第282回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2018年8月8日(水)14:59~16:18

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    高委員長、池本委員長代理、大森委員、蟹瀬委員、鹿野委員、長田委員、樋口委員、増田委員
    (高委員長の「高」は、正しくは「はしごだか」)
  • 【説明者】
    消費者庁内藤消費者政策課長
    消費者庁澤野消費者政策課企画調整官
    消費者庁消費者政策課担当者
    消費者委員会事務局担当者
  • 【事務局】
    黒木事務局長、福島審議官、坂田参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 架空請求対策パッケージについて
  3. 消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ中間整理について
  4. その他
  5. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○高委員長 それでは、時間になりましたので「消費者委員会第282回本会議」を開催いたします。

皆様、お忙しいところ、御参集いただきまして、ありがとうございます。

本日は、受田委員、山本委員が御欠席となります。

それでは、配付資料の確認につきまして、事務局よりお願いいたします。

○坂田参事官 議事次第に配付資料一覧を記載しております。

もし不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますよう、お願いいたします。

よろしゅうございますでしょうか。


≪2.架空請求対策パッケージについて≫

○高委員長 本日の最初の議題は「架空請求対策パッケージについて」でございます。

平成29年度の架空請求に関する相談件数は約20万件であり、前年度比で2倍以上に急増している現状を踏まえ、架空請求による消費者被害の未然防止、拡大防止を図るため、消費者庁において「架空請求対策パッケージ」を取りまとめ、7月22日に「消費者政策会議」にて決定されたとのことでございます。

本日は、その内容について、消費者庁より御説明いただきまして、意見交換を行いたく思います。

本日は消費者庁内藤消費者政策課長にお越しいただいております。お忙しいところ、御出席いただきまして、ありがとうございます。

それでは、恐縮でございますけれども、15分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁内藤消費者政策課長 消費者政策課長でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

先般取りまとめられました架空請求対策パッケージについて、御説明申し上げます。

背景事情につきましては、先ほど委員長から御説明いただいたとおりでございます。架空請求による相談件数が、一昨年度に比べますと、昨年度は倍増しているという現状がございます。この増加した分がほぼ全てがはがきという状況になってございます。架空請求自体は平成16年頃がピークでございましたが、手法としましては、電子メールによるものがほとんどでございました。その後、迷惑メール対策のための法律等ができたこと等々によりまして、ここ数年、相談件数につきましては、減少していたところでございますが、ここへ来て手法が先祖返りをして、はがきによるものが急増しているということで、その被害拡大を未然に防止するために、先般、取りまとめられたものでございます。

被害額等につきましては、資料1-1の上から3行目、4行目を御覧いただければと思いますが、1件当たりは44万円程度でございますが、5,000万を超えるような支払をされておられる方も複数いらっしゃる状況で、とても見過し得ない状況でございます。

具体的な手法、実例について御説明申し上げます。資料1-1の下半分に実際に差し出された徳島県の事例を添付してございます。右側に通信面を載せてございますけれども、タイトルが「消費料金に関する訴訟最終告知のお知らせ」というような形になっておりまして、そのすぐ下に青枠で囲ってございますけれども、そこの3行目、「また」以下でございますが、連絡のない場合は、給与等の差押え及び不動産物の差押え等を強制的に執行させていただきますといったような非常に圧迫感のある脅かしの文面が並んでいるところでございます。

その下の青枠でございます。「最終期日」と書いてございます。ここでは12月22日となってございますが、恐縮でございますが、はがきの表面の日付、見づらいのですけれども、これは都内から徳島県に差し出されているものでございまして、日付が12月19日になっております。仮に翌日に届いたとしますと、御覧になった方からすると、もう2日以内に連絡をしなければいけないのではないかということで、焦らせる、急がせるような効果を狙っているということでございます。

もう一つ、非常に悪質なのは、連絡先が法務省という形で、公的機関あるいはそれに類似した名称を名乗った連絡先を記してあるということでございます。

実際に連絡するとどうなるのかというのが左側にチャート図的に示してございます。そちらを御覧いただければと思いますが、はがきの他、電子メール等々でも行われているわけでございますが、実際に消費者が架空事業者に電話等で連絡を取りますと、この法務省をかたるところから弁護士事務所を名乗るところの連絡先が紹介される形になってございまして、そこに連絡を取ると、弁護士を名乗る者が訴訟の着手金の名目等々で金銭の支払を促す要求をするというような劇場型の犯罪と申しましょうか、そのような体裁をとっているということでございます。それにだまされた方が、例えば銀行振込等々を行い、最近の場合ですと、コンビニがその支払の場に使われることが多くなってございまして、コンビニに販売されているプリペイドカードを使ったもの、あるいはコンビニに多機能端末というチケット等を予約あるいは購入する端末がございますけれども、これを用いて金銭の振込を行わせるといったような手法が最近一般的な形になっているということでございます。

これにつきまして、対策を関係府省と連携してパッケージにして、先般、公表したということでございまして、そのパッケージの中身につきましては、裏面を御覧いただければと思います。パッケージは、ここでは大きく(1)から(5)まで書いてございますけれども、ポイントといたしましては、(1)から(3)のところになってございます。今回の架空請求につきましては、消費者の行動パターンとしては大きく三つのステージに分かれてございまして、まず消費者に架空請求事業者が接触するステージ、それから、接触を受けて消費者がその事業者に連絡を取ってしまうステージ、三つ目、消費者が実際に金銭を支払ってしまうステージ、その三つに分かれるところでございます。この三つに対してそれぞれ未然に防止をするということを対策パッケージの中核の3本柱としてございまして、併せて(4)(5)という形での警察の取締り、個人情報の保護、あるいはそれの普及促進といったような取組がこのパッケージでは掲載されているところでございます。

個別具体的に御紹介をさせていただきます。最初のステージ、消費者に対する接触を未然に防止するための対策でございます。ここでは大きく三つになってございます。一つ目は、はがきの場合、連絡先が電話番号として掲載されておりますことから、その掲載されている電話番号に対して、例えば警察あるいは消費者庁から、そこに直接連絡をして警告を行うという対策でございます。これにより、実際に高い割合でその番号が使用されなくなるということも特殊詐欺の事例である程度分かっているところでございまして、架空請求対策についても同様の取組を進めていくということでございます。

○の三つ目でございますが、実際にその番号を使われないように番号の利用を停止するといったことも含めた抜本的な取組について、関係省庁で検討をするという取組でございます。

二つ目のステージとして、連絡することを防止するための対策ということでございます。こちらにつきましては、連絡を取らないように周知啓発を進めるということが主眼になってございます。はがきにつきましては、宛先が法務省になっているということでもございますので、法務省では現在トップページの一番上のところに架空請求への注意を呼び掛けるバナーが張られているということで、バナーをクリックすると、架空請求への注意を呼び掛ける特設のサイトにつながり、そこで対策、注意点等が記述されているというような取組が既に行われているところでございます。

ネット以外の取組としまして、法テラス、あるいは法務局等で注意喚起を、資料を作成して実施しているところでございます。

その他関係府省につきましては、政府広報、ホームページあるいはSNSのような手段を用いた注意喚起を逐次、既に始めているところでございます。

あわせまして、警察での名簿を活用した取組、それから、消費者庁の取組としては、そこから三つほど掲載させていただいておりますけれども、地元の組織、ここでは見守りネットワークと書いてございますが、現在、この見守りネットワークを各基礎自治体及び都道府県について組成する取組を進めておるところではございますけれども、この取組を促進して、その中での注意喚起をしっかりやっていくものでございます。

「188(いやや!)」という相談ダイヤルがございますけれども、こちらの普及啓発、併せてイメージキャラというものがございまして、ここにはないのですが、私は襟元に付けてきましたけれども、イヤヤンという関西弁の名前のチョウのような、ゆるキャラというようなものでございますけれども、こういったものを使いまして、比較的軟らかいトーンでの普及、周知にも取り組んでまいりたいということでございます。

あわせまして、はがきでは法務省でございますが、それ以外にもメールあるいはショートメッセージといったものでは、実在の事業者の名前をかたって架空請求が行われている状況でございますので、そういった実在の事業者とも連携して対策を今後公表してまいりたいと考えております。

国民生活センターでは、既に架空請求に対する特設サイトを作って注意を呼び掛けている状況でございます。

右側に移らせていただきます。三つ目のステージ、お金の払込みを何とか防止するための取組でございます。こちらにつきましても特殊詐欺の防止の観点から既に取組は行われているところではございますけれども、まず、金融機関での防止ということで、実際の行員の方への研修、疑わしい人への声掛けの実施、徹底といったことの取組を強化してまいります。

それから、先ほど申し上げました銀行振込以外に、最近は振込の場としてコンビニが使われていることに着目いたしまして、コンビニでの声掛けの強化ですとか、あるいは振込の際に用いられる多機能端末に注意喚起をより強く行わせる、表示を強化するといったような取組も進めてまいりたいと考えてございます。

(4)については、先ほど申し上げました警察による取締りの強化を三つの柱と同時並行で進めてまいりますとともに、架空請求の名簿は現状、適法ではなかなか入手できないというようなことでございますので、その辺り、個人情報保護委員会において周知、注意喚起等に努めていくという取組も進めてまいりたいと思います。

私からの説明は以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの説明に関しまして、御意見、御質問のある方はどうぞ御発言ください。

増田委員、どうぞ。

○増田委員 消費生活センターの現場からの意見ですが、架空請求に関しては長いことトップを占める相談だったのですけれども、この度消費者政策会議決定という非常に重い形で広報していただくということで、改めて皆さんに情報が届くのではないかと期待しているところです。

それと同時に、今回ははがきによる請求ということですけれども、はがきということになりますと、住所を知られているということで、メールよりも非常に怖い。消費者の立場からそういう感情がありますし、まさかメールでは法務省から通知は来ないだろうと思っている方にしてみたら、書面で届いたからもしかしたら本物かもしれないと混乱して、御相談が多かったと思います。今後、裁判手続もIT化などが進むという中で、裁判所からの通知がメールで届くというような情報が出てくれば、更にまた被害が発生する可能性もあります。この際に裁判制度についてもしっかりと法務省から消費者の方へ広報していただく、情報提供していただくということも併せてやっていただく必要があるのかなと思っております。

○高委員長 ありがとうございます。

どうぞ。

○消費者庁内藤消費者政策課長 直接の答えにはなっていなくて恐縮なのですけれども、今回の取組につきましては逐次進めさせていただきまして、この秋をめどに一度フォローアップをさせていただきたいと思います。そのフォローアップの結果を見て必要に応じて追加の対策をしていくということを検討しておりますので、今、御指摘いただいた点も含めて更なる対策が必要な状況であれば、これも適宜対応してまいりたいと思います。

○高委員長 ありがとうございます。

大森委員、どうぞ。

○大森委員 以前はメールが主流というお話でしたけれども、その前、最初はこれと同じようなはがきでスタートしたのではないかと私は記憶しているのです。文面などもほとんど変わらないようなはがきをよく見せてもらった記憶があります。それは結局、郵便窓口などの協力でポスターを貼ってもらうとか声掛けをするということでかなり防がれて、メールに移っていったのではないかと思っているのです。それ以降、名簿の取扱いなども、一般の市民たちも結構厳しく公開しないとか、関係者以外には配らないとか、そのように世の中全体も変わってきたかと思うのです。

今回は郵便局がコンビニに移っているわけで、コンビニはすごく忙しくて、郵便局の方も忙しいでしょうけれども、少人数でいろいろなことをされているのでなかなか声掛け等が難しいかと思うのですが、今、機械で表示するようになったということは有り難いのですけれども、そこまで行かない人に、もう少し広報できたらいいかなと。ただコンビニでパンを買うのに並んでいる人が、ポスターなどでこのようなものがはやっているのだな、このようなものに注意しないといけないなというように、そこまで行かない人にコンビニの協力をいただいて広報できたらいいかなと思っています。

法テラス、法務局にチラシを置いたというお話でしたけれども、一般消費者はなかなか法テラスや法務局に行かないのです。ですから、逆に郵便局にも協力いただいて、郵便局はよく出入りするので、そういうPRに協力していただく。郵便局は結構はがきで稼いでいらっしゃるので、それぐらいの協力はお願いしても良いのではないかと思います。

高齢者の方が行かれるというと、接骨院とか、法務局などよりはそういうところに行かれるのです。先ほども見守りを活用してPRするということでしたけれども、是非身近な高齢者が出入りするようなところにPRしていただけたらと思います。

名簿なのですけれども、名簿が流れているから東京から徳島にというようなことなので、もっと根本的に名簿が流出するようなことに対して厳しい措置をしていかないと、ここが甘いのではないか、機能していないのではないかという気がするのですけれども、いかがでしょうか。

○高委員長 ありがとうございました。

いろいろ御意見をいただいたのですけれども、1番目は支払防止のところで、コンビニにもっと協力をいただくべきではないかという御指摘ですね。要するに、支払う場所が金融機関からコンビニに移っているからと。2番目が情報提供、例えば啓発ですけれども、その情報に関しては、郵便局が配達をしているわけだから、そこを通じての啓発活動にもっと力を入れて良いのではないかというお話と、更に被害に遭っておられる方々のことを考えれば、その方々が行く場所は本当に接骨院かどうか知りませんけれども、そういった場所をいろいろ使いながらやるべきではないかということ。最後は名簿が流れていること自体に関して、もっと厳しい措置が採れるのではないかと、このような御指摘をいただきましたけれども、御回答いただけますでしょうか。

○消費者庁内藤消費者政策課長 可能な限り御回答申し上げます。

一つ目、コンビニの関係でございます。委員御指摘のようにコンビニで対策が進めばより効果が上がるということでございますので、これにつきましては、関係する省庁と共同で関係の業界に対して働き掛けを強めてもらうように要請することを現在検討しているところでございます。

二つ目、郵便局の関係でございます。こちらも委員御指摘のとおりで、もうかっている分ぐらい何とかしてくれればというのは一般の方の感覚では全くそのとおりだと思っております。これにつきましても、どのような対応ができるのかということについては、日本郵便側としっかり対策を検討してまいりたいと思います。

それ以外の接骨院等その他のいわゆる高齢者の方に身近な機関、組織という部分でございますが、それにつきましては先ほど申し上げましたとおり、見守りネットワークというものが例えば生協ですとか民生委員の方、こういった方も加入者として入っていただいて地元の見守り組織として組成していただくべく現在消費者庁で取組を進めておるところでございます。実際の組成率は千数百の自治体に対してまだ200件弱ということで、取組はまだまだ進んでいないところではございますけれども、これの組成率を上げて、その中での注意喚起等々をしっかりできるように取り組んでまいりたいと思います。

最後の個人情報の部分でございます。どこまでできるのかというのがかなり悩ましいところではございます。現状、名簿を適法で入手するのは非常に難しいということを先ほど申し上げたところではございますけれども、かなり昔の名簿を使われている場合は非常に悩ましいところがございます。この辺りも個人情報保護委員会と連絡を密に、どのような対策が採れるのかよく検討してまいりたいと思います。

以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

他にございますでしょうか。

池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 池本です。

これは十数年前にも激増し、対策を採ったけれどもまた起きているという意味で、今回こそ本当に短期間のうちに実効性を上げていただきたいと思うのですが、2点、意見と対応についての実情をお伺いしたいと思います。

コンビニを通じての支払、しかも、これは電子マネーであったり、画面を通じてであったり、あるいは収納代行であったり、コンビニが利用されているというところは、以前の銀行、郵便局一本やりではないという意味で非常にやりにくいところだと思います。先般、コンビニ関係の日本フランチャイズチェーン協会の方の話を聞く機会があったのですが、今、5万7,000店舗ある。そちらはそちらで従業員に対して例の振り込め詐欺などについて、このような特徴があったら声掛けをしようというキャンペーンをやっているのだとお伺いしました。

今回、例えば複合端末画面とかというものであれば、そこの画面の中に表示を入れることもあると聞いています。例えば今日のこの資料の訴訟告知のお知らせという、正にこのようなもので請求が来て払うのは詐欺ですというのをぱっと見えるようにして、それは注意喚起の一つとしてやっていただき、また、新しいパターンのものが出れば、それを5万7,000店舗あるいは銀行にも同じようなものを最小限のところをマスキングして配布するとか、一番お金が流出していくルートのポイントになるところを重点的にやっていくことが効果的ではないか。特にそういったコンビニに対しての働き掛けをするというのは、具体的にどのようなことを予定されているのかをお伺いしたい点が一つです。

それから、安全確保地域協議会の設置がまだ百何カ所かですか、十分ではないのですが、そこへ向けて啓発資料を作成し集中的な注意喚起を実施というのが具体的にはどうなさろうとしているのか。正にこのような共通の問題でこれだけ急増していることですから、余り難しい詳しいものである必要はないので、本当に分かりやすい、先ほどのはがきのサンプルの絵と、これは詐欺でこう対処しなさい、あるいはこのようなことをこのような言葉で近所の人へ伝えてくださいというような分かりやすいチラシを作って、それを協議会から構成する関係機関、関係団体を通じて広めてくださいとしていくことが、逆にこの地域協議会の機能を発揮してもらう一つの材料として今後地域で広げていくきっかけになるのではないか。

よく行政の人が、地域協議会を作って年に1回集まって、悪質商法にはこんなものがありますと言うだけで果たしてどうなるのでしょうか、その先、何をやるのでしょうかというような言い方をされる方がおるのですが、むしろ協議会を作れば本当にこのような大きな問題が起きたときには、国を挙げて道具を準備し、声掛けの方法も含めて一斉に呼び掛けをすることができるのです、だから、協力してくださいということを、消費者庁から積極的に打ち出していただくチャンスではないかと思っています。その辺り、安全確保地域協議会を通じた集中的注意喚起というものがどのようなことを計画されているのかについてもお伺いできればと思います。

○高委員長 お答えいただけますか。

○消費者庁内藤消費者政策課長 ありがとうございます。

2点いただいております。2点目につきましては、後ほど担当から御説明申し上げます。

1点目のコンビニのやり方でございます。今、委員長代理から、例えば具体的なはがきの事例を表示するような形を取って注意喚起をしたほうが効果的なのではないかということも含めて御指摘をいただいてございます。コンビニでの対策につきましては、実は今、調整中でございまして、正に委員長代理のおっしゃったような話も出てございます。非常に悩ましいのが、必ずしもはがきに限らないということがございまして、正にはがきについては効果があるというようなことでもあったのですが、それ以外の類型ですね。例えばショートメッセージとか電子メールであったときに、はがきを見せてしまうと、はがきだけを載せてしまうことによってそれ以外の注意が行き届かないのではないかというような議論もしておるところでございます。その辺り、どの文面が良いのかのようなところを、警察の知見をいただきながら案文を詰めているところでございます。御指摘の部分も含めて、案文については引き続き検討させていただきたいと思います。

○消費者庁消費者政策課担当者 見守りのお話なのですけれども、消費者政策課の直接の担当ではないのですが、見守りについては地域による実情によっていろいろやり方はあると思っておりまして、池本委員長代理のおっしゃったとおり、これを機にしっかり見守りを機能させるという観点で集中的な注意喚起を行うと、ここの文章に書いているのはそういう意味でもありますので、それについてはそういう御意見があったということをちゃんと地方協力課に伝えておきます。

○高委員長 ありがとうございます。

他、ございますか。

長田委員、どうぞ。

○長田委員 今回のはがきによる架空請求が50代以上の女性を中心に送られたということで、そういう意味でいいますと、私、所属している団体が女性の集まりで、かつ年齢が高い人たちが多いものですから、別の場所でも私どものほうでも周知などをやったこともあるのです。今回作られる啓発資料は、先ほど池本委員長代理もおっしゃいましたけれども、そんなに難しいものではなく作っていただきましたら、また会員に向けて出すこともできると思います。何か簡単にダウンロードして使えるというようなものを作っていただけると良いのではないかと思います。

もう一つ、このはがきが急増したのは去年の3月ぐらいからだと思いまして、今回いろいろな意味で消費者政策会議の決定というのは非常に意味があると思いますけれども、より早く、もう少し早くできたら良かったなということと、何よりも結局はがきをやっていた人がまた今度はメールに移ってというように、そういう人たちはずっともうかったまま終わっているのではないか疑惑があるわけですね。それで、警察による取締りがこのようなことをやったら二度と立ち上がれないぐらいにちゃんとなっていかないと結局後手後手になるというのを皆実感しているところだと思いますので、そこは警察の方にも是非頑張っていただきたいと思っているところです。

以上です。

○高委員長 よろしいですか。

○消費者庁内藤消費者政策課長 ありがとうございました。

資料につきましては、御協力いただけるということで、是非よろしくお願いしたいと思います。先ほどの委員長代理の御指摘、若干補足させていただきますと、見守りネットワークに対しても同じようなチラシを普及するというようなことを考えてございます。御指摘いただいたはがきの文面のようなものについては、チラシの場合ですと比較的載せやすいということがありまして、そちらについてはデザインも含めて検討はしているところでございます。

それから、高齢者というところもあるのですけれども、いわゆる色弱の方などにも配慮したようなデザインにすべく、現在調達作業に入っているところでございますので、両委員に御指摘いただいたようなところをしっかり踏まえて対応させていただき、併せて御協力もいただければと思っております。

以上でございます。

○高委員長 ありがとうございます。

蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 ありがとうございます。

皆さんおっしゃったのですけれども、私は二つあります。一つは、郵便局の協力も必要ですけれど、民間事業者、ヤマト運輸ですとか見守りをやっている嘱託サービスのような方がおりますね。そのような方々のオン・ザ・ボックスと言って箱の上に情報を乗せてあげるということが結構伝わりやすかったりするというのもあります。はがきに移っているということは基本的に、ネットを見ない人たちをターゲットとしているので、その人たちに対してどのように、早めに情報を出してあげるかということが大事だと思います。民間事業者との協力もしていただきたいなというのが一つあります。

それから、先ほどから話題になっておりますチラシを、5万7,000店に貼っていただく件ですが架空請求のはがきの例だけではなくて、このような形で来ますよというのを、例えば「ショートメールだったらこんな感じで来ますよ」とか、そういうちょっとした画像だけで良いと思うのですが、このようなものを目にしたら気を付けてねという注意喚起と同時に、振り込む前にまず相談してくださいという言葉が大事なのではないでしょうか。振り込め詐欺ではありませんかということも大事なのだけれども、振り込む前にまず相談してください、相談相手は「188(いやや!)」で良いですよというように、その相談先を書いてあげないと怖くてどうしたらいいか分からない。ですから、その場に来て振り込もうと思ったけれども、怪しいなと思ったら、まずそこで「188(いやや!)」に電話してみてくださいというような情報までしっかり載せてあげると対処の仕方が分かると思います。1ページの小さいA4か何かですからそんなに多くは情報を乗せられませんけれども、大きな字で分かるように書いていただければ、被害はかなり止められるのではないかと思います。

それから、悪党たちを早く捕まえていただきたいので、それをどうやって警察の方々とリンクして一緒にやっていくのかということも消費者庁で一生懸命考えていただければということは、皆さんおっしゃったことなので再度お願いしたいと思います。

○消費者庁内藤消費者政策課長 ありがとうございます。

大きく3点いただいているかと思います。ヤマト運輸あるいは嘱託サービスも含めた民間企業との連携の必要性について御指摘をいただいております。現状のパッケージはそこまできちんと書けていないのが正直なところでございます。少し勉強してまいりたいと思います。

2点目のチラシ等の中身について、はがきあるいはショートメールの文面だけではなくて、振り込む前にまず相談してください、それから、相談の連絡先をきちんと書くというようなことで御指摘をいただいております。現在、チラシを作っておりまして、私は何回も見ておるのですが、書けていたと思うのですけれども、少し自信がありませんので、もう一度確認をして万が一抜けているようであればそこはしっかりと修正をしてまいりたいと思います。

悪党の件、いただいておりますけれども、警察に私どもが頼るだけではなくて、消費者庁にも執行部門がございますので、執行部門でもしっかり警察と連携して、私どもがさすがに刑事罰どうのこうのではありませんけれども、適宜情報交換をしながらしっかり取り組んでまいりたいと思います。

以上でございます。

○高委員長 ありがとうございます。

他はございますでしょうか。よろしいですか。

委員からいろいろ発言がございまして、若干厳しい御指摘もあったかと思います。3月からこの問題は起こっているにも関わらず、ようやく動いたのかという厳しい指摘もあったかと思いますけれども、今回いただいたこの対策パッケージというのは、ステージを明確に整理されて、ステージごとでどのような対策を採るべきかということを具体的に示していただいたという意味で、私は有意義なものだと思っております。ただ、それぞれのステージの中を見ておりますと、また、説明いただいた中でも、具体的な文面をどうするのか検討中だという言葉もございますので、できるだけ早急にアクションを起こしていただければと思います。

これは7月22日に決定ということになっているのですけれども、既にこの対策は22日以前から動いているということですね。

○消費者庁内藤消費者政策課長 既に対策を採られているものについても再掲をしているという意味でございます。

○高委員長 ありがとうございます。

それから、ステージごとでいろいろ御説明がありましたけれども、特に2番目の啓発に関していろいろ意見をいただいたと思っております。注意喚起の方法として、例えば被害に遭いやすい方々が訪れる場所を特定してそこでチラシ等を配るとか、周知啓発のところに工夫を凝らしてもらいたいと。さらに、せっかくこのような機会ですので、安全確保地域協議会の更なる推進というチャンスでもあるのだから、積極的に進めていただきたいという意見もいただきました。

最後の4番目のステージですけれども、これは具体的にどうやっていったら良いのかはよく分かりませんが、とにかく更に強化して、徹底的に摘発等を進めていただきたいという声があったかと思います。

いずれにしましても、これは7月22日の決定でこれから秋ということは、もう9月ぐらいのイメージでよろしいのでしょうか。10月というイメージでしょうか。

○消費者庁内藤消費者政策課長 恐縮です。もう少し寒くなってからのイメージでございまして、実際に冬の前、冬になるまでにはと。抽象的ですけれども、それぐらいの感じで考えております。

○高委員長 いずれにしましても、状況を見ながらフォローアップをしてくださるということですので、これは非常に重要なテーマでございますので、是非力を入れて取り組んでいただければと思います。私どもも引き続き注視はしてまいりますので、よろしくお願いいたします。

それでは、消費者庁におかれましては、お忙しいところ、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。どうぞ御退席ください。

(消費者庁 退席)

(消費者委員会事務局担当者 着席)

≪3.消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ中間整理について≫

○高委員長 二つ目の議題でございますけれども、「消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ中間整理について」でございます。

消費者委員会においては、消費者契約法や特定商取引に関する法律といった取引分野における個別法について、これまで都度、専門調査会等を立ち上げて、必要な見直しの検討を行ってきたところでございますが、こうした個別法に関する調査審議を重ねる中での蓄積をもとに委員の間で議論した結果、取引分野におけるルール形成の在り方、ルールの実効性確保に資する公正な市場を実現するための方策の他、行政、事業者・事業者団体及び消費者・消費者団体といったおのおのの役割について整理を行い、包括的に検討することが必要であるとの結論に至りました。

また、平成15年5月に国民生活審議会消費者政策部会が「21世紀型の消費者政策の在り方について」を取りまとめてから約15年が経過しており、報告書で指摘されている内容について達成された点や残されている課題を確認し、今後進むべき方向を検討する必要性が指摘されました。

それを受けて、本年2月8日の第266回委員会におきまして、「消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ」の設置を決定し、座長は鹿野委員にお願いをして、本日までに計8回の会合を開催して議論を行っていただきましたところ、先般、「消費者法分野におけるルール形成の在り方等ワーキング・グループ中間整理」が取りまとめられました。

本日は、最初に、鹿野委員及び事務局から、審議経過及び中間整理の内容について簡単に御説明をいただきたく思います。

それでは、最初に鹿野委員、よろしくお願いいたします。

○鹿野委員 ただいま委員長から御紹介いただきましたとおり、消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループにおいては、これまで計8回の会議を開催し、関連分野の有識者からのヒアリング及び関連団体等からのヒアリングを行い、検討を進めてまいりました。これを受けまして、検討課題とした各論点について、今までのヒアリングから得られた情報等をまとめて整理をするとともに、ここで意見交換をしたところについてもまとめることにしました。

資料2が出されていますけれども、「第1.はじめに」で、先ほど委員長から御紹介があったこのワーキング・グループの発足の経緯を書いてございます。そして、特に第2以下で、各論点についての検討の整理がなされているところです。その上で、今回は中間整理でありますが、後半の検討に向けて、19ページのところで「第4.今後の検討において重点的に検討すべき論点」をまとめているところでございます。このような形でまとめたことを本日御報告させていただく次第です。

この報告書の内容につきましては、更に事務局より御説明をお願いします。

○消費者委員会事務局担当者 それでは、事務局から説明いたします。

まず、先ほども委員長及び座長から御説明がありましたが、この中間整理はこれまでのワーキング・グループのヒアリングにおいて、有識者の方々等から御指摘いただいた点を中心に整理したものになっております。座長からもお話がありましたように、19ページ以下では今後の検討において重点的に検討すべき論点をまとめているという構成になっております。

それでは、要点に絞って説明をさせていただきます。まず、「第1.はじめに」のところですが、「1.検討の経緯」では検討の経緯について書いております。

2ページ、「2.憲法上の論点について」では、消費者の権利が憲法上どのようなものにあるのかという憲法上の位置付けについて検討したところがまとめられております。

3ページ、「第2.消費者法分野におけるルール形成の在り方」ですが、「1.行政規制と民事ルールの役割分担」のところでは、消費者保護を目的とするルールとして行政規制と民事ルールがありますが、この目的や役割分担について整理をしております。(1)では、まず従来の役割分担というところで、行政規制というのは消費者被害の拡大防止ですとか違法状態の除去という目的を実現するために行政が行政処分を行う根拠になっているものですが、これに対して民事ルールというものは、基本的は消費者が裁判によって財産的被害の回復を図るときに根拠とする法律だということで、両者は主体ですとか効果が異なるという整理になっておりました。

それに対して、(1)の4パラグラフですけれども、最近では特定商取引法に行為規制に加えて幾つかに民事ルールが加わっているということですとか、消費者契約法に民事ルールの規定が、適格消費者団体による差止請求の対象となっているというところで、両者の性質は徐々に変わっているというところが指摘されています。

4ページ、「2.努力義務規定の意義」というところです。ここでは労働法の分野を参考にしまして、努力義務規定の意義について検討しております。

5ページ、(1)ですけれども、第2パラグラフにありますように、労働法の分野で立法の過程において労働者側と使用者側が対立して、強行法規を直ちに設けることが難しい場合に、過渡的な措置、規制猶予的措置としてまず努力義務が設けられて、その後に強行法規として行政処分の根拠、または民事上の無効となるような規定が設けられる。そのような手法が採られることがあったという指摘がありました。

また、努力義務規定を設けるだけではなくて、努力義務規定の理念を浸透させるために、行政指導などの行政の関与ですとか、補助金などの経済的なインセンティブですとか、市場のレピュテーションなどの手法を組み合わせるというも指摘としてあったところです。

「3.自主規制の意義」というところですが、ここでは事業者団体が作る自主規制について、業界の事情に応じて具体的な自主規制ルールを定めるということで、事業者の法令遵守の行動を促進する効果が期待できるのではないかという観点で検討しております。仮にこのような自主規制を有効に活用することができれば、個別の事情を反映しつつ適切な規制内容にすることが期待できるのではないかということですとか、事業者の予測可能性が高まって法令遵守の徹底も期待できるのではないかという指摘があったところです。

他方、(1)アの第4パラグラフにありますように、自主規制で全てを自由に委ねて良いかというと、そういうわけではなくて、業界の利益を優先したりアウトサイダーを不当に圧迫するようなことを防止するために、例えば自主規制団体の役員に消費者代表を一定数加えるですとか、自主規制の策定に消費者の意見を反映させる手続を設けるなどの仕組みを設けることが必要であるという指摘もあったところです。

7ページ、ウの自主規制の対象とする範囲や目的ですが、仮に自主規制を設ける対象でどのような範囲を設定するかということについては、業界全体で業種横断的な専門的ルールを設けることはなかなか困難ということもありますので、原則として、業種の特性について共通性がある業界ごとに作ることが有効ではないかという指摘があったところです。

(2)共同規制のところですが、具体的には第2パラグラフにあるように、法令上は行為規制の抽象的なルールを定める。その上で当局の承認の下に事業者ですとか事業者団体が行為規制の一部を自主規制として策定する。そのような自主規制を策定した場合には、自ら作った自主規制に違反した場合を法令違反として執行するという仕組みです。

他方、自主規制を策定しない場合には、当局、行政が設定した基準に違反した場合を法令違反として執行する。このような制度設計について検討したわけですが、このような共同規制を採用するメリットとしては、法令上のルールは抽象的、包括的にしながら、自主規制においては事業者の予見可能性を確保し、個別の事情を考慮した規制内容にできるということが指摘されております。

ただし、このような共同規制というものが有効に機能するためには、その前提として、行政による法令違反に対する法執行が厳しく行われていなければ動機付けが弱くなるということも指摘としてありました。

11ページ、「第3.ルールの実効性確保に資する公正な市場を実現するための方策」というところですけれども、まず1.の(1)では、現状として、あらゆる違法行為を行政のみで取り締まることは困難であるということから、監視主体ですとか是正するための手段を複数用意した上でそれぞれが連携することが必要だということで、具体例を検討しております。

以下、例えば行政ですと景品表示法ですとか特定商取引法、また、独占禁止法などの法律に基づいて行政処分を行うという制度があります。また、消費者個人としては、消費者契約法ですとか特定商取引法による取消しなどの民事的手段を主張すること。適格消費者団体では、消費者契約法その他の法令に基づいて差止請求を行うことができるということ。また、事業者団体においては、独占禁止法などにおいて侵害の停止ですとか予防の請求といった民事手段を執ったりですとか、自主規制に基づいて措置をすることがあるというような手段を挙げております。

13ページ、「2.事業者団体の取組」について書いております。事業者団体というのは、公正な市場の確保に向けた役割の一端を担っているというところで、そのような監視主体となる行政と事業者団体の連携について検討しております。

(1)では、事業者団体の自主規制の運用状況についてヒアリングを行った結果を書いております。具体的にはアのところでは日本貸金業協会からのヒアリング内容、イのところでは公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会からのヒアリング内容について書いております。

14ページ、(2)行政と事業者団体の連携ということで、例えば行政と事業者団体の情報交換をどのようにしているかですとか、事業者団体から行政への情報提供などについて書いております。

「3.適格消費者団体の役割と支援」ですが、ここでは適格消費者団体が公正な市場の確保に向けた役割の一端を担っているということで、その役割ですとか課題、また、必要な支援について検討しております。

(1)適格消費者団体の役割というところでは、第2パラグラフにあるように、適格消費者団体が申入れをしたケースで契約条項ですとか広告表示の改善が図られたケースですとか、適格消費者団体の提訴が契機となって各省庁でガイドラインの改定に向けた検討会が開かれるなどの事例が報告されております。その他、課題としましては、財政面が十分でないということですとか、権限の強化や拡充を求める指摘があったところです。

(2)求められる支援については、先ほど申し上げた財政面の問題ですとか権限の拡充・強化といったところについて書いております。

16ページ、「4.事業者のコンプライアンス体制整備」ですけれども、ここでは事業者が法令遵守に取り組むということで、公正な市場を実現する前提として重要であるため、このようなコンプライアンス体制の構築をどのように広げていくかということをアメリカの制度を参考に検討しております。具体的には、例えば連邦量刑ガイドラインなどの活用によってコンプライアンス体制をどう構築しているかなどを書いております。

17ページ、「5.消費者志向経営の促進に向けた取組と課題」ですが、こちらは消費者志向経営を広げるための活動や制度的な対応について検討したものです。

18ページ、(1)のところでは、ACAPからヒアリングした内容を書いております。ACAPの取組として、研修ですとかセミナー、また消費者志向活動の表彰などをされているという報告があったところです。

また、第4パラグラフにあるように、普及に向けた今後の取組として考えられることとしては、自治体を含む行政と事業者団体の連携などについて指摘があったことを書いております。

また、消費者志向経営を広めていくに当たって、取り組むことのメリットですとか、取り組まないことのデメリットがより明確に見えることが必要ではないかという御指摘もあったところです。

それと関連して、(2)のところですけれども、行政による不利益処分と消費者志向経営の促進というところで、例えば課徴金制度をより柔軟に運用するために、課徴金に一定の幅を設けた制度とした上で、消費者志向自主宣言をしているということですとか自主申告したということを課徴金軽減の要素としたりですとか、調査妨害や書類提出に非協力的であったことを加重要素としてはどうかという指摘があったところです。

最後に「第4.今後の検討において重点的に検討すべき論点」ということで、5点挙げております。一つ目が民事ルールと行政規制の役割分担・連携というところです。例えば消費者契約法と特定商取引法の役割分担ですとか規定の定め方がどうあるべきかなど、消費者法分野における民事ルールと行政規制の役割分担や連携についてどのように考えるかということにしております。

二つ目が執行の強化ということで、行政と事業者団体、消費者団体との連携や、その役割分担についてどのように考えるべきかということ、その際、特定公共サービス活用等により行政処分に至る権限の一部を消費者団体や事業者団体などの民間団体に委託することについてどう考えるべきかとしております。

三つ目が事業者団体の役割の強化ということで、具体的には自主規制を活用してルール形成を行うことについてどのように考えるべきかですとか、自主規制団体の設立や活動を促進する方策についてどのように考えるかとしております。

20ページ、四つ目が適格消費者団体の役割の強化というところで、適格消費者団体への経済的な支援ですとか団体訴権に関する権限の強化・拡充と行政の連携についてどのように考えるべきかとしております。

五つ目がコンプライアンス体制・消費者志向経営の普及に向けた方策ということで、コンプライアンス体制の構築ですとか消費者志向経営について、中小企業を含む事業者全体に普及させるための方策としてどのようなものが考えられるかというような内容になっております。

説明は以上です。

○高委員長 ありがとうございました。

ただいまの説明、中間報告の整理の内容に関しまして、御意見、御質問がございましたら、どうぞ御発言ください。

池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 今、ポイントをほぼ網羅的に報告をしていただきました。この報告書に尽きるといえば尽きるのですが、19ページからの今後秋以降更に検討する課題について少し補足させていただきたいと思います。民事ルールと行政規制の役割分担というところで、その前の本文の中でも幾つか議論を重ねてきたところで、具体的には3ページから4ページで議論したところを踏まえて19ページのところを申し上げます。

今は消費者契約法と特定商取引法があり、特定商取引法は行政規制もあるし民事ルールもある。消費者契約法は民事ルールが基本だけれども、適格消費者団体の差止請求権がある。要するに、性質や仕組みが似通っているのではないかと一般に思われがちなのですが、きちんと議論していくと、行政処分というのはそれに当てはまるという判断をする者と、それを命ずる者が同一で、行政機関が業務停止を命令したら効力が発生する。だから、濫用があってはならないので、厳格な要件を定める。ただ、それを行政処分だけではなく民事の効果も附随させることによってより効果的にするというもので、行政規制が基本にある。消費者契約法は、民事ルールというのは申し立てる側と相手方とで意見が違えば裁判所という第三者が判断をする。だからある程度抽象的な規定でもいい。一番はっきりしているのが民法で、例えば公序良俗違反とか信義則とかという、本当に抽象的な概念だけれども、それは一方の言い分がそのまま強制されるのではなくて、裁判所が最終的に判断するからああいう規定が許されている。

では、適格消費者団体とは何だろうか。実は適格消費者団体が差し止めを命令する権限はないわけで、差しとめる必要があるということを裁判所へ申し立てて、裁判所が判断をする。その意味では、民事ルールの構造の延長なのです。このように整理していけば、特定商取引法と消費者契約法で要件の書きぶりが、共通に近づき過ぎている点はもう少し性質で分けていく必要があるだろうという結論に至ったわけです。

ただ、消費者契約法は相談の現場でも使いますから、具体的な例示列挙が豊富にあるというのは、それはそれで使いやすい。その意味で本年あるいは一昨年、消費者契約法に具体的な例示列挙の規定がある点はむしろ肯定的に評価をして良いのではないか。しかし、それだけでは不十分で、困惑類型とか、そういった包括的な規定も必要ではないだろうかと。そのように整理することができるのではないかと思います。その辺りを後半ではもう少し明確にしておく必要があるかと思います。

長くなりますが、2番目の執行の強化というのは、業界団体の自主規制であれ、あるいは適格消費者団体の役割であれ、一番核となる悪質業者に対しては行政機関による行政処分、立入検査とか報告徴収によってそこがしっかりしてもらわなければいけない。それとともに適格消費者団体は独自の役割でやれるところはやっていくという、両方とも強化しなければいけないのだということが前提です。

この執行の強化のところに特定公共サービス改革法を活用してという趣旨の文言があって、これは人によっては、この法律は例えば法務局のある部門を民間に委託できるようにするという意味では行政の体制を削減するときに使われた法律ではないかと思われるかもしれませんが、決して今回は行政の執行権限を縮小して良いという意味でここを言っているのではないということは、誤解なきようにお願いしたいと思います。むしろ適格消費者団体が全くの民間で、自主的に独自に自分たちでやりなさいとするのではなくて、これも市場の監視者としては非常に重要な役割なのだから、そこに向けて財政的な支援とか社会の中での位置付けをはっきりさせるためにという文脈で、適格消費者団体の位置付けをどう見ていくかという議論の一環として触れてあるのだというところを正確に受け止めていただければと思います。その意味では、後半では適格消費者団体の位置付けのこと、あるいは事業者団体の自主規制というもの、事業者団体をどうこれから育成していくのか、このような辺りを更に深掘りしていくことができればと思っています。

以上です。

○高委員長 補足をありがとうございました。

他に御意見、御発言はございませんでしょうか。よろしいですか。

鹿野委員、どうぞ。

○鹿野委員 座長代理を務めていただいているのですが、池本委員には御指摘、補足をいただきまして、ありがとうございました。

今、御指摘のあったいずれについても私自身も思いを同じくしているところでございまして、特に第1点の民事ルールと行政ルールの在り方については、この間の議論を見ていて、少し違和感を感じることもあり、この辺りで大きな枠組みにつき整理をしておかなければいけないのではないかと感じました。この点もこのワーキング・グループを発足した一つのきっかけになっているところでありますし、このワーキング・グループの具体的な会議の場でも私自身もそういう発言をさせていただいたところです。中間整理ですから、今後また更に重点的な項目について検討を深めることを予定しておりますし、今、補足をしていただいたうちの第1点だけではなくて、執行の強化あるいは適格消費者団体の役割強化などにつきましても検討していきたいと思います。また、公共サービス改革法の記載の意味合いについても補足的に御説明いただきましたけれども、この点も十分に踏まえて後半の検討を進めてまいりたいと考えております。

○高委員長 ありがとうございます。

増田委員、どうぞ。

○増田委員 消費者契約法、特商法の改定の中でいろいろな厳しい議論があったところから、このような取りまとめをしていただくことで、社会的にも理解が深まるのではないかということで期待します。ありがとうございました。

事業者団体の重要性というのがこれから更に強まると思うのですけれども、事業者団体の作るガイドラインや自主規制など、そういうものが広く市民の中で標準化され、周知されるということが非常に重要で、事業者団体に入っていない事業者たちに対しても、法律ではないけれども基本的なものはこれだということがはっきりと言えるようなものであってほしいと思います。それによって消費生活センターの中でのあっせんもスムーズに解決することが期待されますので、その辺りのところも是非よろしくお願いしたいと思います。

○高委員長 ありがとうございます。

鹿野委員、どうぞ。

○鹿野委員 先ほど言葉を出すのを失念しましたが、今、御指摘のあったように、ルール形成においては、事業者団体にどのように理解していただき、御協力を得て進めていくのかということが非常に重要で、今後、これも含めて重点的に検討していかなければいけないと考えているところです。ここでのヒアリングにおいても、かなりいろいろな取組について御報告等もいただきましたし、課題についてもお示しいただいたところですので、これらを踏まえて今後更に検討してまいりたいと思っています。

○高委員長 ありがとうございました。

樋口委員、どうぞ。

○樋口委員 中間整理をまとめられて、私もこの整理については同感ですし、池本座長代理からのお話についても同意見ですけれども、1点だけ特にこの場で申し上げておきたい、ワーキングの中でも申し上げたのですが、今日の状況において、例えば超高齢社会になるなどということで脆弱な消費者の問題が非常に大きな課題になっていまして、こういった議論を今後進めていくに当たっては、そういった脆弱な消費者に対してどう対応、保護をしていくのかということについて、是非温かい仕組み作りを考えていく必要があるのではないか。その意味でイギリスの例として12ページに脚注を入れていただきましたけれども、行政についても体制強化をして、さまざまな状況に置かれている消費者に対してしっかりとした温かな対応ができるようにということを是非中身として今後盛り込んでいっていただければということで、後半の議論に大いに期待しています。

○高委員長 どうぞ。

○鹿野委員 ありがとうございました。

これも今、おっしゃったように、これまでの第8回のワーキングにおいても御指摘をいただいたところであります。高齢社会の問題は、報告書の最後の今後の重点的な課題との関係でいうと、かなり複数の項目にままたがって関わるところであります。そこで特出しして別個に論点として挙げるという形にはしておりませんけれども、最初の1ページにこのワーキングにおける検討を開始した背景ということで、そのような問題意識を挙げさせていただいているところです。それも踏まえまして、今後各論点について検討してまいりたいと思います。

それから、イギリスのワンストップのサービスなどについても、非常に参考になる情報を既にこの委員会でも得ているところですし、そのような外国の例も参考にしながら、日本においてどのような形で高齢者を含めた消費者に優しい仕組み作りができるのかを検討していきたいと思っています。

○高委員長 ありがとうございました。

よろしいですか。

私も2点だけ発言をさせてもらいます。鹿野座長から回答は要りません。

これまで論点を決めていろいろな方々からヒアリングをして、それをまとめていただいたというのが18ページまでの内容でして、これから19ページ目以降のところで、秋以降、かなり集中的にもっと具体的な議論を深めていこうという構造になっております。

私が2点申し上げたかったのは、15年前の21世紀消費者政策の在り方についての議論の中で、連邦量刑ガイドラインの言及が既にあったということ。今後消費者行政というのは、大きな政府は作っていけないという限られた状況の中でどう効率的に行政規制を働かせていくかという議論の中で、このような知恵があるという紹介があって、更には地方自治も今後恐らく縮小していくような状況の中で、この論点は明確に整理しておく必要があるのではないかということで、18ページの(2)に、例えば(連邦量刑ガイドラインに倣い)、このような方法がありますよという提案が出ているわけですね。同じ課徴金を課すのでも柔軟な仕組みでもって、事業者側の協力をもらって調査ができるようにとか、そういう仕組みを考えていくべきではないかと。これが一つ、15年前の話を何とか今回きちんと道筋をつけたいということです。

もう一つ、19ページに「不当利益の吐き出し」とあります。この言葉は厳しいかと思いますけれども、2002年9月に事業者も非常に悩んだ事件がございまして、北海道の狭山と元町で肉の産地の偽装があったということで、事業者が行った調査の中で見つかったということで、お客様に返金しなければいけないということで返金をやったわけですけれども、1年前の領収書を持っておられる方はいないということで、自主申告で結構ですということをやりましたところ、とんでもない状況になってしまった。それ以降、不当に得た利益はどうやって返したらいいのかが全く明確にならないままそのまま進んできている。

例えば課徴金というのは問題となった売り上げの数%、3%うんぬんという話があるのですけれども、これも議論する必要があると思っているのは、それはあくまでも不当な利益の吐き出しではないと規定されていることです。要するに、それは、行政規制に違反したから、それに対する一種のペナルティーだということですので、不当な利益の吐き出しにはなってはいないわけです。私自身ずっと悩んでいるのは、法の枠組みを見ますと、返金した場合には課徴金額が減額されるとなっており、不当利得の吐き出しの話がここに混ざってしまっています。この議論を分けなければいけないということで、その整理を景表法について、更には特商法についても両方やった上で、本来、消費者に返すべきものは返したいと思っている事業者さんもいらっしゃるわけですから、不当な利得の受皿作りも併せて考え、消費者行政全体が回るような仕組みも作って行くべきと考えているところです。

いずれにしましても秋以降、鹿野座長、大変かと思いますけれども、期待されるテーマですので、引き続きよろしくお願いいたします。

(消費者委員会事務局担当者 退席)

≪4.その他≫

○高委員長 次に、議題「その他」といたしまして、新開発食品調査部会から報告事項がございます。

長田部会長代理から御報告をお願いいたします。

○長田委員 今日、受田部会長が御欠席なので、代わって御報告いたします。

特定保健用食品の表示許可に係る答申について御報告です。平成30年6月11日に開催した第45回新開発調査部会の議決について、新開発食品調査部会設置・運営規程第7条に基づき、委員長の同意を得て委員会の議決とし、7月31日付及び8月7日付で内閣総理大臣へ答申を行いました。

お手元、参考資料1の答申書を御覧いただければと思います。内閣総理大事より諮問を受け、第45回新開発食品調査部会において安全性及び効果について審議を行った結果、指摘事項を確認の上、了承することが部会長に一任にされ、申請者からの回答書を確認し、特定保健用食品として認めることといたしました。

私からの報告は以上です。

○高委員長 報告ありがとうございました。


≪5.閉会≫

○高委員長 本日の議題は以上となります。最後に事務局より、今後の予定について御説明をお願いいたします。

○坂田参事官 次回の本会議は日程が決まり次第、委員会ホームページを通じてお知らせいたします。

以上でございます。

○高委員長 本日はこれにて閉会とさせていただきます。

どうもお忙しいところを御参集いただきまして、ありがとうございました。

(以上)