第243回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2017年3月21日(火)13:30~15:10

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    河上委員長、池本委員長代理、阿久澤委員、大森委員、蟹瀬委員、鹿野委員、長田委員、中原委員、樋口委員、増田委員
  • 【説明者】
    消費者庁赤崎食品表示企画課長
    消費者庁食品表示企画課担当者
    消費者庁三上表示対策課食品表示対策室長
  • 【事務局】
    黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 健康食品の表示・広告の適正化に向けた対応策と、特定保健用食品の制度・運用見直しについての建議のフォローアップ
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○河上委員長 それでは、時間になりましたので、始めさせていただきます。

皆様、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから「消費者委員会第243回本会議」を開催いたします。

それでは、配付資料の確認につきまして、事務局からお願いいたします。

○丸山参事官 お手元の議事次第の下部のほうに配付資料一覧を記載しております。本資料の1つ目と、参考資料1、参考資料2となっております。

もし不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますよう、よろしくお願いいたします。


≪2.健康食品の表示・広告の適正化に向けた対応策と、特定保健用食品の制度・運用見直しについての建議のフォローアップ≫

○河上委員長 それでは、本日の議題でございますけれども「健康食品の表示・広告の適正化に向けた対応策と、特定保健用食品の制度・運用見直しについての建議のフォローアップ」についてであります。

当委員会は、昨年4月に「健康食品の表示・広告の適正化に向けた対応策と、特定保健用食品の制度・運用見直しについての建議」を発出し、消費者庁に取組を求めたところでありますが、同年12月の実施報告を伺ったところ、当委員会の評価としては対応が不十分でありました。

そのため、本年1月にその実施報告に対する当委員会としての意見を取りまとめ、消費者庁に再度対応を求めたところであります。参考資料1がその意見書でありますが、対応が十分ではない点があったことを踏まえまして、建議の実効性のある対応の実施に向けて取りまとめたものであります。

この意見の取りまとめに際して、今年度中に行うこととしていた特保の買上調査の状況についても確認をしたいということで、意見と併せて消費者庁にお伝えしておりました。

そこで本日は、消費者庁における1月以降の対応状況や、特保の買上調査の状況について御報告を伺い、意見交換等を行っていきたいと思います。

消費者庁におかれましては、お忙しいところ御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。

それでは、時間的には30分程度で御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 消費者庁でございます。

先ほど河上委員長のお話にありましたように、特定保健用食品につきましては昨年の4月12日付けで建議を、今年の1月17日付けで意見を頂いております。本日は御指摘いただいております点について、我々の対応状況について、特に今年の1月以降の取組に重きを置いて御説明をさせていただきます。

お手元に資料がございますので、これに即して御説明をさせていただきます。

まず、1ページでございます。消費者庁による取組の概要をつけております。この項目につきましては本年1月17日付けの意見書の項目に沿っております。まず、1の表示・広告の一層の適正化に向けた取組の強化について、(1)消費者への周知の強化ということで、栄養成分表示・保健機能食品に関する消費者教育について説明をさせていただきます。

2で特定保健用食品の制度・運用の見直しについてがございます。これは(1)で特定保健用食品の販売後の事後チェックの確保ということで、先ほど河上委員長からお話がありました買上調査、それに加えて第三者機関による定期的な分析等の実施を御説明させていただきます。(2)で新たな科学的根拠の適切な収集方法の確立と再審査の有効性確保がございます。これは更新制に代わる制度として再審査制をとっておりますけれども、それを意味のあるものにするという観点で、3月17日付けで1つ目のポツになります新たな知見の収集・報告ということで、内閣府令の改正をいたしております。あわせて同日の3月17日付けで2つ目のポツにあります次長通知の改正をいたしまして、新たな知見の具体的な内容についても標準化をして周知をしております。後ほどその御説明をさせていただきます。

最後に3のその他です。これは情報公開の拡充についてでございます。

2ページから各論の御説明をさせていただきます。まず、栄養成分表示・保健機能食品に関する消費者教育ということでございます。アンダーラインを囲いの中で引いておりますように、バランスの取れた食生活の普及啓発、保健機能食品の適切な利用に関する消費者の理解促進が極めて重要ということで、そのための消費者教育事業を今、正に取り組んでおるということです。

下に、その概要をつけております。本年度、平成28年度は消費者教育調査事業ということで、栄養表示等の活用を促す消費者教育の在り方の検討の一環ということで、基本的にはターゲット別の活用媒体及びそれを効果的に用いるための指導要領の作成、この2点に重点を置いた取組を考えております。本年度は活用媒体及びそのマニュアルである指導要領をつくった上で、来年度の平成29年度は実際に徳島県をモデル地域とした実証事業を行いたいと考えています。今年度に作ります活用媒体なり指導要領が本当に現場で機能するのかどうか、それを来年度は徳島県をモデル地域として実証の事業を行うということで、この点については来年度の取組の成果を踏まえて、平成30年度以降、全国展開に向けた取組を進めていきたいと考えております。

来年度実施予定の消費者教育モデル事業でございますが、来年度は若年の女性、中高年者、及び高齢者など様々なライフステージがございます。及び地理的状況を踏まえた栄養成分表示の適切な活用方法の検討、実証を行う。将来的な消費者教育の効果的な普及啓発に結び付けていきたいと考えております。ここで栄養表示というものを特出ししております。栄養表示につきましては、平成32年度より全面的に表示の義務化が行われることとなっております。今はまだ、準備期間という位置付けですので、現時点においていずれ表示の義務化がされる栄養成分表示、これを使って、栄養表示というのは、消費者は自分の問題として関心が極めて高いと思っております。それを媒介として栄養の在り方、食事の在り方全般について考えていただく。それについてはある程度ターゲットを絞りながら、それぞれの地域の実情に応じた取組が必要だろうということで、本年度はそのためのベーシックな教材を作ります。来年度は実際に徳島という地域でモデル的な取組を行って、30年度以降の全国展開、その上で平成32年度の栄養成分表示の完全義務化、こういう流れの中で取り組んでいきたいと思っております。

消費者教育につきましては、特に高齢者への周知が大事だという御指摘を頂いております。高齢者への周知全般については、地域に根差した食生活に関する団体や高齢者に関する団体がございます。個別にそういうところを通じた普及啓発を進めていきたいと思っております。あわせてテレビ、ラジオ、新聞等の政府広報の活用という御指摘も頂いております。この点についても、我々は可能な限り取り組むということで対応のほうは進めてまいりたいと思っております。2ページにもありますように、30年度に全国展開に向けた取組を実施していきますけれども、PDCAサイクルが極めて大事だと我々は考えておりますので、そのための手順を踏んで段階的に本年度から取組をしていくこととしておりますが、30年度以降の全国展開に向けた取組につきましても、随時その効果を検証してやりっ放しに終わらないような、そういう消費者教育に取り組んでいきたいと考えております。

次に3ページになります。特保の買上調査でございます。これにつきましては、昨年4月への建議への回答を10月28日付けで行っておりました。そのときは29年度から実施予定としておりましたけれども、昨年9月に特保の許可の取消案件というものがありました。それを踏まえた制度全体の見直しの中で、買上調査につきましては前倒しをしまして28年度から行うという形にしております。本年度平成28年度の取組でございますが、まずは7品目を対象に商品を買い上げて、第三者機関に対して関与成分量の分析試験の依頼をしております。本年度の調査ですので、結果については本年度中にまずは第三者機関から当方に報告がある予定でございます。消費者庁においては本年度中にその報告があれば、その内容を精査した上でいずれかの時点でその結果につきましては公表をしたいと考えております。

28年度の買上調査のアイテム7品目の選定根拠につきましては経緯がございまして、先ほど言いましたように昨年9月に特保の許可の取消しを6件についていたしました。委員の皆様御承知のとおり、本来入るべき関与成分が入っていなかった、もしくは極めて少ない量しか入っていなかったにもかかわらず、原因が定かでなくて改善が見込めないという案件でございました。それが発覚しまして、当該商品につきましては特保の許可の取消しをいたしましたけれども、同様の事案がほかにないかということで緊急調査をいたしました。結果につきましては昨年の11月の時点で、同様の問題はないという形で整理をしておりますけれども、緊急調査につきましては特保で許可を与えて実際に売られているものについて、平成26年4月以降、その時点までの間に分析した結果を出してくれと。それについては第三者機関に依頼をして出してもらったデータのみならず、自社で行った分析結果でもよいという条件での緊急調査を致しました。本年度に実施しました7品目については、昨年9月以降の緊急調査の中でも分析の時期が古いもの及び自社で分析を行ったものというところに力点を置いて選定をしております。来年度はまた別途買上調査を行うこととしておりますが、現時点では無作為に35品目程度を抽出することを考えております。この35品目ですが、これにつきましては市場で流通しているものが366ということですので、おおむねその1割程度ということでございます。平成30年度以降の買上調査につきましては、まだ買上げの予算の裏付けも含めて未措置でございますので、現時点で確たることは申し上げられませんけれども、平成29年度に大体1割程度無作為に選ぶということを一つの目安という形で30年度以降も買上調査を進めていきたいと思っております。

あと、本年度を含めて買上調査をした結果をどういう形で公表するのか等についてでございますけれども、仮にこの買上調査の結果、判定した結果、不適合であったといったようなものがあったとします。具体的には関与成分の含有量が表示値を下回ったものといったものになりますが、このような判定結果が出れば、まずはこのような結果が得られた原因を究明するために必要な調査を行いたいと思っております。具体的には該当の事業者に品質管理方法について聞き取りを行うとか、立入りによる確認を行うといったことを想定しております。まず、そのような必要な調査を行った上で、関係法令を所管する関係課とも連携を取りながら、この法令に基づいて行政処分の措置の実施を検討していく。当該措置の実施を行う場合は、公表の指針等がございます。それに基づいて必要な公表を行うと、こういう流れになると考えております。

次の4ページになります。「特定保健用食品の表示許可等について」ということで次長通知の改正でございます。これにつきましては4ページの御説明をする前に、参考資料2が別途配られているかと思います。そちらを御覧になっていただきたいのです。

参考資料2でございますが、これは健康増進法に基づく内閣府令の一部改正の新旧対照表でございます。これは改正案となっておりますが、先週金曜日3月17日付けで公布、官報掲載をいたしております。上に改正案、下に現行を書いたところがございます。現行の5条の1項部分、(新設)と書いた空欄に当たるところ、改正後にはアンダーラインで引いたような規定を新たに追加しております。

中身はというと特保に係る法26条第1項の許可、これは正に許可そのものの根拠規定でございます。その許可を受けた事業者は当該特保の食品の安全性または効果についての新たな知見が得られたときは、その旨及び当該知見の内容を消費者庁長官に報告しなければならない。これまで報告規定というのは、昔の事務連絡等で規定をしておりましたが、法的に明記はされておりませんでした。今回、その安全性または効果について新たな知見が得られたときは、まず消費者庁長官に報告をしてもらうという規定を入れております。この規定では新たな知見としか書いておりませんが、それが具体的にどういうものなのか、事業者さんから見てどのような条件を満たす情報、新たな知見を消費者庁長官に報告をする必要があるのか定めたものが先ほどの資料の4ページの次長通知に書いてあるということになっています。ちなみに内閣府令の改正案につきましては、昨年12月から今年の1月にかけてパブリックコメントを致しております。その結果、第5条の改正案の1項の2行目に「新たな知見」というように下にございますけれども、当初のパブリックコメントに出した案は「新たな科学的知見」となっておりましたが、最終的には「科学的」を取りまして「新たな知見」について報告を求めると。こういう修正をした上で、先週金曜日に公布をしております。

4ページのほうに戻ります。この新たな知見の収集・報告についてでございます。具体的にどのような情報を消費者庁に報告するのか、幾つか類型化して整理をしておりますけれども、そこにございます安全性、有効性、相互作用、品質管理、その他、内容についてはそこに書いてあるとおりで、省略をさせていただきます。従前はここで言う相互作用なり品質管理のところは必ずしも明記はされておりませんでしたが、その点をここにありますようにはっきりと書いて周知をしまして、ここに該当するような事案があれば消費者庁のほうに報告をしていただくというようにしております。こういう形で報告いただいた知見については、当然報告を受けた後、消費者庁において再審査の是非も含めて検証する体制を構築する必要があると考えています。実際に得られた知見の具体的な内容に即して、改正後の制度が適正に機能するよう消費者委員会、食品安全委員会など関係機関とも連携をしながら個別にきちんと対応をしていきたいと思っております。

今、述べました報告規定というのは特保の許可を受けた方からの報告という内容でございますけれども、当然、今でも消費者庁として主体的な取組をやっています。例えば医薬基盤・健康・栄養研究所で「健康食品」の安全性・有効性情報というものを出しております。我々のほうでも随時それを確認し、情報収集もしておりますし、あとは個別になりますが食品安全委員会などとも連携して、諸外国も含めたいろいろな健康食品の安全性情報の収集に努めております。ただ、それで満足せずに今後とも消費者庁が主体的にいろいろな新たな知見を調査、収集する体制の構築についてはいろいろな関係の省庁とも連携をし、また有識者からも意見を頂いていろいろ考えていきたいと思っております。

また、4ページの下の今度は2.定期的な分析の実施・報告になります。これは毎年6月末日までに、これは年1回ということになりますけれども、都道府県を経由して事業者から消費者庁に別途提出していただくという内容でございます。

その下に3つ書いております。少なくとも年に1回、定期的に第三者機関において必要な関与成分が規定量入っているかどうかの試験を行っていただく。その試験結果の成績及び品質管理の状況について消費者庁のほうに報告。あわせて実際にこういう形で関与成分が表示のとおり入っているか見るということは、当然市場で売られているものが対象になりますので、市場で売られていなければこの許可試験と同等の試験が行えません。その点については、必要な成分が入っているかどうかのチェックを行うということが当然販売実績についての把握にもつながるということで、その点についても毎年、年1回6月末日までに都道府県を経由して消費者庁に出していただくということにしております。

その次、5ページになります。情報公開の関係でございます。これにつきましては、今、国立健康・栄養研究所のデータベースで専門的な情報を開示しておりますが、消費者委員会のほうからは消費者にもっと分かりやすい情報を公開することが必要という御意見をいただいています。この点については、来年度、平成29年度に調査事業を立ち上げることにしております。内容は特保に関する情報公開についての消費者ニーズがどのようなものか。まずはこれを把握するとともに、あわせて消費者向け、専門家向けの公開情報としてどういうものが望ましいのか。あわせて事業者の側から情報を出していただくことがありますが、その公開基準はどのようなものか。それぞれについて検証を行うということを考えております。

平成29年度にこのような調査事業を行った上で、あとは平成30年度以降になりますけれども、実際に成果を国立健康・栄養研究所のデータベースに反映をさせて情報公開。内容も拡充しますし、消費者に分かりやすい情報を出すという意味での実際の取組を行っていきたいと思っております。実際、この事業者に情報公開を求める基準につきましては、別途になりますが次長通知の改正で明記をしたいと考えております。

最後、6ページになります。以上、述べたことを体系的に整理したものでございます。特保につきまして、昨年4月の建議以来、いろいろと御指摘も頂いておりましたが、先ほども申しましたように昨年9月に実際に不適切な商品というものが発覚しまして、特保の許可の取消しをしております。その点については、当該事業者の当該商品の取消しをすれば足りるというものではなくて、なぜそのようなことが起きたのか、正にそういうところを検証すべきというのが消費者委員会からの御指摘だったと理解をしていますので、内容は先ほど述べたところ中心でございますけれども、こういう取組をしているということで下にありますように我々もいろいろな見直し、取組をすることによって消費者に対して特保の最新かつ正確な情報提供を今後とも努めてまいりたいと考えている次第でございます。

当方からの説明は以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。

大森委員、どうぞ。

○大森委員 どうもいろいろ進めていただいてありがとうございます。いろいろ心配していたことがかなり進んで、本当にうれしく思っています。

消費者教育についてお聞きしたいのですけれど、こちらも計画的に段階を踏んで行うという具体的な計画を示していただいてありがとうございます。1点、教材なのですけれども、教材と指導要領を使ってターゲットに合わせた消費者教育を実施するということですが、この教材というのは消費者庁で作られるのですか。ちょっと気になるのが、指導者の技術によってばらつきが出たりとか、そういうことになるとまずいので、すごく分かりやすいリーフレットを基に、このような内容で指導してほしいというような簡単なものでやるほうがいいのではないかなと。漠然と多い内容で投げるとやってくれるところやってくれないところ、また指導者によってすごく偏りが出るのではないかなと、その1点を気にしているのです。

あと、テレビなどでも可能な限りやるというようにおっしゃってくださっていますけれども、徳島県というのは高校とも連携があって、高校で消費者教育をしたりとか、あとはサポーターとかいろいろ消費者教育に携わってくださる方が潤沢にある地域ですので、それが他のところでうまくいくかどうかは分からないので、潤沢にあるので実証する実験にはすごく向いた場所だと思うのですが、いろいろなところにあってその場所によって特徴がありますから、そこでの成果を考えると、誰もが目にしやすいテレビとか商品を買うところにパッと見て分かるポスターとか、そういう出向く消費者教育だけでなくて、自然と消費者の目に入るというようなことも工夫していただけたらと思います。

以上です。

○河上委員長 何かございますか。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 ただいまの御指摘でございます。

まず、教材なり指導要領を消費者庁が作るのかどうかでございますが、これは消費者庁において、まずは作る。ただ、作る過程においては委託事業という形をとっておりますので、委託先においていろいろな関係者のノウハウや御意見もいただきながら結果として作る主体は消費者庁ということになると考えております。いろいろ難しいものを作っても分かりづらいとか、人により指導の内容も変わってくるし偏りが出るのではないかという御指摘は、実は全くそのとおりだと我々も思っておりまして、したがって、平成28年度の取組として活用媒体と教材を作るだけではなくて、実際に指導要領というのも作りまして、ある程度レベル感のそろった取組ができるようにということを前提として進めております。

あわせて、作って終わりではなくて、まず現場に下ろしてみて本当にきちんと回るのかどうかの検証も、PDCAサイクルの一環として検討過程においても極めて重要な御指摘だと思っておりまして、まずは来年度に徳島でモデル事業という形で取り組んでまいります。ただ、徳島でうまくいったからといって全国的にうまくいくのかどうか、これは全くおっしゃるとおりでございます。その意味では、来年度の徳島県の成果というのは全国展開できるところと、徳島だけに限られてそこでうまくいくけれども、他の県ではうまくいかないだろうというところも当然あろうかと思っています。後者の点につきましては、30年度以降にまた全国展開に向けて行うなかで、全国いろいろな地域事情がありますから、その中でそれぞれの現場に応じた形できちんと動いていけるようなものに仕上げていきたいと思っております。全体を通じて、PDCAサイクルの中で一度作った一度形にしたから終わりではなくて、消費者教育というのはなかなか相手に応じてやっていくという意味では難しいものだと思っておりますので、我々そういうものだと理解をして作る一方で、必要な検証も並行的に行って、より良いものを目指す。こういう形で取り組んでいきたいと思っております。

○河上委員長 最後のほうで大森委員から出た、こちらから出向いていく消費者教育だけではなくて、いやでも目に入るような形の情報提供というか教育というのは何かプランはあるのですか。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 具体的にといいますか、今から正にそういう観点から我々も考えていきたいと思っておりますけれども、以前から消費者委員会からはテレビ、ラジオ、雑誌、新聞という媒体を使った取組が大事だという御指摘をいただいておりますし、地方自治体のほうでもいろいろな栄養教育に関わる部局があって、そういうパイプといいますかアンテナを使うことによって、いろいろな意味での情報発信もできると思っております。そういう点につきましては、我々は資料の2ページで御説明した消費者教育を含めて、いろいろな切り口は整理できると思っておりますので、その成果も踏まえていろいろな情報発信、その情報発信というのは我々が出向いていくのに加えてその情報をいろいろな媒体を通じて発信し、見ることによってある程度分かっていただけると。当然そういうような観点での取組もやっていきたいと思っております。

○河上委員長 よろしいですか。

阿久澤委員、どうぞ。

○阿久澤委員 どうも御説明ありがとうございます。

今の関連で1つ質問なのですけれども、28年度の事業として既に媒体、指導要領などについては委託して作成されているということですが、特にその指導要領なのですけれども、対象は何にして教育目標はどのような目標を持っているのか、当然次年度に徳島でそれを実証するというわけですので、徳島をモデルにしたものと思いますが、そうしますと、これを何パターンぐらい想定しているのか。徳島はある意味特殊ですから、その他日本全国でそういったモデルを何パターンくらい想定しているのか教えていただきたいのです。

○消費者庁食品表示企画課担当者 私のほうから申し上げます。

今、対象ということですけれども、指導者の対象という理解でよろしいですか。それともターゲットということでしょうか。

○阿久澤委員 ターゲットです。

○消費者庁食品表示企画課担当者 ターゲットにつきましてはこちらの資料2ページのほうにあります若年女性の食生活の改善、それから中高年のメタボリックシンドロームの予防、そして、高齢者の低栄養予防ということで3つのターゲットと基本的な栄養成分表示の一般的な啓発資料ということで4パターン作成をしているところでございます。

それから、先ほどの大森委員のところとも関連してくるのですけども、徳島県でということでモデル的に実証する形になりますが、地域特性というものを最初に把握をして、社会的な資源ですとか専門的な知識を持つ者のリソースですとか、そういったものが異なってくると思いますので、そういったところをアセスメントした上で、さらには栄養成分表示をしているものを売っているスーパーマーケットですとか、そういった社会的資源も異なってきますので、まずはそこを把握した上で、そういったスーパーマーケットなどとも連携した消費者教育、啓発ができないかというところも含めてモデルとして検証していきたいと考えているところです。

○河上委員長 蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 私のほうは買上調査についてお尋ねしたいのですが、既に7品目の第三者機関による調査が始まっていますが、1つは、これがいつぐらいに発表されて結果が出てくるのか。ずっと7品目やっていますと聞いているのですが、いつぐらいに結果出てくるのか。

それから、消費者はその結果について知る権利があるとは思うのですけれども、ここに「消費者庁において精査した上で公表」と書いてあります。精査の仕方ですね。つまり、29年度も「平成28年度調査結果と同様に公表」と書いてあります。10%調査するのだけれども、だめだった件数だけを教えるけれども、内容については発表しないよというものなのか、内容についてもちゃんと発表しますよというのか、その辺のところで調査していますということだけが割と大きな声で言われているのですけども、その結果をどうやって消費者が知ることができるかを教えていただければと思います。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 ただいまの買上調査についての御質問でございます。

まず、結果発表の時期についてはできるだけ速やかにと我々も思っておりますが、まだ確定的な時期を述べることは難しいと思っております。先ほど、お話しさせていただいたように、これは今年度の買上調査の結果そのものは今年度中に消費者庁に報告があると考えておりますけれども、実際そこでいろいろな不備といいますか不適合があった場合に、その時点ですぐその事実を公表というよりも、まず事業者の側に我々のほうから話を聞いてみて、どのような品質管理をしているのか等々を含めた確認というのが必要だと思っておりますので、それでどの程度時間がかかるのかというのがまだ過去の経験値の蓄積もありませんので、はっきりしたことが言えないということでございます。

ただ、何らかの形の情報公開はしたいと思っております。情報公開の仕方についても、消費者の関心事項だと思っておりますから、少なくとも不備が認められるものがあればそれについて不備が認められないものと比較して、それに応じた形での公表をと思っておりますけれども、実際どのような形で公表するかも含めて時期も含めてになりますが、結果を見た上でと思っております。いずれにせよ、時期につきましてはできるだけ早くを旨としてやっていきたいと思っております。

○河上委員長 よろしいですか。

蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 ありがとうございます。

基本的に今のお答えで分かるので、虚偽があった場合、ずっと虚偽があるまま消費者は買い続けなければいけないという期間をできるだけ短くしていただければと思います。

○河上委員長 増田委員、どうぞ。

○増田委員 いろいろな御対応ありがとうございます。

徳島県のほうについてはやっていただければと思いますが、大都市圏における若年女性に対する情報の浸透の仕方というか手当てが非常に難しいのではないかと考えておりまして、その辺のところを30年度以降十分に御検討いただきたいというお願いでございます。例えば、消費生活センターなどにこの健康食品は効果がありますかというような御相談がよくございます。そうしたとき、いわゆる健康食品の考え方についてお話しすると同時に、その成分は何かということをお伺いして、データベースを提供している国立健康・栄養研究所のほうに私どもで確認した上でお話しできることがあればお話しするということをしていました。そうしたときに、データベースの内容が非常に分かりにくくて、一般の方に説明しても十分ではないというようなこともございました。情報提供をすることと消費者教育というのは非常に密接な関係があるかと思います。分かりやすい情報提供は具体的にどういうようなことをお考えになっているのか、何か今の段階でありましたらお教えいただければと思います。

○河上委員長 何かございますか。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 分かりやすい情報提供が何かという点でございます。

基本的には今から検討していくことになると思っておりますけれども、例えばその関与成分がどのような効果、いわゆる健康の維持増進にとってプラスがあるのか、必ずしも専門的な言い方だと一般の消費者にとって分かりやすいかというとそうでもない場合もあるでしょうし、その成分をとることによってどれだけプラスがあるのかというのも、いろいろな表現の工夫の仕方もあると思っております。健康被害情報につきましても、具体的な例えばサイエンティフィックな数字だけでなくて、通常のふだんの皮膚感覚、消費者の一般の生活感覚から見てどれくらいリスクがあるのかみたいなことがより分かるような、そういう表現が工夫できないかという問題意識を持って、まず当たっていきたいと思っております。実際にどういう情報公開をするのかにつきましては、どのような情報であれば消費者として有用性を認めていただけるのかを、この検討の中できちんと御意見をお伺いして進めていくつもりですので、その中で、今、言ったことに加えて、より良い情報公開を目指していきたいと思っております。

○河上委員長 大都市圏での調査は将来的な課題なのですか。それとも徳島での実証的な調査をする際には、ある程度対象として都市圏での若年女性などというものを考えてセグメントを作るのですか。

○消費者庁食品表示企画課担当者 今のところのモデル事業は徳島県でという形になっていますけれども、若年女性というのは大都市圏も当然考えられる必要なターゲットになってくると思っていますので、徳島県と大都市でどこが違うのかというところも整理をしながら徳島県内のモデル事業は進めていきたいというように考えています。

○河上委員長 実証的な調査はもう徳島から外へは最初は出ないということですね。

○消費者庁食品表示企画課担当者 今のところそういう形の予定です。予算上そのような形になっております。

○河上委員長 樋口委員、どうぞ。

○樋口委員 多少内容に関わる質問です。買上調査についてお伺いしたいのですが、なぜ無作為なのかということなのです。母集団が366しかないのに無作為に35を抽出する理由が必ずしも素人としてはよく理解できないということで、むしろ作為的に選ぶべきではないのですか。例えば年数ですとか分野ですとか、中身によって問題が起こりやすいものについて調査するというようなことが十分考えられるわけですから、そういう意味で無作為にするということの意味が何になるのかなということ。

それから、35品目調査するのにどのくらい予算がかかるのか。これは調査の規模の問題に関係しているのですが、無作為ということなら、どのくらいの規模の調査をすると意味があるのかということを考える必要があると思うのですが、そういう意味で予算は35品目についてどのくらい計上しておられるのか、この2点について教えていただければと思います。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 まず1点目のなぜ無作為かという点でございます。

今の市場で流通しております366品目で、大体そのうちの1割ということで35品目を対象にまずは買上げをしたいと思っております。この1割というのが多いのか少ないのかという判断にもかかわってくると思うのですが、当庁としては1割というのは数パーセントの標本率に比べるとある程度全体をカバーできる数字ではないかと思っておりますので、まずは全体に予断を持たずに広く全てが対象になり得るという形で調査をしてみてはどうかということでございます。裏返しになりますが、本年度に行ったものについて7品目というように、予算とか時間の制約もありましたから少なくなっております。こういったところはある程度一定の基準を立てて、その基準を満たすものに力点を置いた形で対象品目を選定していますが、来年度は今の樋口委員がおっしゃったように、まだ1割ぐらいは少ないという考え方もあって、そうであれば効果的により当たりをつけてやったほうが全体としても意味があるのではないかという御指摘もよく分かってはおるのですけども、1回無作為でやってみて、その結果も見た上で、実は平成30年度以降も引き続き買上調査というのは大事な手法で取り組むことにしておりますので、そのときの1つの判断材料とさせていただければと思っております。

○河上委員長 予算的な問題はどうですか。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 予算についてでございますけれども、一応予算額も当然内部的には金額というものがあるのですけれども、28年度前倒しで実施しているものも含めて今のところ金額は非公表とさせていただいております。といいますのは、特に来年度は無作為で抽出するとなると、例えば買上調査にするに当たっての試薬とか、いろいろな分析の機器が登録試験機関の手持ちのインフラ、ファシリティーで十分かどうかというものもあって、そこはそういう事情も見ながらということがありますので、金額についてはこれまでも公表はしておりませんので、まずはそういう形で御理解をいただければというように思っております。

○河上委員長 樋口委員、どうぞ。

○樋口委員 最初の質問、無作為の点ですけれども、無作為という言葉を使うのは今のお話だとすると適当でないような気もしているのですが。つまり無作為でやりますよと言った途端に、調査を受ける確率が非常に低い、一般的な確率でしか調査されないという意味になります。問題がありそうなところを中心とした買上調査であれば、いつ買上調査されるかもしれないという意味で、いわば買上調査がある種の抑止力になるという考え方も有り得るように思います。無作為ということは母集団があるということですけれども、この場合に35品目で366品目の母集団を推計したところで何の意味もないと思うのですね。ですから、調査法を言わないということは分かるのですが、無作為ということは乱数表か何かお使いになるのかどうか知りませんが、無作為と公表していること自体が抑止力を削いでいないかということが気になります。

予算については、確かに選んだところによって予算のかかり方が違うとか、いろいろな非公表にする事情があろうかと思います。つまり、調査されるかどうかということをある程度予算額から想像ができてしまうような場合であれば非公表とする事情もあると思います。ただ35品目ありますし、実際上は無作為で選んでおられるのであれば、どうやって予算を積算したのだろうかとそもそも不思議な気がしますし、今回はそういうことでお決めになっているのかもしれないのですが、今後この買上調査という方法は極めて重要ですので、サンプル数の設定の仕方とか、買上調査に関する手順の公表の仕方、あるいは予算額の確保の問題などを、きちんと位置付けをされたほうがいいのではないか。このことは実は消費者委員会の意見にある「再審査」とか「更新」とか、いろいろなものに実質的に関連しているのではないかなというように思いますので、何となく無作為でと安易に言葉を使ったのではないかなと勝手に想像していますが、そうでないのであれば、ぜひ調査される側がそういうことに予断を持たないような形で調査をする。7品目の調査はむしろ意図があったというお話ですから、消費者庁は意図を公表する必要はないと思いますけれども、政策的意図を持って今後は買上調査をしていかれたほうがいいのではないかなと思います。

○河上委員長 何かお答えになりますか。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 先ほどの無作為の点でございます。我々もこの無作為と対外的に言うことによって事業者の側から見て安心をするというのであれば、それは当初意図していたことと逆の結果になりますので、この点についてはどういう選定方法が制度運営の観点から見て最もいいかというのはよく考えることにいたします。その結果を踏まえて、ここは変わるかもしれないということを念のため申し添えさせていただきます。

○河上委員長 中原委員、どうぞ。

○中原委員 今回の内閣府令及び次長通知の改正と、景表法との関係について教えていただきたいのですけれども、特保に関しては表示を許可しておりますので、許可要件を満たさなくなっている場合には、速やかに許可を取り消すことによって同様の表示をさせなくするのが一番分かりやすいというか、本筋ではないかと思われます。他方で、今年の2月14日に日本サプリメントに対してされた景表法に基づく措置命令では、健康増進法の許可要件を満たさないものを、許可要件を満たしているかのように表示して販売していたことが優良誤認表示に当たるとされています。 今後、新たな知見の収集・報告、さらに定期的な分析の実施・報告という形で、許可要件を満たしているかどうかをきめ細かく把握していかれるということになりますと、要件を満たしていないものについては、健康増進法に基づいて速やかに許可を取り消すことが肝要と思われます。他方で、景表法違反で対応していかれることは今後もあるのかについて教えていただきたいと思います。

関連しまして、資料の4ページの定期的な分析の実施・報告というところが非常に重要なポイントではないかと思いまして、単に新たな知見が得られたら報告してくださいというだけでは問題を把握する上で不十分だと思われますので、問題のないものも含めて定期的に全ての商品について把握をするということが非常に重要になってくると思います。この点についての実効性確保、例えば報告がきちんとなされていない場合の対応や、報告における試験検査がきちんと行われたものであることの確認について、どのように対応していかれるのかも併せて教えていただきたいと思います。

○消費者庁三上表示対策課食品表示対策室長 最初の点につきましては、表示対策課からお答えさせていただきたいと思います。

まず、特保が景品表示法の違反となるかどうかについては、当然のことながら、個別の事例に即して判断することとなるというところでございます。したがいまして、あらかじめどういったことが問題となるのかを示すのが大変難しいわけなのでございますが、先ほどお話がありましたように、典型的な事例といたしましては、日本サプリメントに対する件のように、最終製品の品質管理が行われていないというように、特定保健用食品の許可要件を満たしていないにもかかわらず許可要件を満たしているかのように示す表示をしていた場合については、景品表示法違反になると考えられるところでございます。

特定保健用食品の許可事業者は、適切に品質管理を行う等の中で、特保の要件を満たすための所要の措置を講じている。それで、新たに科学的な知見に接して、速やかに消費者庁に報告します。消費者庁が当該報告に基づいて特保の許可要件を満たさないと判断した際には速やかに表示上の対応をするという限りにおいて、科学的知見の届出があったことをもって、直ちに景品表示法の違反を問うということにはならないと考えられます。

他方、例えば、特保の許可要件を満たさないような新たな科学的な知見に接しているにもかかわらずこれを漫然と放置した後にて消費者庁に報告するような場合、特定保健用食品の許可要件を満たしていないにもかかわらず、これを満たしているかのような表示したものを販売し続けられていることになります。このような場合、景品表示法に問われることになると考えられます。

また、速やかに科学的な知見に係る報告を行った場合であっても、許可の取消し等の特保の要件を満たさないことの当局の判断が示されたにもかかわらず、速やかに所要の表示上の対応をしていない場合には、景品表示法上の問題となると考えられるところでございます。

○河上委員長 中原委員、いかがですか。

非常に分かりにくい御説明だったので、なかなか腑に落ちないのですけれども、景品表示法で著しく優良誤認であるという判断がされるような表示をしている特保商品があった場合に、そのことが健康増進法には直ちには影響しないということですか。

○消費者庁三上表示対策課食品表示対策室長 健康増進法上の許可を取り消すか否かというのは、健康増進法での考え方になるわけでございます。景品表示法上の措置命令を行うか否かというのは景品表示法の観点になるということになりますので、2つの法律はそれぞれ併存しておるわけですから、どちらがどういう関係ということではありません。

○河上委員長 そのことは分かりますけれども、仮に著しく優良誤認をさせるような表示が行われている特保商品があった場合に、そのことが健康増進法上の許可の問題とむしろかなりオーバーラップするのではないですか。

○消費者庁三上表示対策課食品表示対策室長 先ほど申しましたように、日本サプリメントの事例が典型的なように、問題となることを満たしていない、品質管理をやっていないにもかかわらず、許可の要件を満たしているかのように示す表示を漫然と行っていた、そういう事業者に対して景品表示法上の措置を行ったということでございます。

○河上委員長 どうしましょうか。

もし追加的に御質問があれば、どうぞ。

○中原委員 両方併存し得るということはそのとおりだと思いますけれども、景表法の規制というのは許可表示だけでなく表示一般についての規制であるのに対して、特保については、表示を許可している、つまり、許可時点では要件を満たすことについて行政庁が判断しているわけですので、現時点で要件を満たさなくなっているのであれば、まずは許可を取り消すというのが一番分かりやすい方法だと思います。景表法で対応することも可能だと思いますけれども、今後次長通知の改正で、健康増進法上しっかりと状況を把握して、積極的に対応していかれるということだと思いますので、そちらをしっかりやってくださいという趣旨で申し上げました。

○河上委員長 赤崎課長、何かございますか。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 先ほどの中原委員の2点目に、資料の4ページに定期的な分析の報告の規定がございまして、この実効性の確保についてどう考えるのかというお話がありました。まさに、この定期的な分析なり報告というのは、この制度を運営していく上で重要なツールだと我々は思っております。まず、お手元の資料にありますように、次長通知というものを改正しまして、対外的にも3月17日付けで公表しておりますが、この次長通知をさらにブレークダウンして分かりやすくしました質疑応答集というものも消費者庁のほうで作っております。その中でも、具体的な要件を定めて、現場で実際にこの規定を実施するに当たって混乱がないようにしております。

あわせて、これはつくっただけではだめで、よく事業者の方々に御理解をいただかないと絵に描いた餅になってしまいますので、その点については、いろいろな形で我々は特保の事業者団体と意見交換をする場もあります。あわせて、都道府県、自治体ともそういう情報交換を行う場もございますので、そのような場を最大限活用して、新しく今度次長通知を変えた、ルールも変わる。特に定期的な分析の実施・報告につきましては、資料の4ページにもありますように、都道府県を経由するという形になっていますので、よく自治体のほうとは情報共有をし、こちらの意図を正確に伝えることによって、まずは今、4ページで御説明した次長通知の趣旨、これの実効をきちんと確保して運用できるように、そういう取組は行うということにしております。

○河上委員長 長田委員、どうぞ。

○長田委員 まず1つ目、消費者教育のところなのですけれども、私どもからの意見で申し上げていることの1つに、いわゆる健康食品に関する基礎知識のようなものを消費者に周知してほしいということで、新聞とか雑誌とかテレビというものを申し上げていたわけですが、それはテレビにしろ、雑誌の広告にしろ、個人の体験ですと言いながらも、とても夢のように効果的だと思わせるような情報が広告であったり情報番組であったりでたくさん出てきていて、そういうものを契機に購入していらっしゃる方が大勢いらっしゃる現状の中で、そういうものでまた正しい知識も伝えてほしいということを申し上げていたのだと思うのです。徳島県での来年度のモデル事業の中に、徳島県内はケーブルテレビが十何社もあって、そこがみんなでやる番組みたいなお時間を持っていらっしゃいますので、ぜひ協力を求めて、実験的にでもそういう番組を作成して流してみる。特にいろいろ御協力もいただけるのだと思いますので、皆さんに見ていただいて、この効果を図るということもやってみていただけるといいのではないかということを1つ思いました。

もう1つは、先ほどの4ページの下の定期的な分析の実施・報告を今後求めていった結果、6ページにあります今回いろいろ調査した結果、申請者と連絡がつかない品目があったり、1,100以上を超えて許可していらっしゃるもののうち現在売られているものは366という実態の中で、この失効届の提出依頼も発出していらっしゃる中で、現在、もう長い期間販売もされていないようなものはきちんと失効届を出していっていただいたほうが消費者庁としてもいいのではないかと思うのです。その定期的な報告などが、そこにつながっていくことになるとお考えなのかどうか。そして、また、申請者とも連絡がつかないようなところからは報告がないということもあり得ると思うのですが、そういう場合はどうなさるのか教えてください。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 ただいまの長田委員からの御質問、御意見でございます。

まず、2ページの消費者教育について、来年度徳島でモデル事業を行いますけれども、その際に地元のケーブルテレビの活用等で工夫いただきたいという点については、まず、こちらでその工夫を考えてみます。これは来年度事業ということで、今からいろいろな要件を現地の関係者とも相談しながら進めますので、その中で、今、御発言のあったような取組ができるかどうかも含めて、1回こちらで引き取らせていただいて、可能であれば取り組むというようにさせていただければと思います。

2点目の、長い期間販売していない、こういう実績があるものについて、今回の定期報告を通じてリンクさせていく。長い間売られていないものがあれば失効届の提出を求めるべきではないのかということでございますけれども、この点については、我々もうまくひもづけをする形で運用していきたいと思っております。ちなみに、今の実績で見ますと、最後の6ページ「失効届の提出依頼を課長通知にて発出」ということで、対応の5.になります。昨年の11月9日付けで済みということになっておりますけれども、実は昨年9月の緊急調査で、その時点で失効届を出してもいいというところが196ありました。3月15日時点で調べたところ、196のうち1商品については、その後、翻意をされて引き続き売るとなったので、全部で195失効届を出してもいいというところがありましたが、3月15日の時点で191の失効届が出されております。195のうちの191ですので、おおむね出されておるものと評価をしております。

あとは、もう長期間売られていないような商品があればどう対応するのかという点でございますが、昨年9月は一過性の調査でしたけれども、今後は毎年調査をすることになります。ある程度経年で見てももうずっと売られていないような事実が判明すれば、それは我々のほうで個別に事業者さんといろいろなお話をさせていただくこともあると思っておりますので、その中でも売られていないという実態を踏まえたお話を、我々は恐らくすることになると思っております。強制的に失効届を出させるということは今の制度上難しいと思っておりますが、そこは、さりとて長期間売られていないということであれば、我々のほうからはいろいろな御相談、お話というのはさせていただくことになるのだろうと思っております。

昨年9月の緊急調査の過程で、実際、申請者と連絡がつかない品目が実は2つございました。このようなことは、もう今後は基本的に起きてはならないですし、昨年9月の緊急調査以降、今からは毎年度いろいろな形で定期的な調査も行いますので、その中で同様のことが起こる可能性は低いと思っていますけれども、いずれにしても、昨年9月の緊急調査で連絡がつかない2品目については、今のところ、消費者庁のウェブサイトには特定できる形で情報公開しておりますので、その意味では一般の消費者の方が混乱をすることはないと思っております。

また、その後、我々のほうでこの連絡のつかない2品目について、いろいろ何とかならないのかということで対応しておったのですけれども、うち1品目については先方と連絡がついて、基本的には失効届の提出をお願いしているという状況になっております。もう一つのほうは、まだ先方ときちんとした連絡はついておりませんが、ただ、先方の連絡窓口を我々は把握することができたので、そこ宛てに書面を投函する形になりますけれども、できる限りの対応ということで、そのような対応をとらせていただいております。

以上でございます。

○河上委員長 資料の4ページ目の定期的な分析の実施・報告の最後のところに、過去1年の販売実績等についての報告というものが入っていますけれども、過去1年の販売実績がゼロが続いているという場合に何かをするのですか。この報告を受けた上で、何をするつもりなのですか。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 ただいまの委員長の御指摘でございます。

過去1年間の販売実績等について報告というのは、1年間のうちの一定の時期、例えば毎年4月1日の時点で調査をすると、夏場だけ売っているようなものは毎回毎回これに引っ掛からない等が出てきますので、過去1年のうち、通年販売しているのであればその事実、時期を限定して販売しているのであればその時期という形で、まず報告を求めます。その上で、数年間ずっと継続的にこの報告を求めて、数年間ずっと販売されていない事実が判明すれば、直ちに、例えば3年ならば3年、5年ならば5年報告がなされていないことをもって即失効とは我々はしておりませんけれども、そういう形で事業者とは連絡がつく。その上で、季節限定でなくて、恒常的に一定期間ずっと販売の実績がないとなれば、それは制度の本来の趣旨から考えますと、特保の許可をずっと与えたままにしていいのかということになりますので、それについて個別に恐らく事業者さんと話をさせていただいて、先ほどお話をさせていただいたように、本当に売るめども立たないということであれば、失効届をお勧めするといった対応になるものと考えております。

○河上委員長 池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 消費者教育のことについて1点と、買上調査後の措置のことについて1点申し上げたいと思います。

まず、消費者教育のことについては、指導要領を作って徳島でモデル実証事業をやっていくということ自体、非常に注目して見ておきたいと思うのですが、この指導要領そのものも一般にも公表しておくという前提で理解していいのか。委託事業としてモデル事業として予算を注いでやっていくのとは別に、都市部のほうでも本当は並行してモデル事業ができればいいのかもしれませんが、なかなか予算措置も難しいとなれば、指導要領を公表しておくことによっていずれかの団体で自主的にそれを実施してみて、そこからもいろいろ修正すべきこととか意見を積極的に募っていくということもあってよいのではないかと思うので、そのあたりは検討していただければと思います。

それから、中原委員の質問に少し関係するかと思うのですが、買上調査後の措置のことで、もう1つ分からないところを再確認させてください。検証した結果不適合であるという判定が出てきたということは、この時点である意味許可要件を満たしていないということが試験検査機関の結果報告から出ている状態だと私は理解しているのです。そこで取消しの話に直結しないで、必要な調査を行う、事情聴取や立入検査などの調査を行うとおっしゃったのは、その試験検査の結果が出てきても、直ちに是正できるものはしてもらって許可は維持する、それでもだめなものは取り消すという、そういう猶予期間を与える、是正のチャンスを与えるという趣旨なのか、あるいはそれとは別のことなのか。

それから、景表法に基づく処分というのは、優良誤認の別の要件の判定だということは分かりましたので、それは切り離すとすれば、健康増進法上、先ほど言った不適合であるということが分かり、その後、一定の調査あるいは指導なりで是正されて許可が維持されるものと取消しになるもの、その不適合が何件あり、指導、調査などの経過で維持されたものが何件、取り消されたものは必然的に公表ですが、そこの経過がどこまで公表されるのかということでお伺いしたいと思います。

○消費者庁食品表示企画課担当者 私から1点目、消費者教育についてお答えしたいと思います。

委員御指摘のとおり、指導要領も併せて公表していきたいと考えております。29年度徳島県で実施をいたしまして、それを踏まえて、媒体も含めて、指導要領も含めて、全国展開に向けて修正していく形になります。その後、全国展開をする際には全て公表した上で活用していただく。また、全国展開してからも、そのまま放っておくのではなくて、活用した実績ですとか、あるいは委員御指摘の不具合があったような場合には修正をしていくことをやっていきたいと考えております。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 2点目、買上調査後の措置ということで、幾つか御質問がございましたが、今回の買上調査の結果、直ちに例えば関与成分の含有量が表示値を下回ったことをもって、即指示・公表なり指導というよりも、下回った度合いにもよりけりだと思っておりますけれども、まずはそのような事実が起きたのが果たして局所的なことなのか、それとも品質管理、製造にかかわって一般的に起こり得ることなのかというような点については、我々としても今後いろいろな処分をするのであれば最低限の確認は必要ではないかと思っております。

その意味では、確かに先ほどの説明で必要な調査を行うと言いましたが、それは是正の機会を与えるためというよりも、我々がある程度事実関係を固めて次のステップに行くためにも、相手にとって不利益措置であれば、相手の言い分、抗弁もあると思いますから、最低限、その手のことは我々としても確認すべき意義があるのではないか。ただ、それも下回っている量が著しく本来の1割も入っていないというパターンと、本来の99%は入っていて、でも、上回っているか下を回っているのかだと下回っている場合、買上げの標本数にもよりけりですけれども、たまたま1件は出たけれども、あとは大丈夫なのか、軒並み全部著しく下回っているのか、状況は変わってきますけれども、定性的には買上げの分析の結果、表示値を下回る実際の含有量になったからといって、どのような場合でも即指導なり、指示・公表というよりも、まず必要があればだと思っておりますが、いろいろな確認は事業者にさせていただく。こういうように御理解をいただければと思います。

3点目の経過の公表になりますが、いろいろな措置、指導なり、指示・公表なり、我々でもやりますけれども、経過を公表するのかどうかという点については、定性的には、指導の場合であれば、件数は公表しても個別の事案の概要については公表していないと理解をしております。一方、指示につきましては、法律上、指示と公表はセットになっておりますので、指示案件については、概要は対外的にも明らかにしております。そのような形で、これまで指導とか指示については情報公開するか否かについて一定のメルクマールと言いますか、法令なり運用に基づく基準というものがございますので、今回の買上調査の結果、不適合が見付かった場合につきましては、これまでのそのようなルールに当てはめて情報公開は考えていくことになると思っております。

○河上委員長 池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 ありがとうございます。

2点目の御説明について、成分分析の結果、一定量を満たしていないという中には、確かに製造上の何らかのむらによって下回るケースとそうでないケースが出てくる場合もあり得るというのは理解できました。ただ、それは第三者機関で分析するときに、何も買上げ、たまたま1点だけではなくて、その製品の一定の数量を含めて、そういった製品の製造のむらの問題なのか、もともとの製造管理体制の問題なのかということの見極めも含めて、検査機関である程度報告が上がってくるのかなというイメージでいたのですが、そうではないのですか。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 おっしゃるとおり、ある程度、この分析機関でもそういう形で整理をいただいて、消費者庁に報告いただくことになると思っております。ただ、対事業者との関係で、権利義務の主体になりますのは消費者庁になりますので、それは分析機関から所見という形で恐らく報告を頂くと思いますが、その内容で是とするのか、我々として、実際に事業者にいろいろな対応をとるに当たっては、もう少しきちんと整理するのかということがあって、後者の場合は、場合によっては相手方にいろいろなことも確認させていただいた上で次のステップに移行するということではないかと考えております。

○河上委員長 よろしいですか。

阿久澤委員、どうぞ。

○阿久澤委員 既に委員の方からも質問等が出ている内容も含みますけれども、まず意見書提出後、それ以前に提出した建議に対する取組が、ある意味、かみ合ってきたかなという感じを受けております。このかみ合いをぜひ今後も継続的に続けて実施していただきたいということから、ぜひ工程表等にも明示した形で継続的に取り組んでいただければと思います。

もう1点が、先ほど中原委員、長田委員からもありましたが、次長通知の改正の件ですけれども、これは新たに意見書提出後加筆された内容かと思います。まさにこのことは絶対に必要な内容であったかと思っております。さきの日本サプリメントのような長期放置されているような事例は、多分これで防止されるだろうと思います。ただ、ここの知見を入手して30日以内ということですね。この新たな知見ということに気がつかないケースは、長期間放置は長くても1年ということになりますが、それで防げるということになりますが、こういったことは起こり得るとお考えでしょうか。気がつかなかったということはあり得るのでしょうかということを教えてください。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 ただいまの阿久澤委員からの新たな知見に気が付かないことがあり得るかどうかでございますけれども、当方としては、新たな知見ということは今回次長通知の中である程度標準化をし、明確に定義付けをした上で周知をしますので、基本的には気付かないということはないと思っております。ただ、相手も人間ですので、絶対にないかと言われると、そうでもないと思っておりまして、その点につきましては、我々、事業者からだけの報告に頼るのではなくて、先ほども申しましたけれども、我々も主体的にいろいろな知見に関する情報を集めて、それを実際の制度運用に反映していきたいと思っています。今でも、医薬基盤・健康・栄養研究所で健康食品のいろいろな情報を開示しておりますし、食安委のほうでも情報を出しております。当然、そのような情報は引き続き我々はキャッチをして反映させていきます。

あと、現状のそのような主体的な情報のとり方だけでいいのかという問題意識も持っておって、その点につきましても、これまで消費者委員会でもいろいろな御意見をいただいておりますが、我々としても消費者委員会なり食安委のほうといろいろ連携をさせていただいて、多分定性的に、抽象的にというよりも、個別にいろいろな問題が起きて、そのときの対応をめぐる中でいろいろな答えが見えてくるのではないかと思っております。仮にそのような限界事例的なものが出てくれば前広にいろいろな御相談をさせていただいて、その中でより良い解決策というものを見つけて、それを定式化していきたいと思っております。

○河上委員長 大森委員、どうぞ。

○大森委員 調査事業の件なのですけれども、分かりやすく情報提供をしていただけるのはとても有り難いと思うのですが、ここの実験で、こういうものは必要なかったというのは、逆に出てこないのではないかという不安感も1点あるのです。先ほどの買上調査のときも、一旦消費者庁で精査した上で公表と。何だか消費者庁で加工が施されたものしか出てこないのかなという心配があります。意見書などでも、消費者庁は消費者の知る権利をもうちょっと守ってほしい、情報が十分公開されていないのではないかという意見がとても多いので、消費者には知る権利があるし、情報自体は消費者庁の持ち物ではないということを基本に、なるべく速やかにそのまま出していただけたらと思います。

○河上委員長 どうぞ。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 今、正にそれを心掛けて制度運用に当たりたいと思います。

○河上委員長 大体よろしいでしょうか。

池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 池本です。

意見として申し上げるだけにとどめます。4ページの定期的な分析の実施・報告ということ、これは非常に今後これまでのようなトラブルが起きないためには、これを実施していくことで未然防止が図れるという意味では非常に重要なことだろうと思います。事業者からすると、恐らく許可を得ているのにまた毎年試験をする費用負担が大変だとか、報告をする負担が増えたという不満が多少出るかもしれませんが、私たちは、これは国に許可を得てその表示に見合う品質を維持する責任は事業者にあるのだということで、しっかりと広報して事業者に周知していただきたいと思います。

問題は、そうやって報告が出てきた資料をまた精査していくとなると、消費者庁の側の負担も決して軽くない、大変だろうと思いますが、そこはきちんと体制を組んで、その中から、また第三者機関でより精密に分析、検討していくものも出てくるでしょうし、そうした全体が制度として回っていくような組織体制もしっかり作っていく必要があるだろうと思いますので、期待しております。

以上です。

○河上委員長 よろしいですか。

蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 最後に1つだけ教えていただきたいのですけれども、先ほど、中原委員、長田委員がおっしゃった景品表示法と健康増進法があって、今までの例の中で景品表示法には引っ掛かるけれども、健康増進法には引っ掛からない。健康増進法に引っ掛かれば当然のように景品表示法には引っ掛かってくるので、直さなければいけなくなるのですが、逆のケースはあったのですか。要するに、健康増進法には引っ掛からなくて、景品表示法にだけ引っ掛かった例。つまり、何を言いたいのかというと、お客様は景品表示法に基づいて書かれていると思っている健康食品がありました、でも、そこの表示が間違っていたので書き直しました、でも、置き直したことに気が付かないお客さんのほうが多いわけですね。そうすると、そこでは、健康増進法には引っ掛かっていないから、それにしたがって書き直しただけであるという解釈になるのですか。私はこの辺がよく分からないので、今、中原委員が重なっていますねとおっしゃった部分で、何を基準に消費者は見ていけばいいのかがちょっとよく分からない。どういう事例でおっしゃっているのかを教えていただければと思います。

○消費者庁三上表示対策課食品表示対策室長 今、御質問のあったケースは、3つのことを一緒におっしゃってございまして、それを解きほぐして考えないといけないということになると思います。

○蟹瀬委員 消費者に分かりやすいようにお話しいただけますか。

○消費者庁三上表示対策課食品表示対策室長 まず、特定保健用食品は、健康増進法の26条の許可要件になっています。他方、今、おっしゃったものがもう1つ、普通の健康食品、これは健康増進法の26条ではなくて31条の規定になっています。これは虚偽・誇大なものはしてはいけませんという規定になっています。健康増進法の31条からいきますと、31条の場合、措置をするというのは勧告という措置があります。この勧告という措置は、国民に重大な健康上の影響を及ぼすおそれがあるときということになっていますので、虚偽・誇大なものを起こしたからといって、すぐに勧告というわけにはなっておりません。

ですが、例えば特定保健用食品で、昨年にやりましたライオンの広告。ライオンの広告は、ライオン自身は特保の許可を持っておるものなのですが、広告自身は31条の規定によって国民の健康保持増進効果に重大な影響を及ぼす恐れがあるということで勧告をいたしました。31条の場合どういったケースのときに使うのか、それとも景品表示法の規定を行うのかというのは、それぞれの事案ごとに判断をしております。他方、もう1つの日本サプリメントの話は、まず、日本サプリメントから御報告を受けて、26条に基づいて措置がされた事実がございます。しかしながら、その内容をよくよく確認させていただいたところ、この特保というのは、製品でもって品質管理をすることも含め許可要件になっております。にもかかわらず、品質管理を最終製品で行っていなくて、それなのに特保の許可を得ているかのような広告をしておりましたということなので、特保の許可を得ていない、特保の許可を満たしているかのような表示というものが、消費者に誤認を与えたということで、景品表示法の措置を採りましたということになっております。

それで、今回のこういった新しい次長通知が出てきますということになるわけなのですが、そうすると、新たな科学的知見に接した場合には、速やかに消費者庁に御報告を頂くことになるわけです。その上で、景品表示法の観点からは、広告上しっかりした対応をとっていただく必要がある。速やかに御報告いただいて、報告後、当局で特保の要件を満たさないと判断した場合に、景品表示法上の対応をとっていただくということをする限り、科学的知見の届出があったことをもって、直ちに景品表示法違反ということにはならないと我々は考えています。

○蟹瀬委員 全然よく分からなかったのですけれども、消費者はどう物事を考えればいいのか。法律は彼らは関係ないので、26条であれ、31条であれ、消費者は全く分かっていないと思うのです。そのときに、景品表示法で引っ掛かったものだけは特保ではないですよという大げさなことを書いていたので、それはいけませんということを言いましたということであって、それは健康増進法には引っ掛かっていないということなのですね。26条には引っ掛かって、31条には引っ掛かっていないと。

○消費者庁三上表示対策課食品表示対策室長 26条に引っ掛かったので、取消しをされたということです。31条を適用するか、景品表示法を適用するのかというのはケース・バイ・ケースで、この日本サプリメントの場合は、景品表示法を適用しましたということでございます。

○河上委員長 中原委員、どうぞ。

○中原委員 特保の許可を取り消さないまま、景表法に基づいて同様の表示を禁ずることもあり得ることになるのでしょうか。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 今の中原委員の御指摘ですが、健康増進法上の措置を講じなくて、景表法上の措置を講ずることはあり得ます。健康増進法と景品表示法というのは、法律の要件が別になっています。オーバーラップするところも確かにあります。実際に、日本サプリメントの場合は、健康増進法28条に基づく取消しもしている一方で、景品表示法7条の措置命令も出しています。こういう例もありますけれども、あくまでそうなったということであって、法律の要件はそれぞれ別個になっていますので、片一方の法律に抵触するけれども、他方の法律に抵触しないということは、構成要件から見て起こり得ると思っています。

○河上委員長 法律はそれぞれ立法趣旨が違いますし、保護のための要件は違いますから、それぞれに異なった判断がなされ得るというのは論理的には分かることなのですが、ただ、実際問題として食べ物に関して表示されている部分と実際の品質とが食い違っているような場面では、かなり問題がオーバーラップしてくる可能性が高いという印象はあるのです。ですから、その辺は消費者にとってみると、どちらの法律で規制されるのかはどうでもいいことなので、自分たちが選びやすい明示的な形で問題を立てていただく。特に特保だということになれば、消費者としては安全なものだし機能もあるものだろうと思って手に取るわけでありますから、誤った選択がなされないようにそこら辺の運用は工夫をしていただく必要があるのだろうと思います。

大体よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。

例えば特保の表示許可に関する内閣府令と次長通知の改正によって、今回新たな知見が得られた場合には消費者庁に情報が集まるように規定が整備されたことなど、今回の説明では、建議に対する取組としては、大いに前進があったと理解しております。その意味では評価したいと思います。

ただ、他の取組もそうなのですけれども、継続して取り組める体制になくては意味がなくて、消費者庁としては、御説明いただいた取組が、実効性があるものとして確実に進められるように体制、人の体制というよりは運用がきちんとルーチン化されていくように仕掛けを作っていただくということで、体制をしっかり整えて実施いただけたらと思います。

委員の間でもいろいろな意見が出ましたけれども、この買上調査に関する結果の公表に関しては、消費者の知る権利ということがございますから、その結果が、客観的な事実としてこうだったのだという事実レベルのものであれば、これは許可に値するとかしないとかは別に買上調査をした結果このような事実が現れましたということは、できるだけ早い段階で消費者にも知らせていただくことがあっていいのではないかということであります。

それから、何年度、何年度でこういうことをやりますということが書かれておりますけれども、これは先ほど阿久澤委員からも御指摘がありましたが、できましたら基本計画の工程表の中にきちんと書いていただいて、確実に進んでいくということを担保していただければ有り難いと思います。

当委員会としては、特保の買上調査の結果など、引き続き特保の状況についてはきちんと注視していきますとともに、消費者庁の取組についても必要に応じて確認するなど、関心を持って、関心というよりも期待を込めて見守っていきたいと思いますので、ぜひ頑張っていただければと思います。

どうも今日はありがとうございました。


≪3.閉会≫

○河上委員長 本日の議題は以上になります。

最後に事務局から今後の予定について説明をお願いいたします。

○丸山参事官 次回の本会議の日程、議題につきましては、決まり次第委員会ホームページ等を通じてお知らせさせていただきます。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)