第317回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2020年3月9日(月)17:00~17:41

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    山本委員長、生駒委員、大石委員、柄澤委員、木村委員、清水委員、新川委員、丸山委員
  • 【説明者】
    経済産業省産業技術環境局今里技術振興・大学連携推進課長
    経済産業省商務・サービスグループクールジャパン政策課博覧会推進室東企画調整官
    厚生労働省医政局総務課田中医療政策企画官
  • 【事務局】
    二之宮事務局長、福島審議官、金子参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 国民生活安定緊急措置法施行令の一部改正について
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1.開会》

○山本委員長 皆様、本日はお忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから「消費者委員会」第317回本会議を開催いたします。

本日は、受田委員、片山委員が御欠席です。

急きょお集まりいただくことになりましたけれども、どうもありがとうございます。

消費者委員会運営規程第5条第2項におきまして、「委員会は、会議を公開することにより、当事者若しくは第三者の権利若しくは利益又は公共の利益を害するおそれがある場合その他の委員会が非公開とすることを必要と認めた場合を除き、公開する。非公開とすべき事由が終了したときは、公開するものとする」と規定しております。

同条第3項におきましては、「前項の規定により委員会が会議を非公開とすることを認めた場合は、委員会はその理由を公表する」こととなっております。

本日は、閣議決定前の具体的な政令の改正案が審議対象となります。したがいまして、2つの理由により、本日の会議は非公開で行うこととしたいと思います。第1に、閣議決定前の条文案は非公開でありますので、決定前に公表されますと様々な意見、臆測等が想定をされ、円滑な改正に支障が生じる可能性があるということ。第2に、改正の趣旨に鑑みまして、改正政令が可及的速やかに施行されることが重要であるとともに、施行前の高値売り抜け等の潜脱行為を可及的に防止するためにも、改正政令の公表から施行までの期間をできるだけ短くすることが重要であるということです。

ただし、閣議決定後におきましては、非公開とすべき事由が終了いたしますので、資料や議事録については、事後的に閣議決定後に公開をすることとしたいと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

 

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、本日の会議におきましては、事後的に公表するということを前提として御発言をいただければと思います。

配付資料の確認につきまして、事務局よりお願いいたします。

○金子参事官 配付資料につきましては、議事次第の下部に記載のとおりでございます。

もし、不足等ございましたら、事務局までお申し出いただきますようにお願いいたします。


≪2.国民生活安定緊急措置法施行令の一部改正について≫

○山本委員長 本日の議題ですが、国民生活安定緊急措置法施行令の一部改正についてです。本件につきましては、資料1のとおり、本年3月6日に厚生労働大臣及び経済産業大臣から、国民生活安定緊急措置法第26条第1項及び第37条の規定に基づき、国民生活安定緊急措置法施行令の一部を改正する政令を制定することについて、諮問がございました。本日は、この諮問事項について経済産業省、厚生労働省からヒアリングを行い、審議を行った上で、委員会としての判断を示すこととしたいと思います。

本日は、経済産業省産業技術環境局今里技術振興・大学連携推進課長、商務・サービスグループクールジャパン政策課博覧会推進室東企画調整官、質疑対応として厚生労働省医政局総務課田中医療政策企画官にお越しいただいております。

経済産業省、厚生労働省の関係各位におかれましては、お忙しいところを御出席いただき、誠にありがとうございます。

それでは、施行令改正の概要につきまして、10分程度で御説明をお願いいたします。

○経済産業省産業技術環境局今里技術振興・大学連携推進課長 山本委員長、ありがとうございます。

私、経済産業省の今里と申します。実は、本件に関しましては、経済産業省におきまして、災害対策業務室というところが設けられまして、それぞれ既存の職務に関わりなく、省内からメンバーを集めて対応してございます。したがいまして、本日参加させていただいております私及び東に関しまして、それぞれの身分とは少し離れまして、本件について検討させていただいているという立場でございます。その上で、本日御用意させていただきました資料について御説明させていただければと思います。

まず、資料2を御覧いただければと思います。こちらで制度改正の概要及びその背景について御説明をさせていただければと思います。「国民生活安定緊急措置法に基づくマスクの転売規制について」ということでございます。こちらにつきましては、マスクの製造、販売、流通等を所管していらっしゃいます厚生労働省が主請議で、こういった流通、商一般を所管しております経済産業省及び本法の所管であります消費者庁、この2省庁の共同請議、この3省庁の連名におきまして、この政令改正案を今、閣議に請議させていただいているという状況でございます。

こちらにおきまして、我々が措置をしたい内容でございますけれども、こちらの絵を御覧いただければと思うのですが、昨今、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴いまして、市場から非常にマスクが消えてしまっているというのが現状かと思ってございます。そういった中におきまして、例えばドラッグストアでありますとかスーパーマーケットの開店前におきまして、多数の行列ができておりまして、そこで販売、店頭に並んだマスクが直ちに購入をされて、そういったものの一部がインターネットで高値で転売をされているのではないかと疑われるような事案が大量に発生してございます。

こういった事案につきましては、本来であれば正規のルートを通じて小売事業者から一般消費者が、必要な者が購入してその便益を得ることができるはずであったものを、途中で個人・事業者が買い占めてしまって、インターネット上で非常に高値で販売をするという状況だと認識をしてございまして、こういった状況については非常に問題であると考えてございます。

したがいまして、今般の規制の内容といたしましては、この図にございますとおり、小売事業者等が正規の流通経路で入手をして最終消費者に販売する、この通常の販売ルートについて規制をしようという趣旨ではございません。したがいまして、下のルートはマルということになってございます。

今回、あくまで規制をしようと思っておりますのは、この転売行為でございまして、広く消費者等に対して小売業者が販売しようとしているものを途中で購入し、これを更に高値で転売をする。こういう行為を規制したいと思ってございます。

こちらの禁止をする販売の行為、今、高値と申し上げましたけれども、法律上はこちらで利益を得る行為を禁止したいと思ってございまして、購入価格を超える価格で譲渡をする、この行為について政令上制限をしたいと考えてございます。

また、この購入元であります左側の小売事業者等というところにつきましては、※1ということで下に注釈をつけてございますけれども、この小売事業者等につきましては、先ほどの立法の趣旨に鑑みまして、広く一般消費者に対して直接販売をする者については、本枠組みの対象になるだろうと考えてございまして、製造事業者も一部、自らのホームページ等を通じて一般消費者の方に直接販売をしているようなケースもございます。また、卸売事業者も自らのホームページ等で直接販売をしているケースがございます。こういったような、仮に産業分類上は製造業あるいは卸売業に分類されるような事業者であっても、広く一般消費者の方々に対して販売をしているようなもの、これを購入して購入価格より高い価格で転売をする行為については、立法の趣旨に鑑みて規制をするというスキームにしたいと考えてございます。

対象といたしますのは、そこにありますような衛生マスク。これは日本標準商品分類というものがございまして、こちらを参照して引っ張っている文言になります。具体的に申し上げますと、家庭用あるいは医療現場、産業用の現場におきましても、例えばウイルスでありますとか花粉、あるいはほこりですね。こういったものを防ぐために使用するようなマスクにつきましては、一般的にこの定義に該当するとお考えいただければと思ってございます。

逆に、こういったものから外れるマスクというのはどういうものかということで申し上げますと、マスクという名前がついて、例えば女性が顔をパックするフェイスマスクのようなものですね。こういったものも一応マスクという名目で店頭には並んでございます。ただ、こういったものは今回の規制の対象とする趣旨ではございません。あるいは、例えば防毒であるとか、いわゆる全面のフルフェイスのマスクをつけて、ここにフィルターをつけて、いわゆる毒ガスではないですけれども、そういったものを防ぐような目的で使われるものもマスクと呼称されますけれども、こういったものも、そもそも一般にほぼ流通していませんけれども、今回の措置の状況から鑑みますと、規制の対象とするのは適当ではないと思っておりますので、そういったものは規制の対象から外れますけれども、いわゆる一般のドラッグストア等、あるいはインターネット等で消費者が購入し得る、冒頭申し上げましたような目的で使用されるものについては、広く規制の対象になると考えてございます。

この違反に対しましては、懲役1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金ということでございます。こちらにつきましては、先般成立いたしましたチケット不正転売禁止法がございます。こちらにおきましてもチケットを販売価格を超える価格で転売をした場合には同様に、懲役1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金ということで罰則が設けられてございまして、こちらとのバランスをとりまして、こういった罰則規定を設けさせていただくというふうに考えてございます。

施行につきましては、できるだけ迅速にということではございますけれども、この法律が違反者に対しては直接罰則がかけられるという非常に強力な規定でございますので、きちんとした周知の期間を設けた上で施行することが適当であろうということで、3月15日の施行を念頭に準備をさせていただいているという趣旨でございます。

2ページ目以降がこういったものを措置するに至った状況説明として参考資料を付けさせていただいております。こちらについて簡単に御説明をさせていただければと思います。

参考1は、もうそれぞれ御覧になられたこともあるかと思いますけれども、最新の小売物価統計調査、総務省が一般に行っています小売業者に対して店頭で実際に幾らで販売をしているかという統計調査がございまして、これによりますと、実は小売の価格は約370円というのが統計上示されている価格になります。しかしながら、主要ECサイト等においては、そこにありますように非常に高額な出品が続いているという状況でございます。

こちらにつきましては、先般、経済産業省よりインターネット事業者に対して自主的な取組等を要請する中で、インターネット事業者が自主的に一部こういったものについて取引、出品の自粛であるとか、そういったことについての取組を始めていただいているところではあるのですけれども、例えば昨日、実際にこういったサイトを見ても、引き続き高額の出品がされているというのが事実だろうと思ってございます。

次の参考2でございます。この法律の発動の条件の一つに、需給について、当面の間改善する見通しがない場合というのが法律の発動条件として書かれてございます。実際に今、マスクの需給がどういうふうになっているかということについて説明をさせていただきましたのが3ページ目になります。新型コロナウイルスの発生を受けまして、1月以降、これは2月末までの約2か月間でございますけれども、発売枚数としては約20億枚が出てございます。ただ、こちらについても事実上、店頭に並べればほぼ全て売り切れるという状況でございますので、実際に需要がどの程度あるかということに関しては見通せないというのが正直なところでございます。

現在、こういった状況を踏まえまして、経済産業省あるいは厚生労働省と連名で、製造業者に対しては24時間体制での生産でありますとか、あるいはマスクを生産する設備が足りないということで、急きょ予算措置をいたしまして、設備導入の支援であるとか、あるいは海外からの緊急輸入といったことについて措置を講じているところでございます。そういったことを通じて週1億枚以上、月産で言うと4億枚を目指して、供給体制を構築しようとしているところでございます。

下の図を御覧いただければと思うのですけれども、昨年ベースでの一般用のマスクの需要ということで申し上げますと、大体月4億枚弱ということでございます。実際、昨年度のピーク需要、これは花粉等の時期と重なりまして、2月に月約6億枚といったところが昨年の実績ベースのピークになってございます。したがいまして、このピークをまずはターゲットとして政策を打っているという状況でございます。

一般用のマスクの生産ということで申し上げますと、通常は海外生産が約2.6億枚、国内生産が0.9億枚ということでございまして、これの海外生産の約9割が中国産でございます。この中国産のものが今、輸入停滞をしているという状況になってございまして、平時の国内生産の0.9億枚を先ほど申し上げましたような政策的な支援を行って、3.9億枚程度生産できるような体制を作っていくということを考えてございます。さらに、海外からも緊急輸入を入れるということを合わせて、月6億枚という昨年度の需要のピークを目指していろいろな取組を行っているという状況でございます。

しかしながら、やはり先ほど冒頭申し上げましたようなインターネット経由等の転売、更に高額での取引といったものが一般消費者の方々から見える状況で取引がされてございます。そうすると一般消費者の方々の不安をあおっているというのが実情かと思います。店頭に行くと買えない。買おうと思うとインターネット上で高額の値段を払わないと買えない。こういった状況を転売規制等を通じて一定程度抑制するということは極めて重要だと思ってございまして、こういった不安が、先ほど申し上げたように店頭に並んだものが全て消えるというような形で必要以上の需要を生み出しているという側面もあるかなと思ってございまして、こういった状況を適正にコントロールするという意味においても、こういった措置が必要だろうと思ってございます。

最後、4ページ目でございますけれども、こういったような状況に鑑みまして、3月5日付で総理からマスク対策についての御指示が出ているところでございます。中身を幾つか中略させていただいてございますけれども、やはりマスク対策は極めて大事だということで、私が今御説明させていただきましたように、国内への供給対策ということをこれまでやってきているところでありますけれども、第2弾として需給両面から総合的な対策をすることが必要だろうというように総理からも御指示がありまして、需要面におきましては、国民生活安定緊急措置法を適用いたしまして、マスクの転売行為を禁止するということで総理から御指示がございまして、これを受けての今回の立法措置ということになってございます。

最後でございますが、こういった措置を通じて、国民の不安の解消に向けて必要な対策をとっていきたいと思ってございますし、その一環として、この措置について速やかに実施をしたいと考えてございまして、本日、委員の皆様から御意見を頂戴できればと思ってございます。

少し長くなりましたけれども、以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、御質問、御意見のある方はお願いいたします。いかがですか。

それでは、丸山委員、お願いします。

○丸山委員 説明どうもありがとうございました。

私からは、まず、法文を見ましての解釈について確認をさせていただければと思いました。解釈に関しては2点ほどあるのですけれども、第1点は、価格に関しまして、他の委員の皆様も認識しているところと思いますが、送料や仲介料名目で価格を上げるといったことが世間で行われています。これらが価格の解釈でカバーできるのかという点を確認したいと思います。もう1点は、再販売のスキームが用いられた場合です。例えば小売業者から購入をして、その人が1つのグループに属する特定の人に売る。その特定の人たちが消費者に売るという場合に、現在の法文によって、果たしてこの再販売のスキームが用いられた場合にうまく規制できるのかというところが気にかかった点でございます。解釈ということかもしれませんけれども、確認させていただければと思いました。

以上です。

○経済産業省産業技術環境局今里技術振興・大学連携推進課長 1つずつお答えさせていただいてよろしいですか。

○山本委員長 1つずつがよろしいですか。はい。

○経済産業省産業技術環境局今里技術振興・大学連携推進課長 ありがとうございます。

まず、冒頭の送料であるとか仲介料名目で事実上高値で販売をするという行為がこれで網にかけられるかということでございますけれども、先ほど申し上げましたように転売防止のスキームはチケットの不正転売禁止法のスキームを基本的には踏襲して条文構成をしております。もともとのチケット不正転売禁止法におきましても、今、先生から御指摘いただきましたような行為につきましては、規制の対象とし得るということで明確になってございますので、本法においても同様の対応をしたいと思ってございます。

2点目が、特定の者間での取引を介して得たものを、更に転売をする行為がこの取引において規制できるのかどうかということでございますけれども、こちらにつきましては、この条文上正にこういう構成にさせていただきましたのは、我々が本来きちんと確保すべき小売事業者に対して、例えば製造が卸に卸し、それが小売事業者に流れ、しっかり一般消費者の方に届く。このプロセスはきちんと動かす必要があるだろうと思ってございます。このプロセスにおきましては、通常であれば卸の事業者は小売事業者を営業活動によって特定し、価格交渉、数量交渉をして販売をして、そこから小売事業者が一般に販売をする。こういう商習慣になってございます。これを対象外とする目的で、ここに正に不特定の相手方に対して売り渡す者からというふうに書かせていただいてございます。

したがって、今、先生がおっしゃっていただいたような例は、卸業者が相対で営業活動をして販売する行為とのしゅん別が事実上困難な例だと思いますので、そういったところにつきましては、今回の趣旨の中で言うと、規制をするのはやや困難かなと思ってございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

それだけでよろしいですか。

○丸山委員 あと1点、執行面に関して確認させてください。恐らく摘発を実効的に行うに際しては、買主の匿名を確保して情報提供などを受けるのが有効ではないかと思うのですけれども、執行の点については何か既に考えられているのか、確認させていただければと思いました。

○経済産業省産業技術環境局今里技術振興・大学連携推進課長 ありがとうございます。

執行に関しましては、この法律の関係3省庁に加えまして、今、警察庁にも御相談をさせていただきまして、どうやって実効的な執行ができるかということを検討させていただいております。

その中では、今、先生から御指摘いただきましたように、どういう体制で情報提供を受けるのか。その情報をどういうふうに整理をした上で有効に活用するのかということについても御相談させていただいておりますので、今、先生から御指摘いただいたような点も踏まえて執行体制を構築していきたいと思っております。

○丸山委員 確認は以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

その他にいかがですか。

それでは、大石委員、お願いします。

○大石委員 御説明ありがとうございました。2点ほど質問させていただきます。

まず、対象となる範囲ですが、これは国内外を問わずということでしょうか。日本人に限らず対象になるということかどうかというのが1つ目の質問です。

それから、今回この政令制定された場合、解除というのは何を基準にして、誰が決めて解除となるのか、というところを教えていただければと思います。

以上です。

○経済産業省産業技術環境局今里技術振興・大学連携推進課長 まず1点目でございますけれども、これは国内から海外に送る行為、あるいは海外から国内に送る行為、双方におきましても、この条文上の構成要件を満たす場合には対象となり得ると考えてございます。

具体的には、これが譲渡を制限するという行為になってございますので、この譲渡行為の成立を、海外からであれ、国内の者に対して譲渡をする。あるいは国内の者から海外に対して譲渡をする。いずれにおいても国内に片側が立脚しているのであれば、これについてはこの法律の条文構成上は満たし得ると考えてございますので、規制の対象になり得るということだとお考えいただければと思います。

2点目でございますけれども、この解除なのですけれども、実際には、今回の政令の根拠になっております第26条第1項というところ、これは参照条文を書かせていただいていないので口頭で読み上げさせていただきますが、「物価が著しく高騰し又は高騰するおそれがある場合において、生活関連物資等の供給が著しく不足し、かつ、その需給の均衡を回復することが相当の期間極めて困難であることにより、国民生活の安定又は国民経済の円滑な運営に重大な支障が生じ又は生ずるおそれがあると認められるとき」は指定をするとなってございます。この第2項におきまして、同項の規定する事態を克服するために必要な限度を超えるものであってはならないとなってございまして、したがいまして、第26条第1項の条件を満たさなくなった場合には、速やかにこの指定を解除するということになります。

具体的に申し上げますと、この中で幾つか条件があるのですけれども、今、資料で御説明させていただきました需給の均衡です。これが1つ大きなメルクマールになるだろうと思ってございます。この需給の均衡の回復の状況、これが最終的な国民生活の安定若しくは国民経済の円滑な運営に支障がない程度まで回復をしたということが判断をされた場合には、速やかに解除をするというのが法律上の要請であり、そうすべきだと考えてございます。

その際には、正にこの政令を作る場合の請議省庁が厚生労働省、経済産業省、消費者庁で、最終的には内閣として当然最後、政令で定めるわけですけれども、我々が責任を持ってその状況を確認した上で、改めて指定の解除に関しての政令の手続を再度お願いするということだと考えてございます。

○山本委員長 よろしいですか。

○大石委員 ありがとうございました。

ということは、またこのような場を設定し、諮問の上で解除ということになるのでしょうか。

○経済産業省産業技術環境局今里技術振興・大学連携推進課長 おっしゃるとおりで、これは改めて再度政令の改正が必要だというのが法律上の構成になってございますので、この条件を満たさなくなった場合には、改めて一連の手続が必要です。今回の場合は新たに規制措置を導入する場合なので、御意見を伺うということが当然この法律上必要だと考えておりますが、解除する場合にどうなのかというのは、改めて消費者委員会と御相談させていただければと思いますけれども、手続上は政令の再改正が必要です。

○山本委員長 よろしいですか。

それでは、生駒委員、お願いします。

○生駒委員 御説明ありがとうございました。

私、ファッション業界におりますもので、昨今、縫製業者など工場の皆様が急ピッチでマスクを作っている現状があります。1つの質問は、転売行為に対する禁止事項ですね。ガーゼをふんだんに使ったマスクですと、1つ1,500円とか2,000円の価格のものが出てくるのです。丁寧に手縫いされていて良い素材を使っていれば分かるのですけれども、結構価格が高いなという印象もあるのです。とくに高価格が問題であるということではなくて、それが定価となれば、それは消費者が判断して購入するかどうかを決めてくださいということですよね。転売行為に関してのみの規制でしょうか、という質問です。

○経済産業省産業技術環境局今里技術振興・大学連携推進課長 おっしゃるとおりでございます。ありがとうございます。正に大事な点でありますので、趣旨を改めて明確化させていただきますけれども、資料2の1ページ目にございますように、通常の製造事業者、卸事業者、小売事業者を介して一般の消費者に対して販売されるものは規制の対象ではございませんので、これは別にそれがいかなる価格であれ、正に実際の経済の取引の中で妥当だと思われる、それぞれが合意をして価格の取引をするのであれば、規制の対象ではありません。

○生駒委員 消費者の判断ということですね。

○経済産業省産業技術環境局今里技術振興・大学連携推進課長 そういうことです。あくまで転売行為を規制するということが目的です。

○生駒委員 それを買った方が更に高く売るということに対しての規制ですね。

○経済産業省産業技術環境局今里技術振興・大学連携推進課長 そうです。その転売に関しても、もともとの取得価格を超えて売ることが問題だということでございますので、例えば今のケースですと、2,000円のマスクを買いましたと。これを3,000円で売ったら規制になるけれども、2,000円のものを2,000円で売るのであれば、あるいは例えば1,800円で売るのであれば、規制の対象にはなりません。

○生駒委員 問題にならないということですね。分かりました。ありがとうございました。

○山本委員長 その他にいかがでしょうか。

それでは、木村委員からお願いします。

○木村委員 御説明ありがとうございます。

転売行為について質問したいのですけれども、取得価格を超えてということなのですが、個人が少し安く仕入れて売るということも転売に当たるという理解でよろしいのですか。

○経済産業省産業技術環境局今里技術振興・大学連携推進課長 おっしゃるとおりです。

○木村委員 分かりました。

○山本委員長 よろしいですか。

それでは、新川委員、お願いします。

○新川委員 すみません。繰り返しになるかもしれないのですが、丸山先生からお話のあった小売事業者等と転売をされる個人事業者との区別が本当にできるのかどうかというのが1点、とても気に掛かかります。

それから、もう一点は、罰則を用意されますが、これも転売ということの構成要件を明確にするのはかなり大変かなと思いながら御説明を聞いていたところですが、この辺りは何か準備をしておられれば少しお話を聞きたいと思ったのですが、いかがでしょうか。

○経済産業省産業技術環境局今里技術振興・大学連携推進課長 実際におっしゃっていただきましたように、小売事業者であるか個人であるか、特に特定の者から購入したと解すことができるのか、不特定の者に対して売っているものを購入したと解することができるのかと、これは実際の運用上きちんと我々としても説明をしながら、できるだけ分かりやすい形で明確にしていく必要があると思ってございます。

そういった意味では、経済産業省から流通小売の事業者に対して、どういう行為であれば今回の対象になるのか。我々のところから購入をすると正にこの規制の対象になりますよであるとか、そういったような分かりやすい掲示であるとか情報提供みたいなものは業界団体に対してもお願いをしたいと思ってございますし、あるいは個人の方々に対しての情報提供につきましても、消費者庁とも連携をしながら分かりやすい情報を提供していくことが必要かなと思ってございますので、まずはそういったことをしっかりやっていきたいと思ってございます。

また、最後、罰則の構成要件をきちんと立証することが非常に難しいのではないかという御指摘、これはおっしゃるとおりでございます。特にどこから幾らで買ったのかということをきちんと立証する必要がございます。ただ、こちらにつきましては、実際に今、流通に関して申し上げると、極めて流通が限定的でかつ細っておりますので、そういった状況の中で非常に大量に購入して転売行為をしているような者というのは、どちらかというと、少し定性的な表現で申し訳ないのですが、目立つのは目立つのです。なので、そういったものをきちんとルートをあらっていくというようなことは、通常の平時のマスクが一般にやりとりされている状況と比べると極めて特殊な状況にありますので、この特殊な状況の中で違反者をどうやって見つけていくかということを警察庁とも工夫しながら対応していきたいと思ってございます。

○山本委員長 それでは、清水委員、お願いします。

○清水委員 すみません。再度でくどいかもしれませんが、消費生活センターで相談員をしている清水です。

先日、マスク1,500円、送料9,000円で売っているということで、暴利ではないかという相談を受けました。チケット転売防止法もありましたので、警察に通報してくださいとアドバイスは既に現場ではしております。その点は、やはり9,000円の送料というところを価格と含めて考えれば良いということは先ほど確認させていただきました。通報の体制についても警察ということでよろしいですよね。

○経済産業省産業技術環境局今里技術振興・大学連携推進課長 はい。その点で申し上げますと、最終的な、最後に執行するのは警察でございます。ただ、その前段階として、やはり周知活動と情報収集に関しては、我々も経済産業省を通じて、例えばインターネット事業者でありますとか、あるいは各種業界団体にも協力を求めていきたいと思っていますので、そういうところで情報を集めて、最後は警察と連携させていただくということを今、念頭に置いてございます。

○清水委員 ありがとうございます。

既に相談の現場では、マスクではなくてトイレットペーパーになっているのですが、もう既にマスクは収まっているのですが、いかがでしょうか。

○経済産業省産業技術環境局今里技術振興・大学連携推進課長 こちらの転売の規制の物の指定につきましては、先ほど読み上げさせていただきました第26条第1項の構成要件をきちんと満たすかどうかということが法律上極めて重要だと思ってございます。そういう意味では、トイレットペーパーに限らず、こういった需給の状況であるとか、正に市場の中で国民生活に対する重大な影響を及ぶような事態が生じているかどうかということをきちんと注視しながら、必要があれば、そういう条件を満たせば、この法律についての対応をしていくというような原則的な考え方かと思ってございます。

○清水委員 ありがとうございます。

実際、マスクは9割が中国、トイレットペーパーは9割が国内の生産ですね。ちょうどこの時期はトラックがない時期なので、もう少し様子を見るべきですね。今日も現場をリサーチしてきましたが、ほとんどの店舗ではマスクとトイレットペーパーはないと店頭に表示がありました。

○経済産業省産業技術環境局今里技術振興・大学連携推進課長 ありがとうございます。

○山本委員長 大石委員、お願いします。

○大石委員 今の清水委員の御報告にあったように、現状としては、マスクが不足している中で高値で転売されるという大変厳しい状況にあるので、今回このような措置を採るというのは仕方がないと納得するしかない反面、インターネットを通じてなどの、このような取引に対して厳しい規制で関与するということについては、やはり一抹の不安も感じざるを得ないです。ということで、今回は特別にやむを得ないとは思いますが、やはり先ほどの緊急措置法26条1項でも「物価が高騰し」ということがあったのですが、まだ実際に「物価が高騰し」まではいっていない、そのおそれがあるというくらいであると思っております。また、先ほど解除のこともお聞きしましたけれども、もしこの措置法が解除できる状況になったときには、できるだけ速やかに解除していただくということをぜひお願いしたいと思います。という条件であれば、今回の場合はやむを得ないということで賛成はしたいと思います。

以上です。

○経済産業省産業技術環境局今里技術振興・大学連携推進課長 ありがとうございます。

御指摘のとおり、この法律の趣旨そのものでもございますけれども、こういった趣旨については必要な限度に応じて最低限でやるべきというのは立法の趣旨として我々も重々承知をしてございますので、その立法の趣旨に従ってしっかり執行していきたいと思ってございます。

○山本委員長 それでは、木村委員、お願いします。

○木村委員 再度質問させてください。罰則がいつの時点でかかるのかという疑問がありまして、例えばネット上に上げた時点を発見したときにかかるのか、でもそれはプラットフォーム事業者がそれを削除してしまえば分からないわけですね。それとも売れたときにかかるのか、どの辺りで罰則というのはかかるものなのか、教えていただけますか。

○経済産業省産業技術環境局今里技術振興・大学連携推進課長 これにつきましては、法律上は譲渡を制限するということになってございます。したがいまして、インターネット上で販売・陳列をする行為は禁止されてございません。そこで販売・陳列されたものが売買契約が結ばれて、物の移転ですね。正に譲渡行為が行われたタイミングで、これは既遂となります。そこで初めて構成要件を満たすということになりますので、繰り返しでありますが、ネット上に上げて陳列しているだけでは、本法の既遂という状況にはなりません。

○木村委員 ということは、譲渡してお金がそこで動いたということが何か立証されないといけないということですか。

○経済産業省産業技術環境局今里技術振興・大学連携推進課長 物の譲渡につきましては、実際の店舗での売買契約であれば、正にお金をその場でレジで支払い、物を手元に手に入れた場合、この場に完全にそれは契約が成立をする。正に譲渡が完了するということになります。インターネットの場合には、そこに一定のラグがあるわけですね。申込みをして、それに対して承諾がなされて、物の発送がなされて、最終的に取引が完了するという流れになるわけでございます。このときに、この取引においてどこで所有権が移るのかというのは、実はこれはインターネット事業者のモールごとに規約が設けられてございます。例えば、幾つかありますけれども、実はそういったものの中には幾つかのパターンがあるのですが、多くは売買契約が成立して、物を発送した場合。こちらの手を離れた場合に完全に譲渡が完了した、所有権が移ったとみなすというふうに書かれている規約が多くございまして、そういった規約に基づくサイトで取引されたものは、正に売買契約が成立して、これを発送したら正にこの譲渡が完了したというふうにみなされて、それがこの要件に合致するのであれば罰則の対象になるということでございます。

○山本委員長 他にいかがでしょうか。よろしいですか。

種々御意見をいただきまして、転売の規制の必要性については皆さん意見が一致をしていたのではないかと思います。転売の禁止ですので、2条の「不特定の相手方に対し売り渡す者」からマスクを購入して、更に譲渡するのであれば、全て規制の対象になり、実際はインターネットでしょうけれども、特にインターネットに限らず、包括的に規制の対象になるということです。特定の者への譲渡を挟んだ場合にどうなるかという問題は確かにあって、形式的には、特定の者への譲渡を挟んで転売する場合はこの要件に含まれないのですけれども、例えば、特定の者への譲渡の前に、不特定の相手方に対する売渡しがあったのを知っていて、あえて挟んだような場合は、脱法行為であり、この構成要件に当たると解釈する余地もあるかもしれません。

以上のことについては、皆さん、御異論なかったかと思いますが、他方で、これは、取引行為そのものを禁止するという意味で、大石委員が御指摘になったように非常に厳しい規制のカテゴリーになりますから、よく状況を見て、必要性がなくなったら政令のこの規定を廃止する措置を採っていただきたいと、そこのところはよく状況を経済産業省あるいは関係省庁で見て、適宜の措置を採っていただきたいということであったかと思います。大石委員からの指摘でしたけれども、恐らく皆さんそのようにお考えになっているのではないかと思いますので、その点の監視、ウオッチをしていただくこともお願いしたいと思います。

それでは、他にないようでしたら、答申案を配付いたします。では、お願いします。

(答申案配付)

 

○山本委員長 答申書ですけれども、令和2年3月6日付、厚生労働省発医政0306第4号、20200304商第7号をもって、当委員会に諮問のあった下記事項については、国民生活安定緊急措置法(昭和48年法律第121号)の趣旨に鑑み、妥当であり、その旨答申するということでよろしいでしょうか。

(首肯する委員あり)

 

○山本委員長 よろしければ、このとおり答申をいたします。

経済産業省、厚生労働省におかれましては、お忙しい中、審議に御協力をいただきまして、ありがとうございました。

○経済産業省産業技術環境局今里技術振興・大学連携推進課長 どうもありがとうございました。


≪3.閉会≫

 

○山本委員長 本日の議題は以上となります。

最後に、事務局より、今後の予定について説明をお願いいたします。

○金子参事官 次回の本会議につきましては、3月12日14時からを予定しております。詳細につきましては、委員会のウェブサイトを御覧いただければと思います。

以上です。

○山本委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)