第316回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2020年2月13日(木)9:59~11:03

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    山本委員長、片山委員長代理、生駒委員、大石委員、清水委員、新川委員、丸山委員
  • 【説明者】
    消費者庁宮原消費者教育推進課長
  • 【事務局】
    二之宮事務局長、金子参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針」の策定に向けた検討状況について
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1.開会》

○山本委員長 それでは、おそろいですので、ただいまから「消費者委員会」第316回本会議を開催いたします。

本日は、受田委員、柄澤委員、木村委員が御欠席です。

それでは、配付資料の確認について事務局よりお願いいたします。

○金子参事官 配付資料は、議事次第の下部にございます一覧のとおりでございます。

もし不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますようにお願いいたします。


《2.「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針」の策定に向けた検討状況について》

○山本委員長 本日の議題は、「『食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針』の策定に向けた検討状況について」です。

昨年の5月に「食品ロスの削減の推進に関する法律」が国会で全会一致で可決成立をし、同年10月から施行されております。同法の第11条では、「政府は、食品ロスの削減に関する施策の総合的な推進を図るため、食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針を定めなければならない」とされております。そのため、この基本方針の策定に向けて、消費者庁において、昨年11月に第1回が開催された食品ロス削減推進会議において検討が進められており、同基本方針素案に関する意見募集も先般終了したところです。

本日は、同基本方針策定に向けた検討状況につきまして、消費者庁から御説明をいただき、意見交換を行いたいと思います。

本日は、消費者庁の宮原消費者教育推進課長にお越しいただいております。お忙しいところ、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

それでは、大変恐縮ですけれども、20分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁宮原消費者教育推進課長 おはようございます。消費者庁の消費者教育推進課長をしています宮原でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

それでは、御説明をさせていただきたいと思いますが、お手元にパワーポイントの資料と文章仕立ての資料と2種類お配りをしておろうかと思いますけれども、まず資料2というパワーポイントから御説明をさせていただきたいと思います。おめくりいただいて1ページ目でございます。

今、委員長から御紹介があったお話とかぶるところもありますが、「食品ロスの削減の推進に関する法律」は昨年通常国会で成立いたしまして、10月から施行されているということでございます。

この法律につきましては、まだ食べることができるという食品については、廃棄することなくできるだけ食品として使っていく、活用していくといった方向に向けて多様な主体が連携をして、国民運動として食品ロス削減を推進していこうという法律でございます。

それで、様々なところにかかっている責務ですとか基本的な施策ですとかいろいろな規定があるわけでございますけれども、左下の枠で囲った部分でございますが、基本方針ということで、先ほど委員長からも御紹介がありましたような、食品ロスの削減の推進に関する基本方針というものを策定することになってございます。これは閣議決定で策定をするということで進めてございますけれども、かつ右手でございますが、食品ロス削減推進会議はこの基本方針の案の作成等を行う会議ということで、立ち上げて議論をしてきているというところでございます。

2ページを見ていただきますと、真ん中に関係省庁が書いてございますけれども、各関係省庁の大臣にも食品ロス削減推進会議に入っていただいておりまして、座長は内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)の衛藤大臣でございますが、また、他の関係5省庁の大臣にも入っていただき、更に業界団体、当然消費者団体も含まれておりますけれども、それから、地方公共団体、学識経験者といった方々、総勢20人による会議を設定してございます。

委員長からもお話がございましたように、11月25日に第1回目を開いてございます。それから、第2回の会議を12月16日に開催をしてございます。12月16日までの会議で各委員からいただいた御意見を踏まえたものでパブリックコメントを今年の1月10日から2月1日まで実施いたしております。

パブリックコメントでいただいた御意見ですとか、更に委員の方々とその後様々な意見交換をさせていただいたもので、来週2月19日に開催予定であります第3回食品ロス削減推進会議において、会議としての案の決定を行いたいと思ってございます。

その最終的な調整等を今進めているというのが現状でございまして、第3回の会議で案を決定できれば、その後様々な手続を経て、3月末までには基本方針の閣議決定をしていただけるように進めてまいりたいと思ってございます。

また、ちょっとお戻りいただいて恐縮なのですが、1ページの左下の「基本方針等」の下のところに書いてございますけれども、基本方針を国が決めるわけでございますけれども、都道府県・市町村につきましては、その下にも書いてございますが、基本方針を踏まえて、「食品ロス削減推進計画」を策定するということが努力義務でかかってございます。私どもとしては、できるだけ地方自治体にも計画を積極的に作っていただきたいと思ってございまして、年度内に何とか基本方針を閣議決定させていただいて、来年度以降は地方でいかにしっかりした計画を作っていただくか、といったようなことの後押しを進めていければと考えているところでございます。

もう一点だけ、本文中にも出てまいりますけれども、パワーポイントの4ページを見ていただきますと、「食品ロスの発生要因」ということで、事業系と家庭系とを分けて記載してございますが、事業系が若干多いのですけれども、ざっくり言って事業系、家庭系で半々ぐらい出ているということでございます。

事業系ですと、こちらに書いてございますような業態ごとに、それぞれ示された数字のようなロスが出ているということでございますし、家庭系でも、食べ残しですとか、過剰除去というのは必要以上に皮を厚くむき過ぎたりして食べられる分も捨ててしまっているということでございまして、直接廃棄というのは、買ってきたのだけれども、賞味(消費)期限が迫ってきたり越えてしまったりしたので、言わば手つかずのまま捨ててしまったということでございますが、そういったものも家庭系の食品ロスを構成してございます。

やはり事業系、家庭系双方で出ておりますので、各事業者、消費者も含めまして一人一人の行動が大事だということになりますし、また、事業系で申しますと、各業態と言いますか、作って売って、あるいは外食という場面もあるわけでございますけれども、そういった各場面できちんと連携をして食品ロスの削減に取り組んでいくということが重要かと考えてございます。

そういったところを背景として御記憶いただきながら、ちょっと見にくい資料で恐縮なのですけれども、こちらの資料1の本文を簡単に御説明させていただきたいと思います。

めくっていただきますと、目次が付いていると思いますけれども、3つの大きなセクションに分かれておりまして、1つ目が「食品ロス削減の推進の意義及び基本的な方向」でございます。

それから2つ目で、ここが一番ボリュームが大きいのですけれども、「食品ロスの削減の推進の内容に関する事項」でございます。

3つ目の柱が「その他食品ロスの削減の推進に関する重要事項」でございます。3番目の柱につきましては、地方公共団体の計画策定等が中身の中心となってございます。

まず、めくっていただき1ページと振ってあるところからが1番目の大きな柱ということで、「食品ロスの削減の推進の意義及び基本的な方向」でございます。

2ページで我が国の食料自給率ですとか幾つかの関連する数字を御紹介しておるわけでございますけれども、下半分ぐらいに「我が国においても」と始まる部分があると思いますが、食料は海外からの輸入に大きく依存をしているという中で、まだ食べることができる食品については、できるだけ食品として活用するようにして食品ロスを削減していくことが重要だということ、また、食品ロスの削減によって、家計負担や地方公共団体の財政支出の軽減、CO2排出量の削減による気候変動の抑制が図られるといったことが期待できるということも書かせていただいております。

さらに、「加えて」のところは、推進会議の委員の御意見等も踏まえまして、食品ロスの削減の取組というものは、我が国の食に関わる文化を再確認することにもつながるのだろうということで、そういったことも記載させていただいているところでございます。

続いて、3ページでございますが、「2 我が国の食品ロスの現状」ということで、これは先ほど円グラフで御説明したようなことを、まとめさせていただいているということでございます。

それから、「3 基本的な方向」でございますけれども、食品ロスの削減につきましては国民に非常に身近な問題でございますので、冒頭に書いてございますように、国民各層がこの問題を他人事ではなく我が事として捉えて、理解するだけにとどまらず、行動に移すということが必要だということを掲げさせていただいております。

そうした認識の上で、下になりますけれども、多様な主体が連携をして国民運動として進めていこうというようなことを、基本的な方向として整理させていただいております。

次に、2番目の大きな柱で「食品ロスの削減の推進の内容に関する事項」でございます。

「1 求められる役割と行動」ということで、消費者ですとか食品関連の事業者等について、どういう役割や行動が求められるのかということを書かせていただいておるわけでございます。こちらの冒頭で、各々やっていただくということも大事なのですけれども、食品関連事業者等と消費者を、それぞれ見る視点も重要なのですが、つなぐという視点も重要なのだろうというようなことでございまして、4ページ目になりますけれども、両者できちんとコミュニケーションをする、そのコミュニケーションを活性化していくということも大事だろうといったようなことも記載しているところでございます。

それから、「(1)消費者」というところがございます。消費者に求められる役割と行動ということでございますが、こちらについては日々の暮らしの中で自身が排出している食品ロスについて適切に理解・把握をするということと、更にマル1以降で箇条書き的に書かれている行動例をヒントにして、日々の生活の中で食品ロスを削減するために自らができることを、一人一人が考えて行動に移していくということでございます。

例えばということで申し上げると、マル1以降に書いてございますが、買い物の際には事前に家にある食材をチェックするですとか、あるいは食品の保存の際には冷蔵庫内の在庫管理は定期的に行うですとかといったことをヒントにしながら、一人一人できることを考えていただいて行動に移していただくということをまとめさせていただいてございます。

それから、「(2)農林漁業者・食品関連事業者」につきましては、3行目ぐらいからでございますが、「自らの事業活動により発生している食品ロスを把握し、見直しを図る」ということでございますけれども、マル1以降で各段階と言いますか、業態ごとに求められる役割・行動等を整理させていただいておりまして、例えば農林漁業者で言いますと、規格外や未利用の農林水産物の有効活用を促進するといったようなことですとか、マル2の製造業者につきましては、賞味期限の延長ですとか、賞味期限表示の大括り化というものに取り組んでいただくといったようなこと、あるいはマル3で納品期限の緩和というようなことを記載しております。

それから、6ページにいっていただきますと、最近恵方巻きだとかでも話題になったところでございますけれども、季節商品については予約制にするといったような形で需要に応じて販売していく工夫ですとか、売り切るための様々な値引きポイント付与等の工夫をしていただくといったようなことも掲げさせていただいております。

マル4の外食事業者等でございますが、まず、消費者が食べ切れる量を選択できるような仕組み、小盛りを御希望ということであれば小盛りに対応できるようにしていくということも大事な視点だと思いますので、食べ切れる量を選んだ上でできるだけ食べ切ってもらうということで、かつ、食べ残しが生じた場合でございますけれども、4ポツ目にございますが、当然、衛生上の注意事項等はよく理解した上でということにはなるわけでございますけれども、持ち帰りというものもより広げていくというようなことができないかといったことも書かせていただいてございます。

また、マル5で食品関連事業者等に共通する事項というのがございますけれども、最後のポツで「食品ロスの削減に向けた取組の内容や進捗状況等について、自ら積極的に開示する」というようなことで、そういった事業者の取組というものを、積極的に見える化をしていくといったようなことも、掲げさせていただいているところでございます。

7ページでございますけれども、「(5)国・地方公共団体」でございます。これは、この後続きます施策を推進していくことが主要な役割ということで整理をさせていただいております。

次の「2 基本的施策」が一番メインパートということになろうかと思いますけれども、国において取り組むべきこと、それから、地方公共団体におきましては、地域の特性に応じた形で、以下に書いていることを踏まえまして、取組を進めていただくということで整理をさせていただいてございます。

「(1)教育及び学習の振興、普及啓発等」でございますけれども、これは最初のポツにございますように「家庭での食品ロス削減のために、暮らしの中で意識して実践できる内容の普及啓発」ということでございまして、特に食品ロスの発生を記録していただくことが削減に有効だということが分かってきてございますので、そういったことも含めまして、消費者が食品ロスを意識するという取組を進めたり、その次のポツにございますような、賞味期限と消費期限の違いなどの正しい理解を進めていくといったようなことを記載しております。

それから、このページの最後のポツにございますけれども、食品ロス削減月間が10月、食品ロス削減の日が10月30日と法律で決まってございます。これを中心にして様々な広報等を進めていくわけでございますけれども、8ページ、10月だけということではなくて、やはり通年で意識を啓発できるように広報してほしいというような声もございますので、できるだけ通年にわたって広報をできるようにしていくといったようなことも記載しております。

それから、教材の開発提供ですとか、学校での取組等についても(1)ではまとめさせていただいているということでございます。

「(2)食品関連事業者等の取組に対する支援」でございます。これは規格外、未利用の農林水産物の活用から始まりまして、2ポツでございますような、先ほど申し上げたような賞味期限表示の大括り化ですとか、賞味期限の延長、厳しい納品期限の緩和といった商慣習の見直しというものを進めていくといったような観点で記載しております。

それからちょっと下になりますが、先ほど申し上げたような小盛りサイズメニューの導入といったようなことですとか、特にビュッフェや宴会でかなり食品ロスが生じているところもございますので、そういった場面で様々な工夫をされているものを、より普及啓発して周知をしていくといったようなことも盛り込ませていただいております。

このページの下から2つ目のポツでございますけれども、外食時についてできるだけ食べ切ってもらう、持ち帰る場合にはこういうことを注意してほしいという「外食時のおいしく『食べきり』ガイド」というものを昨年の5月に出させていただいておりますけれども、それを周知しながら、留意事項を十分に理解して、希望する方が自己責任で持ち帰りをしていただくことを、当たり前にするような啓発というものを進めていくというようなことを記載しております。

それから、今後、ICTだとか新技術の活用といったようなこともこの分野でも進めていければということを記載してございます。

また、9ページの「(3)表彰」の上のポツでございますけれども、ESG金融というのが注目をされてございますけれども、食品ロスの削減につきましても、ESG金融の中で評価をしていただくという取組も始まってございますので、そういったものも広げていければというような趣旨の記載をさせていただいてございます。

それから、「(3)表彰」ということで、これは法律でも表彰について1つの条文が当てられておりますけれども、国において表彰制度を創設するということを書かせていただき、「(4)実態調査及び調査・研究の推進」で様々な食品ロスの発生量ですとか要因等の実態分析を進めていくといったようなことを書かせていただき、「(5)情報の収集及び提供」で先進的な事例、特に若者が積極的に取り組んでおられる事例もかなり出てきておりますので、そういったものの収集、提供の強化といったようなことを掲げさせていただいております。

「(6)未利用食品を提供するための活動の支援等」ということで、これはいわゆるフードバンク活動に関するものでございますけれども、まずフードバンク活動については、国民にまだなかなか知られていないというところがあると思いますので、国民の理解を進めるということもございますし、また、地域での関係者が連携するための取組を含めた形で、活動の後押しをしていくといったようなことを書かせていただいてございます。

さらに、10ページの最初のポツでございますけれども、フードバンクに食品を提供しようにも、その後何か事故が起こった場合に責任を追及されると考えると、なかなか食品の提供がうまく進まないというような御意見もございまして、この辺りの責任の在り方につきましては法律の中でも検討することが宿題になっているという状況でございますので、そちらについても位置付けをさせていただいているということでございます。

それから、最後の3番目でございますけれども、「その他食品ロスの削減の推進に関する重要事項」でございます。

まず1つ目が、地方公共団体の計画の関係でございますけれども、国が実施する施策に加えまして、地方公共団体においてそれぞれの地域の特性を踏まえた形で取組を進めていくことが重要だということで、積極的に計画策定を進めていただきたいと考えております。

「(2)食品ロス削減推進計画の策定に当たって留意すべき事項」でございますけれども、当たり前のことと言えば当たり前のことなのですが、関係する部局間で認識を共有して施策も連携をする、関係団体・事業者等の意見も十分に聞いて進めていただくといったようなことを記載しております。特にフードバンク活動が行われている地方公共団体等においては、フードバンク活動団体との連携というものに、十分に配意していただくということも特に書かせていただいているということでございます。

それから、マル2で地域の特性等を把握して計画を作るといったようなことですとか、マル3で地域の特性に応じた取組を盛り込んでいただくといったようなこと、あるいはマル3のオに書いてございますけれども、言わばSDGsの中でも食品ロスという位置付けがございますので、地方公共団体でSDGsですとか地方創生に取り組む中に食品ロスの削減の取組を位置付けるということも考えられることを特に書かせていただいておるところでございます。

計画を作った後は、特に定期的に取組の成果を検証して推進をしていくということと、「(3)食品ロス削減推進計画の策定への支援」で国において支援をするといったようなことをまとめさせていただいております。

「2 関連する施策との連携」ということでございまして、様々な法律との連携を図っていくということでございます。

12ページの「3 食品ロスの削減目標等」でございますが、こちらにつきましては、既存の政府の計画ないし方針におきまして、事業系、家庭系それぞれにおいて2000年度比で2030年度までに食品ロス量を半減させるという目標を掲げてございますので、これらの削減目標達成を目指して進めていくといったこと等を書かせていただいてございます。

「4 実施状況の点検と基本方針の見直し」につきましては、やはりきちんとPDCAを回していくという趣旨を書かせていただいておりまして、今後の社会情勢の変化ですとか施策の実施状況等を踏まえまして、法律の施行後おおむね5年をめどに、本基本方針の見直しについて検討していくということを、整理させていただいておるところでございます。

以上、ちょっと最後が駆け足になりまして恐縮でございますけれども、そういった形で中身をまとめまして、基本方針の閣議決定に向けて作業していきますとともに、地方において計画をできるだけ広く策定していただけるような支援を、進めてまいりたいと考えているところでございます。

御説明は以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの説明の内容につきまして、御質問、御意見のある方はお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

大石委員、お願いします。

○大石委員 御説明ありがとうございました。

今、御説明いただいた中で、何点か気になりましたので意見を述べさせていただきます。

まず、4ページの消費者の取組として、マル2の2ポツ目に「賞味期限を過ぎた食品であっても、必ずしもすぐに食べられなくなるわけではないため」と書いてあります。さらに、その後の7ページにある「(1)消費者への教育及び学習の振興、普及啓発等」の2ポツ目にも出てくるのですが、そもそも、消費者にとって賞味期限と消費期限の違いというものの理解が進まないということが食品ロスを増やす一つの原因になっていると考えております。

作っている側からすれば、賞味期限を過ぎたからといって必ずしもすぐに食べられなくなるわけではないということは、科学的な見地からよく分かっているのだと思いますが、「賞味期限」も「消費期限」も同じ「期限」という言葉がつくため、期限というとどうしても「そこまで」というイメージになります。加えて、賞味期限、消費期限は言葉を聞く場合には「ミ」と「ヒ」が違うだけで違いを余り感じません。ですので、両方とも期限がきているという感じで、一般の消費者は、そこまでしか食べられない、という受取をしてしまいがちなのではないかと思います。

ですので、できれば言葉の変更も考えていただきたいのですが、これから言葉を変えるというのは難しいかもしれません。例えば「賞味基準」のように、期限ではなくて、あくまでも未開封で決められた条件で保管しておけば、まだまだ食べられる期間であり、あくまでも目安なのだという言葉に変えていくことが基本的には必要なのではないかとずっと感じております。

「期限」という言葉がつくと、例えばポテトチップスなどで「賞味期限」と書いてあれば、封を開けていなくても期限がきたので食べられなくなった、捨てなくてはいけないと、とらえる消費者が多いと思います。本気で食品ロスを削減していこうとするのであれば、その辺りを基本的に考え直す必要があるのではないかという問題意識を持っています。

それから、生活の中で大量に食品を廃棄してしまう場面として、災害が多発していることもあり、備蓄している食品の期限がきて、一時に大量廃棄されるということがあるのではないかと考えます。3年分とか5年分の食品をまとめて備蓄しているので、5年たったら5年分を全部入れ替えなくてはいけないことなり、そこで大量の廃棄が起きることになる。大量廃棄を防ぐためには、ローリングストックと言って、5年分を1度に捨てなくて良いように、例えば1年ずつ順番に備蓄しておく、そうすることによって、一回に廃棄する量というのは、5年分であれば5分の1に減らせるわけです。

これは、家庭においてもですが、企業などで更に大量の備蓄をしているときにも、ローリングストックで順番に期限が来るような購入の仕方をすることによって、大量の廃棄というのは減らせるのではないかなと思います。是非文書として入れていただくと有り難いかなと思います。

あともう一点、食品ロスを減らすためには容器包装の工夫や開発ということは必要不可欠で、例えば個包装にすることによって確かに食品ロスというのはかなり減らせることは分かっています。ですが、一方、現在、海洋プラスチック、プラスチックのごみの問題が大きな社会的課題となっており、食品ロスを減らすためのプラスチックの包装や容器は、プラスチックごみの問題とはトレードオフの関係にあります。食品ロスを減らすという意味では大変重要なことではありますが、プラスチックのごみ問題にとってはマイナスになるということを十分に配慮し、意識しながら考えていく必要があるということを是非どこかに入れていただけると有り難いかなと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

他にもしあれば、少しまとめてお答えいただこうかと思いますけれども、いかがですか。

清水委員、お願いします。

○清水委員 ありがとうございます。

1点、大石委員の関連です。7ページの賞味期限と消費期限の違いということで、先日の相談現場の事例を御紹介したいと思います。精肉専門店で今日消費期限というものを定価で売っていた、これは問題ではないかと言われたので、いや、消費期限ですから、今日売って定価は何も問題がないと。その相談者はその精肉店に苦情を言ったということだったのです。私ども消費生活センターの相談員は、賞味期限と消費期限の違いを説明して、それは期限の意味を知らないから、ちょっと言い過ぎではないのかと言った次第で、そう言うとなかなか事業者寄りだとか叱られるのですが、やはり大石委員が言われたように「賞味」「消費」という表現となって時間がたつのですが理解が浸透していないので、そういう相談がぱらぱらと入るという現状をお伝えしたいと思って発言させていただきました。

○山本委員長 それでは、生駒委員、お願いします。

○生駒委員 国民運動にされたいということはすばらしいことだと思うのですが、私も俯瞰して世の中の状況を考えてみますと、テレビで食がどのように取り扱われているかというと、大きく分けてグルメか大食いしかないのです。これによって視聴率を上げるというテレビ局の考え方というのが現実だと思うのです。あと、YouTubeも今すごく影響力があるのですが、やはり大食いでたくさん食べることで皆さんにアピールする、注目を集めるというのが現状だと思う中で、そういう動きを逆に利用して、食品ロスにチャレンジすることがどれだけ楽しくて、意味もあるしやりがいもあるみたいな、そういった訴え掛けをしてみてはどうかと思うのです。もったいないとか日本人の精神性に訴える部分は必ずあると思いますので、テレビ局で番組を放映されている方々、番組を作っているメディアの方々にも、基本は食べ残さない、もったいないことはしないというような姿勢を徹底していただけたら良いですね。メディアに関しては、そういう原則みたいなものは守っていただく注意喚起をしていく。YouTubeはちょっと制御し難いところがあると思うのですが、逆に、そういうことにリーダーシップを取って取り組んでいる方は結構いらっしゃいますよね。そういう方々に、YouTubeみたいなところで、食品ロスにチャレンジすることが、もちろん自分のためにも良いけれども、自分もかっこよくなれるのだよと、そういうような働きかけはどうでしょう。もし国民運動につなげていくのであれば、一つの方法ですけれども、そういう方法も考慮できるかなと思いました。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、そろそろお答えいただいて、後で丸山委員に更にお伺いします。

よろしいでしょうか。

○消費者庁宮原消費者教育推進課長 ありがとうございます。

大石委員と清水委員からお話がございました期限の問題でございまして、これについては様々な御意見があるところと思ってございます。ただ、おっしゃっていただいたように、用語を直ちに変えたりというのは難しいので、既存の用語の正しい意味を理解してもらうということを、すぐできることとして、やっていくということではないかと考えてございます。

まだまだ理解が十分に浸透しているとは言えないというところかと思いますので、様々広報のやり方なども、工夫をしていく必要があると考えてございます。

それから、備蓄食品について大石委員から御指摘いただきまして、実は説明から飛ばしてしまったのですけれども、例えば6ページの「(3)事業者(農林漁業者、食品関連事業者以外の事業者を含む)」ですとか「(5)国・地方公共団体」で、災害時用の備蓄食品の有効活用というものも書かせていただいておるところでございます。

現段階ですと、災害時の備蓄食品は期限が切れてしまったら捨てられるものも多いというのが現状かと思っておりますので、そういったものを有効に活用する。その際に、先ほど委員から御指摘があったようなローリングストックというのは非常に有効な方法だと思いますので、これにつきましても、現段階でパンフレットなども作ったりして進めてはおるのですけれども、また基本方針を策定しまして進めていく際には、そういったローリングストックの考え方を広げていくということも含めて取り組んでいければと考えてございます。

それから、保存をできるだけしていくという上で、容器包装をしっかりしていくということが、その裏腹の側面としてプラスチック問題につながってしまうということは、我々としてもそのとおりかなと思うところもございまして、そこは十分配慮しながら、この基本方針に従って進めていく上で、留意して進めていければと考えてございます。

それから、生駒委員からございました御指摘でございますけれども、これも若干話はずれるかもしれませんが、6ページの一番下の「(4)マスコミ、消費者団体、NPO等」で、あえてマスコミの役割と行動というものを書き加えてございまして、マスコミの方々にも、食品ロスの削減に向けて国民運動を進めていく上で役割を果たしていただこうという意味で、位置付けさせていただいておるところでございます。マスコミの方々の報道内容につきましては、なかなかコントロールがしづらいといったこともあるわけでございますけれども、この問題の重要性等の理解を促して、少しでもマスコミの皆様にも御助力をいただけるように取り組んでいきたいと思っております。

また、YouTubeのお話等もございましたが、特に様々な世代にこの問題の重要性を訴えかけていくという上では、既存のメディアというもので十分かどうかということは我々としても十分に考えなくてはいけないなと思っておりまして、YouTubeというものも活用できる一つの良いツールなのかなと思っております。

私どもとしても、実はLINEですとかFacebook辺りの発信は既に始めておりますけれども、YouTubeだとかそういう新しい手法の活用というものも含めまして、幅広い世代に刺さるためにはどうしたら良いかということを、しっかり考えていきたいと思っております。

ありがとうございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、更に丸山委員、お願いします。

○丸山委員 私からは2点、意見と質問も兼ねてということになります。

まず、4ページ、7ページに書いてある消費者に対する啓発という観点なのですけれども、恐らく単純に啓発だけをしてもなかなか成果に結び付かないというようなことも予測されますので、消費者委員会でもヒアリングを重ねてきたナッジとか行動経済学といったものが活用できる部分というのがあるのかなと思いまして、もしかしたらもう既に検討で取り込まれて反映されているのかもしれないのですが、そういった知見を積極的に取り込んでいける分野というのがあるのかなという質問が1点目です。

2点目としましては、6ページや8ページに関連する、1つは持ち帰りの問題、もう一つは未利用食品の提供です。ここで衛生に関する注意喚起を消費者側にとってすぐに目について分かるようにやるということと、事業者にとっては何をしたら良いかが分かるように明確にしていくということは、割とコンセンサスが得られやすいのかなと思います。

その上で、法的な責任の問題について法的に詰めていくということで良いと思うのですけれども、1つは事業者の立場に立った場合に懸念されるのは、現実にやるべきことをやっていても消費者の管理が悪くて食中毒とかになった場合に、評判の低下というのが止められないとレピュテーションが下がってしまうことを懸念してしまって結局踏み出せないということがあり得るかもしれない。恐らくそのときにはマスコミでの取り上げられ方とか全体的な運動の機運とかが関係するのかもしれませんけれども、そういったところにも目配りをしながら議論を重ねていただければ有り難いかなと思いました。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、片山委員長代理、お願いします。

○片山委員長代理 御説明ありがとうございました。

私が一番関心を持ったのは、3ページから4ページで書かれていますように、食品関連事業者などと消費者をつないでいくという、両者がこの問題についてのきちんとした理解を共通にして、それぞれがやれることをやるという視点が大事であるという点で、そのとおりだと強く思います。

ただ、その後のところの表現を読んでいて感じたのは、実は消費者は現在のこういう食品ロスが特に事業系で生じている原因、背景となっている商慣習というものを全くと言って良いぐらい知らないということです。

今回、商慣習の見直しをしていただいていて、賞味期限の3分の1ルールの見直しとかが少しずつ報道され表に出てきていますが、正直、私も実態は知りませんでしたし、多くの消費者はそうなのではないかと思います。

4ページに、常に十分な量の多様な食品が店頭に置かれていることを望む消費者の意識がロスの発生要因になっていると書かれているのですが、多分消費者はそういうことも別に意識はしていない。小売の皆さんが、販売機会のロスをなくすためにも、常に店頭にたくさんの食品が並ぶことを目指していただいているのだとは思いますけれども、そのためにいろいろな無理が生じているのであれば、どういう問題が起こっているのかということと解決策を消費者に示していただければ、消費者は十分理解をして、小売メーカーの対応に協力をする、あるいは評価をするという行動になってくるだろうと思うのです。

少し長くなりましたが、要するに、現在何が起こっているのか、どこに消費者が知らないといけない事業者系の食品ロスの発生要因があるのかというところを、しっかりと伝えていただく。それが協働であったり、消費者がいろいろ考えていく上でのスタートラインではないのかと思います。

そのために誰がどう伝えるかなのですが、これはメーカーと流通と両方が絡んでくるところで、なかなかその伝え方というのも難しいでしょうし、一事業者が伝えるというのも難しいところでしょうから、まさにそこは推進していただく消費者庁で、食品ロスのバックグラウンド、発生する基本的な背景というものを、しっかりと消費者に理解できるようにお伝えいただくということがまず一番大事なのではないか。それが、ここにお書きいただいている、消費者が他人事ではなくて自分事として考えていく、世の中の現実に起こっていることはこういうことなのだと知ることが、消費者が一番関心を持つきっかけだと思いますので、是非そこの取組にも力を入れていただきたいというお願いをしたいと思います。

○山本委員長 ありがとうございます。

更にいかがですか。

それでは、新川委員、お願いします。

○新川委員 特に専門的に詳しいわけではないのですが、少し気になりましたのが、3ページの、今、片山委員長代理からもありました、つなぐというところで、食品関連事業者と消費者をつなぐというときに、あくまでも生産と消費のつながり方が専ら意識されているような気がして、例えば11ページ目の「2 関連する施策との連携」ということで言うと、循環型社会形成法であるとか、あるいは食品回収、食育であるとか様々な他の施策では、むしろこうした物質の循環のような観点で物事を考えているというところがございます。

もちろん食品ロス削減法自体は食品ロスをなくすという守備範囲ではありますけれども、この循環の視点というのを欠いてしまうと、かなり食品ロス削減そのものの意味が、循環の側面を失ってしまうのではないかという危惧があって、この辺りはこれからの方針をお立てになるときに、どういうふうに位置付けていかれるのかちょっと気になったというのが1点目でございます。

2つ目は、今の問題とも関連をしますが、特に過剰除去の問題も含めてですけれども、廃棄ということ自体をさせないということも、食品ロス削減の重要な意義があるのではないかということで、例えば、これは地域特性もあるのですが、農村的な地域で市民の方々が運動しておられる例でいうと、生ごみを出さないという市民運動が全国各地で進んでいます。もちろん農村的な地域だからできるということはあるのですけれども、もう一方では、そうした運動の持っている意味とか、あるいはそもそも廃棄にしないというような社会の在り方というのも、この食品ロス削減の中でとても意味があるのではないかと思っております。

こうした観点は今回の議論の中では、余り焦点が当たっていないのかなと思いましたので、いかがかなと思って2つ目にお伺いをいたします。

3点目は、食品ロス削減について、本当にいろいろな担い手の方々に、幅広くそれぞれの目標を掲げて議論していただいているというところがあるのですが、その中で少しまとめて、例えば食品関連事業者といったような言い方になってしまっているところがあって、もう少しここは区分けをして、それぞれの事業形態等々、事業内容によって働きかけ方とか、努力義務であるとかといったようなことについて、書き込まれるという方向もあったのではないかと思っております。

具体的に言うと、例えば関連事業者で言えば、かなり大手の流通事業者や、あるいはそれぞれの事業者団体、そうしたところもこの食品ロスの削減に向けては、相当に努力をしておられるというところがございます。そういう業界団体やあるいは大手流通といったところの役割というのも、大変大きいのではないかと思っております。

それから、関連して言うと、市場も実は食ロスの大きな起因でもあるのですけれども、こういう公設市場を始めとして、全国たくさんの市場がありますけれども、こうしたところの管理、運営の中でこうした食ロスというのも、今後相当考えていただく余地があるのではないかと思っております。豊洲を思い起こしていただければ分かりやすいかと思います。

これは少し触れていただいてはいるのですが、もう一つ重要な担い手は、やはり学校、園、大学を含めてですが、こういうところは影響力が大きいので、給食の指導、食育指導で触れてはいただいていますけれど、もう少し積極的に位置付けをされていって、そうしたところでも、もちろんそれぞれの教育内容との関わりで限界はあろうかと思いますけれども、こうした食育プラス食ロス削減のようなところを、積極的にうたっていかれるというのも方向としてはあるのかなと思いながら話を聞いていました。

以上、大きく3点ぐらい、もしお考えがあればお伺いをしたいと思います。以上です。

○山本委員長 それでは、お願いいたします。

○消費者庁宮原消費者教育推進課長 ありがとうございます。

最初にございましたナッジですとか行動経済学の活用ということは、確かにこの分野はあり得るのかなとも思っておりますので、その辺りは現段階で何か具体的にあるかというのはなかなか辛いところがあるのですけれども、そういったところも頭に置きまして、今後進めていければと考えておるところでございます。

それから、持ち帰りの関係でございますけれども、今日お配りしたパワーポイントで言うと、6ページに「外食時の食べきりの啓発促進」という資料を付けてございます。おっしゃったとおり、衛生面はきちんとやっていかなくてはいけないということもございますし、また、飲食店の方々につきましては、やはりその後の事故だとかを考えて、なかなか積極的に取り組みづらいといったようなところもあろうかと思っております。

持ち帰りにつきましては、当然衛生面にきちんと留意をする。それこそ事業者と、持ち帰る側でしっかりコミュニケーションを取ってもらって注意事項を十分に理解してもらった上で、最後は持ち帰る側の自己責任でやっていただくことが重要だろうというようなことで、6ページに記載の食べきりガイドでも御紹介をしておりますけれども、やはりそれぞれの立場でそれぞれの懸念というものがあろうかと思いますので、そういったところも含めてよく勘案しながら、良い方向に進めていければと考えてございます。

それから、つなぐ視点という場合に、例えば商慣習のようなものについて、余り消費者は理解していないじゃないかという御意見だったかと思ってございまして、実はこの基本方針の中でも、食品関連事業者が商慣習の見直しですとか食品ロスの削減のためにどういう取組をしているのかというものが、きちんと消費者に伝わるようにしていこうといったようなことは幾つかの場面で書かせていただいておるところでございますけれども、御指摘があったように、事業者から積極的に発信をしていただくということも重要でございますし、また、国、関係省庁としての情報の発信の仕方というものも、工夫しなくてはいけないところはあろうかと思いますので、その辺りは十分に考えてやらせていただければと、考えているところでございます。

それから、物質循環の関係等で御質問いただいたところでございますけれども、この法律自体は恐らく循環ということで考えると、3Rのうち、「リデュース」に特に焦点を当てて、そのリデュースの中で、特に食べられるものはできるだけ廃棄しないということにフォーカスを当てた法律ということと思ってございます。

そういった中で、この法律で定められておりますような食品ロスの削減に取り組んでいくということを進め、かつ、それが難しいものについてはきちんとリサイクル等に回していくという視点も大事だということは、この中にも若干書かせていただいておりますけれども、食品ロスということにフォーカスを当てながらも、3R全体の中での位置付けというものもよく考えて進めていければと思ってございます。

また、それに関連しますけれども、やはり食べられるものはできるだけ廃棄しないというのがこの法律の趣旨かと思っておりますけれども、食品ロスの削減につきましては、地方自治体でも特に環境部局で熱心に取り組んでおられるところもございますし、環境部局等で生ごみ等に関して、やっておられる施策というものがあるのだろうと思っております。

そういった環境部局の施策の中でどういうふうに食品ロスの削減という取組も溶かし込まれているかといったことについても、我々としてもよくウォッチさせていただきまして、良い事例等あればよく広げていくといったようなことを考えてございます。

それから、各業態につきましては、確かに農林漁業者、製造、卸小売、外食という形でちょっと大雑把にくくらせていただいておりまして、これは基本方針という性格上、なかなかディテールに踏み込みづらいというところも正直あるのですけれども、今、分けたようなカテゴリーごとにそれぞれ十把一絡げにして良いのかというところは当然あろうかと思いますし、この業態で、この分野で特に光る取組をしているというようなものがもちろんあろうかと思いますので、そういったところも我々としてよく勉強させていただきまして、良い事例があれば広げていくですとか、生かしていくような形で取り組めばと考えてございます。

学校につきましても、この推進会議は文科大臣も入っていただいておりますので、文科省とも連携しながら、学校の場面でしっかり食品ロスの削減に向けた意識ですとか行動というものが広がるような取組というものを、文科省とも連携して進めさせていただければと考えてございます。

以上です。

○山本委員長 それでは、清水委員。

○清水委員 時間がないところ、すみません。

12ページの「3 食品ロスの削減目標等」のところなのですが、これは既存の数字がともに2000年比で2030年までの食品ロス量を半減させると出てしまっているのですが、今は2020年ですので、まずこの一文を見ると半減できるのかと思ってしまうのです。でも、もう環境省等の取組でやっている数字がありまして、現在の状況を少し丁寧に書いていただけると目標達成できるのかなと思うのですけれども、半減と書かれると無理なことを書かないでとか思ってしまうのです。

もう一つ、食品ロス問題を認知して削減に取り組む消費者の割合が80%と書かれています。これも現況を書いてもらうと、分かりやすいと思います。この目標達成まで、あと10年ですよね。余り現実的ではないように思います。そうではないデータをお持ちだと思うので、ここを書き加えていただけると良いかなと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○山本委員長 では、現況についてお願いします。

○消費者庁宮原消費者教育推進課長 書き込むところがいけるかどうかというのはありますけれども、こういう目標を書きますと、出発点が今どれぐらいなのだ、2000年の数値とは一体何なのといったような御疑問が出てこようかと思いますし、また、実は消費者の意識というものにつきましては、現在ですと、直近で71%という数字がございまして、これは何年か続けて調べているのですけれども、7割台にとどまっているというのが実情でございまして、そういった現状ですとか、そういった数字も意識をしながら、目標達成に向けて進めさせていただければと考えております。

○清水委員 ありがとうございます。

7割も知っていると思って広報されると、聞いた国民はびっくりして、ああ、私だけ知らないのかと思うので、効果的なPRになるのではないかと。

○生駒委員 ちなみに、フェアトレードもいまだに30%ぐらいの認知度なのです。国内で3割なのです。それが現実で、10%台を十何年もかけてここまで来たのです。食品ロスの知名度が7割ということですが、それがどういう意味合いの7割なのかを精密に分析した上で、広報する方法を考えたほうが良いですね。

○消費者庁宮原消費者教育推進課長 そういう意味では、7割知っているから雑になることなく、丁寧な広報というものを努めていければと考えております。

○山本委員長 どうぞ。

○片山委員長代理 もう一点だけ良いですか。

先ほどの関連で言い忘れたのですが、4ページ、5ページで、私はこの求められる役割と行動の1番に消費者が出て、農林漁業者、食品関連業者が2つ目に上がっているというのは正直読んで違和感がありました。

やはり一番大きいのは、食品関連事業者の取組であり、商慣習も含めて市場の在り方をいろいろ変えること。次に、消費者はそれを理解して自らの家庭における努力とともに、市場の取組を理解をした上、社会全体に対する働きかけも行っていくという流れで本当は行くべきではないかなと思ったのですが。御検討いただければと思います。

○消費者庁宮原消費者教育推進課長 これについてはいろいろ御意見がございまして、やはり消費者側から見てどちらが上かとか、事業者側から見てどうかという意見がなかなか一致しないところも正直あるのかなと、この議論をしていて思うところでございます。

どちらが先という議論をし始めるとなかなか難しいところがございまして、そこはみんなで取り組もうということでやらせていただいておりますので、これから順番というのはなかなか厳しいですけれども、この順番なのだから消費者のほうが重いということではなくて、それぞれ皆さんできることを取り組んでいきましょう、というような形で進めていければと考えております。

○山本委員長 ありがとうございました。

よろしいでしょうか。

今日は各委員から種々いろいろな意見を提示いただきました。

大きく言って5つぐらいあったかと思うのですが、1つは情報の提示、提供の仕方の工夫が必要であるという観点で、先ほどの消費期限、賞味期限の問題もそうですし、メディアとの連携の話もそうですし、それから、ナッジの活用という話もあったかと思います。最後の7割という数字を出すとどういう効果があるかというのも、一種のナッジの問題なのかと思いますけれども、そういった観点が1つございました。

2つ目には、特に消費者と事業者との間のコミュニケーションの重要性。これは片山委員長代理から御指摘がございましたけれども、商慣習がいろいろある。それが知られていない。あるいは、こう消費者が考えているだろうということを前提にして商慣習ができているようだけれども、実は消費者はそう考えていないといった問題がありますので、今後、コミュニケーションを密に取っていくことが、必要であろうと思います。

3つ目には、最後にも少し話が出ましたけれども、この施策を進めていく上で必要な調査あるいはアセスメントを十分していく必要があるだろうと。施策の効果の検証ということもあるでしょうし、あるいはこの施策が社会的にどういう意味を持つかということについて、広い視野から調査をしていくということも必要かと思います。

4番目は、少し細かい点かもしれませんけれども、事業者、あるいは食品関連事業者と言っても多種多様なものがあるので、これは基本的な方針の段階の問題というよりは、その執行段階の問題かとも思いますけれども、留意する必要があるだろうという点です。

第5に、一番難しい問題かと思いますけれども、他の施策との整合性を取っていく。あるいは、トレードオフがあり得るとすれば、それを克服していくということがあろうかと思います。まず、先ほどプラスチックごみの問題が出ましたけれども、環境保護との関係の問題です。

更に言うと、衛生の問題はこの中でも随分指摘されている点でございますけれども、その点には十分留意をしていく必要があると思います。これは突き詰めていきますと、確かに法的な責任の問題になり、実はかなり難しい問題があり得るところで、これは特にフードバンクとの関係で外国の事例の調査等を行って、更に検討を深めるとこの中でも書かれておりますけれども、ひょっとすると少し制度的な、あるいは法的な担保していく必要が、将来的にはあるかもしれない部分かと思います。

いずれにいたしましても、この基本方針の策定に当たりましては、本日のこの委員会の議論あるいは意見募集の結果も踏まえまして、それがより良いものになるように、また、実効的にこれが実現していくように、さらに消費者庁としても取り組んでいただければと思います。消費者委員会といたしましても、引き続きその状況を注視してまいりたいと思います。

消費者庁におかれましては、お忙しいところ、本日は審議に御協力いただきまして、どうもありがとうございました。

(消費者庁退席)


≪3.閉会≫

○山本委員長 それでは、本日の議題は以上です。事務局から、今後の予定について説明をお願いいたします。

○金子参事官 次回の会議につきましては、日程が決まったところで、消費者委員会のウェブサイト等でお知らせいたします。

なお、この後、委員間の打合せを行いますので、委員の皆様におかれましては委員室にお集まりいただければと思います。

以上です。

○山本委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございました。

(以上)