第292回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2019年2月27日(水)13:59~15:24

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    高委員長、池本委員長代理、受田委員、大森委員、蟹瀬委員、鹿野委員、長田委員、増田委員、樋口委員、山本委員
    (高委員長の「高」は、正しくは「はしごだか」)
  • 【説明者】
    消費者庁加納消費者制度課長
    金融庁総合政策局フィンテックモニタリング室森監理官
    金融庁企画市場局小森市場課長
  • 【事務局】
    二之宮事務局長、坂田参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 適格消費者団体等の認定、監督等に関するガイドラインの改訂と同団体の支援の在り方について
  3. 「仮想通貨交換業等に関する研究会」報告書について
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○高委員長 それでは、時間となりましたので、ただいまから「消費者委員会第292回本会議」を開催いたします。

皆様、お忙しいところを御出席いただきまして、ありがとうございます。

最初に、配付資料の確認につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

○坂田参事官 議事次第に配付資料を記載しております。

もし不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますようお願いいたします。

なお、本日メインテーブルでは、ペーパーレスの観点からタブレット端末を併用しておりますので、よろしくお願いいたします。

以上です。


≪2.適格消費者団体等の認定、監督等に関するガイドラインの改訂と今後の支援の在り方について≫

○高委員長 ありがとうございました。

本日の最初の議題は、「適格消費者団体等の認定、監督等に関するガイドラインの改訂と今後の支援の在り方について」でございます。

適格消費者団体等への支援については、昨年9月に発出いたしました「次期消費者基本計画策定に向けた基本的な考え方についての意見」などでも言及したところですが、この度、適格消費者団体及び特定適格消費者団体の適正な業務運営を確保するため、消費者庁において、内閣府令の改正やガイドラインの改訂に向けた準備が進められ、その改訂案等については昨年8月から9月にかけて意見募集がかけられました。その後、消費者庁において検討がなされ、2月1日にガイドラインの改訂と意見募集の結果が公表されたところでございます。

本日は、その内容と適格消費者団体への支援の在り方について、消費者庁から御説明をいただき意見交換をさせていただきたいと思っております。

本日は消費者庁加納消費者制度課長にお越しいただいております。

お忙しいところ御出席いただきまして、ありがとうございます。

それでは、20分程度でまずは説明をいただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。

○消費者庁加納消費者制度課長 消費者庁の加納です。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、順次御説明をしていきたいと思います。

まず、今般、ガイドラインの改訂を行ったわけでございますけれども、なぜこの時期にガイドラインの改訂をするのかという経緯でございますが、昨年3月、適格消費者団体のある団体の役員が関与する事業者、その役員は当該事業者の役員でもあったわけでございますが、その事業者に関し、景品表示法上の不当表示がされているということで措置命令が発出されるという事態が発生いたしました。

適格消費者団体につきましては、差止請求権を消費者利益の擁護のために行使することがふさわしいということで、それを前提に認定を受けているわけでありますけれども、制度の信頼性に関わる問題であるという認識の下で、さらには、事業者からの独立性を適格消費者団体としてどう担保すべきかという問題意識の下、消費者庁で検討し、ガイドライン及び内閣府令の改訂案を策定いたしまして、昨年8月から9月にかけましてパブリックコメントに付し、いただいた御意見などを吟味いたしまして、今般、整理して、改訂に至ったというものであります。

ですので、問題意識としましては、そういった適格消費者団体の役割、位置付けに鑑みた制度の信頼性、とりわけ事業者からの独立性の担保をどうやって図っていくべきかというのが背景にあります。

具体的に改訂をしたものにつきましては、資料1-1と1-2、1-1が適格消費者団体関係、1-2が特定適格消費者団体関係となっております。内容的には、1-1の一部が1-2にあるという関係になっておりますので、1-1に基づいて御説明、御紹介をしたいと思います。

まず、1-1の1ページ目を御覧いただきますと、事務所に関しまして、下線を引っ張っているところですが、こういった改訂をすることにしたものであります。現行の適格消費者団体は、事務所を置いて、その事務所において差止請求に関する業務をすると。具体的には、情報収集をし、分析・検討して、必要に応じて差止請求、これは訴訟外の申出や訴訟を起こすといったこともありますが、そういった検討を行う場として事務所を構えると。この事務所につきましては、事業者の事務所と独立性を持った事務所とする必要があるだろうと考えておりまして、事業者の事務所と適格消費者団体の事務所が混在するような形であっては、事業者の活動と適格消費者団体の活動が外部から見て区分されず混同していると見られかねないという問題意識でありまして、事業者の事務所と適格消費者団体の事務所は、外観、構造その他の所から見て、混同されるものであってはならないという内容を盛り込んだものであります。

次に、2ページでありますが、適格消費者団体の不利益処分に関しまして、マル6ということで追記をしたものであります。これは冒頭に申し上げました適格消費者団体の役員が関係する事業者が景品表示法上の不当表示をしていたということで措置命令を受けるという事態に鑑みまして、景品表示法につきましては、適格消費者団体が不当表示の差止請求を行使するということになりますので、その信頼性を確保するという観点から、団体の役員が関係する事業者が特定商取引法や景品表示法など差止請求の対象となる法律に違反して処分を受けた場合に、一定の期間を経過しない場合については、当該役員の解任なども含めた人的体制の改善をすべきであるという観点で改善命令の対象とすると位置付けたものであります。

この改善命令につきましては、現在の消費者契約法33条というところに規定がありますけれども、その中で、人的体制の改善を場合によってはすることができるというのは立法によって既に手当てされているところであり、今回のガイドラインの改訂は、その内容を確認的に書くとともに、行政権が恣意的に監督処分をすることのないようにする観点から、抑制的に発動する場合を書き表したというものであります。

特定適格消費者団体のガイドラインにつきましては、1-2でありますけれども、1-1の適格消費者団体のガイドラインのうちの2点目の役員に関するものを、特定適格消費者団体についても同様に盛り込んだというものであります。

以上が改訂の内容の御紹介であります。

次に、パブリックコメントの状況について概括的に御紹介をしたいと思いますが、資料1-3を御覧いただきますと、その手続、平成31年2月に取りまとめたものでありますが、下の2.にあるように、平成30年8月から9月にかけて意見募集をしたものであります。

その概要については、資料1-4で、寄せられた御意見とそれに対する考え方ということで書いているものであります。

今回、ガイドラインの改訂に至ったのは、先ほど資料1-1で御紹介をした主に2点、事務所に関係する事項と役員に関する事項でありますけれども、パブリックコメントに付した改訂案としては、その他にも幾つかの案が盛り込まれておりました。それらにつきましては、御意見を踏まえ、改正を行わないこととしたというものも幾つかありまして、例えば、資料1-4の1ページに書かれている辺り、これは内閣府令の改正ということで掲げたものでありますが、具体的には当該団体が事業者から労務の提供を受けている場合に、その総額を書類に記載すべきであるというような内容を盛り込もうとしたものでありますが、労務の提供の総額については、担当者の業務の従事の程度により区分等をした上で提供の額を記載するということが期待されるのですけれども、実務上それが非常に難しいのではないかといった趣旨の御意見をいただきましたので、適格消費者団体に対して必要以上に負担をかけるものと成りかねないということから、今回の改正では盛り込まないことにいたしました。

2ページ目、ガイドラインの改訂事項として体制、業務の規定に関する柱書きの追加ということで、その中身としては、考え方にありますような特定の事業者に過度に依存することがないよう留意することが望ましいということを柱書きとして盛り込もうということを案としてお示ししたものでありますが、その書きぶりが抽象的であり、これがひとり歩きをして監督権限行使の根拠となるというところに対しての懸念が寄せられましたので、理念としては望ましいと私どもとしては考えておりますけれども、ガイドラインに書くのが適当かどうかという点については、今一度一度慎重な検討が必要であろうということで、改訂を行わないことにいたしました。

もう一点、2ページの下の欄、「差止請求に係る相手方と特別の利害関係を有する場合」に該当するとしてその職務を行い得ない場合に関する記載の追加というところでありますけれども、具体的には、代表者などの一部が事業者と特別の利害関係を持つ場合に備えて、例えば代表者を複数名持つといったことを内容として盛り込むことをお示しいたしましたが、現実に単独の代表者であって弊害が起きているわけではないという御指摘をいただき、そういったいわゆる立法事実という点については、更に慎重に検討する必要があるのではないかということで、改訂案としては盛り込まないことといたしました。

3ページ以下は、逆に、御意見をいただきましたけれども、提案を維持したというものになります。3ページの下のほうにあります事務所の記載につきましては、先ほど御説明したとおり、提案のとおりガイドラインを改訂するというようにしたものであります。

なお、この事務所の問題につきましては、続きまして、4ページの52番というところで、施行期日に余裕を持たせるべきという御指摘がありましたので、それを踏まえ、この事務所の部分の改訂ガイドラインの施行につきましては、平成32年4月1日とするということで一定の準備期間を設けるような対応をすることといたしました。

5ページ、先ほどガイドラインの改訂ということで申し上げました役員の点でありますが、当初案では、これを改善命令ではなく適合命令、この適合命令といいますのは団体の認定要件が欠けている場合にその適合を命じるというものでありますけれども、そこに位置付けることを案としてお示ししておりましたが、これは法改正によらずして欠格事由を設けるものであり、不適当であるという御意見をいただき、その点につきましては、適合命令としてではなく、改善命令として位置付けると、見直しをしたものであります。

ガイドラインの改訂につきましては、以上であります。

続きまして、適格消費者団体に対する支援ということでありまして、資料1-5としてポンチ絵をお配りしております。このポンチ絵は、昨年10月に委員間打合せにおいて消費者庁から御説明した際の資料を基に時点修正を加えたものでありまして、内容は当時と大きく変わるものではありません。1から4まで大きく分けて四つの項目につき、「自立の促進」、「事務負担軽減」、「情報面の支援」、「財政面の支援」、それぞれについて適切に支援を行っていきたいと考えているところであります。

昨年10月に御説明をしたときから修正があったところについて補足をいたしますと、まず、1の「自立の促進」という点でありますが、一番下のポツ、差止成果事例集の作成・公表と。これは適格消費者団体が差止請求をして、例えば契約条項が改善されたとか、表示が改善されたといった事例があります。これは必ずしも裁判によらないものも含めてありますが、そういったものにつきまして、適格消費者団体の活動状況を広く世の中に周知する。これは消費者にとって非常に重要であるという側面もありますが、適格消費者団体にとっても、その活動を広く世の中にPRして、団体に対する支援につなげることに資するものと位置付けておりまして、こういった作成・公表の事業を行っております。

それから、3の「情報面の支援」でありますが、最後のところで、PIO‐NET情報の開示範囲の拡大という点であります。適格消費者団体は、現行制度でPIO‐NET情報につきまして、一定の手続の下で国民生活センターなどから提供を受けることができるという運用を行っておりますけれども、その中でいわゆる処理結果に関する情報というものについても開示を望む御意見が従前からあったところであります。今般、国民生活センターや地方公共団体等といろいろ御相談、調整をいたしまして、その処理結果につきましても、処理結果の内容ではありませんが、その結果そのもの、例えば紛争が解決、返金されたとか、そういった結果そのものについては開示をするということで、一歩その範囲を拡大するように取り扱いたいと考えているところであります。

最後が4の「財政面の支援」でありますけれども、従前からやっているものではありますが、主な取組の最後のポツの地方消費者行政強化交付金による支援としまして、主として適格消費者団体ないし特定適格消費者団体の設立に関する支援ということではありますが、新潟県や愛知県などにおいてそういった事例があるということでございまして、こういった取組につきましては、引き続き実施していきたいと考えているところであります。

適格消費者団体は消費者利益の擁護のために差止請求権を行使するということで、その活動は非常に重要であり、支援も非常に重要であります。他方で、差止請求権の行使は事業活動にも影響を及ぼし得るものであり、その行使には適正さが必要と。制度の信頼性の確保がされた上で適格消費者団体の活動を充実・強化するための支援があるというふうな関係にあると理解をしておりまして、適正なガイドラインの整備と支援は、いわば車の両輪であると、そういった制度の信頼性の確保があってこその支援であると消費者庁としては考えており、引き続き支援、それからガイドラインの改訂などの制度の信頼性の確保のための措置にはしっかりと対応していきたいと考えております。

御説明は以上であります。

○高委員長 ありがとうございました。

ただいまの御説明に関しまして、質問等がございましたら、御発言ください。

長田委員、どうぞ。

○長田委員 今、最後に御説明いただいた支援の現状のところでお伺いしたいのですが、まず、「自立の促進」のところに民間基金の後押しと書いてありますけれども、この民間基金はスマイル基金を想定されているのでしょうか。もしされているのであれば、きちんとスマイル基金と書いていただきたいなと思いました。スマイル基金自体、非常に苦労しながら寄附を集めて、これまでもそんなに多額ではないけれども、いろいろな団体に具体的な支援を実際に行っていて、ここを支えていくということもとても大切だと思いますので、具体的に名前を書いていただくことがいいのではないかと思います。

加えて、今、休眠預貯金の分配の話、資金分配団体に何とか適格消費者団体もということで運動を続けているわけですけれども、それに認められるために一体どういう課題があって、何を解決すればいいのかということは、適格消費者団体はみんなそれぞれで調査をしたり、いろいろ対応していますけれども、消費者庁で何かお手伝いいただけることがあるのではないかと思いますので、それを是非考えていただきたいと思っています。

もう一つ、消費者庁で、適格消費者団体の情報収集事業の委託事業というのがありますね。例えばあれを地方公共団体にも拡大するようなことができないかという研究も是非していただければということです。いろいろな団体、自治体がありますけれども、行政指導に十分取り組めていないところもいっぱいあると思いますが、例えば個別案件の違法性の検討とかを、適格消費者団体が委託を受けて、その結果を行政指導に生かしていただくというような、そういうスキームとかも研究していただけたらいいのではないかという一つの提案です。

もう一つは、適格消費者団体は、いろいろな自主的なセミナーとか、自らの活動を皆さんにお知らせするためのセミナーなどにも取り組んでいますけれども、そこにも是非消費者庁が後援とか広報の協力なども実質的にやっていただけないか。

以上です。

○高委員長 4点お願いできますか。

○消費者庁加納消費者制度課長 まず1点目の民間基金について、想定しておりますのはスマイル基金のことです。これを書くかどうかについては、今回の資料には書いておりませんので、今後どうするかは、また検討させていただきたいと思います。

それから、休眠預金でありますけれども、休眠預金の資金の活用先として適格消費者団体があるかどうかということなのですが、これは法律で、使途として何を想定するかというのが三つほど、私も手元に条文がないので不正確ですけれども、たしか貧困防止とか幾つか列挙されていたと思います。そういった活動に充てるということで立法的手当てがされたものと理解をしております。適格消費者団体の活動がそれに当たるのかどうかというのは、その解釈・運用によるのではないかという点でありまして、やはり休眠口座というのは資金としては非常に大きなものになるわけであり、その中で社会的にどういった活動に充てるのかというのは立法的に判断がされたものだと思います。三つほど列挙されていますので、それに当たるかどうかということになるのではないかと思います。

それから、情報収集に関する委託事業を現在消費者庁ではやっておりまして、幾つかの適格消費者団体がその受託をしているところであります。この情報収集に関する業務は委託事業でありまして、その委託の趣旨は、主として消費者裁判手続特例法、この被害回復制度について附則で見直し規定があり、その見直しに資する情報の収集・分析をしなければならないわけですが、その業務の一部を適格消費者団体に委託するということで事業を立てているものであります。

地方公共団体においてもそういうのを実施してはどうかということなのですが、釈迦に説法で恐縮ですけれども、委託事業というのは、国や地方公共団体などの行政庁が本来自分でやるべきところを外部の専門性などを活用するという観点から委託して行うものであり、今回の事業は、消費者裁判手続特例法に基づく被害回復訴訟制度に関する見直しの分析・検討をする上での情報の収集・分析という業務について、これは本来、国がやるべき話でありますけれども、日頃消費者被害に接し、分析・検討している適格消費者団体の知見をお借りするということで事業として委託するものであり、地方公共団体において同様の事業をするかどうかは、当該地方公共団体がどういうことをしなくてはいけなくて、そこについてどういう外部の専門性ないし知見を活用するのかという関係があるかどうかによるのではないかと思われます。

最後の4点目の自主セミナーの後援については、積極的に対応していきたいと思います。

○高委員長 ありがとうございました。

蟹瀬委員から、どうぞ。

○蟹瀬委員 ありがとうございました。

今の改訂のところで、事務所の独立性と適格消費者団体役員の適格性とかをおっしゃっていただいて、大変良いかと思います。ただ、事務所の件に関して、支援のことを鑑みたときに、本拠地が事務所内で混在してはいけないと言われたときの費用。要するに独立して事務所を持たなければいけないといったときの費用がないために、一つの事業所で借りている、その中の一部を使っているということが現実にあるとするならば、この改訂は改訂で非常に正しいことだと思うのですが、財政面の支援に事務所を維持していく、そういったものを支援していきますよということは網羅できているのですか。それとも、それは自分たちでやってくださいということなのでしょうか。

○消費者庁加納消費者制度課長 自分たちでやってくださいというのが基本です。基本ですが、ただ、その事務所を探すのに非常に苦労しているということもあるかもしれませんので、結局、事務所というのは、その場所でどれだけの賃料かということによるわけですから、そういったことに関して、最近では、ある適格消費者団体は、そういった事務所の提供について、地元の地方公共団体から提供を受けるといったケースもあります。そういったことについて情報提供して検討していただくとか、そういった対応はサポートしていきたいと考えています。

○高委員長 よろしいですか。

○蟹瀬委員 ありがとうございます。

情報を得た後の実際の活動の拠点となった場合に家賃が発生するわけですが、それを、例えばある程度軽減させるような措置というのはないのですね。

○消費者庁加納消費者制度課長 それは特にありません。

○高委員長 大森委員、どうぞ。

○大森委員 パブコメを受けていろいろ修正していただいて、ありがとうございます。

4番目の財政支援の分なのですけれども、これは基本は設立支援に限られるというところがとても不満なのです。というのは、やはりできてから後、続けるということがとても大変で、いろいろな面でランニングコストもかかって、持ち出しをしながらやっているのが現状だと思うのです。消費者庁も消費者の身近な省庁でありながら、一般の消費者にとっては、どこで何をやっているのか余り伝わっていないというところがあって、消費者庁がもっと強くなって欲しいと思う私としては、その辺りが欠点ではないかと思っています。

適格消費者団体も消費者の困ったことを代表して動く団体でありながら、ほとんどの消費者に知られていないという現状がありまして、この辺りを、消費者庁というのはいろいろなところに支部を持たないので、適格消費者団体を支部的な形でもっと身近な消費者に寄り添うような事業を展開して、そういう面で、先ほどの情報収集だけではなくて、もっと委託的な仕事を増やしていただけたらなと思っています。

先ほど休眠預金のお話も出ましたけれども、いろいろな罰金があって、消費者が実際に被害を受けていながら、もう消費者には返せないというような罰金などもあると思うのです。そういうのは個別の消費者には返せないけれども、消費者のために活動する適格消費者団体に返すというのが一般消費者にとってとても分かりやすいのですね。法律的にどうのこうのというような問題があって、私はその辺り、専門家でないので分かりませんけれども、その法律ができたときに適格消費者団体というものがあったのかどうか。現状のように国も地方もお金がなくなって、非常に政策的なことができなくなっているような状況があったのか。そのようなことも含めて法制度も見直していただけたらなと思います。

○高委員長 どうぞ。

○消費者庁加納消費者制度課長 今、大森委員がおっしゃった法律ができたときの法律とは、何の法律のことを指していらっしゃるのですか。

○大森委員 先ほどの休眠預金に関しては使途がはっきりしていると。他の法律については、私は法律の専門家ではないので知らないけれども、この法律では使えない、適格消費者団体にはいかないようになっているというものもあると思うので、その辺りを見直していただけたらという意見です。

○消費者庁加納消費者制度課長 休眠預金の法律については、最近の立法ですから、これは適格消費者団体は既にあったわけであって、適格消費者団体以外にもいろいろな社会的に意義のある活動をしている団体というのは幾らでもあるのですけれども、そういった活動の中で、立法では、先ほど3分野と申し上げましたけれども、貧困対策など、そういった分野についてということで、そこは立法者がいろいろと勘案した中で法律に書かれたのだろうと思います。私は直接この立法に携わっているわけでもないので、余りこれ以上責任のあることは言えませんけれども、出来上がった立法はそうなっていると。それをどうするかというのは、また別途の話ということだと思います。

それから、冒頭で財政面の支援について、消費者行政強化交付金の支援は主として立ち上げ支援であるというのはそのとおりでありまして、それを立ち上げ後の活動にも充てるというような支援ができないのかと。そういう御指摘は理解できるのです。適格消費者団体というのは基本的に持出ですから、なので、そこは何とかということなのですけれども、他方で、適格消費者団体の活動、差止請求をやる上でいろいろやると。主として大きいのは人件費なわけですね。その人件費に国が補助金なり何なりという形で直接支援をするようになりますと、行政の縛りというのも当然強くなると思います。というのは、要するに、最終的に税金を使って適格消費者団体の人件費に充てるということになるわけですから、これは当然対外的な説明というのを求められることになると思います。何でこのお金を、誰に払ったのですかというのは当然詳細な説明が求められると。そういった形になりますと、団体の自主性といいますか、そういった観点からすると、そういう方向性が本当にいいのかどうかというのは、一歩踏みとどまってよく考える必要があるのではないか。

今、適格消費者団体というのは、財政的には厳しいのですけれども、行政から何かやれと言われてやるのではなくて、この条項は不当ではないかと、あるいはこの勧誘はおかしいのではないかということで自分たちが自主的に考えて差止をして、是正を図っていくことができるという、正に消費者が自ら市場の適正化を図るためのツールとしてあるわけであり、それは国あるいは地方公共団体の行政とは別の観点で、独自に消費者が自ら市場を適正化していくのだという理念のもとに、そういう請求権を付与されているわけでありまして、行政がやれと言うからやるのではなく、消費者の立場から、自分たちにとってこれはおかしいのではないかという問題提起をして、最終的には裁判ということで強制力を持つことができるとしている点にうまみがあるわけであります。そういったところの兼ね合いをどうするかというのはよく考えていく必要があるのではないかと。

それは、この適格消費者団体制度をどのように位置付けていくのかということに絡むと思います。公益的業務をやるという意味では、確かにそうなのですけれども、行政そのものではないわけですね。適格消費者団体というのはあくまでも消費者団体であります。その認定等において監督を受けることもありますけれども、それは制度の信頼性の確保から受けるということでありますが、基本的に差止請求権の行使については自分たちで考えてやって良いという制度でありますので、例えば行政とは別の考え方、別の根拠で差止請求をすることも有り得るというふうに立て付けとしては作っているわけでありますから、そういったところとの兼ね合いも考えていきつつ、やっていくと。

適格消費者団体の中でも、そこはいろいろな御意見があろうかと思います。行政から支援をもっと受けたいという御意見が確かに多いのは事実でありますけれども、自分たちの独自のやり方でやっていきたいという御意見もあるところでありまして、その調整、調和をどう図っていくかということではないかと思います。

○大森委員 一つだけ、御心配いただかなくても、私の知る限り、適格消費者団体に所属している方々は、お金をいただいたからといって、納得できないことをやったり、意見を変えるということはないと思います。

○高委員長 ありがとうございました。

他はございますでしょうか。

池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 御説明いただいた中で幾つかの論点については、昨年の原案の段階からパブコメで出された意見を踏まえて修正されたという点で、柔軟な対応をされたという点、私は一定の評価すべき点だと思っております。この点はむしろ感謝申し上げたいと思います。その上で二つのことをお伺いしたいと思います。

一つは、ガイドラインの中で特定の事業者と混同されることがないように事務所の構造とか、要するに事業活動をする人と同じ中で机を並べてやっているということでは、これは外部から見ても混同されるということになるので、それはよろしくないという、そこをちゃんと混同されることがないようにしなさいということがガイドラインに今回入りました。

もっとも、近年の認定をするときの審査の中では、もう何年か前からそうですが、例えば完全に机を普通に並べてではなくて、ちゃんと間仕切りをして別にしなさいとか、あるいは最近だと入口もできるだけ変えてくださいとか、そういう形で外観上も事業者の活動と適格団体とが場所的にも区別できるようにということは、認定の審査段階でなさっていたのだろうと思います。

今回のガイドラインにこの言葉が入ったのは、近年行われていたそういった指導の中身を確認的に、明示的にしたと理解してよろしいのか。それとは別に、もっと厳しいルールに変えたというふうに受け止めなければいけないのか。その点について確認したい。これが1点です。

2点目は、財政支援に関連して、先ほど来の質疑の中でも、消費者庁から今、情報収集・分析の事業について補助をしていただいているという、非常に適切な対応、支援をしていただいていると思っているのですが、それについて長田委員からの質問の中で、そういったものが自治体からもできるような措置、対策ができないかという質問がありました。

それに対して説明された中で、委託事業として出すかどうかは、自治体が本来行うべき事業について外へ出していくことであるという趣旨の御説明がありました。

ただ、その中身ですが、自治体が例えば景品表示法とか特定商取引法上の処分をする、その処分をする権限を正に下請として、こういう規準でやってくださいというときにしか出せないことなのか。むしろ地域の市場、あるいは我が国の市場を適正化するということで差止請求業務が機能しているのだとすれば、そういう方向で是非頑張ってくださいと。例えば、都道府県は自分の管轄区域内の問題についてはできるけれども、全国で平均的に起きていることについて、なかなか人的にも取り組みづらいところがある。それを民間団体の中で適格消費者団体としての認定を受けたところに頑張ってほしいということで支援をするということは、その独立性は尊重した上で一定の支援をするということは十分に有り得るのではないかと思うのです。その辺りは考え方の問題としてどのように受け止めればよいのかという点について、お伺いしたいと思います。

○消費者庁加納消費者制度課長 まず1点目の事務所は、池本委員長代理がおっしゃるところの確認的なものという理解でおおむね間違いないと思います。

若干、混乱を招きかねないので補足をさせていただきますと、適格消費者団体の事務所において、先ほど申し上げたような区分性といいますか、構造で独立性を持つということにおいては、例えば適格消費者団体の新規認定の申請があった場合などにおいて消費者庁からそういった事実上の助言なり指導をするといったことはありますが、それは何かというと、分析的に言うと、あくまで事実上のものにすぎないと思います。ですので、そうではなくて、もう私はこれでやりたいのだと、混在している状況で認定の申請をされたら、それをどう判断するかは分かりません。必ず不認定になるとも、認定されるとも何とも言えませんが、ただ、そういう状況は望ましくないのではないかという問題意識の下で、そういう助言なり指導をしていたというものであります。

今回のガイドラインの改訂もそれを踏襲するものでありますので、その意味では確認的。しかし、ガイドラインでは今回新規に盛り込んだという点では創設的ですので、従前の運用を踏襲したという言い方はできると思いますが、ガイドラインが確認的かと言われると、それは用語としては不適切かもしれないという趣旨であります。

もう一点、委託事業の点についてでありますけれども、確かに地方公共団体では知り得ない消費者被害の状況とか、そういったものを適格消費者団体から情報収集するといった発想は、それはあっていいのではないかと個人的に思います。ただ、それは先ほどの繰り返しになりますけれども、当該地方公共団体においてどういうことをしたいのかと。何かしたいことがあってそれを専門性があると認められるところに委託するというのが委託事業だと思いますので、それによるのではないかということでありまして、今回の消費者庁がやっている委託事業は、先ほど申し上げたように、消費者裁判手続特例法の見直しに関する被害情報の収集・分析と、これは本来国がやるべきことでありまして、その業務の一部を適格消費者団体の知見を活用させていただきたいというものでありますから、あっていいと思いますけれども、地方公共団体が何をしたいのかということに尽きると。ですので、これ以上はこの場では何とも申し上げられません。

○高委員長 ありがとうございました。

他は。

池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 御説明ありがとうございました。

もう一点、財政支援に関連したところで質問と意見を交えたものになります。

先ほど御説明いただいた中で、現在でも地方公共団体から新潟とか幾つかのところで設立支援をしているというのがあります。ただ、特定適格への設立支援というのは最近のことですが、適格団体に対する設立支援というのは推進交付金の時代にはそのメニューの中にも明確に位置付けられていたことで実施できていましたが、強化交付金という中には、推進交付金の継続分と新しい国の重点課題に呼応する施策というものがありますが、新しい部分には適格消費者団体の設立支援というのは入っていなかったのではないか。

制度のそこの使途をどう見直すかということが、昨年、途中からも議論されてきているので、そこの幅が出てきたのであれば非常に結構なことなのですが、むしろ今年度あるいは次年度の4月以降も、既に認定を受けている19団体以外の目指す団体が、今後設立しようというところを地元の自治体がそこを積極的に設立支援していくということが交付金によってカバーできるのかどうかというところについて、確認させていただきたいと思います。

○消費者庁加納消費者制度課長 カバーできると聞いております。

○高委員長 他にございますでしょうか。よろしいでしょうか。

ありがとうございました。今回の改訂に当たっての背景について、きちんと説明をいただきまして、よく理解できました。制度的な信頼性をどう確保するかということと、特に事業者からの独立性をどう担保するかというところでガイドラインの改訂を行ったということでございました。

ただ、それと併せて、制度の信頼性をどう確保するかということを考えますと、やはり団体自身が本来の目的を存分に発揮してもらわなければいけないということも、片方であるかと思います。

委員から出ておりました意見を少し整理しますと、現在、立ち上げ支援にとどまっているところ、これをもうちょっと可能性について検討いただけないかということ。その中で、長田委員からいろいろ具体的な発言がありまして、制度課長から検討してみるという発言もありましたので申し上げますと、例えば民間基金の後押しですね。スマイル基金という名称を使うかどうか、これは検討するということですけれども、もし民間基金の後押しということを考えていただけるのであるならば、先ほど休眠預金というのは、適格消費者団体は難しいかと思うのですけれども、このスマイル基金については可能性があるのではないかとも思っています。ただ、基金だけではなかなか知恵が出なくて、その面で少しだけでもお知恵を貸してもらえればと思います。

経団連の外郭団体がここの資金の配分に関する仕事を中心になって、事務局となってやられると聞いておりますが、先だって、その団体の委員として仕事の要請をいただいたのですが、私自身、スマイル基金の理事をやっているので、利害関係があるということでお断りさせていただきました。スマイル基金は、休眠預金への申請をまだ諦めておりませんし、申請に向けての活動は続ける予定です。難しいかもしれませんけれども、こうした基金の活動に対し、また申請に対し、お知恵だけでも貸していただければ有り難いと思います。

それから、これはすぐにでもやっていただけるかと思いましたのが、適格消費者団体等がセミナーを開催するときの後援とか広報とか、こういった支援も是非お考えいただけると有り難く思います。

それから、事業者の事務所と適格消費者団体の事務所は混同されてはいけない。そのとおりだと思います。これも強化ではなくて、あくまでも既にあった考え方を明確にしたということで、私も理解できました。ただ、ここが明確にされたということで、2020年4月からの施行になるわけですが、施行に向けて各団体とコミュニケーションをよくとって、活動の更なる活性化に努めていただければと思います。

少しだけ整理させていただきましたけれども、今、申し上げたことで、これは工程表の中に書き込んでも良いというものがあれば、是非とも工程表の中に書き込んでいただければと思います。

以上をもちまして、意見交換は終了させていただきます。非常に重要なテーマでございますので、私どももそちらの取組を今後も注視してまいります。よろしくお願いいたします。

(消費者庁消費者制度課退室)

(金融庁企画市場局市場課、金融庁総合政策局フィンテックモニタリング室入室)

≪3.仮想通貨交換業等に関する研究会報告書について≫

○高委員長 二つ目の議題は、「仮想通貨交換業等に関する研究会報告書について」でございます。

仮想通貨については、平成29年12月に発出しました「消費者基本計画の実施状況に関する検証・評価及び計画工程表の改定に向けての意見」の中で、詐欺的行為を行う事業者による消費者被害が発生していることや、仮想通貨が投機対象として取引されている実態を踏まえ、消費者保護の実効性確保に向けた取組を求めたところでございます。

その後、昨年1月に、不正アクセスにより、仮想通貨交換業者が管理する顧客の預かり資産が外部に流出する事案が発生した他、金融庁の立入検査により、みなし登録業者や登録業者における内部管理態勢等の不備が把握されたといった話も聞いております。こうした状況を受け、仮想通貨交換業等をめぐる諸問題について制度的な対応を検討するため、金融庁において研究会を設置し、昨年4月より検討が進められてまいりました。

先般、研究会の報告書がまとまったということでございますので、本日はその内容について金融庁から御説明いただき、意見交換を行いたいと思います。

本日は、金融庁企画市場局小森市場課長、総合政策局フィンテックモニタリング室森監理官にお越しいただいております。

お忙しいところ御出席いただきまして、ありがとうございます。

恐縮ではございますが、15分程度で御説明いただけますでしょうか。

○金融庁総合政策局フィンテックモニタリング室森監理官 森と申します。よろしくお願いいたします。

それでは、資料に基づきまして御説明申し上げたいと思います。

まず、「暗号資産交換業者に対する対応」ということでございます。

これまでの対応ということで、法施行(2017年4月)以降と最初に書いてございます。これは資金決済に関する法律、資金決済法と言っておりますが、暗号資産交換業者に対して登録制度を入れまして、利用者保護を図る。また、もう一つ、犯罪収益移転防止法というものがございまして、これによりまして、暗号資産交換業者において取引の際に本人確認を行うことを義務付けるということを施行いたしました。これが2017年4月でございましたが、それ以降、登録審査を実施して、同年12月までに16社を登録いたしました。また、法施行の前から暗号資産交換業を行っている業者というのは、みなし業者と言っておりまして、それは16社おりました。これらの業者に対してモニタリングを実施していたところでございました。

その下でございますが、昨年1月26日、当時みなし業者でございましたコインチェック社が不正アクセスを受けて、仮想通貨(暗号資産)が不正流出したという事件がございました。後ほど御説明いたしますが、当時は相当利益を上げていた時期でございましたので、同社に現預金が相当あったということで、580億円相当流出したのですけれども、顧客に対しては同年3月12日に現金で補償したということでございます。

その下でございますが、この事案を踏まえして、他の業者は大丈夫なのかということで、当時16社ありましたみなし業者全てと、登録業者のうちこれまで9社に対して立入検査を行い、問題が判明したみなし業者10社及び登録業者7社に対して、行政処分を実施してまいりました。

現状、2月の時点では、登録業者は16社からコインチェックが登録され、1社増えて17社になっております。また、みなし業者は当時16社あったものが現在は2社にまで減っているという状況でございます。

その下でございます。これまで実施した暗号資産交換業者等の立入検査などで把握した実態、問題点について公表いたしております。これは3ページ目で後ほど御説明申し上げます。

ここに書いてございませんが、9月にはテックビューロ社で、また仮想通貨(暗号資産)の不正流出がありました。これは約70億円で、うち顧客分が45億円でございました。こちらにつきましては、同じ登録業者に事業譲渡をして、顧客への補償を行っているということでございます。

その下でございます。登録業者で設立した団体、日本仮想通貨(暗号資産)交換業協会というところがございます。ここを自主規制機関として認定いたしました。したがいまして、行政とこの自主規制機関で、車の両輪として検査監督をやっているという状況でございます。

その下でございます。新規登録申請業者への対応ということで、やはり一時期相当利益を上げていた時期もありまして、新規参入を希望する事業者というのは多数おられます。約160社と書いてございますが、これは例えば電話とかメールで、登録に関心があるけれども、どういう手続があるのかというコンタクトを1回してきた者も含めて160社ということでございますけれども、多数関心があるということは間違いございません。そこで、その下でございますが、登録審査の透明性を高めるという観点で、登録審査に現在利用している「質問票」、これは、これまで登録審査でこれに基づいて審査していたものですが、これ自体を公表させていただいて、厳格に審査を行うというのを昨年10月に公表いたしましたし、さらに、審査プロセスにどれぐらい時間がかかるのかが分からないという御意見が相当ありましたので、それはおおむね6か月程度であるということを、今年の1月に公表させていただいているところでございます。

その次のページ、消費者への注意喚起ということでございます。2017年9月以降、利用者に対して、消費者庁、警察庁と連名で注意喚起を繰り返し実施しているところでございます。また、昨年10月には、最近寄せられている相談事例の傾向等を踏まえまして、注意喚起文を更新しています。

その下でございますが、無登録業者への対応ということでございます。無登録営業の疑いがある業者に対しては、事業の詳細等を確認するため、文書で照会書というものを発出しております。大抵はそこで止めて、お客様に資産を返すわけですけれども、例えば下に記載した3社などは、海外の事業者ですし、言い訳ばかりしてくるとか、照会書に対しても全く反応がないというところでございますので、もちろん警察庁や消費者庁には情報提供するとともに、警告書というものを公表して、こういった事業者には注意してくださいということで、これまで3事業者、いずれも海外事業者ですが、これを行っております。また、海外当局にも情報を提供しております。

その下でございます。他省庁との連携ということで、昨年1月のコインチェック社の事案を契機に、警察庁と消費者庁と当庁の局長級の連絡会議をこれまで4回開催しております。最近では、今月も意見交換を行っているところでございます。

次のページが中間取りまとめ概要ということで、これは昨年8月に公表いたしましたが、検査などの過程で把握された問題事例でございます。

一番上のところでございますが、なぜこういうことになったかと申し上げますと、一昨年の秋以降、仮想通貨(暗号資産)が相当値上がりし、昨年1月ぐらいにはビットコインが200万円を超えました。今は40万円ぐらいですけれども、200万円を超えるような勢いで、お客さんが押し寄せ、ビジネスもすごく大きくなっていく中で、一方で本人確認をする人員やセキュリティーを見る人員、そういった人員は増えませんでした。利益優先なのですけれども、そういった中で、登録に至っていないみなし業者を中心に、内部管理態勢の整備が追い付かないという状況がありました。

したがいまして、当時、どういうことが起こったかといいますと、例えば下の箱を三つ並べて書いてございますが、取り扱う暗号資産については、何でも取り扱ってリスク評価などをしていないですとか、1個空けてその下では、まず人員体制などを整備しなければいけないにも関わらず、広告とかそういったところにどうしてもお金を使ってしまうということが認められました。

真ん中のところは、2番目のポツですけれども、そもそも本人確認とかが十分できていない。また、これも法律で決まっているのですが、お客さんの資産と自分の資産を分けなさいというところもできていない問題が認められました。

右側の内部監査に至りましては、そもそもやっていないという事例が認められました。これは下のところに書いてございますように、利益を優先した経営姿勢、そもそもITには詳しいのですけれども、金融業のリスク管理に知識を持っている人材がいないということの問題が背景にあったと思われます。

その次のページでございます。参考までに、仮想通貨(暗号資産)への注意喚起ということで公表させていただいているものを記載させていただきました。仮想通貨(暗号資産)というのは、国がその価値を保証している法定通貨ではない。単なる電子データですということや、その下には、価格が大きく変動するということ、3番目に、利用する際は、相手が登録を受けた業者なのかどうか、金融庁のホームページなどで確認をしてくださいということ、4番目でございますが、事業者についても、行政処分を受けているのかどうかといったことも参考にしてくださいということ、最後のところが、最近よくあるのですけれども、詐欺的な行為に関する相談が増えていますので御注意くださいといったことを書かせていただいているところでございます。

○金融庁企画市場局小森市場課長 金融庁の小森と申します。ただいま、森から説明いたしましたが、森は、交換業者の監督検査の実務を担っている責任者でございまして、私は、制度的な対応について検討する部門の者でございます。

5ページにございますように、委員長からも御紹介がございましたけれども、昨年4月から仮想通貨(暗号資産)交換業等に関する研究会というのを開いておりまして、昨年12月に取りまとめられました報告書の概要について、これから御説明をさせていただきます。

上のほうに赤い四角がございます。左側のものにつきましては、既に出てきておりますので説明を省略させていただきます。右側でございますけれども、仮想通貨(暗号資産)の価格が乱高下をして、投機の対象となっているような指摘があるところでございますし、あるいは仮想通貨(暗号資産)を用いた新たな証拠金取引ですとかICOといったものが登場しているということを背景といたしまして、この研究会で御議論をいただいたということでございます。

報告書の内容は、大きく真ん中の段に三つございますけれども、まず左側でございます。一つは、仮想通貨(暗号資産)交換業者をめぐる課題への対応ということで、3年前の資金決済法で措置していただいている制度的枠組みに加えて、更に制度を改善させるためにどうしたことができるのかといった点でございます。

まず一つは、仮想通貨(暗号資産)の流出リスクというのが大きく着目されるところでございますけれども、これに対応するためにどうしたことができるのかということでございますが、オンラインで秘密鍵というものを管理しております顧客の仮想通貨(暗号資産)、これがコインチェックなどでハックされてしまったということでございますけれども、この仮想通貨相(暗号資産)当額以上の純資産額を交換業者に持つように義務付ける。また、弁済原資として同種・同量以上の仮想通貨(暗号資産)、ビットコインなどが例になりますけれども、そうしたようなものを持たせることを交換業者に義務付けまして、万一オンラインで管理しておりますところから鍵が流出しても、自力で顧客の預り資産については返還できるようにしていくといったものでございます。

また、顧客の仮想通貨(暗号資産)がとられてしまった場合に、顧客側は業者に対して仮想通貨(暗号資産)返還請求権というものを持つわけでございますけれども、これにつきましては、優先弁済の対象とする仕組みを整備してはどうかということでございます。

また、交換業者の財務書類の開示というのも併せて義務付けてはということでございます。

交換業者の業務の適正な遂行の確保ということで、幾つか出ておりますけれども、取引価格情報の公表の義務付け。また、投機的取引を助長するような広告・勧誘規制を入れる。また、自主規制との連携ということでございまして、自主規制規則に準じた社内規則を策定していない自主規制機関未加入業者については、私どものほうで登録拒否あるいは取消しができるといったことをしてはどうかとうたわれております。

また、例えば匿名性が高くて追跡が難しいといったような、問題があるような仮想通貨(暗号資産)が出てきている状況でございます。利用者保護、業務の適正かつ確実な遂行に支障を及ぼすおそれがある仮想通貨(暗号資産)については、交換業者が取り扱うことを禁止してはどうか。また、取り扱う仮想通貨(暗号資産)の変更について、現在は行政に対して事後届出になっておりますけれども、これを事前届出に見直してはどうかということでございます。

真ん中の仮想通貨(暗号資産)証拠金取引についての対応でございます。まず、証拠金取引ということで、既に存在しているもので申しますと、外国為替証拠金取引、一般にFX取引と呼ばれているものがございますけれども、FX取引は既に金商業の規制の対象となっておりますところ、仮想通貨(暗号資産)を原資産とする証拠金取引は業規制の対象に現在なっていないところでございます。これをFX同様に業規制の対象として、不招請勧誘の禁止などの行為規制を適用するといったことでございます。

また、仮想通貨(暗号資産)の価格変動というのは非常にボラティリティーが高く、変動が大変大きいわけでございますけれども、こうした実態を踏まえて、適切な証拠金の倍率の上限を設定してはどうかといったことでございます。

これに加えまして、仮想通貨(暗号資産)の特性等を踏まえて、さらなる対応をしてはどうかということでございまして、仮想通貨(暗号資産)に特有のリスクに関する説明というのは、現在、仮想通貨(暗号資産)交換業者にかけられている義務でございますけれども、この証拠金取引を扱う業者に対しても同様の義務を求めてはどうかということ。また、顧客がこうした取引に参加する際に最低証拠金を設定するといったようなことも行ってはどうかと言っていただいているところでございます。

また、この仮想通貨(暗号資産)証拠金取引と事実上同じことを仮想通貨(暗号資産)の信用取引という形でやっている業者が幾つかあるといった実態がございまして、この仮想通貨(暗号資産)信用取引についても、証拠金取引と同様の規制を適用してはどうかとされております。

右側でございますけれども、ICO(Initial Coin Offering)というものへの対応でございます。Initial Coin Offeringは、一昨年から昨年にかけて非常に盛んに世界で行われたところでございますけれども、大変詐欺的な事案が多いといったような研究機関の報告もなされているところでございます。こうした御指摘が多い一方で、新しい形態で資金を集められるということで、将来への可能性、こうしたやり方によって新たな資金調達の手段としてきちんと機能するのではないかといったような御指摘も根強くあるところでございまして、これを踏まえつつ、以下のような規制を整備してはどうかという提言をいただいております。

ICOと申すものにつきまして、いろいろな種類のものがございますけれども、ここで着目していただいておりますのは、投資性を有するICOということでございます。ICOというのはトークンを発行するものでございますけれども、これがトークンといった電子的なデータではなくて、紙で行われた場合に金商法など証券法制の対象になるのかどうかといったことでございます。紙であったとしても金商法の規制の対象になるようなものとしては、投資性を有するものというふうに整理できるところでございますが、この投資性を有するICOについては、有価証券としての位置付けを与えるということが、まず考えられるところでございます。その上で、こうした場合について、法定通貨で出資しているような、例えば集団投資スキーム持分などについては、現行でも金商法の規制の対象になるところでございますけれども、仮想通貨(暗号資産)で行われた場合にそれが当たるのかどうか不明瞭な状態にございまして、仮想通貨(暗号資産)によって出資を行った場合であっても、これが規制の対象となることを明確化してはどうかといった点でございます。

●の二つ目でございますけれども、ICOトークンが電子的なデータとなって流通性が高く、投資家にとっても一定のリスクがあるといったことを踏まえまして、以下のような仕組みを整備してはどうかということでございますが、現在、株ですとか集団投資スキームといったような有価証券に対する規制と同じような考え方で、同様の規制を適用しようというものでございます。

資料にございますように、50名以上の多数に勧誘する場合については、発行者に対して公衆縦覧型の発行・継続開示を義務付ける。また、このトークンの仲介業者を証券会社と同様の業規制の対象、金商業の一種業と呼んでおりますけれども、一種業の規制の対象といたしまして、発行者の事業・財務状況の審査を仲介業者に義務付ける。また、有価証券と同様、不公正取引規制を適用する。また、非上場株式と同様に、非上場である場合については一般投資家への勧誘を制限するといったことでございます。

また、投資性を有するもの以外でICOというものがあるところでございます。例えば、アイドルと握手をする権利をあなたにあげますといったような形で資金を集めるというものでございます。こちらは上に述べております投資性を有するICOと違いまして、有価証券などとして位置付けることは困難でございますけれども、その代わり、ICOトークンについては仮想通貨(暗号資産)に該当するケースもかなり多いものと考えられますので、ICOトークンを取り扱う仮想通貨(暗号資産)交換業者に対して事業者が行う事業の実現可能性等に関する情報提供を義務付けるといった形で、一定の情報提供を課していってはどうかという提言をいただいております。

下の箱に移らせていただきます。その他でございますけれども、仮想通貨(暗号資産)、現物であっても不公正な取引というのがなされ得る状況にございますので、こちらにございますように、不正行為ですとか風説の流布等、これらについて行為主体を限定せずに禁止するような規定を設けてはどうかと言っていただいております。また、交換業者にそれぞれの主体の取引の審査を義務付けるとともに、未公表情報に基づく利益を図る目的で取引することを業者に対して禁止するといったことでございます。

また、仮想通貨(暗号資産)カストディ業務というものが出てきているところでございます。売買に伴って顧客の仮想通貨(暗号資産)を預かる業務というのは既に存在しているところでございます。これに加えまして、売買は行わないけれども、預かり業務だけを行うものをここで仮想通貨(暗号資産)カストディ業務と呼んでおりますが、こちらにつきましても、仮想通貨(暗号資産)交換業と同様にマネーロンダリング等のリスクがあるところでございますことから、業規制の対象といたしまして、交換業者に適用される管理の規則を適用してはどうかということでございます。

また、仮想通貨(暗号資産)交換業者を作った際に、みなし業者というのがあったところでございますけれども、今回、この研究会の報告書に基づけば、例えば証拠金取引を扱う業者ですとか、あるいは投資性ICOトークンを扱う業者というのに、改めて経過措置を設ける必要が生じ得るところでございます。この場合に業規制を導入する場合については、経過期間中に業務内容を追加したり、業務を拡大することについて禁止してはどうかといったような提言をいただいているところでございます。

最後でございますけれども、法令上の呼称の変更でございます。かつて仮想通貨(暗号資産)というのは、FATFなどにおきましてバーチャルカレンシーという言葉が使われていたことをもって、仮想通貨(暗号資産)というふうに資金決済法の中で書いているところでございますけれども、昨年のG20の財務大臣会合ですとか首脳会合におきましては、クリプトアセッツという言い方が用いられております。今、国際的な議論の場で用いられている言葉が変わってきておりますので、法令上の言葉を「仮想通貨」から「暗号資産」に変更してはどうかといった提示をいただいているところでございます。

現在、この報告書を私どもで受け止めまして、政府の中で法制化する必要があるものにつきましては、法案を提出するように準備をいたしている最中でございます。

以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

ただいまの説明に関しまして、御質問等がございましたら、御発言ください。

増田委員、どうぞ。

○増田委員 これまでFX取引であるとか有価証券に対する規制とかがあったと思うのですけれども、新しい取引を扱う事業者ということで、改めて補填していただくことになったということについては、大変有り難いと思います。

それにつきまして、既にされていると思うのですけれども、消費者が、その区別が分かるような形で周知広報していただきたいと思います。どこを見ればそれが分かるのか、みなし業者とどのように違うか。それから、どういうチェックを受けて登録されているのかということなど。今回、公開されたと思いますけれども、その辺りのところが分かるようにホームページにも掲載していただきたいと思います。例えば消費生活相談の現場で、こういう事業者とこういう取引をしたが大丈夫かという問合せや相談があっても、いきなりそこは駄目ですということは現場では断言できませんので、ここのホームページを見て御確認ください、こういう点について確認してくださいという案内ができるように是非お願いできればと思っております。

○金融庁総合政策局フィンテックモニタリング室森監理官 どうもありがとうございます。

先生御指摘のとおり、今、金融庁のホームページのトップで、いろいろな政策が幾つかある中の一つ大きな項目として、仮想通貨(暗号資産)交換業に関する情報を掲載しておりまして、そこをクリックしていただくと、事業者の方向けと利用者向けの情報、この他、業者に対する行政処分の公表文がございます。また、利用者の方向けの部分をクリックしていただくと、今の登録業者の一覧等を掲載しております。また、事業者の方向けの部分をクリックすると、彼らは新規登録等に関する情報もチェックできます。先ほど質問票と申し上げましたけれども、それ自体も載っておりますし、図でこういう登録審査の流れになりますよという形で掲載しているところでございます。今の御指摘は、また今後の行政で生かしてまいりたいと思います。

○高委員長 言葉の意味を確認させてもらいたいのですけれども、みなし業者というのは、基本的に新規のお客さんをとったりすることなどは認められていないのですか。また、基本的に消えていくことを前提にした業者をみなし業者と呼んでいるのでしょうか。

○金融庁総合政策局フィンテックモニタリング室森監理官 今の委員長御指摘のみなし業者でございますけれども、暗号資産、法律上、仮想通貨(暗号資産)交換業みたいなものは、資金決済法で規制される以前からいろいろな業者がやっていました。それらの業者につきましては、法律ができると登録が要るわけですけれども、法施行後半年の間に登録申請してくれば、その業者にもお客さんがいらっしゃいますので、まだ登録に至っていなくてもいきなり廃業というわけにはいきませんでした。このため、これらの業者をみなし業者として、登録審査をしたままの状態で仮想通貨(暗号資産)交換業を営んでいることを認めております。これらのみなし業者は、登録に至る業者もいれば、先ほど16社いたけれども今は2社ですと申し上げましたけれども、どんどん取り下げていって、お客さんに財産を返していってしまう業者も多くなっております。

したがいまして、みなし業者は、全て消えていくということではなくて、登録される者もいれば、ちょっともう無理だなと思って取り下げる者もいるということでございます。

先ほど小森が申し上げましたように、法が施行されて大分たつのに、いまだみなし業者のままだというのは非常に問題ですし、コインチェック社は不正流出が発生した当時はみなし業者でしたけれども、自分はみなし業者であることは表示しないで、大々的にコマーシャルなどを打って、あのような事件を起こしてしまったということもありますので、その反省を踏まえて、今度の法改正では、新しいお客さんをとらないとかそういう提言を受けているということでございます。

○高委員長 分かりました。ありがとうございます。

大森委員。

○大森委員 全く詐欺というのと、取引に対するリスクと、どういう制度になっているかというのを一般の消費者に分かりやすく伝えていかないといけないと思うのです。いろいろ調べられて、報告書の概要とかをまとめられているのですけれども、もうちょっと分かりやすい簡単な。今、若い人ほどこういうのに興味があると思うのですけれども、親の代にはないものなので、親とか周りの者もこういうところに気を付けたら良いよとかなかなか言いにくいので、たまたま仮想通貨を素材にしているだけで、完全なこういう詐欺があるよというインフォメーションと、こういう取引にはこういうリスクがありますよという紹介と、今、金融庁ではこういう制度になっているよというようなのを、もう少しホームページからでも分かりやすく出力できるパンフレットみたいなものを作っていただけると有り難いのです。

○金融庁企画市場局小森市場課長 冒頭に森からも御紹介をいたしましたけれども、例えば4ページなどで現行の仮想通貨(暗号資産)についての注意喚起というのは行わせていただいているところでございます。また、新しい制度ができて確定したりということになりましたら、その段階できちんとした広報も考えていきたいと思っております。

○大森委員 余りきちんとしたものは一般消費者にとっては難しいので、分かりやすいイラストが入って、こんな例があるよみたいな、漫画のような、若い人手も手に取って見たくなるようなものを作っていただけると有り難いです。

○高委員長 他にございますでしょうか。よろしいでしょうか。

今回、最後のページのものだけでは理解できませんでしたので、私としては、いただきました報告書を読ませてもらいました。非常にしっかりした報告書ができあがっていると思いました。

それから、前半部分の取組についても、利用者保護の観点から一定の成果を上げておられるなと感じました。

報告書の内容ですけれども、あえていろいろ説明いたしませんが、六つ章があって、それぞれの章で、対応としてこういうことが考えられるというものが細かく書かれていて、例えば金商法の枠組みで対応できるものとか、その他の措置が提言されていました。また、御報告の最後に、法制化に向けて準備を進めておられるとおっしゃっておりましたが、これを受け、例えば、どこからやっていくのか、優先順位はつけないのかと感じました。これは「えいや」で、一括して、すべて同時にやるという話ではないと思うのです。つまり、法制化の準備を進めておられるということですけれども、まず何から最初に着手するのか、次に何をやるのか、順番をつけ、進めていくことだろうと感じました。

これと同時に、実行に移していく過程を消費者基本計画の工程表の中に、この年度までには、こうした措置を講じていく、この措置を終えるという流れを示していただけると有り難いと感じました。

これは意見でございますが、もし御説明いただけるなら。

○金融庁企画市場局小森市場課長 両方とも大変貴重な御指摘をいただいてありがとうございます。なるべくそのようにしていきたいと思いますし、基本計画は消費者庁になるのだと思いますけれども、御相談しながら進めていきたいと思っております。

前者の優先順位の件でございますけれども、この報告書の中で、やや長期的に考えなければいけないようなことが幾つか書かれているのではないかと思っております。例えばインサイダー取引規制というのは、仮想通貨(暗号資産)の現状からすると、今の段階から入れるということは現実的ではないと思っておりますけれども、こうしたことは、例えば取引事例が進んでいったりすると何かできることが出てくるのかもしれないと思っております。こうしたことについては中期的に検討していいかなければいけないと思っておりますけれども、それを除いた部分につきましては、速やかにできるだけ一括した形で実施をしていきたいと思っております。

○高委員長 では、そのような対応をよろしくお願いいたします。

蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 ありがとうございます。

仮想通貨はものすごく早い時期に出てきて、わっと飛びついた人たちが非常に利益を上げたので話題になったこともあったかと思います。、実は仮想通貨というものの存在自体が新しいだけに、これは投資性があるのか、元本保証があるのかというのが消費者にとって非常に分からない。それを明快に、ICOについても大変早くに対応していただいているので大丈夫だと思うのですが、やはりもうかった人のニュースばかりがぼんと出てしまいますと、元本保証もあって、利益も上がるのだと錯覚して投資をしていく若者がいっぱいいて、そして破産してしまったという状態が続いているのではないしょうか。

ですので、仮想通貨というものは目に見えないし、手にできないし、ネットの中だけで動いてしまうという特徴を今後の問題として早くに、消費者に分かってもらうことがすごく大事な気がするのです。ですから、数行でいいので、元本は保証されるのかされないのかとか、リスクがとてもあるとか、例えばICOという投資性のあるものと何がどう違うのかとか、そういう情報を早い時点で、金融庁の最初のページに数行で書いてあると、問題が少し皆さん分かるのではないかと思っています。

私が仮想通貨と出会ってから、やっと今頃になって、もう手を出してはいけませんよ、あんなものはもうかりませんよという意見が消費者にも伝わってきたみたいなところがあるのですね。それまではもうかる、もうかるというのばかりが先に出ていた。なので、その辺りをちょっと早く対応していただけるとうれしいかなと思います。

○金融庁総合政策局フィンテックモニタリング室森監理官 どうもありがとうございます。

御指摘の点は大変重要だと思います。本日の御説明資料にも記載しておりますが、最初には、仮想通貨(暗号資産)は価値を保証している法定通貨ではなくて、存在のない電子データであるということは書いてありますし、また、当庁のホームページに掲載している登録業者一覧表を見ると、そこにも、その一番上に消費者向けの注意点というものを書かせていただいておりまして、そもそも法定通貨ではなくてただのデータであること、突然無価値になってしまうなど損をする可能性があることなどを赤字で書かせていただいたりしています。アクセスいただいて、仮想通貨(暗号資産)を買いませんかとか言われたけれどもどういう業者だろうと調べたりすると、できるだけ目に付くようにはしておりますが、御指摘の点も踏まえて何か改善ができる点があれば、改善申し上げたいと考えております。

○高委員長 それでは、よろしいでしょうか。

以上をもちまして、意見交換を終了させていただきます。

お忙しいところを御出席いただきまして、どうもありがとうございました。

(金融庁企画市場局市場課、金融庁総合政策局フィンテックモニタリング室退室)


≪4.閉会≫

○高委員長 本日の議題は以上になります。

最後に、事務局より今後の予定について説明をお願いいたします。

○坂田参事官 次回の本会議は、日程が決まり次第、委員会ホームページを通じてお知らせいたします。

以上です。

○高委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

御参集いただきまして、ありがとうございました。

(以上)