第257回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2017年10月5日(木)15:10~16:01

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    高委員長、池本委員長代理、大森委員、蟹瀬委員、長田委員、樋口委員、山本委員
    (高委員長の「高」は正しくははしごだか)
  • 【説明者】
    消費者庁 消費者教育・地方協力課青山消費者教育推進室長
  • 【事務局】
    黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 消費者教育の推進に関する基本的な方針の改定骨子について
  3. その他
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○高委員長 皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会第257回本会議」を開催いたします。

本日は、受田委員、鹿野委員、増田委員が御欠席となります。

まず、配付資料の確認につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

○丸山参事官 表紙、議事次第の下部に配付資料一覧を記載しております。資料1-1から資料1-3、それから参考資料1及び2となっております。もし不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますようよろしくお願いいたします。

≪2.消費者教育の推進に関する基本的な方針の改定骨子について≫

○高委員長 それでは、最初の議題は「消費者教育の推進に関する基本的な方針の改定骨子について」でございます。

消費者教育の推進に関する法律では、政府が消費者教育の推進に関する基本方針の案を作成しようとするときには、消費者委員会と消費者教育推進会議の意見を聞かなければならない旨が規定されており、これを変更するときも同様とされております。

現在の基本方針は平成25年度から29年度までの5年間が対象となっておりますことから、消費者庁では、平成30年度以降に向けた基本方針の見直し作業に取り組まれていると聞いております。消費者庁に設置されております消費者教育推進会議では、今月の2日に開催されました会議において、基本方針の見直し骨子案について議論されたとのことでございます。

そこで、本日は消費者庁から、その見直し骨子案の内容を御説明いただきまして、その後、意見交換を行いたいと思います。

消費者庁におかれましては、お忙しいところ御出席をいただき、ありがとうございます。

それでは、10分程度ではございますけれども、説明をお願いいたします。

○消費者庁消費者教育・地方協力課青山消費者教育推進室長 消費者教育・地方協力課消費者教育推進室長の青山と申します。よろしくお願いいたします。

資料としまして、先日の消費者教育推進会議で配付いたしました際の資料、資料1-1及び資料1-2をお出ししております。資料1-1は、基本方針の見直し骨子案となっております。資料1-2は、資料1-1の骨子案につきまして、第2次推進会議で取りまとめた基本方針の見直しに向けた論点整理、消費者委員会の提言の二つ、成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループ報告と、その前にいただいています若年層を中心とした消費者教育の効果的な推進に関する提言、これら等を対応させた対応表となっております。それぞれの意見につきましては、現行の基本方針の記載に既に盛り込まれているものもございます。現行の基本方針には記載がなく、追記したほうがよいと考えられるもの、また、表現を変更したほうがよいと思うもの等につきまして、赤字で示しております。

まず、資料1-1を御覧いただければと思います。現行の基本方針につきましては、各見出しがそのままほぼ骨子となっておりますので、項目ごとに内容が記載されている形になっております。したがいまして、この資料では、骨子部分と内容のポイントを記載しまして、それに今、申し上げました意見等を参考に、現在の基本方針にはない記載、それから、変更したらよいのではないかと思われるものを赤字で記載しています。

まず、基本方針自体は、IからVの事項に大きく分けられております。これは推進法9条2項に、基本方針において定める事項が決められておりますので、それに沿った形になっております。推進法9条2項では4つの事項が定められています。1、消費者教育の推進の意義及び基本的な方向に関する事項、2、消費者教育の推進の内容に関する事項、3、関連する他の消費者政策との連携に関する基本的な事項、4、その他消費者教育の推進に関する事項となっております。その四つの事項の五つの項目について、IからVに対応しているという形になっています。

まず、1の消費者教育の推進の意義及び基本的な方向に関する事項については、資料1-1の1ページから2ページ「I 消費者教育の推進の意義」及び3ページから4ページ「II 消費者教育の推進の基本的な方向」が該当しております。2の消費者教育の推進の内容に関する事項については「III 消費者教育の推進の内容に関する事項」、資料1-1の5ページから8ページが該当しております。3の関連する他の消費者政策との連携に関する基本的な事項については「IV 関連する他の消費者施策との連携」、資料1-1の9ページが該当しております。その他「V 今後の消費者教育の計画的な推進」が記載されておりまして、資料1-1では10ページとなります。また、基本的に数値やデータ関連につきましては、全体的に最新のものに変更いたしますので、それらについての説明は省略いたします。

次に、資料1-2の対応表を使って御説明をいたします。それぞれにページは振っておりませんので、左側の行ナンバーを目安に御覧いただければと思います。

「I 消費者教育の推進の意義」について御説明をいたします。行ナンバーの1から12がそれに該当いたします。

まず「1 消費者を取り巻く現状と課題」については、行ナンバー3と4の「(1)社会経済情勢」と「(2)消費者事故・トラブルの状況」について、ここにつきましては、基本方針策定以降の5年間の消費生活を取り巻く動きを俯瞰しつつ、今後に向けた予測状況等があれば記載することにしたいと思っております。これにつきましては、この基本方針の策定以降の消費者白書等を参考にいたしまして、ほぼ5年間の動きをここに盛り込んでおります。大まかに言いますと、高齢化、情報化、国際化の進展ということを中心に、それから、成年年齢引下げの動き等にも触れつつ、記載を変更したいと考えているところです。これは(1)(2)とも同じような形で検討しております。

行ナンバー5「(3)大震災の経験」につきましては、東日本大震災後、応援消費などのエシカル消費等への意識が高まりつつある状況ですとか、その後も大きな災害が発生していますので、そういうものについても触れる必要があるかと考えておるところです。

行ナンバー7「(5)日常の消費生活環境や経済社会への影響」には、2015年に国連で持続可能な開発のための2030アジェンダが採択され、17の目標、SDGs、持続可能な開発目標が設定されておりまして、このような機運も高まっておりますので、それらの視点を入れる必要があるかと考えております。

次に「2 消費者教育の推進の必要性」ですが、行ナンバー9「(1)『消費者教育』の意義」の中に、第19回の推進会議で御意見が出ました加害者になり得る可能性の防止という視点での消費者教育の必要性、表現自体はここでは直接的なのですけれども、表現は工夫いたしますが、そのような視点を入れてはいかがかという意見がございましたので、それも考えております。

次の行の「(2)『消費者市民社会』の意義」につきましては、ここにもSDGsの視点を付け加える必要があるかと考えております。

Iについては、以上となります。

「II 消費者教育の推進の基本的な方向」となります。ここは行ナンバーの13から38になります。ここでは推進法の3項にある基本理念に示されている具体的な事項に基づき方向性が示されています。いただいた御意見等に該当する事項は、既に大体ほとんど盛り込まれておりますけれども、三つほど追記をしたいと考えているものがございます。

一つ目は「(3)消費者の特性に対する配慮・場の特性に応じた方法」、行ナンバー18になります。ここの部分に、家庭環境や親子関係の変化、ライフステージや消費者の特性の変化を意識したより幅広い切り口を意識しての記載をする必要があるのではという御意見をいただいておりますので、内容の記載の際には検討したいと考えております。

行ナンバー20「(4)国からの多角的な視点の情報提供」のうち、行ナンバー21になります(消費者市民社会構築に向けた情報提供)、ここに社会経済情勢、地球環境に与える影響について考える素材となる情報の中にもエシカル消費などの例も入れてはいかがかと考えているところです。

次のページ、行ナンバー32からの「3 他の消費生活に関連する教育と消費者教育との連携推進」ですが、これまで(その他の消費生活に関連する教育)の中にあった法教育、金融経済教育、これらを個別に出してもよいのではないか。それから、主権者教育、キャリア教育等との連携も含めて考えてもよいのではないかということで、追記させていただいております。

IIの部分については、以上となります。

行ナンバー39から81まで「III 消費者教育の推進の内容に関する事項」となります。

行ナンバー40「1 様々な場における消費者教育」の「(1)学校」の「○小学校・中学校・高等学校・特別支援学校等」における消費者教育につきまして、ここは学習指導要領の改訂がございますので、それに応じて変更する必要があると思っております。それから、その下の行ナンバー43「○大学・専門学校等」につきましては、内容に学生相談室の活用等、追記をしていくことと考えております。

「(2)地域社会」におきましては、行ナンバー46の(消費生活センター等における消費者教育の推進・拠点化)につきまして、現行では消費生活センターの消費者教育の拠点化という考え方が示されていますが、そこから進展させて、拠点化の促進という形にしたいと思っております。

行ナンバー47(高齢者・障害者等への見守りと消費者教育)という部分ですが、ここでは消費者安全法に消費者安全確保地域協議会の設置等が盛り込まれておりますので、その活用などにも触れたいと考えております。

次のページ、行ナンバー52からの「2 消費者教育の人材(担い手)の育成・活用」につきましては、「(1)小学校・中学校・高等学校・特別支援学校等における教職員」に、教職員への研修や教員養成課程を有する大学への働きかけや支援というようなものを追記したいと考えております。

次のページ、行ナンバー55からの「(3)消費者団体・NPO等の地域人材」につきましては、更に次のページの行ナンバー58の(コーディネーターの育成)などについて、より積極的な取組の推進について、記載を考えたいと思っております。

次に、行ナンバー59「(4)事業者・事業者団体等」につきましては、行ナンバー60(消費者に対する説明・情報提供の能力向上)という表現でありますけれども、一方的な表現というよりは(事業者と消費者のコミュニケーションの重要性)というような消費者志向経営の視点に変更を加えてはいかがかと考えているところです。

一番下、行ナンバー66「(5)消費者」の(消費者学習の展開)という部分ですけれども、ここは内容から(消費者の自主的学習の支援)という表現がふさわしいのではないかと考えているところです。

次のページ、「3 消費者教育の資源等」につきまして「(1)教材等の作成・活用」ですが、行ナンバー69(多彩な教材等の作成と消費者教育ポータルサイトでの情報集約)の部分につきまして、ポータルサイトの認知度向上と検索機能の向上を入れました。

行ナンバー72の(学習内容の工夫)に、アクティブ・ラーニングの視点からの学習方法や教材の提供、学校家庭クラブの活用等を入れることとしています。

次のページ、「(2)調査研究」の行ナンバー74(基礎的な情報の整備)では、効果的な推進のための調査研究ということで、効果測定を行うための調査研究、教育手法の高度化、教材開発のための調査研究等を改めて入れています。その二つ下、行ナンバー76(消費者市民社会概念の研究・普及)には、消費者市民社会の概念を分かりやすく伝えるための教材等の開発というものを追記しています。

それ以降のIVとVについては、特に骨子としての修正はなく、内容の充実のほうで検討していきたいと考えております。

また、現行の基本方針の別紙として「今後検討すべき課題」というものが記載されておりますけれども、これにつきましては、第1期の消費者教育推進会議において、ほとんどの事項が検討されておりまして、現在は検討というよりそれを進めていく段階になっているのではないかと思われますので、基本方針の内容のほうに組み込んでいくことを考えております。

骨子の説明につきましては、以上です。

○高委員長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの御説明の内容につきまして、御質問、御意見のある方は御発言をお願いいたします。

では、皮切りに私からでもよろしいですか。私自身が勉強不足で教えてもらいたいのですけれども、先ほどの1-2の資料があるのですが、その72の番号を振っているところです。アクティブ・ラーニングの視点からの学習指導方法など、こういう教育というのは具体的にどういうものなのですか。

○消費者庁消費者教育・地方協力課青山消費者教育推進室長 学校教育で、座学ではなくてもっと主体的に経験したり、考えたり、討論をしたりという、そういうような学びの方法です。

○高委員長 ボードゲームみたいなものでやるのですか。そういうことではなくて。

○消費者庁消費者教育・地方協力課青山消費者教育推進室長 いろいろな手法がございますけれども、例えば消費生活センターに実際に見学に行ってみるのもアクティブ・ラーニングの一つですし、グループごとに討議をするということもそうですし、先生方から一方的ではなくて、自分たちで考えて動いて学んでいくという手法ということです。

○高委員長 もう一点、ほかの委員から御発言がある前にお聞きしたいのですけれども、大学のところで、学生相談の部署がこういう教育に携わったらどうかという記載がございましたね。43のところです。この言葉の中にもう意味は込めているのかもしれませんけれども、私のゼミの学生などが意外と消費者被害に遭っていたのですが、就職活動をやるときに比較的遭いやすいので、例えば就職支援のセンターとか、あるいはキャリアセンターという言い方をしているところもあるかと思うのですけれども、小さなことですが、そういったところの記載もあってもいいのかなと思いました。

ほか、いかがでしょうか。

大森委員、お願いします。

○大森委員 お願いしていたようなことを幾つか入れていただいて、ありがとうございます。

この「消費者教育の推進に関する基本的な方針」というこの冊子は、作って、今後どういう形で具体化していくわけですか。

○消費者庁消費者教育・地方協力課青山消費者教育推進室長 具体化といいますか、私どもが方針を作りまして、消費者教育はいろいろなところで推進をしていただいておりますので、特に大きいのは地方自治体になるかと思います。そちらに消費者教育を進めるに当たっての参考にしていただきまして、こういうようなことを同じ方向を向きながらやっていくというようなことになります。

○大森委員 そうしましたら、この出来上がった冊子というのは、地方自治体などにペーパーをつけて送られたりとか、そういうことになるのですか。

○消費者庁消費者教育・地方協力課青山消費者教育推進室長 送るのは、当然いたします。ただ、個別に説明に回るまでは、まだ今のところ、そういうことは考えておりませんけれども、必要に応じて今後検討するということになるかもしれないとは思います。

○大森委員 畳みかけて済みません。例えば「民法の成年年齢の引下げ議論が加速」と書かれているのですけれども、これは実際に法律が決まりますと、すごい勢いで対応した消費者教育などを進めないといけないと思うのですが、教員研修とか、今後先生になる人の中にでも消費者教育を入れていくとか、良いことをすごくいっぱい書いてくださっているのですけれども、世の中の進展に合わせた速度感というものはどうなのでしょうか。その辺りをお聞かせください。

○消費者庁消費者教育・地方協力課青山消費者教育推進室長 私たちはすごく危機感を持って対応はしておりますし、文部科学省も同じような形で何かしていかなくてはとは思っていますけれども、多分学校の現場自体はまだそれほどぴんときていないのではないかとは思います。意識の高い先生はもちろんいらっしゃいますので、お話を伺う先生たちは、比較的思ってはいますけれども、そうではない先生たちは、まだ何となくぴんとこない感じが見受けられます。

○大森委員 私自身、全く同感で、割合学校の先生は危機感を持っていらっしゃらないのんびりした先生が多いと思うのです。そうなった場合、子供たちは平等に危険にさらされるわけではないですか。今、大学で起こっているようなマルチやデート商法などが高校辺りに下がってくる。今まで通りの学習指導要領などに盛り込みながら進めていくというのでは、時間的に間に合わないのではないかと思うのですけれども、その辺りの手当てや具体策はあるのでしょうか。

○消費者庁消費者教育・地方協力課青山消費者教育推進室長 まだ具体策と言うほど具体ではないのですけれども、一方では、きちんと学習指導要領を実践的に進めるための対応を文部科学省とともに考えていくということを進めていきます。もう一つは、先生方に、いざというときには「188」というものがある、消費生活センターが身近にあるということを分かっていただくことで、生徒さんに何かあったときには事前に相談なり、トラブルがあったときには早めに相談をするという、そういうことを生徒に伝えられるように先生たちに伝えるといいますか、そういう働きかけをしていくことも考えているところです。

○高委員長 ほか、いかがでしょうか。

池本委員長代理、お願いします。

○池本委員長代理 池本でございます。御説明ありがとうございます。

何点かあるのですが、今、ナンバー43の大学・専門学校に関するフレーズのところで、少し関連して質問したいと思います。もう既に引用しておられるので、くみ上げていただけるのだろうとは思うのですが、成年年齢引下げ対応の議論をしていた中で、高校については学習指導要領もあるし、家庭科などの担当の先生がどう中身を作っていくか、そこへ向けて消費生活センターがどう教材を提供していくかという、ある程度筋道が見えるのですが、大学・専門学校は、18歳、19歳のまさに一番ターゲットになるその部分は、この科目を教える人という概念がそもそもない分野です。消費者教育に取り組んでいますという大学などのヒアリングをしても、最初の入学ガイダンスのときに30分、消費生活センターから来てお話をしてもらいましたという程度で、制度として消費者教育の機会があるかといえば、ほとんどないのです。

消費者問題について、知識の提供、機会の拡大、消費生活センターとの連携による啓発講座の実施とありますが、現実にどのくらいのところがそういう機会を設けているのか、あるいは科目の中に何かそういうものを位置付ける余地がないのか。専門学校・大学についての教育の機会の確保は本当に深刻な問題ではないかと思うのですが、例えば実態把握をして良い例を各地に紹介するとか、これは消費者庁になるのか文科省になるのか分かりませんが、その辺りは何か議論が進んでいるのかどうか、教えていただければと思います。

○消費者庁消費者教育・地方協力課青山消費者教育推進室長 大学の調査は文部科学省のほうがやられていらっしゃいますので、そちらを参考にしつつ考えていくことになると思うのですけれども、文科省の方がいらっしゃらないので勝手なことは言えないのですが、専門学校のほうにつきましては、まず実態把握をしたいと文部科学省がおっしゃっておりました。実際に大学でいろいろな形でやられている例も私どももぽつぽつは聞きますので、そのような事例をどう集めたらいいかというのも検討課題ではあるのですけれども、確かにそういう良い例といいますか、そういうものを集めたいとは思っています。そういうことを参考に今後考えていかなくてはいけないのかなと思ってはおります。

学生相談室等も、もともと機能的にいらっしゃる専門家の方が全然違う分野の方など、そういう話も聞きますので、いざというときに学生が相談に行くなどといったときに、アドバイスをしてあげられる体制がどう取れるのか。あと、一律、入学時のガイダンスなど、定期的に何かするということも可能なのかどうか。それにつきましては今後考えていきたいと思います。

○池本委員長代理 今のことに関連するのですが、最後におっしゃった学生相談室等との関係となると、それぞれ地元の消費生活センターなり、そういうところとの定期的な情報交換とか、どういう形で進めることが効果的なのかということも含めて、モデルの取組があれば紹介したり、あるいは考え方として提起したりというところまで具体的に示さないと、本当にこの分野はもっとやればいいのにということで、あっという間に2年、3年、制度の基盤がないだけにたってしまうのではないかということを危惧します。

46番に関連して、消費生活センターの消費者教育の拠点化の推進と、更にもう一歩進めるという趣旨だと思うのですが、この問題は消費生活相談員という資格を持って相談処理をしている、その人たちの役割の大きな転換点でもある。つまり、来た人に対して個別に丁寧に聞き取って解決をするだけではなくて、伝えていく、教えて歩く、出かけていって話をする。しかし、それは実は研修の中で言うと、違う種類のスキルになっていくし、そういったところの消費生活相談員に対する研修の在り方の問題にもなる。しかも、出かけていくことが多くなれば、相談員の配置の問題も含めて、そこの拠点化を促進するためにどういう基盤整備なり取組が必要かという辺りをかなり具体的に示さないと、自治体としては抽象的な提起だけに終わると動かないのではないかという気がしますが、その辺りは何か議論なり、方向性なり、あるのでしょうか。

○消費者庁消費者教育・地方協力課青山消費者教育推進室長 まだ議論とか方向性までは行っていませんけれども、今、やっと全国に相談窓口が配置されて、いまだに一人相談員のところもたくさんありますので、一気に全部を拠点化というのは厳しいものがあります。まずは都道府県レベルを拠点化する。実質、拠点化状態にはなっているのですけれども、中間取りまとめのときに自治体からアンケートを取りまして、まだ拠点化という認識を持っていないセンターさんもたくさんいますので、機能としては、もうほぼ拠点化になっていると思いますので、まずは都道府県のセンターに明確に拠点化という形を取っていっていただく。都道府県でしたら相談員さんも複数いますし、啓発教育事業もやっておりますので、まずそこをしっかりやっていただくことで、市町村への働きかけなり、支援なりをしていただければ良いなと思っているところです。

○池本委員長代理 今の点について、一言。ここから先は意見になりますが、市町村の職員、相談員が教育啓発のことで取り組んでいくという意味では、学校教育の面ももちろんあるのでしょうけれども、現在、高齢者見守りネットワークに消費者行政も関わっていくという議論が地方自治体で行われています。この中でも「消費者安全確保地域協議会の活用」という言葉が出ています。福祉の部門は、市町村は本当に更にきめ細かにたくさんあるので、市町村のセンターの相談員や職員の体制を広げて、相談を受けることと出掛けていくことが半々とは言いませんけれども、よほど体制を作っていかないと、地域包括支援センターとか、その辺りと本当につながっていくには全く手が足りない。そういう議論にも広がっていくのではないかと思いますので、そちらも視野に入れていただければと思います。

○高委員長 ありがとうございました。

ほかにございますでしょうか。

長田委員、お願いします。

○長田委員 ありがとうございます。

私どもの会長も議論に参加をさせていただている過程を見ていて、いろいろ丁寧に議論されていたのは見てきていたのですけれども、その中でもほかの場面でもよく言われている「エシカル消費」という言葉を、文章で書き起こして皆さんに配るのであれば、共通のイメージが湧くもの、持続可能なという言葉との関係などきちんと整理をされたもので、ぜひ表現していただけると良いなとは思います。何となくイメージで、実は突き合わせるとそれぞれ違うものを思っているのかもしれないということがありまして、これを基本方針として皆が展開していくのであれば、ぜひ書き起こすときの工夫として、それをやっていただけると。どうも消費者庁がまずエシカル消費という言葉を一生懸命使っていらっしゃると思うのですけれども、なかなか効果が上がっていない感もあるので、期待したいと思っています。よろしくお願いします。

○消費者庁消費者教育・地方協力課青山消費者教育推進室長 分かりました。

○高委員長 大森委員、お願いします。

○大森委員 たびたび済みません。19回の推進会議の中で、加害者になる可能性の防止という視点で消費者教育が必要という議論があったということなのですが、具体的にどういう場面でどういう消費者教育をしたら良いとか、そういう議論も出たのでしょうか。

○消費者庁消費者教育・地方協力課青山消費者教育推進室長 どういう場面でということではないのですけれども、一つ例としては、マルチ商法の被害者のはずがいつの間にか勧誘して加害者になるとか、今のスマホのいろいろな販売に出すのに、消費者として出してだましてしまうといいますか、逆にそういうことがやりやすくなっている時代でもありますので、そういうものをしないと言ったら変なのですが、しないのは当然なのですけれども、そういう視点での消費者教育というものもという発想で御意見が出たと思うのです。表現は、適正な社会に向けた教育とか、つまりは消費者市民社会の考え方の中に含まれるような意味合いのような書き方をしたほうが良いのではないかという御意見もありまして、そこはまだ今は固まっていない状態です。例示としては、そのようなものが出たというところです。

○大森委員 私が思ったのは、例示というよりもそういう教育をする場面なのですけれども、例えば企業の新人研修などで消費者教育をしっかり入れていだたくと、社員自体の被害も防止するし、また、加害者にもならないという二面的な消費者教育ができるのではないかと。感想なのですが、できたら企業の新人研修とか、リタイア前の研修とか、レベルアップの課長さんになられたときの研修とか、企業の中でもうちょっと積極的に消費者教育に取り組んでいただくと、随分世の中が変わってくるのではないかと思いました。

そういう面から言いますと、地域の協議会がありますね。あの協議会のメンバーは、企業の方も入られているのでしょうか。

○消費者庁消費者教育・地方協力課青山消費者教育推進室長 入っているところが多いようです。

○大森委員 そういう協議会のほうにもこの冊子は行くわけですか。

○消費者庁消費者教育・地方協力課青山消費者教育推進室長 自治体にお送りしますので、そのようにお願いをすれば配っていただけると思います。

○大森委員 学校の先生に送りたいと思っても、校長室に資料がたまっていたりとか、そういうケースもありますので、協議会のあるところは協議会宛てにお送りするとかしていただけたらと思います。

○消費者庁消費者教育・地方協力課青山消費者教育推進室長 職域における消費者教育はなかなか難しく、ACAPさんの一部でやられているというのは聞いているのですけれども、どこもそんなに進んでいるという把握はできませんでした。

○大森委員 ありがとうございます。

○高委員長 蟹瀬委員、お願いします。

○蟹瀬委員 ありがとうございました。蟹瀬です。

閣議決定された25年の中に、31ページ(コーディネーターの育成)があるのですが、ここで、「国はコーディネーターの育成や配置など、モデル地区を設けて実施することを含めて、調整の機能を実効あるものにするための具体的方策を検討します」と書いてありますが、これは具体的に何かもう進んでいるということですか。

○消費者庁消費者教育・地方協力課青山消費者教育推進室長 コーディネーターについては、非常に重要という認識は皆ありますし、私たちも進めたいと思っておりますけれども、具体的に進んでいるのは、すごくモデル的な例としては、岡山県の方がいらっしゃるという例があります。幾つかあることはありますけれども、今、コーディネーターに誰がなると一番適切かというような考え方もいろいろあります。ここで言うコーディネーターは福祉関係ですとか学校ですとか、多様なところをつなぐ意味合いがあるのですけれども、今は比較的学校に働きかけるのが非常に難しいということもありまして、自治体の方々が学校の教員のOBの方をコーディネーターとして採用して、学校との連携を強める。そういう動きも割と多くなってきていますので、自治体ごとの事情もありますけれども、いろいろな形でコーディネーターという存在自体も多様になっている実情があります。

○蟹瀬委員 改定の58番のところに「ある程度継続して専任となれるコーディネーターの仕組み・人材確保・育成」と赤い字で書いてありますが、ここに「ある程度」という言葉を入れた理由を聞きたいのです。例えば、現場の中で言うと映画のプロデューサーとか、そういう名前は全部コーディネーターと一緒なのですね。いろいろな人を集めてきて、得意な人を集めてきて一つの仕事をする。それは職業として非常に確立されているわけです。ですから、こういうコーディネーターというのも仕事として確立されていけば、同じような力を持っていろいろな人を集めてきて、消費者教育をするに当たっての適材適所を集めてこられるということになるのですが、これを本気でやろうとしているのかどうかはよく見えないのです。「ある程度」と書かれた瞬間に「この程度か」と私は思ったのですけれども、この意味はどういう意味なのですか。

○消費者庁消費者教育・地方協力課青山消費者教育推進室長 それだけで職業として成り立つような形にしますと、雇用の問題ですとか、どういう位置付けにするかということで難しい点もあります。実際の自治体では、行政職員の担当者が出前講座の窓口なりを担っているので特に必要を感じないという意見もありますけれども、行政職員の方ですと2年程度で人事異動で代わってしまって、熱心な方がいても人事異動してしまうとまた代わってしまう状況があります。そういう意味で、コーディネーターとしての役割を持った相談員さんなり、もうちょっときちんと長く勤めている相談員さんなり、またちょっと違う立場の方をコーディネーターとして置くほうが良いと思っておりますので、そういうような意味合いで記載しております。

○高委員長 よろしいですか。

○蟹瀬委員 そこのところは読めるのですけれども、あえて「ある程度」は要りますか。「継続できる」くらいでも良いのではないかと。ここを聞いた瞬間に行政の内々がよく見えてくるという感じがするので、小さなことですけれども、「継続」という言葉でいいのではないかと私は思いました。

○高委員長 平成25年度の基本方針を見ると、こういうことを書かなければいけないのかなと、満遍なくいろいろなことを書かなければいけないということで今回も同じような枠組みの中で言及されるかと思うのですけれども、成年年齢の引下げの問題で、これに結構集中してやらなければいけないのではないかということを感じているのです。ですから、18歳前後のところの、今までいろいろな教育のプログラム、マトリックスみたいなものもいろいろ見せてもらったのですけれども、予算は限られているわけですね。人も限られているわけなので、当然今の改定の方針を見ていると、そこにウエイトがあるのかなと思うのですけれども、よりはっきりとそこに教育資源を集中していくということが前面に出てくるといいなという、私は個人的な印象を持っております。御検討いただければと思います。

○消費者庁消費者教育・地方協力課青山消費者教育推進室長 分かりました。

○高委員長 池本委員長代理、お願いします。

○池本委員長代理 池本でございます。たびたび済みません。

46番、47番辺りのことについて、少し発言をさせていただきます。先ほどは消費生活センターが拠点として活動するためには、消費生活相談員なり職員の役割を更にその方向で重点化していく必要があるということをお話ししたのですが、実はもうちょっと大きな目で見ると、前のページの41、42、43は学校教育における消費者教育、そして、45、46、47は地域社会における教育というところで、地域社会では、消費生活センターが消費者教育の拠点として活動をして住民にいろいろ伝えていきますということと、高齢者の見守りは福祉関係の部署とつながっていくということで終わっているのです。

主体的に考え行動する人を育成するということで言えば、もっと率直に地域の消費者団体を育成するという観点がなぜ入らないのか。これは前に作られたときから疑問が残っているのです。最近、消費生活サポーターなど、地域の中で消費者問題に関心を持って行動し、あるいは消費生活センターとも連携しながら活動する人を育成しようということが各地で広がっています。ただ、それが行政の下請としてのサポーターで終わったのでは余り持続性がないわけで、むしろ最終的には自ら考え行動する、それをグループとして活動していくことを更に支援していくとしたほうが行政の効率もいいはずだし、本当の意味の消費者市民社会になっていくのではないかと思うのです。その辺りの消費者団体の育成支援という観点が、この46か47の間になるのか、どこかに位置付けられることを検討願えればと思います。

○消費者庁消費者教育・地方協力課青山消費者教育推進室長 ありがとうございます。

○高委員長 ほか、よろしいですか。

消費者教育というのは、基本的に消費者自らがトラブルを回避したり、それから、遭遇した場合に適切な対応ができるようになるために重要な教育を担うものだと思っております。また、消費者教育の推進に関する法律においても、消費者教育というのは「消費者が消費者市民社会を構成する一員として主体的に消費者市民社会の形成に参画し、その発展に寄与することができるよう、その育成を積極的に支援することを旨として行わなければならない」と。そういう意味では、先ほどのエシカル消費とか、そういうものもあるのだと思っております。

これらを踏まえまして、基本方針の見直しに当たりましては、社会の変化や消費者のニーズに即した消費者教育がより一層推進されるようなものとする必要があると考えております。

消費者委員会では、昨年6月に若年層を中心とした消費者教育の効果的な推進に関する提言を発出しておりまして、また、今年の1月には、成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループ報告書において、新たに成年となる者の消費者被害の防止・救済の観点から、消費者教育の充実を求めております。

消費者庁におかれましては、本日、各委員から出されました意見と併せて、これらの既出の意見も踏まえて、基本方針を見直していただきたいと思います。

消費者委員会では、本日の議論を踏まえまして、今後も必要に応じて意見表明を行うことを含めまして、引き続き検討していきたいと思います。

本日は、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

○消費者庁消費者教育・地方協力課青山消費者教育推進室長 ありがとうございました。

(消費者庁退席)

≪3.その他≫

○高委員長 次に、議題「その他」として、新開発食品調査部会から報告事項があります。

新開発食品調査部会については、第256回委員会において、部会長として受田委員を指名したところですが、先般、受田部会長において、部会長代理を長田委員にお願いするという旨の指名が行われたということですので、御報告を申し上げます。

では、長田部会長代理から御報告をお願いいたします。

○長田委員 それでは、特定保健用食品の表示許可に係る答申について、私から御報告をいたします。

平成29年4月7日に開催した第40回新開発食品調査部会、平成29年6月30日に開催した第41回新開発食品調査部会及び、同じく平成29年8月29日に開催した第42回新開発食品調査部会の議決について、新開発食品調査部会設置・運営規程第7条に基づき、委員長の同意を得て、委員会の議決とし、8月30日付で内閣総理大臣へ答申を行いました。

まず、参考資料1を御覧ください。裏面に当たります答申書の2ページ目を御覧いただきたいのですが、(1)及び(2)になります。内閣総理大臣により諮問を受けて、第40回及び第41回新開発食品調査部会において安全性及び効果について審議を行った結果、指摘事項の確認の上、了承することが部会長に一任され、申請者からの回答を確認し、特定保健用食品として認めることにいたしました。

次に、参考資料1の(3)を御覧ください。第42回新開発食品調査部会において、安全性及び効果について審議を行った結果、特定保健用食品として認めることといたしました。

私からの報告は以上になります。

○高委員長 ありがとうございました。


≪4.閉会≫

○高委員長 本日の議題は以上になります。

最後に事務局より今後の予定について御説明をお願いいたします。

○丸山参事官 次回の本会議につきましては、10月11日水曜日10時からを予定しております。詳細につきましては、委員会のホームページ等を御覧ください。

以上です。

○高委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところを御参集いただきまして、ありがとうございました。

(以上)