第322回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2020年5月29日(金)10:25~12:10

場所

消費者委員会会議室・テレビ会議

出席者

  • 【委員】
    山本委員長、片山委員長代理、生駒委員、受田委員、大石委員、柄澤委員、木村委員、清水委員、新川委員
  • 【説明者】
    消費者庁西川表示対策課長
    経済産業省製造産業局生活製品課亀山企画官
    一般社団法人浄水器協会小林技術委員会委員長
    一般社団法人浄水器協会田中規格委員会委員長
  • 【事務局】
    二之宮事務局長、金子参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 家庭用品品質表示法の告示改正について
  3. 消費者基本計画工程表素案に対する意見について
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1.開会》

○山本委員長 皆様、本日はお忙しいところ、テレビ会議システムでお集まりいただきありがとうございます。

本日の進行ですけれども、途中で私の回線が切れた場合は、復旧するまでの間、委員長代理に、それから、委員長代理の回線も併せて切れた場合は事務局に進行をお願いいたします。

それでは、ただいまから消費者委員会第322回本会議を開催いたします。

本日は、丸山委員が御欠席です。

まず会議に先立ちまして、本日は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、私も含めまして御出席の委員はテレビ会議システムにより会議に参加しております。また、感染拡大防止の観点から、引き続き一般傍聴者は入れずに開催いたします。

議事録につきましては、後日消費者委員会のホームページに掲載いたします。議事録が掲載されるまでは、本日の会議の様子を6月1日月曜日の15時からホームページで動画配信いたします。

それでは、配付資料の確認につきまして、事務局よりお願いいたします。

○金子参事官 議事次第下部に一覧を記載してございますけれども、資料1-1から資料1-4-2までが家庭用品品質表示法の告示改正についてのもの、資料2が消費者基本計画工程表素案に対する意見のものになってございます。

テレビ会議ではございますけれども、もしお手元の資料に不足等がございましたら、事務局までお申し出くださいますようにお願いいたします。

以上でございます。


《2.家庭用品品質表示法の告示改正について》

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、本日の最初の議題ですけれども、「家庭用品品質表示法の告示改正について」です。家庭用品品質表示法は、家庭用品の品質に関する表示の適正化を図り、一般消費者の利益を保護することを目的とし、その対象となる家庭用品を指定し、品質に関する事項を表示の標準として規定しています。また、表示の標準となる事項を制定、変更等しようとするときは、同法第11条に基づきまして消費者委員会に諮問することとなっております。

本件につきましては、資料1-3-1及び資料1-3-2のとおり、経済産業大臣から内閣総理大臣に対して同法の第3条第4項及び第5項の規定に基づく要請があり、それを受けて、資料1-1のとおり本年5月21日に同法第11条の規定に基づき内閣総理大臣から消費者委員会に対して諮問があったところです。

本日は、この諮問事項について消費者庁及び経済産業省、一般社団法人浄水器協会からヒアリングを行い、審議を行った上で委員会としての判断を示すこととしたいと思います。

本日は、消費者庁西川表示対策課長、浄水器協会小林技術委員会委員長、同協会田中規格委員会委員長、質疑対応といたしまして、経済産業省製造産業局生活製品課亀山企画官にお越しいただいております。

消費者庁、経済産業省、浄水器協会の関係者の方におかれましては、お忙しいところ、御出席いただきまして誠にありがとうございます。

それでは、告示案の概要につきまして、20分程度で説明をお願いいたします。

○消費者庁西川表示対策課長 それでは、説明をさせていただきます。

消費者庁表示対策課で課長をしております西川と申します。

本日は、お忙しいところ、ありがとうございます。

本日は、浄水器のJIS、日本産業規格の改正に伴う家庭用品品質表示法に基づいて定めております雑貨工業品品質表示規程の改正についての審議をお願いするということになっております。

説明の順番ですが、まず消費者庁から今般の改正に関する概要を説明させていただきまして、その後、一般社団法人浄水器協会からも説明をさせていただければと思います。

それでは、資料1-2「家庭用品品質表示法 雑貨工業品品質表示規程(浄水器)の一部を改正する消費者庁告示案について(概要)」を御覧ください。これの1ポツと2ポツのところについてまず御説明いたします。

家庭用品品質表示法においては、表示を義務付ける品目を具体的に施行令ないし施行規則において指定しておりまして、その中で浄水器が指定されております。これらの品目についての表示の標準については、法律の3条1項の規定に基づきまして、4つの告示で定めております。その4つと申しますのが、繊維製品、合成樹脂加工品、電気機械器具、雑貨工業品のグループの4つごとに告示を作っているわけでございます。

浄水器は、この中の雑貨工業品品質表示規程のグループに入っております。この告示の中で、浄水器の具体的な表示事項、表示の標準を定めているわけなのですけれども、そのほとんどが浄水器に係るJISに基づいた試験内容の結果を表示するという建て付けになっております。

こうした中で、浄水器に係るJISが昨年10月に改正されたところでございます。したがいまして、浄水器に係るJISの改正に対応する告示の内容の改正を行ってほしいという要請を経済産業省からいただきまして、今日諮問させていただくものでございます。

次に「3ポツ改正内容」でございます。詳細については後ほど浄水器協会からも御説明をさせていただければと思います。

告示では浄水器が物質を除去できる能力、浄水能力を表示するということになっております。これらについては、JISで定めております浄水器の浄水能力を試験するための測定手法というものがありまして、その手法に基づいた結果を表示するということになっております。

今般、JISにおきましてこの浄水能力の試験方法が改正されたということがございまして、これに伴って家表法の告示の関連する規定の改正も必要になったというところでございます。

具体的には、このページの一番下の(2)でございますけれども、まずマル1として、除去対象物質の内容を変更させていただきたいと考えているところでございます。具体的に申しますと、1.1.1-トリクロロエタンについては既にこの物質が流通しておりませんで、浄水試験をすることが難しいということに鑑みまして、JISでは浄水能力としての試験を行わないことになりました。これを踏まえまして、この表示の標準となるべき事項からも除外させていただきたいと考えているところでございます。

次のページに移りまして、マル2でございます。浄水器は、使用を続けていく中でろ材が目詰まりを起こしまして、ろ過流量や除去率といった能力が低下していくという性質がございます。この能力低下がどの程度のろ過で生じるかという目安になる総ろ過水量というものの試験方法が定められておりまして、その結果を表示することになっております。

今般は、このうち濁りに関する試験の結果について全ての浄水器に表示させることにしたいと考えております。

次に、マル3でございます。JISでは、浄水器のうちポンプを有するものにつきまして、ポンプが作動するために必要な作動水圧の試験方法が定められているところでございます。この試験結果を表示させることにしたいと考えているところでございます。

更にマル4でございます。浄水器の種類の中で、回分式浄水器というものがございます。ポットにくみ置いておくようなタイプを御想像いただければと思います。こちらの浄水器については、実際にろ過水として使用できる容量、ろ過水容量のJISの試験方法が定められているところでございます。この試験による結果を、今般新たに表示の標準とさせていただければと考えているところでございます。

最後のページでございますけれども、「4ポツ今後の予定」でございます。消費者委員会に今回諮問させていただいて、答申を頂戴しましたら、その改正内容を経済産業大臣に協議するといった家庭用品品質表示法に基づいた手続を行うことになります。パブリックコメントなどそのほか所要の手続もございますけれども、それらを経て、本年10月に改正告示の公布、施行を予定しているところでございます。その際には、事業者に対する周知あるいは準備のための経過措置を設けたいと考えているところでございまして、具体的には、施行後1年間に表示が行われるものについては従前の例によることができるという経過措置規定を設ける予定でございます。

全体の概要につきまして、私からの説明は以上でございます。

○山本委員長 浄水器協会から、何か更にあるのでしょうか。御説明はこれで全て終了ということでよろしいのですか。

○消費者庁西川表示対策課長 浄水器協会からもございます。

○山本委員長 では、浄水器協会からお願いできますか。

○一般社団法人浄水器協会小林技術委員会委員長 浄水器協会で技術を担当しております小林と申します。

それでは、浄水器について説明をさせていただきますので、皆さんにお配りしているものですと、資料1-4-1及び資料1-4-2を御覧いただきたいと思います。

まず、先ほどもお話がございましたが、浄水器のJIS規格、JIS S 3201というものが昨年10月に改正しております。その改正の内容なのですけれども、1.1.1-トリクロロエタンという物質がモントリオール議定書で温暖化対策ということで製造禁止になっております。そのため、入手ができなくなっているということ。それから、水道の中に含まれている量がどうかということでも、平成27年、28年、29年しかデータはないのですが、27年には1件検出されたものがございますが、28年、29年と1.1.1-トリクロロエタンは検出されていないというような状況でございます。

その物質に対して、入手ができないということもございまして、試験ができなくなってしまいました。試験ができませんので、必然的にその物質が取れるかと言われても対応できませんので、この物質を規格から消除するという形で削除させていただいたというのが一つでございます。

2ポツ2に参りますが、1.1.1-トリクロロエタンというのは揮発性有機化合物という物質に入っているのですが、それを代替物質による試験という方法で簡略化、試験費用の合理化といったことをさせていただきたいと考えております。揮発性有機化合物というのは、本当にごく微量が水道水に含まれていたりするのですけれども、クロロホルムというものが今、JIS規格の中で挙げられている揮発性有機化合物の中では一番取れにくい物質なのですが、この物質を代替物質として試験することでほかの物質も除去できますよという形での試験とさせていただきたいと思います。

こういった試験は、アメリカにNSF Internationalという機関があるのですが、こちらで作成しておりますANSI、American National Standards Instituteですから、アメリカのJIS規格のようなものなのですけれども、そういったものでもクロロホルムで代替することで揮発性有機化合物を除去できますよということが言えるというようなこともございますので、試験を簡略化したいということもございますので、そういった代替物質の試験を導入させていただいております。

それから、2ポツ3ですが、ろ過水容量というところで、もう一個の「浄水器のしくみ概要」という資料を見ていただきたいのですが、浄水器には連続式浄水器と言っています、水道につなげて水道水を流す、その水道水の圧力でろ過を行うようなタイプの浄水器、常時お水が流れてくるということで連続式浄水器と言っております。一方、元の水をタンクにためていただく、若しくはろ過した浄水をタンクにためていただくといったようなタイプの浄水器を回分式浄水器と言っております。

Bの回分式浄水器を見ていただきますと、お店というか店頭などでよく見ていただけるタイプのポット型の浄水器、ポット・ピッチャー形と我々は呼んでおりますが、こういうタイプの浄水器は、上からお水を入れていただいて、下にろ過されたお水がたまるというものになります。

また、最近増えてきておりますのがB-2にございますサーバー形浄水器というもので、タンクにお水を入れて、もしくは水道からつながっているケースもあるにはあるのですが、それで浄水器を通して浄水タンクにためるという形になります。こういったもので、例えばお料理にお使いいただくとき、インスタントラーメンをゆでるのに500ミリリットルのお水を準備してくださいなどというときに、小さなものですと500ミリリットルないじゃないかとか、下のサーバー形ですとタンクの大きさが見えておりませんので、お水の量がどれだけたまっているかというのが分からないということもございますので、先ほど申し上げましたろ過水容量を記載し、消費者の皆様にお使いいただく際に、これだけのお水が使えるということを御理解いただいたほうがいいのではないかということで、ろ過水容量というものを加えてはどうかということでございます。

それから、2ポツ4なのですけれども、ポンプを持つ浄水器に関する最低作動水圧の試験というものも入れたいということでございます。ポンプを用いているものは、圧がかかっていないと空回りしてポンプが故障してしまうというケースがございまして、空回りをさせないために圧力センサーで水圧がかかっているよということを認識した上でポンプが回るというような装置がございます。その場合に、作動水圧が分からないとポンプが動かないじゃないということがあり得ますので、最低作動水圧ということで、ほかの浄水器では、例えば先の連続式浄水器等でも水圧がどれだけ要りますよというのを、類似した名前ですが、最小動水圧という形で、これぐらいの圧がないと使いにくいですよというような表示をさせていただいておりますので、ポンプを持つ浄水器については、ちょっと名称がややこしいのですが、最低作動水圧という名前で、ポンプが動き出す、作動しますよという水圧を明確に記載していきましょうというようなことにしたいということで、今回雑貨工業品品質表示法の告示の改正をしていただきたいと思いますので、よろしく御検討いただければと存じます。よろしくお願いいたします。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、御質問、御意見のある委員の方、お願いします。いかがでしょうか。

受田委員、お願いします。

○受田委員 御説明ありがとうございました。

1つ質問と、ちょっと関連してもう一つ考えております。

今の御説明で、この御提案自体には基本的に異論はありません。念のため伺っておきたいのは、1.1.1-トリクロロエタンの代替としてクロロホルム試験をそのスペックの保証にしようという考え方についてでございます。その根拠というのは、最も除去が困難であるというのがクロロホルムであって、それに対応すると当該の1.1.1-トリクロロエタンの除去はある意味除去率自体は高くなるという想定であると理解いたしました。それで、ここの部分を科学的に見たときに、クロロホルムの除去率に対して、例えば1.1.1-トリクロロエタンの除去率をどれぐらいの比率で見ていくのか、ここの科学的な根拠の部分を伺いたいというのが1点です。

それと、今の1.1.1-トリクロロエタンに関しての記述が非常に気になるのですけれども、浄水器協会様の説明資料の中には1.1.1はカンマで表現しています。有機化学の命名法から言うとこれが適切な表現だと思うのですけれども、法律的な改正になったときには、ここがカンマではなくてピリオドで示されています。これは専門的に言うと、小さいことなのですけれども、カンマとピリオドというのは全然意味が違うのではないかと。法律的には、こういう一般的な有機化合物の命名法をカスタマイズするということが一般的に行われているのかどうか。その点について質問させていただきたいと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

ほかに何か更に御質問がありましたら、お受けしてからまとめて御回答いただきたいと思いますが、どなたかいかがでしょうか。

新川委員、お願いします。

○新川委員 新川です。

今の受田委員のお話と重なるかもしれないのですが、揮発性有機化合物の除去について、クロロホルムを代替として検査をされるということですが、そのほかのメタン系、エチレン系いろいろありますけれども、こういったものとクロロホルム除去との相対的な関係については、先ほどの受田先生のお話でいうと、十分にそれで検証できると考えてよろしいのかどうか、確認の質問です。

2つ目の質問は、濁りの除去の表示については、連続式だけではなくて全ての機器について濁り除去の表示を50パーセントないしは80パーセントの早い時間で表示をするという理解でよろしいのでしょうか。

それから、現行の機器については、特に回分式のものについてはこうした濁り表示が現状ないということを前提にして議論をしているという理解でよろしいのでしょうか。全ての製品に当たっているわけではないので、この辺りも少し情報提供をいただければと思っております。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、木村委員と大石委員から御質問があるということですので、木村委員、お願いします。

○木村委員 木村です。

受田先生の御指摘に追加するところなのですけれども、やはり1.1.1-トリクロロエタンの表記についてなのですが、先ほど先生はカンマとピリオドとおっしゃっていたのですけれども、資料1-3-2を見ますと中点になっているので、ここら辺は統一しなくてよろしいのかなと私も思いましたので、1点指摘させていただきます。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

大石委員、お願いします。

○大石委員 ありがとうございます。

御説明ありがとうございました。

私は、2点質問をさせていただきます。まず、御説明の中で、最小動水圧と最低作動水圧という2つの言葉が出てきたのですけれども、資料を拝見しますと、最小動水圧については、浄水器の種類によって今までも使用可能な最小動水圧を表示しなければいけなかったものと、例えば回分式のようにその表示が不要なものがあったということが資料1-4-2には書いてあります。今回新たに出てきています最低作動水圧というのはポンプを使うものに対してという御説明でしたが、AとB両方に表示しなければいけないものなのか。また、2つの言葉の違いが消費者にはちょっと分かりにくいので、もう一度御説明いただきたいのが一つ。

それから、先ほどのお話で、例えばマンションなどで高層階の住戸に取り付ける場合にはポンプが故障しやすいので注意が必要とのことでした。高層階は、もともと水圧が低いので、使用においては気を付けなければいけないということだろうと思いますが、そういう注意書きのようなものは品質表示法の表示の中に消費者に分かるように書き込むことが決まっているのでしょうか。

その2点について教えていただきたいです。以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

まず、消費者庁にお願いをして、その後で消費者庁から浄水器協会と経済産業省に質問を投げていただけますか。

○消費者庁西川表示対策課長 質問を複数いただきましたけれども、消費者庁からまずお答えしたいのは、1.1.1-トリクロロエタンの表記の仕方、カンマなのかピリオドなのか中ポツなのかというような御指摘がございました。現行の告示では、昔からそうなっていたということで、化学分野における表記法と違わないのかという御指摘については、ややその辺の知見が足らないところはございましたが、少なくとも告示を法律的に解釈する際には、特に紛れはなかったのだろうと認識しております。ただ、いずれにしても今般このトリクロロエタンをなくしたいということですので、御指摘は今後の参考にさせていただきます。

それから、新川委員の御指摘の中に、濁りについて対象を拡大させたことについての御質問がございましたけれども、これは御指摘のとおりでございまして、現行は連続式の浄水器だけが対象になっていたのですが、連続式の浄水器というのがほかの種類の浄水器と比較して流量が多いということがありましたので、濁りによってその分フィルターが目詰まりするのも早い傾向にあったということが理由だったわけですけれども、ただ、こういう目詰まりという現象は何も連続式浄水器だけに限った話ではないということもございますので、今般全ての浄水器に対象を拡大したということでございます。

それから、大石委員でしたか。最低作動水量について、例えばマンションの上では水圧が確保しにくいのではないのかといったような観点からの御指摘があったかと思いますけれども、現行の告示においては御指摘されたような事項についての注意書きはない状況でございます。ただ、この作動水圧というものの内容につきましては、今後経産省あるいは浄水器協会とも協力しながら、消費者に対して丁寧な説明、解説などを行っていきたいと、かように考えている次第でございます。

消費者庁からは以上のようなことだと思うのですけれども、浄水器協会から、たしかトリクロロエタンの代替としてクロロホルムを代替することについての御質問があったかと思いますけれども、その御質問などについてお願いできますでしょうか。

○一般社団法人浄水器協会小林技術委員会委員長 1.1.1-トリクロロエタンをクロロホルムで代替するのかということなのですが、実は1.1.1-トリクロロエタンの取れ方とクロロホルムの取れ方というのは非常に微妙なのが正直なところなのです。そのため、今回1.1.1-トリクロロエタンを削除するということになったので、残っている物質、クロロホルム以外にブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、ブロモホルム、総トリハロメタン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレンといった物質はクロロホルムで代替できるということで今回代替試験を導入したという形でございます。ですから、1.1.1-トリクロロエタンは今回代替の中にも入っておりませんので、そこは御理解いただきたいなと思っております。

また、その他の物質との比較でどうかという御質問もいただいたのですけれども、その他の物質に関しましてはクロロホルムよりも取れにくい物質になっております。クロロホルムというのは沸点、気化する温度が60度強で分子も非常に小さいので、活性炭等では非常に取りにくい物質になっておりますので、そういう面でクロロホルムが一番取れにくいという状態でございます。

あと、濁りについてなのですが、申し訳ございません、先ほど濁りの御説明が抜けていたかと思うのですが、ポット・ピッチャー形という先ほど見ていただいていた回分式のもので、当初活性炭だけで発売されたりしていたものが多かったのですが、中空糸膜という濁りをしっかり取るようなタイプの浄水器も増えてまいりました。そうしますと、どうしても濁りを取るとそこが目詰まりをして流量が落ちる等がございましたので、連続式以外にもポット・ピッチャー形等も入れていきましょうということで今回改正をお願いしたいということでございます。

以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、清水委員と片山委員から御質問があるということですので、お願いします。

それでは、清水委員、お願いします。

○清水委員 ありがとうございます。

消費生活センターでは、浄水器の相談というのは、多くはないまでも毎年あります。最近は携帯電話ショップだとか大手ショッピングセンターでサーバー式の機械を売ったりレンタルしたりしていますので、その水は大丈夫かとか、飲んだら口の中がひりひりしたとか、手足がひりひりするというような相談もあります。しかし、それが本当にその水との因果関係があるかどうかというのは丁寧に聞き取りをしながら、テストをする、場合によっては国民生活センターと連携してテストをして説明しているというのが現状です。

最近では、フタル酸ジブチルというものが入っていたというようなものが2年ぐらい前にあった程度で、このトリクロロエタンそのものの相談というのはここ10年来あまり聞いていないです。

私たちは生活を科学すると思っていますので、やはり専門家の方たちの情報発信が重要だと思っています。特に生活を科学すると専門用語が非常に多いですので、今後も消費者に分かりやすいQ&A式に、特に浄水器につきましてはきちんと法で規制がありますので、よろしくお願いしたいと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、片山委員、お願いします。

○片山委員長代理 御説明ありがとうございました。

今の清水さんの御発言と関連するのですが、私も今回の改正を含めて浄水器に関するいろいろな情報を消費者に対してより分かりやすく周知していただきたいと思っております。

消費者庁のホームページの浄水器に関する表示のところも拝見させていただきました。表示の例を挙げて比較的分かりやすく書かれていたと思いますが、そこに今回の改正内容をどういうふうに説明を足していかれるのかということと、資料1-4-2「浄水器のしくみ概要」のペーパーは非常に分かりやすいのですが、これは消費者庁のホームページにはリンクをしたり引用されていなかったように思いました。そういう点も含めて、消費者がどこに注目して選択をしたらいいのかが分かるような情報提供をこの機会にまたお願いしたいと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、消費者庁からお願いできますでしょうか。

○消費者庁西川表示対策課長 今般の改正の普及啓発についての御指摘だったかと思いますけれども、普及啓発活動といたしまして、消費者庁としても、まず事業者に対して、この改正内容について浄水器協会の御協力も得ながら周知は徹底していきたいということで、それによって改正内容をちゃんと守っていただけるよう、指導を行いたいと思っております。

これが事業者に対してということですけれども、消費者に対してということにもなりますが、例えば消費者の理解を促進するためにガイドブックを作っておりますけれども、これを今般の改正もありますので冊子にするということがございます。ホームページにもこのガイドブックは載っておりますので、そちらの内容も冊子にするということになろうかと思いますので、いろいろな場面を通じて消費者に対して浄水器の内容についても普及啓発を広めていきたいと思っております。その際は是非消費者団体等の御協力も得たいと思っているところでございます。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

ほかはよろしいですね。委員の方、よろしいでしょうか。

それでは、議論はここまでといたしまして、答申案を配付することにいたします。消費者等に対する情報提供、普及啓発に関しまして御指摘がございましたので、この点は今後消費者庁等におきましてよろしくお願いしたいと思います。

他の点につきましては、特に今回の改正そのものについて、御異論はなかったと思いますので、答申案をまとめまして配付いたします。

皆様のテレビ会議システムの画面上に答申案を表示いたしますので、よろしくお願いします。

(答申案表示)

○山本委員長 趣旨といたしましては、消費者委員会の答申案は、令和2年5月21日付内閣総理大臣から消費者委員会に諮問のあった事項消表対第808号について、家庭用品品質表示法の趣旨に鑑み妥当であり、その旨答申するという案ですけれども、これを消費者委員会としての答申としてよろしいでしょうか。

特に異議ありませんと皆さんからチャットではいただいております。

それでは、この答申案につきましては皆様の御了解をいただいたということで答申をしたいと思います。

消費者庁、経済産業省、浄水器協会の関係各位におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、どうもありがとうございました。

それでは、関係省庁の方に御退室いただく時間の間、少し休憩を取りたいと思います。5分ほど休憩いたしまして、11時22分に再開いたします。よろしくお願いします。

(休憩)

《3.消費者基本計画工程表素案に対する意見について》

○山本委員長 それでは、次の議題に入りたいと思います。

次の議題は、消費者基本計画工程表素案(令和2年5月)に対する意見(案)についてです。当委員会では、5月13日の委員会におきまして、消費者庁より工程表素案についてヒアリングを行いました。本日は、このヒアリング結果やこれまでに消費者委員会の建議・提言その他の意見や新型コロナウイルス感染症への対応を始めとする今般の情勢等を踏まえまして、工程表素案に対する当委員会の意見を取りまとめたいと思います。

本日は、資料として意見の案を配付しておりますので、最初に事務局より説明をお願いいたします。

○金子参事官 それでは、事務局の金子より説明をさせていただきます。お手元の資料2を御覧いただければと思います。

先ほど委員長からお話がありましたように、5月13日にヒアリングを行ったわけですけれども、その後もメール等で委員の方々から盛り込むべき項目などを頂戴いたしまして、事務局で整理をしたものということでございます。

順次資料に沿って御説明をいたしますが、よろしいでしょうか。

○山本委員長 お願いします。

○金子参事官 それではまず、1ページ目からでございます。前文のところはこれまでの経緯ということで、5月13日のヒアリングのほか、これまでの建議や個別施策についてのヒアリング実施状況等を踏まえた意見ということで、これを可能な限り工程表の案に盛り込んでいただきたいことと、当委員会としてはその反映状況、実施状況について引き続き監視を行っていきたいことを述べています。

記以下の本文でございますけれども、全体で3部の構成になっているということです。全体的な話から順次説明をするということになっております。

第1のところでございますが、全体的な項目として1つ目にKPIについて述べてございます。こちらは、消費者委員会から消費者庁に指摘した基準を念頭にKPIの見直しを行ってほしいこと、施策の達成状況等に応じて指標の見直し、アウトカムの指標の追加設定を行ってほしいこと、同種の施策についてはできる限りKPIをそろえてほしいこと、効率的なKPIの設定方法等について検討してほしい。加えて、施策の検証・評価において、消費者庁の司令塔・エンジン役の機能、果たすべき役割ということについても明記してほしいということを述べてございます。

2つ目の項目、「今後の取組予定」のところでございますけれども、5年間の内訳がない形の記載が多く見られるということでございまして、可能な限り具体的に取組を分けた上で記載をしてほしいということを述べています。

3つ目、SDGsに関することでございまして、今回の基本計画の特徴と言えることであるのですが、SDGsの関連ということを明確に打ち出しているところで、この工程表についても個別施策の中でSDGs関係と明示しつつ整理をされているわけなのですけれども、工程表全体とSDGsの関係のひもづけと、各項目はSDGsのそれぞれの目標達成にどの程度貢献しているかということも明確にしてほしいということを述べているところでございます。

3ページ目でございます。

4つ目の「機動的な見直し」に関することということで、後に触れる新型コロナウイルス感染症にも関連してくるわけでございますけれども、消費者の直面する課題の変化に応じた新たな施策について可能な限り工程表に盛り込んでほしいこと、加えて適時適切に工程表の見直しを行う、機動的に工程表の見直しを行っていくことを求めるものでございます。

続いて、第2の項目で、新型コロナウイルス感染症に係るものと災害への対応というものについて、これも分野横断的なものであろうということで1つ項目を立てているところでございます。新型コロナウイルス感染症対策として新しい生活様式への切替えということが求められていく中で、短期的、中長期的な課題それぞれあるかと思いますけれども、そういったものを盛り込んでほしいということでございます。

具体的にはポツの形で項目出しをしてございますけれども、消費者教育のオンラインでの実施に当たっての機会の均等、食品表示基準や米のトレーサビリティ法の弾力的運用に係ること、SNSによる誤った、あるいは不確かな情報の発信・拡散に対する対応、そして、自然災害や人為的な災害も含めた重複的な災害の発生なども想定した対応をしなければいけないのではないかということ、詐欺的な事案・悪質商法への厳正な対応に係ること、キャンセル料の問題について自己都合と評価するのは酷なものも含まれるので何らかの対応が必要ではないかということ。そして、3ページ目の終わりから4ページ目にかけて消費生活センターの体制強化に係ることを書いてございます。

そして、第3の項目で個別的な内容を述べております。1ポツについては事故情報の収集、注意喚起に係ることでございます。これにつきましては、事故情報の公開促進に向けた取組や事故情報の更なる活用に向けた取組、また、過去の消費者委員会の提言について効率的な周知の方法を検討することとされているので、そういった検討を行うことについて盛り込んでほしいということを述べているところでございます。

2ポツの食品表示に関しましては、米や牛以外の食品についても含めてトレーサビリティの整備に関しての記載、加えて、昨年8月に食品表示部会でまとめた食品表示の全体像に係る報告書の内容を反映してほしいということを述べています。

3ポツ、取引、表示の適正化に関しましては、最近の相談の状況等も踏まえて、お試し定期購入に関することと電気通信サービスに係る取組について記載を盛り込んでほしいということを述べているところです。

5ページ目、4ポツの項目でございますけれども、ぜい弱性や生きづらさを抱える消費者の支援団体といった民間団体との連携ということを入れてはどうかということを述べています。

5ポツ目はADRのことを述べているところで、横断的な活用、促進策を盛り込んでほしいということ。

6ポツ目は、消費者と事業者との連携・協働に係ることでありまして、そういった協働の実現方法や事業者の取組状況を可視化して消費者に伝えるための取組、加えて内部通報窓口に対する消費者の信頼度を向上させる方策といったものについて取組を記載するとともに、KPIを設定してほしいといったことを述べています。

7ポツで、消費者教育に関わることでございまして、いろいろなところに関わる話なのでいろいろな箇所に教育・啓発に係る取組は書かれているのですけれども、そういった各施策を一体的に把握できるような記載を工夫してほしいということ。加えて、5ページ目から6ページ目にかけてですけれども、デジタル化に対応した消費者教育・啓発といったものについての記載として、機会の均等等に留意をしてほしいということ。それと、6ページ目に移っていますけれども、法教育、情報教育といった関連分野との連携に係ることと、トラブル抑止のための重層的・戦略的な普及啓発の戦略といったものについての施策を盛り込んでほしいということを述べています。

8ポツの項目といたしましては、環境保全に向けた消費者の役割ということでございまして、電力の小売自由化等の状況を踏まえますと、消費者が自らそういう環境に配慮するような商品、サービスを選択するということで環境保全に貢献できるという環境が整いつつあるわけで、その点に関して消費者に情報提供するとか、普及啓発について取り組んでほしいということを記載してございます。

そして、9ポツのところで、これは消費者行政を推進するための体制整備に係ることを幾つか盛り込んでほしいと述べているところでございます。具体的には消費生活センターのニーズに応じた支援、消費生活センターの連携策。加えて、この夏に設立されることになっております、徳島にございます消費者庁の新未来創造戦略本部の取組に係ること。それと、特に地方公共団体において消費者行政があらゆる分野に関連するという認識を醸成するための方策。都道府県における法執行強化、情報相談の受付体制の充実と、消費生活以外の相談窓口と消費生活相談窓口の連携促進についてといったことを盛り込んでいるところでございます。

最後の項目でございますけれども、身元保証等高齢者サポート事業に係ることで、1月に我々の意見として出した中にも工程表の中に盛り込んでほしいと書いていたところでございますが、先日御説明いただいた原案には入っていないということで、これについては引き続き項目に含めるべきではないかという御意見を先日のヒアリングでも伺いましたし、そういったことを求めてはどうかということを述べてございます。

私からの説明は以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの説明の内容につきまして、御質問、御意見のある方は御発言をお願いしたいと思います。

清水委員、お願いします。

○清水委員 ありがとうございます。

意見というより熱い思いを伝えたいと思います。

まず3ページのところなのですが、新型コロナウイルス感染症・災害への対応についてです。消費生活センターでは時代とともに相談の内容が刻々と変わりますので、そのように対応しておりますが、今回の非常時というのは初めての体験でした。消費生活センターは各地方自治体の判断で、感染による全滅を避けるために2チーム制を取ったところもありますが、私が勤務します名古屋市消費生活センターは市民のニーズに応えるというトップの思いから全員出勤をしています。

このたびは、ゴールデンウィークも入っていましたので、消費者庁が早い対応でコロナに対する相談窓口を作りました。今後、このような非常時というのは続くことも考えられますので、是非この黒ポツの一番最後のところですが、生活様式の変化に十分対応できるよう、消費生活センターの体制を強化することは重要で、今、正に消費者庁が司令塔となって発揮するときではないかと思っています。SNS相談の取組もありますが、地方自治体各自でやるのが望ましいですが、LINE相談は簡単そうに見えますが、マニュアル一つでできるようなものではないですので、是非消費者庁のバックアップをお願いしたいというのが一つです。

もう一つは、4ページの個別的な事項の「3ポツ取引及び表示の適正化」というところです。こちらの特商法、預託法の検討委員会が既に動いておりますが、是非販売預託商法の全面禁止をお願いしたいです。また、お試し定期購入については、SNSやアフィリエイトの悪質な広告によって消費者が惑わされているという現状が今なお続いております。広告の規制や例えば勘違いして契約したものの取消し権等を期待していますので、特にここに書いていただいて、私たち消費生活相談員の思いを消費者庁に伝えていただきたいと思っております。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、生駒委員、お願いします。

○生駒委員 取りまとめの御説明、ありがとうございました。

SDGsの項目が大変充実した形で、我々の意見を反映して記載いただきまして、ありがとうございました。

その中で、SDGsの項目でエシカル消費の普及啓発を図るということで、エシカル消費のことにも触れていただいて、ありがとうございます。ただ、この資料の中で、7ポツ、8ポツなのですけれども、消費者教育の推進及び消費者への情報提供の実施、そして、8ポツの環境保全に向けた消費者の役割というところ、こういった項目にも是非一貫した形でエシカル消費という言葉を盛り込んでいただけたらと、全体を見渡しまして思いました。

SDGsのことはかなり全体貫いて記載していただいていますので、消費者庁あるいは消費者委員会の取組が見えるのですが、エシカル消費がまだ弱いように私はすごく思うのです。自立した消費者をつくるために一番必要なことは、エシカル消費者の普及啓発の運動ではないかと思っています。例えば7ポツのタイトルのところ、消費者教育というところでエシカル消費の教育の推進であるとか、やはり言葉は繰り返し記載していただけますと次に進む力になりますので、是非もう少しエシカル消費の言葉を盛り込んでいただければというのが希望でございます。よろしくお願いします。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、木村委員、お願いします。

○木村委員 木村です。

御説明ありがとうございます。

やはりウィズコロナということで、これから新しい生活様式の切替えということがあると思うのですけれども、このことによって生じる消費者問題に是非対応していただけるような内容でなければいけないと思っています。消費者問題はこれまでの問題もいろいろありますし、新しいものもありますけれども、今回のコロナウイルスによって、今まで見過ごしてきたものが顕在化してく、そうしたことに対して様々な課題が出てくると考えております。

まず1点目なのですけれども、キャンセルについてです。今回コロナウイルスの関係でキャンセルの問題が大変顕在化してきていると思います。以前の晴れ着のように2年前から予約をしていてという期間の問題もありますし、ブライダル関係はかなり高額だということ、更に主婦連にも相談があったのですけれども、以前からスポーツクラブの解約というのはかなりトラブルが多いのですが、今回もコロナウイルスの件で休会中の解約について、金額としては少ないのかもしれませんけれども、消費者が泣き寝入りせざるを得ないような事例も聞いておりますので、これはそもそも契約が消費者にとって不利益なのではないかなという観点もありますので、こういったことも是非検討に入れていただきたいと思っております。

次に、通信についてはSNSが最近ニュースでいろいろ取り上げられて問題になっています。消費者が加害者になる可能性があるということで、消費者を保護するだけではなくて、やはりリテラシー教育を若者だけではなくて全世代にしていただきたいと思います。そして、今デジタル化が進んでおります。これもコロナウイルスの影響でかなり加速していると感じております。デジタル取引やキャッシュレス化、CtoCなど、消費者がどうデジタル取引などと向き合っていけばいいのかというところを、事業者への対応と消費者への対応の両輪で進めていただくことが必要だと考えております。

3点目、身元保証についてです。高齢化が進む中で誰にとっても他人事ではないと思っております。是非消費者庁としてもこの工程表の中に加えていただきたいと思います。

消費者庁には、是非消費者行政の司令塔役・エンジン役として役割を果たしていただきたいと期待して意見とさせていただきたいと思います。以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、柄澤委員、お願いします。

○柄澤委員 柄澤です。

私からは、この意見の取りまとめに関しまして、非常によくまとめていただいたということで、事務局に御礼申し上げたいと思います。今、さきにいろいろな委員の皆さんからいただいた御意見等は非常に重要な指摘だと思いますので、それを踏まえましてまず感謝を申し上げたいと思います。

改めて、総論的なお話になりますけれども、私から3点申し上げたいと思います。

1つはウィズコロナ、そして、今後未知のウイルスも含めて、非常にウイルスとの長い闘いになろうかと思う中では、やはり環境を含めまして、地球というのは人間だけではない。それと併せて、社会的弱者に対する配慮、ここを救わないと終息に向かわないという現実も見えてきたと思っております。そういう意味で、今、2030年に向けて誰一人取り残さない、持続可能な社会を実現しようとするSDGsの連綿性は極めて重要だと思いますので、このような表現で入れていただいたことに感謝申し上げます。

2つ目に、ポストコロナに向けまして、経済復興の鍵は、改めて申し上げますが、安心・安全、公正な消費社会が不可欠だと思いますので、この消費者基本計画を実行していくことの役割、意義は非常に大きいと思っております。あわせて、コロナの影響を受けまして、地方への移転等が進んでくる中で、地方が重みを増してくるという中では、地方消費者行政に対する注力というのは非常に必要なポイントになろうかと思います。

3点目に、私ども経営でも計画を作ることが目的になりがちで、作ったら終わりというような意識になりがちなのですけれども、やはりここはステークホルダーへの浸透ということと、実現に向けた執念が見えるKPI、そしてそのトレース、それと5年という期間ですので、環境変化に応じた機動的見直しということは極めて重要になると思います。この中で、この意見案の中に「ためらうことなく」という表現を入れていただいたのは非常に適切だったのではないかと思います。

私からは以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、大石委員、お願いします。

○大石委員 ありがとうございます。大石です。

まず柄澤委員がおっしゃいましたように、事務局には丁寧にまとめていただきまして、ありがとうございました。

委員の皆様がおっしゃられたので、私が付け加えることは1つだけにさせていただきたいと思います。

やはりウィズコロナ、アフターコロナで一番気になるのが、今までは周りから支えられて表に出にくかった弱い立場の人々が顕在化していく、また、社会の中の格差が今後、更に拡大していくのではないかなということです。5ページには、ぜい弱な消費者、それから生きづらさを抱える消費者を支援する団体との連携ということを取り上げていただいているのですが、今後、更に経済状況が悪くなると、今までは受けられていた企業などからの寄付や援助が止まったり減ったりということで、ますます支援する民間団体の活動が難しくなるのではないかなと心配しております。そういう意味で、誰一人取り残さないということからも、国からは経済的な支援も含めた連携ということを是非進めていただければと思っております。

以上です。ありがとうございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、片山委員長代理、お願いします。

○片山委員長代理 ありがとうございます。

皆さんおっしゃいますように、本当に丁寧に意見書をまとめていただいて、まずはお礼を申し上げたいと思います。

その上で、2つだけ意見を申し上げたいと思います。

1つは、清水委員からもお話がありましたが、特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会のところで、私も是非悪質なお試し定期購入を含めた新たなデジタル化の中で発生する悪質な商法についてきちんと検討を続けていっていただきたい。そのことを明確にKPIも示していただいて、確実な制度の見直しをしていただきたいと思います。

もう一つは、いつも申し上げる消費者視点での消費者への情報伝達というところです。今回の意見の中で、特に書いていただいていますが、まず3ページの第2の2つ目のポツに記載されていますように、先般より食品表示基準等の弾力的運用についてのいろいろな通知が出ています。ただ、弾力的運用をしますということが消費者に対して周知されているのだろうか。そういう弾力的運用をした結果、問題が起こっていないかをきちんと検証できているのだろうかということが非常に気になっていました。そのことを第2の2ポツに入れていただいていますが、これも大変重要な問題だと思います。

もう一つ、啓発の関係で言いますと、6ページの上から3段落のところで、消費者トラブルの抑止という観点からの重層的・戦略的普及啓発について、啓発内容を分かりやすく届ける工夫という観点を記載していただいていますが、消費者の心にきちんと届くためには、「こういう仕組みでこういう被害が発生するんだな、そうだとすると、自分も被害に遭うかもしれない、そういう目で自分の周りにある表示や広告、いろいろなものを見てみよう」という消費者自身の気付きにつながり、更には消費者から声を上げてもらうことが重要。そのためにも分かりやすくいろいろな情報を消費者にきちんと届けていくことが、消費者被害の抑止のためにも、あるいは適正な執行を行っていく上でも極めて根本的、基礎的なことだと思います。今後ともそこをこの工程表に沿って注視していっていただきたいと思いますし、そういう観点で啓発方法を考えていただきたいと思います。

以上です。ありがとうございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、受田委員、お願いします。

○受田委員 取りまとめに関して、事務局に心から御礼を申し上げます。これまで述べてまいりました意見については忠実に反映していただいていると思っています。

その上で、要請をすべき関係省庁の関係で、4ページにある食品表示の内容について、少しだけコメントをさせていただきたいと思います。

「2ポツ食品表示」の最初のパラグラフに、トレーサビリティの整備に関して盛り込んでいただいております。ここはこれまでの科学的検証が基本原則であるという視点に立った上で、消費者が社会的検証の仕組みを求めているというところで、ここが非常に大きなポイントになってくると思っています。ここを推進する省庁が農林水産省ということになっているのですけれども、消費者ニーズにのっとって農林水産省への働き掛けを積極的にやっていかない限り、この工程表にはなかなか魂が入らないのではないかと想像しております。したがって、ここは農林水産省と書いてありますけれども、消費者庁への働き掛けという点を是非強調していただきたいということが要望でございます。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、新川委員、お願いします。

○新川委員 新川です。ありがとうございます。

簡単に2から3点、1つは3ページの新型コロナのところでして、今回のコロナそのものもグローバルな問題なのですが、同時に国内での自粛等も含めて在留外国人の方々の消費者問題もたくさん発生しているということがありまして、グローバル化が進んだ中での感染症、災害への対応について、一言入ったほうがいいかなと思いましたので、この点が1点。

それから、5ページ目の7ポツ、消費者教育のところについて、教育の充実については工程表にもしっかり書かれていてよかったのですが、どちらかといえば7ポツの2行目に主体的に参加するということが書かれていますので、それに対応する形でこういう消費者としての学びそのものも能動的に、主体的に学んでいく。今、学校ではアクティブラーニングというものが盛んに言われていて、主体的な学習であればあるほど学習効果が高まるというような言い方をしておりますので、そうした観点への配慮も必要なのではないかということで、以上2点、もし検討可能であればお願いしたいと思いました。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

ひととおり委員から意見を伺っていると思います。それぞれの委員から既にこの中に盛り込まれていることについて強調しておきたいという意見が多かったとは思いますが、1つは、生駒委員からエシカル消費ということを更に強調できないかという御意見があり、その点については、現在の案で言えば、先ほど御指摘がありましたように、第1の総論のSDGsの中にエシカル消費は出てきまして、これが全体に関わっている、各項目それぞれにこの問題が関わっているということが示されているので、したがいまして、工程表を更につくり込んでいく段階、あるいはそれを具体化する段階でその点に十分留意していただきたいという意見がここで示されたということでよろしいですか。それとも、更に何か加えたほうがよろしいでしょうか。

○生駒委員 あくまで希望なのですけれども、エシカル消費という言葉を消費者庁として掲げられているわけですから、全体としてSDGsのところにきちんと書かれていますので、これはすごく良いことだなと思いつつ、消費者教育のところには、必須条件ですので、一言でもエシカル消費に関する教育、自立した消費者をつくるために必要な情報提供とともにエシカルな意識を高めていくような教育を加えていただけることができるか。今、大分文章が出来上がっていらっしゃるのでどうかなと思うのですが、少なくとも消費者教育の推進及び消費者への情報提供の実施のところにも一言エシカル教育と入れていただけるといいかなというのが私の希望です。

と言いますのも、ウィズコロナの時代にはSDGsとエシカルな消費というのは、期待値ではなくて必須値になっていると思うのです。現実味を帯びて、そういう形で社会をより良くしていく及びサポートしていかないことには地球も社会ももたないという時代に直面していますので、そういう意味では、消費者の意識、エシカルなアクション、先ほど消費者が加害者にもなるということも含めて消費者の意識を高めていく意味で、教育の項目には少なくとも7ポツ教育の推進の項目のところにだけでもせめてまたエシカル消費という言葉を盛り込んでいただけますと、更に認識が高まるかなという希望です。

○山本委員長 ありがとうございます。

それから、最後に新川委員から2点ありまして、後は、今の消費者教育に関わるところでアクティブラーニングということを入れたらどうかという御意見でしたか。

○新川委員 新川です。

その趣旨です。個別の教育プログラムについては工程表にしっかり書き込まれていますので、それはそれで結構なのですが、視点としてこういうアクティブラーニングのようなことがもっと前面に出てきても良いのではないかということで申し上げました。ただ、今後の課題ですので、これはこれとして、特に今回入れないと駄目だと言うつもりはありませんが、可能であればそうした視点を盛り込んではどうかということは意見として必要なのではないかと思っておりました。

以上です。

○山本委員長 それから、前半で御指摘されたのは、コロナウイルス対策でグローバルな対策ということを入れたらどうかという御趣旨でしたでしょうか。

○新川委員 特にぜい弱性などを抱える消費者の問題については触れられてはいるのですが、今回のコロナで特に在日外国人の方々の問題なども顕在化しました。そういうグローバル化が進んだ状況での災害対策がリスク管理という観点からも問題ですが、同時に消費者行政という観点でもきちんと位置付けておく必要があるのではないかということで、グローバル化が進んだ社会の中での消費者問題への対処の強化もこのコロナウイルスを機に考えてはどうだろうかということで、ちょっと気になったものですから付け加えさせていただきました。

ただ、これは新しい要素になるのかもしれませんので、今後の課題ということにしていただいても結構です。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

今、一つは第2のコロナ対応という部分と、各論部分のうち7ポツ消費者教育について2点ほど御指摘をいただいているのですけれども、この点について今からもし加えるとして、事務局で何か更に委員から聞いておきたいことなどはございますでしょうか。

○金子参事官 趣旨は分かりましたので、可能でありましたら後ほど検討させていただいた上で、もし委員長に後ほど一任という形でお預けいただけるのであれば、委員長ともお諮りしながら検討していくことは可能かと思っております。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、今、2点と言いますか、細かく言うと3点ですけれども、大きく言えばSDGsのところのグローバル化への対応という話と、消費者教育についてのアクティブラーニングの話、エシカル消費の話というものが出てきまして、今、伺って御趣旨は大体分かりましたし、各委員もこれで了解をいただいていると思います。

いずれにつきましても、特にこの意見書の趣旨を大きく変えるものではありませんので、よろしければこの原案について、今、述べた点について修正といいますか、付け加えるということにしたいと思いますけれども、御趣旨は伺っていますし、今、申し上げましたように全体の意見書の趣旨を変えるというものではありませんので、その修正の仕方につきましては私に御一任いただくということでよろしいでしょうか。特に異議のあるという方がいらっしゃったら。

よろしいですか。それでは、今の項目のところだけ原案を修正させていただいた上で消費者庁長官及び関係府省庁宛てに送付したいと思います。


《4.閉会》

○山本委員長 それでは、本日の議題は以上になります。

最後に、事務局から今後の予定について説明をお願いいたします。

○金子参事官 今後の日程でございますけれども、次回の本会議につきましては、日程が決まりましたところで委員会のウェブサイト等でお伝えしたいと思います。

以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、本日の議題は以上になります。

本日は、お忙しいところをお集まりいただきまして、どうもありがとうございました。

(以上)