第315回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2020年1月30日(木)9:59~10:40

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    山本委員長、片山委員長代理、生駒委員、受田委員、大石委員、木村委員、清水委員、丸山委員
  • 【事務局】
    二之宮事務局長、金子参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 次期消費者基本計画案及び工程表策定に向けての意見について
  3. その他
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1.開会》

○山本委員長 それでは、ただいまから「消費者委員会」第315回本会議を開催いたします。

本日は、柄澤委員、新川委員が御欠席です。

それでは、配付資料の確認を事務局からお願いいたします。

○金子参事官 配付資料につきましては、議事次第の下部に一覧を記載してございます。もし不足等がございましたら、事務局までお申し出いただきますようにお願いいたします。


《2.次期消費者基本計画案及び工程表策定に向けての意見について》

○山本委員長 本日の最初の議題は「次期消費者基本計画案及び工程表策定に向けての意見について」です。

消費者基本法においては、消費者政策会議が行う「消費者基本計画」の検証・評価・監視について、それらの結果の取りまとめを行う際には、消費者委員会の意見を聞かなければならないとされております。

このため、消費者委員会におきましては、次期消費者基本計画について、平成30年9月に発出をした「次期消費者基本計画策定に向けた基本的な考え方についての意見」を始めとして、次期の基本計画策定に向けて留意すべき視点について累次指摘をするとともに、消費者庁から随時検討状況についてヒアリングを重ねてまいりました。また、昨年12月の委員会におきまして、個別施策についてもヒアリングを行うとともに、次期計画案について消費者庁からヒアリングを行っております。

本日は、これまでのヒアリング結果やこれまでに行った建議・提言その他の意見表明の内容等を踏まえ、次期消費者基本計画の案等に対する当委員会としての意見の取りまとめを行いたいと思います。

資料として意見案を配付しておりますので、事務局より説明をお願いいたします。

○金子参事官 それでは、資料1に基づきまして順次説明をさせていただきます。

1ページ目、前文でございますけれども、先ほど委員長からお話がありましたとおり、これまでの検討状況のヒアリング等を踏まえて、次期計画等で特に留意すべき事項、具体的に検討すべき課題についてまとめたので、可能な限り次期計画の原案に反映してほしいということ。また、今後別途策定される工程表素案に関しても、状況に応じ、更なる意見を表明することがあり得ることについて言及をしています。

内容ですけれども、まず第1として書いてございますのが計画に反映が必要な事項ということで、1.計画全般ということで、例えば1章のこれまでの経緯等で触れられているようなものなども含めて、全般に関わることを述べています。順次説明しますと、最初が消費者庁・消費者委員会設置とその後の10年間の政策の展開というところで、これまでの委員会の調査審議や建議等についても言及されたいということ。消費者契約法の改正に係る言及のところで「主として若年者に発生している」と書いてあるわけでございますけれども、法改正の経緯を踏まえますと、その部分は不要ではないかということ。また、文中で幾つか「ぜい弱化」という言葉が出てくるわけなのですけれども、「ぜい弱性」についてはその状況に応じて一時的になるものとか、様々なものがあるので、表現を丁寧にしたほうが良いだろうということ。SDGsについては、消費者政策の取組の全体をふかんした記載が必要ではないかということ。「連携」「協働」といった言葉が幾つか出てくるわけなのですけれども、これについてできる限り具体的に記載してほしいということについて述べています。

2.のところ、第3章の基本方針に関わることでございます。まず最初、コミュニティの形成における行政の役割については、自助、共助の視点に加えて公助、行政の役割というのも明記すべきではないかということ。消費者志向経営については、推進に向けた方策やフォローアップの取組といったものも含めて中長期的な視点が必要ではないかということ。協働を支える地域の枠組みについては、消費者団体との協働の在り方であるとか、多様な主体との協働における行政の役割について言及すべきであるということについて触れています。

3ページ目、3.の第4章に関わる部分、情報、人材といった行政基盤に言及している部分でございますけれども、最初の情報については、PIO-NETについて、例えば消費者行政の情報基盤の整備における国の役割等について触れるべきではないかということ。人材については、専門人材のプレゼンスの向上に向けた今後の取組の方向性について記載すべきであること。地方消費者行政の強化であるとか、その重要性についても更なる記載が必要であること。消費者庁の司令塔機能については、例えば取引の多様化・複雑化・国際化等を踏まえて、制度整備などにスピード感を持って取り組むべきこと、そういったことについて触れているところでございます。

4ページ目、個別施策、第5章に関わる部分でございますけれども、食品の安全については、トレーサビリティの整備に向けた取組、消費者事故の発生・拡大・再発防止に向けた取組としては、これまでの調査分析で得られた知見の活用、職員の資質向上。また、情報提供については、行動経済学の知見等も活用しながら取り組むべきであること。(3)被害回復・救済に向けた取組としては、そういった被害回復・救済制度の利用促進に向けた取組について。苦情処理、紛争解決に関しては、消費者裁判手続特例法の施行後3年後見直しの時期を踏まえて、制度の見直しを含めた今後の方向性について言及すべきこと。

5ページ目、(5)に移りますけれども、パーソナルデータを含むビッグデータに関しては、個人を識別できる情報の管理に関することであるとか、情報銀行の今後の在り方について明確な記載が必要ではないかということ。消費者教育については、消費者が主体的に取り組んでいくといった視点であるとか、あるいは多様な主体の連携において消費生活センターの役割であるとか、そういったことを具体的に書くべきであること。(7)の啓発活動については、アウトカム指標をどのように設定するかなど、基本的な方向性について記載が必要であるということについて述べています。

第2として、これは今後検討されることになる工程表の策定に当たって、現段階で我々としてあらかじめ言及しておくべきことについて触れているところでございます。1.については全体的な事項を述べているわけでございますけれども、新規施策についても積極的に反映してほしいこと。6ページ目、(2)のKPIについては、指標の見直し、アウトカム指標の追加といったもの、それも含めて不断の見直しを図ってもらいたいということ。また、年表については、具体的な取組ごとに期限を明確に設定した上で記載すべきであることについて述べています。

2.の個々の具体的な施策の記載について述べるところでございますけれども、(1)については、事故情報の収集、注意喚起に関することでございますが、平成29年に当委員会が発出した提言等も踏まえた中長期的な取組スケジュール。(2)の「販売預託商法」については、昨年に発出した建議及び意見を踏まえた法制度、法執行の在り方についての検討。

次のページ、(3)消費者契約法の見直しについては、29年の我々の答申であるとか、法改正時の附帯決議を踏まえた今後の取組スケジュールについて。(4)の与信審査のところといたしましては、先般も議論いたしましたけれども、割賦販売法の改正の議論もございますが、AI等の技術・データの活用についてであるとか、消費者保護の取組、過剰与信の防止等に向けた今後の取組について。(5)身元保証等高齢サポート事業についても、過去の意見も踏まえた検討状況について。(6)の食品表示については、食品表示の活用に向けた取組であるとか、今後全面施行が予定されている加工食品の原料原産地表示制度、遺伝子組換え食品の表示の制度について、更なる消費者への普及についての取組について。(7)の環境保全に向けた消費者の役割としては、電力やガスの小売自由化なども踏まえつつ、循環型社会や脱炭素社会の実現に向けた消費者への情報提供等の取組について。

また、最後の8ページに移っていただきますと、プラットフォームが介在する取引についてでございますけれども、昨年の我々の提言を踏まえた具体的な取組について言及をすべきことを述べているところでございます。

説明は以上でございます。

○山本委員長 それでは、ただいまの説明に関しまして、御質問、御意見のある方はお願いをしたいと思います。既に委員間ではいろいろ議論をしておりますので、質問というよりはそれぞれの記載に関して、更に委員の方が思うところがいろいろあると思いますので、主にはそれを伺いたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

清水委員、お願いします。

○清水委員 ありがとうございます。

早速ですけれども、基本計画の18ページの4章の(1)情報のところで、意見書は3ページ、3.行政基盤の(1)情報基盤の整備、そこの4行目から5行目で大きな役割を果たしていることに加え、国における法令、消費者への情報提供等において基盤をなすものであるとPIO-NETの件について書かれていますが、私ども現場の相談員は、PIO-NETは消費者行政の根幹だと思っています。ここのところは委員間の打合せで言葉の意味はほぼ同じということで認識しておりますが、現場の相談員が根幹だと思って仕事をしていることを紹介させていただきます。

もう一点は、意見書の5ページの(6)消費者教育の推進というところなのですが、5行目に「消費生活センターや関連機関と連携し」と書いてありますが、ここも私たち消費生活センターで働く者にとっては、消費生活センターは消費者教育の核となると思っておりますので、意見として発表させていただきました。ありがとうございます。

○山本委員長 ありがとうございます。他にいかがでしょうか。

受田委員、お願いします。

○受田委員 この意見案に関しては全く異論はございません。

その中で、特に2ページ目に2.がありまして、政策の基本方針に関する事項、ここの(1)にコミュニティの形成等における行政の役割が意見として発出をされています。今後、消費者基本計画を具体的な工程表に落とし込んでいくときに、コミュニティというものがどういう位置付けになるかは、是非具体的に描いていただきたいと思っています。ここの意見としてはコミュニティの形成としておりますけれども、今、パブリックコメントに供された案に関しては、いろいろなところに「地域コミュニティの衰退」という言葉が出てきます。一方で衰退が懸念されていてそれを維持することの重要性が叫ばれている中、一方で形成に関してどう考えていくか、ここは今後整理が必要であると。

もう一点、地域コミュニティとはという定義の部分です。この部分が非常に曖昧模糊としているために、今後工程表に落とし込んでいったときに何を目指していったら良いかという視点が欠落しがちだと思います。本来であれば情報の非対称が消費者と事業者の間で起こっている、これをある界面である地域コミュニティがスムーズな受渡しをすることによって非対称性を解消していくということがもともとの狙いではないかと思います。そういう意味でコミュニティの衰退というのは一体コミュニティをどう定義するか。それによってもともと形成であったり、衰退の予防であったり、ここをKPIに落とし込んでいくことができるかできないかというところで岐路に立たされる。そういう意味で、ここのコミュニティという言葉が非常に重要であるということを、ここで発言をさせていただきたいと思います。

○山本委員長 ありがとうございます。

そのほかにいかがでしょうか。

丸山委員、お願いします。

○丸山委員 私もまずこの案については異論がないところでございます。

委員としまして意見を持っていた点としましては、まず案の4ページ、具体的な基本計画で言いますところの16ページから17ページの国際化に関して、国際化、デジタル化社会において国際連携というものを打ち出していただいたことには、委員としてすごく注目しております。経験を踏まえますと、問題を起こす国との連携が非常に困難だったという歴史があると思いますので、そういったところは意識しましてスピード感を持って国際連携を実施していただけると、ネットトラブルなどの解決にも結び付くのではないかと思っています。

2点目としましては、案の4ページ、基本計画で言うところの24ページになります。被害回復や救済、あるいは被害の拡大・再発防止に関連してなのですけれども、預託法については具体的に検討していただくということなのですが、悪質、重大な事件については隙間を作らない執行が重要で、果たして現在の消費者安全法で足りるのかという問題意識は常にあります。また、破産事案に関しましては、例えば消費者の債権に優先権を与えるといった、いろいろな形での議論は幾つか可能だと思います。この辺りの取組につきまして検討ということでも構いませんので、具体的な検討を予定していただくと委員としては有り難いという意見を持っておりました。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

そのほかにいかがでしょうか。

生駒委員、お願いします。

○生駒委員 私もこの意見に関しましては基本的には賛同しておりますが、中でも2ページ目の「SDGsの達成のためには」という一文がありますが、例えば、この基本計画の中の消費者基本計画について、第1章のところがありますが、1、2、3とありまして、3番目が「新たな消費者基本計画の策定」と書かれています。これは現状と未来ですね。ここにも意見として書かれていますが、SDGsは消費者政策の取組の全体をふかんしている、全てを覆い尽くしている、2015年に国連で採択されてからは社会全体の課題に対してアクションを起こす、そういう施策だと思っていますが、正しくこの消費者基本計画においても大きな傘ができたと感じていますので、そういった視点を消費者基本計画の中に盛り込むべきではないかと思っております。

例えばこの「新たな消費者基本計画の策定」、私はもともと編集経験者なものですから、タイトルは非常に重要なものですから、「SDGsに基づいた新たな消費者基本計画の策定」といったことも考えられます。しかも、この3項ページ目は、現在から未来に向かう項目だと思いますので、こういった全体をふかんする部分で是非SDGsの概念を消費者基本計画としてしっかりと受け止めて、解釈して、応用していくような、そういった姿勢を持っている計画であるということをここで指し示すべきではないかと考えております。

○山本委員長 ありがとうございます。

片山委員長代理、お願いします。

○片山委員長代理 私もこの意見については異論のないところであります。ただ、いろいろな議論をしている中で私の一委員の思いとしてもう少し述べさせていただきたいことがありますので、お話をさせていただきます。

意見書の3ページの消費者庁の司令塔機能の発揮というところに関連するかと思うのですが、今回の基本計画の中で「消費者が主役となる社会」を目指すというのは明確に書かれているのですが、消費者、生活者視点に立った消費者行政を行うというところが多分一言も入っていない。その点に少し引っ掛かりを感じています。

消費者庁が発足するときに強く言われたのは、消費者庁というのは正に消費者、生活者視点に立った行政に転換していく、そのための司令塔機能を果たしていくことが強く求められたということではないかと思います。私自身も弁護士として現場でいろいろな集団被害などにも接してきていますけれども、消費者、生活者あるいはその被害者の視点に立って起こっている被害、事故を見ないと、本当の意味での事故や事件の本質は見えてこないのです。そのためにも政策全般もそうですし、個々の政策を実行していく場面においても常に消費者、生活者の視点を持つ。そして、根本原因を究明して必要な施策を執行や法整備を含めてスピード感を持ってやっていくことが、政策全般として一番重要なのではないかと思っています。正に司令塔の役割を果たすのは消費者庁だと思いますので、その思いをもう一度ここで述べさせていただきたいと思います。

もう一点、消費者安全、消費者事故の関係ですが、これについては重点的な施策の推進、第5章のところで非常に詳しく書いていただいています。ただ、この委員会からも「事故情報の更なる活用に向けた提言」が既に出ていますので、工程表を作成していただく段階で、それも踏まえてより具体的に記載をしていただきたいと思っています。

特にポイントとなるのは事故情報の更なる収集というところで、例えば誤使用案件とか、消費者からしか上がってこない、だけれども消費者が上げにくい事件、実はそれが事故の本質でもあるわけですけれども、まだまだ上がってきていない事故情報があるということへの対応が大事だと思います。

それから、原因究明をした後の未然防止に向けたいろいろな情報を水平展開していって、その製品だけではなくて他の同種、あるいは似たような問題を起こしがちな事件と製品への水平展開をしていくなど、それをどうやって進めていくのかという具体的なところを、工程表を作成する段階では更に御検討いただきたいと思っています。

以上、2点です。

○山本委員長 ありがとうございます。

そのほかにいかがでしょうか。

大石委員、お願いします。

○大石委員 ありがとうございます。

基本的に今回取りまとめていただいた方向でお願いできればと思っております。加えまして、私の思いということで2点ほどお話ししたいと思います。

先ほど丸山委員がおっしゃってくださいました4ページの4.(3)被害回復・救済に向けた取組ということで「ぜい弱性」の話も出てきておりましたが、今回の計画の中で実際に被害に遭われている方の救済に向けた取組が少ないのではないかと感じておりますので、是非ここの被害回復・救済への取組部分は入れていただきたいというのが一点です。

ぜい弱な消費者は救済されるべきなのですが、もう1点、そうは言いつつ、消費者が逆に社会に積極的に関わっていくことによって社会を変えられるのが消費者市民社会であると思っております。その一つとして、例えば気候変動などに対する消費者の取組も必要だと思っております。先ほど生駒委員もおっしゃいましたけれども、SDGsにはいろいろな目標がある中で、気候変動対策も喫緊の課題であり、世界を見れば若者たちが大人は気候変動の責任をどう考えているのかと、声も上げているのが現状です。私たちは消費者として、国民としてしっかり考えて取り組んでいかなければいけない、今、とても重要な時点だと思っております。そういう意味で、先ほどの御説明にもありましたけれども、意見の7ページの(7)に書いていただいたように、この5年の間に電力やガスが自由化することによって私たちは例えば、再生可能エネルギーの電気なども選べるようになってきているわけで、自分たちの消費行動の中で積極的に関われる部分については是非きちんと情報提供を行って、消費者が関われるような計画にしていただきたいと思い提案させていただきました。ということで、この点を加えていただいたことを大変有り難く思っております。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

木村委員、お願いします。

○木村委員 ありがとうございます。

いろいろな意見を盛り込んでいただいて、ありがとうございます。私からは意見書の4ページになると思うのですけれども、消費者庁の司令塔機能に関して、基本計画の20ページにも書いてあるのですが、法整備について弱いと感じております。消費者庁ができることは司令塔、エンジン役として各府省庁の縦割りを越えてというところは、本当に消費者庁がなぜあるべきかという根幹的なことだと思いますので、そこをもう少しきちんと強調していただくことを望んでおります。

法整備についてなのですけれども、例えば執行、周知だけではなくて、例を申しますと24ページのマル1のところなのですが、特商法や預託法の厳正な執行や関係法令の周知を行うことでうんぬんとあるのですけれども、それだけではなくて、きちんと法整備を行うことを明確に書いていただきたいと思っております。その下、30行目に「必要な措置を講ずる」とは書いてあるのですけれども、そこは曖昧さを感じますので、私としては不満を感じるところです。

同様に意見の5ページの(5)パーソナルデータを含むビッグデータの適切な管理と効果的な活用というところなのですけれども、こちらも省庁間や恐らく省内の壁があると思うのですが、そういうものを消費者庁が是非取り払って検討していただきたいと思います。利用者が安全・安心にできるようなデータ管理であるべきだと思いますし、それは利活用だけではなくて、本当に安心・安全に使うためには管理は重要なことですので、きちんと明記していただきたいと思いますし、今後工程表に書いていただくときにも期待しております。

もう一点、4ページに戻りますが、4.の個別政策の(1)食品安全の確保のところですが、消費者が表示を見て安全・安心に商品を選択できるように、是非トレーサビリティの整備というところをきちんと盛り込んでいただきたいと思います。実は食品だけに限らず、いろいろなことに関して今後トレーサビリティは重要になってくると思いますので、是非盛り込んでいただきたいと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

一通り御意見をいただきましたけれども、何か追加をすることはございますでしょうか。よろしいでしょうか。

ありがとうございます。

私からは、今日御欠席の新川委員が行政学の御専門で、私は行政法の専門であるということから1つだけ申し上げますと、地方消費者行政の問題に関して3ページの(3)のところに書かれております。これは何度も申し上げていることですけれども、確かに地方公共団体がそれぞれ我が事と思って取り組んでいただくことは是非とも必要なのですが、しかし、現在消費者行政に限らず、地方公共団体がそれぞれ自前で全てのことをやっていくことが極めて難しい状況になっていることは押さえなくてはいけないと思います。その際に、一つは市町村に対する都道府県の役割ということもございますし、地方公共団体に対する国の役割も再度考えていかなくてはいけない状況になっていると思います。今回の意見におきましても、そのことを3ページの(3)のところに表したつもりです。

よろしいでしょうか。

ありがとうございます。

それでは、この意見案につきましては皆様の御了解をいただいたということで、消費者庁長官及び関係省庁宛てに送付したいと思います。

《3.その他》

○山本委員長 続きまして「その他」ですけれども、消費者委員会に寄せられた意見等の概況について、事務局から説明をお願いいたします。

○金子参事官 それでは、お手元の参考資料1に基づきまして御説明をいたします。

これは3カ月おきにその都度まとまった消費者委員会に寄せられた要望書・意見書・声明文等を御紹介しているものでございますけれども、今回は昨年10月1日から12月31日までに寄せられたものを御紹介するということでございます。

合わせて12件ございました。その内訳を申し上げますと、最初のページ、取引・契約関係のものが6件ということで、その中で特に冒頭、クレジットの過剰与信の規制の緩和に反対するという意見について、同種のものが3件ございました。その下、消費者契約法の改正に向けた専門技術的側面の研究会報告書に関する意見についても1件、また2ページ目に移っていただきまして、販売預託商法に関わるものが2件ございました。

3ページ目、食品表示関係で1件ということで、ゲノム編集技術等を使った食品の安全性審査と表示の義務化に関する意見が1件、その下、消費者安全に関しては、はしかワクチンに関わるテレビ番組に関しての意見を、その放送局に出されたものを参考送付で我々にも送られたものでございます。その下、地方消費者行政に関しては、その充実・強化のための要望ということで2件、その下、公益通報者保護制度については、その改正を求める意見ということで2件いただいているということでございます。

説明は以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、ただいまの説明につきまして御意見等のある方はお願いをいたします。いかがでしょうか。

清水委員、お願いします。

○清水委員 ありがとうございます。

こちらの意見の預託法のところです。2ページ、12月3日と12月20日に寄せられてきた意見について是非ともと思い、発言させていただきます。

まず、ジャパンライフの被害弁護団連絡会から出ている御意見で、大型消費者被害が引き続き起こっているということで、次から次へと同じような事案が現場でもあります。ジャパンライフという名前が出ていますので、私が4~5年前に相談の現場でどんな思いをしたかを発表させていただきたいと思います。

相談員は守秘義務がありますので、当然、当時はまだジャパンライフという名前を言えませんでした。相談者からはお問合せという形での相談でした。友達を勧誘したらそんなうまい話はないからやめろと言われて相談者は怒られた、相談員はどう思いますかと質問され、パンフレットを持ってきました。そのパンフレットに大物政治家の写真が載っていました。パンフレットのみを信じないようにと言ったら相談者が逆上しまして、あんたは政治家を知らんのかと言われました。知っているのか知っていないのかが問題ではない、ただ、この手口が問題だと。この会社が問題であるというのは、相談員としては当時の段階では言えない。勧誘の仕方、資金の運用の仕方が問題で、破綻必至の商法であると言ったのですが、その相談者の方は何を言っているのだと。損失が出てもちゃんと補填してくれて、ずっともうかっている、ただ、出資したお金よりまだ全部は回収していないけれども様子を見たいということで、1時間以上説得したのですが、相談員というのは決まり切ったうまい話はないということで言っているだけだみたいに言われた苦い思いがあります。

そういうことからすると、12月20日の先物取引被害全国研究会の事務局長の加藤先生が出されていますように、2の(2)で登録制を導入することと、(3)の投資取引という本質に即した規制ということで、やはり相談の現場では広告規制が絶対に必要である、後は損失補填の禁止、適合性の原則というところ、特に現場からはそう思いますので、この意見に賛同したいと思います。ありがとうございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

そのほかにいかがでしょうか。

受田委員、お願いします。

○受田委員 食品表示関係で、2枚目の一番上にゲノム編集の食品に関する安全性審査と表示の義務化を求めるという御意見が寄せられています。これに関して一言だけコメントしておきたいと思います。

前回もお話ししましたけれども、ゲノム編集食品の表示に関して、自主的・合理的選択の機会の確保並びに安全性の確保という点から、消費者の皆様が表示を求めているという声は周知をしております。現時点では科学的検証の仕組み、これが表示の根幹をなすということでございますので、表示の義務化に関しては現在制度化されていません。この点を要望を踏まえてどう解決に導いていくかということに関しては、1つ目の議題でありました消費者基本計画の中にも要望、意見として発出するトレーサビリティをどう確立するか、もっと言うと、科学的検証のみならず、社会的検証の仕組みをいかに盤石に講じていくかというところに全てがかかってまいります。そういう意味で、こういった意見については、先ほどの消費者基本計画に対して本委員会が意見を発出しているというところをもって、今、十分に対応を検討している状況であることを説明を申し上げておきたいと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

そのほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

この委員会に寄せられた意見書・要望書等につきましては、今後とも全委員で情報共有をし、定期的に委員間で意見交換を行う機会を作っていきたいと思います。

今、御発言がございましたし、他の意見もそうなのですけれども、これから、あるいは現在消費者委員会で取り組んでいるテーマをいろいろ御指摘いただいておりますので、こういった御意見も参考にして、委員会としても取り組んでいきたいと考えています。

次に、食品表示部会から報告事項がございます。

受田部会長からお願いをいたします。

○受田委員 それでは、食品表示基準の一部改正に係る答申について、私から御報告をさせていただきます。

令和2年1月23日に開催をいたしました第58回食品表示部会の議決について、食品表示部会設置・運営規程第7条に基づき、委員長の同意を得て、委員会の議決とし、1月27日付で内閣総理大臣へ答申を行いました。

参考資料2の答申書を御覧ください。内閣総理大臣より諮問を受けた指定成分等含有食品表示、生水牛乳表示、農産物漬物の内容量表示、精米年月日表示及び栄養強調表示に係る食品表示基準の一部改正については、諮問案のとおりとすることが適当であるとされました。

私からの報告は以上でございます。


《4.閉会》

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、本日の議題は以上になります。

最後に事務局から今後の予定について説明をお願いいたします。

○金子参事官 次回の本会議につきましては、日程が決まり次第、委員会のウェブサイトを通じてお知らせをいたします。

なお、この後、委員間打合せを行いますので、委員の皆様におかれましては、委員室にお集まりいただきますようにお願いいたします。

○山本委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)