第263回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2017年12月13日(水)14:00~15:15

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    高委員長、池本委員長代理、受田委員、長田委員、樋口委員、山本委員
    (高委員長の「高」は、正しくは「はしごだか」)
  • 【説明者】
    厚生労働省医薬・生活衛生局道野食品監視安全課長、消費者庁野田消費者安全課長、消費者庁赤崎食品表示企画課長
    (赤崎食品表示企画課長の「崎」は、正しくは「立つ崎」)
  • 【事務局】
    黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 食品衛生規制の見直しについて
  3. その他
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○高委員長  ただいまから「消費者委員会第263回本会議」を開催させていただきます。

本日はお忙しいところを御参集いただきまして、ありがとうございます。

本日は、大森委員、蟹瀬委員、鹿野委員、増田委員が御欠席で、池本委員長代理は若干遅れてくるかと思っておりますけれども、よろしくお願いいたします。

それでは、最初に配付資料の確認をお願いいたします。

○丸山参事官  お手元の議事次第の下部に配付資料一覧を記載しております。資料、参考資料については1、2となっております。もし不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますようよろしくお願いいたします。


≪2.食品衛生規制の見直しについて≫

○高委員長  本日最初の議題は「食品衛生規制の見直しについて」でございます。

平成15年の食品衛生法改正から約15年が経過し、食品の安全を取り巻く環境が変化するとともに、食へのニーズの多様化、グローバル化が進展しております。

一方、依然として食中毒は数多く発生し、いわゆる「健康食品」に起因する健康被害なども発生しております。そういった実態を踏まえ、厚生労働省において食品衛生法改正懇談会を設置し、食品衛生規制の見直しについて検討が進められ、本年11月15日にその取りまとめがなされたということでございます。

本日は厚生労働省からその内容を中心に御説明いただき、意見交換を行いたく思っております。厚生労働省道野医薬・生活衛生局食品監視安全課長にお越しいただいております。また、消費者庁からも質疑対応ということで御出席をいただいております。お忙しい中御出席をいただき、ありがとうございます。

それでは、最初に取りまとめの内容について、道野安全課長より15分程度で御説明をお願いいたします。

○厚生労働省医薬・生活衛生局道野食品監視安全課長  御紹介をいただきました厚生労働省医薬・生活衛生局食品監視安全課長の道野と申します。よろしくお願いいたします。

本日はこのような説明の場を設けていただきまして、ありがとうございました。私から表題にありますように「食品衛生規制等の見直しに向けた検討状況に関する情報提供」ということで、内容について御説明したいと思います。

この内容につきましては、今、委員長から御紹介のあった食品衛生法改正懇談会、11月8日に取りまとめをしたわけでございますけれども、その提言を中心に御説明をしたいと思います。実際の改正法案につきましては、私どもとしては、次期通常国会への提出を目指しているところでございますけれども、今後、政府部内や与党での調整という手続も経まして、対応していきたいと考えております。

では、まず資料を1枚めくっていただきまして、目次のところにございますように、説明としてはこの3つの内容について御説明したいと思います。懇談会でも議論されております検討の背景・趣旨です。食品衛生法につきましては15年間見直しをしていないということもございまして、この間にいろいろな環境が変化してきているというようなことも分析をした上で、提言に結び付けているということがございます。その上で、提言について御説明し、今後の取組というような流れで御説明したいと思います。

3ページ、これも社会的環境の変化ということでございますけれども、御案内のとおり、現在日本の世帯構成人員は減少傾向にございます。その中でも典型的な、共働き世帯、それから、65歳以上の夫婦のみ世帯の食料支出に占める外食の割合、調理食品の割合について分析したデータでございまして、平成16年と比べていずれも増加しているということで、いわゆる食の外部化が進んでいる。これは世帯の構成人数が減ったことによって、加工食品、調理食品を活用される消費者の方が増えてきたというようなことであります。下のグラフにつきましては、それに併せてといいますか、中食・外食産業の市場規模も増大している。そのような内容でございます。

4ページ、食中毒の患者数は現在2万人程度報告がございまして、近年はなかなか数が減らなくなってきている。さまざまな対策をとってきているわけですけれども、患者数が減りにくくなってきている。それから、食品の製造加工等の企業サイドでのいろいろな施設の集約化も進んでおりますし、流通システムも高度化しているということもあって、同一食品が広域に流通することがままございまして、食中毒についても広域的な発生が増えているというようなことがございます。

全体的に申しますと、折れ線と棒グラフのところ、これは食中毒統計と申しまして、保健所が食中毒として調査をして報告した事件数、患者数の推移でございます。また、内容的にも、腸管出血性大腸菌の食中毒につきましては、重症化をして死亡者もまま発生することもございます。その内容を見ますと、若年層、高齢層について重篤な合併症を発症するリスクが高いというデータがございます。

また、広域散発食中毒事例につきましては、下の表にございますように、昨年、今年と2年とりましても、腸管出血性大腸菌O157によるものが2件、ノロウイルスによるものが1件という状況になっております。

5ページ、日本は食料の多くを海外に依存、これにつきましては従前から、ここ15年間で変わったということではございませんけれども、カロリーベースでの自給率は低下をしてきている。

一方で、右のグラフは、食品衛生法に基づきまして、輸入業者の方は食品を輸入する都度、検疫所に届出をしていただく。そこで、届出情報に基づいて必要に応じて検査をするというのが輸入食品のチェックの仕組みになっておるわけで、その輸入重量と届出件数の数値を表したものでございます。輸入重量はそんなに大きくは変わっていませんけれども、件数は増えている。これの原因は、従来は未加工品で原料で入ってきたものが、加工食品で入ってくる。また、従来冷凍品でかなり大きなロットで入ってきたものが、生鮮品として航空機などで小ロット化して、付加価値の高いものとして入ってくる。そのようなことで件数が増加している、ロット数が増加している状況もございます。

また、「健康食品」につきましては、6ページ左側にございますように、これは消費者委員会の2012年のデータを使わせていただいているのですが、ほとんど毎日利用する、たまに利用するという消費者の方が6割近い、半数以上というようなことでありますし、これは健康被害に関連するものだけではございませんけれども、「健康食品」に関する相談件数も毎年2万件近くある状況がございます。

7ページ、先ほど申しましたとおり、過去15年間食品衛生法を改正していないということもございまして、国際的に見ると欧米と基準の水準の開きが少しずつ出てきております。一方で輸入食品の増大、それから、政府としては農林水産物や食品の輸出を増やそうと政策的に対応しているわけでございますけれども、そういったグローバル化に対応すること、EPAの締結、経済連携協定の締結ということで、特に食品、農林水産物の輸出入はそういった相手国からのものが増えてくる状況、さらに、2020年の東京オリンピック・パラリンピックというイベントを控えているわけでございますけれども、内閣ではこういった東京オリンピック・パラリンピックに併せて、新しい日本を創造していこうということで、国際化に対応したシステムづくりを目指しているわけでございます。

8ページ、食品衛生規制の見直しに向けた検討の背景・趣旨、こういったことがまとめられているわけでございます。今、申し上げたような背景ということで、1点目としましては、調理食品や外食・中食への需要の増加、輸入食品の増大、食のグローバル化が進展している。2点目としましては、食中毒は依然として数が多く、広域事案も発生している。一方で、「健康食品」に起因する健康被害なども発生しているということがございます。東京オリンピック・パラリンピックの関連で、国際基準と整合的な食品衛生管理が求められる、このような背景があると分析しておるわけでございます。

9ページ、私どもで懇談会以前から、必要な部分につきましては、食品衛生規制の見直しということで検討してきた。そういったことも含めた検討の仕組みについての資料が10ページになります。一つはHACCPの制度化ということで、これは昨年の3月から年末までの間、食品衛生管理の国際標準化に関する検討会を開催しております。

また、食品用器具容器包装の規制につきましては、昨年の8月から今年の5月まで、内容は後ほど御説明しますけれども、容器包装の材質のポジティブリスト化の導入ということであります。それから、こういったHACCPだとか器具容器包装のポジティブリストも含めて、これまでの食品衛生規制の内容について、棚卸しと申しますか、全体的な議論をしていただいたというのが食品衛生法改正懇談会であります。さらに、審議会においても、こういった改正内容について議論をしていただいているといったような体制でございます。

12ページ、懇談会の主な提言内容ということであります。

13ページから、各論になります。食中毒対策の強化ということが1点目でございまして、これは食品安全基本法でも、食品供給工程を通じての食品の安全確保は規定されておるわけでございます。フードチェーン全体を通じた衛生管理の向上のためということで、特に食中毒の関係で言いますと、件数の多いカンピロバクターによる食中毒、これは食肉の処理段階で汚染するので、そういった食肉の処理段階での強化、それから、生産段階との連携の強化。これは生産段階で食中毒菌に汚染されるということによる国内外を含めて事故もございますので、生産段階と連携をして、衛生管理を向上していくということが重要であるということでございます。

2番目につきましては、広域な食中毒事案に対応するということが重要なわけでございますけれども、一方で、地方分権の進展ということもございまして、現在中核市は非常に増えている。食品衛生法につきましては、都道府県知事のほかに、大都市の市長であるとか東京都23区であるとか、中核市の市長だとか、それぞれが保健所を設置して、法律を施行していく仕組みになっております。

したがいまして、食中毒が発生した場合、それぞれの自治体や保健所が調査をするという仕組みになっておりまして、今年の夏に腸管出血性大腸菌O157、特に遺伝子型が同一の菌で発生したとされるものがございます。ここの左側の表で言いますと3番目であるとか5番目であるとか6番目、8番目、この四つの事例については、そういった食中毒でございます。こういった食中毒の場合、保健所としては、まず調査をして発生原因を突き止めて、行政処分なりをして拡大を防止するということが一義的な行政対応になるわけでございますけれども、そういった調査であるとか、調査結果の消費者の皆様への情報発信であるとか、そういったことがなかなか統一的な考えのもとでやれないというような状況がございました。そういったことで、この資料の上にありますように、厚生労働省も含めまして、都道府県等の関係者間での連携、発生状況の情報共有をしっかりやっていく必要がある。また、そういったことによって、早期にこういった広域食中毒の発生を探知して、なるべく早い段階での調査をすることによって、有効な調査をやっていくということ、拡大を早い段階で防止していく必要があると考えております。

15ページ、これはHACCPの制度化でございます。HACCPの制度化につきましては、これは先ほど御案内したとおり、昨年の3月から検討会等で議論をしてきたため、懇談会において新たな御提言というものはございませんでした。むしろ懇談会の取りまとめに沿って進めていくべきというようなことであります。15ページにつきましては、HACCPの概要について述べたものでございますけれども、工程管理の手法と御理解をいただければ良いと思います。要するに、安全を確保するために重要な工程を特定して、そこを継続的に管理していくというわけです。

ただ、これにつきましては、平成5年に国際基準になったというように白抜きの四角いところにも記載がございますけれども、欧米ではもう制度化が進んでいるというものであります。したがいまして、我が国の食品を輸出する場合には、国内規制のほかにHACCPをやっていますよということを政府が証明してあげないと輸出ができないというようなことも生じているわけでございます。

マル2が、先進国を中心に義務化しているというようなことを示した地図でありまして、隣側が、一方で、国内では大規模事業者についてはかなりの普及が進んでいるわけでありますけれども、規模が小さければ小さいほどなかなか対応が難しいというのが現実でございます。

全体のグラフが一番下になっているわけでありますけれども、これは例えば販売金額が1億円未満のようなところはもっと低いということなのです。

こういったことを踏まえまして、17ページ、これは懇談会と申しますよりは、昨年の国際標準化に関する検討会での取りまとめの内容であります。このような状況を踏まえて、HACCPの実施がある程度対応ができると考えられる大規模事業者については、国際基準どおり基準Aということでやっていこうと。基準Bに関しては、そういった対応が難しいような小規模事業者や、先ほどお示ししましたような工程管理がなかなか難しい、例えば提供する食品の種類が多くて変更頻度が頻繁ということで、飲食店だとか給食施設だとか、そういったところに関しては基準Bということで、少し弾力的なルールにしていこうと。

ポイントを申しますと、HACCPもそうなのですけれども、まずは一般衛生管理というものをしっかりとやっていただく。可能な範囲でHACCPに対応していただくというような形での基準Bを想定しています。制度の立て付けとしては、こういった事業者の方々に衛生管理計画を策定していただく。中身は一般衛生管理に関する部分とHACCPによる衛生管理の部分をそれに載せていただくということですけれども、HACCPによる衛生管理につきましては基準A、基準Bということで、二つに分けて対応していくということで、食品産業界においてもHACCPの衛生管理に取り組んでいっていただくというような制度設計になっております。

18ページ、リスクの高い成分を含むいわゆる「健康食品」等による健康被害防止対策ということであります。取締りの例というものがございますけれども、一番下にプエラリア・ミリフィカという、今年の7月に国民生活センターが被害情報が多いぞということで公表しました事例につきまして、厚生労働省でも各自治体の保健所に立ち入ってもらって、製造業者や販売業者の状況を調査いたしました。結果としては、なかなかこういったプエラリア・ミリフィカというものの目的とする成分の管理が製造段階で十分実施されていない、検査ができなかったりとか、そもそも製品管理がうまくいかないというようなことがございました。

そういったことで、提言の内容としては、上の四角の中にあるような製造工程管理や原材料の安全確保ということで、実効ある仕組みを作る必要があるのではないかというようなこと。それから、こういった健康被害情報は、なかなか質の高いものを集めるのは非常に難しいところがございます。そういったことで、健康被害情報の収集と処理というものについて、適切にやっていく必要があるのではないかと。さらに、消費者や事業者に対しての適切な情報伝達。ここの中で出てきましたのは、特に「健康食品」そのものは医薬品の代わりにはならないわけなのですけれども、薬の代わりに飲んでおられる方も多いということもあって、そういった消費者の方に対する情報提供、啓発ということが重要ではないかということでございました。

20ページ、これは器具容器包装の規制の見直しということであります。日本では現在ネガティブリスト制度ということになっていまして、特定の材質のものについて、安全規格を設けている。これを米国や欧州等と同様のポジティブリスト制度に変えていこうと。これはどういうことかと申しますと、一番下のところにありますように、原則使用を禁止した上で、安全性の確認の担保ができたもののみ使用できるということにして、使用可能な物質をポジティブリストとして定めるというような制度でございます。

21ページ、営業許可制度の見直しと届出制度の創設ということでございます。現行、制令で定めた34業種については、知事の許可がなければ営業ができない。許可の基準は主に施設でありますけれども、条例で定める立て付けになっております。

34業種というのが、22ページの上ということになります。一部の自治体におきましては、これ以外の業種についても条例で許可制度、届出制度を作っております。

23ページ、この営業許可制度につきましては、制度ができてからかなり時間がたっている、最後の改正が昭和47年ということでございました。そういったことで、現在のリスクに応じた制度を再構築するべきはないかというようなことであるとか、かなり許可分類が細分化されているということがありまして、現在、製造にしろ、販売にしろ、1施設で多くの営業許可を取らなければいけないということもあります。そういったことで、実態に応じた見直しをやっていこうというような内容であります。

あわせて、先ほどHACCPのところで、食品等事業者について、衛生管理計画を広く求めていくということにしてございますので、許可対象業種だけではなく、それ以外の業種についても把握をする必要があるということで、届出制度を設けるというようなことにしております。24ページの絵は、これは見直しのイメージということであります。現行の許可とそれ以外というような分類から、許可と届出に分類する。さらに、現行の営業許可が必要な業種について、許可業種として維持するのか、届出業種にするのか、また、それ以外の業種についても許可業種とするか、届出業種とするかということについて検討していこうということでございます。

25ページ、食品リコールの情報提供ということでございます。これにつきましては、現在自主回収、特に食品の安全を理由にした自主回収につきまして、自治体の条例で報告を求めているケースはございますけれども、法律で定めていませんので、地域によって差があるということがございます。これにつきまして、全国でどのような食品が回収されているかということを、一覧性を持って消費者、事業者に情報提供できる仕組みにしていこうということでございます。

26ページ、輸入食品の安全性確保ということでございます。国内において、HACCPによる衛生管理を制度化することに伴いまして、特に国際基準の水準で管理ができている食品に関しては、輸入についてもHACCPを要件にしているというような考え方であります。

27ページ、食品の輸出の関係でございます。食品衛生法自体は国内に流通する食品の安全確保ということがもちろん一義的な目的でございますけれども、輸入については輸出国に対していろいろな注文をしているわけでありますが、逆に日本が輸出する場合にも相手国の基準に合わせているということもございます。そういったことにつきまして、二国間の協力も重要なことでございますので、輸出関連の事務について、実際に現在法律の根拠なく国や自治体で行っている事務について、そういった内容を定めていくというような内容でございます。

最後のリスクコミュニケーション、28ページでございますが、これにつきましては特に法律事項ということではありませんけれども、なかなか行政側の情報発信、双方向の意見交換ということが十分できていない部分もあるということで、これはそれぞれの各論についても御指摘があったというような内容でございます。

30ページ、こういった懇談会の提言を踏まえて、先ほど冒頭申し上げましたけれども、政府内の調整、与党との調整等々、さらにはパブリックコメントを実施しまして、その上で改正法案について内容を固めていきたいと、そのように予定しておるわけでございます。

以上でございます。

○高委員長  ありがとうございました。

それでは、ただいまの説明に関しまして、御質問、御意見のある方は御発言をお願いいたします。

樋口委員、お願いします。

○樋口委員  HACCPのことでお伺いしたいのですが、基準Aと基準Bがある方向性だというお話だったのですが、先進国で義務付けをしている国は、同じように基準Aと基準Bがあるのか、それとも別の考え方なのか、この辺りはどうでしょうか。

○厚生労働省医薬・生活衛生局道野食品監視安全課長  ヨーロッパとアメリカを例に御説明しますと、ヨーロッパにつきましては、食品の1次生産を除く全ての食品産業に対してHACCPによる管理を義務付けています。けれども、実際には伝統産業だとか小規模事業者に関しては、非常に弾力的運用を認めていて、各国に運用は任せている。

例えばイギリスなどの場合で言えば、先ほど、私は給食施設とか飲食店などと申しましたけれども、ああいった事業者に対しては、業界団体と政府でこういうように管理しなさいという情報を発信したりしてサポートしていて、そういった意味でいうと、日本の基準Bに近いようなものを、各国、事業者団体と調整して出しているという状況です。

米国につきましては、製造加工業については連邦規制で義務化がされる。今、ちょうどそのプロセスにあります。ケータリングだとか飲食だとかというものに関しては基本的には州法で対応していて、ただ、その州法の内容については、FDAがフードコードというものを出して、各州がそれに倣って制度を作っていくということになっています。その中でも、先ほど御紹介したようなイギリスと同様に、基本的にはHACCPの考え方で管理をしなさいというようにしています。ただ、それより良いものがあればそれを使ってもいいですよと。ですが、基本的にはHACCPの考え方に基づいたということで、必ずしも全てが大手の食品メーカーがやっているような、我々が言っているA基準のようなものではございませんけれども、そういったHACCPの考え方に沿った管理をすることを求めている状況でございます。

○樋口委員  実情についてはある程度理解できたように思いますが、私は中小企業、特に1億円以下を見ると、16ページのグラフの青い線は赤い線や緑の線よりも下になっているというようなことも実態を表していると思うのですが、どういう考え方でAとBというものを分けられるのか、特にBが国際的なバランスの上でどういう形で今後推移していくのか。一つ、通常こういう基準を設けたときにやる方法としては、Bの対象になる人たちにいろいろ政府が支援をして、例えばできるだけAに近づくようにするとか、Aの精神を生かせるような環境づくりをするというような政策も併せて実施されることが多いのではないかと思うのです。ですから、HACCPの状況については私も知識がありませんが、消費者の側から見ると中小企業が作ったものであれ、大企業が作ったものであれ、輸入品であれ、同じ状況で消費するわけですから、できるだけ一つの考え方でそれに沿った形で運用が可能なように方向性や支援など、そういったことについてはぜひお願いしたいと思います。

○高委員長  ほかはどうですか。

池本委員長代理、お願いします。

○池本委員長代理  御説明ありがとうございます。

私もHACCPのことについて、資料の17ページに関連して御質問をします。先ほどの質問にも少し関連するのですが、基準Aは一定規模以上の事業者となって、基準Bとの線引きですが、前のページでは、これは仮にということなのでしょうけれども、大手層は89%という数字があります。この線引きは、まだ具体的に幾らを基準にするということは確定していないのかもしれないのですが、基準Aが食品業界の中でどの程度の範囲を想定し、基準Bがどの程度の範囲になるのかということのAとBの線引きのイメージを想定される範囲でお伺いできればと思います。それが1点目です。

基準Bについて、一般衛生管理としての義務付けのほかに重点的な管理計画を出すことになるのか、それともHACCPの重点的な管理計画を出せば、従来の網羅的な基準の中の幾つかを外していく。これは規制緩和と言うのかどうか分かりませんが、そのあたりの基準Bとなるものが、従前の義務付けと、新しい衛生管理計画を出すことによって義務付けの軽重がどう変わるのかというあたりをお伺いできればと思います。

○厚生労働省医薬・生活衛生局道野食品監視安全課長  一つ目は、線引きについての御質問でございました。線引きの考え方としては、もちろん規模ということはありますけれども、HACCPそのものの中身ということになりますと、専門知識もある程度必要ということになるわけなのです。食中毒菌がどういった原材料に汚染していて、それを製造工程の中でどうコントロールするかというようなこと、そういったことも検討しつつHACCPプランというものを作っていくということがございます。そういったことで、そういった人材が確保できるような規模の事業所は基準Aで対応ができるだろうというような想定をしておるわけでございます。

もっと具体的に言うと、品質や安全管理の人や部署が専任できるようなところは、そういった人を雇えるだろうというようなことで、私どもとしては一定の従業員数を一つの目安にしたい。また、この従業員数というのは、企業の売り上げだと、なかなか保健所が立ち入ったときによく分からないのです。むしろ、従業員数というほうが保健所としてはどちらが適用されているかということが確認しやすいし、守る側もそれで明確になってくるというようなことがございます。

基準Bに関しては、今申し上げたようなHACCPの中で専門知識が必要な部分に関しては、おおむねその業界団体である程度データなども整理してあげて、モデル的な衛生管理やプランを示すということで、小規模事業者については対応していただきたいと考えております。そういった意味で、そういう専門的知識が要るものについての義務付けはしないということです。ただ、実際の衛生管理計画はもちろん実情に合わせて作っていただく。それを作るには、そういった業界団体が作った手引書を活用しようと。そういったことで、先ほど樋口委員からも御指摘のあったような支援ということで、私どもと業界団体で協議をしまして、業界団体が原案を作り、厚生労働省で専門家も含めて内容を確認して、この手引書でやっていきまきしょうという作業を進めようとしております。現在、二つの手引書について作成が終わっておりまして、年内には何とか10程度、各業種別に確認して、年明けには公表していきたいと考えております。

そういったことで、基準Bの対象業種はこれまでとどう変わるかということなのですが、現在は、実は食品の種類だとか、事業者の規模だとか、そういったことは全く関わりなく画一的な基準だけがございます。チェーン店、大手企業などでは既にマニュアルを作ったり、実際にHACCPをやったりして対応しているわけですけれども、多くの小規模事業者では、なかなかそういう対応はできていない。むしろ、保健所が年に1回来たときにこれをやりなさい、あれをやりなさいみたいなことになっているわけですけれども、そのやるべきことについて衛生管理計画で自ら定めていただく。もしくは手引書を参考に、または手引書に即した管理計画を自ら作っていただいて、それを守っていただくことになります。

内容につきましては、業界団体ともいろいろ協議をしていますと、今、画一的な基準と言いましたけれども、それは正に一般衛生管理の内容でございまして、これがなかなか実際には小規模事業者ではできていないところもある。ということで、まずはそこからしっかりやっていってもらうということもあって、基準Bにつきましては、正に現行の基準をまず確実にやってもらうというところが一歩。その上で、余裕のある方はそういうHACCP的な管理も取り入れていってもらう。その内容や道筋については、先ほど申し上げたような手引書で示していくということで、なかなか難しいところはあるのですけれども、そういうHACCPというものに、基準Aを目指して、皆さん取り組んでいただこうとしております。

○高委員長  理解が若干しにくかったのですけれども、17ページの一般衛生管理がまだ周知徹底されていないから、Bについてはここをまずやってもらう。HACCP的な衛生管理についてはもうちょっと先で考える、こういう意味ですか。オーバーラップするのかどうかという御質問があったのですけれども、今の説明だと、オーバーラップはまだしないということですね。

○厚生労働省医薬・生活衛生局道野食品監視安全課長  一般衛生管理が十分にできていないというのは、画一的な基準ということもあって、どう取り組むかということについて個々の事業者に分かりやすい形で基準が示されているわけではございませんので、保健所の指導に従ってというようなところが多いわけでございます。今回は手引書に基づいて、各業種や食品の特徴に応じたこういった衛生管理の内容を具体的に示す。それを着実にやっていただくということで、これまで一般的な情報しかなかった、保健所の個別の指導が年に1回ぐらいしかなかったというものについて、継続的に計画を作ってやっていっていただくということで、まず現行も義務になっているわけですけれども、その義務になっている内容について文書化してもらって取り組んでいただくというのが1点です。

さらに、その規模にもよるかもしれませんけれども、HACCPによる衛生管理というのは、例えば重要管理点というものを手引書で例示しまして、例えばハンバーグの加熱の状態について温度計を突っ込んで確認するとか、肉汁の出てくる色で確認するとか、そういったことも対応可能な範囲でやっていっていただく。そういった管理の手法そのものがHACCPの手法に近づいていくというようなことを目指して進めていくということであります。手引書の中にはそういった重要管理点の例なども示しておりますし、そういったことにも取り組めるところには取り組んでいっていただくというようなことにしております。

○高委員長  とりあえず重複ではないと解釈していいですね。上の一般衛生管理の状況を徹底するために、HACCPの手法を使うという解釈ですね。

○厚生労働省医薬・生活衛生局道野食品監視安全課長  はい。

○高委員長  ありがとうございます。

受田委員、お願いします。

○受田委員  今、議論になっていますHACCPを含めて3点、御質問あるいは意見を述べたいと思います。

まず、HACCPに関しては、多分地方の小規模というよりも統計上出てこない4人以下の事業者さんなどを大勢抱えている地域においては、この義務付けに関しては相当負担が大きくなるのだろうなということで、現場は非常に戦々恐々としている状況でございます。実際にHACCPを導入してグローバルに備えていく。これは絶対にやらなければいけないことなので、間のマイルストーンをどう設けていくかということがポイントになっていくのかなと思います。現状、基準Aと基準Bとされているのですが、これまで各地域のHACCPの導入を御覧になられてお分かりのとおり、ミニHACCPとかローカルHACCPという、たしか静岡から始まったのではないかと思うのですけれども、我々高知県でもやっております。これが先ほども話題になっていたHACCPへの導入というか、ステップになっていくということで、事業者さんへの教育的指導をこれによってマイルストーンを設けていくというようなことをやっています。

私が伺いたいことは、この基準B、これをいきなり導入することによって、事業者さんにHACCPのコンセプト、あるいはHACCP自体は導入したら終わりではもちろんありませんので、運用し、記録をしっかりとり、いざというときに備えられるようにしようという、そういった本質的なところがこれで伝わるのだろうか。その際に、ミニHACCPのようなものを地域において導入しているところの実績をさらに考慮して組み合わせていくことはできないのだろうかということが1点なのです。

HACCPに関してはもう一点、6ページ、食品衛生法改正懇談会取りまとめの本文を見ていますと、今日のこれにはないのですけれども、懇談会の文章を見てみると「事業者においてHACCPに関する様々な誤解が生じており」と書いてあるのです。その誤解の中身が書いていないのです。ここの誤解を誤解のまま文章で表現していないのも気になります。ですから、HACCPに関しては、食品業界はほとんどが中小零細であり、零細企業に対して実質的なHACCPの導入を図っていくためにマイルストーンを少し緻密に設ける必要があるのではないかと思います。まずこれが一つ目です。

○高委員長  一つずつ答えていただきましょうか。

お願いします。

○厚生労働省医薬・生活衛生局道野食品監視安全課長  ありがとうございます。

導入に当たってということで、現在地方自治体が設けているような任意の承認制度のようなものということであります。実は国でも食品衛生法で総合衛生管理製造過程の承認制度もあるわけでございますけれども、今回の制度改正をする場合には、廃止と考えています。これはあくまで普及の目的でやってきたということもございますし、義務化になれば、その必要はなくなると考えております。

いずれにいたしましても、地方で今行っているようなミニHACCP、ローカルHACCPに関しては、地方自治体が、今後どう判断していくかということではあるわけで、国の立場でどうせい、こうせいということは言えないわけです。地方の認証は基準Bとよく似ているのです。基準Bの上澄みが地方のミニHACCPであったり、そういったレベルなのかなということです。地方の目的としては、そういった地域、地域でのモデルプラント的なものを作って、それを地域の事業者の方に目標にしてもらうと、そのような政策的な意図もあってやっていらっしゃることで、これをうまく活用している。もしくは今回HACCPの制度化をすることを踏まえて、そういったミニHACCPやローカルHACCPを作ろうといって動いている自治体もございます。

その辺りは地方の自主性にもお任せするわけであります。実は基準Bの手引の内容に関してもそういう段階的なものになっていまして、AとBは2つあるように見えますけれども、基準Bに関してはもちろん食品や業態によって随分内容が変わってきますし、従業員数だとかレベルについても多様なものを想定し準備しています。御指摘のような、今まで何もやっていなかったということもあるわけですから、まずは手洗いから施設の清掃だとか、温度管理だとか、そういったものを手順1枚でも2枚でもそういった計画を作って、例えば1カ月なり1週間の日にちを記したものの一覧表を作って、毎日それをまず1行ずつ記録を埋めていく、そういった段階から実行していただくことも想定しています。特に小規模飲食店については従業員数4人以下というものは十分に想定してやっております。

また、菓子だとか豆腐だとかというものについても同じような非常に少ない、工業統計などでも出てこないような規模のところがございますので、業界団体とも相談しまして、そういったところでも対応できるような基準Bの内容にも含めております。そういった意味で、基準Bも実はそういう10名以下のものもあれば30ぐらいを想定したもの、段階的なものを手引書の中で示している状況であります。

「誤解」の件ですけれども、先ほども触れました昨年実施しました「食品衛生管理に関する国際標準化に関する検討会」、こちらで誤解の部分は分析しておりまして、そこを引用した懇談会の報告書になっています。具体的に何かと申しますと、ハードの整備が必要ではないかと思っていらっしゃるということがあったり、お金がかかる。これはハードと重なるのですけれども、そのような誤解があります。これはあくまでソフトの基準ですので、私どもも制度化するに当たっては、基本的には現行のハードを前提としたものを衛生管理計画として考えていただこうというようにしています。もちろん設備投資したほうが、例えばコンピューター化して記録も簡単になる、管理もやりやすくなるということは否定するわけではないのですけれども、現行の施設設備でも対応できるように、やっていっていただくということで、全く差し支えないというような考え方で進めております。

○受田委員  ありがとうございます。

二つ目なのですけれども、先ほどパワーポイントの資料で御説明いただいたHACCPの次のページに、リスクの高い成分を含むいわゆる「健康食品」等による健康被害防止対策というお話がございました。ここにある取締りの例は、宣伝文句の部分が、これはもう明らかにいわゆる「健康食品」であり、保健機能食品制度とは違うものであるということで、優良誤認であったり、非常に法律的に見ても適切でないものという扱いかと思います。こういうものでリスクの高い成分が散見されて、実際に健康被害が生じているというのは、これはもうゆゆしき問題なので、これを改善しないといけないことは言うまでもないのですけれども、この説明を拝聴していると、何かいわゆる「健康食品」を正当化というよりも、位置付けとして、ありだと。このままその存在を認めた上でGMPによる安全性の確保等をやっていこうとも見えてしまうのです。

本来、いわゆる「健康食品」を淘汰していって、食経験がほとんどない、我々の食成分から見れば歴史上こういったものを口にしたことがないようなものを遠ざけることは当然のことだと思うのです。ですから、申し上げたいことは、これはいわゆる「健康食品」等の存在を認めているような感じで御説明されているように感じたのですけれども、そのようなことはないですね。

○厚生労働省医薬・生活衛生局道野食品監視安全課長  この表題にありますように、説明の時間も限られていたものですから、申しわけございません。要するに、いわゆる「健康食品」ということでありまして、この検討をやる中で、先ほども触れましたけれども、医薬品の代わりのような、そのような宣伝がされたり、もちろん法律的に問題が生じる生じないということはあるのだと思いますが、それで国民も誤解をしているというようなことで、まず消費者教育は重要だということもあるわけです。

その一方で、生体内の活性があるような物質の使用もまま見受けられるわけで、もちろん医薬品に該当するものは医薬品ですから薬機法違反ということになるわけです。けれども、そこまでは達しないというものもあります。そういったリスクの高い成分の原材料の安全性確認をどうやっていくか、その一つの規制のやり方として、リスクの高い成分に着目して、そういったものを含む「健康食品」というか、要は食品ですね。別にそれはビスケットの形でも良いわけです。「健康食品」というものを定義すると非常に難しいという問題もあります。錠剤タブレットとか、そういったことに限定をする必要があるのかどうかということも含めて、そういったリスクの高い成分を切り口にして規制をするというのは一つの手法としてあるのではないか。そういう議論であります。

○受田委員  趣旨はよく分かります。ただ、やはりいわゆる「健康食品」が中心になりはしないかというところで、それこそ誤解を招かないように気を付けていただく必要があるのかなと思いました。

最後、3つ目に関してなのですけれども、25ページに食品リコールの情報の把握・提供というお話がありました。これは食品事故の情報を告知する、この仕組みを構築していく。また、自主回収の情報を行政に報告して、行政が国民に提供する仕組みを構築する。こういう制度の導入は望まれるところだと思います。一方で、先ほども引用させていただいた食品衛生法改正懇談会の取りまとめの中では、17ページにアレルゲンや消費期限等の食品表示法違反により回収する場合も報告を義務付ける必要があると記述されています。

伺いたいのは、これまでの食品表示法の違反に関するリコールというのは、どういう状況であったのか。また、今回の自主回収情報のリコールというのが、報告の義務ができることによって、こちらの食品表示法違反の報告義務等についてはどういう影響というか、関連があるのか。この点について教えていただきたいと思います。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長  ただいまの御質問につきまして、消費者庁からお答えをさせていただきます。

まず、現行食品表示法に違反するリコールの状況ですが、現行の食品の表示には様々な義務がかかっています。その他に任意でも表示できる制度になっています。事実と異なる表示がなされたものについては、事業者側で自発的に回収なり返品を受け付けて、それから返金もしているという運用をしていると承知しています。これは法的なものではありませんで、あくまで事業者の自主的な取組という形で対応しています。

実績として、今どの程度食品表示法違反のリコールがなされているかにつきましては、平成28年度の実績で見ますと、食品表示法関係で549件、自主回収報告の受理を地方自治体が行ったとなっています。

別途、これは食品産業センターが調べている数字になりますが、平成29年11月1日から11月30日までの1カ月の結果で見ますと、食品表示法に関するリコールとして、53件自主回収報告がなされたという実績がございます。

以上が実績でございますが、新たに法的な義務付けが行われた場合にどうなるのか、どういう影響が今のこの制度に及ぶのかという点については、今、述べたような食品表示法違反のリコールのうち、先ほど委員が御発言をされた食品衛生法改正懇談会報告にあるように、アレルゲンや消費期限等の食品の安全に関係するような違反については、事業者の側が自発的に社告等を打つ場合に、同時に行政にも何らかの形で報告をいただく形になろうかと思っております。

そういう形で報告いただいた情報にいては、これは制度として行政に報告いただくわけですから、そのままにもできません。当然ですが、ここから先は厚生労働省とよく連携、相談しながらになると思っていますが、その情報を何らかの形で一般の国民に分かりやすくお示しする。そういう制度も併せて考えたいと思っております。

○受田委員  分かりました。ありがとうございました。

○高委員長  ほかいかがでしょうか。

長田委員、お願いします。

○長田委員  ありがとうございます。

今のリコールの把握のところなのですけれども、今、食品産業センターでやっていらっしゃる告知ネットというものがあります。そこは自主回収の場合は自主的にメーカーさんが、食産センターに届けていらっしゃって、それが載っている。新聞の告知、そういうものを打たなくてもここには届けるというところもたくさんあると思うのです。それの行政版ができるイメージになるのでしょうか。各行政にと言ったとき、これは自治体に報告をその事業者さんがすることになるのか、厚労省なのか、消費者庁なのか、どこにすることになるのかということと、国民の皆さんに提供する仕組みのイメージですが、1カ所のところが提供するということになるのか、教えていただければと思います。

○厚生労働省医薬・生活衛生局道野食品監視安全課長  制度の立て付けとして想定されるのは、自主回収する事業者の方は都道府県にまずは報告いただく。その報告いただいた内容を国に報告してもらう。制度の立て付けとしてはそうなります。実務としてどうなるかと申しますと、もちろん平成30年度からにはなるのですが、そういったシステム化ができないかということで、概算要求で今年の8月に財務省にもお願いをしているところではあるのです。そういったことがシステム的にできるようにしていくということで、最終的には国に報告が来たものについて、ネットなりを活用してどなたでも御覧いただけるようなシステムにならないか。そういったことを目指して、今、財務省との協議であるとか関係自治体との調整、もちろん消費者庁さんとも御相談はさせていただいているという状況であります。

○高委員長  消費者庁さんからよろしいですか。

同じような仕組みに本当になるのか若干不安なのですけれども。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長  今、道野課長から御説明があったのと全く同じでして、今の発言に特につけ加えることはございません。

1点だけ補足させていただくと、食品産業センター調べということで、今年今年11月1日から30日までのリコールの件数、先ほど53件と言いましたが、これは何らかの形で食品産業センターが調べたものだと思っていますが、まさにイメージ的には、そのようなものを国が地方自治体を通じて情報をいただいて、何らかの形で共有する、そのように御理解をいただければと思っております。

○長田委員  この話は分かりましたということでいいです。

先ほどのHACCPの話で、スケジュール、零細のところも含め、とてもとても大変なことだと思うのです。最初の食衛法の見直しの現状の中にオリンピックの話があったと思うのですが、オリンピックでの食品の提供がHACCPやGAPが条件になっているということで、世の中では、とても日本は何もできないのではないかぐらい心配していると思うのですが、そことの関係はどうなるのでしょうか。

○厚生労働省医薬・生活衛生局道野食品監視安全課長  もちろんオリンピックの前に施行できれば良いのですけれども、仮に通常国会としても2年ですし、なかなか難しいところはあると思います。そういったこともあって、環境整備としては、先ほど申し上げたような業界団体と協力して手引書を事業者に示していくという作業をとにかく早くやっていこうということで、作業を進めているところです。そういったことで、オリンピックに際して、そういった対応をしたい方はこれを見れば良いという、少なくともその環境整備はやっておかなければいけないと考えています。

一方で、組織委員会で準備している例えば会場内のメインダイニングとか、そういったところは、提供する事業を委託される事業者の入札要件に結果としてはなっていくものですので、そこは我々が想定する新制度だとか、過去のロンドン大会でのルールなども参考にしながら対応していくということになります。会場内の話は制度化するしないは別にして、入札要件としてそういった内容のものをきちんと定めることはできます。会場の外の話としては、手引書を早く作成して皆さんに参考にしていただくことで、体制を少なくとも整備しておきたいということで進めております。

先ほどのリコールですけれども、もちろん消費者庁さんと協力してやろうということで相談しておりますので、別々ということではありません。

○高委員長  ありがとうございます。

山本委員、お願いします。

○山本委員  余り時間がないようですので、御質問いたしますが、大きな一つ目は、18ページの先ほどちょっと話が出ました「健康食品」の問題でして、三つほどお伺いしたいと思います。一つ目は、「健康食品」というのは現在法令上定義がない。非常に定義が難しいというお話が先ほどございました。今後も新しいいわゆる「健康食品」というものが製造販売されていくということがあると思うのですけれども、そういう新しい製品に対しても対応ができるような形で、いわゆる「健康食品」等という範囲を決めることができるのかということ。どのように決めることをお考えなのか。リスクの高い成分を一つ基準に挙げておられますけれども、これで十分具体的にカバーができるのかということをお伺いしたい。

二つ目は、18ページの一番上のところに、製造工程管理や原材料の安全性の確保、事業者から行政への報告の制度化等々の話が出ておりまして、その下を見ますと、現行の対応のところで、通知ベースでこういったことは書かれているのです。現状、こういった製造工程管理、原材料の安全性確保あるいは報告といったことがどれぐらい行われているのか。それから、これをさらに仕組みを整備するといったときに、具体的にどのようなことをお考えなのか。現在の状態と比べたときにどの点を改善といいますか、レベルアップしようとお考えになっているのかということが第2点です。

三つ目は、少し具体的な話なのですけれども、18ページの先ほどの取締りの例の中に、事業者への行政指導あるいは適切な表示の指導と書かれておりまして、行政指導というのは、先ほどちょっとお話がありましたけれども、製造工程管理や何かについて指導されたということかなと理解したのですが、この適切な表示は一体何を指導されたのか、この行政指導の内容について少しお伺いしたいということです。

先ほどの25ページの食品リコールの話について、消費者庁に確認をしたいのですけれども、現状、食品リコールがあったとき、食品表示関係のリコールがあって消費者庁に報告がされる場合に、どのようなものが報告をされているのか。いわゆる食品衛生法にかなり近いといいますか、食品の安全性、消費者の安全に関わるようなリコールが報告されていると理解してよろしいのか、その点についてお伺いしたいと思います。

○厚生労働省医薬・生活衛生局道野食品監視安全課長  まず最初の3点について御説明させていただきます。

いわゆる「健康食品」という範囲を限定してやるというよりは、むしろ成分側に着目をして、例として適切かどうかはよく分かりませんが、例えば今回問題になったようなプエラリア・ミリフィカについては、ミロエストロールというかなり活性の高い成分がございました。そういう成分を含む食品という形でアプローチをするのかなと、まだ検討中ではありますけれども、そのような想定をしています。

GMPや原材料の安全性の管理については、いずれも御指摘のとおり通知で行政指導という形でやっております。特にGMP等、原材料の安全性管理については事業者に対する指導基準ということになっているわけですけれども、活用のされ方としては、今は業界団体がそういった認証を自主認証の形でこういうことをやっていきましょうということを業界内で一つの目標とするという形での動きがあります。したがって、全てのいわゆる「健康食品」を製造なり販売されている方々が実施して取り組んでいるというような状態ではなくて、むしろ企業ごとに差があって、それを業界団体が認証することによって推進している状況でございます。

健康被害報告については、これは行政部内で、例えば保健所にそういった報告があった場合に、国にも情報を持ってきてほしいということでやっています。こちらはPIO-NETの件数などに比べるとはるかに少ない件数ですし、非常に散発的です。情報の内容についても医療機関を通じというものはほぼなくて、なかなか科学的に分析するのも少し難しいようなものが多いのが現状であります。仮にそういった健康被害情報を行政として収集するのであれば、ある程度質を確保しながら収集していくことも課題だと考えております。

各事案での対応でございます。特に表示の指導の内容の例といたしましては、例えばプエラリア・ミリフィカの場合には、ここにあるように不正出血や月経不順等の報告ありということになっておりますので、そういう生殖系の疾患のある方などは利用しないでくださいことを明記してくださいと、これは一例です。もう少しいろいろあれ書けこれ書けとやっていて、スペースがなかなか足りないぐらい指導はしています。そのような摂取する側への注意という形での表示内容の指導をやっております。

○高委員長  消費者庁さん、お願いします。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長  食品表示法違反のリコールについて、具体的にどのようなものが報告されているのかという点です。大部分は例えばアレルゲン表示の誤記や、期限表示の中での消費期限の誤りといったような、その意味では安全性に関わるるようなものが現実には大部分を占めているという実態でございます。

○高委員長  ありがとうございました。

ほか、ございますでしょうか。よろしいですか。

本日、厚生労働省さんから食品衛生規制全体についての見直しが、どのような状況にあるのかということで説明をいただきました。これを受けまして、我々から幾つか指摘をさせていただいたわけですけれども、例えばHACCPについては現在細かいところを検討中ということですが、A、Bに分けられて、Bのところを具体的にどうやっていくのかということで、恐らくもうお考えのことだと思いますけれども、ローカルHACCPとかミニHACCPとか、そういったものもうまく利用しながら仕組みが動くような方向を考えたいということですので、私どもは今後も取組状況を注視していきたいと思います。

その後、いわゆる「健康食品」の話が出ましたけれども、定義自体もなかなか難しいものがあるなと思っているところですが、とりあえずリスクの高い成分というところに注目をしながら進めていくということでございます。具体的にそれが果たして動くかどうかという設計内容については、今後検討してくださるということですので、ぜひ実効性のある仕組みを構築していただければと思っております。

食品リコール情報の把握については、食品等事業者が自主回収情報を行政に報告し、それを行政が国民に提供する仕組みを構築するということを考えておられるということで、これ自体、大変有意義な改正であると委員会としては考えております。

さらに、この点に関連しまして、今回説明のありました食品衛生法の改正と同様の仕組みを消費者庁からも説明をいただきまして、食品表示法においても、特に安全に関するところでアレルゲンとか消費期限とか、こういった安全に関わるところによるリコールについては、類似したというのでしょうか。同じような、両者がうまく機能するような仕組みについて検討する意向であるという説明をいただきました。ぜひ、消費者庁さんにおかれましても、本日の議論を踏まえて、また、本日の御発言も踏まえて対応を、特に具体的に検討していただければと思います。

当委員会としては、本件につきまして、委員間でさらに議論の上、必要に応じて意見を発出させていただくことになるかもしれませんけれども、引き続きよろしくお願いいたします。

本日は、厚生労働省、消費者庁におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、ありがとうございました。

以上で最初の議題は終了させていただきます。

(厚生労働省、消費者庁退席)

≪3.その他≫

○高委員長  次の議題「その他」といたしまして、新開発食品調査部会についてでございます。

本部会については、第256回委員会において再開することを御確認いただいたところでございますが、先般、内閣総理大臣により臨時委員が任命されました。消費者委員会令第1条第2項では、部会に属すべき臨時委員等については委員長が指名することとなっておりますので、11月17日に、参考資料1のとおり部会に所属する臨時委員を指名いたしましたので御報告いたします。

なお、部会長につきましては、第256回委員会において受田委員を指名し、部会長代理については、第257回委員会において御報告のとおり、長田委員に務めていただいております。


≪4.閉会≫

○高委員長  本日の議題は以上になります。

最後に事務局より今後の予定について御説明をお願いいたします。

○丸山参事官  次回の本会議の日程、議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページ等を通じてお知らせさせていただきます。なお、この後委員間打ち合わせを行いますので、委員の皆様におかれましては、委員室までお集まりください。

○高委員長  それでは、これで散会とさせていただきます。

お忙しいところを御参集いただきまして、ありがとうございました。

(以上)