第327回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2020年8月28日(金)13:30~15:02

場所

消費者委員会会議室・テレビ会議

出席者

  • 【委員】
    山本委員長、片山委員長代理、生駒委員、受田委員、大石委員、柄澤委員、木村委員、清水委員、新川委員
  • 【説明者】
    公共料金等専門調査会電力託送料金に関する調査会野村座長
    消費者庁吉田参事官(調査・物価等担当)
  • 【事務局】
    二之宮事務局長、渡部審議官、太田参事官、友行企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 賠償負担金・廃炉円滑化負担金の算入に伴う電力託送料金変更案の算定について
  3. 地方消費者行政専門調査会報告書及び意見案について
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1.開会》

○山本委員長 それでは、開始をしたいと思います。皆様、本日はお忙しいところ、テレビ会議システムでお集まりいただき、ありがとうございます。

本日の進行についてですけれども、途中で私の回線が切れた場合は、復旧するまでの間、委員長代理に、委員長代理の回線も併せて切れた場合は事務局に進行をお願いいたします。

それでは、ただいまから消費者委員会第327回本会議を開催いたします。

本日は、丸山委員が御欠席です。

まず、会議に先立ちまして、本日は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、私も含めまして御出席の委員はテレビ会議システムにより会議に参加しております。また、感染拡大防止の観点から、引き続き一般傍聴者は入れずに開催をいたします。

議事録につきましては、後日消費者委員会のホームページに掲載いたしますが、議事録が掲載されるまでは、本日の会議の様子を8月31日月曜日15時よりホームページで動画配信いたします。

それでは、配付資料の確認につきまして、事務局よりお願いいたします。

○太田参事官 事務局でございます。

次に、配付資料についてでございますが、議事次第の下のほうに配付資料を記載しておりますとおり、資料1-1から資料1-2までが賠償負担金・廃炉円滑化負担金の算入に伴う電力託送料金変更の算定について、資料2-1から2-3までが地方消費者行政専門調査会報告書及び意見案についてでございます。お手元の資料に不足がございましたら、お申し出くださいますようお願いいたします。

以上でございます。


《2.賠償負担金・廃炉円滑化負担金の算入に伴う電力託送料金変更案の算定について》

○山本委員長 ありがとうございました。

本日、最初の議題ですけれども、「賠償負担金・廃炉円滑化負担金の算入に伴う電力託送料金変更案の算定について」です。

本件につきましては、資源エネルギー庁より意見聴取を受けた消費者庁より、本年8月5日付けで消費者委員会に対して、託送供給等約款変更認可申請に係る託送供給等約款及び託送供給等約款変更届出に係る託送供給等約款でそれぞれ設定をする料金の算定について意見を求められていたところです。

これに先立ちまして、本件7月31日の第325回消費者委員会本会議におきまして、1次下部組織であります公共料金等専門調査会の下に設置されている2次下部組織、電力託送料金に関する調査会を再開し、設置規程を改正することについて了承いただいておりました。また、調査会の構成員及び座長は委員長の指名するところと規定されていることから、私から、参考資料2の名簿記載のとおり構成員を指名し、公共料金等専門調査会の座長を務められている野村委員を座長に指名させていただいたところです。

本件につきましては、その後、電力託送料金に関する調査会で調査審議を重ねまして、今般、資料1-1の電力託送料金に関する調査会意見のとおり取りまとめられたところです。

本日、電力託送料金に関する調査会の野村座長より、当委員会へ御報告をいただくことになりました。なお、消費者委員会からは大石委員、新川委員にもオブザーバーとして審議に参加いただいております。

また、本日は、消費者庁の吉田参事官、調査・物価等担当の参事官ですけれども、お越しいただいております。

それでは、野村座長からお願いをいたします。

○公共料金等専門調査会電力託送料金に関する調査会野村座長 ただいま山本委員長より御紹介いただきました、公共料金等専門調査会電力託送料金に関する調査会の座長を務めております野村と申します。本日はお時間いただきまして、どうもありがとうございます。

このたび、電力託送料金に関する調査会におきまして、先ほど委員長より御説明のありました経緯で、賠償負担金・廃炉円滑化負担金の算入に伴う電力託送料金変更案の算定について、資源エネルギー庁へのヒアリングを含めて計4回の会合を開催し、調査審議を行って、調査会の意見を取りまとめておりますので、御紹介させていただきます。

本日は、資料1-1の電力託送料金に関する調査会意見に基づき、調査会の調査審議結果を御報告いたします。

まず、調査審議の前提について御説明をさせていただきます。1ページ目を御覧ください。第2段落で審議対象を明示しております。上記消費者庁からの意見聴取の対象に基づき、一般送配電事業者が設定する料金の算定を中心に行ったとしております。今回の調査審議は、賠償負担金・廃炉円滑化負担金の各制度が施行されていることを前提に、制度に基づく具体的な料金の算定をメインとしておりました。

第3段落以下では、資源エネルギー庁より示されました一般送配電事業者9社の料金の変更内容を記載しております。料金変更の適用予定日は、令和2年10月1日とされていますが、値上げ相当分は1年繰り延べることとされております。

その下に変更内容を一覧化しております。東北、東京、関西、四国及び九州の5社が値上げ認可申請、北海道、中部、北陸及び中国の4社が値下げ届出となっております。このような違いが生じておりますのは、今回の料金変更が賠償負担金・廃炉円滑化負担金の算入と併せて、従来託送料金で回収されていた使用済燃料再処理等既発電費相当額の回収が令和2年9月30日で終了することによるためであります。そのプラスとマイナスの関係で、値上げになるものと値下げになるものがあるということになっております。

一覧表の後段では、先ほどの値上げ相当分が1年繰り延べられることとの関係で、令和3年9月30日までの料金変更額について、値上げ5社の部分がいずれもゼロとなっていることを示しております。

それでは、2ページ目の結論について、1ポツのところでございます。

まず、1つ目の消費者庁からの意見の求めに対する見解として、料金変更案の算定は、所定の算定方法に沿ってなされたものとして妥当であると認められるといたしました。

2つ目、「なお」以下でございます。資源エネルギー庁は、原子力発電事業に関する費用を託送料金で回収する形を取った賠償負担金・廃炉円滑化負担金の各制度について、下記2ポツ(3)の各指摘の趣旨も踏まえて、消費者の納得を得られるよう一層努めるとともに、一般送配電事業者及び小売電気事業者に対して、料金変更に関して消費者にとって分かりやすく、丁寧な情報提供・説明を行うよう促すべきであるとしております。

次の2ポツに移ります。先ほどの結論に至った理由となっております。

(1)が経緯です。資源エネルギー庁の説明から確認された内容を基に整理しております。まず前提として、1つ目のマルでは賠償負担金について、2つ目のマルでは廃炉円滑化負担金について、それぞれ制度の概要を説明しています。

1つ目のマルの賠償負担金は、福島第一原子力発電所事故後に導入された賠償への備えに関して、事故前に確保すべきであった不足分を託送料金の仕組みを利用して需要家から回収するものです。その経緯として、かつて平成28年の閣議決定で、不足分の上限額、約2.4兆円を電気の利用者である需要家全体で令和2年度以降40年程度にわたって負担することとし、そのために必要な託送料金の見直し等の制度整備を行うとされたことを踏まえ、平成29年、託送料金により回収する省令改正がなされました。

次に、2つ目のマルの廃炉円滑化負担金は、原発依存度の低減というエネルギー政策の基本方針の下、原子力発電所を円滑に廃炉するための費用を託送料金の仕組みを利用して需要家から回収するものです。その経緯として、発電事業者が想定よりも早期に廃炉する場合に、設備の残存簿価の一括減損等により一時的に多額の費用が生じることで廃炉判断をちゅうちょする可能性があったことから、費用の分割計上を可能とする「廃炉会計制度」が平成25年に措置されていました。

当時は小売規制料金による回収が前提とされていましたが、小売規制料金が原則撤廃される令和2年以降、制度を安定的に継続させる観点から、平成29年に託送料金の利用を可能とする省令改正がなされたものです。

3ページ目からは直近の経緯をまとめております。各制度は本年4月より施行されています。そして、本年7月17日に原子力発電事業者から賠償負担金・廃炉円滑化負担金の各回収総額がいくらになるか、また、各エリアで託送料金を回収する各一般送配電事業者にそれぞれいくらずつ回収してもらうのかということについて、経済産業大臣に申請がなされました。7月22日に経済産業大臣は、各申請を承認するとともに、一般送配電事業者9社への回収金額等の通知をしました。通知を受けた一般送配電事業者9社は、7月28日、経済産業大臣に対して、通知の内容に基づく託送料金の変更に関する認可申請・届出を行いました。これが今回の調査審議の対象となります。

これを受けて、7月31日、経済産業大臣より電力・ガス取引監視等委員会に、資源エネルギー庁より消費者庁に、それぞれ意見聴取がありました。そして、8月5日に消費者庁より消費者委員会に対して意見の求めがありました。なお、その後、監視委は、8月6日に当該認可を行うことに異存がない旨及び当該届出内容について関係規定に基づき適正に算定されていると認められる旨の回答をしたということでございます。

次に、(2)結論の1つ目に対する理由です。今回、当調査会では、料金変更案の算定の妥当性について、調査審議の過程で確認された事実関係を基に、所定の算定規則で定められた算定方法に沿ってなされているか否かにより判断いたしました。今回は変分改定ということで、先ほど御説明した賠償負担金・廃炉円滑化負担金の算入と、使用済燃料再処理等既発電費相当額の回収終了に伴う変動分のみが対象になっており、それ以外の例えば人件費等の費用項目については変更が行われていないということであり、調査会でもこれを前提に調査審議を行いました。

3ページ目から4ページ目にまたがりますが、2つ目のマルで、マル1からマル3で記載しているのが算定規則における算定方法を整理したものです。先ほどの3つの要素に基づく変動額がマル1、それを特別高圧・高圧・低圧の3種類の規模の電圧別に割り付けたものがマル2、それをそれぞれ1キロワットアワーごとの単価として求めているのがマル3です。

そして、調査会としては、4ページ目の1つ目のマルで記載しておりますが、今回の料金変更案について、資源エネルギー庁より、同庁及び電力・ガス取引監視等委員会において、前提となる変動額や発受電量の比率、販売電力量等の数値を確認の上、上記マル1からマル3の手順に沿って算定されていることを確認したとの説明がなされ、調査会においても、資源エネルギー庁からの説明に照らすと、上記マル1からマル3の手順に沿って算定されていることを確認いたしました。

次に(3)に入らせていただきます。ここは結論の2つ目に対応する理由です。この点につきましては、調査会において、委員、オブザーバーから様々な意見をいただいたところであり、その共通する問題意識を中心にまとめております。まず、根本にある問題意識としまして、賠償負担金・廃炉円滑化負担金の各制度については、原子力発電事業に関する費用を託送料金で回収する形を取ったことで消費者にとって分かりにくいものとなっていると考えられること、また、個別の電力受給という直接的・具体的な受益との関係が分かりにくいという負担を消費者に求めるものであることを示しております。その上で、このようなことなどを踏まえまして、資源エネルギー庁において次のような取組・対応等がなされることが重要であるとしています。

1つ目が、制度の内容・趣旨や、どうして需要家が負担することとされたのかという制度設計時の検討経緯を消費者が改めて十分に理解し、納得できるように、継続的に消費者にとって分かりやすく、丁寧な情報提供・説明を行うことなどの取組一層進めることです。

2つ目が、経済産業省、原子力規制庁といった関係省庁や、原子力損害賠償・廃炉等支援機構といった関係機関と連携し、賠償への備えの確保や円滑な廃炉を促す環境の整備といった各政策目的の達成状況について、消費者が確認できるようにすること、また、将来的に政策的観点からの費用に関して消費者への過度な負担を求めることにつながることのないようにするためにも、引き続き、原子力政策の全体像や、その中で消費者が負担することとされている費用について消費者が確認できるようにすることです。

3つ目が、一般送配電事業者に対して、料金変更案の変更内容や算定根拠、適用日等について、消費者にとって分かりやすく、丁寧な情報提供・説明を行うよう促すことです。

4つ目が、小売電気事業者及び一般送配電事業者に対して、料金変更が適用されるに至った場合に、実際に負担する消費者が適時に賠償負担金・廃炉円滑化負担金に関する情報を得られるように、また、消費者の多様性にも配慮し、広く情報が行き届くように工夫するよう促すことです。その中では、消費者にとって電気料金に関する情報を得られる貴重な媒体である請求書への記載や、ウェブサイトの閲覧などについて指摘しています。

資源エネルギー庁においては、これらの趣旨を踏まえて、消費者の納得を得られるよう一層努めるとともに、各事業者に対して料金変更に関して消費者にとって分かりやすく、丁寧な情報提供・説明を行うよう促してもらいたいということで、先ほどの1ポツの結論となりました。

以上が私からの説明でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、御質問、御意見のある方はお願いをいたします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

清水委員、お願いします。

○清水委員 御説明ありがとうございました。

全く御意見そのとおりだと思います。やはり消費者に対してきちんと説明していただくということが重要かと思います。我が国はエネルギーセキュリティがぜい弱ですし、エネルギー自給率も9パーセント程度しかない中での電源構成の在り方というのは、余り国民の中では語られていないので、この機会により多くの国民に知っていただいて、電力自由化の中でも託送料金というものがあるのだということを知ってもらう機会になればいいなと思っています。情報提供をよろしくお願いします。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

木村委員、お願いします。

○木村委員 木村です。

私も、消費者にとって、やはり電気料金がどういうものかというのがなかなか分かりにくいところは以前から問題だと思っておりまして、これを機会に、請求書への記載を分かりやすくするという意見がこのペーパーにもありましたけれども、今、請求書のウェブ化化が進む中、どうやってウェブに対応できない方に情報を伝えていくかということも含めて、是非御検討いただきたいと思っております。そして、電気を初めとするエネルギーへの消費者の理解が進むことを願っております。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

その他いかがでしょうか。よろしいですか。

それでは、ただいま特に丁寧な説明と情報提供という点について御意見がございました。これは先ほどの調査会での意見の中にも書かれていることでございますけれども、よろしければ、この賠償負担金・廃炉円滑化負担金の算入に伴う電力託送料金変更案の算定に関する電力託送料金に関する調査会意見の内容を踏まえまして、消費者委員会としての意見を消費者庁宛てに送付してはどうかと考えますけれども、よろしいでしょうか。

承知しましたというお答えをチャットでいただいております。

それでは、事務局から、資料1-2の賠償負担金・廃炉円滑化負担金に伴う電力託送料金変更案の算定に関する消費者委員会意見案が出ておりますので、事務局から簡潔に意見案の内容の御説明をお願いいたします。

○太田参事官 事務局でございます。

資料1-2を御覧ください。本件に関する消費者委員会としての意見案をお示ししております。読み上げさせていただきます。

消費者委員会は、本日、公共料金等専門調査会電力託送料金に関する調査会から、賠償負担金・廃炉円滑化負担金の算入に伴う電力託送料金変更案の算定に関する電力託送料金に関する調査会意見の提出を受けた。

本意見を踏まえ、消費者庁において意見表明することを求める。

としております。

これまでと同様でございますが、この1枚紙に調査会の意見を添付いたしまして、それを一体といたしまして、消費者委員会の意見ということで消費者庁に発出することといたしたいと存じます。

以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、ただいま御説明をいただきました意見案について、御意見のある方は御発言をお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

よろしいようでしたら、大石委員は何かございますか。

○大石委員 ありがとうございます。オブザーバーとして出席しておりましたので、一言、発言させていただきます。

今回の調査会では、事務局の皆様には議論を丁寧に進めていただきました、ありがとうございました。消費者委員会、ひいては消費者庁としての意見提出になるということで、やはり消費者の立場に立った意見を出していく必要があるということで専門委員会の先生方に御意見いただき、今回このようなまとめになっております。先ほど清水委員や木村委員もおっしゃってくださいましたけれども、消費者の立場に立った意見としてまとめた、ということで、これを消費者委員会の意見として出していただけますと有り難いなと思いまして、一言申し上げました。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、新川委員、お願いします。

○新川委員 新川です。ありがとうございます。

私も大石委員と同様、オブザーバーで参加をさせていただいていました。結論そのものに異論はございませんし、消費者委員会としての意見もこれで結構だと思っておりますので、よろしくお願いします。

それに際しましても、意見書の中にもありましたように、今回の御審議の経過で、やはり消費者にとって本当にこの電力託送料金への負担が適正かどうかということについて、もっともっと理解を深めると同時に、論点、問題点をきちんと洗い出していくべきであるという御発言を多々いただいてまいりました。これらは今回の意見書の内容に直接関わることではございませんけれども、今後の消費者委員会の役割、あるいは消費者保護という観点からの消費者庁の任務、そうしたことにも深く関わってくるところが多かろうかと思っております。今後も是非消費者委員会、消費者庁を通じて、この問題についての関心というのを持ち続けることが必要ではないかと思っております。

また、託送料金等の審議については、今後もしばらく続くということになりますので、そうした場面でもしっかりと議論を継続していければと願っております。

以上です。

○山本委員長 その他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

ただいま調査会における議論の模様について御説明をいただきました。この託送料金の制度に関しまして、あるいは託送料金の中身に関する制度につきまして、種々御意見があったということですので、この点につきましては、本委員会及び専門調査会のほうで引き続き注視をしていきたい、関心を持って見ていきたいと考えております。

本日の意見そのものについては、これで特に異存はないということでしたので、その旨を当委員会の意見としたいと思います。

令和2年8月5日付けで消費者委員会が消費者庁より意見を求められた託送供給等約款変更認可申請に係る託送供給等約款及び託送供給等約款変更届出に係る託送供給等約款でそれぞれ設定する料金の算定について調査審議をした結果、意見案については、これにて皆様の御了解をいただいたと思いますので、これをもって当委員会の意見とし、消費者庁宛てで送付したいと思います。それでよろしいでしょうか。

異議ないというふうに先ほどお書きいただいておりますので、ありがとうございます。

すみません。チャットのほうに何か入力中という表示が出たので、少し様子を見ていたのですが、よろしいですかね。

それでは、野村座長におかれましては、調査会意見の取りまとめに大変御尽力をいただきまして、ありがとうございます。また、消費者庁におかれましては、お忙しい中、本日は御出席をいただきまして、誠にありがとうございました。

○公共料金等専門調査会電力託送料金に関する調査会野村座長 どうもありがとうございました。途中、通信が切れてしまいまして失礼いたしました。おわび申し上げます。

○山本委員長 とんでもないです。

○公共料金等専門調査会電力託送料金に関する調査会野村座長 では、失礼いたします。

○山本委員長 失礼いたします。

(公共料金等専門調査会電力託送料金に関する調査会野村座長退室)

○山本委員長 それでは、ここで5分程度休憩を取ることにいたします。14時10分に再開することにいたします。

(休憩)

《3.地方消費者行政専門調査会報告書及び意見案について》

○山本委員長 それでは、再開いたします。

次の議題は、「地方消費者行政専門調査会報告書及び意見案について」です。地方消費者行政専門調査会は、これまで第1次及び第2次消費者委員会で決定をされておりまして、昨年6月に第5次の委員会で再開をし、新川座長の下、第6次の委員会におきまして継続して調査審議が行われてまいりました。今般、報告書が取りまとめられ、本日、専門調査会の新川座長より当委員会へ御報告をいただくことになりました。

なお、第6次の委員会からは、座長であられます新川委員のほか、私、山本も座長代理として参加をし、さらに、生駒委員と清水委員にもオブザーバーとして専門調査会に御参加をいただきました。

それでは、新川座長からお願いをいたします。

○新川委員 新川でございます。

それでは、地方消費者行政専門調査会からの意見報告書について、改めまして消費者委員会に御報告を申し上げます。お手元の報告書のとおりでございますけれども、先ほど山本委員長から御紹介がございましたように、昨年6月に今次の調査会が設立をされまして、以来、本委員会、専門調査会の本会議を16回、そして委員打合せも重ねてまいりました。また、今回の調査内容に関わりましては、50団体以上の皆様方から様々にお話をいただきながら、情報提供いただきながら、丁寧に議論を進めてまいりました。この間の御審議に改めて感謝を申し上げますとともに、こうした報告書を提出するというところまでこぎ着けましたこと、深く感謝を申し上げるところでございます。

今回の地方消費者行政専門調査会のミッションは、何よりも今後20年間で我が国の社会経済、あるいはそれに関わって政治行政のシステムが大きく変化をしていく。そこには更に様々な技術的な条件や自然環境条件、そうしたものの変化も踏まえつつ、考えていかなければならないという状況を受けて、その中での高度に複雑化する消費社会の諸問題に対応できるような、そういう消費者行政をいかにして実現していくことができるか、より良い消費者行政の理想というのをどのように実現できるかということを考えていこうとするときに、むしろそうした2040年段階での理想の消費者の姿、消費経済や消費市場の姿ということを想定しつつ、それを実現できるような方策、方途を考えていく、そんな観点で議論をしてまいりました。

そして、そのための幾つかの重要と思われる論点というのを今回の報告書の中で御提示させていただき、それらが全て実現可能かとか、あるいは全部やらねばならないのかといったようなことではなくて、むしろこれからの消費者行政、消費者問題を考えていく上で、国や地方公共団体をはじめ、消費者団体の皆様方、そして事業者の皆様方、また関係の各機関にこうした私どもの報告書の中身をしっかり考えていただく、そのための手掛かり、未来に対する、より良い未来を実現するための手掛かりということで考えていただければ、そんな願いで作成をしてきたところでございます。

この報告書の内容につきましては、事務局のほうからまた改めて詳しくお話をさせていただければと思っております。

私からは以上です。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

○友行企画官 それでは、事務局でございます。

報告書の内容につきまして御説明いたします。

資料でございますが、資料2-1が報告書本体となっております。資料2-2が報告書の概要となっております。本日は、資料2-2の概要に基づきまして、御説明を申し上げます。

概要の1ページ目をおめくりいただきまして「はじめに」のところでございます。この報告書の議論の前提といたしまして、人口は減少し、働き手も減少することから、消費者行政職員数は減少する。高齢化率は4割程度に達し、超高齢化社会となる。人口の減少等から資源制約が生じる。これらのことから地方公共団体によるこれまでと同様のフルセットによるサービスの提供は成り立たない可能性があるということを前提とさせていただいております。

2ページ目の「第1 現状」でございます。

1つ目「消費者問題の現状」でございます。消費生活相談件数は年間90万件から100万件程度で高止まっております。また、被害額は5兆円程度となっております。今般の新型コロナウイルス感染症拡大の下で、消費者問題は商品の不足や詐欺的行為などが発生しております。また、非対面、デジタル化を余儀なくされるといった新たな問題にも直面しております。

2といたしまして「地方消費者行政の現状」でございます。足元では、地方消費者行政強化作戦2020に基づく地方消費者行政の強化が推進されております。ただ、地方公共団体を見てみますと、消費者行政の優先順位は必ずしも高くないということが見受けられます。行政に携わる行政職員数は減少しております。消費者安全確保地域協議会の設置状況を見てみますと、全市町村の2割弱にとどまっているところでございます。

3ページ目でございます。「第2 20年後の我が国の主な課題と消費者行政」でございます。

1として「20年後の消費者を取り巻く環境において予想される課題と展望」でございます。課題といたしましては、2065年頃までは少なくとも人口減少が続いていく。地域力、住民自身による見守りや課題への対応力の低下が予想されます。また、単身世帯の増加やコミュニケーションの取り方の変化を背景に、消費者は孤立を深めていくことが想定されます。そして、デジタル化の推進とともに、匿名社会が広がっていくということが課題として挙げられます。

他方で、明るい展望といたしましては、ICTなどが消費者への情報提供などの面でサポートしていくことが考えられます。また、社会に積極的に関わっていくアクティブシニアの増加が新たな市場の登場を想起させるなど、経済を活性化していくということが考えられます。

2番で「20年後の地方消費者行政において予想される課題と展望」でございます。行政の職員数の減少などから行政の対応力が低下していくことが課題となりますが、他方で展望としては、地方公共団体は自然や伝統工芸等魅力ある資源を活用し、地方はエシカル消費、SDGsの実践の場になっていくということが考えられます。

こうしたこと全てを受けまして、3として「消費者行政の重要性の更なる増大」でございます。単身世帯の増加による孤立化、匿名社会の広がりなどにより、消費者は一層様々な消費者問題に直面していくことが想定されます。感染症、自然災害等、緊急事態に備えた消費者行政への対応も急務となっております。責任ある持続可能な消費と生産、安全安心な市場を国内で醸成することが不可欠となっております。そして、人口の4割程度を占める高齢者が生き生きと安全安心な消費生活を送ることができる社会を実現していくこと、これも消費者行政に課せられた重要な課題となっております。

「第3 20年後の消費者行政が目指すべき姿」でございます。10年後、20年後を見据えまして、そこから見えてくる課題を克服し、消費者行政が目指すべき姿をここで掲げております。20年後には、1として、市町村、都道府県及び国が重層的に消費者の安全安心を守る消費者行政へと転換していきます。

2つ目といたしまして、新たな支え合い見守り合う地域社会への転換がなされています。

3つ目といたしまして、複雑多様化した消費者問題から自らを守ることのできる消費者市民社会が形成されています。

4つ目といたしまして、感染症、自然災害等危機下において消費者の安全安心が確保された社会が実現されています。

5つ目として、安全安心な消費生活を守る持続可能な消費生活相談体制が実現されています。

6つ目といたしまして、目指すべき姿を実現するための社会的資源の確保、活用の実現がなされている。そういった姿をこの専門調査会の報告書では掲げております。

「目指すべき姿の実現に向けた対応策」といたしまして、5ページ目から第4としております。

対応策としての1つ目が消費者行政主体の役割の変化と連携の強化でございます。対応策の各項目におきましては、基本的な考え方と取組の方向性を述べております。1つ目につきましての取組の方向性でございます。市町村は、地域住民に近いところで安全安心を守る行政の主役として、引き続き総合型行政を推進していきます。福祉、保健医療、警察など関連する分野と連携して、現場レベルの対応を総合的に行う体制を構築することが望ましいとしております。都道府県においては、市町村に対する補完、支援を強化し、専門性を高め、全体を調整する機能を強化していく。また、広域的な相談体制の構築を支援することが望ましいとしております。

消費者庁は、こうした地方公共団体のコーディネート機能の強化に向け、将来的には、消費者行政コーディネートセンター構想を推進していくというふうにしております。

2番でございますが、新しい消費者問題への対応力強化でございます。基本的な考え方といたしまして、地方公共団体は、相談から問題解決までの一貫した対応力を備えるため、各分野の専門家と連携していくことが必要でございます。

取組の方向性といたしまして、都道府県は、市町村の相談窓口や消費生活センターの相談員や弁護士、消費者団体等必要な関係者が参画し、問題を解決する実践的な対応力を備えた体制を構築・整備することが望ましいとしております。

消費者庁は、参考となる先進的な取組事例をモデルとして示すなど、体制づくりを支援していくことが必要だとしております。

3つ目といたしまして、新しい消費者市民社会の形成に向けた対応策でございます。

(1)安全安心な市場を醸成するための仕組みづくりでございます。消費者が的確な情報を簡易かつ速やかに入手することができ、被害救済制度により適切かつ迅速に対応され、悪質な商品・サービスが排除されていく市場の醸成が必要でございます。

取組の方向性といたしまして、消費者庁は、国民生活センターや地方公共団体等と連携して、消費者自身が情報を発信し、交換できる双方向のプラットフォーム「消費生活情報プラットフォーム」を構築するということを掲げております。

(2)といたしまして、自立した消費者を育成するための消費者教育・啓発活動の推進でございます。

取組の方向性でございますが、消費者庁及び地方公共団体は、関係行政機関と連携し、オンラインによる教育・啓発に関する環境整備を一層進め、共有できる教材ライブラリを充実し「消費生活オンラインスクール」としてあらゆる世代の学習機会を十分に確保していくということでございます。

(3)消費者自身が見守りの担い手として活躍する社会の構築でございます。基本的な考え方といたしましては、地域の様々な主体が連携する地域コミュニティーの再構築が重要というふうに考えております。

そのため、地域の見守り役となる「消費者見守りサポーター」として高齢者の活躍などを推進していくことが必要というふうにしております。

(4)高齢者が活躍する社会の構築でございます。

取組の方向性でございますが、消費者庁及び地方公共団体は、高齢者とほかの世代との連携やマッチングを支援していく、いわゆる高齢者大学等の高齢者の学びの機会に消費者教育を更に積極的に取り入れ、高齢者が消費者行政の担い手として活躍することを支援していくといったことを示しております。

(5)といたしまして、ICT・AI技術等の活用でございます。地方公共団体の他の行政部門が持っているICT・AI技術等のリソースを点検・発掘していくと同時に、サイバーセキュリティへの対策や情報の活用と個人情報の保護とのバランスの問題、情報弱者となりやすい一部の高齢者や若年層等に配慮しながら活用を推進していくということを述べております。

取組の方向性でございますが、事例の提示やモデル事業の推進。PIO-NETに登録された情報のオープンデータ化等、ビッグデータとしての消費相談情報の利活用を推進していくということを示しております。また、専門人材の確保や職員の育成の在り方を検討し、ICTリテラシーの向上のための消費者教育を強化することが望ましいといったことを示しております。

4つ目といたしまして「感染症、自然災害等危機下における消費者の安全安心を確保する対応体制の構築」でございます。

取組の方向性でございますが、危機発生時にも見守りや被害救済等の取組が継続できるよう、危機管理体制を強化することが望ましい。業務継続計画や対応マニュアルの作成、福祉や警察等他の行政部門や消費者団体等の地域の担い手と連携した「緊急事態時の消費者問題に対応できる公共私のネットワーク」の整備が重要というふうに示しております。

5つ目といたしまして「持続可能な消費生活相談体制の構築」でございます。

(1)広域センター化の更なる推進等による消費生活相談体制の強化でございます。基本的な考え方として、地域の実情に応じて広域センター化を進めるとしております。

取組の方向性といたしまして、地域の実情に応じ、相談体制の広域連携による、相談体制の維持・強化。公共私の協働体制についても必要に応じて検討という形にしております。

(2)消費生活相談員の活躍の場の拡大でございます。基本的な考え方でございますが、消費者行政にとって必要不可欠な存在である消費生活相談員の確保に向けた取組の継続、更なる活躍の場の拡大を検討していく。業務の重要性、業務内容の必要性について周知する。相談機能の充実と専門性強化の中で高度専門職として位置付けるといったことを述べております。

取組の方向性でございますが、消費者庁は、消費生活相談員を、総合型行政化された中で充実した相談機能を担い、あっせんなどを担う専門性を強化していく。相談の知見を生かして教育・啓発活動の中心となるなど多様な活動の場の構築を一層推進していく。そして、魅力ある職業であることを更に発信していくということを述べております。

6つ目といたしまして「目指すべき姿を実現するための社会的資源の確保、活用」でございます。

(1)財源の確保でございます。基本的な考え方といたしましては、市町村においては総合型行政化、都道府県においては補完、支援、専門性、調整機能の強化、消費者庁においてはICT・AI技術等の基盤整備といった役割を明確化しております。そして、それぞれの役割、機能に応じた財源を充実・強化していくべきという形にしております。

取組の方向性でございますが、消費者庁は、地方公共団体と協力して、市町村、都道府県、国それぞれの役割、機能を踏まえた行政の取組を実施していくための財源の在り方を検討していく。そして、その中で公共私を横断した視点を持ち、公的な財源調達にとどまらず、民間からの資源確保も含めた持続可能な財源確保の方策を検討していくべきとしております。

また、(2)の人的資源の活用でございます。基本的な考え方といたしましては、学生を含め、様々な人材を取り込んでいく必要がある。そして、新たに活躍できる人材を育成していく。そして、これまで消費者問題に関わりが薄かった事業者などにおいても、重要な担い手として捉え直していくことが必要だというふうにしております。

取組の方向性でございますが、人材の受入れ体制整備や専門人材の紹介や情報提供を行う仕組み「消費者行政専門人材情報プール」の構築に取り組むことが望ましいとしております。

(3)消費者行政に係るデータの整備・分析でございます。基本的な考え方でございますが、消費者行政の重要性やその効果を定量的に示し検証していくことが必要でございます。

そして、そのために、エビデンスに基づく施策を実施できるようデータ整備を更に推進していくべきとしております。

以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、オブザーバーとして参加いただきました生駒委員と清水委員から一言ずついただければと思います。生駒委員、お願いします。

○生駒委員 御説明ありがとうございました。

私も会議に参加させていただきまして、20年後の日本を想像しながら、地方の行政とはいえども日本全体にも関わるお話かと思います。その20年後において消費者行政がどのように消費者を支えていく姿となるかということで、様々な観点からお話をさせていただきました。

昨今、ポストコロナの時代の変化の勢いも借りて、SDGsやエシカル消費が、20年後には本格化、あるいは定着していく世界になるのではないかと思っていますし、高齢者の人口がピークを迎えるということが盛んにうたわれていますが、アクティブシニアという言葉がこの報告書には盛り込まれておりまして、アクティブな活動をするシニアということですけれども、そういった方々が社会を支える、高齢化社会の理想的な形についても触れさせていただいております。

また、消費者行政をいろいろな形でつないでいくコーディネートセンター的な、あるいはコーディネーターの方々の活躍の場が必要なのではないかという提案もさせていただいておりますし、消費者が様々な情報を手に入れて交換できるSNS的なプラットフォームの構築も必要なのではないかということで、報告書には盛り込ませていただいております。

私も、地方消費者行政に取り組まれてきた方々と意見交換もさせていただきまして、また、頻繁に地方を訪ねている立場から、今、ワーケーションですとか、むしろ都会から地方に移住するような方も増えている。急激にそういった流れも作られている時勢の中で、この報告書の作成に携われましたことは、非常に勉強にもなりましたし、また、これが結論というわけではなく、今、新川座長もおっしゃったのですけれども、更に意見交換を深めて、より良い20年後が迎えられるようになるといいなと思っております。

これはすなわちより良い日本の社会をつくっていくことにもつながると思いましたので、非常に有意義な会議に参加させていただきました。報告書に関しては、私もこれからも切磋琢磨して、更なるアドバイスをさせていただければと思っております。ありがとうございました。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、清水委員、お願いします。

○清水委員 清水です。

ちょうど地方消費者行政強化作戦2020の真っただ中でやっている相談員としては、本当に苦しい会議でした。2040年を見据えた上で今を見詰めるというバックキャスティングは、環境系ではよくやるのですが、消費者行政では初めてでした。もう辛くて辛くて仕方がなくて、現場のことをいかに分かってもらうかの一心で参加しておりました。

そんな中でコロナ禍になってしまったこともあり、相談現場の在り方、本当にいつでもどこでも全国で相談ができる体制はできるのか、災害時にも可能なのか、どうやって継続していくのかというのを考えました。振り返ると、今までの10年の中で、交付金があったからこそ消費生活相談窓口が増え今がある、この先は交付金がなくなっていく、人がいなくなる、しかし、5年後、10年後、20年後というのは引き続きあるはずだ、本当に自主財源でできないのかと悩みました。総務省の報告書の20年後の数字を見ると、厳しい現実でした。

ただ、変わりないのは、市民の人に寄り添って暮らしを守ってほしいというニーズ、それが消費生活センターであり、最後の駆け込み寺であることは間違いない。それを担うのが私たち消費生活相談員である。それは絶対に何があっても間違いない事実だということを議論させていただいて、この報告書には盛り込まれています。

しかし、私たちでは絶対賛成できない外部委託、指定管理の問題も書かれております。これについては安易な外部委託にならないようにとも書かれております。これは一つの意見であるので、これから現場で自分ごととして各自治体が話し合っていく必要があります。そして、何よりも国、消費者庁がきちんと今までの政策の現状を振り返っていただきたい、消費生活行政のコーディネートについて既にこの報告書の内容をしっかりやっている都道府県もあります。でも、残念ながら全然できていない都道府県もあります。消費生活相談の仕事は、市町村でやっていくことは明らかであります。これはこの報告書でも書かれています。これからはこの報告書の内容について、多くの市民が自分ごとで考えるような議論の場作りが必要です。

ICT・AI技術の更なる進展で夢を語りたいのですが、相談の広域運用をやっているところがリモートの活用で基盤の消費生活センターから出先の市民に対し相談ができるようになったから、出先の相談窓口の相談員は1人削減だというような悲しい現実もあります。まだまだ消費者行政の充実に向けて発展途上なのに、厳しい現実があります。だからこそ、この報告書に書かれた消費者行政の重要性を一人でも多くの行政職員や市民に知っていただくことを望んでおります。

以上です。

○山本委員長 それでは、続きまして、ただいま報告をいただきました報告書について、消費者委員会としてどのように扱うかという点の検討に移りたいと思います。

専門調査会が取りまとめた報告書は、当委員会の求めに応じて調査審議をされたものですけれども、これを受けて、当委員会としてどのような形式で、誰に宛てて送付するのかを検討する必要があります。本件につきましては、報告書の内容に鑑みまして、意見という形で消費者庁長官宛てに送付することが適切ではないかということで、委員間打合せにおきまして委員の皆様と意見交換を行い、その方向で合意をさせていただいております。

本日は、私と事務局で策定いたしました意見案を資料2-3として配付しておりますので、委員の皆様に御確認をいただきたく存じます。

それでは、意見案について、事務局から説明をお願いいたします。

○友行企画官 それでは、お手元の資料の2-3を御覧いただけますでしょうか。「2040年頃の消費者行政が目指すべき姿とその実現に向けた対応策等に関する意見 ~地方消費者行政専門調査会報告書を受けて~」とございます。

1、消費者委員会は、8月に、地方消費者行政専門調査会から報告書の提出を受けた。

2、報告書では、将来、人口は減少し働き手も減少することから消費者行政職員数は減少する。高齢化率は40パーセント程度に達し超高齢化社会となる。人口の減少等から資源制約が生じる。これらのことから地方公共団体によるこれまでと同様のフルセットによるサービスの提供は成り立たない可能性があることを議論の前提としている。

3、本報告書は、高齢者人口がピークを迎える2040年頃を見据え、そこから見えてくる課題を克服して消費者行政が目指すべき姿を示している。そして、その実現に向けた対応策として、市町村、都道府県、国が有機的に連携し、消費者の安全安心を重層的に守る仕組みの構築やICT・AI技術の消費者行政への積極的な活用など、現時点で考え得る取組の方向性を述べている。

4、消費者庁及び関係行政機関においては、消費者行政の充実・強化が、将来においてもしっかりと実現されるよう、本報告書を参考に、できるだけ速やかに、検討や取組を推進されたい。また、地方公共団体においても、施策形成のPDCAサイクルの各局面において、本報告書を参考に、検討や取組が推進されることを期待する。

5、当委員会としては、2040年頃を見据えた消費者行政の充実・強化について、消費者行政に関わる国、地方公共団体とともに、関係するステークホルダー(消費者団体、NPO、自治会、地域の課題解決に取り組む事業者等)のみならず幅広い層が関心を持ち、取組の推進に向け様々な形で参画することを期待する。

このような形で意見として消費者委員会から発出するということではどうかと御提案させていただくところでございます。

御説明は以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、先ほどの報告書について、これの内容自体は専門調査会で確定をするものですから、この場で何か変更する等のことはできませんけれども、専門調査会の報告に関する御感想など、それから、ただいまの当委員会としての意見についての御意見をいただければと思いますけれども、いかがでしょうか。これは恐らく、お話をいただき始めると際限がないところであると思いますので、できましたらお一人2分程度でお願いできればと考えております。

柄澤委員、お願いします。

○柄澤委員 ありがとうございました。

報告書を読ませていただきましたけれども、将来に起こるであろう地方行政の課題を非常に多岐にわたって的確に捉えた内容であって、非常に示唆に富んだ内容だと思います。取りまとめに御苦労いただいた調査会の委員の皆様や事務局の皆様に敬意を表したいと思います。

消費者委員会に関与して感じるのは、消費者対応というのは、即時的な対応を要する課題も多くて、どうしても対症療法的にならざるを得ない部分があることです。一方で、長期的、フォワードルッキング的な視点に立つことも重要で、そういう点でこの報告書というのは非常に意義あるものではないかと思っております。

報告書には「必ずしもここで例示した全ての取組の実現を求めるものではない」、あるいは「行うべき施策を決め打ちするべきではなく」との記載がありましたけれども、人口減少、少子高齢化の加速であるとか、消費者行政に割り当てることができる財源や人材など、置かれている現状を踏まえますと、各地方自治体の特性や置かれている課題に応じた「選択と集中」が必要になってくると思っております。その中で、5年後、10年後といった現実的なマイルストーンも設けながら、最低限必要なものは何か、絶対に譲れないものは何かの優先順位をつけながら取組を推進していく。そこで足りない部分というのは、自立した消費者の育成であるとか、消費者志向の事業者団体や事業者を増やしていくことでカバーしていくべきではないかと思っております。

今回の報告書を多くの人が関心を持って読んで、各地方の特色を生かした消費者行政の取組が検討され、実践されていくということを心から期待したいと思います。意見案については、異議はございません。

私からは以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、受田委員、お願いします。

○受田委員 ありがとうございます。

まず、コメントとしては、将来に向けて価値ある御報告を取りまとめていただきまして、本当にありがとうございます。新川座長をはじめ多くの皆様がここに関わられ、最終的な報告書作成まで至ったということで、その御労苦に心より敬意を表したいと思います。

そして、先ほど柄澤委員からもありましたように、2040年からということで、バックキャスティング的な考え方を取り入れられたという点は本当に画期的だと思います。そういう意味では、これは明確なロードマップを掲げていくことを想定された報告書のつくりになっていくということを大いに期待を申し上げたいと思います。

ここからこの報告書の活用について、意見に関する部分についてコメントをいたします。ポイントは、この報告書が実効的に活用されることであるというふうに認識しております。ステークホルダーといいますか、ここに関わる方々は大勢いらっしゃるのですけれども、私は、今後、アフターコロナを念頭に地方分散型社会に入っていくことも勘案しつつ、地方公共団体、地公体への普及が正に最も重要なポイントであると認識しております。

その点で、資料2-3にある意見の中で4番目の項目、地公体においても施策形成のPDCAサイクルの各局面において、本報告書を参考に検討や取組が推進されることを期待する。ここの部分に重きを置いていくことが極めて重要で、強調しておくべきことだと思っております。アンダーラインを引くとかいうことがあってもいいぐらいだと思ってはいるのですけれども、恐らくこれ全部が重要な意見だと思いますので、私の捉え方としては、ここは特に重要であるということで、地公体においては総合戦略等のPDCAの中に取り組んでいただくようなことを、今後、各団体への説明において是非コメントを補足していただければ幸いでございます。基本的には異議ございません。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、木村委員、お願いします。

○木村委員 木村です。

取りまとめ、ありがとうございます。大変良い報告書で、2040年頃を感じられるものだと思います。

資料2-3の5番にありますように、幅広い層が関心を持つというところがあるのですけれども、現状を踏まえて、どのように次の世代につないでいけばいいのかということを是非御検討いただきたいと思います。

そのためには、次世代を担う若い方々に是非この報告書を読む機会をいただければと思います。そして20年後、どのように消費者行政に関わっていくかということを若い方が実際に実感できるような、そういうことになっていればいいなと思います。

そして、省庁間ですとか省内間、地方と国の壁を越えて、そして消費者と事業者の壁も越えて、どのようにコーディネートしていくのかということを今後、是非検討していただければと思います。

消費者行政の20年後ということで、申すまでもないと思うのですけれども、消費者庁の腕の見せ所ではないかと私は考えておりますので、是非今後、この報告書を基に消費者行政がますます充実するようにと、私も力を注いでいきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、大石委員、お願いします。

○大石委員 ありがとうございます。

今、受田委員、木村委員がおっしゃられましたことと重なるのですけれども、やはりこのすばらしい報告書が20年後を目指して作成され、今後、20年後のありたい姿に向け一つずつ進めていくためには、これからが大変重要だと思っております。4番、5番のところで書いてありますように、地方消費者行政、それから消費者団体ですとか地方の事業者さん、そういう様々な立場の人たちがお互いに協働しながら20年後を目指していく必要があります。そのためには、やはりこの報告書を作って、ただぽっと現場に投げただけではだめで、ここまで作成してこられた委員の皆様の思いを理解していただくのは、なかなか難しいと思います。私どもの団体NACSも全国組織で、地方それぞれの事情というものもあると思いますので、できるだけ多くの回数、学習会ですとか意見交換会を行わせていただいて、せっかく作成された報告書が、実際に機能していくように動いていければと思っております。そのなかで、もしかしたら、20年後に向けて途中で、これはこっちがいいかなとか、ここはもう一回見直そうということが出てくるかもしれない、と思うのですけれども、まずはその方向に向けて協働して動き出すということがとても大事だと思います。先ほど木村委員も消費者庁の腕の見せ所とおっしゃいましたけれども、どうやってこの報告書を生かしていくか、そこに地方の現場の消費者や事業者や地方消費者行政の意見を入れて、魂を入れていくかということが重要だなと思ってお話を聞いておりました。本当に報告書の作成、ありがとうございました。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

その他にいかがでしょうか。片山委員長代理お願いします。

○片山委員長代理 皆さんおっしゃいますように、本当に2040年を見据えて大変幅広くいろいろな観点から消費者行政を検討していただいたということで、いろいろな人に読んでいただいて、行動に生かしていただきたいなというふうに心から思う報告書を作成いただいたことに感謝を申し上げたいと思います。

私は、皆さんと共通するのですけれども、これを実現していく上で、やはり消費者自身が消費者市民社会の形成ということで、法制あるいは持続可能な社会の形成に消費者自身が積極的に参加するという意欲の持てる社会にしていくということがベースとして非常に重要ではないかなと思っています。

消費者が積極的に参画する上では、先ほどの託送料金のところでもありましたけれども、やはり世の中で何が起こっていて、市場にどういう問題があるのか、そのようなところを教育や啓発というレベルを超えて、消費者が自分ごととして認識できるような、そういう情報がしっかりと消費者に伝わっていくことを意識した社会になっていくというのがベースとしてとても大事ではないかなと感じています。

そういう意味で、この報告書は、そこも含めて非常に幅広く問題指摘をしていただいていますし、先ほど資料2-3で示された当委員会の意見の中にも、幅広い層がこの消費者行政の問題に関心を持って取組を推進し、参画していくということが書かれていますので、報告書の内容にも意見にも心から賛成したいと思います。

是非、消費者と一緒に議論をし、消費者を巻き込んでいろいろな行動を起こしていく、そのときの基本資料としてこの報告書が日本中で使われることを心から期待したいと思います。

以上です。ありがとうございました。

○山本委員長 ありがとうございます。

その他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

皆様から大変貴重な御発言をいただきまして、どうもありがとうございます。

私から一言だけ申し上げますと、先ほどの本委員会の意見の案、資料2-3に即して申し上げますと、2の部分に書かれておりますように、この専門調査会におきましては、2040年という人口減少及び高齢化率がピークを迎えるときを見据えてといいますか、それを前提にして、そこから、それでは何を今しておくべきかということを考えるバックキャスティングの考え方によって議論をしてまいりました。

先ほども御発言がありましたように、こういったことは今まで余り本格的にやってこなかったことです。しかし、2040年と申しますと、まだ随分先のことのようにも思えるのですけれども、やはり非常に状況が厳しくなるということですから、早いうちから準備をしておかないと間に合わないということで、それほど先のことであるからといって悠長にしていられないという状況がございます。

ただ、もちろんかなり先の話ですので、その後、いろいろ社会情勢の変化等はあるかと思います。例えばICT技術、AI技術の発展がどうなるかということは、すぐ先のことも予測ができないということがあります。

それから、地方公共団体によって事情が様々で、もう既にこういう状態に、人口が非常に減少して高齢化率も高くなっているというところもあれば、これからというところもあるということで、自治体によっても事情は様々ではないかと思います。

したがいまして、ここで何か決め打ちをして、必ずこうすべきだということを言っているわけではございませんけれども、しかし、この2040年という非常に厳しい状況を見据えて、今からまず、よく事情を共有していただいて、議論をしていただいて、そして、既に取組を始めておられるところもあるのですけれども、取り組んでいただくということが必要ではないかと思います。

最後の5のところに書かれておりますし、それから、これは各委員から共通して指摘をされたところなのですけれども、やはり幅広い層の方に読んでいただきたい。これは消費者行政に、あるいは地方消費者行政に直接関わっておられる方はもちろんですけれども、広く地方行政、あるいは国の行政一般について関心を持っておられる方。それから、幅広い層、そして、先ほど木村委員から若い世代の方に是非読んでいただきたいという御意見がございましたけれども、幅広い世代の方にこれは是非読んでいただいて、少なくとも議論をしていただきたいと考えております。

先ほど清水委員から、非常に苦しい立場であったという御意見がございまして、それは私も理解するところです。ここでは資源制約が非常に厳しくなるということを前提にして議論しているのですけれども、消費者行政に関しては、既にそこに資源が十分割かれていないという問題がありまして、言わばこの専門調査会では、消費者行政に資源が十分割かれていないことを前提にして、どのようにして資源を割いていただくかという議論をすると同時に、しかし、地方自治体全体が非常に厳しい資源制約のある状態になるということも見て議論しなくてはいけない。言わば2つの段階を一緒に議論しなくてはいけないということがございました。そこが非常に難しいところであり、また、非常に厳しい議論をせざるを得なかったということにつながったのではないかと思います。

その中で、しかし、オブザーバーの委員の方はもちろんですけれども、専門調査会の各委員の方、それから事務局、そして何より新川座長に非常に的確におまとめいただいて、本日、消費者委員会としての意見の取りまとめに至っているということでございます。これまでの皆様の御尽力に感謝を申し上げたいと考えております。

それでは、特に修正の意見はなかったということで、これでこの意見を送付させていただければと思いますけれども、よろしいでしょうか。

特に異議はないということですので、そのように進めさせていただきまして、本日付けで消費者委員会から意見として送付をしたいと思います。

改めてですけれども、新川座長におかれましては、報告書の取りまとめに御尽力いただきまして、どうもありがとうございました。 これにて、地方消費者行政専門調査会報告書及び意見案についての審議を終了いたします。


《4.閉会》

〇山本委員長 本日の議題ですけれども、以上です。

最後に、事務局より、今後の予定について説明をお願いいたします。

○太田参事官 事務局でございます。

次回の本会議につきましては、日程が決まり次第、委員会ホームページを通じてお知らせいたします。

以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)