第293回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2019年3月27日(水)15:56~16:33

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    高委員長、池本委員長代理、大森委員、鹿野委員、長田委員、増田委員、山本委員
    (高委員長の「高」は、正しくは「はしごだか」)
  • 【事務局】
    二之宮事務局長、坂田参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 消費者基本計画工程表の改定素案に対する意見について
  3. その他
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○高委員長 少し早いのですけれども、既に全員おそろいですので、第293回の本会議を開催させていただきます。

お忙しいところを御参集いただきまして、ありがとうございます。

本日は受田委員、蟹瀬委員、樋口委員が御欠席となります。

それでは、配付資料の確認につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

○坂田参事官 議事次第に配付資料を記載しております。

もし不足等がございましたら、事務局までお申し出いただきますようお願いいたします。


≪2.消費者基本計画工程表の改定素案に対する意見について≫

○高委員長 ありがとうございます。

本日の議題は「消費者基本計画工程表の改定素案に対する意見について」でございます。当委員会では、本年2月14日に、消費者庁より工程表の改定素案についてヒアリングを行ったところでございます。また、同月、地方消費者行政の充実や適格消費者団体への支援の在り方、仮想通貨交換業等への対応などの個別施策についてもヒアリングを行いました。本日は、このヒアリング結果や、これまでに当委員会が行った建議・提言その他の意見や最近の被害実態などを踏まえ、今般の工程表の改定素案に対する当委員会の意見を取りまとめたく思います。

本日は、資料として意見(案)を配付しておりますので、まず最初に事務局より御説明をお願いいたします。

○坂田参事官 それでは、資料を御覧いただきたいと思います。

まず、前文がございまして、次に第1が「全体的な事項」ということで総論的なものを整理しております。

それから、2ページ目に第2がございます。「工程表への反映が必要な事項」ということで、ここでは各論を整理していることになります。

5ページ目になりますが、第3では「次期基本計画に向けた課題」を整理しているということでございます。

最後に第4でございますけれども「最近の被害実態等を踏まえた課題」を6ページ以降で整理をしているということでございます。

以上が構成になります。

それでは、1ページ目の前文にお戻りいただきまして、御説明をしたいと思います。

まず、第1段落では、昨年12月に意見を出しておりますが、それの言及をしているということでございます。

第2段落では、工程表の改定素案について消費者庁が2月15日にパブコメを始めたということで、その点について触れております。

第3段落でありますが、ここでは先ほど委員長からもございましたけれども、様々なヒアリング結果等、それから、これまでの委員会における建議や提言その他の意見などを踏まえること、それから、最近の被害実態等を踏まえて今回の意見を出すということを触れております。

第4段落でありますけれども、今後の話をここでは書いておりまして、引き続き監視を行い、消費者被害の状況が深刻なものですとか、取組が不十分と考えられるもの等については、重点的に委員会の調査審議を通じて取り上げていくということでございます。さらに、必要に応じて建議等の意見表明を行っていく旨を言及しているということでございます。

次に第1ですけれども「全体的な事項」という部分でございますが、ここでは大きく2点を指摘しております。

(1)では「KPIについて」でありますけれども、施策の達成状況に応じ、指標の見直しですとか、アウトカム指標の追加設定を検討すること、それから、目標の数値等についても、不断の見直しを図られたいということであります。

さらに、現状のKPIについての検証を行うとともに、それを踏まえて第4期、これは次期消費者基本計画になりますが、第4期の基本計画の工程表に策定に向けても、より効果的なKPIの設定方法等について検討されたいとしております。

(2)でございますが「工程表の図について」という部分でございます。

年限を区切らずに5年間で取り組むことが示されている項目がございますが、そういった項目については可能な限り具体的な取組に分けた上で、期限を明確に設定した上で図示すべきであるとしております。

2行ほど飛びまして、取組の進捗や効果が思わしくない施策は、その状況を改善するための具体的な対策を工程表に反映されたい。また、第4期基本計画工程表の策定に当たっては、当初よりその点に対しても留意されたいと記載をしております。

第2の「工程表への反映が必要な事項」ですけれども、ここでは8つの項目を取り上げております。

1つ目は「民法の成年年齢引下げに対する対応について」でございますが、第2段落目から読み上げますと、12月意見でも指摘されておりますとおり「成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議」がございますけれども、そこで取り組むこととされております個別の施策等について、いつまでに具体的に何をするのかを明確にした上で、その内容ですとか、スケジュール等を工程表に記載されたいとしております。

(1)は「与信審査について」でございまして、新たに成人となる18から19歳への貸付けや、信用供与に当たってはということで、法律で義務付けられている支払可能見込額調査ですとか、返済能力調査等に加えて、事業者の自主的な取組につきましては、例えば利用限度額等を少額に設定することですとか、借入目的の確認を行うなどがそれに当たるわけでございますけれども、それらの推進を図る必要がある。このため、事業者の自主的な取組状況を可視化するとともに、取組の効果を客観的に検証する等、各省庁の具体的な取組について、工程表に明示されたいとしております。

(2)でありますが「改正民法の周知」でございます。

成年年齢の引下げによりまして、18歳で何ができるようになるのか、どのようなことに留意しなければならないのか等を具体的に周知するとともに、各種媒体の活用等も含め、より幅広い消費者に行き渡らせるための具体的な取組について、工程表に明示されたいとしております。

次のページに移りまして(3)で「特定商取引法(省令)の見直し」の関係でございます。

これにつきましては、成年年齢の引下げ対応として検討することとされておりました以下の点について、その検討状況ですとか、取組状況について工程表に明示されたいということでございます。さらに、工程表の図についても細分化を行って、いつまでに改正等の対応を行うかについて明示されたいとしております。

以下は2点ございまして、連鎖販売取引における若年成人の判断力の不足に乗じて契約を締結させる行為を行政処分の対象とすること。

2点目といたしましては、訪問販売において若年成人の判断力不足に乗じて売買契約または役務提供契約を締結させることが行政処分の対象行為となることを規定上、明確にすることを挙げているということでございます。

2ポツの「消費者契約法の見直し」の部分でございますが、平成29年8月の本委員会の答申の付言ですとか、改正法の附帯決議を踏まえた取組スケジュールを期限ごとに可能な限り具体的に明示されたいとしております。また、改正消費者契約法が本年6月から施行されるということで、その周知・取組を加速化されたいとしております。

3ポツ「地方消費者行政への支援」でございますが、2段落目から読み上げさせていただきますと、「平成30年度から措置された「地方消費者行政強化交付金」については、その補助対象事業が国として取り組むべき重要消費者政策等となって」おりますけれども、地方公共団体において、取組や体制の実態が追い付いていないことや、求める支援とのミスマッチが生じていることが懸念されるということでございまして、そのため、地方における活用状況等の実態を把握し、推進交付金から強化交付金への切替えが地方消費者行政に与える影響と、それを踏まえた財政支援の取組等について検討されたいとしております。

また、地方における体制や自主財源の更なる充実に向けた消費者行政重視の政策転換を促すためには、実効性が確保された取組を継続的に行っていく必要がある。そのため、本年1月から開始された「地方消費者行政強化キャラバン」の成果も踏まえ、平成31年度以降の継続性が確保された具体的な取組について、工程表に明示されたいとしております。

さらに、これまで消費者庁が実施されてきた地方消費者行政に関する施策を検証し、必要に応じて地方公共団体とコミュニケーションを図った上で、中長期的な視点に立った取組について検討されたいとしております。

4番目の「適格消費者団体等への支援」でございますが、2行目から読み上げさせていただきますが、適格消費者団体等の設立促進や、活動支援に向けた取組を進めていくことが重要である。また、消費者団体訴訟制度の信頼性の確保に向けた取組も不可欠であるが、その前提として、団体が自主性を阻害されず十分に活動できることが必要であり、制度創設の趣旨にも合致するものであると言及しまして、そのためということで、消費者団体訴訟制度の機能強化や、団体等の活動の更なる活性化に向けた取組について工程表に明示されたいとしております。

5ポツ目「公益通報者保護制度の見直し」でございますが、昨年12月に当委員会が発出いたしました答申を踏まえた取組状況ですとか、今後の取組、検討スケジュールについて工程表に明示されたい。特に公益通報者保護専門調査会において、方向性が打ち出された事項については、他の事項に先行して検討を行うなど、その実現に向けて積極的に取組を進められたいとしております。

6点目「身元保証等高齢者サポート事業に関する消費者問題についての対応」でございます。12月意見でも指摘したとおり、これまでの取組を踏まえ、今後どのような取組を行うのか、以下の事項を含め工程表に明示されたいということです。

1つ目に預託金の適切な保全などにかかる身元保証等高齢者サポート事業を提供する事業者への働きかけです。

2点目として、平成29年度に実施された実態調査の結果を踏まえた身元保証人に期待される機能の詳細検討、より小規模に提供される高齢者サポートの実態把握、今後、身元保証等高齢者サポート事業の需要が増大する社会における制度の在り方など、実態調査の結果から課題とされた事項に対する更なる取組について挙げているということでございます。

7点目で「事故情報の収集・注意喚起等」についてでございますが、平成29年8月の「事故情報の更なる活用に向けた提言」を踏まえた中長期的な取組スケジュールを検討の上、特に以下の取組について、具体的に工程表に明示されたいといたしました。

まず第1点として、事故情報データバンクの入力項目の精査や事故原因の究明等を行っている研究機関へ公開する等の事故情報の公開促進に向けた取組です。

2点目として、事故情報の更なる活用に向けて、関係省庁のみならず、消費者、事業者、事故情報データバンク参画機関が連携・情報交換をスタートさせる取組について記載をしているということでございます。

8点目「仮想通貨交換業者についての対応」でございます。

3行目の真ん中辺りからになりますけれども、顧客の仮想通貨の流出事案が複数発生している現状を踏まえ、仮想通貨交換業者等に関する研究会報告書を受けた取組等について工程表に明示されたい。

ちょっと飛びますが、取引のリスクや登録業者とみなし業者の違いなどについて、より幅広い世代に分かりやすく伝えることができるよう、実効性の確保に向けて取組を進められたいとしております。

第3は「次期基本計画に向けた課題」になります。

1ポツは「地域における横断的な取組体制の構築」でございますが、人口減少に伴う財源の縮小、人員不足が進む中で、地方公共団体についても多様化・複雑化する行政課題に的確に対応していくためには、これまでの施策や取組に加え、医療や福祉、教育など行政や地域における政策分野に捉われない横串での連携が重要になると考えられる。そのためということで、2行ほど飛びますが、地域コミュニティーや既存のネットワークを活用し、消費者行政関係者のみならず、民生委員やNPO法人、民間事業者など、多様な主体が参画することで、地域全体で消費者行政を含む各種の行政課題に取り組んでいくことが考えられる。

一方で、各地域において、行政だけでは担うことができないコミュニティーやプラットフォームを、規模や地理的条件が様々である中でどのように作っていくか、その担い手となる人材の確保や育成、それを踏まえて活動の拡大に向けてどう取り組んでいくかなどの課題があることに留意が必要であるとしております。

さらに、3行ほど飛びまして、第4期基本計画策定に際しては、既存の消費者分野の施策に加え多分野にまたがる横断的な施策も念頭に置きつつ、地域全体で消費者行政を推進するための体制整備という視点も盛り込むべきであるとしております。

2点目「第3期基本計画に盛り込まれた施策の進捗等にかかる検証・評価」でございます。2行目からになりますが、今後、次期基本計画策定に向けた検討が本格化すると考えられるが、少し飛びまして、第3期計画の初年度である平成27年度からの各施策の進捗状況についても総括的な検証・評価を行い、施策目標の達成度や、その効果を十分に明らかにされたい。その上で、十分な進捗や効果が見られなかった施策については、その理由及び課題等について整理を行い、取組方針を明確化した上で、次期計画に盛り込むべき施策について検討されたいとしております。

最後になりますが、第4で「最近の被害実態等を踏まえた課題」では「悪質商法等による高齢者を中心とした消費者被害への対応」について取り上げております。

悪質商法等による高齢者を中心とした消費者被害が次々と発生・発覚し、老後の資産の不安に付け込むものなど、その手口はますます巧妙化している。少し飛びまして、高齢者の保護や被害救済、消費者被害の未然防止は、我が国の社会全体の安心・安全にも直結する課題である。

そのため、被害やトラブルの発生及び拡大防止のため、所管法令等について不断の整備・見直しを行うとともに、その運用に当たっては、関係省庁が連携して、その実態や被害の発生状況を的確に把握するなど、高齢者を中心とした消費者被害の発生・拡大防止に向けて、積極的に取組を進めるべきであるとしております。

御説明は以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

ただいま、事務局から意見案についての説明をいただきました。ただいまの説明に関して、御質問がある方は、どうぞ御自由に御発言ください。

池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 内容的には事前に内部でも議論したところで異論はありません。趣旨について若干、私の思うところを1、2点補足、発言させていただきたいと思います。

3ページで「地方消費者行政の支援」という項目があります。5ページでは「次期基本計画に向けた課題」ということで、地域における横断的な取組体制の構築というものがあります。いずれも消費者行政が、国のレベルだけではない、地方できちんと充実・強化していかなければいけないという問題意識から来るものですが、特に当面のこととしては3ページにありますように、消費者庁ができた平成21年以来、交付金という形で地方消費者行政の強化が図られてきたものが、平成29年度で原則的に終了し、30年度からは徐々に減少・縮小していると、そのことが地方の現場では非常に混乱を招いている現状があります。

それについて、やはり地域の現場の実情をきちんと踏まえて、まずは現に被害が多発している地域の消費者行政を維持・強化するために何が必要かということで、消費者庁には取り組んでほしいし、もちろん、だからと言って、未来永劫交付金の形で良いというつもりではなくて、自主財源を充実ということであれば、それができるような施策、自治体に向けた働き掛けを継続的にやってほしいということが触れられているわけです。

その延長線が5から6ページの「地域における横断的な取組体制の構築」ですが、地方公共団体の中の消費者行政という非常に小さな部署でしかない、しかしやっている課題は住民の暮らしの安心・安全という非常に幅広い、しかも他の行政分野にも密接に関わる課題なので、消費者行政部門が他の部署と連携をする、場合によってはコーディネーター役をしながら、推進していかなければいけないという非常に重要な役割を今後も担っていかなければいけない。

だとすると、その消費者行政の位置付け自体がもっと高まっていくような、そういう横断的な位置付け、取組を視野に置いた政策を、消費者庁としてもやってほしいという辺りのことが、連続的な課題として提起してあるのだという思いが含まれていることを付言したいと思います。

以上です。

○高委員長 ありがとうございます。

他ございますでしょうか。

大森委員、どうぞ。

○大森委員 4ページの下のところの「身元保証等高齢者サポート事業に関する消費者問題についての対応」のところですけれども、5ページの一番上に「預託金の適切な保全などにかかる身元保証等高齢者サポート事業を提供する事業者への働きかけ」となっております。これはいろいろ実態調査に結構時間が掛かっていまして、一番急ぐのがやはり預託金を適切に保全していただくことがとても大切だと思いますので、やんわり「働きかけ」で終わっているのですけれども、具体的にどんどん施策を進めていただきたいなと思います。

○高委員長 ありがとうございます。

文言はこの書き方でもよろしいですか。

○大森委員 はい。

○高委員長 地方に説明するときには、そこの部分は優先順位を考えてやってほしいということですね。

他、ございますでしょうか。

長田委員、どうぞ。

○長田委員 まず一つは、5ページの「事故情報の収集、注意喚起等」のところなのですけれども、事故情報をデータバンクになっていますけれども、他の機関との情報との統合というのは、やはりこれから求められていると思うのですが、なかなか手が付けられていなくて、要綱の整理とか、システムの問題とか、課題はたくさんあるのかもしれませんが、まず研究するところから、消費者庁が司令塔機能を発揮して是非そこはやっていただきたいというのを強く申し上げたいと思っています。

もう一つは、6ページの次期計画の策定のところで、今の第3期の基本計画の検証・評価は、やはり必須だと思っていますが、今行われていないと、新しい基本計画の検討だけが進められていて、本当にそれで良いのかと思いますので、是非、検証・評価はしていただきたいと思います。

以上です。

○高委員長 ありがとうございます。

ここの内容として書いてあることですけれども、そこを強調してもらいたいということですね。

○長田委員 はい。

○高委員長 ありがとうございます。

増田委員、どうぞ。

○増田委員 2ページの「与信調査について」ですけれども、取組を可視化するようにということは非常に重要なことで、消費者にとって自分がしなくてはいけないことも分かるようになりますので、書いていただいたことは非常に有り難いことだと思います。そして、特商法、消費者契約法についても今回の意見書の中に記載していただきましたので、消費者庁にはしっかり理解して、実施していただきたいと思います。

それから、地方消費者行政の点ですが、4ページのところに「地方消費者行政強化キャラバン」について記載がありますけれども、この成果も踏まえ、平成31年度以降の継続性が確保されたという部分については、成果があるのか、ないのかということもきちんと検証していただきたいということと、それから1回に終わらず、継続することが大事ですという意味であるということを理解していただきたいと思っています。

以上です。

○高委員長 ありがとうございます。

御指摘の点は、この表現で十分でしょうか。特に後半のキャラバンのところの成果も踏まえというのは、思いはそういうところにあるということを先方に伝えるということですね。

○増田委員 はい。お伝えしてくだされば良いかと思います。

○高委員長 行間からも、それは伝わってくると思いますが、了解しました。ありがとうございます。

他はよろしいでしょうか。

この意見案に対する委員の皆様方の思いを今披露していただきましたが、この意見案については、皆様方、御了解をいただいたと思いますので、そのような理解でよろしいでしょうか。

ありがとうございます。

それでは、この意見を消費者庁長官及び関係府省庁宛てに送付したいと思います。関係省庁におかれましては、是非、本意見について積極的に御検討いただき、可能な限り工程表の改定原案等に反映していただきたく思います。

≪3.その他≫

次に「その他」といたしまして、2月2日に大阪市、3月9日にさいたま市で実施しました「消費者問題シンポジウム」について、実施報告を事務局から説明お願いいたします。

○二之宮事務局長 「消費者問題シンポジウム」を2月2日に大阪市で全大阪消費者団体連絡会と、また、3月9日にさいたま市で埼玉県消費者団体連絡会と共催で開催しましたので、御報告いたします。参考資料としまして1及び2を配付しておりますので、適宜御参照いただきたいと思います。

消費者行政担当者や相談員のほか、消費者団体、事業者、一般消費者など、大阪市では約60名、さいたま市では約90名と大勢の方々に御参加いただきました。シンポジウムのテーマはいずれも「高齢者の消費者被害の防止に向けて」としまして、高委員長による基調講演、地域で活動している方からの御報告、パネルディスカッションという構成といたしました。大阪市では蟹瀬委員にパネリストとして御登壇いただき、さいたま市では池本委員長代理にコーディネーターとして御登壇いただきました。また、長田委員には協賛団体との連絡・調整にお力添えをいただきました。

大阪市でのパネルディスカッションでは、大阪市内の各自治体の取組状況や、相談の現場における被害の事例を報告いただいた後に、トラブルの未然防止や早期発見による救済につなげる方策や、そのために近時の法改正の内容では不十分と思われる課題等について、御議論いただきました。

さいたま市でのパネルディスカッションでは、埼玉県内の高齢者の消費者被害の事例紹介の後に、高齢消費者の被害防止や見守りに取り組んでいる方々の取組状況や、感じている課題等を御議論いただきました。また、そのような取組を進めるために必要な財源や人員配置等について、御議論いただきました。

両会場とも最後には共催団体の事務局長から総括コメントをいただきました。また、会場で参加者の皆様にアンケートへの御記入をお願いしましたところ、おおむね高評価をいただいております。また、今後取り上げてほしいテーマやシンポジウムの運営方法として、いただいた意見を幾つか御紹介させていただきたいと思います。

まず、テーマにつきましては「全世代を対象とした消費者教育について」あるいは「地域協議会の具体的な活動報告」あるいは「製品、特に健康食品の安全性について」また「SDGsの進め方について」あるいは「消費者団体訴訟制度について」といったものがございます。

運営方法につきましては、相談事例は事例紹介だけでなく、対処した結果まで聞きたいという要望が寄せられました。

今後、シンポジウムを開催するに当たりましては、活用させていただきたいと思います。

以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

今、紹介いただきましたとおり、さいたま市でコーディネーターとして御登壇いただきました池本委員長代理から一言、感想などありましたらよろしくお願いいたします。

○池本委員長代理 参考資料2にありますように、後援団体がたくさん並んでいます。これは昨年6月に埼玉弁護士会が主催して埼玉県消団連を始め、ここに書いてある自治体や県内の関係団体が後援をして、「地域で防ごう消費者被害」という地域のネットワークを広げていくことで消費者被害を防ごう、というシンポジウムをやった経緯があります。

私たちの意識としては、その地元の第2弾を消費者委員会と消団連主催でやってもらえるということで、関係団体にも声をかけて、今回は特に関係団体の人たちに、国と自治体がそれぞれどういう取組をしているのか。それから、それが今後どういう形で広がっていくのかということを知ってもらうという問題意識で行いました。パネルディスカッションの概要、最後の総括のところにも書いてありますが、県のセンターは従来から出前講座とか注意喚起をずっと取り組んできている。

ただ、それだけではなくて、地域の安全確保、地域協議会を作っていくというのが消費者庁の方針でもありますし、埼玉県は2つのことをやっていて、1つは消費部門と福祉部門の連携の事業ということを県のレベルで福祉の部門と連携しながら、福祉関係の人たちに見守りの課題について取り組んでもらえるような研修会を開くなどしている。もう一つは、地元の適格消費者団体に委託事業の形でサポーターの養成講座プラス、そのサポーターが市町村で活動できる場を作るために、市町村の消費者行政に働き掛けると、そのことがシンポジウムの総括のところに書いてありますが、受託事業という形でこういう活動をしていますという報告もしてもらいました。

それから、埼玉弁護士会は、そういった行政と官民連携の輪をもう一回り大きくする昨年の取組から今回につながり、今後も進めていくということや、消費者行政の充実に向けていろいろ国に向けた働き掛けもしていますと、そういうような議論をしてきたところです。

そういう中で、消費者庁、地方協力課長にもおいでいただいたのですが、消費者庁としては自主財源をどんどん増やしていただきたいと、交付金ではなく自主財源をということに対して、地元ではやはり交付金をしっかり確保してほしいと、認識の違いがあったなということと、だとすれば、自主財源をきちんと確保できるよう消費者庁の施策もやっていただきたいというような、そんな議論をしてきたところでした。

以上です。

○高委員長 ありがとうございました。

私も大阪、さいたま、2つのシンポジウムに参加させていただきました。事務局長が先ほど紹介いたしましたように、今回のテーマは「高齢者の消費者被害の防止に向けて」でございましたので、大阪、さいたま、それぞれにおいて被害防止の具体的な取組について勉強させていただきました。いずれの地域におきましても、特に消費者安全確保地域協議会の設置、また、設置後の機能強化などについて、関係者間で連携して被害防止に努めておられること、例えば自治体の中では消費生活課とか、消費生活センター、それから医療・福祉、教育部門など、そういったところが連携し、また、地域内では自治体、消費生活相談員、それから消費者団体、市民団体、更には老人会などが連携して防止に取り組んでおられることがよく分かりました。

ただ、比較的先進的な取組だと思いましたけれども、大都市圏におけるこういう先進的な取組でありながらも、これは日本全体の問題なのでしょうけれども、やはり超高齢化社会に入ったことで、いずれも大きな課題を抱えておられるなと、改めて感じました。

特に印象に残っているのが、高齢者が被害者になるという問題に加え、いろいろな方が指摘されておりますけれども、消費者行政や消費者被害防止に努めておられる職員、専門家の方々も高齢化し、新たな人材の確保・育成が非常に大きな課題になっていると感じました。大都市圏において、こういう問題を抱えているということですから、その他の地方、市町村等においては、推して知るべしだと思いました。

これから消費者委員会の下で、地方消費者行政に関する専門調査会が議論を始めるわけですけれども、この専門調査会では実際に起こっている問題を直視し、その中で消費者行政がどうあるべきかを、こう言うべきだと思うのですが、前提条件抜きで真剣に議論をし、時代に合った有効な消費者被害防止の仕組みを考えていかなければいけないと強く感じました。

以上が私の感想でございます。


≪4.閉会≫

それでは、本日の議題はこれで終了となります。

最後に事務局より、今後の予定について説明をお願いいたします。

○坂田参事官 次回の本会議は、日程が決まり次第、委員会ホームページを通じてお知らせいたします。

以上です。

○高委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところを御参集いただきまして、ありがとうございました。

(以上)