第314回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2020年1月24日(金)9:30~10:44

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    山本委員長、片山委員長代理、大石委員、柄澤委員、木村委員、清水委員、新川委員
  • 【説明者】
    経済産業省商務情報政策局商務・サービスグループ正田商取引監督課長
  • 【事務局】
    二之宮事務局長、福島審議官、金子参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 産業構造審議会商務流通情報分科会割賦販売小委員会最終報告書について
  3. その他
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1.開会》

○山本委員長 それでは、時間ですので開始をいたします。皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから消費者委員会第314回本会議を開催いたします。

本日は、生駒委員、受田委員、丸山委員が御欠席です。

それでは、配付資料の確認を事務局からお願いいたします。

○金子参事官 配付資料につきましては、議事次第の下部に一覧を記載してございます。もし不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますようにお願いいたします。


《2.産業構造審議会商務流通情報分科会割賦販売小委員会最終報告書について》

○山本委員長 それでは、本日の最初の議題は、「産業構造審議会商務流通情報分科会割賦販売小委員会最終報告書について」です。

本件につきましては、昨年5月に産業構造審議会商務流通情報分科会割賦販売小委員会における中間整理が公表されたことを受けまして、当委員会は同年6月の第299回委員会におきまして、同中間整理についてヒアリングを行いまして、そのヒアリング結果等を踏まえ、昨年8月に「産業構造審議会商務流通情報分科会割賦販売小委員会中間整理についての意見」を発出したところです。

その後、経済産業省におきまして、中間整理の内容を基に検討が重ねられ、昨年12月に最終報告書が取りまとめられたとのことですので、本日はその内容につきまして経済産業省から御説明をいただき、意見交換を行いたいと存じます。

本日は経済産業省商務・サービスグループ正田商取引監督課長にお越しをいただいております。お忙しいところを御出席いただきまして、ありがとうございます。

それでは、恐縮ですけれども、20分程度で御説明をお願いいたします。

○経済産業省商務情報政策局商務・サービスグループ正田商取引監督課長 経済産業省の正田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

では、早速お手元のこの「割賦販売小委員会報告書の概要」という資料に沿って御説明を申し上げたいと思います。御承知の方も多々いらっしゃるかとは思うのですけれども、御承知でない部分もあろうかと思いますので、基本的な部分も含めて御説明を申し上げることになろうかと思ってございます。

まず見開いていただきまして「割賦販売法制を巡る環境変化と基本的な考え方」として、今回の小委員会でどのように考えていくかということでございます。

2ページ目でございますが、皆様御承知のとおりICTの進展ということで、スマホ、クラウドサービス、AI、ビッグデータ、ブロックチェーン、あるいはQRコード、生体認証、こういった基礎的なICT技術が発達する中で、決済分野においても決済テクノロジーが非常に高度化するという状況がございます。このために、右下のところですが、非常に決済サービスあるいは決済を行う主体が多様化しているということでございます。様々な決済サービスが出ていることについては、皆様御承知のとおりだと思います。ここにもいろいろロゴがございます。それから、今まで決済とは余り関係がなかった業種、IT系、SNS系、ECモール系、あるいは携帯キャリア、コンビニといったところまで含めて決済の分野に参入し、この決済主体が多様化している。こういった事態があるということでございます。

3ページ目、その際にどのように考えていったら良いかということでございます。基本的な考え方を書かせていただいておりますが、まず真ん中の3ポツでございます。適切な消費者保護、これは大前提ではございますけれども、他方で、利用者が多様な決済手段を円滑に利用できる環境を整備すること、これもまた大切なことでございます。そういった中ではこのテクノロジー、技術革新といったものが適切に取り込めるような柔軟な規制の枠組みが必要ではないか。繰り返しになりますが、当然その際には消費者保護は前提だということは認識しているところでございます。こういった形でテクノロジー、技術を用いていくことによって、より消費者保護を精緻化していくということ、そういった中でリスクベース・アプローチや性能規定といった考え方も含めて柔軟な規制の枠組みを考えてどうかといったことでございます。

一番下の行のところですが、規制の内容や目的自体をどうこうするということではなくて、あくまでもリスクに見合ったものとするということであって、これは単なる規制の緩和を行うものではないということで、これは役所が書いた文章ではなくて、審議会で委員の先生から御意見があり、これについては強調すべきだと弁護士の先生からも御意見があり、学者の先生からまず御意見があった、それに対して弁護士先生からもこの点は強調すべきだということで整理したというものでございます。

その後でございますが、御指摘もありましたが、4ページ目で、成長戦略の6月の閣議決定がございました。この中では割賦販売法の与信審査における性能規定の導入など、FinTech企業を始めとした決済事業者の円滑な事業展開を可能とする仕組みを導入することが閣議決定されている状況でございます。

他方で5ページ目でございますけれども、先ほど御指摘いただきました消費者委員会からの意見書を8月にいただいております。ここでのポイントは、まず幾つか検討事項があるわけですが、与信審査規制について、現在支払可能見込額調査という調査があるわけでございますけれども、これは年収をベースにした与信審査の形でございます。これを今回技術・データを用いた与信審査に置き換えることも許容すべきではないか、こういう議論をしたわけでございます。その際、技術・データを活用した与信審査の事前・事後チェックをしっかりやるべきではないかということ、この適正性を確保するための事前のチェック、事後のチェックをきちんとやるべきではないかというのが1点。

それから、現在の支払可能見込額調査と言われる与信規制におきましては、指定信用情報機関における信用情報を使用する義務がございます。これは法定されておりまして、使用しなければならないと条文に書いてあるわけでございます。この人がクレジット債務をどのぐらい持っているか、あるいは延滞がどれくらい起こっているか、こういう情報は指定信用情報機関、CICというところですが、こちらに全て集約されているわけでございます。この信用情報を使用することに現行法はなっているわけですが、仮に技術・データを用いた与信審査を許容する場合にもこの使用義務は維持すべきではないかという議論もあり、あるいは技術・データでも与信ができてしまうのであれば使用義務を引き続き課す必要はないのではないかといった議論があるわけでございます。この中間整理では、技術・データを活用した与信審査で支払能力が算定されてしまう場合、判断されてしまう場合には使用義務を課さなくて良いのではないかという議論をしたわけでございますが、消費者委員会からは、ここにございますが、この指定信用情報機関の信用情報の使用義務について段階的に緩和する方法を検討してはどうか、こういうことを御指摘いただきました。

また、大きなところとしては2番目の少額・低リスクサービス、これはFinTechを中心に今までのような何十万円というクレジットカードの後払いサービスではない後払いサービスが出てきている中で非常に少額なものでございますけれども、中間整理では、こういう事業者については指定信用情報機関への信用情報の登録義務、これは現行法で課されているわけですが、この登録義務を課す必要はないのではないかという議論をしたのですけれども、これについても慎重に検討すべきではないかという御指摘をいただきました。

また、この指定信用情報機関の運用・システムの在り方を検証・改善することによって、指定信用情報機関の信用情報の使用・登録義務という点については対応できるのではないか。主にはこういった論点をいただいているということでございます。

まず、我々が検討した四つぐらいの柱があるのですけれども、1点目が7ページ目からの「リスクベース・アプローチ」でございます。

簡単に申し上げてしまいましたので、8ページ目でございますが、まず左側の例を見ていただきますと、少額・低リスクの後払いサービスが出てきている。今までのクレジットカード会社が営むような何十万円といった限度額ではなくて数千円や数万円という範囲での極度額を設定し、与信審査についてはその人の購買履歴、支払った履歴といったもの、あるいは今キャリア決済と言われておりますが、携帯キャリアがこの人はきちんと携帯代を払ったかどうか、そういうデータを基に、例えばこの人には5,000円ならば5,000円、7,000円ならば7,000円というのを与信して良いかどうか、こういったサービスを行い始めているわけでございます。こういうものをインターネットを介して、特には使途としては宝石とか何かを買うという話ではなく、趣味、雑貨、衣類、日用品などの非常に安価な商品・サービスを購入する後払いの仕組みが出てきているということでございます。御承知かもしれませんが、割賦販売法におきましては翌月払いというマンスリークリアと言われるものについては適用の対象外でございまして、現在はこういった後払いのサービスは、ほぼマンスリークリアと言われる翌月払いの形での少額の低リスクサービスが出てきているということでございます。

こういったものについて、一番下のところにございますけれども、こういった事業を円滑化することは、消費者自身の利便性を向上させる面がございます。そういった中で2か月を超えて、あるいはリボ払いをするという割賦販売法の適用の対象になる少額・低リスクサービス、後払いサービスについて、何十万円も限度額を設定しているわけではない中で、数千円、数万円という世界でございます。かつ与信については先ほど申し上げたようにビッグデータ・AIなどを使って与信管理をきちんとしている。こういうこともございますので、そこのリスクを見て、リスクに応じた相応の規制を比例原則に基づいて課すということはどうかということでございます。

9ページ目、今の規制体系でございますけれども、非常に重い義務がかかってございます。支払可能見込額調査と言われる与信規制であるとか、先ほど申し上げたその際の指定信用情報機関の信用情報の使用義務、書面交付の義務、苦情処理、クレジットカード番号等の適切管理ということでセキュリティ対策、その他、間には抗弁の接続など民事ルールはございますけれども、そのほかにも純資産要件、資本要件、体制整備をする、反社の問題、ここにはありませんけれども個人情報保護の問題、非常に重い義務がかかっている。

こういう中で10ページ目、リスクベース・アプローチということで、ここに「少額・低リスクの後払いサービス」と赤く書いてございますけれども、単に少額ということだけではなくて、ビッグデータ・AI等の技術・データを用いた高度な与信管理ができる方について、それは非常に限られた方だと思いますけれども、そういった方々を新たに「少額包括信用購入あっせん業者」という形で位置付けて、この方々については、特に担い手はFinTechが中心になると思いますので、その特性を踏まえまして一定の規制の見直しをするということでございます。

規制の見直しの項目がその下に書かれております。このポイントは、消費者保護に関する根幹になるような規定のところは、非常に保守的に考えるべきだろうということでございます。例えばクレジットカード番号等の適切管理であるセキュリティや苦情の処理の問題、そういった消費者保護の根幹に当たるような問題については、少なくとも今の時点ではしっかり堅持しなければいけないだろうということでございます。他方で、ここにございます純資産要件、資本要件といったものについては、法律上は消費者保護というより加盟店を保護する規定でございます。クレジットカード会社が潰れてしまっては、立替払をしてもらう加盟店は困ってしまうわけです。

この点については、例えば純資産要件についてはこれをやめてしまうということではなくて、具体的な制度措置ということで真ん中に書いてありますが、満たし方を柔軟にするということで、例えばグループ全体で満たして良い、あるいは事業開始から5年以内に要件を満たすといった、右側にFinTechのビジネス特性を書いてございますけれども、そういったものを踏まえながら満たし方を柔軟にしてはどうか。あるいは資本金要件については、さすがに最低資本金制度もなくなった中でここにどれだけ意味があるのかということで、例えばこの登録要件としては資本要件を課さないということ。与信の審査の在り方は、当然のことながら定義上少額・低リスクの後払いサービスはビッグデータ・AI等を用いた高度な与信管理をするということですので、支払可能見込額調査に代えて、こういった技術・データを用いた与信審査をしていただく。

もう1点、これは消費者保護と連関するところですが、契約解除の前に催告を行うことになっていますが、今は法定で20日以上ということに法律に明文で書かれているのですが、これは少し長いだろうということでございます。例えば右側にございますが、貸金業法ではこの猶予と言いますか、催告期間が存在しません。他方で、民法では「相当の期間」となっていますが、判例・通説では3日程度とされています。そういった中で割賦販売法だけ20日という非常に長い期間がとられておりますので、これを7日から8日としてはどうか。審議会での弁護士の先生などの意見でも1週間程度は必要だろうという御意見がございましたので、こういうことで審議会としては委員の方々での合意があると思っております。

そのほかに「非法律事項」と書いてありますが、法改正事項ではないものとして社内体制の整備など、少しやり方を合理化してはどうかということでございます。

大きな2番目の話題として12ページ目「与信審査における性能規定の導入」ということで、13ページ目ですが、御承知のとおり、左側のところに「包括支払可能見込額」と書かれておりますが、年収と場合によっては預貯金を足して、クレジット債務を引いて生活維持費を引く。これによって与信額が出てくる。こういうことが法定されているわけでございます。

他方で、14ページ目を見ていただきますと、例えばクレジットカード会社における与信審査の例としては、ここにいろいろな要素が書かれておりますが、左下のところなどは、こういった年収といった情報だけではなくて、様々な情報を過去のデータを基にスコアリングをしてそれに基づいて与信をする、その精度が非常に高まってそれによって与信が行われるということが出てきている。

他方で、右側にございますけれども、これはレンディングの分野でクレジットではないのですけれども、最近でもよく言われておりますのはJ.Score、みずほとソフトバンクがやっているもの、あるいは楽天などもやってございますし、海外でもKabbageといった企業が出てきておりますけれども、こういった企業がトランザクション、購買履歴や取引履歴に基づいたデータベースドレンディングを行っているというのが現状でございまして、そういった中で割賦販売法が年収足す預貯金引くクレジット債務引く生活維持費という計算式で与信をしなさいと言っている制度をどう捉えるかということでございます。

15ページ目にまいりますと、先ほど申し上げましたが、左のところに例1、例2、例3とありますが、支払の実績あるいは通信のキャリアの料金の支払状況といったものについて、膨大なビッグデータを基にAIで行動分析をすることによってこの人たちに幾ら与信をして良いかということになっております。右側にございますが、今までは一定時点におけるストック情報しかない時代でしたので年収ベースでこれは仕方がなかったのだろうと。他方で、動的な情報が使える状況になっておりますので、そういったものを取り込んではどうかということで、16ページ目の右下を見ていただきますと、こういった技術やデータを活用して支払能力が判断できる場合には、画一的な規制によらず、これを従来の支払可能見込額調査に代えることができるとすべきであるということでございます。

17ページ目を見ていただきますと、消費者委員会様からいただいた意見のとおりでございまして、論点が三つございます。1番目は指定信用情報機関の運用・システムの在り方、2番目は指定信用情報機関の信用情報の使用・登録義務について、3番目は新たな与信審査手法を認める場合には事前・事後チェックをしっかりしなさいということでございます。

18ページ目、論点1で、その後精力的に本当に夏休み返上で指定信用情報機関のCICが自分たちの運用やシステムの見直しをしまして、ここにございますけれども、登録・照会項目が最大で67項目と非常に多いとか、利用時間が22時までに限られるとか、システム、料金の問題もあるといったところを徹底的に見直しを行いまして、業務改善、システム改善をするということ、これは審議会の場でも発表したということでございます。

そういった中で19ページ目、使用義務と登録義務についてでございますけれども、まず指定信用情報機関の信用情報の使用義務につきましては、赤のところ、真ん中辺りですが、一般的に技術・データによる与信審査手法は必ずしも信用情報を使用しなくても利用者の支払可能な能力は判断できるのだけれども、必ずしも明らかにはなっていない点がございますので、現時点においては少なくとも使用義務を課すこととし、この使用義務を維持することとし、その意味では消費者委員会からの御指摘を踏まえてここのところは慎重に検討して、他方で、その後の実態を踏まえて段階的に見直していくということを結論付けました。

また、それに伴いまして右側でございますが、登録義務もきちんと維持していくということで整理しております。

論点の3番目といたしまして20ページ目、事前・事後チェックの在り方ということで、ここもしっかりしなさいと。これは審議会の委員の先生方からも非常に多くの意見を言われたところでございますので、まず事前チェックといたしましては大臣の認定制度のようなものを作るわけですが、認定要件といたしまして、与信審査手法についてきちんと説明責任を果たしていただく。その際にどう考えてもこれはAI分析ではないだろうという水準のものについてはもちろん足切りをしますし、不適切な変数、違法な変数を組み込むといったことがあれば、それは当然不適切なものとして認定はしません。他方で、延滞率というものをプレッジしていただきます。延滞率が高いということは過剰与信が行われている可能性がありますので、延滞率を一定の範囲の中で管理していただくということでございます。もう一つは(2)で、内部管理体制のところでしっかりPDCAで検証ができるかということでございます。

これを右側の事後チェックというところがございますけれども、延滞率の中でしっかり管理されているかどうか、こういったところを定期的なレポート、報告義務を課して、かつ著しく不適切な場合には改善命令、認定取消ということもある。こういう体制にしたいということでございます。

21ページ目からはまた全然趣の違う話で、規制強化の話でございます。

皆様御承知のとおり、22ページ目にありますとおり、現在いろいろな問題が起きております。マル1、マル2、マル3、マル4ということで、決済をめぐっては流出カード情報の不正登録・利用事案とか、流出ID・パスワードによる不正ログインとか、いろいろなことが起きております。こういった問題にどう対処していくかということでございます。

まず23ページ目、マル1の左側のところは、平成31年12月に起きた事件といたしまして、ああ、ごめんなさい。これは30年。済みません。これはペイペイの問題ですね。簡単に言ってしまうとですね。これについてはキャッシュレス推進協議会でガイドラインをきちんと策定して昨年の4月から運用をしておりますので、この効果を見ていく。

右側につきましては、昨年の7月になりますけれども、これは一言で言いますとセブンペイの問題でございます。これはセブンペイ自身が簡単に言えば二段階認証を行っておらず、ガイドラインをきちんと守っていなかったということでございますので、これをきっちり守っていただく。

24ページ目、責任分担・補償の問題がございますが、これについてもキャッシュレス推進協議会で事例集などを出しておりますので、こういった中で事業者に取組を行っていただく。

右側でございますけれども、いろいろな事業者が出てきている中で、クレジットカード番号等の漏えいリスクが非常に高まっている。具体的な事業者としてどういう方がいるかを考えますと、25ページ目、赤で(1)(2)(3)(4)と書いてありますが、いわゆるPSPと言われる決済代行業者、QRコードなどのコード決済事業者、それとヤフーやアマゾンなどがありますけれども、ECモール事業者ですね。こういった事業者は利用者のクレジットカード番号等を扱うにもかかわらず、割賦販売法上で適切管理の直接の義務がかかってございません。ですから、今回これをきちんと義務対象としてはどうかということでございます。(4)としては、こういった事業者から委託を受ける事業者です。例えばIBM、GMOペイメントサービスなどがありますけれども、そういった事業者にも課さないと尻抜けになってしまうので課してはどうかということでございます。

28ページ目から、最後の4番目の柱で「書面交付の電子化」ということでございます。

まず30ページ目、今回議論しましたのはスマートフォン・パソコン完結型の後払いサービス、物理的なカードも発行しないし、何かを購入するときにもネット上、スマホ上ですし、支払の請求なども全てネット上、スマホ上で行われる、こういったものについては完全電子化をしてはどうか。特にこういった方々にデジタル・ディバイドの問題もなかなか想定できないということでございますので、完全電子化を考えてはどうかということでございます。

31ページ目につきましては、それ以外のクレジットカード会社が負っている書面交付の義務について、どのように電子化していくかということでございます。平成28年改正で、加盟店の書面交付義務についてはもともとは書面交付ということで書面が原則であったわけですが、これを電子的な方法も含めた情報提供という形で良い、ただ、書面を求められた場合には書面を交付するという義務を課したわけでございます。それと同じ体系にしてはどうかということで、原則情報提供、利用者から求めがあったら書面交付という体系にするということでございます。

32ページ目、契約解除前の催告書面の電子化についてですが、真ん中と下の赤のところだけでございますが、まずはスマホ・パソコン完結型の後払いサービスについては完全電子化をすることが適当であるということで、消費者団体の方あるいは弁護士の先生なども含めて、教育などは非常に重要になってくるけれども、この点は許容できるのではないかということとなりました。また、それ以外のサービスについての契約解除前の催告書面については、少し保守的に考えたほうが良いのではないかと。契約解除というのは法的効果が及ぶ問題なので非常に重要だということで、原則書面というものを残した上で、利用者が承諾した場合には電子メールで良いという体系にしてはどうかということとなりました。

最後は補足的ですが、34ページ目で「包括信用購入あっせん業者」、クレジットカード会社ですね。これについての業務停止命令の規定がないということでございますので、業務停止命令の規定を作るといったことでございます。

今後の課題については35ページ目以降にございますが、いわゆる決済横断法制の話やRegTech/SupTechの話、それから、成年年齢引下げを見据えた新成年への対応の充実といったところは、これからしっかりやらなければいけないということでピン留めをさせていただいているところでございます。

長くなって申し訳ございませんでした。そういった内容でございます。

以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの御説明の内容につきまして御質問、御意見のある方はお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

清水委員、お願いします。

○清水委員 御説明ありがとうございます。清水です。

現場で消費生活相談員をやっていますが、全てに関わってきますので、興味深く聞かせていただきました。私も相談員になって17年なのですけれども、割賦販売法の改正に伴い、規制があれば守られてくるのですごく効果的、改正がいかに相談現場で役に立って本当に有り難いかを実感しているところでございます。

しかしながら、すごいスピードで新しいものが出てきていまして、御説明にありました24ページの部分なのですが、是非ともお願いしたい部分なのですけれども、相談現場で一番困っているのは決済代行会社、先ほどGMOなど例を出して御説明していただきましたが、今一番問題なのは、消費者庁が年末から年明けにかけて行政処分や注意喚起をしていますインターネットの定期購入でございます。あれがなぜあれほど広がったかというと、収納代行があるからだと思われます。今、残念ながら収納代行業者は野放し状態でございます。

一つ例を挙げます。昨日あっせんと言いまして、消費生活センターの相談員が相談者から聞き取りをして、問題点があるということで事業者にあっせんをしました。この事業者は今PIO-NETの指標で実名が出てくるベスト10に入っている事業者です。定期購入6回の契約です。表示が問題であると伝えたところ、6回中5回目と6回目は解約するとあっせんが成立しました。ところが、それを今から収納代行に言えと言うのです。販売会社と消費者が契約して消費生活センターがそこに介入している。そこであっせんして、これがクレジット支払のクレジットカード会社が加盟店契約をしているのであれば、私どもはクレジットカード会社に連絡をし、進捗状況をお伝えしながら、販売会社のあっせん案をお伝えするのは当然のことです。これは法的に加盟店管理がきちんとなされているから、私たちの相談の現場でもやれることなのです。しかしながら、今、収納代行が野放し状態ですので、対応が困難です。

あっせん案が決まっているにもかかわらず5回目、6回目の品物が送られてきて請求があったというケースがあり、私たちがあっせんした意味がない。またそこでどうしてですかと言うと、済みません、データを残していなかったのでとりあえず返品に応じますと。でも、定期購入の会社というのは、普通は発送したものは絶対に返品に応じません。今回の事例は私があっせんをして5回目、6回目は送らないと約束したのに送ってきてしまったので、当然2回目のあっせんでどうなっているのですかと言って当初のあっせん案のとおりに解決したのです。

話が長くなりましたが、早急に管理指導等ができるような今の割賦販売法レベルにしていただくことを望みます。先ほど9ページの説明の中で、包括信用購入あっせんに関わる規制の概要が非常に重いというお話がありました。少額・低リスクの後払いに対してこれと同等というのはいかがなものかという議論はあるかもしれませんが、似たような議論で少しやっていただかないと、現場は、まわっていきません。よろしくお願いします。

○山本委員長 ありがとうございます。

他にもしあれば、もう少し伺ってからお答えをいただこうかと思いますが、いかがでしょうか。

大石委員からお願いします。

○大石委員 御説明ありがとうございました。

今の御説明いただいた中で何点か質問をさせていただきたいと思います。まず8ページで、少額・低リスクの後払いサービスということで、10万円以下のものについてはこれまでと違ってAIなどを使ってかなり審査を簡便化するというお話だったのですが、確かに1件当たりの額は少ないとしても、何件も重なればまた同じことで、多重債務に陥る可能性が高まるわけです。他のカード会社の借入の重なりについては、どこかできちんと把握できるのかどうかをお聞きしたいというのが1点目です。

それから、先ほどリボ払いのお話がありましたけれども、リボ払いはテレビでも宣伝されていますが、消費者にとっては毎月払っているという意識が働くので、借金が膨らんでいくという認識がないまま、実際に気が付いたときには、すでに債務が膨らんでしまっているということもあり得るわけで、成年年齢の引下げによって大きな問題となることも予想されます。その意味からも、消費者教育とのつながりで教育啓発をしながら進めていかないと、危うい面があるのではないかと考えます。もし、今回の取りまとめの中に、そういうことが出てくるのであれば、どこにあるかを是非教えていただきたい、というのが2点です。

また、これは質問というより意見です。36ページの最後の取りまとめのところで、今後具体的な検討を求めるべき課題に書いてくださっていますが、カードと言ったときに、特に若年者の場合、同じカードでもポストペイ、即時同時払い、プリペイドの3種類あること、まずこの違いも知らないのではないかと思います。これらの違いがきちんと説明されて理解していないと、いろいろな問題が出てくる可能性があると思いますので、成年年齢の引下げに備えて消費者教育の中で、しっかりと進めていってほしいと思います。

以上です。

○山本委員長 それでは、片山委員長代理、お願いします。

○片山委員長代理 分かりやすい御説明をいただいて、ありがとうございました。

私から申し上げたいのは、いろいろな手法を導入することをなお検討していかれるのだと思いますけれども、その際には、冒頭で言われましたように、規制の内容を目的やリスクに見合ったものとするのであって、単なる規制の緩和を行うものではないというところは常に意識して維持をしていただきたい、消費者保護に対して影響を与えるものにならないようにということを心にとどめていただきたいと思います。

それとの関係ですが、皆さんからも指摘がありましたように、この問題は消費者には仕組みが見えていないのです。利便性だけでいろいろな決済手段をある意味で押し付けられてと言いますか、こういう決済手段が使えますということで使ってはいますけれども、誰がどのように関わっているのか分かって使っているわけではない。そこの中で、多重債務問題もありますけれども、それ以外のいろいろなトラブルに巻き込まれていく。

そういう意味で、いろいろな仕組みの見直しを考えるときには、どうやってこれを消費者にきちんと分かるように伝え切るかが常に必要であると思います。先ほど、スマートフォン・パソコン完結型サービスのところで、採用するけれども消費者に対する啓発・教育が必要とありましたが、そこだけの問題ではなくて、割販法の仕組みをどうするかという全体について、もともとの割販法も消費者には分かりにくいと言われている中で、更に新たなものが加わってきてその規制の在り方を見直すということになると本当に消費者はお手上げ状態になりかねない。そこのところを理解して御検討いただくようお願いしたいと思います。

○山本委員長 それでは、お答えをお願いいたします。

○経済産業省商務情報政策局商務・サービスグループ正田商取引監督課長 まず清水先生から御指摘のありました決済代行会社の関係でございますけれども、これは正に御承知のとおりかと思いますが、平成28年に改正した際に、決済代行業者あるいはアクワイアラーのどちらかが少なくとも、決済代行会社の場合も多いのですけれども、アクワイアラーとしての登録を受けて加盟店管理をきっちりしなさいと。加盟店管理の柱は2本で、一つは悪質加盟店の排除、もう一つはセキュリティをきちんとしていない加盟店の排除、この2本をしっかりやりなさいと。これは加盟店契約をする際にも調査をしなければならないし、問題が起きたときにも当然随時調査をしなければならないし、定期的にも調査しなければならない、相当きちんと加盟店管理をしなさいと。当然その際には指導をするし、場合によっては契約を解除しなければならないと、これは法文で書いてあります。

そういった形でまず管理する法体系を整えて、特に先生御指摘のとおり、トラブルを起こす会社の多くは海外のアクワイアラーにつながったところであり、皆様が御存じのような国内のアクワイアラー、クレジットカード会社につながった決済のところは問題がそのまま放置されているということは考えにくいのですが、海外のアクワイアラーにつながっている場合には、この間に入った決済代行会社に非常に苦情がたまっていることは我々も認識しています。これについては、昨年の6月に登録業務が始まった中でようやく立入検査をしたり実際の運用を始めたところですので、この登録を受けた決済代行業者が問題なく業務を行っているかどうかについては我々もよく見ていきたいと思っております。現在、既に立入検査も始めておりますので、そういった事業者についてはしっかり見ていく。場合によっては、問題が多い場合には法律上の措置としては登録をどうするかという規定もございますので、それも含めて厳しく見ていくというのが我々の方針でございます。

実際に個別の問題として非常に問題がある事業者については、我々もその情報を非常に貴重な情報としていただきたいというところもございまして、是非連携をさせていただければと思ってございます。現在は消費者庁とは、消費者安全法に基づいて消費者担当としての内閣総理大臣が経済産業大臣に対して問題のある事業者について通知するという制度があって、これについて、決済代行業者数社について、昨年も消費者庁から当然具体的な名称を踏まえていただいております。そういったものも含めて、この平成28年に成立した加盟店管理の仕組みを実効性あるものにするために、運用し始めてまだそれほど日が経っていないのでなかなか現実に追い付いていないところはあるのですが、そこは厳しくやっていきたいと思います。是非引き続き連携と御指導をいただけたらと思ってございますので、よろしくお願いいたします。

○清水委員 恐らくそれが強化されれば、ある一社が例えば実名公表されたり指導されれば、消費生活相談の情報商材などが激変することは間違いないことを申し上げます。社名が言えないのは残念ですが。

○経済産業省商務情報政策局商務・サービスグループ正田商取引監督課長 思い描いているのは多分同じだと思います。

○清水委員 同じだと思うので、是非お願いします。これは本当に28年度の改正がありのことなのですが、もう一つ説明が分かりにくかったのですが、野放しと言ったのは収納代行ですので、こちらは是非ともよろしくお願いします。

○経済産業省商務情報政策局商務・サービスグループ正田商取引監督課長 収納代行につきましては、金融庁の所管になってございます。分かりづらくて申し訳ないのですが、ですから、分かりやすく横断法制にすべきだという議論が出てきているわけでございますけれども、これもまた国民、利用者にとって分かりにくいという議論がございますので我々の課題だと思ってございます。金融庁の議論ですので、私が余り責任を持って言えることではないのですが、少なくともCtoCに関する収納代行については、金融庁は資金決済法の対象として規制をしていくということを昨年の12月20日に出た金融制度のワーキング・グループの報告書で整理をしていらっしゃいますので、少しずつ収納代行の辺りの問題点についての対処は金融庁において考えられていらっしゃると思います。そこの資金移動業としての収納代行についての規範をどのようにかけていくかという運用に関しては、金融庁で考えられていると思います。詳細については私から申し上げる話ではないと思いますので、また機会があるときに御確認いただければと思います。

次に大石先生からあった話でございますけれども、まず8ページ、1件は少額であっても何件も重なれば非常に多額になり多重債務の問題が起こるリスクがあるのではないか、これに対してどう対処するかということですが、正にここは指定信用情報機関の信用情報を使用するかどうかというところであったわけでございます。もちろん先ほど結論で申し上げましたとおり、この人はどのくらい支払ができるかをビッグデータ・AIで、この人は7,000円とかとやっているわけですけれども、大体業者に聞いても1,000円から始まる場合などが多いわけですが、こういったものについて、必ずしも他社債務を見ない場合にもこの人が行動分析から幾らまでならば払えるか、2,700円ならば払えるとかとやっていくわけです。一般的にはそういう形で他社債務を見なかったとしても、行動分析によりこの人が幾らの支払能力があるかは分析できるというのが今のAI水準ではないかという議論はあったわけでございます。

ただ、ここは必ずしも明らかになっていない、実証されていないという部分がございますので、ここのところは指定信用情報機関の信用情報を継続して使用しなければならないとしたことによって、他社に幾ら債務があり、あるいはそれが延滞されているのか延滞されていないのかも含め、全てそういった信用情報を確認しなければいけないという形にいたしました。これは正に消費者委員会からいただいた御指摘に従って我々で考えて、方針をある意味変更させていただいたところでございます。今も支払可能見込額調査においてはこの他社債務を、指定信用情報機関の信用情報を見ることを通じて多重債務防止をしていく体系になっているわけですが、多重債務防止をするための体系の重要な点である、特に他社債務を見るというところについては維持をするという形の体系にさせていただきましたので、基本的にはそこで担保していく。今の支払可能見込額調査と同じ体系を維持するということでございます。

2番目のリボ払いについての問題でございますけれども、これは特にまず事業者側については、運用を間違うと非常に債務額が膨らんでいくということがございます。その適正運用については別に公表しているわけではないのですが、ずっと問題意識を持って、昨年も問題がある形で、いつの間にかリボ専用カードにきちんと説明もされずに契約されているとか、そういった不適切な運用も以前はありましたので、そういったものをここ数年で事業者には徹底的に指導して、不適切な運用で債務がかさむといったことがないように、特に個別の会社を呼び出してヒアリングあるいは指導をして、そこの適正化を図ってまいりました。

他方で、先生がおっしゃるように、他の先生方からも御指摘がありましたけれども、ここのところの消費者の方々への教育は非常に重要だと思います。それだけでは足りないというのはもちろん認識しているわけですが、まず12月にまとめたものは制度改正を見込んで制度改正をしていく項目について、特に先ほどの書面交付などを含めて個別に消費者教育をしていくということは書かれているのですが、消費者教育問題全般として今回の取りまとめではクレジットカードにまつわる問題全部を取り扱ったということではなく、あくまでも喫緊に制度化すべき措置のところをまとめたものですから、問題意識はきちんと割賦販売行政全体としては持っておりますが、今回の取りまとめの中では全般について教育を項目として議論したわけではないのですけれども、そこについては十分に認識を持っておりますので、気を付けて教育のところはしっかりやっていきたいと思ってございます。

同じように、ポストペイとかプリペイドなどの分野を超えていろいろな決済が出てきているわけでございますけれども、その違いがなかなか見にくい、分からないというところがあるので教育をということでございますので、プリペイドやデビットの即時払いは金融庁になり、後払いのところは経産省がやっているわけでございますけれども、ここも連携してしっかり取り組んでいきたいと思ってございます。

最後に片山先生からございました、本件は規制緩和ではない、消費者保護に影響があってはいけないということにつきましては、これは正にそのとおりでございまして、審議会の中でも様々な先生から言われた点でございます。例えばペイペイの問題やセブンペイの問題を見てもそうですけれども、消費者の方々にとって被害があるとか、あるいはセキュリティ上の問題があるとか、こういった安心・安全が揺らぐとクレジットカードも何もなくなってしまうのです。信頼がなくなったらその手段を消費者は使いませんので、我々は、これはクレジットカード会社も本当におっしゃっておりますけれども、セキュリティも含めて消費者保護が安心・安全の根幹であり、事業の根幹だということは皆認識しております。ただ、いろいろな形態が出てくる中でそれに見合った制度なりをどのように作っていくかという中で、場合によっては後追いになってしまう、技術が先に出てしまうところもある。ただ、そういう中でも制度をきちんと作り、消費者保護に影響を与えないようにしっかり運用していくというところは、我々も基本的な軸足ですので、しっかりやっていきたいということでございます。

最後に、消費者にとってなかなか仕組みが見えないということでございます。そういった中でいろいろなトラブルが出てきているということでございますので、先ほどの大石先生の御指摘にも通ずるところかと思いますけれども、まずきちんと消費者の方々にそもそもの今の制度、どういう被害があるかも含めて、今回の制度改正は当然のことですけれども、しっかりお伝えをし、消費者教育の辺りはきちんとやっていきたい。

これは地道な活動なので皆様に伝わりにくいところはあろうかと思うのですけれども、法律での認定自主規制団体である日本クレジット協会では、全国の全ての高校に対して毎年パンフレットを配り、追加のパンフレットが必要な場合には追加のパンフレットを配り、出前講座もやり、大学でも講座をさせていただいている。あるいは教師の方々をお招きして、特に必要だという先生に集まっていただいて、どのようにクレジット教育をしたら良いかを夏場などに講習をしたりさせていただいております。そういったものも着実に行い、あるいは制度改正も含めて消費者の方々にきちんと伝わるように我々もやっていきたいと思いますので、引き続き御指導をいただければと思ってございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○山本委員長 それでは、木村委員から手短にお願いできればと思います。

○木村委員 すでに各先生がおっしゃっていることは繰り返しません。私も消費者に分かりやすくきちんとしていただきたいと思います。

質問なのですけれども、AIなどによるスコアリングということを御説明いただきましたが、自分がどのようにスコアリングされているかを確認することは可能なのでしょうか。

もう一つは、書面を電子化する場合に、消費者には機器が故障したとか、買換えなどでハードディスクに入っていたのだけれども見られなくなってしまったという可能性があると思うのですけれども、そうしたときに事業者がきちんと書面を保存して、例えばこれが見られなくなったのですけれども再発行してもらえますかと、そういうことはきちんと担保されているのかをお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

○経済産業省商務情報政策局商務・サービスグループ正田商取引監督課長 まず1点目でございますけれども、AIスコアの問題については、正に審議会でも議論がございました。こちらの審議会の報告書の22ページを見ていただきたいと思います。上から4行目のところに「なお」とあります。ここは正に御指摘のようなところについて議論があり、審議会の委員から明確にこの文章を入れてくれと言われた点でございます。閲覧履歴や購買履歴などの行動履歴も個人にひもづけて収集・分析される場合が多いことから、利用者が個人情報がどのように利用されているかが分からない、一体どのように審査されているか分からないではないかという御指摘がございました。

他方で、既に現在、ここにありますが、信用分野における個人情報保護に関するガイドラインで、個人情報の項目と利用目的の項目の関係を明確にしなさいと書かれていて、今日例を持ってきていないので恐縮なのですが、場合によっては会社のホームページを確認いただければ良いと思うのですけれども、与信審査に一体どの個人情報の項目を使うかについてはかなり細かく書かれてございます。項目がしっかり書かれて公開されています。各社ごとに公開しています。その事業者の方々はそれを開示することによって与信審査を公正に行っていくという体系でございまして、利用者の方々はそういうものが使われていることについては認識をできるということでございます。

では、その項目をどのように評価したか、どのように審査するかという手法については、これは事業の根幹でありまして、正に営業の秘密でございまして、そこのところの開示まで求めるのは営業の秘密などの観点からなかなか困難なことではないかと思ってございます。この信用スコアの話については、どういう審査手法をとっているかまで開示した場合には、利用者の行動がそれに合わせて行動されるようになり、実際にはスコア化が困難になるということが指摘されているという部分もございます。それから、先ほどのような事業の根幹というところもございますので、少なくともどういった個人情報が与信審査に使われているか、大体それを見るとどのような形で自分のスコアが下がったのかということが予想はつくわけでございます。そういったところまでは詳細に公開するというところで、整理をさせていただいているということでございます。

また、書面交付のところでございます。これも審議会の中で議論があった点でございまして、先ほど申し上げた整理の中で再発行みたいな話については、今も書面で来たときに書面をなくした場合に再発行できるかというのは、再発行しなければならないとは法律に書いていないわけでございまして、そこのところは事業上のサービスと利用者との関係の中で決まっている中で、一体何回まで再発行ができるのかとか、審議会でもそのような議論があったわけでございます。これは電子上で行う場合にも事業者の方々と利用者の方々との関係ということになろうかと思いますし、一般的に考えましてこれは法的義務だからもう一切再発行しないと、UXの観点あるいは利用者満足度の観点から事業者としてそういう行動をとるかというと、考えにくいというのが実態だと思います。いずれにせよ再発行については事業者との関係の中で決まってくる問題だろうとは思ってございます。

以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、よろしいでしょうか。

ありがとうございました。私からは三つほどまとめを申し上げたいと思います。第1に、消費者委員会の意見を十分に考慮いただいたものと全体としては受け止めております。特に論点2の指定信用情報機関への登録義務あるいは使用義務につきましては再度御検討いただいて、中間整理より保守的に考えていただいたと認識をしております。リスクベースあるいは比例原則の適用という場合も、個々の決済に着目をするだけでなく、個々の消費者にとってどうかを考えなくてはいけないと思います。先ほどから議論がございますように、個々の消費者にとってのリスクを考慮するときに、果たして個々の事業者が持っている情報だけで十分かという問題があろうかと思います。これから技術が進歩していけば状況は変わっていくのかもしれませんけれども、現状では個々の事業者が持っている情報だけで十分かという点について十分確証ができていないようですので、今後も、あくまで個々の消費者の支払能力ということに十分留意をしていただきたいと思います。

第2に、事前のチェックと事後チェックです。情報技術を使うときに事前のチェックと事後チェックをしっかりしていくという点は非常に重要であり、また、今後制度的にもあるいは技術的にも難しい問題があるのではないかと思いますので、十分取り組んでいただきたいと思います。これは大きな話につながっていくと思います。AI技術のブラックボックス性の議論はいろいろありますし、先ほど木村委員からも指摘がございましたけれども、スコアリングの問題につきましても、AI技術が進化していく途上にある段階だと思いますので、今後十分検討していく必要があると思います。先ほどお話のありました営業秘密と個人が不当な扱いを受けるリスクとの兼ね合いをどう考えるかといったところも、EUあるいは国際的にも議論が進んでいる段階だと思いますので、今後も制度面、技術面の検討を進めていただければと思います。

第3に、これは今回の話を超えるところもございますけれども、先ほど申しましたAI技術のブラックボックス性という問題を更に超えて、決済形態が多様化していて、それが消費者にとって分かりやすくない状態になっているという御指摘がございました。この点は消費者教育の問題でもあり、制度作りの問題にもなると思います。横断法制の話が出てきておりますけれども、その中で消費者にとって分かりやすい制度を作っていくことと、先ほど清水委員からも御指摘がございましたけれども、穴のない制度作って、こぼれ落ちるところがない制度を作っていくことが必要であると思いますので、その点につきましても、今後経済産業省におきまして取り組んでいただければ有り難いと思います。

それでは、本日はお忙しいところを審議にご協力いただきまして、どうもありがとうございました。

○経済産業省商務情報政策局商務・サービスグループ正田商取引監督課長 ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。

(経済産業省商務情報政策局商務・サービスグループ正田商取引監督課長退室)

《3.その他》

○山本委員長 それでは、次に「その他」といたしまして、道路運送車両法の一部を改正する法律の施行に伴う特商法施行令の改正のための手続についてです。

事務局より説明をお願いいたします。

○金子参事官 それでは、資料に基づきまして、御説明をいたします。参考資料1-1を御覧いただきたいのですけれども、今回対象となりますのが道路運送車両法ということでございます。これにつきまして「(1)現行規定の内容」とございますが、特定商取引法の中では、訪問販売、通信販売、または電話勧誘販売において、他の法律で消費者の利益の保護が図られている商品等の売買及び役務の提供については適用除外を認めているということで、この法律についても適用除外が認められているという内容でございます。それについては施行令別表第2の中で記載をするということです。

そして、改正の内容でございますけれども、今回道路運送車両法の改正が行われまして、対象となっている「自動車分解整備事業者」が「自動車特定整備事業者」に改められるということでございます。したがいまして、この特商法の施行令についてもこの用語の部分を改正するということで、参考資料1-2にございますように、事業者の呼称の部分の変更のみですけれども、改正が検討されているということでございます。

また、参考資料1-1に戻っていただきたいのですけれども、この変更の趣旨に当たるところが(2)の下から3行目辺りから書いてございますが、一つは「分解整備」に当たらないような、例えば自動運行装置が新たな対象として追加されるのに加えまして、先ほど申し上げた必ずしも分解を伴わないような、取り外しを伴わないような整備、改造といったものにまで対象が拡大をされるという内容でございます。

ただ、裏面の(3)に移っていただきたいのですけれども、今回そのように対象装置の追加が行われたわけではございますが、内容としては自動車整備に関わるようなものを対象としている、その点は変わりがないわけでございまして、加えて従来の自動車分解整備事業者に課されていたような消費者保護の規定もそのまま残る、そのような内容であるので、消費者庁からは、これは形式的な改正に当たるものになるのではないかという申し出があるところでございます。

参考資料1-3に移っていただきたいのですけれども、特商法の法律の中で、この施行令を改正するときには消費者委員会への諮問が必要になっているということでございますけれども、従前の例に倣いまして、軽微なものということで諮問・答申の手続を省略しても差し支えないかどうかをお諮りするということでございます。

説明は以上でございます。

○山本委員長 ただいまのような説明でございますけれども、今回は形式的な改正ですので、諮問・答申の手続は省略するということでよろしいでしょうか。

(首肯する委員あり)

○山本委員長 ありがとうございます。

前回のものと比べると対象自体が広がっているという意味では、形式的と言い難いところもあるのですが、ただ、消費者保護の仕組み自体は何も触っていないということでございますので、今回も省略させていただければと思います。

前回も申し上げましたけれども、その都度この委員会で確認をいただいて、手続を省略して良いかどうかを諮っていくことにいたします。


《4.閉会》

○山本委員長 本日の議題は以上です。

最後に事務局より今後の予定について説明をお願いいたします。

○金子参事官 今後の日程につきましては、日程が決まり次第、委員会のウェブサイト等を通じてお知らせをいたします。

また、本日はこの後に委員間打合せを行いますので、委員の皆様におかれましては、委員室にお集まりいただければと思います。

以上でございます。

○山本委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)