第294回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2019年4月18日(木)15:30~16:40

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    高委員長、池本委員長代理、大森委員、蟹瀬委員、鹿野委員、長田委員、増田委員
    (高委員長の「高」は、正しくは「はしごだか」)
  • 【説明者】
    オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会中田座長
  • 【事務局】
    二之宮事務局長、福島審議官、坂田参事官、友行企画官

議事次第

  1. 開会
  2. オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会の報告について
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○高委員長 それでは、時間になりましたので、第294回「消費者委員会本会議」を開催させていただきます。

皆様、お忙しいところを御参集いただきまして、ありがとうございます。

最初に、配付資料の確認を事務局よりお願いいたします。

○坂田参事官 議事次第に配付資料を記載しております。

もし不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますようお願いいたします。

以上です


≪2.オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会報告について≫

○高委員長 本日の議題は「オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会報告について」でございます。

インターネットを利用した取引形態については、その多くがこれまで特商法上の通信販売として規律をされていましたが、近時は、インターネット上のショッピングモールやオークション・フリマなど、プラットフォームが介在する取引が拡大しており、その規律が当然には及ばないように見える取引形態が登場してきております。

他方で、消費生活相談の現場からはプラットフォーム上の取引について具体的なトラブル事例が報告されており、その解決が課題とされております。とりわけ、プラットフォーム上の取引の形態とプラットフォーム事業者の役割や責任の所在について関心が向けられているところでございます。

そこで、消費者委員会では、こうした状況を前提として、オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会を設置し、消費者が商品・サービスの提供者、購入者・利用者として安心してプラットフォームが介在する取引を利用することができるよう、どのようなルールや仕組みが必要か。また、ルールや仕組みを保っていくため、プラットフォーム事業者が担うべき役割などについて専門的な見地から検討をお願いいたしました。この度、その報告書が取りまとまったということでございます。

本日は、同専門調査会、中田邦博座長にお越しいただいております。

中田座長におかれましては、お忙しいところを御出席いただき、誠にありがとうございます。

まずは、中田座長から報告書の内容について20分程度で御報告をお願いいたします。

○オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会中田座長 中田です。

今回、オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会におきまして、昨年5月以来、14回の会合を重ねまして、先月、3月26日の会合におきまして報告書を取りまとめさせていただいたところでございます。

まず、その報告書の取りまとめに当たっての考え方を私から簡単に説明させていただき、その後、内容の詳細につきましては事務局から説明していただきます。

インターネット上のショッピングモールやマッチングサイト等、プラットフォームが介在する取引の拡大は経済活動としても非常に大きな注目を集めているところでございます。他方で、それを巡る消費者トラブルも生じていることに鑑みまして、こうしたプラットフォーム上の取引を消費者保護の観点から健全なものとすることが我が国のデジタル経済の一層の発展に資するものであるという立場から報告書をまとめさせていただいております。オンラインによるプラットフォーム取引自体はこれまでも存在してきたわけですが、新たな特徴で指摘できることとして、プラットフォームが介在するC to C型のEC市場が近時のスマートフォンの普及の高まりを受けて、これまでの顧客とは異なった層の消費者が参加する、そういったマーケットとして成長しております。そのことで、代表的であったインターネットオークションに加えて新たなサービスとして、フリマアプリやシェアリングエコノミーのような取引が飛躍的に増大しているという現実がございます。

報告書では、こうした状況を前提として、プラットフォームが介在する取引について、いわゆるB to C型とC to C型において、現状、どのような消費者問題があり、そこではどのように消費者が保護されているのか、また、保護すべきなのかという問題についての議論を取りまとめております。

プラットフォームが介在する取引については、これまで十分な検討が行われていなかったこともありまして、今回の報告書では、様々な分野の専門委員に御参加をいただいて、それぞれの知見を生かして、多面的に、実務的な観点から、また、学術的な観点から議論をさせていただきました。

そこでは、新たに生じた消費者問題について、プラットフォーム事業者や個別の取引を行う事業者が消費者との対話の中で積極的にその問題の解決に取り組んできているということが報告されております。

他方で、情報通信技術の高度化やその飛躍的な進歩によって、これまでの市場の在り方や取引ルールによるだけでは、消費者トラブルをうまく解決できない可能性がある。また、そうした紛争の解決のためには、それに適合的な制度的な枠組みが必要であることも指摘させていただいております。

さらに、プラットフォームが国境を越えてグローバルに展開しているという観点から、専門調査会としてそうした国際取引の問題点を指摘しているところもありますし、また、EUやEU諸国での立法化に向けた動き、また、中国や韓国といった近隣国での立法動向も、外国の専門家との対話を通じた形で積極的な調査を行って報告書に反映させているところでございます。

今回の報告書での提言内容は、プラットフォーム取引の現状把握とそれに関する消費者トラブルの解決手法の提示というところに重点がございます。したがって、直接的に立法作業に結び付くということを意図したものではありませんが、今後の立法作業の必要性を議論するときの参考になるようなものとなっていることを願っております。

もう一つ、残された問題としてターゲティング広告や評価システム、レーティングの問題があります。これについては、報告書の中では十分には議論されていないことですが、重要な論点ではないかと思っております。

消費者委員会におかれましては、この報告書を受けまして、消費者庁のみならず関係省庁にも働き掛けていただきまして、プラットフォームが介在する取引環境の健全性や安全性の確保に向けた取組が一層進みますよう御尽力いただきたいと考えております。

それでは、私からの全体の説明は以上にさせていただき、事務局から報告書の内容の詳細について御報告いただければと思います。

○高委員長 お願いします。

○友行企画官 それでは、事務局から御説明させていただきます。

お手元の資料1が概要になっておりまして、資料2が報告書の本体になっておりますが、資料1の概要に基づきまして御説明させていただきます。

資料1を御覧いただけますでしょうか。

1ページをおめくりいただきまして、目次でございます。

2ページ目、「はじめに」のところでございます。インターネット上のショッピングモールやマッチングサイトなど、プラットフォームが介在する取引が拡大しているということでございます。本専門調査会におきましては、消費者が安心して取引を利用することができるよう、必要なルールや仕組み、その仕組みなどを保っていくため、その上に乗っかっている財・サービスの提供者や購入者、プラットフォーム事業者などが果たすべき役割につきまして検討をしていただきました。本専門調査会におきましては、B to C、シェアリングエコノミー等のC to C市場を検討の中心としているといったところでございます。委員名簿につきましては、そこに御覧のとおりでございます。審議経過につきましても、その下に記載のとおりでございます。

3ページ目でございます。「第1 プラットフォームが介在する取引の拡大」でございます。B to C市場につきましては、従来からあったものでございます。プラットフォームが介在するC to C市場につきましては、これまで財・サービスの受け手が中心であった消費者を、提供者として市場に参加させることを可能にする仕組みとなっております。スマートフォンの普及率の高まりもありまして、このところ取引の拡大が目覚ましいといった特徴がございます。数字的なものにつきましては、まず、B to C型のEC市場につきましては、16兆円ほどの市場規模となっております。フリマアプリにつきましては、市場規模といたしましては4800億円程度になっております。ネットオークションにつきましては、1兆1200億円となっております。また、シェアリングエコノミーにつきましては、直近では540億円程度の市場規模でございますが、将来的には1386億円といった形で大きく拡大することが予測されております。

4ページ目は、今、申し上げたようなところのデータをグラフ化しているものでございます。

5ページ目でございます。「第2 プラットフォームが介在する取引における消費者トラブルの状況とプラットフォーム事業者等の自主的取組」の状況でございます。消費者委員会は、7月にアンケート調査を実施いたしまして、そこではプラットフォームが介在する各サービス、モールやネットオークション・フリマ、シェアリングサービスにつきまして、約7割はトラブルの経験がないという回答を得ました。他方、それらいずれのサービスにおきましても約3割はトラブルの経験ありといった回答を得ております。専門調査会の中では、消費者保護に関する自主的取組を行っているプラットフォームの存在もあるといったことも確認できたところでございます。「1 消費者トラブルの状況」といたしましてどのようなものがあるかといったところでございますが、例えば、出品者管理に関するものや情報管理に関するもの、画面の表示や規約に関する表示・利用規約の問題や、支払手続・決済に関すること、ポイントや割引に関するものといったものがございました。右側にまいりますが、商品の配送に関する配送のトラブルや、解約や返品、返金に関すること、評価や口コミ、レビュー関するトラブルといったものもみられました。それと、取引の対象となる商品の品質に関する相談やトラブルといった財・サービスの品質に関わるトラブルもございました。また、取引において発生したトラブル解決に関するプラットフォーム事業者の対応についての相談やトラブルもございまして、それにつきましては「トラブル救済」といった形で整理させていただきました。また、それにつきまして「2 プラットフォーム事業者の消費者保護に関する自主的取組」といたしまして、こちらにつきましては、専門調査会の中でヒアリングを行ったものでございますが、本専門調査会に参加した団体からは、補償対応やカスタマーサポート体制の構築、出品商品の監視・巡回、通報に基づく目視確認、エスクローサービスの導入といった消費者保護に関する自主的取組を実施しているといった旨も報告されたところでございます。

6ページ目でございます。こちらは、グラフになっておりますけれども、消費者委員会が行いましたアンケート調査を基にグラフを起こしているところでございますが、図表3につきましては、トラブルの経験の有無とその内容でございます。一番グラフとして数字が大きいのは一番上の「トラブルの経験はない」といったところでございますが、「トラブルがあった」といった答えの中には、品質に関するトラブルがあったというものが割合としては多くなっております。図表4のところでございますが、トラブルがあった際の連絡先としてはどこを挙げているかといったところでございますが、まずは消費者からは「実際にモノやサービスを取引した相手」に連絡をしたというところが回答としては一番多くなっております。その次の回答として多かったものは、「各サービスサイトの運営者」、こちらがプラットフォーム事業者でございますが、こちらに相談した者が多いといったところでございます。

7ページ目を御覧いただけますでしょうか。続いてのグラフでございますけれども、サイト運営者への連絡後の経過に関する感想についてといったところでございますが、プラットフォーム事業者に連絡した後、どのような形になったかというところでございます。「解決につながり、満足のいく対応内容であった」という回答や、「解決につながったが、時間や手間を要した(解決したが面倒だった)」といった回答が割合としては多くなっております。下から2番目のところでございますけれども、「サイト運営者には責任がないということを示されて解決につながらなかった」といった回答もあったところでございます。

8ページでございます。「第3 プラットフォームが介在する取引に係る規定の整理」でございます。こちらは、現行の規定の中でどういった形になっているかというところを整理させていただいたものでございます。まず、1つ目として、プラットフォームが介在する取引そのものを対象とする特別法は我が国にはないといったところでございます。現行法においては、プラットフォームが介在する取引について、取引の種類や取引の一部の局面に着目した個別法は存在してございますが、取引全体を着目し、それを対象とした特別法はないというところでございます。特商法に関する法律がどうなっているかというところでございますが、まず、マル1といたしまして、個人が販売事業者等に該当する場合の判断基準がどうであるのかといったことや、個人が販売業者等に該当する場合のプライバシー保護の観点からどうかといったことや、プラットフォームが介在する取引をどのように規律しているかといったところを整理させていただいております。消費者契約法との関係につきましては、プラットフォームが介在する取引をどのよう規律しているのか、プラットフォーム事業者が媒介することの委託と消契法との関係といったことにつきまして整理をさせていただいたところでございます。4番目でございますが、消費生活相談員に関する規定のところでございます。C to C取引における消費生活相談員の対応、現行法で対応が可能なのかどうか、また、新たな立法措置が必要かどうかというところにつきまして整理をさせていただいているところでございます。5番目のところでございますが、海外事業者に対する法の適用でございまして、インターネット上の取引は容易にクロスボーダー取引が可能といったところでございます。他方、消費者トラブルが生じた場合に、海外事業者に対して法執行の限界が問題となるため、海外事業者に対する国内法の適用の可否の検討が必要ではないかといったことにつきまして整理をさせていただいております。

9ページ目のところでございます。「海外の動向」でございます。まず、1つ目といたしまして、EUでございます。消費者のためのニューディールといったものが2018年4月に提案されております。ここでは、デジタル・コンテンツやサービスを提供する契約の対価につきまして、従来の金銭に加えまして個人データを追加することが提案されているところでございます。また、オンライン市場におきまして、契約締結前に、例えば、消費者は事業者と個人のいずれから製品・サービスを購入するのか。また、商品検索結果の順位を示すパラメータを消費者に明らかにすべきではないかといったことが提案されております。2番の中国につきましては、電子商取引法という法律が2019年に施行されております。消費者の身体、財産の安全性に関する責任について規定されているところがございまして、「電子商取引プラットフォーマーは、プラットフォーム内事業者の販売する商品又は提供する役務が身体、財産の安全の保障の要求に適合せず、あるいは消費者の適法な権益を侵害するその他の行為があることを知り又は知り得たにもかかわらず必要な措置を採らない場合、法に基づきプラットフォーム内事業者と連帯責任を負う。」といったことが規定されております。また、3番の韓国につきましても、2002年に電子商取引等における消費者保護に関する法律が施行されております。「通信販売仲介者」、プラットフォーム事業者のことでございますが、それについての責任の規定が設けられております。例えば、告知義務というところでございますが、「通信販売仲介者」は、自分が通信販売の当事者でないことを消費者が簡単に知ることができるよう、総理令で定める方法であらかじめ告知しなければならないといった規定が設けられているところでございます。

10ページ目でございます。「第5 プラットフォームが介在する取引の重要性や特徴」でございます。まず、ここでは1つ目といたしまして、インターネット取引の規模の拡大と社会における重要性の高まりといったところを指摘しております。2番目でございますが、プラットフォーム事業者が定めたルール・設計に基づく取引といったところを特徴として挙げております。多数の事業者、消費者が参加することが可能な市場そのものを設計し、同市場における取引ルールを定めているといったことを指摘しております。具体的には、(1)利用者の選択権の基礎となる情報の提供をしているのではないか。例えば、プラットフォーム事業者の設計したシステムに基づく提供者の広告表示、レビュー機能が、プラットフォーム上の取引の意思形成の重要な基礎となっている場合もあるということを指摘しております。(2)マッチング機能を提供しているのではないかということでございます。利用者から情報の提供を受け、当該情報を利用した検索機能等のシステムを利用者に提供することにより、利用者間で締結される契約のきっかけを提供しているのではないかといったことを指摘しております。3番といたしまして、個々の取引への関与度の度合いでございます。プラットフォーム事業者によっては、対価支払や商品発送等に関し一部を担う対応をしているといったところでございます。こうした場合には、契約の重要な履行の一部を行っているということを見ることもできるのではないかといったところでございます。4つ目といたしまして、収益構造でございます。プラットフォーム事業者は、手数料、広告費等を収受しているといったところでございます。5つ目といたしまして、プラットフォーム事業者による情報の収集やそれによる紛争解決の可能性を指摘しております。プラットフォーム事業者には様々な情報が集約されており、消費者トラブルが生じた際にそれらの情報を活用した迅速な対応ができる可能性が高いと考えられるということを指摘しております。6番目でございますが、プラットフォーム事業者と利用者(消費者)の情報量等の格差でございます。利用者が消費者である場合には、プラットフォーム事業者と利用者の間には、情報の質、量、交渉力の格差が存在するといったところを指摘しているところでございます。

こういったところまでを踏まえまして、11ページ目からは、この専門調査会の報告書としての提言をまとめさせていただいているところでございます。1つ目が、プラットフォーム事業者の役割でございます。全てのプラットフォーム事業者において、規模、仕組み、取扱商品等に応じまして、以下の取組を期待としております。1つ目でございますが、財・サービス提供者に係る審査、出店・出品審査、モニタリング等の実施をしていただくことを期待するというところでございます。(2)でございますが、各種取組に関する消費者への情報提供でございます。例えば、相談窓口の設置でございますが、トラブル解決のサポート等の取組について、消費者に分かりやすい形で表示、広報をしていただきたいというものでございます。3つ目でございますが、分かりやすい財・サービスに係る表示でございます。具体的には、消費者トラブルにつながる不適切な表示に関するパトロール、行政等専門的知見を有する者との連携、情報提供窓口の設置などをお願いしたいといったものでございます。4つ目といたしまして、安心、安全な取引環境を整備するための公正な利用規約の制定と明示を期待するといったところでございます。消費者に一方的に不利な取引にならないなど、安心、安全な取引環境を利用できるための適切な内容の利用規約の制定が具体的なところでございます。5つ目といたしまして、適切な評価システムの提供でございます。具体的には、レビューの収集、処理、公表の工夫、相互評価の同時公開等、正直な評価をしやすくする仕組みの提供といったことが考えられるといったところでございます。6つ目といたしまして、安全な決済システムと複数の決済手段の提供でございます。7つ目といたしまして、消費者トラブルへの対応と消費生活センターとの連携でございます。財・サービスの提供者、その消費者両方からの問い合わせと相談に協力していただきたいといったものでございます。8番目といたしまして、保険、補償制度の導入でございます。利用しやすい保険、補償制度の導入を期待するといったところでございます。9番目といたしまして、C to C取引の場合におけるプラットフォーム事業者の役割でございます。プラットフォーム事業者による補償制度の充実や一定の属性の表示等を通じまして、提供者とのトラブルを未然防止し、早期解決を図るといったところでございます。それから、プラットフォーム事業者は、提供者がトラブル処理能力に欠ける場合に提供者と一体となってトラブル解決に取り組むことを期待したいといったところでございます。

12ページでございます。2つ目が、C to C取引における消費者としてのプラットフォーム利用者の役割でございます。(1)提供者の役割といたしまして、提供者は取引に参加する上で基本的なルールを遵守することは不可欠であり、民事上の責任は当然負うといったことを認識することが必要だということを指摘させていただいております。(2)といたしまして、購入・利用者の役割でございますが、購入・利用者としても民事上の責任を負うといったことや、また、規約を適切に確認するといった取引に参加する上での基本的なルールを遵守することが不可欠といったことを指摘させていただいております。3つ目といたしまして、行政機関の役割でございます。(1)消費者への情報提供でございます。消費者トラブルが生じやすい項目、例えば、キャンセルに関することなどにつきましての情報提供を行っていただきたい。また、法令等の平易かつ明確な周知啓発などを行っていただきたい。また、若年者や高齢者へのきめ細かな情報提供等の対応を行っていただきたいといったものでございます。また、プラットフォーム事業者が行政機関と協力して法令違反事業者への対応を行えるよう、プラットフォーム事業者に適切な情報提供を行っていただきたいといったところがございます。それから、関連する法令やガイドライン等の見直しといったものを行政機関の役割として掲げております。4つ目でございますが、国民生活センター、消費生活センター、消費者団体の役割でございます。1つ目が、C to C取引における国民生活センター、消費生活センターの役割でございますが、C to C取引であっても、消費生活相談員は、プラットフォーム事業者と消費者の間に立ち、苦情相談に応じ苦情処理のためのあっせんなどを行うことが可能といったことを明記しております。消費者団体に求めることといたしましては、消費者が安心、安全な取引環境を選択することが難しいとの意見に応える方策として、消費者団体が、例えば、プラットフォームについて様々な観点から情報収集し、消費者に対して情報提供をしていくことも考えられるのではないかといったことを指摘しております。

13ページでございます。5番目といたしまして、プラットフォーム事業者が果たす役割の実効性の確保のところでございます。プラットフォーム事業者の役割について、その取組の実効性を確保するための基本的な方策につきまして、例えば、自主的取組や共同規制、法律やガイドライン、認証制度といったことが考えられるといったことを整理させていただいております。6番の今後の課題でございますが、議論の過程で重要な論点であると提起されたことから、引き続き着目し、検討を深めるべきとの指摘があったものをここに整理させていただいております。1つ目が、利用者の情報の取扱いに関する透明性でございます。2つ目が、非マッチングサイトにおける課題でございます。3つ目が、海外事業者への対応でございます。4つ目が、オンライン紛争解決の充実の重要性でございます。5つ目といたしまして、プラットフォームが介在する取引における消費者保護の視点の重要性といったところでございます。

説明は、以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

ただいまの報告書の基本的な考え方と概要を御説明いただきました。今の説明に関しまして、御質問、御発言がございましたら、どうぞ御自由に発言をしてください。

どうぞ、大森委員。

○大森委員 ネット取引はすごいスピードで進展していまして、これまでなかなかこういう報告書という形にまとめることができなかったのですけれども、今回、問題点などを明らかにしていただいて、本当に大変な作業をありがとうございました。

私自身が今回で最も良かったと思うところが、消費生活センターがC to Cだから相談できないのではないかというあやふやなところが、消費生活センターで相談できるという見通しをきっちり打ち出していただいたことが、消費者にとってはとても安心できる結果と思っています。

これを実効性のあるものにしていくためには、プラットフォームの協力は欠かせないところで、プラットフォーマーは個人情報を扱っているので、個人情報を開示することには非常に抵抗感のあるところかと思うのですけれども、違反者に対する情報は速やかに提供していただいて、安心・安全なネット社会を進展するためには、事業者、消費者、消費生活センターが連携して違反者を外に追い出して安心してできるというところに進めていかないといけないので、そのためには違反者の個人情報は速やかに出していただくことが大事だと思っています。

今回の報告書の中で、今後の課題のところにも載っているのですけれども、非マッチング型、SNSや掲示板など、そちらがむしろ問題が多いのではないかと思うところが積み残しになったので、早急にまたこういう調査会を開いて、報告書を挙げていただきたいと思います。

私、消費者個人としては、プラットフォーム事業者は自主的にいろいろ消費者保護の取組を行っているということですけれども、利用する消費者が一目瞭然にどういう対応をしているかと分かるような表のようなものを作っていただいて、エスクローサービスをしているとか、補償対応をしているとかということが、一般消費者にとって簡単に確認できるようなシステムが導入されると良いと思っています。

以上、感想とお礼です。

○高委員長 ありがとうございました。

中田座長、今、感想ということだったのですけれども、もしコメントがありましたらお願いいたします。

○オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会中田座長 課題もありますが、お褒めの言葉をいただいた点については、非常に有り難いと思います。

私自身も、プラットフォーム取引の実際について、事業者あるいはトラブルは消費者サイドから聞くことができて、実態を明らかにすることができたという、それが今回の報告書の一番の現状把握という目的に沿ったところではなかったかと思います。

積み残しにされたと言われてしまうとそのとおりなのですが、プラットフォーム取引の基本的な構造を明らかにすることが主眼だったので、そこに集中させていただいたということであります。そこでの問題点は他の取引形態にも広がっているだろうと思いますし、それを把握するときにも非常に役に立つのではないかと思っています。

実際に当初から非マッチング型については問題意識を持っていたのですが、先ほど述べたような理由から、とりあえずは主に物品販売やサービスを対象としており、そこではモール型が中心ですが、直販型の問題点も含めて、取り上げています。非マッチング型も同じようなことが起こっておりますので、今後、そこはしっかりとした分析が必要になるのではないかと思います。

プラットフォーム事業者の選択という問題については、消費者が自己決定していくときに非常に重要な選択の情報になるだろうというものですが、その基準はたくさんあっても消費者は判断できないということになりますので、基本的なガイドラインないし基本的な条件について、しっかりと整備をして提供することが必要です。こういう事業者でなければいけないという最低ラインを見た上で、優良な事業者は選択できるような形で消費者が判断をしていくことができる。そういうプロセスが確保されなければいけないと思いますので、そういった形で、一方で明確な指針を示しながら選択をしていくことができるようなシステムが必要ではないかと感じています。

○高委員長 ありがとうございました。

蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 お疲れさまでした。中田先生、事務局の方々、大変苦労をなさってまとめられた報告書だと思います。

今、プラットフォームは創成期でありますので、問題点も非常に初期段階で、まだこの中にないものもたくさん今から出てくるだろうと考えていますが、ただ、私、これを何回か読ませていただきながら、どうも喉に小骨が引っかかって出ないという状態のところが幾つかありましたので、ちょっと感想を述べさせていただきたいと思います。

まずは、報告書の概要中の5ページになるのですけれども、現状分析をなさっている。これは大変良いかと思うのです。これ以外にも多分いろいろ今は出てきておりますので、そういったことを取り上げていかなければいけなくなる時代にはなっているかと思いますが、1の一番下に、「整理したトラブルは、プラットフォームが介在する取引における消費者トラブルの全てではない」、ここまではまだ分かりますが、「また、本専門調査会に参加した事業者(事業団体)で発生したものなのか、それ以外の事業者(事業者団体)で発生したものなのかは不明」、これは要らない。

つまり、これは出た方のエクスキューズなのですね。でも、どういう人たちが出ていてということが問題ではなくて、私たちが気になるのはプラットフォーム事業者がこれから何を消費者視点でやっていかなければいけないかということを皆で洗いざらいここに出してみましょうよという調査会であったはずなので、こういったエクスキューズ的なというか、守りに入った一文は要らないのではないかと。読みながら、うーんと。企業が一生懸命自分たちを守っている姿勢がここに出ると、消費者委員会の仕事ではなくなりますよね。消費者視点でものを見ているという研究会ではなくなってしまうというのがちょっと残念だなというのがありました。

その下の「プラットフォーム事業者の消費者保護に関する自主的取組」もそうなのです。ここにこれが必要であるかというと、そういうことをやっているのは当たり前であって、そうでない部分をきちんと捉えていくということだし、やっていない人たちを今やっているプラットフォーム事業者が牽引していく、そういう時代になってほしいということだと私は思っているので、報告書にはこういったことは必要ないのではないかと。信憑性が非常に欠けてくるというか、消費者視点でものを見ているという視点が非常に弱くなるというのが、一つ残念なことでした。

それから、8ページの「プラットフォームが介在する取引そのものを対象とする特別法の不存在」、これはそのとおりなので、これをどのよう見ていくか。今後、これが非常に大事になってくるかと思います。

ちょっと長くなって申し訳ないのですが、先日、ここの高委員長が、「消費者問題シンポジウムinさいたま」というところで、今のプラットフォーム事業者がどういう形でいるのかという講演をしてください、すごくよくまとまっていました。今のプラットフォーム事業者は4つに大きく分けられていて、良心的な事業者が1番、2番が中間的な事業者、3番が無関心な事業者、4番が脱法的な事業者となっているわけですね。いつも問題を起こすのはこの3番と4番であるということを先生がおっしゃっています。

ここで問題なのは、規制に関してコストをかけ対応する事業者は最初の1番と2番だけだと。もちろんここに出られていた方もそうだと思います。ここの方々は、やっているだけに規制強化に非常に反対をしていく。ここが問題なのです。ですから、この規制強化ができなければ、3番、4番の悪い人たちは取っ捕まえられなくなってしまうわけですね。なので、この辺りの協力をどう得ていくかということが、問題なのではないかと思います。、高先生のおっしゃっている4つの視点で、今後、取り組んでいただけたらということが、私のこの8ページに対する意見です。

10ページ、またこれは要らないと私は思っている1行があるのですが、「プラットフォームが介在する取引の重要性や特徴」という項目の中に、これは重要性と特徴をまとめているのであって、文章の中に、プラットフォーム事業者が介在する取引の重要性について指摘するとともに、ここまでは大変良いかと思います。そして、その特徴とされる観点を提示という、そこまでは私は良いと思うのです。次に、全てのプラットフォーム事業者にあてはまるものではないと、ここでまたエクスキューズが入るのですね。これが消費者視点で必要なのかどうか。これは、事業者としては必要なのです。ところが、消費者視点で私たちは見ていて、では、誰が消費者視点でちゃんと消費者を守ろうとすることを考えるかというと、皆様であり、消費者庁であり、この消費者委員会でしかないわけですから、ここに事業者視点の言葉が本当に要るのかというのが、私としてはちょっと残念でした。苦労なさっているのは分かっていますが。

12ページのプラットフォーム事業者への情報提供など、プラットフォーム事業者が行政機関と協力して法令違反者の対応を行えるように、事業者に対する適切な情報提供をする。これは事業者に対して適切な情報も必要ですが、きっと行政機関がしっかりと一緒に取り組んでいかなければならない。そのための今回は専門調査会だったと思います。そこの視点が時々揺らいでいくために、非常にこわもてに声を出される方の意見がかなり勝ってきて、ここの一緒にやっていきましょうという視点がなくなってきていた。これが私のイメージというか、非常にそういう印象が強かったかなという気がしています。

ですので、何度も委員会で申し上げましたけれども、消費者を守ることは企業を守ることです。企業だけを守っていたら消費者はそっぽを向いていきますので、新しくできてきたプラットフォームという一つの商業の形、市場というものをしっかりとこれから反映させていくための消費者委員会であり消費者視点だと思っていますので、その辺りを今後しっかり中田先生たちで続けていただければ良いと思っております。よろしくお願いします。

○高委員長 感想のような、期待のような御意見を頂戴しました。報告書では、今後どのようにするかというのは、具体的に決めておりませんが、この報告書は高く評価されるということでした。ただ、できれば、報告書の注記のような部分は避けていただきたかったという、個人的な感想をいただきました。そのような理解でよろしいですか。

○蟹瀬委員 削れないですものね

○高委員長 座長に御発言いただきましょうか。

○オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会中田座長 私は、御指摘の点については理解しております。言われていることは全くそのとおりだと思います。

ただ、いろいろな立場があるということで、私の立場もやはりあるのですが、全体としてのトーンが現実としてこのようなものであるということもまたこの報告書の中に反映されているということです。もちろんこれは消費者委員会でこの後に御議論いただいて、新たな形で提言されると思いますので、必要な限りで、そこでしっかりと方向も修正していただいて出していただければと思います。

特に、最後におっしゃられた、消費者を守ることは事業を守ることなのだと、つまり、マーケットを守ることなのだということですね。ここは非常に重要な視点であると思いますし、先ほど高委員長が整理されたこともまた、正にそのとおりだと思います。

しっかりとルールを守っていき、市場を守っていくのは、先進的な取組をしている事業者であるということです。そういう意味での責任を果たしていただくことも大事であろうと、先行して市場を開拓していくのはそれなりの利益を得られることにもなりますので、そこでのルールづくりをしっかりとして、この専門調査会の議論の中に出てきたことですが、デジタル経済を発展させるということが我々の社会にとって非常に重要であるという視点がそれによって強調されるのではないかと思います。また、ルールを守らない事業者がはびこってはいけないということも、事業者とともに考えるという視点は非常に大事ではないかと思いますし、今後のことですが、そういった視点で個人的にも問題に取り組んでいきたいと思います。

○高委員長 ありがとうございました。

鹿野委員から、どうぞ。

○鹿野委員 私も、御礼と感想ということなのですけれども、まずは、大変な中で、市場が急速に拡大しているところのオンラインプラットフォームが介在する取引について、その実情と、消費者との関わりにおける問題状況をきっちりと整理していただいてありがとうございました。

その整理を踏まえて提言をしていただいたところも非常に参考になるところだと思います。今回は、そこがメインで、座長が最初に御説明になったように、具体的な立法をこういう形でという提言ではなく、恐らくそれは次のステップということになるのだろうと思います。けれども、先ほどの議論にも出てきましたように、新しく急速に拡大してきた取引形態ですから、そこをいかに健全な形で発展させるかということは、消費者だけではなく、事業者にとっても非常に重要で、社会全体にとって重要な課題だと思います。報告書を踏まえて、今後、国としての施策等が講じられることを期待しておりますし、さらには、ここにも書かれていますように、現状の法律での限界も既に指摘されていますので、それを踏まえて必要に応じて立法等についても検討されるということを望む次第です。

その際、こういう取引は日本国内だけの問題ではなくて、グローバルな形で展開されていますし、したがって、いろいろな国で同様の検討が行われているところです。この報告書でも、EUや中国や韓国についての検討状況にも触れられていて、そこも非常に参考になると思いますが、このようなグローバルな視点を今後の検討においても忘れてはならないと思っているところです。

また、ここでは取引そのものについての整理を中心とするということだったのだと思いますけれども、報告書でも課題として若干挙げられているように、その周辺の問題もいろいろと多く残っています。先ほど座長の最初の御説明にもありましたように、例えば、消費者の購買行動が知らないうちに情報として収集されて、それがプロファイリングをされて、例えば、ターゲティング広告などに用いられるという問題も既に指摘されているところですし、そういうものについては、どこまでそれが認められるのかということについては、まだルールが定まっていない。個人情報保護法の保護対象からも漏れている事項があり、不明確な問題もあります。あるいはC to Cの取引についてもここでも検討してくださったのですが、最後の提言のところは、この報告書の性質上、穏やかなというか、謙抑的なといいましょうか、そういう形になっているのですが、そこにはまだ課題があるのではないかと個人的にも考えております。そういうところも含めて、今後、別のステージで検討が進められることを期待しているところです。

以上です。

○高委員長 こちらも御感想と、あとは消費者委員会自身がこういう課題に取り組まなければいけないと、次のステージに進むべきだという御意見ですね。

中田座長、何かコメントがあればお願いします。

○オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会中田座長 鹿野先生にはいろいろと委員会の場でも、それ以外のところでも御意見を頂戴しまして、報告書をまとめるときに非常に参考にさせていただいたのですが、御指摘のとおりではないかと私も考えております。特にC to Cについては、まだ踏み込みができないところがあったことは事実でして、それは新しい取引であることと、どうしても個人間取引として位置付けたいといった立場の意見が非常に強く出ていたのではないかと思います。

ただ、その考え方で本当にいけるのかというところが問題でして、プラットフォーム取引は、完全な、純粋な個人間取引とは違う部分がありますし、それが表に出てきていますから、事業者はその手当てのためにいろいろなことをやっています。それの法的な根拠は全くないままに、サービスとしてやっているのか、そうではなくて何か根拠があるのかということもきちんと見ていかなければいけないなと、今の時点でも考えております。

○高委員長 では、池本委員から増田委員でお願いします。

○池本委員長代理 池本でございます。

私も、この専門調査会にオブザーバーとして参加させていただき、時々発言もさせていただきました。全体の議論を見てきた者として、今回の報告書を非常に高く評価している一人なのですが、あえてこの報告書、特に3月末の最終回の案が出たものを読んだ、例えば、消費生活センターの相談員や、あるいは弁護士や司法書士など、消費者問題に取り組む実務家、あるいは消費者団体の関係者、あるいは一部のマスコミの人など、いろいろな意見を聞いた中で、辛口の意見としてこういう意見がありました。

提言のところが、9項目、いろいろな観点、網羅的に観点が整理されていることは評価できるけれども、プラットフォーム事業者が自主的に取り組んでくださいと読めてしまうと。後ろのところで、自主規制、法律、ガイドライン、認証などがあるけれども、本当はこの課題については直ちに法規制をすべきだとか、この課題は自主規制でやるべきだというところまで踏み込んでほしかったという意見を聞きました。

私も、もっともだと思うのですが、この一連の調査会、私の受け止めを先に申し上げますと、本当に初めていろいろな分野の実情を聞き、事業者の取組も初めて聞きましたし、海外の法制や被害の実態、いろいろなものを見て、論点整理がようやくここまで到達した。その意味では、消費生活センターも、あるいは法律実務家も、この観点と実際のトラブルの実態で、これは更に自主規制で進展してくれということなのか、こことここは諸外国の法規制も見て直ちに法規制を考えるべきだとか、これからいろいろな分野の人が具体的な意見を出してもらって、その上で具体的に今後の施策をどうするかという、いわば第2ラウンドが必要な課題なのかなということを、そういう人たちと意見交換をしてみて感じました。

そのあたりで、調査会の最終回に座長が、この報告書は実質的には中間報告であるという言葉をおっしゃったのは、あるいは同じような趣旨なのかどうか。むしろそういった消費生活センター、あるいは消費者団体、弁護士会、司法書士会という人に対して、これをこう活用してほしいということでもし御意見があれば、お伺いしたいと思います。

○高委員長 お願いします。

○オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会中田座長 池本委員長代理の御指摘の通り、中間報告と申し上げたのは、現状分析と具体的な問題のトラブル解決の方向性を示すものであるということで、先ほどおっしゃられた、立法をするのか、自主規制に委ねて良いのか、そういった判断については留保しているというのが正確なところではないかと思います。ただ、報告書を読んでいただければ分かるように、ここには穴があいているということについては明確に指摘した部分があると思いますし、先ほど私が申し上げたように、C to C取引は、個人の民事間取引と同視して良いのかと聞かれたときには、誰もがそうではないと恐らく答えるのではないかと思います。

では、どのようにそれを扱っていけば良いのか。オンラインプラットフォーム上にあるそういった取引形態をどのように今の経済システムの中で生かしていくのかという問題があります。そのためにはどういった法的責任を誰が負っていくかという基本的な枠組みが必要ではないのかということをしっかりと考えておく必要があるはずです。それはB to Cのところでも出てきますし、B to Bという形で事業者間取引、プラットフォーマーと事業者間の取引のところでも健全化にも役立つだろうと思いますので、視点は違いますが、取引の公正という観点からそういった問題に取り組むことが必要ではないかと思います。

ですから、中間的なまとめと申し上げたのは正にそういったことを指摘しているところでありまして、これでクローズドにしたいが、ならないということですね。私自身としても十分に検討できなかったところもあるという反省も含めまして、中間的な報告と位置づけた次第です。

ただ、先ほど申し上げたように、現状の分析と問題点の指摘は、事務局の力も得て、ある程度の段階には達したのではないかと思っております。

○高委員長 ありがとうございました。

それでは、増田委員、お願いします。

○増田委員 中田先生、どうもありがとうございました。

消費生活相談員として参加させていただきましたので、基本的に大変低いレベルの期待感から始めましたから、この専門調査会が開設されたこと自体を非常に高く評価したいと思っています。消費生活相談の現場からすると、プラットフォームに連絡を入れること自体、かなりハードルが高く、拒絶感があるというのが現場の感覚ですので、一堂に会してその役割や責任を明らかにしていただいたこと自体が非常に有益だったのだと思います。

同時に、具体的な指摘はしませんけれども、私としても、ちょっと書きぶりについては満足のいくものではないところがあります。例えば、消費者白書の報告ではトラブルに遭った経験のある方の割合は9.5%、1割に満たないのですね。それがこの取引においては3割がトラブルの経験があるということをもっと重く捉えるべきだと思っていますので、そうした視点からは、書き方についてどうかという疑問がございます。

一方、消費生活センターあるいは相談員の取組の姿勢が今回明らかになり、私自身としては、当然C to Cであってもプラットフォームが介在することによって成り立つ取引である以上はセンターが対応すべき案件だとは理解しますが、全国の相談員が同じレベルで理解しているかどうかというところ、あるいはプラットフォーム自体がそういう理解をしているかというところが明らかではなかったので、それを明らかにしていただいて、同じ認識で、今後、取り組んでいくということができるのではないかというところでは、大変期待するところです。消費生活相談としてなすべきこと、今後具体的にこうすべきだということが、国民生活センターとともに私たちも勉強していく必要があると思っています。

今後、どのようにすべきかというところについては、具体的なことが示されていないわけなのですけれども、消費生活相談の相談を寄せられたときに、それを入力するに当たって、プラットフォームが問題であるということを明らかにするようなキーワードがまだないかと思います。社会の変化に伴ってキーワードというものが新しく追加されてきますので、課題として、そういう取引の問題を明らかにするような入力の仕方、データの集積の仕方ということをまずはやっていただいて、継続的にその分析をしていくことによって、次に必要な法律の改正やガイドラインを示すということにつながることになると思います。

もう一つ、海外の事業者、海外のプラットフォームに関しては放置ができないと思います。国内のプラットフォームだけがよくなって、そこで差がついてはいけないと思いますので、国として海外のプラットフォームに対して何が言えるか、法律の改正をするまでもなく、国として要求できるということは当然あると思いますので、そういうことも含めて今後の課題なのかなと感じています。

様々なレベルの方が参加する市場の中で、プラットフォームがいるからこそ信頼性が高くなっていて安心して使えるというのが現実だと思いますので、更に安心して使えるような市場になってもらいたいということで、今回のことはやはり中間整理ということで、次に期待したいと思います。

ありがとうございました。

○高委員長 長田委員、どうぞ。

○長田委員 時間も余りないのかもしれないので、簡単に申し上げますが、今回のこの報告書に書かれているように、プラットフォームが介在する取引について、消費者が安心、安全に取引を利用できるようにということなのですけれども、まず、1つ目、ちょっとだけ思ったのは、「C to C取引における消費者としてのプラットフォーム利用者の役割」のところに、違法な商品を購入しないことという表現があるのですね。その上のプラットフォーム事業者の役割が果たされていれば、本来は違法な商品は出ていないはずであり、違和感があります。

まずは、プラットフォーム事業者の役割が、我々日本にいる人たちがアクセスできるプラットフォームで全て安心・安全な取引が実現されるべきということのわけなので、今回、役割は整理されたけれども、蟹瀬委員が先ほどおっしゃいましたけれども、全ての事業者にそれを影響させるために何をすべきかというのは、今後、きちんともう少し詰めて議論すべきだと思いました。

それから、リーダーシップをとっているであろう事業者で、自主的な取組をしていますよねということがいろいろなところに出てくる。でも、それが十分なのかどうかということはきちんと評価すべきだと思いますので、取組がありますということと、それが十分に役割を果たしているのかということはきちんと見ていくべきだし、十分に役割を果たしているのだとすれば、それをまだ何もできていない人たちに影響を及ぼすためにはどういう仕組みが必要なのかというのは、それこそ御自分たちで考えて提案していただくべきではないかと思っています。

課題として残されているターゲティング広告などは、ずっと長い間、議論もされてきていて、本来、ターゲティングをして広告を出している場合は、我々にそれが分かるように明示するマークをつける、そして、オプトアウトができるという仕組みは、日本でもずっと整理はされてきていると思うので、まず、それこそ自主的な取組で、リーダーシップをとっている事業者たちは是非やっていただきたいな思います。

以上です。

○高委員長 ありがとうございました。

他、よろしいでしょうか。

委員の方々から様々な意見を頂戴しましたが、多くは今後の期待、議論の方向、これは座長に申し上げることではなくて、委員会自身が考えていかなければいけないことかと思っております。

その中で、今回の報告は、最終報告なのですけれども、中間整理的な色合いも強いのではないかという発言がございました。ただ、プラットフォーム事業者、サービスを利用する者、提供する者、行政機関、こういったそれぞれの関係者の担うべき、ここでは「役割」という言葉を使っておりますけれども、「責任」に該当するような内容を明確にしていただいたことは本当に大きな一歩だと思います。

私も報告書を読んでいて感じたことは、リアルなショッピングモールとバーチャルなショッピングモールは構造的に、またそれゆえ根本的に違うと感じました。それだけに、オンラインでは、何もしなければ、きちんとしたモールを作ろうとは、なかなか動機付けられないと思います。

例えば、リアルなモールであれば、日本で一番大きいところで延べ床面積は大体40万平米ぐらいです。そこにテナントが入っても、その数は700店舗を超えるぐらいです。そうすると、リアルなモールの運営者はできるだけ質の良いテナントを確保しようとして、常にモニタリングをして、不十分であれば後退してもらうという管理を行います。それは、事業上の動機に基づいてやっていくわけです。それが収益に直結しますから。

ところが、オンラインの場合は、基本的に延べ床面積がないわけで、簡単に言うと、店を開いてくれるテナントの数は多ければ多いほど利益につながるということです。さっき700店舗と言いましたけれども、例えば、古い数字かもしれませんけれども、アマゾンジャパンだと40万店舗です。世界で500万店舗。だから、きちんとモニタリングをして、管理して、質を高めて、消費者トラブルに対応せよ、という理屈は分かっても、収益構造は数で決まってきますので、モニタリングなどにコストをかけ、出店者を絞り込むことはあまり重視されません。これは、構造的に非常に難しいと思っています。その中で、まずは、オンラインプラットフォーマーとして、これをやるのだということを明確にしていただいたことは、非常に大きな貢献であったと思いますし、業界としても大変な前進であると思っております。

今後、いろいろやらなければいけないことは多数あるのですけれども、まず、先ほど言いましたプラットフォーム上のいろいろな利害関係者、主体の役割、担うべき役割を明確にしていただいたということでございますので、本報告書の内容を踏まえまして、消費者委員会として提言をまとめ、関係各大臣宛てに、もちろん、委員会としても議論を深めていくことも必要ですけれども、政府、いろいろなところで、例えば、競争法の観点から、データの利活用についての議論も進んでいますし、個人データの保護という議論もございますし、そういう意味でいろいろなところに、今回の報告書の内容を発出させていただこうかと思います。

委員の皆様方、いかがでしょうか。

ありがとうございます。

それでは、事務局から提言の素案が出ておりますので、お配りいたします。配付をお願いします。

(提言案 配付)

○高委員長 それでは、事務局から、簡単にその素案の提言案の内容の説明をお願いいたします。

○友行企画官 それでは、今、追加資料として配られていると思いますが、そちらの1ページ目を御覧いただけますでしょうか。「プラットフォームが介在する取引の在り方に関する提言」でございます。

消費者委員会では、オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会を設置し、今般、同専門調査会から、オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会報告書の提出を受けた。

同報告書では、プラットフォームが介在する取引における消費者トラブルの事例を基に、そこにどのような課題があるかを明らかにし、その課題を解決するための一定の方向性が示されている。また、現行法の状況と限界等に関し、マル1プラットフォームが介在する取引について、取引の種類や取引の一部の局面に着目した個別法が部分的に存在するものの、プラットフォーム事業者が介在する取引全体に着目した特別法は存在しないこと、マル2発生しているトラブルについて、現状の規定を適用しようとした場合に課題が生じうること等が指摘されている。それらを踏まえ、消費者保護の観点から、プラットフォーム事業者、関係行政機関、財・サービス提供者(利用者)、購入者(利用者)等が担うべき役割等について提言がなされている。

現在、内閣官房、公正取引委員会、個人情報保護委員会、消費者庁、総務省、経済産業省において、公正競争、電気通信事業法、個人情報保護法の観点等からプラットフォームが介在する取引に関するルール整備に向けた議論が行われている。同報告書は、そこでの議論も見据え、プラットフォームが介在する取引の在り方について、「消費者保護」の観点に基づく議論の結果を取りまとめたものである。

当委員会は、本提言の内容が尊重されることが消費者保護につながると考えることから、プラットフォームが介在する取引に関わる各主体や関係機関が、相応の役割を担うこと等が促進されるよう、内閣官房、公正取引委員会、個人情報保護委員会、消費者庁、総務省、経済産業省に対し、同報告書を踏まえた取組を進めることを提言する。また、これらに関するルール整備の検討について、同報告書の提言内容を踏まえた形で議論が深められ、その施策に反映されることを期待する。

なお、当委員会は、本提言において指摘した今後の課題も含め、引き続きプラットフォームが介在する取引の在り方について注目していく。また、本提言への対応について、今後必要に応じ関係行政機関から報告を求めることとする。

ということを1ページ目に記載しております。

2ページ目以降でございますが、1番から6番までございまして、こちらにつきましては、先ほどの専門調査会の報告書の提言の部分を抜粋したものでございます。

説明は、以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

それでは、事務局に用意していただきました提言案につきまして、御意見のある方は御発言をお願いいたします。

特段の御意見はないようでございますので、原案どおり提言を取りまとめ、情報通信技術政策担当大臣、消費者担当大臣、総務大臣及び経済産業大臣宛てに発出したいと思います。

中田座長におかれましては、お忙しいところ、御審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

どうぞ御退席ください。

(オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会中田座長、退室)


≪3.閉会≫

○高委員長 本日の議題は、以上となります。

最後に、事務局より今後の予定について説明をお願いいたします。

○坂田参事官 次回の本会議につきましては、4月25日、木曜日、14時からを予定しております。詳細につきましては、委員会ホームページを御参照いただければと思います。

以上です。

○高委員長 ありがとうございました。

本日は、これにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところ、御参集いただきまして、ありがとうございました。

(以上)