。大石委員、お願いします。

○大石委員 ありがとうございます。先ほど途中で切れてしまい失礼いたしました。

訪販協からの御説明ありがとうございました。私は1点のみ質問させていただきます。

最後のところでお答えいただきました、今後電子化が進んでいった場合に健全な事業者に過剰な負担にならないようにという御要望があったと思うのですけれども、現時点で考えておられる今回のデジタル化において負担となる部分というのを、訪販協様としてはどのようなものを考えていらっしゃるのかということをぜひ教えていただければと思います。よろしくお願いします。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、木村委員、お願いします。

○木村委員 木村です。ありがとうございます。

御説明ありがとうございます。私からも1点だけ質問させていただきます。

電子交付する際の承諾を得る方法としていろいろな方法があると思うのですけれども、今回、承諾を得るのが原則であるということなのですが、私が懸念しておりますのは、事業者が電子化の方がペーパーを出さなくて良いということで、消費者に紙ではなく、こういうものですよと言って、タブレットなり何なりを出して承諾してねというふうになるのではないかというところですけれども、やはりこの場合、きちんと紙でも良いということを伝えるということをしなければいけないと思っているのですけれども、その辺りのところについて、やはりもう少し詳しく承諾の方法について御説明いただければと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、お答えをお願いいたします。

○日本訪問販売協会大森専務理事 先ほど、どのような負荷が考えられるかということなのですが、これは全体的なことで言えますので、従前の先行した事業形態の中で考えられております事業者の皆さんたちに、通常のケースで考えられているものの規制のほかにそれ以上のことを求められるというのは、それ以上の負荷をかけられるということはちょっと検討いただければと思っております。

それから、2つ目の御質問ですけれども、先ほどの御質問とちょっと共通していますけれども、やはり事前の了解ということを、承諾の取得という点でいえば、これは私どもの業界でもこれは紙でやるということが原則ということで考えておりますので、紙で良いということの前提の中でも電子交付をやれる。そして、電子交付をやれるかということについては、このお客様が本当にそういった電子で受けられると、リテラシーも含めて問題のない方なのかどうかということを踏まえながら承諾を適切に取るということをしていく。同時に併せて、情報の開示をしっかりしていくということ、そういったことをしていくことが大事かなと思っております。

以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、片山委員長代理、お願いいたします。

○片山委員長代理 ありがとうございます。片山です。

専務理事、御説明ありがとうございました。

1点だけ確認というか教えていただきたいことがあります。

先ほどの説明で、以前より事業者から電子交付に関する問合せがあって、そういうニーズがあったんだというお話でしたけれども、一方で、やはり物理的書面での交付と電子交付というのでは、消費者の契約に対する理解度や警告性等、いろいろな訪問販売の問題を回避する上での書面の重要性という点に違いがあるということは十分御認識いただいていると思います。電子化のニーズがあるという中で、協会で以前より、電子交付にした場合の新たな消費者対応であるとか、消費者被害の発生といった問題について検討してこられたということはありますでしょうか。ある場合は、消費者被害の発生に絶対つながらないようにという意識を持った検討はどこにポイントが置かれているのかというところをお教えいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、お答えをいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○日本訪問販売協会大森専務理事 ありがとうございます。

今の御質問で、過去から電子化について、電子的に交付、書面交付できるかという御質問を事業者の方たちから受けているわけなのですが、実際に電子交付ということはできないという現実があるのと、それは特定商取引の中では将来的にそういった問題というか電子交付の規制はないだろうというふうに考えていましたので、今回、特役を端緒にしてこういった話が出てきて、特定商取引全体にその適用をかけていくということを伺って、ある意味、青天のへきれきみたいなものがあって、したがって、従来そういったものの現実感がない中でそういった議論はしてきた経緯はございません。

繰り返しになりますけれども、今後それが本当に実現されたときには、自主行動基準についての整備を進めていくということをしっかりやっていく必要があると思います。

以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、全体を通じて更にいただきたいと思いますが、先ほど、大石委員から増田理事長に対する御質問の回線が途中で切れてしまったので、大石委員、お願いできますか。

○大石委員 ありがとうございます。大石です。

増田様、先ほどは失礼いたしました。

私がお聞きしたかったのは、今回、万が一この検討が進められたときに、やはり消費者保護の面から私はクーリング・オフというのはとても重要だと思っていて、それは別途考えて契約書面だけを電子化するというのはあり得ないと思っているのですけれども、そのクーリング・オフの電子化ということについて、増田理事長はどのようにお考えなのかということをちょっとお聞きしてみたいと思いました。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

ほかに委員から何かございますでしょうか。よろしいですか。

それでは、増田理事長、お願いします。

○全国消費生活相談員協会増田理事長 ありがとうございます。

クーリング・オフをメールで送信するとか、電話で申し入れるということは、今、現実にもそれはクーリング・オフを伝えたと、消費生活センターとしては事業者の方にはそのようにお伝えしています。それが法定されたとしても、それは強く言える根拠になるのかなとは思いますが、それとバーターで認められることで良しとするというレベルのことではないと思っております。クーリング・オフをメールや電話で伝えることが、当然クーリング・オフとして認められることは一つのメリットであるとは思いますが、それをしたということの証明が消費者に課されるわけですから、それを消費生活センターでスマートフォンを持ってきてくださいとか、パソコンの確認をしたいとかということが必要になる可能性はあると思います。それは事業者の方が書面を交付するといった場合に、それも交付した証明をそこの部分でするということも必要になるのと同じではないかなと思います。

以上です。

○大石委員 ありがとうございました。

○山本委員長 ありがとうございました。ほかに委員から何かございますか。笹路課長もおいでなので、笹路課長にも御対応いただけますけれども。

それでは、私から笹路課長にお伺いしたいと思います。

先ほど来、承諾を実質化することが現実にできるのかという点が議論になっていたのですけれども、具体的にどういった承諾の取り方をすれば本当の承諾であるか。この場でもしばしば本当の意味の承諾ということを議論していたと思うのですけれども、具体的にどういう方策を取れば実質的な承諾を得られると想定されるでしょうか。

○消費者庁笹路取引対策課長 山本委員長、ありがとうございます。

まず、お答えする前に、今日は本当に有意義な御意見とか御懸念も含めて増田理事長と大森専務から伺いまして、今日伺った御懸念とか御意見をしっかり踏まえて、デジタル化というものをどうやって消費者の保護とか消費者利益の増進に結び付けていくかということで考えていきたいと思います。制度についても制度改革についても、そういった視点を懸念とかも踏まえてしっかり考えていきたいと思っております。

それから、山本委員長から今ございました承諾の取り方でございますけれども、もちろん詳細なルールはそういう悪徳事業者が潜脱をしたりがすることがないように、あるいはデジタル弱者の方が不当な被害に遭ったり不当な制約を受けたりしないようにということなのですけれども、一つ今の段階で言えることは、消費者が何かフォーマットの決まったものに同意をしていれば、それが事業者と後々トラブルになったときに、消費者の承諾があったという抗弁の根拠にそれだけでなるということではないような制度にしなくてはいけないなと思っております。

要は実質的に本当の意味で消費者が承諾を得たというところがボトムラインで、皆が異論を唱えないところであって、何かに承諾をしたとチェックされていて、それがあるから消費者が承諾したことなのだと仮にトラブルになったときに事業者が主張しても、そういった主張だけで承諾があったと判断されるようなことにはしないようにするのが大事であるということなのだと思います。

そう考えると、何かをしていれば承諾があったというアプローチではないのかもしれないです。ちょっとここはよく議論しないといけないのですけれども、少なくとも消費者と事業者で承諾があった・なしでトラブルになっている、そういう事象が起こっているということは、恐らく本当の意味での承諾はなかったと推定されるのが普通だと思います。何か形式的な要件を満たしたらそれが即座に承諾があったとされるような法制度であっては逆にいけないのではないのかなと思いました。

ただ、この辺は、制度設計というのは細かいところが大事で、法律改正だけではなくていろいろガイドラインとか政省令とか、それこそ今後1年ぐらいかけて考えていくことになりますので、今後よく考えなくてはいけないテーマだろうなと思っております。そういった意味では、山本委員長の御指摘というのは、大事な視点として今後頭の中に置いておきたいと思っております。

○山本委員長 ありがとうございます。

更に委員から何かございますか。よろしいですか。

本日は、大変お忙しいところ長時間にわたりまして御説明、質疑対応をいただきましてどうもありがとうございました。

増田理事長からは、書面交付の意義、消費生活センターの現場への影響など、非常に多岐にわたる御意見をいただき、また、既に書面の電子交付が行われている電気通信事業法、金商法等の関連における消費者トラブルの現状についてお話をいただきました。

それから、大森専務理事からは、実務的な電子化のニーズ、あるいは想定される承諾の取り方とか、あるいは電子交付の方法などについてもお話をいただきました。

この件は、やはりこういった実務上のニーズあるいは先行分野における相談の状況等々を踏まえて検討する必要があるだろうと思います。

幾つかのポイントがあると思うのですけれども、一つは、今もお話がありました、本当の意味の承諾を取れるのか、どういうふうに取るのかという点で、増田理事長からは消費者のデジタル適合性、それから、大森専務理事からは消費者の情報リテラシーを確認した上でというお話がございましたけれども、そこを実質的にどう担保していくのか、いけるのかというところが重要ではないかと思います。

それから、電子交付をする場合の受領、あるいは保存の確実性をどう担保していくのかということ。

それから、これはなかなか難しいのですけれども、一覧性をどう確保するのかということ。

それから、これは恐らく電子交付で確実に確保するのはほぼ不可能ではないかと思いますが、第三者の目を入れる機会。その意義をどう考えるのか。書面ですと家族等の目に入る。それが電子ですとなかなか難しいところがございますので、そこをどう考えるのか。こういったいろいろなポイントがあると思います。

当委員会としては、引き続き本件について調査審議を続けていきたいと思います。

本日は、増田理事長、大森専務理事、そして、笹路課長にはお忙しいところ審議に御協力いただきましてどうもありがとうございました。

それでは、本日の議題は以上です。

最後に、事務局より今後の予定について説明をお願いいたします。


《3.閉会》

○太田参事官 本日は大変御熱心に御議論いただきましてありがとうございました。

また、途中で通信回線が乱れましてお聞き苦しいところが多々ございましたことを改めましておわび申し上げます。

次回の本会議につきましては、日程が決まり次第、委員会ホームページを通じてお知らせいたします。

以上でございます。

○山本委員長 どうもありがとうございました。

それでは、本日は以上となります。お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございました。

(以上)