第262回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2017年12月6日(水)9:30~11:40

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    高委員長、池本委員長代理、大森委員、蟹瀬委員、鹿野委員、樋口委員、増田委員、山本委員
    (高委員長の「高」は正しくははしごだか)
  • 【説明者】
    消費者庁消費者教育・地方協力課青山消費者教育推進室長
    消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長
    文部科学省生涯学習政策局男女共同参画学習課担当者
    文部科学省初等中等教育局教育課程課担当者
    文部科学省高等教育局大学振興課担当者
    金融庁監督局総務課春原金融会社室長
    金融庁総務企画局企画課島村信用機構企画室長
    金融庁総務企画局企画課信用制度参事官室担当者
  • 【事務局】
    黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 「消費者教育の推進に関する基本的な方針」の変更案について
  3. 仮想通貨、サーバ型電子マネー、フィンテックに係る消費者問題への取組状況について
  4. その他
  5. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○高委員長 おはようございます。定刻になりましたので「消費者委員会第262回本会議」を開催させていただきます。

本日はお忙しいところを御参集いただきまして、ありがとうございます。

委員会は本日、受田委員と長田委員が御欠席となっております。

それでは、配付資料の確認につきまして、事務局よりお願いいたします。

○丸山参事官 お手元の議事次第の下部に配付資料一覧を記載しております。資料1-1から資料1-3、資料2、参考資料1、2となっております。不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますようよろしくお願いいたします。


≪2.「消費者教育の推進に関する基本的な方針」の変更案について≫

○高委員長 本日最初の議題は「『消費者教育の推進に関する基本的な方針』の変更案について」でございます。

本件については、10月5日の第257回委員会において、消費者庁から基本方針の見直し骨子案の内容を御説明いただき、それを踏まえて11月8日の第259回委員会において「消費者教育の推進に関する基本方針改定に向けた意見」を取りまとめたところでございます。その後、11月27日に消費者庁の消費者教育推進会議において「消費者教育の推進に関する基本的な方針」の変更案について議論がなされたとのことでございます。

本日は消費者庁からその変更案の内容について御説明をいただき、その後、意見交換を行いたく思います。消費者庁、文部科学省におかれましては、お忙しいところ御出席をいただき、誠にありがとうございます。

それでは、変更案の内容につきまして、20分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 消費者庁の消費者教育・地方協力課長の尾原でございます。

御説明させていただきます。お手元に資料1-1「消費者教育の推進に関する基本的な方針」の資料がございます。まずこの表紙をお開きになる前に、そもそも我々がなぜ消費者教育を推進するか、その目的を3つおさらいしてみたいと思います。

第1の目的は、消費者教育は消費者被害を防止するということ。

第2の目的は、消費者が自主的かつ合理的な行動ができるように自立を支援する。

第3の目的は、我々の行動が社会的な課題に配慮した消費をする。すなわち良き社会につなげるように、消費者市民社会の形成を目指す。その三つの重要な目的を達成するために、我々は消費者教育を推進しております。

今、お手元におりますこの基本的な方針でございますけれども、そのために消費者教育推進法で「政府は、消費者教育の推進に関する基本的な方針を定めなければならない」と掲げられております。その観点から御説明させていただきます。

3ページ、目次のところでございます。消費者教育推進法では、基本方針で4つの事項を定めるものとしております。1番目は「消費者教育の推進の意義及び基本的な方向に関する事項」、これは目次のIとIIでございます。2番目は「消費者教育の推進の内容に関する事項」、これは4ページのIIIのところでございます。3番目は「関連する他の消費者政策との連携に関する基本的な事項」、これは5ページのIVのところでございます。4番目は「その他消費者教育の推進に関する重要事項」ということで、この目次のVのところがそれに該当いたします。

6ページ、「はじめに」の4パラの「今回、策定から」で始まるところでございます。今回、基本方針を改定する理由ということで、策定から5年が経過しております。ですから、消費生活を取り巻く環境の変化、それから、施策の実施状況を踏まえ、来年度平成30年度から平成34年度までの5年間を対象にした基本方針を定めたいと思っております。

そのうちの一つ、消費生活を取り巻く環境の変化について御説明いたします。44ページ、45ページを御覧いただければと思います。別紙「今後5年間の重点事項」を掲げております。このうち、消費生活を取り巻く環境の変化として、3つのことがまず重要かと考えております。

1つ目は、社会の扉の入り口にいる若年者への消費者教育の重要性です。特に成年年齢引下げについてはまだ法案が提出されておりませんので、本文の中では特出しはしておりませんけれども、いずれにせよ、若年者の消費者教育は重要であると考えております。また、ライフステージに応じた消費者教育の重要性の中では、高齢者など、消費生活上特に配慮を要する消費者について、あるいは本文中で掲げているもう少し大きな概念として、脆弱な消費者への配慮、その辺りが重点事項になってくるかと思います。

2つ目は、44ページ、1.(2)のところでありますけれども、キーワードは高度情報化社会への進展、国際化への対応というものがあります。高度情報通信化が進む中で、消費者トラブルを防止する。初めに申し上げた消費者被害を防止するという第1の目的だけではなくて、積極的な意味として、情報リテラシーを向上させることによって、消費者が自主的かつ合理的に行動する。あるいは、より良き社会につなげる社会的課題に配慮した消費を行うに当たり、この高度情報通信化の進展、情報リテラシーの向上が重要だと思っています。

3つ目は、45ページ、「3.社会や環境を意識した消費行動に関する消費者教育」、これは消費者市民社会の中になってくるかと思います。SDGsへの対応、また、具体的な取組例として、エシカル消費の概念の普及が重要だと考えております。

以上、3つの点が消費生活を取り巻く環境の変化のところで重要な点だと思っております。

続きまして、施策の実施状況についてでございます。これは目次に戻っていただければと思います。4ページ、施策の推進状況でございますが、「III 消費者教育の推進の内容に関する事項」でございます。具体的には「1 様々な場における消費者教育」「2 消費者教育の人材(担い手)の育成・活用」、5ページ「3 消費者教育の資源等」、具体的には教材等の策定等について、現在の進捗状況について足しております。

また、消費者教育の効果的な推進のための測定につきまして、国としても効果測定等の確立のため、必要な調査、教育手法の高度化や教材開発、被害防止のために必要な知見を得た研究を行うということで、これは先ほど見ていただきました「今後5年間の重要事項」の中で、効果測定等の重要性について記載をしております。これら、社会情勢の変化、あるいは今までの取組に対する変化を書き加えた上で、今、案を作っておるところでございます。また、基本方針でございますけれども、平成27年に策定された消費者基本計画、また、消費者基本計画の工程表とも整合性を取るようにしております。

以上の考えでございますけれども、先般、消費者委員会からいただきました意見と同じ方向であると我々は認識しております。また、基本方針案でございますけれども、推進会議で現在多くの意見をいただいております。そのため、内容につきましては、今後大幅に変更される可能性がございますので、その点はあらかじめ御了承いただければと思います。

詳細につきましては、この後担当室長より御説明をいたします。

○消費者庁消費者教育・地方協力課青山消費者教育推進室長 消費者教育推進室長の青山です。

私からは、内容の変更部分の主な部分だけピックアップして御説明をさせていただきます。前回御説明いたしました骨子案から現行の基本方針にどう変更を加えたか、いろいろいただいています意見がどこに反映されているかということにつきましては、資料1-2の大きなA3の対応表を御覧いただければと思います。ここでは細かな御説明はいたしません。

また、資料1-1をもとに、どこがどう変更されたかというよりは、全体として御覧いただきまして、今後の基本方針としてどうかという御観点で御意見をいただければと思います。

まず「I 消費者教育の推進の意義」の部分ですけれども、7ページから11ページまでは真っ赤なのですが、現在の状況に応じて全体的に書き直しをしております。特に12ページから14ページのうちの12ページにあります「(1)『消費者教育』の意義」という部分につきまして、今、課長が御説明いたしました消費者教育の推進の意義につきまして、少し丁寧な書きぶりを追加しております。

15ページからは「II 消費者教育の推進の基本的な方向」になります。ここにつきましては、16ページから17ページの「(3)消費者の特性に対する配慮」という部分、ここについて、特に配慮を要する消費者に触れるとともに、成年年齢引下げを念頭に置いた若年者への消費者教育について追記しております。また、ここでアクティブな高齢者ですとかライフステージ、家庭状況の多様性というものに触れまして、個人個人の事情や状況にかかわらず、誰もが消費者教育を受けることができるように、包摂的に取り組む必要があるということを追記しております。

21ページから23ページにかけまして「3 他の消費生活に関連する教育と消費者教育との連携推進」というところでございます。ここの「法教育」と「金融経済教育」つきましては、「その他」というところにあったものを独立させております。また、主権者教育やキャリア教育との関連というものに触れておりますけれども、文章につきましては今後各教育との関連性を中心に文章を追記したいと思っております。

24ページからは「III 消費者教育の推進の内容に関する事項」になります。ここの「(1)学校」におきましては、文部科学省より新しい学習指導要領に基づいた記載をしていただいております。

29ページ、「2 消費者教育の人材(担い手)の育成・活用」という部分になります。ここに教職員について、知識のみではなく、日常生活の中でその知識を活用できる実践的な能力を育み、自立した消費者の育成のために教職員の指導力の向上を図るということ、そのための教員養成や教員研修についての記載をしております。

31ページ、「コーディネーターの育成)につきまして、ここではコーディネーターの仕組みの検討や調整機能の実効性向上のための具体的方策や活動支援の検討というものを追記しております。

32ページから33ページ、「消費者の自覚の喚起」という部分で、消費者自身が加害者となってしまう例ということで、ネットオークションのようなものですとか、事業者対消費者という側面が見えにくくなっている現状を加えてあります。

34ページ、「学習内容の工夫」ということで、若者について、あるいは高齢者について、それぞれ関心が高いツールですとか、学校においてアクティブ・ラーニングの視点からの学習指導方法ですとか教材の活用、それから、民法の成年年齢が引き下げられた場合を念頭に置いた実践的な消費者教育のようなことを付け加えております。

「IV 関連する他の消費者施策との連携」については、特に変更はございません。

39ページ、「4 苦情処理・紛争解決の促進」ということで、「適格消費者団体による消費者団体訴訟などの」ということをつけ加えました。

40ページ、最後に「V 消費者教育の計画的な推進」ということで、41ページ、「(2)達成度の検証」につきまして、計画的な調査研究ですとか達成度の検証についてということを追記しております。

文章等につきましては、多岐に渡りまして、細かなことが多いので分かりにくいという御指摘もありましたので、そういうところの整理等も今後検討していくつもりでおります。

私からは以上です。

○高委員長 ありがとうございました。

それでは、御質問、御意見のある方は御発言をお願いいたします。

大森委員、お願いします。

○大森委員 消費者委員会の意見も反映していただいて、しっかり基本的な方針の中に盛り込んでいただいて、ありがとうございます。

この内容自体、とてもすばらしくて、このままやっていただけるのかなと喜んでいたところ、大幅に変更する可能性があるというお言葉を聞いて心配しております。別紙の「今後5年間の重点事項」のところに盛り込まれている内容はかなり絞り込まれて、例えば切れ目のない消費者教育ということで、企業での協力だとか、PTAのお母様方への消費者教育とか、あの辺りも全然触れられていないので、これはどの程度変更になるのか、5年間の重点事項はこれぐらいになるのか、その辺りを教えていただけたらと思います。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 御質問をいただきまして、ありがとうございます。

先月の27日に消費者教育推進会議を開催いたしました。そこの場では初めて文案をお示しして、審議会の場で御議論させていただきましたので、大変たくさんの御意見をいただきました。ただ、皆さんこれが駄目というよりは、むしろこういうものを入れてほしい、ああいうものを入れてほしい、大森委員がおっしゃったようにこういう視点も大事なのではないかという形で、本当に多岐にわたる御意見をいただいております。これについては、会長とまた御相談させていただきながら次のステージというか、我々としては3月に向けてこの作業を進めていきたいと思っておるのですが、それまでに会長とも御相談し、あるいは委員の先生方とも御相談しながら変えていく必要があるので、今日お示ししたところから先回いただいた御意見の中で、いろいろ付け加えていくことが多くなるかと思います。

ですから、全く考え方を変えていくというよりは、そこで御議論いただいた意見を入れていくという中で、この文案でおおむね消費者教育推進会議としてもうコンセンサスを得られている状況かというと、今正に御議論いただいているという意味で、今後変更する可能性があるのであらかじめ済みませんというお話をさせていただきました。

○大森委員 ありがとうございます。

すごくいい内容を基本的な方針の中に盛り込んでいただいていますので、具体的に工程表などにできる限り盛り込んでいただいて、毎年どういう進捗状況で、どこが責任を持ってやるというようなところまで示していただけるとうれしいと思います。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 ありがとうございます。

我々も基本方針は、事務局として今これで御議論をいただいておりますので、できるだけその方針の性格が変わらないように頑張っていきたいと思います。ありがとうございます。

○高委員長 蟹瀬委員、お願いします。

○蟹瀬委員 蟹瀬でございます。

2点ほど御質問があるのですけれども、私は消費者教育というものを委員として2年間ほど見せていただいているときに、いつも問題になるのは、消費者教育をする人材のお話なのですね。二つの中の一つ目は、ビジネスあるいは職域において、CSセンターなどができまして、かなりお客様の声を集める企業が増えてきておりますが、その企業の中においてその声が生かされているところが非常に少なく、またそれが生かされているところがあったとしても一部であって、社員全体に浸透していっていない。そこは何らかの形で、赤ちゃんとして生まれてから亡くなるまで消費者なわけですから、もっと大事に扱うことが企業の中でも大事ではないかと思っているのです。ですから、新入社員教育とか、そういうところにしっかり入れてもらえるような、今後そういう体制を推進していっていただけないかというのが一つ目の質問です。

それから、せっかく文科省の方がいらっしゃっていますので、二つ目の質問は、学校教育の場において学校の先生が教科書を使って教えていらっしゃる。高校の教科書など、私は全部買って中を見ましたが、大体飛ばされそうなページしかないわけです。書いてはあるのですけれども、要するにさらっと10分で終わるような感じで、試験にはもっと重要なことがあるぞ、大学受験にはもっと大事なことがあるからこちらを勉強しなさいみたいなページ立てのように私は見える。そうすると、教育をする先生たちが免許を取るときに、既に消費者教育について知っていなければ免許が取れないといったことを今後考えられないかどうか。せっかく29ページに教員養成の場と明確に書いてあります。そうすると、そこのところの仕組みを変えなければなかなか浸透していかないのではないかと思っているのです。ですから、一番大きいのはこの二つだろうと思っています。そのほかの書類を作るとか教材を作るというのは、もちろんすごく大事なことではあるのですけれども、教材を使う担い手がいなければ作っただけになりますので、何かその辺りのところでお考えがあれば、それから、もし今後やっていただけることがあればうれしいと思っているのですが、どういうお考えかお聞かせください。

○高委員長 ありがとうございました。

二ついただいたのですけれども、1番目の指摘は大森委員がおっしゃったこととかなり近いと思います。企業の中で消費者教育、例えば新入社員教育の中でそういったものができないものなのか。まずその点から、何かお考えがあればお願いいたします。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 御質問ありがとうございます。

正に蟹瀬委員のおっしゃったように、企業で働く方も当然同じ人が消費者であるということは大前提になるかと思います。その中で消費者教育がどう入るかというところで、視点を変えると、消費者教育推進の目的のうちの一番大事なところは消費者被害に遭わないというところがあるのですけれども、その目的以外のところ、特に三つ目のところで、社会的課題を解決するようなことを見越して、あるいは将来世代を見越して消費をする消費者の重要性を自覚していくというところに関わってくるのかなと思います。その辺りはもうちょっと視点を社会全体で見たときに、企業側から見ると消費者志向経営の分野の視点も入ってくるのかなと思います。これを消費者教育の側から言えば、自らが将来のこと、あるいは社会のことを考えて行動する。お客様サービスセンターにきちんと情報を伝えて、例えばその情報によって企業にとってもすごくより良い製品サービスの提供につながり、組み上げていくような形で消費者も建設的に情報を事業者側に流すことができるということを教育することは大事です。

また、働く方々も、一つは事業者側のサイドから言えば、そういう情報を使うことによってより良き社会あるいはマーケットを作っていくという観点からの取組もありますし、また、自らが製品を提供する側だけではなくて、消費者としてその製品サービスを使ったときにどうなるかということを意識しながら社会生活、消費生活を送るということが大変重要なことかなと。そういう辺りは事業者さんのほうでもそういう考え方、正に消費者志向経営あるいはお客様対応のところでその基本を学びながら進めていくというのは我々も大変重要だと思っております。そういう観点から、消費者教育は消費者サイドだけではなくて、事業者さんも含めてあらゆる関係者の方々と連携していく必要があるかなと思っているところでございます。

○蟹瀬委員 私はヒーブ協議会というところで会長をやっておりましたので、今お話しなさったことは全て理解しているのですけれども、現実の問題としてトップの方の消費者志向が非常に強くて消費者志向に関しての経営をなさっているところは、押しなべて消費者に対して被害を出さないという感覚で仕事をなさっています。ところが、そうでないところは意見を吸い上げてもそのままで終わってしまったり、あるいは意見が全社員に行き渡っていないということがあって、今、日本の中でたくさんの不祥事が起こっているわけですね。ですから、そういう意味では、意識改革が大変必要であれば消費者庁から企業に働きかけていただいて、こういうことをしてくださいねということをおっしゃっていただくと、非常に強いアドバイスになっていくと思います。全体的にそのようにやっていただきたい。今おっしゃったようなことはやっていらっしゃる企業は大変多いのですが、そうではないところもたくさんあって、そこが問題を起こしているケースも大変多く散見されます。企業指導というとおかしいですね。経産省の仕事かもしれないのですが、企業に対してもう少し社内教育あるいは新人のとき、あるいはディレクターなどの役職に就くときの教育に消費者教育を入れるのだという働きかけをやっていただけないかというのが私の希望でしたので、お話しさせていただきました。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 ありがとうございます。

我々としても、私の直接の担当ではないのですけれども、消費者志向経営を進めていく、正に優良企業さんなどはどんどん取り入れています。これからの日本社会をより良きマーケットにしていくためには、そういう優良企業が選ばれるように消費者のほうもそれが見える形にして、きちんと消費者と向き合っている企業の商品やサービスを積極的に選ぶことによって、ある意味でそういうことをやっていないところが不利になるような仕組みを考えていくのが大変重要かと思っています。また具体的に取り組む中で、消費者庁としてどういうことができるかというのはこれからも考えていきたいと思っております。ありがとうございます。

○高委員長 もう一点、文部科学省に対しまして、先ほどありましたけれども、これは我々が意見として申し上げた新学習指導要領の着実な実施というところの一部になるかと思います。担い手となられる教育の資格のところで、消費者教育の能力も考慮いただけるものなのかということがありましたけれども、この点についてはどうでしょうか。

○文部科学省初等中等教育局教育課程課担当者 現状におきましては、家庭科、社会科等で扱っているところでございます。その中で教員養成の課程におきましては、教職課程の中で「教科に関する科目」と「教職に関する科目」を習得することになっております。「教科に関する科目」については、科目の内容がそれぞれ満遍なく扱われることにならなければならないということになっています。また、「教職に関する科目」というものも、学習指導要領に掲げる事項に即しまして包括的な内容を含むものでなければならないということになっております。それぞれ学習指導要領にある内容は扱われることになっております。

○高委員長 既になっているということですね。

池本委員長代理、お願いします。

○池本委員長代理 池本でございます。

24ページから25ページ、学校における消費者教育のところで御質問したいと思います。当委員会が11月に提出した意見の中でも、成年年齢引下げを見据えた対応ということで、18歳の段階、あるいは18歳、19歳の人に対して、特に予算や人的資源を集中して最優先事項として取り組んでいただきたいということを申し上げました。24ページの小・中・高等学校・特別支援学校のところは、ちょうど学習指導要領の改訂という大きな動きがあるので、全面的に改定をされて着実に進めていただけるという期待感を持って受け止めております。

ところが、25ページの大学・専門学校のところが、例えば第2段落で、大学等において消費生活センターによる講義を取り入れた科目の展開とか、学生等への啓発講座の実施などの事例がみられるところであると。それで、3行下に「国は先進的な取組事例の情報を収集し、これを提供する」と書いてあります。ここで言う情報収集、提供というのは、消費者教育のポータルサイトでの紹介のことを指しておられるのか、あるいは、それとは別に何かまとまったアンケート調査なりをして、それを報告されているものが別にあるのかどうか、そこは分からないので教えていただきたいと思うのです。

少なくとも私のこれまでの情報では、ポータルサイトでぱらぱらと出ている断片的な情報しかなくて、全体像の把握はどうも情報を持っていないのですね。むしろ、それこそ成年年齢引下げで一番危険にさらされる世代。しかも、大学・専門学校には消費者教育を教える担当科あるいは担当者がそもそもない中でどうしていくのか。その大前提で実態把握をきちんとしていかなければいけないと思うのですが、その辺りが今後の推進計画の中で見てとれないのですが、その辺りはどのように検討されているのかという点をお伺いしたいと思います。

関連するのですが、30ページの上のところ、前のページからの続きで、大学等における教職員に向けての取組の中で「関係団体が実施する研修の場等を活用し、大学等の教職員に対し、消費者問題に関する啓発、情報提供を行う」とあります。これはどういう主体が、例えば文科省の関係あるいは学校教育の関係の何か組織、団体を想定されているのか。それとも、地方自治体の消費者行政部門の何かを想定されているのか。具体的な施策のイメージが分からないので、これも教えていただきたいと思います。

○高委員長 いずれも赤字のところですね。新たに書き加えたところはまだ明確には文章になっていないのですね。今後手を入れられるという話でしたね。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 そうですね。推進会議でまだ御議論をしているところです。それを踏まえてまた変わるところはございます。

○池本委員長代理 25ページは前からの文章です。

○高委員長 では、25ページのところは、現状把握をまずきちんとやった上で誰がその教育を担うのかとか、そういうことを明確にしてほしいということですね。特に成年に向けての教育に関してです。

お願いします。

○文部科学省生涯学習政策局男女共同参画学習課担当者 大学等につきましては、文部科学省で3年に一度、取組状況について調査を行っております。その中で状況を分析するとともに、併せて好事例を収集し、それを調査結果につけて、全国の大学に周知を図るという形で、取組事例を普及啓発していきたいと考えております。

○池本委員長代理 今御紹介された3年に一度の調査、取りまとめというのは、どういう形で公表されているのでしょうか。それは入手可能なのでしょうか。

○文部科学省生涯学習政策局男女共同参画学習課担当者 現在、一番新しいものが平成25年のものがございまして、これは文部科学省のホームページにも掲載しているものでございます。

○高委員長 確認ですけれども、それを各大学に周知しているということですね。

○文部科学省生涯学習政策局男女共同参画学習課担当者 大学にも周知しております。

○高委員長 ただ、私は大学の人間ですけれども、その周知が例えばキャリアセンターとか、そういうところにあるのかもしれませんが、そういう意味では、そこを受けてきちんと教育をやる担い手はまだはっきりしていませんね。今後の課題だと思うのですけれども、これは大学側の問題でもあると思うのです。特にお答えは要りません。ありがとうございます。

鹿野委員、お願いします。

○鹿野委員 1つ前に話題になったことなのですけれども、指導者の確保、養成についてです。先日来、消費者団体との意見交換会などでいろいろな地域における事情などを伺う中でも、消費者教育の重要性が指摘されると共に、消費者教育において今は教材などはある程度あるけれども、それを適切に教えられる担い手がいないのではないかという御指摘もいただいたところでございます。私も従来からそのように感じておりましたが、先ほども話題になったところでございます。

先ほどのお答えの中に、バランスよく教育をすることになっているというお話もあったのですけれども、抽象レベルでそういうことが決められているということだけでは、適切に教育がされることは、従来の状況を見る限り、なかなか難しいのではないかと、実現についての不安を覚えるところでございます。確かに資料24ページにおいて今回赤で書かれておりますように、学習指導要領が改訂されたということで、それに更に期待するところではあるのです。しかし、これについても担い手がいないと、現実には生徒に伝わるような形での教育はなされないのではないでしょうか。

新しく教員になる方もそうなのですけれども、ずっと前に教職免許を取られたという方々の問題もあります。消費者分野は近年目覚ましく発展してきてということもありますので、最初になられたころには余りそういう意識がないまま教員になられて過ごされた方も少なくはないのではないかと思います。そういう方も含めて、教育の担い手をいかに育てていくのか。適切に定期的にそういう知識などの新しいところを身につけていただくような機会が確保されているのかどうかについて、先ほどと重なる部分もありますけれども、お聞きしたいと思います。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 御質問ありがとうございます。

学校教育の場で、まず消費者教育を教える場合は、多分やり方として大きく分けて三つぐらいあるのかなと。まずは鹿野委員がおっしゃっております、生徒さんに教える先生そのものに、消費者教育をきちんと御理解いただいて教えていただけるようにする必要があるということ。また、それだけではなくて、二つ目は、従来から言われているように、当然先生方もお忙しいですから、教員だけはなく消費生活センター等の連携を踏まえて、担い手のところで外から教えられる方に入っていただいてその中でやっていただく。三つ目は、教材をどうするかというお話があるかと思います。

我々も、特に教員の先生方に今後消費者教育をきちんと教えていただくにはどうしたらいいか。実は今やっております消費者教育推進会議の下の分科会で、今後、教員の先生の質を高めていくといいますか、消費者教育において、それはどうやったらお教えいただけるような形になるかという辺りの議論を進めておるところでございます。今の段階でこうなりますという形にはまだなっておらないのですけれども、その辺りも我々としても文部科学省さんと連携をとって、それこそ教員になられた方、お始めになった方、あるいは今後どんどんベテランになっていって、他方でどんどん消費者教育に関する情報は変わっていきますので、学生時代、いわゆる教員養成課程にいるとき、あるいは1年目のときだけではなく、ベテランの先生方にもどのような形で消費者教育のスキルアップをしていただくかについては、文部科学省さんとどのようなことができるか、今後連携を取らせていただければと思っています。

二つ目の外部から入っていただく。正に消費生活センターの相談員さん、消費生活センターが消費者教育の拠点として重要な役割を担っていただいているわけですけれども、その中で、我々としても消費生活センターの方々、当然消費者教育を教えていただく方の質の向上も図っていく必要がございます。その辺りについては研修等を含めて、我々として研修の機会を設けるなど、地方の公共団体さんと連携しながらそういう形でスキルアップを図っていきたいと思っています。

三つ目の教材の話でございます。これは既に御承知のことかと思いますけれども、我々としては今年度高校生を初めとする皆様向けに「社会への扉」という形で消費者教育の教材を作って、全国に普及しておるところでございます。特に先進的な事例ということでは、今年度徳島で全ての高校でその消費者教育の教材を使って既に消費者教育の実践を行っていただいております。徳島はまち・ひと・しごとの関係でも徳島オフィスを消費者庁が設けて、その中でどういう最先端の調査研究ができるかということは、正に3年間をかけて実証しているところでございますけれども、その中で徳島県さんと連携して、既に全高校で消費者教育をやっている。我々としては徳島での先進的な事例を踏まえて、どういうところに課題があるのかというのも見ながら、来年度以降それをいかに全国で展開できるかと考えておるところでございます。

○高委員長 ありがとうございました。

増田委員、お願いします。

○増田委員 一つは、法教育を独立していただいたということについては非常に有意義だと思います。それを実施するための方策として、例えば弁護士会であるとか、司法書士会であるとか、法務省であるとか、そういうところとの連携及び協力を是非取り入れていただきたい。これはお願いでございます。

29ページの赤文字で書いていただいている真ん中辺りなのですが、教員養成課程ということで、最後に「期待される」と書かれています。また、次の段落で「国においては」といろいろ書かれていて、最後に「努める」ということが書かれているのです。現在すでにいろいろな教材を作って、その次としては実効性確保の段階ではないかと思っております。「期待される」とか「努める」とかという言葉では弱いのではないかと思っております。この辺りについて今後文章を変えることもあると伺いましたので、文科省さんとの連携の中でどういうことができるのかなども含めて、もう少し明確に書いていただきたいと思います。

もう一つ、31ページに赤字でコーディネーターのことが書かれています。このコーディネーターの要件を具体的に示す、となっています。そして次のページの最後の文言が、これも「検討を行う」となっているのですが、コーディネーターは非常に重要な役割で、これが各地域によって意味合いが違っていて、どういう方をコーディネーターにして、それはどういう肩書なのか、自治体が認めている方なのかとか、それによって地域での役割、効果が全然違ってくると思うのです。ですから、国としてきっちり決めていただいて、「検討を行う」という段階ではなく、実施段階ではないかと思います。ぜひ具体的に進めていただきたいと思います。

○高委員長 回答されますか。

お願いします。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 御意見、御質問ありがとうございます。

特に最後のコーディネーターのところでございます。我々としてもそれぞれ地域でこれまでの取組事例などもあって、国が一律にというよりは、我々としては消費者被害を防ぐための消費者教育が進むような形で、どういう形で進んでいくのがいいかという形をできるだけ情報収集させていただいて、その中でどういう形がうまくいっているかという課題を抽出しながら情報発信に努めていきたいと思います。現時点ではこれで国として一律のというよりは、今の段階でいくと、それぞれの地域の優良事例を集めながらそれを情報発信していくのが重要かと思っております。

○高委員長 他に意見はございますでしょうか。

山本委員、お願いします。

○山本委員 少し違うテーマなのですけれども、44ページ「今後5年間の重点事項」の中に、情報化への対応と国際化への対応という記述があります。それに関しまして二つほどお伺いしたいのです。

一つ目は国際化に関して、ざっと見たところ余り正面から記述されている部分は多くなくて、22ページの「国際理解教育」の部分と、35ページの「国際的な情報交換による調査等」という部分かと思います。少し少ないかなという感じがいたします。お伺いしたいのは、35ページにあります「国際的な情報交換による調査等」なのですけれども、これは現状ではどれぐらい進んでいるものなのか。今後これを推進するといった場合に、どういうことを具体的に推進することをここで意図されているのかお伺いしたいと思います。

二つ目は、これはそれほど大きな話ではないのですけれども、情報化に関しまして、これは全体にかなり書かれております。先ほどの21ページ以下に消費者教育と他の分野の教育等との連携ということが書かれていて、そこに情報リテラシーの話が44ページにはありますので、そういうテーマも入れたらいかがかと。この中には金融リテラシーとか、他のことは書かれているのですけれども、情報の話というのは消費者教育に限定されない大きなテーマですので、是非ここにも出していただければよろしいかと思いました。

○高委員長 ありがとうございました。

二つもらいましたけれども、一つ目は国際化に関しては記述が少ないと。35ページにありました情報交換の調査という話ですけれども、これは具体的にどういうことを考えておられるのでしょうか。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 まず初めに情報リテラシーの概念をもう少し具体的にという話は、今日はまた委員会で御意見をいただきましたので、どういう対応ができるかは、こちらで改定する中で考えさせていただければと思います。

35ページの「国際的な情報交換による調査等」でございます。現行我々で行っておりますのはOECD、経済協力開発機構の消費者政策委員会、CCPとの連携の中でどういうことができるかについて、実際に具体的にどういうことをやっているのかというと、今はそれこそ情報をフォローしている状態にはなっておりますけれども、その国際機関、OECDでどういう消費者政策の観点から国際的な取組ができるかという辺りを、もう少し積極的に考えてみたいと思います。

○高委員長 二つお答えいただいたということですね。

蟹瀬委員、お願いします。

○蟹瀬委員 言葉尻の問題で、先ほど増田委員がおっしゃったのですが、これは今後5カ年計画のものですね。そうしますと、検討するだけで5カ年が終わってしまうのはまずいのではないかと。企業ですと5カ年の間で、必ず「検討し実施する」という言葉になるのです。では、検討する期間は何年かというと2年。実施しながら、いろいろテストしながら固めていくのは3年みたいなことを企業側はいつも考えるわけです。いつも「検討する」とか「期待する」とかで終わられると、言葉尻で申しわけないのですが、本気でやる気があるのですかという感じになってきます。こういう策定をされるときに、こういう言葉になるのかもしれないのですが、先ほど増田委員が言われたように「検討し実施する」というところまで言葉が入っていると、本気でやろうというみんなの意思決定になるのではないかと思います。もう少し「検討する」とふわっと逃げるのではなくて、検討しなければいけないこともあるけれども、5年間でどこまで実施できるのかということをもう一度内部で考えていただいて、実施できるものは実施へ向かってやっていくみたいな意思表明をされた計画のほうがいいかと思っています。言葉尻で済みません。

○高委員長 回答は結構です。

大森委員、お願いします。

○大森委員 文科省さんにお願いです。成年年齢引下げのワーキング・グループにおりまして、いろいろなヒアリングなどをしましたときに、学校の先生自身が消費者教育が非常に苦手であるという御意見をいただきました。文科省さんは学習指導要領にきっちり収まっているものをどの教科でやるとか、そういうルールを守られていると思うのですけれども、世の中の進展が激しくて、いろいろな状況が変化している中で、もう少しアクティブに現状に対応できるような動きをしてもらうわけにはいかないのでしょうか。

先生自身が苦手だと言うけれども、とても必要性のある教育は、もうちょっと教員課程の中とか、免許更新講座の中で義務づけるぐらいのフットワークが必要ではないでしょうか。消費者庁からいろいろ「期待する」とか、「効果的だと考える」とか、ぼやかした表現になっているのも、文科省さんの御協力がどれぐらいいただけるかというところにあると思うのです。例えば30ページの消費者教育推進地域協議会への参画を促すことも効果的であると上のほうにあります。実際、消費者教育推進地域協議会などを立ち上げても、学校現場の協力が無いとなかなか進みません。NPOとか、いろいろな消費者団体もいろいろな教材を作って学校でやりたいと思っているけれども、文科省の壁が高くて入れないとか、そういうことも聞いております。もう少し現状の激しい世の中の変遷に合わせたフットワークの良さというか、対応能力というか、そういうことを考えていただきたいと思います。

○高委員長 樋口委員、お願いします。

○樋口委員 一言だけお願いです。25ページのところで「○大学・専門学校等」ということで消費者教育に関してお書きになっているのですけれども、特に成年年齢の引下げということが今後行われていく可能性があるので、多くの学生を預かっているわけですから、大学での体制あるいは専門学校の体制はとても大事ではないか。したがって、一つは学長や役員の方がリーダーシップをとって、しっかりと消費者教育の問題、あるいは消費者被害の救済の問題に取り組んでいただけるような形を是非構築していただければと思います。

それに関連してここの部分を見ていたのですが、25ページの中に「国は、学生支援に従事する大学等の教職員を対象とした会議の場等において消費者問題の情報提供及び注意喚起を行う」という、(2)の前の下から9行目ぐらいに「国は」というところがあるのです。もちろんそれはとても大事なことだと思うのですが、更に加えるならば、国は地域の消費生活センター等とも連携をして、こういった取組をしていくということ。他の部分には書いてあるのですが、大学というのは地域に立地していますので、そういう連携体制を実際に構築していかないと問題解決につながらないのではないかということで、表現のことは別にしましても、是非そういう方向で取組を強化していただければと思います。

○高委員長 ありがとうございました。

鹿野委員、お願いします。

○鹿野委員 先ほど質問をさせていただいて、それに対するお答えをいただいたのですけれども、それに対する要望といいましょうか、一言だけお話をしたいと思います。教員の養成等について、まだ下の部会で御検討をされているという話も伺いました。是非、それについては積極的に進めていただきたいと思います。

私は教員の養成というような言い方を先ほどしたかもしれませんけれども、もちろん先生方もお忙しいでしょうし、全部を一人で抱えてしまって、それで消費者教育を各教員が100%担わなければならないというようなイメージではございません。地域の諸機関、消費者センターなども含めて、いろいろなところと連携をして、それを進めていただくということが適切なことが多いのではないかと思います。ただ、現状においては、恐らくそれも学校によって、あるいはその先生によって随分状況が違っていて、そもそも重要性をそれほど認識していない方がいらっしゃったり、あるいは、これはやる必要があると認識しても、苦手で自分がやるわけにはいかないが、その場合にどこをどうしたら良いのかということについての情報が不足しているというようなこともあるかもしれません。そういうことも含めて対応できるような機会を設けていただきたいと思っているところです。よろしくお願いします。

○高委員長 ありがとうございました。

他はいいですか。

蟹瀬委員、お願いします。

○蟹瀬委員 鹿野委員にプラスしてなのですが、実は大学で新商品開発というマーケティング的な授業を教えますと、その中に消費者教育というものは実は入れていけるのです。ですから、改めて消費者教育としなくても、私が新しい商品開発をします、こういう段階でこのようにしますというときに、必ず消費者視点を入れていきます。消費者はこう受け取るかもしれない、ああ受け取るかもしれない。だから、こういう表現はいけないとか、それから、こういう商品開発をするときにはこういうことに気をつけなければいけないと。それは消費者に害があるかもしれない、それはあなたたちにも害があるかもしれないという言葉を足しながら、実はマーケティングでも新商品開発のところにでも入れていけるのです。

だから、その意識が先生にあるかないかということだと私は思います。消費者教育ということを掲げながら授業をするということもありますけれども、いろいろなマーケティングをやっていらっしゃる先生たちの中には、そういう言葉をたくさん足していけるだけの経験をお持ちの方がたくさんいらっしゃいます。そういう先生たちに、この成年年齢の引下げによって起こるいろいろな問題、つまり自分が生産者になる側に企業として入っていく、こういうことを注意しなければいけない、逆に言うと消費者はこういう視点で見ているということをちょっと足していただけるような、文科省からアドバイスしていただければ、先生たちは割とそれを気安く入れていっていただけるかと思いますので、その点も加えさせていただきたいと思います。

○高委員長 よろしいですか。

今日は基本方針の変更案を御説明いただきまして、最初に我々から四つの意見を出させていただいて、文章に関して言えばそれをきちんと盛り込んでいただいて、対応していただいたという印象を私は持っておりました。

本日、委員からいろいろな意見が出ましたけれども、共通しているのは実効性をどうやって担保するのか、確保するのか。「検討する」という段階ではないのではないかという声が多かったかと思います。例えば池本委員長代理から指摘のあった30ページのところなども、赤字で書いてある上から2段落目のところですか。「そのため、関係団体が実施する研修の場等を活用し、大学等の教職員に対し、消費者問題に関する啓発、情報提供を行う」と書いているのですけれども、では、それを誰が行うのかということも明確ではないですし、それが着実に行われているかどうかというところのフォローはどうするのか。だから、「検討」とか「行う」とか、主体がはっきりしないような書きぶりではなくて、もうちょっと本気度が見られるような、失礼な言い方ですけれども、今日の委員の発言を聞いていますとそういった印象がございますので、その点に配慮していただければと思います。

最後に蟹瀬委員に御指摘していただいたのですけれども、大学の授業の中に確かに盛り込むことができるなと感じました。私は企業倫理という科目を担当しているのですが、意識してそれをやれと言われれば、確かにできない話ではないなと思っています。若干企業側の観点からの説明にはなりますけれども、既存の科目の中で、大学などであれば積極的にやっていくこともできますし、この点も文科省で検討いただければと思います。

コーディネーターの位置付け、特に連携を図っていくことが重要になってきますので、そのときにコーディネーターが鍵になってくる。ですから、コーディネーターの在り方や位置付け、そういったものも明確にしていただけないか。

そのほか、いろいろな意見がございましたけれども、今後、委員から出ました意見を考慮していただきまして、もう一度この案を、更に最後の重点項目というものを入れ込みながら書き加えられるということですので、その検討状況等の情報も引き続き提供いただければと思います。

委員会としては必要に応じてまた再度意見表明を行うこともあるかもしれませんので、何とぞよろしくお願いいたします。

それでは、以上で、この基本方針に関する意見交換は終わりにさせていただきます。どうもありがとうございました。

(消費者庁、文部科学省退席)

(金融庁着席)

≪3.仮想通貨、サーバ型電子マネー、フィンテックに係る消費者問題への取組状況について≫

○高委員長 それでは、次の議題に進みます。次の議題は「仮想通貨、サーバ型電子マネー、フィンテックに係る消費者問題への取組状況について」でございます。

電子マネーについては、平成27年8月に当委員会が発出しました「電子マネーに関する消費者問題についての建議」を受け、資金決済に関する法律が改正され、電子マネー発行者は、苦情処理体制を整備する必要があることを明確化するため、電子マネー発行者に対して、利用者からの苦情の適切かつ迅速な処理のために必要な措置を講じなければならないことが規定されたところでございます。

また、仮想通貨については、近年新しい取引形態として徐々に浸透しており、これに伴い、消費者からの相談件数も増加しているところです。また、昨年6月には資金決済に関する法律が改正され、仮想通貨に関する規定が盛り込まれました。

さらに、フィンテックと呼ばれる、ITを活用した新たな金融サービスなども我が国において急速に普及しつつあります。

本日は、これらに関する消費者保護の取組などについて御説明をいただいた上で意見交換を行いたく思います。金融庁におかれましては、お忙しいところ御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。

20分程度で説明をお願いいたします。

○金融庁総務企画局企画課島村信用機構企画室長 おはようございます。本日御説明させていただきます金融庁の総務企画局企画課の島村でございます。

本日お配りした資料、お手元に届いておりますでしょうか。表題につきましては「御説明資料」ということで、金融庁の御説明資料、横書きのものを用意させていただいてございます。

1ページ目、本日の目次「1.仮想通貨に関連する事項」「2.サーバ型電子マネーに関連する事項」及び「3.フィンテックに関連する事項」として取りまとめさせていただいております。うち、1番と2番につきましては、消費者基本計画に基づく工程表等においても位置付けさせていただいておりまして、取組を進めているところでございます。本日の説明につきましては、まず1-1と3については制度企画を担当しております島村から、1-2及び2につきましては監督部局でございます春原から御説明させていただきたく存じます。よろしくお願いいたします。

2ページ目、仮想通貨にかかる法制度の整備についてでございます。仮想通貨をめぐる状況につきましては、平成26年、西暦で2014年でございますが、取引量に応じて当時世界最大規模の仮想通貨交換所でございましたマウントゴックス社が破産の手続を開始する事態が発生いたしました。また、翌年の2015年のG7のエルマウ・サミット及びFATF、これは金融に関する国際的な作業部会でございますが、ここでも仮想通貨に関する不正な取引及びマネロンやテロ資金供与対策、これについて取組を強化すべきということで、合意がされています。

こうしたことを受けまして、2016年、これは後ほども御説明いたしますけれども、日本における法制度の整備を図ったところでございます。

仮想通貨に関しましては、ここにございますとおり、法定通貨と仮想通貨の交換業者についての登録制を導入し、利用者の信頼確保のために利用者が預託した金銭・仮想通貨の分別管理等のルールを整備いたしました。

また、マネロン・テロ資金供与対策といたしまして、口座開設時における犯収法による本人確認等を義務付けたりしているところでございます。本制度につきましては、本年4月より施行したところでございます。これにつきましても、先生方にも御説明させていただいておりまして、重複の説明になるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。

3ページ目、本制度の内容につきましては、制度の詳細についての説明は割愛させていただきますが、主な制度を取りまとめさせていただいております。大きく申しまして、参入規制や禁止行為、仮想通貨交換業者に対する行為規制、利用者財産保護のための制度の整備、報告書等の提出義務、違反行為があった場合の行政処分や罰則、これらについても、法律のみならず政令、府令を尽くしまして、様々な手続、制度を整備させていただいたところでございます。

次に、監督局から御説明いたします。

○金融庁監督局総務課春原金融会社室長 春原でございます。よろしくお願いします。

消費者保護に関する施策といたしまして、監督当局では、ここに書かれております、例えば事務ガイドラインを作成、公表しております。これは取引業者に対する我々監督者の目線を規定したものでございます。

内容的には、利用者への説明態勢とか預託した金銭・仮想通貨の分別管理態勢などについて規制しております。

登録制度で業者は登録されて取引を行うことになるのですが、今までの形式基準の登録とは違って、今回仮想通貨の特徴を踏まえまして、システム専門官とか、弁護士とか、そういうチームによりまして、専門的な検証を行いまして、自主的な審査をして業者を登録させていただいています。現在で15社が登録をしている状況でございます。

それから、下にございます消費者トラブル、相談が増えていることを踏まえまして、消費者庁、警察庁と連携いたしまして、注意喚起を9月にいたしております。さらに仮想通貨につきましては、周辺業務がかなり拡大してきております。ここに書かれておりますように、ICO、「Initial Coin Offering」と言われる資金調達手段として仮想通貨を使い、消費者の方としては、トークンを購入するという行為をするわけですが、詐欺業者も出てきておりますので、注意喚起を実施しております。

問い合わせ窓口の特設コーナーを、これも9月29日に設置しておりますし、消費者庁、警察庁と連携して、詐欺業者や無登録業者に対しては警告等を行っております。登録とかこういう警告を行う専門チームを設置しているところでございます。

5ページ目、市場のモニタリングはどうやっているのかという点でございますが、ビットコインに代表されます仮想通貨につきましては、価格の乱高下が、非常にボラティリティーがございまして、そういう点で消費者の方々も場合によっては損害を被る状況がございますので、金融行政方針、これは11月に出させていただきましたが、ここにはこの点線の中にありますように、イノベーションの促進と利用者保護のバランスに留意して仮想通貨市場の動向を注視する。具体的には、交換業者において、取り巻く環境の変化に応じて、利用者に対する適切な説明や情報提供を行っているかどうかについて、専門チームが見て検証していくということをしております。

具体的には、下に書かれておりますように、金融庁の参与の御指導のもと、情報収集、分析をしまして、それに基づいて業者に対して適時・適切なヒアリングや、検証、指導を行います。さらに有識者との意見交換をしてPDCAを回すという形にしております。

6ページ目、最近の消費者トラブルの現状・課題及び対策ということで、トラブルと苦情の状況は下のグラフにありますように、増えている状況です。ただ、内容につきましては、苦情というよりはどちらかといいますと新しい制度が施行されたということとか、仮想通貨自体に馴染みがない難しいサービスとかというとで、問い合わせや照会が多い状況になっています。

一方、仮想通貨に関連した不正送金事犯が急増ということで、これは警察庁の9月に公表した状況でございますが、被害額も出ている状況でございます。

7ページ目、こういう消費者トラブルについての課題でございます。仮想通貨の利用者に対して、我々や業者からいろいろな仮想通貨の特殊性やリスクについて注意喚起や説明をしているわけですが、更なる注意喚起が必要ではないかと考えております。

それから、取引業者、発行業者におきまして、利用者への適切な説明をもっとしっかり徹底すべきではないかということも課題と考えています。

詐欺業者に代表されるような無登録業者につきましては、情報を収集して被害を食い止めるための迅速な対応を、警察庁、消費者庁と連携しながら対応していく必要があると考えています。

このような課題に対して、現在は利用者に向けた注意喚起を9月、10月にしているところでございますし、相談窓口も金融庁、消費者庁、警察庁、それぞれ設置いたしまして、明確化して相談を受けている状況でございます。

さらに、モニタリングチームにおきまして、ちゃんとお客さんの保護が図られているか、オン・オフ一体のモニタリングを実施しているところでございますし、詐欺業者につきましては、把握した時点で我々は照会書を提出して警告も発するという形で、下に書いてありますように消費者庁、警察庁とも連携をしている次第です。

8ページ以下、サーバ型電子マネーに関する詐欺の状況につきましての対応状況を書かせていただいております。9ページ目、この詐欺に対しましては事務ガイドラインを改正しております。電子マネーの詐欺被害の増加を踏まえまして、苦情処理体制の整備を明確化するための資金決済法の改正を行っております。併せて、詐欺被害防止や詐欺に遭われた方の被害回復に向けた業者の体制の整備状況等につきまして、以下、書いておりますとおり、事務ガイドラインに明記いたしまして、監督している状況です。

主に3点書かせていただいておりますが、業者において被害者からの申出や詐欺被害に関する情報を速やかに受け付ける専門の部署を設けて体制を整備し、こういう情報を受けた業者につきましては、早急に詐取された電子マネーを特定してもらって、利用の停止を速やかにとってもらうための体制や社内規則の整備などをしていただいております。

二つ目の矢、利用停止を行った電子マネーにつきましては、未使用残高がある場合には、被害者の被害を回復させるために、業者において速やかに返金手続をするための人員の配置やマニュアルの整備をしていただいております。

三つ目の矢、主にはコンビニの店頭で陳列する電子マネーなどで注意喚起をはっきり表示してもらうとか、悪用されている電子マネーの販売の上限額を引き下げてもらうよう、業者といろいろ意見交換をするなど、詐欺被害の手口に対していろいろな措置がどのようにできるのかを、業者、それから、周辺の方々と議論しているところでございます。

10ページ目、当庁の対応といたしましては、サーバ型電子マネーの発行業者、こういう詐欺に使われる業者は特定できておりまして、その約10社に対しまして、集中的にモニタリングをしております。先ほど御説明したような体制がしっかりできているかというところを主にモニタリングして、不十分な点はいろいろとお願いしているところでございます。

さらに月次で被害発生状況を我々は確認しておりまして、しっかり業者が返金しているのか、対応態勢に問題がないかどうかというところを確認しているところでございます。

三つ目の矢、平成29年上期におきましては、このような詐欺の被害が約8億円出ておりますが、そのうち被害申出前に使用されてしまった電子マネー、これは使われてしまったのでもう回復できないのですが、まだ使用される前である電子マネーの残高約1.3億円を返金しているということを確認しております。

さらに、特に被害の多い業者は把握しておりますので、その業者に対しましては、3月、9月、定期的に今後も重点ヒアリングをしっかりしていきたいと考えております。

その他、関係省庁と連携しまして、いろいろ注意喚起等を実施しておりますし、引き続き定期的にこの詐欺ができるだけ根絶できるよう対応していきたいと考えております。

11ページ目、業者の詐欺被害防止及び回復に向けた体制の整備状況等について、我々がヒアリング、モニタリングした結果の状況でございますが、まず、ウェブサイトや販売端末等で注意喚起の表示をやっております。注意喚起の文字を大きくしたりして、いろいろ工夫しているところもございます。

苦情相談窓口を新たに設けて、被害者の申出を速やかに受け付けて対応している状況も確認できております。

被害者からの申出から迅速な利用停止を行うということを、人員を配置いたしまして、体制を整えてしっかりやっているというところも確認しております。

さらには、返金手続についても、社内規則ほか、マニュアルを作って、人員を配置して取り組んでいる状況がございます。

12ページ目、このような状況の対応にもかかわらず、実際にこの下のグラフにございますように、相談件数や被害額は増えている状況でございます。

13ページ目、最近の具体的な事例としまして、上の四角で取り上げさせていただいていますのは、消費者に対して、過去に利用した業者への未払いがあるということで、例えば、インターネットで何かのホームページを見た場合の利用の未払いがあるということで、裁判所に訴状が提出されたと脅して、不安にさせて、コンビニで電子マネーを購入させて被害に遭われたという事例、これは国民生活センターで公表されている事例でございます。

このような対応につきましても、下に書いてありますように、まずはコンビニ等の店頭で陳列するプリペイドカードの裏面に注意喚起文を明記して、赤い字にするとか、大きな字にするとかという形で、お客さんに分かるようにしているというもの。

2番目の矢、最近多く対応いただいているのですが、コンビニの販売員のほうで、高額又は大量の電子マネーを購入しようとしているお客さんに対しては、従業員から注意喚起をしてもらって、場合によっては警察に連絡して、警察官から詐欺に遭われていないかどうか確認していただいている状況でございます。下の矢にございますように、消費者自体は不安にあおられてパニックに陥っている状況で、支払ってしまうケースが多いのですが、これにつきましては、更に検討していく状況があると思いまして、現在、例えばコンビニ1店舗で販売する枚数や、5万円の電子マネーを10枚買ってしまえば50万の被害になってしまうのですけれども、それを10万円にするとか、購入金額の上限を設定するとか、いろいろな取組ができないかどうかを検討して、業者と意見交換している最中でございます。

14ページ目、注意喚起はいろいろな場面でやっているわけですが、当庁のウエブサイトで27年5月もやっていますし、28年6月においては政府インターネットテレビで注意喚起もしておりますし、金融の基礎知識をまとめたガイドブックという形でも御紹介していますし、金融広報中央委員会のウエブサイトとか、このほか例えば資金決済業協会という協会のホームページでも出させていただいたり、財務局でいろいろ注意喚起するとか、下に書いておりますフランチャイズチェーン協会とか、至るところでいろいろ注意喚起はさせていただいている状況でございます。状況を踏まえまして、更なる追加の注意喚起もいろいろ検討していきたいと考えています。

以上でございます。

○金融庁総務企画局企画課島村信用機構企画室長 続きまして、「3.フィンテックに関する事項」について御説明させていただきます。

16ページ目、フィンテックに関する制度的な内容について御説明させていただきます。平成28年の銀行法等の改正についてでございます。先ほど御説明いたしましたとおり、金融グループをめぐります状況の変化及びITの急速な進展等を踏まえまして、制度面での対応をさせていただいたところでございます。先ほどございましたような項目も含めまして四つ項目がございまして、金融グループにおける経営管理の充実、共通・重複業務の集約等を通じた金融仲介機能の強化、ITの進展に伴う技術革新への対応及び仮想通貨への対応ということでございます。ITの進展に伴う技術革新への対応につきましては、先ほど申しましたプリペイドカードにおける表示義務の履行方法を合理化したりだとか、プリペイドカード発行者の苦情処理体制を整備させたりだとか、そういった項目も整備させていただいたところでございます。

また、仮想通貨につきましては、先ほど申しましたとおり、仮想通貨交換業者に関する登録制度の導入及びマネロン・テロ資金供与対策としての本人確認の義務付け等の対応をしております。また、利用者保護のためのルールの整備についても同様でございます。

18ページ目、平成29年の銀行法等の改正についてでございます。平成28年に引き続きまして、フィンテックへの更なる対応といたしまして、本年においても銀行法等を改正いたしまして、利用者保護を確保しながら銀行とフィンテック企業とのオープン・イノベーション、いわゆる連携・協働による技術革新の促進でございます。こういったことを進めていくための制度的枠組みを整備したところでございます。特にここにもございますとおり、日本においても例えば銀行のネットワークを活用いたしまして、フィンテック企業の先進的なアイデアや技術を実際の金融サービスにつなげ、利用者への利便の向上等につなげていくことを想定したものでございます。

特にこういった銀行システムによりますネットワークが我が国では高度に発達しておりまして、誰もが銀行に預金口座を保有しているというような特性がございます。こういった中で、利用者の立場に立って、金融機関とフィンテック企業が協働することによりまして、便利で安価なサービスが安全に提供されるといったことが非常に重要だと思っております。

しかしながら、近年金融機関と顧客の間に立って、支払い、送金の指図や口座情報の取得や提供を行うような中間業者、我々としては電子決済等代行業者と言っておりますけれども、こういった業者が登場しております。現状では、こういった多くの場合は、銀行のシステムにいわば顧客に成り代わってパスワード等を用いて接続し、サービスを提供している現状がございます。この場合、顧客との関係では、パスワードなどの情報セキュリティーの懸念が存在すること、フィンテック企業といたしましても、法的な位置付けが不明確であること、さらには、銀行とフィンテック企業との連携・協働が進みにくいという課題が指摘されてございました。

こういった問題に対応いたしまして、顧客のパスワードなどを用いずに外部企業との安全なデータ連携を可能とするような、いわゆるオープンAPI。APIとは、銀行以外の者が銀行のシステムに接続して、その機能を利用することができるようにするプログラムのことでございますけれども、こういったものを指しまして、こういったことについて、銀行がフィンテック企業等にAPIを提供いたしまして、顧客の同意に基づいた上でございますが、銀行システムへのアクセスを許諾するといったことをオープンAPIと言っております。こういった世界的な潮流を踏まえまして、オープンAPIという技術を核として、電子決済等代行業者と金融機関がパートナーとして、より安全で適切なシステムを整備していくというような環境整備を行ったものでございます。

19ページ目、簡単に御説明させていただいておりますけれども、この制度におきましては、顧客と金融機関の間に立ってITを使いました送金指示サービスや口座情報管理サービスを提供する、先ほど申しました電子決済等代行業者につきまして、登録制度を導入いたしました。顧客情報の適切な管理や接続先の金融機関との契約の締結を求めて、顧客に損失が生じた場合の両者間の責任分担ルール等も策定・公表することとしております。

また、銀行に対しましては、電子決済等代行業者が金融機関のシステムに接続し、その機能やそこに蓄積された情報を安全に利用するための接続方式の開放、先ほど申しましたオープンAPIに努める努力義務を定めまして、接続基準の策定・公表等をまとめております。

こういった銀行法等の改正につきましては、現在具体的なルール、政府令を含めまして詳細な法体系を今整備・検討しているところです。法律公布が本年6月2日でございまして、公布から1年以内に政令で定める日には施行できるように対応を進めております。

一方で、金融機関による電子決済等代行業者との連携・協働の方針の策定・公表につきましては、それに先立ちまして、来年3月までに策定することとさせていただいております。

こうした制度的な対応を進めてまいりましたところではございますけれども、さらにフィンテックの進展や少子高齢化等、社会構造変化も想定されております。こういった金融を取り巻く環境は大きく変化しておりますことから、金融制度の在り方について検討するように、本年11月16日の金融審議会総会において大臣より御諮問をいただいておりまして、金融制度スタディ・グループというものを設置し、議論を開始したところでございます。ここにつきましては、20ページ目にございますけれども、岩原紳作座長のもとで、学識経験者等の有識者の方々や消費者のご意見に通じた方にもお入りいただきまして、検討をスタートさせたところでございます。この総会の決議に基づきまして、平成29年11月29日に金融制度スタディ・グループの第1回の会合を開催させていただいたところでございます。

21ページ目、具体的な検討状況でございます。前回29日の説明資料からの抜粋ではございますけれども、情報技術の進展等の環境変化を踏まえました金融制度の在り方に関する検討といたしまして、ここにございますフィンテックの進展等によります金融サービスのアンバンドリングやリバンドリングと言っておりますが、金融サービスを個別の機能に分解して提供していく、例えば決済でございますとか、与信でございますとか、そういったところを個別に提供していく話でございます。また、こういったサービスを組み合わせて、全体としては銀行等と同じようなサービスを提供していくようなリバンドリングといった動きが拡大している。

また、ファンド等の主体による銀行に類似した金融仲介機能、いわゆるシャドー・バンキングと言っておりますけれども、こういったものが世界的には拡大している状況です。

さらに、金融環境が変化していく中、多くの金融機関はビジネスモデルの再構築を図っているところでございます。そういった中ではございますけれども、制度面での障害があれば、これは除去していく必要があるだろうと。

さらには、仮想通貨にとどまらずデジタル通貨の出現等が金融システムを大きく変革させていくような可能性もありますことから、こういったものも踏まえて、ここにございますとおり、現行法制の特徴や課題を整理した上で、検討の方向性を定めさせていただきたいと考えております。

特に現行法制の特徴と課題につきましては、ここにもございますとおり、業態ごとに法令、例えば銀行法でございますとか貸金業法等の法令が存在いたしまして、機能やリスクが類似したサービスにつきましても、行為主体ごとにルールが異なるということがございます。

二つ目といたしましては、金融に関する統一的な基本的な概念やルールが存在していないのではないかという指摘もございます。現行の法体系の場合、「金銭」等の基本的概念に変化が生じるといったような場合に、法改正の必要が生じた場合には、技術的な話ではございますけれども、個別業法ごとに対応するということになります。

三つ目、各業法に環境の変化に対応していないような規制が存在する可能性があるのではないかというような御指摘もいただいております。先ほど申しましたとおり、ITの進展等によって規制の在り方についても円滑に対応することができるように検討していくことが重要ではないかというような視点がございます。

こういった中で、検討の方向性といたしましては、金融に関する基本的な概念やルールを明確化したいということ及び、その同一の機能やリスクには同一のルールを適用していきたいということ、さらにはイノベーションの促進と利用者保護、これらのバランスをとりながら法体系を機能別、横断的なものにしていくことについて検討を進めていきたいと考えております。

現在検討を始めたところでございまして、検討課題につきましては、非常に広範になることが想定されます。相応の検討期間を要するものと考えられますけれども、今後しっかりと議論を進めていきたいと考えております。

以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

ただいま仮想通貨、サーバ型電子マネー、フィンテックに関して御説明をいただきました。委員の方々から御意見、御質問がある方は発言をお願いいたします。

大森委員、お願いします。

○大森委員 いろいろ取り組んでいただいて、ありがとうございます。

なかなか世の中の進展が早くて、消費者教育をするといっても間に合わないと思うので、先手先手の施策や対応が非常に大切になってくると思います。振り込め詐欺の場合も、銀行や郵便局の御協力で水際で消費者被害が救われたというようなことがコンビニでも広がっているような御報告があって、良かったと思っています。ただ、銀行では、よく「振り込め詐欺ではありませんか」というようなポスターを見るのですけれども、私はまだコンビニで「『プリペイドカードを買ってきて』は詐欺」というポスターを見たことがないのです。金融庁のウェブサイトとか、そういうところになかなか一般消費者は勉強したいからと行くことはないので、実際にプリペイドカードを買うところなどにこういうものを必ず設置するような形でやっていただけると有り難いと思います。あと、プリペイドカードの金額を下げるとか、具体的な施策を進めていただくのが一番効果的かと思います。

一つ質問なのですが、この前、割と高齢の方とお話をする機会があったのですが、高齢の方でもほとんどネット銀行を使われているのですけれども、トークンを持っていないという方がいらしたのです。トークンなしでもそういうことが認められているのか。トークンがないととても危ないと思うので、ネットで銀行を使う場合はトークンを義務づけるとか、そういうことも必要ではないかと思って、その辺りはいかがでしょうか。

○金融庁総務企画局企画課島村信用機構企画室長 個別のインターネットバンキングに係る情報セキュリティーの在り方は、それぞれ銀行が決めているところは当然あるのですけれども、その中で、今言ったセキュリティトークンというものは、我々がインターネットバンキングを使うときには暗号化したりだとか、それぞれインターネット上に出てきた番号を入れたりなどの対応を図ってきたと思うので、そこはしっかりと顧客の情報が管理されるように配慮していくということなのかなと思っています。

先ほど申しました電子決済代行業者等の話においても、しっかりと中間業者が入るとはいえ、損失の分担ルールを整備したり、情報提供なりについてもしっかりと連携していくということは当然配慮していくことになろうかとは思っています。一律に(セキュリティ)トークンを使わないといけないとか、そういうものはなかなか今の段階では難しいのかもしれませんけれども、先生の御指摘をよくお伺いいたしまして、しっかりと情報セキュリティーが整備されていくようにということは、共通認識として持っていきたいとは思っております。

○高委員長 ちょっとだけ言葉を教えてもらいたいのですけれども、今、トークンという話が出たのですが、フィンテックなどでトークナイゼーションなどという言葉もありますね。その説明をしていただけませんでしょうか。

○金融庁総務企画局企画課島村信用機構企画室長 御質問どうもありがとうございます。

トークンについて、明確な法令上の定義があるわけではないのですけれども、基本的に例えば仮想通貨を発行したりするときに、我々は証票と言っているのですが、実際に仮想通貨となる前の電子的なデータ等が一般にトークンと言われています。

仮想通貨でのトークナイゼーションはICOなどの局面においてトークンを発行することを動詞化して英語ではそう言っているようなことはございます。ただ、トークンについては明確な法令上の定義があるというよりは、電子的な仮想通貨のコインやインターネットバンキング上の本人確認のための証票、いわゆる電子的な証票等も含め、電子決済等の文脈ではトークンと言われています。

一方で、本当に物理的なトークンというのは、例えばカジノなどでカジノのベッティングを行うために必要なコインもトークンと言っているわけです。そういった様々な使い方があるので、それぞれの文脈に応じて、証票についての具体的なイメージはある程度異なってくるという認識でございます。

○高委員長 簡単に言うと、個人情報の内容が分からないようにした暗号だと思っていれば良いですか。

○金融庁総務企画局企画課島村信用機構企画室長 そうですね。暗号などの電子的なデータを証票としているようなものも含まれ得るということです。

○高委員長 蟹瀬委員、お願いします。

○蟹瀬委員 ありがとうございます。

フィンテックに関しての御質問なのですが、今、電子決済を通販の企業で行っていく、そういう時代になってきました。10年間でもかなりの方々がクレジットカードを登録して、電子決済をしてくれるところが暗証番号を全部保管して、売っていらっしゃるところは直接は持っていらっしゃらなくて、情報は全て決済をするところで守備していることが多いのです。今後、19ページに書いてある新しい整備、オープンAPIという形になっていったときに、ここでパスワードが全然要らなくなってしまうときに、消費者にとっては今と何ら変わらない状態になるのですか。それとも消費者は何かの形で毎回入れなければいけないとか、これは手間がかかるということになるのですか。これはどこの仕組みが変わることによって、何が変わるのかがよく見えないのです。

○金融庁総務企画局企画課島村信用機構企画室長 具体的にどのような方式になるかというのは、それぞれまた業者のやり方によって若干変わるかもしれませんけれども、電子決済等代行業者が利用者から銀行口座にアクセスするためのID・パスワードを預かるということがなくなるということなので、恐らく利用者の側としては手続が面倒になるとかならないというのは変わらないだろうと。オープンAPIが実現すれば、電子決済等代行業者が実際に顧客から預かったID・パスワードを用いずに銀行にアクセスすることになっていくので、そうすると、利用者に一々パスワードを渡したりとか、そういうことはなくなるのではないかというような議論はあります。利用者の側はそれほど変わらないのではないかということです。

○蟹瀬委員 そうすると、利用者はパスワードを渡していないということになると、決済はできるのですか。単純に言えば、クレジットカードを渡しますね。そうすると、私がネットで買い物をします、クレジット番号を入れました、その番号を保管しますか、どうですかといったときにやりますと。これはとてもややこしくて、今ECサイトの方々が非常に迷っている部分なのです。

○金融庁総務企画局企画課信用制度参事官室担当者 利用者がパスワードとIDを使って本人認証をすること自体が変わるわけではなく、今起こっていることは何かというと、先ほど中間業者(電子決済等代行業者)という話を差し上げましたけれども、中間業者がお客さんに成り代わってということが問題であり、そこが変わるということです。つまりは利用者のID、パスを預かって、お客さんが持っている口座は例えば証券会社の口座、銀行の口座、いろいろなものがあるので、そこを中間業者が実際利用者に成り代わってインターネットバンキングにアクセスして、その情報を全部抽出(スクレイピング)して、それをアプリ上で一覧として利用者に見せるということが起こっていた。ですけれども、それをオープンAPIでは、先ほどトークンという話もありましたけれども、実際に利用者がID、パスワードを用いて本人認証をすることは変わらないのですが、事業者が銀行にアクセスするときに利用者のIDとパスワードをもらって成り代わってやるというこのプロセスを、銀行に認められた事業者が銀行から発行されたトークンを用いて見られる形にするということによって、利用者のID、パスワードを預からなくても実際の銀行口座を見られるスキームに変えていくということでございます。

○蟹瀬委員 なるほど。中間業者がそれを見ないで済むということなのですね。

○金融庁総務企画局企画課信用制度参事官室担当者 はい。実際のID、パスワードを預からなくても、公式に銀行とアクセスできる。これは契約締結義務を法律で課しているところでございますので、正式に認められた事業者が利用者の委託を受けて実際に見られる形になる。そういうプロセスに変えていくというところでございます。

○蟹瀬委員 3月から変わる部分というのは、そこがもう確立されているということ。

○金融庁総務企画局企画課信用制度参事官室担当者 オープンAPIの技術自体はもう進んでいるところでございます。法的な枠組みに入れてやっていくということが、法律を本年6月に出させていただいて1年以内に施行、現在、我々が詳細なルール、政府令を作っているところでございます。

○蟹瀬委員 分かりました。ありがとうございます。

○高委員長 鹿野委員、お願いします。

○鹿野委員 御説明ありがとうございました。

3点ほどそれぞれの項目について質問をさせていただきたいと思います。

一つ目は仮想通貨に関する点なのですけれども、資金決済法の改正によって登録が義務化されたり、あるいは行為規制が設けられたりというようなことがあったようで、3ページに分かりやすくまとめていただいたのですが、質問は5ページのところに関してです。登録については、形式的な基準だけではなくて、専門的な審査をして登録を認めるかどうかということをチェックするのだということを4ページで御説明いただき、それで、5ページにおいて、その登録の後についてもモニタリングチームを設けてチェックしていくというようなご説明をいただきました。まだ4月に施行されたばかりということではありましょうけれども、このモニタリングチームによるチェックが実際にどういう形で行われてきたのかということについて御説明いただければと思います。

二つ目は、電子マネーに関連することで、10ページについての御質問であります。ここで詐欺等に悪用されるところは特定されて、約10社というところで把握され、それらのところとの間でやりとりをされてきたという御説明だったと思います。そのとき、この10社が悪用される原因が特に何かあるのかという分析はなされたのでしょうか。もし分析がなされた上でここをもうちょっと改善したら、完全にではないかもしれませんけれども、こういう被害が防げるのではないかというような検討などもされたのかということについてお聞きしたいと思います。もしそういう分析かなされたとしたら、例えばそれを踏まえてガイドラインの中にも盛り込んでいくというようことも考えられるのかもしれないのですが、その点についてもお伺いしたいと思います。

三つ目は、フィンテックに関して御説明をいただきました点についてです。これについては、技術革新に伴って非常に大きな金融に関する改革の動きがあるということで注目しているところです。ここでも御説明をいただきましたが、この改革は利用者保護を確保しつつということが肝要だと思いますが、従来分断されていたルールについて統一的なルールを設け、それにより利用者保護も図っていくということだと理解してよろしいでしょうか。その点をまず確認させていただきたいです。

さらに、19ページのところについて少し質問させてください。図の一番下のところに、「顧客に損失が生じた場合の両者間の責任分担ルールを策定・公表」と書いてあるのですが、これは内部的な分担ということなのでしょうか。それとも利用者が請求する相手など、利用者との関係で何か変わってくるのか。その点についても教えてください。

以上です。

○金融庁監督局総務課春原金融会社室長 3点御質問をいただきまして、1点目と2点目は私のほうから御説明いたします。

最初の御質問の4ページ、登録後にモニタリングチームがどのような活動をしているかというお話でございますが、法律自体は4月に施行しておりますが、登録業者が先ほど15社と申しましたけれども、登録されたのが9月29日以降で、ここから我々の実際の登録業者のモニタリングが始まっております。そういう中で、例えばシステムダウンとかシステムトラブルなどが発生している業者がおりまして、そういう業者につきましては、お客さんが仮想通貨を売買できなくなってしまうとか、そういう状況がございますので、改めて我々はシステム上の安全管理措置とか、いろいろチェックしているところでございます。

あと、御存じかとは思いますが、ビットコインが最近、ビットコインキャッシュやビットコインゴールドという形でいろいろ分岐している状況になっていまして、保有しているお客さんにとっては、どういうことなのかよく分からない状況が起きております。そういうものにつきまして、お客さんにちゃんと説明しているのかを一社一社、15社ですけれども、モニタリングチームが確認している次第です。

二つ目の御質問で、これは資料10ページでございますが、この10社というのも、前払式支払手段の発行者自体は数百社いて、例えば百貨店の商品券とかを発行している業者もそうなのですけれども、この最近問題になっている電子マネーの詐欺に悪用されてしまう発行者というのは、最初の矢に書いてありますように、コンビニなどで購入できる手軽さとか匿名性などが売りで、それでサーバ型電子マネーのカードを発行している、具体的に言いますとアマゾンとかiTunesとか、そういう電子マネーを発行している業者が10社ほどになっております。こういう業者は詐欺に使われやすい特殊性を持っていますので、そういう業者に対して、我々は集中的にヒアリングして分析して、先ほど御説明したように、金額をもっと落とせば良いのではないかとか、注意喚起をもっと大きな字で赤い字で書けないかとか、できるだけ詐欺被害が食い止められるよう指導している次第でございます。

○金融庁総務企画局企画課島村信用機構企画室長 幾つか質問がおありだと思います。まず先ほど最初におっしゃっていただいた技術革新とこれからの利用者保護のバランスを横断法制の中でどう議論していくかということは非常に重要でございまして、それぞれの金融サービスの中でも、ある程度具体的にどのようにやっていくかということはそれぞれ検討していくということだとは思います。ただ、現段階では、それぞれの金融サービスの実態や機能について、基本的な考え方を議論している段階なので、追って詳細な具体的な内容についてはまた議論が深まってくるのかなと思います。

個別に法制度の運用について、先ほど申しました銀行法等の改正を踏まえた顧客に損失が生じた場合の両者間の責任分担ルールの策定・公表の話でございますけれども、これは顧客に損失が生じた場合なので、顧客の損失を両者である電子決済代行業者と金融機関がどのように分担していくか。こういったルールについて、基本的には契約締結の中で位置付けた上でそれを公表していくといったような考え方です。

○高委員長 池本委員長代理、お願いします。

○池本委員長代理 電子マネーに関連して三つ質問させていただきます。まず、入り口の防止対策として、このペーパーの10ページ、あるいは13ページ、14ページでも触れておられるコンビニでプリカなどを買っている人の中での注意喚起、声掛けというのですか。ここを絞ってやっておられるというのは、非常に効果的なのだと思います。ただ、例えば銀行が振り込め詐欺の問題を防止するために銀行員が声掛けをするというのはかなり徹底されて、最近は振り込めから現金をとりに行ったりとか、いろいろなパターンに広がっているというのはあるのですが、コンビニの場合、本当に店舗数も多いしアルバイトの方が多いという中で、この14ページに書いてあるフランチャイズチェーン協会にお願いして高額購入者への声掛け、こういうときにはこうするというものはどの程度具体的に働きかけ、あるいは各コンビニチェーンが従業員に対してどういう形でこれを周知されているのか。その辺りが今後のまず未然防止のことで鍵になるのかなと思うのですが、具体的にどういう取組をなさっているのかお伺いしたいことが第1点です。

ID詐取型というものについては、以前に少し議論があったときに、IDを買い取って他へ転売する、裏でそういう業者がID詐欺を支えているのではないかと。そういうところが、きちんと買い取るときに本人確認をしておけば、ID詐欺を働く業者を特定してそこを摘発するということにつながるのではないかと。そこは法制度的には今回手はつけられなかったと思うのですが、具体的な調査なり摘発なりというところで、買い取り業者、仲介業者の実態把握なり、あるいは本人確認に対する対応なりということが自主的な対応も含めて何か進展があるのかどうか。あるいは、ここはまだペンディングということなのかどうかという点が2点目です。

3点目、今回の御報告では、いわゆるID詐欺方式は中心的に報告があるのですが、電子マネーに関する苦情の中には、いわゆるプリペイドカードの加盟店として登録して使っている業者の中でも非常に問題業者があって、いわゆる悪質加盟店対策となると、例の発行業者が、加盟店に関する苦情で、加盟店を調査し、場合によっては加盟店契約を解除したり、あるいは是正を求めたりという、加盟店の調査指導による被害防止、是正という、そちらの局面があるのですが、今日の話題で余りそこが出てこなかったのですが、加盟店指導の強化なり、それで悪質加盟店の排除というのが、ある程度の進展があるのかどうか。その辺り、教えていただければと思います。

○金融庁監督局総務課春原金融会社室長 ありがとうございます。

1点目の御質問でございますが、28年1月にフランチャイズチェーン協会と意見交換を持ちまして、いろいろな詐欺の特徴とか、どういうところを注意すべきかなどという意見交換をさせていただいて、金融庁、関係省庁と連名で、具体的には、先生御指摘のとおり高齢者とか高額購入者などに、購入時に声を掛けようとか、御協力依頼をさせていただいて、やっていただいているところです。我々金融庁がコンビニを一つ一つ見るとか、規制上、何か報告を求めるなどはなかなかできないので、そこは限界がございます。でも、おっしゃるとおり、先程、ほかの委員から御指摘もございましたとおり、ポスターが全然ないのではないかというのは、私も個人的には確かにそう思っているところもございます。改めてまたフランチャイズチェーン協会とも意見交換して、実態をお聞きして、足りない部分があったらまた対応していきたいと思います。

2点目の御質問、御指摘でございますが、悪質な業者に対しする摘発みたいなところでございますが、これも実際にそれをやっていただいているのは警察庁とかでございまして、さすがに詐欺被害が注目されているという点で、我々も情報交換等連携しながら、または、我々が不適切な業者を把握した場合は連絡するとか、そういう形でやっております。実際に警察のほうで内偵を進めていたりとか、どういう手口でそういう業者に対して対応していくのかというのは、警察庁は内々の情報ということもございまして、どういう進展をしているのかというのは、金融庁からはなかなか説明できない状況でございます。

3点目、加盟店の取組について、我々としては、発行業者に対して、先ほどお話ししたとおり、10社については集中的なヒアリングをして、どのような加盟店対策をしているのかとか、特に悪質な加盟店については排除しなければいけないわけですし、それはガイドラインにも書いてございますので、そういう取組がどうなっているのかというところを業者ヒアリングの中で聞き取っているところでございます。なかなか悪質加盟店の情報も次から次へと出てくる状況でございますので、先生の御指摘を踏まえまして、対策をもっと充実していきたいと考えております。ありがとうございました。

○高委員長 山本委員、お願いします。

○山本委員 1点だけ事実を確認させていただきたいのですけれども、仮想通貨に関しまして、無登録業者に対する対策の話が出てきているのですが、これは現実にかなりまだ無登録業者が存在することを確認されていて、具体的に措置をとり始めた状況にあるのでしょうか。その点を確認させてください。

○金融庁監督局総務課春原金融会社室長 無登録業者の種類でございますが、法律上の定義に合致して、登録を受けなければそういう業務を行ってはいけないという業者につきましては、我々は法律を施行した段階で、財務局を通じて情報収集などしておりまして、ほぼ実態等は把握している次第なのですが、いかんせん情報収集のツールやチャンネルも限られている中、実際には9月に登録の第1弾を行ったわけです。11社プラス、最近は4社入れて15社なのですが、そういうニュースを見て、実は私もやっていましたという業者も出てきている次第で、その辺りにつきましては、今後とも財務局等々を通じて実態の情報収集をして、対処していきたいというのが無登録業者です。

一方、詐欺業者でございます。法律の定義にも合致しなくて、特にビットコインのようなブロックチェーンを使わずに、単なる詐欺のコインをお客さんに売っている業者につきましては、もう詐欺業者でございますので、これは販売の方法としては、セミナーを開いてお客さんを勧誘するとか、インターネット上の広告をして勧誘するとか、いろいろな手口がございます。それは我々も可能な限り情報を集めて、警察当局と連携して撲滅するよう、先ほど御説明したように警告も発したり、警察に詳細な情報を提供したりして対処している次第でございます。

○高委員長 他はいかがでしょうか。

蟹瀬委員、お願いします。

○蟹瀬委員 大変変化の激しい金融業界で、とても迅速に対応していただいていて、大変力強いかと思います。

私は消費者側から申し上げますと、60年間でお金の在り方が大変変わってきたのではないかと思います。私が子供のころ、お年玉は現金で100円もらって喜んでいた。ところが、今、だんだん子供たちはカードでもらったり、いろいろなことをするようになってきておりますけれども、お金の種類ですね。現金があったり、クレジットカードがあったり、電子マネーがあったり、仮想通貨があったり、これのとても速い変化に、消費者が知識不足によって無防備状態になっていると私は今感じています。知識不足ということは、消費者庁さんと一緒に協働していただいて、消費者にこの種類のお金のメリットとデメリットみたいなものを教育していただくことも必要なのではないか。もちろん業者側を厳しく取り仕切っていただいたり、システムを作っていただくことも大変大事なのですが、知識が身を守るということがありますので、この速度の大変速い、仮想通貨とは何、ビットコインとは何という方がほとんどだと思います。電子マネーもどれを電子マネーと言うのというのを、わざわざ金融庁のホームページに来て見る方はほとんどいないわけですから、この注意喚起というのは大変大事なことなので、現場に注意喚起というものがたくさんあったほうが良いかと思います。

一方で、もう少し消費者がこの変わりゆく金融の世界が分かりやすく分かるように、あるいは高校生ぐらい、大学生ぐらいからそういうことが分かるように、あるいはシルバーの方が、高齢者が分かるように、何らかの形で消費者庁と一緒に組んで教育をやっていただければいいかと、最後でございますが、お願いでございます。

○高委員長 他、ございますか。

増田委員、お願いします。

○増田委員 仮想通貨に関しましても、リスク性のある金融商品だと思います。また、コンビニ決済と言われるように、コンビニ自体も金融機関の様相をなしているのではないかと思います。反面、先ほど御指摘があったとおり、コンビニはアルバイトの方が対応することが多くあるというところで、現実では銀行の対応と大きく違っているし、責任の持ち方も気の毒なほど大きなものになっているのではないかと思います。そういう意味でいうと、最終的に、最後のページに現行法制の特徴と課題ということで、横断的な規制というか、考え方を統一するというところに行き着くのかなとも思うのですけれども、コンビニ、仮想通貨も含めてお考えいただいて、整理をしていただくということは非常に重要なことであり、消費者に対してもアピールするべきことだと思いますので、是非進めていただきたいと思っております。

○高委員長 他、ございますか。よろしいですか。

本日、金融庁から電子マネー、仮想通貨、フィンテックについて御説明いただきました。

まず、サーバ型電子マネーについては、消費者委員会の建議に対応しまして、法改正や事務ガイドラインの改正などの取組を行っていただいたということで、その対応に関しまして非常に感謝しているところでございます。

ただ、今日説明いただきましたように、電子マネーに関する相談件数、それから、電子マネー型被害額は増加傾向にあるということです。また、こうした状況を踏まえて、金融庁におかれましては、更なる対応策の検討に取り組んでいただけると理解しております。特にコンビニでの対応及び加盟店の問題はよろしくお願いいたします。

また、仮想通貨については、29年4月から改正資金決済法が施行されて、交換業者の登録制が始まり、また、仮想通貨市場のモニタリングなど、消費者保護に関する施策に現在取り組まれているということでございます。まだ始まったばかりですけれども、今後も引き続きよろしくお願いいたします。

他方で、仮想通貨をめぐる、これは相談なのでしょうけれども、相談件数が増えている状況ですので、今後の動きも注視して取り組んでいただきたいと思います。

最後のフィンテックについて説明をいただいたのですけれども、これはこれからいろいろな技術革新ということが起こってくるので、どういう方向に行くのかなかなか分からないところでございますが、消費者の利益の保護というところを常に注視しながらおっていただきたいと思います。

先ほどの最後に研究会のグループがありましたね。その中に消費者団体の代表の方というような御説明もいただいたのですけれども、多分この方は推進というお立場で臨んでおられる方ですね。もちろんここは推進ということにウェイトを置かれているのでしょうけれども、できれば消費者の利益の保護を中心に考えておられる団体の方なども、時期が来たら入れていただければと思います。

委員から、本日、意見はありませんでしたけれども、恐らくフィンテックというのは、銀行がこれまで持っていた機能をアンバンドリングしていく。送金、決済、資産の管理、運用あるいは与信などですね。こういったものを一般の業者がやり始めるわけですね。そこまでいくのかどうか分かりませんけれども、例えばSNS上に蓄積された情報をもとに個々人の信用リスクをスコア化するとか、とにかく我々が何となく使っている資産の管理のためのアプリケーションを使うと、その情報があるところで使われるようになっていくわけで、そういう意味で、私は個人情報の管理の問題が非常に大きいのではないかと思っております。ですから、今後の動きの中で、その点にも注視していただければと思います。

金融庁におかれましては、本日の議論を踏まえまして、取組状況などについて、消費者基本計画の工程表に盛り込んでいただきたく思っております。

当委員会としても、本件について引き続き注視してまいりますので、よろしくお願いいたします。

金融庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

(金融庁退席)

≪4.その他≫

○高委員長 次は、議題「その他」といたしまして、消費者行政新未来創造プロジェクト検証専門調査会の委員についてであります。

消費者行政新未来創造プロジェクト検証専門調査会については、第259回委員会において設置することを決定いただいたところでございますが、先般、内閣総理大臣により専門委員が任命されました。消費者行政新未来創造プロジェクト検証専門調査会の設置・運営規程の第二条第2項及び第3項では、専門調査会に属すべき構成員や座長については委員長が指名することとなっておりますので、11月17日付で、参考資料のとおり、これらの専門委員を消費者行政新未来創造プロジェクト検証専門調査会の構成員とするとともに、座長については、消費者委員会の委員でもある樋口委員にお願いする旨の指名を行ったところでございます。

また、当委員会から、大森委員を担当委員として、専門調査会にオブザーバーとして参加していただくこととなりましたので、御報告いたします。


≪5.閉会≫

○高委員長 本日の議論は以上になります。

最後に、事務局より今後の予定について説明をお願いいたします。

○丸山参事官 次回の本会議の日程や議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページ等でお知らせさせていただきます。なお、この後委員間打ち合わせがございますので、委員の皆様方におかれましては、委員室までお集まりください。

○高委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところを御参集いただきまして、ありがとうございました。

(以上)