第272回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2018年4月12日(木)16:00~16:44

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    高委員長、池本委員長代理、受田委員、大森委員、蟹瀬委員、長田委員、樋口委員、増田委員、山本委員
    (高委員長の「高」は、正しくは「はしごだか」)
  • 【説明者】
    消費者庁佐藤取引対策課長
    金融庁総務企画局井上信用制度参事官
  • 【事務局】
    黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官、友行企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 特定商取引法施行令の一部改正について
  3. オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会の設置について
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○高委員長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから「消費者委員会第272回本会議」を開催いたします。

皆様、お忙しいところを御参集いただきまして、ありがとうございます。

本日は鹿野委員が御欠席で、長田委員は若干遅れて出席されるということでございます。

それでは、配付資料の確認につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

○丸山参事官 お手元の議事次第の下部に配付資料一覧を記載しております。資料1-1から資料2、参考資料は1と2になっております。もし不足がございましたら、事務局までお申出いただきますようよろしくお願いいたします。


≪2.特定商取引法施行令の一部改正について≫

○高委員長 最初の議題は「特定商取引法施行令の一部改正について」でございます。

本件につきましては、銀行法の改正に伴うものとして、資料1-1のとおり、本年4月9日に内閣総理大臣から特定商取引法における適用除外に関する政令の改正について諮問がございました。

本日は、この諮問事項について、消費者庁、金融庁からヒアリングを行い、審議を行った上で、委員会としての判断を示すこととしたく思います。

本日は、消費者庁佐藤取引対策課長、金融庁総務企画局井上信用制度参事官に出席をいただいております。お忙しいところを御出席いただきまして、ありがとうございます。

それでは、早速、施行令改正の概要等について、15分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁佐藤取引対策課長 消費者庁の取引対策課長の佐藤でございます。

今、委員長から御紹介いただきましたように、本日は銀行法の改正に伴います特定商取引法の施行令の改正、特定商取引法の適用除外に関する政令の改正ということで、お諮りをするものでございます。

銀行法の改正の詳しい中身については、この後金融庁から御説明をいただけると思いますので、私からは、この特商法の関係の御説明をさせていただきます。

お手元の資料1-2を御覧ください。「1.諮問の背景」と書いてありますけれども、詳しくは後ほど金融庁からお話があると思いますが、いわゆる情報通信技術の進展に伴う金融機関とIT企業等との適切な連携・協働、これを推進する。こういう観点から銀行法の改正が行われたところでございまして、29年の6月2日に公布をされているということでございます。

この改正銀行法において、電子決済等代行業というものが規定をされまして、これまで法的位置付けが不安定であった電子決済等代行業者、いわゆるフィンテック企業のうちの一つということですけれども、これを登録制に係らしめるということ。さらに、利用者保護のための措置を講ずる。こういうような制度的な枠組みの整備が図られたところでございます。

「2.諮問事項」でございますけれども、これに伴いまして、特商法の適用についての整理をする必要があるということでございまして、ここにありますように、従来から特商法においては、他の法律の規定によって訪問販売、通信販売、または電話勧誘販売に係る取引を行う購入者等の利益を保護することができると認められる場合には、特商法による規制の適用除外という整理をしているところでございます。

具体的なメルクマールとしては、2番目の○にあるとおりでございますけれども、まず1点目として、消費者保護のための規制が整備されていること。2点目として、当該規制に違反した場合に是正措置、例えば業務停止命令でございますけれども、こういうような措置が整備されていて、消費者保護のために是正措置の発動が見込まれることということをメルクマールにしてきたところでございます。

今般の改正銀行法に規定する電子決済等代行業者についても、以下に述べます理由によって、この二つのメルクマールを満たすものと考えておるところでございます。

2ページ目、まずマル1でございますけれども、電子決済等代行業者が電子決済等代行業を行う場合には、あらかじめ、この事業者の名称や住所、苦情または相談に応ずる営業所の連絡先、こういったものを明らかにしなければならないということになっております。また、電子決済等代行業に関して、利用者に対する誤認防止のための情報提供、利用者情報の安全管理、第三者に業務委託する場合の的確な遂行その他の健全かつ適切な運営を確保するための措置を講じなければならないということとされておりまして、これらのことから、消費者保護のための規制が整備されていると考えられます。

マル2でございますけれども、電子決済等代行業者は、内閣総理大臣による登録制ということになっておりまして、内閣総理大臣は電子決済等代行業を適正かつ確実に遂行する体制の整備が行われていない者の登録を拒否しなければならないとされております。また、内閣総理大臣は、この事業者の業務の健全かつ適切な運営を確保するため必要があると認めるときなどには、業務改善命令または登録の取消し、こういうことができるとされております。したがいまして、消費者保護のために是正措置の発動が見込まれると考えております。

これらのことによって、改正後の銀行法に規定されます電子決済等代行業者が行う電子決済等代行業については、特定商取引法の適用除外とするための基準を満たすと考えておりまして、施行令を改正いたしまして、特商法の適用除外とするための措置を講ずることとしたいと考えているところでございます。

また、銀行法のほかにも、ここにあります関連法においても同様の事業が規定されておりますので、これらについても併せて特商法の適用除外とするための措置を講じたいと考えているところでございます。

私からは以上でございます。

○金融庁総務企画局井上信用制度参事官 引き続き、金融庁から御説明をさせていただきます。

金融庁の総務企画局信用制度参事官の井上と申します。

お手元に配られております資料1-4「銀行法等の一部を改正する法律案の概要」という紙について、御説明をさせていただきます。

まず、法律の背景・問題意識につきましては、資料の上段に記載しておりますが、フィンテックの動きにつきまして、引き続き世界的規模で加速していると認識しております。こうした中にありまして、我が国でも利用者保護を確保しつつ、フィンテックの動きを利用者利便や企業の生産性向上など、日本の金融経済の発展につなげていくことが、引き続き重要な課題であると認識しております。

その際、我が国では、諸外国と比べまして、銀行システムが提供しておりますネットワークが発達していることなどに鑑みて、金融機関とフィンテック企業との連携・協働による革新、いわゆるオープンイノベーションを進めていくことが大変重要であると考えております。この法律は、そのための制度的枠組みを整備させていただいたものでございます。

資料の中段「現状」という部分を御覧いただければと思います。絵の中央に「電子決済等代行業者」とございます。これは銀行ではなく、顧客からの委託を受けて、ITを使った仲介サービスを提供する事業者でございます。フィンテックの動きの中で、顧客のニーズを起点としたサービス展開の一つの核となることが指摘されておりますけれども、これまで電子決済等代行業者、こうしたものにつきましては、直接の制度的な枠組みはございませんでした。また、こうしたサービスの多くが顧客からのインターネットバンキングのパスワード等を預かり、金融機関との間で明確な法的関係を構築することなく、いわば顧客に成り代わって銀行システムにアクセスするという方法で提供されていたところでございます。

こうした状況につきましては、例えば利用者側から見て情報セキュリティー等に不安がある、あるいは、フィンテック企業の側から見ても、本来であればパスワードを預かることなくサービスを提供したい。また、業として、法制上の位置付けを明確にしてほしいという御指摘がございました。さらに、金融機関の側から見ても、こうしたフィンテック企業と適切な形で連携・協働していくことが重要な課題と認識されてきたところでございます。

以上を踏まえまして、資料の下段の「制度的枠組みの整備」でございますけれども、この法律では、金融機関とフィンテック企業とのオープンイノベーションを適切な形で進めていけるように、金融機関に接続する電子決済等代行業者に登録制を導入させていただきまして、その下にございますとおり、顧客情報の適切な管理や接続先の金融機関との契約締結を求める。それと同時に、金融機関にはオープンAPIという技術を使いまして、それの導入に係る体制の整備に努めること、あるいは、電子決済等代行業者との接続基準の策定・公表を求めるなどの措置を講ずるものでございます。

具体的な措置といたしましては、まず体制整備、安全管理に係る措置としまして、電子決済等代行業者に対しまして、利用者保護のための体制整備ですとか、情報の安全管理義務、財産的基礎の確保等を求めることとしております。また、電子決済等代行業者に対して、サービスの提供に当たりまして、利用者の損害に係る賠償責任の分担ですとか、あるいは利用者に関する情報の安全管理を含む契約の金融機関との締結を求めることとしているところでございます。

さらに、オープンイノベーションの推進に係る措置といたしまして、金融機関側に対しては、電子決済等代行業者との接続に係る基準の策定・公表などを求めることとしております。

本法律は、先ほどございましたとおり、平成29年6月2日に公布されております。また、その施行期日につきましては、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日としておりまして、現在、その期限に間に合わせるように、施行に向けた政令、内閣府令等の整備等の準備を進めているところでございます。

金融庁からの説明は以上でございます。何とぞ御審議のほどよろしくお願いいたします。

○高委員長 ありがとうございました。

ただいま、消費者庁、金融庁から説明をいただきました。御質問、御意見ございましたら、どうぞ御発言ください。

池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 御説明ありがとうございました。

基本的な枠組みとして登録制を加え、そして、業務の適正さについて行政的に監督をし、必要に応じて行政的な規制ができるという枠組みがあるという意味では、特定商取引法の適用除外にする基本的な判断としては、それでよろしいのかと思っております。ただ、この電子決済等代行業というものの性質が、インターネット上のサイト事業者の中には、玉石混交で不適正あるいは悪質な業者も登場しているという実情の中で、本当に今の条文だけで大丈夫だろうかという不安もあるので、その辺りの意見を申し上げて、確認的な質問もさせていただきたいと思います。

これまでで言うと、クレジットカード決済、あるいはプリペイド決済、あるいはデビット決済などが、サイト業者の画面からクリックボタン一つで決済手続に進んでいくことができる。この電子決済等代行業も位置付けが明確になれば、そのように本当にワンクリックで手続に乗っていくという意味では選択肢が増え、便利なものになるということは一方にあります。しかし、それを悪質サイト業者などが使って、本当にワンクリックの手軽さのためにどんどんトラブルが増えていくことになりはしないかということが危惧されますし、現にクレジット決済やプリペイド決済でそういう問題が起きています。ちょうど昨年などにも資金決済法の21条の2ですか、苦情の適切処理の義務ということで、そういうトラブルがあれば販売店について事実関係を調査したり、自らあるいは提携先を通じて調査したり、必要な措置をとるということで、割賦販売法と同じような条文が入りました。

今回、銀行法等の改正の条文を拝見し、あるいは今、検討中の内閣府令等も少し見たのですが、登録拒否事由の中に、代行業の適切かつ確実な遂行をする体制の整備というようなものが登録拒否事由に規定していたり、あるいは、苦情相談の連絡先の明示という規定まではあるのですが、具体的に苦情が出たときにそれをきちんと対処する、適切処理義務という条文になっていないというところが気掛かりなところなのです。

その辺りで質問としては、そういった悪質サイト業者などに使われることを繰り返しているようなときに、それはこの電子決済等代行業者がきちんと適切に処理するということが一定の義務的な位置付けとして要求されているのか、あるいは行政的な措置としてきちんと事業者を指導あるいは処分も含めて対処するということがこの法制度でできるのかどうか。その辺りについてお伺いしたいと思います。

○金融庁総務企画局井上信用制度参事官 お答え申し上げます。

電子決済等代行業者については、池本委員長代理が御指摘のとおり、苦情または相談に応じる営業所等の連絡先について、利用者に対する説明事項として規定されているところでございます。それに加えまして、当該業者については法定事項として誠実義務が課されているというところではございます。その後ということでございますけれども、一つは行政上の担保ということはもちろん考えられます。当庁に監督・検査権限が付与されているということを前提にして対処させていただくということでございます。

もう一つの枠組みとして、電子決済等代行業者はサービスを提供するに当たりまして、銀行と契約を結ぶ形の枠組みにしてございます。それはフィンテック企業ですので、必ずしも体制整備が十分でない場合も有り得ると考えまして、銀行からチェック機能が働くような仕組みというものを併せて制度設計の段階で手当てさせていただいたということでございます。したがいまして、何かあった場合には、銀行から契約解除、その場合には当然法律上の仕組みとして電子決済等代行業を続けることはできなくなるというようなことも、併せて担保措置として考えられるのではないかと思っております。

○高委員長 よろしいですか。

どうぞ。

○池本委員長代理 今、銀行ルートでのチェックが入ることと、行政的なチェックも最終的にはあるということの御説明もお伺いしましたが、たしか資金決済法、プリペイド決済のときにも登録拒否事由というところで一定の規定があり、そして、行政処分が背後にあるということで当初は御説明があったのですが、プリペイド決済の分野で悪質サイト業者のトラブルが横行する事態があって、資金決済法21条の2を後から加えた経緯があったと思います。その意味ではまだスタートしていないので、現時点で今の法律では不備だと言うわけにもいかないのでしょうが、そこはしっかりと事態を把握していただいて、必要に応じて義務の中身の明確化ということもまた検討していただく必要があるのかなと思いますので、今後の問題も含めてよろしくお願いしたいと思います。

○他委員長 ありがとうございます。

ほかはございますでしょうか。

よろしいでしょうか。

山本委員、どうぞ。

○山本委員 今の義務の明確化という点なのですけれども、銀行法の52条の61の8が引用されていて、そこでは、例えば情報の適正な取扱いという文言がありまして、これは内閣府令で定めるところによりとなってございますけれども、内閣府令のレベルでどこまでこれを更に具体的に定めることを予定されているのか。あるいは、内閣府令よりも更に下位のレベルと申しますか、ガイドラインとか、そういったものによって更にこれを具体化するような定めを何らかの形ですることを予定されているのか。その辺りをお伺いできればと思います。

○高委員長 お願いできますか。

○金融庁総務企画局井上信用制度参事官 ただいまの御質問ですけれども、基本的には電子決済等代行業の利用者に関する情報の適切な取扱いというものについては、内閣府令でそのまま記載するという形になっています。さらに、再委託などがあった場合に、再委託先についての管理というものは内閣府令で特記する予定にしておりますということでございます。かつ、個人情報につきましては、当然個人情報保護法が適用されますし、金融分野に関しては、金融分野における個人情報保護法のガイドラインというものがございますので、それも電子決済等代行業者に適用されるという前提でございます。

○高委員長 よろしいですか。

増田委員、どうぞ。

○増田委員 こういう制度を活用される顧客の方は限られるのではないかと思います。これから広がるかもしれませんが、複数の銀行を利用されているような方だと思います。使うことの具体的なメリットというのは、十分にまだ国民の方が御理解されている状況ではないと思います。反面、銀行とか電子決済等代行業者の方から、こういう制度を使ってくださいというような勧誘などがこれから出てくる可能性もあるかと思います。そうしたときに、手数料がどれくらい掛かって、その方にとってどういうメリットがあるのかということが十分に理解されていないケースもあるわけで、これが特商法の適用がない状況であれば、そこはしっかりと説明をしていただく必要があるかと思いますし、広告であったり、説明書きであったり、そのようなところも分かりやすくしていただくことが求められていると思います。その辺りのところは御認識していただいているかと思うのですが、いかがでしょうか。

○金融庁総務企画局井上信用制度参事官 もちろん利用者に対してリスクも含めて適切に御説明いただくというのは、当然事業者としての責務であろうと考えております。それについて、不適切なものがあった場合は、一般的な監督権限を行使する場合も有り得るかとは思います。

○高委員長 よろしいですか。

それぞれ委員から幾つか懸念されるところが指摘されましたけれども、基本的に今の特商法の枠組みでは、その懸念に十分に応えていけないという理解は、委員の間で共有できていると思っております。そういう解釈でよろしいですか。今日説明をいただきました適用除外の条件2点については、これを満たしている。むしろ銀行法の下できちんと管理していただくほうが、法的な位置付けを明確にしてもらったほうが合理的ではないかという解釈で委員の方々は理解していただいていると思っております。よろしいでしょうか。

蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 一つだけ感想を付け加えさせていただくならば、中間の業者がパスワードを持たないというのは非常に安全性が高まって良いかと思います。成り済ましで注文される、使われる危険性がなくなるという点でも大変良いかと思います。このこと自体は問題ではないのですが、これからはパスワードがないわけですから、金融業者のところに集まっている個人の情報から同一人物であるという一つの鍵を代行業者に渡して認証をしていくというやり方ということですね。

○金融庁総務企画局井上信用制度参事官 今後は、APIを用いれば原則として電子決済等代行業者がパスワードを持たないことになります。

○蟹瀬委員 今回のやり方の中で私が消費者として気になるのは、金融機関の中に個人の情報が全て集まっている。それが悪用されては困るということであります。これは当然法律で守られていることだと思いますけれどその辺りの理解を、これが広がっていったときに、消費者が分かるようにしていただくとことが大事だと思うのです。そうでなければ、ただ、怖いなという不安だけが、一人歩きしてしまいそうな形になります。その辺りをはっきり、金融庁で一般の消費者に分かるように説明していただければ良いかと思っています。

○金融庁総務企画局井上信用制度参事官 制度の施行に併せまして、一般の消費者の方も含め、制度の広報、周知にも努めてまいりたいと思います。

○高委員長 それでは、懸念事項はいろいろあるのですけれども、この提案に関しましては、特に異論はないと思います。

答申案を配付していただけますでしょうか。

(答申案配付)

○高委員長 この答申案は、平成30年4月9日付の消取引第88号をもって当委員会に諮問のあった事項については、特定商取引に関する法律の趣旨に鑑み妥当であり、その旨答申するというような内容でございます。

これで答申してよろしいでしょうか。

ありがとうございます。

以上、金融庁、消費者庁から説明をいただいたのですけれども、今回諮問を受けましたこの電子決済等代行業者については、利用者の保護に向けた制度が、今の説明ですと整備されたということで、特定商取引法の適用除外とすることが妥当であると答申をしたわけでございます。一方で、委員の方々からいろいろ御指摘がありましたとおり、金融技術の革新、いわゆるフィンテックの進展に伴う新しいサービスですけれども、個人の金融資産に関する情報を幅広く扱うことになっていくわけでございますので、今後どのような消費者トラブルが発生するか、懸念だけで現時点では何が起こるかはよく予想ができないということで、今後、特に金融庁におかれましては、銀行等と連携して、消費者保護に向けた環境整備に積極的に取り組んでいただければと思っております。

当委員会としましても、本制度の運用状況は今後もフォローさせていただきたいと思っておりますので、環境整備の状況等について、必要があればしかるべきときにまた説明をいただくことになると思いますので、御協力よろしくお願いいたします。

消費者庁、金融庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。これで第1の議題を終了させていただきます。

○金融庁総務企画局井上信用制度参事官 ありがとうございました。

(消費者庁、金融庁退席)

≪3.オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門委員会の設置について≫

○高委員長 次の議題は「オンラインプラットフォームにおる取引の在り方に関する専門調査会の設置について」でございます。

電子商取引の利便性向上等に伴い、インターネットショッピングモールやマッチングサイトなど、いわゆるオンラインプラットフォームを介在する取引が拡大しております。こうした取引の中には、B to C、事業者対消費者のものだけではなく、C to C、消費者対消費者のものもあり、消費者も容易に商品・サービスの提供者として取引に参加することが可能となっています。また、評価・レビュー、レーティングといった仕組みが、重要な取引の決定要因の一つとなっている点にも特徴がございます。

しかし、現時点においては、こうした取引に関わる商品・サービス提供者、それらの購入・利用者、プラットフォーム運用者がそれぞれどのような責任や義務を担うべきか必ずしも明確にされておりません。

こうした状況を踏まえ、取引の素人としての消費者ないし個人が商品・サービスの提供者、購入・利用者として安心してこうした取引を利用することができるよう、必要なルール、仕組みについて調査審議するため、当委員会としては、本件について新たに専門調査会を設置し、具体的な検討を行いたいと思っております。

お手元に「消費者委員会 オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会 設置・運営規程(案)」を配付しておりますので、事務局より説明をお願いいたします。

○友行企画官 資料2を御覧いただけますでしょうか。「消費者委員会 オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会 設置・運営規程(案)」でございます。

総則のところでございますが、このオンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会の設置、所掌事務等につきましては、この規程の定めによるところになるというところでございまして、第三条でございますが、所掌といたしましては、オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する重要事項について調査審議するということでございます。

第六条、審議の公開でございますが、2のところでございますけれども、専門調査会は、会議を公開することにより、当事者もしくは第三者の権利もしくは利益または公共の利益を害するおそれがある場合その他座長が非公開とすることを必要と認めた場合を除き、公開するというところでございます。

第七条の議事録の作成でございますが、こちらにつきましては、議事録を作成し、公開するというところでございます。

以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

ただいまの事務局の説明につきまして、御質問、御意見がございましたら、御発言ください。

この専門調査会は委員の方、多数の声でこの調査会を作ることになっておりますけれども、非常に御関心が高いのではないかと思います。どうぞ、御発言ください。

これは是非必要なのだというところを、長田委員、どうでしょうか。

○長田委員 現実に様々サービスがどんどん展開されていて、そして、思いも掛けないような利用の仕方もどんどん発展しているものだと思いますので、専門調査会できちんと検討していただき、必要なルールがもしあれば、そういうものについても検討ができるというのはすごく良い機会だと思っています。

○高委員長 ありがとうございます。

ほか、いかがでしょうか。

増田委員、どうぞ。

○増田委員 プラットフォームは、どういうものをプラットフォームと言うのかというところから整理する必要があるのではないかと思います。また、法律上の考え方として、プラットフォームの責任というのが一定程度のものと示されてはいるのですけれども、一般消費者から見ると、プラットフォームが大きければ大きいほど、非常にそこを信頼する、信頼性が高くなると、現実には受け止められていると思います。ですから、法律でどうかというよりも、その責任というものをきっちり理解していただき、消費者にもプラットフォームというのはこういうものということを理解していただく。そういう機会にもなるかと思いますので、是非良い検討をしていただきたいと思います。

○高委員長 ありがとうございます。

ほか、よろしいですか。

どうぞ。

○池本委員長代理 池本です。

この調査会での検討というのは、何法のどの辺りにこういう規定を置こうとあらかじめ決めて、そこを審議して提案するということが見えているわけではなくて、本当にそれこそ定義というか、対象、枠組みの理解の問題から始まり、運営事業者の問題、しかもB to CもあればC to Cもある、そういう非常に見えにくいところを議論していくという意味では、現実の事業者としてどういう取組をしておられるかもお伺いしたいし、利用する消費者の側がどういう意識で使っているか、あるいは現実にどういうトラブルがどのぐらいあるのかという基礎的なところの確認から始める。あるいは、こういう問題ですから、諸外国でもいろいろな取組があるのかどうか、その辺りは私も詳しくはないのですが、多少時間を掛けてでも幅広に議論し、一挙に全部結論が出なくても更に課題とすることと、少なくともこれは取り組むべきだということを可能な限りまとめていくことができれば良いのではないかと感じています。

○高委員長 ありがとうございます。

受田委員、どうぞ。

○受田委員 C to CあるいはCという定義も含めてしっかりした議論が必要かと思います。特に成年年齢の引下げの議論もございますし、こういったプラットフォームにアクセスする対象というのは非常に広くて、我々が通常ビジネスの世界で見るようなCとは違ったカテゴリーが入ってくること、あわせて、池本委員長代理がおっしゃったように、このネットによるビジネスというのは国境がありません。ですから、そういったところも踏まえつつ、枠をはめるのではなくて、かなり従前のものよりも多様な視点で議論いただくようお願い申し上げたいと存じます。

○高委員長 ありがとうございました。

蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 今、受田委員がおっしゃったとおりなのですが、消費者という捉え方が大変違ってきている昨今、昔は明確に実存するお店があり、そして、人がいたという時代から、今はネットの中で実態が非常につかみにくいところで商売が成り立っている。今までの法律だけで見ていくと、どうも当てはまらないものが出てくるのはないか。その辺りに焦点を合わせてやっていく。アメリカのECサイト、ECの事情を見ていると、サイバーパトロールとか、そういうものが実存して、結構危険なことが起こっている国がすでにあります。日本の中にあってもサイトは世界を越えていきますから、日本の消費者が知らないことがたくさん起こっていくかもしれません。。そういうことも踏まえながら、今後どういった施策をしていかなければいけないか、法律を決めていかなければいけないかというところのスタートをこの委員会でさせていただければと思っています。

○高委員長 ありがとうございます。

他にも御発言されたい方がいらっしゃるかと思いますけれども、非常に関心が高いということだけ、ここで確認をさせていただきました。

それでは、先ほどのオンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会を設置する旨を盛り込んだこの設置・運営規程、これを決定させていただきます。よろしいでしょうか。

ありがとうございました。

最後になります。議題「その他」といたしまして、消費者委員会に寄せられた意見等の概況について、事務局より御報告いただきたいと思います。

○丸山参事官 お手元、右肩に参考資料1という形でA3の紙、こちらの資料があるかと思います。こちらを御覧になっていただければと思います。

今年の1月1日から3月31日までに当委員会に寄せられた要望書、意見書、声明文等の一覧ということになっております。この間、委員会に寄せられました意見書等につきましては、32件ということでございました。

以下、内訳でございますけれども、まず1ページ目の右上に、分類で取引・契約関係で18件となっております。こちらの中身につきましては、主といたしまして、消費者契約法の改正についての意見書というものが多くを占めているということでございます。

ページをめくっていただきまして、具体的には6ページでございますけれども、こちらは分類といたしまして、食品表示関係ということで、4件となっております。遺伝子組換え表示に関わる意見が多いです。

7ページにつきましては、地方消費者行政関係ということで、地方消費者行政における支援ということで意見が寄せられてございます。

8ページにつきましては、公益通報者保護制度関係が1件、それから、料金・物価関係ということで、都市ガスの料金開示についての意見ということになっております。

最後の9ページ、その他ということで、5件となっております。

説明については、以上です。

○高委員長 ありがとうございました。

ただいまの説明につきまして、御意見等がございましたら御発言ください。

取引・契約関係のところは、大体意見は同じようなところに収れんしていますね。判断力不足を不当に利用した取引については取消しができるようにという御発言とか、あるいは社会生活上の経験不足に乗じて結んだ契約については取消しができるようにとか、そういったことですね。

私が関心を持ったことで、正式にそういう発表が内閣府からあったわけではないのですけれども、7ページの地方消費者行政のところの関連で、一番上のものですけれども、要は、地方でやっておられるいろいろな業務というのは本来国の業務との関係が非常に深いという意味で、国の予算でもって措置してもらえればという、こういった発言です。これは今までもずっと聞かれていることなのですけれども、先日、たまたまある消費者団体のところでこういう話を聞きました。これは内閣府の正式な見解ではなくて、そう見ておられるのだと思ったのですけれども、休眠預金というものがございます。その活用ということで、この団体さんが、その可能性を休眠預金の担当の窓口に確認しましたところ、「公助」という言葉を使って、「公助」は公を助けるという意味なのですけれども、公助という活動をやっているところは、基本的には休眠預金の助成対象でないという説明だったのです。これに対して「共助」という、ともに助け合うという意味の「共助」ですね。民間でともに助け合っているもの、それに対して休眠預金を活用することになっているという趣旨を説明されたそうです。ただし、一担当者の説明ですので、それが内閣府の正式なものかどうかは分からないのですけれども、その言葉の意味なのですが、その担当者から見ると、こういう消費者団体がやっておられること、特に適格消費者団体の支援団体なのですけれども、こういった方々がやっている活動は、「公」の仕事を助けているのだと。要は、本来、それは行政がやるべきことをやっているのだから対象でないという説明をされているのです。もしこれが内閣府全体の解釈だとすれば、この意見書で提案されているような内容、つまり本来国がやるべきようなことを民間の消費者団体等がやっているのであれば、「公」の仕事として認めてくれるのであれば、その財政的な措置というものも有り得るのではないかと感じた次第です。休眠預金の担当者と内閣府に確認をする必要があるのですけれども、そういう認識があるということ、そういう発言をされた方がいるということだけ共有させていただきます。

他にございますか。

長田委員、どうぞ。

○長田委員 今の地方消費者行政のところ、平成30年度が始まりまして、国からの交付金が減額された状態で地方消費者行政がどうなっていくのかというところは、きちんと消費者委員会としても見ていかなければいけないと強く思っています。

9ページのところの一番上の4K8K放送のCASのことなのですけれども、今はBSテレビなどを見るためのB-CASというのは、放送事業者がそれぞれユーザーに貸与する形でCASのカードが配付されていて、負担は放送事業者なのです。ここの意見書にありますけれども、それがテレビの中に内蔵される形になって、それぞれユーザーが負担をするという大きな制度変更になっているわけですけれども、そういうことが大きなちゃんとした議論なく決まっていくというのは非常に大きな問題かなと思いますし、有料放送を見ない人にとっては全く不要なものが必須でついてくる状態をどう考えるかということもありますので、一度意見をお伺いするということも必要ではないかと思っています。

○高委員長 分かりました。

ほか、御意見はございますでしょうか。

今、長田委員が御指摘された内容については、一回意見を聞きましょう。

○長田委員 ありがとうございます。

○高委員長 本日、ここに32件紹介させていただきましたけれども、こういう情報共有というのは委員の間で定期的にやっておりますし、これからも共有して意見交換を続けていきたいと思っております。


≪4.閉会≫

○高委員長 本日の議題は以上になります。

最後に、事務局より今後の予定について御説明をお願いいたします。

○丸山参事官 次回の本会議につきましては、日程が決まり次第、委員会ホームページを通じてお知らせさせていただきます。

○高委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところを御参集いただきまして、ありがとうございました。

(以上)