第290回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2019年1月23日(水)10:00~11:42

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    高委員長、池本委員長代理、受田委員、大森委員、鹿野委員、山本委員
    (高委員長の「高」は、正しくは「はしごだか」)
  • 【説明者】
    消費者庁内藤消費者政策課長
    消費者庁澤野消費者政策課企画調整官
  • 【事務局】
    二之宮事務局長、福島審議官、坂田参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 「第4期消費者基本計画のあり方に関する検討会」報告書について
  3. 「架空請求対策パッケージ」に掲げられた施策の進捗状況について
  4. その他
  5. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○高委員長 おはようございます。時間になりましたので、「消費者委員会第290回本会議」を開催させていただきます。

本日は、お忙しいところ御参集いただきまして、ありがとうございます。

本日は蟹瀬委員、長田委員、樋口委員、増田委員が御欠席となっております。

最初に、配付資料の確認について、事務局より説明をお願いいたします。

○坂田参事官 議事次第に配付資料一覧を記載しております。

もし不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますようお願いいたします。

なお、本日、メインテーブルではペーパーレスの観点からタブレット端末を併用しておりますので、よろしくお願いいたします。


≪2.「第4期消費者基本計画のあり方に関する検討会」報告書について≫

○高委員長 ありがとうございました。

最初の議題は「『第4期消費者基本計画のあり方に関する検討会』報告書について」でございます。

2020年度から2024年度の第4期消費者基本計画の在り方を検討するため、消費者庁におきまして、「第4期消費者基本計画のあり方に関する検討会」が2017年10月に設置され、会合が重ねられてまいりました。

当委員会は、昨年8月の第281回委員会におきまして、検討会の中間取りまとめについてヒアリングを行い、9月にその結果などを踏まえ、「次期消費者基本計画策定に向けた基本的な考え方についての意見」を発出したところでございます。

この度、第4期基本計画を策定するに当たり、これまでの計画に、現時点において追加すべき視点など配慮すべき重要事項について整理がなされ、報告書を取りまとめられたということでございます。

本日は、その報告書の内容について消費者庁から御説明をいただき、意見交換を行いたく思います。

本日は、消費者庁内藤消費者政策課長、澤野企画調整官にお越しいただいております。お忙しいところ、御出席いただきまして、ありがとうございます。

それでは、大変恐縮でございますけれども、20分程度で説明をお願いいたします。

○消費者庁内藤消費者政策課長 消費者政策課長の内藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

20分程度ということでございますので、恐縮でございますが、資料1-1の概要に沿って御説明をさせていただきたいと思います。お手元に御用意いただければと思います。

表紙をおめくりいただきまして、消費者基本計画の概要についてということで、改めて位置付け等について御説明を申し上げたいと思います。

消費者基本計画と申しますのは、消費者政策に関します5か年計画、企業で言いますところの中期経営計画のようなものでございまして、資料の1行目にございますように、長期的に講ずべき消費者政策の大網あるいは計画的な消費者政策の推進を図るために必要な事項についてまとめられたものということでございます。

5年に1回の改定でございまして、現在、3期目に入ってございますが、これの対象期間が来年度いっぱいとなってございます。2020年度から新しい基本計画、第4期に入ってくるということでございまして、1ページ目の左下に、基本計画の策定スケジュールを付けてございますけれども、4期に当たりましては、ポンチ絵の右上、ページの真ん中辺りに書いてございます、策定に際し有識者検討会で提言をいただく、この提言が、今回の検討会の報告書に当たるということでございます。1月8日に公表されてございまして、今後はこれを基にしまして、政府で基本計画4期の素案の作成に当たるという形になってくるということでございます。

念のために、今回の報告書の内容がそのまま素案になるということではございませんで、この提言内容を基にして、もう一度、素案を役所で策定するという位置付けになっているということでございます。

1枚進んでいただきまして、有識者検討会のメンバーはここに示してあるとおりの形になってございまして、地方の実務経験者あるいは労働団体、SDGsの専門家、消費者教育の専門家、経済界、消費者団体、食品安全の専門家など、様々なバックグラウンドの有識者の方々にお集まりいただいて、検討を進めてまいったところでございます。

1枚お進みいただきまして、こちらが報告書の全体の構成になってございます。ポイントといたしましては、左右対称のような形になっておるわけでございますが、左側が消費者基本法の条文の構成になっておりまして、基本理念、各主体の責務、基本的施策で、各条が並んでいる形になっているのですが、今回の報告書につきましては、消費者基本法にのっとりと書いてありますが、現在の条文の内容に照らした形で、上の箱の2行目、これまでの計画に追加すべき視点など配慮すべき事項について提言をいただくということで、右半分に書いてありますように、12の大きな柱立てで方向性を示していただいている形になってございます。

柱の内容を順に御説明いたします。次のシートにお進みいただければと思います。

こちらは基本理念に直接関わる提言事項として、大きく二つの提言になってございます。一つ目は、SDGsの関係でございます。既に御存じかと思いますけれども念のため、SDGs自体は持続可能な開発目標と書いてございますけれども、2030年までに持続可能な世界を作るという国際目標になってございます。これの実現に貢献するということを基本計画の理念として掲げてはどうかという御提言でございます。

SDGsの内容としては、ポイントは大きく二つございまして、一つは「誰一人取り残さない」ということ、もう一つは「未来を変える、社会を変えていく」というのがSDGsのポイントになってございます。

そういう観点から、赤字にしてございますが、関係者、消費者、企業といった枠組みを超えて、持続可能な共生関係、いわゆるパートナーシップを組みまして、消費のエコシステムを作る。これによって、日本モデルのSDGsの達成に貢献するための施策を講じていくべきであるということが提言されているわけでございます。

具体的には、消費者の意識改革あるいはESGの促進といったことがうたわれているということになってございます。

二つ目の提言内容が、消費者問題の考え方でございます。捉え方を考え直すというタイトルにしてございますけれども、現状、訪日外国人、高齢化、情報化といったことで、消費生活、消費者を取り巻く環境は随分変化をしてございます。多様化もしてございます。こうしたことを踏まえまして、従来よりもできるだけ広く消費者政策を展開するということを検討すべきという提言内容になってございまして、情報の質、量、交渉力といったところに格差が生じているのであれば、そこに着目をして、しっかりと施策を講じていく必要があるのではないかという内容になっているということでございます。

次のシートにお進みいただきまして、基本的な施策に関する提言ということで、ここでは三つの大きな柱を御紹介してございます。

まず、左上に3ということで、安全・安心というものが柱として立ってございます。先ほど、委員長からも御紹介いただきましたように、これまでの基本計画に加えて、あるいは追加すべき論点、重要事項はどういうものかということを中心に有識者検討会では議論いただきました。

そういう意味で、安全・安心についてはこれまでもいろいろな施策を講じられているわけではございますが、4期についてはそれに追加して、矢印の下にありますように、消費者に対する情報提供という部分についての取組をしっかり実施すべきという提言内容になってございます。

右側が、5番目ということで、消費者教育についても柱を作って提言がなされてございます。成年年齢引下げ、2020年の18歳というものがございます。こういったことにも対応しながら、人生の様々な段階、ライフステージに応じて、体系的・戦略的に消費者教育をやるべきということで、学校における消費者教育の充実と、社会に出てからの消費者教育の推進という二つに分けて、具体的な提言が盛り込まれているということになってございます。

次のシートにお進みいただければと思います。引き続き、各論でございます。まず、左上の6ということで、客観的証拠に基づく政策立案と政策目標・成果の明確化ということでございますけれども、ある意味、当たり前と言ってしまうこともできると思うのですが、客観的な数値・証拠に基づいて政策を進める。その過程での見える化を図っていくという内容の提言でございます。

その下、消費生活相談・紛争処理体制の強化という7番目の柱でございます。これは先ほど2のところで、消費者問題の捉え方を考え直すという柱を御紹介申し上げましたが、これの具体策ということになってこようかと。そういうことに係ってこようかと思います。

いわゆるシェアリングエコノミーみたいなものについては、消費者同士のトラブルが起きてしまうようなことが顕著になってございます。あるいは、現在サブリース問題等も世間を騒がせておりますけれども、ああいったものについては、同種の行為を反復継続して行う個人ということで、いわゆる消費者とはみなされない。事業者とみなされてしまって、消費者法制の保護は受けられないといった問題がございます。そういったことに対する消費生活相談が十分対応できているのかということ。

昨今は若者が消費生活トラブルに巻き込まれても、そもそも電話を使わないので、電話をかけてこないといったこと。あるいは、高齢者の方ですと、トラブルに巻き込まれても、自分からセンターなどに足を運べないといった問題等も出てきてございますので、こうしたことに対応するために、消費生活相談・紛争処理についての体制強化・機能高度化が必要なのではないかということが提言されてございます。

具体的には、チャットボットの導入や、高齢者に対して相談側から赴いていく、いわゆるアウトリーチ型のアプローチといった内容が提言されているところでございます。

右側の9は国際化の関係でございます。内容は大きく二つに分かれてございまして、前半は国際化ということで、海外の行政当局と連携をしまして、良いところは日本にも導入し、日本のメリットは海外に展開してはどうかということ。

それから、昨今話題の外国人人材の問題等もございますが、今後、日本に長期に在留される外国人が増加すると見込まれておりますが、これによって外国人の方も日本人と同じような消費生活トラブルに巻き込まれる可能性があるということで、それに対する相談、対応策の整備ということも提言されているところでございます。

次のシートへお進みいただきまして、これは情報化、デジタル化対応ということで、柱を立ててございます。非常に分かりづらい図で恐縮でございますが、最初に技術革新に対応して、利便性と利用者保護の両者のバランスをとってルール整備を進めるべきといったこと。

それから、真ん中にポンチ絵がございます。これはプラットフォームという新しい事業形態に着目したものでございます。プラットフォーマーは日本ですとアマゾンや楽天といったオンラインマーケットといったもの、あるいは海外のホテルを予約する、レンタカーを借りるといったときに皆さんが視聴されるようなサイトというのは、これも一種プラットフォーマーと呼ばれている事業者と消費者たる利用者を結ぶような、仲介するようなサービスというのがネット上を中心に非常に伸びてきているということでございます。

これにつきましては、一般の方はよくアマゾンから品物を買ったと思っている方がいらっしゃいますけれども、実際にはアマゾンから買っているということではなくて、アマゾンに店を出店している企業から買っているということが間々あるわけでございまして、その辺りの理解が余り進まないまま、どんどんサービスが伸びてきている側面もないではないということ。

それから、実際には、プラットフォーマーのサービスの利用に当たっては、右下にオレンジ色で書いていますけれども、プラットフォーム利用規約に基づいていろいろなサービスが提供されているわけですが、この利用規約は非常に大部でございまして、なかなか全部に目を通して利用されている消費者、事業者の方はいらっしゃらないということで、何かトラブルになったときに、どうしたら良いのかというのがよく分からないといったことも相談内容としては聞かれるところでございます。

そうしたトラブルに対応するために、例えばプラットフォームの透明性を図るとか、利用規約の変更についての合理性を検討するといったこと。それから、プラットフォームサービスについては、消費者の利用履歴等のデータがプラットフォームに集まっていくということもありますので、その集まるパーソナルデータの取扱いについてどう考えるのか。そういった様々な課題、論点についての検討の必要性ということが提言としてうたわれているところでございます。

次のシートが、提言内容の最後になってまいります。こちらは、実際に政策を推進するプレーヤー主体に関する提言でございます。左上の10というところについては国の関係でございまして、今年9月に消費者庁は創設されて10年になるということもございますので、次の10年を見据えて、いわゆる消費者政策の手法あるいはビジョン、発想も含めて、しっかり展開をしていくべきという提言がなされているというのが10でございます。

右側の11は地方の関係でございます。地方の消費者行政についても、専門職員が不足しているあるいは財源問題もあるということでございますので、まず、地方の消費者行政を戦略的に強化するということ。それから、右下にありますが、その基盤となる財源についても検討を進めていくということが提言されているところでございます。

最後、そういった行政と密接に連携すべき消費者団体、経済団体についての提言がございます。まず、消費者団体と事業者団体の連携強化ということで、従来の対立した構造で捉えるのではなく、同じ方向を見て取組を進めていくべきではないかということ。それから、昨今の高齢化といったものと軌を一にしまして、消費者団体の構成員の方にも高齢化といったことがございますので、そういったことも含めての消費者団体の活性化について関係者が連携して取り組むべきといった提言がなされているということでございます。

私からの説明は以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

ただいまの基本計画のあり方に関する検討会報告書の内容に関しまして、内藤政策課長から説明をいただきました。

ただいまの説明に関しまして、御質問、御意見がございましたらどうぞ御発言ください。

大森委員、どうぞ。

○大森委員 御説明ありがとうございます。

4ページのところで、消費者問題の捉え方を考え直すという柱が2としてあると思うのですけれども、若者の成年年齢引下げに関しては、消費者教育のところでしっかり書いてくださってはいるのですが、契約に不慣れな若者が、未成年者契約の取消権がなくなるという状況はとても消費者被害を受けやすいところでもありますので、ここも成年年齢引下げの若者に対応するような観点を入れてもらえたら良いかなと思います。

あと、参考資料1-2の19ページに、次の10年に向けた消費者政策のあり方ということが書かれていまして、消費者庁ができたきっかけのようなことが、食中毒の事件であって、マル1、マル2、マル3などに注意しながら進めていくというようなことが書かれているのですが、消費者庁ができた辺りのことは割とよく覚えているのですけれども、これだけを見ると、食中毒に対応するために遠慮しながらやるのだというような印象を受けてしまうのです。

これ以外にも、パロマガスの湯沸かし器の不完全燃焼だとか、こんにゃくゼリーとかで、大勢の方が亡くなっているのになかなか手が打てなかったということもありますし、NOVAの英会話問題もあって、縦割り行政と省庁の特殊な考え方に縛られ過ぎた結果、消費者被害がずっと続いたということがあって、そういうことをなくして、消費者被害を食い止めるために司令塔として消費者庁ができたというところがあったと思うのですけれども、すごく遠慮がちで、私としては非常に残念な書き方に思えるのですが、この辺りはいかがでしょうか。

○消費者庁内藤消費者政策課長 ありがとうございます。

1点目につきましては、今後の基本計画策定の段階で十分配慮してまいりたいと思います。

2点目につきましては、有り体に申し上げますと、今、委員がおっしゃったような部分も含めて、私どもも認識はしておるのですが、トリガーとして消費者庁を作る。直接のトリガーになったというのはギョウザ事件だというのは、それほど異論がないところではないかと思います。

だからといって、パロマ、NOVAといったことを無視しているということではございません。消費者庁設立の経緯は、真面目に書くとどうしても本1冊ということになってきますので、その辺りの状況をある程度、しんしゃくしまして、分量の問題からここに絞って書かせていただいているということで、御理解賜れればと思います。

○高委員長 この報告書の内容は、もう確定しているということです。ですから、遠慮がちに書かれているのは、これを修正してほしいというのはできないことで、皆さん方から御意見をいただきたいのは、どのような意見でも結構なのですけれども、今後、素案の策定に動いていきますので、そのときにこの点はどうなのかということを確認あるいはそこを意識して取り組んでもらいたいという御意見をいただけると有り難く思います。

○大森委員 修正してくれというわけではなくて、消費者庁ができたときは、小さく産んで大きく育てるという感じだったと思うのですが、最近はすごく遠慮がちではないかという気がしておりまして、司令塔としてもうちょっとリーダーシップをとってほしいという私の願いなので、その辺りはお伝えしたいと思いました。

○高委員長 ありがとうございます。

他にございますでしょうか。

池本委員長代理。

○池本委員長代理 池本でございます。

この前の中間報告のときにも申し上げましたが、今回の基本計画に向けた作業が非常に早い段階から、しかも幅広く検討委員会に大勢の委員の人からの意見も集めて、こういう報告書を作っていただいたということで、しっかりとした中長期計画が議論できるという意味では、本当に感謝申し上げたいと思います。

これを是非広く消費者、消費者団体あるいは事業者、事業者団体も含めて、あるいは地方自治体の関係者も含めて、いろいろな形で意見を募る方策が取れれば良いのではないかと、まず手続面についての希望であります。

それから、今の1-1の資料で言いますと、4ページの消費者問題の捉え方を考え直すという論点で、1-2の報告書本体の5ページにそれに関する記述があるのですが、恐らくここで言わんとしていることは、従来の消費者対事業者の格差の存在、例えば高齢者とか、従来から言われているところの格差とは別に、生活の多様化に伴って、あるいは近年の生活環境の変化に伴って、交通弱者や情報弱者、訪日外国人などいろいろな局面での格差があるので、そこも視野に取り込んでいこう、広げていこうという趣旨で提起されているのだろうと受け止めております。

ただ、報告書の5ページの書きぶりでちょっと気になるのが、消費者を、何らかの事情により取引に際し適切な判断ができない保護すべき消費者というのと、合理的に判断できるだけではなく、問題意識を持って行動できる自立した消費者という二つの捉え方で捉えてきたという書きぶりがあるのですが、このままを前提にすると心配なのが、従来からもともと言われているのは、通常の一般の取引場面でも消費者と事業者というのは情報も交渉力も大きな格差があるのだと。表示の問題であれ、価格の問題であれ、安全の問題であれ。それ全体についても底上げをする施策が必要だし、そういう消費者全般について、自立した消費者になってもらうために消費者教育を積極的に進めるという構図の中へ、更に脆弱な消費者とみなければいけない分野、それが局面によってあるのだという議論であったはずです。

新しい分野を強調する、つまり基本的に構造的な格差の中で消費者の保護施策が必要だというトーンが薄まってしまわないかということを危惧しています。

冒頭に申し上げたように、これは新しい分野を、更に視野を広く取り込むという趣旨であれば異論はありませんので、従来からやっている基本的なところについても引き続き施策に取り組んでいただきたいということを要望として申し上げたいと思います。

とりあえず、それだけお願いします。

○高委員長 よろしいですか。

○消費者庁内藤消費者政策課長 ありがとうございます。

結論から先に申し上げますと、池本委員長代理がおっしゃったように、今後新しい分野を取り上げていくに当たって、その情報格差に着目をするということでありまして、何か従来から情報格差が広いところだけ保護していたとかいう解釈変更をするという話では全くないということで、御理解を賜れればと思っております。

あとはプラットフォームのところで少し議論になっていたことを御紹介申し上げますと、プラットフォームの場合は先ほど申し上げたように、プラットフォーマーにデータが集中するという形になっているわけですけれども、そのプラットフォーマーと利用者との間に情報格差というものがあるのか。あるいは、これが新しく生まれてくるのかといったことも少し議論になっておりました。

そういった従来の伝統的な情報格差論と別のところで、何がしか消費者政策の出張っていく余地がないのだろうかといったことも議論とはなっておりました。そういったことも今後検討課題として考えていく必要があるのかと考えているところでございます。

○高委員長 ありがとうございました。

他はございますか。

受田委員、どうぞ。

○受田委員 3点あるのですけれども、今後検討していかれる際に、是非また御考慮いただきたいという内容がメインでございます。

まず、1点目はSDGsが消費者基本計画として盛り込まれているということ。これはもう皆さん御理解のとおりですが、特に気になるのは、17の目標があり、169のターゲットがある中で、消費者行政に対しては12番の作る責任、使う責任の部分が全体をリードしていくようなSDGs的論理があるのではないかと、私自身は前々から思っていますし、消費者基本法の理念においてもそのように読み込めるのではないかと思います。

そういう意味で、この報告書の中にSDGsのことは盛り込まれているのですけれども、特に12番目のことを見ると、具体的に書いていない。この辺りはどういう議論があったのか、あるいは、ここを強調する必要はないのかという点について、まず1点伺いたいところです。

それから、二つ目なのですけれども、今もプラットフォーマーの話がございました。実際に報告書の6ページや7ページを拝見いたしますと、よくリアルとネットとに分けますけれども、今後こういった販売形態としてネットを使った市場というのが更に広がっていくということは、もう御存じのとおりです。

ここにおける表示に関して、ICタグとか二次元バーコードの話がございます。これらを利用した表示の世界というのが示唆されていると、この内容を理解いたしました。

私自身、食品表示部会の部会長をやっていて、今後の食品表示の在り方、全体像と称しているのですけれども、この基本計画の最終段階ぐらいを見据えたときに、食品の表示をどのようにグランドデザイン化すべきかということを、委員の皆様と協議しております。この内容は、そこに非常に関わってくるということで、当然興味がございます。

この点をより具体的に考えると、今、食品表示に関しては容器縛りということで、食品表示法があるわけですけれども、今後ネットの情報に、この食品表示法の範囲を広げていくことも考えていかないといけない。そことの兼ね合いがここに示唆されていて、こちらの報告書、検討会においては、こういった点をどのように御議論されたのか。あるいは、今のような食品表示法まで踏み込んでいくというようなことも念頭に置いておられるのかどうか。そこを伺いたい。

その点に関して、特に文言として、プラットフォーマーという言い方があったり、ICタグ、二次元バーコード、あるいは地方消費者行政のところにはICTの活用という言葉が散りばめられているのですけれども、全体でくくると、ネットかリアルかなのだと思うのです。選択、購買、使用という3段階に分けていったときに、その選択の段階、購買の段階がネットとリアルで入り乱れていく。よくオムニチャンネル化などという言葉を使いますけれども、そういった点は、ネットという表現がないことも含めて、こういった表示の世界を更にどのように描いていくか、是非食品表示の部会の議論とも関連しているので、そこの情報をいただきたいということです。

最後ですけれども、EBPMの話が出ていたかと思います。10ページです。客観的根拠に基づく政策立案と政策目標、成果の明確化。大変重要なことが盛り込まれていて、これまではアウトプット指標がほとんどで、アウトカム指標がなかった。これを今後はというところが一つの目玉ではないかと思います。

ここを強調していただいたことは非常にすばらしいことだと思っているのですけれども、一方で、このことを是非反映していただきたいのは消費者教育だと思うのです。

5ポツの8ページ辺りにある消費者教育の戦略的推進のところは、正に手段の話がずっと出ていて、これはアウトプット評価をしていく対象だというふうに見えるのですけれども、ここの中にエビデンス・ベースト・ポリシー・メイキングをやっていく上での重要なアウトカム指標の盛り込みということをリンクさせて、触れておく必要があるのではないかと思うのですけれども、是非、今後の議論の中でも反映できるところを御検討いただきたいと思っております。

そういう意味で3点申し上げました。

○高委員長 よろしいですか。

お願いできますか。

○消費者庁内藤消費者政策課長 ありがとうございます。

3点、できるだけお答えさせていただこうと思います。

まず、1点目のSDGsと、特に消費者政策に関わる12番目の目標、生産、消費の責任のところでございます。

これにつきましては、12と、5の子供の保護みたいなところが消費者政策に関わるというのが、私どもの従来からのスタンスではございますけれども、検討会で議論になりましたのは、これは消費者庁あるいは政府に限らず、企業でありがち、陥りがちなトラップとしての指摘として、自分たちがやっていることは、この17のうちのどこに関係しているというタグ付けだけをして、それで満足してしまっている。それでは駄目なのではないかという指摘を受けました。

そこが報告書本体でうまく読み取れていなければ、本当に恐縮ではございますけれども、むしろ17の目標を達成するために、消費者政策としてどういうことができるのかを考えるべきである。あるいは、そこを消費者が意識改革すべきであるという趣旨で、実はここはドラフトから内容が大幅に変わったところでございまして、委員が御指摘のとおり、消費者政策は12が一番深く関わっているのですが、あえてそういう表現はせずに、17全ての目標に対して、消費者あるいは消費者行政が、どういうことができるのかということを考えていきましょうというトーンで、今回はレポートしたという形になってございます。

2点目でございます。表示の関係で、私の理解でざっくり申し上げますと、特に食品表示の関係を中心に、どのような議論があったのかという大意で御指摘いただいたかと思います。

議論としましては、これも先ほど委員からございましたように、ICタグやQRコードを使うことによって、それこそガムのような非常に小さいものに対しても、QRコードを埋め込むだけで非常に大量の情報が寄せられるということで、情報をたくさん伝える技術というものは、積極的に導入すべきではないかという話が一つございました。

一方で、情報をたくさん載せればそれで全て解決するかというと、そういうことでもないということで、いかに大事な情報を分かりやすく伝えるかという、表示の手法ということにもしっかり留意すべきではないかという指摘があったところでございます。

食品表示部会でいろいろと、今でも議論されているということも十分理解してございますけれども、個別具体的な話につきましては、これは表示に限らずですけれども、2020年からの5年間を見通して、個別具体的に、このように表示すべきだということは、恐らく技術の進歩とかもあって、そこまで指摘しても、技術が変わってしまいますので恐らく意味がないのではないかという議論もございまして、具体的にこうすべきだというところまでは、提言はなされていないという理解でございます。

それから、消費者教育に対してEBPMあるいはアウトカム指標の導入が必要ではないかというのが3点目の御指摘であったかと思います。

消費者教育につきましては、この報告書は今回、今年の1月に公表してございますが、昨年春の段階で、消費者教育推進会議で専門の委員会を立てまして、そちらで具体的な方策が講じられております。

教育分野については、他の行政分野と違いまして、1年で方針を変えるというのがなかなか難しいところがございまして、2020年前後をターゲットにしまして、今、新しい学習指導要領の中に、具体的に科目で言いますと家庭科と社会の公民になりますけれども、消費者保護といった観点をできるだけ充実させるという取組。それから、教員の養成にもしっかり取り組んでいくというような、取組についてのアクションプランが策定されたところでございまして、今後それに向けて様々な取組が計画的に進んでいくという状況でございます。

今回の検討会報告書につきましては、基本的に消費者教育推進会議の提言の内容を踏まえた形になってございます。

アウトカム指標等につきましては、そこの内容を確認した上で、私どもが今後策定してまいります消費者基本計画の中にできるだけ盛り込めるように、消費者庁の担当部署、それから文部科学省と今後調整をしてまいりたいと考えてございます。

以上でございます。

○高委員長 他にございますでしょうか。

鹿野委員、どうぞ。

○鹿野委員 御説明ありがとうございます。

2点申し上げたいと思います。

一つは、基本理念に直接関わる提言というところで、2番目に挙げられている消費者問題の捉え方を考え直すという点についてです。

これについては、異論があるというわけではもちろんありません。むしろもともと消費者基本法1条の目的規定でも、情報の質及び量並びに交渉力の格差等に鑑みてとされているのですから、消費者問題には、かなり幅広い問題が取り込まれ、あるいは、その場面に応じて柔軟に問題を取り込めるような考え方がとられているのだろうと思います。

ただ、この報告書では、従来、中心的に取り組んでこられた問題群があるところ、そこからは少し外れているとも思われるような問題についても、社会の変化を背景にして取り組んでいくべきだというような考えが示されているものと理解しましたので、その点は是非進めていただきたいと思います。

その際、この報告書では基本的な方向性ということで書かれているのだろうと思いますけれども、基本計画に盛り込む際には、これに関し、どういう点について、最低でもどのような取組をするのだということについても、示していただいたいと思います。ここにも、問題としている事項がある程度は書いてあるのですが、計画としてはもう少し具体的な取組について示していだたければ有り難いと思っているところです。

2点目ですけれども、AIやIoTなどの技術革新に関わって、特にプラットフォーマーが介在するような取引が非常に増えてきている。そこでそのような問題について、消費者問題としての的確な対応を考えていきたいということでありました。

このような問題については御存じのとおり、消費者委員会でも専門調査会で御検討いただいているところですし、かなり重要な問題ですので、是非進めていただきたいと思います。先ほどの御説明では、個人情報の問題にも言及されました。こういう取引をしている間に個人情報が集積されて、それがどういうふうに消費者に影響を与えるのかという点も問題だという趣旨の御指摘があったと思います。

正に私もそのように思っているところですが、更に申しますと、今の個人情報の問題は、恐らくはプラットフォーマーが介在しているこのような取引においてだけではなくて、かなりいろいろなところで、個人情報が消費者の認識していないところで集積されていて、それが利用されて、消費者がそれに基づく攻撃を受けるという事態が多くあるのではないかと危惧しているところです。

ここではプラットフォーマーが介在する取引を中心に、プラットフォーマーの責任問題と個人情報の問題とが記載されているのですが、さらに、恐らくは今後に向けてということでしょうけれども、今、申しましたようなプラットフォーマーが必ずしも介在していないような個人情報の問題についても、何らかの検討を進めていただければと思いまして、これはお願いです。

○高委員長 よろしいでしょうか。

お願いします。

○消費者庁内藤消費者政策課長 ありがとうございます。

まず、2点いただいてございますが、1点目の関係でございます。

いわゆる消費者問題の考え方を捉え直すというところについて、具体的な取組を基本計画策定において示してほしいという御指摘をいただいてございます。

正にそこが私どもに課せられたメインのタスクだと思っておりますので、ここはしっかりと具体的な事項に着目した施策を検討していきたいと考えてございます。

2点目は情報化、デジタル化に伴って、個人情報の取扱いについて、今後攻撃を受けるのではないか、それに対する対策も検討してほしいという御指摘であったかと思います。

こちらについても今後、しっかりと検討していきたいという話ではございますけれども、報告書では言葉足らずで十分書けなかった話としましては、プロファイリングの問題に少し触れさせていただいてございます。プラットフォームで例をとりますと、購入データなどをどんどん集めていくことによって、およそその人の属性が分かる。プロファイリングというのは犯罪のときに証拠を集めて、その犯人像を明らかにするというものでございますが、同じようなことがプラットフォームの個人データを活用してやれるわけでございまして、この人はお酒が好きみたいなので、ターゲット広告としてお酒を出すとかいうぐらいであれば利便性としては良いと思うのですが、海外、ヨーロッパのほうでは、属性に応じて価格を変えるという話があったりとか、特定の疾病をお持ちの方に対して、あえて特定の商品を広告として出すということもあるように聞いております。

国内においては、まだそういったことが具体的な消費者被害としてまだ顕在化していないというところがございますので、今後そういった事象が現れてくれば、これは消費者政策として対応していく必要があろうかと思っておりますので、そういった状況についてもしっかりウオッチしながら、必要に応じて対策を講じてまいりたいと考えております。

以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

他はよろしいでしょうか。

山本委員、どうぞ。

○山本委員 全体としては、非常に広範な問題にわたって検討されていると思いました。

一つコメントで、もう一つは質問なのですけれども、コメントといたしましては、この報告書全体、いろいろなところに連携という言葉が出てまいりまして、この報告書本体で申しますと、7ページの下から5行目辺りに民間研究者との情報連携ということが出てきますし、あるいは、17ページのグローバル化への対応という部分では、海外政府機関との連携という言葉が上から3段落目のところに出てまいります。それから、これは地方の問題ですけれども、20ページの2段落目の中ほどでは広域連携という言葉が出てきますし、あと、これは連携という言葉ではないのですけれども、12ページの2段落目と5から6行目の辺りには、消費者団体と経済団体との間で情報共有などの取組を進めるべきであるといったことが出てきます。

これは非常に重要な課題であると思いまして、これだけ情報技術が発達した中で、情報をいかにうまく共有して、連携を図っていくかという課題が一つあるでしょうし、もう一つは、連携しなければ、いろいろな資源が不足してやっていけないという面もあるだろうと思います。特に地方公共団体などは、これから財政や人材育成等々に関して非常に難しい時期に差し掛かっていくだろうと思いますので、これは自治体、地方だけの問題ではないと思いますけれども、連携しなければやっていけないという状況が出てくるだろうと思いますので、そのときに、具体的にどうするのかということは非常に大きな課題であろうと思います。

その意味で今、申し上げた連携ということについて、更に具体化をして取り組んでいただければと思います。これがコメントです。

具体的にどういうことが議論されたのかという点について若干伺いたいのは、7ページの上から5行目のところに、オークションサイトなどのリコール対象製品等の転売が容易になっているため、安全性に問題のある製品がネット転売市場で取引されることを防ぐための対策を構築すべきであるということなのですけれども、これについて、更に何か具体的な議論があったのかという点です。

それから、同じ7ページの下から2行目に、立法事実の収集・分析手法についても研究を進める必要があるという記述があるのですけれども、これについて、更に何か具体的な議論がされたのかということです。

もう一つ、10ページの一番下の段落に、パブリックコメントに消費者等が意見を出しやすい環境作りに努めるとあるのですけれども、これについては、どのような問題意識から、どのようなことが想定されているのかということを伺いたいと思います。

質問は細かく言うと三つになってしまいましたけれども、もし何か議論の背景であるとか、更に具体的な議論があったのであれば、それを御教示いただきたいと思います。

○消費者庁内藤消費者政策課長 ありがとうございます。

コメントのところは多分、私は本当は何も答えなくていいのだろうと思うのですけれども、連携が多用されているところには、事務局の思いがございまして、どうしても、これまでコミュニケーションを十分図れてこられなかったのではないかという反省がございます。今回、地方出身の委員の方に御参画いただきましたけれども、実際にいろいろと打合せをさせていただくと、とても喜んでいただけました。

要は、実際に現場に行って話をちゃんと聞いてもらえるのは非常に有り難いということを言っていただきまして、ここではどちらかというと自治体間の連携の話を書いてございますが、国と地方との連携というのは、泥臭いと言うと言葉が悪いですが、しっかりと現場に行って、担当者としっかり情報交換をしないと分からないところがある。

これは消費者団体と事業者団体とか、それと行政との関係も全く同じでございまして、そういったところの連携をしっかり深めることによって、消費者行政の底上げを図れるのではないかという思いが、どうしても文面にも出てきているかと思っております。

御質問でございます。まず、リコール製品の転売規制に関する対応の関係でございます。

もともとこの件については、この委員会で、委員の方から御指摘があったことがきっかけになって触れているところではございますけれども、実はこの件については、OECDでも今、少し話題になっております。何らかの対策を講じるべきではないかという話もございますので、そういったことを視野に入れながら、報告書には少し触れさせていただいたという背景がございます。

立法事実のところは、申し訳ございませんが確認いたします。失念をしておりまして申し訳ございません。

パブコメの部分でございます。消費者が意見を出しやすい環境作りに努める。これは消費者団体の委員から御指摘をいただいて、触れさせていただきました。

一般の消費者の方からすると、行政から大量にいろいろな文書が出てきて、それを全部読んで、意見を出していただくわけなのです。個人で出した意見に対していろいろと行政からコメントが返ってくるという感じではあるのですけれども、そのコメントがどのように政策に反映されたのかがよく分からないということで、消費者団体の知己の方、個人の方からすると、今、パブリックコメントに対して意見を出すことが、非常にインセンティブが低くなっているという指摘があります。

出てきたパブリックコメントに対して、全て懇切丁寧に答えてくださいということは求めていないけれども、意見が出てきたことに対して、どのようにそれが反映されたのかということ、そういう事例とかを一部でもいいので紹介するということを工夫してもらえると、非常にパブリックコメントを出したくなる。そのような工夫をしてほしいという指摘、意見をいただきまして、ここは非常に抽象的になってございますが、そういう意味で、意見を出しやすい環境作りに努めるということで、表現を書かせていただいたということでございます。

○消費者庁澤野消費者政策課企画調整官 立法事実の関係なのですけれども、検討会の議論の中においては、いわゆる事業者、それこそ先ほど山本委員から御指摘があった事業者と消費者団体との情報共有の中で、お互いに持っているデータを共有しながら、例えば規制の改善が必要なのかどうかとか、そういった辺りを議論していく、要はお互いの立場を超えた、あるべき方向を目指すという中で議論形成が図られるべきなのではないかということをめぐって種々の御意見をいただく中で、立法事実を支えるようなデータの共有という観点で御発言があったように理解しており、そういった辺りを酌みながら文言を整理していった過程で、あのような書き方になったのではないかと理解しています。

○高委員長 池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 政策の推進主体に対する提言という分野について、2点申し上げたいと思います。

まず、地方消費者行政の強化の課題において、一つは消費者行政担当職員の専門性向上あるいは人材育成ということが強調されています。これは全く同感で、是非進めていく必要があるし、近年の、例えば安全確保地域協議会がなかなか広がっていかないとか、本当のコーディネート役として、自治体全体を動かしていく消費者行政担当職員をどう育成するかということは喫緊の課題だろうと思います。

それから、財源の確保ということも、これまで交付金という形で特定財源でやってきていたのが、徐々に一般財源に切り替えてくださいという形に今年度から変わっていますが、下準備が全然できていない、あるいは地方自治体の政策転換ができていないために、今、各自治体で非常に混迷しているところがあるので、この一般財源に裏付けられた消費者行政基盤を確立するための方策を講じることも本当に重要な課題だろうと思います。

ただ、重要な課題だというだけではなくて、どちらも、では具体的にどうするのかということが、それこそ、この10年間大事だと言われながら具体化できていなかった課題だと言わざるを得ません。

その意味では、第4期の基本計画が策定された後で、やおら検討が始まるではなくて、この二つの課題についてはいずれも、もう今年度というか次年度からすぐにでも着手していただく必要のある重要な課題であるという、着手のタイミングのことについて意見を申し上げたいと思いますし、その辺りについて検討会の中で何か議論があったのであれば教えていただきたい。これがまず第1点目です。

2点目は、同じところの「12.消費者団体等に係る連携強化・活性化」というところです。特に従来、適格消費者団体の育成、連携ということは、消費者庁としても取り組んでおられましたが、もっと広く消費者団体全体を活性化、育成した上で連携するという、この辺りが十分施策としても強調されてこなかったのではないかということが消費者団体からも言われていましたし、地方の職員からも、その辺りの実感を込めて聞いておりましたので、これも非常に大事な指摘だろうと思います。

この点は是非進めていただきたいのですが、実は意見として申し上げたいのは、もう一方の事業者団体のほうなのです。

報告書では、消費者団体と事業者団体等の連携強化という位置付けで記述があるのですが、実は事業者団体そのものが、特に新しい事業分野とか、同質の業界の中で事業者団体が一緒に議論しながら法令遵守、コンプライアンスを推進するというところが十分できてきていないのではないかということが言われてきております。

その意味では、事業者団体を育成という言葉を使っていいのかどうかは議論があるところですが、位置付けを向上していった上で、そこと消費者団体あるいは行政とも一定の連携を広げていく。その観点を是非、今後具体的な基本計画を作るときには視野に入れておいていただきたい。

同じ事業者団体というよりは、今度は事業者そのものということになるかもしれませんが、事業者の中で消費者問題の専門家、人材を育成するという課題も、この10年、残念ながら停滞していたのではないかと認識しています。

それは顧客相談の情報、例えば不当表示や製品安全など、営業全体に生かすという意味での専門的知見のある人ということもそうですが、最近の議論で言うと、公益通報者保護法の見直しで、企業の内部通報窓口をしっかり整備していく。ただ、これはきちんと公益通報をどう取り扱うかということの専門的知見がないといけないわけで、事業者の中で消費者問題あるいは法令遵守ということについての専門家を育成するという観点も必要であろうと思います。

そういう観点が、この報告書では記述が不十分かと思っていますので、その辺りも視点として、今後の基本計画策定では考慮していただきたい。これはどちらかというと意見になります。

最後にもう一点。先ほど来の議論の中で、この報告書が取りまとめられて、公表されていますが、今後のスケジュールの中で、消費者、消費者団体あるいは事業者、事業者団体あるいは地方から、何か意見を言う機会、あるいは、いつ頃までであれば、どのように参考にできるとか、今後の庁としてのスケジュール感を教えていただければと思います。

あれもこれもで済みません。

○高委員長 お願いいたします。

○消費者庁内藤消費者政策課長 どうもありがとうございました。順に申し上げたいと思います。

まず、地方の関係でございます。地方の課題は池本委員長代理から大きく2点いただいております。コーディネーター、その他職員育成についてということと、地方の一般財源に裏付けられた、いわゆる消費者行政経費の充実。この2点について、5か年と言わずに今すぐにやるべきではないかという御指摘が、まず1点目であったと思います。

現状、実はもう始めておりまして、昨年の秋から、これは別の部署でございますか、消費者庁内に人材育成のための検討会を立ち上げて、現在、地方の消費者人材の在り方についての検討を始めているところでございます。

それから、消費者行政関係経費の部分につきましては、消費者担当大臣あるいは消費者庁の幹部を中心に、1月から3月にかけて、キャラバン隊と申し上げておりますが、各都道府県の知事、副知事を回らせていただきまして、いわゆる消費者行政関係経費の充実をお願いするという取組を始めているところでございます。

御指摘がございましたように、一般財源ということでございまして、これは正に地方自治そのものでございます。国が、これに付けろと命令できるようなことではございませんので、まず、私どもから足を運びまして、いわゆる自主的な取組として、消費者行政のために予算を割いてくださいというお願いをまずする。それを踏まえて、どれぐらい充実させていただけるのかをウオッチして、必要な対策をその後講じるということで、どちらももう今年度から始めているような取組になっているということでございます。

3点指摘いただいたうちの2点目でございます。消費者団体の活性化につきましては、どちらかというと直接の指摘ではなかったとは思いますけれども、育成、連携については、消費者団体と具体的にどのようなことができるのかというのは、ざっくりですけれども今、お話をさせていただいているところでございます。

むしろ事業者団体のほうについて、コンプライアンスの強化ということで、人材育成も含めて必要ではないかということで、事業者団体の話です。

それから、公益通報の窓口整備の必要性について御指摘をいただいたところでございます。この辺りにつきましても、基本計画策定においてしっかり御意見を受け止めて、どれぐらい具体化できるか、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。

最後に今後のスケジュール、あるいは関係者との意見交換についての御指摘をいただいたところでございます。

1月8日に提言が公表されたところでございまして、来年度中に、この第4期の基本計画は消費者政策会議で決定の上、閣議決定したいというのが目標ではございますが、まず、提言を踏まえた素案作りをこれから始めてまいります。

その素案のフレームあるいは主要事項が固まった段階で、今年前半を目標とはしておりますが、できれば改めてこのような場を設けていただいて、意見交換をさせていただければと考えているところでございます。

その上で基本計画の素案を作り、パブリックコメントを付す過程で、またそれは改めて別途、このような場で意見交換させていただければという感じでございます。

その過程で、消費者団体あるいは事業者団体とも意見交換を考えてございますが、まず、今回の有識者検討会の提言内容については、消費者団体、事業者団体と、幾つかではございますが意見交換をするようなスケジュールを組んでおりますし、特に消費者団体のほうについては、できるだけ地方でもそういう意見交換の場を作ってほしいということは今、お願いを申し上げているという状況でございます。

ざっくりした答えで恐縮ですが、以上でございます。

○高委員長 他はよろしいでしょうか。

ありがとうございました。

今回、この第4期の基本計画の策定に当たりましては、従来よりも随分早い段階から検討を開始いただいて、更に昨年、私どもは9月に意見を出させていただいたのですけれども、それも生かしていただいて、議論が進められて、今回の報告書が取りまとめられたということでございますので、大変意義深いと感じております。

今日いろいろな意見が出ましたけれども、特に関心が高いところは、三つの柱を立てていただいて、最初の基本理念のところで、脆弱な消費者という、今までの捉え方とは若干違う視点で、消費者問題の捉え方を考え直すという提案がありましたけれども、その意図を理解した上で、再確認したく思います。

例えば、シェアエコということになれば、個人同士の取引が問題になってきている。だから、従来の消費者、事業者の枠組みでは捉えられないということです。ですから、情報・交渉力格差に着目した。

あるいは、同種行為を反復継続してやっているという行為は事業者になってしまうから、消費者としては捉えない。そういう新たな変化がある中で、広い概念を用いて、新しい問題に対応したいという趣旨だったと思いますけれども、やはり従前からある情報格差、それから、交渉力格差のところの問題が軽視されないように、進めていただきたいというのが、委員の方々からの指摘でした。大森委員や池本委員長代理、鹿野委員から、こういう御指摘をいただいたと思います。

今後、消費者庁を中心に第4期の基本計画の立案がなされるということになっておりますけれども、その際、本日議論のありましたテーマを踏まえていただいて、例えば、受田委員からは、アウトカムということを意識してほしい。特に教育の分野においては、これを意識した立案を進めていただきたいということでした。

鹿野委員からは、プラットフォーマーという問題は、プラットフォーマービジネスとの関係だけではなくて、個人情報の問題を広く考えていただきたいということでした。

山本委員からも御指摘がありましたけれども、連携という言葉がいろいろなところで使われているけれども、これまでもずっと使われてきたと思うのですが、どうやってそれを具体的に進めていくのかということを明確にしてほしいということでした。

最後に池本委員長代理から指摘がありまして、三つの柱のうちの3番目の推進主体の話だったと思います。消費者団体の活性化ということがまずなければ、連携もないだろうと。

それから、事業者団体については、新しいビジネスが台頭してくる中で、新たな事業者団体の支援といった活動も念頭に置いてもらいたいということと、最後は事業者内の消費者問題の専門家の育成ということも念頭に置いて、今後の素案の策定等を進めていただければということでした。

もう一点追加ですけれども、大森委員から、司令塔機能ということを十分認識していただいて、余り遠慮がちにやる必要はないということでした。ですから、他省庁を巻き込むような形でリーダーシップを発揮し、横断的な取組を進めていただきたいというのが、委員会の意見だったと思います。

当委員会としても、この問題には大変強い関心を持っておりますので、今後も節目節目でヒアリングなどを実施していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

消費者庁におかれましては、お忙しいところ、審議に御協力いただきましてありがとうございました。

なお、澤野企画調整官におかれましては、この後の議題にも対応いただけるということでございますので、引き続きお願いいたします。

(消費者庁内藤消費者政策課長退室)

≪3.「架空請求対策パッケージ」に掲げられた施策の進捗状況について≫

次の議題は「『架空請求対策パッケージ』に掲げられた施策の進捗状況について」でございます。平成29年度の架空請求に関する相談件数は、約20万件であり、前年度比で2倍以上に急増している状況を踏まえ、架空請求による消費者被害の未然防止、拡大防止を図るため、消費者庁において架空請求対策パッケージを取りまとめ、昨年7月に消費者政策会議にて決定されました。

本日はそのフォローアップの結果が取りまとめられたとのことでございますので、その内容について、消費者庁から説明をいただきまして、意見交換を行いたく思います。

澤野企画官、よろしくお願いいたします。10分程度ということでよろしくお願いします。

○消費者庁澤野消費者政策課企画調整官 時間が若干押しているかと思いますので、手短に御説明申し上げます。

資料2-1ということで、ちょうど2枚物のスライドを御用意してございます。お手元のタブレットで御覧いただければと思います。

昨年4月、今、委員長からも御紹介いただきましたけれども、パッケージを取りまとめさせていただきまして、その中で、秋を目途に進捗状況を確認するという形になってございましたので、昨年の年末に整理させていただいたものでございます。

パッケージを作った段階で、5項目に体系が分かれてございまして、接触の防止。事業者に対して消費者から連絡をしないようにする連絡の防止。消費者の側が支払ってしまわないように、コンビニの店頭などを初めとする、いわゆる直前のところでの支払いを防止するための手段。それから、横串になろうかと思いますが、警察における取締りを継続的に推進していただくということと、個人情報の保護。今回、はがきという手口が非常に多くございましたので、その関係で、住所が漏れているのではないかという不安感につながらないように個人情報の保護の関係を周知するというところでございます。これらの五つに分けて整理してございました。

最初のページについて御説明申し上げますが、その5項目のうちの2点でございまして、まず、接触の防止でございます。接触の防止といたしましては、大きく二つぐらいに分かれてございまして、いわゆるはがき等に書かれている電話番号について、警察庁ないし消費者庁で集中的に架電を実施するという形の取組をやらせていただいているところでございます。

2項目め、上の黄色い枠のマル2と書いてあるところでございますが、携帯電話につきましては、実務的に、携帯電話事業者に利用停止をするための情報提供のスキームがございますので、そちらについても引き続き、進めさせていただいている。都合1万件ぐらいの情報提供をしているということでございます。

今回のパッケージの肝に当たる部分が、連絡の防止の部分でございまして、徹底的に無視していただくということを、できるだけ多くの方に理解していただくことが大事でございまして、右側に絵も用意してございますが、消費者庁でも8月、11月と2種類のチラシを用意しまして、広く横展開させていただいている。今回、関係団体の方にも広く御協力をいただいているという形で、工夫をしているところでございます。

また、政府広報におきましても、秋口以降、林家たい平師匠をキャラクターにしていただいて、大分見える形での展開をしていただいたのではないかと理解しているところでございます。

2枚目に入らせていただきまして、支払いの防止の関係でございます。

まず、一つ目としましては、金融庁で、金融機関の関係の御相談、不正利用されたのではないかということも含めて御相談が寄せられた口座につきまして、金融機関の各会社に金融庁から情報提供していただくという形になってございまして、その状況について、四半期ごとに金融庁が取りまとめて、公表しているわけですけれども、おおむね9割ぐらいで強制解約等々がなされている。

また、マル2にございますように、各業界団体においても、裾野の広い取組を継続してやっていただいているという形でございます。

警察、個人情報の保護の関係につきましても、いわゆる中枢被疑者か、拠点の検挙というところを継続してやっていただいてございますし、個人情報保護法の関係につきましても、改正法の完全施行がされたのが一昨年でございますけれども、昨年度の段階におきましても、改めて事業者、消費者に対して、両面で改正法の趣旨や概要などについて、注意喚起を図らせていただいているというところでございます。

このパッケージの最初にも書いてございますが、今後も工程表の改訂の中で、引き続き進捗状況について注視してまいりたいと考えてございますので、引き続き御指導をよろしくお願いいたします。

説明は以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの説明に関しまして、御意見、御質問がございましたら、どうぞ御発言ください。

大森委員、どうぞ。

○大森委員 いろいろ分かりやすいポスターを作っていらっしゃるようなのですけれども、なかなか目にしたことがなくて、どの辺りに配布されているのかと思うのです。

例えば消費生活センターとかの奥まったところにポスターを貼っていても誰も見ないので、例えば市民病院の待合室だとか、一般の方が行くところ。郵便局だとか、そういうところに貼っていらっしゃるのかどうかの確認です。

○消費者庁澤野消費者政策課企画調整官 御質問ありがとうございます。

まず、チラシ、特にこのパワーポイントの1枚目にある、何となく青っぽい下向きの矢印のあるものがあろうかと思います。昨年の夏場に作ったのですけれども、こちらについては、今回、台風も非常に多かったりとか、豪雨災害があったりした中で、被災地にも実は結構架空請求はがきが届いていたというところもあって、被災地の郵便局にはことごとくお送りして、いろいろな商品のチラシとかを置いてある中にも並べていただいたりという形をとらせていただいたりとか、このパワーポイントの米印の中に業界団体の名前を幾つか書かせていただいていると思うのですけれども、こちらの団体の方々には、従業員の方々などを通じて、親類の御高齢の方などにも届くようにということで、横展開をお願いしたところでございます。

確かになかなか目につかないということがあったかもしれませんけれども、いわゆる組織を通じて、人づてに、できるだけ伝わるようにという形で努力をさせていただいているところでございまして、今後も御指摘を踏まえて、いろいろ工夫してまいりたいと考えております。

○大森委員 NHKの朝の早い時間に「ストップ詐欺被害!私はだまされない」というのが行われているのですけれども、あれはどこがやってくださっているのか。

ちょっと時間は早いのですけれども、見たという意見も割合聞いておりますし、非常に分かりやすくて、あのような広報はもっと進めていただいたらいいのではないかと思うのです。

○消費者庁澤野消費者政策課企画調整官 確かNHKの朝のニュースの関係は、恐らくは警察庁で、いわゆるオレオレ詐欺的なものも含めて、広い意味での特殊詐欺という形でやっておられるのではないかと。手口紹介を一般化してというところも、そういった形でやっておられるのではないかと思いますけれども、特殊詐欺の一類型の中に架空請求詐欺も入ってございますので、そうした広い中でいろいろな手口を、警察にも本日の御趣旨は御紹介した上で、うまく連携が取れればと思います。引き続き検討してまいりたいと思います。

○高委員長 ありがとうございました。

他はよろしいでしょうか。

池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 池本でございます。

各省庁全体で連携しながら、こういう取組を進めておられるというのは非常に有効なことですし、例えば法務省のホームページの中にも、このようなはがきが出回っていますが、これは詐欺ですというのが出ていたのを私も言いましたが、本当に政府を挙げて、そういう取組を進めていただきたいと思います。

その中で1点、意見ですが、取組の方策として、事業者に向けた規制や、事業者に対してどうするというところは、そのように進めていただきたいのですが、消費者に対して、事業者に連絡をしない、あるいは支払いをしないというところはもちろん第一義なのですが、こういうはがきが来た情報を、むしろ消費生活センターや警察などへ積極的に情報を出してくださいと。それが新しいものが出たら、すぐに関係機関で情報共有して、新しい被害の拡大防止に活用したいので、情報を出してくださいということもむしろ提起してはどうかと思います。

というのが、私も先般、地方で消費者団体の人と議論していたら、そんなはがきが来た。あれは詐欺でしょう。すぐ捨てましたということなのです。もちろん第2陣、第3陣で来る人もあるでしょうが、最初に来た一番早い段階で、できるだけそういう問題意識のある人が、これは架空請求だ、ごみ箱に捨てるのではなくて、情報を出して、更に1日でも1週間でも早く関係機関で情報共有できるようにと。そのようにして、接した人が、自分も被害防止に参画するのだという流れも作っていただくと、更に回転が速くなるかということを少し思いましたので、参考にしていただければと思います。

○消費者庁澤野消費者政策課企画調整官 ありがとうございます。

ちょうど1枚目のスライドの、左側にある青っぽい下の矢印のものから右側のものの公表に行く3か月の間に、この青いのを比較的広目にまいたからということもあるのかもしれないのですけれども、封書に移り、かつ、はがきの文面に記載される機関が地方裁判所管理局という名前になったということで、先方も考えるなというところが見てとれる状態になり、二つ目を作ったという形でございまして、若干イタチごっこの感はあるのですけれども、池本委員長代理のおっしゃるとおりで、そういった辺りのうまいやり方、最低限順守すべき情報である、無視しましょうというところを、どういう形でお伝えしていくかというところとのバランス感はあるのですけれども、考えさせていただければと思います。

ありがとうございます。

○高委員長 他に。

鹿野委員、どうぞ。

○鹿野委員 今の池本委員長代理の御発言にも関連するのですが、架空請求のはがきとか封書とかを受け取ったなどというときに、その新しい動きをいち早く行政で把握することが重要だと思います。基本は架空請求で同じとしても、様相が少し違ったら、またそれによってだまされるという被害が多くなりますし、実際、この2年間ぐらいは、一頃数が少なくなっていたところの架空請求被害が再び増加し、高齢者の架空請求に係る相談件数が非常に多くなっているようです。ですので、それを早く行政で察知して対応するということが重要なのだと思うのです。

そのときに、消費者としても、もちろん188はあるのでしょうけれども、どこに行ったらその情報提供をうまく受け止めてくれるのかというのが、まず分かりにくい。恐らくは地域のどこか窓口にという行動が予想されると思うのですが、はっきりしません。例えば、私の知り合いから、昨年、うちの近くでこういう怪しいはがきがいっぱいまかれているということを聞いたので、その御本人は全然だまされてはいないのですが、それは行政に知らせてあげたらとアドバイスをしたことがありました。

ところが、その後の顛末を報告してくださったのですけれども、連絡してみたら、あなたはだまされていないから、関係ありませんねという対応をされたのだと言っていらっしゃいました。それが具体的に、どこにそのような連絡をして、そういう対応を受けたのかは分からないのですけれども、仮に直接は違う窓口に行ったとしても、それが適切なところに回されて情報が活かされるような仕組みを、地域においても作っていただくような工夫が必要なのではないかと思うのです。

個人的に聞いた話で恐縮ですが、ちょっと残念に思ったことがありましたので、ついでに申し上げました。

○消費者庁澤野消費者政策課企画調整官 いわゆる窓口間の連携という話については、私どもからも、各地方公共団体の消費者行政担当に、繰り返しお願いしているところなのですけれども、実際、消費者関係施策の典型的な部分は比較的連携を取れているのかと思うのですが、今の鹿野委員のお尋ねがどこへ寄せられたのかというところが必ずしも見えないのでお答えしにくいのですが、そこは不断に周知徹底をしていければと思っております。

仮に188にかけたとして、だまされていない方については、基本的にその方に対しては事実関係をお知らせして、無視して大丈夫だというサジェスチョンをすることがどうしても一義的対応になるのではないかというところで、仮に188におかけいただいたのだとすれば、それをそのように御理解されたのではないかという可能性もありますので、被害に遭っていないという状態と、先ほど池本委員長代理の御質問にもお答えしたのですけれども、最低限お伝えする情報をどこに置くかというところとのバランスの中で、施策展開というところをどのようにしていくか、少し考えさせていただければと思います。

ありがとうございます。

○高委員長 ありがとうございました。

他はございますか。よろしいですか。

ありがとうございました。今日御説明いただきましたように、接触防止、連絡防止、支払い防止。この三つのプロセスの段階で、それぞれ関係省庁で取組が進んでいるという御説明をいただきまして、歓迎すべきことだと思っております。他方、実際被害者がそんなに減っていない状況であるということですので、更にいろいろ知恵を絞って、被害の実数が減るように、改善に努めていただきたいと思います。

先ほどから指摘がありましたけれども、例えば、どういうところが良いのかがよく分かりませんが、皆さん方が目にするところにこういうポスターを出すということ。大森委員から、例えば市民病院あるいは郵便局という助言をもらいましたし、今日は出席しておりませんけれども蟹瀬委員からは、例えばシニアハウスというのでしょうか。高齢者向けの住宅メーカーとか、そういったところとも連携して進めてもいいのではないかという意見もいただいておりました。

それから、今日池本委員長代理と鹿野委員からもありましたが、この指摘は確かに忘れていたなと思います。実は、過去、私のところにもはがきが届き、その時には、これは関係ないと思って捨ててしまったのですけれども、言われてみればこういうものを集めてくれば、実は社会として早い段階での対応が可能になると思いますので、三つのプロセス以外のアプローチとして、そういった情報を収集して、不正の手口を早く把握して、対応を考えるという取組も御検討いただければと思います。

今後、工程表等に盛り込んで、進捗管理をしていかれるということですので、また時期を見て、経過報告をいただければと思います。

以上で、第2番目の議題は終了させていただきます。どうも御説明をありがとうございました。

(消費者庁澤野消費者政策課企画調整官退室)

≪4.その他≫

○高委員長 最後に、議題「その他」といたしまして、消費者委員会に寄せられました意見などの概況について、事務局より報告をお願いいたします。

○坂田参事官 それでは、参考資料1を御覧いただきたいと思います。

昨年10月1日から12月31日までに委員会に寄せられた要望書、意見書、声明文等の一覧ということになります。

この間、委員会に寄せられた意見書、要望書等は24件ございました。

以下、内訳について簡単に御紹介をさせていただきますと、1ページ目はまず、取引・契約関係が10件となっております。そのうち、預託商法に関するものが8件を占めております。

資料の3ページ目に移らせていただきます。公益通報者保護制度に関するものが5件となっております。

5ページ目に移りまして、地方消費者行政に関するものが4件となっております。

6ページ目に移りまして、食品表示関係が3件となっております。遺伝子組換え表示制度に関するものなどでございます。

その下ですが、料金・物価関係が1件。

7ページでございますが、その他が1件となっております。

以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

何か御意見はございますでしょうか。

池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 預託商法についての意見というのが各地の弁護士会から出ています。これは一昨年から昨年のジャパンライフの事件を念頭に置いたものだと思いますが、実は去年の12月21日でしたか、WILLという事業者、これは連鎖販売取引に基づく業務停止命令が出ているのですが、それの公表資料を見ましたら、テレビ電話とそれのアプリケーションソフトを、マルチのシステムでどんどん販売して、しかも預託を受けて、海外などでレンタルをして、レンタル料を払うという、預託契約がセットなのです。

しかも、公表資料によると、53万件分の契約件数をとっているけれども、9,000件分ぐらいしか商品はなかった。実はこれも現物まがい商法だったというのが、読んでいけば確認できました。本当に模倣するものというか、商品は手を変え品を変え、何でも成り立つのだなと思うので、これはやはり当委員会としても注目して取り組んでいく必要があるかということを再認識したもので、申し上げておきます。

○高委員長 ありがとうございました。

他はございますか。

今年の消費者委員会の委員長として、年頭の挨拶をしなければいけないということで、いろいろインタビューを受けてお話をしまして、その中で、最初に申し上げたことですが、いわゆるジャパンライフのような預託商法を撲滅するという決意で消費者委員会は臨んでおりますと説明いたしました。ここ数カ月、3月ぐらいまでに、この預託商法に対して、どういう施策が有り得るのかということで、委員会として議論を深めていきたいと思っております。

その際、弁護士会に出していただいた金商法での対応というのも、一つの選択肢として考えていければと思っております。

他はございませんでしょうか。


≪5.閉会≫

○高委員長 本日の議題は以上となります。

最後に事務局より、今後の予定について説明をお願いいたします。

○坂田参事官 次回の本会議は日程が決まり次第、委員会ホームページを通じてお知らせいたします。

なお、本会議終了後、委員の皆様におかれましては、連絡事項がございますので、委員室にお集まりください。

以上でございます。

○高委員長 それでは、本日はこれにて閉会といたします。

お忙しいところ、御参集いただきましてありがとうございました。

(以上)