第296回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2019年5月23日(木)14:00~15:04

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    高委員長、池本委員長代理、受田委員、大森委員、蟹瀬委員、鹿野委員、長田委員、増田委員、山本委員
    (高委員長の「高」は、正しくは「はしごだか」)
  • 【説明者】
    消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長
  • 【事務局】
    二之宮事務局長、福島審議官、坂田参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 消費者政策推進のための専門人材の育成・確保に関する懇談会報告書について
  3. その他
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○高委員長 それでは、時間になりましたので、ただいまから第296回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

皆様、お忙しいところを御参集いただきまして、ありがとうございます。

本日は、樋口委員が御欠席となっております。

それでは、配付資料の確認につきまして、事務局よりお願いいたします。

○福島審議官 議事次第下部に配付資料を記載しております。

もし不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますようお願いいたします。

以上です。


≪2.消費者政策推進のための専門人材の育成・確保に関する懇談会報告書について≫

○高委員長 ありがとうございます。

本日の最初の議題は「消費者政策推進のための専門人材の育成・確保に関する懇談会報告書について」でございます。

消費者政策は、消費者被害が社会問題化した際の緊急時の危機対応と平時のリスク管理対応の両方を包含していることが必要でございます。また、消費者問題等への政策的な対応を考えるに当たっては、経済社会に対する規制の直接的な影響だけでなく、間接的な影響についても利害関係者間で認識が共有される必要がございます。さらに、世界的にSDGsへの取組などが注目される中で、様々な消費者政策に対応し得る消費者政策体系の構築に先行的に取り組んでいくことも求められております。

このような認識の下、消費者庁において、消費者問題が複雑化・多様化していく中で、地方消費者行政の充実・強化を始めとする消費者政策の推進のための専門人材の育成・確保の在り方について検討を行うため、昨年10月から有識者による懇談会を5回にわたって開催し、本年4月に取りまとめを行ったということでございます。

本日は、その報告書の内容について、消費者庁より御説明いただき、意見交換を行いたく思います。

本日は、消費者庁の尾原消費者教育・地方協力課長にお越しいただいております。

お忙しいところ御出席をいただきまして、ありがとうございます。

それでは、恐縮でございますが、20分程度で報告書の内容の説明をお願いいたします。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 消費者庁の消費者教育・地方協力課長の尾原でございます。この度はこのような御説明の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

本日、事前に登録させていただいております「消費者政策推進のための専門人材の育成・確保に関する懇談会報告書」、それから概要の2種類がお手元にあるかと思います。本日は説明を20分いただいておりますので、本体に基づいて御説明させていただきます。

表紙をおめくりいただきますと、左側のところに目次がございます。まず、「はじめに」の問題意識のところは、今、高先生から御紹介いただいたとおりでございます。その中で、1.から5.まで書いております。まず初めに、全体の報告書の構成について御説明いたします。

初めに、消費者政策の領域と身につけるべき基礎理論についてまとめております。

続きまして、本報告書が対象とする消費者政策の担い手というのはどういう方が考えられるかについてまとめたのが2ポツ目でございます。

では、その担い手の方々がどのような場で学ぶのが望ましいのかについて議論したのが3ポツ目のところでございます。

また、そういう形で担い手の方々が学んだ後に、要は消費者政策を学んだ人たちがどういうところで活躍するのかを整理したのが4ポツでございます。

それから、議論が学んだ人というところから消費者政策の研究機能の強化というところで、では、消費者政策というものの専門人材を育成するためには、恒常的な研究機能、研究者の育成をどうするかをまとめたのが5ポツでございます。

最後に、1から5までの議論を踏まえまして、消費者庁に対して、本懇談会の先生方からどういうことを具体的な方策として頑張るべきかについてまとめていただいたのが「おわりに~消費者政策推進のための人材育成・確保に向けた具体的方策~」のところでございます。

本懇談会は、全部で5回開催しております。そのうちの2回は外部の有識者の方からもヒアリングをさせていただいておりますし、また、本懇談会は地方公共団体の皆様、あるいは消費者団体の皆様、経済団体の皆様、また学識経験者の皆様に入っていただきまして、毎回、活発な御議論をいただいたところで取りまとめていただいたものでございます。

また、本報告書の使い方でございますけれども、本報告書はこれで出口というより、むしろこの報告書において基本的な方向性を示したというところで、これを受け取った事務局としての消費者庁としては、この提言をいただいたところに沿って今後具体的にできるものからどんどん進めていきたいというところになっております。ですので、これでゴールではなくて、むしろこれを実際の消費者政策、特に消費者庁に対する提言部分についてはどう実装化するかというところが大変重要だと思っております。

それでは、内容について御説明させていただきます。

まず、本文でございます。2ページ目、「1.消費者政策の領域と身に付けるべき基礎理論について」でございます。先ほど、高先生から御紹介いただきましたように、消費者問題は本当に問題が複雑化・多様化しております。また、扱うべき領域も、それこそ一昔前、二昔前の各地の現場の相談者の皆様から、苦情相談、またあっせんをするというところから、この10年、消費者庁ができてからの動きを見ても、例えば消費者教育推進法が成立していることを踏まえて、消費生活センターが相談の対応の現場というだけではなくて、消費者教育の拠点としての役割も十分担っていく必要がある。

さらに、来週の月曜日が消費者月間のうちの消費者月間シンポジウムでございますけれども、昨年度に引き続きましてSDGsをテーマに挙げております。消費者政策でSDGsというところの関係で、初めて聞いた人はどう関係するのかなと思われるかもしれませんけれども、今、あらゆる分野において共通言語化としてSDGsの考え方、その枠組みで考えるとどういうふうにするか、特にゴールが明確に示されているところもございます。

その中で、消費者問題というのは、消費生活において消費者と事業者の方の間で起こるというところでありますから、その中で消費者政策も当然SDGsの枠組みの中でどう考えるか。その中には、いわゆる従来型の消費者問題だけではなくて、持続可能な消費者の在り方をどう考えるか。さらには、サステナブルな社会を創っていくにはどうしたら良いか。それから、消費者市民社会という考え方ですね。その中で、我々としてはエシカル消費なども進めているという状況でございます。

こう言っていきますと、そもそも消費者政策が扱う領域は何なのか、一度整理する必要があるのではないかというところでまとめたのが1ポツのところでございます。

今、申し上げたように、それこそ分野が広くなってきている中で現状はどうなっているかというと、3ページ目の最後の段落でございます。「これらは」で始まるところ、「これらは、法学分野における『消費者法』、『競争法』、『法社会学』、『法哲学』、教育分野における『消費者教育』のほか、経済学分野における行動経済学、『競争政策』や商学・経営学分野における『マーケティング論』、『消費者行動論』などの各々の分野で独立して存在しているもの、『消費者政策』という切り口で見た際に、体系的に整理されているとは言い難い」、ここが我々は課題だと思っています。体系的に整理されていないので、次の文章で、「このような状況下において、消費者政策を総合的に学んだ者の育成が困難となっている」というところが課題かなと思っております。

続いて、「2.消費者政策の担い手について」のところでは、専門人材を育成するに当たって、どういう方が消費政策の担い手なのかというところを整理したところです。といいますのは、我々が専門人材を育成しようという議論をし始めたときに、委員間においてイメージされる担い手が必ずしもフォーカスされていなかったというところがございました。ですので、事務方としては、先生方の御議論を踏まえて3つに分けております。

具体的にどういうところかというと、5ページ目でございます。名称はセンスがあるかどうはさておき、(1)は「初任者ケース」ということで、人事異動などによってたまたま国及び地方公共団体の消費者行政部局に来てしまった、あるいは企業の消費者関連部局に初めて配属された。配属されたけれども、一通り消費政策の知識を学ぶ必要に迫られた方を想定しました。そういうことで、「初任者ケース」と名付けております。

(2)は、国・地方公共団体のコアになる方々です。本当に消費者政策の企画・立案を担っていただく方、あるいは企業の経営部門で、消費者政策で一緒に連携いただくときにコアになっていただける方々、経営者層も含めての方々です。どういう方かというと、ローマ字のT字型を見ていただくと、横棒のところが幅広に全体を見られる人、Tの縦棒のところは専門性を持っている、いわゆるT字型の人材が担い手として想定されるのではないか。これが2つ目として我々が想定した方々です。

(3)は、そういう人材を育てていくためには、初任者ケースの方あるいはT字型人材の方を育成できる方、あるいは継続的に研究を続けていただける方ということで、「研究者・教育者ケース」というのを3つ目のケースとして整理をいたしました。

その認識の下に、消費者政策を学ぶ場の提供としてどういうところが考えられるかについて整理したのが3ポツです。それぞれ3ケースに分けて記述をしております。

(1)の初任者ケースでございます。どういうことが学ぶ場と考えられるかというところで、6ページ目の<対応策>というところがあるかと思います。このポツごとでポイントだけ御説明させていただくと、初めのところは研修は大事ですよねということで、特に初任者の方が一通り基礎を学べるような研修の場が必要です。物理的な要因あるいは時間的な確保がなかなか難しい職員の方々に向けては、オンデマンドとか、いわゆるIT技術を使ってプログラムの配信なども考えられるのではないかと対応案を考えたのが1ポツ目でございます。

それから、対応策の3つ目として、地方公共団体の方々がまずは消費生活センターの相談員の現場を体験することも大事なのではないか。現場を体験できるようなことを初任者の研修の中に入れるのも大事なのではないかとまとめております。

6ページの最後のポツで、次ページに続くところですけれども、既存の資格制度の活用というのがございます。資格を取るためには学ぶ必要がございます。資格の取得を通じて、人材育成も有効ではないかというのをまとめております。

7ページ目、これは初任者に限らないのですけれども、消費者庁の役割としては、人材育成の拠点としての役割も期待されているのではないかということで、インターンや研究者等を受け入れるとともに、今まで以上の職員の人事交流を積極的に行うことが必要であるとまとめております。

7ページ目の最後のポツです。ライフイベント等で一度離職された方がまた新しい業務に復職される方、あるいはキャリア形成の観点から、大学院とか専門のところで1年、2年学ぶわけではなくて、例えば短期プログラム等で消費者政策を学んでいただく。そういう形で、学ぶことによって一通り知識をつけていただくというのも十分期待されるのかなと考えております。

7ページ目の(2)のT字型人材コースのところでございます。ここは、初めのところにもありましたけれども、各分野はそれぞれ専門の分野はあるわけですけれども、消費者政策という切り口で一通り学べるような学ぶ場がないというところが今課題だと思っております。

そのためにどうしたら良いかというところで、8ページ以降の対応策になるのですけれども、具体的に書いてあるところが9ページ目でございます。

現状、消費者政策を一通り学ぶ、特に大学院レベルでいくとなかなか難しいから、そういうところがこれまでなかったということもあるので、9ページ目の初めのポツのところ、「大学がそうした役割を果たす際には」で始まるところでございます。「大学がそうした役割を果たす際には、公開講座や履修プログラムの提供等を通じた人材育成の実践、さらには、修士課程や専門職学位課程等において消費者政策の中核を担う人材が育成されること等が期待される」と。

また、次のポツでございます。こういうのがあると良いと思う反面、そうは言っても全国各地にとなると、単独の大学だけで消費者政策の専門人材を学ぶところを1カ所で作るというのがなかなか難しいというときに、例えば複数の大学が連携いたしまして教育プログラムを開発し、提供することも考えられる。その際、遠隔授業とか、あるいはオンデマンド教材の活用によって、住んでいる地域によって学ぶ機会が制約されない環境作りも重要なのではないかとまとめております。

次のポツで、大学がそういう取組をしているときに消費者庁がどういうことができるかというところで、今、御覧になっている9ページ目の最後のポツの真ん中辺りですけれども、今後、消費者庁と連携したモデルとなる大学院を全国に数カ所置くことによって、消費者政策の専門人材の育成拠点として継続的な取組を促進することが期待されるというふうにしております。

以上が(2)のT字型人材のところでございます。

(3)研究者・教育者ケースについては10ページです。真ん中辺りにある<対応策>のところですけれども、そういう研究者・教育者の方の学ぶ場というところになってくると、まずは消費者政策に関する関係学会と消費者庁との連携を強化することが重要ではないかと。また、それだけではなくて継続的な研究を行うためには、公的機関における専門研究機関の整備等が必要になってくると整理をしております。

以上が学ぶ場のところでございます。

続いて、「4.消費者政策を学んだ者の『活躍の場』の検討」でございます。これについては、ページが飛びますけれども、12ページを御覧ください。消費者政策を学んだ方というのも、これも人によって議論があるかと思います。ここの報告書で基本的に想定しているのは、社会人で、例えば国や地方公共団体で働いていらっしゃる、あるいは企業で働いている方がもう一度学び直しで大学院に行く、あるいは資格取得ための勉強をするというのを考えています。ただ、そこに限定されるわけではなくて、若いうちから学んだ人が学生のうちから消費者政策の専門家になっていくというケースも考えられます。あらゆるパターンはあるかと思うのですけれども、中心となって考えられているのは、今、実際に取り組んでいらっしゃる方々の活躍の場という観点からまとめております。それが12ページ以降のところでございます。

行政のところにおいては、これだけ政策課題が広がる中で活躍いただくためには、12ページの2ポツ目のところでいくと、「このような要請に応えるためには」というところで、消費者生活に関する一般的知識を備えることが必要であるというだけではなくて、後半部分、5行目の「加えて」で始まるところですけれども、「加えて、常勤・非常勤にかかわらずこうした専門的知見を備えた者を評価し、地域の消費者政策の総合的な企画・立案に携わる機会を増加させ、適切な処遇を行うことが求められる。さらには、指導的立場として消費者政策の企画・立案を行う者の育成を想定したキャリア形成、人材登用を行うことも重要となる」とまとめております。

続いて、13ページでございます。企業のところの活躍の場でございます。もちろん、既に取り組んでいらっしゃるところは多いかと思います。特にサステナブル経営というのは、それぞれ企業は取り組んでいらっしゃるかと思うのですけれども、こういう発想で消費政策を学んだ人が活躍いただくことによって企業全体にとってもプラスになるということでありまして、特に2ポツ目のところでございます。「消費者政策を学んだ者や消費者志向経営(サステナブル経営)の視点を持った者が活躍することは、顧客価値の増大、企業価値の増大につながるものと考えられ、企業の公正で持続可能な成長や、国際目標であるSDGsの達成に資するものである」とまとめております。

また、活躍の場として、13ページの(消費者団体、NPO等)というところで、消費者政策の推進に当たっては、適格消費者団体あるいは消費者団体の皆様において活躍いただく。さらには、そこの3つ目のポツですけれども、「ネット社会の拡大により」でまとめているところですけれども、「ネット社会の拡大により情報発信の制約が解消される中で、消費者の埋もれがちな声を発信したり、消費者に役立つ情報を届けたりする担い手として、消費者政策を学んだ者が組織に所属せずに活躍する場も考えられる」ということで、従来の消費者団体の活動にとどまらず、個人でも消費者政策を学んだ人が情報発信するという機会もあるのではないかとまとめております。

最後でございます。「5.消費者政策の研究機能の強化」というところで、14ページ目の「今後」で始まるところです。「今後、長期的な視野で消費者政策を強化するためには、企画・研究機能を充実させていくことが必須である。また、政府においては、証拠に基づく政策形成(EBPM)の推進を求められているところであり、エビデンスとなるデータの収集方法や政策の効果測定の手法の検証など、研究者と連携した政策立案機能の充実を図るべきである」と。

理論と実際の政策の架け渡しをするような研究をするために、まずデータの構築とか、実証研究、理論研究の3つが重要ではあるのですけれども、現状はそういう研究機関を消費者庁も含めて設置していないこともあって、継続的な調査あるいはデータ構築が十分になされていない。それで分析が困難になっているところもございます。

その際の留意点としては、研究テーマ、特に理論と政策の架け渡しとなる研究機関の姿を考えたときの留意点としては、現実の政策に結び付くことが重要であるというだけではなくて、14ページの脚注の13ですけれども、実用性確保に留意しつつも、行政による研究成果の恣意的な利用を排除するなど、学問の独立性・自由の確保の観点からの配慮が必要である。これは、行政に近いところに置いた研究機関が十分な成果を出すためには独立性も担保する必要があるというところを留意点として書いております。

以上が全体の流れでございます。

最後、「おわりに」のところで、特に懇談会の先生方からいただいた提言をまとめたものが15ページのところでございます。これは懇談会から消費者庁に対して、こういうような具体的な方策を進めるべきであると。特に、委員の先生方から、まとめて最後というわけではなくて、消費者庁がペーパーでまとめるだけではなくて、今後、実装化してなんぼというところがあるから、そこは頑張ってくださいというエールもいただいておりますものですから、どういう具体的な提言かを御説明させていただきます。

大きく分けて3つあるかと思います。1つは(1)のところでございます。特に、研修機会の確保等です。更なる研修の充実や研修機会の確保策、またオンデマンドの活用などによってというところがありますし、既存の資格取得を通じた人材育成というのが1番目でございます。

2番目は学びの場ということで、(2)に書いてあるようなところでございます。消費者庁が人材育成に取り組む大学と連携して、モデルとなる学びの場を全国に数カ所置くことを目指すべきであると。その際には、オンデマンド型の教材などを活用して、住む地域によって学ぶ機会が制約されないような環境作りも大事であるとまとめています。

3つ目は(5)でございます。消費者庁は、消費者政策に係る研究者ネットワークの構築や関係学会等との連携強化、また公的な研究機関の設置等に関する企画・研究機能の強化を図るべきであるとまとめております。

それを踏まえて、(5)の最後のところですけれども、消費者庁における研究機関の設置を含め公的な研究機関の設置に係る検討をすべきであるというふうな具体的な方策をいただいております。

今回の報告書は、これで最後、出口というよりは、これが正に基本的な方針になりまして、これに基づいて我々は今後具体的にできることから作業を進めていきたいと考えております。

駆け足になりましたけれども、冒頭の説明は以上にさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○高委員長 ありがとうございました。

ただいまの説明に関しまして、御意見、御質問がございましたら御発言ください。

どうぞ、長田委員。

○長田委員 意見なのですけれども、自治体の初任者の方々への研修というのは、標準的に具体的な教材やコンテンツを消費者庁や国民生活センターで多分お作りにならなければいけないのだろうと思うのですけれども、消費者庁の前身の経済企画庁国民生活局時代、文科省と一緒に立ち上げた消費者教育支援センターという組織があります。ああいうところの知見をいかしてコンテンツ作りをしていくというような、何か早速是非始めていただいて、それを皆が一緒に使えれば話も早いのではないかと。すごく忙しい消費者庁や国民生活センターに今すぐそれをプラスしていくというよりは、そういう考え方もあるのではないかと思いました。

以上です。

○高委員長 ありがとうございます。御提言をいただきましたが、いかがでしょうか。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 ありがとうございます。

教材作りは、別に内製化しなくても、今、お名前が挙がった団体だけではなくて、例えば全相協もあれば、NACSもあるかと思います。様々な団体や御知見がある方々とも連携しながらどういうふうに作っていくかというのは、我々は今後検討していきたいと思っています。

委員から御指摘のあったように、我々は今後、職員向けの研修に本当に力を入れていきたいなと思っているところでございます。

○高委員長 ありがとうございました。

どうぞ、池本委員長代理。

○池本委員長代理 今回の取りまとめ報告書は、消費者庁10年で、これまでは消費生活センターの設置や消費生活相談員の資質向上に力点が置かれて、ようやくというか、いよいよというか、職員の資質向上というところを本格的に取り組んでいただけるということで、非常に強い期待を持っています。

今回の報告書全体を読ませていただいて、2番目、3番目、T字型人材や研究者というところの大学、大学院との連携という辺りは、かなり踏み込んだ、しっかりとした提言になっていると思うのですが、今、一番切実なニーズで言うと、地方での初任者研修がまだまだ不十分だというところがあります。どちらかというと、多くの自治体は、相談員研修へ職員もどうぞ参加してくださいということで済ませているところが決して少なくないと思います。

是非とも、例えば地方消費者行政強化作戦の政策目標の中に、職員の研修受講の100%達成とか、あるいは各都道府県が必ず初任者研修を実施する。もちろん国民生活センターでまずどういうものをやるかというのを実施して、発信して、あるいはオンデマンドを使って、一堂に会さなくても時間を割いてそれを見ることができるようにすることも重要ですが、やはり各都道府県がリーダーシップを持って管内市町村に対しての研修機会を設けるということも、具体的な施策目標として掲げて推進していただきたいと思います。

以上です。

○高委員長 よろしいですか。お願いします。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 池本先生、ありがとうございます。

今回の専門人材のものは、どちらかというと基本的な方針を示して、今、池本先生から御意見をいただきました強化作戦につきましては、今年度が消費者基本計画の対象年限と同じになっています。今年度が最終年度になります。次の5年をどうするかという新しい懇談会を我々も一昨日、火曜日にちょうど立ち上げたところでございます。

我々は新しい懇談会で、具体的に新しい強化作戦の目標をどうするかを今度は考えていきたいと思います。そのための材料として、今回出させていただいた、やはり研修は大事だよねというところをどう具体的に数値に入れていくか。その辺りを我々としてもしっかり議論していきたいと思っております。

○高委員長 ありがとうございました。

どうぞ、増田委員。

○増田委員 消費者政策に関して、具体的なイメージできるようなものということでまとめていただいたことについては有り難いと思っております。ありがとうございます。

そして、今、池本先生がおっしゃったように、これは幾つかのレベルがあると思いますが、同時並行的にやるというよりは、やはり緊急に必要なことに重点を置いていただきたいので、初任者研修はまずは率先してやっていただきたいと思います。

それから、学んだ方で現場に戻ってくる方がいらっしゃるのかどうか、行ってしまってそのままという方が実は多いのではないかと、今までの私の感触としてあります。ですから、研究者として行ってしまい、そのまま現場に戻ってきていただかないと、やはり地方消費者行政には反映がされないということになりますので、戻ってきたいと思うような仕組みであったり、制度であったり、報われるようなものであったり、評価されるようなものであったりしてほしいと思います。

誰が評価するのかといったら、自治体内部の人が評価するのと同時に、社会的に評価されなくてはいけないのですが、その辺りが具体にわからないので、今後のことかなと思いますけれども、是非その辺りを目に見えるような形にしていただきたいと思います。

そういう意味では、12ページの黒丸2つ目の、「加えて」と先ほど課長がおっしゃっていただいた部分ですが、「評価し、適切な処遇を行うことが重要である。」ここが手当てされないと、この実現がなされないのではないかと思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。

○高委員長 何か検討していることがあれば、お願いできますか。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 我々としては、一般論的な話をさせていただくと、まずは外の人に消費生活センターの存在とか重要性を知っていただくというのが大事だと思っています。現場で働く消費生活相談員の専門性の重要性については、我々も機会を見ながら、引き続き継続的にその重要性については御理解が賜れるように自治体には働き掛けていきたいと思っております。

○高委員長 では、蟹瀬委員。

○蟹瀬委員 方向性について大変よくまとめていただいて、ありがとうございます。私からは2点意見を言わせていただきます。

1点目は、大学についてですが、実は、3ページの「体系的に整理をされているとは言い難い」、そのとおりなのですね。それで、新しい志向の大学は、例えば国際的にビジネスが始まって、学ばなければいけないとなると、新しい学部を作って国際ビジネス学科と呼んで学科をどんどん増やしていき、それに焦点を合わせて科目を組み立てていくというのをやっています。

ですので、どこかの大学に働き掛けて、できれば消費者志向経営という形の学部みたいなものを、作っていただければと思います。消費者関連の問題というのは、どうしても経営よりも下に置かれていて、経営とかマーケティングに大学生は集中するのですけれども、消費者問題というと何かというのがきっとわからないのだと思うのですね。ですから、その辺りをもう少しわかりやすく整理されて、どこかの大学の学生数の多いところで作っていただけると、良いかなと思います。

消費者志向経営で、経営と、消費者心理と消費者行動を同時に学ぶ、既にやっていらっしゃるところもあるかもしれないですけれども、そんな風に今後大学それでやっていただけると良いかなというのが一つ目の意見です。

二つ目ですが、今度は企業側ですが、13ページに書いてあります。私は企業の中に長い間おりますけれども、どうしてもお客様相談部門といいますと問題解決型が多いのですね。そこが提案型になかなかなっていかないというのがあります。ですので、どちらかというと、国際基準に合わせていくならば、役員、取締役たちがどんどん、例えばCEOといっている人たちがいたかと思うと、今度はCOOが出てきて、それからコンピューターのエンジニアリングを専門にする人たちが出てきてと、世界基準に合わせてどんどん担当が増えているわけですね。ですから、CCO、チーフ・オブ・コンシューマーズ・オフィサーでも良いので、そういうのを作っていただいて、その方は消費者志向経営とは何かというのをいつも見ながら全社に提案していく。そういう人たちを増やしていくという働き掛けを企業にしていってもらえるといいかなと思います。是非消費者庁で進めていただいて、文科省などにも働き掛けていただいて、大学にこういう講座をほしいと、企業にはこんな担当役員を増やしてほしいと言っていただければ、もっと立体的になるかなと思いますので、よろしくお願いいたします。

○高委員長 ありがとうございました。2点意見をいただきましたけれども、いかがですか。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 貴重な御意見をありがとうございます。

まず、初めの大学のところは、あると良いというところから一歩進めて、我々も是非大学とも具体的に連携をさせていただいて、我々で協力できるところは、ソフト面で例えば教材開発とか、あるいは人的なところで御協力は何かできないかという話を個別にやっていきたいと思っております。

また、特に企業の役員のところで、コンシューマーに対するチーフが要るという働き掛けというか、そういう概念の御提案もできるような、先生からおっしゃっていただいた、課題解決だけではなくて問題提起ができるような役所に我々もなっていきたいと思います。

○高委員長 まず、鹿野委員、どうぞ。

○鹿野委員 どうもありがとうございます。

3つのグループに分けて、それぞれの違いに応じて今後の方向性についてまとめていただきました。これから具体化というか、実質化していくということでしたので、是非頑張っていただければと思っています。

私からは、2点ないし3点申し上げたいと思います。1つは、これも既に御発言があったところですけれども、この3つのグループの中でも初任者ケースは非常に今手薄で、重要なところだと思います。特に、地方において相談員の方々が頑張っても、行政の方に理解があるかどうかで大分違ってくるという話も聞きますし、その理解を深めていただくということが重要です。行政においては人事異動もかなり頻繁にあるという事情もあるようなのですが、今まで違う部署にいた人が新しく来られたというときにも、最低限これだけはちゃんと学んでください、理解してくださいということをきっちりと示して底上げするということは重要だと思います。その際、教材を与えるだけではなくて、より具体的な目で見えるような目標値を設定していただければと思っております。また、先ほどオンデマンドとかも利用するという御説明がありました。地域によっては、研修に参加するのに距離的な問題とか時間的な問題で困難がある場合もあるでしょうから、多様な地域や事情の人々により取組やすいような工夫をしていただければと思っております。

第2点としましては、学んでもらうということなのですが、ここにも書かれていますように、学びということと活躍できる場の保証というのは表裏一体の関係にあると思われ、学ぶことのインセンティブを高めることが重要です。学ぶとそれを使ってちゃんと活躍できる場があるのだということであれば、より積極的に学ぶ人も多くなるであろうし、それがうまい循環を創り出していくということになると思いますので、是非その点を工夫していただければと思います。

特に、企業についても、消費者庁でより積極的に、消費者志向経営の重要性ということと、最低でもこういうところにそのような学びをした方々がいらっしゃることが必要なのだということを繰り返し呼びかけていただければと思います。

3点目としましては、先ほどの3つのグループのところに戻りますが、3番目の高度な研究者の育成、あるいは研究機関というところについても期待するところが大きいです。消費者問題というのは、ここにも書いてありますように、非常に学際的な色彩が強いと思いますが、例えば私は民事法をやっている者ですけれども、法律分野についてはいろいろと情報交換があったりするのですが、他の分野の知見というところについては、それを相互に情報交換をしたり、それを活かして更に先のものを考えていくということが、従来は薄かったと思います。今は大分変わってきているところもあるのですが、従来型の大学ではなかなかやりにくいところもありました。

特に、具体的な立法を考える際にも、例えば民事法的なルールを改正していこうというようなことを考える際にも、それを説得するだけの法政策的な議論が弱かったように思います。従来の法学部ないし法学の大学院はどちらかというと解釈論を中心にしてきたというところもあって、法政策学的なところ、特にいろいろな分野の知見を総合して立法政策を検討するという手法が比較的弱かったように自覚しているところでございます。そういうところも含めて、このような機関が生まれ、そこで人材が育成されるということを強く期待しているところです。

以上です。

○高委員長 3点いただきましたけれども、どうぞ。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 ありがとうございます。

3つのうちまず1個、やはり研修は大事ということで、強化作戦は、新しい懇談会をキックオフをしたところですけれども、重要な視点だというふうに所掌の事務方としては考えているところでございます。

2番目、特に企業において、SDGsみたいな、サステナブル経営みたいな考え方が広く浸透するように我々も働き掛けをしていく。御理解いただくというだけではなくて、企業だってもうこれは必須だというところまでコミュニケーションができればなと思っております。

3つ目の研究機関のところは、消費者庁ができて10年たつわけですけれども、一番手がついてこなかった分野かなと、私は個人的には思っております。人材育成をするにも、まずは研究機関というのをどう考えたら良いかというところを今後議論していく必要があるのかなと思っております。この辺りは、それこそできるところから、また、緊急性なども含めながら、我々もしっかり取り組んでいければと思っております。

○高委員長 どうぞ。

○鹿野委員 一言だけ。これはお答えをいただくというところではないのですが、先ほど言おうと思っていて言い忘れましたが、消費者分野は変化が大きな分野ですから、是非リカレント教育にも力を入れていただければと思います。

○高委員長 ありがとうございます。

大森委員、お願いします。

○大森委員 人を育てるというのはなかなか成果が出ないので、議論をしていただいたり、報告書をまとめてもらうことが少ないので、とても大切なことをやっていただいて、本当に感謝しています。

この話の中で、専門家、核になる人を育てるということと、地域の担い手を増やすという大きな2つの目標があるかなと思ったのですけれども、地域の担い手を増やすほうに関しては今回のアイデアは本当にすばらしいと思うのです。会社勤めが終わった方などなんかは、会社に勤めていた時間と同じぐらい退職してから時間があるわけで、会社勤めのときに得られた専門的な知識とか社会経験をいかして、ちょっと専門的な消費者教育の勉強をするとすごい活躍の担い手になるのではないかと思います。その辺りのアイデアはとても良いと思ったのです。

ただ、学びの場を与えるだけではなくて、活躍の場を与えるというお話がありまして、全くそのとおりだと思うのですけれども、そこに金銭的な評価を加えていただきたいと思います。ボランティアでやってくださいということになるとお互いに無責任になるし、すべてボランティアでは持ち出しばかりになるので、地方も国も予算がないのは分かっておりますが、やはり何らかの形で金銭的な評価も必要だと思います。

あと、専門家、核になる人を育てていくというところですけれども、行政の消費生活センターのセンター長などもぐるぐる異動で、財政から来たり、全然関係のないところから来て、こういうふうな初任者研修を受けたとしても、また1、2年でどこかに異動ということで、知識の定着とか核になる人が育つというところまでなかなか行けないと思います。

今回の議論の中で欠けていて残念だなと思うのは、若い人を育てる部分が欠落しているなと思いました。大学で消費者教育なんかを熱心にやっている方も結構いるのです。ところが、相談員になっても食べていけないと言って、企業に就職するという人が結構いて、もったいないなと思っています。

相談員も国家資格になりましたので、センター長はその相談員の国家資格のある人がなるとか、消費者教育をしっかり若いときから勉強した人は、審議会とかにどんどん企業や地域から出るようなルートを作るとか、そういう道でもしっかり食べていけるようなシステムを構築していただきたいと思います。

以上です。

○高委員長 ありがとうございます。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 コメントありがとうございます。

特に、人が内部で評価される仕組みというのは、我々も引き続き消費者政策で専門性をいかしてというところは短期的なのですが、やはり長期的には、まずはその中で今働いていらっしゃる方が専門性を活かして、特に消費者政策に関心のある方がどんどん活躍いただくと、その役所内、組織内における評価は上がっていくと思います。これは企業でも同じだと思うのです。今まで以上に消費者志向経営とかサステナブル経営の重要性が増す中で、専門的な知見を有した方が活躍いただくとそういう道が開けてくる。そういうのが、迂回経路になるかもしれませんが、まずはそこから人が育つような環境作りをする中で、最終的には社内あるいは組織内における地位を高めていって、きちっとキャリア形成ができるというところに、時間軸でいくと大分先の話になるかもしれませんけれども、一歩一歩やっていくのが大事かなと思っております。

○高委員長 ありがとうございました。

どうぞ、受田委員。

○受田委員 履修証明の話が何カ所か出てきます。この履修証明の捉え方をどう考えておられるかを伺いたいというのが質問なのです。もともと履修証明制度というのは、御存じのとおり、再チャレンジの趣旨でジョブカードにひもづける、ある意味サーティフィケートとして誕生したものです。

当初は、約10年前ですけれども、大学等が一定のプログラムを120時間以上提供したときにサーティフィケートを出せるということで始まりました。ところが、今、リカレント教育とか人生100年時代を迎えて国が方向性を変えまして、120時間を60時間以上に時間数を下げました。60時間というと、大学の世界で言えば2単位ぐらいです。それで専門的な人材と言えるのかどうか。

また、ここでの履修証明というのは、特に既設の大学院等というふうに条件といいますか、前提を設けているところから見ると、何となく専門家養成という文脈とは乖離しつつあるのではないかと私自身は感じるのです。伺いたいのは、履修証明をどういうふうに捉えたのか。

また、履修証明が目的になると、はっきり言って、ジョブカードの制度自体が誕生したときの雰囲気とは違ってきているので、もう少しサーティフィケート自体を国民にしっかり周知を図ると同時に、専門的なあかしにしつらえるのだという基盤構築までここに盛り込むべきではないかなと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 ありがとうございます。

まず、この報告書自体でいくと、これが出口というよりはこういう方向性でというところでまとめております。

その上で、受田先生がおっしゃったように、どのところでイメージされていますかというと、いわゆるT字型人材のところというよりは、まず初めの初任者ケースみたいなところで、大学院に行かないまでも、キャリア形成の観点からまずは基礎的なところを学んでいただくというところがあるのではないか。

私は、どちらかというと、日本の制度よりはサーティフィケート・プログラムがアメリカの場合だと一般的だと思うのです。私は個人的には余り日本のというよりは、大学院は出なくても、大学院のこのプログラムの修了証は出すことにより求職者の質を確保するような、そういう正に学びとして使われているようなイメージでいました。日本の教育がどうあるべきというところまでは、私の私見ではその辺りは意識していなかったというところがございます。その上で、消費者庁で何ができるかというところは、またいろいろ考えていきたいと思っております。

○高委員長 山本委員、ありますか。

○山本委員 研究機能のことについてだけ、一言コメントを申し上げます。

今回、例えば14ページの部分で、研究機関を作るといったようなことも一つの選択肢であるという、かなり踏み込んだ提言をされておりますし、10ページのところでは消費者政策学会の設立といったような指摘もされていて、確かに消費者という視点を研究の分野に入れていくためにこういった形を整えることは非常に重要であると思います。

他方で、それが長期的に発展をしていくためには、基礎的な研究、もう少し一般的な研究をしている有力な研究者と常にコンタクトをとっていくということが非常に重要で、それがないと、結局、その中だけで縮こまったことしかやらないということになりかねないと思います。

そういう観点から言うと、幅広く、広い裾野の研究者に面白いと思っていただかないと、研究者というのは研究しようと思わないのですね。そうすると、前提として、消費者庁等で、これは消費者委員会もそうなのかもしれませんけれども、積極的に必要な情報を提供していくということと、それから常に幅広い問題意識を持ってそれを提示できるようにしていくことが必要なのではないかと思います。

そういう意味では、これは消費者庁あるいは消費者委員会の意識の問題まで含めた根本的な問題提起をされていると思いまして、その点は非常に重要ですので、一言コメントいたしました。

○高委員長 ありがとうございました。

他はよろしいでしょうか。池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 もう一点、少し大きな話にもなるかもしれませんが、人材育成で職員研修の場を設け、履修プログラムを整備して提供する。それによって、これを学んでみようという人が一生懸命できる機会を提供する。ただ、職員は、特に市町村の職員になると、ほとんどが兼務、兼務で、消費者行政のことに時間を割こう、あるいは勉強してみようというふうになかなかなり切れないのではないかということを一番危惧しています。

その意味では、国では消費者庁を創るときに、明治以来の行政の役割の転換という大きな議論をして消費者庁ができ、消費者委員会も創られたわけですが、地方自治体でも暮らしの安心・安全を担う消費者行政が重要なのだということを幹部に知ってもらわなければいけない。そのためにどうするかということも含めて、消費者庁の中でも検討していただく必要があると思います。

手近なところで言うと、初任者研修とは別に、例えば課長クラスが都道府県で年に1から2回会合があると聞いています。私も参加させていただいたことがあるのですが、いろいろな課題があるので、国からこれについてこういうのがありますという資料をいっぱい積んで、それぞれ10分か15分説明してこなしていくという感じなのですが、そこへもう一つ、消費者行政の在り方についての研修のこまを入れ込むとか、あるいは、これも更に大きな話になりますが、地方自治体の中で消費者行政の位置付けも考えてもらうこと。これまでは、どちらかというと、産業振興とか商工・観光課の中の消費生活係というものがむしろ多かったのではないか。暮らしの安心・安全ということで自治体の中での位置付けも考えてくれ、あるいは考え方の方向性を消費者庁でも提言をしていくとか、そういうものが相まって参加率が上がってくるし、もう一歩先までやってみようという人がだんだんと増えてくるのではないか。人材育成のもう一つ外側の課題ですが、その辺りもまた考えていただければと思います。

○高委員長 これも意見だということで、お受け止めください。

他はよろしいですか。

ありがとうございました。

今、委員からのいろいろな意見を聞いておりまして、非常に関心が高いというのは間違いないということです。

今回、この報告書を出していただいて、これは消費者庁として必ずやるということではない、大枠だということですけれども、今日の説明を聞いておりますと中長期的な方向でもってこう進んでいこうという意思を示されたと理解させていただきました。

いろいろな論点があったと思いますけれども、一番コアになる部分は消費者政策の担い手、これを3つに分け、特に初任者とT字型人材。それらの担い手に対してどのような教育をどのような方法で行うか、またそれぞれどんな役割を担ってもらうのか、かなり具体的な例を示していただいたと思っています。

初任者のところについて、これは委員の方々はいずれもおっしゃっていたことで、同時に全てをやるというのではなくて、むしろここにまずウエートを置いてやってもらいたいという意見が多かったのではないかと思います。

方法としては、既存の資格制度をいかしながら、また、国民生活センターなどが既にやっている研修などもいかすこと、それに加えてオンデマンドとか、ITを使った教育を進めていくとか、あるいは大学発の短期プログラムを進めていくといった内容でございました。是非そういう方向に進めていただければと思います。

その中で、先ほど言いましたように、初任者については教育が手薄であると。特に、地方の行政職員の方々についてはなかなか研修の機会の確保が難しいため、いろいろ知恵を使ってほしいということでした。目標値を設けることも必要でしょうし、また、課長クラスの研修というのもあるのであれば、そういった場も活用していただきたいという意見をいただきました。

さらに、特にこれは初任者の方だったと思うのですけれども、評価と処遇ですね。学んだ後、どういうところで活躍ができるのか、その仕組みについては以前からずっと議論がございますけれども、是非具体的に検討していただき、将来的には予算を取るぐらいのことも考えていただければと思います。

それから、T字型人材のところでしたけれども、私は大学に勤めておりますので非常に関心を持って聞いておりました。大学院修士課程とか専門職課程、こういったものの設置を期待するという提言をいただいているわけですね。また、そうしたことに取り組もうとする大学に対しては、消費者庁から、教材だけではなくて人的な支援なども行うことも提言に入っておりまして、一気にはなかなかできないでしょうけれども、そういう方向に進めていただければと思います。

それから、活躍の舞台ということで委員の方から意見がございましたけれども、報告書の中を見ていくと、具体的な例として面白いと思ったのが、地域における消費者政策がもっと推進されなければいけないということで、地方の審議会の事務局担当者においては必ずこういった教育を受講することと、それから構成員についてはいわゆるT字型の人材、そういった方々を積極的に登用していくこと、これらを通じて地方における審議会の活性化を図るという事例は興味深く読ませていただきました。是非ともそうした方向を目指していただければ、有り難いと感じました。

最後ですけれども、証拠データに基づく政策を推進するために、消費者庁の中に研究機能を持つ機関を設置すべきというのは、これも是非お願いしたいと思います。委員からもそういう発言がございました。特に、消費者委員会はルール形成のワーキンググループで、もうすぐ報告書として正式な形で出す予定ですけれども、立法あるいは法改正、こういったことを行う上で、こういう研究機関があれば、立法事実の確認を行う上でも大きな助けになりますし、また、新たな研究手法や知見を用いれば、どういう政策が望ましいのかということも整理できると思います。つまり、こういう研究機関ができることで、新しい法律、あるいは法改正の議論ももっともっと前に進んでいくのではないかなと感じました。

今後、それぞれの取組について、具体的な議論が始まると期待しております。非常に重要なテーマでございますので、注視するだけではなく、応援もしていきたいと思いますので、是非とも積極的に推進してください。よろしくお願いいたします。

以上をもちまして、第1の議題を終えさせていただきます。消費者庁におかれましては、報告書の内容説明及び意見交換に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。

(消費者庁退室)

≪3.その他≫

○高委員長 最後に、議題「その他」といたしまして、新開発食品調査部会から報告事項があります。受田部会長から御報告をお願いします。

○受田委員 それでは、特定保健用食品の表示許可に係る答申について御報告いたします。

平成31年3月18日に開催いたしました第48回新開発食品調査部会の議決について、新開発食品調査部会設置・運営規程第7条に基づき、委員長の同意を得て委員会の議決とし、5月7日付で内閣総理大臣へ答申を行いました。

お手元の参考資料1の答申書を御覧ください。

内閣総理大臣より諮問を受けて、第48回新開発食品調査部会において、安全性及び効果について審議を行った結果、特定保健用食品として認めることといたしました。

私からの報告は以上でございます。


≪4.閉会≫

○高委員長 ありがとうございました。

本日の議題は以上となります。

最後に、事務局より今後の予定について説明をお願いいたします。

○坂田参事官 次回の本会議は、日程が決まり次第、委員会ホームページを通じてお知らせいたします。

なお、この後、委員間打ち合わせを行いますので、委員の皆様におかれましては委員室にお集まりください。よろしくお願いいたします。

以上です。

○高委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。

(以上)