第287回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2018年11月29日(木)14:00~17:26

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    高委員長、池本委員長代理、大森委員、蟹瀬委員、長田委員、樋口委員、増田委員、山本委員
    (高委員長の「高」は、正しくは「はしごだか」)
  • 【説明者】
    法務省笹井民事局参事官
    文部科学省三好総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課長
    消費者庁消費者教育・地方協力課米山消費者教育推進室長
    消費者庁廣瀬消費者制度課長
    金融庁岡根監督局総務課金融会社室長
    経済産業省正田商務情報政策局商取引監督課長
    消費者庁尾崎消費者安全課長
    消費者庁澤野消費者政策課企画調整官
    消費者庁消費者安全課担当者
    消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長
    消費者庁消費者教育・地方協力課担当者
  • 【事務局】
    二之宮事務局長、福島審議官、坂田参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議における検討状況について
  3. 事故情報の更なる活用に向けた提言のフォローアップについて
  4. 地方消費者行政の現況調査について
  5. その他
  6. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○高委員長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「消費者委員会第287回本会議」を開催させていただきます。

皆様、お忙しいところ御参集いただきまして、ありがとうございます。

本日は、受田委員、鹿野委員が御欠席となっております。

それでは、配付資料の確認につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

○坂田参事官 議事次第に配付資料を記載しております。

もし不足等がございましたら、事務局までお願いいたします。

以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。


≪2.成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議における検討状況について≫

○高委員長 本日の最初の議題は、「成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議における検討状況について」でございます。

民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げることなどを内容とする民法の一部を改正する法律が本年6月に成立し、2022年4月1日から施行されることとなっております。新たに成人となる18歳、19歳の消費者被害の防止・救済、これは喫緊の課題であり、消費者教育の充実や制度整備などに向けて取組を加速化していく必要性については、消費者基本計画工程表の改定素案に対する意見などでも累次指摘しているところでございます。

また、本年3月に発出いたしました意見では、「成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議」の取組とスケジュールなどについて、工程表への記載を求めたところでございます。

本日は、本年4月に設置され、法務大臣を議長として議論が進められている本連絡会議における取組につきまして、関係省庁に御説明いただき、意見交換を行いたく思っております。本日は、6名の各省庁の皆様に御出席をいただいております。

法務省笹井民事局参事官、文部科学省三好総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課長、消費者庁消費者教育・地方協力課米山消費者教育推進室長、消費者庁廣瀬消費者制度課長、金融庁岡根監督局総務課金融会社室長、経済産業省正田商務情報政策局商取引監督課長、以上の方々においでいただいております。

各省庁におかれましては、お忙しいところ御出席いただきまして、ありがとうございます。

それでは、大変恐縮でございますけれども、法務省、文部科学省、消費者庁、金融庁、経済産業省の順で、それぞれ大変短くなるかもしれませんけれども、合わせて30分程度で御説明をお願いできますでしょうか。

○法務省笹井民事局参事官 法務省民事局で参事官をしております、笹井でございます。

私からは、全体的な成年年齢引下げの法律、法改正の内容と、御紹介いただきました連絡会議の進捗状況の全般的なところについて御説明を差し上げたいと思っております。

まず、右肩に資料1-1とございます「民法の一部を改正する法律(成年年齢関係)」という1枚紙を御覧ください。

こちらにございますとおり、成年年齢には1人で有効な契約をすることができる年齢、親権に服することがなくなる年齢といった2つの意味がございますけれども、これをいずれも20歳から18歳に引き下げるという法律案を提出し、本年の6月にこれを成立させていただいたところでございます。真ん中少し上に「施行までの周知期間」とございますけれども、平成34年4月1日から施行ということになっておりまして、あと約3年半ほどありますが、こういった期間にしっかりと必要な対策を政府全体で取り組んでいきたいと思っております。

1枚おめくりいただきまして、「年齢要件の変更について」というペーパーでございますが、こちらは成年年齢の引下げに伴いまして18歳にかわるものと、20歳が維持されるものといったものが様々にあるということを御紹介したものでございます。

1枚おめくりいただきまして、こちらが連絡会議についてでございます。成年年齢には1人で有効な契約をすることができる年齢という意味を持っておりまして、これが20歳から18歳に引き下げられることにより、18歳、19歳の方が、いわゆる未成年者取消権を失い、その結果として、消費者被害の拡大といったおそれがあるのではないか、こういった懸念が示されてきたところでございます。そのほかにも、自立支援など、様々な問題が指摘されておりまして、施行までの3年半の間にしっかり対策をしていかなければならないということでございます。こういった政策は、法務省のみならず、様々な府省庁に関わるものでございますので、省庁横断的な連絡会議を通じまして、進捗管理を図ってまいりたいということでございます。

この資料1-3にございますように、議長を法務大臣、副議長を内閣官房副長官補とし、各関係府省庁の局長級の方々に構成員として御参加いただいております。黄色い枠で囲まれたところにテーマが記載されておりますが、消費者教育・消費者保護、与信審査、自立支援策、そういった問題について取り上げてまいりたいということになっております。

1枚おめくりいただきまして、右肩に資料1-4と書いてあるものでございますけれども、これが連絡会議の全体の構成員等について示したものでございます。更に1枚おめくりいただきますと、「幹事会の官職の指定について」というペーパーがございます。これは、連絡会議は、法務大臣をトップとし、また、局長級の職員の方々に参加していただいているということもございますので、もう少し機動的な開催を考えてまいりますと、課室長級の実務担当者レベルの会議を開催したほうが良いということで、幹事会をこの下に設置してございます。本日までのところ、親会を4月と9月の2回開催し、また、幹事会を11月に開催したところでございます。

なお、民法改正法案の審議の際に、参議院法務委員会において附帯決議が付されており、その第8項において、連絡会議のメンバー等において、弁護士、教育関係者、消費生活相談員等を含む第三者の意見をしっかり聞くようにという御指示をいただいております。このような附帯決議を受けまして、幹事会では、そういった関係者からのヒアリングを実施しているところでございます。前回、第1回の会議では、正しくこの消費者問題、消費者教育に焦点を当てたヒアリングを実施したところでございます。また、引き続き、この親会、幹事会を継続的に開催いたしまして、今後の環境整備に努めてまいりたいと思っております。

私からは以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

○消費者庁消費者教育・地方協力課米山消費者教育推進室長 続きまして、私、消費者庁から「若年者への消費者教育の推進に関するアクションプログラム」について御報告させていただきます。続けて、この後で文部科学省からお願いすることにしたいと思います。

資料といたしましては、資料1-6、1-7という2つでございます。

本日は、このような機会を与えていただきまして、どうもありがとうございます。

民法の成年年齢の引下げを見据えまして、お手元にあります「若年者への消費者教育の推進に関するアクションプログラム」を2月20日に、4省庁関係局長連絡会議で決定させていただいたところでございます。それに基づきまして、本年度から3年間を集中強化期間として若年者の消費者教育を推進してまいろうということでございます。

4省庁といいますのはこちらの資料の後ろにも入れているかと思います。最後のページでございますが、消費者庁、文部科学省、法務省、金融庁のそれぞれ局長級のメンバーでございます。

この会議は、2月のこの決定をした後に、今年の7月12日にも会議を開き進捗を報告し合っておりまして、お手元の1-7は、その時点での進捗管理表になってございます。

この中で、「実践的な消費者教育の取組の推進」をプログラムの2番目に挙げてございますが、「高等学校等における消費者教育の推進」といたしまして、学習指導要領に関しては、この後、文部科学省から御報告があるかと思いますけれども、具体的には「社会への扉」という消費者庁が作成した教材を全ての都道府県の全ての高等学校等で実施するという、アクションプログラムでいいますと6ページにグラフを用意してございますけれども、このような目標を定めまして、本年8月までに、全ての都道府県に私どもの担当者誰かが必ず出向きまして、直接教育委員会または教育庁といった教育行政の部署の担当の方と消費者行政部の担当の方にお目にかかりまして、この意義とか、具体的には授業等で「社会への扉」等を活用した実践的な消費者教育をやってくださいというお願いをして回りました。

配付させていただいているこの1-7は7月時点のものでございますが、今年度から「社会への扉」を授業で使いますと、着手しますと言ってくださった県が、その時点で、徳島県を含めて6県、茨城、静岡、奈良、和歌山、愛媛といったところがありました。そのほかに、「社会への扉」という教材だけではなく、それぞれの自治体で作成した実践的な消費者教育教材もございます、そういったものを使っていきますとおっしゃいましたところとしても、3県上がっておりました。さらに、高校の新学習指導要領に基づいて、これからこのように教育が変わりますという包括的な御説明を文部科学省がされる説明会とか、各都道府県の家庭科の先生、社会科の先生などの研究会があるのですけれども、そういったところでも「社会への扉」の活用を進めていただいていることもございまして、さきに申し上げた6県だけでなく、本年度から活用を希望しますという高校が非常に増えております。

結果的に、全県的な活用となることが見込まれる自治体としましては、例えば、北海道、山形、埼玉、滋賀、鳥取、高知、熊本などと多数挙がってまいりました。これは実際に高校に消費者庁から直接教材をお送りしている実績ベースで申し上げているのですけれども、現在、各都道府県に、今年度の2018年度、来年度、再来年度の2020年度のいつからこのような実践的な消費者教育に取り組んでいただけますか、「社会への扉」を使われますか、併用する教材はありますかといった意向調査をしておりまして、その締切りが今日なものですから、今、御報告はできないのですけれども、年明け早々に開催を予定しております消費者教育推進会議では、取りまとめて報告をさせていただこうと思っております。

今、申しました意向調査というのは都道府県の意向でございます。実際には各学校の各教員が授業で活用していただくということになりますので、それは校長先生や教員の皆様の判断となります。したがいまして、年度末には実際に活用されましたかということで御報告をいただくことも予定しております。そういった結果につきましては、また年度を改めてからになりますけれども、消費者教育推進会議や、先ほどから申しております4省庁関係局長会議等で御報告をする予定にしております。

教員研修に関しましても、これもアクションプログラムの中で述べているところではあるのですけれども、消費者教育推進会議の下にある若年者への消費者教育推進の分科会報告書を夏に出しております。これを7月12日の会議でアクションプログラムに追記をしております。こちらを踏まえまして、来年度以降、全国での教員研修を進めていただくために、国民生活センターにおかれても地方での講座の開催を予定しております。また、免許状更新講習の主体となることもアクションプログラムにうたっているため国民生活センターで、文部科学省の担当課の御指導をいただきながら、今、検討を進めているところでございます。

今年度も、都府県の要請をいただきまして、推進会議の委員とか消費者庁の職員が「社会への扉」の活用に向けました教員研修にも各地に出向いておるところでございます。消費者教育コーディネーターというのも、いろいろな方々の連携で消費者教育を進めるということで、アクションプログラムにうたっております。こちらに関しましても、先ほど申し上げました消費者教育推進会議の分科会で、学校における消費者教育コーディネーターの在り方、役割や人材について記載して、現在、その後、実態調査等も進めているところでございます。これも引き続きまして、年明けにも消費者教育推進会議やその分科会で、学校だけでなく地域における消費者教育コーディネーターについての御議論もいただき、各都道府県にも情報発信は引き続きしてまいる予定でございます。

なお、2018年、先ほど見ていただいた「社会への扉」のグラフの下に、消費者教育コーディネーターの配置というグラフもあるのですけれども、2018年は、2017年の16から3つ増えて19府県に消費者教育コーディネーターが設置されていると報告はいただいているところでございます。

消費者庁からは以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

続きまして、文科省、お願いします。

○文部科学省三好総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課長 それでは、ただいまの消費者庁の御説明に関連して、資料1-7に沿って御説明させていただきます。

資料1-7の項目番号2番、学習指導要領の徹底について御説明させていただきます。学習指導要領の趣旨の周知徹底を図っているところですが、本要領は10年ごとに見直しをしており、高等学校につきましては、平成30年3月に学習指導要領が既に改訂されておりますので、更により実効性のある消費者教育を高等学校の課程でも実施していきたいと考えております。

項目番号3番、「社会への扉」の周知については、文部科学省において教育委員会あるいは校長先生が集まるような機会を通じまして周知を図っているところです。

項目番号4番、実務経験者の学校教育現場での活用ですが、これは現在までの取組に書いていることに加えまして、文部科学省におきましては、現在、平成31年度の概算要求の中で、こうした外部の実務経験者も活用した形で、消費者教育を学校現場で実施するための実証的調査事業というものを予算要求させていただいているところであり、これを通じて、先進的な事例の収集、横展開を図っていきたいと思っております。

項目番号5、教員の養成・研修については、今年の夏にまとめましたアクションプログラムの中で、大学の教員養成課程あるいは免許状の更新講習、それ以外の研修などの中にも消費者教育をしっかりと教えていくということが示されておりますので、これらの周知を図りながら、現場の先生方あるいはこれから先生になられる方々に対する消費者教育の質の向上を図っていきたいと思っております。

最後に、項目番号10、大学、社会教育における消費者教育の推進でございます。文部科学省では、「大学等及び社会教育における消費者教育の指針」について、今年、省内の消費者教育推進委員会において見直しを行い、改訂したところです。内容につきましては、特に昨今、非常に消費者教育をめぐる環境が変わってきておりますので、成年年齢の引下げも踏まえて、入学生への事前説明会、入学時のガイダンス、早期の段階での啓発をしっかりするようにということを盛り込んでいるほか、メールやSNSなども活用した情報提供、学内での相談先に加えまして、地域の消費生活センターや消費者ホットラインの紹介といったことも、この指針の中に盛り込み、更に実効性のある消費者教育に取り組んでいくということを示しているところです。

○高委員長 ありがとうございました。

続きまして、消費者庁から「消費者契約法の概要」という資料があります。

○消費者庁廣瀬消費者制度課長 消費者制度課の廣瀬と申します。

私からは、本年6月に成立いたしました改正消費者契約法の周知に向けた取組について、御説明させていただきます。

今回の消費者契約法の改正におきましては、民法の成年年齢引下げに対応するものといたしまして、お配りしております資料1-8、1枚おめくりいただきまして、1ページというところでございますが、困惑類型ということで左側の不安をあおる告知でございまして、消費者が社会生活上の経験が乏しいことから、願望の実現に過大な不安を抱いて、事業者がこれを知りながら、一定の事項を告げるといったこと。右側でございますが、人間関係の濫用ということで、消費者が社会生活上の経験が乏しいことから、勧誘者に恋愛感情等の好意の感情を抱き、かつ、勧誘者も同様の感情を抱いていると誤信していることを事業者が知りながら、これに乗じて一定の告知をすることを、新たに取消しの対象となる事業者の不当な勧誘行為に追加するという改正をしてございます。

また、事業者の情報提供に関する努力義務につきまして、同じ資料、2枚おめくりいただければと思います。5ページの左の下のマル2のところでございます。事業者の努力義務のところに、契約の目的となるものの性質に応じ、個々の消費者の知識及び経験を考慮した上で、契約の内容についての必要な情報を提供することに努めなければならないということを、条文上、明示いたしました。これによりまして、例えば、消費者が若年者などであって、その知識及び経験が十分でないようなときには、この点も考慮して、一般的な消費者のときよりも、例えば、より基礎的な内容から説明を始めることなどが求められるようになると、このように考えてございます。

こうした内容を含みます改正法の周知・啓発に関しましては、法律の成立以降、消費者、消費者団体の方などを対象としたシンポジウム等での説明、消費生活相談員や行政職員の方を対象とした説明、適格消費者団体の皆様への説明、また、事業者につきましても、個別の業界団体などへの説明などを行っているところであります。また、雑誌への解説記事の寄稿等にも取り組んでございます。

若年者への周知という観点からは、改正法の大学生への説明といったことも実施しております。若年者の消費者被害は、詐欺的なものとか、クーリングオフが有効なものとか、改正前からある消費者契約法の規定が活用できるものなど、多岐に渡っておりまして、必ずしも今回の消費者契約法の改正内容だけが万能なわけではございません。若年者の消費者被害の発生拡大を防止し、また、これを救済していくためには、消費者教育などの充実、あるいは3桁番号「188」の周知徹底なども重要と考えており、これにより被害を受けた若年者が消費生活センターにつながっていくようなことから、適切な解決に結びついていくのではないかといったことも考えてございます。

そうしたことから、今回の改正消費者契約法の内容につきましても、消費生活センターにおいてこれを有効に活用していただくといったことが重要であるということも考えておりまして、消費生活相談員の皆様には、何より改正法の内容を御理解いただくといったことが重要なのではないかと考えております。

現在、条文の分かりやすい資料やリーフレットを更に作成しているところでございますが、そうした際には、消費生活相談員の方々からもお知恵をお借りしながら、相談員の皆様にも分かりやすい、使いやすい資料となるように作業を進めているところです。今後とも、新たな資料を投入しつつ、来年6月の施行に向けて周知・啓発に取り組んでまいりたいと考えております。

以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

続きまして、金融庁、お願いします。

○金融庁岡根監督局総務課金融会社室長 金融庁でございます。

私どもからは、貸金業者等における若年者に対する与信審査の厳格化について、取組状況を御説明させていただきます。

資料は1-9でございます。

貸金業法では、資金需要者に対する過度な貸付けを未然に防止する観点から、貸金業者には、返済能力調査の義務付け、年収の3分の1を超える貸付けの禁止、自社の貸付け合計額が50万を超える場合の年収証明の徴求義務が規定をされております。一般的には、若年者は年収が低く、おのずと貸付け可能額は低くなりますが、若年者に対する過大な貸付けを未然に防止する上では、こうした規定を遵守させることが重要であると考えております。

貸金業界の自主規制団体であります日本貸金業協会において、協会員に法令等を遵守させる取組や、消費者向け啓発活動を行っているところでございます。若年者に対する与信審査の厳格化について、日本貸金業協会との協議において、必要な対策を検討していく上では、まず、若年者に対する貸付けの実態をより的確に把握することが大切ではないかとの認識に至り、同協会を通じまして、大手貸金業者21社に対する実態調査を行いました。

資料の裏面になりますけれども、この21社では、全貸金業者の消費者向け無担保貸付残高のうちの72%をカバーしているところでございます。調査の結果、20から22歳の若年者への貸付けについては、通常の成年と同様に、定収入の確認、返済能力調査を行っていますが、利用限度額については低く設定されております。利用限度額は会社により様々ですが、10から50万円の範囲であり、学生の場合には、利用限度額を更に低く設定していたり、貸付けの対象外としている業者もございました。さらに、資金使途を十分に確認することを規程に明確化している業者もございました。それから、借入れ申込みの時点で、借り過ぎ注意等の啓発を行い、より慎重な説明を実施している業者もございました。なお、銀行カードローンにつきましても、全国銀行協会が会員に調査を実施した結果によれば、利用限度額を低く設定している例があり、また、学生に対する貸付けはごく僅かでございました。

今後の取組といたしましては、成年年齢の引下げに向けて、若年者に対する与信の提供に際しては、例えば、より丁寧な契約内容の説明や、利用限度額の上限設定、借入れ目的の確認を行うなど、実効性のある対応について、引き続き業界と議論してまいりたいと考えております。

以上です。

○高委員長 ありがとうございました。

続きまして、経済産業省、お願いします。

○経済産業省正田商務情報政策局商取引監督課長 経済産業省でございます。

資料1-10に基づきまして、若年者被害の防止に向けたクレジット分野における取組を御説明したいと思います。

1ページ目でございます、クレジット分野を規制する割賦販売法におきましては、御承知のとおりでございますが、過剰与信の防止という観点から、支払可能見込額調査を義務付けており、支払い能力を超えるクレジット契約の締結が禁止されております。この下の1でございますが、個別クレジットにつきましては、支払可能見込額よりも年間支払額が多い場合には、契約締結を禁止しております。あるいは、包括クレジット、クレジットカードの場合には、支払可能見込額に100分の90を掛けまして、これより利用限度額が多い場合には、契約の締結を禁止するということでございます。この支払可能見込額につきましては、2にございますが、年間の収入額、預貯金から、この減算対象と書いてございます調査時点でのクレジット債務額・支払い状況を、指定信用情報機関いわゆるCICから情報を得まして、これを差し引いた額を支払可能見込額ということにいたしまして、この支払可能見込額調査の義務付けが行われております。

2ページ目に参りまして、個別クレジットの分野でございます。こちらにつきましては、特定商取引法の5類型、いわゆる訪問販売や電話勧誘販売ですが、こちらに該当する取引につきましては、クレジット契約の締結に先立ちまして、加盟店が不適切な勧誘を行っていないかということ、いわゆる不実告知や断定的判断の提供といった不適切な勧誘を行っていないかをクレジット会社が調査いたしまして、そういった行為があった場合にはクレジット契約を締結してはならないということが、割賦販売法の中で定められております。

また、3ページ目に進みまして、自主規制団体のクレジット協会の取組でございます。こちらにつきましては、消費者の方々、もちろん未成年者や若年層といった方々に対しての普及啓発ということを行っております。こちらも下に書いておりますが、書籍教材、DVD教材、学習用ポスター、こういったものを全国の高等学校等に御案内させていただきまして、平成30年度現在のところまでで、希望のあった750校に対して、無償配付させていただいているということでございます。また、教員向け勉強会につきましては、例年行っておりますけれども、今年も7月から8月の夏休み期間を利用して開催させていただき、全国10地区10会場におきまして、全会場を合わせまして参加された教員は200名でございます。また、ここにはございませんが、教育関係機関への講師派遣も行っております。本年度は、18の関係機関、例えば、大学ですと6校、高等学校は5校、中学校は1校といったような教育関係機関に対して講師派遣を行っております。また、これから平成30年度中に7機関に講師派遣を行いたいと考えてございます。また、こちらに書いていないのですけれども、780校の大学に対して同じように啓発のパンフレットを配付させていただいております。

続きまして、4ページ目でございますけれども、金融庁の実態調査と同じように、我々もクレジット取引における実態調査をさせていただきました。成年年齢引下げという議論の中で、若年層、未成年者に対する取組がどのようなものかということを、包括クレジット会社が254社、個別クレジット会社が146社に対してアンケートをさせていただきました。

その結果でございますが、5ページ目のところで、まず、包括クレジット、クレジットカードの分野におきましては、与信審査をきちんとやっていることは法律上の義務でございますので当然でございますが、加えて、自主的な取組として、極度額を小額に設定する、あるいは、30万円以下の極度額の設定の際には法令上、支払可能見込額調査をしなくて良いと、適用除外になっているわけでございますけれども、未成年の方々、若年層の方々には、自主的取組としてこの調査を実施するあるいは学生につきましては一括払いのみの対応とするといった取組が行われておりました。また、個別クレジット分野におきましても、先ほどと同様に、10万円以下の調査の特例に関わらず、支払可能見込額調査を実施するという取組や、あるいは、年齢、就業状況等にふさわしい商品等を確認するなどといった自主的な取組が行われているということが確認できました。

最後になりますが、今後の取組といたしましては、貸金の分野と同じではございますけれども、過剰与信防止の法施行をしっかり行って、それから、先ほどございましたクレジット協会の普及啓発活動につきましても、これを引き続き一層頑張っていき、成年年齢引下げといった議論の中で、業界の状況をきちんと把握しながら、今後の必要な対応について考えていきたいと思っております。

以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの説明に関しまして、御質問、御意見のある方、どうぞ御自由に御発言ください。

どうぞ、大森委員。

○大森委員 消費者教育の推進で、いろいろな都道府県を回られて、教材を配付したり、大変御活躍されていると思います。この数字もそうですけれども、私も兵庫県に住んでおりますけれども、最近、この「社会への扉」を使った授業をやってほしいという依頼を何件か受けておりますので、米山室長が回ったところにつぼみが出て、桜が咲きかけているのかなと思っています。

ただ、教材を配付するということで、一部こういうふうな成果もありますけれども、教材を配付することが消費者教育の推進にはなかなかつながりにくいというのが私の実感でございます。というのは、私たちNPOは、ある市から、小学校、中学校の消費者教育の出前講座の受託契約をしているのですけれども、どうしてそういうことになったかといいますと、そこの市では、家庭科の副教材を小学校向け、中学校向けのものを作って、全生徒に配付していたのです。ところが、全く使われていなかったということに愕然としまして、教材を配付するだけではなかなか伝わらない、出前講座とワンパッケージで行わないと意味がないということで、私たちが委託事業を受けるようになって、何年も過ごしております。

一方、ある市からはパワーポイントの教材の受託も受けまして、市のホームページからダウンロードをして自由に使えるというものを受託してやったことがあるのですけれども、それは私たちの家庭科の先生の研修だとか、そういうときにここのものは使えますよということで、皆さんは喜んでダウンロードをされて、すぐ授業に使われているようなことで、今はテキストという教材があふれておりまして、私が所属する適格消費者団体もテキストを配付しておりますし、いっぱい来るので、かえってどう扱って良いのか現場でも困るというところがあって、お金も掛かることですし、出前講座とワンパッケージで伝えるとか、パワーポイントを準備して、それを使っていただくというような流れが絶対に必要ではないかと、私は実感しています。

今回、「社会への扉」を使って授業をお願いしたいと言われたところで、一番理解のあるところは、50分授業を2こま用意してくださっています。それを、私たちはパワーポイントを使って、やっと「社会への扉」が全てできるような格好です。今、学校現場ではなかなか時間がとれないというようなお話がありますので、これはパワーポイントを使わずに普通の授業でやりますと、何こまも必要になります。最低限、これはパワーポイントを使って、50分2こまで何とかいけるかなと思っておりますので、これは時間との戦いです。成年年齢引下げになる時間が決まっていますので、そのうち普及するでしょうでは間に合わないので、もうちょっとスピード感を持った、確実に若者に届く方法というものを考えていただきたいなと思っています。

以上です。

○高委員長 ありがとうございました。

御提言でもありますけれども、具体的に今のような話に対して何かやっておられることがあれば、御説明いただけませんか。

○消費者庁消費者教育・地方協力課米山消費者教育推進室長 御指摘ありがとうございます。

時間との戦いとか先生方のお時間が足りないということは今に始まったことではなく、正に頑張らなくてはいけないなという気持ちを持っております。

ただ、「社会への扉」に関して1つだけ言わせていただきますと、わっと送っていって、積み上げられていて使われていないということが絶対にないように、あらかじめお願いをして、使っていただけると言った学校にだけ送るという方式は採っておる。そのことと、確かに大森先生が御指摘のように、全部をやろうと思うと大変な時間が掛かるということもございますが、学習指導要領の中で消費者教育をやるということは元々入っておりますので、その先生方が普通にやられる授業の中に「社会への扉」も活用して、インパクトのある授業をしてくださいというお願いの仕方もしております。

パワーポイントの教材も含めまして、出前講座、いろいろな工夫をしておられる先生方もおられます。そういった事例も徳島でも集めておりますし、そういった情報共有もして、いろいろな先生がいろいろなお考えの中でやっていただけるものではあるのですけれども、一人でも多くの高校生の元にちゃんと伝わるように、引き続き頑張ってまいりたいと思います。

御指摘ありがとうございます。

○高委員長 よろしいですか。

他、ございますでしょうか。

池本委員長代理から。

○池本委員長代理 池本でございます。

若年者に対する過剰与信防止対策に関して、金融庁、経産省にそれぞれ質問させていただきます。

まず、金融庁の資料1-9、表面で、まず、第1の質問ですが、貸金業法上の規制で、50万円を超える場合は年収証明の提出義務がある。これが客観的に与信審査をする非常に重要な手掛かりになると思うのですが、その下の矢印のところに、若年者は一般に収入が低いため、おのずと貸付け可能額は低くなると書いてある。50万円を超える場合、資料で確認ということで、それに満たない貸付けの場合には客観的なチェックができないのではないかという危惧があるのです。その点についてはどういうふうにお考えなのか。あるいは何らかの客観的資料の提出についての取組を検討なさっているのかということが第1点です。

2点目は、裏面の若年者への貸付け状況、大手21社への調査を行われたということですが、まず、これは実施の主体は業界団体なのか、あるいは金融庁自身なのか。それで、調査結果は資料としてどちらかに公表されているのかどうか。

3点目に、その内容に関して、利用限度額は通常の成年より低く設定とか、あるいは利用限度額を学生の場合は更に低く設定していたり、貸付け対象としていない業者もあり、あるいは使途について十分確認することを明確化している業者もあり、「業者もあり」と書いてあるのですけれども、これは実際に21社のうちで何社がそうなのか、あるいは割合としてどの程度なのかという数字があれば教えていただきたい。その調査結果を金融庁としては現時点でどう評価されているのか、十分な取組として進んでいるという評価なのか、まだまだ不十分でもっと働き掛ける必要があると思っておられるのかという点の評価についてもお伺いしたい。最後に、銀行カードローンについても利用限度額を低く設定している例がある。学生に対する貸付けは禁止しようということが注書きで書いてあるのですが、これは21社への調査とは違うと思うのですが、これはどういう調査により把握されていることなのか。また、例があるというのは何社のうちどのくらいの割合だということなのか、これも数字が分かれば教えていただきたいし、また、銀行カードローンについての銀行の取組について、どう評価され、あるいは今後どう検討しようとされているのかという御意見をお伺いしたいと思います。

○高委員長 一旦そこで切らせていただいて良いですか。

まず、金融庁、お願いできますか。

○金融庁岡根監督局総務課金融会社室長 御質問をありがとうございます。

まず、最初に50万円以下のところの収入をどう把握するかということでございますけれども、弁護士の先生からは、この50万円以下の部分についても収入証明を取るべきではないかという御指摘をいただいているところでございます。この点、どういう方法があるかということにつきましては、そういう方法も含めて、今後、少し考えていきたいと思っているところでございます。

21社のこの実態調査でございますけれども、これを実施いたしましたのは、金融庁ではなくて貸金業協会を通じて実施しております。

それから、公表されているかという点に関しましては、公表はしておりません。

実態調査の結果として、低く設定されているという項目について、その割合等はどうかということでございますけれども、まず、利用限度額が通常の成年よりも低く設定されているというところにつきましては、全体が21社でございますので、そのうちの14社から低く設定しているという回答が寄せられております。学生の場合、利用限度額を更に低く設定している業者もありというところにつきましては、8社でございます。資金使途を十分に確認することを規程に明確化していると明確に回答があったところは1社でございます。借り過ぎ注意等の啓発を行っている業者も1社でございます。

銀行カードローンにつきましては、全銀協が調査をしておりまして、調査対象は116行でございます。利用限度額を低く設定している例というのは、そのうちの36行ということでございました。

この調査結果についてどう評価するかということでございますけれども、貸金業につきましては、21社の調査結果でございますので、更に実態を調査していきたいと思っておりまして、21社に限らずもう少し広い意味での調査を実施することで、今、貸金業協会と調整をしているところでございます。

以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

○池本委員長代理 御説明をありがとうございました。

調査結果は、貸金業協会あるいは全銀協の資料も、議論の共通の資料として公表していただきたいと思います。是非御検討をお願いします。

次に、経済産業省への御質問ですが、資料1-10で、これも先ほどの質問と同じようなポイントになるのですが、最後のページに、調査結果の概要ということで御説明が書いてあります。まず、これは日本クレジット協会を通じての調査ということですが、これ自体、調査結果は公表されているのかどうかという点の確認が第1点です。

2点目は、最後のページの包括クレジット、クレジットカードによる与信の場合に、これも極度額を小額に設定しているとか、30万以下の極度額での発行は審査不要という特例がある。それに関わらず、原則支払可能見込額を調査しているとか、あるいは学生は一括払いのみで、分割払い、あるいはリボ払いも含めてという意味なのでしょうか、こういうものは行わないということが書いてあります。これも調査をされた、あるいは、回答を得た包括クレジットでいうと242社ですかね、その中でどのくらいを占めるのかという数字が分かれば教えていただきたい。

個別クレジットについても、これは10万円以下の場合は審査不要ということに対して、それ以下でも原則支払可能見込額の調査を実施している。あるいは、その年齢や就業状況にふさわしい商品かどうか、必要性なども確認しているということが、これは回答が出たのが134社ですかね。その中でどのぐらいの割合を占めているのかという点がお分かりになれば、教えていただきたい。

そして、その調査結果について、現時点で、経産省としてはどう評価し、どういうふうに今後取り組むとお考えなのか、御意見もお伺いしたいと思います。

以上です。

○高委員長 よろしいでしょうか。

お願いできますか。

○経済産業省正田商務情報政策局商取引監督課長 最初の質問でございますが、公表につきましては、現時点ではしておりません。もちろん連絡会議のところで御説明申し上げましたので、その範囲においては明らかにはなっているということですが、広く社会に対して公表ということではございません。

最後のページの御質問で、包括クレジットのところの自主的取組につきましては、こちらは公表しておりませんが、御質問でございますのでしっかりお答えしますと、おおむね6から7割の企業がマル1、マル2、マル3のような取組をしているということでございます。特に極度額を小額に設定している企業につきましては、73%程度となります。また、30万以下の極度額の特例に関わらず、支払可能見込額調査を実施しているというところが6割程度でございます。

個別クレジットにいきまして、10万円以下の調査の特例に関わらず、支払可能見込額調査を行っているという企業が58%ぐらいですので、約6割となります。それから、最後のところですが、年齢・就業状況等にふさわしい商品かどうかを確認しているかというところが66%ぐらいですので、7割弱というところでございます。先ほど申し上げましたとおり、大体6から7割の企業がこういった取組をしているのが現状でございます。

調査結果につきましての評価でございますが、基本的には、各企業とも非常に気を遣って、工夫をしながら、それぞれ6から7割でございますので、ほとんど多くの企業が何らかの取組をしているということが想定されますので、取組は、相当程度進んでいるものという認識でございます。

また、今後の取組につきましては、実態調査の結果を踏まえまして、事業者との関係で、更にどういった取組ができるかを考えてまいります。

ありがとうございます。

○池本委員長代理 ありがとうございます。

これも要望ですが、今、紹介していただいた数字なども含めて、是非公表しておいていただきたい。それは、これからまた1年、2年と最終的な施行までに自主的な取組によって対応が十分なされるという見通しがつくのかどうかという推移を確認する必要があります。自主規制対策でまずは取り組む。それで不十分であれば、更なる措置の検討が必要だということが国会での議論だったはずですから、その意味で客観的な資料を金融庁も経産省も是非公表していただきたいと思います。これは要望としてお伝えいたします。

○高委員長 よろしくお願いいたします。

増田委員、どうぞ。

○増田委員 御説明ありがとうございました。

成年年齢引下げについては、私どもの団体としては、そもそも反対の意見をさせていただいておりましたけれども、こうして決定したからには、4省庁関係局長連絡会議も設立され、後々、消費者教育が進むきっかけとなったということで、結果的には良かったねと言いたいと、期待しているところでございます。

先日、私どもの関西支部というところで、大学生のグループと連携して、シンポジウムをさせていただきまして、米山室長にも御参加いただきましたけれども、その際に、大学生にアンケート調査を行いました。そこで、成年年齢引下げについての理解というものが、飲酒とか喫煙ということについての関心だけで、未成年者契約云々というところについては全く理解していないという傾向が見られております。

そういう中で、今後の消費者教育をやっていただかなくてはいけないと思っているのですが、今、全国の高校に対して働き掛けをしていただいているということで、これから芽が出てくると期待しますが、例えば、授業の方法とか、取り上げるポイントについて分からないという声が、先生方から聞こえてきます。そうしたことに対してどのように手当てをされているのかということと、あと、同じくアンケート調査において、クーリングオフなど、形式を知っていても、果たして自分のこのトラブルについて、それが適用されるかどうか分からないというアンケート結果も出ています。要は、形式は知っていても応用力がないというところが問題かなと思っています。

入り口、手口が変わるということはしばしばございますので、そういう意味で、制度が作られた背景とか、目的とか、そういうところまで事例を併せて理解を深めてもらうということが必要なのではないか。さらには、インパクトのある講座でなければ記憶に残らない、継続して教育をしていかなくてはいけないのではないかと思いますので、その点について、今後、どのようにお考えになっているのかということをお伺いできればと思います。

その点、文科省で外部の人材を活用するための予算を付けてくださったということは大変喜ばしいことで、消費者庁の交付金が減っているというところからも、これが足りるかどうかというのは分かりませんけれども、是非活用していっていただきたいと思っております。よろしくお願いします。

○高委員長 ただいまの質問は、文科省と消費者庁、両方でよろしいですか。答えられる範囲でお願いできますか。

○消費者庁消費者教育・地方協力課米山消費者教育推進室長 御質問ありがとうございます。

私もそのシンポジウムに出ておりまして、大変ショックを受けて、飲酒・喫煙のことしか興味がないみたいな感じがございましたね。

確かに御指摘のとおりだと思います。先生方に対しましては、そもそも「社会への扉」も教員用の指導書といったものも元々作ってございまして、その中に、現実の事例、トラブル事例とか、法の背景とか、そういったことも併せてお伝えはするようにしております。

それから、例えば、国民生活センターが消費者教育のための先生向けの研修といったことを開催したり、文科省になりますけれども、独立行政法人の教職員支援機構で、ウェブサイトで動画を公表したりといった、できる範囲での情報提供は現在までもしているところでございます。

ただ、個人的には、委員も御指摘のとおり、ただ単に制度としてのクーリングオフを知っているだけでは意味がなくて、我が事、自分のこととしてどうやって理解をして身に付いていくのかというのは本当に大事なことで、ただ、全くこれは私見ではございますけれども、教室の中で聞いているだけでそこまで我が事として思える方は、世の中にさほど多くはないと思っております。ですので、学校でやることはベースを作る上でとても大事ですけれども、高校だけではなく、大学、それから、この先の世の中でも消費者教育にずっと触れられる、そういった情報が得られる機会を提供していくということも、国としてはずっと考えていかなければいけないと思っております。

もちろん目下の喫緊の課題が成年年齢引下げですから、若年者に注力はいたしますけれども、今、ここで終わることはできない。先生が御指摘のように、消費者教育が進むきっかけになったねと後で言えるようにと、正にそのようなつもりで、今、できることを一個一個考えながら、小さなことから進めたいと思っているところでございます。ありがとうございます。

○文部科学省三好総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課長

今の消費者庁からの御説明に尽きている部分もありますが、確かに教材を配るだけでは不十分で、どのように教えていくかということは大変重要な課題だと思っております。文部科学省においても、年間3回にわたり、消費者教育フェスタを開いております。今月、姫路で開催し、小学校や中学校の公開授業を行いました。消費者教育を実際に子供たちにどのように教えているか、子供たちへの効果的な指導方法等を他の学校の先生方も見に来てくださっておりました。同じ会場では、高校生が学んだ消費者教育に関する内容を自らプレゼンするポスターセッションも実施しました。このような取組を通じまして、しっかりと消費者教育を子供たちに身に付けてもらいたいと思っております。

また、確かに自分の事例に当てはめた際、どのように解決していくかまでを身に付けてもらうというのは大変難しい課題だとは思いますが、このような内容をどこかで勉強したことがあるな、あるいは聞いたことがあるなと、子供たちに引っ掛かりを持ってもらうということが非常に大切なことだと思っております。先ほど御説明しました「大学等及び社会教育における消費者教育の指針」の中では、消費者トラブルに関する相談先等をしっかり伝えることが望まれるという内容も盛り込んでおりますので、困ったときにはどこに相談すれば良いかという情報も併せてしっかり伝えていきたいと思っております。

○高委員長 よろしいですか。

他にございますでしょうか。

どうぞ、蟹瀬委員。

○蟹瀬委員 蟹瀬です。

大変各省庁の方々が頑張って、いろいろ考えていただいていることに感謝をいたします。

ちょっとお聞きしたいことがありまして、私は法務省から出てまいりましたこの紙1枚を見て結構ショックを受けていまして、こんな細かいことが全部変わっていくということを、18歳になろうとする15歳はどのぐらい知るのだろうかと。つまり、成年年齢が引き下げられても飲酒は20歳からですよみたいなところの、今の時代、今とは非常に違ってきている部分が年齢別によって決まってきているということをきちんと伝えていかなければいけないとお聞きしながら思いました。

詳細の契約法とか、消費者が被害を受ける、消費者として契約法などが成立していきますよ、18歳でということはすごく大事なので、それに対しての細かいことを金融庁の方とか経産省の方に考えていただいている。これは3年前でも遅いぐらいなので、しっかり固めていっていただきたいと思いますが、一方で、消費者という立場になる、今の15歳、3年後に18歳になる子たち、この子たちに今の「社会への扉」を読ませていただいても多分ちんぷんかんぷん。ということは、多分そこのところでやることは、15、16、17という段階を経て、18歳になっていくときの情報をきちんと教育していくことが必要なのではないかと、お聞きしながら思いました。

つまり、今の大学生は、契約法などの話は、今、大事なわけで、成年年齢とちょっと違うところにいて、いわゆる青い人たち、青年が気を付けなければいけないことの教育としては大変大事なことだと思いますが、この成年年齢引下げに関する情報として教育をしていくならば、今の15歳が分かる範囲で、今、20歳になってお酒を飲んでいて、18歳になって選挙権があって、君たちはこういうことになってくる。だけれども、18歳になったからといって酒はまだ飲めないんだよということを15歳に教えるというと、彼らは18歳になっていく間、3年間、この教育を受けられるわけですね。そうすると、18歳になったときに、契約というものがあって、買ったら、それは契約になるんだとか、ポチッとネットなどで押したら、これは契約になるのだということが分かる年齢になる前に、ちょっとそこを教えるとやっていって、この3年間の教育法を少しだけ年齢に合わせた情報に変えていくということが、私は必要なのではないかと思ってお願いをする次第なのですが、この法律の紙と、この2枚、私はこれが公開されると、ものすごく学校の先生にとっても、誰にこれを今、伝えなければいけないかということが分かってくるのではないかと思うのですね。

「社会への扉」を見せていただきまして、大変細かく分かりやすく作ってありますが、これは今の18歳でも19歳でも役に立つ。あえて成年年齢引下げだけの人たちの対象ではなくて、全ての役に立つように作られていますので、もちろん17歳以下がどうとかという表現はありますけれども、今の15歳で18歳になる人たちのターゲッティングをきちんとして、そこのところの教育、15歳以下の人たちの教育をどうしていくかということを見据えて少し動いていただけると、子供たちが分かりやすいのではないかと感じた次第なので、法律的に、これを見せていただいて、こういうことをもうちょっと若い子たちにちゃんと言ってあげることが大事だよねと、ちょっと感じましたので、お願いと感想を言わせていただきました。

○高委員長 これも、消費者庁と文科省にお答えいただいてもよろしいですか。

この「社会への扉」というものは、現在、ターゲットにされているのは高校の何年生と、特に意識はされていないのですか。

○消費者庁消費者教育・地方協力課米山消費者教育推進室長 家庭科と公民科といった授業で使われることが多いという認識で制作はしておりまして、それらの授業は大体高校1年生の秋ぐらいに使われることが多いとは聞いてございますが、それは学校のカリキュラム次第でございますし、別にそこに限定しているわけではございません。

「社会への扉」は、高校生向けとはしておりますが、今、申しましたように、学校によっても違いますし、あと、先生から御指摘もありましたように、これは大学生でも使っていただいております。主に高校生とはしておりますけれども、大人の方でもお使いいただけるように、実際に使っていただいているところは多数ございます。

あと、中学生にもという、小学校、中学校からずっとこういった教育は必要だという声はもちろんいただいていますし、そのことを無視しているわけでは決してございません。消費者教育というのは、幼児から高齢期まで全部という中にもございますし、それと、これは文部科学省の領域ではございますが、学習指導要領の中にも、小学校から契約ということは、今、入っておりますので、年齢に応じた教育というスタイルがないわけではございません。

現在、この「社会への扉」を使って、委員長からも言っていただきましたように、高校生を特にターゲットとしては動いておりますけれども、それ以外にも広げるべきだという御指摘、もっと下の年齢からという御指摘は、正にそのとおりだと認識してございます。

○蟹瀬委員 おっしゃることがちょっと私の意見とずれている部分がありまして、つまり、15歳から18歳になる間の教育。小学生から始めてくださいということを申し上げているわけではなくて、契約法の話を申し上げているわけではなくて、契約法も含めてなのですけれども、今、20歳で私たちが頭の中に刷り込まれているものはたくさんあるわけですね。それが18歳になったら、18歳でオーケーなものと20歳まで駄目なものがあるわけですから、それを明確に、クエスチョンでも良いのですよ。質問で、18歳になったらお酒を飲んで良いですかで書けとか、そういう感じで、分かりやすく、例えば、契約というものをしたら自分で責任を持たなければいけないんだよねと、マルとかペケとか、そういう形でも良いのですけれども、今、刷り込まれている20歳になって大人になったというものが、18歳になったときに変わるのだというものが、これは変わる、これは変わらないというものを明解にした上で、契約法とか、そういうものが出てくると良いなということを申し上げているわけで、小学生からどうこう、契約法があって、教えていますというのは、すごく素晴らしいことなので、それを言っているわけではないのです。

ですから、もう少し現実的に、3年半しかないのだから、その中で、子供たちが、まず、18歳になったらこれは良いけれどもこれは駄目なんだということが分かるようなものを、まず、法務省や文科省でやっていただいて、もっと細かいところは消費者というものの立場がどうなるんだということをしっかり言っていただくということをやっていただきたいなということを、申し上げておりますので、その辺りでお願いをできたら良いなということです。

○高委員長 お願いします。

○法務省笹井民事局参事官 法務省でございますけれども、ただいま御指摘がございましたように、成年年齢を定めております民法を所管する立場といたしまして、今回の成年年齢の引下げについては、しっかり周知に取り組んでいかなければならないと考えております。

その中でも、特に若い方々に的を絞った周知活動が必要であろうということはよく認識しているところではございまして、法務省といたしましても、そういう若い方々に関心を持っていただけるような、そういったメディアを通じた周知活動に取り組んでいきたいと考えているところでございます。

既に行っておりますことといたしましては、例えば、法務省のホームページに、今までの経緯とか、今後、施行後にどういうことが18歳でできるようになって、どういうことが20歳にならなければできないのか、今、正しく御指摘があったところですけれども、そういったことをQ&Aという形式で、若い方々にも読みやすいように、イラストなどを入れて、掲載しておりますほか、政府広報室等の協力もいただきまして、様々な政府からの発信するメディアを用いまして、情報の提供に取り組んできたところでございます。

また、なかなか詳しい情報までは書けないところではございますけれども、若い方々、中学生、高校生くらいに関心を持っていただけるような、映画やインターネット動画の作成会社などとタイアップをいたしまして、ポスターを作成いたしまして、何万枚という単位で中学、高校などを中心に送らせていただいているということもございます。引き続き、どういったところが浸透していて、どういったところにまだ更なるアプローチが必要なのか、そういった分析等をこれから取り組んでいきたいと考えているほか、特に若い方々が関心を持っていただけるような、そういう周知方法を引き続き考えてまいりたいと思っております。

以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

今の蟹瀬委員の質問は、法務省に対して、この1-2の資料に関連してお話があったのですね。そうすると、消費者教育ということだけではなくて、何がどう変わるのかということを易しく説明してほしいという、こういう話ですね。

○蟹瀬委員 ですから、文科省にそれをお願いしたいところであります。

○文部科学省三好総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課長 

学校の現場の先生方は、例えば、子供たちが2002年度生まれであるとか、2001年度生まれであるということが分かりますので、この子供たちが18歳になるころの周辺環境の変化を理解しながら教えてくださっているものと認識しています。

そういう意味では、正に資料1-2のような情報を、先生たちにちゃんと届け、その内容を咀嚼して子供たちに教えていくということが大事だと思っておりますので、現場にうまく情報が届くような仕掛けを考えていきたいと思います。

○高委員長 1点、確認なのですけれども、高校生でも分かるような資料は既にあるのですか。民法改正でもってどういう変化が起こるのかということを分かりやすく説明したもの。

○法務省笹井民事局参事官 高校生の方でも分かるような形で、イラストなどを付けまして、法務省のホームページに記事を掲載させていただいております。ただ、高校生が法務省のホームページを見るかという問題もございますので、そういった方々にどういうふうにアプローチをしていくかという問題はあろうかと思います。

そこで、先ほど申し上げましたとおり、映画とかテレビ番組とタイアップして作成したポスターを全国の中学や高校にお送りし、若い方々に感心を持っていただくよう工夫をしております。

ポスターで書ける情報が限られてしまいますので、そういったものをきっかけにして、法務省のホームページを見ていただく、情報の端緒としていただく、そういったポスターをお配りしているということでございます。

○高委員長 ありがとうございました。

○長田委員 今、法務省のホームページを見ていて見つけられないのですが、タイトルを教えていただけますか。

○法務省笹井民事局参事官 「民法(成年年齢関係)改正Q&A」というタイトルです。

○長田委員 トップページですか。

○法務省笹井民事局参事官 トップページにバナーがいろいろ変わってくるのですが。

○長田委員 どういうバナーでしょうか。

○法務省笹井民事局参事官 黄色い、民法、成年年齢の引下げというようなバナーはございませんでしょうか。

○長田委員 後で教えてください。

○法務省笹井民事局参事官 もし必要があれば、今、ここに1枚紙で印刷されたものがございますので、また事務局等を通じまして情報提供をさせていただきたいと思います。

○大森委員 私もください。

○高委員長 池本委員長代理。

○池本委員長代理 池本でございます。

消費者教育推進に関して、今、高校における消費者教育はもちろん非常に重要な課題ではあるのですが、中学、高校は、まだそうはいっても学習指導要領があり、消費者教育を取り上げる教科や教員が決まっているという意味で、そこを使って展開できますが、大学、専門学校にはそういう手掛かりかりがないことが現状だと思います。

その関係で質問なのですが、資料1-7の項目6、7に「大学、専門学校等と地元の消費生活センターとの連携を支援し」という同じ言葉が書いてあって、被害事例に関する情報共有あるいは出前講座を実施というものがあります。6番には消費者庁と文科省がありますが、7番は消費者庁だけになっています。

お伺いしたいのは、連携を支援というのは、誰に向けて何をするということを想定されているのかということをお伺いしたいのです。と申しますのが、消費生活センターの中では、この問題を何とかしなければいけないという議論が内部では始まっていると聞いていますが、大学あるいは専門学校に、こういうことについて意見交換あるいは出前講座はいかがですかと言っても、送っても反応がない。要するに、誰が担当なのかが決まっていないのではないかという問題があります。その辺りのところをきちんと大学、専門学校の側に働き掛けて、窓口などでこの問題を内部で推進する人を決めていただかないと、連携の支援の前提がないのではないかと思います。あるいは、それ自体は連携の支援の一番基礎固めではないかと思うのですが、その辺りは消費者庁あるいは文科省としてどういうふうに検討されているのか、お伺いしたいと思います。

○消費者庁消費者教育・地方協力課米山消費者教育推進室長 御指摘ありがとうございます。

正に消費生活センター側、消費者部局側が、一生懸命やりたいけれども、なかなか入れないという声は入っているところでございます。この書き方だとぶつ切りな感じにはなるのですけれども、先ほどもちょっと申し上げましたコーディネーターとか、要するに、学校といいましょうか、大学、専門学校と消費生活センター、消費者部局とをつなぐ役割ということは非常に重要だと思っておりますので、理想形で申しますと、どちらの部署でも良いのですけれども、コーディネーター役を担う人間を早く置いて、その人間に言えばやりとりができるという形にはしたいと思っております。

先生が御指摘のように、この7番目だけだと消費者庁となっているのですけれども、6番目の大学との関係性を作っていくというところが、まずは重要だと思っております。この6番目の中身は、被害事例などの情報を提供し、大学や専門学校がそれぞれのガイダンスなどで活動されるという書きぶりにはなっているのですけれども、そういった場を捉えて、そういった情報提供をしていく中で、顔の見える形といったことを作っていかなくてはならないとは思っております。

御指摘のとおり、非常にこれは難しいということは認識しておりますが、即効的に、これをやればこうできますというものがあれば、どうぞ教えてください。よろしくお願いいたします。

○高委員長 樋口委員、どうぞ。

○樋口委員 私自身が個人的に消費生活センターと連携する取組をしたことがあるのですが、そのときに重要なのは、大学の中に学生課とか学生に直接接する部局がありまして、そこがしっかり窓口役をしていただいたのですね。どこの大学でもかなりの学生が常日頃消費者被害に遭っていると思いますので、そういう意味で問題意識は非常に高い職員の方が多数いるので、大学というとつい教員を考えがちですけれども、大学本部の中の、名前はいろいろあるかもしれませんが、学生のお世話をする部局にリーダーシップを取っていただくということは結構重要ではないかと思います。

○高委員長 ありがとうございます。

増田委員、どうぞ。

○増田委員 今、若い方たちの間で投資ということが普通になってきていて、100万円ぐらいあれば結構皆さんやっているという状況があると思うのですけれども、金融教育といったときに、最終的に投資という方向に持っていくというと語弊があるのですけれども、そちらの方向の教育がメインになっているのではないかという懸念がございます。この若年者の消費者教育のアクションプログラムの中でも、8番のところで、金融関係団体と連携して、安定的な資産形成等に資する金融教育のための教材の作成ということを金融庁で書かれていて、もちろんこれも大事だとは思うのですけれども、今の時代に、金利の計算より利息の計算だろうというところも感じるところでございます。お金を借りてまでやるべきものではなく、余裕資金でやるべきものです。

しかも、お金を借りたときに自分の得た収入から払っていけるのかという知識がないと取り組んではいけないものだと思いますので、お金を借りるということについての教育に対して、もう少し、費用、予算を立てていただいて、貸金業協会とか、いろいろなところでそういう教育をもっと広くやっていただきたいと思います。

○高委員長 要望でございますけれども。

○金融庁岡根監督局総務課金融会社室長 本日、金融教育の担当が来ておりませんので、私の知る範囲でお答えさせていただきたいと思いますけれども、私は前職で大学に金融知識の普及の関係で、数カ所、講義に行ったことがございます。その金融知識を付与する中において、今、先生がおっしゃられたような投資の話とか、それに伴うリスク、あるいは生活設計をどうしていくのかといったことも、その中には盛り込んで御説明させていただいております。

最近の学生は、FXとか、仮想通貨とか、そういったところに非常に関心を持っている生徒もいる一方で、そういうところに関心のない生徒もいる状況でございますが、いずれにいたしましても、この金融知識の普及という講義項目の中には、幅広く、いろいろなクレジットの話を含めて、知識を提供していくということでやっていると理解しているところでございます。

○高委員長 大森委員、どうぞ。

○大森委員 私は、成年年齢の引下げのワーキング・グループのメンバーをしておりまして、その中でお願いしたことが2点ありまして、1つは、国民的なキャンペーンが必要ではないかということと、あと、若者がワンストップで相談できるような支援が必要ではないかということを言いました。

それの関係で、周知と相談・啓発について、質問、お願いがあるのです。

先ほども映画、ポスターを中学・高校に配付されたということですけれども、一般の消費者にはなかなか目に触れていません。テレビでも見たことがないし、ポスターも見たことはありません。私たちが出前講座とかに行くときに、民生委員とか、地域の見守りの方とか、市役所の職員研修とかで行く場合もあるのですよね。その場合も、先ほどホームページでイラストつきの何かがあるよとおっしゃいましたけれども、パワーポイント1枚でも、チラシ1つでもあれば、一般の方たちに紹介できるチャンスはいっぱいあるので、国民的大キャンペーンも必要ですけれども、そういうNPOとか、実際に活動している人たちに使えるようなものを配布していただくことも大事だなと思っています。高校生が直接の本人かもしれないですけれども、周りの大人が理解しないと、これは話にならないので、国民的キャンペーンというところの計画をお願いしたいと思います。

あと、資料1-3のところで、右下に若者の自立支援についてというものが連絡会議のテーマの一つになっております。若者は消費生活センターにわざわざ相談に行かないし、金銭的に大変な人はそんな消費者教育も受けに行きません。なので、是非ここで相談とか、消費者教育も、この若者支援についてというところに入れていただきたいなというお願いが一つです。

以上、2つです。

○高委員長 これは消費者庁でよろしいですか。

○法務省笹井民事局参事官 国民的なキャンペーンが必要であるとのご指摘についてですが、若い方々をターゲットにした周知活動と同時に、家庭での教育もございますので、親世代に対するアプローチも必要であろうと思っております。どういった方法が適切であるのかについていろいろ御示唆をいただきましたので、そういったものも含めまして、今後、取り組んでいきたいと考えております。

以上でございます。

○高委員長 ありがとうございます。

それから、もう一つのチラシの配布云々というものを御希望されたのは。

○大森委員 法務省の方に、自立支援についてのところです。1-3の自立支援についての主な論点のところに、若者の消費者相談とか消費者教育というものも是非入れていただきたいなと。

○法務省笹井民事局参事官 消費者相談とか消費者教育というところは、消費者教育というところで既に入っているところでございます。ここの自立支援というのは就労支援とか引きこもり対策などを指すもので、今、先生御指摘のような消費者教育、消費者保護はテーマとしては入っているという理解でございます。

○大森委員 そういうふうに分断するのではなく、若者の困ったことを全部支援していくという形の中で、消費者相談とか消費者教育もやっていただきたいなという提案なのです。

○法務省笹井民事局参事官 御意見として承りました。

(所定の会議時間延長のため、法務省退席)

○高委員長 他、ございますでしょうか。

よろしいですか。

いろいろ委員から意見をいただきまして、整理させていただきます。まず、今日5省庁から説明をいただきまして、印象でございますが、着実に取組は進んでいると感じました。

それで、何点か確認する意味で申し上げますが、最初に御指摘があったことで、テキストを配付するということと教育はイコールではないという点ですね。消費者庁としては要望のあったところだけに配付しているということですけれども、これは今の段階でも難しいでしょうけれども、今後、効果を考えながらということで、テキストと併せて、できれば教育とセットでうまくテキストを使える方法も考えていただけないかという意見をもらいました。

過剰与信に関し確認しておいた方が良いなと思いましたのは、過剰与信対策については、貸金業協会、全銀協、クレ協を通じて、事業者がどういう対応や取組を進めているか現状を把握していただいておりますが、できればその情報を共有できる形にしていただけないかということでした。私どももこの取組が更に先に進んでいくことを期待しておりますので、今の状況がどうなのかということを把握できれば今後の変化も理解できますので、是非とも御検討いただきたく思います。若干、気になったのは、ベストプラクティスとして先進的な取組をしている事業者もいらっしゃいますけれども、その方々が不利にならないように、できるだけ業界全体で同じような取組をしていただくよう働き掛けていただければと思いました。

授業の方法に関して、取り上げるポイントとか、こういったところについてもっと工夫すべきではないかというところで、そちらとしては、動画等を使った対応、教員用の指導要領などにその方法についていろいろ記載して対応しておられるということでございました。文科省については、教育フェスタという取組をやりながら、ベストプラクティスの収集を進めているということでございました。

いずれも素晴らしい取組だと思いますが、時間が3年半と限られていますので、消費者庁の取組と併せて、途中経過で当然やられるでしょうけれども、教育の効果を見ながら、ペースを上げなければいけないものについては上げていただいて、あるいは効果が上がっているものについてはできるだけ横展開を進めていただくということを考えていただければと思います。

最後、1点にします。これは私もそのとおりだと思ったことでして、樋口委員から出た御提案です。大学との連携は、これまでほとんど進んでいないと思っておりました。ただ、確かに学生課を使えば、あるいは学生支援課を使えば、取組はかなり進んでいくだろうと私も思いました。是非とも参考にしていただければと思います。

各省庁におかれましては、本日は、詳しい説明をいただきまして、また、活発な御議論に参加していただきまして、ありがとうございました。私どもとしましても、引き続きこの動きを注視していくつもりでおりますので、今度とも取組を先へ進めていただきますよう、よろしくお願いいたします。

本日は、お忙しいところ、御出席をいただきまして、ありがとうございました。

どうぞ御退席ください。

(各省庁退席)

○高委員長 一旦休憩を入れさせていただきます。40分から再開いたします。

(休憩)

≪3.事故情報の更なる活用に向けた提言のフォローアップについて≫

○高委員長 それでは、再開をいたします。

2つ目の議題は「事故情報の更なる活用に向けた提言のフォローアップ」でございます。

当委員会は、平成29年8月に事故情報の入力項目の検討、精査や、新たなデータ分析技術の活用などを内容とする「事故情報の更なる活用に向けた提言」を発出いたしました。また、本年3月に発出した「消費者基本計画工程表の改定素案に対する意見」では、事故情報の更なる活用に向けて、消費者、事業者、事故情報データバンク参画機関等の連携・情報交換について言及したところでございます。

本日は、この提言を踏まえた取組状況について消費者庁から御説明をいただき、意見交換を行いたく思います。

本日は、消費者庁尾崎消費者安全課長にお越しいただいております。消費者庁におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

それでは、20分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁尾崎消費者安全課長 消費者安全課の尾崎です。よろしくお願いいたします。

ただいま委員長より御紹介いただきましたように、今回の御提言でございますが、大きく分けて消費者庁に一元化されている事故情報の在り方、事故情報の収集の方法ですとか活用、活用したことの効果について、また、新たな手法の活用ということではないかと思っております。

事故情報の収集について、今回配付した資料でまず1枚目を見ていただきますと、既に御存じかと思いますけれども、このような形で収集しているというところでございます。まず見ていただきますと、消費者安全法に基づく通知というのと、消費生活用製品安全法、それから、その他とございます。このように事故情報データバンクに入ってくる情報は必ずしも法律が統一されているわけではなく、いろいろな法律のものを通知いただいていて一元化している。

情報については、安全課としましては、例えばいろいろなところに事故があるものを、これはいろいろなところから来ているけれども、その一つの情報では分からないものを細かく見ていくとか、いろいろなところで起こっているものを見ていくとか、例えば小さな事故がどこかで多発しているけれども、これは何か類似なのではないかとか、そういう形で見ていくことを趣旨として、目的として、事故情報はなるべくたくさんあったほうが良いということでいただいているものでございます。

ただ、情報は先ほど申し上げたようにいろいろなところから、また、それぞれの情報はそれぞれの方の関心事項でもって集めている情報ですので、例えば消防からとか警察からもたくさんいただいておりますが、それは例えば警察の視点で見ている。それから、消防の視点で見ているという情報です。ただ、それはこちらとしても消費者事故として見るために必要な情報ですのでいただいている情報と認識しております。

それから、PIO-NET、相談員の方からいただいている情報も多くございますけれども、こちらは消費者の方が何か問題があって、何か交渉したいときの相談の情報でございます。ということで、様々な情報がある中で、それを一つの統一したフォーマットにというのは、非常に難しいのかなと思っています。

ただ、難しい中でも消費者事故として認定をしたりとか、私も事故調査室におりまして、事故の原因究明のときにはこの事故DBの情報が足りないということは非常に理解しております。例えばライターの型番があったらこれはもっと簡単に分かるのにとか、自転車も電動アシストなのかただの2人乗りの自転車なのか、そういうところも情報がまちまちで、非常に大変だったということは経験しておりますので、もっと情報があれば良いという利用者の皆様の気持ちも非常によく分かります。

そういう意味では、それぞれにいただいている情報は生かしつつ、また、こちらからどんな情報が必要だということ、消費者事故として認定する、また事故原因を究明するという消費者庁のサイドから必要な情報を働き掛けていく必要があるのかなとは思っています。その際には、全員を一緒に集めるというよりは、むしろ例えば関係省庁は関係省庁でお願いする、相談員の方は相談員の方でお願いするという形で進めていくほうがより効率的なのではないかと現在思っているところでございます。

最近、いろいろな方とお話しさせていただいて大変だなと思うのは、私たちは取った情報をいただいているところですけれども、実際に最初のところで事故の情報を収集する方は、元々事故が起こってパニックにある中で、これは型番は何ですかとか、そういうことを聞ける状態ではないのかなというのも思っておりまして、その辺りは皆様に取っていただいている方の御苦労を感じつつも、やはりこういう情報が必要なのですと少しずつ。なかなか急にこうやってくださいといって進むものではないと思っておりまして、先ほどと繰り返しになりますが、こういう情報がこういうために必要なのですということを繰り返し伝えていくということではないかと思います。提言にもございましたが、そういう社会の情勢みたいな、消費者市民社会みたいなところを皆さんに分かっていただくということも必要なのかなと思っています。

その点におきましては、次とリンクするかもしれませんけれども、事故情報の活用といいますか、注意喚起等の活用ということだと思います。そういうことで、この事故の情報がどのように他の事故を防ぐことに役立っているのかということを伝えていく。また、皆さんの事故を防ぐということが必要なのではないかと思っております。

配りました資料の2ページ目ですけれども、こちらはよく出しているプレスリリースでございます。その後のところがハンドブックですが、お手元にもハンドブックはお配りしているかと思います。

現在工夫していることといたしましては、プレスリリースを出すときに、一番世の中に届くのはマスメディアの力であるということは認識していて、どうやってマスメディアに取り上げてもらうかということなのです。そうすると、少しずつ考えているのは、物がある、映像があるということで、なるべく物、なるべく映像という形で記者会見等でやっているところでございます。

相手により届けるツールは違うと思いますので、現在やっているのはSNSとメルマガです。特に子供向けのものはそのような形で送っているのと、緊急性のあるものはツイッターでやっております。すぐに出せるということと、ツイッターはリツイートしていただいて拡散することが大事ということですので、ツイッターを出した場合には各省庁にもお願いして、その各省のツイッターにも載せて、リツイートしていただくという形で広げるということは行っております。

もう一つ大きいのが、5ページですが、官邸のSNS等もフォロワー数が多いので、こういうものについてもお願いして載せるようにしているところでございます。

6ページは先ほど申し上げたとおり、何か映像とか物があったほうが良いということでございます。

このようないろいろな媒体等を通じてやっているのですけれども、どのようなタイミングでというお話も確かあったと思います。例えば餅、豆、入浴の注意事項というのは、毎年毎年繰り返してやっていて、マスメディアの方には評判が悪いといえば悪いのかもしれない。毎年同じで新規性がないのでと言われることもあるのですけれども、そこも何らか工夫をして出していくようにして、それでも、やらないことはできないなという感じです。絶対に事故は起こるし、年末には餅だし、この季節になったら入浴もこの間やりましたけれども、敬老の日であれば転倒とかある程度決まったものはやっていこうと思っていますし、その間でなるべく皆さんが気付いていないような小さな事故であっても出していくべきだと思っております。

前後しますが、4ページに「子どもを事故から守る!」ツイッターの最大リツイート数1万というのがありますけれども、これは夏祭りの関係の玩具の事故ということで、気づかれていないようなことですが、このように小さなものですがリツイート数の多いものもございます。

ツイッターとかメルマガというお話をさせていただきましたけれども、高齢者の方はこれを見るかという話があると思うので、こちらはリーフレットというかチラシですかね。今年やった高齢者向けの注意喚起、9月にやったものとか先週やりましたお風呂の話は、地方公共団体を通じてチラシを配って、それをおうちの方もしくは御本人に伝わるように、どちらかというと紙ベースでやるという工夫をしております。

7ページや8ページになるのですけれども、子供向けのイベントは各地方公共団体等からお誘いも受けますので、そういうところには積極的に出かけていって、今まで割とパネル展示みたいなものが多くて、人が立っているだけみたいなものもあったのですけれども、例えば今年はハムの上にボタン電池を乗せて焼けるのを見せたりとか、そういうビジュアルも重視しつつやっているところでございます。来年度に向けましては、もうちょっとドールハウスみたいなものを作ったりして、そこで注意喚起ができないかなということも考えています。体験型の大きな施設を造るということまではできないのですけれども、小さなもので、見て、体験できて、分かるようなことをやっていきたいなと思っております。

最後に御提言いただいておりますデータの分析技術というところですが、これはやはりお金と人がないと、すぐにできるものではございません。現状の人員でそれができるとも思えませんので、何か別途チームを作ってそういうことを試験的にやるということを検討していくのかなと思っているところでございます。

簡単ですが、以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

ただいまの説明に関しまして、いかがでしょうか。

大森委員、どうぞ。

○大森委員 今は「事故情報の更なる活用に向けた提言」への対応状況について御報告されたのですよね。私もそれは参加していたのですけれども、私の考えでは、データの有効活用のためには事故情報のビッグデータ化が必要だと。各省庁がそれぞれいろいろなフォーマットでやっているから統一していかないといけないのではないかというのが一番の課題であったと思うのです。消費者庁がいろいろなことをやっていらっしゃるのはよく知っておりますし、一生懸命されているとは思うのですけれども、この提言を受けて、統一フォーマットへは動かないということですか。個別に対応するのみということでしょうか。

○消費者庁尾崎消費者安全課長 統一フォーマットということをもし仮にやりましょうといった場合に、むしろ出していただけなくなるリスクもあるかと思っております。それよりもそれぞれに働き掛けてこういう情報が必要ですと言ったほうが、現時点で効果的だと思います。

皆さん、それぞれ関心事項が違う中で情報を一元化して、その中の情報を使うということが今やっていることだし、これからも情報が来なくなることのほうがリスクが高いと考えます。

○高委員長 よろしいですか。

○大森委員 各省庁、みんなそれぞれにそういう意見で、別に連絡会を持って情報交換していこうという動きもないのでしょうか。

○消費者庁尾崎消費者安全課長 各省庁とは今後連絡会議を開いてやっていくことはあります。ただ、他の機関とかもありますので、今はまず割と大きな単位でといいますか、個別の省庁ではなく関係省庁は関係省庁で話はします。こういう情報を集めていますとか、こういう情報が必要ですという話はします。ただ、例えば相談の現場が一緒かというと、そこまでは今年度とか来年度は検討中です。関係省庁はそれすらやっていなかったので、それをまずやるということを考えています。それは近々にやることを考えています。

○高委員長 よろしいですか。

○大森委員 ということは、今の世の中、統一フォーマットで大きなデータにすることで、いろいろなところが活用できるという流れにあるわけですけれども、それに対しては全く対応しないという結論ですね。

○消費者庁尾崎消費者安全課長 徐々にやるということで、もらっているところはいろいろな機関がありますので、関係省庁をまず最初にやる。それで、合意が得られるかは分かりませんけれども、やってみて、その後に順に広げていくということです。

それも、先ほども申し上げましたけれども、それぞれがそれぞれに必要な情報を集めているわけですから、それを一気に崩すとか、一気にこの事故情報データバンクのために作ってくださいということをすぐには持ち出すことはできないと思っています。

○高委員長 よろしいですか。

提言の内容と違うというところでいろいろ質問があろうかと思いますけれども。

長田委員、どうぞ。

○長田委員 すぐに統一フォーマットに行きますということが言えないというのは分かりますけれども、先ほどもおっしゃっていたように、その必要性を一番感じておられるのが消費者庁なのだと思うのです。なので、まず今回はこれから始めますとおっしゃっていただければ、そのほうが分かりやすいのかなと思いました。

提言の中で、一つはもちろん統一フォーマットでビッグデータ化していくことと同時に、分析の専門家、つまり、人がとても大切だということも書かれていたと思います。そこのところ、予算とかいろいろな問題があるかもしれませんけれども、消費者庁がそこは強く訴えていかないと、せっかく集まっているデータベースをどう活用できるのかというのは決意が必要なのではないかと思っているので、それは頑張っていただきたい。

様々な情報提供、注意喚起していただいているのですが、それの効果検証も書いてあったと思うのです。どの程度その後事故が減ったのかという検証はきちんとしていきながら、どういう手法が伝わっているのか、とりあえずメディアに流れているということと、プラス事故の減少にどうつながったのかというのは大切かなと。

それから、集まっている事故情報のデータバンクの情報公開の範囲をもう少し広げられないかというのも提言にあったと思うのです。一般に誰も彼もが見られるようにしろと言っているわけではないけれども、もう少し幅広く共有化ができないのかというのもあった。

あと、先ほどの事故情報の提供のところも含めて、国際化に対応する、英語などでの情報提供というのも確か書いてあったと思うので、その辺りも今回御報告の中からは抜けていますけれども、きちんと御検討いただけたら良いなと思います。

以上です。

○消費者庁尾崎消費者安全課長 全部にお答えできるか分からないのですけれども、効果のところを言い忘れました。

効果につきましては、何でもそうですけれども、例えばこれは前になりますが、ヒートポンプ給湯器というのは、こういうところで消費者安全調査委員会が報告書を出したら御相談が増えるということで、事故が減るものでもないものもあって、一概に事故の数で何か言うこともできないかもしれないというところはありつつも、一つのよりどころとして事故情報しかないというところもあります。そこはこちらが出したものについては時期を見て、毎回、毎月とかという単位ではないと思うのですけれども、時期を見て何件になっている、どんな事故になっているということはフォローしていくということになっております。それでもう一度何か出したほうが良いということであれば、そのときのものを見つつ注意喚起などをやっていくということはやっていますし、やっていくつもりでおります。

英語の件は非常に懸念しているところで、何らかの形でやらなければいけないと思っています。すぐに対応はできないのですけれども、今後、特に緊急性の高いものについては英語も必要かということは思っていますので、緊急性の高いものはどんどん英語で出していくということも考えていこうとは思っています。

また、公開の件も非常に難しくて、例えばここで言及されていたのは医療機関ネットワークの話だと思うのですけれども、特にそこは医療データであり、緊急で来られた方からデータを得ている中で、話はずれますが、医療機関ネットワーク参画機関の皆さんとも先ほどのお話みたいに単位単位でお話はさせていただいていますが、一番問題は同意です。今、すごく大変なときに、こんな型番とか、私が何をどのように使っていたかとか、一番事故情報として大事なところというのは、なかなかとりにくい。そこがむしろ大変で、公開という点もありますが、公開はどういう形でというお話はさせていただきますけれども、それよりも一番大事なところはそこの取るところで、公開しますという話になるとまた情報が得られなくなるということも考えつつ、話はしていきたいと思っています。

足りないかもしれません。済みません。

○高委員長 大森委員、どうぞ。

○大森委員 例えば私が事故で子供を亡くすとか、そういう大変なことがあったとします。消費者庁にいろいろ情報を聞かれて、それが今後の事故の防止に役立つということが分かっていれば、私は喜んで提供すると思うのです。根掘り葉掘り聞かれるけれども、それは何に使われるか分からないと、見えないと、消費者は提供しにくいと思うのです。事故情報というのはみんなの財産になっていくものだから、これから被害防止のために役立つということをもうちょっと一般消費者に見えるようにしていけば、情報も集めやすくなるのではないかと思いました。

○消費者庁尾崎消費者安全課長 ありがとうございます。

医療機関の方もそのようにおっしゃっていまして、この医療機関ネットワークという事業そのものが余り認知されていない。パンフレットとかもあるのですけれども、恐らく誰も見たことがない状態で、そのようなことはもっと周知していかなければいけないし、どこまで先生のように思ってくださる方が増えるかどうか分からないですけれども、そういうところは働き掛けていかなければいけないと思っています。

そういう点において注意喚起等ではこういう事故がありましたということを幾つか入れて、事故を身近にというか、こういうことが起こり得るということも含めて、役に立っているということも含めて入れているつもりなのですが、まだまだそこは周知が足りないのかとは思っているので、引き続き何かやっていきたいと思っています。

○高委員長 ありがとうございます。

他、いかがでしょうか。

樋口委員、どうぞ。

○樋口委員 消費者庁が今いろいろ御苦労されていることは分かるのですけれども、今回のヒアリングの趣旨は、提言に対する対応状況ということだったと思います。提言に対してこれはとても受け入れられないということであれば、どういう理由で受け入れられないのかを明確にする必要があるし、もしこの提言の方向を尊重するということであれば、中長期で結構なのですが、計画性が必要だと思うのです。

今、お話を聞いていると、その都度、例えば統一で情報を取るのは非常に難しい。それはおっしゃるとおりなのです。でも、国際的なことを考えても3年後、5年後にどのようにしていくのか、そのために関係者にどのような働き掛けをしていくのかという戦略がないと。いつまで経っても事故情報がばらばらのままというのは如何なものかと思います。それぞれ現場で苦労していることは事実ですけれども、必要があれば法的な制度も作るというぐらいの意気込みで中長期のプランを持つべきではないかと思います。そうでないと、多分何年経っても状況は余り変わらない。

ただ、消費者庁が御苦労されていることを否定しているわけではないのですが、この提言の更なる活用ということに関しては、大変失礼な言い方ですが、やや場当たり的になってしまうおそれがある。あるいは、技術進歩があって何らかの形でフォーマットが結果的に統一されることはあるかもしれません。しかしながら、行政の取組としての中長期的な戦略は、その場合には明らかにならないままというおそれがあるのではないかと思います。是非、中長期的な政策の方針をまず決めていただいて、その中で現在を位置付けていただくことが必要ではないかと思っています。

これは質問というよりは意見ですが。

○高委員長 そうですね。ありがとうございました。

蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 いろいろデータを取るのに御苦労なさっているかと思います。

私はいろいろな省庁の方のお話を聞きながらいつも思うのは、例えばこの「事故防止ハンドブック」、大変よくできています。先ほどの会議のときに出てきました、省庁の中に説明をしていますというように、一方的にきちんとしたものは作っていらっしゃるのですね。ところが、大事な人のところに届いていない。これが大きな問題で、前の会議もそうなのですが、どこを見たら良いの、何をしたら良いの、こんなの見ないわよというものをやりましたとおっしゃっても、一番大事な消費者を守るというところへ届いていない。これが私、今回のこの事故情報に関しても一緒だなと思うのです。

せっかくこんな良いものを作られていました。私は孫がいるので、その孫のお嫁さんに大阪に行ったときに持っていきました。こんなのあるんですね、何か見たような気がする、でも、手にしたことはありませんと。あなたね、これを見てごらん、いろいろな事故が入っているから気を付けてねと言って渡したら、勉強になりますとこうやって見たのです。だけれども、実際には病院だとか役所とかに行けば積んである。でも、手にしないというのが実情だと私は思うのです。

そうすると、彼らは何で情報を取っているのかというのを見ていただくと、ほとんどスマホとかで取っています。誰からかというと、例えば人気ブログのブロガーの子供を育てるというページを持っている人、子供が泣いたときはこうすれば良いとか、ああすれば良いとか、いろいろ書いている人のところへ行って見ているという方が結構いる。

そういうものもきちんと使って、SNSとかではなくて、そういうページの人たちにリンクを張らせてもらって、子供を事故から守るというところに飛んできてもらえるということも実は必要なのではないかと。今起こっている事故に関しては、そういう人たちにアンバサダーのようになってもらって投稿してもらうということも大事なのではないかと。私は最近、そういう民間の情報を持った人たちの発進力のすごさは非常に実感していまして、うそもあれば本当もあるのですけれども、事事故に関しては、ちゃんとした消費者庁から出てきた情報であればきちんと流せるだろうと思うのです。

ですから、難しいかもしれないのですけれども、世の中、チラシだとかパンフレットとか、だんだん見なくなっている時代ですから、もう少しやりましたというところで収まらないで、届いているのかというレビューが必要になってくると思います。そういう実感がとてもあるので、是非その辺りのリンクの張り方というか、お願いの仕方というか、もう少し時代を見据えて、早くに情報がいくようにしていただければ良いかなと思っています。

○消費者庁尾崎消費者安全課長 余りなかった視点ですので、その辺りは検討したいと思います。

○高委員長 ありがとうございます。

他、よろしいですか。

山本委員、どうぞ。

○山本委員 私の全体の印象は、先ほどの樋口委員の御意見と同じでして、あの提言の中でも一遍にフォーマットを統一できるなどとは書かれていなかったと思います。それは、それぞれの省庁が、あるいはそれぞれの情報収集主体が、それぞれの目的で情報を収集しているということを当然意識して提言は書かれている。ただ、その中で事故情報データバンクという形で、とりわけ今後これをデータとして活用していくという視点もそれぞれの機関に十分理解をしていただく必要がある。そうすれば、それぞれにおいてだんだんと対応ができていくのではないかと言われていたわけです。

したがって、私としても期待していたのは、現在のところ、その取組がどこまで進行していて、今後どのようにそれを推進していくかといった計画を伺いたかったのですが、今日のお話は、非常に難しい、これからできるところからやりますということにとどまっていたので、それが私としては、率直に申し上げて残念でした。

取り組むときに、一方的に負担になるようなやり方を採ると、それは大変ですというので話が終わってしまうわけですけれども、そこは話の持っていき方というか、工夫の仕方がいろいろあると思うのです。例えば入力方式の統一に関して言えば、入力を容易にするような技術を供与するといった形で、言わばプラスマイナスといいますか、手間が掛かる分だけ、しかし効率的にできるようになるといったことを同時に提供していくとか、いろいろあろうと思います。

後に出てきた、他の主体と連携して情報を分析していくことに関しても、提言においては一遍に全部の主体に対して公表しろなどとは書かれていないのです。それはできるところからと書かれているわけでして、最初に考えられるのは、研究機関等であろうと思うのです。ある意味では、研究の宝の山のようなところがあるというのは、確かあの会合の中でも言われた人がいたと思うのですけれども、そういうところから徐々に取り組んでいくやり方があるのではないか。できればもう少しその辺りの具体的な見通しを伺いたかったと思います。

この手の話は、現在は国内でも、あるいは国際的にもそれほど動いていないかもしれませんが、動くとなると一気に動く可能性があると思いますので、そのときのためにも備えを十分しておく必要があるのではないかと感じました。

○高委員長 ありがとうございます。

長田委員、もうほとんど感想ということですね。

○長田委員 感想というかお願いなのですけれども、提言の中に家庭内での事故などに関して、把握がなかなか難しい種類の情報についても書いてあったと思うのです。あれは医療機関ネットワークからの情報が非常に有効だと思うのですけれども、今、個人情報保護法が改正されて、医療機関の皆さんは患者とかの同意の取り方が非常に難しくなっていると思う。それで医療機関のネットワークの拡大が難しいのかなと推測しておりまして、是非消費者庁で同意のフォーマットとか考え方とか、そういうものを示して、また先ほどのお話にもありましたように、その情報がどのように有効に使われるのかということも含めて国民に伝えることを考えないと、なかなか拡大が難しいとも想像しますので、その辺りでもし何か取組があるのであれば教えていただきたいです。

○消費者庁尾崎消費者安全課長 医療機関ネットワークにつきましては、参画機関の方と連絡会議等でお話しさせていただいているのですけれども、フォーマットについてはその中でも様々な機関の方からどのように同意を取っているかというサジェスチョンのようなものがございます。お話を伺っていると、統一フォーマットでは、それぞれの条例ですとか、国の機関であるか、独法であるか、様々なので難しそうなのですが、そういう中でもこういうやり方が良いのではないかというお話が病院同士でもありましたので、参考までに御検討いただきたいとは思っておりました。もちろん一番大変なのは同意のところなのですけれども。

それで参画機関を増やしたり、患者の方からの医療データをもらうには、そこは消費者庁がもっとこういうものに使っているのですという形で周知していく必要があるのだろうということは非常に認識しているので、今はパンフレットとポスターがあるということなのですけれども、ポスターは病院にはいろいろなポスターが貼ってあるので埋もれてしまうということがありまして、もう少し何か工夫ができないかなと思っております。工夫が何かというのはなかなか難しいのですが。

医療機関のデータの提供ということでございますが、特に別に全く駄目ですと言っているつもりもなく、例えば研究者の方から提供いただきたいということがあれば決まりはありますので、ある程度のことはできるかなと思っております。

○高委員長 よろしいですか。

他はございますか。

ありがとうございました。本日、今日提言の内容に関してどれぐらい進捗があったのかを確認したいという気持ちで、この会合を設けたわけでございますが、なかなか進んでいない状況が確認できました。

ただ、委員会としても、やれやれということだけでお願いするのでは、現場が動かないという問題もありますので、もう少し知恵を出す必要があるかと思います。我々が言っていることは、収集の問題、情報をどうやって集めるのかという問題と、どう分析するのか、事故防止のためにどう周知するのか。それから、これは最後でよろしいのでしょうけれども、実際に周知したことで効果がどれぐらいあったのか。この4点について、いろいろ提言させていただいたわけでございますが、実行が難しいものについては、正直に、これは無理だと言っていただいて、それでまた委員のところでもいろいろ議論し、こちらから再度、フィードバックさせていただくとか、建設的な議論をさせていただけると有り難いと思いました。

収集のところについてですけれども、確かに一括して全て集まって議論しても、なかなか生産的ではないかとも思います。それで、これから個別に対応されるということでしたので、できるだけその可能性の高いところ、先ほど山本委員の指摘がありましたけれども、研究機関との連携は非常にやりやすいのではないかと思います。そういう意味では少し規模の小さい研究機関などと連携してやってみて、それで良い方向が見えるのだったら参加機関を増やしていくとか、何らかの方向を示していただければと思います。

一番言いたかったのは、樋口委員からおっしゃっていただいたことはそのとおりでして、中長期的にどの方向にいくのか。いけるのかいけないのかということも正直に言っていただいて良いかと思います。その中で、これから今後1年後、2年後、どこまでいくのかということまで示していただければと思います。大切な活動でございますので、私どももそちらの取組を引き続き注視していきたいと思います。

本日はお忙しいところを御出席いただきまして、御説明もいただきまして、ありがとうございました。どうぞ退席してください。

(消費者庁退席)

≪4.その他≫

○高委員長 それでは、順番をかえまして、「その他」から先にやらせていただきます。

「その他」として、新開発食品調査部会から報告事項があるということでございます。本日、受田委員が欠席となっておりますので、長田部会長代理から御報告をお願いいたします。

○長田委員 それでは、特定保健用食品の表示許可に係る答申について御報告いたします。

平成30年9月10日に開催した第46回新開発食品調査部会の議決について、新開発食品調査部会設置・運営規程第7条に基づき、委員長の同意を得て、委員会の議決とし、11月16日付で内閣総理大臣へ答申を行いました。

参考資料1の答申書を御覧ください。内閣総理大臣より諮問を受け、第46回新開発食品調査部会において安全性及び効果について審議を行った結果、指摘事項を確認の上、了承することが部会長に一任され、申請者からの回答書を確認し、特定保健用食品として認めることといたしました。

私からの報告は以上でございます。

○高委員長 ありがとうございます。

≪5.地方消費者行政の現況調査について≫

○高委員長 それでは、よろしいでしょうか。

議題の3つ目に戻りまして「地方消費者行政の現況調査について」ということでございます。

地方消費者行政については、どこに住んでいても質の高い相談・救済を受けられ、安全・安心が確保される地域体制を全国的に整備することを目指して、「地方消費者行政強化作戦」が定められ、「地方消費者行政推進交付金」などを活用した計画的・安定的な取組支援が行われ、消費生活センターの整備、消費生活相談員の配置・増員及び消費者教育の推進などが一定程度進められてきました。また、当委員会においても地方消費者行政の充実に向けた取組については、本年2月にも消費者庁からヒアリングを行い、本年3月に当委員会が発出した「消費者基本計画工程表の改定素案に対する意見」においても、地方消費者行政支援に向けた取組の推進などについて言及したところでございます。

本日は、10月に公表されました「平成30年度地方消費者行政の現況調査」の内容について、消費者庁から御説明をいただき、意見交換をさせていただきたいと思っております。

本日は、消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長にお越しいただいております。消費者庁におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、ありがとうございます。

それでは、20分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 消費者庁の消費者教育・地方協力課でございます。本日は御説明の機会をいただきまして、ありがとうございます。

お手元に配付させていただきました地方消費者行政の現況についてのポイント紙で説明させていただきます。また、事前に幾つかこの点について触れてほしいといただいておることについても、併せて御説明させていただければと思います。

まず、お手元1ページ目、1.消費者行政予算の状況でございます。これは当初予算ベースで毎年とったものの比較でございます。平成30年度につきましては170億円ということで、前年度差で14億7000万の減となっております。

その内訳でございますが、以前の活性化基金、それから、地方消費者行政推進交付金及び地方消費者行政強化交付金、いわゆる消費者庁から地方公共団体に配分しているものについて、前年差で19億9000万の減であると。

他方、地方公共団体で自主財源として確保したものにつきましては、前年度差5億2000万の増という形になっています。ですので、合わせて全自治体計ということで、14億7000万の減となっております。

2ページ目、2.相談窓口の状況でございます。まず週4日以上開けていて消費生活相談員さんを配置している、また、PIO-NET等の情報収集のための電子機器が配置されている消費生活センターの数でございます。これにつきましては、平成30年4月1日現在でございますけれども、全国855カ所でございます。これは前年差で25カ所の増となっております。

この内訳を見ますと、都道府県のところは前年差で6減となっておりますけれども、他方で市区町村のところが増えているということで、ネットで見たときに純増という形になっております。

また、(2)のところでございます。この消費相談窓口のところのセンターの設置率というのが上から2つ目にあるかと思います。うちセンターの設置率のところが、設置数が1,084自治体、設置率が全自治体の63%でございます。これは前年度に比べまして、前年度が59.2%ですので、それから63%に上がっているということで、カバー率が上昇しております。

また、消費生活センターではございませんが、消費生活相談窓口が未設置のところは既に平成27年からゼロになっておるわけですけれども、平成30年度につきましてもゼロということで、全ての自治体に消費生活相談の窓口は設置されている状況でございます。

3ページ、消費者行政担当職員の配置状況でございます。まず、消費生活相談員の配置状況です。平成30年度は3,438人ということで、前年から4人増となっています。ほぼ横ばいでございます。そのうち、特に注目すべきは新しい登録機関による消費生活相談資格制度の合格者数のところを御覧ください。平成30年の4月時点では、3,438人の相談員のうち、新しい登録機関における新資格の合格者数が967ということで34.6%、3割超の方が新しい試験の合格者となっております。

また(2)消費者行政担当の事務職員の配置状況でございます。これにつきましては、専任、兼任合わせて全体のところで5,209人ということで、前年差46人減となっております。内訳で見ますと、専任職員が38人減、また、兼任職員は8人減となっております。

4ページ、4.消費生活相談員の処遇等の状況でございます。(1)消費生活相談員の平均報酬額でございます。これにつきましては、平成30年は時間当たり1,561円ということで、前年差9円増ということで、平均報酬額は全体で見て微増でございます。

また、右側、(2)雇止め規定等の有無でございます。雇止め規定がある自治体数は、ちょうどこのますで言うところの右から2つ目の「有」というところでございますけれども、これが平成30年は12団体でありまして、前年度に比べて1自治体の減となっております。

5ページ、事業の実施状況というところでございます。(1)相談・あっせん件数でございます。相談件数全体は、平成29年度は103万件ということで、昨年度の98万件から5万件ほど増加になっています。これは架空請求の相談が昨年度大変多かったことを反映しまして、また、29年度は100万件を超えた状態になっていると。

他方で、あっせん件数はほぼ横ばいとなっておりまして、これを見ていただくと、相談件数が分母のところがすごく増えて、他方であっせん件数が横ばいということになっておりますので、あっせんの割合から見ると8.3%になったということがございます。ただ、これ自体は相談件数自体が増えていたこと、特にその内容が架空請求というあっせんまで至らない事案が多かったということを踏まえると、そういう要因も踏まえてのこのあっせんの割合になったかと理解しております。

6ページ、地方公共団体で出前講座等を含んだ講習等をやっている、実施している状況についてでございますけれども、都道府県及び政令市レベルでは全ての都道府県、政令市で講習等を実施しておるところでございます。

7ページ、法執行の実施状況、消費者関連の法の執行の状況についてまとめたものでございます。これについてはデータがこういうことであったということで状況を載せさせていただいているところでございます。

以上、簡単ではございますけれども、これがポイントでございます。

また、事前にお問い合わせをいただいている質問がございました。都道府県の消費生活センターにおいて、消費生活センターと消費者行政部局本課の位置関係がどうなっているのかというところで、同じ建物、同じ階にあるところ、あるいは離れているところ、同じ建物にあるのだけれども違う階のところ、そのデータについて御教示いただきたいという御質問をいただいております。

内訳でございますけれども、同じ建物で同じ階にある都道府県は18でございます。また、同じ建物であるけれども、違う階にある自治体が3自治体でございます。同じ建物にはない自治体が26自治体でございます。

ただ、これについては、大事なことは消費者行政部局と消費生活センターが連携を採ることだと思っております。ですので、同じ建物にあるかどうかという物理的なこともさることながら、組織内でどう共有されているかということが重要かと思っております。これ自体は、例えば違う建物、例えば県庁舎内に入っていなくても、それこそ駅ビルの中に入れているとか、消費者にとって利便性を考慮してやっている自治体もあるかと思いますので、これについて何らかこうすべきというのはなかなか一概には言えないのかなと思っております。

もう一つお問い合わせをいただきまして、消費生活センターの所長を消費者行政部局の課長が兼ねている自治体数を教えてくださいというお問い合わせがありました。これについては、我々の現況調査からはこの情報を把握することができないということで、お答えできないということで御容赦いただければと思います。

以上、簡単ではございますが、説明でございます。よろしくお願いいたします。

○高委員長 御説明ありがとうございました。

それでは、ただいまの説明に関しまして御質問、御意見がございましたら、どうぞ御発言ください。

増田委員、どうぞ。

○増田委員 私どもは会員実態調査をやっておりましたけれども、消費者庁で現況調査をしていただくようになりまして、詳細かつ正確であろう現況調査ですので、本協会ではここ5年ほどはやっておりませんでした。とはいえ、このところ消費生活相談員の資格が制度化されたこととか、様々制度が変わりましたので、その点について実態調査を行いました。

私どもの実態調査自体は会員という限定したものですし、かつ調査対象人数も少ない。それから、非常に主観的なところもありますので、比較するのは難しいところではあるのですけれども、そうはいっても、感触として私どもの把握している状況と違いがあるということもございまして、お伺いしたいところが幾つかございます。

まず、消費者行政予算の状況ということで、平成30年度、自主財源が増えたという数値が出ておりますけれども、これは自治体によってすごく格差があるのではないかと思います。そこで自主財源が全くないとか、ほとんどないようなところと、何か特別なことがあって増やしたようなところがあって平均してこうなっているのかなという予想なのですけれども、その辺りの背景のことがございましたら、教えていただきたいと思います。

もう一つ、2ページの相談窓口の状況ということで、平成30年に自治体のセンターが増えています。これは市町村が増えているというところで結果的に増えているわけなのですけれども、都道府県のセンターと市町村のセンターは、相談員の数であるとか、処遇であるとか、その内容については大きく開きがあるかと思うのです。個人の力に左右するところも大きいかと思うのですけれども、この市町村が増えることはメリットがあるということと同時に、次の資料で相談員の数が減っているというところと併せて読むと、市町村の相談員の数が1人体制、2人体制ではないかという推測がされるわけなのです。その辺りの体制の脆弱さというか、そこについてはどう評価されているのかというところがございます。その点について教えていただけますでしょうか。

○高委員長 では、2点お願いできますか。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 御質問ありがとうございます。

まず、1.地方消費者行政の予算のところで、自主財源が増えた今回の背景でございます。平成29年度までの消費者行政の推進交付金であったものは、29年度が新規事業の最終年度ということで、我々としては30年度から是非それを各自治体でバトンタッチといいますか、徐々に自主財源の取組をという形でお願いをしてきたところでございます。そういうことも踏まえまして、30年度、地方公共団体でそれぞれ計画的に自主財源確保に振り向けたというのが要因であるかと思っております。

また、御質問がありましたように、自治体によって格差があるのではないかというのも御指摘のとおりだと思っております。もちろん自治体ごとに自治の原則はありますので、自主財源をどうするのかというのはあるのですけれども、全ての地方公共団体が一定のところにとどまっているというよりは、自治体ごとに格差があるのは確かでございます。我々としては、個別にそれについて、地方公共団体に働き掛けを引き続き続けていきたいと思っております。

2つ目、2.消費生活相談窓口についてでございます。今、増田委員から御質問があったように、県が減っているというのは、もちろんだんだん市町村が充実してきたので、その分県は集約化しているということが背景で、いわゆる市町村のところの自治体が増えているというのは確かだと思います。我々としてはできるだけお住まいになっている地域のところでつながりやすいということで、是非市町村のところで体制整備をお願いしているところでございます。

その中で、1人で脆弱ではないかという御質問ではあったのですけれども、確かにデータを見ると中小、いわゆる大都市でないところはなかなか体制が難しいところがあるというのは確かではあると思うのですが、他方で、お住まいにある地域にすぐに相談できる、あるいは来所して口頭で面談できる、そういう相談員を置くのは大変大事だと思っておりますものですから、我々としてはまず体制整備をしていただきたいと。

一つの小さい町とか村で置いてくださいというよりは、できるだけ今、広域化を進めるようにお願いしておるところです。データで見ると、(2)のセンター設置自治体数のところを見ていただくと、カバーしている自治体が今回65自治体が増えておるのです。その内訳を見ていただきますと、1,084自治体で65増えているわけですけれども、その半分ですね。2ページの(2)のちょうど真ん中辺りですけれども、そのうちの単独設置の自治体が33ですが、他方で広域連携によって増えている、要は、広域でカバーするというところが32自治体ございます。ということで、広域化も大分進んできているかと思っております。

これは本当に各自治体の御努力の結果で、単年度だけ見るとそんなものかと思われるかもしれませんけれども、例えば平成21年、ちょうど消費者庁ができたかできないかぐらいに遡っていただきますと、センター設置自治体数は379自治体しかなかったのです。センターのカバー率も21%、2割でございました。これがこの10年で本当に関係する皆様の御尽力によって1,084自治体までカバーしている。カバー率も6割を超えている。我々の今後の課題としては、是非ここの基盤のところを引き続き安定的に確保していただく、あるいはそれを強化していただくという形で、是非地方公共団体と連携を採っていきたいと思っております。

1名で脆弱ではないかというところはあったのですけれども、そこについて言いますと、来年度から指定消費生活相談員制度も始まります。これは県で、正に県の場合は一定数、組織的にもすごくしっかりなさっている。そこで指定相談員を置いていただいて、管内の市町村の相談員への助言等を行って全体の底上げをしていただくという形で我々も働き掛けております。また、自治体には是非そういうものを活用くださいという形でブロック会議等でもお願いしておるところでございます。

○高委員長 ありがとうございました。

増田委員、どうぞ。

○増田委員 広域連携は私も大賛成なのですけれども、それをやったほうが良いと思う地域を私も具体的に把握しているのですが、従来からの地域関係でうまくいっていないところがあるのですね。本来であれば都道府県がそこを上手にやっていただくのが一番良いかなとは思うのですが、そういう努力がみられないというのがありますので、是非そこのところは支援していただきたいと思います。

それから、消費生活相談員自体が、今欠員が多くなっている状況です。これは処遇の問題も関わってくるのですけれども、そういう欠員が多くなっている状況であればなおさら広域が必要だと思います。

指定相談員についても、そこの理解ですね。指定相談員の役割であるとか都道府県の中での理解、それから、それを市町村にしっかり伝えていただくことがメリットになると思いますので、是非そこはよろしくお願いしたいと思います。

○高委員長 よろしいですか。

池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 池本でございます。

まず、資料1ページの(1-2)予算の推移のことについてお伺いします。昨年度までの推進交付金が原則として終了して、強化交付金は導入されたけれども、むしろ推進交付金から自主財源に切り替えてほしいということが消費者庁からのメッセージであるとお伺いしたのですが、数字で見ると基金及び交付金のところが19億9000万円、約20億減少して、5億2700万円しか自主財源が増えていない。つまり、そこの切替えが現実には各自治体で実行できていないと評価するほかないのではないかと思うのです。この辺りについて、消費者庁としてどう評価し、あるいはどういう対策を考えておられるのか。

特に対策のことで言いますと、自主財源はこの1から2年ではなく消費者庁ができて以来の10年間を見ても、例えばこの数字で見ますと、最終予算ベースの(1-2)で見ますと、平成21年の121億がずっと29年でも119億となっていて、要するに全く増えていないのですね。年度によって数億上がったり下がったりするだけで、本当に政策判断として自主財源を増やそうということにつながっていないのではないか。特に自主財源の目安としては、平成20年までは基準財政需要額90億が消費者行政に充てられるものというのが、21年から180億となり、24年から270億と、3倍増になっているはずなのですが、全然その反応がない。このことの原因をどう受け止めておられるのか、あるいはそこについての対策として具体的に何か検討されているのかをお伺いしたいと思います。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 御質問ありがとうございます。

先に後のお答えから御説明したいと思います。総務省から出されている地方交付税措置に充てられている額は、池本委員長がおっしゃるとおりで、今270億ほどになっています。これは消費者庁ができる前の90億に比べれば3倍に増えているということになっていて、本来であれば自治体で、その制度の趣旨をきちんと理解した上で御対応いただければ、当然それに見合った額というようになっていたとは思います。

もちろん、一般論であれば地方自治の原則があるので、こうすべきというのはなかなか言いづらい面はありますけれども、総務省で標準的に使う額という形であれば3倍増になって、他方でこれが横ばいであったというところがあると思います。

我々としては、これだけきちんと総務省から地方交付税措置がなされている以上は、そちらに是非優先度を高めてくださいというように、これは地方公共団体のトップに言い続けるしかないかなと思っています。それぞれの担当課長とお話していても、それはある意味でその自治体としてどうすべきかというところの話になってくるかと思うので、我々としては引き続きその働き掛けが重要だと思っておるところでございます。

また、当然我々だけではなくて、この対策としては是非地域で活躍されている消費者団体の方々、あるいは関係団体の方々に、それぞれの自治体において総務省から交付税措置がなされている以上は優先度を上げてくださいという活動、そういう形で我々消費者行政を進める立場からは、是非そういう問題提起をしていただければと考えておるところでございます。

続きまして、前者のところでございます。30年度、20億ほど落ちているのではないかというのは御指摘のとおりでございます。ただ、29年度に関して言いますと、横並びで見ると平成29年は新規事業最終年度ということで、ここでかなり出てきたといったことはあるかと思います。他方で、30年度からはそれまでの事業ごとにそれぞれ決まっている年限が来たものから最終年度になるものは終わっていきますものですから、その辺りも含めて落ちざるを得ないところはあったかと思います。

ただ、いずれにしても、そうはいってもファクトとして20億減になっているというのは、そのとおりかなと思っております。

○高委員長 池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 今、御説明があった中で申しますと、基準財政需要額が3倍増にせっかく措置されているものを活用するように働き掛けを消費者庁としても取り組んでいきたいという趣旨で御発言いただきまして、是非お願いしたいのですが、先般、今年の初め、全国消団連が行った都道府県に対する調査では、自分の自治体の基準財政需要額が幾らである、消費者行政関係の金額が幾らであると数字も含めて回答できたのは3自治体しかなかったという非常にショッキングな数字が出てきています。つまり、これまでは残念ながらその働き掛けはほとんど伝わっていなかったと言わざるを得ません。もちろん地域の団体からも働き掛けは必要ですが、消費者庁からも具体的な数字も含めてもっともっと働き掛けを強化していただきたいということが一つです。

それから、3ページの(2)消費者行政担当事務職員のことについてお伺いします。平成29年から30年だけ見ても46人減員となっています。平成21年からの約10年間を見てみても、一時期ちょっと増え、また減ってというのでほとんど横ばいでありますし、専任職員で見ていくと平成27年以降ずっと減員になっているのですね。

担当職員の配置というのは交付金などでは手当てできない、消費者行政にどれだけ人を配置するかという自治体の政策判断が決め手になると思うのですが、これが全く増えようとしていない、あるいは専任職員が減っているということを、消費者庁としてはどう評価されているのか。あるいは、これを増やすためにどういう取組を行ってこられ、今後行おうとされているのかをお伺いしたいと思います。

もう一点、今のことに関連するのですが、今日の配付資料にはないのですが、地方消費者行政強化作戦の中で、消費者安全確保地域協議会を設置するという項目があります。これは目標値としては人口5万人以上の市区町村約550に対しては全部設置するというのが目標であったと思いますが、確認したところでは、平成30年9月末時点で550の自治体のうち88、16%でしかない。これは目標値の推進状況としては非常に動きが鈍いのではないかと私は感じているのですが、消費者庁としてこれはどう評価し、どういう原因なのか、そして、どういう対策を採ろうとされているのか。

私はこれは先ほどの担当職員が全く増えていないあるいは減員になっているということと、福祉との連携もコーディネートしながら新しく動きを作っていくことができていないことの非常に大きな原因ではないかとも感じているのですが、その辺り、消費者庁としてどう考え、あるいはどういう取組を予定されているのかをお伺いしたいと思います。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 御質問ありがとうございます。

1つ目は、具体的な地方消費者行政の交付金の算定について自治体でもう少し意見交換をすべきではないか、2つ目は、人員が増えていないことについてどう評価するか、3つ目は、見守りネットワークが550分の88ということで16%にとどまっているのを今後どのように進めるか、3つの御質問をいただきました。

1つ目、具体的な働き掛けについては、一覧表でというよりは、むしろ自治体ごとに我々の持っている情報についてこれからも積極的に、各地方消費者行政部局におたくのところはこうですよ、こういう考え方に基づくとこれぐらいですねぐらいの積極的な意見交換はやっていきたいと思っております。そうすることによって、数字が分かりませんという自治体のところは、次回のアンケートでは減るようにしたいと思っております。

2つ目、人員が増えていないのではないか、3ページ目、(2)のところでございます。確かにこの10年でほぼ横ばい、去年から今年にかけて言えば減っている状態です。私個人的には、2つ話があるかなと思っております。

一つは、県と市町村の役割分担を今後どう考えるかという話かなと思っています。と言いますのは、大きないわゆる都道府県レベルであれば、是非それはできるだけ十分な体制作りをしてくださいという話もあるでしょうし、他方で、それこそ人口5万人未満の小さな市町村まで専任を置くべしという話になるかというと、そこはそれぞれの自治体の人口、財政規模に応じてどういうことをやるべきかという辺りを、消費者庁も国と県と市町村の役割をどうあるべきかということをもう少し議論しなければいけないと思っております。

その上で、我々としては特にきちんと体制作りでやっている、例えば専任であっても兼任であっても、今日はお出ししていないのですけれども、どれぐらい兼任の人は消費者行政をやっていますかという割合は、残念なことになかなかその率が上がっていかないのです。正直な話、それほど消費者行政に充てているウエイトが高いかというと、そうではないようなデータも出ております。

そうした中で、我々としては兼務の方であったとしても、是非消費者行政のウエイトを高めていく。特にそれはこれまでの従来の相談業務であったりあっせん業務という消費生活相談員からいただく情報に対応するだけではなくて、本当に業務が幅広になっております。例えば消費者教育推進法に基づいて消費生活センターが地域の消費者教育の拠点になっております。また、これからはSDGsへの対応というか、消費者市民社会として持続可能な社会作りということで、幅広い世代、消費者向けに啓発もやっていく必要があります。そういった業務の領域が増えている中で、是非そういうウエイトを高めていくということは、我々としてはすごく問題意識として持っておるところでございます。

3つ目で、見守りネットワークのところが16%で、これをどのように評価するかというところですけれども、確かに水準からいくとまだ道半ばでございます。他方で、昨年から比べるとかなりこれは各自治体で立ち上げていただいたかなというところで、伸び率で見ると1年前に比べて伸びたなというところがあります。

他方で、水準でみるとまだ2割にも達していないところであります。まだまだ道半ばではありますけれども、この勢いを是非加速するように、我々としては徳島での事例集を先般公表したわけですが、今後、それにとどまらず立ち上げ支援の情報提供なども、今、手引等も作成しておりますものですから、そういう形で是非立ち上げで、こういうところがハードルだよねというところについては事例集であるとか、あるいは今後作成して公表する予定の手引等を使って、我々としては是非増やしていきたいと思っております。

また、それだけではなくて、増えない理由として、見守りネットワークを立ち上げるメリットがなかなか県の職員だけでなくて市町村まで届いているかという問題意識も我々は持っています。都道府県に対して我々もいろいろな会議でこういうメリットがありますよと言っておるのですけれども、では、実際に見守りネットワークを設置される市町村、特に実際にやられる方々まで我々がきちんと情報発信ができているか。これはもう我々として課題だと思っています。これについては消費者庁としても是非今後充実して力を入れていきたいと思っております。

以上、3つでございます。

○高委員長 どうぞ。

○池本委員長代理 まだまだ不十分であるという評価の上で今後取り組んでいきたいとおっしゃっていただいたので、是非お願いしたいのですが、特に職員が専任が必須で兼任は駄目だと申し上げるつもりはありませんが、これだけ業務が増えているのに兼務の割合も含めて実質ほとんど増えていないというのは本当に深刻な問題だし、だからこそいろいろな課題もできないし、あるいは独自予算の企画を作って上に上げていくということもできていないのではないか。人も増やし、あるいは力量も付けていくということを消費者庁はもっともっと手を伸ばして働き掛けていく必要があるのではないかと思います。これは意見として申し上げておきます。

細かいところになりますが、2点申し上げます。1つ目は予算の関係で、今年度からの強化交付金、国の重点施策に関連する自治体の取組に対して強化交付金を措置する。これが自治体の職員、相談員からすると、特にスタート当初のものからメニューの項目がなかなかフィットしない。もちろん使えるものもあるけれども、十分使えない、メニューがフィットしないという声を多数聞きました。もっと現場の声を含めてそれを押し上げていくというところで、強化交付金の使い勝手の良さを検討していただきたいと思いますが、その辺りはどのようになさっている、あるいは今後どうされようとしているのかという点が一点です。

もう一つは、冒頭に出た相談員の話に関係するのですが、資料の3ページで、国家資格としての消費生活相談員が平成29年で514人、そして、30年度は967人と増えておりますが、トータルの相談員の数というのが、むしろ30年ではほとんど横ばいである。そうすると、現職の相談員が取っている程度で、この資格が新しい希望者を増やすてこになっていないのではないかと感じざるを得ません。

元々この制度を作ったときには、特に地方において相談員有資格者が十分いない。そのために相談員が確保できない実情がある。それまでの3つの民間資格を国家資格に押し上げることによって、社会的な存在感、ステータスを高めて、希望者を全国的に増やしていくのだという議論をしたはずなのですが、この960人というのは、都道府県別に言うと都市部が多いのか、地方が多いのか。その都道府県別の人数の状況というのはどういうことなのでしょうか。都市部に集中し地方では余り増えていないとすると、それに向けたもっと積極的な働き掛け、例えば研修機会を作るとか、そういうことが必要になってくるのではないかと思うのですが、そういう地域別の数字という集計はあるのでしょうか。もしあれば、それも含めてお伺いしたいと思います。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 御質問ありがとうございます。

まずいただいた質問のところから、強化交付金のメニューの使い勝手のところでございます。正に消費者問題が起こるところは地域の現場であります。ですので、現場で当たっていらっしゃる皆様からどのような形の強化事業として、こういう取組、こういう枠組みがあるから重要だねというのは、我々も各地で開催しているブロック会議で是非お知恵をくださいという形で各ブロックのセンター所長、あるいは消費者行政部局の皆さんに逆にお願いをしておって、ブロック会議に限らずこういうのを提案してはどうですかというのはいつでも言ってくださいねという形で、我々はお願いをしておるところでございます。

先生がおっしゃるように、できるだけ地域の現場の皆様の声を聞きながら、より強化事業がその趣旨に合うように、この趣旨というのは、強化事業自体が国として重要な消費者政策のものに出すという形で予算要求をしているというところがあります。その制度の趣旨から見て、こういうメニューがあると良いよねという形で入ってくると、我々としてもこの制度を作って運用している立場から言うと、その目的に合うようになっていくのかなと思っております。引き続き、地方公共団体からこういうメニューがあったら良いねというのは、意見交換をさせていただければと思っております。

もう一つ、消費生活相談員のところでございます。確かに国家資格、これはいわゆる登録機関によって、国に登録いただいた機関が出した資格という形で、そういう人たちが増えることによって地方でも取りやすくなるのではないかという御議論があったという御指摘がありましたけれども、現状、今年度も各地のブロック会議、ブロック会議というのは消費者庁で幾つかのブロックのところでセンター長、あるいは消費者行政部局と意見交換をするのですけれども、その場でも、なかなか消費生活相談員が募集をかけても採用が大変になってきているのですというお声は幾つかの地域から聞いております。

なので、まだまだこの制度でどういうことができるか。特に私もブロック会議で聞いたときに、消費生活センターの認知度が、こういうところだよというところがなかなかまだ知られていない。これは正に消費者庁がやるべき仕事なのではないかと。要するに、消費生活センターの役割をPRするというのも重要な仕事なのではないかという御意見もいただいております。そういう辺りも踏まえながら、まずは消費者庁でできることとしては、消費生活センターあるいは消費生活相談員の役割、こういう重要な役割を担っているということを広く消費者問題に関心がない方々も含めてPRしていくのが大事かなと思っております。

これに関連して私が飛ばしてしまったのは、先ほど先生から、なかなか地方で専任、兼任の人が育っていなくて、それが少ないがゆえに新しい企画ができないという御意見をいただきました。実は我々も消費者庁で、今年度消費者行政、消費者政策全般について、やはり消費者行政を担当している専門性も高めていく必要があるなということで、専門人材という形で、それは自治体だけではなくて、企業でも例えば消費者志向経営をなさっていらっしゃる方々も含めてどうやって専門性を身に付けるかというのは我々も議論を始めたところであります。すぐに答えは出ないと思いますけれども、そういう問題意識の下で、是非地方の消費者行政などの充実のためにも、まず消費者行政部局の方々がどうやると専門性が持てるかという辺りも、今日先生から問題意識をいただけたので、しっかりと我々も議論していきたいと思っています。

その上で、最後のところでもし出れば。

○消費者庁消費者教育・地方協力課担当者 もう一つ、新資格を取られている方々というのが、都道府県や市町村にばらつきがあるのではないかという御指摘かと思うのですけれども、我々が集計している中では、その新資格をどの自治体が取っているというような形での集計値というものはありませんので、お調べをすれば実は出てくるとは思いますけれども、今、なかなかそういう視点で我々としては集計していないということです。

○池本委員長代理 一番最後の点で申し上げますと、私も客観的な数字を持っているわけでは全くありませんが、幾つかの行った先などで聞いてみても、地方では相変わらず募集しても資格者がいないということは変わりません。これは3資格の当時もそうだし、今もそうだし、逆に現職相談員に資格を取りなさいというので、水準が上がって余計取りにくくなったということまで聞いているのです。だから、地方における受験希望者に対する研修機会というのですか、それをよほど本腰を入れてやっていかないと、ますます地方と都市部での格差が広がるおそれがありますので、是非お願いしたいと思います。

○高委員長 先ほど若干御紹介されて、結局はっきりはおっしゃらなかったのですけれども、消費者行政全般に関連して専門性を備えた方を育成していくというのでしょうか。そういう話は実際に進み始めているのでしょうか。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 当課が事務局を務めております消費者政策推進のための専門人材育成・確保のための懇談会というものを設けて開始をしております。そこにおいては、特に我々の問題意識としては、これだけある意味で財政的に制約もある中で、消費生活に当たっている地方公共団体の職員の専門性を高めていく必要があるのではないか。要は、これだけ消費者問題の領域が増えている中で、従来の消費者相談とかあっせんだけにとどまらず、どんどん新しい分野が増えてきている中で、それに対応するための人材をどう確保していく必要があるかという議論を始めたところでございます。10月に第1回目で有識者の先生に集まっていただいて、御議論が始まったところでございます。こうあるべきだというところまでは何回か議論をしながら、我々としてもどういうことが考えられるかなというのを勉強していきたいなと思っておるところでございます。我々としてはそういった勉強会を設けているというところでございます。

○高委員長 分かりました。

増田委員、どうぞ。

○増田委員 相談員の資格についてお伝えしたいのですけれども、私どもの団体としては、資格制度の検討会の時には、社会的評価あるいは認知度の面で賛成すべきだということで賛成し、かつ会員にも取るようにと叱咤激励しまして、かなりの者が取得いたしました。そういうところで、現状、どう変わったかという調査をしたのですけれども、結局処遇改善はもちろんない、地位の向上はない、社会的評価は低い、認知度は低い、職場の中での評価が低いという声が上がっているわけなのです。

結果的に資格取得して取って良かったというようにしないとモチベーションも下がりますし、新しい方が入ってきません。また、社会的評価はもちろん、そこの行政の中での評価がすごく重要だと思うのです。そこを知らしめていっていただくためには消費者庁の支援がなくてはならないと思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 ありがとうございます。

資格も含めて、消費生活相談員の処遇改善については、我々もまず再来年度から会計年度任用職員という制度が始まっても、専門性を加味した上で是非自治体で制度をよく理解した上で、会計年度任用職員は再来年度以降、位置付けられるわけですけれども、別にそれは単年度で雇用を止める必要は全くないわけで、専門性を加味した上で、透明なルールの下で翌年度採用で全く問題ないですよという形で、我々も通知を自治体に発出させていただいております。

また、来年度の指定消費生活相談員に当たっては、地方自治の原則があるので、なかなかこうすべしとは言えないのですけれども、専門性を加味して処遇改善に努めていただきたいという形でQ&Aも作って自治体にお願いしておるところでございます。

○高委員長 樋口委員、どうぞ。

○樋口委員 資格制度に関連して若干申し上げたいのですけれども、今、懇談会もあるということで、これから先の方向性が示されると思うのですが、特に60歳を過ぎたシニアの方々の働き方の問題が今大きな社会問題になってきているわけでありまして、一方、政府においては、70歳、あるいはそれ以上の年齢の方についても、年金制度の関係もあるのだとは思いますが、雇用の問題が議論されているわけであります。

他方、企業の方に聞いてみると、資格は取ったけれども、60歳から先は働き口がないという話も結構聞かれるわけですね。資格をもう更新しませんとか使いませんという方も多いわけなので、是非大きな流れとして、例えば企業で活躍されている方が資格を取って、そして、また違う職種で今までの経験を生かすとか、そういう大きな流れを作っていただくことは非常に大事ではないかなと思っています。

特に予算の話は地方自治体においては非常に深刻な状況があると思うのです。ですから、一方的に予算を増やすことは急には実現しないと思いますので、むしろ自治体がそういうシニアの活用とか、そういった分野で少し工夫をすれば人員を実質的に増やせる可能性はあると思います。それに伴って予算も工夫していただくとか、何か効率的にやっていかないと、単純に定員を増やしますとか単純に資格を持った方をたくさん増やすというのは急には実現しないので、是非別のいろいろな政策とも連動させながら方針を考えていただけると良いのではないかと思います。これは意見ですが。

○高委員長 大森委員、どうぞ。

○大森委員 専任の職員が不在で政策的な判断ができないというお話がありましたけれども、私もいろいろな消費生活センターと連携しておりまして、以前はずっと異動しない職員の方がいて、割といろいろな話ができたところが、今はそういう方がいらっしゃらずに、センター長もいろいろな課の方が回ってこられるのです。市によっては定年前の1から2カ月とりあえずいてくださいみたいな感じのところもあれば、消費者教育推進と言われているから、元教職関係の人とかとやるのですけれども、全体像が見えなくて、今までの動きが停滞したりとか、新しい動きが切り込めなかったりして、なかなか私たちの提案も通らないし、考えとくわみたいな感じで、理解のある人にめぐり会えないと連携・推進というのが滞るのです。

先ほど国家資格を取った相談員が資格商法のようになって、資格を取りながらなかなか活躍の場がないというお話なのですけれども、ベテラン相談員の方は本当にいろいろなことをよく御存じなので、私たちNPOからすれば、ベテラン相談員がセンター長になっていただくと、すごく良い形で消費者教育が推進できるのではないかと思っております。

地方の政策に対して消費者庁が意見を言うことはできないとか、いろいろおっしゃるとは思うのですけれども、そういう意見があるということで、できるところから動いていただけたらと思います。

○高委員長 御提案ということですね。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 センター所長は、自治体によってはそれこそ消費者協会に委託しているところもあったりとか、必ずしも人事ローテーションで行政マンがやるところだけではないかと思います。その地域の特性に応じて一番良い形で消費者行政が充実していけば良いのかなということで、回答は御容赦いただければと思います。

○高委員長 蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 樋口先生がおっしゃったシニアの活用なのですけれども、今、経産省がすごく進めていますね。

夫源病というのを御存じですか。夫が原因の病気で夫源病というのですが、奥様が病院に来て、どうも具合が悪いと。何を調べても何も悪くない。よくよく聞くと、旦那が定年でずっと家にいる。それを夫源病というらしいのです。

旦那も大きな企業で働いたりとか、サラリーマン生活が長くて仕事に対するプライドがあって、なかなかいろいろなところにつこうという感じではない。ただ、知識はすごくある。その方々はどこに行けばいらっしゃるかというと、図書館に行けば全ていらっしゃいます。とにかくお小遣いをあげるから一日いなくなってくれると言われて図書館に列をなしていらっしゃるというのを現実に私は見てまいりました。本当にきれいな方ばかりです。きちんとした方ばかりなのですね。お聞きすると専門性の高い方々ばかりです。それから、お話もとてもきちんとなさっていらっしゃる。そういう方々に消費者相談という切り口ではなくても、いろいろな問題のコンサルをやってもらいたいのだけれどもというところで資格を取ってもらえるのであれば、各地にいらっしゃると思うのです。

ですから、ただ今までのやり方の消費者相談ではなくて、履歴も非常に知識もあって、人生暦もあって、自分もいろいろな痛い目に遭ったことのある方々にもう一度返り咲いていただいて、それこそ若者の成年年齢が下がってきて、今からどんどん問題も大きくなってきて、相談したいことがいっぱい出てくる。そういう方々を育成していくというのを経産省と一緒になって是非やっていただければ、人手不足は解消できるような気がします。

ですから、樋口先生の応援として一言言わせていただきました。

○高委員長 ありがとうございました。

他、いかがでしょうか。

長田委員、どうぞ。

○長田委員 最初の話に戻してしまうのですが、消費者行政予算の自主財源のところで、何度も伺っている消費者庁を挙げて自治体のトップに働き掛けていくというお話で、どういう成果が上がっているのかを教えていただきたいです。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 ありがとうございます。

自治体のトップの方々は、普段消費者行政の情報は上がってこないことが少なからぬことが多いと思います。それを当庁の大臣クラスも含めて会いに行くと、少なくともそういう情報は上がってきて、それに基づいてこういうことをやっているのだなというのは、それこそ知事、副知事、部長クラスになってくると、そのときに改めてその重要性を感じていただくことは、私も意見交換などに同席させていただくとあるかなと思っています。それを踏まえてどう判断されるかは自治体のそれぞれの財政事情もあると思いますけれども、少なくとも消費者行政がこうなっているということを知っていただくには大変良い機会だと思っております。

既に我々も、それこそ半分を超えるような自治体、具体的には31都道府県にこれまで知事、副知事等に働き掛けをしておるわけですけれども、そういう機会でやることによって、それですぐに変わったというのはなかなか出てこないかもしれませんけれども、他方でこういう働き掛けを続けることによって、消費者行政が今こうなっているという形でトップの中に入っていくというのはとても重要だと思っています。

○長田委員 地方消費者行政の予算の問題も含めて、非常に逼迫しているし、人員のことも含めて、そんな中長期にいずれ花が咲くだろうというような話で間に合うものではないのではないかと思っております。31自治体とおっしゃいましたか、そこで具体的にどういう成果が上がるのかというのを、もしそれが今すぐに上がらないのであれば、また別の道を考えていかないと間に合わない。本当になくなってしまったらどうしようもなくなってしまうとみんな危機感を持っているから地方消費者行政の予算のことをいろいろ言っているわけで、きちんと数字で見せていただきたいし、結果は出していただくべきだと思います。

○高委員長 今回、今日御説明いただいた内容というのは、データの説明であって、これに基づいてどういう方向に進むという政策のところまでは、まだ考えておられないということかと思いますが。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 直接のお答えになっているかどうか分からないのですけれども、今、我々が大事だなと思っているのは、役割分担だと思っています。例えば、これまでは消費者行政は大事ですね、啓発大事ですねといったときに、全ての市町村レベルのところで啓発グッズを作ったりとか、そういうものが望まれているかどうかも、もう一度議論する必要があると思っています。

要するに、消費者庁としてやるべきこと、都道府県レベルでやるべきこと、また、小さな市町村レベルでどこまでやるべきかを議論しないと、ただ単に額が上がることが目標ですという形になります。成果は金額だけで計るのではなくて、それぞれの役割において何をするかをもう一度我々として考えなくてはいけない。そういう時期に来ていると私は考えています。

○長田委員 確認ですが、消費者行政予算の成果は、グッズや何かのことで評価をするとおっしゃっているようにも聞こえたのです。ごめんなさい、誤解なのか分からないのですが、なぜそこでグッズの話が出てくるのか全く分かりません。

○消費者庁消費者教育・地方協力課担当者 正に予算という話も一つ充実度を測る指標だとは思っております。一方で、今年度はかなり全体額として下がっているということではありますけれども、相談員の数は微増ではありますという状況であったり、そういう意味では、相談体制というのは最低限、今年度の額でも規模としては維持はある程度はされているということだと思っています。

ただ一方で、今なぜ啓発の話をしたかというと、恐らく啓発というような部分でやや額が下がっているというような事実もあるのだと思います。ただ、そこはお金だけの評価というだけではなくて、そもそもどういう啓発が必要であるかとか、どういうやり方をしたら効率的であるかということもセットで考えていかなければならないと思っているので、お金面での評価、それから、実績面での評価を合わせて考えていかなければならないのかなと思っているところでございます。

○高委員長 どうぞ。

○蟹瀬委員 予算を取ってくるのがお仕事だと思うのです。皆さんが幾ら欲しいということは言えないかもしれないのですけれども、平均して100万件ぐらいの相談があり、微増したり、増減はありますが、例えば前年度と比較したら5万件増えています、そうすると、100万件の5万件ですから、5%アップしているわけですから、少なくとも5%ぐらいは自主財源ではなくて国から出てくるお金がアップしなければいけないと。

単純にこういうことは言えないかもしれないけれども、それだけの件数をさばいていかなければいけないというものに対して、では、出版したものだけで良いのではないかとか、人の数だけで判断したらということではないところがあるような気がするのです。それは国全体が、本当に消費者行政というのは大事だと思っているかという立ち位置もあって、だんだん減ってきているというのは、逆に言うと、問題がどんどん増えているのに何で減っているのだというのもあるかもしれない。

なので、どうやって取ってくるのだということをここでは明言はできないと思いますけれども、いつもその辺りのところは考えないといけないのではないかなと皆さんの苦労を見ながら私は思っておりますので、意見を言わせていただきました。

○高委員長 大森委員、どうぞ。

○大森委員 消費者庁ができたときは、小さく産んで大きく育てるとお聞きしたのです。お金をどんどん入れていかないと、小さくなってしぼんでしまうという危機感を非常に持っています。

やはり消費者庁を大きくして、国民がみんな意見を言えて、みんなで消費者市民社会を作るには、消費者庁に強くなってもらわないといけないので、与えられた予算の中で効率的にとか、すみ分けてではなくて、もっと頑張って予算を取ってきてください。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 済みません。一言だけ。消費者庁も頑張っています。だけれども、自治体の人にも我々は頑張ってほしいのです。消費者庁は頑張れ、だけれども、自治体は財政は厳しいねと。そんなことはないです。国もすごく厳しいです。自治体の行政事務職員予算は消費者庁の交付金が使えないお金です。池本先生がおっしゃったように10年で横ばいだったのです。

地方消費者行政というのは自治事務です。我々は国としてやるべきことはやっていきたいと思っています。他方で、もちろんデータで全てが語れるわけではないと思いますが、この10年の結果を見ていると、消費者庁に言えば何とかなるということをやっていては、なかなか地方自治体自らの力が付いていかない。

我々もどんどん国から手が離れるとは思っていないです。ですから、我々も一生懸命予算説明をしているわけです。その中で、ただ、自治体の方も自分のところの財政当局に言うのが辛いから消費者庁に言うというのでは、消費者行政が一国全体で高まっていかないというのは事実だと思います。その辺りも消費者委員会から消費者庁だけではなくて、それこそ各自治体に対するメッセージを是非出していただければと思っております。

○高委員長 ありがとうございました。

よろしいですか。

いろいろな意見が出まして、これはお互いに悩んでいるところ、どうやってこれを解決していくかということだと思います。まだ公式ではないのですけれども、委員の間では、地方消費者行政についてそれなりの方向を具体的に議論していこうではないかという流れになってきておりますので、今日は、皆、自由にいろいろな意見を言わせていただいたと思っています。

今日お願いしたことは、現況調査の結果を報告していただいたので、政策についてどうこうという議論をすべき場ではなかったのですけれども、この調査そのものについては、非常に分かりやすくまとめていただいて、全体像が見えた、しかも、流れが見えたと感じております。要因分析もそれなりにやっていただいたと思っておりますが、委員の方々からいろいろありましたとおり、自主財源、若干増え始めているけれども、果たしてこれが増える方向にいくのかというと不安もあります。

それから、基準財政需要額でしたか。その数字についても認識している自治体はほとんどないような状況で、これはなかなかこちら側から一方的に言えないという事情もよく分かりますけれども、何かうまい工夫はないものかと感じました。自分たちは幾らぐらいそこに予算を充てるべきなのかを理解してもらえるような取組もしていただければと思います。もちろん消費者庁に言うのではなくて自治体に直接言うべきということであれば、そうかもしれませんけれども、仕組みから言えば、それは消費者庁から言っていただくほうがよろしいかと思います。

その他、いろいろありますけれども、こういう報告をいただいたわけですから、現状の要因分析だけではなく、中長期的な分析も、消費者庁としてやっていただければと思います。

それから、一つ気になったのが、専門人材育成懇談会ですか。始まったばかりということですけれども、ここの動き、どういう議論がされているのかとか、ある程度形ができたところで、例えばシニアの方の活躍とか活用が一体どのようになっていくのかとか、相談員の方の処遇をどうするのかとか、そうした議論があれば、またここで御報告をいただければと思います。

長時間に渡りまして審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。非常に重要なテーマでございますので、また必要に応じてヒアリングなどをお願いするかと思いますので、御協力をよろしくお願いいたします。

以上でこの議題は終了させていただきます。

消費者庁におかれましては、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

(消費者庁退席)


≪6.閉会≫

○高委員長 先ほど新開発食品調査部会の報告は長田委員からやっていただきましたので、本日は以上でございます。

参事官からございましたら、お願いします。

○坂田参事官 次回の本会議につきましては、日程が決まり次第、委員会ホームページにおいてお知らせをいたします。

以上でございます。

○高委員長 それでは、これにて本会議を閉会とさせていただきます。

お忙しいところを御参集いただきまして、ありがとうございました。

(以上)