第270回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2018年3月15日(木)16:38~17:48

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    高委員長、池本委員長代理、受田委員、大森委員、樋口委員、増田委員
    (高委員長の「高」は、正しくは「はしごだか」)
  • 【説明者】
    国土交通省土地・建設産業局不動産市場整備課佐藤不動産投資市場整備室長
    国土交通省土地・建設産業局不動産市場整備課担当者
    消費者庁取引対策課消費者調査課担当者
    消費者庁河内消費者政策課長
    消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長
    消費者庁消費者制度課担当者
    消費者庁取引対策課担当者
  • 【事務局】
    黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 不動産特定共同事業法に基づく小規模不動産特定共同事業の運用状況について
  3. 成年年齢の引下げに対する取組について
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○高委員長 ただいまから「消費者委員会第270回本会議」を開催いたします。

皆様、お忙しいところを御参集いただきまして、ありがとうございます。

本日は蟹瀬委員、鹿野委員、長田委員、山本委員が欠席となります。

まず最初に、配付資料の確認につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

○丸山参事官 議事次第の下部に配付資料一覧を記載しております。資料1-1から2-5ということで、あとは参考資料ということになっております。もし不足等がございましたら、事務局までお申し出いただきますようよろしくお願いいたします。


≪2.不動産特定共同事業法に基づく小規模不動産特定共同事業の運用状況について≫

○高委員長 今日は二つ議題がございます。最初の議題は「不動産特定共同事業法に基づく小規模不動産特定共同事業の運用状況について」でございます。

本件については、平成29年7月31日付で、消費者庁から当委員会に対し、不動産特定共同事業法の一部を改正する法律に基づく小規模不動産特定共同事業に関し、特定商取引法の適用除外の対象とすることについての諮問がなされた際、当委員会として同法の適用除外とすることは妥当であるとした上で、国土交通省に対し、消費者トラブル防止のため、関係省庁と連携しつつ、継続的な運用実態の把握や関係機関との連携を行うことなどを求める旨の意見を同年8月3日付で発出したところでございます。

また、当委員会が昨年12月に発出しました「消費者基本計画の実施状況に関する検証・評価及び計画工程表の改定に向けての意見」においても、特定商取引法の適用除外とされている法令等について同趣旨のことを求めております。

本日は、昨年12月から運用が開始された不動産特定共同事業法に基づく小規模不動産特定共同事業の状況について、国土交通省から説明をいただき、意見交換を行いたく思っております。

国土交通省不動産市場整備課佐藤不動産投資市場整備室長にお越しいただいております。お忙しいところ御出席をいただきまして、ありがとうございます。

それでは、時間が限られて申し訳ないのですけれども、5分程度で説明をお願いいたします。

○国土交通省土地・建設産業局不動産市場整備課佐藤不動産投資市場整備室長 国土交通省で室長をしております、佐藤でございます。

早速ですが、御説明させていただきます。この12月1日から法が施行になったところでございまして、現在のところ申請件数ゼロ件ということで、運用実態と申しましても、現実の運用実績はいまだないという状況ではございます。これは基本的に小規模な不動産です。私どもがイメージしておりますのは、空き家とか古民家の改修に当たって、地域の志ある投資家から10万、20万単位で御投資いただいて、その改修を進めていこうという、割とつつましいと申しますか、そのような事業でございまして、ものすごくもうかるというわけではないかということもあるかなと思っております。とは言いつつ、いただいた御意見の点につきまして、どのようにやっていくつもりなのかという点も含めて御説明したいと思っております。

まず、夏にいただきました御意見のうち、運用実態の継続的把握という点でございます。基本的には、小規模の事業者というのは都道府県知事に登録を行うだろうということで、基本的には各都道府県知事において、この事業報告書の確認や立入検査、監督処分等を一義的には行っていくというスキームではございますけれども、初めてでございますので、是非国土交通省の本省でも事業報告書の確認、あるいは立入検査も都道府県と一緒にさせていただきたいというところで、1点目の意見には、そのように対応していこうかと考えているところでございます。なお、関係省庁との連携ということで、金融庁が関係省庁でございますので、金融庁と合同の立入検査ということもやって、連携を図ってまいりたいと考えているところでございます。意見の1点目につきましては、以上でございます。

2点目、消費者等に注意喚起をきちんとしていくようにとございました。これにつきましては、パンフレットを私どもで作成いたしまして、こちらをセミナー等の機会を通じて配付したりということで、注意喚起に努めていくということを行っている状況ではございます。

3点目、特に消費生活センター等と苦情等の情報共有を図るようにということがございました。こちらの点につきましては、私どもでもPIO-NETのIDを取得いたしまして、先方のシステムに入りまして、苦情件数がないかということを確認しております。先日、確認しましたところ、小規模不動産特定共同事業につきましては、まだ当然ゼロ件ということで運用実績がございませんので、苦情等は今のところないと。私どものほうにもまだ寄せられていない状況でございます。

4点目、これはクーリング・オフの起算点をきちんと明確化して周知するようにというお話がございました。こちらでございますけれども、お配りしておりますパンフレットがございまして、例えばこちらの4ページに「投資家保護の視点」というところも入れさせていただきまして、その中に投資家の使っているパソコン、電子計算機に備えられたファイルに記録された日と。役人言葉で申し訳ないのですけれども、正確に記述するとこういうことになりまして、やわらかい言葉で言いますと、投資家個人の自分のパソコンに届いた日、ダウンロードした日ということでございまして、このクーリング・オフの起算点につきましては、投資家保護側にかなり寄せて、きちんと省令で規定させていただきました。この旨、当然省令ですから、官報でも公告されておりますし、パンフレットにも記載いたしまして、あわせて、関係省庁との連携という次の点でございますけれども、消費者庁とどのように生活センターなどに周知させていただくとよろしいかということについて相談させていただいて、消費生活センター等にこのパンフレット等も含めて周知をさせていただいた状況でございます。

以上、私からは簡単でございますけれども、いただいた意見については申し上げたとおりに対応している状況でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの説明に関しまして、御質問、御意見がございましたら、御発言ください。

池本委員、どうぞ。

○池本委員長代理 池本でございます。御説明ありがとうございました。

パンフレットの点、あるいはPIO-NETを直接確認できるようにIDを取得してチェックできる体制ができたという点、いずれもこちらからの提言を受け止めていただけているかと思います。現時点で登録申請がゼロ件だということですが、むしろ心配するのは、小規模不動産特定共同事業となると、余り制度を知らなくて、こういう登録をきちんとしないままに、事実上、始めてしまうというものが出てくることも有り得るのではないか。それについては、PIO-NETでチェックするときに、この呼び名のままで相談があり、その呼び名のままで登録されるとは限らないわけで、そこは感度よく、相談の中身やキーワードをうまく多少幅広に取りながら、問題となりそうな案件を調べる。登録した業者でない場合にも当該のセンターなどで詳細を確認するとか、そういったところで、センサー機能を働かせていただく必要があるのかなと思います。

これはまだ現状では苦情として上がっているのもゼロ件ということですが、その辺りの情報のキャッチの仕方などについて、何か検討なりされているところがあればお伺いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。

○国土交通省土地・建設産業局不動産市場整備課佐藤不動産投資市場整備室長 御指摘の点を踏まえまして、検索ワード等は工夫してやっていくようにしていきたいと考えてございます。その他、いろいろな新聞記事、あるいは各都道府県との情報共有ということで、何か来たらすぐ相談するようにということで私どもも言っておりますので、そういう体制、そういう相談を積極的に都道府県、許可部局のものにも乗っていくということで対応してまいりたいというのが一つです。

御説明させていただきますと、余り制度を知らなくてという論点があったかと思うのですけれども、この制度につきましては、業務管理者というものを必ず置かなくてはいけないということになっておりまして、不動産証券化マスターとか、かなり不動産の証券化についての難しい資格者がいることを実際に義務付けているというところでございます。この規制はかなり効いておりまして、余り事業振興官庁としてはこういうことは言ってはいけないのですけれども、資格者を見つけてくるのが大変だと。この資格者要件は何とかならないですかみたいな相談が結構事業者の側から寄せられるぐらい、がっちり効いている人的要件かなと考えておりますというのが一つあります。

○高委員長 ありがとうございました。

よろしいですか。

ほかはございますでしょうか。

増田委員、どうぞ。

○増田委員 ありがとうございます。

いろいろ御対応いただいていると思うのですけれども、私も適切な事業を営むところではないところでの心配があるものがあるものですから、是非PIO-NETの活用を十分にしていただきたいと思います。

それと、この登録をしないままに実際に事業を行った場合に、対応としてはどういうことをされるのかということを、私の勉強不足かもしれないのですが、教えていただけますでしょうか。

○国土交通省土地・建設産業局不動産市場整備課佐藤不動産投資市場整備室長 無許可営業ということになりまして、刑事罰がかかるということになります。

補足で御説明させていただきますと、申請件数ゼロ件の中で、例えばお金を持ち逃げしようとしている悪い業者がわざわざ申請してくるというのも、今の段階では非常に考えにくいところでございます。わざわざ許可を取るからには、国の許可をきちんと受けた事業者だぞとか、きちんと法制度に基づいたこの事業でやっているのだというのを事業者さんはアピールしたいのかなということがあるので、御指摘のような小規模特定共同事業などという名前を一切出さずに、我々の法律あるいは許可を受けているということを一切投資家に言わずにお金を集めるというのは、そういう意味では、可能性はほかのものに比べれば若干低い面もあるのかなと考えております。

○高委員長 よろしいですか。

ほか、ございますでしょうか。よろしいですか。

ありがとうございました。まだ登録申請もゼロ件で、PIO-NET等を見ても苦情は今のところゼロ件だということですね。もちろんキーワードの検索の問題もあろうかとは思いますけれども、比較的うまく機能していると理解させていただきました。

それから、我々消費者委員会から出しました意見の起算点の問題、これもきちんと対応していただいて、連携しながら周知していただいているということで、安心をいたしました。

ただ、今後どういう問題が起こってくるかということも分からない状況でございますので、消費者委員会としては、国土交通省の取組を注視していこうと思っております。引き続きよろしくお願い申し上げます。

それでは、この件、以上で終わらせていただきます。

どうぞ御退席ください。ありがとうございました。

○国土交通省土地・建設産業局不動産市場整備課佐藤不動産投資市場整備室長 ありがとうございました。

(国土交通省退席)

(消費者庁着席)

≪3.成年年齢の引下げに対する取組について≫

○高委員長 それでは、2番目の議題に進ませていただきます。議題は「成年年齢の引下げに対する取組について」でございます。

消費者基本計画工程表の改定素案については、本年2月14日の第267回委員会において消費者庁から御説明をいただき、その後、2月22日からパブリックコメントに掛けられているところでございます。

本日は、消費者庁が示した消費者基本計画工程表の改定素案について、当委員会から12月に発出した意見がどのように反映されているのかなども含め、成年年齢引下げ対応に関する施策の取組状況を消費者庁から御説明いただき、意見交換をさせていただきたいと思っております。

消費者庁河内消費者政策課長、尾原消費者教育・地方協力課長にお越しいただいております。消費者庁におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

それでは、20分程度で御説明をお願いできますでしょうか。

○消費者庁河内消費者政策課長 消費者政策課長の河内でございます。

お手元の線表に沿って御説明いたします。全体の成年年齢引下げに関する施策の中で、消費者教育が非常に大きなウエイトを占めております。消費者教育と地方に対する支援関係は尾原課長から説明するので、私からはそれ以外の部分を御説明いたします。

まず1ページ目、一番最初「消費者契約法の見直し」ということで、「法案の検討」と書いてございますが、これは2月の下旬時点で作ったものでして、その時点で消費者契約法の改正案の閣議決定もしていませんでしたので、その段階では何も書けませんので、こういう記載になっています。消費者契約法の改正案につきましては、3月2日に閣議決定して国会に提出いたしましたので、その旨、今後はこの工程表の中にちゃんと反映させていきたいと考えています。

その下の段の「特定商取引法の執行強化」、これは記載のとおりでございます。

あと、私から御説明するのは、3ページ目の一番下でございます。「理論的・先進的な調査・研究」ということで、消費者委員会から成年年齢引下げのときにいただいた提言の中で「若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会」ということで、徳島オフィスでこの検討会を始めましたので、お手元の線表ではざっくり「理論的・先進的な調査・研究」としか書いていませんが、この心理的要因からの検討会ということも始めましたので、これはちゃんと特記して記載していきたいと考えております。

あとは記載できていない内容でございますが、まず1点目が、特商法の施行規則の改正について記載がないではないかと思います。多分、去年の4月か何かで説明したときに、特商法の施行規則については、民法改正と併せて検討するという判断だったと思うのですが、民法の改正案も先ごろ閣議決定して国会に提出されましたので、それで特商法の施行規則についても、今後工程表に具体的に記載していきたいと考えております。

もう一点、このお手元の線表に記載されていないもので言えば、国民キャンペーンということで、要するに、成年年齢引下げについて、国民的なキャンペーンをやるべきではないかということです。これは民法の改正案の閣議決定もしていない段階で始めるわけにはいかないので、まだ書いていないのですが、お手元にこういう3色刷の資料があると思います。これ自体はまだ検討中ですので、もちろん内容の変更は有り得るのですが、法務省を中心に検討している内容でございます。法務省は民法の成年年齢引下げの改正案を今国会で提出しました。施行は2022年の4月1日施行という形になっています。それまでの間に引下げに向けた環境整備ということに政府としてちゃんと取り組まなければいけないということで、下の左側にありますが、もちろん仮称なのですが「成年年齢の引下げに向けた環境整備に関する検討会」、法務大臣をトップ、内閣官房副長官補を副議長にした関係省庁の局長級を集めた会議体を設けまして、右側が環境整備のテーマでございまして、例ですから、これ以外のものももちろん有り得るのですが、こういう右側のテーマについてそれぞれ関係省庁で検討して、その進捗状況をこの左側の検討会で報告して進捗管理するという形で、施行までの間に環境整備をやっていきますという枠組みを今、法務省で検討しているということでございます。

この中には、テーマの例の一番最初に書いていますが、改正民法の周知活動ということで、改正案の閣議決定もしましたので、まだ具体的にどうという段階ではなく、これから検討ということであろうとは思いますが、こういう形で周知活動ということも法務省を中心に恐らくやることになります。この国民的キャンペーン、どういう形で今後やっていくのか、工程表にどう反映させていくかというところは、またちょっと法務省とも相談しながら記載を検討していきたいと考えております。

私からは以上です。残りは尾原課長から、お願いします。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 消費者庁消費者教育・地方協力課長でございます。お時間をいただきまして、ありがとうございます。

私から残り15分程度で消費者教育及び「188」、消費者ホットラインの周知等について御説明させていただきます。

資料2-1で今回提出させていただいております「成年年齢引下げに対する対応と消費者基本計画工程表改正案の関係」でございますが、実は現時点で今日お示ししたものは、事情がございまして、閣議決定を目指しております「消費者教育の推進のための基本方針」がまだ閣議決定をしていないということがございますものですから、その一連の作業が終わったところで、次の段階でそれを踏まえた工程表の改定にさせていただければと思います。ですから、初めにおわびさせていただきますと、この工程表自体は、今後の閣議決定を踏まえて直させていただくものということで、それを踏まえて御説明させていただきます。

代わりにと言っては何でございますが、先週基本方針の御説明はお時間をいただきましたので、縦のA4の紙、資料2-3「若年者への消費者教育の推進に関するアクションプログラム」について御説明させていただければと思います。これは3月13日の火曜日に、民法の成年年齢引下げに関する法案の閣議決定に併せて公表したものでございます。これは「1.趣旨」のところに書いてありますように、民法の成年年齢の引下げを見据えて、実践的な消費者教育の実施を推進するために、関係省庁が連携いたしまして、来年度、2018年度から2020年度までの3年間を集中強化期間とする「若年者への消費者教育の推進に関するアクションプログラム」というものを今回策定させていただきました。

では、4省庁、どういうところが入っているかといいますと、その次の資料2-4を御覧ください。4省庁申し合わせの資料を入れさせていただいております。もともとは成年年齢の引下げを見据えてということで、この4省庁といいますのは、消費者庁だけではなくて、文部科学省の生涯学習政策局長、初等中等教育局長、法務省の大臣官房司法法制部長、金融庁の総括審議官の局長級の4者が入りまして、連絡会議をこの2月に立ち上げたところでございます。

そこのところで決定しましたのが、初めの資料にお戻りいただきまして、資料2-3のアクションプログラムということでございます。これにつきまして、主要なところを御説明させていただければと思います。

特に成年年齢引下げとなりますと、若者の消費者被害が増えるのではないか。それについて、消費者教育できちんと取り組んでいく必要があるのではないかということで、4省庁の局長の会議において、このアクションプログラムを策定したところでございます。

(1)のところで、やはり高校における消費者教育の推進が大変重要になってまいります。その中では、既にある学習指導要領の徹底だけではなくて、我々は特にマル2の消費者教育教材の開発、手法の高度化というところで、実践的な消費者教育を進めるために、既に高校生向けの消費者教育教材「社会への扉」というものを作っておるわけですけれども、今回のアクションプログラムで、この集中強化の3年間で、全国の全ての高校で同様の授業が実施できることを目指して働き掛けを行うということにしております。

1枚おめくりいただきまして、参考1のところで図を付けさせていただいておりますので、これで説明させていただければと思います。「社会への扉」、消費者庁と文部科学省の担当官様の協力を得て作ったものでございますけれども、実践的な能力を身に付けるということで、今年度、2017年度については、徳島県内の全ての高校で、この「社会への扉」を活用した授業を実施しておるところでございます。全56校、6,900人でございます。これを3年間で、我々としては2020年度のところでございますけれども、47全ての都道府県で、それも全高校で実施することを目指すとしております。ただ、これを目標にして目指すと言っているのは、最後に決定するのは、教育の自由はございますものですから、我々としては、これを働き掛けていく。ただ、目標は高く掲げて、是非、この機会にこの3年間で全ての都道府県で全高校で実施できるように働き掛けをしていきたいと思っております。

さらに、この3年間を踏まえた上で、閣議決定された民法の改正法案は施行は4年後ということで2022年からになりますが、残り1年ございます。そこで、この集中強化期間の3年間できちんとフォローアップして、その上で最後の4年目で足りないところを補って、きちんと全ての高校生の方々に、この「社会への扉」で実践的な消費者教育を学んでいただくということを目指しております。

また、「社会への扉」を活用した授業の実施という場合、もちろん、学校の先生に教えていただくことも大事です。我々としては、消費者教育の推進会議の下に設けました分科会で、どうやって先生方の実践的な消費者教育の能力を上げていくかというところを議論しておりますけれども、それだけではなくて、こちらの参考2のところでございます。やり方としては二つあると思うのです。もちろん、今いる学校の先生方、高校の先生方に授業をやっていただくというやり方と、あるいは、学校現場と外部の先生方の弁護士さんですとか司法書士さん、外部の熱心に消費者教育を教えていただける方をつなぐ形で、我々としては消費者教育のコーディネーターを重要視しております。ですから、今回のアクションプログラムにおきましては、名称は問わずして、消費者教育のコーディネーターという形は16の都道府県に置かれております。我々としては、その中身もお話をきちんと聞きながら、あるべき姿ではないのですけれども、役割を明確化した上で、この3年間で、2020年度までには全ての都道府県でこの消費者教育のコーディネーターを置きたいと思っております。また、この消費者教育のコーディネーターの配置に当たりましては、我々消費者庁で都道府県向けに、今、来年度の予算審議をしていただいておりますけれども地方消費者行政強化交付金の中でも、消費者教育のコーディネーターの配置というのは項目に入れさせていただいております。そういう観点から、是非都道府県の方々におかれては、積極的に交付金を活用いただければと思っておるところでございます。

資料のほう、お戻りいただきまして、今、申し上げたマル2のところが先ほどの全都道府県、全ての高校でという話でございます。

マル3実務経験者の学校教育現場での活用というところは、今、お話しさせていただいた実務経験者と学校をつなぐコーディネーターの設置の辺りでございます。

2ページ目のマル4教員の養成・研修のところにおかれましては、先ほどの繰り返しになりますけれども、消費者教育推進会議の下に置かれております消費者教育分科会において、大学の先生、教員養成課程、あるいは教員の免許更新講習等における取組について、精力的に議論をしていただいておるところでございます。この夏には取りまとめの予定でございます。

また、高校生だけではなくて、大学等におきましても、そこは地元の消費生活センターさんと連携しながら、取組の普及、消費者教育に関する普及啓発も積極的に取り組んでいきたいと思っております。

また、「(3)その他」のところにありますように、消費者教育の推進計画、あるいは消費者教育の地域協議会、これはもう既に地方消費者行政の強化作戦のところでも書いてあるところではございますけれども、これも引き続き取り組んでいきたいと思っております。

3.のところ、4.のところが、我々としては大変重要だと思っています。これはどういうことかというと、消費者庁単独でやりますといっても、なかなかそれは連携しないと、政府全体として取り組む必要があるものですから、この3.で、実践的な消費者教育の実施を効果的に推進するために、関係省庁はアクションプログラムに沿って緊密に連携して取組を行っていく。また、4.で、実施は3年間を集中期間としているわけですけれども、必要な施策をきちんとフォローアップしていく。進捗状況をフォローアップすることによって、この達成を進めていく。その際、必要に応じて消費者教育推進会議のお知恵もいただきながら進めたいと思っております。こういう形で、本日の工程表には入っておりませんけれども、既に4省庁の局長会議ではございますけれども、アクションプログラムを設定しております。次のステップで、この3月末までには基本方針は閣議決定しますものですから、それと併せてこのアクションプログラムの内容も、是非基本計画の工程表に入れ込んでいきたいと思っております。

以上が、消費者教育関係でございます。

もう一つ、ページでは申し上げませんけれども、それ以外に成年年齢引下げの関係では、消費生活センターの充実です。要するに、一人で悩まずにきちんと若い人たちが消費生活センターに相談ができるような周知啓発に努めていきたいと思っております。「188」を普及啓発というか、そもそも消費生活センターはどういうものかというところを、我々もかたい頭をやわらかくしてどういう形でやるか。例えば消費者庁の公式ツイッターも、今まではそこの表面のところには何も書いていなかったのですけれども、先月辺りから変えまして、消費者庁の公式ツイッターを見ると、一番上のところに、一人で悩まず「188」へという文字を入れる広告を始めております。将来的にはSNSなども使いながら、若い人たちに、まずは困ったときにここに相談いただく。例えば架空請求などで被害に遭って、慌ててウェブサイトなどで調べると、国民生活センターなどが上にはなっているのですけれども、こういうところに連絡してどうなのかというようなそれ以外の団体もある。「188」に掛けていただければ、全国の消費生活センターにどこにいてもつながるようになっていますし、また、国民生活センターもバックアップする体制になっておりますものですから、そういうところにつなげる。今までの「188」とただ単にポスターを貼りますという話ではなく、若者向けにどういうことができるかというのも、うちのスタッフも若手もおりますものですから、若い、やわらかい頭で進めていきたいと思っております。また、委員の皆さまからも、その辺りのアドバイス等も今日いただければなと思っておりますものですから、是非お知恵をいただければと思っております。

以上、私から残りの部分ということで、消費者教育、それから「188」、消費生活センターの普及啓発について御説明させていただきました。

○高委員長 御説明ありがとうございました。

ただいまの説明に関しまして、御質問、御意見がございましたら、御発言ください。

大森委員、どうぞ。

○大森委員 非常に具体的な計画とか組織を作っていただいて、ありがとうございます。最も期待するところが「社会への扉」を全ての高校生に周知するという目標なのですけれども、これはもう最低限やってほしい、やりたいと思っています。

そうするときに、この教材を配付するとか、ダウンロードして使ってくださいだけではなくて、パワーポイントの教材、各項目15分程度のパワーポイントと、そのシナリオをクリックすればパワーポイントが順番に映っていくようなものを消費者庁のホームページから取れる。それで、学校の先生の研修などで、教員研修とか免許更新講座のときに、特別枠で時間を取っていただいて、こういう形で使っていただいたら良いのですよというような紹介をしてもらう。そういう形でないと、ただ、ここから取れますよとか、こういう教材がありますよと配るだけでは、なかなか使いにくいと思うのです。

そうした場合、例えば強化交付金を使って、この教材をパワーポイントに落としたいなどという場合、イラストなどを新たに描いてもらったら全くテキストと違うものになって効果も減るし、イラストレーターへの費用とか、また余分に掛かってくるわけで、都道府県なり市町村なりがこれをパワーポイントに落とした教材を作りたい、作って、いろいろなところに使ってもらえるようにホームページにアップしたいなどという提案があった場合に、このイラストなどは無料で使われるのかどうかということと、そんな強化交付金に関わらず、消費者庁で具体的にそういう計画を進めていきたいと思っていらっしゃるのか。その辺りをお教えいただけたらと思います。

○高委員長 よろしいですか。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 ありがとうございます。

この「社会への扉」は高校生を中心にしてということで、特に成年年齢引下げに関する、まずは高校生を重点的にやりたいと思っております。その手段として、実は先日、徳島県で今年度の56校でやったものですから、その実践の成果報告会という会議を一日やらせていただきました。その中で、本当にいろいろな先生方のやった取組などを紹介しながら、その成果は今、まとめておるところでございます。残念ながら私はほかの用務で出られなかったのですが、参加した者からは、大変有意義な、熱心な議論があったと報告を受けております。

今後、そういう事例集などもまとめながら、ただ単に「社会への扉」ができました、アップしました、これを見てくださいねという形ではなくて、教え方も含めて先生方にきちんと教えていただく。あるいは、研修の場で使っていただけるような事例集も、我々は今、徳島の実証フィールドを使ってプロジェクトとしてやっておりますものですから、来年度以降、現場の先生方の役に立てるような事例集もどんどん作って、積極的に広報もやっていきたいと思います。

その中で、例えばパワーポイントというお話をいただきましたけれども、どういう形でそういう教材を作るのが良いのか、あるいはビデオ教材とか、そういうことができるのかというのは、大森委員からいただいたこともございますものですから、我々もどういう積極的なことができるかという辺りもまた勉強させていただければと思います。まず実際にやっているところとしては、今回は徳島県で報告会という形で、今、事例集をまとめておりますものですから、それが先生方、ほかの県の先生方にとっても大変有意義なものになるかと私自身は考えておるところでございます。引き続き御指導のほど、よろしくお願いいたします。

○高委員長 大森委員、どうぞ。

○大森委員 私も先日、徳島の講座を見せていただいて、素晴らしい先生が素晴らしい講座をされていました。でも、消費者教育は苦手だという先生がすごく多い中でいろいろな例を提案されても、なかなかやりにくい。パワーポイントで10分、15分で一コマできるよということであれば、朝の余裕のある時間とか、終わりの会みたいなときとか、短い時間を使ってやりやすいと思う。読みながら押すだけで画面が変わって目的が伝わる。徳島でこの前見せていただいたようなものは、意欲のある先生が更に積み上げてされる場合は良いけれども、全ての子供たちに最低限というところでは、パワーポイントの教材というのは絶対に必要になってくると思うので、それを消費者庁で作っていただけるのが一番良いし、作れない場合、イラストなどを自由に使わせていただきたい。この点についてお願いしたいのです。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 大森委員の御指摘のとおりで、こういう発表会などをやると、どうしても熱心な先生のところに焦点が当たりがちなのですが、全ての高校にとなりますと、当然教える生徒さんも様々だと思います。先生もすごく熱心な先生から、今までそういうものに余り携わっていらっしゃらなかった先生もいる。ただ、そういう方も含めて、あらゆる方にとってある意味で使い勝手の良いものは、どういうことができるかというのを、また我々も事例報告なども見ながら、どうしても熱心な先生のところに焦点を合わせてしまうと、すごく高度な教材になってしまう嫌いはあるかと思います。その辺りの御指摘も踏まえながら、いろいろな方にとって有益な教材がどういうものかというのは、それぞれの自治体さんで作るのもありだと思いますけれども、我々もどういう形で提供できるのかはまた勉強させていただければと思います。

○高委員長 大森委員がおっしゃっているのは、教材の話もあるのですが、その中で使われているイラストとか、そういうものを自由に教育で使わせてもらえるようにしてくれないかという話なのですけれども。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 著作権のところは私も確認しないといけないところはありますけれども、できるだけそれを前向きに、どういうことができるか確認させていただいて、またお知らせさせていただければと思います。

○高委員長 よろしくお願いします。

受田委員、どうぞ。

○受田委員 御説明ありがとうございました。

まず、KPI的に言って3年間で全都道府県、そして、全高校、この実施に向けて是非最善の努力を払っていただきたいと思います。高校の形態というのは様々でして、地方に行くと県立高校の分校というのもあります。こういった分校も含めて高校生の教育の機会をしっかりと平等に担保していただきたい。あわせて、こういった高校生を含めた消費者教育の重要性というものがますます増していくわけですから、その実施に向けた安定的な基盤としての財政的措置で、これがある意味、息切れすることなく、瞬間的に教育が施されてスパイク状に終わるということが決してないように、ずっと毎年高校生として一定の学年に、不断に教育が行き渡るように、是非そこの基盤をお願いしたいというのが1点です。

これはもう当然考えられていると思いますけれども、いわゆるアウトプットのみならず、消費者教育を施された高校生がどれだけの力を身に付けていったのか。このアウトカムに相当するようなPDCAをしっかり回していただき、その教材自体の適切性、あるいは、社会的な情勢の変化を機動的に反映するローリングを是非確立していただきたいという2点です。

それから、細かいのですけれども、コーディネーターに関する定義が明確でないということが気になっています。実際に担い手として教員であったり外部講師というのはあるのですけれども、コーディネーターということになると、通常は、例えば産学連携のコーディネーターとかというところで、セクター間をつないでいく役割になってまいります。これは専門性も必要なのですけれども、多分、これまでの人脈であるとか、お力、経験、こういったものが極めて重視されるように拝察を申し上げます。そういう意味で、コーディネーターの資格というものをどのように考えていくのか。これはもしかすると、全国的なオーソライズされた資格というものが明確にされていなければ、結局絵に描いた餅になってマッチングが図られないということも懸念されるので、その点、是非明確にしていただきたい。

最後に、大学に関する消費者教育の推進に関してコメントをしたいと思うのですけれども、高校の場合は、恐らく全校一律という形が成立するとすると、大学の場合は、特にカリキュラム上の自由度が高いので、これは消費者教育を十分に実施するとなったときに、受け入れ側の大学に対するインセンティブがなければ、一部の学生にのみこういった教育が施されるということになって、極めて、その効果も局所的になる可能性があると思います。

大学に対するインセンティブということで言いますと、何か政策誘導的な仕掛けが必要なのかなと。文部科学省的に言うと、例えば今、地域志向性を上げていくためにCOCの事業等をやって、地域志向教育科目などを大学に増やすようにということを文部科学省が、これはまち・ひと・しごと創生本部も一体化しながら働き掛けを行っております。ですから、こういった消費者教育に関しても、消費者志向科目等を実施することに対するインセンティブを政策誘導的に何かシステムを作っていくことが、大学における教育の実質化においては重要ではないかと思います。

以上です。

○高委員長 今、意見を四ついただきましたけれども、どうですか。お答えできますか。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 まず一つ目、分校も含めてというのは、我々としては、全高校できるだけあまねくという言い方はおこがましいですけれども、全ての高校生の皆さんに実践的な消費者教育を実施いただけるようにお願いしていきたいと思っています。また、財政的な措置につきましても、我々は消費者庁が思っている予算的なところで言えば、地方の消費者行政の強化交付金事業の中に、若者向けの消費者教育を入れておりますものですから、予算要求説明をするときには、単年度ではなくて、少なくとも3年程度はという形で御説明しているので、もちろん予算の話は単年度ですけれども、将来的にはできるだけ需要も含めながら、予算のところは頑張っていきたいと思っております。

二つ目、アウトプットだけではなくてアウトカムが必要なのではないかということをいただきました。徳島では、今、授業の前と授業の後で、どれぐらい消費者に関する教育の結果というか、消費者トラブルに関する知識が高まったかというのも含めてアンケートではないですけれども、答えていただいて、前後でどれぐらい上がるかというのをやっています。まだ年度も終わっておりませんので、年度が終わってどんどんそれを成果という形で図った形できちんとまとめたところで、その辺りも図っていければと思っております。

徳島オフィスにおいては、いわゆるまち・ひと・しごとで決まっていたところでいくと3年間の検証がありますものですから、来年度も我々としては引き続き高校生向けの消費者教育の実践はやっていく予定でございますものですから、そういうものも見ながら成果も蓄積されていくかなと考えております。

三つ目のコーディネーター、受田委員がおっしゃったように、イメージとしては産学官をつなぐイメージと同じでございまして、これについても消費者教育に熱心な弁護士さんとか司法書士さんの、そういう人的ネットワークを持っている人と、学校のある意味で人的ネットワークを持っている方を想定しています。資格という形まではいかないにしても、イメージとしては、その両方についてネットワークを持っていらっしゃる方がマッチングできると、ただ単に行政職員がよく分からないかもしれないけれどもやってくださいというのは余り我々としては想定していなくて、両方についてきちんと知っていて、かつ消費者教育について熱心にやっていただける方に、我々としては各県に少なくとも一人は置いていただく。県によっては複数ということもあるかと思いますけれども、是非、そういう方に活躍いただく。コーディネーターの方は、教えるというよりは、むしろ両方の世界、外部の専門家と学校をつなぐ役割をきちんとやっていただける方になっていただければと考えております。

四つ目、大学のところでございます。なかなかカリキュラムとインセンティブというところは、私も不勉強で、どういうことができるかというのはにわかにはお答えするのは難しいのですけれども、例えば大学入学時の春のオリエンテーション等のところでどういうことができるか。特に大学、正に1年生で入ってきた方々に、少なくとも消費者教育の情報、ある意味、トラブルを回避するための情報、もっと言えば、少なくとも最低限、トラブルがあったときには一人で悩まずに消費生活センターに電話をするということ、そのことだけでも伝えられることが第一歩かなと思っております。ですから、まずターゲットとしては入学時のオリエンテーション等でどれぐらい新しく入ってくる学生さんに伝えられるかという仕組みも、文部科学省さんとも連携しながら、知恵を出しながら進めていきたいと思っております。

以上、4点でございます。

○受田委員 ありがとうございました。

最後の点に関しては、例えば入学式において、私は高知にいるのですけれども、全入学生と御父兄に対して防災の講義をやっているのです。地震・津波対策に対して教育をやるということを入学直後にやるようなこともやっています。恐らくいろいろな環境に応じた大学での特別な講座等を用意していると思いますので、そういったところも是非調べていただくとよろしいのではないでしょうか。

ありがとうございました。

○高委員長 増田委員、どうぞ。

○増田委員 消費者教育推進法を施行されてから6年近くたつということで、今までは何だったと思うぐらい格段の推進を図っていただけるのではないかと期待しておりますので、頑張っていただければと思います。

まず、消費者教育コーディネーターの役割の明確化ということについては、イメージとしてはそのとおりだと思うのですけれども、それを自治体の職員さんに理解をしていただかないと進まないと思いますので、是非書面に書いていただきたいと思います。コーディネーターが実際に動くに当たっては、背景に自治体がついていないと動きにくいはずです。ですから、弁護士さんとか司法書士さんとか、その方にコーディネーターですよということを任命して、そこの市から名刺に書いても良い肩書というものがない限りは動けないと思いますので、自治体の職員に理解していただけるようにお願いします。だから、消費生活相談員だからといって簡単に動けませんので、コーディネーターという名称を付けていただくということが重要ではないかと思います。

企業が消費者教育のために支援をするということもいろいろ必要とされているわけなのですが、企業の方に言わせると、何をして良いのか分からない、どこまでのことを求められているのか分からないというような声も聞こえてきます。また、自治体によってはそれを受け入れる体制にある、なしというのもありますので、せっかくの企業のそういう体制を活用するという意味では、是非、その辺りも明確にしていただきたいと思います。

大学生への教育なのですけれども、高校でできなかった分を大学でフォローアップすることは非常に重要だし、まして、社会に非常に近くなって、行動範囲も広がって、物を買うとか、サービスを受けるということもすごく増えるはずなのです。そういうときに、実体験として消費者問題に対面することもあろうかと思いますので、是非大学生への教育はやっていただきたい。

入学式のときに、消費生活相談員として呼ばれてお話をするケースもあるのですけれども、本当に盛りだくさんなので、15分とかというような時間しかないのです。これから社会に出るに当たって非常に重要なことですので、その辺りの時間の取り方も御指導していただければと思います。

クレジットに関して、成年年齢引下げによってクレジットカードを使えるようになってうれしいと若者たちが言っています。単に成年になっただけで収入は増えるわけではないので、与信の問題、貸し金の問題、その辺りは事業者側がどれだけの与信をするかという問題になろうかと思いますので、きちんと議論して、指導などをしていただきたいと思っています。

○高委員長 ありがとうございます。

お答えいただけますか。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 ありがとうございます。

特に自治体の職員の方にコーディネーターの役割をきちんとイメージしていただく必要があるかと思いますので、我々としてもできる限り、今、定義上はこうなのですというだけにとどまらず、もう一歩でも二歩でも、できるだけ自治体の関係職員の方々に御理解をいただきたい。そして、是非積極的に我々の強化交付金を使っていただいて、どんどん整備に努めていただければというように働き掛けをしたいと思います。

また、大学生向けの教育というところで、なかなかオリエンテーションの時間も限られているというところはありますけれども、それでも、まずはやっていただくことが大事かなと思っておりますので、その辺りもいろいろと文部科学省さんとも御相談しながら進めていきたいと思います。

クレジットカードのところは、特に金融のところで、今回アクションプログラムでは、金融庁も総括審議官、局長級で入っていただいておりますので、そのフォローアップをする中で、どういう問題があるかという辺りも含めて、被害に遭わない消費者ということが大事になってくるかと思います。その辺りでどういうことができるかもまた考えていきたいと思っています。

○高委員長 池本委員、どうぞ。

○池本委員長代理 池本でございます。

質問が3点ほどと、意見が少しあります。まず、資料2-2「成年年齢引下げに向けた環境整備に関する検討会」、これは法務省が検討中ということで公表しただけなので、具体的なその後の進め方は未定ということであればやむを得ないのですが、関係省庁の局長級が集まって、各分野の問題についての取組の御報告を受け、進捗状況を管理するという意味では、全体を推進していく非常に重要な力になるのだろうと思うのです。これはこの検討会そのものの公開ということではないのかもしれないのですが、何らかの形で情報提供、公表されるものなのか。どういう形でこれが情報として、我々というか、国民に向けて発信されるのか、あるいは、そうではない、あくまで縁の下の作業だけなのか、これの運用のイメージが分かれば教えていただきたい。これが第1点です。

それから、先ほどの御説明のときに、特定商取引法の施行規則の見直しを予定しているという言葉がありました。成年年齢引下げとの関係では、施行規則に老人等の判断力不足に乗じた勧誘というものがある。あそこが老人に絞らない、若年者もあるということを加えたらどうかということは以前提言で出していたと思うのですが、そういう辺りを想定されているのか、あるいは、もっとほかのところもあるのか。現時点である程度見えているのであれば教えていただきたい。これが2点目です。

3点目、これは消費者教育コーディネーターのことで、先ほどから質疑が少しありましたが、冒頭の御説明で、たしか都道府県の中の16の自治体にコーディネーターが配置されているということでしたが、具体的に何人で、例えば消費生活相談員とか、元教員とか、属性が分かれば教えていただきたい。これが3点目の質問です。

意見としては、最後のコーディネーターとも関係するのですが、今、地方消費者行政の現況調査で、2年ほど前から相談員の人数配置とは別に、消費者教育啓発員というものも人数を取っておられると思います。それを明示的に示すことによって、教育啓発員というものを自治体の中できちんと位置付けて配置をしてくれるということのインセンティブになるかと思うのですが、これの推進というものは何か消費者庁としてこれまでなさっているのか。せっかく取ってあるのならば、そこが見える形で出していただきたい。意見と質問を兼ねたことです。

最後に、これもアクションプログラムの資料2-3の1ページ目、先ほどからの質問に出てきているところですが、全ての高校で「社会への扉」の資料を活用した授業を実施というのが、高校であれば、まだ家庭科の先生にこれを活用していただきたいということで、特に徳島で、全県、全校で実施できたというのは、どういうルートで働き掛けたらそれぞれの先生がやろうということになったのかという辺りの広げ方の実情を把握して、それを全国展開していただくのは正に消費者庁本庁の役割だと思いますので、そこは是非きめ細かにやっていただきたい。これは意見です。

最後、もう一つ意見は、大学の場合には、どの科目をやる人にお願いすればと良いというルートが全くない。ここをどう広げるかというのは非常に悩ましい問題だと思います。実は、ちょうど今日これが始まる前に地方の消費者団体のヒアリングをした中で、栃木県のNPO団体が、県からの委託事業の一環として栃木県内の二十幾つある大学の教務課などの事務方のところへ訪問して、いろいろお願いをこの数年やってきて、22~23ある中の11~12の大学でこれはと思われる先生を紹介してもらって、カリキュラムの中の一コマ、出前講座的にやっていますと。20ほどの中の10ぐらい、半分ぐらいのところで実現できるのはすごいなと思うのですが、そういう何か突破口を開いている例などを、その手順などを確認していただいて、これもまた広げるための情報提供をしていただければ有り難いと思います。これは意見として申し上げます。

○高委員長 ありがとうございました。

では、質問は四つということで良いですね。

最初は法務省がこの検討会を設置したのだけれども、これに関する情報公開はどうなっているのという点ですが。

○消費者庁河内消費者政策課長 これは法務省で検討中でございまして、まだ検討中で、この紙しかございませんので、私から確たることを申し上げることはできませんが、こういう会議をするのには透明性を確保するべきだという御意見はごもっともだと思います。恐らくは、事の性質上、そういう方向で法務省でも考えているのではないかと思いますが、現段階で確たることは申し上げられないので、そういう意見があったということは法務省には伝えておきたいと思います。

○高委員長 今の1点目の話なのですけれども、説明いただいた資料2-4の4省庁関係局長連絡会議というものがあるではないですか。これは先ほどのテーマ別で言うと2番目のところのテーマを受けて取り組む連絡会議ですね。これらはもう公開してしまって良いのですか。

○消費者庁河内消費者政策課長 これももうこの形では既に公開されています。

○高委員長 情報公開は、これは発信してしまって良いのかというのは。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 4省庁の連絡会議は12日に公表しておりますので、今日お配りさせていただいたアクションプログラム、この連絡会議についても既に公表させていただいています。

これとの位置付けですけれども、あくまでもこれは4省庁の消費者教育の部門についての局長級の会議ですという位置付けです。法務省さんはもっと全体的に、法務大臣をヘッドにやられる会議を位置付けているかと思います。

○高委員長 公式には、その会議ともう一つの連絡会議のつながりというのはまだ明確になっていないということですね。

○消費者庁河内消費者政策課長 この紙において4省庁連絡会議を特別に位置付けているわけではないのですが、右側のテーマそれぞれについて、関係省庁が検討しなさいということで、それぞれの関係省庁が検討するに当たって、何かこういうフォーラム的なものを作れば作ってやるし、ですから、消費者教育については4省庁のこういう連絡会議を作って教育についてやりますという形になっていますので、そういう意味でリンクはしていると思います。検討テーマを検討する器として、4省庁で作ったと御理解いただければと思います。

○高委員長 ありがとうございます。

2点目が特商法の施行規則の見直しについての箇所ですけれども。

○消費者庁取引対策課担当者 お答えさせていただきます。

特定商取引法の施行規則の7条2号において、判断力不足便乗という規定を置いているのですけれども、これは恐らく特商法だけにしか見られないような独特の規定でして、同じところの禁止行為の中に適合性原則というものがありまして、そちらとの違いをどう整理するとか、あるいは、判断力不足便乗と言っておりますけれども、一体どういう行為が含まれるのかという論点について、少し整理していく必要があるのではないかと考えております。御説明がありましたけれども、今後、若者の被害の実態を把握していくということを関係省庁においてやっていきますので、そういう被害の状況を見ながら、どういう形で定めれば現場、あるいは相談員の方々にとって分かりやすく、しかも、その事業者にとっても何が禁止行為になるのかということを明確に示していけるのかを我々としても研究していきたいと思っておりますので、そのように考えておるということでございます。

ただし、今は逐条解説において、少し解説を見てみますと、老人ですとか未成年者、それから、成年被後見人等と書いておりまして、ある種、人の属性によってこれは判断されるのか、それとも行為の内容そのもの、あるいは状況によってこの規定の適用が判断されるのかが分かりにくいような形になっておりまして、その点は改めなければいけないと思っております。逐条解説は、今、改訂作業を行っておりまして、近いうちに出す予定なのですけれども、その中できちんと成人している若者も対象になるということは明記をしていきたいと考えておる次第でございます。

○高委員長 それから、コーディネーターは具体的に何人ぐらいを考えているのかというのと、属性の話、現状ですね。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 属性からお答えさせていただきます。16県のうち、元学校関係者の方が8県で設置されています。ほかにはどういう方がいらっしゃるかというと、消費生活相談員さんですとか、行政の事務官が対応されているところもございます。人数はぱっと出てこないのですけれども、県によって複数名が置かれたりなどしておるので、イメージとしては半分のところは元教員の方が置かれているというのは、それはすぐにお答えすることができます。

もう一つ、消費者教育の啓発員のところ、どういう取組をというところは、私が今、すっと答えられず申し訳ありません。池本委員長代理からそういう御示唆をいただいたこともあるので、どういう形で消費者教育の推進に当たって御協力いただけるかも、また中で考えさせていただければと思います。引き続き御指導のほど、よろしくお願いいたします。

○高委員長 よろしいですか。

樋口委員、どうぞ。

○樋口委員 消費者教育コーディネーターはとても重要な機能だと思いますので、行政的に言うと、その権限が何なのかということを明らかにする必要があるのではないでしょうか。コーディネーターという名前だけもらったとしても、実際に活動するに当たってはセンターの中でどういう役割を果たすのかとか、あるいは、教育委員会とか、学校との関係で実際にどういう業務をするのかとか、業務や権限とか、基本的な部分は是非明確にしていただいたほうが良いと思うのです。そうでないと、名前はもらったけれどもということになり兼ねないと思います。私もコーディネーターの実態は聞かせていただいているのですが、例えば学校の先生を経験した方がその個人としての人脈を生かして調整をするとか、あるいは消費生活相談員をされている方が学校に働き掛けをしてという個人としての力量にかなり頼っているのですね。それはもちろんコーディネーターの持ち味だとは思いますけれども、行政としても、それを応援するような形で業務や権限をきちんと与えてあげたほうが良いのではないかと思っています。

○高委員長 今のは御意見ということで、よろしいですか。

ほかはよろしいですか。

それでは、説明をいただいて、こちらからもいろいろ質問と意見を出させていただきました。成年年齢引下げを内容とする「民法の一部を改正する法律案」が国会に提出されたことを受けて、新たに成人となる18歳、19歳の消費者被害の防止・救済、これは喫緊の課題であるということで、今回法務省が動き始め、明確な関係はまだないということですけれども、連絡会議を立ち上げられ、アクションを起こそうとされているということでございました。

それから、今日の具体的な資料、参考の1、2、3ですか。これらを拝見させていただきまして、全校、全都道府県、それから、コーディネーターをそれぞれ全都道府県に設置するというような具体的な数値まで掲げてこれに取り組んでいくとの説明を受けました。しかも、進捗状況を確認しながらこの取組を推進していくということで、非常に具体的で、我々としても心を強くしたところでございます。本日は、消費者基本計画工程表の中にはまだ書き込むことができなかったということなので、これを書き込んでいただけるということで、今後も注視していきたいと思っております。

それと併せて、そちらでもフォローアップしていくということですけれども、私どもとしましても、単なる数値だけではなく、多分委員からいろいろ出ていたのは、例えば教育の効果についてはどのように測定するのかなどと言っていましたけれども、単に全都道府県、全ての高校で教育をやっていますからこれで良いかというと、そうではないと思います。その意味で、例えば受田委員などは発言をされていたのではないかと思います。

コーディネーターの設置というのも、これは数字で全部コーディネーターを設置するといったところで、その人たちがどういう役割を果たすのかということが明確でなければいけないし、具体的な権限も、周りの人を動かせるぐらいの権限を与えられているのかどうかというところまで見ていかないと、ただ単に数値だけになってしまいますので、そういった面も私どもとして引き続き注視していきたいと思います。

今日は質問しませんでしたけれども、参考3が弱いなと思ったのですが、残りわずかの県の対応が十分でないというだけの話なのでしょうですけれども、この部分のKPIももう少し考えていただければと思います。

私どもからは以上でございます。本日は審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

どうぞ御退席ください。

(消費者庁退席)


≪4.閉会≫

○高委員長 本日の議題は以上となります。

最後に事務局より今後の予定について御説明をお願いいたします。

○丸山参事官 次回の本会議の日程や議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページ等を通じてお知らせをさせていただきます。

○高委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところ御参集いただきまして、ありがとうございました。

(以上)