第285回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2018年9月12日(水)14:30~16:05

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    高委員長、池本委員長代理、受田委員、大森委員、鹿野委員、蟹瀬委員、長田委員、樋口委員、山本委員
    (高委員長の「高」は、正しくは「はしごだか」)
  • 【説明者】
    厚生労働省尾崎老健局振興課長、厚生労働省武井老健局高齢者支援課長
    厚生労働省北波医政局総務課長、消費者庁澤野消費者政策課企画調整官
  • 【事務局】
    二之宮事務局長、坂田参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 身元保証等高齢者サポート事業に関する消費者問題についての建議にかかるフォローアップについて
  3. 次期消費者基本計画策定に向けた基本的な考え方についての意見について
  4. その他
  5. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○高委員長 それでは、定刻になりましたので、「消費者委員会第285回本会議」を開催させていただきます。

本日は、増田委員が御欠席です。山本委員は若干遅れての出席ということでございます。

それでは、最初に、配付資料の確認をお願いいたします。

○坂田参事官 それでは、議事次第に配付資料を記載しておりますが、もし不足等がございましたら、事務局までお申し出いただきますようお願いいたします。

よろしゅうございますでしょうか。


≪2.身元保証等高齢者サポート事業に関する消費者問題についての建議にかかるフォローアップについて≫

○高委員長 それでは、本日の最初の議題は「身元保証等高齢者サポート事業に関する消費者問題についての建議にかかるフォローアップについて」でございます。

当委員会では、昨年1月に当該事業に関する実態の把握及びそれを踏まえた必要な措置の実施、高齢者が安心して病院・福祉施設等に入院・入所できるための取組、並びに消費者への情報提供について対応を求めた「身元保証等高齢者サポート事業に関する消費者問題についての建議」を取りまとめ、消費者担当大臣、厚生労働大臣及び国土交通大臣に発出いたしました。

そして、昨年8月にはこの建議への対応について、3省庁からその実施状況の報告をいただいたところでございます。

その際、厚生労働省においては、実態調査を実施し、その結果を踏まえて、必要な措置について、改めて検討を行うとの御報告もいただいたところでございます。

また、消費者庁からは、厚生労働省により行われる実態把握の結果がまとまった段階で、情報提供の実施を含む必要な措置について改めて検討するとの御報告もいただきました。

今般、厚生労働省が実施した、3つの実態調査が公表されました。

本日は、その実態調査の結果と、その結果を踏まえた必要な措置の検討状況や実施状況について、厚生労働省より御説明いただき、意見交換を行いたく思います。

本日は厚生労働省から、尾崎老健局振興課長、武井老健局高齢者支援課長、北波医政局総務課長、また、消費者庁からは、澤野企画調整官にお越しいただいております。

厚生労働省、消費者庁におかれましては、お忙しいところ御出席いただきまして、ありがとうございます。

それでは、恐縮でございますけれども、20分程度でまず御説明をお願いいたします。

○厚生労働省尾崎老健局振興課長 厚生労働省でございます。

先ほど、委員長からお話がございましたとおり、昨年1月31日に消費者委員会から「身元保証等高齢者サポート事業に関する消費者問題についての建議」をいただきました。その建議を踏まえて、様々な調査を行い、その結果を踏まえた対応を採っているところでございます。本日は、その対応の状況等々につきまして、御説明をさせていただければと思います。

資料1-1という横置きの資料を御覧になっていただければと思います。

1枚おめくりいただきますと、2ページに建議で指摘されている事項が書かれてございます。建議は大きく3点ございまして、厚生労働省関係では建議1の(2)で、厚生労働省は、身元保証等高齢者サポート事業の実態把握を行うことという御指摘をいただいてございます。

また、建議1の(3)で、厚生労働省はその結果を踏まえて、消費者が安心して身元保証等高齢者サポートサービスを利用できるよう、必要な措置を講ずることという御指摘をいただいてございます。

また、建議事項2に関しましては、病院や福祉施設に入院・入所する場合に関連する建議でございます。

(1)につきましては、病院・介護保険施設の入院・入所に際して、身元保証人等がいないことが入院・入所を拒否する正当な理由に該当しないということをしっかりと周知してほしいということが1点。さらに、病院や介護保険施設が身元保証人等のいないことのみを理由に、入院・入所を拒むことのないように措置を講ずることと言われてございます。

また、2の(2)でございますが、病院や福祉施設が身元保証人に求める役割の実態を把握すること。その上で、求められる役割の必要性、その役割に対応することが可能な既存の制度やサービスについて、必要に応じて、病院や福祉施設等、そして都道府県等に示すことと言われてございます。

建議の3つ目でございますが、厚生労働省は、消費者が安心して身元保証等高齢者サポートサービスを利用できるよう、サービスを選択するに当たりまして有用と思われる情報提供を積極的に行う。このような建議をいただいてございます。

この建議を踏まえて、対応させていただいているところでございます。

まず、1点目の建議でございます。資料の3ページでございます。建議事項1の(2)でございまして、厚生労働省は、身元保証等高齢者サポート事業の実態把握を行うことということでございます。

この建議に係る対応状況でございますが、昨年度、関連の調査事業を実施いたしまして、昨年度末に報告書を取りまとめてございます。

資料の4ページが、その調査研究の簡単な概要になってございます。今回の調査研究では、資料4の一番下に箱囲みがございますが、有識者の方々に集まっていただいて、いろいろ御議論いただいてございます。メンバーを見ていただければ分かりますように、弁護士の方や社会福祉協議会の方、ケアマネジャーの方、学者の先生、日本消費者協会の方といった方々に話し合っていただいてございます。

まず、実態を把握するということでございますので、その実態がどうであったかというのが資料の5ページでございます。この調査では、消費者委員会から御提出いただきました74の事業所に加えまして、インターネット等で検索をして、約90の事業所に対してアンケート等を実施してございます。そのアンケートに御回答いただけた業者について分析を行っているということでございます。

左上でございますが、事業開始年度別の累積事業者数でございます。1990年代、1社しかなかった事業者が、2000年代に入りまして3社増えて、合計で4社です。そして2010年代に入ってから20社以上増えている。近年、急に増えてきていることが見て取れると思います。

また、右上の図表2でございますが、契約者の人数ごとの事業者数になってございます。契約者が1,000人以上いるところは2つの事業者のみ、500から999人も2事業者のみになってございます。

そして、一番右側が、契約者数が100人に満たないところが20社ということですので、比較的小さな事業者が多いということが見て取れると思います。新しい事業所、小さな事業所が多いということでございます。

どのような相談が寄せられているかということが、下の表になってございます。高齢者の方や家族の方が、契約をする前の段階や契約を検討している段階、契約を締結した後、更には解約した後にどういう相談を寄せていたかを一覧表にまとめてございます。

まず、契約をする前の段階では、相談の内容といたしましては、事業者が信頼できるのかどうかという御照会、事業者を紹介してほしいといった相談が多くなってございます。

また、契約を具体的に検討している段階では、御自身が契約をしようとしている事業者が信頼できるものなのかどうかといった御相談が多くなってございます。

3段目になりますが、契約を締結した後について見ますと、事業者に対する不満や不信感、更には解約の意向といった御相談が増えてございます。

さらに、解約した後は、不満や不信感、更には返金の意向といったものについて相談が増えているといった実態になってございます。こちらが現状ということでございます。

その次のページでございます。建議1の(3)でございますが、このような結果を踏まえて、消費者が安心して身元保証等高齢者サポートサービスを利用できるよう必要な措置を講ずることということでございます。

次の7ページの上の段に、今の結果を踏まえた指摘事項が書かれてございます。これは調査検討委員会で指摘があった事項です。1から4までございまして、1つ目は、主に独居の高齢者につきましては、身元保証人や死後事務に関する手当てを求めているということはございますが、事業者の信頼性や価格の妥当性に関する判断基準がなくて、不安を残しているというのが1点目です。

2点目については、身元保証人が求められる際に、十分に判断する時間がないということもあり得るだろうと。

3点目は、小規模な事業所が多いので、事業所を信頼して良いかどうか判断に悩むということとか、サービスの内容や事業者の情報が少ないということを指摘として受けてございます。

4点目は、契約内容が少し分かりにくいということで、本人の緊急時にサービスが受けられないような実態もあるようでございます。そういった御指摘を受けてございます。

こういった指摘を受けて、調査研究の中で対応方策として示されているのが7ページの下の箱でございまして、消費者からの相談データの分析をすると、身元保証等高齢者サポートがどのようなものであって、その事業者を信頼して良いのか。どのような点に着目して、サービス内容や事業者を選択すれば良いのか。相談をするならば、どこに相談したら良いのか分からずに不安だという意識があるのではないかということでございまして、それを踏まえて、こういった不安に対して、本人や家族がこの事業を理解して、納得いくような判断ができるように、まずはこの事業そのものについての説明と、事業者やサービスを検討する際のポイントを分かりやすく示した普及啓発用の資料を作って配付することが有効なのではないかという御指摘を受けてございます。

このような御指摘を踏まえて、厚生労働省として通知を発出してございます。

内容といたしましては、8ページからが発出した内容、特に身元保証等高齢者サポートサービスがどういうものなのか。どういう点に気を付けて契約をすることが必要なのか。相談をしたい場合にどこに相談すべきか。そういったものをまとめたパンフレットを作って、各自治体に周知をしているところでございます。

8ページの右側は、そもそも高齢者サポートサービスとはどういうものなのかをまとめたものでございます。大きく言うと3点ほど、マル1、マル2、マル3とございますが、日常生活支援サービスということで、緊急時の親族への連絡、買物の手伝いといった日常生活を支援するサービスがあります。

2点目は、身元保証サービスということで、医療機関や介護施設に入る際の費用の支払を保証するなど、病院や施設に入りたいときの保証をするサービスがあるというのが2点目です。

3点目は、亡くなられた後のサービスでございますが、遺体の確認、引取り、住んでいた部屋の原状回復といった死後の事後サービスがある。

サービスとしてはこういうものがありますよということをまず示してございます。

9ページの左側でございますが、身元保証や死後事務について、まずは基礎的な知識を持ってもらおうということが左側の内容になってございます。

まず、身元保証に関しては、シカクが3つございますが、一番下、基本的には身元保証人がいなくても、入院や介護施設へ入居はできますよということを書かせていただいています。

また、死後事務に関する基礎知識につきましても、2つシカクがございますが、下のシカクでございます。こういった事業者以外にも、地域によっては自治体や社会福祉協議会といったところが同様のサービスを提供している場合もあります。

いずれにしても、左の一番下でございますが、悩み事を抱えて、誰に相談して良いか分からない場合には、すぐに契約をするのではなくて、本当にそのサービスが必要かどうか、まずは高齢者の総合相談を担当する地域包括支援センターに相談をしましょうということを示してございます。

その隣、9ページの右側からが、高齢者サポートサービスを利用する際の手続や注意しなければいけない点をまとめたものになります。9ページの右側は、契約の手続の流れを書いてございます。まずは事業者やサービス内容の検討を行って、契約の手続をして、サービスを利用して、そして契約が終了する。その際に、トラブルや悩み事になりそうなことをそれぞれ右側に書いてございまして、サービスや事業者の検討をする際には、どこに相談したら良いか分からないということがもしかしたら悩みとして出てきますねと。また、契約の手続の際には、サービスごとの料金の違いや体系、総額といったものが分からずに迷うこともあるのではないでしょうか。あと、サービスの利用の際についても、実際に使おうと思ったら、思ったようなサービスではないと不満を感じることもあるかもしれません。こういった代表的な悩みになりそうなことを書かせていただいてございます。

それを踏まえて、10ページでございますが、実際にサービスを利用する場合には、以下に御説明する点をきちんとよく確認した上で利用してくださいということを書かせていただいています。

10ページの左側にマル1からマル4までございますが、まず、要望を整理しましょうということで、御自身が実際に何をしてほしいのかをまず明確にしたほうがよろしいですねということを書かせていただいてございます。

2点目で、実際にサービスを使うときに、どれぐらいお金が掛かるのかということを計算して、それが自分がちゃんと支払ができる範囲なのかどうかも考えたほうが良いでしょうというのがマル2の内容でございます。

マル3についても、サービスの内容をしっかり確認しましょうということで、自分がしてほしいことや期待することを明確に事業者に伝えて、できるかできないかを確認しましょうということとか、納得した上で書面に残してもらったほうが良いですねとか、あとは契約の内容を変えることができる場合もありますので、積極的に希望したほうがよろしいですよといったことを書かせていただいています。

4点目、今後のことへの備えということでございますが、契約した御自身が、認知能力などが衰えるときがあると思いますが、その際にも適切なサポートが受けられるように、誰と何の契約をしているのかを書面に残して、緊急連絡先等とともに分かりやすいところに保管しておくことがよろしいでしょうとか、あとは内容を変更したり解約する場合の手続を文書で説明してもらって確認してもらいましょうということを呼び掛けるようなパンフレットになってございます。

10ページの右側や11ページの左側は、それぞれのチェックポイントです。少し具体的な相談事例も示した上で、読まれた方が分かりやすいようにという配慮をしているところでございます。

11ページにつきましては、御相談先について、保証人を求められて困ったとか、そういったことがあった際には、自分だけで抱え込まずに、そこに記載されています地域包括支援センターや消費生活センターといったところに御相談をしてくださいといった内容をパンフレットにしたものを作りまして、関係の団体や地方公共団体に通知させていただいたところでございます。

こういったポイント集を活用していただいて、しっかりとした相談が進むことを期待しているという状況でございます。

ここから先は、病院や施設に関する内容になりますので、それぞれ担当課長から御説明をさせていただきたいと思います。

○厚生労働省北波医政局総務課長 引き続きまして、医政局総務課長でございます。

資料の12ページを御覧いただければと思います。

私どもは医療機関を所管しておりますので、医療機関の観点からの対応ということで御説明をさせていただきたいと思います。

建議事項2の(1)でございますが、身元保証人等がいないことが、入院・入所を拒否する正当な理由には該当しないということについて、要するに、入院・入所を拒む等の取扱いを行うことのないよう措置をするという建議をいただいております。

医療機関につきましては、今日も資料1-3でも通知文をお持ちしております。今年の4月27日に、課長通知でございますが、身元保証人等がいないことのみを理由に、医療の必要性があるにも関わらず医療機関への入院を拒むことは、医師法第19条応召義務でございますが、こういうのは正当な事由には該当しないという旨、都道府県への周知を行ったところでございます。

また、その次の建議2の(2)でございますが、病院等が身元保証人等に求める役割等の実態を把握する。その上で、その役割に対応することが可能な既存の制度及びサービスについて、必要に応じて、都道府県等に示すこと、対応する既存の制度やサービスがない場合は、必要な対応策を検討してくださいという建議をいただいております。

これにつきましては、平成29年の厚生労働科学特別研究事業におきまして、調査研究を取りまとめております。次ページ以降で御説明をしたいと思いますが、それを受けた上で、実際にどのような形で身元保証人が得られない場合の患者への対応を行っているかについて好事例を収集した上で、これを活用していくような措置を採りたいと考えているところでございます。

14ページが、平成29年の調査研究事業の概要でございます。まずは実態把握ということですので、アンケート調査を行わせていただきました。全国の医療機関、合計6,102カ所にお送りしまして、回答は1,399ということでございます。有効回答については1,291ということで、あとはヒアリングも含めまして、実態を把握したところでございます。

15ページ以降が実態把握の概要ですが、身元保証人等を求めているのかどうかにつきましては、6割程度の医療機関は求めている。なぜ、身元保証人等を求めているのか。役割について聞きまして、複数回答でございますが、やはり支払関係、そして緊急の連絡先というところが多くございました。

16ページでございます。その際、身元保証人等を得られない場合については入院を認めるのかどうかというところですが、75%が得られなくても入院を認めているということですけれども、8.2%の医療機関につきましては、入院を認めないという回答があったところでございます。

また、身元保証人等が得られない場合の規定や手順書について、定めているのかどうかというところでございますが、基本的にはそのような手順書等はないというところがございました。

今回の29年調査研究のまとめでございます。現状につきましては今、御説明したとおりでございますが、今後の対応ということで、身元保証人等が得られない場合にどのようなプロセスを経て入院に至っているのかについてのヒアリング調査を求められるという結論にしております。

18ページが、30年度の調査研究になります。ここは現在進行形ということでございますが、好事例の調査、事例集の作成を目的として今、進めているところでございます。

19ページが調査対象、調査内容でございますが、基本的には調査内容のところを見ていただきまして、まず、身元保証人等の必要性や理由について、再度調査した上で、課題解決のプロセスはどうなっているのか。それから、実際に利用したあるいは案内したサービスにおける課題は何であるのか。また、医療機関における未収金対策についてもヒアリングをさせていただいた上で、3月には事例集の発出に努めていきたいということにしております。

このようなことで、いわゆる円滑な入院をどうやって確保するのかについて、取組を進めたいと思っております。

引き続きまして、お願いします。

○厚生労働省武井老健局高齢者支援課長 老健局高齢者支援課長でございます。

資料の20ページをお願いいたします。建議事項2のうち、介護施設に関する部分でございます。

20ページは、まず身元保証人等に求める役割などの実態を把握することなどについての御指摘への対応でございます。こちらは介護施設に関しましても、調査研究事業を実施したところでございます。

介護施設への入所時に本人以外の署名を求めている施設は95.9%でございました。その役割といたしましては、本人の責任範囲を超えた場合における滞納リスクの回避、また本人の能力が衰えた場合における身上保護及び財産管理に大別されるということが分かったところでございます。

3つ目のマルでございますけれども、既存制度及びサービスの利用状況でございますが、介護施設単位で見ますと、「身元引受人/身元保証人」などが法人または専門職となっている入所者は「0人」が53.9%、また「1人」が17.4%でございました。

最後のマルでございますけれども、身元保証人等がいないことのみを理由に介護保険施設への入所を拒むことが、法律上認められる正当な理由には該当しないということに関しましては、本年3月の課長会議で周知しましたほか、今回の報告書の内容を踏まえた通知を発出したところでございます。さらに、管内の施設に向けた適切な指導・監督を求めているところでございます。

調査研究の内容につきましては、21ページを御覧いただきまして、(5)の調査方法にございますように、約5,000施設に郵送したところでございます。

22ページをお願いいたします。回答に関しましては、2,300から2,400程度の回答がございました。実際に入所契約時に本人以外の署名を求めている施設の割合でございますけれども、先ほど御紹介いたしました95.9%でございます。

左下でございますけれども、本人以外の署名が得られない場合の取り扱いですが、署名がなくてもそのまま受け入れる、条件つきで受け入れるというところがおよそ半数を占める一方で、本人以外の署名がないままでは入所を受け入れないというところが30%程度あったという実態がございました。

右の棒グラフでございますけれども、こちらは身元保証人等に求める機能・役割でございます。病院と同様に、一番上にございますように滞納の場合の保証、幾つか下がりまして88.4%とあるところが入院する場合の入院手続、下にいっていただきまして90.4%とありますところが亡くなった場合の御遺体の引取り、一番下でございますけれども93.1%とあるところが緊急時の連絡先といった回答が多くなっているところでございます。

23ページ、左上の円グラフは先ほど御紹介いたしました身元保証人等が法人・専門職となっている入所者数でございます。

右側が、身元保証人等を担う法人の組織形態でございまして、法律事務所が半分を超えている状況でございます。

下の棒グラフでございますけれども、こちらは法人・専門職への依頼実績ということでございますが、Aの財産管理に関することが多いという結果が出ております。

24ページは、建議事項3、消費者が安心して身元保証等高齢者サポートサービスを利用できるよう、サービスを選択するに当たり有用と思われる情報提供を積極的に行うことという御指摘でございます。

こちらに関しましては、消費者が安心して身元保証等高齢者サポートサービスを利用できるよう、今回発出した通知などを用いまして、情報提供を行ってまいりたいと考えております。

資料の説明は以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

ただいま説明いただきました内容に関しまして、意見、質問がございましたら、どうぞ御発言ください。

大森委員、どうぞ。

○大森委員 ありがとうございます。

契約の分かりにくさに関しては、いろいろ手当てをしていただけたと思うのですけれども、前にも倒産して、一時金で預けたお金が保全されなかったという問題があった。あと、本人としては一番しっかりしている、判断力のある時期に契約を交わしますけれども、だんだん判断力が低下したときに、サービス内容が実際きちんと行われるかどうか。亡くなった後のことなどは、本人は管理できないので、その辺りの実効性の確保とか、その辺りがとても不安材料であったのですけれども、今回のアンケート調査で、例えば一時金の保全措置は実施していますかとか、第三者機関による実効性のチェックは行っていますかとか、ホームページに財務状況は公開していますかとか、そういうアンケート調査はされなかったのでしょうか。

○高委員長 よろしくお願いします。

○厚生労働省尾崎老健局振興課長 厚生労働省振興課長でございます。御質問ありがとうございました。

ただいま御指摘をいただきました預託金の状況等についても、アンケートでは聞いてございます。25の事業所しか回答をいただけておりませんが、そのうち20の事業所は預託金を取っている。その上で、信託等、第三者による保全措置を採っているところは4カ所ですので、全体の2割程度ということでございます。多かったのが、自らの法人や連携している法人で専用の口座を設けて、そこで管理をしているところが20のうちの15ぐらい、全体の75%ぐらいはそういう対応をしているということでございました。

また、第三者による契約の履行状況の確認といった点についてでございますが、きちんとした記録を取っているかどうかといった点を聞いてございます。こちらにつきましても、25のサンプルではございますけれども、記録を残しているというところが20を超えるような状況になってはございます。

財務諸表について公開しているとかまでは、今回の調査では確認をしていない状況でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

よろしいですか。

○大森委員 その結果を受けて、考えていらっしゃることなどはありますか。

○厚生労働省尾崎老健局振興課長 全体の数がかなり少ないので、何とも言えないところではございますが、そういった点もしっかりと確認して、納得して契約いただくことが大事だと思いますので、そういったことも含めて、今回のパンフレットの中で周知をさせていただきたいと思ってございます。

○高委員長 今のところは、契約する側がそういう点に注意をするようにという対応しかしていないということですね。

○厚生労働省尾崎老健局振興課長 今、こちらとしては、業として何かを規制するような話は考えてございませんで、どちらかというと高齢者が安心して使えるようにという観点から、御本人はもちろんそうなのですが、相談機関においてもそういったことをしっかりと見てほしい、相談に乗ってあげてほしいという形で対応させていただきたいと思っています。

○高委員長 ありがとうございました。

長田委員、どうぞ。

○長田委員 今のところなのですけれども、消費者委員会からの建議の理由のところには、安心して利用できるようにのところに、例えば以下の内容が考慮されるべきということで、解約時のルールも含めて契約内容の適正化、費用体系の明確化、モデル契約書の策定等というのが一つ。それから、先ほどお話が出た預託金の保全措置の問題、第三者等が契約の履行を確認する仕組みの構築、利用者からの苦情相談の収集、対応策、活用の仕組みの構築となっています。

今回、御説明いただきましたのは、我々契約する側が自ら判断するのに、いろいろ情報も集めましょうということだと思いますが、もともと建議の理由のところにもありますように、どういう費用体系なのかとか、どういうのが標準的な費用として当然なのかとか、ルールはどうなのかというようなモデル約款みたいなものがどこかにないと、何と比較して良いのかがそれも建議のところにもありますが、ひとり暮らしの高齢者が安心して最期を迎えることができるようにというのは、その時期にそういう判断をするには、そういうものがないというのは非常に難しいと思っています。

厚生労働省が、そこを何か業としてとは考えていらっしゃらないということのように聞こえましたけれども、今回、調査されても25しかお返事がなかったという状況も考えて、もう少し踏み込んだ調査をしていただいて、そういう制度というか、もう一歩踏み込んだ措置を考えていただくことはできないのかなと思います。

○高委員長 いかがでしょうか。

お願いします。

○厚生労働省尾崎老健局振興課長 御指摘いただきました料金体系等についても、今、お調べはさせていただいてございますが、やはり様々でございます。というのは、サービスの内容もそれぞれ様々だということもありまして、一括してお金を預かっているところもあれば、月額で払っているような場合もあれば、例えば医療機関で治療の内容を一緒に聞いてほしいということであれば、その都度払っているといった、サービスに応じてそれぞれの料金体系を各社が作っておりますので、それを一律に何かするというのは、こちらとしてはなかなか難しいところがあるかなと思ってございます。

なので、それぞれの内容が本当に自分に沿ったものなのか、自分の持っている資産からいって、それを使うだけの余力があるのかないのか、使うべきなのかといったことを、消費者や高齢者の方にきちんと理解いただいた上で契約いただくところがまず第一歩ということで、今回のような対応をさせていただいてございます。

いずれにしても、そういった相談をしっかりやってほしいというお願いをしておりますので、その中でいろいろな話が出てくれば、そういったことを頭に置きながら、どういったことができるのかできないのかを次のステップとして考えさせていただければと思います。

○高委員長 ありがとうございました。

蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 今のことに関連してですけれども、たまたまこの建議が上がった後に、私は個人的にいろいろなケアハウスを回らなければいけない状態になりまして、そこで説明を聞きますと、立て板に水のごとくわっと説明されて、現場を見せていただくのですが、チェックシートみたいなものがないのです。つまり、こういうものについて聞いたかなどというときに、例えば預託金に対しての保全はちゃんとされていますかということを聞きましたといって、自分でチェックしていくと、利用側としてとてもよく分かりやすい。クーリングオフはいつまでできますよとか、そういうことは消費者はなかなか分かっていないところがあったりして、今から必要なのは何なのかというと、もちろん事前のパンフレットも必要なのですが、実際に現場でやってみて分かったのですけれども、私たちは夫婦で聞きに行って、帰ってきたときに、理解度が違うのです。何もチェックシートを持っていないので、理解度が違って、それはこう言っていたよと言ったら、こうではないんじゃないというふうにして、私たちのようなまだ健全である人でさえも理解度が違う。

ということは、保険ですと現場にチェックシートみたいなものがあって、確かに聞きましたよね、説明しましたよねというのをチェックしたりするのですが、そうではなくて、こういう新しくできていくサービスに関して、消費者としてこういうことを聞きましたというものを全部チェックしてくださいというのを、業者側がちゃんと共通なものを用意してチェックしていくということが今後必要なのではないかと現場を見ながら感じたので、事前のパンフレットは非常によく分かるのですけれども、もう少し現場に沿った、すぐに使えるものを用意していただけないだろうかというのが私の実感でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

御意見いただけますでしょうか。

自治体側には、先ほど説明いただいたチェックリストのようなものをお配りして、周知されたということですけれども、若干違うかもしれませんが、事業者側にチェックリストのモデルのようなものを提供することは考えられないかということです。

○厚生労働省尾崎老健局振興課長 有料老人ホームについては、預け金を取ったら、必ず保全措置を採らなければいけないというのが昨年の介護保険法の改正の中で入ってございますので、履行していただいているとは思いますが、まずはそういったものを周知していきたいというのが第1点でございます。

更なる対応ということでございますが、昨年、有識者の方にこれをまとめていただきましたので、作っただけではなくて、きちんと周知をさせていただいて、その上で、更なる相談などの状況を見ながら、何ができるのかできないのかというのは考えさせていただきたい。現時点で今以上のことをすぐにできるかどうかというと、少しお時間がないとお答えは難しいかなというのが状況でございます。

○高委員長 ありがとうございます。

どうぞ。

○蟹瀬委員 今のところなのですが、事業者側と消費者側というのがありまして、事業者側にそういうチェックリストを作りなさいと言ったら、そのチェックリストを説明を受けに来た人たちに渡して、これを確かに聞きましたねというチェック項目がないと、実は契約自体が非常に分かりにくいのです。そういったものを、今後、事業者側からきちんと提供していただいて、消費者側がそれを全部チェックして、理解した上で契約に行くという段階が必要なような気がするので、是非その辺りのところを周知していただければ良いなと思っています。

○高委員長 池本委員長代理、お願いします。

○池本委員長代理 池本でございます。

今回の調査報告、特に在宅の支援、生活支援サービスの部分については、100ページ以上の報告書をお作りになっていて、ちょっと拝見しました。その中で、私たちの問題意識と非常に共通性のあるような記述もありました。

例えば、その報告書の60ページに、生活支援サービスについてですが、大規模事業者は経営的に不安定な運営をせざるを得ない状況があるのではないかと考えられる。特に利用者宅に訪問しての生活支援サービスへのニーズが高まる場合、利用者の居住地が離散しているため、利用者の要望に応じると非効率なサービスを続けざるを得ない状況に追い込まれやすい。そのような御指摘がありました。正に、この問題の非常に難しいところを示していると思います。

それについて、61ページでも、生活支援サービスが日常的な自宅への訪問を伴うものである場合、十分な価格設定がしにくいこと。これは特に介護保険との競合があるために、価格設定がなかなか難しいということ。あるいは、それに引き続いて、契約者と個人的な接点を持つにも関わらず、業務マニュアルが不十分な場合は、モラルハザードの危険も高まる。そのようなことから、生活支援サービスの提供対象者数やメニューが拡大するほど、契約者の不満や事業の不安定性につながるリスクが増す、とあります。

つまり、生活支援サービスという個別のニーズに対応しますということを約束して事業展開すれば、規模が大きくなれば不安定な運営とならざるを得ないという非常に構造的な危険があるという指摘がされていて、正しくそうだと思うのです。この点に対しては、どのような対策を検討されたのでしょうか。

○高委員長 お願いできますか。

○厚生労働省尾崎老健局振興課長 直接の御回答にはならないかもしれませんが、我々も、例えば介護保険ならば、介護保険の制度の外のサービスは全て民間でやってほしいということを考えているわけではなくて、昔であれば地縁や血縁の方々がいろいろなお手伝いをしてくれたと思います。そういった地域の力を付けていくことも、一つの解決策になるのではないかと思っています。

そういった観点で、これまで介護保険制度を改正して、そういったボランティアの方々の活動といったものにも一定の公費が出るような形を作ってございます。ですから、住民の方々にも、自治体の方から御説明していただいておりますけれども、民間の事業を使うのがよくないということではないのですが、それぞれの地域にどのような資源があって、どのようなサービスを活用できるのか。そういったものを、地域包括支援センターとよく御相談いただいて、対応いただきたいというのが1点でございます。

また、地域包括支援センターについても、地域での支え合いのサービスを作っていくことをお願いしておりますので、事業が安定しないものを無理に一生懸命やってもらうということではなくて、他の方法をしっかりやっていくということで対応していく方法もあるのではないかと思います。

○高委員長 どうぞ。

○池本委員長代理 検討された課題への対応方策という意味で、今、御説明いただいたところはかみ合っていないような気がするのですが、報告書の91ページに、課題への対応方策案として3つ提起されています。

1番目が、利用者・家族向け啓発資料、サービス事業者検討のポイント集の作成・配付というのがあって、恐らく先ほど報告されたのは、この部分の対策を現に動かしているという御説明があったと思います。

ただ、報告書にはもう二つありまして、2番目は、自治体や社会福祉協議会による先進的な取組の情報の発信というものがあります。

3番目に、事業者による健全な事業運営及び利用者への理解促進の努力という項目があるのです。私はこれについてどういうところが指摘されているかということに注目したのですが、この報告書の中でも、先ほどの分析を踏まえたものと思われる記述としては、事業規模の拡大に伴い、運営が不安定になりがちであることが示唆された。この種の事業は長期に渡る契約を結ぶことから、事業者には健全な事業運営に対する努力が求められるという記述があるのです。努力が求められるということは、何らかの情報提供や要請、働き掛けをするのか。もちろん指導する直接の法的な権限はないにしても、事業者に対する働き掛けは何か検討されているのでしょうか。

○厚生労働省尾崎老健局振興課長 現状だけ申し上げますと、このマニュアルが出たのも先月、8月でございますので、さらなる取組の必要性は今、御指摘をいただいたと思ってございます。厚生労働省としてできることとできないことがあると思いますので、そういった研究の報告書も踏まえて、何ができるかどうかは引き取らせていただければと思います。

○高委員長 ありがとうございました。

他にございますでしょうか。

受田委員、どうぞ。

○受田委員 先ほど議論がありましたけれども、地域包括支援センターとのすみ分けといいますか、サービスを提供する民間事業者との整理が必要なのかなと。そのことが、もともとこの建議の背景にあります身元保証等高齢者サポート事業による消費者被害の防止には、極めて有効かつ優れたガイダンスになっていくのではないかと、先ほどの御説明を拝聴して感じました。

そこを少し掘り下げていきたいと思うのですけれども、説明資料の9ページ「建議事項1(3)必要な措置について ポイント集マル2 」というのがございます。その左側のページに、高齢者サポートサービスを契約する前にということで、身元保証に関する基礎知識と死後事務に関する基礎知識ということで整理して書かれていますけれども、その一番下のところ、結論としては、地域包括支援センターに相談してみることが、消費者の不安に対しては最も有効な解決策であるということが、現状のポイント集マル2が示唆していることではないかと感じました。

特に今、地域包括支援センターは、もともと中学校校区ぐらいの広さにおいて、支え合いの仕組みや地域の様々なサービスが分散しないように、集中的にケアができるという一定の範囲を規定しているものと理解しておりますけれども、そのように考えていくと、その上の説明で地域によってはというフレーズがあるのですが、ここを更に明確に、悉皆的に、民間事業者とその地域における地域包括支援センターの現状との差というかかい離というか、そこを可視化することによって、こういったサービスを受けようとする方にとっては、より明確なガイドになっていくのではないかと感じました。

地域包括支援センターが果たしている役割が地域によって違うということ、あるいは自治体によって温度差があるということに関しては、前提として御認識をされていて、この部分をどのように改善し、ギャップをなくしていこうとしているのかというところが、今後非常に重要になってくるようにも思うのですけれども、その点がいかがかというのが1点です。

もう一つは、先ほどの建議2の(2)の部分で、介護施設についての調査の御報告がございました。23ページの右上に、介護施設等の身元保証等を担う法人の組織形態に関して、n=929のアンケート結果が棒グラフで示されています。

ここは質問なのですけれども、今、問題になっている高齢者に対する身元保証等のサポート事業者というのは、一番上から社協があって、下は営利法人となっておりますけれども、具体的にはこの棒グラフのどこを指すのか。どれが今、この建議において問題になっている消費者被害を惹起している組織と考えたら良いのか。そこの部分について、質問でございます。

○厚生労働省尾崎老健局振興課長 まず、1点目でございます。地域包括支援センターの地域ごとの力の差という御質問だったと思います。

御指摘のとおり、地域包括支援センターは各市町村が設置するものでございますが、少なからずの数が委託で実施されているところでございます。数として7,000ぐらいあったと思います。

地域包括支援センターは、人数が少ない割に非常に多くの業務をやっておりまして、センターによってはあっぷあっぷだということも言われておりますし、取組に違いがあるのではないかという御指摘もいただいてございます。

そのような状況もございますので、今年度から、まずそれぞれの地域包括支援センターの状況を自己評価していただくのと、各市町村も評価をしていただく。そういうことをやっております。

その評価の結果、2つのことが分かると思っておりまして、1つ目は、委託をしている市町村とそれぞれのセンターの認識に差があるのではないか。そこが見えるのではないかということと、調査のデータ、評価のデータは国で集めますので、全国と比べてここのセンターはどうなっているのかというのが見えてくるのではないかと思います。

今、集めている段階でございますので、集まったものを当然フィードバックいたしますので、フィードバックをして、それぞれのセンターの弱いところを自分たちで認識していただいて、それぞれ弱いところを強くする努力をしていただきたいと思っているのが1点目の回答でございます。

○厚生労働省武井老健局高齢者支援課長 2点目でございます。資料の23ページの右上のグラフに関して、この法人形態のうち、今回、テーマになっております身元保証等高齢者サポート事業というのはどれに該当するのかという御質問でございましたけれども、具体的な高齢者サポート事業自身の定義がまだ明確になっていないという状況もございますので、例えば身元保証も引き受けますという組織自体が、例えばNPO法人でしたらNPO法人欄に該当することになりますし、営利法人でしたら営利法人欄に該当することになりますので、そういった回答とさせていただきます。

○高委員長 池本委員長代理。

○池本委員長代理 今の質疑に関連して、補足的に質問します。

23ページの右上、身元保証人等を担う法人の組織形態と書いてあって、法律事務所というのが突出して多いのです。ただ、左側のグラフあるいは下のグラフでは、法人・専門職ということで弁護士・司法書士とあります。この場合、法律事務所あるいは司法書士の場合は法務事務所ということになるので、弁護士・司法書士の両方を含む意味ではないのかなと。あるいは、法律事務所といっても個人でやっているものもあるので、ここは法人あるいは専門職という意味で略しておられるだけなのか。

なぜそれをお聞きするかというと、法律事務所というのが突出して多い中には、いわゆるサポート事業の契約に基づいて動いているものよりも、成年後見人という立場で身元保証をしているものがかなり含まれているのではないか。そこの区別はここでは出てきていないのでしょうか。

○厚生労働省武井老健局高齢者支援課長 今、御質問いただきました点について、弁護士あるいは法律事務所の切り分けの点と、今、御指摘がありましたような法律事務所の場合には、成年後見人として身元保証になっているのではないかという御指摘でございましたけれども、その点について深く調査していないものですから、今の時点では御回答しかねるのですが、委員御指摘のように、法律事務所、弁護士が成年後見人となるケースもありますので、御指摘のような部分も多く含まれるかと思います。

○高委員長 受田委員、どうぞ。

○受田委員 先ほど御回答いただきまして、ありがとうございました。

2点目は今、池本委員からも更に御質問がありましたので、よく理解できました。

1点目、地域包括支援センターに関しては、現状がどのレベルであるかというところを具体的にお示しいただいたと思うのですけれども、そうであるとするならば、一般的な消費者の方々に、まず地域包括支援センターに相談してくださいと言いましても、最も身近な地域包括支援センターがどういうレベルにあるかによって、その相談の回答内容がかなり多様になってきて、不安の払拭に至らないケースも懸念されるように思うのです。

したがって、私が申し上げたいのは、地域包括支援センターに相談して、本当に対応ができるのかどうか。ここの確約といいますか、システム上の整備が更に踏み込んで議論されていかないといけないのではないかと感じますが、いかがでしょうか。

○厚生労働省尾崎老健局振興課長 地域包括支援センターは、高齢者のよろず相談を受けるところでございますので、まず何かあったときに第一義的に相談に行っていただくのは大事だと思います。

その上で、当然、地域包括支援センターに社会福祉士や保健師、ケアマネジャーの少し上級の資格を持った方々がおられますので、そういった専門職の方々が対応するということですので、相談にはしっかり応じられるのではないかと思ってございます。

○高委員長 よろしいですか。

鹿野委員、どうぞ。

○鹿野委員 御説明ありがとうございました。

私から2点、申し上げたいと思います。

1点目は、もう既に複数の委員から出されたところで、お願いということになるかもしれませんけれども、報告書が出てそれほど時間が経っていないという時期でもあり、事業者への働き掛けについては、今後検討されるということでした。

この点につき、契約の適正化あるいは消費者の選択の機会を実質的に保障するという観点からは、もちろん今回御説明いただいたチェックポイント、消費者がどういう点をチェックしていくべきかを自覚してもらうということも役に立つとは思いますけれども、もう一方で、事業者で、消費者の実質的な選択を保障するための何らかの手当てを講ずる必要がないかについても御検討いただいて、事業者への働き掛けについて、更に検討していただきたいというのが第1点です。

2点目は、質問になるかもしれませんけれども、今回の資料の20ページの2番目のマルで、介護施設への入所時に本人以外の署名を求めている施設は95.9%であったと記載されていますし、更に22ページのグラフの結果、本人以外の署名がないときは、そのままでは入所は受け入れていないところが30.7%という結果が報告されているところです。

20ページの一番下のマルにも書かれていますように、身元保証人等がいないことのみを理由に介護保険施設等への入所を拒むことは、法令上認められる正当な理由には該当しないということで、これを既に周知したということではありました。しかし、今回の調査の時期との関係もあるかもしれませんけれども、少なくともこの調査の結果を見ると、かなり問題のある状況が存在しているように思われます。そこで、これについては、今後、引き続き調査をしていただくとともに、単なる周知ということでは不十分であれば、次の手を打っていただきたいと考えているところです。

以上です。

○高委員長 御回答いただけますか。

○厚生労働省武井老健局高齢者支援課長 介護施設に関して本人以外の署名がないままでは入所を受け入れていないところが3割あったという点について、どのような取組をしていくのかということに関しまして、委員から御指摘がありましたように、こちらから御説明させていただきましたこういった結果であったということと、介護保険制度において、身元保証人等がいないことのみを理由にその施設への入所を拒むことが、法令上認められる正当な理由には当たらないということについての周知をしたところでございます。

先ほどのチェックポイントにも、身元保証人がいないことで入居できないことはありませんという消費者の方への周知も並行して行っておりますし、また、今回一回きりではなくて、自治体にしっかり指導・監督していただくという点が非常に大事なことかと思いますので、そこは機会を捉えて、適切に周知は続けていきたいと考えているところでございます。

○高委員長 ありがとうございました。

池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 今の身元保証人のことに関連して、更に質問させていただきます。

介護保険外サービスの調査報告書の93ページ以下で、今後引き続き検討すべき課題という中に、正に今の身元保証人に関することが指摘されているのですが、次のようなことは引き続き検討が必要だと考えられるということで、第1に、身元保証人に期待される機能の詳細の検討、第2に、身元保証の必要性及び代替機能の検討、第3に、より小規模の提供される身元保証等高齢者サポートの実態把握、第4に、そのサポート事業の利用者実態の詳細把握、第5に、今後その需要が増大する社会における制度の在り方、ということは引き続き検討が必要であると記載されています。

先ほど来、身元保証人がいないことをもって拒否してはならないと通知していると言うけれども、施設側では、それだけでは本当に困るわけで、亡くなられた場合に御遺体をどうするのか、荷物をどうするのか、あるいはいろいろな対処をすることの同意をどうするのか。そういう問題について、代替措置をどうする、あるいは身元保証人がいない場合の義務をどう軽減するとか、そういう議論がなければこの問題は解決しないのだろうと思います。

その辺り、今後引き続き検討すべき課題というのは、それぞれの部署ではどのように予定されているのでしょうか。

○高委員長 お願いできますか。

○厚生労働省尾崎老健局振興課長 ただいま御指摘いただきましたとおり、調査研究の報告書では、今後の課題ということで5つほどいただいてございます。

正直なところ、現時点でこの報告書をいただいて、その上で関連のパンフレットを作成したというのが現状でございますので、まずはその周知を図らせていただいて、その上で何ができるのか、何をやらなければいけないかというのは考えさせていただきたいというのが実情でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 今のことに関連して一つ質問なのですが、調査の結果の16ページに、身元保証人等が得られない患者への対応についての規定や手順書がない医療機関が7割弱ありますという結果が出ています。そうしますと、消費者として、まず病院に行ったら保証人がいません。帰されました。どこへ行ったら良いか分かりませんということではなくて、ここでちゃんと手順書を作っていただいて、保証人の法人や専門職の連携を取って、もう一つは、地域包括支援センターとの連携というように、三位一体の連携が取れる状態を、今後是非作っていただきたいと思うのですけれども、この辺りのところは、厚生労働省としてはどの辺りまでできると考えていらっしゃるか、お聞かせいただけますでしょうか。

○高委員長 お願いします。

○厚生労働省北波医政局総務課長 医政局です。

先ほども説明いたしました。1つ目は、入院の局面において地域包括支援センターがすぐ出てくるかどうかというのは全然違うと思っています。そこは三位一体にはならないと申し上げておきたいと思います。

私たちが今やっているのは、この結果を受けて、実際に医療機関はどのような対応を採っているのかを、もうちょっと掘り下げて調べないと、現実的な解決策に結びつかないと思っていますので、18ページ、19ページにありますように、30年の研究事業で実際に聞いてみて、どのような課題解決のプロセスを採っているのか。これをきちんと見た上で、どれが一番有効なのかを議論していただきたいと考えております。

○高委員長 どうぞ。

○蟹瀬委員 調査というのは、現実を見るということも大きくあるのですが、ある程度課題があって、その課題を解決するためにどうしたら良いかという想定があって、その想定に対しての結果として見ていくという方法があるかと思います。

地域包括支援センターは三位一体にならないという意見もあるかと思いますが、地域包括支援センターは地域包括支援センターでどういう専門職、どういう法人を紹介すれば良いのかということが情報として入っている。あるいは病院としては、身元保証人のない人に対してどのような手順を取っていったら良いのかというのが、ある程度出来上がっているということが、私の言っている三位一体であって、3つが一緒になりなさいということではなくて、情報が全部、同じように行っているという状況を作ることができるのかどうか。

ですから、調査からいろいろと出てきた結果、こうしましょうというのも大事なのですけれども、時間が非常にないというか、刻々とシルバーが増えていって、刻々と病院に入りたい人たちが増えている今の高齢化社会において、調査だけではなくて、同時に何かやっていかなければいけないことがたくさんあるので、そういう視点で物を見ていただけませんかというお願いも含めての意見でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

鹿野委員、どうぞ。

○鹿野委員 一つ前に戻りますけれども、先ほど私から、20ページの介護施設等についての記述に関して質問をさせていただき、それに対するお答えをいただいた上で、池本委員長代理から、更に御指摘もいただきました。

これを受けて私からも、更にお願いがございます。20ページの一番下のマルに書かれているところの周知ももちろん大切かもしれませんけれども、一方で、介護施設等としてどのような対応を採る可能性があるのかということと、消費者については、先ほどのチェックポイントのところにも記述があるということではあったのですけれども、消費者としてどういう対応を採れる可能性があるのかということの両方の面から是非この問題を検討して解決していただきますようにお願いしたいと思います。

○高委員長 今のはお願いということでよろしいですか。

○鹿野委員 はい。

○高委員長 池本委員長代理。

○池本委員長代理 私もこれはお願い、意見として申し上げることであります。

先ほど、調査報告書の中で、課題への対応方策の第1の利用者・家族向けの啓発資料とポイント集の作成、配付は既にスタートされたということ。それから、何よりも今回のそれぞれの分野について非常に詳細な調査、実態把握をされた。しかもその検討チームを作って分析された。これ自体は本当に評価できますし、参考になる資料だと思います。

そこで、2点希望なのですが、第1は、対応方策の2番目に、自治体や社会福祉協議会による先進的な取組の情報の発信というものがありました。私たちが建議を出す前に、取り組んでいる自治体や社会福祉協議会のヒアリングをしたときに、厳密に言うと、例えば自立支援事業としての予算の枠の対象事業から少し外側に超えるけれども、そこは社会の実際のニーズがあるから頑張っているのですとか、そういう財源的な措置も十分ではないまま、四苦八苦しながら、しかし頑張っておられると聞きました。

そうだとすれば、こういう先進的な取組を厚生労働省としても評価し、それを情報発信されるとなれば、併せてそういう先進的な取組が社会的に有用である、あるいは条件があれば今後他でもやったらどうかということで促していく。あるいはそこに向けた予算措置も検討していただくということを是非お願いしたいということが一点です。

それから、先ほどお願いした事業者に対する働き掛けということも是非検討していただきたいのですが、そういうことも含めて、消費者基本計画の中で、毎年工程表を見直すというのがあります。その中に、今後の対応方策のことを、第1の資料集を作成、配付したことをいつごろまでに反応や周知状況を把握し、第2の課題はいつごろまでに検討するとか、そういう時間軸も含めた今後の計画を明示していただきたい。これは要望であります。

○高委員長 長田委員、どうぞ。

○長田委員 今回まとめられた報告書の一番最後のところにポイント集ができて、また、身元保証のニーズがあることも認めながら、高齢者が自ら選択をしていくことが大切だけれども、家族の支援もない中で高齢者が単独で情報収集や選択肢の比較、契約といったことに対処し続けることは現実的ではないとそこにも書いておられまして、その中で、本人の本来の望みを引き出しながら、意思決定を支援する仕組みが必要だという表記がございます。やはりそれがとても大切なのではないかと思いますので、引き続き、この報告書の抱えている課題についても取り組んでいただいて、池本委員がおっしゃいましたように、きちんと工程表の中にも書き込んで、段階を追って、解決の道というか先へ進んでいただけたら良いなと思います。

以上です。

○高委員長 ありがとうございました。

大森委員。

○大森委員 パンフレットやチェックシートで、消費者の理解力を底上げする手当てはしていただけているようなのですけれども、幾らそういうことをしていただいても、一時金をきっちり保全してもらっているとか、第三者による実効性のチェックが入っているとか、その辺りがきっちりなされていない限りは、消費者としてはとても不安だと思うので、その辺りはお願いなのですけれども、高齢者もどんどん増えているし、いろいろな施設も増えているので、これはもっと急ぐと思うのです。いろいろ研究されて、順番にということですけれども、早急にルール作りというか手当てをお願いしたいと思います。

○高委員長 ありがとうございます。

お願いばかりになってきましたけれども、大体よろしいですか。

皆さんからはもういろいろと意見を言っていただいたので、私のほうで余り整理する必要はないかと思いますけれども、とりあえず建議の内容に関しまして、きちんと対応いただいたなと思っております。

建議1の(1)、必要な調整を行うことということで、消費者庁が調整に動かれたということで、本日、厚生労働省より、取組について説明をいただいたと理解しております。

建議1の(2)については、サポート事業の実態把握ということで、今回、公的介護保険外サービスの向上ということに関する調査をやっていただいた、と理解させていただきました。

(3)については、必要な措置を講ずることということで、これは特に消費者、契約する側の方々に対する周知、サポート事業を受ける場合にはどういう点に注意すべきかというポイントをまとめたものを作って、配付された。これは消費者向けであり、自治体向けであるということでございました。

これに関連して、委員から出た意見というのは、事業者側に対する要請、理解力が低下していく消費者に対しては、こういう点に注意してきちんと説明をしていくべきではないかと。具体的に、事業者向けのチェックリスト等があれば良いのではないかという意見が出ました。

多分、厚生労働省だけでは、この問題はなかなか対応できないと思っておりまして、建議事項1の(1)に消費者庁という名前も出てきておりますので、消費者庁は司令塔として、事業者向けであれば、経産省とか関連する省庁を取り込みながらこれをやっていかないといけない、全て事業者に関しても厚生労働省だけで、というのはなかなか難しいかと思いますので、今日、挙がってきました意見に関しては、消費者庁としても、もっとリーダーシップを発揮していただきたいと感じました。

建議事項2については、身元保証人がいないこと等を理由に断ることはできないということで、これは医療機関に対しても、それから介護施設に対しても周知をしていただいたという理解でございます。

建議事項2の(2)ですけれども、実態把握、身元保証人等に求められる役割の把握というのは、今回きちんと整理していただいたなと思っております。

次が、(2)にもう一つ書いていることですけれども、求められる役割に対応する既存の整理やサービスがない場合には、どういった対応策を採るのか。これは一番最初に御紹介いただいた公的介護保険外サービスの質の向上という調査報告書の第6章の5で、池本委員長代理が触れましたサポート事業が増大する社会の制度の在り方についての話になってくるかと思いますが、この役割、機能がはっきりしたということであれば、それを社会的に埋める仕組み、制度についても、是非議論をこれから進めていただきたいと思います。

かなり難しいことを言っているかと思いますけれども、厚生労働省としては2025年度を目途に地域包括ケアシステムの構築の実現ということを掲げて取り組んでおられますので、その道筋の中の一つに入れていただければ有り難いと思っております。

それから、もう一つ出ておりましたのは、今回、調査結果を踏まえて、実態がだんだんと分かってきた。これまでサポート事業という概念も曖昧だったものが、だんだんと明確になってきたということですので、今後それを踏まえて、新たな施策を採られるということでございますので、まだはっきりと見えないかもしれませんけれども、基本計画等にどういう手順でそれに取り組んでいくのか、進んでいくのかということも、示していただければと思います。

我々の社会は超高齢化社会に向かっていくわけで、委員からも出ておりましたが、もう時間がない。本当に大きな課題でございまして、日本をどう設計するかという問題、非常に重要なテーマですので、厚生労働省としては非常に重い仕事かもしれませんけれども、我々としてもできるだけサポートし、他省庁の協力ももらえるよう、いろいろなところにお声掛けをしていこうと思っております。引き続き注視していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

厚生労働省、消費者庁におかれましては、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

どうぞ御退席ください。

(厚生労働省、消費者庁退席)

≪3.次期消費者基本計画策定に向けた基本的な考え方についての意見について≫

○高委員長 2つ目の議題は「次期消費者基本計画策定に向けた基本的な考え方についての意見について」でございます。

消費者基本法においては、消費者基本計画の検証・評価・監視について、それらの結果の取りまとめを行おうとする場合は、消費者委員会の意見を聞かなければならないとされております。このため、消費者委員会においては、次期消費者基本計画について、8月2日の第281回委員会において「第4期消費者基本計画のあり方に関する検討会」中間取りまとめについて消費者庁からヒアリングを行ったところでございます。

本日はこのヒアリング結果等も踏まえ、次期消費者基本計画策定に向けた基本的な考え方についての当委員会の意見を取りまとめたいと思います。

本日は、資料として意見(案)を配付しておりますので、事務局より御説明をお願いいたします。

○坂田参事官 それでは、資料を御参照いただければと思います。

資料2-1が意見案でありますし、資料2-2が3月30日に発出した意見書でございます。これは3月意見という形で言及させていただきますので、これも必要に応じて御参照いただければということでございます。

まず、資料2-1に戻っていただきまして、意見案の構成でございますけれども、前文がございまして、更に本文につきましては「第1 基本的な消費者政策の方向性」ということで、ここでは総論的なものを整理しているということでございます。

2ページ目に移っていただきまして、「第2 次期計画策定に向けて留意すべき視点」というところでは、各論的なものを記述するという構成で整理をしているということでございます。

1ページ目にお戻りいただきまして、前文の第1段落は、先ほど委員長からも御指摘のあった消費者基本計画の検証・評価・監視についての枠組みを述べている部分でございます。

第2段落におきましては、3月30日に発出した意見書について言及しております。

第3段落でございますけれども、委員長から御指摘のあった8月2日のヒアリング結果や建議・提言その他の意見の内容なども踏まえて、下記のとおり意見を述べるとしております。

第4段落ですけれども、次期計画の素案等に対して、更なる意見表明も行うということを予定していることを言及しております。

第1では、計画の全般について指摘をしておりますが、次期計画を策定するに当たってはということで、これまで第1期から第3期の基本計画に盛り込まれた各施策の進捗状況について、中長期的な視点で検証・評価を行い、施策目標の達成度やその効果を明らかにされたいということでございます。

十分な進捗や効果が見られなかった施策については、その理由や課題等について整理を行い、取組方針を明確化していただくよう要請をしているというのが第1段落でございます。

次のページに移りまして、2ポツの部分でございますが、消費者庁は「消費者行政の指令塔・エンジン役」ということで、横断的な政策の企画立案等を行っていくことが求められる。次期計画策定に当たっては、各省庁横断的な施策について積極的に盛り込むとともに、これまでの施策の検証等に当たっては、地方公共団体等における消費者行政重視の政策転換に向けて、どのように取り組んでいくのかを示されたいとしております。

第2段落でありますが、所管法令等について、不断の整備・見直しを行うとともに、関係省庁と連携しつつ、その運用状況を把握するなど、連携強化の取組を推進すべきであるとしております。

第2の各論部分でありますが、「1.消費者政策推進のための体制整備」につきましては、3つのパートからなっておりまして、(1)では地方公共団体における対応力の強化について、(2)では消費者団体等の育成・支援、連携・協働について、3ページ目にいきますが、(3)では事業者団体等との連携について整理をしているということでございます。

まず、(1)でありますけれども、消費者行政の最前線は地域であるということで、地方公共団体における対応力強化に向けた取組を進めることが重要であるということでございます。意識改革も必要であるが、それのみに頼るのではなく、連携の在り方や情報技術の活用の在り方等、対応力強化に向けた具体的施策について言及されたいとしております。

さらに、これまで約10年間の交付金等の措置により、相談体制の整備等には一定の進展がみられるものの、消費者行政職員や自主財源がほとんど増加していないこと等の実態を踏まえて、安定的な財源の確保等も含め必要な方策等、中長期的な視点の在り方も含めた検討を行い、必要な取組を行うべきであるとしております。

(2)でありますけれども、3ページの1行目、そのため、活動の支援に向けた仕組みづくりについて検討すべき。さらに、エシカル消費等、従来の消費者問題の枠組みにとらわれないようなテーマについて活動を行っている団体等も含め、連携・協働を積極的に推進すべきであるとしております。

また、適格消費者団体についてはということで、3行ほど下に飛びますが、その設立促進や活動支援に向けた取組を進めていくことは重要である。その特性を消費者被害の防止や消費者政策の推進にこれまで以上に生かせるよう、既存の枠組みにとらわれない連携の推進・強化に向けた取組を積極的に進めるべきであるとしております。

それから、(3)事業者団体でありますけれども、5行目辺りに飛んでいただきますが、行政は事業者団体等との連携を強化していくことが重要であり、消費者政策に関する情報提供を行うとともに、新たな事業分野における事業者団体等の在り方も踏まえ、自主的な取組の促進等に向けて、取組を進めていくべきであるとしております。

「2.消費者の自立と脆弱な消費者の保護」でございます。2行目でありますけれども、自らの消費行動で社会を変えていくという消費者の意識改革を促すという視点は重要であるが、その一方で、脆弱な消費者への保護対応は喫緊の課題であり、自立的な側面ばかりではなく、保護的側面も存在することには留意が必要であるとしております。

「3.消費者教育の推進」でありますが、2行目、各ライフステージにおける消費者教育を充実すると共に、より早いライフステージから消費者教育を受けることができるよう取組を進めるべきである。また、成年年齢引下げの関係では、若年者への消費者教育の充実は喫緊の課題であり、スピード感を持って取組を進めることが必要である。

さらにということで、4ページ目の1行目になりますけれども、食品表示や食育の充実による消費者教育の効果をより幅広い消費者に行き渡らせることが重要であるとしております。

その次の段落でありますけれども、昨年8月に発出した提言でも言及した消費者が事故を疑似的に体験することで消費者自ら事故の危険を考え、回避することを促す仕組みを構築するなど、学校以外の場で様々な年代が消費生活において必要な知識を習得するための環境整備にも取り組むべきであるとしております。

「4.SDGsへの対応」でありますが、2行目にありますけれども、「3月意見」でも言及したとおり、消費者政策との関係性について整理した上で、SDGsの趣旨をできる限り組み入れた消費者政策の取組を次期基本計画に盛り込むことを検討されたい。また、盛り込むに当たっては、消費者市民社会を目指す上での具体的な手段等をKPIとして盛り込む等工夫されたいとしております。

「5.高度情報通信社会の進展等への対応」であります。2行目の最後辺りにありますが、「3月意見」でも言及したように、AI、IoT、ビッグデータ等の活用には、利便性だけでなく、課題もあるという特質について、消費者が理解を深める必要があることに留意すべきである。また、消費者の利便性向上と消費者保護の適切なバランスを図ったルールの策定に当たっては、国際的な動向も踏まえ、消費者を巻き込んだ議論を展開すべきであるとしております。

さらに、最後の段落でありますが、オンラインプラットフォーム事業者が介在する取引におけるルール・仕組みの在り方については、専門調査会での議論を踏まえ、検討すべきであるとしております。

御説明は以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

ただいまの内容に関しまして、御意見、御質問がございましたらどうぞ御発言ください。

○池本委員長代理 池本でございます。

先般の消費者庁のヒアリングのときにも申し上げたのですが、今回、次期の基本計画についてかなり早い段階から検討をスタートされたことは本当に評価できることで、だからこそこういう早い段階で全体像に向けた意見が出せるということです。

ただ、先般の検討会での中間取りまとめは、当面、特に強調すべき話題は何かというところに絞っておられたために、これから先のそれこそ中長期的な視点でどういうものを目指すか。あるいは、これまで過去10年あるいはそれ以上の間をどう評価するかという観点での議論ではなかったと思います。

その意味で、この意見書の第1のところに書いてある中長期的なというのは、過去もきちんと検討し、これからのことを考えるというところを是非進めていただきたいというのが第1の1、2でお願いしたところです。

第2のところは、地方自治体の問題、特に過去10年間、交付金措置を採っても自治体そのものが必ずしも変わってきていないというのをどう評価し、これからどう施策を転換するかという根本問題に立ち返った議論をしていただきたいという期待です。

(2)の消費者団体というのは、この10年間は適格消費者団体の育成支援という議論にやや集中したきらいがあります。もちろんそれは地域の大きなうねりを作る重要な柱ではありますが、地域の中の消費者団体のそもそもの役割にもう一度注目して、3ページの1行目から2行目にある活動の支援に向けた仕組みづくりについて検討すべきであるというのは、今、活動している団体を支援するだけではなくて、必ずしも活動できていないあるいは組織立っていない人たちについて、消費者団体の育成支援という両方を含んだ意味で検討してほしいという思いがあります。

(3)の事業者団体については、特に消費者庁は、これまでの他の産業育成省庁が各事業者団体と連携をしていたものと違って、消費者庁の性格上、そういうところが十分でなかったのではないかという問題意識もあって、特に事業者団体との連携ということを検討いただきたいこと。それから、新しい分野の事業者団体というのが十分にできていない。ただ、それは行政が音頭を取って作っていくのが良いのか、あるいは行政は最小限の共通のルールを作って、あとは事業者の内部で自主的に作っていくようにするのかという根本のことも含めて、慎重に検討していただきたいところです。

とりあえず、それだけ私から補足させていただきます。

○高委員長 ありがとうございました。

他に、補足意見等ございますでしょうか。よろしいですか。

それでは、意見案については、皆様の御了解をいただいたものと思いますので、これをもって当委員会の意見とし、消費者庁長官及び関係府省宛てに送付したいと思います。

関係省庁におかれましては、是非本意見について積極的に御検討いただき、可能な限り、次期消費者基本計画の素案などに反映いただきたく思います。

≪4.その他≫

次に、議題の「その他」といたしまして、新開発食品調査部会から報告事項がございます。

受田部会長、本件は事務局からの説明でよろしいでしょうか。

○受田委員 結構でございます。

○高委員長 それでは、事務局から説明をお願いいたします。

○坂田参事官 それでは、参考資料1を御覧いただきたいと思います。

平成29年12月26日付で当委員会より答申を発出した日本コカ・コーラ株式会社の綾鷹特選茶につきまして、部会における審議の結果、内容的には特段問題なしと御了承いただいたところではございますが、その結果をお示しする答申書の許可表示文言が御審議の結論と異なる文言となってしまっていることがこのたび判明いたしました。

資料の2ポツにありますとおり、本来は、答申書の内容が表示Bとされるべきところ、事務局における不手際によりまして、表示Aとされてしまいました。資料の裏面の4ポツにございますとおり、新開発食品調査部会において、表示Bで御議論いただき、了承されたという事実を踏まえまして、答申書の内容を表示Bと訂正させていただくことにつきまして、9月10日開催の同部会において御了承をいただきました。

本日、この本会議にもその旨、御報告の上、消費者委員会の本会議及び新開発食品調査部会の議事録公開時期に合わせまして、その旨を把握し得るよう、ホームページ上に掲載される当該会議の議事録を引用することで、今般の経緯が確認できるようにしたいと考えております。

このたびは、事務局の不手際によりまして、委員長を初めとする委員の皆様に多大なる御迷惑をお掛けしますことを、この場を借りておわび申し上げます。今後はこのようなことが二度と起きないよう、文書の確認体制を複数人にするなど、再発防止に努めてまいる所存でございます。

以上でございます。

本当に、誠に申し訳ございませんでした。

○高委員長 ありがとうございます。

9月10日に行われた新開発食品調査部会におきましても、受田部会長から御発言があったようでございますけれども、私からも一言申し上げます。

このようなことがあってはならないわけでございまして、委員長としては大変遺憾に感ずるところです。今後、今回のようなことが起きないよう、事務局はしっかりと取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○二之宮事務局長 事務局長といたしましても、一言おわび申し上げます。

今後、このようなことがないよう、しっかり取り組んでいきたいと思います。

このたびは、誠に申し訳ございませんでした。


≪5.閉会≫

○高委員長 本日の議題は以上になります。

最後に、事務局より今後の予定について説明をお願いいたします。

○坂田参事官 次回の本会議は、日程が決まり次第、委員会ホームページにおいてお知らせをいたします。

以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

本日はこれにて閉会させていただきます。ありがとうございました。

(以上)