第306回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2019年8月15日(木)13:59~15:25

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    高委員長、池本委員長代理、受田委員、大森委員、長田委員、樋口委員、増田委員
    (高委員長の「高」は、正しくは「はしごだか」)
  • 【説明者】
    消費者委員会事務局担当者
    公共料金等専門調査会井手座長代理
    消費者庁大森参事官
  • 【事務局】
    二之宮事務局長、福島審議官、金子参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 食品表示部会の報告について
  3. 消費税率の引上げに伴う公共交通運賃の改定案及び北海道旅客鉄道株式会社の運賃の改定案について
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○高委員長 それでは、時間となりましたので、ただいまから第306回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

皆様、お忙しいところ、御参集いただきましてありがとうございます。

本日は、蟹瀬委員、鹿野委員、山本委員が御欠席となります。

それでは、配付資料の確認につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

○金子参事官 議事次第の下部に配付資料一覧を記載してございます。もし不足等がございましたら、事務局までお申し出いただきますようにお願いいたします。


≪2.食品表示部会の報告について≫

○高委員長 ありがとうございます。

本日の最初の議題は「食品表示部会の報告について」でございます。

消費者委員会は、平成30年5月の第275回委員会において、表示事項間の優先順位や、インターネットを活用した表示の可能性などを含む食品表示の全体像について、食品表示を取り巻く現状などについて整理しつつ、消費者のニーズにも十分留意した上で、食品表示部会において専門的な見地から検討することをお願いしたところでございます。

その後、計9回の会合を開催して議論を行っていただき、今般、報告書を取りまとめたということでございます。

本日は、受田部会長から報告書の内容について御報告をいただきたく思います。15分程度で御報告をお願いできればと思います。

○受田委員 ただいま委員長から御説明をいただきましたように、第275回の消費者委員会本会議において、標記の検討依頼がございました。

この検討依頼を受けまして、食品表示部会において、昨年8月開催の第45回以来、今月1日の第57回の部会を経て、計9回の部会において、各委員の御協力の下、本テーマについて精力的な審議を重ねてまいりました。

その結果、お手元にございます資料1-1が今月9日付でまとまりました報告書で、この報告書を取りまとめ、食品表示部会へ要請をいただいた消費者委員会に対して御報告をさせていただくものでございます。

お手元の資料1-1並びに資料1-2。これが今回の食品表示部会で検討いたしました「食品表示の全体像に関する報告書」及びその概要でございます。本日は資料1-1に基づいて、この内容に関して御説明をさせていただきます。

資料1-1の最初のページをおめくりいただきますと、目次が2ページにわたってございます。第1から第5まで、そして冒頭に「はじめに」、最後に「おわりに」という構成になっております。

更にめくっていただきまして、1ページの「はじめに」というところから、かいつまんで説明をさせていただきます。

まず「はじめに」の第1パラグラフ、第2パラグラフにおきましては、食品表示の定義並びに食品表示に関する包括的かつ一元的な制度として、平成25年の食品表示法の策定が行われた旨、表記してございます。

この一元化検討会におきまして積み残しになりました課題が幾つかございました。その後のパラグラフを御覧いただきまして、その一つが加工食品の原料原産地表示に関してでございます。

議論を重ねた結果、平成29年8月10日付でその答申書が発出されております。その際に「義務表示の増加に伴い、製品上に表示する文字がかなり多くなっている。加工食品の原料原産地表示も含めて、今後、義務化される表示が増えれば、状況は更に深刻化し、消費者が安全性に関わる表示を見落としてしまう要因にもなりかねない」とする附帯意見が出されたところでございます。

この附帯意見を踏まえつつ、先ほど御紹介がございました第275回の消費者委員会において審議の依頼があったわけでございます。

最後の行に、その取りまとめた提言と具体的方針というものがこの資料1-1の内容となります。

次の2ページを御覧いただきたいと思います。「第1 食品表示制度とそれを取り巻く環境」で「1.現行の食品表示制度」から取りまとめております。

ここには食品表示基準によって加工食品に義務付けられている表示事項が「名称」「保存の方法」以下、具体的に書かれておりますし、また、一定の要件に該当する場合に表示が必要な事項として「アレルゲン」や「L-フェニルアラニン化合物を含む旨」等が定められていることを記述しております。

2.に「食品表示を取り巻く環境」について説明をしております。

第2パラグラフ以降でございますけれども「いわゆる一括表示」をめぐる環境について、新たな食品表示制度や食品表示基準の一部改正等、将来的には「いわゆる一括表示」の表示事項における情報量の増加は避けられない状況にあることを記述しております。

さらに、最後から2から3行目でございますが「更に詳細な情報を求める」声が様々な議論のプロセスにおいて出てきていることも事実であるということを書いてございます。

最終行から3ページ目に関しては、一方、現時点でも消費者は食品の「いわゆる一括表示」に関して不満を持っているということ。したがって、今後更に情報量が増加すると、状況は更に深刻化して、消費者が安全性に関わる表示を見落とす可能性も懸念されているということを述べております。

3ページ、その後は、後に国際整合性の問題と関わってくる内容として、コーデックス規格のことをTBT協定も含めて説明してございます。

続いて「第2 食品表示に対する消費者の意向と改善に向けて」で、4ページ以降に入ってまいります。

まず「1.消費者から見た食品表示」として「(1)消費者の意向の把握」について記述しております。

この内容としては、消費者庁が実施した「食品表示に関する消費者意向調査」の結果を採用することにした経緯を述べております。

この意向調査に基づいて、(2)で「消費者の食品表示に対する不満」を読み取ることをマル1、マル2で記述しております。

まず「マル1 現行表示に対する不満」として、後に6から8ページに図1から3がございますけれども、この図1から3を順次参考にしていただきながら、この後、書いております説明を御覧いただきたいと思うのですが、まず図1に関しては、販売の際に表示が必要となる10表示事項に関して、消費者の皆様は「見づらさ」への不満を訴えているということをマル1のところに記述しております。更に、確認していない、あるいは見ていないために分からないといった活用されていない実態も、この消費者意向調査から考察をすることが可能でございます。

4ページの最後の段落で、ここは図2を参照した記述になっておりまして、一定の要件に該当する場合に表示が必要となる「アレルゲン」以降の6表示事項についても、同じく「見づらさ」への不満が多いということ。同時に、見ていないために分からないといった活用されていない実態が浮き彫りになってございます。

続いて、5ページに入りまして、マル2に「改善に向けての意見」を整理した内容がございます。ここは図3に関してで、特に注目すべきは「表示をより分かりやすく、活用しやすいものにするために必要だと思うものは何か」という説明に対して「情報量を絞り、文字を大きくする」という回答が多かったこと。また、別の方法で情報を提供する場合に、どのような方法で提供するかという設問に対して、10表示事項全てにおいて「必ず容器包装に表示してほしい」とする回答が最も多かったことを記述しております。その次に「ウェブ上に掲載する」という意見が多く聞かれておりました。

図1から3は飛ばさせていただきまして、9から10ページに入ります。「2.より良い食品表示に向けて」。

ここで(1)で「消費者に対して食品表示はどうあるべきか」ということを、先ほどの意向調査の結果から、解決すべき食品表示に関する2つの課題としてまとめさせていただきました。まず(ア)は図1から2に基づいて、現在の「いわゆる一括表示」の表示事項の中には消費者に十分活用されていない表示事項が存在すること。(イ)として「いわゆる一括表示」に関しては、そのデザイン、フォント、文字サイズ等や情報量に起因する見づらさへの不満を持つ人が35から75%の幅で存在すること。これを挙げさせていただいております。

そして、マル2に上記、今、申し上げたマル1の課題に関する対策の検討過程において「食品を選択するために更なる情報の提供を求める等、食品表示のより一層の充実も求められている」という課題も明らかになりました。

これらを踏まえて、委員間で活発な議論を展開していただき「(2)より良い食品表示とは」というところで小括をいたしております。

2段落目以降を御覧いただきますと、この検討の過程において委員から出された主な意見を、ポツをつけておりますけれども、具体的に書かせていただきました。

まず、9ページにポツが3つございますが「いわゆる一括表示」の表示事項が多くて分かりにくいのであれば、義務である表示事項と、知りたい人に届けるための任意である表示事項に分けるという考え方もあるのではないか。また、必ずしも容器包装上に表示しなくても良いのではないか。あるいは容器包装上に表示しないのであれば、補助的情報提供の手段としてウェブでの表示が大きな役割を果たす可能性もあるということが書かれております。

そして一方、10ページに入りまして、これらの意見への懸念や留意点として、更に次のような意見が出されております。表示事項を、安全性の確保と、自主的かつ合理的な選択の機会の確保に分けて、簡単に優劣をつけて議論することには慎重であるべきである。また、平時ではそれほど重要に見えなくても、事故発生時等の緊急時では必要かつ重要な意味を持つものがある。一部の消費者のみで関心が高い表示事項を、調査結果等に基づき義務表示事項から外すべきではない。さらに、まず分かりやすさの定義に向けて科学的アプローチを行うことが有効で、ユニバーサルデザインの導入等、様々な改善を講じる必要性が意見として聞かれております。また、消費者としては、購入時に商品を手に取って、その場で表示事項を確認して、商品を選択することが重要であるという声も聞かれております。

最後のポツは、食品関連事業者の皆様の実行可能性に関する問題点の指摘で、全ての事業者がタイムリーにウェブ上での情報提供を行ったり、内容更新ができるわけではないという意見が聞かれ、このように両論の意見をまず整理した上で、更に検討を進めていった次第です。

11ページから、第3となりまして「食品表示に係るこれまでの整理及び関連する情報」を取りまとめております。

ここは過去の検討結果を尊重し、検討の重複を避ける目的で、今回の審議事項において報告を受けたもの、あるいはヒアリングを実施した内容をまとめたものでございます。

「(1)食品表示一元化検討会」。ここに「表示の見やすさ(見付けやすさと視認性)」という項目が設定されて、枠囲みをしたような内容が示されております。

また(2)において「食品のインターネット販売における情報提供の在り方懇談会」の内容を整理いたしました。

それから「2.関連する情報」として、まず「(1)国際的な食品表示の動向」として、コーデックス規格等に関して、更に知見をいただいたというものでございます。ここは割愛をさせていただきます。

12ページの後半に「(2)ユニバーサルデザインの活用」という内容がございます。下の段落で、食品の表示についての独自の実験を評価・分析した結果、食品表示の「分かりにくさの要因」は「文字(書体)」「情報量」「レイアウト・デザイン」の3点であり、以下、書いてありますような指摘がなされました。

特に13ページをめくっていただきまして、情報量に関して、印刷された部分と背景に分けて、印刷部分の紙面に対する割合を情報量と定義した場合、A4サイズ1枚を基準に、本情報量が一定の数値を超えると、実験参加者の過半数が読みたくないと回答したという報告が挙げられております。後の部会における議論においては、この情報量を「空間的情報量」と定義し、整理をいたしました。

さらに、レイアウト・デザイン、色彩設計に関しても知見をいただいたところでございます。

(3)はICタグのことが書かれておりますけれども、現時点では食品表示にこのICタグを使うには技術面、コスト面からハードルが高いというふうに結論しております。

14ページ以降なのですが、ここからが最終的な結論に至るところでございます。

「第4 消費者に活用される食品表示とするために」ということで、これまでに議論された、あるいはヒアリングを重ねて抽出された、食品表示における課題をいかに解決すべきかという点について「いわゆる一括表示」部分の「分かりやすさ」について科学的根拠に基づく客観的な定義が定まっておらず、改善すべき要素も明確でないことがまず明らかになりました。その定義に向けた科学的アプローチが必要であること、消費者の意向に関しても消費者意向調査結果だけでは検討の土台となるエビデンスが不十分であること等が明らかとなりまして、第3のところで得られた情報等も踏まえ、消費者委員会からの検討指示に対する現時点における結論として以下の2点を導き出しました。

まず(1)が「いわゆる一括表示」の表示事項は、平時と緊急時といった使用時の状況や、重要性がその都度変わり得るということで、優先順位について、全ての消費者にとっての重要性は一致しないということ。したがって、表示事項間で優先順位をつけて、容器に表示する事項と容器以外に表示する事項とに仕分けすることには慎重であるべきという点が1点です。

そして(2)として、ウェブ等を活用した表示を容器包装上の表示の代用として認めるには、マル1ウェブ上の表示と、いわゆる容器縛りとの整合性を始め、マル6に至る国際整合性といった多くの整理すべき課題が存在することから、その実現に向けては、これらの課題の克服状況も踏まえながら引き続き検討を行っていくとさせていただきました。

15ページに入りまして、その具体的な検討として、2.にございます「分かりやすく活用される食品表示とするための前提条件」を検討した次第でございます。「いわゆる一括表示」部分の「分かりやすさ」の科学的根拠に基づく定義のために、現状把握を優先的に行うよう、具体的には以下のようなきめ細かい調査を実施することを提言するものでございます。

「(1)『分かりやすさ』の定義に向けた科学的アプローチに基づく調査」で、ここには調査1と調査2を挙げております。

1つ目が、現行商品の「いわゆる一括表示」部分に関する調査でございまして「いわゆる一括表示」面積の表示可能面積に対する割合の把握、視覚機能の弱い方を含めた消費者にとって「いわゆる一括表示」のどのような点が見づらいのか等々、具体的にどの表示事項を見ていないのかといった利活用実態等の確認・把握を目的としたものでございます。

2つ目が調査2で「いわゆる一括表示」のデザイン、フォント、文字サイズ等の情報量の把握を目的として、空間的情報量に関する調査を実施するという内容でございます。

(2)として「ウェブを用いた食品表示を検討するための現状調査」に関して、調査3を提言してございます。マルが付されているところで、ウェブでの補助的情報提供の優良事例に関する調査を行っていくということを現状把握として行うことを提言いたしました。

更に「3.分かりやすく活用される食品表示とするための取組」ということで、これらの調査事項を踏まえ、具体的に「いわゆる一括表示」の視認性をどのように改善するのか、具体的な検討を行うべきであるとしてございます。

また、表示可能面積に対する「いわゆる一括表示」の面積が占める割合に関して、ここも調査結果を分析した上で、明確化された「分かりやすさ」の定義に従って、表示可能面積中の「いわゆる一括表示」の占める面積の拡大可能性についても考慮しつつ、十分な検討を行うべきとさせていただきました。

「(2)ウェブを用いた食品表示の可能性」でございます。ここも調査3の結果を踏まえまして、様々な方策が考えられますけれども、次のような段階的アプローチの考え方を中心に検討が行われるべきであるとしております。ただし、ウェブの利活用の必要性があるかどうか等の消費者の意向や食品関連事業者等の実行可能性をこれからお話しする各段階で検証することが前提となるとしております。

第1段階は「容器とウェブによる『いわゆる一括表示』事項の併用表示」でございます。

この併用表示に続いて、第2段階として「ウェブによる食品表示の補完」。

そして、第3段階として「いわゆる一括表示」の表示事項ごとに容器とウェブとで完全に分けて情報を提供する「容器とウェブによる『いわゆる一括表示』の棲み分け」について検討するということをここに提言させていただいております。

「(3)今後想定されるスケジュール」で、表1が次の17ページにございますけれども、義務化される表示が今後増えることも想定した上で、実際の調査へ計画的に着手することが求められるとさせていただきました。

最後の18ページでございます。「第5 誰一人取り残さない将来に向けて」ということで、食品表示とSDGsの「つくる責任 つかう責任」の実現との関連をここに記してございます。

そして、最後の「おわりに」で、第2パラグラフのところに、今回の検討の過程において十分な議論ができなかった課題、例えば、表示事項の情報に関する理解のしやすさ、表示事項間の優先順位、食品関連事業者等の表示に関する意向等に関しても今後調査していくことが必要であり、法を所管する消費者庁においては、実態把握のための詳細な調査を速やかに行うことが望ましいということで結ばせていただいております。

このような形で具体的な調査内容も含め提言し、17ページにある、このスケジュール案。これが具体的に実施されることを部会として報告書の中に盛り込んだものでございます。

以上です。

○高委員長 ありがとうございました。

ただいま説明いただきました、この内容に関しまして、御質問、御意見のある方は、どうぞ御発言ください。

どうぞ、大森委員。

○大森委員 大変御苦労されて、ありがとうございました。

意外だったのが、やはりアンケートの調査によると、一般の消費者は全て食品に表示してほしいという意見が多くあって、余り補完的なネットでの検索とかは期待していないという結果が出たようなのですけれども、どんどん家族も少なくなって、個包装が小さくなってくると表示面積も限界があって、そういう消費者の意向には応えられなくなっていきますし、国際的な整合性を保つためにコーデックス規格をするのはもちろんのことですが、それだけでは足りなくて、アレルギーとか命に関わるような情報をどうしても知りたい人とか、それでなくても、どういう食べ物を自分が食べているのか知りたい消費者は一定数いると思うので、数の原理ではなくて、そういう消費者の知る権利をしっかり守っていただけたらと思います。

それに、今回の調査は主に店舗で買われるような御意見が多かったと思うのですけれども、ネット通販も増えてきていまして、ネット通販の場合は消費者も割とじっくり選択する時間的余裕があるものですから、そういうところでいろんなデータが検索できるというところを担保していただきたいと思います。ネットで検索すると、すぐ広告に行ってしまって、消費者の知りたい情報がなかなか得られないこともありますので、その辺りをしっかり取り締まっていただいて、そういうすぐに宣伝に行くのは消費者の知る権利の妨害になると思うので、その辺りを整理していただけたらと思います。

アメリカでは二次元バーコードで詳細をつけるような、コーデックス規格に補完するために二次元バーコードをつけているという御報告があったのですけれども、バーコードというものはレジとかで、どこのスーパーでも使っているものなので、ICタグよりも費用面とかの障害は少ないと思いますので、実際、買う現場でももうちょっと詳しいことを知りたいと思ったら、どこかにかざすと細かい情報が得られる。そういう形になっていくと良いかなと思います。

どうも御苦労さまでした。

○高委員長 ありがとうございました。

どうぞ。

○受田委員 御意見ありがとうございました。今、大森委員からいただいたコメントは食品表示部会においても多くの委員から寄せられた意見に含まれると理解をしております。

1点、消費者意向調査の結果に基づいて、表示事項を必ず容器包装に表示してほしい。これが非常に多かったことについては意外であったというコメントをいただきました。私どももその点についてはそういうふうに印象として受け止めておりますけれども、今回参照した平成29年度分の結果に続いて、直近では平成30年度の報告もございます。ここを参照しますと、より容器に表示してほしいという意見が増えておりまして、この辺り、消費者の皆さんの御意向がどのような形で反映されているか。これをやはり意向調査の設問等をまた見直してみたり、考察をすることが必要なのではないかということで部会の中でも意見が聞かれているところでございます。

それから、ウェブを通じた情報の提供に関してはごもっともで、そのことも踏まえて私どもは、16ページにありますように、第1段階から第3段階で、特にすぐに実施が見込める第1段階はインターネット販売等に対しても非常に課題解決に資するのではないか。あるいはいろいろな情報を求めておられる皆様に対しても、この第1段階は極めて有効ではないか。その点は第2段階ということで、補完という意味で強調もさせていただいております。

そういう意味で、ウェブを使った情報提供の在り方が広告ではなくて表示に、第3段階に行けば行くほど近づいていくことにはなるのですけれども、こういった点もしっかり消費者のニーズの把握と、さらには伝えたい情報をお持ちの事業者の皆様の意向もしっかりとお聞きした上で、この段階を将来的には進めていくことについても検討を進めていくべきかなと思います。

最後におっしゃられた二次元バーコードの点については、一つの参考として米国のバイオ工学食品情報開示法のことを12ページに挙げさせていただいておりますが、優良事例として、今後、国内の状況も調査をしてまいりますけれども、こういった優良事例の中にグッドプラクティスとして挙げられるものも当然含まれるのではないかと思っているところでございます。

御意見ありがとうございました。

○高委員長 ありがとうございました。

他はございますでしょうか。

どうぞ、池本委員長代理。

○池本委員長代理 私もこの報告書を拝見して、特に4ページのところで、要するに、小さくて見にくい、見つけにくいという不満がたくさんあるのに、では、今後はどうかとなると、全部表示してくれという、ある意味で矛盾する回答になっているのは非常にもどかしいと思うのですが、例えば4ページと5ページとの関係で言うと、不便でないと答えている人と、見つけにくい、見にくいと答えている人、あるいは確認していないという答えもかなりの数でありますが、それでクロス集計はなさっているのかどうかという点をお伺いしたいのが1点です。

というのは、今後の改善の方向性として、これはやはり時間を掛けなければいけないことだと思いますし、それから、今回の提言の中にある優良事例の現状を把握する調査も私はこれが一つの今後の手がかりになるのかなと思うのは、やはり選択肢を見えるようにしておいて、こういう方法とこういう方法でどうですかとやれば、もう少し合理的に発見しやすい、なるほど、これは良いのではないかということが、回答ができてくるのではないか。そこが見えないから、とりあえず現状の全部載せてくれというふうになっているのかなと思うのですが、その辺りの分析と今後の手順というのですか。その辺りはどんな議論があったのか、教えていただければと思います。

○高委員長 お願いします。

○受田委員 御質問ありがとうございます。

クロス集計に関しては、詳細なものまでは実施されていないというふうに承知しております。御存じのとおり、この消費者意向調査自体はn数が1万という膨大なサンプルから、様々な食品表示に関する調査項目、設問を設けておりまして、膨大な資料で、極めて我々にとっては貴重な情報源であると考えております。

ただ、今、池本委員長代理からも御質問ございましたとおり、更に踏み込んだクロス集計や設問の設定の方法を含めて、先ほども申し上げましたけれども、まだまだ改善の余地もあるのではないかと思っているところでございます。

そういう意味で、今後こういった容器縛りあるいはウェブでの情報提供ということですみ分けを考えていくことがより一層求められていくことになれば、この消費者意向調査をより一層詳細にきめ細かく実施していく必要があると私どもも考えておりますし、委員からもそういうふうに調査を更に実施しなければ消費者の本当の意向は聞こえてこないのではないかという意見もいただいておりますので、その点を踏まえて今後の検討に当たっていきたいと思っているところでございます。

○高委員長 あと、優良事例に関して、何か御質問がありましたね。

○池本委員長代理 優良事例の把握が必要だということが、それをどう活用するという方向性が、何か議論があったのかどうかという点です。

○受田委員 優良事例としては、今回調査で具体的に提言しておりますのは、ウェブを使った情報提供として、特に事業者の皆様が具体的にどういう手法を使っておられるかをかなり広く調査をしていこうというものでございます。

実際、部会の中で幾つか情報提供の在り方として、ウェブを使っている事業者の実例を挙げていただきまして、今回、3段階ということで併用と補完とすみ分けを提案しておりますけれども、特に補完の部分。ここに具体的な事例も拝見できましたので、より一層悉皆的に調査をすることによって、私どもがグッドプラクティスとして参考にすべき内容が見いだせるのではないかと期待しているところでございます。

お答えになっていますでしょうか。

○高委員長 ありがとうございます。

他はよろしいでしょうか。

どうぞ、増田委員。

○増田委員 食品表示に関しては、相談現場にいますと、消費者に大変格差があって、関心が極めて高い方と全く見ない方がいます。そういう意味で言うと、今回見やすさとか分かりやすさということまでも検討したことについては、一段高いレベルの検討だと思いますので、背景や色などを変えた上で見ていただくという調査をしていただきたいと思います。

それと、まずは見るということを意識付けするような広報が大事だと思っています。まだ低レベルな話なのですけれども、そこが十分にできていないところがありますので、そこも含めて今回の調査を活用していただきたいと思っております。

○高委員長 どうぞ。

○受田委員 ありがとうございます。

この報告書の中には具体的な用語としては書き込んでおりませんけれども、部会の中で行動経済学等に基づいて、この表示に関する調査を行っていくべきではないかという提案もいただきました。また今回、十分な議論はできませんでしたが、今、増田委員からございましたように、多様な消費者に対してより一層、食品表示を活用していただく意識付けというところで普及啓発の部分は強化すべきということで、これは18ページの「おわりに」の一番最後のパラグラフの直前に一言だけ書き込んでおりまして、ある意味、十分な議論が今回の部会ではできなかった積み残しの課題であるとさせていただいております。

そういう意味で、より活用していただくということを具体的にどうすれば良いのかも検討しながら活用していく意識の高い消費者の皆様にとって、より分かりやすい表示にしていくということを、ある意味、同時に進めていかなければいけないということは十分理解をしているところでございます。

○高委員長 ありがとうございます。

大森委員、どうぞ。

○大森委員 最後に「つくる責任 つかう責任」の、SDGsのことを入れていただいたのは、どの消費者も食品というものは買うわけですから、有り難いと思うのですけれども、一方、リサイクルのためのマークは法律的に入れないといけなくなっておりますので、そういうマークは食品表示とは別に載っています。

なおかつ、最近はSDGs絡みでエコマークとかフェアトレードのマークとか、買うときに、これは消費者にとって、環境にとって良いものだというものをアピールするマークとか、いろんなマークが1つの商品の中で増えています。その選ぶマークはどんどん、バイオマスマークとか新しいマークが出て、何だろうと思うようなマークもいっぱい出てきておりまして、いろんなところにいろんなマークがあると消費者としては混乱することが多いと思いまして、このリサイクルのマークはこの辺りに、食品表示はこの辺りにこういう書き方でというすみ分けをしていただくと、消費者としては選ぶときに分かりやすいかなと思うので、その辺りもまた考慮に入れていただけたらと思います。

○受田委員 ありがとうございます。

今のSDGsの12番目の「つくる責任 つかう責任」で、ここについては部会の中でも最後のところで議論させていただきました。

あと、食品表示法に基づく一括表示以外のリサイクルのマーク等に関しても、実は部会の中で意見が聞かれておりまして、3ページの一番上、4行目のところなのですけれども、食品関連事業者等は容器包装リサイクル法に基づく表示等を行う義務に対応している。要は、一括表示以外の市場から求められる、あるいは他の省庁から義務付けられているようなマークをピクトグラム的に付していくようなところもあり、それらをトータルに考えていただきたいという意見も出されました。

したがって、今回、私どもの部会では食品表示法に基づく一括表示を議論したわけでございますけれども、それ以外の部分についても併せて検討していかなければいけない、考慮しなければいけないという点については、常に考えながら検討していったという状況でございます。

ありがとうございます。

○高委員長 私から2点ばかりお伺いしてよろしいですか。

1点は15から16ページのところに記載されている内容で、まずは、例えば安全に関わるものに情報を絞ってほしいという要求がある一方で、選択の自由を確保してほしいという、逆にたくさんの情報を提供してほしいという、相反する要求がある中で、このような報告書をまとめられて、私は大きな成果が出たと思っております。

その上で、2点ばかり確認させてもらいたいのですが、1点は、まず分かりやすさという言葉ですが、常識的に考えると、分かりやすさというのは「見やすい」という話と「理解ができる」という、この2つがあろうかと思うのですけれども、結局、理解というのは消費者一人一人によって持っている情報とか経験とか意識によって全く変わってくるという意味で、そこのところ(理解できるという側面)には、基本的に今回は手を着けずに、見やすさというところに焦点を当てて調査をすべきだという御提案をなされたのか。非常に合理的だと思っているのですが、そこを確認させていただきたいというのが1点です。

もう1点は、ウェブを用いた食品表示の可能性で、第1段階から、併用、補完、それから、すみ分けという流れで進めていくというお話なのですけれども、せっかく17ページのところに第4期の消費者基本計画の表を示していただいて、今後の予定まで組んでいただいておりますので、もちろん、第1段階が終わらないと第2段階、第3段階はどれぐらいのスケジュールでやれるのかは分からないかと思いますが、この表でもし示していただけると、大体どれぐらいのタイムスパンでお考えなのか、御説明いただけませんでしょうか。

○受田委員 ありがとうございます。

分かりやすさに関しては、見やすいということと理解しやすいということの総合的な指標になっていくという点については、この部会でもこれまでの一元化検討会の報告書を参照しながら、9ページの「(2)より良い食品表示とは」というところの真ん中辺りなのですけれども、その点を念頭に置いて検討を行ってまいりました。

最終的には、部会では視認性という言葉を使い、見やすさの観点での議論に終始いたしましたので、今、高委員長から確認がございましたように、理解しやすいという表示の内容に関しては、正に今回は深い議論をするに至りませんでした。

したがいまして、18ページの「おわりに」の真ん中辺りに、積み残した項目の一つとして「理解のしやすさ」と入れさせていただいておりますし、また、先ほど御指摘のあった17ページの表1の一番上に、この全体像を不断に議論していく、検討すべき事項のイの一番に「表示事項の情報の理解しやすさ」ということで、これは積み残している中で極めて重要であるというふうに書き残しているものでございます。

そして、2点目のスケジュール感で、特に今の御質問はウェブでの補助的情報提供に関してということかと思いますけれども、表1においては、基準年から基準年+1年の間での調査を受けて、一番下にございますように、ウェブに関する検討を具体的に2年目は議論ができるのではないかと思っております。

繰り返しになりますが、第1段階、第2段階というのは、優良事例を調べていくプロセスにおいて、現状として今、事業者の皆様がどういう形でウェブを活用しているかという実態も明らかになりますし、更にそれを消費者の方々がどれだけ活用されているかということも、こういったデジタルの情報ツールでございますので、客観的に検証ができるようになるのではないかと期待しております。そういう意味で、第1段階、第2段階に関しては、2年目にかなり踏み込んだ議論へと移行できると思っております。

ただし、第3段階については、食品表示法の改定等、いわゆる容器縛りとそれ以外の情報提供ということで、法改正等もにらみつつ議論をしていかなければいけませんので、先ほども強調いたしました、事業者の皆様の実行可能性等も含めて、解決しないといけない課題はまだ相当山積しているのではないかと思っています。そういう意味で、この第3段階というものは今の段階でスケジュールの具体化という点までは見えていないと思っております。

○高委員長 ありがとうございました。

他にございますでしょうか。

どうぞ、長田委員。

○長田委員 これから検討していくところが一応、一括表示をメインにということなのだと思うのですが、一定の要件に該当する場合の表示で、アレルゲン表示みたいなものはここにないといけないと思いますけれども、例えば原料原産地表示みたいな、東京都の条例ではウェブ上での情報提供も可とになっているものもあると思うのですが、そういうものについても同時に並行して御検討にはならず、とりあえず一括表示ということなのでしょうか。

○受田委員 ありがとうございます。

今、冒頭におっしゃられた安全性の確保に関する表示というのは、例えば優先順位を検討するにしても、容器にできるだけ消費者の皆様がすぐに認識できるようにということに対象としては使われていくものだと考えております。

一方で、例えば原料原産地表示であったり、補助的に更に情報提供する。そういうニーズがあるものに対しては、この一括表示とまた別途検討する必要もあるのではないかというコメント、御意見かと思いますけれども、部会の中でも、この原料原産地表示に関しては重量順位1位のみが義務化されている現状の中で、そもそもの議論のプロセスにおいて、重量順位2位、3位以降のものも表示してほしいという御要望が聞かれておりましたし、遺伝子組換えの議論を、部会の中でも諮問に対する答申を行いましたが、そういう中でも意見として聞かれておりました。

したがって、こういう消費者の皆様が知りたい情報、あるいは事業者の皆様が提供したい情報の中で、一括表示の中に書き込めないものを積極的に、補助的に提供することは現状でも合っていますし、是非こういう形が積極的に展開される市場というものは求められているのではないかと思っているところです。

○高委員長 よろしいですか。

他はございますでしょうか。よろしいですか。

それでは、ただいま受田部会長からかなり詳細に御説明いただきました、この「食品表示の全体像に関する報告書」でございますが、この報告書では、食品表示の全体像に関して、かなり詳細、精緻な現状の整理を行っていただきまして、課題の抽出を行い、また、それに基づいて今後の方向性等について、特に14ページ以降でございますが、適切な提言がなされていると感じました。本報告書の内容を踏まえ、消費者に、より活用される食品表示とするためにという観点から、消費者委員会としての提言を消費者担当大臣宛てに発出してはどうかと考えますが、いかがでしょうか。

ありがとうございます。

そうしましたら、事務局から提言の素案ができておりますので、お配りをお願いしたいと思います。

(提言案配付)

○高委員長 それでは、事務局から簡単に提言案の内容について説明をお願いいたします。

○消費者委員会事務局担当者 ただいま、追加資料としてお配りさせていただきました1枚紙について御説明をさせていただきます。

今し方の受田委員からの「食品表示の全体像に関する報告書」を受けてという形の副題がついておりますけれども、題名としては「食品表示の全体像に関する提言」となっております。

1.としまして、昨年5月31日の委員会からの要請がありまして、それを受けて、食品表示部会で計9回の検討が行われたこと。そして、本日になりますが、報告書の提出を受けたことを記載してございます。

2.で、委員長からもございましたとおり、適切な取りまとめが行われたという評価について記載してございます。

3.と4.で、先ほどの報告書の「おわりに」の部分と重複するところもございますけれども、表示を所管する消費者庁への要望並びに今後に対する期待について記載させていただいているところでございます。

以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

それでは、ただいま説明いただきました提言案につきまして、御意見のある方は御発言をお願いいたします。

よろしいでしょうか。

委員の皆様から特段の修正の御意見はないということでございますので、原案どおり提言を取りまとめ、消費者担当大臣宛てに本提言を発出したいと思います。

受田部会長におかれましては、本報告書の取りまとめに御尽力いただきましてありがとうございました。

○受田委員 ありがとうございました。

≪3.消費税率の引上げに伴う公共交通運賃の改定案及び北海道旅客鉄道株式会社の運賃の改定案について≫

○高委員長 次の議題は「消費税率の引上げに伴う公共交通運賃の改定案及び北海道旅客鉄道株式会社の運賃の改定案について」でございます。

本年10月1日から消費税率の引上げが予定されているところでございますが「消費税率引上げに伴う公共料金等の改定」への対応につきましては「物価担当官会議申合せ」に沿って、行うこととされております。

今般、国土交通省において、消費税率の引上げに伴う公共交通運賃の改定案及び消費税率の引上げに伴う税負担の転嫁とあわせ税負担以外の費用の変化などによる北海道旅客鉄道株式会社の運賃の改定案が検討され、物価問題に関する関係閣僚会議に付議するに当たり、8月2日付で消費者庁長官から消費者委員会宛てに意見を求める付議がなされております。これを受けて「公共料金等専門調査会」で意見の取りまとめが行われました。

本日は、公共料金等専門調査会の井手座長代理にお越しいただいております。お忙しいところ、御出席いただきましてありがとうございます。

最初に、井手座長代理から審議経過と専門調査会の意見について御説明いただきたいと思います。その後、意見交換を行った上で、消費者委員会としての意見を取りまとめたく思います。

それでは、20分程度で御説明をお願いいたします。

○公共料金等専門調査会井手座長代理 それでは、よろしくお願いいたします。

先ほど高委員長より御説明のありました経緯でございますけれども、8月6日、8月9日の2回にわたって公共料金等専門調査会において、国土交通省に対してヒアリングを行いました。それに基づいて改定案について審議を行った結果、以下のような意見を取りまとめましたので、御報告申し上げたいと思います。

今年の10月1日に予定されています消費税率の引上げに伴う公共交通運賃の改定案につきまして、総論といたしまして、以下のように取りまとめを行いました。

まず今回、バス、タクシー、それから、JR北海道を除く鉄道運賃について、改定案について意見を取りまとめました。

お手元にございます資料2-1から資料2-3が専門調査会の意見でございます。共通している点もございますので、3つまとめてお話しすることも御容赦願いたいと思います。

まず、資料2-1から資料2-3で、結論といたしまして、それぞれペーパーの1ページ目に書いてありますように、改定案の内容については、消費税の円滑かつ適正な転嫁の観点から妥当であるというふうに判断いたします。それから、更に消費者への分かりやすい丁寧な説明が事業者に対して求められる。それに努めていただきたいということでございます。

その上で、資料2-2で、タクシーでございます。これは資料にページ数を打ってございませんけれども、1ページ目のところにございますように、今回の審議対象は東京都特別区のタクシー運賃でございます。しかしながら、タクシー運賃は御承知のとおり、公定幅運賃、いわゆる上限と下限の運賃がございますので、ゾーン運賃に関する審議でございました。したがって、裏側の2ページ目を見ていただきますと、2ページ目の冒頭にございます。公定幅運賃となるゾーン運賃に関するものである。当該区域における事業者からの届け出によるタクシー運賃の動向は国土交通省が把握することが必要である。こういうふうにしております。

再び、資料2-1から資料2-3、それぞれについて、今回妥当であると判断した理由を述べております。共通している点としましては、このような公共交通運賃に関しては、非常に短期間に改定に関する審議を行うことから、ここに書いておりますけれども、理由の1番目のマルでございます。改定前の料金水準及び料金体系に著しく問題があるとは認められない場合には、108分の110を乗じた料金の設定が行われているかどうか並びに端数処理が合理的かつ明確な方法によって行われているかどうか。これを当専門調査会で検証することが適切であると考えます。

このうち、それぞれ資料2-1、資料2-2、資料2-3の2番目のマルに書いておりますけれども、国土交通省から改定前の料金水準及び料金体系は妥当であるという説明がされました。専門調査会においても、国土交通省からの説明に照らすと、改定前の料金水準及び料金体系に著しく問題があるとは認められないという結論になりました。

したがって、2番目の端数処理が合理的かつ明確に行われているかどうかという点について、判断をいたしました。この案件ごとに御説明を差し上げたいと思います。

まず、資料2-1はバス運賃の改定でございます。

バス運賃については、端数処理の方法が平成26年の増税、いわゆる5%から8%に変更されましたけれども、そのときの端数処理の方法が今回変更されております。

この点を、資料2-1の2ページ目を御覧いただきたいと思います。ここに2番目のマル、端数処理の方法についてということがございます。御承知のとおり、バスにおいては、10円単位の現金運賃と、ICカードを使った1円単位の運賃を導入する事業者がございます。このうち、10円単位の事業者に対しては四捨五入を基本として処理しております。この方針は変わりません。

一方で、ここに書いております1円単位の運賃導入事業者に対しては、基本的にはICカードを利用することはコスト的には安いということで、10円単位の料金以下になるように設定するのが基本でございます。しかしながら、前回、平成26年の増税のときには、現金運賃を四捨五入したことによってICカードの運賃が高くなるということがございます。その場合には、ICカードの運賃を切り下げる形で処理しておりました。

今回は、その処理が変更されております。つまり、ICカードにおいても正確に消費税を転嫁することで、現金運賃を切り上げることを認めることにいたしました。

この点について、専門調査会で審議がございました。ここの2番目のマルのところに3つ指摘しております。事業全体で108分の110以内の増収に収まるよう調整していること。2番目は、ICカード運賃が1円単位での正確な転嫁となっていること。3つ目は、現金運賃について、10円単位の変更とする必要があるため、一部については切上げ処理による消費税分転嫁以上の値上げとなっている場合がございます。しかしながら、これは技術上の都合で適当な代替案が示されない、できないということで、今回、やむを得ないという判断に至りました。以上の理由から、結論といたしましては妥当であるというふうに判断いたしました。

ただし、3番目に書かれております留意事項を御覧いただきます。1番目のマルにありますように、ICカードの運賃と現金運賃との間で金額あるいは引上げ幅が異なるケースがございます。したがって、利用者にとって分かりやすいものとして理解が得られるように周知の実施を徹底していくことが重要であるという留意事項を指摘しております。

2番目ですけれども、これは1円単位の運賃導入事業者について現金運賃の切上げを認めるということを先ほど申し上げました。しかしながら、これは全体で108分の110の増収に収まるように他の運賃で調整をするという考えは変わりません。基本は変わりませんが、一部の委員から、例えば小児運賃について、現在、端数切上げとなっておりますけれども、切り下げることもあっても良いのではないか。いわゆる現金運賃内で調整を行うことが現金運賃の利用者の負担あるいは消費者の保護にもつながるのではないかということで、この点も今後検討をする必要があるのではないかという意見が一部の委員からございました。

続いて、資料2-2でございます。これはタクシー運賃でございます。

タクシーについては、東京都特別区が審議の対象でございます。

これは御承知のとおり、ゾーン料金で、初乗り運賃については自動認可運賃に108分の110を乗じて、四捨五入して10単位で端数処理を行うことになっております。したがって、現在の410円が420円に改定される。

それから、加算運賃でございます。これは標準的な事業者の事業収入全体の増収率が108分の110になるように加算距離を短縮する方法で処理されております。つまり、現在237メーターで80円上がりますけれども、これを233メーターで80円と、距離を短縮することで対応するということを今回改定案として出されております。

これにつきましても、端数処理が合理的かつ明確な方法で行われているということで、国土交通省の説明によって確認されております。

ページ数を打っておりませんけれども、裏側で見ていただきますと、留意事項が書かれております。これは、タクシー運賃については、2017年に初乗り運賃が410円に切り下げられた、組み替えられたということがあります。これについて、3年以内に運賃の妥当性あるいは運送収入の状況を検証することが書かれておりますので、これについて丁寧な事後検証を行うことということを留意事項として記載いたしました。

それから、3番目は資料2-3のJR北海道を除く鉄道運賃でございます。

これについても、端数処理の問題でございます。1円単位の導入事業者に対しては、ICカード1円単位の運賃が常に「現金運賃以下」になるように。これが基本でございます。したがって、現金運賃の「切上げ」を認めつつ、全体の収入が108分の110になるように、定期運賃などで券種によって調整することが示されております。

この端数処理の方法につきましては、裏側、2ページ目を見ていただきます。ここに、2番目のマルのところに(1)から(3)が書かれております。これは以前の、平成26年2月14日の専門調査会において、検討すべき事項として挙げられております。これについて国土交通省より説明があり、これについては3番目の○にございますように(1)から(3)の内容で対応するということが専門調査会で確認いたしました。

それを踏まえて、今回の改定案は妥当であるというふうに判断いたしました。

最後に、JR北海道でございます。これについては、資料2-4を御覧いただきたいと思います。

JR北海道の運賃改定案でございますけれども、消費税値上げに伴う税負担の転嫁に合わせて、今回、経営状況の改善ということで本格的な料金改定、料金値上げを改定案として示されました。

結論といたしましては、1ページ目にありますように、本改定案は、一部の区間において運賃の値上げ幅が大きく、利用者の負担が大きいものであるが、妥当性を欠くとまでは認められない。2番目に、検討を進める上で、消費者利益の擁護・増進の観点から、後ほど示す留意事項が踏まえられるべきである。3つ目でございますけれども、国土交通省においては事後検証その他の、後ほど述べます3で指摘する留意事項についての対応状況等について、しかるべき時期に国土交通省へのヒアリングを含めた検証を行うこととしたいという結論に至りました。

時間もございませんけれども、その理由が2.のところに示されております。1ページ目から3ページ目まで、本改定案の申請に至る経緯を示しております。

簡単に申し上げますと、JR北海道は当初から非常に厳しい経営環境であった。それから、その後も人口減少している、あるいは自動車の保有率が増えている。それから、札幌圏以外では輸送密度が減少している状況。

2ページ目の一番上にございますけれども、JR北海道、JR四国、JR九州に経営安定基金というものが当初からありますが、JR北海道は6822億円の経営安定基金がございますけれども、運用益が大幅に減っております。500億円ぐらいから半分、256億円ぐらいに低下している状況がございます。

2ページ目の1番目のマルですけれども、平成8年の運賃改定以降、運賃改定をしていないという状況。他方で、早期退職あるいは効率化によって人件費を削減いたしました。一方で、収支均衡を図るために、輸送の安全確保に必要な修繕費、設備投資まで削減してしまったということで、列車事故や検査データの改ざん等、様々な問題を引き起こしており、大幅な赤字を計上するに至っております。

3つ目のところにありますけれども、そういった経営状況の中で、国土交通大臣より平成30年に監督命令を受けて、その命令に基づいて、いわゆる長期経営ビジョンを策定いたしました。その長期経営ビジョン等においては、コスト削減、増収の施策、それから、管理体制の強化というものが盛り込まれております。今回の運賃改定もその強化の取組の一つであると位置付けられております。

この運賃改定によって、4つ目のマルですが、1年度当たり約40億円の増収を図ることができる。国土交通省の説明からも、需要の見通しが適切に算定されているということでございました。

それから、今回の申請に当たってパブリックコメントあるいは公聴会を踏まえて、運輸審議会において、今年の7月25日付で答申が出されております。

3ページ目について「(2)本改定案について」が示されております。

ここで総括原価方式に基づく原価と収入を比較した場合に、収入が総括原価を超えていないことが確認されました。

2番目のマルでございます。今回の値上げについては、運賃の値上げが3割を超えるような事例もございます。一部の利用者にとって、大変負担が大きいということを指摘しております。

なぜ、こういうことが起こったのかについて、国土交通省からも説明がございました。いわゆる、ここの3ページ目の3つ目のマルで、運賃引上げに伴って運賃体系の変更が行われたため、近距離利用者等への負担が大きい上、一部の区間においては急激である。利用者への不利益が大きいことを考えると、この妥当性を検討する必要があるということでございました。

今回の値上げで、これまで近距離が優遇されてきたということで、公平に負担をするということで加算を平準化したということであります。それから、札幌を中心とする近距離圏で相当の設備投資を行っている、相当のコストがかかっていることも反映して、近距離では非常に値上げ率が大きいということになっております。

3ページ目の最後でございますけれども、値上げにも増収効果が大きいものと小さいものがある。今回の値上げは増収効果の大きな近距離を大きく引上げ、増収効果の小さな運賃の引上げを抑制する値上げだと判断いたします。これは負担が大きくなる利用者への配慮が必要なものの、JR北海道の収支を改善することが不可欠であること。

4ページ目で、増収効果のない値上げを抑制せざるを得ないこと、大幅となる値上げ運賃が並行する路線を持つ他の鉄道事業者の運賃のレベル相当にとどまること、それから、JR北海道が利用者の多い札幌圏における更なる利用者サービスのための設備投資を計画していることから、本改定案における値上げが妥当性を欠くとは認めることはできないというふうに専門調査会では判断いたしました。

したがって、結論としては、引上げに伴う運賃改定分について、事業全体として108分の110以内の増収になるように設定されていること及び端数処理が合理的かつ明確な方法により行われていることが国土交通省の説明からも確認いたしました。

最後に、4ページ目の「3.留意事項」でございます。これは先ほど申し上げましたけれども、JR北海道の長期経営ビジョンが確実に実施されるために必要な指導あるいは助言を国土交通省は行うべきである。本改定案については、近距離利用者等への負担が大きく、想定以上に利用者が減少する可能性もあることから、需要の変化について注視すべきである。

2番目の留意事項でございます。本改定案は運賃の値上げ幅が小さくないものであること及び区間において値上げ率が異なることに鑑み、運賃の改定に当たってはJR北海道は利用者の理解を得るために積極的な取組や丁寧な情報提供・説明・対話を行うべきであるという結論に至りました。

以上が私からの説明でございます。多少長くなりまして申し訳ございません。

○高委員長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの説明に関しまして、御質問、御意見がございましたら、御発言ください。

よろしいでしょうか。

特に意見はないということでございますので、専門調査会報告について、委員会としての意見案を配付させていただきます。

(意見案配付)

○高委員長 それぞれ、バス運賃、タクシー運賃、JR北海道を除く鉄道会社のそれぞれの改定、それから、JR北海道を入れたもの、それぞれ妥当である、適切であるということを記載したものを、文書として用意したものです。

この意見案について、特に御意見はございませんでしょうか。よろしいですか。

それでは、御了解いただいたということで、この意見案を消費者庁長官及び国土交通省宛てに送付したいと思います。

井手座長代理におかれましては、お忙しいところ、審議に御協力いただきましてありがとうございました。

(井手座長代理、消費者庁 退席)


≪4.閉会≫

○高委員長 本日の議題は以上となります。

最後に、事務局より今後の予定について説明をお願いいたします。

○金子参事官 次回の本会議につきましては、8月22日木曜日15時からを予定しています。詳細につきましては、委員会ホームページを御参照いただければと思います。

なお、この後、委員間打ち合わせを行いますので、委員の皆様におかれましては、委員室にお集まりいただければと思います。

以上でございます。

○高委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところ、御参集いただきましてありがとうございました。

(以上)