第258回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2017年10月11日(水)10:00~10:46

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    高委員長、池本委員長代理、受田委員、大森委員、蟹瀬委員、鹿野委員、長田委員、樋口委員、増田委員、山本委員
    (高委員長の「高」は、正しくは「はしごだか」)
  • 【説明者】
    消費者庁 佐藤取引対策課長
    消費者庁 取引対策課担当者
    観光庁 鈴木観光産業課長
    観光庁 観光産業課担当者
  • 【事務局】
    黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 特商法施行令の一部改正について
  3. その他
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○高委員長 おはようございます。定刻になりましたので、委員会を開催させていただきます。本日はお忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会第258回本会議」を開催いたします。

それでは、配付資料の確認につきまして、事務局より説明をお願いします。

○丸山参事官 お手元の議事次第の下部のほうに配付資料一覧を記載しております。資料1-1から資料1-4、参考資料1、参考資料2となっております。もし不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますようよろしくお願いいたします。


≪2.特商法施行令の一部改正について≫

○高委員長 最初の議題ですけれども、「特定商取引法施行令の一部改正について」でございます。

本件につきましては、近年急増する訪日外国人観光客の宿泊への需要や大都市部での宿泊需給の逼迫状況などに対応し、国内外からの観光旅客の来訪及び滞在を促進することにより、国民生活の安全向上、安定向上及び国民経済の発展に寄与するため、第193回国会において、住宅宿泊事業法が成立し、本年6月16日に公布されたところでございます。その中で、住宅宿泊事業、住宅宿泊管理業、そして、住宅宿泊仲介業の3種類の事業が規定されたわけですが、そのうち、住宅宿泊仲介業に関し、資料1-1のとおり本件10月10日に内閣総理大臣から、特定商取引法における適用除外に関する政令の改正について諮問がございました。

本日はこの諮問事項について、消費者庁、観光庁からヒアリングを行い、審議を行った上で、委員会としての判断を示すことといたします。

消費者庁、観光庁におかれましては、お忙しいところ御出席いただき、誠にありがとうございます。

それでは、施行令改正の概要について、合わせて15分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁佐藤取引対策課長 消費者庁の取引対策課の佐藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、お手元に資料1-2と書いてある紙がありますので、そちらを御覧ください。

今、委員長から御紹介いただきましたとおりでございますけれども、今年の6月の国会でいわゆる民泊サービスに関する住宅宿泊事業法という法律が成立いたしました。その法律の概要については、後ほど観光庁さんから詳しく御説明をいただければと思いますが、今、委員長から御紹介をいただきましたとおり、その中で3つの事業が規定されております。住宅宿泊事業、これは要するに、外国人観光客に対して住宅を提供して宿泊させる事業。住宅宿泊管理業、これは住宅宿泊事業者から委託を受けて住宅の維持保全等に関する業務を行う事業。住宅宿泊仲介業、いわゆる旅行者などの宿泊者と住宅宿泊事業者との宿泊サービスに関する契約の代理、媒介、または取次ぎ、こういう住宅宿泊仲介業務を行う事業。こういう3つの事業が規定をされたところでございまして、今回特商法の適用除外ということで、この住宅宿泊仲介業について政令を改正いたしまして、特商法の適用除外とすることが適当であると考えておりますので、お諮りをする次第でございます。

「2.諮問事項」のところを御覧いただければと思いますけれども、御案内のとおり、特商法においては、他の法律によって訪問販売、通信販売、または電話勧誘販売に係る取引を行う購入者等の利益を保護することができると認められる場合には、訪問販売等の各種規制の適用除外としているところでございます。

これまでも、この適用除外については、その下に書いてあります2つのメルクマールが満たされているかどうかという観点から判断を行ってきたところでございます。具体的には、1点目として、消費者保護のための規制が整備されていること。2点目として、そういう規制に違反した場合に是正措置、例えば業務停止命令などがきちんと整備をされていて、消費者保護のためにその是正措置の発動が見込まれること。こういう2点をメルクマールとして判断してきたということでございます。

今般、新しく定められたこの住宅宿泊仲介業については、この1点目、2点目のメルクマールをそれぞれ満たすものと考えております。具体的に申し上げますと、住宅宿泊事業法は、住宅宿泊仲介業者に対して、約款の制定及び公示、それから、料金の公示についての義務を課しております。さらに、住宅宿泊仲介業者に対して、不当な勧誘等の禁止、それから、契約締結前の書面交付義務など、宿泊者、いわゆる消費者との取引に関する各種規制を課しております。これらのことから、消費者保護のための規制が整備されていると言うことができると考えております。なお、これらの規制は、住宅宿泊事業者、住宅宿泊管理業者には課せられていないということでございます。

2点目のメルクマールについて申し上げますと、住宅宿泊仲介業者がこの1点目の規制に違反した場合に、観光庁長官による業務改善命令、登録の取消し又は1年以内の業務停止命令の対象となるということでございますので、消費者保護のために違反事業者に対しては是正措置の発動が見込まれると言えるということでございます。

以上の理由によって、住宅宿泊事業法に基づく登録をした住宅宿泊仲介業者が行う住宅宿泊仲介業については、特商法の適用除外とするための基準を満たしていると考えております。したがって、特商法の施行令を改正いたしまして、特商法の適用除外とするための措置を講じることとしたいと考えている次第でございます。

続いて、観光庁さんから、よろしくお願いいたします。

○観光庁鈴木観光産業課長 観光庁観光産業課長の鈴木と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

資料1-3を御覧いただきたいと思います。私から住宅宿泊事業法の概要につきまして、御説明をさせていただきたいと存じます。この法律につきましては、先ほどもお話がございましたが、平成29年6月16日に成立、公布されておりまして、1年以内の施行ということで、現在施行に向けて準備作業を進めているところでございます。

まず、法律の背景・必要性でございますが、特にここ数年、民泊サービスが世界各国で展開されており、我が国におきましても、訪日旅客の増大に伴いまして、急速にいわゆる民泊サービス、違法民泊と言われているものも含めまして拡大している状況でございます。急増する訪日外国人観光客のニーズ、特に中長期の宿泊客が多いということで、キッチンやランドリーなど、こういったものが設備されているものが好まれるということがあるかと思いますが、こういった観光客のニーズでございますとか、大都市部を中心に宿泊需給の逼迫状況等に対応するため、民泊サービスの活用を図ることが観光庁としては非常に重要なことだと考えてございます。

その中で、民泊サービスの活用に当たりましては、公衆衛生の確保、また、周辺の地域住民とのトラブルの防止、こういうものに留意した一定のルールを作った上で、無許可で旅館業を営む違法民泊への対応も図っていかないといけないということでございます。こういった目的の中で、この法律が作られてございます。

次に、法律の概要につきまして、御説明をさせていただきたいと思います。先ほど御案内がございましたように、この法律におきましては、民泊に関わる3つの主体にそれぞれ着目し、規制を行ってございます。1つ目は、住宅宿泊事業者、いわゆるオーナーさんでございますが、こちらにつきましては、住宅宿泊事業を行おうとする方は、都道府県知事への届出が必要となります。これによって、都道府県知事の監督を受けることになります。また、1.マルイチの括弧の中にございますように、これは建築基準法上も住宅ということで取り扱うということでございまして、年間提供日数の上限は180泊までとしております。

マルニの住宅宿泊事業者については、いろいろな義務が課されるわけでございますが、その適正な遂行のための措置ということで、一つは衛生確保措置、これは厚労省さんの所管している部分になりますが、旅館の簡易宿所と呼ばれる比較的簡易な旅館、ホテルと同じぐらいの衛生確保基準を設ける予定にしてございます。また、騒音防止のための宿泊者への説明、近隣等からの苦情への対応、宿泊者名簿の作成・備えつけ、また、民泊は外形的になかなか分かりにくいということもございますので、玄関等に分かるようなマークを貼ってくださいということで、標識を貼ってくださいと、こういったものの各種の義務づけをさせていただきたいと思ってございます。

家主居住型、家主不在型とございますが、いわゆるホームステイみたいなものをやられる場合、家主さんがそこにいらっしゃる場合には、その家主さんに対して直接こういう義務を果たしてくださいと義務づけをしているわけですが、もし家主がいらっしゃらないような、例えば別荘などでそのときは住んでいらっしゃらないような場合につきましては、国土交通大臣、不動産管理部門の登録を受けた管理業者に委託し、こういった義務を果たすことを義務づけてございます。これは後ほど出てきますが、住宅宿泊管理業者と言われている方々でございます。

マルヨンにおきましては、都道府県知事が監督措置を行う。また、これは旅館業と並びでございますが、保健所設置市等につきましては、条例等によりまして、事務を委任することができるという規定も置かせていただいてございます。

次に、2.住宅宿泊管理業者に関する制度につきまして、御説明をさせていただきたいと存じます。住宅宿泊管理業、ビル管理業とか不動産管理業的なものだと位置づけていただければ分かりやすいのではないかと思いますが、オーナーさんが不在な場合に、そのオーナーさんからの委託を受けて、その住宅の管理を行う方ということでございまして、国土交通省、具体的には地方整備局さんの不動産部門の登録が必要になります。

マルニでございますが、住宅宿泊事業者に課されている義務と同じような義務を実施することになります。

マルサンでございますが、国土交通大臣が、この住宅宿泊管理業者の監督を行うということになります。

次に、3.住宅宿泊仲介業者に係る制度につきまして、御説明をさせていただきたいと思います。1番目のオーナーさん、2番目の管理する方の他に、これを仲介してネットなどで売る事業者さんがいらっしゃるわけでございますが、旅行業者さんとおおむね同じような仕事をする位置づけになるということで、観光庁長官の登録を受けて、観光庁長官の規制、監督を受けるということになります。

マルニでございますが、この住宅宿泊仲介業に対しまして、先ほど消費者庁さん等からも御説明がございましたが、住宅宿泊仲介業の適正な遂行のための措置が義務づけられてございます。具体的には、先ほどおっしゃいましたような料金の公示でございますとか、契約に当たっての事前の説明義務でありますとか、そういったものに違反している場合には、観光庁により立入検査でありますとか業務改善命令、こういった規制の中にあるということでございます。

マルサンでございますが、申し上げたとおり、観光庁長官がこの住宅宿泊仲介業者に係る監督を実施させていただきたいということでございます。

我々といたしましては、いわゆる民泊に関連するこの3つの主体に関しまして、それぞれの専門分野、行政の所管省が規制をし、全体として宿泊者に対し適正なサービスが提供されることを実現し、事業の適正化を図っていきたいということでございます。法律の詳細につきましては、資料1-4をつけさせていただいてございますが、おおむね今、御説明させていただいたとおりの内容でございますので、後ほど必要に応じて御参照いただければと考えてございます。

観光庁からの説明は以上でございます。ありがとうございました。

○高委員長 ありがとうございました。

ただいま御説明いただきました。皆様方の御意見、御質問がありましたら、御発言をお願いいたします。

池本委員長代理、お願いします。

○池本委員長代理 池本でございます。御説明ありがとうございました。

1-3の資料で見ますと、先ほど御説明をいただいた住宅宿泊事業者と住宅宿泊管理業者との間、これは事業者間取引の関係にあるかと思います。それに対して、今回の特定商取引法の適用除外の問題は、住宅宿泊仲介業者と宿泊希望者との間の問題ということだと思います。この1-3の資料で見てもそうですが、一般にネット上のサイトを通じた予約、支払いという形で、通信販売形態で取引をするものだと理解しています。基本的な枠組みとして、この仲介業者について、概要書面の交付義務とか、不当な勧誘行為の禁止、そして、行政的な是正措置が設けられているという点は評価できるのですが、1点、ネット取引が中心であるということに対して、その広告に関する規制、例えば虚偽誇大広告禁止など、そういう条文がないところが非常に気になります。

そこで、現時点で、この住宅宿泊仲介業者に当たるもののネット上のサイトの表示で、そういったトラブルがどの程度あるのかを御存じであれば教えていただきたい。それと、今のような虚偽誇大広告が行われてトラブルになるような場合、今回の法律によって何らかの対処ができるのか、どこかで解釈で読み込めるのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。

○高委員長 お願いします。

○観光庁鈴木観光産業課長 観光庁でございます。

御質問に御回答申し上げたいと思います。1点目の、今、どれくらい苦情等があるかということでございますが、実は、この世界は現在としては余り規制がかかっていないものですから、はっきりとした細かい数字は把握してございません。これから把握しなければならないと思っております。ただ、うわさというか、業界の方の話や報道等で、広告に関しましては、むしろ誇大というよりも情報が少ないみたいなことをよく聞きます。情報が少ないというのは、貸されていらっしゃる住宅宿泊事業者の方が一般の個人の方も多いものですから、例えば住所などをはっきり書かない。後から聞かれるのが嫌だから、大ざっぱに書いておいて、例えば経路図を図面でつけてみたり、そういうことをやっている。それも広告の段階では出ていなくて、契約して初めて相手に通知するというような形態になっているものですから、なかなか辿り着けなかったり、タクシーの運転手さんなどが住宅街の中でうろうろされるものですから、近隣からうるさいというようなことで苦情が来たりとか、こういった苦情等がよく聞く苦情でございます。これから契約に当たって、そういった所在地も含めてきちんとお伝えくださいという規制を課したいと思っておりますので、改善がみられるのではないかと思いますが、現在はそういう苦情が多いということでございます。

2点目の、今回の法律の中の規制でその他の部分も含めましてどうかということなのですが、不当な勧誘の禁止という規定がございまして、具体的には、この中で、いわゆる不実告知について禁止をさせていただきたいと考えております。住宅宿泊事業の場合は、基本的には泊まる場所の仲介だけということでございますので、契約の形態として金融や旅行などに比べれば複雑ではなかろうとは思いますが、それでもいろいろなうそというか、紛らわしいような広告というか、お伝えして契約する可能性もあると思いますので、事前にきちんと内容を説明していただいた上で契約をする。また、そこに不正であったり、不実なことが含まれていれば、それは禁止されるという規制がございます。

また、このほか、この規制を含めまして、いろいろな規制がございますが、事業の適正な運営の確保のために、観光庁長官は立入検査権と業務改善命令ができる、こういう規定を置いてございます。こういったことも含めて、きちんと事業の適正化を図ってまいりたい、また、消費者の保護に努めてまいりたいと考えてございます。

以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

ほか、いかがでしょうか。

増田委員、お願いします。

○増田委員 特商法の適用除外となりますと、通信販売の適用がないということですので、表示義務が非常に不安なところがあります。通信販売でさえ表示義務しかありませんが、住所や連絡先などについての表示は、いつでも連絡がとれるものを書かなくてはいけないことになっていますので、その辺りのところをきちんとガイドラインか何かでやっていただきたいと思います。

今、おっしゃったように、不実告知による対応ということなのですけれども、広告ですので、不実告知という解釈をしていただくということを明確にしていただかないと、広告であるということで反論があると思います。そこは明確に事業者の方に伝えていただきたいと思います。消費生活センターなどで苦情を受けたときに、広告と違うとしても、すぐ不実告知であるから取消しであるということは通じませんので、そこは事業者に対する理解を促進していただきたいと思います。

苦情対応窓口についてなのですけれども、これはある意味プラットフォームというか、場貸しのような形態だと思うのですが、何か問題があったときに、連絡先として、そこのプラットフォームのほうできちんとした対応をしていただけるのかどうかというところが不安にあります。消費者の方が、遠方からネットを通じて契約するパターンが想定されると思いますので、そうしたときに、直接家主の方に苦情を言って解決するというよりは、契約の仲介をしていただいたところのほうが大手の事業者なわけですから、そこに苦情を言うことが考えられます。そこのところの苦情対応窓口の充実ということをきちんとしていただきたいと思います。

○高委員長 お願いします。

○観光庁鈴木観光産業課長 ありがとうございます。

まず、今後ガイドライン等を発出することを考えてございますので、その中で消費者保護のための適切な必要な措置につきましては、きちんと明確化をしていきたいと思ってございます。

また、苦情の対応でございますが、仲介業者についても苦情に対応する、または法令等を遵守する、こういった規制をきちんと課していきたいと思っております。そういったことで、行政自体も当然苦情の受付等をさせていただきますけれども、仲介業者自身にもそういうことをしていただくようにきちんと指導してまいりたいと思っております。

以上でございます。

○高委員長 池本委員長代理、お願いします。

○池本委員長代理 池本です。

今の増田委員からの質問と私からのその前の質問の両方に関連するのですが、実は、私も地元の消費生活センターで仲介業者と消費者との間のトラブルがあるかどうか聞いてみたのですが、まだそんなに目立っては寄せられていない。これは外国人が利用するのが多いからかどうかは分かりませんけれども、そんなに多くは出ていないということは聞きました。しかし、これを制度化してどんどん利用を広げていくとなれば、必ずやその辺りはトラブルになるのではないかということは当然危惧されます。それから、特定商取引法は、通信販売の場合は虚偽誇大広告の禁止だけではなくて、一定の重要事項の広告上の表示義務もあるわけです。ですから、それと見比べて表示部分が劣るではないかということが心配されるので、先ほどの質問に至ったわけです。その意味では、今後十分注視していただきたいということが要望の一つです。

もう一つ申し上げますと、先ほどの不実告知のという57条の条文がございますが、今年の初め、最高裁の平成29年1月24日判決、これは広告上の記載であっても、その内容によっては消費者の契約意思形成に影響を及ぼす場合があり得る、つまり、広告の中身によっては勧誘と評価することも可能なのだという判決が出ています。むしろ、今後ガイドライン等を定めるに当たっては、この不実告知の条文を活用しながら、広告上の不当表示、誇大広告についても規制対象になり得るのだというあたりは明確にしていただくことは可能ではないかと思います。その上で、先ほどの1点目ですが、今後のトラブルの状況を注視して、必要に応じて表示義務の問題も含めてより明確化していただくことは、宿題として意識しておいていただければと思います。

○高委員長 ありがとうございました。

ほか、ございますでしょうか。

山本委員、お願いします。

○山本委員 今の点について若干御質問したいのですけれども、誇大広告等の禁止に関して、この住宅宿泊仲介業者については、法律上は明文の規定を置いていないですね。他方で、BtoBの取引については置いている。それから、旅行業法の中にも置いていますね。これは立案時に、住宅仲介業に関して、これを特に定めないということについてどのような議論がされたのかということをお伺いしたいということが一つです。

もう一つ確認ですけれども、仮に誇大広告というような事態が起きた場合には、先ほどのお話ですと、57条の不実告知等で対応するおつもりなのか。今、池本委員長代理から最近の最高裁の判決が援用されましたけれども、そういうものを使って57条の1号で対応されるおつもりなのかということを確認したいと思います。

○高委員長 お願いします。

○観光庁鈴木観光産業課長 観光庁でございます。

まず、例えば住宅宿泊管理業みたいなものにつきましては、BtoBではあるのですが、一般の住宅宿泊事業の方は、一般の個人のオーナーさんも含まれている中で、実際には、例えば年間これだけもうかりますよとか、うまくいけば確かにそういうケースもあるかもしれないので不実ではないのだけれども、住宅というすごく高価で、かつ個人にとっては重要な財産の使用について、誇大広告というのは十分あり得るのではないかという議論がございます。それに対しまして、仲介業者の場合は、基本的には一般の方がお泊まりになる、ここのやりとりだけということでございますので、それに比べると、誇大に何を広告するのかという点においては、若干そういう事象が起こり得る可能性が低いのではないかというような議論がございまして、法制的にはこういうような形になってございます。

また、仮に実際の運用の中で誇大広告のようなことが行われた場合、どういうように対応するかということですが、最初のところでは、業務改善命令とかこういう指導のほうが、適正な事業の運営ということで広く書いてございますので、行政的には簡単にできるかなと思っております。その上で、先ほどの判例も踏まえて、不実告知違反であるかどうかというのは、事例に即した判断ということになろうかと思いますが、その点についても十分検討し得るのではないかと考えてございます。

以上でございます。

○高委員長 よろしいですか。

増田委員、お願いします。

○増田委員 一般の方が民泊するときに、部屋がこれだけの広さ、10畳ぐらいだと言っていたのが6畳だったとかというようなことは、苦情になるわけなのです。ですから、それが不実告知であって取消し得るものであるというところまで踏み込んで、ガイドラインには書いていただきたいと思います。

それから、規制だけのものですから、何か違反があったときに、消費生活センターなどから通知をするとき、行政窓口はどこに通知をすべきか、集約するような場所を明確にしていただく。個別の相談についての解決はセンターでやりますけれども、通知をする場所を明確化していただきたいと思います。

○高委員長 ありがとうございました。

1点目は、不実告知の場合の取消しが可能なのか、そういうガイドラインを作ろうとされているのか、お願いします。

○観光庁鈴木観光産業課長 6畳のものを10畳と言って契約を結ぶような場合については、当然違反行為だと思っておりますので、その旨も何らかの形で事業者の方にお伝えできるように、ガイドライン等で記載を検討したいと思います。

また、苦情窓口ですが、個別の案件の解消については、それぞれ当然都道府県や保健所など、部門によって、業者によって違うところが直接の担当部門になりますので、そことやっていただくし、中央でもコールセンターのようなものを作って、逆に消費者の方からすると、関係者が多岐に渡るのでどこに苦情を言っていいのか分かりにくいということで、観光庁において、これは直営で立ち上げようと思っているのですが、統一的なとりあえず交通整理をするというか、そこに一回電話をしていただければ必要なところに御案内、御紹介できるような機能を作りたいと思っております。

また、制度的な御意見をいただく場合におきましては、基本的には厚労省専管の部分で衛生の部分があるのですが、他の部分に関しましては、観光庁も少なくとも共管にはなっておりますので、お伝えいただければ必要なところと調整をさせていただくようなことをさせていただきたいと思います。

○高委員長 ありがとうございました。

蟹瀬委員、お願いします。

○蟹瀬委員 ありがとうございます。

民泊の場合、今後考えられるのは外国の方が結構多いと思うのですが、それを10畳、6畳で表現しても基本的にはどのぐらいの大きさか分からないということになりますと、対象が外国人であるならば、ルールとして平米数をきちんと書けとか、そういうルールはあるのですか。

私は外国から結構お客様がいらっしゃるときに、自分たちでホテルを探して入られるケースが多いのですが、天井が低い、平米数が書いてあるけれどもそれより小さいというのが結構クレームとしてあって、その日のうちに違う部屋に行きたいということが結構あるのです。普通のこの近辺のホテルでもです。民泊になると、なおさらそういうことが起こってくるのではないかということがあります。その原因は、誇大広告ではないのですが、心象操作ができるような写真を見せてしまう。例えばすごくデザイン重視のホテルですよとか、民泊ですよとか、デザインの優れたところばかりが写真に載ってくると、最初に皆さんそれを見ますので、誇大広告かというとそうではなくて、そこの場所に行って、写真の撮り方によってはそういうように見える。でも、平米数からすると、18平米の最低平米しかないという形のところが結構出てきていたりするのです。ですから、誇大広告というだけではなくて、誇大広告を抑えるための方法として、きちんとしたある程度のルール、部屋の大きさを言いなさいとか天井の高さを言いなさいとか、そういうルールを少しガイドラインに入れていただくと、外国の方は190センチの方もいらっしゃいますので、非常に判断がしやすくなると私は考えるですが、それはいかがでしょうか。

もう一つ、これは全く違う側から見ますと、民泊をさせる事業者という一般の方も実は消費者ではあるのですけれども、これはお聞きしたいだけなのですが、よく備品が盗まれていくケースがあります。そういった場合、宿泊事業者の人たちは、どこに訴えればいいのですか。ホテルだったら大体分かるのですけれども、民泊の場合は仲介の人に訴えるのですか。それも聞かせていただければと思います。これは基本的に宿泊事業者と民泊管理者と仲介業者が、全部管理省庁が違いますね。そういうことになると、やっている方は1人でやっていることは1つなのですけれども、管理が3つも分かれているので、どこにクレームを出していけばいいのかが見えないと思うのです。ですから、増田委員が言われたように、消費者の立場というのと、事業者の立場というのと、この中では違う話かもしれないのですけれども、その辺りの情報があれば教えていただきたいと思います。

○高委員長 お願いします。

○観光庁鈴木観光産業課長 まず、宿泊者に対する情報の告知義務なのですが、宿泊のサービス内容については説明してくださいということは法令上は書いて、ガイドライン等におきまして、また、事業者さんのいろいろな御判断もあるのかもしれませんけれども、消費者が判断しやすいような要素を書くことを求めていきたいと思っております。

また、先ほど後段にございましたが、例えば備品が盗まれた場合どうなるのかということなのですが、民法上は本来オーナーさんが直接宿泊者に対して請求するのが筋だとは思いますが、現実、今の状況を我々が聞いているところを申し上げますと、仲介業者さんも店子さんを集めるのが自分の競争力にもなるということもございまして、例えば保険みたいなことを適用されて、仲介業者さんが保険会社を仲介のようなことをしまして、物が無くなっているとか、また、宿泊者の方が怪我をされたとか、そういう場合には、そういうような保険を使って対応されるのが一般的であるとお伺いをしております。

○蟹瀬委員 最初の質問の答えは、例えば部屋の平米数を書きなさいとか、そういうことはないのですか。天井の高さを書きなさいとか、そういうルールは決まっていないのですか。

○観光庁鈴木観光産業課長 そこは旅館業法等の並びを見ながら我々は検討していきたいと思っています。現段階でどこまで書かせるかということを決めてはございません。

○蟹瀬委員 基本的に最低のところですので、最低のところは数字でちゃんと出していただいたほうが分かりやすいかと思いますので、是非実施していただければと思います。

○高委員長 ありがとうございました。

ほか、ございますか。

そうしましたら、議論はここまでとさせていただきまして、答申案を配付させていただきます。

(答申案配付)

○高委員長 今、委員の方々からいろいろ御意見をいただいたのですけれども、この答申案を見ていただいて御発言をいただければと思います。特に不実告知の禁止の徹底、これは不十分ではないのかという話とか、表示についてはもっと明確に何を表示すべきかというのをやるべきではないか、それから、コールセンター等を仲介業者に設けさせるべきではないか。そういったものを全てガイドラインで対応されるという御説明でしたけれども、いかがでしょうか。

池本委員長代理、お願いします。

○池本委員長代理 結論として、特商法の適用除外にするかどうかということになれば、基本的な規制事項と是正措置が備わっているという他の適用除外のものとの並びで言うと、適用除外とすることは、結論としてはよろしいかと思います。ただ、今日出てきた幾つかの意見は、是非今後の運用の中で、ガイドラインあるいは実際の実施の中で特に留意していただきたいし、私たちもこれは今後注視していく必要があるだろうと思っています。

○高委員長 ほかはございますでしょうか。

増田委員、お願いします。

○増田委員 しつこくて申しわけないのですが、金融商品も、旅行業も、不動産も、適用除外になっている分野に関して、それがネット取引などで十分な表示でなくトラブルになっているケースは大変多く発生しております。それは時代が進んでネットの世界に広がったことによって、当初想定しなかったような問題も出てくるわけですし、特にこの分野に関しては現時点でネット取引が想定されるということから、適用除外にすることについてはもちろん了解していますけれども、これから作るわけですから、そこの辺りを含めて十分な手当を是非ともお願いしたいと思います。

○高委員長 ありがとうございました。

ほかはいかがでしょうか。

蟹瀬委員、いいですか。

○蟹瀬委員 もう十分言いました。

○高委員長 そうしましたら、池本委員長代理からは、運用で何とか対応してほしいということと、増田委員からも、適用除外になった事業についてはいろいろトラブルが出ているけれども、ここを注意して、今後運用で取り組んでもらいたいということでございますので、この答申書の内容で対応させていただければと思いますけれども、委員の方々、よろしいですか。

文を用意させていただいたので、これを読み上げます。「平成29年10月10日付け消取引第343号をもって当委員会に諮問のあった下記事項については、特定商取引に関する法律(平成51年法律第57号)の趣旨に鑑み妥当であり、その旨答申する」という旨の答申案ですが、これを委員会の答申としてよろしいでしょうかということで、今、お諮りをいたしました。特に異議なしということですので、この答申案については、皆様の御了解をいただいたということで、答申したいと思います。ありがとうございました。

今回御検討いただきました住宅宿泊仲介業に関しては、宿泊者がインターネットを通じて取引を行うことになるため、サイトに掲載される情報が重要となります。消費者に対する広告が広く適切になされるよう、今後策定されますガイドラインにおいて対応をお願いいたします。これは委員の方々からあった御指摘でございます。

また、今回民泊に関して新たな制度がスタートすることになり、実際の契約・取引に際して、様々なトラブルが発生することが想定されます。住宅宿泊事業、住宅宿泊管理業、住宅宿泊仲介業の各事業においてはそれぞれ監督省庁が異なっているため、トラブル防止のためにはそれらの連携が重要であると思われるところ、観光庁において、先ほど御説明いただきましたワンストップの相談窓口を設置し対応されるとの御説明をいただきました。各関係省庁におかれましては、是非消費者目線に立って積極的な対応をお願いしたく存じます。

消費者委員会としては、今後も消費者被害の防止の観点から、その動向を注視することといたします。

消費者庁、観光庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

(消費者庁、観光庁退席)

≪3.その他≫

○高委員長 次に、議題「その他」といたしまして、消費者委員会に寄せられました意見等の概要について、事務局より御報告をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○丸山参事官 お手元の参考資料1を御覧になっていただければと思います。こちらのほう、7月1日から9月30日まで当委員会に寄せられました要望書、意見書、声明文等の一覧になっております。この間、委員会に寄せられました意見書、要望書等は計33件となっております。

1枚目、左側に分類が書かれております。<取引・契約関係>ということで、15件となっております。

4枚目、<食品表示関係>ということで、3件となっております。

4枚目の裏面、<地方消費者行政>ということで、こちらの関係は12件となっております。

5枚目の裏面、<消費者安全関係>のほうで2件、<その他>ということで、カジノ関係で1件ということになっています。

概要につきましては、以上となっております。

○高委員長 ありがとうございました。

ただいまの御説明に関しまして、御意見がございましたら、どうぞ御自由に御発言ください。

池本委員長代理、お願いします。

○池本委員長代理 池本です。

地方消費者行政に関連して12の意見が寄せられているところ、そのほとんどが地方消費者行政推進交付金の継続の件です。現在の実施要領では、平成29年度の新規事業までが適用対象で、30年度以降についての新しい事業は対象にならないという、そこが地方自治体では非常に危惧しているし、意見もたくさん出ているところだと思います。これは8月末でしたか、概算要求で、推進交付金30億とは別に、地方消費者行政強化交付金という新しい財源として10億円が出ていて、これは年内ぐらいに政府のほうで予算枠が決まるということですが、問題はそれぞれの中身がどういうものを適用対象にするかということが、地域の現場では非常に心配しているところです。ですから、どのタイミングがいいのかはよく分からないところがあるので、そこは担当部署と確認していただきたいのですが、可能な限り早い段階でそこについて意見をお伺いする、ヒアリングの機会等を設けることができればと思っております。

○高委員長 ありがとうございました。

ほかにございますでしょうか。よろしいですか。

それでは、委員会に寄せられました意見書、要望書等については、今後とも全委員で情報共有するとともに、定期的に委員間で意見交換を行う場を作っていきたく思います。


≪4.閉会≫

○高委員長 本日の議題は以上になります。

最後に、事務局より今後の予定について御説明をお願いいたします。

○丸山参事官 次回の本会議につきましては、日程が決まり次第、委員会ホームページ等を通じてお知らせさせていただきます。

なお、この後委員間打合せがございますので、委員の皆様方は委員室までお集まりください。

○高委員長 ありがとうございました。

それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)