第324回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2020年6月26日(金)13:00~14:40

場所

消費者委員会会議室・テレビ会議

出席者

  • 【委員】
    山本委員長、片山委員長代理、生駒委員、受田委員、大石委員、柄澤委員、木村委員、清水委員、新川委員、丸山委員
  • 【説明者】
    消費者庁内藤消費者政策課長
  • 【事務局】
    二之宮事務局長、金子参事官、友行企画官、事務局担当者

議事次第

  1. 開会
  2. 消費者基本計画工程表(案)について
  3. 「悪質なお試し商法」に関する意見(案)について
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1.開会》

○山本委員長 皆様、本日はお忙しいところ、テレビ会議システムでお集まりいただきありがとうございます。

本日の進行についてですけれども、途中で私の回線が切れた場合は、復旧するまでの間、委員長代理に、また委員長代理の回線も併せて切れた場合は事務局に進行をお願いいたします。

本日の委員会は第324回の本会議になります。

本日は、委員の全員が御出席となっております。

私は、本日所要がありますので、会議が15時を超える場合には退席をさせていただき、以後の進行を片山委員長代理にお願いしております。

まず、会議に先立ちまして、本日は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、私も含めまして御出席の委員はテレビ会議システムにより会議に参加しております。また、感染拡大防止の観点から、引き続き一般傍聴者は入れずに開催いたします。

議事録につきましては、後日消費者委員会のホームページに掲載いたしますが、議事録が掲載されるまでは、本日の会議の様子を6月29日月曜日の15時よりホームページで動画配信いたします。

それでは、配付資料の確認につきまして、事務局にお願いいたします。

○金子参事官 配付資料の説明でございます。議事次第下部にございます一覧のとおりでございます。消費者基本計画工程表に関するものが資料1-1から資料1-5まで、「悪質なお試し商法」に関する意見(案)に関するものが資料2となってございます。

テレビ会議ではございますけれども、もしお手元の資料に不足等ございましたら、事務局までお申し出いただきますようお願いいたします。

以上でございます。


《2.消費者基本計画工程表(案)について》

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、本日の最初の議題ですけれども、「消費者基本計画工程表(案)について」です。第4期消費者基本計画が昨年度末に策定されたことを受けまして、計画に基づいて、具体的な施策については年次計画であります工程表を定めることとされております。具体的には、工程表において基本計画対象期間中の取組内容及びKPI(重要業績評価指標)を明示し、国民の意見を反映させるための取組を進めるとともに、消費者委員会の意見を聴取した上で策定されるものとなります。

今回の消費者基本計画工程表の策定に当たりましては、5月13日の委員会におきまして、消費者庁より工程表(素案)についてヒアリングを行ったところです。このヒアリング結果やこれまでに消費者委員会が行った建議、提言、その他意見、新型コロナウイルス感染症への対応をはじめとする今般の事情等を踏まえまして、5月29日の委員会で工程表(素案)に対する消費者委員会の意見を発出しております。

その後、消費者庁及び関係省庁におかれまして、消費者委員会の意見やパブリックコメントの結果も含めて素案の修正作業を行い、工程表(案)を策定いたしました。この工程表(案)につきまして、今般資料1-1のとおり、内閣総理大臣を会長とする消費者政策会議より意見を求められておりますので、本日は工程表(案)の内容について聴取の上、消費者委員会としての意見を取りまとめたいと思います。

本日は、消費者庁の内藤消費者政策課長にお越しいただいております。お忙しいところ御出席いただきまして、ありがとうございます。

それでは、大変恐縮ですけれども、素案からの変更点を中心に20分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁内藤消費者政策課長 消費者庁でございます。よろしくお願いいたします。

それでは、第4期消費者基本計画工程表の案について御説明を申し上げます。

素案につきましては、5月の本会議で一度御説明をさせていただいてございますけれども、その後修正をいたしまして、6月18日の委員間打合せで一度、消費者委員会の皆様と意見交換をさせていただきました。それを踏まえて再修正をした案をお手元に用意してございます。最初に資料1-2に沿って、工程表(案)の概要について御説明させていただきたいと存じます。

1ページ目は、昨年度末、今年3月31日に閣議決定をいたしました消費者基本計画本体の構成でございます。本体自体は5つの章から成っております。真ん中やや下に赤枠で囲ってございますが、「第5章 重点的な施策の推進」の5本柱に沿って、今後具体的な施策を推進することになります。今般この基本計画に基づきまして、具体的施策の取組予定を工程表の案として取りまとめたところでございます。

2ページ目、工程表につきましてはまず素案を作成いたしまして、4月末から5月にかけてパブリックコメントを実施したところでございます。資料1-5にございますように、22の団体・事業者、それから個人4名から延べ600件の意見が寄せられたところでございます。この場を借りまして、御意見をいただいた皆様にお礼を申し上げたく存じます。

パブコメ結果、それから5月29日の消費者委員会からの意見を踏まえまして、対象期間令和6年度までの取組予定、数値目標(KPI)を明示した153の施策を5本柱に整理しております。

なお、施策の進捗状況に応じて工程表は毎年度改定を行うほか、新型コロナウイルス感染症拡大その他の緊急事態時には適時内容を見直すことにしてございます。

3ページ目から、5本柱の中身を順に御説明したく存じます。

1つ目は消費者被害の防止でございます。消費者被害を防止する観点から、いわゆる伝統的な消費者行政の取組をこの章に整理してございまして、全体のうちおよそ6から7割の施策がここに位置付けられております。(1)以下にございますような消費者事故の未然防止、拡大防止、再発防止といった取組の徹底、あるいはぜい弱な消費者の増加などに伴う新たな消費者トラブルの発生を踏まえて、厳格な法執行あるいは必要な制度見直しを推進することにしております。

また、消費者が商品・サービスを選択する際の基礎となる表示の適切さを確保するための景品表示法等の厳格な執行、また新たな食品表示制度の適切な運用、普及啓発を行うことにしております。具体的には次のページで、幾つか代表的な施策を御紹介申し上げます。

4ページ目の左側でございます。事故情報データベースの関係でございますけれども、消費者庁の発足後、製品、食品あるいはサービスといった事故情報を集約、一元化した事故情報データバンクを有効に活用いたしまして、事故情報の集約、公表を的確に実施するとともに、入力データの質の向上に取り組むこととしております。

4ページ右側でございますけれども、食の安全の関係でございます。食品表示を一元化した新たな食品表示制度にこの4月から完全移行しておりますが、これを踏まえまして、新しい制度の下での食物アレルギーの対象品目の見直しを検討するとともに、新しい制度についての事業者、消費者への周知・普及を図ることとしております。

5ページの左側が、悪質商法等に関する法執行の強化でございます。悪質商法に対しましては、特定商取引法、預託法に基づきまして厳正かつ適切な執行をするとともに、現在、有識者による「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会」におきまして、消費者のぜい弱性に付け込む悪質商法、いわゆる販売預託商法などに対する法執行の強化、迅速化のための仕組みなどについて議論をしております。夏までに一定の結論を得て、具体的な制度設計を実施することとしております。

右側でございます。認知症高齢者あるいは障害者等を見守るためのいわゆる見守りネットワークにつきまして、全都道府県での人口カバー率50パーセント以上を目指して地方公共団体の取組を支援してまいります。

6ページ目、2つ目の柱でございますが、こちらにはSDGs関係、消費者と事業者との連携に関する具体的施策を整理しております。食品ロスの削減に関する取組、エシカル消費や消費者志向経営に関する取組をここに位置付けております。

具体的には7ページ左側でございます。食品ロスの削減につきましては、3月に閣議決定した基本方針に基づきまして、関係省庁と連携して、食べきり促進あるいは3分の1ルールといった商慣習の見直しに取り組むとともに、地方公共団体における食品ロス削減推進計画の策定が進むように取組を進めてまいります。

右側は、公益通報者保護制度の関係でございます。改正公益通報者保護法につきましては、今月12日に公布をされたところでございます。改正法の施行に向けまして、内部通報体制整備義務に関する指針の策定等に取り組んでまいります。また、施行状況を勘案いたしまして、公益通報者に対する不利益な取扱いの是正に関する措置の在り方等を検討することとしております。

8ページ目の左側は、エシカル消費の関係でございます。人や社会、環境に配慮して消費者が自ら考え、賢い消費行動をする。いわゆるエシカル消費でございますけれども、消費者の意識を高めるための普及啓発を展開してまいります。

右側、消費者志向経営につきましては、「消費者志向経営の推進に関する有識者検討会」におきまして、客観的評価基準の見直しに着手しているところでございます。消費者の視点に立った消費者志向経営を自主宣言する事業者数を倍増させるよう取り組むこととしております。

9ページは3つ目の柱でございまして、デジタル化、国際化、そして新型コロナウイルス感染症拡大など新たな課題への対応をこちらに盛り込んでおります。

具体的には10ページ目の左側でございますが、デジタル・プラットフォームを介した取引につきましては、従来の商取引とは異なる特徴を有していることから、現在「デジタル・プラットフォーム企業が介在する消費者取引における環境整備等に関する検討会」におきまして議論を重ねているところでございます。夏頃を目途に一定の取りまとめを行う予定でございまして、その上で、消費者利益を確保する観点から、新たな法的枠組みに関する検討を進めることとしております。

右側でございます。越境消費者トラブルへの対応の強化でございます。ネットショッピングの際に海外の事業者とのトラブルが増加していることから、国民生活センターに設置されたCCJ、越境消費者センターにおいてトラブル解決を支援しておりまして、この機能強化に取り組んでまいります。

11ページ目、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえた緊急時における対応の強化につきましては、左下にございますような相談体制の強化、正確な情報発信、悪質商法への厳正な対応に取り組むこととしております。

また、大規模災害の発生や感染症の拡大など、従前には見られなかったリスクに迅速に対応するよう、必要な施策を推進してまいります。

12ページ目が4つ目の柱、消費者教育等の関係でございます。消費者に必要な知識を身につけていただくための取組でございまして、具体的には消費者教育として、消費者トラブルから自分の身を守る「だまされない消費者」や、持続可能な社会の実現に向けて「自ら考え行動する消費者」を育むための施策、これに加えまして、消費者政策に関する戦略的な普及啓発活動をここに位置付けてございます。

具体的には13ページでございますけれども、左側が成年年齢引下げを見据えた消費者教育の推進でございます。再来年、令和4年4月から民法の成年年齢が18歳に引下げとなることを踏まえまして、消費者教育教材である「社会への扉」などを活用した実践的な消費者教育を実施してまいります。

右側でございますが、新型コロナウイルス感染症に便乗した詐欺、悪徳商法や不確かな情報の発信・拡散の抑制、こうしたことに関する注意喚起を各種メディアに通じて実施しているところでございます。このような緊急時においてより効果的な普及啓発が可能となるよう、戦略的に取り組んでいくこととしてございます。

14ページ目、最後の柱でございますが、消費者行政を推進するための体制、行政インフラの整備についてでございます。消費者政策を着実に推進するために、情報・人材・財政・法令等の行政基盤を整備することとしており、地方消費者行政強化作戦2020に基づき、地方消費者行政の充実・強化、7月目途に徳島に設置する消費者庁新未来創造戦略本部の活用に取り組んでまいります。

具体的には次のページ左側でございます。全国の消費生活相談情報を収集・分析するPIO-NETのシステムを刷新いたしまして、チャットボットの活用などによりまして相談業務の効率化を図るとともに、電話よりもSNSに慣れた若者等へ対応するために、SNSを用いた消費生活相談の導入に向けた実証事業を実施してまいります。

右側でございます。今年7月を目途に徳島県に発足予定の消費者庁新未来創造戦略本部におきまして、モデルプロジェクトや消費者政策に関する研究を更に充実させるとともに、国際共同研究など国際関係業務を強化してまいります。こうした工程表の施策について、しっかり取り組んでまいります。

なお、資料1-3をお手元に御用意いただければと思います。資料1-3につきましては、5月29日の消費者委員会からいただいた御意見、そしてそれに対する修正等の対応一覧を比較表にいたしました。6月18日の委員間打合せでも意見交換をさせていただいておりますけれども、その際の議論も踏まえて再度見直しを行っております。見直しをした箇所を中心に御紹介させていただきたいと思います。

まず、1枚目でございます。「第1 全体的な事項」についての御意見で、1ポツのKPI、2ポツの今後の取組予定の年表については、パブリックコメントでも多くの御意見をいただきました。

右側に対応状況を書いておりますが、KPIにつきましては10を超える施策について見直しをいたしまして、理解度、認知度をKPIに追加しております。

2ポツ、今後の取組予定の年表につきましては、御指摘を踏まえまして、24の施策について、施策の取組期間を可能な限り区切るなど見直しを行いました。

3ポツ、SDGsにつきましては、2ポツに含まれる施策には全てSDGs関連目標を明記しております。それから、18日の委員間打合せを踏まえまして、最後の2行でございます。17の目標それぞれと工程表の該当施策の関係を表に整理し、本体の目次の直前ページに追記しております。

左側の機動的な見直しについての御意見につきましては、御指摘を踏まえて2行目「その他特別な変化が生じた場合」と再修正で追記しております。

2ページ目、新型コロナ関係の対応についての御意見をいただきましたが、いただいた御意見の一部が反映できていないところがございました。その部分についての消費者行政としての取組姿勢をこの表の中で明記いたしました。

具体的には「第3 個別的な事項」の少し上、下から3つ目でございますが、詐欺的事案・悪質商法への厳正な対応等々の部分でございます。こちらにつきましてはその右側を御覧いただきますと、新型コロナウイルス感染症に関連した表示も含めた不当表示によって引き起こされる消費者被害を防止する観点から、御指摘も踏まえつつ、今後も必要に応じて景品表示法等の執行や注意喚起等に取り組む旨を記載しております。

その下でございます。いわゆるキャンセル問題について、右側に消費者契約に関する検討会等において、御指摘も踏まえつつ検討してまいりますと記載しております。

3ページ目、個別事項につきましては、御指摘を踏まえ修正しております。6ポツの連携・協働、コンプライアンス向上の部分について、KPIの見直しについての御意見をいただいてございまして、こちらについては取組姿勢という形で明記をしております。

Ⅱにおいて、原則として消費者、事業者それぞれの取組を評価するKPIを設定しているということ。それから、いわゆる生物多様性の関係で、「今後生物多様性保全と消費者に関する適切なKPIの設定について検討する」といったことを追記しているところでございます。

6ポツの最後のパラグラフは、公益通報者保護制度のKPIの関係でございます。内部通報窓口に対する労働者の信頼度をKPIとすることという御意見をいただいております。問題意識は私どもも共有しており、コンプライアンス確保の推進に当たっては、御指摘のとおり労働者を内部通報窓口に対する信頼度の向上を目指すことが重要である旨を、施策の概要に加筆いたしました。

4ページ目をお開きください。個別指摘事項の8ポツ、環境保全に向けた消費者の役割でございます。こちらは御指摘を踏まえまして追記したところではございますが、18日の意見交換を踏まえまして、更に書き換えました。2行目の最後のところですが、「脱炭素社会づくりに貢献する製品への買換え・サービスの利用・ライフスタイルを」の後に、「消費者が積極的に選択することは、CO2排出削減に果たす役割が大きく、また事業者の取組を後押しすることにもつながる」と再修正・追記しております。

18日の委員間打合せを踏まえて再修正をした箇所は以上でございまして、全体を通じて消費者員会からいただいた御意見については、御指摘を踏まえておおむね反映をさせていただいたと認識してございます。

私からの説明は以上でございます。

○山本委員長 それでは、御質問、御意見のある方は御発言をお願いしたいと思います。

それでは、清水委員、お願いします。

○清水委員 ありがとうございます。

御説明ありがとうございました。

資料1-2の工程表の5ページ、悪質商法に対する法執行の強化というところで説明をいただきました。ありがとうございます。40ページでございます。隙間事案を見逃さないということで、強化していただくと書いてありますので、是非お願いします。もう既に検討がなされています販売預託商法については、全面禁止でということで相談の現場ではすごく期待をしています。今年度中にそういう方向性が出ることを相談員は長年待ち望んでいましたので、是非よろしくお願いします。

また、特商法につきましては、政府がこの非常事態宣言の前に、急がない買物は通信販売でと言いました。そこですかさず消費者庁の伊藤長官が、相談の現場で数多く行われているトラブルについて記者会見の中で注意喚起をしていただきました。

私たち消費生活センターは、全員出勤で窓口を守っております。その中で、コロナ禍で相談が多かったのはやはりインターネット通販でした。アフィリエイト、SNSの問題や悪質な広告に対してきちんと法規制ができるように期待しているところでございます。

もう一つは、消契法のところでございます。こちらは工程表の43ページになります。これもまたコロナ禍の特徴で、キャンセル問題が急増しました。残念ながら、法律で手だてがなく、あの手この手で消費者にアドバイスをしてきました。やはりこのコロナ禍で特に思ったことは、消契法の強化でございます。特に付け込み型勧誘というのは若年者から高齢者まで今なお非常に相談が増えています。消費生活センターで使える、実効性のある法規制・法改正を望んでおります。

また、キャンセルの問題に対しては、平均的損害という考え方も今回非常に相談があって、相談員の中でも事例検討しながら、どのように助言したらいいかということもやってきました。消費者が立証するというのは非常に難しいので、是非検討会の中で、現場が使える実効性のある法律にしていただきたいと思います。

最後に一つ、民法改正で2022年4月1日には成年年齢が引き下げられます。その中で、消契法の認知度50パーセントを目指すということですが、是非とも認知度を高めていただきたいと思います。今、相談の現場では特定商取引法、金融関連の法律全ての脱法行為と思わせる悪質商法がばっこしております。最後のとりでは消契法で、消費生活センターできちんとあっせんする手だてがほしいと思っております。

よろしくお願いします。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、新川委員、受田委員の順にお願いできますか。

新川委員、お願いします。

○新川委員 新川です。

工程表につきまして、充実した内容に整えていただいて感謝を申し上げますが、同時に、実現をされていかなければ意味がありませんので、是非取りまとめをされている消費者庁におかれましては、各府省の取組を適切にモニタリングされ、そして全体の進捗についてしっかりとお進めいただければと期待しております。

それに際しまして、幾つかお願いをしたい点がございます。

一つは、今後私たち消費者委員会としても進捗をしっかりと監視していかなければならないかとは思っておりますが、消費者庁での各府省との関わりの中で取りまとめられる情報が大変重要かと思っております。そこで1つ目は、そうした消費者政策に関わる進捗についての情報を本当に消費者庁としてもしっかりとお取りまとめいただき、そしてある意味では、論点や課題を整理していただきながら、私ども消費者委員会にもそうした情報を適切な時期に届けていただければと期待をしております。これが1点目でございます。

もう一つは、今回特に工程表の裏表紙のところで修正をいただいて感謝をしておりますけれども、このコロナもそうですけれども、こうした工程表の見直しにかかるような重要な変化が起こったときに、そうした特別な事情や見直しの必要性についてもできるだけ時間を置かず、消費者委員会にお伝えいただくことも重要ではないかと思っております。

そうした工程表の進捗、そしてそのモニタリングに関わるしっかりとした情報収集、提供をいただくことで、消費者委員会としても、この工程表の確認、検証、評価、監視を適切に行うことができるのではないかと考えておりますので、私どもの要望としてお伝えさせていただきたいと思いました。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、受田委員、お願いします。

○受田委員 ありがとうございます。

これまで消費者委員会からお願いをしておりましたいろいろな要望、またパブリックコメントで出てまいりました意見に対して、しっかりと反映をしていただいているかと思います。ありがとうございます。

その中で、1点だけコメントをさせていただきたいことがあります。今後の工程表を実質化していくという意味で、意見というふうに受け止めていただければと思います。

今回の工程表の中では、先ほど内藤課長から御説明をいただいた具体的例として、食品ロスの削減というのは一つの目玉施策であると考えております。これに関しては、恐らくKPI的に、2030年までに食品ロスを半分に削減しようというところが大きな目標になりまして、それを支えるKPI、またそれらを実施する各省庁が連携していくことがポイントになっていくわけでございます。

その内容に関しては、資料1-3の131ページから135ページにかけて工程表が書かれているところでございます。ページ数からいっても非常に力が入っていることが理解できるということと、先般発行されました消費者白書においても食品ロスに関しては相当なページ数を割いて取り上げているというところから見て、ここにいかに力を注いでいくかということも拝察できるわけでございます。

その観点からいったときに、2030年に向けて食品ロスを半減させるということが現状でどこまで実現しているかという、ある意味現状のモニタリングを精密にやっていく必要が非常にあるのではないかと思います。

また、関係省庁が多岐にわたっているということもあって、連携の実質化が鍵になっていくということもポイントになっていくことだと思います。

そういう意味で、工程表の毎年度のローリングは当然のことながら、KGIに向かっているかどうか、それが実現に向かって順調に推移しているかどうかという観点でのKPIのチェック、アクションも含めて、積極的に行っていただきたいと思います。

特にここにおいては各省庁の中で、白書においては例えば経産省がダイナミックプライシングの技術を使うことによって食品ロスの削減に至るという実例があるのですけれども、この工程表の中にはそういった経産省の施策が盛り込まれていないという点は若干残念かなと思っているところでございます。いずれにせよローリングをしっかりやっていただき、この工程表が実質化されることを、是非よろしくお願い申し上げます。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

まだいろいろ御発言がございますが、大体意見が多く、内藤課長から具体的にお答えいただく項目はそれほど多くないかと思いますので、続けて御発言をいただきたいと思います。

木村委員、お願いします。

○木村委員 木村です。いろいろとまとめていただいて、ありがとうございます。

かなりこちらの要望も取り入れていただいたということに大変感謝しております。

ただ、やはり私も1点、キャンセルの関係は大変問題が多いにもかかわらず、工程表には入れず消契法で御検討いただくということで、それを期待しております。今回コロナウイルスの関係でいろいろな問題が、これまで目をつむっていたというか表に出なかったものが出てきたように感じております。消費者にとって不利益な契約はまだまだございますので、消費者庁にはそういったものに対して特商法や関連法令の改正などを行っていただいて、執行の強化だけではなくて消費者行政の司令塔として、そもそも消費者がそういう被害に遭わない、未然防止として取り組んでいただきたいと思っております。

もう一点、デジタルに関してなのですけれども、コロナウイルスの件で、私どもは本当にいや応なくこうしてウェブ会議などのデジタルを使用せざるを得ないということになっております。消費者が安全・安心にデジタルを利用できるように、今回167ページに追記していただきましたように、デジタルは消費者教育ということが大変重要なことだと思うのですけれども、それにプラス、プラットフォーム事業者などとの両輪で、是非デジタルに対して消費者がきちんと利用できるようにしていただきたいと思います。

成年年齢の引下げも控えておりますし、私どもも努力していきますので、是非司令塔として、消費者庁には取り組んでいただきたいと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、片山委員長代理、お願いします。

○片山委員長代理 ありがとうございます。

工程表を、本当に丁寧に皆さんの意見を入れて作成していただいたことを感謝申し上げたいと思います。

1点だけ、今後の政策推進の中で意識していただければと思う点を申し上げたいと思います。それは、消費者と事業者との協働の具体的な在り方のイメージなのですが、資料1-3の3枚目の中ほどの6の右側に書かれているのは、事業者、消費者それぞれの取組を評価するKPIが設定されており、どうしても消費者は消費者で取組をし、事業者は事業者で取組をするという表現になっています。しかし、私は、協働するためには、消費者は事業者がどういう課題認識を持っていて、それを解消するためにどういう取組、努力をしているのかということを知る必要があるし、消費者が事業者の取組をどう評価しているのかということを事業者も知る必要がある。そのように、それぞれの取組をお互いが認識したり、評価したり、理解することによってお互いの行動変容が起こってくる。市場の実態や、事業者も努力しているが市場には様々な難しい課題があるのだということを消費者がきちんと認識して、商品選択や事業者選択をする、それがエシカル消費にもつながるでしょうし、食品ロスの削減にもつながっていく。そういう情報共有が協働の基本にあるのだと思っています。

その辺のところ、まだまだ市場の実情や事業者の取組などが消費者にはなかなか伝わっていないということを是非認識していただいて、消費者教育にもつながっていきますし、消費者啓発にもつながりますが、是非いろいろなことを消費者に、自分事として理解できるような表現で知らせていただきたいと思います。

そういう意味で、先ほども御発言がありましたが、今回の消費者白書の食品ロスの特集は大変突っ込んだ内容を分かりやすく記載されていたと思います。是非いろいろな面で、消費者に対する情報提供を工夫していただくようにお願いしたいと思います。

ありがとうございました。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、大石委員、お願いします。

○大石委員 ありがとうございます。NACSの大石です。

先生方からもありましたように、本当に丁寧に私どもの意見を入れていただいて、まとめていただきましてありがとうございました。先生方がおっしゃったことと重なる部分もありますので簡単に発言させていただきます。

まず1点、先ほど新川委員がおっしゃいましたように、今回この取りまとめた後がとても重要だと思っております。各省庁の進捗状況の確認をしながら、更にKPIについての見直しを毎年行っていくということが何より重要かなと思っています。これが第1点。

それから、先ほど片山先生がおっしゃられましたように、消費者と事業者の協働ということが今回の取りまとめのキーポイントになっていると思っておりまして、138ページの環境の保全に資する消費者と事業者との連携のところをしっかり書き入れていただいて、大変有り難く思っております。

今回コロナがあって、図らずも事業活動の停止で一時的には脱炭素の状態にはなりましたけれども、これでまた経済が復活し、今までと同じような経済活動になれば、この脱炭素というのは、またなかなか達成できないわけです。しかしそんな中で、ただ元に戻すのではなく、脱炭素に向けても一生懸命頑張っている事業者を消費者が応援する形で商品やサービスの選択をする、というところで協働していくことによって、はじめて共通の目標が達成できると思っておりますので、是非このまま進めていただければと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、柄澤委員、お願いします。

○柄澤委員 柄澤です。

まず私からも、非常に多様な意見を踏まえてこの工程表案をまとめていただいたことに対して御礼申し上げます。

私からは1点だけ。受田先生も言われましたけれども、意見書では効果的なKPIの設定をお願いいたしましたが、簡単でないということはよく理解しております。私ども経営において多くのKPIの設定が必要となります。このようなKPIでいいのかと、実効性が疑われるようなKPIも相当多く、自省を込めてコメントさせていただきますけれども、KPIが機能しない理由は、主に3つ考えられると思っております。

1つ目は、最終的なゴール、目的に到達するためのKPIとなっておらず、形式的に設定しているようなケース。例えば開催することがKPIとなっていて、本来の目的である消費者への制度の周知徹底などに直接結び付くものではないようなもの。

2つ目は、KPIの達成そのものが目的となってしまって、本来の目的が失われるようなケース。例えば苦情というのは企業にとって改善につなげることができる貴重な情報ですが、苦情の件数のみに着目して、苦情の分析なども行わなければ、仮に苦情件数が減っても改善に結び付いていかないというもの。

3つ目は、とりあえずアリバイ的にKPIを設定して、漠然と漫然と決めたKPI。取り組む人たちの達成に向けた意欲、執念がございませんので、取組の姿勢がどこか人ごとで、希薄なものになってしまうと思います。今回につきましては、時間的な制約もあって対応が難しかったところもあったと思いますが、将来に向けまして、効果的なKPIの策定の考え方やベストプラクティスのもととなる環境整備を、私どもも含めて知恵を絞って考えたいと思っております。

私からは以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、丸山委員からお願いできますでしょうか。

○丸山委員 ありがとうございます。

工程表では、消費者委員会の意見を取り入れていただいてありがとうございました。この点について、内容に異論があるわけではございません。

1点、お願いだけ述べさせていただければと思います。

コロナウイルスや震災などの環境変化におきましては、迅速な対応が重要となる場面が多発すると思います。キャンセル問題に関しては何人かの委員が既に言及しているところで、消費者契約法の検討会で検討はされるということでしたけれども、場合によっては迅速に、問題が多い業界に望ましい対応を働きかけるということが場面としては重要となることもあると思います。

昨今の状況から、通販の不当表示にとどまらずヤミ金のような問題も増えていると伺いますので、工程表を基にしながら、機動的な対応が必要な場面に関しましてはちゅうちょをせずに行動するということでお願いできればと思います。

私からは以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、生駒委員、お願いします。

○生駒委員 皆様おっしゃっているのですけれども、消費者委員会の皆の多様な意見を取り込んでいただいて、非常に丁寧にまとめていただいてありがとうございます。

私からは1つ希望と感想なのですが、今回の基本計画は、2つの大きな軸を掲げられておりまして、1つはSDGsの17項目が基本計画の各施策と全てひも付けられております。これは基本計画のビジョンの軸だと思うのです。それを実行していく上でのチェック機構としてKPIの軸も設けられました。ビジョンとチェック機構の2つの軸を基に、消費者庁で実現に向けてアクションを起こしていただける基本計画となっていると評価したいと思います。

ここにもう一つ希望としましては、時代の変化は激しいです。この激流と言いますか時代の変化を捉えて、ニーズに応じて進化させ続けていくことのできる基本計画であることを、既に盛り込まれてはおりますが、そういった軸も貫いていただくことを希望したいと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

内藤課長から何かございますでしょうか。意見に当たる部分が多かったので、それほど個別にということはないのかもしれません。

○消費者庁内藤消費者政策課長 消費者庁でございます。

順番にコメントさせていただきます。

清水委員からの御指摘を、およそ3点いただきました。いわゆる隙間事案、その他法執行、法整備にしっかり取り組むようにという御指摘をいただいていたかと思います。特商法の検討、消費者契約法の検討、現在それぞれ有識者会議で検討しております。今後、夏以降をめどに方向性も出てくるかと思いますので、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。

2点目、消費者契約法は今まとめて申し上げたとおりでございます。

3点目、成年年齢引下げの関係でございます。こちらにつきましても、成年年齢引下げに対する取組として、消費者契約法の見直し、相談体制の強化とともに、消費者教育という3本柱でこれまで取り組んでまいりました。特に現在、直接影響を受けるのが今の高1から高3の高校生でございますので、今年度、来年度にかけて集中的に「社会への扉」等を使った消費者教育にしっかり取り組んでまいります。

新川委員から、今後各省の取組についてのモニタリング及び情報収集の必要性、それについての消費者委員会への情報提供をしっかり行うようにという御指摘をいただきました。しっかりとリーダーシップを取って、施策を政府として進めてまいりたいと思っております。

新川委員、丸山委員、生駒委員から、いわゆる工程表の時期に応じた適切な見直しについてコメントをいただきました。今回、裏表紙のところで再修正をさせていただいた部分ではございますが、こちらについては御指摘を踏まえて、アンテナを高くしてしっかりと迅速に対応していきたいと思っております。

また、丸山委員からいただきましたように、工程表の内容にかかわらず、何か起きましたときは機動的な対応をしっかりと行っていきたいと考えております。

受田委員から、工程表の実質化についてのコメントをいただきました。主に食品ロスを例に出して御指摘をいただいたかと思っております。食品ロスにつきましては、食品ロス削減推進法に基づきまして、関係省庁の中で対策会議を法律に基づいて設置しております。対策会議の下でしっかりと連携して、取り組んでいきたいと思います。

先ほど見直しの話を申し上げましたけれども、前回の委員間打合せから本日までの間で、食品ロスの消費者庁の取組については若干取組を追記しました。そういう意味で、何か新しいことがあったらどんどん工程表に反映していくということを基本姿勢として頑張っていきたいと思っております。

木村委員から、キャンセルの関係でコメントをいただきました。工程表ではうまく反映できておらず大変恐縮ですが、資料1-3で追記いたしましたように、消費者契約法の見直しの検討会の中でしっかりと議論をさせていただきたいと思っております。

デジタル化の関係でも御指摘をいただきました。消費者が安全・安心にデジタル機器、サービスを利用できるように、今回はデジタル消費者教育の項目を1つ作成しましたが、ここに基づきましてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

片山委員から、協働の具体的なKPIのところについて御指摘をいただいております。こちらもうまく反映できておらず大変恐縮ですが、今回は事業者、消費者それぞれのサイドのKPIを設定するにとどまっておりますが、お互いのKPIなり取組をお互いが知ることによって行動変容が起きるというのは御指摘のとおりかと思っております。情報共有が協働の基本というところは私どもも思いは同じでございますので、この辺りもKPIの見直しについてしっかりと取り組んでいきたいと思います。

今回は説明を省略させていただきましたが、委員間打合せから本会議の間で、本日触れた箇所以外にもKPIは見直しております。そういう意味で、状況に応じてKPIは柔軟に見直すように対応をしていきたいと思っております。

大石委員から、新川委員と同様の御指摘をいただきました。取りまとめの後が大事という御指摘でございます。特に今回は事業者が消費者を応援することについて、一か所個別施策の中で追記をさせていただきましたけれども、今後もそういうところがあれば、しっかりと反映をさせていければと思っております。

柄澤委員から、効果的なKPIの設定とベストプラクティスについての御指摘がございました。KPIについては今後も適時適切に見直していきたいと思っております。

ベストプラクティスについては、好事例の横展開ということで、こちらも可能なものがあれば今後しっかりと取り組んでいきたいと思っているところでございます。食品ロスが正にベストプラクティスだと考えておりまして、食品ロスの取組をその他の協働の取組に横展開していくようなことが一つの好事例になればとは考えております。御指摘を踏まえてしっかりと対応していきたいと思います。

長くなりましたが、以上でございます。

○山本委員長 大変丁寧にお答えいただきまして、ありがとうございます。

全体として、既に消費者庁へのお礼と今後の要望につきましては、既に委員の方からそれぞれおっしゃっていただいておりますので、私から繰り返すことはいたしません。

今後、消費者委員会といたしましても、工程表に記載されている施策の実施状況等について、KPIを含めて引き続き監視を行い、新たな問題についても対応する、見直しをお願いする等のことをしていきたいと思っております。

その前提といたしまして、既に委員からも御指摘がございましたけれども、消費者庁のからこの工程表の実施状況について適宜御報告あるいは情報提供いただければと思います。

それでは、この消費者基本計画の工程表(案)につきまして、消費者委員会としての意見の案を配付いたします。これから皆様のテレビ会議システムの画面上に意見の案を表示いたしますので、御覧いただきたいと思います。

現在出ております委員会の意見の案ですけれども、「消費者基本計画工程表」の策定に係る消費者委員会の意見聴取についての意見ということで、令和2年6月26日付け消政策第492号をもって消費者委員会に意見を求めた「消費者基本計画」(令和2年3月31日閣議決定)に基づく工程表の策定案については、消費者基本法の趣旨に鑑み妥当であり、その旨回答するということでよろしいでしょうか。

それでは、異議がないということですので、皆様の御了解をいただいたということで、これを回答にいたしたいと思います。

消費者庁の内藤課長におかれましては、お忙しいところ審議に御協力をいただきまして、どうもありがとうございました。

○消費者庁内藤消費者政策課長 どうもありがとうございました。

(消費者庁退室)

《3.「悪質なお試し商法」に関する意見(案)について》

○山本委員長 それでは、次の議題に移ります。

次の議題は「『悪質なお試し商法』に関する意見(案)について」です。ここ数年急増している定期購入に係る消費者問題につきましては、PIO-NET上の定期購入に関する相談件数が平成28年4月から令和2年5月までの累計件数で11万件を超えておりまして、大変深刻な状況となっております。

また、消費者庁では、本年夏までの取りまとめを目指して、特定商取引法等の法制度の在り方を検討するための検討委員会を開催しており、消費者庁の検討委員会でも定期購入に係る消費者問題を取り扱っていただくことが時宜にかなうと考えられます。

このような状況を踏まえまして、消費者委員会では、本件問題につきまして集中的に短期間で調査、検討を行ってまいりました。具体的に申し上げますと、5月13日及び5月22日に委員間打合せを行い、6月5日に事業者団体から本件に係るヒアリングを行いました。6月12日にはヒアリングを踏まえた委員間打合せを行い、6月18日には消費者庁から本件に係る取組についてヒアリングを行いました。

本日は、このヒアリング結果や消費者委員会としての問題意識を踏まえまして、深刻な消費者被害が生じている「悪質なお試し商法」に関する消費者委員会の意見を取りまとめたいと思います。

本日は、資料として意見(案)を配付しておりますので、最初に事務局より説明をお願いいたします。

○友行企画官 友行でございます。

委員の皆様におかれましては、「『悪質なお試し商法』に関する意見(案)」につきまして、積極的に御議論いただきまして、誠にありがとうございます。

意見(案)につきまして、事務局担当者から御説明させていただきます。

○事務局担当者 それでは、「『悪質なお試し商法』に関する意見(案)」について、全体的な概要を説明させていただきます。

お手元の資料2を御覧ください。全体的な構成ですけれども、第1でまず意見発出の背景を記載いたしておりまして、第2で「悪質なお試し商法」の類型について言及し、これを前提として、第3で意見を述べる形になっております。

第3の意見といたしましては、早急に講ずべき事項とその他検討が必要な事項とで、時間軸の観点から2段階に分けております。

それでは、具体的な内容といたしまして、1ページ目の「第1 はじめに」におきましては本意見発出の背景が記載されております。先ほど山本委員長からも言及していただきましたとおり、通信販売でのお試し無料、初回無料等をうたった健康食品等の定期購入に関して、PIO-NET上の相談件数は平成28年4月からの累計件数で11万件を超え、令和元年度だけで約5万件に及び、いまだ毎月数千件単位で推移しています。

本件問題に関しまして、国民生活センターも3度、注意喚起を行い、消費者庁においても昨年末から今年初めにかけて3件行政処分を行ったところでございます。

ここで末尾に添付しております別紙を御覧いただきまして、グラフですけれども、相談件数の月別件数をグラフで表しております。吹き出しで示しております国民生活センターの注意喚起や、平成28年の特商法改正、ここで定期購入に関する広告表示義務が追加されたわけですけれども、その後も、いまだ増え続けていることが分かります。消費者委員会としてもこのような状況を看過できず、今般、本意見を発出するに至ったということでございます。

次に、2ページ目の「第2 問題意識」でございます。まず、1ポツにおきまして、問題視している「悪質なお試し商法」の類型3つを挙げております。

(1)につきましては、お試し価格を誇張して1回限りの販売と見せかけて、実際は複数回の購入が条件となっている等の回数縛り型。

(2)は、回数縛りはないけれども、中途解約した場合には初回がお試し価格ではなく通常価格に戻る等の違約金型。

(3)は、電話で解約しようとしてもつながらない等の解約困難型です。

これらの類型における問題の所在といたしましては、2ポツ、(1)お試し価格を他の契約条件よりも誇張する等の表示の問題、(2)契約内容自体の問題、(3)解約手続に係る問題、(4)表示の問題等を前提といたしまして、お試し価格のみ支払えばよいと誤認させる等の、消費者に誤認させるという問題が挙げられます。これらの問題は相互に関わっている場合もございます。

以上の問題意識を踏まえまして、4ページ目の「第3 意見」において、まず1ポツ、消費者庁におかれまして早急に講じていただきたい事項を挙げております。

その1つ目といたしまして、(1)ガイドラインの見直しでございます。具体的には、特商法第14条第1項第2号に関する「インターネット通販における『意に反して契約の申込みをさせようとする行為』に係るガイドライン」でして、これはインターネット通販における申込みの最終確認画面等を規律するガイドラインですけれども、その見直しの一例として、アのところで、購入者が申込みの最終確認画面で消費者の重要な考慮要素となる契約条件の全てを明瞭に判読し、適切に理解できるような表示とすること等を挙げました。

例えばマル1からマル3にございますとおり、フォントのサイズ等をお試し価格の表示と同等または目立つようにすること、スクロールや切替えをせずに同一画面内で表示するようにすること、お試し価格等と近接して他の契約条件を表示すること等を確認的に追記するということで挙げております。

また、5ページ目のイで、画面例を示す場合には、実際の悪質事業者の画面を参考にしながら具体的な例も示すことを一例として挙げております。

次に、早急に講ずべき事項の2つ目といたしまして、(2)執行の強化及び高度化でございます。執行の強化につきましては、それを達成するために、例えば先ほどの最終確認画面のガイドラインだけではなくて、特商法第11条の広告表示義務や第12条の誇大広告等の禁止に関しましてもガイドライン等の整備を検討していくということが考えられると言及しております。

また、執行の高度化につきましては、ICTやAIの積極的な活用、健全な事業者団体等との連携の強化等により高度化する体制を整備することについても触れております。

次に、早急に講ずべき事項の3つ目として、(3)消費者に対する情報提供及び注意喚起でございます。例えば、消費者が実際の状況を体感し、自分事として受け止めることができるような形式等で注意喚起を行うこと等を挙げております。

また、SNS上の広告やアフィリエイト広告を介して悪質事業者の販売サイトに遷移したという相談事例があることもございますので、それを示すことについても触れております。

最後の6ページ目の2ポツ、その他検討が必要な事項といたしましては、(1)少額多数被害に係る実効的な救済の仕組み、(2)インターネット取引における消費者の利益保護を実現するための民事法上の効果の在り方、(3)アフィリエイト広告に係る責任の主体や内容の在り方について言及しております。

この「悪質なお試し商法」に係る論点は多岐にわたっておりまして、これらはインターネット取引全般に及ぶ事項も含まれているため、早急に講ずべき事項とは別に、今後注視すべき事項として挙げたということでございます。

以上が事務局からの説明となります。

○山本委員長 ありがとうございます。

ただいま事務局から御説明をいただいたのですけれども、私からも一言、全体的なことについて申し上げたいと思います。

今回の意見(案)は非常に多数の被害が生じているという現状に早急に対応する必要があるということ。それから、現在消費者庁で特商法の見直しに関する検討会が開催されており、この検討会に対しまして消費者委員会として意見を述べて、問題提起をしたいということがありまして、かなり短期間のうちに、緊急に取りまとめたといったもので、今回の意見におきましても、具体的に意見として示しているものは、すぐに手をつけることが可能なものを取り上げております。

そして、更に時間をかけて検討することが必要となる事柄につきましては、注や最後のページのその他検討が必要な事項ということで、言わば問題を示すというところにとどめております。

すぐに手がつけられそうなところといたしまして、意見(案)の4ページにガイドラインの見直しがございます。これは特商法第14条の適用に関する現在のガイドラインに見直しを加えればそこで対応できるということで、これについて具体的な提案をしております。

それに対しまして、同じ4ページの注8におきまして、第14条の今のガイドラインの見直しという部分は契約を締結する場面において、言わば慎重に契約を結んでいただくための規律なのですけれども、もう一つ問題といたしましては、お試しという表示自体が認められるのか、許されるのかという問題があり、そしてこれについて対応しようといたしますと、恐らく4ページの注8にある特商法第11条あるいは第12条で対応することになるだろうと思います。

ただ、その場合には、現在の特商法の施行規則を変える必要が出てくる可能性がある。あるいは、ガイドラインをそもそもつくり始めなくてはいけないといったことがありまして、先ほどの現在あるガイドラインを見直すということに比べますと、もう少し手数がかかる事柄になります。それで今回はこれを注にしているということです。

そして、更にその他検討が必要な事項というところで挙がっておりますのは、特商法自体の改正を必要とする可能性がある。更に言えば特商法の枠を超えて、インターネット取引全般について現在の法制度の在り方等を見直さなくてはいけなくなる可能性がある事柄ということで、先ほどのガイドライン等による対応よりも更に問題が難しくなると言いますか、対応するためにはかなりの準備を要する事柄ということになります。そのために、ここではその他検討が必要な事項という形に挙げております。

このように、この問題は非常に多岐にわたっているというか、一見単純な問題のように見えてかなり深い問題までつながっているということがございまして、今回は意見としてはまず対応が可能ではないかと思われるところを中心に示している。しかし、更に根本的な議論が必要となると考えられる部分については、このようなテーマがあるということを示し、そして今後、消費者庁で特商法の在り方に関する検討会で検討が進んでいくと思われますので、その検討会の状況も見ながら、消費者委員会として更に検討を深めていく、議論を深めていくということをしていきたい。こういう趣旨で今回の全体の意見(案)を構成しております。

それでは、委員の皆様から御意見をいただきたいと思いますけれども、まず清水委員、お願いします。

○清水委員 ありがとうございます。

今、意見書の説明と委員長の説明は、全国の消費生活相談員、また被害に遭った消費者の気持ちの総意の表れだと思っております。本当にありがとうございます。

その中で、件数だけではなくて中身を見ていただきたいと思うのですが、どのようにこの2年間、この悪質な定期購入に消費生活センターがハイジャックされていたかということを御紹介したいと思います。特に私がいる消費生活センターでは、同じ会社の相談を同時間に3件ぐらい聞いていたり、また、あっせんと言いまして事業者に電話で交渉をするときに、他の相談員が同じ案件があるから、電話を代わってくれみたいなことが起こっていた2年間でございます。

特に相談者は、SNSで入り口からすぐ契約できたのに、なぜ解約できないのか、電話をすると、朝昼晩かけてもつながらない、こういう相談のときに、まず消費生活センターは何をアドバイスするかというと、電話をかけるのは月曜日の朝一番はやめましょう、火、水、木、中日の例えば11時頃もしくは2時から4時頃はかかりやすい、これは実際に相談員が何回も試していますので、実際かかった時間帯を助言しております。また、5分ぐらいコールし続けないとかからないということも伝えておりますが、5分後にかかったらいきなり切れてしまうという事業者もいるという大変な思いをしております。

そして、相談者がどうしても連絡がつかない、メールをしても返事がない、メールをしたら、解約は電話のみで全く相談ができないと、2回、3回と同じ人から相談があります。

そのときに、私たちはいろいろな手続を経て、事業者に電話をしてあっせんするのですが、これまた同じことが起きまして、全国の消費生活相談員が、窓口の担当者が少ない悪質な事業者に電話をすると、全くかからないです。やっとの思いでかかると、何を言われるかというと、全てホームページに書いてある、いや、書いていないではないですか、特にスマホでいきなりクリックすると大事なところは飛んでしまいますよねと言っても、うちの顧問弁護士に確認して、しっかりガイドラインは守っていると言われます。全くあっせんができないという現状が2年間続いておりました。

そんな中で、この相談で幅広い問題点を私たちは思っています。特に相談者はほとんどの方が、インターネット通販ではクーリング・オフ制度がないということを知らなかったです。ほとんどの方は規約を見ていない状態だということも分かりました。後からじゃんけんのように表示で出てきます。契約したときに総額表示だとか定期購入であるということが同じフォント、字の大きさで書かれていたら、こんなに2年間同じ相談が繰り返されなかったと思いますので、この意見書を出すということは特別な思いです。

ありがとうございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

今、清水委員から御指摘のありましたクーリング・オフや契約の民事効の話につきましては、その他検討が必要な事項ということで、これは法改正を要することになってくるかと思いますので、今回は更に検討を要するテーマとして挙げております。

それでは、丸山委員、お願いします。

○丸山委員 ありがとうございます。

意見(案)については異論がないところでございます。

既に委員長からも発言がございましたように、まずは早急に講ずべき事項としまして、「ア」にあるような提言がされていると理解しております。

御指摘がありましたように、お試しという表現とかけ離れた一定の負担があるにもかかわらず、お試しという表現を使っている事業者も多いところでございますので、実際に実効的な規制というのは何なのかというのは、意見(案)の注記の部分やその他検討が必要な事項で指摘しているところでございますので、消費者委員会において議論を深めるのはもちろん、消費者庁の検討会においても幅広の議論をしていただけるよう働きかけていくことも必要なのかなと思っております。

あとは、その他の検討が必要な事項のところに、民事効の在り方について今後検討していくということも指摘されているところでございますけれども、恐らく現在問題が生じている事案の中でも、画面とかを見ていくと、現在の民法の契約不成立や錯誤とかで対応はできるけれども、解釈の必要性がある法律というところでいろいろ争いとなっているということも多いと思いますので、現在でも対応できる事案はあるけれども、対応を明確化する、実効性があるものとするという点からの検討が必要だと理解しておりますので、そういった形で、意見(案)自体については賛成しております。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

民法の一般的な規定によって対応できる部分もあるのではないかという御指摘で、それはそのとおりであると思います。

新川委員、お願いします。

○新川委員 新川です。ありがとうございます。

もう各委員から御指摘があった点と重なる、あるいはその延長上の議論ですけれども、恐らく今回消費者庁で検討が予定されております特商法を中心にした議論では、この問題はなかなか解決に結び付けるというのも大変かなと思っているところがあります。類似の今後の問題発生を予防するという観点からは、景表法との関わりや医薬品・医療機器に関する法律、薬機法であるとか、関連する諸方との関わりも検討していく必要があるのではないか。

単にインターネット取引というよりは、食品衛生等々も含めた、むしろこうしたお試し商法型の悪徳商法を生まないような表示、あるいは広告規制ということを考えていかないといけない段階かなと思っております。

もちろん消費者庁としてもこうした観点からの検討を今後望みたいということもございますが、消費者委員会としても、今後幅広にこうした議論を喚起していく必要があるのではないかと思っておりましたので、蛇足ながら付け加えさせていただきました。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

消費者委員会におきましても、今、御指摘の景表法あるいは薬機法との関係につきましても議論をしておりまして、先ほどの注8にあります特商法の第11条、第12条の広告規制の辺りの話と今の御指摘は関わっているのではないかと思います。

木村委員、お願いします。

○木村委員 木村です。

私も、こういった被害は是非撲滅したいという思いでいっぱいでございます。

資料でこれだけ件数がある、消費生活センターに相談している件数だけでこれだけあるわけで、実は被害に遭った消費者はこの後ろにもっとたくさんいらっしゃるということを是非考えていかなければいけないと思っています。被害に遭った消費者がセンターに相談するというのは大変な気持ちの負担がありますので、本当に泣き寝入りしている方がどれだけいらっしゃるのだろうと思うとなんとかしなくてはという思いなのですけれども、そういった被害者を出さないためにも、そもそも消費者が誤認しないような未然防止対策が必要と考えております。

消費者庁には執行の強化とともに、消費者が泣き寝入りをしないように対応していただけるようにと思っております。新しい生活のもとで通販の利用が増加している中、是非迅速な対応をお願いしたいと思います。

よろしくお願いいたします。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、大石委員、お願いします。

○大石委員 ありがとうございます。

今回のお試し商法ですけれども、これまで話題になっていた販売預託商法などとは違って、きちんとガイドラインを守って真面目に商売をやっていらっしゃる事業者さんがいることは忘れてはならないと思います。一方、同じガイドラインを見ても、それを悪用している事業者もいて、大きな問題を起こしていると思います。そういう意味では、消費者庁としては、これまでガイドラインをつくって、消費者に誤認を与えないように事業者に指導をしていただいていたと思うのですが、違反事業者をしっかり問題にできるくらいのガイドラインの改正か法整備が必要だと思っております。現状の消費者被害はなるべく早急に防ぐこと、これは言うまでもないことですが、加えて、これまできちんと事業を行ってきた事業者がちゃんと守られるような進め方をしていただければ有り難いなと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

今、言われた点は一つポイントになる部分で、今回の意見(案)の5ページの(2)執行の強化及び高度化という部分で、健全な事業者団体等と連携を強化して、「悪質なお試し商法」を撲滅していくということとしております。

こういった健全な事業者団体との連携の重要性もここで指摘しているところです。

それでは、生駒委員、お願いします。

○生駒委員 今こうしている間にも、刻一刻と被害に遭われている方がいらっしゃると思うと、本当にこの意見書、提案は重要なものだと思うのです。ガイドラインの見直しもとても重要であると思いつつ、インターネット通販にクーリング・オフ制度が適用されないということが今後改善できないのかなと感じております。

そう申しますのも、これだけポストコロナの状況の中で、インターネットでの通販が増えることはあっても減ることはないと思うのです。そのときにぽちっと押してしまったタイミングの後に、違約金型や解約困難型という状況に直面してしまう。本当に困っていらっしゃる方は多いと思うのです。

インターネットで通販として契約したにもかかわらず、電話によって解約手続をせざるを得ないというのは非常に矛盾した状況だと思うのです。やはりインターネットでも解約の希望を伝えられるような、そういったことを義務付けるではないですけれども、このような通販においては、電話でもいいけれどもインターネットでも解約手続できるということが、両方の可能性も持たせることができないのかなと思うのです。まずは取っかかりとして非常に重要な提案をされて、今、困っていらっしゃる消費者にとっては重要なことなのですけれども、敵はさる者ではないのですが、どんどん新しい手法で、新しい形で消費者にとって不利益をもたらすようなことが提案されてくると思いますので、是非このままこの形で、問題意識も見直しも深化させていっていただきたいと思います。とりわけ私はこのキャンセルに関して、解約をする手続に関して、消費者がもう少し守られるようなガイドラインが提示できればと希望しております。

○山本委員長 ありがとうございます。

そのほかにいかがでしょうか。

片山委員長代理、お願いします。

○片山委員長代理 私も皆さんと同じで、早くこの意見書を発出して、いろいろなところでいろいろな人にこの問題を考えていただきたいと思います。もちろん消費者庁の検討会でも我々の問題意識を取り入れて、幅広に考えていただきたいと強く思います。

その他検討が必要な事項のところで、改めてこの被害事案で私が考えさせられたのは、こういう悪質商法の場合の少額多数被害について、本当に実効的に救済する仕組みがどういうものなのかというのは大変難しい、重い課題だなと改めて感じました。

清水さんのお話にあったように、困って消費生活センターに相談に行かれる方がいるけれども、なかなかあっせんも難しくて、では次に何か法的な手続に踏み込めるかというと、なかなかそうもいかない。そういう消費者の被害を本当に救済しないと、同じようなことが何度も繰り返される。形を変えて繰り返されていくということは変わらないと思います。今回の「悪質なお試し商法」の問題を検討したのを契機として、こうした問題の実効的な救済の仕組みというのを考えていきたいと思います。

ほかのところでどういう検討がなされるかということも見ながらということにはなるかと思いますけれども、非常に重要な問題だと考えているということをお伝えしたいと思います。

ありがとうございました。

○山本委員長 ありがとうございます。

清水委員、お願いします。

○清水委員 ありがとうございます。

また相談現場の現状なのですが、はっきりしたことが言えます。特商法に基づくJADMA、日本通信販売協会というのがあるのですが、私たちはJADMAマークを見て物を選んでくださいというアドバイスもしています。

今回、悪質な定期購入の相談者はほとんどJADMAマークというのは何ですかということで、知らない方が多くて、私たち、相談は1件の啓発だと思っていますので、今後のインターネット通販を健全に使っていただくためには、事業団体のJADMAのホームページも見ていただくような案内も現場でしております。

JADMAの会員も定期購入をやっていますが、圧倒的に違うのは、まず発送の2から3日前でも電話がつながり、電話でキャンセルができます。片やほぼ私たちは50社ぐらいあるかなと思っている悪質な定期購入業者、特に件数でいうとベスト10ぐらいのところは全て発送したものは返品を受けません。

今回、中学生、高校生も脱毛クリームやダイエットサプリの定期購入をワンクリックで買っていました。未成年者契約の取消しにもかかわらず、相談者が解約交渉をすると発送したものは全部払えと言われたケースもあります。

5回縛りがあったとしても、30日保証するみたいなことを言ってきて、未成年者取消しにもかかわらず、発送したもの2回分の正規の料金を払えというものもありました。いかに健全な事業者と悪質な事業者は全く違います。この2年間、このような悪質業者に私たち消費生活センターが相談件数で振り回されたかと思うと残念です。今こういった意見書が出て、収束に向かうということは、本当に願っているところでございます。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

更にそのほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

ただいま幾つか、それぞれ御意見を言っていただきまして、先ほど申し上げたことの繰り返しになるところがございますけれども、今回は契約を結ぶという場面の規律を考える。そこについて具体的な案を示すということだったわけです。しかし、注8に書きましたように、その前にお試しという表示自体をどうするのかという問題があり、更に最後のその他検討が必要な事項というところに書きましたように、契約を結んでしまった場合に、どのような救済が考えられるのかという契約締結後の問題というのがあり、更にはアフィリエイト広告の問題などがそうですけれども、インターネットを使った取引そのものをどのように規律していくのかという問題があるということで、4つぐらいの局面の問題がありまして、それぞれ今後更に検討を深めていかなくてはいけない問題なのではないかと思いますので、消費者委員会としても、消費者庁の検討の状況も見ながら、更に議論を深めていければと思います。

それでは、特にこれ以上の御発言がないということでしたら、意見(案)につきましては皆様の御了解をいただいたものと思いますので、これをもって消費者委員会の意見といたしまして、消費者庁長官宛てに送付したいと思います。よろしいでしょうか。

ありがとうございます。異議ありませんということです。

消費者庁におかれましては、これまで特商法に基づく執行や消費者に対する注意喚起等の措置を行ってきていただいておりますけれども、この「悪質なお試し商法」に関する消費者問題がいまだ多発しておりまして、多数の被害が生じているということに鑑みまして、本意見の趣旨を踏まえて検討を行い、必要な措置を講じていただければと思いますし、繰り返しになりますけれども、消費者委員会としても今後の状況を見ながら、必要に応じて更に調査審議を行うことにしたいと思います。


《4.閉会》

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、本日の議題は以上となります。

最後に事務局より、今後の予定について説明をお願いいたします。

○金子参事官 次回の日程でございますけれども、決まりましたところで委員会ウェブサイトを通じてお知らせをいたします。

以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)