第334回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2020年12月18日(金)10:20~11:03

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)山本委員長
    (テレビ会議)生駒委員、大石委員、片山委員長代理、柄澤委員、木村委員、清水委員、新川委員
  • 【事務局】
    加納事務局長、渡部審議官、太田参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 消費者基本計画工程表改定に向けての意見案について
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1.開会》

○山本委員長 皆様、本日はお忙しいところ、お集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから、消費者委員会第334回本会議を開催いたします。

本日は、生駒委員、大石委員、片山委員長代理、柄澤委員、木村委員、清水委員、新川委員がテレビ会議システムにて御出席です。受田委員、丸山委員が御欠席です。

まず、会議に先立ちまして、本日は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、3密を回避しながら消費者委員会会議室及びテレビ会議システムにより会議を進行いたします。

また、感染拡大防止の観点から、引き続き一般傍聴者は入れず、報道関係者のみ傍聴していただいて開催いたします。

議事録につきましては後日、消費者委員会のホームページに掲載いたしますが、議事録が掲載されるまでは本日の会議の様子を12月21日月曜日15時頃よりホームページで動画配信いたします。

それでは、会議の進め方及び配付資料の確認につきまして、事務局よりお願いいたします。

○太田参事官 事務局でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

資料は議事次第に記載のとおりでございます。もしお手元の資料に不足などございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願い申し上げます。

以上でございます。


《2.消費者基本計画工程表改定に向けての意見案について》

○山本委員長 本日の議題は、消費者基本計画工程表改定に向けての意見案についてです。

本件につきましては、第330回から第333回までの本会議において、関係行政機関や関係団体からヒアリングを行い、審議をいただきました。それらを踏まえ、事務局に意見案を取りまとめていただいたところです。事務局より10分程度で御説明をお願いいたします。

○太田参事官 資料1「消費者基本計画等の実施状況に関する検証・評価及び消費者基本計画工程表の改定に向けての意見(案)」を御覧いただければと思います。

まず、本意見の趣旨や位置付けについて簡単に御説明させていただきます。

現行の第4期消費者基本計画は令和2年3月に閣議決定され、同計画の工程表も令和2年7月に決定されております。このうち、工程表については、その実施状況について毎年検証・評価を行い、改定を行うことになっておりますが、その際、消費者委員会の意見も踏まえてこうした作業を行うということになっております。

年明け以降、消費者庁を中心として、現行計画の下での最初の工程表の見直し作業が本格化するということでございますので、その改定作業に先駆けて本意見を発出することにより、工程表の改定に反映していくことを意図したものでございます。

これまで委員会や打合せの場で委員の皆様から様々な御意見をいただいておりますが、そうした御意見を踏まえまして、事務局で文案を作成し、調整させていただいたものでございます。

以上が前置きでございまして、1ページ目に前文がございます。1から2段落目が消費者基本法や消費者基本計画の工程表でどういった記載がされているかということでございまして、計画の検証・評価・監視という一連のサイクルにおける消費者委員会の役割について確認的に記載したものでございます。

こういったことを踏まえまして、3段落目以降でございますが、消費者委員会としては、個別施策に係るヒアリングの結果や最近の被害の実態等を踏まえて、計画等の検証・評価において特に留意すべき事項や、工程表の見直しに向けて具体的に検討すべき課題について、下記のとおり意見を述べるとしております。こういった項目について、関係省庁等において十分に検討していただいた上で、可能な限り工程表の改定素案に反映していただきたいということを述べております。

なお、今後、工程表の改定素案が策定された際には、消費者委員会といたしまして、改めて意見表明を行う機会がございます。その辺が4段落目に書いてございまして、そういったことを踏まえまして、引き続き令和3年1月以降もコロナ禍等緊急事態下での消費者問題などを中心にヒアリングを行いまして、今後策定される工程表の改定素案に対して、更に意見表明を行っていくという予告をしております。

「記」以下が具体的な内容となります。1から5までの大きく5つの柱から意見を構成しております。

まず、「1ポツコロナ禍等緊急事態下における消費者問題及び消費者行政のデジタル化への対応」でございますが、こちらにつきましては本年秋以降、基本計画の検証・評価・監視に関するヒアリングを行ってきたわけでございますけれども、そういったものを中心に内容を検討したものでございます。(1)から(6)の6項目から構成しております。

その下の柱書きに、その趣旨について記載させていただいております。新型コロナウイルス感染拡大という中で、デジタル化の加速や消費者の行動、価値観の変化など、消費者に様々な影響が生じているということでございます。こういった新しい生活様式といったことを踏まえまして、必要となる施策やコロナ禍に便乗した悪質商法その他消費者問題の対策について整理、類型化を行った上で、施策の追加、拡充を図るということを求めてございます。

また、地方消費者行政の関連で、消費者生活相談や見守りに制約が生じているということがございました。2ページ目に参りますけれども、そういった中で、コロナ禍による制約をデジタル化によって補完していくことが期待されているということでございます。そのため、消費者政策といたしましても、この機会を捉えて、高齢者など必ずしもデジタル技術に習熟していない消費者もいるということに十分留意した上で、デジタル化の流れを進めていくということでありますし、更に消費者のデジタル・リテラシーの向上も図っていく必要があるのだということでございます。

こういった消費者行政のデジタル化や消費生活のデジタル化が招く消費者問題への対応についても、十分施策を検討して、追加・拡充をしていただきたいということを述べております。

さらに、その下の段落でございますが、コロナ禍での消費者問題というのは、大規模災害の発生といった緊急事態においては同様のことが起こる可能性が高いということでございますので、今般の緊急事態下でのこうした政策の効果や迅速性はどうだったのかといったことについて十分検証を行う。リスク管理という観点も踏まえて、検証・評価を行っていただいた上で、改善すべき点があればそれを抽出して、工程表の見直しに反映していただきたいということを冒頭において述べているということでございます。

以下、(1)から(6)が具体的な施策となります。

まず「(1)消費者の不安に乗じた悪質商法等への対応」でございます。コロナ禍等、社会的に大きな不安が生じた際に、便乗する形で悪質商法等が行われるということは、これまでも繰り返し発生していましたし、今後も発生するということでございますので、こういったことは予見し得るということも踏まえまして、消費者に対する迅速かつ効果的な注意喚起や消費者教育の取組等、被害を未然防止、拡大防止するための取組を一層強化していただきたい。更にその取締りについても、迅速に行っていただく必要があるということでございまして、こういった観点を踏まえて施策を検討して、工程表を見直すということを消費者庁と警察庁に対して求めております。

「(2)フィッシング対策」でございますけれども、近時、フィッシングが急増していることを踏まえまして、12月上旬にフィッシング問題への取組に関する意見を委員会で取りまとめていただいたところでございます。

この意見を踏まえた具体的な施策について、工程表に反映していただきたいということを、警察庁と総務省に対して求めております。

「(3)緊急事態下における消費生活相談体制の充実、地域の見守りネットワークの構築」ということでございまして、こちらは消費者庁への意見となります。コロナ禍の中で、消費生活センターの機能を縮小したり、対面での相談や見守りが困難になったりと、様々な制約が表面化したということでございまして、こういったことに対処するために、都道府県と市町村の役割分担の明確化や消費者行政部局と他部局との連携の促進といったことについて十分検討を行った上で工程表に反映するということでございます。

さらに、2段落目以下ですけれども、消費者がどこに住んでいても質の高い相談を受けられることとともに、潜在的な相談の掘り起こしを行うといった観点から、SNSを含めた多様な相談手段を確保する必要があるのではないかということでございます。

その際、現在は試行的に行っている段階でございますけれども、今後、広域での効率的なSNS相談体制の構築の推進といったことについても具体的な方策を検討していただきたいとしております。

3ページ目でございます。チャットボットを活用した情報提供も消費者庁において試行が行われておりますけれども、こちらにつきまして、相談員による相談対応と組み合わせるなど、ハイブリッドな形での効果的な相談体制の在り方を検討していただきたいということでございます。さらに、中長期的には、チャットボットなどAI技術を活用した相談体制の構築を更に推進していく必要があるわけですけれども、その際、それによって顕在化する相談に十分対応できるよう、AIを活用して相談業務の効率化や相談員に対する支援をしっかり行っていくということでありますし、AIによるメリット、対面によるメリットの両方をいかしていくという観点を踏まえて、相談員とAIが協働する相談体制の在り方についても十分検討していただきたいということを述べております。

その下の段落でございますが、更により迅速な注意喚起や法執行等につなげるといった観点から、AIによる分析機能を導入するなど、消費生活相談体制の更なるデジタル化についても検討していただきたいということでございます。

さらに、その下の段落でございますが、コロナ禍の中で地域での見守りがなかなか十分しにくいという課題が明らかになったところですが、こういった中では福祉など他分野における見守りとの連携や情報共有を強化する必要があるだろうということでありますし、さらに、デジタル弱者にも配慮した上で、デジタル技術を活用した見守りの在り方についても検討していく必要があるのではないかということでございます。

「(4)食品表示の適切な運用に関する取組」ということで、消費者庁に対する意見となります。コロナ禍の中でインターネット通販が一層拡大してきているわけでございますけれども、ECサイト上の食品表示の在り方については、必ずしも十分ルールが整備されていないということでございまして、早急に具体的な取組の方向を示すことが重要なのではないかという問題提起を行っております。令和2年度に、消費者庁においてECサイトのモデル構築事業を行っておりますので、そういった調査結果なども踏まえつつ、ECサイトにおける食品表示の在り方について早急に検討することが必要なのではないかということでございます。

「(5)デジタル・プラットフォーム企業が介在する取引における消費者問題への対応」でございます。消費者庁において、デジタル・プラットフォームに係る検討会が開催されまして、8月にその論点整理が公表されたということでございます。現在、それを踏まえて法整備も見据えた検討が行われているという段階でございます。今後の取組内容について、工程表に記載していただきたいという消費者庁への意見でございます。

4ページ目を御覧ください。「(6)社会のデジタル化に対応した消費者教育の推進」でございます。コロナ禍の中で社会のデジタル化が加速しておりまして、今後、それを更に推進していくわけでございますけれども、社会のデジタル化におけるリスクや対応策について、消費者があらかじめ学んでおくことが重要だということでございます。特に高校生、大学生につきましては、令和4年4月からの成年年齢引下げを見据えて、実践的な消費者教育を行っていくことが重要だとしております。

そういったことを踏まえまして、2段落目で消費者庁を始めとして関係省庁において様々な検討が行われていることを記載してございますけれども、こういった取組を踏まえまして、社会のデジタル化に対応した消費者教育の推進について、人材の育成、活用策なども含めまして、工程表に記載していただきたいということでございまして、こちらは消費者庁と文科省に対する意見ということになります。

次に「2ポツSDGsの推進」でございまして、消費者庁、環境省などへの意見になっております。

まず「(1)環境の保全に資する消費者と事業者との連携・協働」でございます。先般の総理の所信表明演説等で、2050年にカーボンニュートラルを実現するということが提起されております。こういったことに向けまして、令和2年度に地球温暖化対策計画及びその国民運動実施計画の見直しが実施予定ということでございますので、その内容も踏まえまして、工程表を見直してほしいという意見でございます。

「(2)エシカル消費の普及啓発」でございます。消費者がポストコロナ時代も見据えて、人や社会、環境に配慮した消費行動ができるように、消費者教育などを通じまして、エシカル消費の普及啓発を図っていくということでございます。

「(3)消費者志向経営の推進」でございます。消費者庁におきまして有識者検討会が開催されまして、8月に中間報告書が取りまとめられているということでございます。この中間報告書や令和2年度の検証結果などを踏まえまして、消費者と事業者間の協働の具体化や地方公共団体との連携強化なども含めまして、今後、自主宣言事業者を増やしていくための具体的な方策について更に検討して、工程表に記載していただきたいという意見でございます。

5ページ目を御覧ください。「3ポツ地方消費者行政の充実・強化」ということで、消費者庁に対する意見でございます。地方消費者行政につきましては、これまでの取組によって、地方公共団体における自主財源の増加などの一定の成果も見られるわけでございますが、他方で、消費生活相談員が2年連続で減少するなどの問題も表面化しているところでございます。今後とも、地方消費者行政を持続可能なものとするため、消費者委員会がこの8月に公表いたしました意見なども踏まえつつ、消費生活相談員の更なる処遇改善や担い手となる多様な人材の育成・確保策など、必要な施策について工程表に記載していただきたいということでございます。

「4ポツ特定商取引法・預託法の見直し」ということで、消費者庁への意見でございます。消費者庁におきまして、特商法・預託法に関する検討委員会が開催されまして、この8月に報告書が取りまとめられたところでございますので、それを踏まえた今後の取組内容について記載していただきたいということでございます。

さらに、この間、規制改革会議からの要請を受けて、契約書面等の電子交付に関する検討を急きょ行うことになりましたので、契約書面等の制度上の意義を十分踏まえつつ、消費者保護の機能を失わせないという観点から検討するということを求めるものでございます。

最後、「5ポツ携帯電話の料金等に係る表示の適正化及び消費者の合理的な選択の機会の確保」でございます。携帯電話につきましては、これまでも委員会でいろいろ御議論いただいてきていたところでございますが、直近の動きといたしまして、携帯電話料金の低廉化に向けた総務大臣と消費者担当大臣の2大臣会合での検討なども行われております。こういったことを踏まえまして、消費者が自らニーズに合った料金プランを容易に選ぶことができるよう、広告表示の総点検を行うということや、料金やサービスの内容等について、消費者への一層の周知に取り組むといったことを、総務省と消費者庁に対して求めていくということでございます。

御説明は以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、御質問、御意見のある方はお願いいたします。いかがでしょうか。

清水委員、お願いします。

○清水委員 ありがとうございます。

説明ありがとうございました。

まず、2ページの部分なのですが、上から2行目です。「高齢者などデジタル技術に習熟していない消費者もいることに配慮」、また「デジタル化を進めるとともに、デジタル・リテラシーの向上に努める」、「消費者行政のデジタル化及び消費生活のデジタル化が招く消費者問題への対応について」については、そのとおりでございます。特に意見があります。

それは、8月に特定商取引法・預託法の大改正があり、私たち消費生活の現場では歴史的な改正に大歓迎をしております。しかしながら、他方では法定書面の電子化というとんでもないことが現実になりそうで、8月の特商法の改正とセットでやられる動きがあります。この電子化については、消費者委員会としても断固として反対していきたいですが、方向としては非常に厳しいようです。ここはきちんと議論していくべきで、課題山積です。ここのところをきちんと書いてあるということで、良かったと思います。ありがとうございます。

あまりにも消費者トラブルへの理解がなく、特商法が骨抜きになるような改正になってはいけないと思いますので、消費者委員会として今後も検討が必要だと思います。よろしくお願いします。

○山本委員長 ありがとうございます。

そのほかいかがでしょうか。

大石委員、お願いします。

○大石委員 ありがとうございます。大石です。

2点ほど意見と、あと1点質問させていただきます。

まず1点目は、先ほど清水委員がおっしゃった特商法におけるデジタル化についてです。確かに、デジタル化は社会として進める方向ではありますけれども、今回の契約書面等の電子化を認めるという点については、特商法というものがどういう歴史で作られたかということをもう一度きちんと見直した上で、消費者委員会としては、消費者保護のためにどうあることが一番重要なのかということを基本に戻って検討していくということをお願いしたい、というのが1点目でございます。

2点目としましては、新しく入れていただきました4ページ目のSDGsの推進の「(1)環境の保全に資する消費者と事業者の連携・協働」のところです。先ほど事務局から御説明いただきましたように、今般、菅総理の2050年カーボンニュートラルという、これは国民全体で向かわなければいけない目標ですが、現在の工程表では脱炭素社会作りに向けてということで、CO2排出を2013年度比で2030年までに4割削減するという取組内容になっております。

これを全く乗り越えてと言いますか、新たな目標が設定されたわけですから、今回、この工程表の見直しのところでは、是非新しい目標に向けた取組を具体的に入れていただきたいですし、ここのところは、消費者と事業者との連携・協働ということになっておりますので、担当省庁が現在は環境省と書いてありますけれども、例えば事業者に関しては経済産業省、消費者も暮らし全体を見直すという意味では消費者庁が率先して取り組まなければいけないと思いますし、自動車関連であれば国土交通省、また、行政自体も例外なくこの目標に向かって取り組むということで、環境省だけではなく、環境省、消費者庁が中心となって、全省庁に是非この内容については周知いただくようにお願いしたいと思います。それが意見の2点目です。

3点目は質問なのですけれども、2ページ目のところの担当省庁についてです。「1ポツコロナ禍等緊急事態下における消費者問題及び消費者行のデジタル化への対応」のところで、(1)の前の1ポツ全体の担当省庁が、以前はたしか消費者庁と関係省庁ということで省庁の名前が入っていたと思うのですが、今回は1ポツのところには入っておりませんで、(1)、(2)、(3)について、それぞれの省庁名が書いてあります。意味があって、1ポツ全体としては消費者庁と関係省庁というものを入れないことにしたのか、それとも落ちているだけなのか、今更ですが気が付きましたので質問させていただきました。

以上です。

○山本委員長 それでは、お願いします。

○加納事務局長 事務局長でございます。

ここのところは従前の検討では別の具体的な話を盛り込んだりしておりましたが、いろいろと議論の過程で、割と理念的な話を総論として書いていったというように、内容がちょっと変わってきておりますので、以前は何とか何とかするとか、そのような内容が入っていたのですけれども、関係省庁というのは(1)以下の各論のところで具体的に書いているということで、総論の柱書きのところには書かなくなったという経緯でございます。

○山本委員長 よろしいでしょうか。

○大石委員 ありがとうございました。よく分かりました。

○山本委員長 木村委員、お願いします。

○木村委員 木村です。

今回の意見なのですけれども、まず1ポツですが、デジタル化はリテラシーだけの問題ではないと思っております。コロナ禍により本当にデジタル化が大変な速度で進んでおりまして、消費者は途方に暮れている場面もありますし、便利になった部分もありますので、そこのところをどうやっていくのかなというのは本当に毎日考えているところです。

新しいものについては、デジタル・リテラシーだけの問題ではなくて、本当に誰でもぜい弱になりやすいので、分かったつもりで行ってしまうということもありますので、デジタル化で今後懸念される消費者問題については、未然防止と迅速・適切な対応を是非取り組まなければいけないと思いますので、よろしくお願いいたします。

それから、特商法・預託法の見直しについてなのですけれども、私も電子交付などについては消費者保護の観点から、どうしてこれらの商法に被害が多いのかということをきちんと検討した上で慎重に検討していくべきではないかと考えております。

3点目なのですけれども、最後の携帯電話料金のところです。通信はインフラとして重要であることから、携帯電話は確かに大事ですが、それだけではなくて、通信料金全体について取り組んでいただきたいと考えております。そう申しますのは、携帯電話の料金体系の中で、光回線やその他の商品やサービスなどとの抱き合わせ販売もあり、大変複雑となっていますので、そこも含めて検討されるようにお願いいたします。

また、広告についてですけれども、これは通信だけではないですが、打ち消し表示の分かりにくさも大変問題になっております。是非その辺りも取り組んでいただきたいと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

新川委員、お願いします。

○新川委員 新川です。

意見案の内容についてはこれで結構だと考えています。この意見を受けて、是非、消費者庁でしっかり御検討いただきたい点として、1点目は、工程表の見直しに当たりまして、その年度での達成目標というか到達すべき内容をできるだけ具体的、客観的に定めて、それに向けて尽力していただきたいということであります。数値目標が立つようなものであれば、それはそれである種客観性が保証されますが、もちろん検討する事項等も多々ございます。そういたしますと、検討しましたということではなくて、検討すべき内容のどういうところをどこまで議論するのか、あるいは具体的にどういうデータを収集して進めていくのかといった到達目標的なところをできるだけ具体的に工程表の中でお示しいただけると仕事の進捗の管理もやりやすいですし、私たちもその成果をより明確に見える化した形で見ることができるのではないかと考えております。これが1点目であります。

2つ目に、今回、SDGsに関連して、いろいろ入れていただいて、先ほどから、御意見もございますが、カーボンニュートラルのお話も入れていただきました。これはこれで十分かと思いますが、今後の検討課題としては、エネルギー分野が大きく、これからのネット・ゼロ・エミッションに向けては、非常に大きな役割を果たすということがあります。この分野についても消費者問題という観点からすれば、電力料金やその自由化の問題といったことが大きく関わってこようかと思っておりますので、この辺りは消費者庁としてもしっかりと監視をし、そして現在、公共料金等の検討も進んでおりますので、そうしたところでの議論も踏まえて、今後、更に注視・検討をしていただきたいというのが2点目であります。

3点目は携帯の話です。既にいろいろいただいておりますが、今回意見の中に入ったというのは適切かなと思っております。同時に、まだこれから動きがあるというところもございますので、この辺り、携帯各社の動向等も今後更に検討いただいて、最終的な工程表を3月に仕上げる段階では十分な内容になるように、各社の動き、マーケットの動き等も注視をしながら検討していただければと思っております。

以上です。

○山本委員長 次に、片山委員長代理、お願いします。

○片山委員長代理 ありがとうございます。

意見としては、この内容に異論はございません。非常に幅広に改定素案に反映していただきたい問題点を取り上げていると思っています。

1点だけ、4ポツの契約書面等の電子交付に関するところで、是非検討の際に留意していただきたいことを申し上げたいと思います。契約書面の交付が電磁的方法になった場合に、消費者の視点から見て、従来の書面交付とどこがどのように変わってくるのか。書面の内容の理解にどういう違いが出るのか。あるいは、その書面の持つ意義を消費者が理解する上で、デジタルと現実の書面とでどういう違いがあるのかというところ、そうした消費者の視点から見た生じる変化をしっかりと具体的に検証していただきたいと思います。

その中で、消費者保護の機能を失わせないということが本当にデジタル、電磁的方法による交付で可能なのかどうかというところの検証が重要だろうと思っています。その点だけ1点申し述べさせてください。

以上です。

○山本委員長 次に、生駒委員、お願いします。

○生駒委員 御説明、ありがとうございました。

今、改めて御説明をお聞きしていて感じたことが1つあるのですけれども、デジタル弱者という言葉が出てきます。3ページの(3)の最後のところです。「その際、デジタル弱者にも配慮したものとする」となっているのですが、このデジタル弱者の定義がよく分からないなというのが改めてお聞きして思いました。

そう申しますのは、次の4ページ目の(6)の冒頭に、消費者教育の推進の中で高校生・大学生について、令和4年4月から成年年齢引下げを踏まえ、実践的な消費者教育が必要であると書かれています。これは主に社会のデジタル化に対応したということですので、デジタルに関連した消費者、エシカル消費教育ということだと思うのですが、そうなりますと、全体を通して見ますと、デジタル化を推進することでこぼれ落ちてしまうというか、被害に遭われるようなデジタル弱者が出てくるであろうということがいろいろなところで分かってくるわけなのです。誰一人取り残さないというのが大きな掛け声として掲げられているSDGsですので、「(2)エシカル消費の普及啓発」のところに、具体的にデジタルに関連するデジタル弱者向けの啓発活動が必要ではないかと。先ほどの御発言の中でも、高齢者や未成年者だけではなくて、誰もがデジタル弱者になり得る可能性があるとも言える時代だと言われております。そういった意味で、デジタル弱者の定義と、それに対応するアクション、エシカル教育をデジタル側面でどのように推し進めて、デジタル弱者をいかに生まないようにするかなど、デジタル弱者が被害に遭わないような状況を生むという視点も配慮されるべきではないかと思いましたので、御発言させていただきました。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

今、デジタル弱者という点について、定義やその意味について御意見をいただきましたけれども、正に今、生駒委員が定義と申しますか、あるいはここでデジタル弱者ということを特に指摘している意味を明らかにしていただいたのではないかと思いますので、これはもちろん議事録に残るものですし、そのようなものとして理解をしてよろしいのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

どうぞ。

○加納事務局長 デジタル弱者という感じで書いておりますけれども、典型的には高齢者やデジタルの習熟がまだ十分でない人というのが想定されると思います。

ただ、木村委員がおっしゃったように、デジタル技術がいろいろと進展をし、様々なサービス、ビジネスが展開されるという中で、例えばデータを駆使したターゲティング広告の問題とか、いろいろな問題も出てきているわけでありますけれども、誰しもが思わぬトラブルに巻き込まれる可能性が常にはらんでいるのではないかという気がしますので、そういう意味では、正に誰しもがそうなる可能性はある。その可能性があるから駄目なのかというと、それに対して消費者保護を図りつつ、リテラシーの向上といったものをトータルに進めていくことで、デジタル社会を消費者にとってもより豊かなものにしていくというのが恐らく消費者政策として求められていると思いますので、そういう観点でSDGsの推進や消費者教育の推進といった、様々な箇所にデジタルというものが顔を出してくるということではないかと思いますので、委員長もおっしゃったとおり、生駒委員御指摘の御理解ではないかと思います。

○山本委員長 ありがとうございます。

更に他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

いろいろ意見をいただきまして、ありがとうございます。

ただいまの各委員の意見によって、工程表の改定に向けての意見に込められた意味がいろいろ明らかになったのではないかと思います。

ここに書かれていることから更に広げて、他の省庁に取り組んでいただきたい事柄であるとか、他に取り組んでいただきたいテーマについても示していただいたのではないか。木村委員からは、携帯電話ということなのだけれども、通信サービス一般についてというお話もございましたし、新川委員からは、カーボンニュートラルの話から、更にエネルギー分野における消費者保護と言いますか、エネルギー分野の制度の在り方まで更に考えなくてはいけないのではないかという御指摘もございました。

それから、消費者委員会でずっと言ってきたことといたしましては、4ページの上から5行目にありますように、令和4年4月からの成年年齢引下げへの対応も非常に重要であると思いますので、その点はこの場で申し上げておきたいと思います。

それでは、「消費者基本計画等の実施状況に関する検証・評価及び消費者基本計画工程表の改定に向けての意見(案)」につきまして、皆様の御了解をいただいたものと思いますので、これをもって当委員会の意見とし、関係行政機関宛てに送付したいと思いますけれども、よろしいでしょうか。皆さん、オンラインで参加しているのでなかなか難しいですね。

(「異議なし」と声あり)

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、御了解いただいたということで、送付をいたします。

委員の皆様におかれましては、意見の取りまとめに御尽力いただきまして、どうもありがとうございました。


《3.閉会》

○山本委員長 本日の議題は以上です。

最後に事務局より、今後の予定について説明をお願いいたします。

○太田参事官 本日も熱心に御議論いただきまして、ありがとうございました。

次回の本会議につきましては、日程が決まり次第、委員会ホームページを通じてお知らせいたします。なお、委員におかれましては、閉会後に打合せを行いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

以上でございます。

○山本委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)