第335回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2021年1月14日(木)10:00~11:59

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)山本委員長
    (テレビ会議)受田委員、大石委員、片山委員長代理、柄澤委員、木村委員、清水委員、新川委員、丸山委員
  • 【説明者】
    金融庁総合政策局リスク分析総括課フィンテックモニタリング室曲淵フィンテック監理官
    金融庁総合政策局リスク分析総括課資金決済モニタリング室岸本室長
    金融庁総合政策局リスク分析総括課フィンテックモニタリング室鈴木総括補佐
    金融庁監督局銀行第一課和田課長補佐
    消費者庁笹路取引対策課長
  • 【事務局】
    加納事務局長、渡部審議官、太田参事官、友行企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 消費者基本計画の検証・評価・監視(資金移動業者等を通じた銀行口座不正出金事案を踏まえた対応)
  3. 特商法・預託法における契約書面等の電子化について
  4. 消費者委員会ワーキング・グループ設置・運営規程改正
  5. その他(公共料金等専門調査会専門委員の追加任命についての報告)
  6. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1.開会》

○山本委員長 皆様、本日はお忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございます。

ただいまから、消費者委員会第335回本会議を開催いたします。

本日は、受田委員、大石委員、片山委員長代理、柄澤委員、木村委員、清水委員、新川委員、丸山委員がテレビ会議システムにて御出席です。生駒委員は御欠席です。

まず、会議に先立ちまして、本日は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、3密を回避しながら消費者委員会会議室及びテレビ会議システムにより会議を進行いたします。

また、感染拡大防止の観点から、引き続き一般傍聴者は入れず、報道関係者のみ傍聴していただいて開催いたします。

議事録につきましては後日、消費者委員会のホームページに掲載いたしますが、議事録が掲載されるまでは本日の会議の様子を1月15日金曜日15時頃よりホームページで動画配信いたします。

それでは、会議の進め方及び配付資料の確認につきまして、事務局よりお願いいたします。

○太田参事官 事務局でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

資料は、議事次第に記載のとおりでございます。もしお手元の資料に不足などございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願い申し上げます。

以上でございます。


《2.消費者基本計画の検証・評価・監視(資金移動業者等を通じた銀行口座不正出金事案を踏まえた対応)》

○山本委員長 最初の議題は、消費者基本計画の検証・評価・監視の一環として、資金移動業者等を通じた銀行口座不正出金事案を踏まえた対応について御審議をいただきます。

昨年9月に、悪意のある第三者が不正に入手した預金者の口座情報等を基に、当該預金者の名義で資金移動業者のアカウントを開設し、銀行口座と連携をした上で、銀行口座から資金移動業者のアカウントへ資金をチャージするということで不正な出金を行う事案が複数発生いたしました。

本日は、当該事案への対応につきまして、所管官庁である金融庁からお話を伺います。

本日は、御説明者として金融庁総合政策局リスク分析総括課フィンテックモニタリング室曲淵フィンテック監理官、それから、同課資金決済モニタリング室岸本室長、同課フィンテックモニタリング室鈴木総括補佐、金融庁監督局銀行第一課和田課長補佐にお越しをいただいております。

お忙しいところ御出席いただき、誠にありがとうございます。

それでは、金融庁総合政策局リスク分析総括課フィンテックモニタリング室の曲淵フィンテック監理官から、20分程度で説明をお願いいたします。

○金融庁曲淵フィンテック監理官 曲淵でございます。御説明をさせていただきます。

資料1を御覧いただけますでしょうか。

1ページ目をおめくりいただけますでしょうか。

まず、このページでは、今回の不正出金のスキームについて御説明をしたいと思います。

具体的なイメージをお持ちいただくために、今回は、NTTドコモのケースを例に御説明をしたいと思っております。

前提としまして、本日御説明するNTTドコモは、資金移動業者でございまして、資金移動業者というのは、銀行以外の者が100万円以下の為替取引、送金のことですけれども、そういったものを業として行う者のことです。

それでは、中央の赤い枠を御覧いただけますでしょうか。ドコモ口座と書いてございます。

このドコモ口座というのは、利用者が決済サービスを利用するためのアカウントです。

そして、利用者は、これを開設して銀行口座等からドコモ口座に資金のチャージを行って決済を行うと、そういう仕組みになっています。

左側に黒いフードをかぶった悪意の第三者のイラストがございますけれども、この悪意の第三者が何らかの方法で、上にございます被害者の口座番号、キャッシュカードの暗証番号を不正に入手しました。

それを使って、マル2にあるように、被害者の口座名義で、ドコモ口座を作成したということです。

その上で、不正に利用した情報を使用して、銀行のウェブ口座振替サービスを締結して、マル4にあるように、口座のウェブ振替サービスが可能になりますと、預金口座からドコモ口座にチャージができるようになりますので、チャージを行って、マル5にあるように、家電量販店等で使用してしまったという状況でございます。

なお、このウェブ口座振替サービスを申し込みますと、ドコモ口座のホームページから、銀行のホームページの画面へ遷移をするようになっており、銀行のセキュリティを通じたものも利用して手続が進むということになっています。

その関係で、右上の青い枠を御覧いただきますと、口座振替サービスの申込みを受けた場合、銀行によっては、キャッシュカードの暗証番号以外に、※印に書いてございますように、ワンタイムパスワード等の多要素認証を実施しています。

この下線部の多要素認証を若干御説明させていただきますと、文字どおり、複数の要素による認証の方法のことです。

本人だけが知り得る情報、これはパスワード等々ですが、こういったものによる認証の他に、本人だけが所持し得るもの、例えば、銀行に登録済みの電話番号の携帯に、ワンタイムパスワードを送るといった方法による認証、あるいは生体認証等、様々な認証方法があるわけですけれども、そういった認証方法のうち、複数の要素を組み合わせて行う認証のことです。

こういった認証を行っているわけですけれども、他方、今回、被害に遭った、銀行はどうだったかと申し上げますと、キャッシュカードの暗証番号のみで、口座連携が可能であったと。

他方、ドコモ口座ですが、ドコモ口座は、その下に青い枠が書いてございますけれども、ドコモの携帯契約者以外も作成が可能であったわけでございますけれども、下の括弧書きにありますように、携帯電話番号の登録を行って認証するようなSNS認証等は不要でございまして、メールアドレスさえあれば、誰でも作成が可能であったということです。

こういったところが問題点であったということです。

ちなみに、これを預金者から見るとどうなのかというのが、その下に、少し小さい字ですが、記載してございます。こういった事態は、預金者から見ると、悪意の第三者に、自らの知らないところで、自らの名義のドコモ口座を作成されて、自らの銀行口座から不正出金をされて使われてしまったような状態が出現してしまったということでございます。

被害状況と対応です。その下に書いてありますが、ドコモ口座と連携する35行のうち、11行で被害が発生しまして、128件、被害総額2885万円ということでした。

このため、金融庁からドコモ、各銀行に対して、被害者の補償、被害の拡大防止、それから再発防止を適切に実行するように指示をしました。

これを受け、ドコモと銀行が連携をして、全件補償済みでございます。

それから、ドコモでは、全35行と、新規口座登録を停止の上、1要素認証、これは、先ほど申し上げたキャッシュカードの暗証番号のみで連携可能だったということですけれども、そういった17行を含む29行で、ドコモ口座へのチャージを停止したということです。

それから、ドコモと銀行において多要素認証の導入など、本人確認・認証を強化しているという状況です。

ただ、こうした不正出金事案は、他の資金移動業者と銀行等の間でも生じておりました。

このため、2ページ以下に掲げてございますけれども、昨年の9月15日に金融庁から、預金取扱金融機関、資金移動業者双方に対して、不正出金に関する対応について要請を行っています。

2ページ以下、それぞれ預金取扱金融機関、資金移動業者向けに記載をしています。具体的な要請内容については、別途御説明しますので、ここではイメージだけということで、4ページをお開きいただけますでしょうか。

預金取扱金融機関に対する要請文の中で、どういったことを要請したのかということを簡単に御説明します。

4ページのマル1ですけれども、先ほど申し上げたような口座連携に対して、そのプロセスについて、ぜい弱性がないかどうかしっかり確認を行っていただきたいということ。

マル2として、もし、その過程でぜい弱性が見出された場合には、セキュリティの強化を検討してください。そして、セキュリティの強化ができるまでの間は、被害を生じさせないように、新規連携ですとか、チャージを停止していただきたいという話。

マル3として、利用者から相談があった場合には、真摯な姿勢で迅速かつ丁寧に対応していただきたいと、こういったことを預金取扱金融機関、資金移動業者向けに要請をしたところでございます。

5ページ以降は、資金移動業者向けの要請を記載しています。

続きまして、7ページをお開きください。

これは、今般の不正出金事案を踏まえ、これまで銀行と資金移動業者に対して行ってきた具体的な要請の内容、主な内容ですけれども、を取りまとめたものです。

こちらについては、3つの柱がございまして、赤字で書いていますけれども、1つ目は不正防止策の実施、2つ目は補償方針、3番目は利用者の相談体制と、この3つを柱に作成しています。それぞれについて、御説明を差し上げたいと思います。

まず、1ポツの不正防止策の実施ですが、そのうちマル1の相手方の認証方式を含めたリスクの検証、役割・責任の明確化についてです。

今回の事案は、連携先のセキュリティについて相手任せであったことから生じた面があると認識していまして、銀行及び資金移動業者が連携してサービスを行う場合に、不正防止をする観点から、まず、両者が協力をして連携サービス全体についてどのようなリスクがあるかといった点について、しっかり評価を行っていただく必要があると思っています。

その上で、連携サービスについて、連携先と役割分担ですとか、責任の明確化を行う必要があります。

他方、リスク評価の結果、問題があると認められる場合には、その解決までの間、連携サービスを停止する等、利用者の保護上必要な措置を応じていただきたいということです。

2番目が、リスクに見合った適切な認証方式の導入です。

キャッシュカードの暗証番号が流出した原因が現時点でも不明な状態です。

こうしたことを踏まえ、暗証番号が流出していたとしても、直ちに不正出金につながらないように、銀行、資金移動業者側双方に、堅ろうなセキュリティ対策を求めることとしています。

まず、銀行側ですが、認証の強化を求めております。

例えば、固定式のIDパスワードによる本人確認に加えて、ワンタイムパスワードなどの可変式パスワードを用いる方法など、実効的な要素を組み合わせた多要素認証の導入を想定しています。

なお、その下の括弧書きのところに書いていますが、当面、多くの銀行では、キャッシュカードの暗証番号等の記憶要素に加えて、銀行に登録された顧客の電話番号に、可変式パスワードを連絡する方法、IVRというようでございますけれども、こちらの導入を検討していると聞いています。

続きまして、資金移動業者側ですが、本人確認の強化等の実施を求めています。

例えば、eKYCによって、資金移動業者が利用者の本人確認を実施して、銀行に登録されている情報と照合することといったことを想定しています。

そして、このeKYCについては、ちょっと分かりにくいので、その次の8ページに図を作っています。eKYCというのは、electronic Know Your Customerの略でございまして、オンライン上で本人確認を行う技術のことです。

具体的な方法は、8ページに例として掲載していますけれども、こちらでイメージをお持ちいただければと思います。

左上から右下に手続が進むということでございまして、四角い画面がスマートフォンの画面だと想像していただければと思います。

規約同意画面から本人確認の手続に進みますと、まず、本人の容貌を撮影します。

それから、本人と写真つきの身分証を一緒に撮影をする。写真つき身分証明書というのは、例えば、免許証でございますけれども、そういった免許証を、免許証の表面、裏面、厚みについても撮影をして、それを受付センターに送付し、受付センターでしっかり確認を行って、本人確認をするという手続を行うということです。

7ページにお戻りいただきますと、そういったことを想定しているところでございますけれども、括弧書きですけれども、口座連携を行う資金移動業者のうちの多くは、今、申し上げたようなeKYCによって本人確認を行って、その情報と銀行に登録された情報を照合することにより、利用者と預金者の同一性を確認するといった方法を検討していると聞いています。

それから、ここには記載がありませんけれども、犯罪手口は日々高度化、巧妙化しています。従来堅ろうであったセキュリティが、いつ陳腐化するか分かりません。

このため、犯罪手口の高度化、巧妙化を含めた環境変化や不正取引の発生状況を踏まえて、適時にリスクを認識し、例えば、マイナンバーによる公的個人認証ですとか、生体認証の導入も含めて、不断に不正防止策の実効性の向上を検討することを求めているところです。

それから3番目、口座振替契約時の預金者への通知です。

これは、もし、不正な手段により口座連携がなされてしまったとしても、早期に本来の銀行の口座の保有者にその旨の連絡が行けば、被害の防止あるいは被害の減少ができるのではないかと考えられるため、新たに口座連携が行われる場合には、銀行等に登録されている連絡先に通知をすることを求めているわけです。

4番目です。既存の口座振替契約の中に不正に締結されたものが残っている可能性を踏まえた不正防止策の実施というところです。

今まで御説明した再発防止策は、今後新規に口座連携を行う場合の対策ですが、既にチャージを停止した資金移動業者がサービスを再開する場合には、既存の口座振替契約の中に不正に締結されたものが残っている可能性がございます。

このため、再開に先立ち、例えば、資金移動業者において、そういった既存の契約者の方々にもeKYCをもう一度やり直すといったことですとか、提携銀行側で不正な契約がないか確認を行っていただく等、リスクの低減を行っていただくことを求めています。

それから5番目です。不正が疑われる取引の適切なモニタリングです。

不正取引の防止の観点からは、連携先と協力をして、不正な取引の検知やモニタリングというものを行うことが重要です。

具体的には、犯罪手口や事件の発生状況から、適切なシナリオやしきい値を設定して、不正が疑われる取引を早期に検知をするといったことを求めています。

そして、不正が疑われる取引を検知した場合には、連携先と情報共有をして調査を行うとか、必要に応じて、被害のおそれがある利用者へ連絡をするといったことを求めています。

2番目の柱です。補償方針の策定・実施です。

不正防止策をしっかり整備するとしましても、犯罪手口の高度化、巧妙化によりセキュリティが破られ、結果的に利用者に被害が生じるという可能性は今後も排除できないと思っています。

このため、銀行や資金移動業者に対して、あらかじめ不正取引により発生した損失の補償に関する方針を策定していただくこととしています。

そして、その方針を利用者に情報提供するとともに、今回の事例も踏まえて、利用者以外にも容易に知り得る状態に置くことを求めています。

また、実際に利用者等に損失が生じた場合には、連携先と協力をして策定した補償方針に従って、適切かつ速やかに補償を実施するための体制を整備していただくこととしています。

3番目です。利用者相談に真摯に対応するための体制整備です。

今回のような不正出金事案では、直接サービスを利用していないにもかかわらず、被害が発生するような可能性があるので、被害を心配される方への対応は迅速かつ丁寧に行う必要があると認識しています。

このため、連携先に関する相談も含めて真摯な対応を行うための体制整備を求めています。

また、そういった対応を行うためには、連携先と具体的な協力方法や責任関係をあらかじめ明確化しておくことが重要です。

それから、利用者からの相談に関する事例は、貴重な情報ですので、集積、分析をして、リスクの早期検出や対応の改善に、しっかり役立てていただくような体制整備もお願いをしているところです。

さらに、利用者相談の内容や不正事案については、連携先や協会にもしっかり情報共有を行うように求めています。

こうした要請を受け、昨年11月と12月、全国銀行協会と日本資金決済業協会におきまして、被害の速やかな補償を含めて、本事案に対応するための業界指針を策定・公表したところです。

その内容は資料1の後ろに、別紙1、別紙2という形でとじてございますので、後ほど御覧いただければと思います。

現在、銀行や資金移動業者においては、これらのガイドラインを踏まえて、連携先と協力をして、体制整備に注力をしているという状況です。

そして、体制整備が整ったところから、新たな口座連携やチャージの再開を行っているところです。

それから、当庁におきましても、ただいま説明いたしました事項を、ガイドラインや監督指針に盛り込むため、昨年12月25日に銀行向けの監督指針や資金移動業者向けの事務ガイドライン等の改正案のパブリックコメントを公表したところです。

本日は、別紙3として資金移動業者向けの事務ガイドラインを付けています。

今後は、いただいたコメントを拝見して、必要に応じて修正を行い、正式な監督指針等として制定をして、利用者保護の観点から、銀行や資金移動業者に、これに沿った対応を促していきたいと思っています。

すみません、ちょっとお時間が遅れていますけれども、最後、9ページです。

預金者への注意喚起です。

今回の不正出金事案につきましては、先ほど来申し上げていますように、決済サービスを利用していない方も被害に遭う可能性があるということで、国民一般に注意喚起が必要と考え、消費者庁、警察庁及び業界団体と連携をして、右側にあるようなチラシを作成して、10月から広報を行っているところです。

特に御注意いただきたいポイントを、右側のところの太枠の中で整理しております。5点ございます。

まず一番上ですが、被害のおそれのある対象者は、どういった方かということなのですけれども、不正出金はキャッシュレス決済サービスを利用されていない方、インターネットバンキングを利用されていない方も被害に遭われているということで、どなたであっても被害に遭う可能性があるということを注意喚起しています。

また、あわせて、順番は変わりますけれども、4番目の四角で、銀行及びキャッシュレス決済サービス事業者は、悪意のある第三者による不正な出金による被害については、連携の上、全額補償を行っています。そういったことを記載しています。

そして、被害に遭わないための対策としては、2番目になりますが、御自身の銀行口座に不審な取引がないか、取引先の銀行口座の利用明細を確認していただくといったこと。

それから、普段から口座情報の管理に注意をしていただくといったこと。

また、銀行口座に身に覚えのない取引があった場合には、是非とも取引先銀行や利用明細に記載されている業者に相談をしていただきたいということ。

他方、一番下ですが、二次被害の防止も重要でございまして、こうした事案に便乗して、暗証番号を聞き出そうとするような詐欺にも御注意いただきたいといったことをポイントとして掲げています。

それから、一番下に、どこに相談して良いか分からないという方のために、金融庁をはじめとした、相談窓口を掲載しています。是非御利用いただければと思っています。

いずれにしましても、今後とも関係省庁、関係団体と連携をして、不正出金の防止の観点から、しっかり注意喚起についても取り組んでまいりたいと思っております。

すみません、遅くなりました。説明は以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、御質問、御意見のある方は、御発言をお願いいたします。

なお、本日は、若干時間の制約が厳しくなっておりますので、質疑応答時間は30分以内とさせていただきます。

御発言や御回答は、なるべく簡潔に行っていただくことをお願いいたします。

既に、非常に丁寧に御説明をいただいたので、概要は、既に御理解をいただいているのではないかと思います。

それでは、清水委員、お願いします。

○清水委員 清水です。御説明ありがとうございました。

私は消費生活センターに勤務しておりますが、このドコモ事案が入ったときは、最初、何がどうなっているか分かりませんでした。専門家に聞いたり、国民生活センターに聞いたりして、この不正出金のスキームがどうなっているかを探りながらの相談でした。

消費生活センターというのは、最後の駆け込み寺で、社会のアンテナ機能を持っています。最初、電話が入ったときは、ドコモの契約者である、次に電話が入ったときは契約者ではないというような形で、困惑しながら対応しました。

相談者には、まずはドコモに連絡してくださいとお願いしても、通常ですと、また返ってくるケースがありました。企業は冷たいから消費生活センターから言ってほしいというような相談が多かったのですが、今回は、金融庁と、ドコモとの連携により、返ってくる相談が少なかったと感じています。やはり金融庁が言われているように、連携が大事だと思いました。

1つお願いなのですが、今後もこういった事案が増える可能性があります。企業に指示していただいているとは思いますが相談の現場では、早く情報をいただきたい、被害を心配される消費者に真摯に向き合う姿勢というのが大事です。

最初、相談者は不正使用かどうかすごく疑われます。消費者の方が困惑して消費生活センターに相談し、企業に冷たくされたと言われますので、ここのところを強化されていると思っていますが、今後も監視していただくように、よろしくお願いします。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、丸山議員にお願いをいたします。

○丸山委員 私からは、確認が1点だけです。

資料1の7ページのところに挙がっている不正取引のモニタリングに関してなのですけれども、現在、不正取引のモニタリングというのは、普及している決済手段全てにおいて、一定水準で、まだ、行われていないという認識で良いのかという点と、今回の実施要請というのは、口座連携の決済手段に限定されていて、いわゆるチャージ型については、こういったモニタリングと、何らかの要請というのは対象外となっていると、こういう認識で良いのかという点について、確認させていただければと思いました。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、お願いできますでしょうか。

○金融庁曲淵フィンテック監理官 まず、清水先生の御指摘でございますけれども、おっしゃるとおりだと思っておりまして、被害を心配される方が混乱されたり、心配されたりすることがないように、適時適切な情報発信というのは重要だと思っておりますので、今後とも、しっかり対応してまいりたいと思っています。

それから、丸山先生から御質問いただきましたモニタリングでございますけれども、こちらは、通常の場合、チャージ型の場合も既に資金移動業者において、質は、いろいろとばらばらなところはありますけれども、取り組んでいるところでございまして、自らのお客様の口座が不正利用されていないかどうかというのは、資金移動業者は、チェックをしているという状況でございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、木村委員、お願いします。

○木村委員 木村です。御説明ありがとうございます。

消費者にとって、今回問題だったのは、自分がドコモ口座も何も使っていないのに、どうしてというところだと思うのです。

やはり利用していない方が被害に遭うということが、今回、大変問題だと思っております。

資料の9ページで御説明ありましたけれども、皆さんに注意喚起ということで、ウェブサイトに書いてあるのですけれども、やはりウェブだけではなくて、まだ被害に気がついていない方がいらっしゃると思うので、いろいろな媒体で、是非、今後も広報をお願いしたいと思います。

1点、質問なのですけれども、資料の7ページで、1のマル3のところで、口座振替契約時の預金者の通知とあるのですけれども、これはどのような形で通知がいくのでしょうか。文書なのか、メールなのか、そこを教えていただければと思うのですけれども、よろしくお願いいたします。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

他に、ございますでしょうか。

大石委員、お願いします。

○大石委員 ありがとうございます。大石です。1点だけ質問をお願いいたします。

私も7ページのところです。不正防止策の実施のマル5番で、不正が疑われる取引が今後起きたときに、被害のおそれがある利用者へ通知をするというお話があったと思うのですけれども、どういう通知の仕方をされるのかというところが大変気になりましたので、1点教えてください。

以上です。

○山本委員長 片山委員長代理、お願いします。

○片山委員長代理 ありがとうございます。御説明ありがとうございました。

1点質問ですが、4ページの最後のところに、これは銀行に対してですけれども、マル1の確認によってぜい弱性が確認された場合は、その旨、それから、その対応内容、あるいは過去の被害状況とか、そういうものについて、当局に連絡いただきたいという要請を出されていますが、これに対するその後の状況と良いますか、連絡、報告状況というのをお教えいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、お願いいたします。

○金融庁曲淵フィンテック監理官 まず、顧客への通知でございますけれども、こちらは一般的にイメージされるものは、銀行に登録してある携帯電話番号宛てに、口座連携が行われましたということを通知するということです。

したがいまして、その口座の保有者の方は、自分はやっていないのに口座の振替サービスが締結されたというのはおかしいと思った場合には、すぐ銀行に連絡をしていただくといったことを想定しています。

もう一つ、4ページのところで書かれています、ぜい弱性が確認された場合の話ですけれども、こちらにつきましては、金融庁におきまして銀行あるいは資金移動業者に対しまして、調査を依頼して、ぜい弱性があった場合には、報告をいただいております。

それで、報告をいただいた中で、セキュリティの強化の方策についてヒアリングを行ってきたということでございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

他にございますでしょうか。

よろしいですか、何か今の御回答に対する追加的な御質問でも構いませんが、よろしいですか。

新川委員、お願いします。

○新川委員 新川です。よろしくお願いいたします。

先ほど、御説明を既にいただいていたのですけれども、今日の資料の7ページ目のところ、最初のマルの3ポツのところで、体制整備ということで、既に御説明をいただいているところもあるのですけれども、特に整備という観点で、現在、整えておられる金融庁、銀行、それから、資金移動の業者間の連携ということが基本にはなるのかなと思っておりますけれども、この辺り、どういう関係者が、どんな形で体制整備に関わっておられるのかというのが、少し気になりました。

今後の整備方針もおありかと思いますけれども、この相談対応のシステム作りといったようなところについて、現状あるいは今後の御方針等をいただければと思いました。よろしくお願いいたします。

○山本委員長 ありがとうございます。

他にございますか。

木村委員、お願いします。

○木村委員 木村です。

すみません、先ほど御回答をいただいた件なのですけれども、口座振替契約時の携帯電話番号というお話だったのですけれども、そもそもその携帯電話番号を記入したのが本人かどうかというのは確認できるのかという疑問がありまして、例えば、悪意の第三者が申し込んだときに、本人でない携帯電話番号を書いた場合は、そこに連絡が行くというイメージなのかなと、その辺がよく分からないので教えていただければと思います。

すみません。以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

他にありますか、よろしいですか。

それでは、御回答をお願いできますでしょうか。

○金融庁曲淵フィンテック監理官 まず、木村先生からでございます。

こちらは、銀行にあらかじめ登録されているということでございますので、銀行で、例えば、口座開設を行ったときに、本人確認と一緒に登録していただいたような携帯の電話番号に通知をするということであれば、しっかり口座保有者本人の方に行くのではないかと思っています。

それから、新川先生ですか、相談体制の件について申し上げますと、我々も、今回の事案、相談が、やはり当初うまくいかなかったというところが非常に問題の1つであったと思っていまして、こちらにつきましては、我々からも要請をしているほか、全銀協あるいは資金決済業協会のガイドラインでも、しっかり相談体制の在り方について、ガイドラインで作っていただいているところです。

我々でも、相談体制につきまして、今後とも監督ですとか、モニタリングの中で、しっかり見てまいりたいと思っています。

そういった形で、しっかり連携を取ってやってまいりたいと思っております。

以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

大石委員、お願いします。

○大石委員 大石です。御説明ありがとうございました。

すみません、再度確認なのですけれども、そうしますと、今後は、そのようなモニタリングを行っているので、被害のおそれというのはかなり少なくなるとしても、現在、過去に自分が知らない間に、そういう出金がある可能性はあるので、やはり一応全国民が自分の持っている口座については、一度は確認しないと被害が起きているかどうかというのは確認できないというのが、今の状況なのかどうか、そのところを1点だけ教えてください。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

他にございますか、よろしいですか。

それでは、お願いできますでしょうか。

○金融庁曲淵フィンテック監理官 大石先生からのお話でございますけれども、秋以来、資金移動業者側でも、過去何年間、不正な動きがなかったかどうかというのは、しっかり調べていただいているところでございますので、それによって、お客様に連絡が行く場合もあるかもしれません。そういった場合は、当然のことながら気にしていただいてチェックをしていただくということだと思いますし、お客様におかれても、やはり御自身の口座の明細を御確認いただくということは重要ではないかと思っています。

○山本委員長 ありがとうございます。

よろしいでしょうか。

御説明をいただき、また、大変丁寧に御回答いただきまして、どうもありがとうございます。

本件につきましては、いただいた資料の7ページにございますように、銀行、資金移動業者に対して、不正防止策の実施、補償方針の策定・実施、それから、利用者相談に対応するための体制整備といったことを求め、また、金融庁でも、監督指針の改正のために、現在、パブリックコメントを行っているということで対応をいただいているのではないかと思います。

ただ、昨今、様々な決済手段が登場して、消費者も利便性が向上しているのですけれども、非常に複雑なシステムを使うことから、いろいろなぜい弱性が今後も発見されることがあろうかと思います。

そういったリスクを早期に発見することと、それから、先ほど他人任せになっていた部分があったのではないかという話もございましたけれども、多重防護と申しますか、役割とか責任を多重化させてリスクを防止するといった視点も重要ではないかと思います。

リスクの発見という点で申しますと、金融庁が自身で、それから業界、利用者、先ほど利用者相談に対する対応に若干の問題があったというお話もございましたけれども、やはり利用者からも情報を入手することが重要であると思いますので、多方面にアンテナを張って、早期にリスクが発見できるように、これからも努めていただければと思います。

金融庁におかれましては、関係事業者において、適切な対応がなされるよう、また、消費者に対して的確な情報が提供されますように、引き続き取り組んでいただきたいと思いますし、消費者委員会としても、引き続き、関係行政機関の取組状況を注視して、必要に応じて調査審議を行ってまいりたいと思います。

金融庁におかれましては、お忙しいところ審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。

(金融庁退室、消費者庁入室)

《3.特商法・預託法における契約書面等の電子化について》

○山本委員長 それでは、全員おそろいですので、次の議題に入りたいと思います。

次の議題は、規制改革推進会議において検討された特商法・預託法における契約書面等の電子化についての件です。

まず、当該事案の経緯や今後の取組の方向性について、所管官庁である消費者庁からお話を伺います。

本日は、御説明者として消費者庁取引対策課、笹路課長にお越しをいただいております。お忙しいところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

それでは、消費者庁取引対策課の笹路課長から15分程度、御説明をお願いいたします。

○消費者庁笹路取引対策課長 ありがとうございます。消費者庁取引対策課の笹路でございます。

今日は、消費者委員会の御審議の場で、貴重なお時間を頂戴いたしまして、心から御礼申し上げます。

議題のうちの「特商法・預託法における契約書面等の電子化について」という議題について、御説明をさせていただきたいと思っております。

配付資料の資料2を御覧いただければと思っております。

「契約書面等の電子化について」という資料でございますけれども、昨年、令和2年の11月9日に、政府の規制改革推進会議の中にございます成長戦略ワーキング・グループの第3回会合が開催されました。

規制改革推進会議では、我が国全体、経済社会全体でのデジタル化などを通じた経済成長ですとか、社会の様々な利便性ですとか、多様性の向上、それによる幸せな社会を築く方策について、様々な角度から議論がされているのですけれども、この昨年の11月9日に開催された規制改革推進会議の成長戦略ワーキング・グループでは、特商法に関連する議題も含まれていたということでございます。

より具体的には、特定継続的役務提供におけます概要書面と契約書面の電子化ができないかというテーマが取り上げられまして、消費者庁といたしましては、その場に参加いたしまして、対応について御説明した次第でございます。

具体的には、特商法などの法令では、消費者保護の観点から書面の交付義務を定めているところでございまして、その義務、書面交付という規定については、極めて重要な制度であるという認識を述べつつ、電磁的方法による送付を希望しない人ですとか、受領できないような消費者の利益の確保を図る必要など、政策判断について配慮すべき事項についても明確に説明をした上で、書面交付についての電子化については、そういった消費者保護の観点からの課題をきちんとクリアした上で、デジタル化を促進する方向で、適切に検討を進めていきたいと回答しているところでございます。

その上で、この規制改革推進会議の成長戦略ワーキング・グループでの議論も踏まえて、更に消費者庁で政策的な対応の検討を進めた方向について御説明をさせていただきます。

特商法と預託法では、契約申込時の申込書面ですとか、あるいは概要書面、それとともに契約締結時の契約書面、これらについて、事業者に書面による交付を義務付けているところでございますけれども、消費者保護の視点を損なわないようにするとともに、他の我が国での、こういった類似の法令の例も参照しながら、特定継続的役務提供に加えて、訪問販売等の特商法の各取引類型、もちろん書面交付義務のない通信販売は除くということでございますけれども、それと預託法におきまして、消費者の承諾を得た場合に限り、電磁的方法により交付することを可能にするといった制度的見直しを行っていくことを考えてございます。

消費者の承諾を得た場合に限りということでございまして、全部原則電磁的な交付をルール化するということではございません。あくまで、消費者が納得して、きちんと電磁的な方法でもいいですとか、場合によっては電磁的方法での交付、メールで、PDFファイルで送ってくださいというほうが、消費者にとって、よりコンヴィーニエントな場合がございます。

そういった消費者が承諾をした場合には、こういった電磁的方法での書面交付も可能にするということが、経済社会全体のそういった選択肢の拡大、消費者でもそういった志向の方もいらっしゃいますし、事業者サイドのいろいろな業務の効率化にも資する、双方でのウィン・ウィンの解決策になるのではないかと考えております。

もとよりパソコンも、あるいはスマホも使えないようなお年寄りが、無理やり電磁的方法で書面交付が強制されるといったことはないということ。すなわち消費者が承諾を得た場合に限りということで、電磁的方法での交付を考えていきたいと思っております。

また、悪徳事業者が、消費者が承諾していないにもかかわらず、したかのように扱って、仮に知らない間に電磁的方法で書面を交付しているような事態についての懸念も当然あると思うのですけれども、もとより消費者が本当の意味で承諾していない場合などというのは、正に書面交付をしていないことと同じでございまして、ある意味、クーリング・オフも進行しない期間、起算点がないのでクーリング・オフも進行しないで、そのままできるということになるのだと思います。

いずれにしましても、この法律は、消費者の承諾を得た場合には、電磁的方法により交付を可能にするということにいたしまして、細かい細則については、その後の政令、省令、ガイドライン、通達等々によって、きちんと法の趣旨と、今回の電磁的方法での電子書面の交付が可能かという趣旨とが、きちんと両立するように制度的な整備をしていきたいと思っております。

特商法と預託法につきましては、以前のこの消費者委員会の本会議でも御説明させていただきましたとおり、様々なほかの論点も含めまして、次の通常国会で改正法案を提出いたしまして、審議していただくことを考えております。

今回の電磁的方法による書面交付の可能化につきましても、次の通常国会で提出する特商法と預託法の改正法案で改正を行うことが適切であると考えております。

私からの説明は、以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、御質問、御意見のある方は御発言をお願いいたします。

御質問、御意見多数あるかと思いますけれども、時間が限られております。質疑応答の時間は約40分を予定しておりますので、なるべく簡潔にお願いをできればと思います。

幾つか御質問等をまとめた上で、御回答をいただく形にいたします。

まず、清水委員、お願いします。

○清水委員 ありがとうございます。

課長、説明ありがとうございます。

課長にはPIO-NETを通して、相談の現場、状態、分かっていただいていると思います。私たち相談員の使命は、国民の安心・安全を確保、そして、消費者被害の未然防止と救済です。オンラインの書面交付と、実際の契約書面の交付、これは、全く効果が異なります。

消費者は、契約書にサインしたときに、また、契約書を渡されたときに、そして、2、3日後に頭を冷やしたときに、その契約を認識します。そして、クーリング・オフができます。こういったことから、私たちはすごく危惧しております。

先日も福祉関係の方から、消費者の自宅を訪問したら、契約書が何枚も出てきたと。これは何ですかということで、つなげていただき、市民を救済できた例がありました。

また、昨日は、若者が職場の先輩から何かもうかる仕事、でも人を紹介すればもっともうかると言われて、どうしても断れなかったのだけれども、うちに帰ってきて、分厚い書面を見たら、何か赤字でクーリング・オフが書かれていたので、これはどうやってやれば良いですか、先輩に怒られませんかと言いながら、私たちは説得をし、クーリング・オフを行使したという相談があります。

そして、もう既に電子化になっている電気通信トラブルでは、デフォルトが入ったまま、相談者は契約書を要らないなど言っていないのに、要らないことになっていて、2、3か月後に契約先が変わっていたという相談も数多くあります。

また、今、電気ガスの自由化に伴って、電気ガスの代理店は、電気通信の事業者の代理店をやっているところが数多く、まだ特商法は電子化になっていないのですけれども、電子化だとかという業者もいます。現場からは、是非とも、その点、考慮をしていただいて、どのような規制、民事効が強化されるか、教えていただければと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

丸山委員、お願いします。

○丸山委員 丸山です。

私からは、質問が2点と、意見が1点あります。

質問の第1点は、今回の書面の電子化については、参入規制もなく、悪徳商法が少なくない特商法、預託法の規制類型全てに導入するということについては、先ほど、清水委員からも指摘がありましたように、相談現場などからは懸念が多いと聞いております。

また、時代の要請はあるのですけれども、性急であるという印象は拭えません。

まずは、特定継続的役務から社会実験的に始めて、研究会などで制度設計を練ってから拡大するという選択肢を取れない理由というのを説明いただければと思いました。これが第1点です。

質問の第2点というのは、仮にこういった電子化を進めるとしても、訪問販売や電話勧誘販売というのは、不意打ち的な勧誘によって、意思形成が不安定となるという点が、正に問題なので、不意打ちされた状況での電子化への承諾取得とならないように、冷静になった時点でのメールでの承諾に限定するなど、何かこういった不意打ち的な勧誘という点から規制されているものについて、工夫を考えておられるのかという点を教えていただければと思いました。これが、質問の第2点です。

最後は、意見なのですけれども、デジタル化の文脈では、消費者の権利行使というのを容易にする方向での法改正というのも非常に重要であると考えております。

現在の解釈による不安定というのを払拭するためにも、消費者からのクーリング・オフも電磁的方法で良いとすることを、まずは特商法からということでも良いので、明文化を図るべきではないかと考えております。

書面の電子化には対応できるのに、消費者からのクーリング・オフは、書面でないと対応できないという理屈は成り立たないと思いますので、書面電子化とワンセットで、こういった消費者の権利行使を容易とするような電磁的な方法の実現というのも、是非考えていただきたいと思っております。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、お願いできますでしょうか。

○消費者庁笹路取引対策課長 大変率直な御意見をいただきまして、本当にありがとうございます。

清水委員が御指摘になった相談員の皆さんの現場の不安については、私も清水委員からの今のお言葉も含めまして、ほかの相談員の皆さんからも拝聴しております。

私どもは、相談員の皆さんの心配は謙虚に聞いております。心配する気持ちを心から共有いたします。

その上で申し上げますと、お年寄りが知らない間に何か契約をさせられていて、福祉サービスの方が、そのお年寄りの自宅に訪問したときに、分厚いか分厚くないかは別としまして、契約書が出てきて、変な契約を知らない間に結ばれていると、このような事態というのは非常にゆゆしきものでございます。

恐らくこういった事態を、例えば電子化して、お年寄りが被害に遭っているのを発見するのが遅れるといったような事態は、絶対に避けなければいけないと我々も思っております。

ですので、消費者が承諾した場合に限りということは必要な条件だと考えております。少なくとも、原則、書面交付を電子化して、例外的に紙で希望した場合には交付するといったような制度改正は適切ではないと思っております。

それから、清水委員、冒頭御指摘のありました頭を冷やす機会として書面交付は大事、あるいはそもそも契約の締結行為に入るときに、消費者側が、事業者と情報の非対称性がある中できちんと契約内容を納得して分かった上で、契約行為を締結することの重要性、これは全く清水委員のおっしゃるとおりでございます。

ゆえに、特商法、預託法では書面交付というものを義務付けているということでございます。

そのときに、紙のほうが分かりやすいのだという方も当然いらっしゃるでしょう。そういった方は当然、紙で交付されるというのが今後も原則になりますので、それが書面交付として実現するということでございますけれども、今の時代、かえってメールでPDFファイルとかでもらったほうが保存もしやすいし、検索機能もあって、後々探しやすいという市民の方がいらっしゃるのも事実であります。

紙かデジタルかという違いが、頭を冷やすとか契約内容をしっかり理解するというところに、どちらがアドバンテージがあるかというのは、個人の環境ですとか、知識、能力、こういったものに多く依存していると思います。

お年寄りがいる、まだパソコンやスマホの使えない方もいらっしゃる、そういうことも配慮しますと、原則やはり書面の紙での交付というのが、法令上、今後も維持するのが適切だと、私も思っております。

他方、メールでもいいと、PDFファイルとかでもいいという消費者に対して、「いや、紙でなくては駄目です」ということを強制することまでは必要ないのではないかなと思っているところでございます。

ただ、おっしゃられた頭を冷やすとか、契約内容をしっかり納得して契約に入るということが大事ですので、そういった書面交付義務の法令上の趣旨ですね、立法目的といいますか、その部分が損なわれないような制度設計をきちんとやっていくことは、極めて重要な点でございまして、清水委員のおっしゃるとおりの方向で考えていきたいと思います。

それから、丸山委員から、まず、御質問のありました2点についてでございます。

なぜ、特定継続的役務提供だけではなくて全体に広げるかというところでございますけれども、私ども消費者政策をやるときの態度といたしまして、まずは、恐らく、世の中から要望のありました部分については、政策の在り方を考えると、この場合でいいますと、特定継続的役務提供における概要書面ですとか、契約書面の電子化について規制改革推進会議の成長戦略ワーキング・グループの場でも取り上げられておりますので、その部分は、まず、検討を開始するわけでございますけれども、我々の行政の態度といたしましては、言われたことだけをやればいいということでは決してないと思っております。法令上の全体の構成ですとか、あるいはそのロジック、こういったところも考えて、特定継続的役務提供と並んで、ほかの類型について、特定継続的役務提供だけで導入すればいいという理由のほうが、逆になかなか見つけづらいということでございます。

消費者が承諾をした場合に限って、そういった意味で今回、電磁的方法により交付をするわけでございますけれども、そういった意味では特定継続的役務提供に限ることではなくて、特商法のほかの類型についても、大体特商法というのは、パラレルな規定を整備しているというところもございますので、併せて用意をしておくということで、法令上は、そちらのほうが適切なのではないかということでございます。

御質問の2点目につきましては、訪問販売とか電話勧誘販売ですとか、不意打ち的な部分があると、やはり意思形成について冷静になった時点での、そういった電子化でもいいのではないかという御質問もありましたが、この場合も冷静になることについて、「紙だから、より冷静になる」と考える方も当然いらっしゃるとは思うのですけれども、紙であることゆえの絶対ではなくて、電磁的方法で交付された場合でのほうがより見やすいとか、分かりやすいとか、自分はそっちのほうがなじんでいるとか、そういう方もいらっしゃる時代になっていると思います。

そう考えますと、電子化について、決して意思形成ですとか、不意打ち的な勧誘に対する冷静な判断にとってのアドバンテージが紙のほうがあるという点については、そういう方もいらっしゃる一方で、そうではない方もいらっしゃるのではないかなと思います。

あと、丸山委員がおっしゃられたクーリング・オフについては、必要な論点も含めて、引き続き検討していくことで、この場で私が良いとか悪いというよりは、御意見として今後検討していく課題だと思っております。

以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、木村委員、お願いします。

○木村委員 木村です。御説明ありがとうございます。

今、委員からの質問、意見などについて課長から御回答をいただきましたけれども、私からも重ねて意見を言わせていただきます。

まず、特商法の取引類型なのですけれども、登録制も重要事項の説明義務もありませんので、他の既に電子交付されている分野とは、やはり横並びに扱うことはできないと考えております。

先ほど、御説明にもありましたけれども、法律の構成などがあるとしても、本当に電子交付が必要とは思われない、例えば、訪問販売ですとか、そういったことを含めて同時に扱う必要はないのではないかと考えております。

まして、書面の電子化が必要とされていない、そういう取引類型に対して、今回、そこまで広げるというのは、本当に疑問に思っています。

承諾がある場合に限るとおっしゃっておりますけれども、承諾をどのように取るのかというところが、私にはよく見えません。本当に本人が理解して、電子交付に承諾しているのかが分かりません。

特商法で、お試し定期販売というのが問題になりましたけれども、そのときも、画面の確認がなかなか難しいとか、いろいろな論点があったと思います。ですから、現時点では、まだまだ承諾については問題がありますので、課長は、今回の御説明で承諾があったのみとおっしゃっているのですけれども、消費者が本当に納得して承諾ができるかどうかというところが本当に疑問です。

恐れているのは、原則とおっしゃっていますけれども、事業者はデジタル化を進める方向にあると思います。そうすると、先ほど、清水委員のお話からもありましたけれども、消費者は分からないことが多いですから、電子交付なのねと、すんなり思ってしまう、そういうことも危険性としてあると思います。そういったことが全然議論されないままに、こういったことを進めるのは大変危険だと思っております。

ましてや、例えば、連鎖販売なのですけれども、成年年齢の引下げにより、契約経験の少ない若者がSNSなどで、今後も被害が広がることが懸念されるのですけれども、書類を見て、親が気付いてという事例も幾つか私も聞いております。オンライン取引だから電子交付が良いと言えない部分がありますので、本当に、ここは拙速に進めることは反対しております。

消費者保護に本当に意味がある制度について、オンライン取引のトラブルが増加していることを考えますと、本当に十分な議論もせずに変更するのは反対です。

トラブルの実態や被害防止などを検討した上で判断すべきだと考えております。

デジタル化によって、少なくとも従来と同様の安全性が担保されることが重要と考えておりますので、そこを強調して、今回は是非御検討をと思っております。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

大石委員、お願いします。

○大石委員 ありがとうございます。笹路課長、御説明ありがとうございました。

社会全体がデジタル化を求めているというのは、今回コロナもありまして、それについては、私は反対するものではありません。

ただ、やはり、今回、今まで委員の皆様がおっしゃったように、また、私どもNACSも相談現場の者がたくさんおりますので、やはり、余りにも拙速な電子書面化については、やはり大変危惧しております。

ですので、その点について、今回、3点ほど、今回質問させていただきたいと思います。

まず、1点目ですけれども、規制改革推進会議の場で、消費者庁は、今回のことにつき、消費者団体、それから専門家にヒアリングをしながら進めていくということをおっしゃっています。

実際に、現在、どのようなヒアリングが行われて進めているのか、加えて、今回は英会話についての要求があったと思うのですけれども、他の業態、他の事業者からのヒアリングというのもされた上で進めているのか、まず、進め方について1点教えていただければと思います。

2点目としまして、やはりクーリング・オフ、中途解約というのは、特商法、継続的役務においては、消費者にとって大変重要な制度です。

今回、クーリング・オフや中途解約についての電子書面化についても検討が進められているのかということを教えていただきたいというのが2点目です。

3点目、先ほど、お試し定期購入の話が出ましたけれども、今回、特商法、預託法全体の見直しということで、これも是非検討をいただきたいのですけれども、解約ですね、契約について電子書面化ということを考えるのであれば、今、やはりお試し定期購入などでは、電子的な解約ができないということで、大変被害が増えているという現実がある中で、解約についての電子化ということも同時に進めておられているのかということをお聞きしたいと思います。

以上、3点です。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、お願いいたします。

○消費者庁笹路取引対策課長 ありがとうございます。大変良い御意見をいただきまして、ありがとうございます。

まず、木村委員から御指摘や御心配のありました、本人が理解して、きちんと承諾を取らないと、こんなものは承諾にならないというところについては、全くそのとおりだと思います。

本人が納得していない承諾というのは、承諾ではないと、我々は思っております。あるいは知らない間に承諾させられたことになっているみたいなことを、事業者が主張した場合は、それは消費者の承諾ではないと、はっきり言えると思います。

そういった場合は、電磁的方法で交付しても、それは書面交付義務を満たさないということになるのだと思いますけれども、いずれにしても、承諾の取り方については、例えば、政令とか省令とか通達、ガイドライン、細則が制度改正の後に定められると思っておりまして、その段階で、ゆめゆめ形ばかりの承諾が悪徳事業者によって利用されるといったようなことは、絶対に阻止するということは必須だと思っております。その意味において、木村委員の御指摘、御心配は、私どもも完全に同意をいたします。

あと、木村委員から御指摘のありました連鎖販売取引で、成年年齢の引下げなどでも、若者の被害が今後あり得ると、増え得るという懸念については、我々も常々持っております。若年層を狙った連鎖販売取引業者の違反行為に対する取締り、法執行も、ここのところ強化をしております。

正に、経験、知見ともに未熟な若者が被害に遭わないように、きちんと書面交付義務というものの実効性を確保していくというところについては、全く異論はございませんので、そういう違反行為に対する取締りと、車の両輪でしっかり考えていきたいと思っております。

デジタル化、電磁的交付、これを進めることによって、今の特商法、預託法で保護されている法益がないがしろにされるといったことがないように、安全性という言葉を使われましたけれども、消費者の安全性が阻害される、侵害されるということが絶対にないようにするという点は、正におっしゃるとおりでございまして、そういうふうに考えていきたいと思っております。

それから、大石委員からNACSの相談現場の皆さんでも、やはり危惧されている方がいらっしゃるということについては、私どもといたしましても、よく受け止めたいと思っております。

相談員の方々の心配というものを、できるだけ解消したいと思いますし、心配されている声を、こうやって直接お伺いできるというのは、私どもにとっても非常に大事な機会だと思っております。

いただきました質問は3つございまして、消費者団体ですとか、事業者からのヒアリングとか、プロセスですけれども、我々は個別にいろんな方々から、内々といいますか、公開の場ではありませんけれども、意見交換をしたりしてきています。消費者団体の方もいれば、事業者団体の方もいらっしゃいます。あるいは弁護士の方とかも含めて、いろいろ意見交換をさせていただいております。

さらに、正に消費者委員会の場で、皆さんから忌たんなく御意見をいただきまして、やりとりをさせていただいているというのも重要なプロセスであると考えております。

消費者委員会の本会議で、今日、公開の場で率直にやりとりをさせていただいているというのは、全国の相談員の方々からもよく見えますし、あるいは国民の方からも見えますし、産業界の方々からも見えますので、非常に大事なプロセスであると思っておりますので、いろんな意見を、こうやって議論するというのは、極めて大事かつ有意義なプロセスであると、必須のプロセスであると考えているところでございます。

恐らく、消費者委員会の本会議でも事業者サイドからのヒアリングを考えられているとも承っておりますので、その場でも、また議論をしていただくといいのかなと思っております。

2つ目の質問で、クーリング・オフの書面の電子化についても考えられないのかということでありますけれども、論点とかクリアすべき点を整理した上で、今後考えていく事項なのかなと思っております。

3番目、お試し定期購入で、メールで連絡が取れないみたいなもの、これは非常にあるのですね。非常に重大な問題だと思っておりまして、この部分は、解約を電子化するうんぬんの以前に、そうやって通信販売で解約、解除妨害をしているということ自体が通信販売業者の問題であると考えております。

この点については、電子化だろうが、電話だろうが、書面だろうが、何でも含めて解除妨害は違反行為とするということで、今度の特商法の改正で抜本的な規制の強化を措置することを考えております。

そういった意味で、お試し定期購入でよくありがちな、いつでも解約できますよとか言っておきながら解約できないですとか、解約するには条件があって、十何日前までに言っていただかないと駄目なのですよとか、5回購入で、毎回数万円買わないと解約できませんよとか、条件が隠されていたり、見えにくくなったりしていると、こういったものについても違反行為としていくような法改正を、今、準備しているというところでございまして、それについては、私どもも大石委員がおっしゃったような問題意識を共有して、制度改正を行っていくということで、現在、特商法改正を検討しているということでございます。

以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、片山委員長代理、お願いします。

○片山委員長代理 御説明ありがとうございました。

皆さんから、随分質問も出ましたので、併せて意見を申し上げたいと思います。

御説明を聞いていて、今回、オンライン完結型の特定継続的役務提供以外についても、特商法の他の取引類型にも電子化を広げるという、その考え方の一番大きな論拠というのは、消費者庁は、言わば法令上の論理整合性という御説明だったかと理解しております。

私は、法令上の論理整合性も大事でしょうけれども、そのことによって消費者被害が広がる、消費者保護の機能が、いささかも揺るぐようなことがあってはならない、消費者保護の観点を優先させるべきであるということをもう一度お考えいただきたいと思っています。

ここから先は、質問と意見が混ざりますが、この点について、先ほどの御説明では、消費者の承諾を得る、消費者が納得ずくで希望した場合に限って電子化をするのだということなので、問題はないと聞こえるのですけれども、そこは全く違うと、私は思っています。

特定継続的役務提供と、その他の取引類型というのは、誘引の段階における不意打ちだとか、あおりだとか、つけ込みとか、いろんな誘引の中に問題があって、消費者が契約内容を確実に理解して意思決定ができる状態にないということを考えて、この書面交付だとか、その他の様々な規制が置かれています。

そういう心理的、精神的状態にある中で、かつ電子書面と物理的書面の効果の違い、効果というのは、自分が受け止めたときの人間としての、消費者としての理解度の違いというものが十分に理解できていない、できるはずもない、そういう中で、本当に有効な承諾が可能であるのかというところが一番大きな問題だと思っています。

そういう課長がおっしゃるような真に有効な承諾ができるケースというのは、ほとんどない、極めて少ないと思います。

承諾の問題について、先ほどは、承諾の取り方の問題は、法改正を行った後の政省令のところできちんと整理をするとおっしゃいましたが、承諾の取り方の問題ではない、そもそも先ほど申し上げたような心理的な状況に置かれた中で、どんなふうに承諾の取り方を工夫したとしても、真に有効な承諾が取れるかどうかと言われると、そこは極めて疑問である。

そうすることによって、今の書面交付による場合よりも、物理的書面の交付に比較して、消費者が、新たな被害というのが発生する、広がるのではないかということを非常に懸念しています。

清水さんの発言にありましたように、物理的書面でなければ周囲の者が契約に気づかない、そのことによって被害救済が手後れになったり、あるいは埋没するということも大いに懸念されるところではないかと思っています。

そこで、質問になるのですが、電子書面交付を電子化することによって、今、私が申し上げたような観点から、消費者の取引の現場において、どういう変化が起こるか、電子化することによって、新たな消費者トラブルが発生することは十分予測されるわけですから、そういう変化について、どこまで消費者庁で洗い出しをされたのでしょうかということを御質問したいと思います。

それと同時に、そういう洗い出しをされた場合に、その新たな被害防止策というものを十分検討が終わっているのかどうか。もし、それができていないのであれば、冒頭に丸山委員から言われましたように、オンライン完結型の特役だけに絞って電子化を進め、その中で、今、申し上げたような承諾が、どのように取られるのか、本当に有効な承諾が取れるのかどうかということも含め、慎重に承諾の取り方などを検討して、他の類型へ広げていくか否かという問題を、正に慎重に検討すべきではないかと思っています。

それから、一番気になっているのは、適式な承諾がなければ、それは書面交付にならないと明言されましたが、では、承諾が本当に消費者の真意に基づいてなされたかどうかという、そこのところが、大きな新たなトラブルになってくるのではないでしょうか。

この点を誰が証明するのかというところについて、消費者が、もし証明するというのであれば、どうやって消費者が、それを証明できるのか、その辺の洗い出し、検討をされているのかどうかというところを、是非お教えいただきたいと思います。

ありがとうございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

柄澤委員、お願いします。

○柄澤委員 柄澤です。御説明ありがとうございます。

私からは、若干違う視点からの御意見になると思いますけれども、委員の皆さん御指摘のことにつきましては、非常に重要な問題意識だと思っております。

その上で、この間のコロナ対応での財政出動の効果、あるいは意義を見ていますと、今後、新たなウイルスや自然災害といった今後の危機対応という面で、やはり機動的な財政出動を行うために、コロナ後の財政健全化、日本の財政健全化の必要性を痛感しております。

このためには、やはり消費税だけには頼れないので、生産性の向上あるいは経済成長を実現していく必要があると思っております。このためには、規制改革が大きなポイントになると思っております。

また、新しい生活様式のもとで、書面、押印、対面を原則とした制度慣行を見直すことが求められていると思っております。

そして、ネットでの購入等契約方法の多様化が進む中では、消費者の承諾、これが大きな論点になろうかと思いますけれども、確かな承諾を前提に電子交付を可能とすることは、やはり選択肢、利便性の拡大につながると思っておりますし、あと、取引のグローバル化を考えるとグローバルベースでの整合性も図っていく必要があるのではないかと思います。

あと、書面でも、電磁的方法でも、事業者が消費者に対して商品サービスの選択に資する情報提供が確実になされることが重要だと思っておりまして、提供の手段よりも、どのようにこの目的を果たしていくかが、より重要な論点ではないかと思っております。

やはり問題は悪質事業者でありまして、委員の皆さん御指摘のとおり、消費者庁におかれましては、電子交付を認めることでどのような消費者被害が想定されるか、防ぐためにはどのような対策を考えるかを、フォワードルッキングな視点でしっかりと検討していただき、適切な政省令あるいはガイドラインにつなげていただくことをお願い申し上げたい。

あわせて、もう一点だけ申し上げますと、クーリング・オフの通知の電磁的方法の導入についてですけれども、これも大石さん、あるいは丸山先生からも御指摘がありましたけれども、事業者として課題があることは承知しておりますけれども、ある意味イコールフッティングの観点でも、これは前向きな、比較的ロードマップのしっかりした検討が必要なのではないかと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、お願いいたします。

○消費者庁笹路取引対策課長 ありがとうございます。

片山委員長代理から御指摘のありました、まず、法令上の論理整合性だけではなくて、やはり消費者被害が広がらないのかとか、消費者保護を優先させるべき制度設計をするというところでございます。

ここについては、我々も法令上の論理整合性だけを考えているわけでは決してございません。やはり消費者被害が広がるような危険性があるような制度改正であってはならないというのは、正に御指摘のとおりでございまして、それで、正に今回、消費者の承諾を得た場合に限り、電磁的方法により交付するということがいいのではないかという判断に至っているということでございます。

その上で、片山委員長代理から納得尽くで承諾が本当に得られるのかと、誘引段階でも、不意打ち的な、あるいはつけ込み型の、あるいは消費者が様々な自由な意思形成を歪められるような状況下で、冷静な状態ではない中で、心理的、精神的な冷静さを保つ観点からの、正に書面交付義務であるのに、承諾があったのか、なかったのかということが争点になるのではないかという御懸念が示されまして、我々としても、そういう懸念があるというのは理解できます。

これについては、少なくとも、消費者と事業者で承諾があった、なかったと争うような事案というのは、恐らく消費者に有利に解するということになるのだと思います。

悪徳事業者ではなくて、正当な事業者の場合ですと、今でも別に書面ではなくて、口頭だけでも、嘘をついたりしないわけで、さらに、なお書面での確認をするということであるわけなのですけれども、悪徳事業者の場合で、承諾をもらったといって、電子的交付でしたと言っておきながら、消費者のほうが気づいていなかったとか、あるいは知らない間に、そうなっていたと言っている場合には、基本的には消費者の理解を得ていないと、納得尽くでの承諾がないということでありますので、当然クーリング・オフも進行しないので、ずっとできますし、契約内容で、もし、誤認があれば、当然取消しとかも使ったりとかをしながら、書面交付がデジタルか紙かというところではなくて、正に消費者保護の実態的な規定で消費者保護をしっかり図っていくような制度を作っていくし、制度を運用していくということだと思います。

片山委員長代理が言うように、我々も新たな消費者トラブルが生じるといったようなことはないようにしなければいけませんので、そういう懸念をちゃんと頭に置いた上で、制度改革もしていきたいと思っております。

それから、柄澤委員から御発言のありました、社会全体での生産性の向上、それによる経済成長の重要性というものは極めて大事な視点だと思います。

消費者政策においても、やはり豊かな、活力のある、我が国の経済社会があっての消費者政策でございますし、新しい生活様式ですとか、あるいはデジタル化の推進ですとか、社会のそういった進歩とか変化、あるいは環境の変化、そういったものにも、やはり機動的に対応しないと、政策のレルヴァンシーンシーというものは確保できないと思っております。

より消費者にとっても、事業者にとっても、利便性の高い方法での様々なプラクティスの実現ですとか、あるいは、様々な取引のグローバル化なども踏まえた、そういった規制制度のアップデート、こういったものが非常に大事だと思っております。

その上で、柄澤委員から御指摘のありました悪質事業者のことを考えた対応というのは、正に消費者政策などに特有の視点だろうなと思っておりますし、やはり事業者と消費者で情報の非対称性がある、これをうまく補正して、フェアな経済社会を作っていくというところも大事なところでございますので、やはりそういった社会の変化に伴う、そういった生産性の向上ですとか、多様性の増加に伴った自由な選択肢の拡大、こういったものとともに、そういった市場の失敗、情報の非対称性が顕れて被害が生じるですとか、あるいは様々な高齢化ですとか地域の過疎化、様々な弱者が生じるような段階、あるいは更に言えば、デジタル化などが推進して、消費者のぜい弱性が、特定の人に限らず発現するような状況になっている、こういう新しい状況も踏まえて、そういった消費者と事業者の情報の非対称性などを解消する消費者法あるいは消費者政策、こういった部分が非常に大事だと思っております。

そういった観点から、今回、特商法と預託法の制度改正も抜本的に行うという方向で、今、施策を進めているということでございます。

あと、もう一点、柄澤委員からも2番目に御指摘のありましたクーリング・オフのときの、行使のときの電磁的方法の導入、イコールフッティングの観点からも検討すべきではないかというところにつきましては、是非今後検討していきたいと思っております。

○山本委員長 ありがとうございます。

受田委員、お願いします。

○受田委員 今、いろいろな委員から御意見を伺っておりまして、私個人としても、この改正に関しては慎重に、そして拙速な改正にならないように、是非お願いしたいと思います。

特商法と預託法に関しては電子化の前に、まだ解決されていない問題が社会的に山積をしていると。それを更に電子化することによって、問題が拡大していくということについての相談員の皆様や現場の方々の懸念、これが歴然としてあるということかと思います。

したがって、電子化の前に、もう一度、問題点をしっかりと解決するというところで、国民の納得を得ていただきたいというのが1つです。

それから、今、課長がおっしゃられる情報の非対称という問題に関してです。

現在、この改正に関して、相談員の皆様のみならず、いろいろなところで大きな反対の意見というのが聞かれています。

今、こういうコロナ禍において、様々な議論がネットで公開はされているとはいえ、透明性というところについて、不足しがちな傾向があります。

したがって、こういった議論の一般消費者への浸透という部分で、不足していく可能性があるということも、是非、指摘しておきたいと思います。

そういった国民世論の形成あるいは情報の非対称が悪化しない状況に、更に周知という意味で、徹底的に改善を図りながら、この議論をもう少し熟議させていただきたいというのがお願いでございます。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

新川委員、お願いします。

○新川委員 新川です。

今までの御意見、もう繰り返しません。こうした御意見、しっかり受け止めていただいて、消費者庁でも御検討をいただければと思いますが、特に法案改正に向けて進めておられるということで、今度の通常国会というお話がございました。少し気になりましたのは、その際に、やはり電磁的な方法によります、今回の改正に当たりまして、論点になっております書面に代えて承諾をと、そこのところの条文それ自体の工夫ということもあり得るのかなと、ちょっと思っております。

つまりは、どうやって真に納得のいく承諾というのを、法文上もどこまで明確にできるのかということ、それが恐らく政省令あるいは関連するマニュアルといったものにも大きく影響するのではないかと思っております。

この辺りの工夫というのが、お考えがあれば、あるいはそういう検討を更に進めていただければという希望も含めて御質問を申し上げます。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、お願いいたします。

○消費者庁笹路取引対策課長 ありがとうございます。

受田委員から御指摘のありました、きちんと慎重に検討すべきだというところについては、しっかり精査していきたいと思っております。

我々も拙速でやろうとは決して思っておりませんので、できることをやっていくということだと思います。

電子化以外にも、ほかにも課題がいっぱいあるのではないかという指摘、これも当然、これだけが、我々、必要な課題だとは決して思っていません。できるところからどんどんやっていくということだと思います。

今回の特商法と預託法の改正も、相当多様な論点もございまして、まずはできることからやると。ただ、昨年の8月に報告書をまとめました特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会でも、積み残された課題は当然ありますし、一部は、それが報告書にも書いてあるのですけれども、できることから、まずやっていくということで、制度改革は進めていきたいと思っております。

あと、受田委員からありました、ちゃんと世の中に見える形で、あるいは世の中の人が知るような形で議論が公開されたりとか、そういったことの重要性というのは、正にそのとおりだと思います。

オンライン化で聞く人が減っているのか、増えているのか、これも相対的な問題で、ある意味、今日の場も、明日から多分動画で公開されることになると承知しているのですけれども、ある意味、より見える人にも、見やすくなるという観点もあるかもしれません。そこはコロナ時代ですので、今までの物理的方法と、そういったネット、ウェブとかを駆使した、より国民に行き届いた情報を公開といいますか、そういったところをうまく考えていくことが重要だと思いまして、正に受田委員の御指摘の視点が極めて大事だと、周知が、その行為の大事さについては、全く異論はございません。

特に制度改正とか、そういうことについては、広く説明を対外的にしていく、かつ、今日の消費者委員会の場が、正にそうであるように、意思決定のプロセスも、できるだけ透明に行っていくということが、私ども非常に大事だと思っておりますので、受田委員の御指摘の方向できちんと対応していくということが大事だと思いました。

あと、新川委員から御指摘のありました、条文それ自体をちょっと工夫して、うまく懸念と整合化できないかということは、是非考えていきたいと思います。

法律、政令、省令、ガイドライン、通達、全て法令上でうまく、そういった今日多くの方から御心配のありましたあるいは御指摘のありました御懸念とかは、絶対に現れないようにしなくてはいけないというのは、全く私どもも同じ考えでございます。

そういったことがないように、法令上の、きちんと規定の在り方をしっかり考えていくということは、極めて大事なところだと思いまして、しっかり内容を、皆さんの意見も踏まえながら詰めていきたいと思っている状況でございます。

以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

御説明、それから、質疑に対する対応をいただきましてどうもありがとうございます。

私から2つ申し上げたいと思うのですが、1つは、既に指摘がいろいろありますけれども、特商法、預託法は、消費者にとってリスクのある取引類型を、それぞれのリスクに着目して規律するという性格を持っています。その点が通常の業振興も目的にしていて、その観点から業を取り出して規律する法令とは異なっていると思われます。

したがいまして、やはり特商法、預託法の場合には、電子化をするという場合に、消費者にとってのリスクに対する影響を、それぞれ考えていかなくてはいけないと思います。

そういう観点から申しますと、特定継続的役務提供と、現在他に書面が要求されている取引類型との違いは、他の書面が要求されている取引類型に関しては、誘引の部分にいろいろリスクの要素がある。つまり、不意打ちということが一方にあり、他方で、利益による誘導、誘引ということがあります。

そのように誘引、勧誘の段階に、リスクのある状況の中で承諾を取るときに、電子でも良いという承諾を、果たして実効的に取れるのかというところに、1つ、いろいろな委員の意見、ご懸念があったのではないかと思います。

それから、更に書面を実際にどのように送るのか。冷静に熟慮する機会を与えるような形で書面が送られるのか、あるいは書面の内容が、そういうものになるのかといった問題が、もう一つあるのではないかと思います。

その辺りは、具体的に状況を考えて検討しなくてはいけないのではないかと思います。

もう一つは、現在、既に承諾を得た上で電子化を認めるという法令は、確かにございます。

ただ、その場合にも、必ずしも明らかではない部分がある。例えば、ウェブ閲覧が一定期間できる状態にしておけば良いといった形のものも、どうもあるようでして、そうすると、例えば、クーリング・オフの起算点がどうなるのか等、いろいろ不明確な問題が残されています。

クーリング・オフの電子化についても、現在、明確に担保されている法律は、恐らくないのではないかと思うのですが、デジタル化という観点から申し上げると、本来であれば、トータルに、消費者にとっての利便性も含めたデジタル化を考えていかなくてはいけないと思います。

他法令においては、事前規制があって、一定の水準の事業者であることが前提であるので、そうなっているという可能性はあるのですけれども、特商法、預託法の場合は、そうではありません。実際、悪質事業者がかなりいて、被害も起きているわけですから、そのことを前提に考えると、他法令との横並びではなく、むしろ他法令よりも、消費者にとっての利便性、デジタル化の利便も及ぶような形でなくてはいけないし、それから規律が不明確で、悪質事業者につけ込まれる余地があるものではいけないと思います。ですから、その点についてよく考えていただく必要があるのではないかと思いました。

この問題については、いろいろな御意見があり、少し整理をしなくてはいけないと思いますので、ヒアリングをするなどして検討していくことが、消費者委員会としても必要ではないかと思っております。引き続き、本件について調査審議を行ってまいりたいと思います。

お忙しいところ、消費者庁におかれましては、審議に御協力をいただきまして、どうもありがとうございました。

○消費者庁笹路取引対策課長 どうもありがとうございました。

(消費者庁退室)

《4.消費者委員会ワーキング・グループ設置・運営規程改正》

○山本委員長 それでは、次の議題ですが、ワーキング・グループ設置・運営規定の改正についてです。

事務局より、4分程度で御説明をお願いいたします。

○友行企画官 それでは、資料でございますけれども、資料3-1を御覧いただけますでしょうか。

消費者委員会ワーキング・グループ設置・運営規程でございます。

第1条から始まっておりますが、この中身につきましては、特段、今回のワーキング・グループに当たりまして、他のワーキングループの規程と変わっているところはございません。

ずっと運営規程を御覧いただきまして、最後のページのところに、ワーキング・グループの名称・目的・構成員とございます。

それの2つ目でございます。消費者関連情報の提供の在り方検討ワーキング・グループというものを、今回、設置していただくということでございます。

目的というところでございますが、安全安心な市場の情勢及び消費者自らが安全安心な商品サービスを選択できることを目的とし、消費者関連情報について、事業者と連携した新たな提供の在り方などを検討することと、ここに記載しております。

少し補足いたしますと、消費者に情報を届ける、伝えるということについて、もう少し工夫できるのではないか、そういった問題意識から、事業者と連携して新しい情報提供ルートなどについて検討していくということでございます。

構成員でございますが、委員長から指名いただいておりまして、受田委員、片山委員、新川委員に、構成員としてなっていただくこととしております。

座長は新川委員、座長代理は受田委員となっております。

以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

何か御質問はございますでしょうか。

生駒委員は、本日は御欠席ですが、本ワーキング・グループが正式に開催されることとなった場合には、オブザーバーとして参画をいただけるという御意向を伺っております。

よろしいでしょうか。特によろしいですか。

ありがとうございます。それでは、このような形でワーキング・グループを設置し、審議を進めていきたいと思います。

《5.その他(公共料金等専門調査会専門委員の追加任命についての報告)》

○山本委員長 最後の議題ですが、公共料金等専門調査会及び電力託送料金に関する調査会専門委員の追加についての報告です。

公共料金等専門調査会及び電力託送料金に関する調査会につきましては、昨年8月に専門委員1名の辞任がありましたけれども、このたび新たに坪田郁子専門委員を指名いたしました。

この点は報告事項ということです。私が指名をいたしましたので、そのことを報告いたします。

現在の構成員ですけれども、参考資料2-1及び2-2の名簿にありますので、確認をしてください。


《6.閉会》

○山本委員長 本日の議題は、以上となります。

最後に事務局より、今後の予定について説明をお願いいたします。

○太田参事官 本日も大変御熱心に御議論いただきまして、ありがとうございました。

次回の本会議につきましては、日程が決まり次第、委員会ホームページを通じてお知らせいたします。

以上でございます。

○山本委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございました。

(以上)