第310回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2019年10月4日(金)15:00~16:16

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 衛藤内閣府特命担当大臣、大塚内閣府副大臣
  • 【委員】
    山本委員長、片山委員長代理、大石委員、柄澤委員、木村委員、清水委員、新川委員、丸山委員
  • 【説明者】
    消費者庁内藤消費者政策課長
  • 【事務局】
    二之宮事務局長、福島審議官、金子参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 大塚内閣府副大臣御挨拶
  3. 「第4期消費者基本計画の構成(案)」に関する意見募集の結果について
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○山本委員長 皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会」第310回本会議を開催いたします。

本日は、生駒委員、受田委員が御欠席です。

本日は、大塚拓内閣府副大臣に御出席をいただいております。

なお、衛藤晟一内閣府特命担当大臣は、前の用務が終了次第お越しいただき、御挨拶をいただく予定でございます。

まずは、開会に当たりまして、大塚内閣府副大臣より御挨拶をいただきたいと存じます。


≪2.大塚内閣府副大臣御挨拶≫

○大塚副大臣 皆さん、こんにちは。このたび、内閣府副大臣を拝命いたしました大塚拓でございます。衛藤大臣は、今、参議院の本会議ということで、後ほどこちらに参りますけれども、冒頭、御挨拶をさせていただきます。

私自身、衛藤大臣を支え、消費者問題にしっかり取り組んでいきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

超高齢化社会やデジタル時代の到来、あるいは世界的に加速するSDGsの動きなど社会情勢の変化に伴い、消費者を取り巻く社会のニーズは刻々と変化をしている、そういう時代に入ったわけでございます。このような中で、本年9月から発足した第6次消費者委員会におきましては、新たに地方の消費者問題の現場の実情に詳しい方や、エシカル消費、サステナブル経営に知見のある有識者の方に御参画をいただいているところでございます。

山本委員長を始め、委員の皆様方におかれましては、新たな視点も踏まえつつ、消費者行政が直面する諸課題について、現場の実態に即した豊富な御見識を基に活発に御議論いただき、政府の消費者行政に対して忌憚のない御意見を賜りますようにお願いを申し上げる次第でございます。

また、デジタル時代とも関係しますけれども、最近のGAFAの問題などにも伴い、世界的にも消費者をめぐるいろいろな流れがある中で、我が国だけ取り残されないようにしていかなければいけないと思っております。

先生方が頼りでございますので、是非、どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

○山本委員長 ありがとうございました。

消費者委員会といたしまして、今後もより一層充実した調査審議を行ってまいりたいと考えております。

大塚副大臣は公務によりまして、ここで退席をされます。

(大塚副大臣退席)

○山本委員長 それでは、配付資料の確認につきまして、事務局よりお願いいたします。

○金子参事官 配付資料でございますけれども、お手元の議事次第の下部に書いてございます資料一覧のとおりでございます。もし不足等がございましたら、事務局にお知らせ願えればと思います。よろしいでしょうか。

≪3.「第4期消費者基本計画の構成(案)」に関する意見募集について≫

○山本委員長 それでは、議事に入ります。

本日の議題は、「第4期消費者基本計画の構成(案)」に関する意見募集の結果についてです。

第4期消費者基本計画につきましては、8月1日の第304回委員会におきまして、その検討状況についてヒアリングを行ったところです。その後、消費者庁におきまして、第4期消費者基本計画の構成(案)について、本年8月から9月にかけて意見募集を行い、その結果が先般取りまとめられたとのことです。

本日は、その意見募集の結果につきまして消費者庁から御説明をいただき、意見交換を行いたいと思います。

本日は、消費者庁内藤消費者政策課長にお越しをいただいております。

お忙しいところ、御出席いただきましてありがとうございます。

それでは、大変恐縮ですけれども、20分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁内藤消費者政策課長 消費者政策課長でございます。

お手元の資料1、資料2を御用意いただければと思います。

まず、資料1を御用意ください。消費者基本計画につきましては、次期計画の構成案を、先ほど山本委員長から御紹介いただきましたけれども、前回、8月1日での本会議での御議論を踏まえましてパブリックコメントに付したところでございます。本日は、改めてその構成案の内容を御説明するとともに、パブリックコメントでいただいた意見の内容について御報告をさせていただきたいと存じます。

初めに、資料1の1枚目、消費者基本計画の位置付けのところでございます。消費者基本計画自体は、消費者基本法に基づきまして、長期的に講ずるべき消費者政策の大綱あるいは消費者政策の計画的な推進を図るために必要な事項について閣議決定をするものでございます。いわゆる企業で言うところの中期計画、5か年の計画になっているところでございます。

第1期がスタートしましたのは、書いておりませんが、平成17年でございまして、現在で計画が第3期になっておりますけれども、対象期間が今年度までとなっていることから、来年度、令和2年度からの第4期の計画を、本年度中をめどに策定予定となっているところでございます。

新しい計画におきましては、従来の施策に加えまして、社会経済情勢の変化を踏まえた、新たな時代にふさわしいものとするということを検討しているところでございます。

参考のところにありますように、8月に構成案について消費者委員会の本会議で御説明させていただきまして、その御意見を踏まえまして8月13日から9月3日までパブリックコメントを実施したところでございます。

なお、今後ですけれども、年内をめどにしまして基本計画の素案を作成した上で、年明け以降、改めて消費者委員会への諮問、答申を経まして、年度内をめどに閣議決定まで取り運びたいと考えているところでございます。

2ページ目以降が、パブリックコメントに付した内容でございます。

最初に全体の構成でございます。およそ1章から4章までの総論、5章以下の各論、最後に、付してはございませんが、工程表という3つのパート、3分割という現行の第3期計画の形を維持しているところでございます。

章立ての順に御説明申し上げます。まず第1章につきましては、基本計画の位置付けですとか、あるいは今後、中期的な計画を策定するといったような前文の位置付けが1章でございます。

第2章としまして、これまでの取組と状況変化ということでございまして、マル1におきまして、過去の3回の計画における取組の進捗状況をフォローアップするとともに、マル2におきまして、消費者あるいは消費者行政を取り巻く環境の変化としまして、少子高齢化の進展、地方の過疎化、科学技術の更なる発展といった、世の中の変化の度合いが加速しているようなもの。あるいは、越境取引、訪日・在留外国人といった国際化ですとか自然災害の激甚化、持続可能な社会への関心の高まりといった、3期計画策定時にはさほど明らかではなかった新しい状況にも触れるということにしております。

第3章の、計画期間中における政策推進の基本的な方向としましては、社会の変化に合わせて消費者政策を包括的かつ戦略的に推進するとしてございます。その際のキーワードとしては、3ページ目をお開きいただければと思いますけれども、3つでございます。

全ての消費者が等しく尊重される社会を目指して、誰一人取り残さない社会の実現に向けて幅広い取組を行うことが1つ目でございます。2つ目、Society5.0への対応といたしまして、科学技術の発展というのは消費者にとって利便性向上とリスクの両方の面があるということを踏まえて、両者のバランスを図った良質な基盤を官民一体で整備すること。3つ目、消費者問題の原点に立ち返って消費者問題にしっかり向き合うために、安全・安心の確保とか着実な法整備と執行力の強化に取り組むこと。以上の3つをキーワードとしてうたっているところでございます。

第4章、政策を推進する上で考慮すべき視点と申しますか、いわゆる体制・手法といったような在り方ですけれども、地方の行政の強化、消費者法制の整備、3つ目としまして司令塔機能の発揮と連携強化、この3点を掲げているところでございます。

次のページをお開きください。第5章から各論になってございます。こちらでは、今後、講ずるべき主要施策のみを記載する。いわゆる骨太のもののみを取り上げるということで、個別施策を全て網羅する工程表とのすみ分けを図ることを想定してございます。

<具体的な施策イメージ>と書いてございます。ここはマル1からマル10まで打っておりますけれども、これは柱立てということではございません。当然のごとく施策を網羅しているわけでもございません。あくまで骨太の施策の候補、一例ということで掲げたものでございます。

簡単に御紹介しますと、持続可能な社会の実現のために、食ロスの削減、あるいは関係者間の協働といった取組、マル2のところでは個人間取引におけるトラブル対応ですとか、マル3にございますようなプラットフォームへの対応、それからデータ社会への対応といった、新しい課題に取り組むということ。それとともに、マル4以下にございますような、安全・安心、取引、表示、それから被害救済や紛争処理といったような従来からの課題にもしっかり取り組むということを示しております。このほか、消費者教育とか地方消費者行政等につきましても明記することを想定しているところでございます。

最後に、次のページですけれども、第6章「工程表に基づく計画の効果的な実施及び検証・評価」と書いておりますけれども、毎年度、関係の府省庁等が講ずべき具体的な個別施策について網羅、明らかにした工程表を作成しまして、これに対して検証・評価・監視を行うことを考えております。毎年、各個別の施策のフォローアップを行うという3期の枠組みは維持するという形になってございます。

構成案につきましては以上でございます。

次に資料2を御準備いただければと思います。こちらで、パブコメの結果を御報告したいと思います。今回のパブコメにおきましては、12の個人・団体から51件の意見をいただいてございます。こちらも簡単に御紹介させていただきたいと存じます。

1章の意見は、恐縮ですが、前文ですので飛ばさせていただきます。

番号を左に打っておりますが、4番、第2章のマル1の部分でございますけれども、振り返りの部分ですが、これまでの取組については教訓と課題の整理といったようなことを項目として加えるべきという御意見をいただいてございます。5あるいは6も同様の御意見でございました。

それから、9を御覧いただければと思います。第2章のマル2、環境の変化について記載した部分でございます。こちらについて、キャッシュレス化、信用スコアの活用など、個人情報保護の観点の追記を検討すべきといった御意見がございました。

それから、3章、基本的な方向の部分でございます。ここにつきましては、まずSDGsの関係の理念につきまして肯定的な御意見がございました。

一方で、次のページを御覧いただければと思いますけれども、13から16の辺りですが、Society5.0への対応、それから消費者問題の原点に立ち返ったといったような記載につきましては、賛否両方の御意見があったところでございます。

第4章、いわゆる留意点の部分でございますけれども、18番、消費者法制の整備については予見可能性の確保が必要であるといった御意見が寄せられているところでございます。

それから、20を御覧いただきますと、消費者団体の育成に取り組むべきといった御意見がございました。

次のページにかけて21、22でございますが、予算、財源の確保ということを追記すべきといった御意見がございました。

以上が総論についての御意見でございます。

それから、第5章のところ、骨太の施策に対する御意見でございます。23以降でございます。

まず、食ロスだけでなくプラスチック問題なども加えるべきといった御意見がございました。それから、食ロス削減の具体的な取組内容についての御意見を複数、24以降でいただいているところでございます。

31でございますけれども、個人間取引における消費者トラブルというものを記載しているのですが、これはプラットフォームに関するトラブルの中に含まれるのではないかといった意見があったところでございます。

32以降は、どちらかというと、骨太の施策として追記すべきという御意見だったと受け取っております。順に御紹介します。32では若年者に対する消費者教育の話、次のページをおめくりいただきまして、特殊詐欺対策が33でございます。34はキャッシュレス化の話でございます。少し飛ばしますけれども、37で相談員確保及び処遇改善といったこと、38では高齢者の見守り強化についての御意見がございました。

次のページ、39以降で美容医療の被害防止、40はICタグ、QRコードといったような新しい技術を利用した表示の仕組み、41は事故データ・原因解明等の情報へのアクセスの改善、44が公益通報者保護制度について、45が消費者志向経営、46がグローバル経営、48、49辺りはいわゆるクレーマーの関係についての御意見をいただいているところでございます。

最後のページをお開きいただければと思います。第6章、検証の部分でございます。こちらについては、実効的な検証・評価が行えるような計画にすべきといった御意見がございました。それから、最後ですけれども、51では、工程表についてもっと大きく取り上げるべきではないかといった御意見をいただいたところでございます。

消費者庁としましては、こうした御意見も踏まえながら、今後、計画案の作成に着手をしたいと考えておりまして、年内に改めて進捗状況について御報告をさせていただきたいと考えているところでございます。

説明は以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの説明の内容につきまして御質問、御意見のある方は御発言をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

それでは、清水委員、お願いします。

○清水委員 総括の部分のパブコメですけれども、意見22番で財源の確保というのがありますが、是非お願いしたいと思います。

私、地方におりますと、国は予算を付けたというような発表をよく聞く、実際に付いているのですが、小さな市町ですとそれを上手に使えないとか、兼務をしている職員が多いために、なかなか時間をとってそういった手続ができないという声を非常によく聞きますので、これは県のフォローが必要かと思いますが、是非消費者庁もこの辺りに力を入れていただきたいと思います。

もう一つは各論の部分でございます。32の意見ですが、若年層の消費者教育ということで、これもまた地方の市町の話をしますが、相談員は毎日苦情とかトラブルを聞いていますので、本当に最近の若者が相談しないとか、いざ被害に遭っても回復が難しい状態を日々感じております。しかしながら、いざ教育をお願いする教員とか職員は、やはり兼務とか、指導要綱なんかで先生たちも非常に忙しい中、やらなければいけないと思っても、実態としてやっていけないという声をよく聞きます。ですから、ここは喫緊の課題でありますので、戦略的ということを具体的にまたフォローをお願いしたいと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

今の点について、何か更に他の委員の方から御意見はございますか。

それでは、お答えいただけますでしょうか。

○消費者庁内藤消費者政策課長 消費者庁からお答え申し上げます。

まず1点目、財源の話をいただいております。おっしゃるように、国からの交付金を要求させていただいておりまして、要求時点では前年度よりは増額の形で出させていただいているところでして、年末までに財源確保に向けてしっかり取り組んでいきたいと思います。

一方で、そもそもそれだけで財源として足りるのかというお話は以前から御指摘としていただいているところでございまして、各自治体で自主財源を付けていただかないと実効性が伴わない。特に、自治体の首長様の意識が変わらなければいけないのではないかという御意見も多く受けているところでございまして、今年に入ってからですけれども、私ども消費者庁としまして、自治体の首長さんを中心に御理解を得るためのキャラバン活動を始めております。地方の消費者にとってどれぐらい消費者行政が大事なのかというような重要性を訴えますとともに、財源の確保をお願いするということを、首長様に当庁の幹部が直接伺ってお願いをするということを今年度も継続をして取り組むことにしておりまして、国の財源の確保とともに、自治体の自主財源の充実といったものも同時並行でしっかりと取り組んでいきたいと考えているところでございます。

それから、若年層の教育のところでございます。おっしゃるように、現場の教職員の先生方は非常に忙しいということで、かなり大変だというのを伺っております。こうしたところにつきましては、ちょうど昨年から若年者教育に対するアクションプログラムということで、これは消費者庁、文科省に加えまして、金融庁、法務省と4省庁連携で取り組んでございます。文科省に入っていただいたことによって取組のスピードがかなり上がったというのは、現場の担当者が実感しているところでして、今後、効果が表れてくるかと思いますけれども、戦略的なというところをしっかりフォローするようにという御指示もございましたように、緩まないようにしっかりと取組を進めてまいりたいと思います。

以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

そのほかにいかがでしょうか。

それでは、丸山委員、お願いします。

○丸山委員 各論的な細かな話で2点と、総論的な大きな話を2点。すぐに答えが出るものではないかもしれませんけれども、意見や質問として述べさせていただきたいと思います。

まず、4ページのところで骨太の施策が並べられていて、具体的な例としましては、例えばマル1だと食品ロスの問題が出ており、具体的な工程表の施策の話になるのかもしれませんが、例えば最近、若者を中心に地球温暖化への関心が非常に高まっている中で、エネルギー供給と消費者の自己決定の実質化という観点が重要となると思います。エネルギー供給契約は小売市場では自由化の方向にありますが、そうなると、消費者が選んで市場が活性化される、例えば再生エネルギーを好む消費者が、その点についての情報が十分にあれば、それを選んで地球環境にも貢献できるという図式も描けると思います。果たしてそういった市場になっていくのかどうか、もちろん電気事業法などが経産省管轄だということは承知しているのですけれども、こういった問題に、消費者庁としても具体的に関わっていく可能性が今後あるでしょうか。少し具体的なレベルでの質問ですが、これが1点目。

2点もやはり具体的になるのですが、マル3のところで産業のデジタル化とかデータ社会ということが出てきております。景表法は消費者庁の管轄にはなっているところですが、最近、ネット懸賞などに無料で応募して個人情報が収集され、しかし、信用性の低いサイトになると、実際に抽選が行われているかどうかすら検証できない、実際のところが分からないという、そういう問題を伺ったりします。実際に商品が発送されていないと、虚偽情報・不実表示の問題になりそうなのですが、果たして現在の景表法の枠組みで規制ができるのか、個人情報の提供も関わり、公取と消費者庁の役割分担も問題となると思いますが、こういった問題が、具体的な工程のところで取り上げられ得るのかという辺りに関心がありました。

大きなところでは、先ほど予見可能性の話とかがパブコメでは寄せられているという話が出ていたのですが、私としましては、むしろ消費者庁が明確なプリンシプルというのを掲げられ、それに抵触するような実情がある場合については横断的に介入できるような方向に行ったほうが良いのではないかという意見を持っております。例えばの話ですけれども、消費者の意思決定をゆがめるようなプラクティスがあるときに、具体的に業法に何かが書かれていなくても、注意喚起をしていけるなど、いざというときに機動的に動けることが重要ではないかという印象を持っておりました。果たしてそういう仕組みが十分なのかと。

あとは、総論的な大きなところでございますけれども、パブコメとかを見ていても多様な意見が出ていまして、賛成の意見もあれば、反対の意見もある。消費者というのは非常に多様で、賢くて利便性を求める消費者もいれば、余り利便性を享受できなくてむしろ損をしてしまう消費者もおりまして、そういった消費者層がどのくらいの割合かというのは、商品、サービスによっても違ってくると思います。

消費者や消費者のグループというのも多様であるという中で、納得を得られる政策を打っていくというのが消費者庁としては大事になると思いますので、基本的な考え方、例えば生命とか身体の安全に関わる場合だとコスト度外視でも介入しなければいけないとか、あるいは余りにも介入的になると、利便性を求める多くの消費者を害することになるので、この場合は過剰規制になって踏み込めないなど、基本的な考え方というものが指針として立てられると、多様な意見が出てくる中で納得が得られるのではないか。これは意見ですけれども、そう思いました。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

いかがでしょうか。

○消費者庁内藤消費者政策課長 4点御意見をいただいているかと思います。順にお答えを申し上げたいと存じます。

まず1点目の特に若者向けにエネルギー対策のような話について、ざっくりで恐縮ですが、経産省だけに頼らずしっかりと取り組むべきではないか、その可能性があるのかといった御意見をいただいてございます。

エネルギー消費の削減といったようなこと、あるいは環境問題については、直接、各所管の府省にお願いをしておりまして、私どもとしては司令塔の機能あるいは調整機能を発揮するという原則にはなってございますけれども、エネルギー問題のような部分については、倫理的消費、エシカル消費というところにつながるのではないかということで、エシカル消費あるいはエシカル消費を進めるための消費者教育という観点での取組をしているところでございます。

もうちょっと広げてフェアトレードみたいなところについても、消費者の理解を深めるための普及啓発の取組をしているところでございますので、大きな方向性としては引き続き継続していきたいと考えているところでございます。

2点目でございます。デジタル化において、データの悪用に絡んで、ネット懸賞等々で不正な運用が行われているのではないか、それに対して取組が行われているのか、あるいは公取との協力、連携がなされているのかといったコメントをいただいております。

法執行に関しましては、個別のコメントは通常差し控えさせていただいておりまして、今回も個別の事象については、かなり一般論とは思いますけれども、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

一方で、連携につきましてはしっかりやっていくということになってございまして、景表法関係の直近の事例で申し上げますと、スマホの料金についてのサービス内容、広告内容については、かなり世の中でもいろいろと報道がなされていたとおりでございまして、公取あるいは総務省、消費者庁とで連携して、今回の10月から施行された電気通信事業法の改正に合わせて取組をしていくことにしております。個別案件についてはなかなか申し上げにくいところですが、状況を見ながらここは適時しっかりと連携を、従来よりしておりますし、今後もしっかりそこはやっていきたいということでございます。

3点目、法制度の予見可能性について、ある程度明確なプリンシプルの基にやるべきところはしっかり介入すべきではないか、特に、消費者の意思決定をゆがめるような案件については、事業法の枠にとらわれずに注意喚起をすべきではないか、それができるのかといったようなことで、御意見をいただいているかと存じます。

まず、予見可能性あるいは明確なプリンシプルのところでございますが、現状、これは経済界から指摘を受けていますのは、コンプラの観点から、特に優良な、取組に熱心な企業様はどんどん頑張っていただく分、負担が苦しくなる一方で、悪質な事業者はどれだけ規制を強化しても相変わらず何もやらない。負担が重くなるだけではないかというような声が寄せられております。予見可能性というのは、そういう意味でのコンプラ対応での合理的な範囲をよく考えてほしいという観点からコメントをいただいているのかなと、受け止めているところでございます。

(衛藤大臣入室)

○山本委員長 議事の途中ですけれども、ここで衛藤大臣がお越しになられましたので、御挨拶をいだたきたいと思います。

○衛藤大臣 このたび、消費者及び食品安全担当の大臣を拝命いたしました衛藤晟一でございます。就任に当たりまして、消費者委員会の皆様に御挨拶を申し上げます。

消費者庁、消費者委員会は、本年9月に設立10周年を迎えました。この間、消費者行政は着実に成果が挙がってきているところでございますが、デジタル化や消費の多様化など消費者を取り巻く環境が刻々と変化する中、消費者行政をめぐる課題も大きく変化しつつあります。

そのような変化に的確に対応しながら、消費者目線に立った行政機能の強化を図っていくために、消費者委員会が、消費者行政全般に対する監視体制を最大限に発揮していただくことが重要であります。

消費者行政が直面する諸課題について今後の10年を見据えつつ、専門的な見地から積極的に調査審議を行い、建議・提言等を行っていただくことを期待いたしています。

私といたしましても、多くの課題を解決するため、皆様からの御提言を活かせるよう努めてまいります。

山本委員長を始め、引き続き御支援・御協力を賜りますようお願い申し上げまして、御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○山本委員長 どうもありがとうございました。

消費者委員会といたしましても、現在の諸課題のみならず、将来を見据えた取組を進めてまいりたいと存じます。

衛藤大臣は公務によりまして、ここで退席をされます。

どうもありがとうございました。

(衛藤大臣退室)

○山本委員長 内藤課長におかれましては、大変申し訳ございませんでしたが、続けていただければと存じます。

○消費者庁内藤消費者政策課長 3点目の御指摘から、消費者安全法の関係でございます。もう一度御説明させていただきたいと思います。

いわゆる消費者被害、生命、身体の何らかの被害が生じたような場合、あるいは財産的な被害が生じた場合に、消費者庁で個別の会社名を公表した形での注意喚起を行ってございます。最近ですと、私の課のところで言いますと、例えば、今、ラグビーのワールドカップが盛り上がっておりますけれども、この関係でチケットが不正に転売されているという事案がございました。これで実際に現場に行っても入れないのではないかという話がございましたので、海外の不正転売サイトに対する注意喚起を先月行っております。その他、特に最近はネットでSNSを活用した消費者被害、財産被害が発生している場合には、これについても迅速に個別の事業者名を出した注意喚起をしてございます。

対応の進まない場合には勧告とか、あるいは他の省庁の事業法に基づく処分が可能な場合には、措置要求といったことをお願いするという枠組みが消費者安全法という法律の中にございまして、今後もこの安全法の枠組みをうまく活用しながら、委員御指摘のようなことについても対応していきたいと考えてございます。

それから、4点目が非常に重い、正に多様な消費者に対してどのようにうまく優先順位等を考えながら取り組んでいくべきか、非常に悩ましいところでございます。今年消費者委員会で取りまとめられました、消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループの報告書というのがございまして、恐らく初めてだと思うのですけれども、そちらで消費者の脆弱性が多様化しているという議論がされております。いわゆる高齢者、障害者というのは継続的な脆弱性がある一方で、例えば在留外国人とか海外への旅行者というのは語学等の関係で一時的な脆弱性を持つ。そういう継続的あるいは一時的な脆弱性に対応すべきだというような報告書が出されていると承知をしております。

そういう多様な脆弱性、あるいは脆弱性の多様化といったところについて、私どもも認識をしておりまして、最近ですと、本来、被災者というのはどこまで消費者行政なのかというのはグレーなところはございますが、そういう被災者向けの消費者トラブルに対する注意喚起も行っているところでございまして、今後はできるだけ多様な脆弱な消費者の方に寄り添うような政策というのを心懸けていきたいと考えてございます。

少し4点目は答えになっていなくて恐縮ですが、以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

その他にいかがでしょうか。

それではお願いします。

○片山委員長代理 第5章のマル1のところで、「持続可能な消費」に向けた行政・消費者・事業者の協働というのが主要施策の一つとして挙げられています。この点について、食品ロスも含め、消費者の皆さんからも大変関心を持っていろいろな意見が出ているところだと思います。

私自身は、この施策、協働ということを進める上では、消費者自身が行動できるといいますか、この実現に向けて行動したくなるような、そういう消費者の行動を引き出す環境作りがこれからは大事になってくると思っています。

長年、現場にいまして、やはり消費者が動かないと何も始まらないと感じています。適格消費者団体の仕事をしていても、消費者から声が上がってきて初めて差止めやいろいろな活動につながっていくというところで、消費者がこういう問題に関心を持って、消費者被害にも関心を持って、それを自分のこととして声を上げていく、そういう行動を引き出す取組がこれからの時代には大事ではないかと思います。

そのためにどうしたら良いか、何よりも消費者の多様な意識、あるいは多様な消費者行動というのがあるわけですけれども、そういう消費者自身のありのままの意識とか日常の行動にもっともっと、寄り添っていって、真の問題は何なのかというところを分かりやすくきちんと伝えるという情報発信、持続可能な消費のために考えないといけないことは何なのだということが普通に生活をしている消費者にきちんと伝わる、そういう情報発信が求められる。これは行政もそうですし、企業の皆さんとの正に協働の一つとして、専門知識、専門情報を持った行政や事業者の方たちから消費者に向けた情報発信がベースとして非常に大事ではないかなと常々感じています。

その辺りのところが今の施策の中には余り明確に盛り込まれていないように思いますので、消費者に対する情報提供、情報発信、消費者の行動を引き出すための、正に消費者とコミュニケーションをとるという形での情報発信というものについて、是非計画の中に入れていただきたいと思いますし、その点についてどんなふうに検討されているかというところをお教えいただければと思います。

○山本委員長 それでは、よろしくお願いします。

○消費者庁内藤消費者政策課長 お答えを申し上げたいと思います。

情報発信の部分、それから専門知識を持った人材が大事であるといったこと、そういうのも含めた消費者とのコミュニケーションの必要性、おおよそ3点コメントをいただいたかと考えております。順にお答え申し上げたいと思います。

まず、情報発信の部分については、日頃より取り組んでいるところではございます。先ほど申し上げましたような注意喚起とか普及啓発といったことについては、問題意識を持って取り組んでいるところではございますが、統計の結果を見ましても効果がまだ明確に出てきていないというのが実態でございます。

端的な例で申し上げますと、188の消費者ホットラインの認知度が相変わらず2割ぐらいから全然上がってこないといったこともございますので、効率的・効果的な情報発信の重要性については強く認識しているところでございます。良いアイデアはないかということで模索しているところでございますが、ここは諦めずにしっかりやっていきたいところでございます。

それに当たって専門知識を持った人材が大事なのではないかと、およそ2点目の御指摘であったかと思っておりまして、この夏、消費者庁で専門人材の育成について報告書を取りまとめてございます。その中でも特に消費者教育の関係で、関係する教育機関とか福祉施設、あるいは市役所といったようなところをうまく結び付けるコーディネーターの育成とか、あるいは現場の生活相談員のスキルアップの重要性がうたわれているところでございます。取組については、今後もしっかりとやっていきたいと考えてございます。

3点目は、そういったものも含めた消費者とのコミュニケーションの重要性について御指摘をいただいております。御指摘は全くおっしゃるとおりでございまして、私どもコミュニケーションで言いますと、特に食品の関係のリスクコミュニケーションといったことを、最近は定期的にイベント等も開催しながら取り組んでいるところでございます。

パブリックコメント等につきましても、パブリックコメントの意見をしっかり取り入れた形にしてほしいと。そうすると、消費者も声が出しやすくなるという、これはパブリックコメントに対するコメントとしていただくようなこともありまして、そういったことも気を付けて今後はやっていきたいと考えているところでございます。

ちょっとざっくりした答えになって恐縮ですが、以上でございます。

○山本委員長 それでは、大石委員、お願いします。

○大石委員 ありがとうございます。

今、片山委員がおっしゃったこと、それからその前に丸山委員がおっしゃったことに対して、とても共感しております。内藤課長にお答えいただいた中で、消費者と事業者と行政のコミュニケーションという場合に、今おっしゃられたパブリックコメントのようなものもあるとは思います。しかし、ここで申し上げたいのは、もっと具体的に直接的に事業者が持っている情報を、いかにきちんと消費者に伝えられているか、ここがまずはポイントではないかなと思っております。

また、丸山委員からは、最初にエシカル消費、電気を選ぶというところもそれに通じるというお話があったのですが、やはり消費者は知らなければ選ぶことができない。知って初めて、自分がどう行動しなければいけないか、今、何が問題なのか、何を選べば良いのかを初めて考えることができるわけで、そういう意味でも、消費者と事業者の直接のコミュニケーション、それが表示であったりもすると思うのですけれども、そこを行政でどうやって後押しをしていくか、というところを是非大きな目標として入れていただきたいと、今のお話を聞いていて思った次第です。

もう一点ですけれども、最初に御説明いただいたところです。第1章に寄せられた意見については御説明を省略されましたが、私は今回、第4期の消費者基本計画を作成するに当たり、これまでの1期から3期とは違う、新しい消費者基本計画を考えるのであれば、今までの総括という意味からも、また、これから先のことを考えることも重要だと思っています。1章のところに書いてありますけれども、「今後5~10年を見越して計画策定」といった場合に、更にその先の5から10年先の社会というのはどうあってほしいか、どうあるべきかということをまず見据えた上でこの計画が立てられるべきではないかと思っております。そのためにはこの1章というのはとても大事であると思っていますので、パブリックコメントで寄せられた1章に対する御意見は是非尊重し、その方向で修正いただきたいと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

他の委員の方から、そろそろ時間がかなりたっておりますので、もしあればいただきたいと思います。

それでは、木村委員、お願いします。

○木村委員 ありがとうございます。

5章の具体的な骨太の候補ということで、拝見しまして、グローバル化への対応というのはここではどのように反映されるのかなということをお聞きしたいと思っているのが1点目です。

2点目ですけれども、それぞれの骨太の候補がある中で、マル2の個人間取引におけるトラブルの対応というところで、これは恐らくデジタルプラットフォームが介在するようなやりとりではないかと思われるのですけれども、ここ最近、ものすごく消費者側から多くの問題点も出されていますし、是非ここのところは個人間だから消費者問題ではないというのではなくて、どういうふうにこれから取り組んでいくのかということをきちんと対応していく、検討が必要ではないかなと思います。

3点目としまして、取引の多様化・複雑化ということで、マル5ですけれども、10月から消費税増税を契機にキャッシュレス化が進んでいると思うのですが、利便性が向上する一方で、取引形態が複雑化するということで、取り残される消費者ですとか、また、想像しなかったような被害を被ることが出てくるのではないかと思いますので、その対応をどうしていくのかというのが今回大変重要ではないかと思っています。

最後になりますけれども、最近ニュースになりましたリクナビの事件のように、マル3になると思うのですけれども、産業のデジタル化というところで、オンラインプラットフォームの問題というのは大変重要だと思っています。消費者は自分が契約時にどういうことをしているのかというのをきちんと理解することが大変難しいという複雑なことがありますし、消費者としましては、その情報がどう利用されているのか、匿名化はちゃんとされているのか、セキュリティは大丈夫なのかという不安はあると思いますので、是非その辺りのところもきちんと踏まえたような主要施策をお願いしたいと思っております。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

少し多くなってしまいましたけれども、よろしいでしょうか。お願いします。

○消費者庁内藤消費者政策課長 お答え申し上げます。

まず、大石委員からいただいたものでございます。いわゆる事業者とのコミュニケーションの関係で、消費者と事業者が直接コミュニケーションをとれるような環境、取組を整備すべきではないかということでございます。私どもは問題意識を共有しておりまして、今、非常にこれがうまくいっているのが実は食ロスの関係でありまして、関係者がみんな同じ方向を向いて取り組んでいるということで、あれは一つのモデルケース、好事例になるのではないかということで、同じような形で横展開できないかということで、現時点ではまだ立派なアイデアはないのですが、取組はしていきたいと考えてございます。

1章に対する御意見を飛ばしてしまって大変失礼いたしました。決して1章の御意見を軽視しているわけではございませんので、1章でいただいた意見も含め51件のパブコメは全て重視して、今後の計画策定に反映をさせていただきたいと考えてございます。

木村委員から4点いただいております。1点目、まず、国際化、グローバル化への対応を具体的にどうするのかというところでございますけれども、9月に消費者政策の関係で国際会合をやってございましたけれども、そこで国際連携の重要性は認識が共有化されたところでございます。例えば国境をまたいだ取引でトラブルが生じたような場合について、行政当局間が連携して解決に当たる、こういった枠組みをもう少し拡充すべきではないかという話が出てございました。

現状、日本ではCCJという国民生活センターを中心とした国際間の消費者トラブルに対応する取組がございますけれども、これは各国の当局間同士での合意がないと進まないということで、現状は対象国はまだ20カ国程度にとどまってございます。これについて対象国を増やしていく、そうした取組がここで言うグローバル化への対応の一つであろうと思います。

加えて、訪日あるいは在留外国人が遭遇する消費者トラブルへの対応ということで、多言語対応といったことも一つの取組として考えられるところでございます。特に、訪日外国人については、既に昨年の12月から取組が始まっているところではございますけれども、そういったところの取組強化が想定されると考えているところでございます。

2点目、個人間トラブルへの対応のところでございます。消費者問題ではないというような捉え方は、最近は相談の現場では多分されてはいないと思います。基本的にはプラットフォームが介在するということで、3点目にも関係してきますけれども、プラットフォーマーの窓口に連絡をとって対応を相談するといった形になっているかと思います。

一方で、まだそこにいわゆる伝統的な事業者対消費者の関係があるので、消費者問題ではないというような認識が仮にあるようであれば、そこはできるだけ解きほぐした形で、いわゆるCtoCについても何かサポートができないかという取組は、今後の課題として検討していきたいと考えております。

キャッシュレスの関係につきましては、キャッシュレス推進協議会という民間の団体が組成をされておりまして、これも昨年だったと思いますけれども、そこがこういう消費者トラブルへの対応といった取組を始めるようと聞いてございます。これも、私どもとして放置するのではなく、どういうふうに取り組まれるのかというのはしっかりウオッチしていきたいと考えております。

4点目、リクナビに絡めてプラットフォームへの対応が重要ではないかという御指摘をいただきました。これにつきましては、政府全体で今、プラットフォーム対応というのはやっているところでございます。まずは、事業者、プラットフォーマーの対応をしっかりやってもらうべきということで、先ほど御指摘のあったセキュリティーの問題とか表示の問題については、例えば公取委とか内閣官房で何かしらのガイドラインやルール整備ができないかという検討がスタートしているところでございます。

一方で、消費者トラブルはもちろんプラットフォームの関連でないわけではございませんので、消費者行政として何ができるのかといったことについては、引き続き検討を関係省庁と連携しながら進めていきたいと思います。

長くなりましたが、以上でございます。

○山本委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございますか。

それでは、柄澤委員、お願いします。

○柄澤委員 私は意見だけということで。

まず、パブコメの内容を見ていますと、消費者問題というのは多省庁にまたがりますので、PDCAをしっかり回すことが重要だと思っています。この総括、そこで何があったのか、何ができなかったのか、なぜできなかったのか、これを各省庁にしっかりと伝えて、次の計画に結び付けることが重要だと思っています。

それと、パブコメの中にあったクレーマーの問題については、逆に事業者側からいくと、この問題をどう解消していくのかということに関する示唆を議論いただけたら良いなと。

次がSDGsのところですけれども、これは消費者委員会の政策の中のガイドポストにしていっても良いようなことですので、是非この方向で進めていただきたい。

あわせて、推進のキーとして2点。前のところでももう書かれていますけれども、もうちょっと行動経済学的なところを活用して良いのかなと。先ほど片山先生からも意見がありましたけれども、例えば情報提供をしっかりやって、そういう意味では消費者政策の大切さを知らせる。一方でプレッシャーをかけて、なぜ必要なのかを伝える。それと、ある意味ランキング、競わせることによるプレッシャーではないですけれども、インセンティブを与えていく。褒めることも含めてですけれども、こういうことをもっと活かしていって消費者政策の実質を上げていくということを更に深めていかれたらどうかなと。

あわせて、海外事例のベストプラクティスを是非活用する方向で、海外調査をしっかりやっていただきたいと思います。

私からは以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

御意見ということでしたけれども、何かございますか。

○消費者庁内藤消費者政策課長 消費者庁自体は司令塔機能の発揮ということが永遠の課題としてずっと、設立以来10年間言われているところでございますので、特に1点目の部分、各省庁にしっかりとPDCAを回すよう働きかけるという辺り、特に現状のKPIが、アウトカムではなくてアウトプットに陥りがちなところがございますので、そういうアウトカム指標の設定といったようなことも含めまして、各省庁に取組の強化をしっかりとお願いをしていきたいと思います。

以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、新川委員、お願いします。

○新川委員 もうお答えいただく時間もないかと思いますので、意見ということで聞いておいていただければと思います。

今回の第4期の基本計画の策定に当たって、特に第1章の基本的な考え方(背景)のところで、社会変化への対応、新しいステージ、それから消費者行政あるいは消費者政策の新しいステージということが強調されているかと思いますが、社会環境変化への対応のところは、第2章以下、かなりしっかりと書かれているような気がするのですが、行政や施策の新しいステージというところについては従来型のものと余り変わっていないのかなという印象がございました。この辺りをどう展開されるのか、今後御検討いただければというのが1点目。

2点目は、特に第3章の基本的な方向のところで3つのポイントを挙げていただいて、これは時代に即しているなと思っているのですが、もう一方では、これが本当は5章の柱立てとうまく結びついていくということ、あるいは、ステージが変わるという基本的な方向性とこの基本的な方向というのが間を取り持って、この計画全体の体系性を確保するということになるはずなのですが、それにしてはこの基本的な方向というのがいささか保守的過ぎるのではないかという感じがしております。この辺り、柱立てはまだ事例ですので、今後、組み立て直していく余地が大きいかと思います。むしろ、この柱立てを積極的に展開していくための基本的な方向付けについて、更に表現も含めて御検討いただけると有り難いなと思っております。

それから、4章の推進上の考慮視点につきましては、今後の消費者行政を展開していく上で、その体制作りあるいは手法という点では極めて重要なのですが、もう一方では、今回は表題のみということで、実はこの考慮の方向付けが本当は重要で、例えば地方消費者行政について言えば、権限や能力、そこで必要なリソース、重なるところもありますが、そうしたものをどういう方向で持っていくのかというところまで、今後是非御検討いただければ。従来からもやっておられるところではあるのですが、司令塔機能の議論も含めて、ここはもう10年を経て次のステージでございますので、かなりしっかりとした方向付けができるのではないかと思っています。

4点目は、これも今後でありますが、先ほど柄澤委員からもありましたPDCAについて言うと、これまでの工程表は残念ながらPDCAサイクルを回せるような工程表になっていなかったところがございます。そういう点では、本当に毎年度のチェックがきちんとアクションにつながるような、そういう工程表を次は頑張って作っていただければと希望しております。希望だけです。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

これも御意見ということでしたけれども、よろしいですか。ありがとうございます。

大変多岐にわたる御意見を各委員からいただきました。今回の基本計画の骨組みに関する事柄のみならず、むしろ工程表のレベルの問題であるとか、あるいは基本計画と工程表を通じた全体の消費者行政の進め方に関する御意見等も含まれておりました。そういった点も是非消費者庁におかれましてはお考えをいただいて、今後取り組んでいただきたいと思います。

これは既に8月の委員会の場で申し上げていることかと思いますけれども、この基本計画の策定に当たりましては、優先課題を明確にしてメリハリのあるものにしていただくことが重要かと思います。その点、是非よろしくお願いしたいと思います。

それから、今日の御意見、いろいろあったのですけれども、取引の多様化・複雑化に伴いまして、BtoCとかCtoCといった概念だけではカバーできないような非常に多様な取引形態、あるいはそこにおける問題が発生していると思います。また、消費者といっても、例えば若者とか高齢者といった属性による違いもありますし、正にルールの在り方に関するワーキンググループの報告書を御指摘いただいたところですけれども、状況によって脆弱性が発生するという、状況による差異というものもあると。そういった中で、単に消費者か事業者かという枠を超えて、多様な取引形態、多様な問題、あるいは多様な消費者の状況、あるいは属性というものを考慮して課題に取り組んでいただきたいと考えます。

それから、SDGs関係のことにつきましては、本来であれば、この場に生駒委員がおられて、もっと強く主張されたのではないかと思うのですけれども、今回の第3章の中でも指摘をされているところです。SDGsといったときに、消費者を守るという観点もあれば、先ほどから多くの委員の方が指摘されているように、社会全体としてのSDGsに消費者が消費を通じて積極的に参加をするという面もあろうかと思います。

それから、Society5.0への対応という点に関しても、確かに消費者を新たな、例えば個人情報保護の問題等々が発生するので、そこから守るという視点もあると思いますけれども、他方でこういった技術を消費者行政等々に積極的に生かしていくといったような面もあろうかと思います。

最後に、新川委員から、第3章が全体をつなぐハブになるとすれば、もう少し拡充してというか、もう少し考えていただきたいという御意見がございましたけれども、その辺りについても更に御検討いただければ大変有り難いと思います。

それよりはもう少し具体的なレベルの話になろうかと思いますけれども、多くの委員から指摘をされたことといたしまして、消費者とのコミュニケーションの在り方の問題、これは事業者と消費者とのコミュニケーションも含めてのコミュニケーション、もちろん行政と消費者という関係もあるかと思いますけれども、そういった様々なコミュニケーションの在り方。あるいは、そこにおいて行動経済学という話がございましたけれども、情報というツールを用いた様々な施策の展開について考えていただきたいという御意見がございました。

これは、目標そのものというよりは、手段のレベルの話になるのかもしれませんけれども、その点も是非考慮していただければと思います。

特にここに出ていないこととして国際連携の話がございまして、これは一般的に言うのは簡単なのですけれども、確かに実際上の執行等のレベルにおけるグローバルな取組というのは非常に難しいところがございますので、この中にどういうふうに盛り込んでいくかというのは非常に難しいところかと思いますけれども、そのような御意見もございましたし、非常に重要な問題ですので、是非お考えいただければと思います。

消費者庁におかれましては、今回の意見募集の結果を踏まえまして更に検討いただき、内容の充実に向けて積極的に取り組んでいただければと思います。

委員会といたしましても、その取組を注視するとともに、今後も必要に応じてヒアリングや意見表明等を行っていきたいと思います。大変大きな難しい課題でございますけれども、消費者庁におかれましてはどうかよろしくお願いいたします。

本日は、消費者庁におかれましては、お忙しいところを御出席いただき、どうもありがとうございました。

○消費者庁内藤消費者政策課長 ありがとうございます。


≪4.閉会≫

○山本委員長 それでは、本日の議題は以上になります。

最後に、事務局より今後の予定について説明をお願いいたします。

○金子参事官 次回の本会議の日程、議題につきましては、決まり次第、委員会のウェブサイト等でお知らせをしたいと思います。

この後、委員間打合せを行いますので、委員の皆様におかれましては委員室にお集まりいただければと思います。

以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところ、お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。

(以上)