第289回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2018年12月27日(木)15:00~15:59

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    高委員長、池本委員長代理、受田委員、鹿野委員、蟹瀬委員、長田委員、樋口委員、増田委員、山本委員
    (高委員長の「高」は、正しくは「はしごだか」)
  • 【説明者】
    消費者庁高田政策立案総括審議官
    消費者庁廣瀬消費者制度課長
  • 【事務局】
    二之宮事務局長、坂田参事官、友行企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 公益通報者保護専門調査会の報告について
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○高委員長 お忙しいところ、皆様、お集まりいただきまして、ありがとうございます。

ただいまから、「消費者委員会第289回本会議」を開催いたします。

本日は、大森委員が御欠席となっております。

それでは、配付資料の確認につきまして、事務局よりお願いいたします。

○坂田参事官 議事次第に配付資料を記載しております。

もし不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますようお願いいたします。

以上です。


≪2.公益通報者保護専門調査会の報告について≫

○高委員長 ありがとうございます。

本日の議題でございますが、「公益通報者保護専門調査会の報告について」でございます。

公益通報者保護専門調査会につきましては、本年1月に、内閣総理大臣から、公益通報者保護法について、「同法の施行状況を踏まえ、事業者におけるコンプライアンス経営、国民の安全・安心の確保に向けた取組の重要性の高まりを始めとした社会経済状況の変化への対応等の観点から、公益通報者の保護及び国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法令の規定の遵守を図るため、規律の在り方や行政の果たすべき役割等に係る方策を検討すること」を求める諮問がなされ、同月の第265回委員会本会議におきまして、専門調査会の再開を決定し、座長は山本委員にお願いをいたしました。

そこから、計16回の会合を開催して議論を行っていただき、26日に報告書を取りまとめたということでございます。

本日は、専門調査会の調査・審議に御協力いただいた消費者庁にもお越しいただいております。消費者庁におかれましては、お忙しいところ、御出席いただき、誠にありがとうございます。

それでは、山本委員及び事務局から、審議経過及び報告書の内容について簡単に御説明いただきたいと思います。合わせて20分程度で御説明をお願いいたします。

まずは、山本座長から御報告をお願いいたします。

○山本委員 山本でございます。

最終取りまとめが昨日ございましたけれども、大変申し訳ないことに、私は体調を崩しましてその場にはおりませんでしたが、最終的に、昨日、座長一任という形で取りまとめをいただき、その後、私も審議の状況をお伺いし、また、修文をいたしまして、本日、報告書という形で提出させていただくことになりました。

詳細につきましては、事務局から御説明をいただきます。

全体といたしまして、先ほどお話がございましたように、ほぼ今年いっぱいかけまして、全部で16回、審議をいたしました。16回と申しましても、1回当たり3時間程度ということが多かったものですから、回数以上に時間をかけて審議をいたしております。

全体といたしまして、非常に大まかに申し上げますと、まず、確実な一歩を踏み出すということを目指して報告書を取りまとめました。

委員の方々は、皆さん、公益通報者保護法を充実させようという思いにおいては共通していたと思いますし、その面から熱心に議論に参加をいただき、また、関係方面の調整に当たっていただいたと考えております。

しかしながら、その中に意見の相違があったことも紛れもない事実でございまして、公益通報者保護法を大幅に拡充しよう、大幅な推進をしようという意見と、それに対して実務上の対応などの点から慎重な立場を表明された意見がございました。

その両者についてどのようにこの報告書の中で対応したかという点でございますけれども、まず、大幅に推進をしようという立場の委員の方、御意見の方に対しましては、先ほど申しましたように、まず、とにかく一歩踏み出すというところ、確実に一歩前進することを目指したいと。二歩進む、二段階飛ぶといいますか、それについては、今回はなかなか難しいということで御納得をいただいております。

この報告書の中では、両論を書いた上で、しかし、最終的には将来の課題とするとした論点が多くございます。そういった両論を書いた上で、将来の課題とするとしたものが、大抵、今、申し上げたような経緯からそうなったということでございます。

もう一つは、一般法理で賄える部分がある。例えば、個人の守秘義務に関する民事責任の問題等に関しては、一般法理で賄えるところがある。したがって、そこのところを明文化することについては、今回はそこまでの措置は採らないということで御納得いただけないかという形でまとめております。

逆に、慎重な立場の委員の方に対しましては、とにかく理由を明らかにしていただかないと議論が前に進まないということから、いろいろ伺いまして、理由を明らかにしていただきました。その結果として、先ほど申しましたように、推進をするという立場の方からすると不満の残るような形の結論になった部分もあるのですが、しかし、逆に、理由を示していただいたのですけれども、それが極めて一般的な、つまり、それぞれの論点に特有の問題とは異なる理由をいろいろ挙げておられるということがありました。

今日の報告書の中で、注を見ていただければ分かると思いますけれども、注の中には、これでは通報が増えて行政機関等が対応できなくなるといった理由が挙げられている、そういう理由で反対意見を述べている箇所がかなりございます。ただ、これはそれぞれの論点に関する理由にはなっていないわけでして、要は、極めて一般的に、要するに量が増えるから、対応できなくなるでしょうという話でございますので、これについては、できればそこはお考えいただきたいと。もしそれが無理であっても、これは注の形にしていただきたいと、そこは御納得をいただきました。本文の中でかみ合った形の議論に構成することが極めて難しかったということで、これは注にしていただきたいという形で御納得いただきました。

そういった形でございまして、それぞれのお立場からいろいろ御批判があろうかと思いますけれども、私としては、今のような形で何とか折り合いをつけて報告書をまとめたつもりでございます。この間、特に消費者委員会の事務局の方には、非常に苦労されて、このような形でまとめていただきました。改めて、その点を感謝申し上げたいと思います。

もう一つ申し上げますと、今申しましたように、通報が増えて行政機関が対応できなくなるといった反対意見があったのですけれども、これに対しては、行政機関が対応できますと。これは別に消費者庁に限った話ではなく、通報を受ける行政庁は全ての役所に渡りますから、要するに全ての行政機関ということになるわけですが、それは対応いたしますと、公益通報者保護法の重要性に鑑みてそれはやりますと言えば、反対意見の論拠は全て飛ぶわけですけれども、しかし、今回、この報告書を取りまとめるまでにそのようなことにはならなかったわけです。

私が個人的に一番危惧しておりますのはその点でございまして、今後、行政機関の間で十分な調整が行われて、このような反対意見の論拠はなくなりましたと言えるか、あるいは、逆に全くそのとおりで行政機関は対応できませんという形になって、むしろこの反対意見がある意味で使われることになるかという点については、私たちとしてもこれから十分見ていかなくてはいけないと思っております。

私から、総括的な話は以上です。非常に長くなって申し訳ございませんでした。

あとは、事務局から、個々の論点についての説明をお願いいたします。

○友行企画官 それでは、事務局から報告書の中身について御説明いたします。

お手元の資料でございますけれども、資料1と資料2がございます。

資料1は、報告書の概要となっております。

最初に、資料2の報告書を簡単に御説明したいと思います。

「公益通報者保護専門調査会報告書」といたしまして、表紙にございますけれども、おめくりいただきますと、最初が目次となっております。全体の構成といたしましては、「はじめに」「1 公益通報の現状等」「2 個別論点」「おわりに」と参考資料1から5までございます。参考資料1には諮問書を付けておりまして、参考資料4のところには委員名簿等を付けております。

中身について簡単に御説明いたしますが、4ページ目です。「1 公益通報の現状等」とございます。まず、左側のグラフでございますけれども、労働者以外の通報者の存在でございまして、現行は労働者のみが通報者保護の対象となっておりますけれども、退職者とか、そういったところからの通報もあるといったところでございます。(2)現行法の対象外となる通報も、このような形で20%程度あるといったところでございます。

6ページ目、図表3でございますが、例えば、(1)内部通報制度の導入割合といったグラフがございます。こちらのグラフを見ていただきますと、従業員の数が多いところにつきましては、ほぼ90%以上、体制が整っておりますけれども、その数が少ないところにつきましては内部通報制度の導入割合がそれほどでもないということが分かります。(2)未導入の割合といたしまして、赤枠で囲っておりますけれども、法律上の義務とはされていないといった理由が挙げられているところでございます。

7ページ目でございますが、上のグラフは、都道府県、府省庁、市区町村におけます通報窓口の設置率の状況でございます。上の半分が内部職員からの通報窓口の設置率、下が外部労働者からの通報窓口の設置率でございます。府省庁は100%でございますが、市区町村におきましては100%にはなっていないという状況でございます。

10ページ目を御覧いただきますと、上半分のグラフでございまして、勤務先の不正を知った場合の最初の通報先として、勤務先以外を選択するといったところが半分程度ございます。それにつきましては、その理由を問うたところ、右側の棒グラフでございますが、不利益な取扱いを受けるおそれがあるといったところでございます。こういった現状を踏まえまして、公益通報者保護制度につきまして検討を行ったところでございます。

それでは、個別の論点につきまして、大部になりますことから、お手元にございます資料1の概要に基づきまして、御説明を差し上げたいと思います。お手数でございますが、今度は資料1を御覧いただけますでしょうか。こちらでございますが、個別の論点ごとに、結論といいますか、まとめたものでございます。

まず、「通報者の範囲」でございますが、現状、労働者のみとなっておりますところ、退職者につきましては、退職者を不利益取扱いから保護する通報者の範囲に含めるべきとしております。こちらにつきまして、退職者であっても、退職金の返還とか、再就職妨害、そういったことが有り得るのではないかということで、ここは退職者を含めるべきといった形にしております。その保護の対象とする退職者の範囲につきましては、本来であれば期間制限を設けないことが望ましいが、退職後一定期間内の者に限定する場合につきましては、実態等に照らして合理的な期間を設定すべきとさせていただいております。

役員等というところでございます。今般、役員等につきましても、不利益取扱いから保護する通報者の範囲に含めるべきという整理となっております。その保護の対象とする役員等の範囲につきましては、法制的・法技術的な観点から整理を行いまして、合理的な範囲の役員等を不利益取扱いから保護する通報者の範囲に含めるべきとさせていただいております。会社法の役員とするのか、または、役員に人事部門も入れるのかどうかといったところが論点となっておりまして、合理的な範囲のところから不利益取扱いから保護する通報者の範囲に含めるべきという形でございます。ただ、その役員等につきまして、その保護内容のところにつきまして、次の2つのポツとなっております。まず、役員等の解任につきましては、一律に公益通報を理由とする解任を不利益取扱いとして位置付けることは、今後、必要に応じて検討という形になっております。また、他の法令で正当な理由のない解任に対して損害賠償請求が予定されている場合には、公益通報を理由とする解任に対し、損害賠償請求できることとすべきといった方向性を出しているところでございます。

そのほか、「通報者の範囲」につきましては、取引先事業者とか、かつて役員等であった者、取引先事業者であって者につきましての議論、その他の通報者、例えば、家族などについてということにつきましても御議論いただいたところでございます。ただ、これらにつきましては、いずれにつきましても、今後、必要に応じて検討という整理となっております。

次に、「通報対象事実の範囲」でございます。

こちらにつきましては、まず、現行では刑事罰の担保という言葉がございますけれども、それにつきまして、最終的に刑事罰の対象とならない規制違反行為のうち、法律の規定に基づく行政罰の対象となる規制違反行為の事実、法律の規定に基づく行政処分の対象となる規制違反行為の事実につきましては、いずれも法律に要件が規定されており明確性があるということから、今般、通報対象事実の範囲に追加すべきという形で整理されております。

法目的による限定でございますが、現状では、法目的というところの範囲の限定がかかっております。「個人の生命又は身体の保護、消費者の利益の擁護、環境の保全、公正な競争の確保その他の国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる」、法律として、別表に掲げるものといった規定がかかっております。そこにつきましては、その法目的による限定を外すことに賛成する意見が多かったところでございます。さらに、現行法でも「その他の利益」の保護に関わるものという規定がございまして、果たしてどこまで広いのかということでございまして、実質的な限定として機能しているか明らかでなく、まずは法目的による限定がどのような意味を有するのかを精査した上で、法制的・法技術的な観点から整理を行ってはどうかということでございます。法目的による限定がどれだけどのような意味を持っているのかということについて、整理を行うべきではないかといったところでございます。

規定の方式でございますけれども、現行法では列挙するような形の規定の仕方になっておりますが、仮にその対象となる法律を特定目的の法律に限定しない場合には、対象となる法律を列挙する方式を取りやめるべきという形にしております。また、その場合に、ふさわしくない法律も出てくるのではないかといったことも考えられますことから、一定の分野の法律について、その性質等から公益通報者保護の対象とする必要性があるかどうか考えられる場合には、対象外となる法律のみを列挙する方式を採用すべきという形で整理させていただいております。

条例につきましても御検討いただきましたが、こちらにつきましては、果たして条例違反で通報された事実がどれほどあるのかといったことも含めまして、更なる立法事実の蓄積を待って、今後、必要に応じて検討ということになっております。

2ページ目でございます。

こちらにつきましては、「外部通報の保護要件」につきまして検討いただいたところでございます。

最初のところでございますが、2号通報とございますのは行政機関への通報を指しているところでございます。最初のポツでございますが、2号通報における真実相当性の要件を緩和すべきということで、おおむね合意というところでございます。内部通報だけで不正の是正を図ることにつきましては一定の限界があるといったことで、こういった結論となっております。その際、1号通報の保護要件との差を維持しつつ、真実相当性の要件を他の要件に置きかえる、または一定の事由に該当する場合には真実相当性を不要とすることで、おおむね合意といったところでございます。他の要件に置きかえるといったことにつきましては、真実相当性が今は要件としてございますけれども、例えば、他の文言に置きかえるといったこととか、一定の事由に該当する場合、例えば、現行法の第3条第3号イからニに該当する場合とか、内部通報体制の整備ではないとった場合、そういった一定の事由に該当する場合には真実相当性を不要とすることでどうかということで、おおむね合意したところでございます。具体的な緩和の方法につきましては、法制的・法技術的な観点から整理を行うべきといった形で整理されております。

3号通報でございますが、これは、マスコミ等、その他の通報先といったところでございますけれども、真実相当性の要件につきましては、現時点ではそれを維持すべきという形で整理されております。特定事由のところでございますが、事業者が内部通報体制の整備義務を履行していない場合につきましては、客観的・外形的に判断可能な要件について法制的・法技術的な観点から整理を行いまして、当該要件を特定事由に追加することで、おおむね合意といったところでございます。また、財産に対する危害につきましても検討いただきまして、現行法では、個人の生命、身体に危害が発生し、また、そのおそれがある場合といったところにつきましては、特定事由として規定されているところでございますが、更に財産に対する危害につきましても、例えば、回復の困難性が認められるなど、一定のものについては、法制的・法技術的な観点から整理を行いまして、保護の対象とすべきでないかという形で整理されたところでございます。

次の通報者の範囲の拡大でございますけれども、退職者につきまして、更にその労働者のものよりも保護要件を加重するといったことにつきましては必要ないという形でございます。ただし、役員等につきましては、原則として事業者の内部で是正措置を前置することを保護要件とすべきとされたところでございます。ただし、そうは申しましても、第3条第3号ホ、これは、生命、身体に被害が及ぶ場合といったところでございますが、そういった場合につきましては、例外的に内部での是正措置の前置を不要とすべきとされているところでございます。また、同号ロのところ、これは証拠隠滅のおそれなどがある場合というところでございますけれども、こういった場合につきましても、内部での是正措置と前置を不要とすべきとの意見もございまして、こちらにつきましても、法制的・法技術的な観点から整理を行い、適切に例外を定めるべきという形で整理させていただいているところでございます。

次の「通報を裏付ける資料の収集行為」を理由とする不利益取扱いから通報者を保護すべきといった、そちらの論点につきましては、これまでに集積された通報を裏付ける資料の収集行為に関する裁判例を整理・分析し、当該収集行為に関する責任の有無について実務上の運用の周知を進めるべきといったところが今回の整理でございます。何ら裏付けもなく通報を行っても、実際に調査に着手していただくことは難しいといった議論があったところでございますが、今回の専門調査会ではこういった議論の整理となっております。

「切迫性の要件」につきましては、現段階ではそれを維持すべきという形になっております。

3ページ目に参ります。

こちらにつきましては、「通報体制の整備」でございます。

まず、内部通報体制でございますけれども、民間事業者につきましては、民間事業者に内部通報体制の整備を義務付けるべきとされております。ただし、常時雇用する労働者数が300人以下の民間事業者については、事務負担等を勘案し、努力義務とすべきとされております。具体的に義務付ける義務の内容でございますけれども、マル1とございますように、内部通報受付窓口の設置など内部通報を受け付ける運用、内部通報受付窓口を組織内で周知する運用、通報者を特定可能な情報の共有を必要最小限の範囲にとどめる運用、公益通報をしたことを理由に解雇その他不利益な取扱いを禁止する運用が機能するような体制の整備を求めております。ただ、こちらにつきましては、新たに公益通報者保護法に基づき指針を策定することといたしまして、当該指針の中で、上記のマル1からマル4が機能する体制として考えられる具体例を示すとともに、その組織ごとの事情に応じて柔軟な体制を取り得ることを示すべきとされております。また、こうした内部通報体制の整備義務を履行していない事業者に対しまして、行政措置を導入すべきとされております。通報を理由として通報者に不利益取扱いをした事業者に対する行政措置と一体的に運用されることが想定されることに鑑みまして、行政措置の種類といたしましては、助言、指導、勧告、それから公表とすべきとされております。また、行政機関における内部通報体制整備につきましては、規模にかかわらず、内部通報体制の整備を義務付けるべきとされております。

また、外部通報の対応体制につきましては、行政が行うことでございまして、規模にかかわらず、外部通報対応体制の整備を義務付けるべきとされております。

次に、「守秘義務」のところでございます。

こちらにつきましては、通報窓口の担当者、その他通報に関する業務に関わる者につきまして守秘義務を課すことにつきまして、御議論いただきましたところでございますが、現時点では様々な意見ございました。そういたしましたことから、今後、必要に応じて検討という形にされております。守秘義務のところにつきまして、様々な意見があったところでございますけれども、まず、その担当者に守秘義務を課してしまうと、委縮効果とか、守秘義務自体につきましては事業者の問題ではないかといった御議論もございました。そういったことから様々な御議論をいただいたところでございますけれども、結論といたしましては、今後、必要に応じて検討という形で整理されております。また、(参考)とございますけれども、今回は直ちに何か体制や法制的なところを求めるといったところではございますが、今後の議論の参考といたしましては、報告書の中には厚めに議論の経過が盛り込まれております。参考ということで、守秘義務の対象となる情報の範囲につきましては、通報者個人を特定し得る情報とすることが考えられるといったことがございました。また、守秘義務を課すとしても、調査の必要性等の関係で適切に例外を設定することが考えられるといったことでございますとか、守秘義務違反に対して行政措置を行う仕組みや、刑事罰を規定することにつきましては、実効性の確保等の観点から、今後、必要に応じて検討とされたところでございます。

2号通報先につきましては、行政機関のところでございますけれども、現行、公務員法上の守秘義務に関わっておりますので、既に講じられている法律上の措置に抵触し得ることを周知するといった対応が良いのではないかといったところでございます。公益通報者保護法の中で守秘義務を課すことにつきましては、「今後、必要に応じて検討」とされたところでございます。

3号通報先といたしまして、例えば、マスコミといったところに守秘義務を課すかどうかということにつきましては、様々な通報先があるといったこともございますことから、一律に守秘義務を課すことの必要はないといったところの整理でございます。

4ページ目でございます。

こちらにつきましては、「一元的窓口」につきまして議論されたところでございます。各行政機関の通報窓口において引き続き通報を受け付けて対応する体制を維持しつつ、それを補完するものとして、一元的窓口を消費者庁に設置すべきという形で御議論いただいたところでございます。具体的に、消費者庁におかれましては、一元的窓口の機能でございますが、体制整備を図りつつ、以下の機能を担うべきとされておりまして、まず、(1)といたしましては、既存の事務でございますけれども、今後、更にそういう機能を拡充するものといたしまして、例えば、公益通報に関する一般的な情報提供、相談対応については、これまでの公益通報者保護制度相談ダイヤルにおける対応の一層の充実を図るといったこととか、法の施行状況調査を実施し、地方自治体も含む通報件数や通報への対応状況を把握するほか、全府省庁の幹部級職員を構成員とする連絡会議の枠組みを活用しつつ、体制整備や職員への周知等の取組のフォローアップを行うといったことが議論されたところでございます。さらに、(2)といたしまして、一元的窓口として新たな機能を付与するものが議論されたところでございます。例えば、今後、権限を有する行政機関の特定が通報者にとって難しい通報事案については、通報者からの相談がなされた場合に、一元的窓口が各行政機関と連携しつつ、権限を有する行政機関を特定し、通報者に教示するといったところを、新たな機能を付与してはどうかといったところが議論されたところでございます。

次に、「不利益取扱いに対する行政措置」でございます。こちらにつきましては、不利益取扱いに対する抑止の観点から、通報を理由として通報者に不利益取扱いをした事業者に対する行政措置を導入すべきとされたところでございます。行政措置の種類といたしましては、助言、指導を行うほか、重大かつ悪質な事案を対象に勧告を行い、勧告に従わない場合には公表を行うことができることとすべきといったところでございます。それから、今般、命令制度の導入を前提とした刑事罰を導入することにつきましては、今後、必要に応じて検討、命令制度までを導入することにつきましても、今後、必要に応じて検討といった形で整理されたところでございます。

また、「不利益取扱いに関する紛争解決手続」でございますが、現時点では、限られた行政資源の中で、一元的な窓口における相談体制、情報提供の充実を図りつつ、既存のADRの活用等によって対応を図っていくべきといった整理がされたところでございます。

5ページ目のところでございます。

最初の「立証責任の緩和」でございますけれども、通報者が解雇その他不利益取扱いを受けた場合に、その解雇、不利益取扱いが通報を理由とすること立証責任は、現行では通報者が立証を行わなければならないといったことにつきまして、それは負担が大きいのではないかといった御議論がございました。

こちらにつきましても様々な御議論をいただいたところでございますが、この専門調査会での整理といたしましては、まず、解雇につきましては、通報から一定期間内に行われた解雇につきまして、当該解雇が通報を理由とすることの立証責任を事業者側に転換することにつきましては、現時点で様々な意見があり、今後、必要に応じて検討と整理されたところでございます。

その他の不利益取扱いにつきましては、例えば、配置転換が該当するところでございますけれども、労務管理実務への影響の内容、程度等について、更なる検討が必要でございまして、今後、必要に応じて検討といったところで整理されたところでございます。

また、次の「通報行為に伴う損害賠償責任」でございますけれども、通報者が、不利益取扱いから保護される要件を満たしている場合に、通報したことを理由として損害賠償責任を負わないとする規定を設けるべきといった方向で整理されたところでございます。

また、「通報行為に伴うに刑事責任」とか、「その他の論点」といたまして、調査措置義務の対象、通報者の探索及び通報妨害、通報者へのフィードバックといったところにつきましても御議論いただいたところでございます。ただ、いずれにつきましても、今後、必要に応じて検討といったところ、それから、通報行為に伴う刑事責任につきましては、現時点では新たに規定を設ける必要はないといった形で整理されたところでございます。

概要につきましては以上でございまして、もう一つ、説明させていただきますが、概要のところにつきまして、例えば、1ページ目のところにお戻りいただきますと、「通報対象事実の範囲」につきましては、刑事罰の担保による規定のところを御覧いただきますと、「最終的に」といった方向性を示したところの後に、※1がついております。

2ページ目の「外部通報の保護要件」を見ていただきますと、2号通報で整理されたところでございまして、2つ目のポツでございます。「おおむね合意」といった形で方向性を打ち出したところの後に、※2を付記しているところでございます。

こちらにつきましては、概要の5ページ目でございますけれども、※1につきましては反対意見があったというところ、※2につきましては一定条件を前提に合意する意見ありといったところの注釈といったことで、こういった印を付けさせていただいているところでございます。

こちらは、本文、報告書全体を見ていただきますと、どういった反対意見や賛成意見があったかということは、柱書きのところや説明のところにきちんと書かれているところでございます。ただ、概要につきましては、結論だけを取り出しているといったこともございまして、どういった賛成意見や反対意見、特に反対意見があったかというところがはっきり分からないといったところもございまして、こういった※印を今般付けさせていただいたところでございます。

ただ、※印がついているところでございましても、その方向性がしっかりと出ているというところは変わりはございませんので、ただ、中ではこういった反対意見があったというところを最大限配慮するとこういった形になるのではないかということで、概要のところではそういった表記の工夫はさせていただいているところでございます。

説明としては、以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

ただいまの山本座長と事務局で説明いただきましたこの内容に関しまして、御意見、御質問のある方はどうぞ御発言ください。

鹿野委員、どうぞ。

○鹿野委員 非常に熱心にこの公益通報者保護法の充実に向けて御議論いただきました。このまとめ自体に異論があるというわけでは全くございません。

ただ、今後に向けて3つほど申し述べたいと思います。

1点目は、守秘義務に関してです。この報告書本体の10ページに紹介されておりますように、情報が漏れることによって不利益な取扱いを受けるおそれがあるということが通報を妨げている大きな理由となっているところです。そういう意味でも、通報者を特定できるような情報が外部に漏れないということはこの制度を機能させるために極めて重要なのだろうと思います。それに関し、30ページのところで、先ほど御説明がありましたように、今回は、その担当者個人の守秘義務については、委縮効果が働く等の懸念から直ちに検討すべき事項とはせず、その守秘義務の法定については今後の検討課題ということで整理されたということでした。山本先生からは、これは一般的な法理で対処できる可能性もあるという御説明も先ほど追加でございました。ただ、一方で、ここの30ページにも整理されておりますように、事業者については、通報者を特定できる情報の共有を必要最小限の範囲にとどめる運用を求めるということが、事業者としての守秘義務としてあるのだという整理がなされているところであります。そして、事業者がこの義務を履行するためには、当然、窓口担当者に対して、この公益通報者保護法の趣旨を理解させ、その秘密を漏洩してはいけないという指導を徹底することが求められていると思います。ですので、今後、これが法改正という形でつながっていくときに、是非その点についても御理解いただきたいと思います。

2点目ですが、これは今回のものに限ったわけではないのですけれども、概要版で見ますと、茶色がついているところで、基本的な方向性が示されて、その後で法制的・法技術的な観点から整理を行うべきとされている点についてです。どこまで具体的に方向性が示されたのかというのは論点によって違いがあるのですが、少なくとも基本的な方向性は明確に示されて、あと、法技術的な点から整理が必要だとされたところについては、あくまでもその示された方向性について尊重していただきたいというお願いでございます。これは当たり前のことだと思うのですが、この間行われた法改正においては、法制的・法技術的な観点からという理由付けで、専門調査会の報告書で示されたことが、ちょっと強い言い方をすると、一部ゆがめられたようにも感じられる部分があったので、その点を改めてお願いしたいということです。

3点目は、報告書の39ページの「おわりに」に書いてあることについてです。これを今後法案にして、あるいは制度として実現していくためには、消費者庁に頑張ってもらわなければいけないというのはもちろんなのですけれども、消費者庁だけではなく政府全体において取り組んでいただくことが必要なのだろうと思います。この「おわりに」というところで、正に「政府において」という文言が何回も繰り返し出てきますけれども、私はそのような趣旨だろうと理解しているところで、これについてもお願いということで申し述べました。

以上です。

○高委員長 ありがとうございました。

他に御意見はございますでしょうか。

どうぞ、長田委員。

○長田委員 今、鹿野先生もかなりおっしゃっていただいたのですけれども、一つは、今回のこの調査会の報告書は、山本先生のお話にもありましたように、確実に一歩を踏み出す内容という御説明でございましたので、消費者庁におかれましては、できるだけ早い時期にきちんと法改正を実現していただきたいと思っています。他に残された課題というか、論点がかなりたくさんありまして、そちらについてもできるだけ早い段階でもう少し丁寧な議論をしていただければと思っています。

かつ、本文の28ページなどに消費者庁の体制のことについて書かれているところがあったと思いますけれども、現在の消費者庁の体制ではなかなかこの対応は難しいということはよく分かりますし、この報告書を受けて、できるだけきちんと体制を、今、地方支分部局もない消費者庁というところから一歩大きくステップにしていただければ良いのだと思いますので、それを是非実現していただいて、取り組んでいただきたいと思っています。

先ほど友行さんからの御説明の最後にあった概要版の注釈、※印のところについて、申し上げたいことがございます。私もいろいろな審議会や専門調査会などに出まして、意見が一致しないことはたくさんあると思います。今回、山本先生からも御説明があったように、注釈のところ、欄外にそれを書いていただくということはよくあります。しかし、それが概要版にもわざわざこうやって注釈を付けているというのは、初めて体験をしております。このことは、この16回という、非常に意見が対立する調査会の中で生み出した解決策なのだということは御説明いただきましたけれども、消費者委員会の今後として、全員一致でないものの扱い方については、全ての表現については全員一致ができないものがあったとしても、おおむねここで目指すところで、皆さん、合意をしながら次に進んでいくというのが普通ではないかと思いますので、その場合について、反対の意見があったことを概要版にまでも明記していかなければいけないのかどうかということについては、消費者委員会としての姿勢もまた問われるところではないかと思いますので、それはまた別の機会にということで結構ですけれども、きちんと私たちとしても考えていくべきこことではないかと思いました。

そういうことを申し上げたいと思います。以上です。

○高委員長 ありがとうございます。

今の2点目の問題については、場を改めて議論するということでよろしいですか。この報告書そのものについては、御賛同いただけるということで。

○長田委員 非常に御苦労なさってまとめられたということは私も認識をしておりますので、この今の段階でこれをどうこうということが難しいということは、先ほども御説明いただきましたので、そこはやむを得ないかなと思いますけれども、ちょっと残念に思っているということを申し上げつつ、このことが、結局、また新たな課題を私どもに突き付けているかなと思ったということは申し上げたいと思います。

○高委員長 ありがとうございます。

どうぞ、池本委員長代理。

○池本委員長代理 池本でございます。

私も、この専門調査会にオブザーバーで議論を拝聴させていただきました。報告書の中身も、本当に様々な論点でまだ反対意見がいろいろあることもたくさん出ていますし、法制的・法技術的な課題の検討という宿題が残っていることもあります。

他方で、昨日から今朝にかけてのマスコミの報道でも、マスコミの受け止め方としてこれでは不十分ではないだろうかということがありましたし、あるいは、消費者団体側のコメントの中でも本当に大事な論点こそ獲得できていないではないかという不満の声も聞いております。

ただ、意見が対立しているところがあるからということで、むしろ今後の問題として私が一番危惧するのは、そこの細部にわたっての調整がまだできていないというので、いつまでもずるずると立法課題として先送りされるということは絶対にあってはならないということ。

これは可能であれば後で消費者庁の方に今後の予定をお伺いしたいところなのですが、特に、今回の調査会での検討より前に、2年前にも一度検討会をやり、中間報告をし、パブコメを採り、あるいはワーキングを開き、最終報告をして、それで具体的に動くかと思ったら、事実上約1年棚上げになったという経緯もあります。

それで、今回、本当に何が一致でき、どこが難しいかというかなり精力的な振り分けをしてここに至っているわけで、もちろん細部にわたっての検討課題はありますけれども、それについていつごろまでに、例えば、春の通常国会は日程的に無理だとしても、例えば、秋の臨時国会までには間に合わせるようにやっていくとか、その辺りのスケジュール感を含めて、これは法律の条文だけではない、体制整備に向けての政府の中の課題もあるので大変かとは思うのですが、その辺りについてお伺いしたいということ。

それともう一つは、そうやって急いでやってくださいと言いながら更に注文なのですが、法制的・法技術的な課題について更に検討を重ねるというのが、議論の方向性として予定した範囲での調整に収まるのか、それともそこからまたずるずるとどちらか違った方向に行きはしないかということも危惧しています。

その意味では、ある程度の調整がされた時点で改めて私ども消費者委員会にも報告をしていただいて、場合によってはそこをもっとこうしてほしいという議論の場も設けさせていただければと思います。その意味で、今後の取組の御予定、方向性などについて、お伺いできればと思います。

○高委員長 消費者庁でこれから作業を進めていかれるでしょうけれども、その進捗についてまた我々で聞く必要があればこういう場を設けさせていただくという2点目の問題については、そのように考えておりますので、よろしくお願いいたします。

スケジュールについて、もしお答えできるのであれば、お願いいたします。

○消費者庁高田政策立案総括審議官 消費者庁でございます。

スケジュールでございますけれども、法制的・法技術的な観点からの整理あるいは意見が一致していないところについての関係者間の調整等々がございますので、今の段階でこの時期と申し上げることは若干困難でございますので、また状況は消費者委員会に御報告し、「おわりに」のところにも書いてございますけれども、場合によっては委員の皆様あるいは専門調査会の皆様のお力を借りることもあるかと思いますので、そのときはよろしくお願いいたします。

現時点では、そこまでしかお答えできません。

○高委員長 よろしいですか。

○池本委員長代理 要望として、申し上げます。

先ほども申し上げたように、前回の検討会での最終報告の後、約1年、事実上、これは棚上げではないとおっしゃるのかもしれませんが、進捗がみられなかったという経緯がありますので、今回についてはできるだけ精力的に進めていただき、それこそ秋を目指すというくらい、ある程度内部的にはスケジュール感を固めて取り組んでいただき、また途中でいろいろ意見交換の場も作っていただければと思います。これは要望です。

○高委員長 ありがとうございます。

どうぞ、増田委員。

○増田委員 冒頭の山本先生の御発言からも大変御苦労されたということが分かりまして、非常に心に染み入るお話だったと思っております。

様々な不祥事が発生している現状から、公益通報者を保護するということで、抑止効果とか、不正の早期発見とか、そういうことを目指すのであるということについては誰もが意見の一致をしているところだと思うのです。ですから、たとえ意見が分かれていたとしても、何もしないで良いということにはならないはずですが、反対意見や賛成意見があることは当然のことだと思います。そこで、概要にも反対意見があったということが記されていますけれども、例えば、「今後、必要に応じて検討」というところについては当然賛成して推進してほしいという意見もあったことを含んでのことだと理解しておりますので、ここに書かれています年内にすべきであるということについては、是非とも早期に法文化して国会を通していただくことを目指していただきたいと思っています。よろしくお願いいたします。

○高委員長 ありがとうございます。

どうぞ、蟹瀬委員。

○蟹瀬委員 大変難しい問題を解決しようとしていますので、時間が掛かるというのはよく分かるのですが、この表記の中に、ブルーで書いてある「今後、必要に応じて検討」という非常に便利な言葉が書いてあるのですけれども、その中で「立法事実の蓄積を待って」というものが3件あります。他のものに関しては、「今後、必要に応じて検討」ということは、例えば、位置付けることに対してとか、いろいろな言葉が違っていますが、17件、このブルーで表示されているものがあるのですが、蓄積を待つということに対しては納得ができるのですけれども、「必要に応じて」という言葉が私はよく分からなくて、そうであれば、まず、必要であるかどうかを早くに検討するとして解決していく方法はないのだろうかと思いながらお聞きしています。

ですので、こういう委員会にいますと、必ず今後検討という言葉ばかりが出てきて、では、どうなったのかということがよく分からないままに進んでいくということがありますので、是非この辺りが早くに検討済みとなっていただくといいかなということが、私の意見であります。

○高委員長 これは、私が説明してしまってもよろしいですかね。

山本座長か事務局かお答えなさいますか。

「必要に応じて検討」という事項は、当然ここに書き残したということは、これで終わりということではなくて、今後、時間をかけながら議論を進めていくという意味で書かれたと思っているのですけれども。

○山本委員 そういうことです。先ほども申しましたように、とにかく今回はまず一歩をということですので、そこから更に先の部分に課題があるということは当然認識しておりますし、また、その点についてもある程度の議論は行われましたので、それを報告書に示した上で、どういった点について今後留意をして検討していく必要があるかという形の書き方をしております。

「今後、必要に応じて検討」という表現がこれで適切であったかどうかという点については、確かに御指摘のとおり、もう少しうまい表現がひょっとするとあったのかもしれませんけれども、ここの趣旨としては、課題があることは認識をした上で、今回は盛り込めない、しかし、今後のために議論しましたという趣旨で、このように書かせていただいたということでございます。

○高委員長 ありがとうございました。

他、ございますでしょうか。

よろしいでしょうか。

いろいろ委員の方々から御意見をいただいて、不満な部分もあろうかと思いますけれども、冒頭、山本座長からお話がありましたとおり、確実な一歩を目指すというところで、こういう形でまとめられたということでございます。

16回、今回の専門調査会は、議論の場を設けて頂き、集中的に報告書の内容を固めていただいた。当初より、委員の方々、それぞれの思いもあり、つまり、賛否両論があって一つにはなかなかまとまらないような状況の中で、山本座長はこの調査会を進めていただいたと思っております。私は、数回しか出席していないのですけれども、そういう状況を見てまいりました。既に委員の方々からお礼の言葉等もいただいておりますけれども、私自身、何回か見ておりまして、座長は、終始一貫、冷静かつ公平に、皆さん方、委員の方々の御意見、一人一人の意見に耳を傾けておられ、更にその一人一人の意見をできるだけ皆さん方に納得いただけるような形で盛り込み、今回、この報告書にしていただいたと思っております。委員会としましても、山本座長に対し、改めて感謝と敬意の意を表したいと思います。ありがとうございました。

それでは、皆さん方より賛同をいただいたと思います。不満足な部分もあろうかと思いますけれども、今後の課題もいろいろ指摘していただきましたので、その点を意識しながら、長い目でこの公益通報の制度を育てていきたく思いますが、いかがでしょうか。

また本日は、消費者庁にもおいでいただいておりますので、この報告書で提言されました事項につきまして、その実現に向けてできる限り努力をしていただきたいと思います。

今回の報告書では、提言の一つとして、行政機関における適切な執行体制の構築を求めております。消費者委員会は、かねてから、多くの提言、答申などを発出しておりますけれども、本件については、これまでの他の案件以上に多くの省庁が関係してくることになりますので、消費者庁のみならず関係省庁の協力が必要であり、正に政府一丸となって対応すべき課題であると考えております。この点は、本日、委員の方々からも御指摘いただいたところです。そのため、関係省庁においても、更なる連携強化なども含め、積極的に取組を進めていただければと思います。

それでは、委員会の答申案を配っていただけますか。

(答申案配付)

○高委員長 お手元にお配りしました答申案では、報告書を別添として、その内容を踏まえ、「提言された事項について、その実現に向けてできる限りの努力を行うよう期待する。法改正が実現した場合においては、現行法の内容及び改正法の内容について幅広く周知活動を行うこと、及び解釈の明確化が必要な点については逐条解説等において明確化を図ることなど、必要な取組を進めることが適当である」としております。

これを委員会の答申としてよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○高委員長 ありがとうございます。

それでは、この答申案については、皆様の御了解をいただいたということで、答申したいと思います。

消費者庁におかれましては、お忙しいところ、御出席をいただきまして、ありがとうございました。

どうぞ御退席ください。

(消費者庁退席)


≪3.閉会≫

○高委員長 本日の議題は以上になります。

最後に、事務局より今後の予定について説明をお願いいたします。

○坂田参事官 次回の本会議は、日程が決まり次第、委員会ホームページにおいてお知らせしたいと思います。

以上です。

○高委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところを御参集いただきまして、ありがとうございました。

(以上)