第332回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2020年11月26日(木)9:59~11:59

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)山本委員長、大石委員、柄澤委員、木村委員、新川委員
    (テレビ会議)受田委員、片山委員長代理、清水委員、丸山委員
  • 【説明者】
    消費者庁小堀地方協力課長
    消費者庁吉田参事官(調査・物価等担当)
    公共料金等専門調査会野村座長
  • 【事務局】
    加納事務局長、渡部審議官、太田参事官、事務局担当者

議事次第

  1. 開会
  2. 消費者基本計画の検証・評価・監視(コロナ禍等緊急事態下の消費者問題(2))
  3. 一般乗用旅客自動車運送事業(東京都特別区・武三地区)の運賃組替えの事後検証について
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1.開会》

○山本委員長 皆さん、本日はお忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから、消費者委員会第332回本会議を開催いたします。

本日は、大石委員、柄澤委員、木村委員、新川委員がこの会議室にて御出席。受田委員、片山委員長代理、清水委員、丸山委員がテレビ会議システムにて御出席です。

生駒委員が御欠席です。

まず、会議に先立ちまして、本日は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、3密を回避しながら消費者委員会会議室及びテレビ会議システムにより会議を進行いたします。

また、感染拡大防止の観点から、引き続き一般傍聴者は入れず、報道関係者のみ傍聴していただいて開催いたします。

議事録につきましては後日、消費者委員会のホームページに掲載いたしますが、議事録が掲載されるまでは本日の会議の様子を11月27日金曜日15時頃よりホームページで動画配信いたします。

それでは、配付資料の確認につきまして、事務局よりお願いいたします。

○太田参事官 本日もどうぞよろしくお願いいたします。

資料は議事次第に記載のとおりでございます。もし、お手元の資料に不足などございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上でございます。


《2.消費者基本計画の検証・評価・監視(コロナ禍等緊急事態下の消費者問題(2))》

○山本委員長 本日の議題ですけれども、消費者基本計画の検証・評価・監視に関連し、コロナ禍等緊急事態下の消費者問題として、消費生活センターの相談体制及び見守りネットワークに関する件です。

工程表の該当部分といたしましては、主に地方消費者行政の充実強化に向けた地方公共団体への支援等と、地域の見守りネットワーク構築になります。

本日は、消費生活相談体制の現状、見守りネットワークの現状についてまずお話を伺います。また、今般公表されました地方消費者行政の現況調査についても併せて御説明いただきます。

そして、現状を踏まえ課題と考えていること、それに対する今後の取組について現時点で予定されていることについてお話を伺いたいと思います。その際、コロナ禍において、例えば相談業務については対面での業務が困難になったこと、見守りについては外出自粛要請の中で生じた課題などについての視点も大切であると考えております。

本日は御説明者として、消費者庁地方協力課の小堀課長にお越しいただいております。お忙しいところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

それでは、両議題合わせまして30分程度で説明をお願いいたします。

○消費者庁小堀地方協力課長 消費者庁地方協力課の小堀でございます。本日はよろしくお願いいたします。

まず、私からは地方消費者行政全般ということで、資料1-1を使いまして御説明をさせていただきます。

こちらに(ポイント)と書いてございますけれども、先般11月13日に公表をさせていただきました。この中で幾つかかいつまんで御紹介をさせていただきます。

まず、資料の1ページ目につきましては、消費者行政の予算の状況について書いてございます。

(1-1)のところで、消費者行政予算の推移ということで、令和2年度当初予算は前年度比で増加、自主財源が前年比増ということでございます。表にございますとおり、一番右、令和2年度合計で183億円余りということで、前年から3.6パーセンントの増加となってございます。

内訳を見ますと、基金交付金につきましては緩やかに減少してございますけれども、一方で自主財源が4年連続の増加となりまして、それが全体を押し上げるという形になってございます。

これが一つ、予算の特徴だと思ってございます。自治体の方の非常に御努力もいただいているところでございまして、少しずつ自主財源の活用が増えているということでございます。

続きまして、2ページ目でございます。「相談窓口の状況」ということでございます。

上の表でございますけれども、一番上の段、相談窓口の設置につきましては引き続き1,721、全自治体で相談窓口は設置をされてございます。そのうち、いわゆる消費生活センターで4日以上開所しているとか、相談員がいるとか、一定の基準を満たしたセンターにつきましては、前年から12市町村増えまして1,095、設置率で言いますと63.6パーセンントということでございました。

特徴としましては、更に内訳が書いてございますけれども、広域連携と書かれている自治体が増えてございまして、全体としてはこういった広域連携を活用したセンターの設置が増えているところでございます。

下の(2)消費生活センターの数では、都道府県政令市のサブセンター数が減少とございます。全体としてセンターの数は5つほど減ったところでございますが、都道府県ですとか政令市のところでむしろ市町村の相談、センターが強化されたのでとか、あるいは相談件数が少し減っているのでということで、サブセンターを幾つか持っているところを削ったという自治体がございました。

続きまして3つ目、3ページ目になりますけれども、ここは特に消費生活相談員でございますが、上の消費生活相談員の配置で、表を見ますと、全体としまして令和2年は3,324人で、前年から55人減少になってございます。

いろいろヒアリングなどもさせていただいたところですと、相談件数が減ったからといったような声もあったのですけれども、一方では、比較的多かったのは高齢化などによりまして退職をされた方の後任でなかなか適任者が採用できなかったといった声がありました。

(2)の事務職員につきましても、減少をしているところでございます。

次の4ページ目でございますけれども、こちらが消費生活相談員の処遇の話でございます。

御案内のところかもしれませんけれども、今年の4月から会計年度任用職員という制度が始まりまして、消費生活相談員の方のおよそ8割強ぐらいこの制度の中に入ったような格好になってございます。この制度では賞与、ボーナスが支給されることが可能になったということで、本年の数字もそういったものが反映されているところでございます。

表で御覧いただきますと、一番右の令和2年というのが1,749円。これは1時間当たりの報酬単価でございますけれども、賞与も含めて計算いたしますと1,749円ということでございます。

下の※の注釈のところに書いてございますけれども、賞与を含めずに算出しますと1,570円ということでございますので、ほぼボーナスの分が昨年から上乗せされて、全体としては改善を示す結果となったところかと思います。

併せて、※のところの3つ目に書いてございますけれども、一方では平均報酬額が減ったような団体もございましたし、賞与込みでは全体として増加となったのですけれども、基本給だけで見ると減ったといった自治体も見られたということで、そういう点は留意が必要なのだろうと思ってございます。

そのほか処遇の改善では(2)の雇止めにつきましてはずっと減少傾向が続いてございまして、あとは残りが1つという状況まで来てございます。

もう一ページ御紹介いたしますと、5ページ目でございますけれども、地域での活動の状況でございまして、相談・あっせん件数というのが(1)に書いてございます。

一番上で、全自治体計で相談件数は104万件余りということで、前年からは5万件ほど減ってございますけれども、ならすとほぼ同水準で来ているのかなというところでございます。

その中で、2行目のあっせんの件数です。こちらが前年より増えまして9万3000件余りということでございます。あっせんの割合につきましても、過去と比べるとちょっと上がっているところが特徴かと思います。

どこで増えているかというのがその表で一番下になりますけれども、市区町村のところが傾向的に見ましても件数が増えてございまして、比較的、市区町村レベルでのこういったあっせんも進んできているのが数字で表れたところでございます。

その下の(2)です。自治体の職員ですとか相談員の皆さんの研修への参加ということで、基本的には大分参加をしていただいているのですが、一番右の市区町村のところで令和元年度、参加自治体数の割合というのが少し減っているところでございます。

ここはまだちょっと原因が、確たることは分からないのですが、ひょっとしたら元年度の最後でコロナの影響で研修が中止になったりというのはあるかもしれないところでございますが、まだちょっとこの数字からは判断できないところでございますので、今後と言いますか、特に今年度どうなるかというのはまた注視をしていきたい状況でございます。

これが現況の数字と言いますか、割と地方の消費者行政の概略が出ている資料だと思ってございます。

それともう一つ、資料1-2としまして「地方消費者行政強化作戦2020」という1枚紙がございます。事前の御関心事項の中でもちょっと書いていただいておりますけれども、この中で相談体制に関する目標でございます。

2020の中では下にございますけれども、大きくは7つの分野に分けまして政策目標を立てて、これを目標に取り組んでいるところでございます。相談体制で申し上げますと、政策目標の1番と2番、左側の上にございますけれども【消費生活センターの設置促進】ですとか、相談員の方の配置ですとか、レベルアップの促進、こういったところを目標に掲げてございます。

相談員の方につきましては、2-1が要するにできるだけ配置をするということ。2-2は資格の保有率を高めるというクオリティー、質の点。2-3も割と同様でございまして、研修の参加率。2-4は指定消費生活相談員という、都道府県において市町村に対して指導ですとか助言をしていくといった相談員の方なのですけれども、これを全都道府県で配置しましょうといった目標を掲げて今やってございます。

先ほどの現況調査の数字を踏まえてまいりますと、例えば消費生活センターの設置促進であれば、1-1の目標で県内の人口カバー率90パーセンント以上をクリアしているのが26都道府県になってございます。2-1、消費生活相談員の配置がカバー率90パーセンント以上。こちらは39都道府県がクリアをしている。2-2は27都道府県がクリアをしている。2-3は目標が100パーセンントで、もともとかなり高いハードルを設けているので達成できたのは4都道府県でありましたということでございます。2-4は19の都道府県で配置をいただいたということでございます。

最初の3つ、1-1、2-1、2-2は少しずつ前進をしている感じでございます。

2-3は前年が9クリアだったのでちょっと下がりましたけれども、ここは研修の参加率ということで、少しコロナの影響も今後見極めながら注視をしていきたい。2-4は前年が9でしたので、少しずつ配置が進んでいただいている進捗状況にあるところでございます。

もう一つの1-3という資料がございます。こちらが来年度、令和3年度の予算要求でございまして、この中にコロナ対応なども含まれておりますので、それも併せて御説明をさせていただければと思います。

令和3年度の概算要求としまして、上に4つほど丸がございますけれども、左の3つの丸の「ぜい弱な消費者への対応」とか「地域の相談員支援」とか「消費者・事業者の協働の推進」ということは消費者庁がずっと掲げているような基本的な目標でございますけれども、もう一個今年意識しましたのは一番右の「新型コロナウイルス感染症への対応」ということで、それも含めまして予算要求を今しているところでございます。

ピラミッドがございまして、下から少し説明いたしますと、オレンジの地方消費者行政強化交付金がまずベースになるものでございまして、31.5億円の要求をしておるところでございます。

特に増額要求のポイントとしましては、右側に書いてございますけれども、1つ目のポツがSNS相談の受付など、これらの情報化ということでございます。SNS相談の受付は、あくまで一例でございますけれども、そのほかに情報化ということで、例えば正に対面で相談を受け付けるというのが難しい場合に、ウェブ会議システムでありますとか、テレビ会議システムを使って、疑似対面というわけではありませんけれども、そういった相談手法をやりたいとかといったことも含めまして、いろいろ情報化、コロナ対応を中心としますけれども、そういった情報化について手を挙げてくださる自治体があれば、それはしっかり支援をしていこうというのが1つでございます。

もう一つ、自治体間の広域連携の推進というのが書いてございます。こちらにつきましても、特にコロナですとか災害などありますと、例えば小さな市町村などではなかなか体制が維持できないリスクもございますので、日頃から都道府県による市町村の支援、助言ですとか、あるいは市町村の間での連携。そういった活動に対して支援をしていくといったことを、大きな2つの柱が今回の増額要求の内容という感じでございます。

その下の相談員の研修参加支援は、引き続きしっかりやっていきましょうというところでございます。

ピラミッドで言いますと中段が、これは交付金というよりは国が直接事業を実施して地方を支援していくというようなものでございまして、本年は消費生活相談のデジタル化ということで、これは国民生活センターの予算でございますが、PIO-NETのデジタル化ですとか、災害時、非常時などでのテレワークですとか、そういったことにできるような予算要求をしてございます。

PIO-NETのデジタル改革につきましては、今、ちょうど2020に今度切り替わるところでありますけれども、その次を見据えてより相談の受付手法の多様化ですとか、そういったことを通じて相談する方の利便を高めていくとか、あるいは相談員の方のいろいろな負担を軽減していくとか、あとはデータの活用といったものがもう少しスムーズにできるようにとか、幅広い視点で今後検討を進めていきたいといったことで、最終的には地方にもメリットがあるようなものにしていきたいと考えてございます。

もう一つ御紹介をしますと、地方の消費者行政、人材育成といったものがございまして、先ほど来、現況調査の中でも相談員の方の減少というものとか、なかなか担い手が見つからないという声もあったところで、今年度から担い手確保の事業を開始したところでございまして、そこにつきましても来年度に向けて更に充実を図っていきたい。そのようなことを考えてございます。

そのほかは、予算全体で申し上げますと、コロナですとか災害時への備えという意味で、1つは情報化。これは先ほど申し上げました対面を補完する会議ですとか、あるいは自治体間連携を通じてバックアップ的な、重層的な体制作りを後押ししていくといった発想でやってございます。

もちろん、こういった情報化ですとか自治体間連携というのは、恐らく中長期的な意味でも今後のいろいろ相談者の利便性ですとか、地域における体制作りという点でプラスになっていくのだろうと考えてございます。

ですので、コロナ禍では先ほども少し冒頭にお話しいただきましたけれども、やはり対面でなかなか相談がしづらいとか、あとは相談員の方も今はだんだん減ってきているようなのですが、本当に3月、4月の頃はAチームとBチームで交代出勤になるとかといった声がございましたので、そういった中でできるだけ機能を落とさずやっていけるように情報化ですとか広域化の支援をしていくということで考えてございます。

以上が前半のお話でございまして、そのまま見守りネットワーク、消費者安全地域協議会のお話もさせていただければと思います。

こちらは資料1-4でございます。地域協議会の設置自治体一覧と書いてございます。

右下に「設置自治体数」が書いてございまして、合計で今297まで参りました。大体、年に60から70ぐらいのペースで増えてはきている状況でございます。

本年は割と自治体の方にお話を伺う機会があるのですけれども、結構、今年度中にはできそうだとか、そういった声も聞きますので、引き続き増えていくことを期待するところでございます。

見守りネットワークにつきましても、事前にコロナ禍で生じた課題という御関心をいただいております。いろいろヒアリングなどをしますと、一方では積極的な戸別訪問のようなことがなかなかしづらいといったこともございましたし、あとは協議会の会合自体を延期せざるを得なかったといったような声がありました。春先がやはりそういった状況が強くて、少しずつ改善はしているようでございますが、そういった声があったということであります。

他方では、手洗いとか消毒とかマスクをつけるとか、正に基本的な対策をして見守りをやっていますという声も一方ではあったところでございます。ですから、全くできないというわけでもないのですけれども、ちょっとやりづらい面もあるという感じなのかなと思ってございます。

消費者庁では、例えば今年の2次補正のところでは通話録音装置の貸与事業などについて地方交付金を計上させていただきました。正に対面での訪問がしづらい中でも、比較的そういった通話録音装置などは効果が上げられるのではないかというところでございます。

また、令和3年度予算でも、先ほど情報化というキーワードを言いましたけれども、そういった中でも例えばタブレットを使って、ネットワークの人は使いながら見守りをしていくとか、そういったことに活用できるように今、予算要求もしているところでございます。

もう一つは、設置の促進という意味で進まない理由とか、そういったことをいただいておりますけれども、こちらもヒアリングベースではございますけれども、いろいろ聞くと一つ、既存のネットワークで実は既にある程度のことはやっているので、あまりそれ以上新たに設置することに何か負担を感じますとか、あとはやはり福祉部局の協力が得られるかどうかとか、あとは最初とも関係するのかもしれませんが、メリットが分かりにくいとか、そういった声は聞くところでございます。

消費者庁では、正直に言いますと地道な活動なのですけれども、1つは交付金でもいろいろ設置にかかる費用といったものは対象にしてございますので、そういったものを活用いただいているというのがございますけれども、そのほかにも見守りガイドブックのような割と分かりやすいものを作ったりとか、先ほどの阻害要因などにつきましてもQ&Aみたいなものを自治体に送ってやっていくとか、あとは割と多いのは講演会で説明してくれというのは結構あるので、そういったところには積極的に出向いていろいろ、メリットもそうですし、作り方という言い方も変ですけれども、そういったことを説明したり、粘り強くこういうものは取り組んでいってやっていこうと思っています。

それと徐々に、施行から4年強たちましたので、いろいろな事例もだんだんたまってきたところでございますので、ちょっと今、ホームページを強化する方向で取り組んでおりますので、そういった中でいろいろな事例、バリエーションもいろいろあると思うのですけれども、そういったものを示しながら作り方ですとかメリットですとか、うまく伝えられれば良いなという感じで今、取り組んでいるところでございます。

それから御関心としましては、厚生労働省とか地域包括支援センターといったところの連携というものをいただいたところでございますけれども、包括支援センターと必ずしも限らないのですけれども、やはり見ていきますと、出来上がったネットワークで言いますと、ほぼ9割以上のところは福祉関係者、社会福祉協議会などがやはり入っていることが多いので、そこは割と元々ある福祉のネットワークにうまく消センですとか消費者団体の方が入っていただいてという形で作っていただいているのかなと思ってございます。

あとは先日、年に1回やっているのですけれども、見守りネットワーク連絡協議会という関係省庁の皆さんとか、あるいはいろいろな団体の皆さんです。消費者団体の方とか福祉団体の方々と一緒に情報共有する場を設けておりまして、今年はなかなか残念ながらリアル開催ができなくてオンラインになってしまったのですけれども、そこで正に厚労省の福祉系の方に来ていただいて、いろいろ取組を紹介していただきました。

出席された消費者団体の方からは比較的好評で「そういうのを知りたかったのよ」みたいな声がありましたので、そういうことも地道にやっていくと効果があるのかなと実感したところでございます。

逆に、今度は私の売込みではないのですけれども、ちょっと厚生労働省で会議があれば、是非お話しさせてくれみたいなことを今言っているので、そういったことを通じていろいろ意思疎通ができるようにやっていきたいと思ってございます。

大体30分ぐらい経過したところでございますので、ひとまず私からの御説明は以上とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、御質問、御意見のある方は御発言をお願いいたします。

内容が非常に多岐にわたっておりますので、質疑応答時間、合計で大体50分ぐらいを予定しております。御発言や御回答はなるべくその時間に収まるように簡潔にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

それでは、いかがでしょうか。

どうぞ。それでは、新川委員、お願いします。

○新川委員 どうも、御説明ありがとうございました。新川でございます。

次年度の概算要求でも大きく上がっておりますが、新型コロナウイルス感染症への対応ということで、まずは現状の把握としてこの感染症関連の消費者相談であるとか、あるいは新しい地域での困り事であるとか、この辺りについては地方協力課としては何かお気付きのことや、あるいは押さえておられるようなことがあればお教えいただきたいというのが1点目であります。

それから、2つ目は今回の後段でお話をいただきました見守りネットワークについて、先ほどの御説明でも福祉分野とかなり現場では連携しているということで、そうだろうなと思っているのですが、特に少しお話しいただいたところもありましたけれども、こういうコロナの状況の中で具体的に見守りネットワークがどういうふうに機能できるのか、働くことができるのかというのはとても気になっていたところがありまして、この辺りでもし御存じのところがあればお教えいただきたいのが2点目です。

3つ目は、今後の地方消費者行政の強化ということで予算のお話もいただきましたけれども、特に相談員の方々について、やはり高齢化その他の問題もあって、本当に人材不足で困っているのですが、具体的にこういう育成というところについてどういう方向と言いますか、方策をお考えなのかをちょっとお伺いしたかったということがあります。もちろん、現場で頑張っていただかないといけないということはあるのですけれども、もう少しこういう育成のプログラムや、あるいは人材をリクルートしていく仕組みみたいなものが必要になってきているのではないかと思っておりまして、この辺り、もしあればお伺いしたい。

以上、3点でございます。よろしくお願いいたします。

○消費者庁小堀地方協力課長 ありがとうございます。

まずはコロナの関係でございますけれども、相談でまず申し上げますと、やはり3月、4月の頃というのはかなり職員も含めて出勤が抑制されたというのがあったりとか、本当に消センの建物自体が立入禁止になってしまったといったものがございましたが、足元のところで言いますと、だんだんそういう影響がちょっと今は薄まってきて、逆にどうしても対面でやらざるを得ないというのは相談で出てまいりますので、そういったときには、一番シンプルなのはアクリル板を設置してとか、もうちょっと進むと、先ほど申し上げたようなウェブ会議システムで、実は同じ建物なのだけれども、別部屋で避けながらとか、いろいろ自治体の工夫も出てきたという印象がございます。

やはり3月、4月の頃はなかなか大変だったのですけれども、逆にだんだん今できることは何だろうということでいろいろ工夫ができてきたので、来年度予算などでもそういったものをうまく支援できるようにやっていきたいなと思ってございます。

ですから、消センの状況でも、来所はできるだけ避けてくださいとか、そういったところはまだございますけれども、例えば予約して事前に来た方には今、申し上げたような対策を取りながらやっていく。そういった工夫が徐々に出てきたなという感じでございます。

相談の状況につきましては、ちょっと今は手元にございませんが、国民生活センターななどで相談情報の提供というのをやってございまして、やはりインターネット関係のトラブルですね。やはり家にいてとか、買物の代わりに通販で買う方が増えてとか、それに従ってやはり増えているといったこととか、もう少し前のときは正に給付金関連のそういったものもございましたので、やはり何か政府の新しい制度ができると、それにかこつけた便乗商法みたいなものですとかインターネットといったところは注意をしていくというか、相談は増えているところだと思います。

それと、見守りにつきましては、例えば実際にお宅に訪問するのは比較的に社会福祉協議会の方とか福祉系の方が多いのですけれども、厚生労働省などでは十分対策を取りつつやってくださいという感じです。正に本当に距離を取るとかマスクをするとか、そういったことをやっていらっしゃるので、全くできていないということではないようではあります。ただ、やはり気を付けなければいけないというのはどこかにあるということなので、我々としてはそういったところ、情報系の技術でもし補完できるようなものがあれば、それは手を挙げていただいて交付金で支援していくといったことをやっていければと思ってございます。

そういった意味で、見守り自体ももちろん気を付けてやらなければいけないのですが、先ほどの相談と同じで、割と新しい生活様式の中で、できる工夫というものを少しずつ現場では進めながらやっている感じかと思ってございます。

今後の基本計画の人材育成のところですね。これは非常にコロナとは関係なく、やはり自治体の方などでもなかなか適任者が周りにいないのですという声は聞きますので、私どもとしては、先ほど少し触れましたけれども、まず今年度から始めましたのは養成講座という試験向けの講座みたいなものを始めまして、そこでできるだけ受験者を増やして、最後は資格を取っていただける合格者をまず数として増やしていくというのが1つだろうと思ってございます。

まだ今年度の事業は今、一次試験が終わったぐらいなので、ちょっとこの先、どこまでうまくいくかみたいなものを見ながら、来年度はできるだけ規模を拡大しつつ、中身ももし必要があれば今年の反省を踏まえてやっていきたいというのが1つでございます。

それと、すぐに効果がというわけではないのでしょうけれども、やはり広報と言いますか、相談業務とか相談員の方を知ってもらうというのも1つあるのかなと思ってございまして、今年度は動画を作ったりいろいろしているのですけれども、やはり粘り強くやらなければいけないとは思いますけれども、そういった相談員のステータスというか、認知度ですとか、そういったものも上げつつ取り組んでいくのが大事なのかなと思ってございます。

そういったものも人材育成でありますので、研修も含めて一朝一夕でぐんと効果が出るか分からないのですけれども、ただ、今申し上げたことを一つ一つ粘り強くやっていって効果を出していきたいなと思ってございます。

以上でございます。よろしいですか。

○新川委員 ありがとうございました。

○山本委員長 それでは、そのほか、いかがでしょうか。

それでは、清水委員にいただいておりますので、清水委員にまずお願いして、木村委員、大石委員の順にお願いします。

清水委員、お願いします。

○清水委員 ありがとうございます。清水でございます。

消費者庁が現場の声を聴いていただいて、現況調査を分析し、本当に有り難いと思ってお聞きしました。相談員はエッセンシャルワーカーだと自負して、現場を守っております。ありがとうございます。

そこで、今年度から会計年度任用制度が始まりました。先ほど、この制度については注視していただくと言っていただいていますので、あえて言うことではないのですが、しかしながら待遇改善には結びついていない現状があります。私も消費者団体等で今後も強くこの点は指摘し活動していきたいと思っていますが、消費者庁のバックアップが必要だと思いますので、よろしくお願いします。

先ほど資料の中で1-1の5ページ、あっせんというところで、市町村のあっせん率が上がっているという御紹介をいただきました。私も市で相談員をやっていまして、このように数字で表れることはうれしい限りです。コロナ禍で高齢者が孤立化するというのが顕著になりまして、また若者もリモートで大学生などの学習をしていますので、孤立化し情報が偏っていて被害が急増しています。

全ての相談は市町村が受けるものだと思っていますので、私たちはあっせんを強化してやっているところでございます。しかし、小さな市町村もありますので、是非とも県のセンター・オブ・センターの機能を強化していただいて、地域格差がないようバックアップをしていただきたいです。都道府県でも地域格差があります。是非消費者庁には格差でなかなかセンター・オブ・センターの仕事がなされていない都道府県をバックアップしていただきたい、国の支援が必要だと思いますので、是非お願いします。

今後、市町村を強化するためには都道府県の強化が必須だと思っていますが、何かお考えがあるようでしたら御紹介いただけたらと思います。

最後に見守りなのですが、先ほども厚労省に粘り強く言っていくという心強いお言葉をいただきました。正しくトップダウンで進むしかないと思っています。

今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、木村委員、お願いします。

○木村委員 木村でございます。御説明ありがとうございます。

私も、資料1-3の「地方消費者行政の充実・強化に向けた重層的な対策」のところなのですけれども、先ほど新川委員、清水委員からもお話がありましたけれども、こういった対策をいろいろしていただいて、SNSの相談とか情報化は確かに望ましいことではあるのですけれども、やはりそれが本物の相談のサイトなのかどうなのかとか、偽サイトなどいろいろなことがございますので、やはりそういったところを見極めながら是非進めていただきたいと思いますし、またSNSなどをできない方に対する対応を、高齢者ですとかいろいろな方がいらっしゃると思いますので、そういった方への対応も是非忘れていただきたくないと思います。

それから、あっせんについてなのですけれども、やはり契約の複雑化ですとか高齢化などありますので、自分で対応できない事例ですとか、対応できない人がやはり今後増えてくると思われます。そのためにも、あっせんをしていただく相談員の強化というのはすごく必要だと思っています。

相談員、私も実は資格を持っているのですけれども、相談員にならなかったのは、今はほとんどなくなったと言いますけれども、雇止めがあったりですとか、正職員ではないなどの待遇ですごく悩みまして、当時まだ年齢的に若かったものですから、そういったこともあります。

若い方が資格を取ったときに、相談員としてきちんと職業として生活していける待遇でないと、多分若い方はなかなかこれで職業としてやっていこうということにならないと思うのです。そういったことを踏まえた上で、やはり今、相談員の高齢化が問題とおっしゃっていますけれども、若い方がきちんと関心を持って相談員として働けるよう、やはり相談員は経験が必要だと思います。ですから、高齢の方の経験ももちろん大切なのですけれども、若い方が経験を踏まえながら育っていくという考え方を持っていただければ有り難いと思います。

そのためにも、やはり先ほどの地方消費者行政人材育成というところで養成講座とありますけれども、そういったところで例えば大学生ですとか若い方に対する広報ですとか、そういうことを踏まえていただけたらと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、大石委員、お願いします。

○大石委員 大石です。御説明ありがとうございました。

ただいま皆様がおっしゃられたことと重なりますが、まず1点目、いただいた資料1-1の2ページ目に地方消費者行政の現況というのがありまして、これを見ますと、先ほど御説明がありましたように、センターの設置率については、広域連携は上がっている代わりに、下のサブセンターが減少していることから、この数字を見ますと、これは先ほど清水委員からも御指摘がありましたように、市区町村と県との役割が今後更に重要になってくることを示していると思っております。先ほど清水委員はセンター・オブ・センターと言われましたけれども、県の役割と市区町村でのセンターの役割というのをどのように今後考えておられるのかというのをもし御説明いただければ、有り難いです。

それから2点目としましては、その下の3ページに相談員の配置の人員数が書いてありまして、これは平成29年、平成30年辺りに資格試験が新しく変わりまして、消費生活アドバイザー資格と同時に取れるようになったときに増えていますが、その後、やはりだんだんと増加率が減っているのがこの表からうかがえます。

ただいま、若い方を相談員にというお話がありましたけれども、私が知っている限りでは、若い方というより、現役時代は会社にお勤めしていて、退職する前にアドバイザー資格や相談員資格を取って、退職後に地元に戻って地方消費者行政関連、または消費者相談員をやりたいという方も増えております。それが少しは数字に表れているのかと思っておりましたが、逆に少し減っているのが気にはなりました。また、そのような方たちには、実際に相談現場に出る前の研修制度が大変重要だと思っておりまして、そういう意味でやはり相談員を増やすための研修制度には、是非力を入れていただきたいと思います。その辺りのお話もお聞かせいただけると有り難いです。

それから3点目ですけれども、先ほどの見守りのお話ですけれども、それこそこのコロナ禍で、実際に対面で見守りをすることも難しくなっているわけで、それは医療の場面も同じでして、医療のデジタル化のようなこと、遠隔医療の話なども出ております。その意味で、特に地方において、一人一人の方とつながるためのデジタルの設備ですとか技術ですとかを広めていく必要がコロナ禍で明確化したのではないかと思っております。

その意味で、対面ももちろん重要なのですけれども、それができない状況でのような対策を取れるのかについては、見守りとともに医療も含めて厚労省とも連携して進めていただきたいと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、お願いできますでしょうか。

○消費者庁小堀地方協力課長 皆様、それぞれ貴重な御意見ありがとうございました。

まず、相談員の方々につきましては、少し話はそれますけれども、私も消費者庁に随分前に初めて来た頃に研修の一環で相談の現場というのを見させていただいて、いろいろそういうものを見ると、本当に大変な御苦労の中でやっていらっしゃるというところで本当に敬意を表したいと思ってございます。

そういう中で、1つはいろいろ処遇の問題がございました。こちらにつきましては、例えば私などでも自治体の方と会う機会は比較的あるのですけれども、そういう場では必ず処遇の話というのは実はしているところでございまして、これも粘り強くそういった相談体制、相談の重要性ですとか相談員の方の重要性といったことを、やはり地方の皆さん、自治体の皆さんとも共有しながらやっていきたいなと思ってございます。

特に都道府県ですとか市町村の役割で、今回、予算要求の中でも広域連携と言いますか、自治体間の連携ということを入れさせていただきました。私もなかなかコロナ禍で地方に出向くことがあまりできないところではあるのですけれども、そういう中で県の消費者の担当の方とかだけでなくて、市の担当の方にもいろいろ聞いたりしながら状況を聞いています。そういう中で、やはり御指摘がありましたとおり、都道府県によって非常に熱心に市町村を回っていろいろ御指導しているのだと、日頃からやっているところもございましたし、まだそこまでではないところもございました。

やはり、市町村の現場は現場で、相談だけではなくて、出前講座みたいな普及啓発の役割もございますし、あっせんなどで言えば地元の企業と消費者の方のあっせんなどもあり得ますので、やはり市町村としてある程度の役割、消費者行政に対する役割を担っていただきたいなということは思いつつも、お話を聞くと、例えば相談員の方がお一人でやっていらっしゃるとか、そういった声も聞きますので、そういったところには都道府県の方が例えば巡回で回っていって指導とか助言をしていくとか、そういったこともやっていくと非常に重層的と言いますか、危機があっても耐えられるような体制が作られていくのではないかなと思ってございます。

ですので、地域の実情もいろいろあるのも事実なのですけれども、大枠で申し上げますと、やはり市町村は市町村で正に地域の現場として御尽力いただきたいということと、都道府県ですとかあるいは中核市のようなちょっと大きめな市のところがカバーしていけるような体制をできるだけ、今回の交付金の趣旨はそういった活動ができるだけ進むようにやっておるところでございますので、そういったお話も実は県の方がいらっしゃると、もちろん県としてもしっかりやっていただきたいのですが、市町村も是非とも御対応をお願いしますということも申し上げてございますので、そういった感じでうまく地域において重層的といった体制が作れれば良いなと思ってございます。

あとは、SNSの相談のお話もございました。これは先ほどのコロナ禍で言いますと、例えばなかなか来所相談が難しいとか、そういったものの代わりとして例えばSNSなどで相談を受け付けるということが可能性として考えられるところでございます。それは正に消費者と言いますか、相談者の利便性を考えるとそういった方策を取るのはあり得るかなと。

その中で、もちろんいろいろ課題もございます。こちらは私の課ではないのですけれども、SNSでの相談についても今、実証実験とかをやりながら、どういう課題があるかみたいなものもやっているところでございますので、そういった結果も見ていきたいなと思ってございます。

それと併せて考えていくと良いかなと思いましたのは、例えば相談を受け付ける中でも、FAQのようなところに誘導と言いますか、そういったものを紹介することで、例えば御自分でそれを見て解決できるというやり方も併せてやっていくと、いろいろ相談員の方の負担減にもなるかもしれませんし、相談する方にもいろいろな解決方法が広がるといったことも含めて、いろいろと考えていきたいなと思ってございます。

あっせん、複雑化とか高齢化とか、いろいろ事例が複雑化している、高齢化していくということもございました。これも自治体の方から聞いたのは、やはり相談員でもなかなか難しくなっているような事案があるというのはお聞きしていますので、これは国民生活センターさんとも連携もしながらいろいろ研修内容も工夫をしていきたいと思ってございます。

あとは相談員の方の、例えば若い方とかというお話もございました。正におっしゃるとおりで、貴重な御意見ありがとうございますという感じでございまして、ちょっとあり得るかなと思っていますのは、例えば男性の方である程度、企業でいろいろずっと経験をされてきた方は次に消費生活相談員になる可能性もちょっとあるのかなと思ってございまして、先ほど広報というのを少し申し上げて、1つにはやはり相談員は非常に重要な仕事をされているということを幅広く知っていただくというのも1つの狙いだとは思うのですけれども、それに加えまして少しターゲットを絞ったやり方も、本当に若い方ですとか、先ほど申し上げたような男性の方ですとか、そういったところにも広げられるのかなとか、そういった工夫もちょっと考えていきたいなと思ってございます。

正に資格試験の人数につきましても、恐らく法定化された後でぐっと盛り上がったのが減っているという面もあるのだろうとは思いますけれども、そうは言いつつもなかなか増えていないのも実情ではございますので、そこはしっかりと意識を持って、先ほど来、申し上げているような取組をいろいろやっていきたいと思ってございます。

研修も、これは国民生活センターになってしまうのですけれども、今年度辺りからは、特に地方での開催ですとかオンラインの開催とか、そういったものを少しずつ強化しているところでございますので、できるだけ様々な方が受講しやすいような形でやっていきたいと思ってございます。

あとは、厚労省との連携もいただきましたので、先ほど申し上げたところもございますけれども、頑張ってやっていきたいと思ってございます。

ちょっと漏れてしまっていたら申し訳ございませんが、ひとまず私の回答としては以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

オンラインで参加をされている受田委員と丸山委員から御発言の希望があるのですが、受田委員、お願いします。

○受田委員 ありがとうございます。受田です。

質問については、先ほどの資料1-1の5ページ、相談・あっせん件数の表が出ているところなのですけれども、ちょっとこれを見たときに全自治体の件数が100万件ぐらいで、頭打ちに推移しているように見えるのですけれども、これは頭打ちであるという認識なのか、相談件数、あっせん件数はここが上限で、これ以上はないという理解なのか、ここをまず伺いたいと思っています。

私個人としては、何か100万件で頭打ちになってしまっていて、潜在的な相談を受け入れられない状況になっているのではないかと想像しています。今風に言うと、目詰まりはどこか、ボトルネックはどこかを考えるべきではないかと感じています。

伺いたいのは、そういう捉え方をするとボトルネックがどこにあると認識をしたら良いのかを少し伺いたいのと、もし、そのボトルネックの認識が明確にあるのであれば、正にデジタル化によってDX、消費者行政を変革していくというポイントがそこにあるということで、デジタルの力をそこに駆使していくDXの視点で見ていくことはできないのか。

最後は予算のことなのですけれども、自助・共助・公助という分類でこの消費者行政の視点を類型化していくとすると、予算配分というのがどういうふうになっているのか、ちょっとまた表現の仕方が違うのではないかと感じています。今、お話を聞いているとかなり消費者行政をプロダクトアウト的に捉えていて、そのサービスの受け手である一般的消費者の視点から見た行政の対応がどこまで届いているのかというのが明確ではないような気がしてなりません。

マーケットイン的に見たときに、そのターゲットやセグメンテーションが十分なのか、そこに自助・共助・公助の類型化で予算配分が適切に措置されているのか。いわゆる、ポートフォリオの見方ができないのか。そういう予算配分とPDCAというのが講じられるべきではないかと思うのですけれども、そういった考え方についてどう思われるか、是非御意見を伺いたいと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、丸山委員、お願いします。

○丸山委員 私からは教えていただきたい点が1点と、もう一つは特に答えということではなくてコメントになります。

教えていただきたいと思った点としましては、福祉分野の厚労省との連携というのは非常に重要で注目される政策を行っていると思いました。注目すべき取組だと思います。

そこで教えていただきたかったのは、福祉業務に携わる方が様々な消費者問題に例えば、高齢者などが巻き込まれているといったことに気付くというために、あるいは迅速に対応するためには、ある程度の情報や知識、または接したときの確認事項というのが頭に入っている必要があるのではないかというイメージを抱きます。そういう点に関する連携やバックアップは具体的にどのように行っていらっしゃるのかという点が質問になります。

コメントとしましては、もう何人もの方が御発言しておりますように、消費者政策の領域における救済の実現というのは消費者相談が中心でありますし、要であると思いますので、現在推進されている政策を是非今後も現場の声を聴きながら進めていただければと思っております。これはコメントございます。

以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、お願いします。

○消費者庁小堀地方協力課長 まず、受田委員からいただきました相談件数につきましてでございます。

なかなか詳細な分析まではしてございませんけれども、1つは割と言われるのは、架空請求みたいなものが増えた時期が一時期ございました。それが少し相談件数として減ったので、見かけ上、頭打ちに見えるというのもあるにはあると思いますけれども、ただ実際に数字として見たときに、およそ100万件のところで推移をしてございますので、割と数字としては横ばいで来ているのかなと思ってございます。

先ほどちらっとは申し上げましたけれども、近年ですと割とインターネットの中で、あまり個社名は言わないようにあれですけれども、Q&A的なサイトとか、そういったものも実はあるので、ある程度そういうところを見て自分で解決されている方もいるのだろうなとか、いろいろなことは考えられるところでございますけれども、ここは申し訳ないですけれども、なかなか厳密な分析まではできていないところだと思います。

目詰まりという点で言えば、やはり人口が多い地域などでは非常に相談件数も多くて、やはり電話も非常に頻繁になるようなことも聞いてございますので、そういった部分はあるのだろうと思ってございます。

DXの視点で言いますと、先ほど少し申し上げたことにはなりますけれども、例えばチャットボット的なところからQ&Aに誘導するとか、そういったことを使って、直接の相談員の方との相談だけではなくて、自分でもそういったものを使って解決がうまくできるようなことも併せて考えていって、全体として被害をなくしていくといったこともやはりデジタルなどを使えば考えられるのかなと思ってございます。

逆にSNSの相談などですと、若い方はもしかしたら電話をするよりそういったことがやりやすいかもしれませんので、そういったものもうまく活用しながらいろいろな手法で何か解決を見つけていくことができればと思ってございます。

ちょっとまだかちっとしたものまではないのですけれども、そういったイメージを抱いてございます。

それと、自助・共助・公助というお話がございました。ちょっとぴったりその議論に当てはまるかは難しいのですけれども、先ほど2020の目標のところで、特に相談があり、教育啓発があり、見守りがありというのが割と大きな柱になってございます。

教育啓発というのは、正に自助を促すような役割なのだろうと思いますので、そこにももちろん消費者庁としても力を入れている。共助という意味では、地域で言えば見守りというのがあるのだろう。これは自治体と言いますか、行政だけではなくて、いろいろな福祉団体の方、消費者団体の方、もっと言えば民間の事業者の方ですね。金融機関ですとか、宅配の事業者ですとか、そういった方々にも御協力をいただいて地域でネットワークを作るという取組でございますので、そういったものも力を入れている。

相談・あっせんにつきましては、正にそこがコアだというお話もいただきましたけれども、ここは行政の対応として今やっている中で、公助と言いますか、そういったことになっているのかなと思ってございます。できるだけ、やはり御自分でも解決できるし、困ったときにも相談ができるし、地域みんなで見守りをしていこうとか、そういった取組をバランスよくと言いますか、しっかりとそれぞれやっていければなと思ってございます。ちょっと論点がずれていたら大変恐縮なのですが、そんなことを思ってございます。

厚労省との連携ということで、丸山委員からいただきました。いろいろな資料、先ほどのガイドブックですとか、そういったものを共有するというものもございますし、あとは先日から始めてみたのですけれども、消費者庁ですとか国民生活センターでいろいろ注意喚起を出してございますので、そういったものを先ほどの連絡協議会というものを申し上げましたけれども、そこの方に送って、そういった注意喚起を共有する。特にお年寄りが関係しそうだなと思ったときには、メールなのですが、そういうところに共有をしたりしながら、福祉関係の方も「なんかこういうトラブルあるきゅおう同よね」ということに気付いていただくとか、そういったことも新たに始めてみたところでございます。

あとはネットワークで言えば、やはり消費生活センターが入るというのが割と肝になってございますので、よく聞きますのは福祉の方も実は怪しいなと以前思ったのだけれども、どうしたら良いか分からなかったというのが、消センに報告してみれば良いのだという道が割とすっきり分かるようになったという声も聞きますので、あまり複雑なことだけではなくて、やはり気になったら消費生活センターというのが頭に入っていただくようになると良いのかなと思ってございます。

ひとまず以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、柄澤委員にお願いして、その後、片山委員長代理からいただいていますので、柄澤委員、お願いします。

○柄澤委員 柄澤です。御説明ありがとうございました。

私からは2つの御意見で、1件質問です。

重複するかもしれませんけれども、受田委員中心に言われました、こういうコロナというのを1つの危機をチャンスにという意味では、ニューノーマルな現状になってくるという前提で、やはりデジタル化、リモート化に対する対応をしっかり進めていく必要がある。ただし、これは大石委員が言われたとおり、弱者に十分配慮をした上で進めていく必要があると思います。

メリットは、消費者庁の方も随分言われましたけれども、やはり若い人を中心に今まで相談しにくかった人たちがリモート化あるいはデジタル化の中で相談しやすくなるということと、これを進めていくことによって、やはり相談員が配置されていないような地区とか、あるいはどこかで集中したときにそれぞれの相談センターの連携によってバックアップ機能が図れるとか、あるいはどこかの地区に集中してそういうプロの相談員を配置するとか、消費者庁がリードしていく必要があると思いますけれども、そういうことも可能になるのではないか。先ほど言われたように、Q&Aであるとか、あるいはそれぞれの業界が取られているADRを活用し、うまくそちらに移していくような仕組みがデジタル化、リモート化の中で進んでいくのではないか。

それと、やはりメリットはデジタル化することによって標準化みたいなものは図られてくると思う。それが今まで何となく暗黙知になっていたものをやはり形式化させて、それぞれ見れば分かる、相談しなくても場合によっては分かるということがむしろできてくるのではないか。

それと、そういういろいろなデータをビックデータ化して、それを違う形で活用することによってプロアクティブというか、フォワードルッキングな行政に役に立つ部分もあると思いますので、是非この機会にデジタル化、リモート化を進めていただきたい。それにかかるコスト支援というのは、将来的に見据えれば必要なコストだと思うので、進めていただきたい。

2番目が人材の点ですけれども、大石委員からお話がございましたけれども、プロの相談員を一つの核とすることは大前提としながら、今後労働のところは相当流動化してくるという前提では、副業であるとか、あるいは関係人口であるとか、ボランティア的な高齢者、社会に役に立ちたいという人たちを、プロの相談員が指導してリードして、そういう方々の活用も呼びかけたらもうちょっと重層的な人材層が作れるのではないかなということで、検討いただけたらと思います。

3番目は質問なのですけれども、相談していく過程で自分は間違ったところに移されたということで、相談した方々が相談員の方に賠償を請求してくるようなケースやトラブルはあるのか、もしそのような事例があれば医師・弁護士同様に相当のストレスになるため、対応・救済の仕組みを手当てできないか、というのが質問でございます。以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、片山委員長代理、お願いします。

○片山委員長代理 ありがとうございます。片山です。

私からは2点あります。

1つは、先ほどの消費者相談員の減少ということが非常に問題であると考えておりまして、やはり今後きちんと確保できるような対応策を是非強く講じていただきたいと思います。

その中で広報が大事なのだということを皆さん御指摘されていましたけれども、私は消費者相談の意義というものをきちんとより多くの国民に伝えていただきたいと思っています。実際に現場でいろいろ見ていて、消費者相談の窓口というのは本当に消費者被害の生の実態と、その背景にある社会の変化、あるいは消費者自身のありのままの姿、被害の原因とかということをきちんと把握する上で本当になくてはならない存在だと思っています。

そういう消費者相談を担当するということは、安全で安心で公正な市場、社会を作る一番の基礎になっているところを是非強調して、そういう役割を担う相談員に是非たくさんの人になっていただきたいという点をしっかり広報していただきたいと思います。

もう一点ですけれども、研修の件です。市区町村の研修参加の割合のところが32パーセンント不参加の状態になっていて、かつその原因がよく分からないという御説明だったと思うのですが、やはり現場のいろいろな事情、まだまだ待遇や環境が十分整っていないところで研修に参加したくても参加できない相談員たちというのがたくさんいらっしゃるのだと思います。そこのところを是非改善をお願いしたい。

被害の多様化や複雑化という中で、手軽に気楽に確実に研修を受けられることが相談員の自信であったり、モチベーションにもつながっていくと思いますので、そこの工夫を怠りなくやっていただきたいと思います。

今、消費者団体もいろいろなところでオンラインでの研修だとか会議というものが当たり前のように開催されるようになってきています。参加できなかった原因の幾つかはオンラインでの研修を行うという形で解消していける問題ではないかと思いますので、その点も是非工夫をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、お願いします。

○消費者庁小堀地方協力課長 いろいろありがとうございます。

まず、コロナの危機ということで、ピンチをチャンスにということでございました。いろいろ自治体の方と話をする中でも、本当にウェブ会議での相談にしても、随分距離が離れたところで、同じ建物でという話ではなくて、例えば県で言えば本庁と支所みたいなところでも活用ができるのではないかみたいな声も聞いておりまして、そういうこと自体は本当にコロナに限らず今後、将来にわたってもいろいろな利便性とかにつながっていくと思いますので、今回を機にできるだけ自治体をしっかり支援できるようにやっていきたいと思ってございます。

同時に、いろいろ自治体の方とも話をして感じましたのは、やはり対面でというか、弱者という言い方が正しいのかは分かりませんけれども、やはりそういう部分も残るよなという声も実は聞くところはありますので、もちろんデジタル化としてメリットを最大限出していくという中でもそういったいろいろな配慮もきめ細かくやっていくということが大事なのかなというのは、ちょっと感想めいた話で大変申し訳ないのですけれども、感じているところでございます。

また、プロの相談員の方を核として労働とかボランティアというところです。今の段階では見守りのネットワークの中でできるだけボランティアの方とか、そういった方、民生委員の方だと大分慣れていますけれども、それ以外のボランティアの方の活用といったところもお願いをしてございまして、相談だけではなくて見守りというのは本当に啓発的な部分とかいろいろございますので、そういったところでうまく地域で連携を図っていけるようなことを我々としても後押しをしていきたいと思ってございます。

御質問の賠償の話は、もしかしたら現場の方が本当に御存じかもしれませんが、私の中ではそこまでという話は聞いてはございませんというところでございます。

それと、片山委員から広報ということでございます。こちらについては、先ほども申し上げましたけれども、やはり相談員の方の大事な役割とか、そういったものを含めて世の中の皆さんにも知っていただく。なろうかと思っているような方にももっと知っていただく。そういったことを取り組んでいきたいなと思ってございます。

研修につきましても、これは国民生活センターになりますけれども、まず1つは地方での開催です。研修を増やすということで、昨年度は三十数件だったと思うのですが、今年度は50を超える数をやろうということで取り組んでいるところでございます。やはり東京まで来るよりは、例えばブロックの中の移動とか、それだけでも多少は楽になるという声もいただいておりますので、引き続きそういったこともやっていきたいと思っております。

それと片山先生がおっしゃられたとおり、オンラインというものも有効なツールだと思いますので、そういったところも強化をしていきたいと思ってございます。

2020の中でちらっと指定消費生活相談員の方が出てきましたけれども、これは都道府県の相談員で市町村の方に助言とか、そういったことをされていくという方でございますけれども、そういったところもよくお聞きしますのは、本当に市町村でお一人で相談をされていて、新しい知識とか、そういったものはちょっと不安だという方もいらっしゃいますので、都道府県による支援としてそういった取組も応援をしていきたいと思ってございます。

そういったことを通じて、地域における相談体制、見守り体制、広報、啓発といったものがしっかりできるように応援していきたい、頑張っていきたいと思ってございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

清水委員から御発言があるということです。

○清水委員 時間がないところ、ありがとうございます。

消費者行政は今、本当に変革のときだと思っています。受田委員が言われたように、DXの視点もありませんし、ポートフォリオの視点もない、私たちでございます。コロナ禍で今、社会が急激に変わろうとしている中で、今こそ消費者庁の力が必要だと思いました。各委員に消費者相談の必要性を分かっていただいて本当にうれしい限りでございます。

昨日も相談を受けて言われたのですが、70歳の人が初めて消費生活センターを知ったと。「もっと早く知っていれば、私は一人で悩むことはなかった」と、相談員をやっていてそういう言葉を市民からいただくのは相談員冥利に尽きますが、まだまだ消費生活センターは知られていない。「188」は2割程度の知名度と実感しました。全国の相談件数100万件程度が、今の相談体制の限界であって、潜在的なところが非常に多い、相談1件のバックにまだ10人、20人の相談したい人がいるのではないかと思っている現場です。

○山本委員長 ありがとうございます。

何かございますか。よろしいですか。

○消費者庁小堀地方協力課長 ありがとうございました。しっかり頑張っていきます。

○山本委員長 ありがとうございます。

本日は多様な意見をいただき、また的確にお答えいただいたのではないかと思います。

大きく言って4つのことがあったと思います。1つは多様な行政の主体の連携の必要性についてで、都道府県と市町村の役割分担を更に今後考えていかなくてはいけないということ。地域によって多様性はもちろんありますけれども、都道府県の役割を今後、明確に考えていかなくてはいけないということ。

それから、これは度々指摘されていますが、厚労省ないし福祉部局との実効的な実のある連携の在り方を考えていかなくてはいけないということ。

2つ目は、多様な相談への対応の必要性と、そのためのデジタル化の推進という点で、多様な相談と申しますのは、比較的定型的な相談とか、身の回りの相談に近いものから、相談員だけではとても対応できないような難しい案件まで、実に様々な相談がある。あるいは若い人の相談と、比較的高齢の方の相談とでは、対面がやりやすいか、それとも、もっとデジタル機器を使ったほうがアクセスしやすいかという違いもあるでしょう。そういったことに対応するためにデジタル化の推進が必要であろうと。チャットボットの活用とか、SNSとか、LINEの相談とか、いろいろな手法があるでしょうし、また、データの蓄積とその利活用も考えていかなくてはいけない。それは、PIO-NETの問題などに関わっています。

デジタル化については国の役割が非常に大きいだろう。国が予算を確保する、あるいは規格化をある程度進める、必要な効率化に資することを進める必要があるかと思われますし、それによって民間との協働のチャンスも広がるだろうと思います。

第3は、多様な人材を消費者行政の場に引き寄せていく必要性です。相談員の人材の不足という話が先ほどありました。若い方、あるいは退職後の方、それから副業とか、あるいは一人複役という話もございましたけれども、いろいろな層の人に相談員として、もっと広く言えば、消費者行政のために働いていただくために工夫が必要だろう。いろいろなライフコースに合わせて消費者行政のために活躍していただける場を作っていく必要があろうかと思います。相談員の処遇の改善が、一番ベースの話です。

4つ目に見守りの話があり、これはやはりデジタル化と絡んでいると思います。デジタル化によって新たな消費者問題がいろいろ起きており、それに対応しなくてはいけない。あるいはデジタル弱者と言いますか、なかなか情報機器等がうまく使えない方への対応もありますが、他方でデジタル化によって見守りを高度化していく、デジタル技術を活用していくことが必要だと思います。それについても十分、今後は予算の確保や取組の推進をお願いしたいと思います。

今日は多様な御意見をいただき、また充実したお答えをいただきましてありがとうございました。

お忙しいところ、消費者庁におかれましては審議に御協力いただきましてどうもありがとうございました。

○消費者庁小堀地方協力課長 どうもありがとうございました。

(消費者庁小堀地方協力課長退室)

(公共料金等専門調査会野村座長、消費者庁吉田参事官入室)

《3.一般乗用旅客自動車運送事業(東京都特別区・武三地区)の運賃組替えの事後検証について》

○山本委員長 それでは、次の議題ですけれども「一般乗用旅客自動車運送事業(東京都特別区・武三地区)の運賃組替えの事後検証について」です。

これまでの経緯としましては、東京都特別区・武三地区(武蔵野市、三鷹市)のタクシーの運賃について、平成29年1月より運賃の組替えによる初乗り運賃の値下げ等がなされました。

当時、それに先立ちまして消費者委員会では消費者庁より付議を受け、下部組織である公共料金等専門調査会で調査、審議の上、専門調査会意見を踏まえ、平成28年12月に意見を発出いたしました。この運賃の組替えにつきましては、物価問題に関する関係閣僚会議の決定及び消費者基本計画工程表におきまして、事業者の運送収入の状況や運賃の妥当性、運賃組替えの手続等について丁寧な事後検証を実施することとされました。当時の専門調査会意見では、公共料金等専門調査会は、検証に必要なデータ等が整った段階で国土交通省による対応状況等についてのヒアリングを含め、運賃組替え後の状況の検証を行うことにしたいといたしました。

そこで今、申し上げました事後検証といたしまして、公共料金等専門調査会で調査、審議を重ねまして、今般、資料2-1の「一般乗用旅客自動車運送事業(東京都特別区・武三地区)の運賃組替えの事後検証に関する公共料金等専門調査会意見」のとおり、取りまとめられたとのことです。

本日は、公共料金等専門調査会の野村座長より当委員会へ御報告をいただくことになりました。野村座長におかれましては、テレビ会議にて御出席をいただいております。また、消費者庁の参事官室調査・物価等担当、吉田参事官にお越しをいただいております。お忙しいところ、御出席いただきましてありがとうございます。

それでは、野村座長から15分程度で御説明をお願いいたします。

○公共料金等専門調査会野村座長 ありがとうございます。ただいま山本委員長より御紹介いただきました、公共料金等専門調査会の座長を務めております野村です。よろしくお願いいたします。

このたび、先ほど委員長より御説明のありました経緯で、公共料金等専門調査会におきまして、一般乗用旅客自動車運送事業(東京都特別区・武三地区)の運賃組替えの事後検証に関して、国交省及び一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会へのヒアリングを含む計3回の専門調査会を開催し、調査、審議を行い、専門調査会としての意見の取りまとめを行いました。

本日は、専門調査会の調査審議結果を御報告いたします。

初めに、資料の内容に入ります前に、専門調査会での議論状況の概要を御紹介いたします。

本運賃組替えは、短距離需要の喚起を図ることなどを目的とするもので、通常の運賃改定とは異なり、初乗り運賃を引き下げつつ、加算運賃を見直すことで全体の運送収入が増加しないようにするというものでした。専門調査会の議論でも、全体として、本運賃組替えの方向性は理解でき、今回の事後検証においても一定の効果が確認されたと評価されているものと受けとめています。

また、当時は簡易な試算手法が採られましたが、その後、実際に全体の運送収入が増加していないことなどについても一定の確認ができました。その上で、今後、消費者利益の観点からより良いものとしてもらうという観点から、事後検証の水準としてより丁寧な分析が望まれるのではないかということや、消費者の声が十分に把握される必要があるのではないかという意見が多く出されました。

また、この間のコロナ禍の影響等も踏まえて、持続可能な経営環境が確保されることが、ひいては消費者の利益にもつながるという観点から、持続可能な経営環境や運転手の労働環境等についての取組の重要性も指摘されていました。

このような議論の結果として、専門調査会の意見を取りまとめております。

それでは、資料2-1に基づき、具体的な専門調査会意見の内容を御報告いたします。

まず、1ページの「2ポツ」で結論を示しております。

専門調査会としての検証結果は「下記3ポツ記載のとおりである」としています。その上で、「国土交通省において、下記3ポツで指摘する内容を踏まえて適切に対応することを求める。」、また、「消費者庁において国土交通省の対応状況を注視し、必要に応じて適切に対応することを求める」としております。

次の「3ポツ」が専門調査会としての検証結果です。(1)以下の各項目が、平成28年の専門調査会意見で指摘していた項目に対応しております。

まず(1)がメインとなる「事業者の運送収入の状況、運賃の妥当性及び運賃組替えの手続について」です。

初めに、本意見書に明記はしておりませんが、平成28年の専門調査会意見の問題意識の概要を説明いたします。

タクシー運賃の改定を行う場合、本来であれば総括原価方式の考え方に基づき、原価の精査を行った上で、適正な利潤を含めた総括原価と総収入が均衡することを確認するプロセスが必要になります。

しかし、本運賃組替えについては、初乗り運賃等の値下げと中長距離運賃の値上げにより全体の運送収入が増加しないようにするということで、簡略な方法で運送収入の増加がないことを試算する手法が採られました。

これについて、当時の専門調査会意見では、簡略な試算手法が採られていたことに関して、試算手法の向上を図ることや、運賃組替えの手続の妥当性についての検証の必要性が指摘されておりました。

また、実際に収入増加となっていないかという収入増減への影響の調査も必要としておりました。更に前回、総括原価方式で査定されたのが平成19年で、その後、長期間、事業コストの査定がなされていない状況が続いているため、その間に事業コストが低下していれば初乗り運賃等の値下げ分の運送収入の減少を相殺できるので、中長距離運賃の値上げを伴うことの必要性が必ずしも明白ではないとしていました。

今回の事後検証にあたっても、そのような問題意識を踏まえて調査審議をしてまいりました。

意見書の2ページに戻りまして、(1)の1つ目のマルでは、今回の検証の前提を示しています。今回の事後検証においても、国交省からは運賃組替えの性質を前提に、査定されたコスト等ではなく、本運賃組替え後の実績値に基づいた検証の結果が示されたというものです。

その上で、次のマルで、国土交通省の検証結果に基づき確認できた内容を示しております。

1点目は、試算手法に関して、試算値と実績値との間に差が生じていましたが、国交省からその差は運送収入の平均的な減少率と同程度との説明がなされたということです。

2点目は、収入増加を目的としないとされていた本運賃組替えについて、実際に収入が増加していないかという点に関して、組替え前後で全体の運送収入は増加していないことが確認されました。

3点目は、事業コストの低下により値下げすべき状況になっていないかという点に関して、全体の事業コストが運送収入を下回るまでには低下していないことが確認されました。

もっとも、専門調査会では、課題も幾つか指摘されました。それが次のマルになります。

課題の1点目は、事業者の運送収入の状況や運賃組替えの手続に関して、厳密な効果検証や運賃水準・体系の更なる適正化の観点からは、距離帯別の試算値と実績値の差や、その要因をより丁寧に分析することが望まれるというものです。

2点目は、運賃の妥当性に関して、消費者利益の擁護・増進の観点からは、特に中長距離の利用のニーズが高い消費者の声や、そのような消費者への影響についての十分な把握と検証が必要であるというものです。

3点目は、総括原価方式を前提にしながらも、前回の運賃改定時から長期間、原価の洗い替えがなされていない。そのことにより、その後の事業コストの状況との乖離が生じている可能性があり、これに対して対応が必要と考えられることです。

このように課題が見られたことから、2ページの(1)の3つ目のマルに戻りまして、「今後、国土交通省においてこれらの課題のほか、運賃・料金の柔軟化、多様化に向けた動きを踏まえて検証手法、試算手法の向上、その他の必要な対応がとられるべきである。」としております。

以上が、運賃組替えの直接的に関係する部分でございました。

次に、3ページの1つ目のマルですが、時間距離併用制運賃等の付随する運賃制度について、国土交通省において、利用者や事業者の意見等を踏まえ必要に応じて見直すということであり、その際には現在の交通事情に適合したものであるかという観点を踏まえるべきであるとしています。

さらに、次のマルでは今後、組替えではなく本格的な運賃改定がなされる場合には、運賃水準をより適正なものとする観点から厳密に査定することが必要であるということを指摘しております。

また、その続きで将来的には、社会・経済状況の変化や、事業者の業態・経営の状況、消費者の利益の一層の擁護・増進、運賃設定の柔軟化・多様化に向けた動き等を踏まえ、運賃・料金の改定時の運賃・料金の査定及び改定までのプロセスの在り方の向上を図るための検討を行うことも必要であるということを指摘しております。

次の(2)以下は、運賃に限らない取組についてでございます。

「(2)消費者への影響の配慮について」「(3)運賃組替えに関する丁寧な周知について」「(4)サービス利便性の確保・向上について」であり、それぞれ国土交通省や事業者団体等による一定の取組が確認されました。その上で、それぞれ、今後より一層の取組を進めてもらいたいという意見としております。

4ページの「(5)消費者の意見の反映について」です。

この点については、今回一定の取組が確認された準特定地域協議会の取組を一層進めてもらいたいこと、また、例えばインターネットを利用したアンケート調査等、有効な方法を検討するなど、中長距離の利用者や潜在的な利用者等の声が十分に把握されているか、運賃・体系等への理解が真に得られているかなどの点も含めて、より消費者の実態が把握され、必要な取組がなされるように対応が進められるべきであることを示しております。

最後に「(6)持続可能な経営環境のための取組について」です。

1つ目のマルでは、運賃組替えの事業者の経営状況への影響について、本運賃組替えとの関係は必ずしも明らかではありませんでしたが、本運賃組替え後の経営状況の一定の改善が見られました。ただ、この間、新型コロナウイルス感染症によるタクシー業界への影響として運送収入の大幅な減少が確認されており、このような影響に対して支援がなされているところです。

専門調査会としては、国交省において引き続き必要な対応がなされ、タクシー業界において社会・経済状況の変化に応じて柔軟な業態の変革等がなされることを期待しております。

5ページで、1つ目のマルでは、サービスの質・安全性及びタクシー運転手の労働環境に関して、国交省において事業者の監視等を行っている状況が確認されました。そして、国交省において、引き続き、継続的な事業者の監視や労働環境の改善に向けた必要な対応をすべきであるとしています。

最後のマルは、国交省において消費者の利益となるような、より柔軟な運賃設定を事業者が工夫して行うことが可能となるよう、引き続き運賃規制全般について不断の見直しを続けるべきであるとしております。

以上のような内容を踏まえて、今後、国交省で適切に対応していただき、また、消費者庁において国交省の対応状況を注視し、必要に応じて適切に対応していただきたいというものであります。

私からの説明は以上となります。よろしくお願いいたします。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、御質問、御意見のある方はお願いいたします。いかがでしょうか。

それでは、柄澤委員、お願いします。

○柄澤委員 御説明ありがとうございました。専門調査会で運賃組替え後の事後検証にしっかり取り組まれたものと理解しておりまして、本意見書には賛同を申し上げたい。

その上で1点だけ質問、意見がございます。

まずタクシー業界が、先進国の例を見ても、規制主体は違うのだけれども、運賃規制であるとか参入規制が厳しい形であるのは承知しております。その上でタクシー業界におけるサービスが非常に多様化が進んでいる中で、その消費者利益を最大化していく取組と、タクシーのサービスのいわゆる安定的供給に関する健全性への配慮という点においては、今後AIとかビックデータ等々の活用も視野に入れながら、ちょっとスピードが欠けている部分があるのではないか。

そういう観点で、意見書の最後に、「国土交通省は、消費者の利益となるような、より柔軟な運賃設定を事業者が工夫して行うことが可能となるよう、引き続き、不断の見直しを続けるべきである」とございますけれども、やはり国交省には是非この方向で進めていただきたいと思います。

ここでどのような課題があるのかということを、あるいは今後どんなことが考えられるのかについて、専門部会の場で国交省あるいはタクシー業界にヒアリングする過程で把握された事項があるのであれば、御披露いただけたらと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

何か、そのほかにございますでしょうか。よろしいですか。

それでは、今、御質問がありましたので、野村座長にお願いできますでしょうか。

○公共料金等専門調査会野村座長 御質問ありがとうございました。

今、御指摘いただいたような、業界全体をもう少し柔軟に動けるようにと、とりわけAIですとかビッグデータも考慮したような、そういう柔軟性を持たせたほうがよいのではないかという御意見だったかと思います。

本調査会の会議の中では、もちろん国交省の資料の中で、タクシーの進化に向けた取組ということで、今後、実証実験から実際に実装していくアイデアが幾つか出されておりました。例えば変動迎車料金ですとか定額タクシー実証実験ですとか、民間で使われています海外の配車アプリの普及状況ですとか、紹介はございましたが、今回の検証を行っていく議題とはやや本筋から離れてしまうということで、それに関する意見は委員からも出ましたが、本筋の議論ではありませんでしたので、今後、国交省で、御質問のありました内容を深く掘り下げて業界に定着させることができるものなのかどうかというのが審議されることを私も望んでおります。

以上でお答えとさせていただきます。

○山本委員長 ありがとうございました。

そのほかにいかがでしょうか。

新川委員、お願いします。

○新川委員 新川でございます。オブザーバー参加をさせていただいて、専門調査会の御議論を少し御一緒させていただきました。

今回の意見につきまして、この内容には全く異議はございません。

この中で触れられていることで、もう少し強調しておきたかった点が一、二ございますので、その点だけ意見として申し上げたいと思います。

1つは運賃組替えの検証ということで、今回は値上げ、値下げではなくて組替えということで簡略な方法での運賃改定が行われました。したがって、その効果というのを具体的に測ることについても同様に、簡略な方法でその効果が実際にどうだったのかということを測り、そしてこの運賃組替えそのものが当初の狙いどおり、ほぼその狙いを達したということで国交省での検証がされたという経緯がございました。

ただ、この意見の中にもありますように、本当にコストの縮減であるとか、あるいは運賃収入の区分別の推移であるとか、本来分析すべきところがこの簡略の方式では見逃されるところがございます。そうした観点からは、こうした検証の方法で良かったのだろうかということについては、この意見の中にも一部触れられておりますとおり、疑問があるということをあえて意見として強調しておきたいというのが1点ございました。

それから、2つ目には、やはりこれは先ほど柄澤委員のお話とも関連をいたしますし、委員長の御発言とも関連をするのですが、従来取ってこられた、特に運賃規制そのものについて、公共交通を維持するという観点からの政策的な配慮は当然必要なのですが、もう一方ではその基準としての運賃規制や、それから、総括原価方式という、このやり方そのものについて各委員からも御意見がありましたので、この点は今後大きな課題ではないかということで、これも意見ということで申し添えておきたいと思っております。

3点目は、利用者と業界についても意見でそのまま出ているとおりなのですけれども、やはり基本は本当に利用者の利益になっているのかどうかというのが本当に納得のできる説明として出てきたかどうかということについては、やはりまだまだというところもあったのではないかと思っております。その点では、更に説明責任というのが尽くされるべきではないか。また同時に、この運賃改定で一定、タクシー業界についてもその業界の活性化につながった側面というのも指摘はされているわけでありますけれども、もう一方ではこうした方式というのが今後更に広く活用される余地もあると聞いておりますので、既にこうした方式での運賃改定は相当進んではいるのですが、こういうやり方そのものが本当に業界にとっても利用者にとっても利益になる。そういうものになっているのかということについて、より明確な説明責任が果たされるべきではないかということを申し添えておきたいと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

そのほかに、何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。

今、御意見をいただきました点は、この専門調査会意見の中に含まれている事項について、更に具体的に、あるいはより強調して示しておきたいという趣旨かと思います。意見の内容そのものについては、特に御異議はなかったと思います。

それでは「一般乗用旅客自動車運送事業(東京都特別区・武三地区)の運賃組替えの事後検証に関する公共料金等専門調査会意見」の内容を踏まえ、消費者委員会としての意見を国土交通大臣及び消費者庁長官宛てに送付してはどうかと考えますけれども、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、事務局から資料2-2「一般乗用旅客自動車運送事業(東京都特別区・武三地区)の運賃組替えの事後検証に関する公共料金等専門調査会意見(案)」が出ておりますので、事務局から簡潔に意見案の内容を御説明いただきます。

○太田参事官 事務局でございます。資料2-2とついているものを御覧いただければと思います。

ただいま御議論いただきました件につきましての、消費者委員会としての意見案をお示ししております。読み上げさせていただきます。

消費者委員会は、本日、公共料金等専門調査会から、一般乗用旅客自動車運送事業(東京都特別区・武三地区)の運賃組替えの事後検証に関する公共料金等専門調査会意見の提出を受けた。国土交通省及び消費者庁は、本意見の内容を踏まえて対応を進められたいということでございます。

それで、この資料2-2に資料2-1としてございます公共料金等専門調査会意見をつけまして、一体としまして消費者委員会としての意見ということで国交省及び消費者庁に対して発出をするという形で進めていただいてはどうかと考えております。

以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、ただいま御紹介いただきました意見案について、御意見のある方は御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。特によろしいでしょうか。

ありがとうございます。

それでは、議論はここまでにいたします。

一般乗用旅客自動車運送事業(東京都特別区・武三地区)の運賃組替えの事後検証に関する消費者委員会意見について調査、審議をした結果、意見案につきましては、これにて皆様の御了解をいただいたということで、これをもちまして委員会の意見とし、国土交通大臣及び消費者庁長官宛てに送付したいと思います。そういうことでよろしいでしょうか。

今、この場で出していただいた更に具体的な意見につきましては、もちろん議事録にとどめられますので、そのような意見がこの場で出されたことはもちろん示されます。

それでは、野村座長におかれましては、専門調査会での意見の取りまとめに御尽力いただきありがとうございました。

また、消費者庁におかれましてはお忙しい中、御出席をいただきましてありがとうございました。

○公共料金等専門調査会野村座長 ありがとうございました。

(公共料金等専門調査会野村座長、消費者庁吉田参事官退室)

○山本委員長 ありがとうございました。


《4.閉会》

○山本委員長 それでは、本日の議題は以上となります。

最後に、事務局より今後の予定について説明をお願いいたします。

○太田参事官 本日も熱心に御議論いただきましてありがとうございました。

次回の本会議につきましては、日程が決まり次第、委員会のホームページを通じましてお知らせさせていただきます。

以上でございます。

○山本委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございました。

(以上)