第308回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2019年8月30日(金)9:29~12:10

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 左藤内閣府副大臣
  • 【委員】
    高委員長、池本委員長代理、受田委員、大森委員、蟹瀬委員、鹿野委員、長田委員、樋口委員、増田委員、山本委員
    (高委員長の「高」は、正しくは「はしごだか」)
  • 【説明者】
    地方消費者行政専門調査会新川座長
    消費者委員会事務局担当者
  • 【消費者庁】
    伊藤長官
  • 【国民生活センター】
    松本理事長
  • 【事務局】
    二之宮事務局長、福島審議官、金子参事官、友行企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 伊藤消費者庁長官、松本国民生活センター理事長御挨拶
  3. 地方消費者行政専門調査会論点整理について
  4. 預託等取引契約に関する消費者問題について
  5. 第5次消費者委員会のこれまでの活動と今後について
  6. その他
  7. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○高委員長 皆様、おはようございます。時間となりましたので、第308回「消費者委員会本会議」、本日は第5次消費者委員会としての最終会合になります。この本会議を開催させていただきます。

皆様、お忙しいところを御参集いただきまして、ありがとうございます。

それでは、最初に配付資料の確認につきまして、事務局よりお願いいたします。

○金子参事官 配付資料につきましては、議事次第の下部に記載のとおりでございます。もし不足等がございましたら、事務局までお申し出いただきますようにお願いいたします。

○高委員長 ありがとうございました。


≪2.伊藤消費者庁長官、松本国民生活センター理事長挨拶≫

○高委員長 本日は、伊藤消費者庁長官、松本国民生活センター理事長がお越しになられております。また、左藤副大臣は10時15分頃をめどに御到着されると聞いております。

まずは、開会に当たりまして、伊藤消費者庁長官より御挨拶をいただきたいと思います。

○消費者庁伊藤長官 ありがとうございます。

本日は、第5次消費者委員会としての最後の会議と伺っております。高委員長を始め、委員の皆様方にはこれまで2年間様々な課題について精力的に活動されて、多くの御意見や答申を取りまとめていただいたことに対して、消費者庁を代表いたしまして、深く感謝申し上げる次第でございます。

実は、御案内のとおり消費者庁は、この9月1日で10周年を迎えます。従来、私どもの消費者庁を消費者委員会のお立場でいろいろ御指導を賜って、いろいろ御助言をいただいたと思っております。

最近、10周年ということで、もともとのことをいろいろ振り返り、私も就任して間がないものですから、勉強も含めてお尋ねするにつれて、こういう形でいろいろな御指導を賜るというやり方は非常に良いやり方だったのではないかと思っているところであります。

直近の話で申し上げますと、昨年の通常国会において、消費者契約法の改正法が成立いたしましたのは、消費者委員会の御熱心な御討議の成果であったと認識しておりますし、また、消費者基本計画の工程表についても二度の改定をしていただきましたし、電力料金を始めとする公共料金の変更の話、さらには、食品表示基準の改正についても御指導を賜ったと思います。

更に直近で言いますと、この8月19日に消費者庁の新未来創造オフィスについて恒常的なものにするということで、2020年から一部新たな業務をやるという方向で組織の整理をすることにしましたが、その際も、そもそも消費者庁の組織がどうあるべきかという観点からいろいろな御意見をいただいたということが、今回の消費者行政にとって、それから、地方創生にとって、とりわけ我々にとっては消費者行政にとって良い結論でなければいけないというのが一番大切なことでございますので、そういう観点で言うと、いろいろな御意見はあると思いますが、非常に良い方向性になったのではないかと我々としては思っているところであります。

もとより消費者行政自体は事業者対消費者ということで、悪質な方をどうするかという問題はありますが、そもそも消費者そのものが時代状況によって置かれている状況が非常に変わっていっているということでございますので、そういったものについて常によくウオッチしながら効果的に対応していくことが大事だと思っています。そういう意味では、ここにいらっしゃる先生方のように、いろいろな分野の観点からお話をいただいて、御指導をいただくということは、大変私どもとしても有り難いと思っております。

消費者庁としては、10周年で一区切りしますが、今後、国民生活センターの松本理事長のところと協力しながら、消費者の安全と安心というものにしっかりと対応していきたいと思っております。今日、第5次消費者委員会、このメンバーでは最後というふうには伺っておりますけれども、引き続き、いろいろな立場で御指導を賜りますことをお願い申し上げて、また、本当に感謝を申し上げて、私からの挨拶とさせていただきます。本当にありがとうございました。

○高委員長 伊藤長官、ありがとうございました。

続きまして、松本国民生活センター理事長より御挨拶をいただきたいと思います。

○国民生活センター松本理事長 松本でございます。おはようございます。

第5期の消費者委員会委員の皆様、2年間の活動、大変御苦労さまでございました。

この2年間、様々な対外的な情報発信をされてこられたわけですが、国民生活センターに一番関わる課題といたしましては、消費者行政新未来創造プロジェクト検証専門調査会の検証作業、評価作業というものがございます。我々の業務につきましても、適切な評価と御指摘をいただきましたことに感謝申し上げます。

また、消費者法におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループの報告書が出されておりますが、この報告書の内容は今から15年ほど前、2000年代の前半、当時の内閣府の国民生活局の中で設置された研究会で、高委員長、私、その他の先生方で議論したこととつながっているテーマでございます。また、過去3年間、国民生活センターが文科省から研究費の補助金をいただきまして、共同研究をしてまいりましたテーマとも一部重なっております。今後、あそこで提案されているいろいろな論点をもう少し落とし込んで、具体的な提案として実現されていっていただきたいと思います。

今、伊藤長官がおっしゃいましたように、今年で消費者庁、消費者委員会、発足10年ということになります。消費者庁を創ろうという議論をしておりました今から11年前、2008年に、当時の福田首相は、消費者行政の一元化において守るべき3つの原則というものを宣言されています。

第1は、霞が関に立派な消費者庁ができるだけでは意味がない、地方の消費者行政を充実、強化することが重要なのだということです。これを振り返りますと、現在、課題山積と。現在もと言っても良いかもしれませんが、課題山積の状況でございます。消費者委員会の中の地方消費者行政専門調査会での議論が、論点整理にとどまっているというのは非常に残念でありまして、これをきちんと議論を進めて一定の考え方を打ち出す方向に行っていただきたいと思います。

第2が、消費者庁を創っても行政の肥大化を阻止するのだという点ですが、これはもう肥大化どころか、期待されたほども成長していないというところかもしれないので、実現しているといえば実現しているのですけれども、真の意味ではマイナス成長に近いかもしれない。昨晩、NHKの今井純子解説委員が「時論公論」という番組でこの点を最後に強調されていまして、真の司令塔機能を発揮するためには、スタッフを充実させなければならないということを指摘されていました。

最後、第3に、消費者の利益にかなうことは、産業界の利益にもかなうのだと。消費者行政を通じた産業活動を活性化するのだという点であります。この点は、高委員長が一番得意とされる分野だと思いますし、こういうウイン・ウインの関係を作っていくのが重要だということは言われているのですけれども、それを実現していくための様々な取組等がまだまだ不足しているのではないかと思います。消費者委員会からも、そういう点でこういうものをやったらどうかというような提言等を積極的にお出しいただければと思います。

ただ、任期満了の直前の委員の皆様にこういうことを申し上げるのは時期が外れているような気もしないではないのですけれども、恐らく一部の方は、引き続き行われるだろうということを期待いたしまして、次期の消費者委員会として、いろいろな取組を更に強化していただきたいと思います。どうも御苦労さまでございました。

○高委員長 松本理事長、ありがとうございました。

ここで、伊藤長官、松本理事長は、所用により退席されます。御出席を賜りまして、ありがとうございました。

(消費者庁伊藤長官、国民生活センター松本理事長退席)

≪3.地方消費者行政専門調査会論点整理について≫

○高委員長 それでは、最初の議題は「地方消費者行政専門調査会論点整理」でございます。

消費者委員会では、委員会としてこれまでも議論してきました相談体制の充実や財政支援の在り方、相談員の処遇改善などに加え、人口減少や高齢化などの社会の変容、地方公共団体における行政課題の多様化、複雑化などを踏まえ、中長期的な視点から、新たな消費者行政の在り方などの検討を行うため、平成31年2月に地方消費者行政専門調査会の再開を決定いたしました。

このたび、同専門調査会において中間整理として専門委員や有識者ヒアリングなどを踏まえた論点の整理を取りまとめたということでございます。本日は、同専門調査会の新川達郎座長にお越しいただいています。お忙しいところ、御出席を賜りましてありがとうございます。

最初に、新川座長から論点整理について簡単に御説明をいただきまして、その後、意見交換を行いたく思います。

それでは、座長、よろしくお願いいたします。

○地方消費者行政専門調査会新川座長 ただいま御紹介をいただきました、新川でございます。本日はこうした場で御報告を申し上げる機会をいただきまして、大変光栄に存じます。よろしくお願いいたします。

ただいま、委員長からも御紹介がございましたように、私ども地方消費者行政専門調査会では、本年6月から5回の会議を進めてまいりました。もちろん、前の期の専門調査会もあるのですけれども、第20回から改めて議論を始めてきたということでもございました。

5回ですので、今のところまだ論点整理にとどまっております。その内容につきましては、次の期の消費者委員会、そして、恐らくそこで設置をされるであろう専門調査会で更に御議論をいただければということで、現段階での整理結果を御報告させていただければと思っております。

基本的な私どものこれまでの議論の方向というのは、直近、消費者行政をどうするかということよりも、10年後、20年後を見据えた地方消費者行政の在り方といったところに焦点を当てて議論をしていこうとしてまいりました。もちろん、現時点での様々な課題、問題を無視するということではなくて、むしろこれらを本当に解決に導くような将来の姿を考えていきたいということでもございました。

そのために、これまでの5回の議論では、様々な御専門の方々からのお話をお伺いし、そして、その中で今後私どもとして考えなければならないと思われた論点をまずは整理をしてきたということでございます。

少しだけ内容に立ち入りますけれども、そこでの議論というのは、大きくはやはり10年後、20年後に、例えば国連の2030アジェンダのような倫理的な消費といったものをどう実現していけるのか、あるいは2040問題に象徴されるような日本社会の極めて大きな変化に対応できるような消費者行政をどう考えていくのか、そのときに私たちは消費者市民社会的なものをどこまで実現できているのか、そんなことも考えながら議論をしてまいりました。

幾つか重要な論点、これまで議論をしてきた中で各委員から熱心に御議論をいただいた点を2~3お披露目をさせていただいて、入り口にしたいと思っております。

1つ目は、この専門調査会での議論といたしましては、様々な担い手が消費者行政に関わっていくということ。そして、その中で公・共・私の連携とか、あるいは公民の協働とかということが、大きなテーマになってきたということでございました。こうしたそれぞれのセクター、それぞれの担い手がしっかりしていくことも重要ですが、それらが協力をする、連携をするということの重要性も改めて強調された論点でした。

大きな2つ目は、こうしたこれからの消費者行政を支えていく、そして、地域の中でそれを実現していくときに、人材の育成が極めて重要だということが強調されました。とりわけ、専門的な人材も必要ですが、同時に、幅広く従来の消費者教育あるいは啓発の仕組みとは大きく異なったシステムを考えていかなければならないのではないかということが少し強調されたのではないかと思っております。その際に、今、議論をされておりますICTあるいはAIの活用、そして、PIO-NET等でも知られておりますデータベースの活用の在り方、こういったものもこれからの消費者行政を考えていく上で、そして、地域の中で活動していく上で、極めて大きなインパクトがあるのではないかと考えております。

最後にいたしますけれども、こうした地方消費者行政を支えております市町村あるいは都道府県の在り方、そして、それの基盤となる国全体の在り方、こういうところにつきましても議論をしてまいりました。具体的には後ほどまた少し紹介させていただきますけれども、市町村が中心になってやっていかなければならない。しかし、都道府県の役割も一定ありますし、国の役割も極めて基盤を作るという意味では大きいと考えております。むしろ、それぞれの明確な役割分担というよりは、相互に都道府県、市町村、国がいかに連携をしていけるか、協力をしていけるか、そういったところも論点になるのではないかということでお話をいただいたのではないか。そんなふうに思っております。

少し入り口が長くなってしまいましたけれども、そんな問題関心を持って議論をしてまいりました。具体的な論点等につきまして整理をさせていただきましたものにつきましては、この後、事務局から説明をさせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○友行企画官 それでは、お手元の資料1を御覧いただけますでしょうか。「消費者委員会 地方消費者行政専門調査会 専門委員や有識者ヒアリング等を踏まえた論点整理」のペーパーでございます。

1ページ目、「はじめに」のところでございます。地方消費者行政の現場は「地域」でございます。地方消費者行政の充実、強化は消費者政策の推進における最重要課題の一つであるという認識でございます。

ただ、我が国は既に人口減少局面を迎えております。人口減少、少子化、高齢化は、今後更に加速して、2040年頃には高齢者人口がピークを迎えることが見込まれております。

特徴といたしまして、都市部では、高齢者単身世帯の増加や孤立化、地方部では過疎化が進むといったことが予測されます。そうしたことによる「地域力」の低下が懸念されております。同時に、情報化、技術の進展等といった社会情勢の変化に伴いまして、消費者問題はますます複雑化、多様化し、新たな消費者問題の発生も見込まれるといったところでございます。

こうした過去に経験のないレベルでの人口構造、社会情勢の変化を踏まえまして、これまでの施策の延長線上(改善策の積上げ)では対応し切れない可能性もあるといったことが認識の前提となっております。地域とのつながりが薄れ、孤立化する高齢者を中心に起きる消費者問題を未然防止し、適切に被害回復につなげる方策を現時点で打ち出して、直ちに将来を見据えて取りかかる必要がある。そういった問題意識でございます。

そこで、本専門調査会では、直近の消費者課題にも目を向けつつ、2040年頃において地方消費者行政が役割を果たすためにどのような対応策が考えられるかという中長期的な視点から、新たな消費者行政の形、消費者行政分野における公・共・私の相互の連携、協力の在り方などについて検討を行うといったものでございます。

なお、この論点整理でございますが、現段階における中間的な整理でございまして、引き続き具体的な検討を進め、更に論点の追加、整理を行っていくといった性格のものでございます。

2ページ目、「ポイント」の1ページ目でございますが、「問題意識」のところはただいま申しましたようなことを記載しております。

その下の「10年後、20年後の消費者行政充実、強化に向けて求められる視点」でございます。1つ目は、10年後、20年後の我が国の姿をどう見るかでございます。先ほど申しましたような、都市部では急速な高齢化、地方部では急速な人口減少といったことが一つのポイントでございます。

2つ目が、地方自治体により異なる課題の把握とそれらに対応した地方消費者行政の在り方でございます。

3つ目が、連携、ネットワークを活用した消費者問題への対応といったことでございます。地方自治体の中で、消費者行政のための組織・予算を区切って、それを拡大することを全ての自治体に求めることは、一定水準で必要でございますが、今後難しくなる可能性がございます。消費者行政と他の行政部門、地方自治体間相互、国と地方自治体との間、公・共・私の間における連携、ネットワークの構築が必要ではないかといった視点でございます。

4つ目が、専門人材の育成、活用でございます。

5つ目が、IT、技術の活用でございます。PIO-NETなどにつきましては、データ駆動型政策のPDCAとして大きな可能性を持っているということが言えるということでございます。AIによる課題解決と人の知見によるソリューション開発を組み合わせた「AIと人とのハイブリット行政」を進めていくべきではないか。オープンデータ化の視点も重要ではないかといった御指摘がございました。

6つ目が、市町村の役割、都道府県の役割でございます。

7つ目が、国が果たすべき役割といったところでございます。

3ページ目、「ポイント」の2枚目でございますが、図1から4まで、地方消費者行政の問題を考えていく上で重要と考えられることを図としてピックアップしたものでございます。

4ページ目を御覧いただけますでしょうか。4ページ目以降は「ポイント」のところでございました問題意識や「10年後、20年後の消費者行政充実、強化に向けて求められる視点」のそれぞれの項目につきまして、具体的にありました議論を項目別に整理しているところでございます。

最初の「問題意識」の1つ目のところでございますが、社会情勢の転換といったところでございます。高齢単身世帯や認知症高齢者の数の増加に伴いまして、高齢者を狙った消費者被害の増加が懸念されます。高齢者の自助能力低下への対応が大きな課題といった御指摘がございました。

2つ目といたしまして、行政の変容と課題でございます。2040年には、多くのところで市町村が限界市町村状況に陥るとも言われております。地方部における市町村の対応力がかなり低下することを前提にしなければならないといったところでございます。

3つ目が、効率的・効果的な取組に向けた施策でございます。地方自治体の中で消費者行政のための組織・予算を区切って、それを拡大することを全ての地方自治体に求めることは、一定水準で必要でございますが、今後難しくなるといった視点でございます。

4つ目が、消費者行政の必要性と周知でございます。一般の人たちだけではなく、消費者行政に関わる者において、消費者問題をこのまま放っておいたら何が起こるのかといったリスクをしっかり把握していないと、このままでいくとこういう状態になるということを明確にすることが必要ではないかというような御指摘がございました。

5ページ目、「10年後、20年後の我が国の姿」につきましてでございます。

(1)は、変容する社会への対応といったところでございます。

(2)が、消費者行政に携わる地方自治体職員の確保、育成でございます。都市部においても急速に進む高齢化への対応に追われ、消費者行政に対して職員を養成し十分な予算を割くことはかなり難しい状況に陥ることを念頭に置かなければならないという御指摘がございました。

(3)が地方自治体の予算でございます。2つ目の○でございますが、国と地方の役割分担も含めながら、国民や住民がどのように財源を負担していくかなども検討する必要があるのではないかといった御指摘がございました。

(4)は情報化社会の課題といった整理でございます。

6ページ目、「地方自治体により異なる課題の把握とそれらに対応した地方消費者行政の在り方」のところでございます。

(1)といたしまして、地域の特性等に応じた課題解決の視点でございます。平等性・公平性を重視する行政においても、優先順位をつけて解決していくことや、平均的ではなくて、それぞれの地域の特性や実態を明らかにすることも必要ではないかといった御指摘がございました。

(2)といたしまして、課題把握のための関係機関との連携、(3)といたしまして、情報公開のための適切な情報の蓄積といった視点も論点として挙がってきたところでございます。

7ページ目、3番といたしまして「連携、ネットワークを活用した消費者問題への対応」でございます。

(1)といたしまして、行政内部の連携体制の構築でございます。福祉部門と行政部門の連携など、部門間の連携は長い間課題とされている。複雑で数多い行政施策の全体像がうまく把握できないということもあり、その可視化もICTの重要課題ではないかといった御指摘もございました。

(2)といたしまして、自治体間連携でございます。

(3)といたしまして、既存のネットワークとの連携・統合でございます。消費者行政を単なる単独の行政として捉え対応するのではなく、住民全体の生活を守る総合行政の一部として捉えるべきではないか。消費者行政は高齢者の生活介護の一環として例えば地域包括ケアの中に取り込むことも考えられるというような御指摘がございました。

8ページ目、(4)といたしまして、公・共・私の連携でございます。行政・コミュニティーなどのステークホルダーが一体となって地域全体の課題に取り組む体制が求められているといった御指摘や、消費者が自ら学び解決し、情報発信するといったことで、消費者自身の力を高めていくためにも、消費者行政が重要ではないかといった御指摘がございました。

4つ目の○でございますが、地域力を高めるといった観点から、消費者市民社会を実現するための担い手として、高齢者を消費者行政の分野に取り込んでいくことも必要ではないかという御指摘がございました。

(5)といたしまして、消費生活センターの位置付けでございます。現在の地域包括システムに寄せられる課題は福祉分野が中心でございますが、今後は消費者課題(高齢者、障がい者の消費者被害等)の対応についても、消費生活センターとして独自の専門性を高めながら、ともに連携、活動していくといったことが必要ではないかといった御指摘がございました。

また、(6)といたしまして、適格消費者団体の位置付けについても論点として挙がってきたところでございます。

9ページ目、4.として「専門人材の育成、活用」でございます。

(1)に専門人材に求められる能力でございます。今後、複雑化・高度化することが懸念されるということでございまして、ますます消費者問題に対しまして、高い専門性を持った人材が求められるという御指摘がございました。また、消費者行政は非常に分野が広いということでございまして、全ての分野をカバーするということはおよそ不可能であるということももしかするとあるかもしれない。専門性のみならず、他の専門性とつなげるコーディネート力というのも重要ではないかといった御指摘がございました。

(2)といたしまして専門人材の雇用、(3)といたしまして専門人材の育成の視点、(4)といたしまして専門人材の活用の視点といったところでも、様々な御指摘もいただきました。

(3)専門人材の育成のところでは、3つ目の○でございますけれども、消費者政策の担い手の育成のため、大学の活用と連携を進めていくことも必要ではないかという御指摘もいただきました。

10ページ目、「IT、技術の活用」のところでございます。これからこの分野は特に進展していくことが期待されまして、(1)といたしまして、ITツールの活用は必ず行うべきだということでございます。日本では、高齢化やいろいろなことから人が足りないと言われているけれども、AIとかロボットを活用することなどによって生産性を上げていく、構造的な問題を解決することによって、人を捻出することは可能ではないか。こうした視点からも活用していくことが大事ではないかといったところでございます。

(2)といたしまして、ITツールを活用した消費者教育・消費者啓発を推進していくことが重要だ、必要だといった御指摘でございます。

(3)といたしまして、ITツールを活用した消費者相談についての御議論をいただきました。4つ目の○でございますけれども、その中で一つあった御指摘としては、ITツールの活用による相談業務の効率化ももちろん考えられる、ただ、市民の安全・安心の観点から、人が担うべき部分もあり、顔が見える関係を維持した仕組み作りなど、活用の仕方を工夫していくといった視点も必要ではないかという御指摘もいただきました。

11ページ目、6.といたしまして、「市町村の役割、都道府県の役割」でございます。

(1)といたしまして、市町村の役割でございます。市町村は、住民の安全を守る総合行政の中で消費者行政を推進することを基本的責務とし、窓口機能を備え、住民にとって身近な問題を把握することが大切である。市町村の行財政力により、その対応が困難な場合について、地方自治体相互間の連携や国・都道府県の支援により補完するといったことも必要ではないかといった御指摘がございました。

(2)といたしまして、都道府県の役割につきましても、様々な御議論があったところでございます。

(1)市町村の役割、(2)都道府県の役割の両方に共通する事項といたしまして、それぞれの一番下の○のところでございますけれども、行政においては、専門的で解決力が高い体制を整えることが重要であり、効率的な人員配置やAI・ICTを活用したスマート行政を行うといった視点も必要ではないかという御指摘もございました。

(3)といたしましては、市町村と都道府県連携がもちろん重要だといったところでございます。

7つ目といたしまして、「国が果たすべき役割」でございます。国が果たすべき役割といたしましては、(1)国の役割のところでは、例えば国は情報基盤の整備を行い、そこでの情報入力については公開による書き込みの手法をとるなど、新しい視点で最新の情報が閲覧できるような仕組みの検討が必要ではないかというような御指摘もございました。

(2)につきましては、国による地方自治体の支援でございます。こちらにつきましても、自治体が主体的に行動できる環境を作ることが一番の支援ではないかといった御指摘など、様々な御指摘があったところでございます。

資料の御説明につきましては、以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

ただいま、地方消費者行政専門調査会の論点整理を紹介いただきました。

委員の皆様から、御意見、御質問がございましたら、どうぞ御発言ください。

どうぞ、受田委員。

○受田委員 御説明ありがとうございました。

論点整理ということで、中間取りまとめにおいては課題も含めて網羅的に議論をしていただき、その内容をしっかりと取りまとめていただいていると高く評価をさせていただきたいと思います。

その上で、一番の原因というのは、私も地方で生活をしているという立場で、コミュニティーの崩壊というのが極めて大きいと実感をしております。それによって特に高齢者の方々の孤立が深まり、結果、様々な被害に遭う。これは健康の政策上でも重要であり、地域包括ケアの話などが盛り込まれているところからも当然かと思います。

現実、これを具体的に方策としてアクションを立てていくときに、このスキームにおいて一番頼りになるのは行政かと思うのですけれども、これまた地域における自治体あるいは行政の職員の方というのは、業務が非常に多岐にわたり、複数のタスクを抱えて忙殺をされておられます。ですから、そこに更にこういった消費者行政のタスクがオンされていくと、とても回っていかないということで、恐らくどこかにひずみが更に生じていくのだろうということが懸念されます。

そこで、一つの方策として是非考えていただきたいのは、コミュニティーの崩壊が原因であるとすると、コミュニティーの再構築がまず具体的なソリューションとして挙げられていくということです。その際に、自主的なコミュニティーを再構築する上で、今、一番ポイントになりそうなのは、各地域の自主防災組織ではないかと私は思っております。これは防災の対応上は震災もあれば、風水害もございます。こういった自主防災組織の取組は、コミュニティーの再構築という点と、更に脆弱な消費者に対する配慮という点が、極めて強調されていくことになります。

したがって、自主防災の防災の「災」の字に、ソフト的な災害、そして、従前のハード的な災害と、これを一体的に対応していく、そういう自主的な組織ということで捉えていくことも、一つの案ではないかと思っているところでございます。

私は危機的な地方の状況を目の当たりにしておりますので、先ほどの松本理事長のお話もありましたように、一刻を争うということで、まず、どこから手をつけるかという点で今の論点整理を拝聴させていただきました。ありがとうございます。

○高委員長 ありがとうございました。

座長、いかがでしょうか。自主防災組織を確認してということですけれども。

○地方消費者行政専門調査会新川座長 貴重なコメントをありがとうございました。御指摘いただいた点、当専門調査会でも、都市の急激な高齢化、非大都市圏の地域における人口減少、そして、地域の力そのものが弱体化をしているということについては、相当議論が集中いたしました。その中で、改めて地域の力というものをどう再構築するか。これも御指摘がありましたとおり、行政の役割は大きいのですが、地方行政それ自体が今、大きな資源の制約、そして、人口減少に対応した大きな制約に直面をしている状況にございます。消滅自治体などというような余り口にもしたくないような言葉も広がっているような状況でございます。

そういう中で、どうこの地域の力を再構築していくのか。恐らく、それぞれの行政、そして、企業、事業者、住民あるいは消費者団体、これらがそれぞれに頑張っても相当限界があるだろうというのが論点でした。むしろ地域の中でそうしたいろいろな担い手が協力をする、連携をする、補い合うというような仕組みを作っていくというのが一つ重要なポイントかと考えています。

そのときの様子が、手がかりになるのが、ただいま御紹介いただきました自主防災という仕組みもありますし、あるいは、今、地域福祉で進めておられますような地域包括支援の仕組みであるとか、さらには幾つかの自治体で現在進めておられますけれども、特に過疎地が多いのですけれども、地域自治の仕組みや、あるいは小規模多機能自治と言われているような、いわば地域の問題を地域自身の手で、しかも、そこに行政も事業者も連携しながら、自主的、自律的に問題を解決していけるような、そういう仕組みを考えていこうという動きもございます。

そうした中に、この消費者行政、地域の消費者の安全・安心を守っていく、そういう仕組みを組み込みながら、また、その問題を府県・国のレベルでも連携しながら解決に協力していけるような仕組みを作っていくのが恐らくこれからの地方消費者行政の大きな課題かと考えているところでございます。

以上です。

○高委員長 ありがとうございました。

他にいかがですか。

どうぞ、池本委員長代理。

○池本委員長代理 池本でございます。

私はこの専門調査会にずっとオブザーバー参加させていただいて、議論を拝聴しました。3点、感想を含めて申し上げたいと思います。

まず、第1点は「はじめに」のところの一番最後、なお書きでも書いてありますが、本来であればいろいろな関係先のヒアリングを一通り終えた後で中間整理ができれば良いのでしょうが、何しろ本委員会の任期との関係で、まだ関係先のヒアリングを全部終えていない、本当に途中段階での論点整理であるために、ここにも書いてありますが、まだ議論の方向性が定まっているところではないし、むしろ今後いろいろ論点も追加していく必要もあるであろうという認識だったと思います。

是非、その中では、私の率直な感想として10年、20年先の地方行政の在り方、福祉とか災害とか、全体の行政における10年、20年先の制約という意味で、非常に幅広い認識を共有できたのですが、消費者行政の現場が今、どうなっているか。これは地方の消費者行政であり、あるいは消費者庁が頑張っている、どこまで頑張って何ができていないか、そういったあたりのヒアリングもした上で消費者行政固有の課題もあぶり出していただくのが今後の一番大事なところになるかと思います。

そのときに、この論点整理の中でも出ていますし、私も共感するのは、将来的には公・共・私が本当にバランスよく連携をしていく必要があるということですが、実は消費者行政の場合は、福祉とか他の分野に比べると、公・共・私の「公」の部分がまだまだ弱体で、本当はこの10年間にもっと強くしなければいけなかったのが、自治体の首長とか議会とか、そこでの消費者行政重視という価値判断がまだ浸透していないという問題があります。

そこを今後どう突破していくのか。それがなければ、10年後、20年後に向けた構図の一番核になる公の部分を強化するという点、そして、公・共・私の中で「私」の個人に向けては、消費者教育推進ということが言われているのですが、真ん中の「共」の部分、つまり、地域の官民連携の担い手となる主体、以前であれば消費者団体が各地にいたり、いろいろな課題をやってきたけれども、消費者団体も高齢化、あるいは活動も衰退している。地域コミュニティーを積極的に担う人が消費者問題をきちんと理解して、そういう課題を地域コミュニティーの中で広げていくためにどういうことをしていく必要があるのかということがあって、行政と地域の中の官民連携の民の側の主体をどう位置付けるかということがあって初めて将来像が描けていけるのかなと思います。非常に幅広い論点になるかと思うのですが、今後の議論に期待したいと思います。よろしくお願いします。

○高委員長 何かコメントはございますか。

○地方消費者行政専門調査会新川座長 池本委員長代理には、専門調査会でも常に議論を触発していただいておりまして、感謝を申し上げているところです。

ただいま御指摘いただいた点、次の専門調査会に申し送りということになると思いますけれども、重要な点を御指摘いただいたかと思います。消費者行政そのものが弱い状態にあるのかどうか、そして、それを乗り越えるとすると、それを強化する方向にあるのかどうかということについては、しっかり議論をしていかないといけないかと思っております。むしろ消費者市民あるいは消費者団体、さらには企業の力、こうしたものをもっともっと消費者市民社会あるいは倫理的な消費に向けて組み替えていくような社会全体の動きも必要なのではないか。そんな議論も一方ではあろうかと思っております。

それがもう一点御指摘をいただきました公・共・私の「共」、この担い手、消費者団体、頑張っておられるのですけれども、おのずから限界がある。その中で、これからどういう新たな担い手を育てていくのか。この何年かを見ておりましても、消費者問題に積極的に取り組んでおられるNPO組織、消費者教育に熱心な様々なボランティアの団体、たくさんございます。そうしたところの力を更に広げていく。そして、それは単独にはなかなか民間非営利部門で達成できることは少のうございますから、その力を民間営利やあるいは公共がどういうふうに補っていくのか。そういうところで実は公共も強化できる、あるいは民間も強化できる。そういう仕組み、あるいはそういう視点を積み上げながら、10年後、20年後につなげていくのかなと思いながら、お話を聞いていた次第です。

以上です。

○高委員長 ありがとうございました。

他にいかがですか。

どうぞ、増田委員。

○増田委員 消費生活センターがハブ的な役割であったり、ワンストップ型の機能を求められたりということで御指摘があったと思います。その一方で、相談員の欠員があるという問題があるということで、その背景としては、処遇の改善であったり、広域連携の必要性があろうかと思うのですけれども、私の立場から市町村から御相談を受けるとか、相談員の欠員に関する御相談を受けることがよくございます。そういう中で、都道府県の役割が非常に大きくて、都道府県が支援をすることによって市町村が改善される例もございます。

そういう意味からいうと、市町村の役割ももちろん当然重要なのですけれども、都道府県の役割がすごく重要だと感じておりまして、非常に丁寧な支援、面倒を見るというか、そういうことが市町村を活性化するためにすごく具体的なサポートになっていると思いますので、是非その辺りのところの具体的なサポートの在り方、都道府県のところを今後御議論いただければと思っております。

○高委員長 コメントがあれば、どうぞ。

○地方消費者行政専門調査会新川座長 しっかり議論が今後進められればと思っております。特に都道府県の役割を、ただ単に広域行政あるいは都道府県センターの役割とかというところに限定するのではなくて、本当に市町村の補完といいますか、どういうふうに市町村と協力して消費者行政を相談であれ、あるいは教育啓発であれ、きちんと地域の一人一人の市民の皆様方に落とし込んでいけるか。これは府県と市町村双方の大きな課題と考えております。その点で都道府県の持っております役割は、むしろ極めて大きいのではないか。そういう議論がこれまでございましたことを申し上げておきます。

○高委員長 ありがとうございました。

他、ございますでしょうか。よろしいですか。

(左藤副大臣入室)

○高委員長 議事の途中ではございますが、左藤内閣府副大臣がお越しになられましたので、御挨拶をいただきたいと思います。

○左藤副大臣 どうも、会議の途中で御無礼をしました。本日は宮腰担当大臣にかわりまして、一言御挨拶を申し上げたいと思います。

第5次消費者委員会として、最後の委員会の開催と伺っております。委員の皆様におかれましては、2年の任期の間、公益通報者保護制度の見直しや、プラットフォームが介在する取引の在り方、消費者行政新未来創造オフィスの取組についての消費者行政の進化等の観点からの成果の検証など、消費者行政が直面する諸課題に調査審議をいただき、御尽力を賜りましたこと、厚く御礼を申し上げたいと思います。

消費者庁、消費者委員会は、平成21年9月に発足して以来、本年9月で10年を迎えることになります。この間、消費者委員会は消費者行政全般に対して、監視機能を持つ独立した第三者機関として300回を超える会議を開催し、20件の建議、100件以上に及ぶ提言、意見を発出されたと伺っております。委員の皆様を始めとした関係の方々に、これまでの御尽力、そして、御努力に心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。

今後とも様々な観点から消費者行政に対して御指導、御鞭撻、御協力も含めてよろしくお願いを申し上げて、御挨拶にかえます。本当にどうもありがとうございます。よろしくお願い申し上げたいと思います。

○高委員長 副大臣、ありがとうございました。

それでは、議事に戻ります。引き続き御質問、御意見がございます方はどうぞ御発言ください。

どうぞ、長田委員。

○長田委員 ありがとうございます。

座長の中間整理、そして、今、委員の皆様から出された御意見を伺っていて、本当にそうだと思っています。今回の論点整理は10年後、20年後の中間的整理ということなのですけれども、御指摘のとおり、本当に今の地方消費者行政は非常に厳しい状況にあります。今後、次期の調査会、消費者委員会では、将来こうすべきということとともに、今、何を国に求めるべきかということも含めて、同時に並行的に発信をしていっていただければ良いなと思っています。

また、これらの課題について、今ほどもありました市町村と都道府県の関係、民間、「私」という人たち、「共」という人たちが、より地方へ行けば行くほど結局同じ人たち、非常に狭い範囲の人たちが担っている現状もありますので、それらも含めて国が何をすべきかというところを、消費者委員会としては意見を発信していっていただければ良いなと期待しております。期待ですので、申し上げるだけです。よろしくお願いします。

○高委員長 ありがとうございます。

何から何まで期待するのも難しいかと思いますけれども、是非今後議論が展開されることになれば、今の問題も考えていただきたいという希望でございます。よろしくお願いいたします。

蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 蟹瀬でございます。

私は2点あるのですが、1点目は、この問題意識の中に入れていただきたいのがスピード感なのです。情報の共有にしても、解決にしても、非常にスピードが必要である。ですが、課題はいつも出てくるのですが、スピードについての提言がないのです。先ほど長田委員も言いましたけれども、今、やることと将来のための構築をしておくことと、2つあるかと思いますが、今の時代、例えば5番目に出ている「IT、技術の活用」、これは実は世界の後進国であると日本は今、言われつつあって、非常に寂しい発言をあちこちで外国のメディアなどでもやられるわけです。そうすると、今頃こんなことを言っているのかみたいなところがどうしてもありますので、やはりこれは全てにわたって、この行政のいろいろなものに関しての最優先課題だと思いますので、その辺りのスピード感を何らかの形で次期の方々に伝えていただく、あるいは言葉にすることが必要かと思います。

2点目なのですが、消費者市民社会というものを作るのが、この消費者行政の仕事だと思いますが、ただの消費者市民ではなく、よき消費者市民というものの像というか、そういったものを共有しない限り、なかなか今のことばかりに気がとらわれる。あるいはここに高齢者という年齢の切り方しかしていない図が出てくるのですが、実はソフトの面から言うと、消費の社会が変わっている、消費者の意識、行動が変わっている、大きく変わっています。この中において、10年後、20年後のスピード感のあるものには、このままでは追いついていかないと思うのです。ですので、消費者市民社会というものを作るためには、よき消費者市民とはどういうことなのだという一つの議論をしていただいて、その中で行政のやるべき仕事を考えていただければ良いかなと思います。

私は基本的に研究所にいたので、すぐ言葉にしてしまうのですけれども、「3つのM」と思っています。それは、一つは消費者を「守る」というM。それから、消費者が「学ぶ」ためのツール、あるいは機会を与える。そして、学んだ消費者に「任せる」。これが3つなのです。

ですから、守って、学んで、任せるというこの3つの世界が、行政がやっていく仕事だと思いますので、そういった方向性が共有されれば、今、守ることばかりに少し力が入っていて、弱き者という姿しか見えないのですが、実は学んでしまうと非常に強き消費者になれるということもあるかと思いますので、そういった消費者像を描きながらの行政の在り方を今後の地方消費者行政を考えていただければいいかなと思います。

○高委員長 ありがとうございました。

どうぞ。

○地方消費者行政専門調査会新川座長 貴重な御指摘をいただきました。

今後の課題ではありますけれども、一つはスピードということについて、消費者行政を進めていく上でいかに的確に情報を収集し、そして、国・地方あるいは消費者市民にそうした情報を速やかに伝達することができるか。同時にまた、最新の問題を分析し、そして、それを共有していくことができるか。ここのスピードが極めて重要だということは、専門調査会でも共有をした認識でございました。

あわせて、この改革のスピード、これをもっともっと上げていかないといけないという議論もさせていただきました。私どもは10年後、20年後の在り方というのを議論はしているわけですけれども、それは現在を無視する話ではなくて、むしろそのために今どういうスピード感で進めていかなければならないのか。そのあたり、今後への申し送り事項になりますが、大いに留意をしていかなければならないかと思っております。

2点目のこれからの消費者市民像については、必ずしもこれまで議論がしっかりされていなかったと思いますが、少なくとも倫理的消費者と呼ばれるような消費者像というのを今のところは想定をしながら、いかに消費者教育を充実させていくのか。ここは専門調査会でも議論が重ねられてきたところであります。

これまでのところは、消費者教育、具体的な内容にまではきちんと入ってきていませんけれども、同時にそうした消費者教育が、実は学校教育、行政による教育啓発だけではなくて、様々な社会のセクター、企業も含めてでありますが、いろいろな担い手によって進められていかなければならないということが強調されていたことを申し添えさせていただきます。今後の大きな課題と捉えさせていただいてございます。

以上です。

○高委員長 ありがとうございました。

どうぞ、鹿野委員。

○鹿野委員 この重要な課題について、様々な角度からおまとめいただきまして、中間整理ということではありますけれども、どうもありがとうございました。

私からは3点ほど申し上げたいと思います。1点目は、先ほどの蟹瀬委員から指摘されたスピード感ということとも関連すると思いますけれども、これは10年後、20年後を見据えてということなのですが、その中には、もう本当に直ちにやらなければいけないというものと、もうちょっと先を見越してこういうことが考えられるというものなど、いろいろなレベルのものが入っているように思います。それを少し今後の検討において分かりやすいような形で示していただければと思います。

2点目は、これも蟹瀬委員が先ほど言及されたところではありますが、ITということに関してです。この技術の発展とそれによる社会の変化は急速に進んできております。そこで、消費者の分野でもそれをどういうふうに活用し、あるいはそれによる新たに生ずる問題にどういうふうに対応していくのかが重要な課題となっております。そこで、地方の問題についても是非その活用可能性を検討していただくとともに、それによる危険も含めて御検討をいただきたいと思います。

3点目ですけれども、ここでは行政が、あるいは公・共・私がどういうふうに役割を担っていくかという観点も含めておまとめいただいたのですけれども、地方にも事業者がいて、それで経済活動を営み経済が成り立っているわけですし、そういう事業者の方々も巻き込んで、こういう地域の消費者の問題を向上させていくといいましょうか、そういう観点もあって良いのではないかと感じました。

以上です。

○高委員長 ありがとうございました。

お願いします。

○地方消費者行政専門調査会新川座長 ありがとうございました。

これも重要なコメントをいただきました。今後の検討課題のところは今後に申し送りをさせていただかなければならないのですけれども、やはり10年後、20年後、そうはいいましても、その間に早急に取り組むべきもの、また、中間段階、さらには最終段階で実現できるもの、このあたりについては今後の議論の中で整理をされなければならないかと思っております。

ITの活用については、御指摘のとおりですが、同時にこれだけに頼っていて良いのかという議論も専門調査会でございました。むしろフェース・トゥ・フェースの関係の重要性ということも強調されていたところがございますし、IT等の持っております、言ってみれば負の側面ということにも留意しながら議論を進める必要があるということは、これまでにも議論をしてきたところでございました。

それから、事業者、特に地域社会の中で消費者行政をやっていくときに、その地域の中で活動しておられる企業、事業者、小規模な商業者等々も含めてでありますが、こうした方々の協力や連携ということが、これからの地方消費者行政の中で大変重要になってくるのではないかということについて、単に大企業によります消費者志向ではなくて、むしろ事業活動そのものが消費者志向あるいは消費者市民社会の一員としての行動に変わっていくような、それがまた事業そのものになっていくような、そういう社会を将来においては考えていく必要があるということを考えてはきていたのですけれども、残念ながら、まだそういう方向付けまでは行っておりませんで、論点が出たということでとどまっておりました。どうもありがとうございました。

○高委員長 他、よろしいでしょうか。

○左藤副大臣 会議の途中で御無礼します。今、横浜でTICAD7をやっていますので、そちらに行かせていただきますことをお許しいただきたいと思います。どうかよろしくお願いします。

○高委員長 ありがとうございました。

(左藤副大臣退席)

○高委員長 どうぞ、山本委員。

○山本委員 スピードの問題が先ほどから出ておりますけれども、2040問題というのは、2040の時期に問題が非常に大きくなるということであって、そのときに対応すれば足りるという話ではないと。今、既に取り組んでおかないと、あるいは少なくとも取組始めないと間に合いませんという問題だと思います。

例えばインフラの問題にしても、あるいは人材の育成の問題にしても、あるいは組織を変えるという問題にしても、これは一朝一夕ではできませんし、だんだん体力が弱っていく中では、もはやできなくなってしまう可能性が高い。したがいまして、私の認識では、今回、ここに挙がっている課題というのは、現在、既に非常に問題が大きくなっていて、それに対応しなくてはいけない課題と、そうではない課題が入ってはいるのですけれども、少なくとも現段階で着手しないと間に合わない課題がほとんどではないかという認識です。

いずれにいたしましても、具体的な課題、あるいは時間の感覚、スピード感の問題に関しては、今後、次期の消費者委員会の下で更に議論が進められることを期待したいと思います。

○高委員長 ありがとうございました。

他、ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

委員の皆さんからいろいろな感想と視点、意見をいただきましたけれども、自主防災組織の活用などもあり得るのではないか、あるいは地方消費者行政についての実質的なヒアリングが不十分な段階だと思うので今後やっていただきたいという指摘もありました。この問題を考える上で都道府県の役割は非常に大きい、さらには、国の役割も非常に大きいという御指摘もありました。

それから、今の問題も取り組んでもらいたいという話でしたけれども、これは実は10年、20年後の話ではなくて、今やらなければ10年、20年後の問題も解決できないという意見でございました。

それから、スピード感を持ってやるべきだと、さらには事業者を巻き込む、こういったことも是非考えていただきたいということでした。

既にこういった議論もされておられるかと思いますけれども、こうした発言はいずれも本調査会に対する消費者委員会の強い期待の表れだと思っております。国民の利益という観点から考えましても、10年、20年後においても、地方消費者行政は持続可能でなければならないと思っております。

それだけに、本日御報告いただきました論点整理を踏まえまして、もちろんこの論点で終わるということではなくて、必要があれば更に追加していくことになろうかと思いますが、それを踏まえまして、第6次委員会において最終的な取りまとめに向けて検討を進めていただくことを期待しております。

更にもう一点申し上げますと、時間の流れの中で考えるということに加えて、地方自治体といっても、いろいろな自治体があるわけです。三大都市圏もあれば、中核市もあれば、町村もある。ですから、それぞれの地方自治体が取組やすいように、例えば幾つかのモデルに分けていただいて、こういった自治体においては、こういった取組が合理的であって、こういった取組においては、むしろそこまで狙うべきではない、こうした連携が必要だとか、かなりいろいろなことをお願いして申しわけないのですけれども、地方自治体の方々が具体的にアクションを起こせるように、また、公・共・私の連携が具体的に進むよう、各自治体の事情を踏まえたモデルみたいなものまでお考えいただけると有り難いと期待いたしております。

新川座長におかれましては、お忙しいところ、審議に御協力をいただきまして、ありがとうございました。

どうぞ、御退席ください。

(地方消費者行政専門調査会新川座長退席)

(消費者委員会事務局担当者着席)

≪4.預託等取引契約に関する消費者問題について≫

○高委員長 次の議題は「預託等取引契約に関する消費者間題について」でございます。

我が国では、物品・権利を販売すると同時に、当該物品等を預かり、自ら運用したり、第三者に貸し出すなどの事業を行うとして、利益の還元や物品などの一定価格での買い取りを行う商法を悪用し、多数の消費者に深刻な被害をもたらす事案が繰り返し発生しております。消費者委員会では、本件について、様々な観点から検討を進めてまいりました。

消費者委員会では、これまでの調査審議を踏まえ、今般、建議案と意見案を取りまとめました。まずは、事務局より、建議案と意見案の内容について説明をお願いいたします。

○消費者委員会事務局担当者 消費者委員会事務局でございます。

建議案と意見案の2種類がございまして、まず、建議案について御説明いたしますので、お手元、資料2-2を御覧いただけますでしょうか。「いわゆる『販売預託商法』に関する消費者問題についての建議」と題しまして、1ページ目の1段落目ですが、我が国では、先ほど高委員長から御紹介がありましたように「販売預託商法」を悪用して、多数の消費者に深刻な被害をもたらす事案が繰り返し発生しているところでございます。

同じ1ページ目の最終段落ですが、当委員会として、こうした悪質な「販売預託商法」による消費者被害の発生・拡大防止及び被害回復を図るべく、消費者庁及び消費者委員会設置法に基づきまして、内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)と、国家公安委員会委員長に対して建議をするという案でございます。

2ページ目、建議事項1について御説明いたします。建議事項1につきましては、消費者庁は、物品等の販売から始まる預託取引において深刻な消費者被害が生じていることに鑑み、物品等の販売から始まる預託取引、及びこれと類似の商法に係る法制度の在り方や、体制強化を含む法執行の在り方について検討を行うことという内容でございます。

理由について若干御説明させていただきますが、理由の5のところを御覧いただけますでしょうか。豊田商事事件、安愚楽牧場事件、ジャパンライフ事件に代表される悪質な「販売預託商法」は、高い利率による利益還元や物品等の販売価格相当額での買い取り、すなわち、実質的な元本保証をうたいまして、高齢者を始めとする消費者から多額の金銭の拠出を募ります。ただ、実際には、物品等やそれを運用する事業は存在せず、消費者から拠出された金銭を別の消費者の配当に充て、最終的には破綻するというものでございました。

こうした悪質な「販売預託商法」は、物品を販売すると同時に預かると説明しておきながら、実際には物品等が存在しないという点と、当該物品等を運用する実態がなく、早晩破綻することが明らかであるにも関わらず、高い利率による利益還元が受けられる、あるいは実質的な元本保証をしているということを説明して取引に誘引する点で、消費者を二重に欺いておりますし、また、そうした高い利率による利益還元や元本保証があることで、消費者は取引に引き込まれやすいというところもございます。

また、出資者には、他の出資者が拠出した金銭を原資に配当が支払われておりますので、表面上はスキームが正常に機能しているように見えます。そのため、被害に気づきにくいという特徴もございます。しかし、実際には、先ほど申しましたように、他の消費者から拠出された金銭を配当に充てておりますので、これが途絶えること等によって、最終的には破綻する仕組みでございます。

一方で、現行法の状況ですけれども、10のところにありますとおり、現在の預託法は、結果的に預託取引一般を規律する法律として制定されたため、「販売預託商法」では物品等を販売することから取引が始まる観点は考慮されておりません。また、当時は産業の発展や、「賢い消費者」を育成する観点が優先され、担当部局の人員の制約等の行政コストにも配慮したことなどから、参入規制は設けられず、契約内容をできる限り明らかにするディスクローズを中心とした行為規制が置かれております。更に預託法では、適用の対象となる物品等を限定する、いわゆる「指定商品制」が導入されておりまして、政令で指定されていない物品等については、法律の適用がないという状況でございまして、現時点で預託法の限界が表面化している状況にあるともみられるというところでございます。

また、悪質な「販売預託商法」では、物品等が存在しておりませんので、実質的には事業者が「金銭」の「出資」を受け、配当を行っているにすぎないという見方もできます。したがって、金融商品取引法におけるいわゆる「集団投資スキーム」に係る規制の潜脱行為であるという見方があり得るほか、出資法における「出資金」「預り金」に該当する可能性もあると言えます。

4ページ目ですが、金融商品取引法は、国民経済の健全な発展、投資者の保護等を目的として、「金銭」の「出資」を一定のルールに基づき規制するものです。他方で、こうした悪質な「販売預託商法」では、形式的には物品等が介在しております。したがいまして、金融商品取引法の集団投資スキームに係る規制には必ずしもなじまないという側面がございます。

また、出資法については、金融秩序の維持や一般国民の財産の保護等を目的として、元本を保証して行われる金銭の出資等を一定のルールに基づき規制するもので、実際に形式的に物品等が介在していても、事業者が元本を保証して金銭の出資を受けている場合には、出資法が適用されている事案も見られる状況でございます。他方で、同様の事案でも元本保証をしていないこと等により、出資法の要件に当たらない場合もあると考えられます。

13のところですけれども、悪質な「販売預託商法」は、刑法の詐欺罪に該当する可能性もあり、実際に詐欺罪が適用されている事案もみられるところでございます。

もっとも、こうした事案では、詐欺罪の成立には、欺罔行為やそれに基づく被害者個人の錯誤、事業者の故意といった構成要件を充足する必要がありますが、特に初期の段階では、その立証が必ずしも容易ではないという問題点もございます。

こうした状況を踏まえまして、悪質な「販売預託商法」については、消費者庁が、現行の預託法や特定商取引法等々に基づいて、行政処分を繰り返し行うことで対処してきましたが、同種の被害が発生している状況に鑑みれば、当委員会としては、悪質な「販売預託商法」による被害を根絶するために、物品等の販売から始まる預託取引、及びこれと類似の商法に係る法制度の在り方や、体制強化を含む法執行の在り方について検討を行うことが急務であるということで、建議事項1の内容としております。

5ページ、建議事項2につきましては、警察庁は、悪質な「販売預託商法」事犯に対し、建議事項1に基づく措置状況も踏まえつつ、引き続き、積極的な取り締まりを推進すること。その際、警察庁及び消費者庁は、相互に連携強化を図るとともに、各都道府県警察と各都道府県における消費者行政部局との一層の連携の強化を推奨することという内容でございます。

理由につきましては、これまで深刻な被害が発生していることから、警察庁では、豊田商事事件を契機としまして生活経済課が発足し、そこを中心に悪質な「販売預託商法」事犯を含む生活経済事犯に対する取り締まりを行っているところでございますが、こうした悪質な「販売預託商法」事犯に対しては、警察庁と各都道府県警察において、引き続き積極的な取り締まりを推進するとともに、消費者行政部門との連携強化が重要ということで、こうした内容の建議事項としております。

6ページ、建議事項3についてですが、建議事項3は、消費者庁は、警察庁、国民生活センター、その他の関係団体の協力を得て、「販売預託商法」の仕組みや内在するリスク、悪質な「販売預託商法」を行う事業者の勧誘の手口等に関する情報を提供すること、消費者教育を実施すること等により、消費者への注意喚起を積極的に推進することという内容でございます。

「販売預託商法」は投資性のある取引でございますが、物品等を念頭に置いて説明されるため、消費者が安全性の高い取引であると思い込みやすいという特徴がございます。また、高い利率での利益還元や元本保証が約束されるため、消費者は小さいリスクで高い利益還元を確実に受けることができるものと誤信しやすいという特徴もございます。

こうした特徴を消費者が適切に把握して判断するために、十分な情報が提供されなければならない、そのためには、適切な情報提供、消費者教育を行うことが求められるという観点から、こうした建議事項としております。

以上が建議案になります。

次に、意見案ですが、資料2-3を御覧ください。本文の書き出しのところですが、当委員会が発出した「いわゆる『販売預託商法』に関する消費者問題についての建議」のうち、先ほど申し上げた建議事項1に対する意見は下記のとおりであるという建付けとしております。

具体的な内容につきましては、8月22日に開催の第307回の本会議で示した意見案と同内容でございます。簡単に御説明いたしますと、まず意見1として、消費者庁は、悪質な「販売預託商法」による消費者被害の発生・拡大防止及び被害回復を図り、もって我が国の社会の安心・安全を確保するために、以下の事項を含む検討を行い、販売から始まる預託取引を対象とする法制度の整備に向けた措置を早急に講ずるべきであるということで、(1)のアでございますが、悪質な類型の「販売預託商法」について、罰則による禁止、民事効の無効の法定というところを挙げております。

類型としては、物品等が存在しない場合等、過去の事案でも問題になった類型を挙げているところでございます。

次に(1)のイですが、こちらについては、元本保証の禁止について述べているところでございます。

(2)は、取引の適正性・規制の実効性を確保するための措置ということで、ア、イを挙げておりまして、それぞれ脚注に若干詳細な事項も記載しているところでございます。

2ページ目、(3)については、犯罪収益の没収、被害回復ということで、悪質な類型の「販売預託商法」に係る事業者の犯罪収益を没収し、その上で、被害者の被害回復に充てる仕組みを導入するという内容でございます。

意見2については、参入規制の導入の検討でございまして、(1)につきましては、事業者に対してヒアリングを行うなど、我が国において行われる「販売預託商法」の実態把握を行うこと。

(2)につきましては、上記1に基づく措置状況も踏まえつつ、「販売預託商法」を行う事業者を対象とする参入規制の導入について、速やかに検討を進めることという内容でございます。

理由につきましては、まず、意見1ですが、当委員会は、建議で述べた理由等から、現行の各法律による悪質な「販売預託商法」への対処には限界があり、被害を根絶するために、早急に法制度を整備することが必要であると考えているということで、次の○ですが、かかる法制度の整備に当たっては、物品等を販売することから始まる預託取引を規制対象とすること、当該取引が投資性のある取引であることを踏まえること、早晩破綻することが経験的に明らかな類型の取引形態を禁止し、罰則規定により担保すること、当該取引を行う悪質な事業者に対し、法所管官庁や捜査当局が、被害が拡大する前のより早い段階で取り締まりを実施することができる要件を設定すること、被害者に泣き寝入りさせないためにも、犯罪収益を没収し、被害回復につなげる仕組みを導入することが必要であるという問題意識の下、先ほど述べたような意見を示しているところでございます。

3ページ目、意見2についての理由ですが、悪質な「販売預託商法」による被害を未然に防止するためには、法所管官庁が「販売預託商法」を行う事業者と、その事業に関する情報をあらかじめ収集し、問題が発生した際に、早期に実態を把握して対処することが重要である。

そうした観点から、参入規制についても導入を検討すべきではないかという考えを示しております。

ただ、現状では、我が国において、「販売預託商法」を行う事業者がどこにどの程度存在し、どのような種類の物品等を用いて事業を行っているかについては、必ずしも正確には把握されていないところでございますので、こうした参入規制の導入の検討に先立ちまして、我が国で行われている「販売預託商法」の実態をより正確に把握し、その上で事業者に及ぼす影響や他の法令との並び等を考慮しまして、参入規制についても検討を行っていただきたいという意見でございます。

その他、時間の関係で説明は割愛させていただきますが、資料2-1として、問題意識や課題等、建議案のポイントをまとめた概要版、資料2-4として、建議案の前提となる本件の実態等についての調査報告を、建議案と一体のものとしてお付けしております。

御説明は以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの御説明に関しまして、御質問、御意見がある方は、御発言をお願いいたします。

池本委員長代理。

○池本委員長代理 池本でございます。

今回、建議と意見という形で、2本立てで同時に発出したということについて、私なりの受け止めをまず1点、それから、今回の意見書に書いてある「販売預託商法」を規制するということのポイントがどこかについての私の受け止めという2点、発言したいと思います。

むしろ2点目から御説明したほうが良いかと思うのですが、この「販売預託商法」、ジャパンライフを始めとする過去様々な事件が繰り返されました。この建議の概要版の中にも、過去に数百億円とか、1000億、2000億という被害を繰り返してきていると。そのことについて、消費者庁も例えばジャパンライフで言うと1年間に4回処分を繰り返して、最終的に破綻に至った。あるいは、WILLについても2回目の処分をしたり、最近、非常に一生懸命やっておられるということを私は非常に評価しているのですが、あれだけ一生懸命やっても、それがきちんと実効性のある規制になっていないというのは、一方では執行体制の問題もあるでしょうけれども、一番根本は、現在の法律では武器として弱い。

では、何が足りないのかということは認識を共有する必要があると思うのですが、これはここでのヒアリングの中でも出てきました。それは、利益配当が続いている限り、契約者は自分から弁護士を頼んだり裁判をやったりという行動には移れない。むしろ疑問は感じるけれども、いろいろ動くとより早く破綻して何ももらえなくなる、ここは信じて待つしかないという心理状況になってしまう。そうなると、一定の被害者が集まらないと、勧誘行為の違法性を認定して行政処分に進むということもなかなかできない。それでまた後手後手になってしまうということをこれまで繰り返していたのではないかと。

だとすると、今回の意見書の中でも肝になるのは、取引高に見合う商品がないような状態、いわゆる現物まがい商法の状態になったら、それ自体を罰則で禁止して、行政処分もでしょうけれども、罰則の取り締まりもできるようにする。そういう仕組みにするためには「販売預託商法」という仕組みのもとで、きちんと規制をする必要があるのだと。こういうところが肝であります。

ただ、「販売預託商法」という要件をどういうものにするのか。変に枠付けをすると脱法がたくさん出てくるし、あるいは、余り広いものでまともな事業全体が過剰な規制になってもいけない。そこはまだまだ十分練れていません。消費者庁からもその辺りについて、このままで受け止めるというには、まだ中身がはっきりしないというような意見もありました。

今回の意見書の中のもう一つのポイントは、消費者からの相談情報によって行政規制を発動するというのはどうしても後手後手になる。だとすると、行政庁そのものがこういった事業について情報をきちんとキャッチできる仕組み、それは参入規制によってスタート時点の事業計画を提出させ、例えば1年ごとに決算書類とか事業報告書のようなものを出させて推移をチェックする。そういう参入規制が必要ではないかということがもう一つの柱です。

ただ、この辺りになってくると、今の消費者庁の体制ではとてもそこまでは担えないのではないかということとか、あるいは、そもそもどのくらいの範囲の事業者が対象になるのかということも全くまだ測定できていないということがあって、意見書にあるこの中身でやりましょうということまでは、現在の消費者庁では、方針として受け止めるというのはまだ難しいところにある。

でも、先週のここでのヒアリングで担当課長の方もおっしゃっていましたが、「販売預託商法」で深刻な被害を繰り返している。そのことについては、法制度の見直しあるいは執行体制の在り方も含めて検討が必要であるということは、委員会と認識を共有しておりますという、非常にうれしい発言がありました。だから、何とかしなければいけないというところで、それがこの意見書にある中身どおりのものなのか、あるいは違った観点になるのかというのはこれからの議論ですが、とにかく、そういう議論を始めていただきたい。そこを受け止めていただけるというので建議と、そして、意見書という2本立てになってきた。そういう経緯があります。

もう一点だけ発言させてください。弁護士会などでは、金融商品取引法の集団投資スキームに位置付けることによって、正にフル装備の規制ができるのではないかという意見をいただいております。非常に魅力のある意見だと思いますが、委員会の中でもいろいろ議論したときに、現在の集団投資スキームに競走馬というものが入っているから、物品を介在した取引も入れることができなくはないのですね。ただ、金融庁は基本は金融商品で、物品介在型というのは例外扱いになるので、指定商品制でその原省庁と調整をして、これは入れようというならば入れられるけれども、指定商品制ではなく「販売預託商法」全体を入れるとなると、これは金融庁の所管はどこまでになるかと考えていくと、省庁の所管の域を少し超えてしまう。そうすると、指定商品制をつけてくださいということでは、これは被害防止になりませんから、その意味で独立法を作る方向になっていったという議論の経緯があることを申し上げておきたいと思います。

以上です。

○高委員長 ありがとうございました。

他に御意見はございますか。

どうぞ、増田委員。

○増田委員 相談現場から言うと、預託法の指定商品制ということから預託法は使いにくかったということと、問題が顕在化しにくいということ、問題点を理解してもらいにくかったということがございました。

もし今回の建議案が出されれば、禁止行為が明確化されることによって非常に説明がしやすくなり、理解してもらいやすくなるということと、参入規制があることによって、被害の未然防止あるいは早期に解決する可能性ができるということから、非常に期待できると思いますので、これは是非実現していただきたいと思っております。

以上です。

○高委員長 ありがとうございます。

他はございますでしょうか。よろしいでしょうか。

どうぞ、池本委員長代理。

○池本委員長代理 たびたび済みません。もう一点だけ発言します。

実は、今回の意見書に盛り込んでいない重要論点がもう一つあるのです。それは、行政庁による破産申し立て権を、この「販売預託商法」のようなものについては加えるべきではないかという論点です。消費者が疑問に感じて、多数相談に訪れて、そういう人たちを集めて弁護団で破産申し立てをするという構図が機能しないというのが、ジャパンライフだけではない、以前から最近の事件を含めて繰り返していると。だとすると、その事業者の実態把握が行政の調査の過程で把握できたところで行政庁で申し立てをすべきではないかということ、これは弁護士会の意見書にもありましたし、私も全くそうだということを議論しました。

ただ、これは預託商法のこの法律の問題というよりは、行政庁による破産申立権というもう一つ違う観点の法律の議論になっていくことだということで、預託新法の中に入れる性質ではないということと、むしろ是非注目していただきたいのは、消費者庁は既にこの議論を以前にやってきているのです。消費者庁の中に消費者の財産被害に係る行政手法研究会というもの、その報告書が平成25年6月に出ているのですが、その中で破産申し立て権を行政庁に付与する場合の要件をどう想定できるか、あるいはそれを導入するための課題は何かといういろいろな論点整理をかなり詳しく踏み込んで議論した上で、こういった問題は今後も引き続き検討が期待されると結ばれているのですが、それから6年たっているのですが、その議論はされていないように思われます。その意味では、この意見書とは別に平成25年6月のこの課題をむしろ同時並行で検討していただきたいという思いがあります。

○高委員長 ありがとうございました。

他、よろしいですか。

今、特に池本委員長代理から今回のこの建議案と意見案の内容について、ポイントはどこかという整理をしていただきまして、また、2本立てでいく理由について、さらには背景にどのような議論があったのかという点までご紹介いただきましたけれども、増田委員から御発言がありましたとおり、これに大きな期待を寄せるという御発言をいただきまして、これは委員の皆様方、同じ気持ちでおられるのではないかと思います。

そういう意味では、皆さん方の御了解をいただいたと考えさせていただきまして、原案どおり建議、それから、意見としまして、建議につきましては、消費者庁担当大臣及び国家公安委員長宛てに、意見については、消費者庁担当大臣宛てに発出したいと思います。

○消費者委員会事務局担当者 委員長、1点だけよろしいでしょうか。

資料2-2、建議案の4ページ目ですが、13のところで、「悪質な『販売預託商法は』」と、「は」の後に括弧が来ているのですけれども、括弧の位置が1つ手前になりますので、その点だけ修正の上、発出ということでお願いできればと思います。

○高委員長 分かりました。

その修正の確認については、私に御一任いただければと思います。

まず、建議にありますとおり、消費者庁については、悪質な「販売預託商法」による被害を根絶するために、物品等の販売から始まる預託取引、及びこれと類似の商法に係る法制度の在り方や、体制強化を含む法執行の在り方について検討を行っていただくことを期待したいと思います。

なお、委員会におきまして、この問題については、引き続き注視し、必要な対応をとっていくことになるかと思いますので、後ほど、次期委員会への留意事項の中で、併せてこれを検討したいと思います。

(友行企画官、消費者委員会事務局担当者退席)

≪6.その他≫

○高委員長 次に、議事は前後いたしますけれども、順番を入れ替えまして「その他」を先に扱いまして、その後で留意事項について議論したいと思います。

まずは、新開発食品調査部会から報告事項がございます。受田部会長から御報告をお願いいたします。

○受田委員 それでは、特定保健用食品の表示許可に係る答申について、私から御報告をさせていただきます。

令和元年6月27日に開催をいたしました第49回新開発食品調査部会、及び令和元年8月20日に開催しました第50回新開発調査部会の議決について、新開発食品調査部会設置・運営規程第7条に基づき、委員長の同意を得て委員会の議決とし、8月22日付及び8月29日付で内閣総理大臣へ答申を行いました。

まず、参考資料1の答申書、2ページ目を御覧いただきたいと存じます。(1)につきまして、内閣総理大臣より諮問を受けて、第49回新開発食品調査部会において、安全性及び効果について審議を行った結果、指摘事項を確認の上、了承することが部会長に一任され、申請者からの回答書を確認し、特定保健用食品として認めることといたしました。

また、(2)につきまして、内閣総理大臣より諮問を受けて、第50回新開発食品調査部会において、安全性及び効果について審議を行った結果、特定保健用食品として認めることといたしました。

次に、参考資料2の答申書を御覧いただきたいと存じます。内閣総理大臣より諮問を受けて、第50回新開発食品調査部会において、安全性及び効果について審議を行った結果、指摘事項を確認の上、了承することが部会長に一任され、申請者からの回答書を確認し、特定保健用食品として認めることといたしました。

私からの報告は以上でございます。

≪5.第5次消費者委員会のこれまでの活動と今後について≫

○高委員長 御報告ありがとうございました。

それでは、最後の議題「第5次消費者委員会のこれまでの活動と今後について」でございます。

第5次消費者委員会は、平成29年9月の発足以来、各種の消費者問題について精力的に調査審議を行い、今月末に任期満了を迎えることとなり、本日の会合が第5次としては最後の会合となります。そこで、まずはこの2年間にわたる第5次消費者委員会の活動の成果について、事務局から御報告をお願いいたします。

○二之宮事務局長 資料としまして、3-1から3-4を用意してございますが、3-1に基づき御報告させていただきます。

最初に、1.でございますが、第5次消費者委員会の会議としまして、本日を含めまして全53回行われました。

審議事項としましては、最多のものが消費者基本計画に関するもので18回、その他に食品衛生規制に関するものと、その他としまして、消費者安全関係、あるいは消費者契約法の一部を改正する法律案についてなど、取引・契約関係に関するもの。

おめくりいただきまして、打消し表示についてなどに関する表示関係、あるいは電気料金等に料金・物価関係、その他、公益通報者保護専門調査会に関する公益通報関係、あるいは消費者教育関係、消費者行政の在り方関係、その他等について、全53回にわたり御審議いただきました。

3ページでございますが、提言としましては3件、プラットフォーム、消費者行政新未来創造オフィス、食品表示の全体像に関するものがございます。なお、本日、いわゆる「販売預託商法」に関する建議を取りまとめいただきましたので、ここに建議として1件というものが加わることになります。

3.へいきまして、意見が22件と書いてございますが、同じように、先ほどいわゆる「販売預託商法」に関する意見も御承認いただきましたので、1件増えまして、合計23件ということになります。個別につきましては、ここに記載のとおりでございます。

おめくりいただきまして、諮問を受けたものに関する答申としまして、特定商取引に関するもの、その他を含めて20件、6.でございますが、発出した建議等に関するフォローアップとしまして、美容医療関係その他を含めて3件行いました。

7.でございますが、部会・専門調査会、活動実績のあるものとして記載のとおりでございますが、部会が2つ、専門調査会が5つ、ワーキング・グループが1つとなってございます。

最後に8.は報告書・調査等でございますが、ここに6件記載してございますが、本日のいわゆる「販売預託商法」に関する報告もこの中に入るかとは思います。

直近で取りまとめた報告書としましては、8月22日付の消費者委員会10周年記念シンポジウムの報告書となってございます。

簡単ではございますが、以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

続きまして、9月1日に発足いたします第6次消費者委員会において留意して調査審議していただきたい事項などについて、資料3-5にまとめてもらっておりますので、事務局から説明をお願いいたします。

○二之宮事務局長 資料3-5を御覧ください。「次期消費者委員会への移行に当たっての留意事項(案)」でございます。

冒頭に記載してございます第1段落は、先ほど資料3-1で御報告したとおり、第5次委員会の成果が記載してございます。

次の2段落目、「他方」からのところは課題としまして、継続的な取組やフォローアップ等が必要な課題、十分に審議を尽くせなかった課題、あるいは、第6次委員会発足後、新たに対応が必要となることが見込まれる課題等が存在することを記載しております。

具体的な中身につきましては記以降で、まず「1.下部組織の運営について」でございます。最初の段落に冒頭記載してございますのは、継続して体制整備が必要であると考えられるもの、あるいは、既存の下部組織の再開、あるいは、新たな下部組織を設置していただきたいものを記載してございます。

最初に記載してございますのは、新開発食品調査部会でございます。これは特定保健用食品の表示許可に関するものでございまして、消費者庁より恒常的に諮問を受けることがありますので、調査審議の実施体制を常時備えている必要があると考えられるものでございます。

同じく食品表示部会でございますが、食品表示法及び食品衛生法に基づく食品の表示基準の改正等について諮問を受けるということがございますので、調査審議の実施体制を継続することが必要であると考えられます。

次に、公共料金等専門調査会でございます。公共料金等につきましては、決定過程の透明性、あるいは消費者参画の機会、料金の適正性の確保等の課題を検討するため、調査審議の実施体制を継続することが必要であると考えられます。

4つ目に書いてございますのが、地方消費者行政専門調査会でございます。これは本日、御報告いただきました論点整理について、今後引き続きというところがここに該当するかと思います。御検討いただきたいと思います。

続きまして、「2.当面の主要課題」、次のページに「3.その他の主な継続的課題」と記載してございます。この違いについて、若干御説明したいと思います。

2.で記載しておりますのは、第5次委員会発出意見に関するもの、及び速やかに対応を要するものを記載してございます。対しまして、3.に書いてあります主な継続的課題といいますのは、第5次委員会以前からの継続案件、あるいは第5次委員会において発出した意見等に関するものでございますが、一定の時間あるいは発出先の対応が必要になるものは3.に回してございます。

2.へお戻りいただきまして、御説明させていただきます。

まず、公益通報者保護制度についてでございます。昨年12月の答申を踏まえた検討状況やその進捗について定期的にヒアリングを行うなど、注視する必要があると考えられます。

食品表示に関しまして、8月に発出した提言を踏まえ、表示の「見やすさ」等に関する実態把握のための調査というものを提言の中に記載してございます。その提言やその調査結果を踏まえた取組状況を継続的に注視する必要があると考えられます。

同じく、食品表示の見やすさだけではなく、表示にかかる理解度促進というものの取組についても、その進捗や見直し状況について注視する必要があると考えられます。

公共料金に関してでございますが、東京都の特別区あるいは武三地区のタクシー運賃の組替えについて、令和2年1月で3年を迎えることになります。この3年といいますのは、第3期消費者基本計画の工程表の中で、運賃組替え後3年以内に運賃収入の状況あるいは運賃の妥当性などについて、事後検証を実施すべきとして、その実施主体として、消費者庁のみならず、消費者委員会というものが記載されております。そのため、事後検証を行うというものを記載してございます。

次に、JR北海道の運賃改定について、長期ビジョンに基づく取組に対する国交省の丁寧な検証等の対応状況などについて、国交省へのヒアリング等を含めた検証を行うべきと。これは本年8月15日に出しました意見の中の留意事項として記載されているものでございます。

次に、消費者法におけるルール形成の在り方についてでございますが、本年6月に発出した意見を踏まえ、報告書が提示する観点を踏まえた関係省庁における取組を注視する必要があると考えられます。また、消費者委員会においても、その観点を踏まえて、消費者政策について調査審議を行うとともに、建議等を発出していくことが不可欠であると考えられます。

続いて、プラットフォームが介在する取引の在り方に関する課題でございます。本年4月に発出した提言を踏まえ、プラットフォーム事業者の役割等を含む関係行政機関における取組状況を注視する必要があると考えられます。また、プラットフォーム事業者に集積される利用者の情報の取り扱いに関する透明性の問題、あるいは海外事業者への対応等、今後の課題とされた論点がございます。この点についても引き続き検討を行う必要があると考えられます。

続きまして、消費者行政新未来創造オフィスにおける取組でございますが、本年5月に発出した提言を踏まえ、消費者庁等の取組について、取組対象の選定過程を含めた状況、それらの取組の成果及び全国展開の状況等を注視する必要があると考えられます。

「3.その他の主な継続的課題」でございます。最初に民法の成年年齢引下げを令和4年に控えてございます。消費者教育の推進等の関係省庁の取組について継続的にフォローしていく必要があると考えられます。

あるいは、新成人に対する健全な与信というものに関して、事業者の自主的な取組を推進していくための検討を進める必要があり、その取組状況を注視する必要があると考えられます。また、現在、クレジット過剰与信規制の緩和に向けた議論が進められているところでございますが、その取組の検討状況を注視する必要があると思います。この点に関しましては、8月に委員会として産構審の中間整理についての意見を出してございますが、これを踏まえて、中間整理後の議論が今後進められていきますので、それを含めた注視が必要かという点でございます。

29年の8月の消費者契約法に係る本委員会の付言を付した答申あるいは国会の附帯決議への対応につき、残された今後の課題を含め、消費者庁の取組を注視する必要があると考えられます。

また、1.(4)で示した課題に加えまして、目下の地方消費者行政の充実、強化に向けた取組についても、地方消費者行政強化作戦2020等も踏まえ、引き続き関係省庁における取組を注視する必要があると考えられます。

また、これまでに行った建議・提言についてのフォローが必要であると考えられます。

なお、本日取りまとめいただきました、いわゆる「販売預託商法」についての建議・意見についての注視というのもここへ位置付けられるかと思います。後ほど御議論をいただければと思います。

最後、「4.その他」でございますが、シンポジウムや意見交換会等の開催を通じて、地方や関係団体から直接意見を聴取すること、これにより、消費者問題の現場との結びつきの強化を継続的に図ることが重要であるということを記載してございます。民間団体等との連携をとりつつ、一般消費者の参画も得たフォーラムの開催などを通じて、委員会の成果を共有していくことが重要であると考えられます。

あるいは、最後のところでございますが、消費者委員会の活動、その他成果等の認知度を向上させるための広報の取組について、新たな広報手段の活用等も含めた工夫を図ることが重要であるということが考えられます。

以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

ただいまの事務局の説明、先ほどの資料3-1の説明も含めて、皆さん方、御意見がございましたら、御発言ください。

どうぞ、池本委員長代理。

○池本委員長代理 様々な課題に取り組んできて、次期にこういったあたりを留意して、是非また審議し、意見を発出してほしいというのは、ほぼもれなく触れていただいていると思います。

2ページ、(4)の地方消費者行政専門調査会、これは先ほど論点整理が紹介され、引き続き検討が必要だということがここの中でも議論された。10年、20年後の在り方の議論ではなくて、10年、20年後の在り方を想定してこれから何をやるかというところをしっかり見据えて審議をしていただくということを期待することになろうかと思います。

そのことと、3ページのその他の主な継続課題の4つ目のところで、地方消費者行政の充実、強化に向けた取組についてというのがありますが、これは専門調査会で議論して、全体像の議論を取りまとめるという作業とは別に、地方消費者行政の重要な課題、様々な論点があります。特にここに紹介してある地方消費者行政強化作戦2020というもの、消費者庁で先般取りまとめ案が審議されていました。ああいったものを是非委員会としてもヒアリングをして、なかなか良いものができているように私も拝見したのですが、実際にそれが執行されなければ困るわけで、そこに向けてどういうふうに進めようとしているのかということについて議論をしていただきたいという期待の点が重要だと。その関係を一言申し上げたいと思います。

○高委員長 ありがとうございました。

他、ございますでしょうか。

どうぞ、蟹瀬委員。

○蟹瀬委員 一つ、下部組織の運営について取り上げられているのですが、4つ。それで、第5次で審議体制をとっていたものが、次の引き続きやらなければいけない課題というところに載せられているかと思うのです。この中に必要であれば専門委員会、調査委員会になりますということが書いてあるのですが、これは例えばオンラインプラットフォームにおける在り方みたいなものは下部組織の運営として入ってくる可能性は今後あるのですか。

というのは、私はこれに対して非常に思い入れがありますのは、今の社会を見ていますと、ほとんどこの世界が牛耳っています。混乱の極みの世界に入っている。言葉はどういう言葉になるのか分かりませんが、消費の仕方が変わっている、それから、消費の場が変わっていることの一番大きな要因になっているところがこのプラットフォーマーの世界なので、それに紐付けるならばキャッシュレスですとか、日本だけフィンテックが入っておりませんけれども、そういう世界的な動きですとか、そういうものを全部踏まえたときに、市場の変化を一番分かるのはこの部分なのです。それに伴う問題点、消費者問題が分かるというのもここの問題なので、ここをちゃんとした下部組織の運営の中に入れていただけるのが実は良いなと私は思っています。

これは6期、7期と続いていく大きな問題なので、早くに専門家が話し合う場を作っておかないと、それこそ大きな問題になっていくのではないかと。消費者問題の行政とかそういった人たちでは解決できないような問題が起こってくる可能性がありますので、是非これは上にちゃんと作っていただけると良いなというのが私の意見です。

○高委員長 ありがとうございます。

どうぞ、事務局。

○二之宮事務局長 資料3-4を御覧いただきたいと思いますが、これが第5次消費者委員会での下部組織として審議対象として組まれているものでございます。この中にオンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会というのも入ってございまして、これはそのまま枠、下部組織としては残っておりますので、引き続き、この中で必要に応じて御検討いただくことも可能かと考えられます。

以上でございます。

○蟹瀬委員 ということは、この3-5の文章の中から言うと外れているのですが、上に挙がっていないですよね。

○二之宮事務局長 こちらの2.のプラットフォームです。

○蟹瀬委員 だから、ここにしか挙がっていないでしょう。当面の課題ではなくて、私は下部組織に入れてほしい、地方行政の下に(5)でここに入れてほしいということを言っているだけです。それがちょっと理解できなかっただけなのですけれども。

○二之宮事務局長 2.の(5)を1.へということですか。

○蟹瀬委員 そうです。というのはできないのですかということですね。つまり、これは(1)から(4)まで下部組織としてもうありますよという表記ですよね。

○高委員長 それで実際に活動しているということですね。

○蟹瀬委員 それから、課題として2.がありますよということですよね。この表現の仕方はそういうことではないのですか。そういうふうに理解したので、下部組織に入れられないかというのが希望なのです。

○高委員長 私の理解が間違えておりましたら訂正してください。最初の1.のところに入る下部組織の整理ですけれども、現在活動中のもの、第6次になっても更に再開しなければいけないものが1.のところに入っている。2.のところについては、専門調査会はあっても今、活動はしていないものがここに入っているのではないかと思います。

このテーマは非常に重要であるというのは間違いないと思いますので、ただし、これは第5次で決定することではなくて、第6次で専門調査会の立ち上げが必要であるということであれば、そちらで御判断いただくことになる。このため、2.に入れていただいたのだと思います。

○蟹瀬委員 でも、食品表示と公共料金が1.に入っていますね。ダブって入っている。

○高委員長 現在、活動中ですね。

○蟹瀬委員 それはそういうふうに表現していただかないと、分からないですね。ダブっていますから。

○高委員長 分かりにくいということですね。

私の今のような理解でよろしいですか。

○二之宮事務局長 基本的な位置付けとしては御指摘のとおりでございまして、1.に書いてありますのは、常時消費者庁から諮問等が来ることになっておりますので、発足後直ちにというものでございます。2.は必要に応じてということよりも、むしろ再開にした上で引き続き注視していく、あるいは検討していくというもの、なおかつ、現在既にある下部組織を活用してというものを下のものとして記載してございます。

○高委員長 蟹瀬委員、よろしいですか。

○蟹瀬委員 多分、6次で留意で見せられたときに、私のような理解をなさるかなと思いましたけれども、分かりました。

○高委員長 「当面の主要課題」のところの最初の行のところに書いてありますけれども、「次に挙げる課題については、既存の下部組織などの再開」、つまり、先ほどのプラットフォームの専門調査会などの再開ということも検討する必要がある。そこでここに並べたのだと思います。

○蟹瀬委員 今の説明ですと、消費者庁からの諮問があるものが上に4つ並んでいて、諮問はないけれども、今からの課題として、こういうものがありますよというふうに分けていますという理解ですね。違いますか。

だから、要するに、内部の問題がここに出てきているということですね。同じ言葉が書いてありますでしょう。(2)食品表示部会というのと(3)公共料金専門調査会というものがまた課題として挙がっていますね。ですから、ちょっと混乱したかなというだけの話なのです。

○二之宮事務局長 位置付けと区分けとしましては、委員長が先ほど御説明いただいたとおりでございます。(1)から(3)は常時諮問が来るものでございます。

それと若干異なりますのは(4)に書いてあります地方消費者行政専門調査会でございまして、これは諮問ではございませんが、本日御報告いただいたとおり、正に論点整理がここまでなされたので残りをという位置付けでここへ記載してございます。

○高委員長 山本委員、お願いします。

○山本委員 確かに文面の問題に関しましては、蟹瀬委員のおっしゃるとおりであると思います。確かに文面上整理し切れているか、あるいはきれいに整理できているかというと、できていないところもあろうかと思いますが、この文書は他省庁に対して向けるとか、そういうものではなく、あくまで申し送りのための文書ですので、正に今日の議論が議事録に残って、蟹瀬委員の御指摘が残って、それを次期にこういう趣旨であるということを伝えれば、差し当たりは十分なのではないかと思います。

内容に関しましては、今も議論があったとおりで、特に委員の間で意見が一致していないということではございませんので、そのような形で進めたらいかがかと思います。

○高委員長 ありがとうございます。よろしいですか。

○蟹瀬委員 最後の最後に厳しいことを言わせていただきますが、申し送りであればあるほど、なぜ1.と2.が分かれているかということを明確にしていないと、次の方々が分からないわけですね。3人お残りになると思うのですが、私たちは皆いなくなるときに、申し送りというものの中で、どういうものを私たちが重要視していたかということが明確に分かることがすごく大事なので、これだと私は混乱をしてしまうと。混乱するほど皆さんがお分かりになるかどうかは分かりませんけれども。

申し送りというのは、誰が見ても、どこから見ても分かるように書いてあるというのが申し送りですから、そこで委員の私一人が混乱しますよと言っているのがあれば、例えば少し言葉を足して、諮問がいつも行われるものであるということを書かれて、次は大きな課題としてこんなものが残っているという紹介の仕方をされたほうが分かりやすいかと思います。

○高委員長 ありがとうございます。

これは第5次の委員会が始まったときも同じフォーマットでこういう引き継ぎを受けました。確かにそのとき、分かりにくいなと思いました。その問題が依然として残ったままになっているので、いかがでしょうか。今度9月に、委員会の打ち合わせで、新旧の引き継ぎというのでしょうか、意見交換の場を設けますので、そのときにきちんと説明させていただくということで。なお、このフォーマットの問題は、更に時間をかけ、しっかり整理していただくということで、御了解いただけませんでしょうか。

○蟹瀬委員 はい。

○高委員長 では、意見交換の場では、蟹瀬委員、是非御発言をお願いいたします。

鹿野委員。

○鹿野委員 意見交換の場が別に設けられるということなので、そのときにお伝えしたら良いのだろうと思いますが、当面の主要課題のうち、これだけはということを幾つか申し上げたいと思います。

2ページの(4)の消費者法(取引分野)におけるルール形成の在り方ということに関しては、私も関わらせていただきましたが、これは中長期的にこういうことが必要だということをまとめたものであります。その中には、執行の強化とか、もう少し広い意味での取組についてこうしてほしい、こうする必要があるというような性質のものもあるのですが、一方で、法改正が必要なのではないかというような内容もかなり盛り込んでございます。ただ、その法改正についての具体的な検討というものをする場ではなかったので、その大きな視点とかアイデアを示すという形にとどまっているものであります。

しかし、それは、早速それをより具体的な形にしていって欲しいということでもありまして、そういう意味で、第5次はこれで終わりになりますけれども、第6次において、是非その点について具体化に向けた検討を行っていただきたいと思います。これは消費者委員会だけということではなくて、消費者庁に向けてもお願いをしているところではございますけれども、それを私としてはお願いしたいということがあります。

次に、先ほど蟹瀬委員からプラットフォームの点についてのお話がありました。これも、私も専門調査会にオブザーバーとして関わらせていただいたところですけれども、そのプラットフォームに関する報告書も、これはあくまでも第1ステップなのだということでありました。そこでは、現状を分析して、これから検討すべき課題を整理するということがなされているところですが、これを受けた検討が是非とも必要だということは、この専門調査会に関わった皆様の共通認識であったと思います。ですから、これも早速に、次のステップに向けて動いていただきたいと思っているところです。

また、3ページの「その他の主な継続的課題」の3つ目のポツにありますところの消費者契約法に関しても申し上げます。2016年と2018年に消費者契約法の改正が実現しました。これによって大分ルールが拡充された面もあるのですが、まだ不十分なところもありまして、消費者委員会からも付言をつけていましたし、ここにも書いてあるとおり、国会でも附帯決議が付けられたところであります。これを受けて、消費者庁では、既に検討を進めておられるようですけれども、これについても、是非とも、今後の法改正に向けた検討がどのように進められるのかを、次期消費者委員会で注視していただければと思っているところです。

○高委員長 ありがとうございます。

他、ございますでしょうか。

どうぞ、長田委員。

○長田委員 蟹瀬委員、鹿野委員からも出されていたプラットフォームのところなのですけれども、現在、公取ではもう独禁法の考え方の意見募集も始まり、何か新しい法制度の検討を非常に急いだ形で各省で始まっている段階ですので、次期消費者委員会発足後すぐに、消費者の視点から見て、それら様々なところで検討されているものを総合的に見てどうなのかというところは、すぐに協議を始めるべきだと思っておりますので、そのようにお願いしたいと思います。

以上です。

○高委員長 ありがとうございました。

どうぞ、樋口委員。

○樋口委員 蟹瀬委員、鹿野委員、長田委員から御指摘がありましたが、私も同感でありまして、このプラットフォームに関するものについては、すぐに検討していく必要がある重要な課題ではないかと。消費者に関わる非常に大きな変化がもう既に起きつつある状況ですから、消費者委員会として、引継ぎ事項ではありますけれども、是非今後検討していただければと思います。

もう一点、私からは、2ページの(6)なのですが、消費者行政新未来創造オフィス(新未来創造戦略本部)という項目があります。この項目についても、行政の評価という観点から言うと今後非常に重要な取組が行われることになると考えられます。と申しますのは、いわゆる中央省庁の中で特定の地域にこういう戦略本部というものを設けて、地域発で行政を進めるということを軸に据えるというのは、非常に画期的なことではないかと思います。

また、国際的な消費者政策の研究機能というものも強化するという構想も出ているようでございます。もちろん、こういったことについては、予算措置等が伴わなければ、まだ具体的にはなりませんが、そういったことをもし具体化するということになってきた場合には、消費者行政が全く新しい時代に入ると言っても良いのではないでしょうか。特に地方の問題、地方消費者行政専門調査会で正に検討しておられるところですが、地方の問題に深く関わってくることになるのではないかとも考えますので、この点についても、予算措置等の状況を見た上で、是非引き続き検討していただければと思います。

以上です。

○高委員長 ありがとうございます。

他に意見はございますでしょうか。

今、いろいろと意見をいただきまして、若干ではありますが、修文したほうが良いかと感じました。特にプラットフォームのところについては、この内容で基本的に大きな問題はないかと思うのですが、蟹瀬委員、鹿野委員、長田委員、樋口委員からも御指摘いただいて、第6次発足後、直ちに専門調査会を発足する必要があるということが、伝わるような表現に変えさせていただこうかと思いますが、いかがでしょうか。

(委員首肯)

○高委員長 それから、6番目の新未来創造オフィスの関係ですけれども、これは庁の動きを見た上で、必要がある場合には直ちに専門調査会を発足するというような、こういったことも追加させていただくということでいかがでしょうか。

(委員首肯)

○高委員長 事務局としても、それぐらいの修正であればよろしいですか。

○二之宮事務局長 承りました。

○高委員長 申し訳ありません。先ほど、微修正を行うと申し上げましたが、事務局の確認で、今回が最後の会合となり、皆様に確認を取ることができないということですので、微修正を加えるかどうかも含め、私にご一任頂けませんでしょうか。いずれにしましても、意見交換の折、第5次委員会の思いを伝える機会はございますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

○高委員長 それから、もう一点、本日ございました「販売預託商法」の関連ですけれども、これに関しては、とりあえず6カ月、庁の対応を見た上でしか今後どうするかははっきりいたしませんので、3ページの「3.その他の主な継続的課題」というところの3番目のところにポツを追加して、挿入させていただこうかと思いますけれども、いかがでしょうか。よろしいですか。

(委員首肯)

○高委員長 それでは、この次期消費者委員会への意向に当たっての留意事項については、皆さんから出されました意見、先ほど精査していただきましたけれども、それを踏まえまして、それからまた、本日御報告いただきました地方消費者行政専門調査会の論点整理と、本日発出することとなりました、いわゆる「販売預託商法」に関する消費者問題についての建議・意見を踏まえた記載をこれに追加し、修正することといたします。

修正の仕方などについては、私に御一任いただければと思いますけれども、よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○高委員長 ありがとうございます。

○二之宮事務局長 委員長、済みません。先ほどのいわゆる「販売預託商法」の建議につきまして、字句修正がございましたので、その点を含めまして、修正版を机上配付させていただきたいと思います。そこで確認の上、発出という形をとっていただければと思います。

(修正案配付)

○二之宮事務局長 修正箇所は4ページの13、先ほどのかぎ括弧の中の「は」の位置の字句修正でございます。

○高委員長 4ページ、13の「は」という言葉を外に出したということですね。これでよろしいでしょうか。

(委員首肯)

○高委員長 では、この形で発出させていただきます。

最後に、委員の皆様から、これまでの委員会活動についての所感や第6次委員会への期待などについて、御発言をお願いしたいと思います。

まず、池本委員長代理からお願いいたします。

○池本委員長代理 池本でございます。

いつも何かありますかと言われると、すぐ思いついたことをべらべらしゃべってばかりおりましたけれども、本当に様々な課題、先ほどの全体の整理を見て、こんなにいろいろな論点をやっていたのだなと逆に自分が驚くぐらいいろいろな課題に取り組んできて、私自身にとっても勉強になったと思います。

今日の預託商法に対する建議及び意見もそうですが、消費者庁や関係省庁に対しては、守備範囲のストライクゾーンど真ん中ではなくて、ちょっと高目の背伸びしないととりにくいような意見を出してきたという意味で、消費者庁を始め、各省庁はなかなか受け止める側も大変だったのかなと思うのですが、逆にそうすることによって、消費者庁の守備範囲なり体制も更に大きくしてほしいという思いがありました。正にその意味で、少しやかましいサポーターだったかと思うのですが、委員を終えた後は、今度は消費者委員会も含めて、更に頑張れと外から声を発していきたいと思います。

以上です。

○高委員長 ありがとうございました。

続きまして、受田委員、お願いします。

○受田委員 第5次、2年間、皆様とともにこの消費者委員会に関わらせていただきましたこと、本当に私にとって勉強の場になり、また、地方の消費者行政の今日の話もございましたけれども、これまで知っておかなければいけなかったことをしっかり認識できる貴重な機会をいただきました。

個人としては、食品表示部会あるいは新開発食品調査部会で提言も1つ、また、答申は13という数に上っておりますけれども、無事、責務を果たすことができたと思っております。

食品に関しては、保健機能食品制度について様々な意見が挙がっていることも承知しております。また、新開発食品調査部会の審議の場において、長年委員をお務めになられている方からも、現状について、様々な懸念が聞かれております。第5次はこれで終わりますけれども、第6次にこういった課題は当然継承されていくべきものと思っております。そういう意味で、大事な転換期を迎えている中で御一緒できましたことを深く感謝申し上げたいと思います。大変お世話になりました。ありがとうございました。

○高委員長 ありがとうございました。

続きまして、大森委員、お願いします。

○大森委員 2期、しっかり勉強させていただきました。ありがとうございます。

つい最近まで、こんなに一生懸命勉強させていただいても、私はそれを活用する時間がないではないかと思っていたのですけれども、地方消費者行政専門調査会の中で、60代、70代は、アクティブシニアで、時代を背負う重要な働き手であるということが分かりました。なので、学んだことは、私は生涯を通じて一生懸命活用していきたいと思っています。

消費者委員会も、すばらしい先生方がいらっしゃるのですけれども、今後、そういうアクティブシニアもありますので、80代前半ぐらいの方も委員会に入れていただけたら良いのではないかと。子育ても終わり、親もみとって、人生経験豊かで、何の心配もなく伸び伸びと発言していただいたら有り難いのではないかと。

また、成年年齢引下げもありますので、18歳から20歳ぐらいの若者も是非委員としてやっていただけたらと思います。若い人の感性や考え方がないと、未来への設計図は描けないと思います。そういういろいろな方の伸び伸びした消費者委員会ができると、今は消費者委員会といっても、マニアックな人だけがウオッチしているような状態ですけれども、一般消費者、市民がウオッチし、意見を述べたり、応援する、そういう消費者委員会になることを応援し続けます。どうもありがとうございました。

○高委員長 ありがとうございました。

続きまして、蟹瀬委員、お願いします。

○蟹瀬委員 4年間務めさせていただきまして、事務局の方のすごい努力というか、貢献度とか、そういうものを見せていただいて、私が今あるのは、皆さんのそういった裏の力が大きかったなと思います。ありがとうございました。

私は、ビジネスの世界から一人ここに参画をさせていただいていたのですが、四十何年間、ビジネスの世界にいて、いつも消費者志向経営という視点で仕事をしてきていたつもりでおりました。ところが、ここの4年でいろいろ消費者問題を扱うにつれ、消費者問題を扱っていらっしゃる増田委員ですとか、長田委員ですとか、あるいは大学の先生でそれを専門になさっていらっしゃる鹿野先生だとか、受田先生だとか、山本先生だとか、樋口先生とか、そういった方、それから、弁護士として非常に問題を扱いながら解決をなさっている池本先生を始め、高先生もそうなのですが、そういったとっても違う視点での意見をお聞きしながら、たくさんのこれからの消費者志向経営というのはこうあらねばならないなというのが、私の中に新しく構築をされました。

その知識、それから、皆さんからいただいた情報、ネットワーク、この私にいただいた強い考え方、視点を、これからまた現場に戻って、そして、現場のたくさんの経営者たち、あるいは働く人々の中に、この考え方を広げていくことができると良いなと思っています。

この4年のおかげで、消費者志向経営ということの意味が初めて分かったような気がします。ありがとうございました。

○高委員長 ありがとうございました。

続きまして、長田委員、お願いします。

○長田委員 ありがとうございます。

私もこの消費者委員会という場で大勢の先生方と意見交換ができたことは本当に良かったなと思って、有り難いなと思っています。

いろいろな審議に参加させていただいたのですけれども、私にとっては、新開発食品調査部会というのは、お役目として部会長代理をさせていただいて、全く取り組んでいなかった分野でした。この本委員会のところでは、答申の結果だけがさらっと報告されるのですけれども、その答申に至るまでの非常にすごい審議というのは、表には見えないのですね。でも、非常に厳しい専門家の目が入って、非常に時間を掛けて特保が生まれてきているということを改めてよく理解をしました。

そして、その中で、先ほど受田先生からも御指摘があった、他の機能性表示食品との関係などについても、改めて審議をしなければいけない時期が本当に来ているということがよくよく理解できましたので、そのことをまた私の一つの課題として、今後いろいろやらせていただきたいと思っています。

本当に4年間、2期、ありがとうございました。

以上です。

○高委員長 ありがとうございました。

続きまして、鹿野委員、お願いします。

○鹿野委員 私も第4次からですから、4年間ということになりますけれども、どうもお世話になりました。

私は大学で民事法を専門としている者ですから、民法を中心にし、消費者法についても、民事的な救済とか、そういう民事法的なところを中心に今までは考えてまいりました。

ですが、ここで消費者委員会の委員を務めさせていただく中で、消費者問題というのが、いかに様々な形で生じているのかということについて、改めて気づかされるとともに、それに対して様々な形で問題解決に直接、間接に関わっておられる方、活躍していらっしゃる方がいらっしゃるのだということを、改めて認識させていただきました。

それとともに、民事的な解決ということも重要ですけれども、それだけではなくて、より多角的な視野を持って、総合的に物事を見る必要があるのだということを、自分ではある程度は分かっていたつもりではありましたけれども、より実感を持って感じとることができたと思います。

さらに、それだけではなくて、例えば先ほどルール形成のことについても一言申しましたけれども、あそこでも委員の先生方、あるいはヒアリングとして、いろいろな分野の専門家の方々の御意見とかを拝聴することもありまして、それも含めて、非常に私自身の勉強にもなったと思っております。

それから、事務局にも強力なサポートをしていただきました。消費者庁との間では、ともすると厳しい意見を言ったりということもありましたけれども、今後も消費者庁と消費者委員会との関係については、良い意味での緊張関係を持って、より良い消費者保護という共通目的に向かって進んでいっていただきたいということをお願いするものでございます。

今日で消費者委員会の委員は終わりということになりますけれども、今後もここで学んできたことなどを踏まえまして、できるだけ幅広い視野を持って、より良い消費者市民社会の実現に向けて何ができるのかということを考えてまいりたいと思います。

どうもありがとうございました。

○高委員長 ありがとうございました。

続きまして、樋口委員、お願いします。

○樋口委員 私も消費者委員会の委員を4年務めさせていただきました。その間、消費者行政全般について、いろいろ勉強する機会がありました。消費者政策ということに関して申し上げれば、正直言って、残念ですが、まだ道半ばの状況ということではないかと思います。これは消費者委員会の委員の皆様、それから、事務局、消費者庁の方々、あるいは各省の方々がいろいろ努力をしてこられているわけなのですが、現実がどんどん大きく変化している状況であると。そういう意味では、幾ら頑張ってもなかなか追いつかないというのが、現在の状況ではないかと思います。

特に、先ほどのネット社会に関連することでもお話がありましたし、また、ルールの検討の際には、消費者の継続的及び一時的な脆弱性の問題、これも取り上げました。あるいは、まだ議論が十分ではないかもしれませんが、サステナビリティということについてもいろいろ取り上げました。

そういう状況の中で、これから課題がまだ山積しているのではないかと思いますので、是非第6次の委員会においても、そういう取組をしっかりしていただければと願っています。

幸いなことに、私は一つヒントを見出すことができたのです。それはたまたま消費者行政新未来創造オフィスの関係で専門調査会がありまして、いろいろ勉強させていただいたのですが、その中では、今後の消費者行政の問題を解決していく、懸案を解決していく上で、非常に重要な問題提起あるいは取組が始まっているということを肌で感じたわけでございます。こういったところを更にきちんと発展をさせていくことによって、道半ばではなく、もう少し道を歩めるのではないかというふうに大いに期待しているところです。

私も大学に戻りますが、いろいろとお手伝いをさせていただければと思います。ありがとうございました。

○高委員長 ありがとうございました。

続きまして、増田委員、お願いします。

○増田委員 4年間、大変お世話になり、ありがとうございました。

消費生活相談員二十数年の間にずっと考えていたこと、思っていたことを、こういう場をいただきまして、意見を述べることができました。そのことについては、大変感謝を申し上げたいと思います。

今後、今もそうですけれども、社会の変化とともに、消費者自身が変化していて、そして、企業の取組であるとか、消費者志向経営とか、そういうことに対しての期待が高まっています。

ただ、それでもなお大企業による違反行為がありますし、悪質事業者はなくなりませんし、消費者教育という名のもとに、消費者の役割や責任というのが高まっているけれども、それでも、消費者教育が行き届かない、それの効果がない方たちというのは、必ずいるわけです。そういう現状というものがあるということを、いつもどこかで頭に入れていただきながら進めていっていただきたいと思っています。

私は、今後は全国消費生活相談員協会としてまた活動をしながら、意見を述べていきたいと思っております。大変ありがとうございました。

○高委員長 ありがとうございました。

続きまして、山本委員、お願いします。

○山本委員 私は幾つかの専門調査会に属させていただきまして、先ほどの地方消費者行政、それから、公益通報者保護、それから、ワーキング・グループですけれども、先ほどから話が出ておりますルール形成に関するワーキング・グループ。それから、これは今期ではありませんけれども、前期ですけれども、事故情報の活用に関する専門調査会に出させていただきまして、ここでの私の発言等も、広い意味ではそういった専門調査会に関わる部分が多かったと思いますし、それに限られていたのではないかと思います。

とりわけ、公益通報者保護の専門調査会はなかなか大変でございまして、一つ一つの論点が理論的に非常に複雑であるというわけでは必ずしもないのですけれども、とにかく非常に広い法分野にまたがっているということで、どの法分野も典型的に議論している状況とは異なっているということ。そして、非常にステークホルダーの種類が多い。これは単に事業者、消費者というだけでなく、通報者、あるいはさらにはマスコミ等々といったものも含まれますし、関係行政庁も当然その消費者委員会、消費者庁だけでなく、あらゆる行政庁に関わるということがありまして、その意味では、どういうふうにバランスをとっていったら良いかというところが非常に難しいところがございました。

しかし、その専門調査会の委員の方に非常に御協力をいただきまして、何とか取りまとめに至ったということがございます。

ただ、最終段階では、実は事務局あるいは高委員長にまで非常に御迷惑をおかけしたというか、御尽力をいただいたということがございます。この場を借りて、御礼を申し上げたいと思います。

全体的に、当然委員の方々、それから、それを見守ってくださった多くの方々、あるいは支えてくださった事務局の方々等々に深い感謝の念を表したいと思います。

特に、やはり高委員長はすごいなと思いまして、この委員会での議論をまとめるというのは非常に難しいと思うのですけれども、それを極めて的確に、穏やかにおまとめになられていまして、本当に頭が下がる思いです。この点、最後に感謝を申し上げたいと思います。

以上です。

○高委員長 ありがとうございました。

最後に皆さん方のお言葉をいただいた上でまとめるようにということでございます。もう一回まとめなければいけないのですね。

私もこの2年間、皆さん方と一緒に仕事をさせていただきまして、大変充実した時間を過ごすことができまして、本当に光栄に感じております。

蟹瀬委員がいろいろな違う視点から学ぶことができたと。それはもう全く同感でございます。多様な意見から学んで、また新しい価値を創り出すということができたと、こういう評価をいただきました。

大森委員は更に先へ進んで、もっと多様にしろと。年齢層も10代から80代までと。その方向もあり得るのかなと思いますけれども、6次ではちょっと無理でしょうか。でも、将来的には多様性ということを重視して、委員会の活動を更に活発化していかなければいけないと、私も感じております。

私がこの2年間仕事をさせていただきまして、これは私の力不足でございますけれども、昨晩も皆さん方とお話をさせていただきましたけれども、いろいろな良い意見が出てきて、これこそ今やらなければいけないという意見が何度も出てきました。しかし、意見をいただいても、なかなかこれを実行に移していくというところで、随分苦労したと思っております。先ほど、山本委員より、丁寧に御説明をいただきましたが、答申を出しましても、法改正に動くためにはかなりの時間を要するとか、あるいは建議・意見を出しましても、その過程でいろいろな意見の対立があるとか、要は、消費者庁と消費者委員会の関係については、やはり苦労したなと思っております。これは私の力不足に原因があったと思っております。

途中、かつての国民生活審議会のように、例えば国民生活局の中に入っていれば、多分消費者庁と委員会というのは、それほど意見の対立とか葛藤はなかったのだろうと思いましたが、ただ、そうなってしまいますと、結局やれることしかやらない委員会になってしまいますので、またこれでは委員会設立当初の理念からは大きく逸脱してしまいますので、この方向はあり得ないなとも、私自身、強く感じました。

なかなかうまくいっていない関係なのですけれども、それは両者の考え方が全く違うからなどとは思っておりません。根本的な問題は、地方消費者行政のところでも同じだと思うのですけれども、国の財政、地方の財政が逼迫していて、人を割くことができない、行政資源が限定されていること。そんな中で、拙速にいろいろなことに手を広げていくということになれば、それを公約すれば、それが新しい国賠リスクにもなりかねないということで、なかなか手が出せないということでした。行政資源が限定される中、なかなか我々の理念が高邁かつ必要なものであっても、それを実行に移していけないということ。私は、この2年間、このことを何度も感じた次第です。

ただ、これは個人的な印象なのですけれども、もしこれが根本の原因であるとするならば、消費者行政の将来はまだまだ明るいと思っています。行政資源が限られているということであれば、庁と委員会がもっともっと知恵を出していけば、いろいろなことができると思うのです。

そういう意味では、ルール形成の在り方の報告書は知恵が満載されていると思っておりまして、民間の力を引き出していく方法もふんだんに書き込まれていますし、また先ほど樋口委員が徳島でのプロジェクト、ここから学べる取組はいっぱいあるということでございました。ともに国民の消費者の利益の保護・増進というところは、庁も委員会も一致しているわけですから、そこに立ち返って知恵を出し合っていけば、必ず先へ進んでいくことができると思っております。

是非、第6次委員会においては、この点に留意しながら、庁との関係再構築、より一体化した形で消費者問題に取り組める体制づくりに臨んでいただければ有り難いと思っています。

最後になりますけれども、委員会事務局スタッフの皆さんには、言葉では尽くせぬほどの協力と支援をいただきました。ありがとうございます。昨晩は皆さん方、働き方改革、これも忘れないでくださいというようなことを言いながら、矛盾したことを申し上げますが、今日、たくさんの申し送り事項を第6次に引き継いでいただきました。たくさんの課題がございますので、第6次の活動につきまして、しっかり支えていただければと願っております。

私どもは、4年の方もいらっしゃいますけれども、この2年間、本当に大変貴重な体験、経験をさせていただきました。それぞれの立場から、また新たな気持ちを持って消費者問題を考え、そして、それぞれの立場から具体的な行動を起こしていきたいと考えております。どうも2年間、本当にありがとうございました。


≪7.閉会≫

○高委員長 本日の議題は以上になります。最後に、事務局より今後の予定について説明をお願いいたします。

○金子参事官 第5次の委員会としては、本日が最後でございます。委員の皆様方、どうもありがとうございました。

次回は第6次の初回ということになるわけでございますけれども、日程が決まり次第、委員会ホームページを通じてお知らせをしたいと思います。

また、委員の皆様への御連絡でございますけれども、連絡事項がございますので、委員の皆様方、この後、委員室にお集まりいただければと思います。

以上でございます。

○高委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところを御参集いただきまして、ありがとうございました。

(以上)