第218回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2016年4月12日(火)14:20~15:39

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    河上委員長、池本委員長代理、阿久澤委員、大森委員、鹿野委員、長田委員、中原委員、樋口委員、増田委員
  • 【説明者】
    ヤマト運輸株式会社 成保営業推進部プロジェクトマネージャー
    特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会 寺本座長
    事務局
  • 【事務局】
    黒木事務局長、小野審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 官民連携による高齢者の見守りについて
  3. 特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会の報告について
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○河上委員長 では、始めさせていただきます。

皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会第218回本会議」を開催いたします。

本日は、蟹瀬委員が所用により御欠席となっております。

それでは、配付資料の確認につきまして、事務局からお願いいたします。

○丸山参事官 お手元の議事次第の下部のほうに配付資料一覧を記しております。

資料1につきましては、ヤマト運輸株式会社様説明資料。

資料2につきましては、「特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会」報告書。

それから、参考資料となっております。

もし不足がございましたら、事務局のほうまでお申し出いただきますよう、よろしくお願いいたします。


≪2.官民連携による高齢者の見守りについて≫

○河上委員長 最初の議題ですが「官民連携による高齢者の見守りについて」であります。

本日は、ヤマト運輸株式会社様をお招きして、お話を伺いたいと思います。ヤマト運輸は、同社の事業を通じて自治体等と連携しながら地域の社会的課題を解決することに積極的に取り組んでおられると伺っております。地域の課題というのは地域ごとに異なることから、各地域に合ったサービスを提供できるよう、日頃から職員や地域の声に耳を傾けて、事業を展開していらっしゃると聞いております。

本日は、ヤマト運輸が実施している高齢者の見守りサービスの内容等について御説明をいただき、同社の取組における工夫や今後の課題などについてお話を伺った上で、若干の意見交換を行いたいと考えております。

ヤマト運輸様におかれましては、お忙しいところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

それでは、大変恐縮ですけれども、20分程度で御説明をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

○ヤマト運輸株式会社成保営業推進部プロジェクトマネージャー 初めまして。私はヤマト運輸の営業推進部を担当しております成保と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

今日の議題が「官民連携による高齢者の見守りについて」というお題でいただきましたので、お手元に弊社が取り組んでいる内容を少し御紹介ということでさせていただければと思います。

資料に入る前に、私も4年、この高齢者の見守りというテーマに取り組んできたのですけれども、この4月から担当が変わって、新しい者に今、引き継いでおるのですが、4年やってみての感想というところで言いますと、高齢者の見守りというのは一企業体でできるようなものではなくて、我々がやっていることも一つの手段として取り入れていただいて、いろいろな事業者様と連携をとりながら、もちろん自治体さんともですけれども、いろいろな取組を取り入れていかないと、なかなか完璧にできているねなどという話には当然ならないということなので、今日お話しする内容も、これができているからその地域が完璧だなどということは一つも思っておりませんので、こういう取組も我々の業を通じてできるのではないかということで取り組ませていただいている内容だと認識いただいて、お聞きいただければと思います。

では、資料に沿って、少し御説明をさせていただきます。

項番の1で「まごころ宅急便の取り組み」と記載いたしました。

これはどういう取組かと言いますと、そもそもきっかけがありまして、弊社の岩手の女性のドライバーで松本という女性のドライバーがいるのですけれども、今はドライバーを外れているのですが、当時、配達に回っていたお一人で住まれているおばあちゃんのお宅によく配達に行っていました。松本が配達に行くと非常に喜んで荷物が来たということで、お受けいただいていたところがあったのですけれども、その当日、配達に行った際に「玄関の前に置いていってね」ということで、お声だけが聞こえて、出てこなかったと。何で出てこないのかなと思いながらも、仕事の忙しさにかこつけて、荷物を置いて帰ってきましたと。それで、3日たちましたら、お葬式がされていた。いわゆる孤独死というところで、お一人で亡くなられていたというところがございまして、松本はかなり自責の念に駆られまして、もしかしたら自分が最後に声を掛けた人間だったのではないかということで、宅配という業に追われながら、それでも目で見てくるという行為がすごく価値があるのではないか、大切なのではないか、何かこういうことがお手伝いできないのかという原点から、この「まごころ宅急便」というものは発生しています。

彼女が、高齢者の困りごとを必死に聞くようになっていきました。何に困っているのかということを考えたときにお声で多かったのが、お買物になかなか行けないのだよとか、地域の商店のスーパーがなくなったりだとか、車の免許の返納の中で、なかなか今まで行けていたものが行けなくなってしまったとか、いろいろなお声をいただく中で、では、御注文いただいたものをうちが届けてあげれば喜んでもらえるのではないかというところから、お買物便というものを先に作っていきました。

その中で、配達をしてみるといろいろな会話をしますし、お荷物をお渡しする、弊社の宅急便の場合は手渡しで渡すという行為をしますので、その中でお話が聞ける、今日具合がいいのだよとか、そのようなお話も会話の中で出てくるというところから、何か行ったときの情報みたいなものが社会福祉協議会さんとか自治体さんにお戻しすることがお手伝いにならないかなというところから、この「まごころ宅急便」というものが生まれた経緯がございます。

よって「買い物の不便さを解消」とか「地域商店の活性化に貢献」とお題目には書いてありますけれども、そもそものきっかけというのは、お買物に困っている方に何かお手伝いできないかというところがきっかけになっているお話です。

これは、2010年の9月に岩手県の西和賀町というところで運用をスタートしました。くしくも震災の前の年、2011年の前の2010年の9月からスタートしましたというところがございます。スキームというか、運用の仕方は至って簡単で、御注文をボタンで押していただいて、何と何と何が欲しいというところの注文を受けまして、地域スーパーさんからお荷物を発送していただき、弊社が宅急便で届けると。当日のうちに届けられるように、午前中に御注文いただいたものは、その日のうちに夕方の料理に使えるように届けるというところをお手伝いしております。

当然行ったときに先ほどお話をしましたが、荷物を対面で渡していますので、何か困ったことはないとか、社会福祉協議会さんに御連絡をすることはないなどということをドライバーが聞いてきて、御連絡することがあれば、社会福祉協議会さんに共有をするというスキームになっております。これが岩手県西和賀町で取組を始めた「まごころ宅急便」という商品になります。

次のページ、項番2に「『プロジェクトG』への発展」と書きました。

これは聞き慣れない言葉かと思いますけれども、弊社の中では、地方自治体さんと連携をした取組を総称して「プロジェクトG」と呼んでいます。Gは「Government」という意味を込めて作りました。「Government」も大きな国とか県単位は最近出てきているのですけれども、どちらかというと、市町村自治体の地方の自治体さんとの取組を一緒に連携してやっていこうということを考えるようになりました。この「プロジェクトG」の概念を考えてみまして、書かせていただいたのですが、弊社の持っている経営資源みたいなものを有効に使っていただいて、地域における社会的な課題みたいなものが解決につながれば、その一助になればということで、取組を今、進めております。記載にないのですけれども、今、全国で1,300ぐらいの自治体さんとの御連携をさせていただいているという実績になっております。

項番3に「『プロジェクトG』が目指すもの」と書きました。

後ほどもお話が出てくるのですけれども、弊社もスタートのときはどちらかというと緩やかな見守りを、宅急便を配っているのだから地域を見てこられるでしょうと、お金をもらわなくても本業の中で見てきたものをちゃんと情報共有してよ、みたいな、対価をいただかない取組は結構多かったのですけれども、やっていく中で、ピンポイントの対象の方を見てきてほしいとか、そういうお話になってくると、弊社が利益を貪るという気持ちはさっぱりないのですけれども、継続的に続けられるだけの運転原資は要るものなのだと思うようになりました。それが左側にあるCSRという取組から、少しずつ本業を通じて解決していこうということで、CSVという考え方に取り組む形になってきております。

この社会の永続的な発展のために、運転原資を持ちながら取組を行う、それも弊社だけではなくて、いろいろなリソースをお持ちの地元の企業さんとか、NPOさんとかほかの企業さんとも連携をしながら取り組んでいこうということを考えるようになりました。地域課題の共有から提供内容の検討をしていき、支援モデルの創出、先ほど委員長からも冒頭ありましたけれども、同じ見守りという課題に対しても、地域が変わると少しずつ思っておられることが違ったり、その地域に合わせてカスタマイズしていけるようなものを作っていかなければいけないという認識を持つようになりました。

次のページ、項番4ですけれども、では、こういうサービスというものは本社が考えて作っているものなのでしょうかというお話がよく聞かれるのですけれども、私が知り得る限り、弊社の中で商品設計というものは、必ず現場の声というものがあって、こういう課題があるのだけれども、こういう商品は作れないだろうかということが話の中に出てきます。これはなぜかというと、右上のほうに書きましたが、弊社のセールスドライバー、要は外を回っているドライバーというのは、1日平均すると約400万回のお客さんとの接点を持っています。先ほども申したとおり、宅急便という商品は対面で手渡しでお渡しする商品ですので、お話をするというのが普通の行為だと認識しておりますので、対面でお渡しをする際に話をする機会を持っている、この宅急便という商品を使って商品設計ができるといいな、サービス提供ができるといいなと考えております。

加えて、このセールスドライバーというのは、今、全国に7万人ぐらいいるのですけれども、完全な比率で何割と言い切れないのですけれども、恐らく、肌感覚で言うと8割から9割はその地域の出身の人間がドライバーをやっています。よって、その地域の課題というものを、地域のドライバーはよく知っているというところがあるかなと認識しております。

項番5「プロジェクトGの取り組みから見えてきたこと」ということで、私も4年やりましたと今、申しましたけれども、この辺で感じていることを含めて少し御紹介させていただきたいと思います。

まず、進めるに当たっては、取組が地域の課題とかニーズに合っていないとなかなか続きませんということだと認識しております。

2つ目は、登場する我々も含めて連携をして、WIN-WINの関係にならないと続かないと認識しております。我々だけがよくてもだめですし、行政さんだけがよくてもだめなので、地域住民の方も含めて取り組むことで、みんながいいことだねということにならないと続かないと認識をしております。

3つ目は、先ほど申しました本業、弊社でいう宅急便という商品をうまく生かして外に出ているドライバーをうまく使っていただけるような商品が作れる、そういう取組であることがいいのかなと考えております。

4つ目は、継続しないといけません。先ほどCSRではなくてCSVという考えで取り組んでいますということになりましたが、若干の運転資金となるものは必要であり、補助金とか助成金で運用した経験もあるのですけれども、これは途切れるとサービスが終わってしまうということで、何が一番困るかというと、弊社が困るというよりも地域に住んでいる方が一番困るということになりますので、ここはきちんと意識をして、続けられるものを作っていこうねということを現場の社員にもよく伝えております。

5つ目に、行政さんの後押しと書きました。ここは規制緩和も含めて今、特区などの活用でモデルを作っておられる自治体さんも結構いらっしゃいますので、こういうところにきちんと一緒に取り組ませていただいて、いいものをモデルとして作っていきたい。加えて、先ほど民間企業同士というのもありましたけれども、行政さんも巻き込んだコンソーシアムみたいな形でみんながその課題に対して取り組む形というものを作っていけると、より取組が進むのではないかと考えております。

次のページからは、見守りというお題でしたけれども、少し弊社の取組を2つ御紹介させていただければと思います。

1つ目は、同じ「高齢者の見守り支援」ということなのですけれども、これは対象の方を決めて、自治体さんが、例えばお一人で住んでいる方とか高齢者の方のみで世帯を構成されている方に対して、お荷物を届けていただいた際に異変がないかということを確認いただくようなことが一緒にできないかということで、これは秋田県の湯沢市と書きましたが、いろいろなところで取り組ませていただいているのですけれども、ここに赤い字で「リコール品発見」とか、メーカーさんが「送料負担」ということが出ていますが、これはリコールを発生させたメーカーさんが経費を出していただいて、運営費を出して、その中に配送費をいただきながら、弊社がお届けをし、リコール品がもちろん見つかれば情報共有をして、危ない商品を回収しますというところまでお手伝いをします。

お届けに行ったお宅には、通常のとおり見てきますので、見てきた情報で異変があれば自治体さんにも共有するというような、これはメーカーさんも含んで、我々も含んで、民間企業がいろいろ入り込んで、御一緒になって高齢者のお宅に行けるような仕組み、仕掛けを作ってきたという取組になっております。運用の内容としては、基本的に先ほど紹介した「まごころ宅急便」と同じで、軒先まで対面でお荷物をお渡しに行きますので、見てこられるという環境が作れているかなと思います。

参考の2番目に「客貨混載輸送『ヒトものバス』」と書きました。

これはどういうお話かと言いますと、これも岩手県の事例なのですけれども、バスの荷台に荷物を積めるスペースを作っていただいて、弊社も今までそれを取りに帰って荷物を配達していました。バスもその路線を走っていました。かぶるような路線のところに、バスにお荷物が積めるような形にして、現地まで荷物を持ってきていただく仕組みを一緒に作った。

この取組を行った背景は、岩手県の重茂地区という一番奥の右側の下に行くエリアが書いてありますけれども、この地区の路線バスが廃線になるのではないかという危惧があったということで住民の方から声を聞いて、バスがなくなると、足がなくなってしまうので困るのだよねというような御相談をいただいたときに、弊社がバスを維持するなどということはできないのですけれども、少なくともバスが採算にのるかどうかは別として、弊社もそこにお手伝いをして荷物を載せるような仕組みを作って、運転資金を少しでも捻出していければバスが継続できるかもしれないということで、お手伝いをした次第です。

弊社もこの重茂地区に配達に回っているドライバーは、宮古というお店から重茂地区まで朝行って、お荷物を配り終わって、お昼から遠くから来る荷物が宮古の営業所に入ったときに、また戻って荷物を取りに行って帰るという往復のことをやっていたのですけれども、その地域にとどまってサービスの提供ができれば一番いいわけなのですが、空走の時間がたくさんあった。そこをバスが走る路線の中に荷物を載せて、宮古の重茂まで持ってきてくれるという形になりましたので、我々も非常に空走の時間がなくなった。下世話な話をすれば、当然事故もなくなるとか燃料も使わなくてよくなるとか、環境の面でもいろいろ影響が出るのかということで、これは昨年の6月にスタートした取組で、まだまだ試行の取組ではあるのですけれども、バス会社さんも弊社も住民の方も、もっと言うと行政さんも今までバスを維持するために助成をしていたというところを弊社で少し出させていただいて、一緒になって取組をして、その地域の方たちの生活が豊かになるような取組につながればということで取組を進めさせていただているような事例でございます。

簡単ですけれども、本日御紹介をさせていただきました。

先ほども、見守りというのは我々だけではできないと申しましたけれども、見守りは見る行為と守る行為がくっついているお話なのかなというところで言うと、弊社は外に出て、対面でお荷物を渡して見てくるというところのお手伝いができるのかなという思いで商品設計をしているつもりでございます。

簡単ですけれども、弊社の取組ということで、御紹介をさせていただきました。ありがとうございました。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの御説明の内容について、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。

大森委員、どうぞ。

○大森委員 ありがとうございました。

3点ほど質問があります。

まず1点目なのですけれども、ボタンによる注文ですが、高齢者の人にとって注文というのはとても難しくて、ボタンを扱うのも難しいし、たくさんの中から選択するということも疲れてしまう。そのようなところでどうされているのか、そのノウハウを教えていただきたいと思います。

もう1点は、1社では無理で、いろいろな企業が連携することが大事だと冒頭におっしゃいましたけれども、是非参画してほしい企業などがあれば教えてください。

最後です。素晴らしい取組で、是非いろいろなところで普及するといいと思うのですけれども、全国的に広げていく場合の課題などがあればお聞かせください。

以上です。

○河上委員長 では、よろしくお願いします。

○ヤマト運輸株式会社成保営業推進部プロジェクトマネージャー まず、1つ目のボタン注文のノウハウということなのですが、これは、この端末にある1つのボタンが「ごようきき」というボタンになっています。そのボタンを押すと、弊社の電話を受け取るコールセンターというところがあるのですけれども、そこにフラグが立つようになっていまして、どこどこの何々さんがボタンを押しましたよと。そこからコールバックをして、どうしましたというところを聞いて、基本的に「ごようきき」というボタンを押す場合はお買物を注文したいという御意思だというようにボタンの使い分けをしていまして、そのボタンをもとに御注文を伺って商品配達までつなげるという流れになっていまして、そこは社会福祉協議会さんが、このボタンを導入するときに非常に一軒一軒によく御説明いただいて、ボタンの色で赤いボタンもあるのですけれども、これは緊急というときに押したり、緑のボタンで言うと、1日1回押すと元気だよとか、朝起きていたよというものを告知するためのボタンみたいな形になっていますので、その中の一つの「ごようきき」ボタンみたいな形で活用していただいているということなので、結構身近にお住まいの方は毎日押すものだという認識ができていると認識しています。そのような形で、かなり社会福祉協議会さんが積極的にバックアップしてくれたということが運用できるような形に今、なっていると聞いています。

2つ目の、参画してほしい企業というのは、これはもういっぱいあるのだと思うのですけれども、例えばまだまだ弊社の中で御連携ができていなくて、こういう方が御連携できるといいなというのは、一つは医療関係というのは多分あるのではないかと。「高齢者」というキーワードの中にどうしても入ってくるのは医療とか医薬品などというところが出てくるのかなということで、先ほど紹介した松本もかなり医療関係の方と連携をすると、もう一つ、二つ厚みのある取組になるのではないかというのはよく言っています。

3つ目が、全国に普及させるためにというところですけれども、これはなかなか先ほど言いましたが、1,700自治体ありますと、見守りといってもまだやらなくていいよとおっしゃる自治体もあれば、早急に今、あるものをヤマトさん、取り入れてくれという方もいれば、かなり温度差があるかなと感じています。真にこういうサービスが必要ではないかと思うのは、私は田舎よりも都会だと思っていて、それはなぜかというと、隣近所との付き合いが疎遠になってきているというのが、どう見ても都会のほうが田舎よりも進んでいる感じがするというところなので、事が起きてからサービスを作るということではなくて、未然にそれを防ぐために何か取組をするという思いを自治体さんにも持っていただきたいと思いますし、弊社もその取組を紹介するときに、未然の予防のためにやっているのですというところをうまくお伝えできるといいなとは考えています。

簡単ですけれども、以上です。

○大森委員 ありがとうございます。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。

池本委員長代理、お願いします。

○池本委員長代理 池本と申します。

貴重なお話をありがとうございました。

私も質問の問題意識として、御社のこの取組がどうやったら広がりが作れるのかなという意識で聞いておりました。

そこでお伺いしたい点が2点ほどあるのですが、まず「高齢者の見守り支援」という湯沢市のモデルスキームのところで「リコール品発見 連絡・回収」と掲載されていました。それから、前のほうの「まごころ宅急便」のところで「お元気確認」という言葉がありました。つまり、宅急便で配達に行ったり、接触する機会を定期的に作れたときに、どういう声掛けをするかによってその情報がキャッチできるかどうかが決まるのではないかと思うのですが、そこの部分について、何かモデル地域の社内で、経験交流というか研修というか、何かこうやるといいのだよという情報をほかの方々に広げるということはなさっているのかどうか、その辺りをお聞きしたいというところです。「まごころ宅急便」、それから、後ろのリコール製品の場合です。

さらに、そういう経験交流、研修ということでいうと、個人の健康とか安全の問題であれば、外見からすぐ変調があるということが比較的見えてくると思うのですが、先ほどの製品のことで言うと、ただチラシをお渡ししても該当するかどうかわからない、ましてや、この頃話題になっている消費者被害的な問題で言うと、余り話し込んで詳しく聞く時間もないでしょうし、何かチラシなり、道具立てのようなものを工夫しておられるのかどうか、まさに接触場面での効果的な情報のやり取りをどうなさっているのかというところを教えていただければと思います。

○ヤマト運輸株式会社成保営業推進部プロジェクトマネージャー まず、リコール品のチラシを入れてお届けをするという取組については、事前に行政さんのほうからこういう案内文が届きますのでということを、広報誌なりとか、取組の内容を御紹介いただくような動きをしていただいています。突然我々が持って行って、リコールのチラシがあるので商品を探してねと言ったところでなかなかお伝えし切れるものではないと思いますので、こういう商品のチラシが入ってくる宅急便が届くので見てくださいというところをお伝えいただいています。

加えて、お届けする実際の商品の中に、リコール品のチラシを1枚入れて届けているのかというと、そうではなくて、自治体さんからの御案内文が入っていて、こういう趣旨のものでと、もう1回かみ砕いて書いていただいているものを同封していただいている。それをお届けに上がっているということなので、この場合の弊社のドライバーのお声掛けという意味で言うと、自治体さんから御案内が入っていますので、御覧になってくださいというところにとどめているという動きがあります。

一方で、お買物便というのは、これは弊社が届けるのですけれども、どちらかというと、お買物をしていただいているお受け人の方から代金をいただくような代引きみたいな設計になっていますので、お届けした際に、当然代金はお幾らですよ、中身はこれですよという形でお話をするので、ここについては基本的に余りトーク集みたいなものはなくて、買われた方、受け取る方によって、ドライバーは少しずつ会話を変えているのかなと思っております。そこについて本社のほうからこうしゃべりなさいとか、こういう話をしてきなさいというような建て付けのものは作っていない。現地になるべく合わせて、当然行く時期によっても、雪が降っている時期もあれば、暑い時期もあればというところで話す内容が変わってきますので、そこは完全にドライバーが現地に合わせて、個々に合わせて変えているというのが実情です。

○河上委員長 鹿野委員、どうぞ。

○鹿野委員 大変注目すべき先進的な取組についてお話をいただき、参考になりました。

私のほうでも、3点ほど質問をさせていただきたいと思います。

まず第1点は、先ほどの池本委員長代理からの質問に対するお答えの最後に出てきたところとも関わるのですが、かつての純粋な運搬、つまり品物を届けるだけということに、プラスアルファの業務が入ってくるわけですけれども、その部分について、皆さんこうやっていきましょうとか、こういう問題がありますなどという、社員教育あるいは勉強会という機会をお持ちなのでしょうか。恐らくドライバーの皆さんの意識、思いを共有するということがかなり重要だと思いますので、その点についてお聞きしたいと思います。

第2点ですけれども、おっしゃったようにさまざまな形で行政あるいはほかのいろいろな業種の企業等とも連携をする必要があると思いますが、まず、行政との連携についてお聞きしたいと思います。従来から既に連携をとってこられたというお話をいただいたのですが、このように行政と連携をとる際には、ヤマト運輸さんから行政に持ちかけたという形なのでしょうか。どういう形でスタートを切られたのでしょうか。恐らく多くの地方でこういう問題意識は持っていると思うのですけれども、どうやって誰に投げかけていいかということについては、行政としてもわかりにくいというか、思案されているところもあるのではないかと思いますので、一つのモデルケースとして、どういう形で進められてきたか、それについて更にお聞きしたいと思います。

第3点ですが、これを継続的に続けていくためには、運転の費用などをどう賄うかということが重要だと思います。先ほども運転原資が必要だとおっしゃり、補助金とか助成金を得てきたこともあるけれども、というお話もなさったのですが、現在は補助金とか助成金などはなくても、賄えているということでしょうか。補助金がなくてもそれを行うことによる利益は十分にあるということなのか、その点について、更に一言御説明をいただければと思います。

以上です。

○ヤマト運輸株式会社成保営業推進部プロジェクトマネージャー 1つ目の、社員教育というところ、特にまさにお客様の前に行ったときにどうするのかというところですけれども、これは高齢者の見守りのために宅急便を作ったので、特別な教育をしているかというお話で言うと、答えは多分ノーなのだと思います。どういう方にどういうものを届けるのかというのは、当然事前にドライバーには説明をしますけれども、先ほども申したとおり、それぞれによって、では、高齢者にはこう話せばオーケーというものというのは基本的にないと思っています。行ったときに、よく知っている高齢者の方もいらっしゃれば、よく宅急便が来られてドライバーが顔見知りになっている方もいれば、この取組をやって、初めてそのお宅に行ったというお宅も当然あって、そのときのお話の内容は当然変わってくるわけだと思いますので、ここについてはどちらかというと、投げやりになっているわけではなくて、現地を知っているドライバーが軒に行ったときに自分が思う対応、この方にはこう話さなければいけないというのは、我々よりもよく知っていると思っておりますので、取り組んでいる趣旨は、御説明は当然ドライバーにはするのですけれども、軒にまで行ったときの対応ということは、余り事細かにこちらからやるということはいたしておりません。

2つ目の、こういう取組を起こす上でのアクションはどちらからですかというお話があったのですけれども、従来は、どちらかというと私たちのほうからやりませんか、どうでしょうか、困っていることはないでしょうかという御用聞き的な感じが強かったと認識しているのです。ここ最近では、非常にありがたいことに、いろいろなところで御紹介をいただいたり「まごころ宅急便」も結構使っていただいたところもあるので、反対から声を掛けていただく、是非、ヤマトさん、やりたいのですと言っていただけるみたいなところもあったり、最近でもう少し色が出てきているのは、違う民間の会社さんが行政さんとお話をしている中に、ヤマトを取り入れたほうがいいのではないですかと、特に輸送、配送の本業の部分でヤマトが入ったほうがうまくいくのではないかというようなお声掛けをいただいて、一緒にやるという事例も実は出てきているという動きがございます。双方向で、今はあると認識いただければと思います。

3つ目の、運転資金というところですけれども、先ほど言葉が足りなかったと思うのですが、補助金、助成金は依存してはいけないと思うのですが、運用をスタートする際には当然かかる、例えば用意しなければいけないものとか準備するものというのはあって、そこについては補助金、助成金を使っていただいている自治体さんもございますが、基本は運転資金という中で言うと、例えばお買物というと、受益者が負担をするという仕組みもありますし、行政さんが主導でこれをやらなければいけないということになりますと、その市町村さんの予算という形でとっていただくという流れにして、続くような仕組みというものをそれぞれで考えるような形をとっています。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

まだまだ伺いたいことがたくさんあるのですけれども、次の議題との関係もございますので、この辺りで意見交換は終わりとさせていただきたいと思います。

本日、ヤマト運輸さんの取組や自治体等との連携におけるこれまでの御経験、課題等について御説明をいただきましたし、質疑の中でも非常に貴重な御示唆がいただけたと思います。

成保さんは決して1社ではと謙遜していらしたけれども、これだけのことを1社で始められたということ自体、心から敬意を表したいと思います。大変素晴らしい取組や工夫であろうと思いますので、本日いただいた御説明の内容やあるいは審議の内容について、今後予定しております取りまとめの報告書の作成に際して、是非参考にさせていただきたいと思います。

ヤマト運輸成保様におかれましては、お忙しい中、審議に御協力をいただきまして、誠にありがとうございました。

○ヤマト運輸株式会社成保営業推進部プロジェクトマネージャー どうもありがとうございました。

(成保営業推進部プロジェクトマネージャー退席)
(寺本座長、事務局着席)

≪3.特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会の報告について≫

○河上委員長 続いての議題は「特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会の報告について」であります。

特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会は、昨年6月の食品ワーキング・グループでの論点整理を受けまして、特定保健用食品を含む健康食品全般の表示・広告問題と、特定保健用食品の制度・運用について検討を行う場として、第193回の委員会本会議において設置を決定したものでございます。昨年8月の第1回から今年の3月に至るまで、計8回の会合を開催して議論を行っていただきまして、このたび報告書を取りまとめていただいたということであります。

本日は、同専門調査会の寺本民生座長にお越しいただいております。寺本座長におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

まずは、寺本座長から報告書の内容について御報告をお願いしたいと思います。事務局も手伝ってくれるということですけれども、合わせて30分程度で報告をお願いできればと思います。

○特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会寺本座長 寺本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

先ほど委員長から御紹介いただいたとおり、特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会は、消費者委員会の問題意識を受ける形で健康食品全般の表示・広告の問題、特保の表示・広告の現状と課題について、また、特保の制度・運用の現状と課題について、議論を行いました。今年の3月になりまして資料2の報告書をまとめましたので、御報告させていただきたいと思います。

表紙をおめくりいただいたところに目次がございますけれども、本報告書では、第1として健康食品の位置付けについての定義や審議経緯を記述した後、第2として今回の検討内容をまとめております。

この第2は大きく2つに分かれておりまして「1.表示・広告について」「2.特保の制度・運用について」となっております。

専門調査会において確認した現状をかいつまんで申し上げたいと思うのですけれども、表示・広告に関しましては、健康食品全般に関する消費者の知識が必ずしも十分ではないという状態は依然として続いており、その結果、国の制度に基づかない製品群で機能性の表示が認められていない「いわゆる健康食品」には、消費者が有効性について過信するような表示・広告が依然として存在することがわかりました。

特保につきましては「いわゆる健康食品」とは異なっておりまして、製品の有効性、機能性、安全性というものを国が確認しているため製品自体の信頼性は高いのでありますけれども、消費者が特保製品をどのように利用すればどのような効果を期待できるのかという点を確認せずに商品を利用している。その結果として、現在の表示・広告の一部においては、消費者の誤認につながっている可能があるということでございます。

今回の専門調査会の議論のために、特保を利用されている利用者の方々7,500人を対象といたしまして、意識調査結果を分析したのですが、報告書の14ページの表2-1を見ますと、特保製品に必ず表示されている、どのような効果が期待できるかということを示す許可表示を確認せずに製品を利用している人が7,500人中5,712人ということで、全体の7割に上っております。これは、どのような方法で利用すれば、どのような効果が期待できるかということを確認せずに特保を利用している人が多いということになります。

一方、製品のキャッチコピーや広告を見ている人は5,000人を超えておりまして、うち3,000人以上の人がキャッチコピーや広告を製品選択の参考にしているという状態がわかりました。

このように、消費者が正確な知識に基づかず製品を利用している状況の中では、特保でも一部の表示・広告の内容が消費者に実際より高い効果が得られるという期待を抱かせたり、特保として確認されていない効果を期待させたりという形で、消費者の誤った認識につながっている可能性がございます。

専門調査会としては、これらの表示・広告に関する問題点を改善するためには、消費者の理解を進めるための周知活動の強化、消費者の誤認を招く表示・広告の撲滅につながる取組の強化の両方が必要であるという結論に達しました。それに向けたさまざまな取組について、報告書に取りまとめました。取りまとめの詳細につきましては、後ほど事務局から報告書に沿って説明してもらいます。

専門調査会のもう一つのテーマでありますが、特保の制度・運用については、主として、再審査制や更新制、また、製品情報の開示について議論を行いました。

まず、再審査制及び更新制については、再審査制に基づく検討が1件も行われていないという現状を受けまして、果たして再審査制が有効に機能しているのかということについては、検証を行うべきだという結論になりました。

一方、更新制につきましては、一旦あったのですけれども、それを廃止したという経緯がございまして、それを復活させるということは、行政並びに申請者双方の極端な負担増加につながるということがあるため、今回の議論では、復活すべきという結論にはなりませんでした。

一方で、更新制がないために20年近く前に許可を得た製品が現在も同じ内容で販売されるという状況について、何かしらの見直しが必要という意見も出され、更新制の代替として、かなり以前に許可を受けた製品の再評価を必要に応じて行える仕組みを再審査制に組み入れることなどを対策としてまとめております。

また、特保製品の情報開示については、現在義務化されておりません。一部の製品については公開されていることを確認しましたが、このため、販売中の製品情報は国の責任において開示を義務化すべきという結論になり、関与成分の情報提供なども含めて各種の必要な取組についてまとめております。

では、専門調査会としてまとめました「求められる取組」の詳細について、事務局より説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○事務局 では、事務局から報告書に記載しております「求められる取組」の部分を、抜粋して読み上げさせていただきます。

まず、23ページをお開きください。

初めに「(2)表示・広告に求められる取組」についてでございます。

「(ア)不正な表示・広告の適切な取り締まりのための行政の取組」として「マル1健康増進法に関する見直し」でございます。

取組につきましては、2段落目に記載がございまして、

「 健康増進法には、景品表示法に規定されるような『不実証広告規制』がなく、健康増進法に基づき疑義が生じた場合は、行政側が実証しなければいけないということが迅速な法執行の障害となっている。これを改善するために、健康増進法に『不実証広告規制』を導入することを検討すべきである。」

とされております。

次のページ、上から2段目、

「 更に、地方自治体による監視・指導において、自治体の指導のレベルにばらつきが生じないよう、また、より一層、適切かつ迅速に実施できるよう、健康増進法第31条の『著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示』の『著しい』の具体例を充実するなど、所管省庁において、法違反か否かの判断基準を一層明確化する必要がある。

なお、本専門調査会としては、上述の『著しい』という文言が健康増進法における監視・指導を難しくしていると考えるため、健康増進法から『著しい』という文言を削除することも検討すべきと考える。」

となっております。

次に「マル2特定保健用食品の審査等取扱い及び指導要領に関する見直し」についてでございます。

下から4行目からでございますけれども、

「 特保については、『特定保健用食品の審査等取扱い及び指導要領』(消費者庁次長通知)において、表示・広告に関する制限が示されているところであるが、同通知を見直し、許可を受けた際に確認されている効果を超える効果を類推させる表示・広告を一切禁止することや、適切な利用方法を利用者が適切に認識できるような表示・広告とすべきことを、明記すべきである。

適切な利用方法の認識に関する一例としては、企業が製品でアピールしたいことを製品表示や広告に記載する場合には、必ず国の健康政策・栄養政策として国民に常に認識してほしい事項(国の定めた定型文)と並列して表示しなければならないといった、一定のルールを設けることもあり得ると考えられる。

また、表示・広告に関する制限の運用について、表示許可を受ける事業者が明確に理解できるよう、具体例などを用いて、Q&Aやガイドラインにおいて更なる明確化に努めるべきである。」

とされております。

「マル3その他」といたしまして、

「 健康増進法による監視・指導にあたり、監視機能を強化すべきである。行政だけで監視を行うことには限界があるため、栄養士やアドバイザリースタッフなど第3者がサポーターとなるような仕組みの検討も有効と考える。また、行政手続法第36条の3や食品表示法第12条第1項の申し出制度の活用が更にされるよう、これらの申し出制度を、消費者や上述の専門家などに周知することも有効である。」

となっております。

次に「(イ)事業者・事業者団体による取組」についてでございます。 「マル1自主基準の強化」といたしまして、26ページの上から6行目でございますけれども、

「事後チェックで指摘を受けた事業者に対し是正状況のフォローアップを実施することや、『公正競争規約』を設けるといった工夫が、特保を製造する業者間で行われることを期待する。」

となっております。

次に「マル2適切な利用対象者・使用方法の表示・広告への明示」でございます。

「 各特保の機能に照らして、もともと当該特保を利用する必要の乏しい消費者が、製品の効果を誤認して商品を利用しないよう、製品の販売にあたって、製品を適切に使用できる摂取対象者や使い方などを、今よりも具体的に判りやすく表示するといった対策が望まれる。

ただし、判りやすい表現は、現在の言い切り型の表示のように、かえって誤認を生む可能性もあるため、消費者の誤認を生まない形で行う必要がある。そのためには、行政の相談や、消費者団体も交えて一定のルール作りを行うなどにより、判りやすさと具体性のバランスを十分に検討する必要がある。また、その際、現在の表示は、販売促進を目的とした事業者目線で作られる傾向にあるが、表示は本来、消費者が適切な商品選択を行うためのものであることを踏まえ、一義的に消費者が適切な商品選択に利用できる表示であることが必要である。」

となっております。

次に「(ウ)消費者等への周知」でございます。

一番下の行からでございますけれども、

「 消費者が、『賢い食の選択』、すなわち食選択をどのようにしたら健康が維持できるかという基本的考え方の醸成の観点から、バランスの良い食生活が基本であることとともに、特保をはじめとする保健機能食品の違いや使い方に関する留意事項、保健機能食品や『いわゆる健康食品』等に含まれる各種成分の過剰摂取に関するリスクについて、更に、各種成分は通常の食品ではどのようなものから摂ることができるか、もしくは摂れないかといった基本的情報を、1日も早く、正しく認識できるよう、BS・CSも含むテレビをはじめとして、新聞・雑誌・インターネットも利用し、今以上に、より多くの人の目にとどまる形で政府広報を行い、周知を行っていく必要がある。併せて、対象別に周知方法を変えるなど、よりきめ細かい対応を行う必要もある。

また、事業者や広告制作者等の製品販売に係わる人に対しても周知を行っているが、依然として正しい知識を取得していない人がいると思われるため、事業者や流通・販売に係わる人向けの周知も、より一層行う必要がある。」

とされております。

その上で、対象者別の取組としてマル1からマル4「マル1食育・消費者教育を通じた青少年向けの取組」「マル2テレビ等を通じた高齢者向けの取組」「マル3消費者ホットラインの一層の活用に向けた周知」「マル4製造企業・流通・広告の各業界関係者への啓発」とまとめられております。

続きまして、28ページの「2.特保の制度・運用について」でございます。

「(1)健康食品における特保制度の位置付け」について「(イ)求められる取組」には2つございまして「マル1表示・広告の適正化と特保の正しい利用の促進」「マル2条件付き特保の見直し」となっております。

マル2につきましては、4行目の後ろからでございますけれども、

「機能性表示食品制度が導入されたことを踏まえ、作用機序等が曖昧な場合に該当する『条件付き特保』が、今後も特保の一形態として存在する必要があるかについて、検討を行うべきである。」

とされました。

続きまして、「(2)再審査制・更新制」についてでございます。

「(イ)求められる取組」は31ページから記載がされております。

「マル1再審査制の実効性確保のための体制整備等」でございますが、下から2段落目でございます。

「 現在の再審査制が有効に機能しているかの確認を行うために、新たな科学的根拠の報告が1件もない現状が、事実と整合性を有しているかの検証を早急に行うべきである。」

とされまして、32ページ、3行目からでございますけれども、

「消費者委員会・食品安全委員会とも連携して、新たな科学的知見を収集できる体制を充実し、事業者の報告と併せて分析を行うことで、再審査を行う必要があるか否かを科学的・中立的に判断する体制を、早急に整えるべきである。」

とされております。

続きまして「マル2更新制に代わる取組としての再審査要件の見直し」でございます。

マル2の項目の下から3行目でございますけれども、

「更新制の代替として、再審査の要件に、試験水準の大幅な変化が含まれることを明らかにし、その点も踏まえて、再審査の必要の有無を検討すべきである。」

とされております。

「マル3収去調査の実施」でございます。

こちらは健康増進法に特保の収去調査に関する項目というものは既にございますけれども、現在実施がされていないため、製品の品質確認のため、収去調査を行うべきということを指摘されております。

次に、33ページ「(3)検証データの質」でございます。

「(イ)求められる取組」の「マル1申請の受理審査過程におけるUMIN登録の確認」についてです。

33ページの下から4行目でございますけれども、

「 検証データの質を一定に保つためには、UMIN登録が必ず行われることが有効であることから、上記指導要領にUMIN登録が必要であることを明記し、申請の受理審査の過程において、その有無の確認を確実に行う体制をとるべきである。」

とされました。

34ページ「(4)試験方法・審査等の明確化」についてでございます。

「マル1『特定保健用食品の審査等取扱い及び指導要領』の改定」としまして、

「 『特定保健用食品の審査等取扱い及び指導要領』を改定し、前述のUMIN登録に関する明示も含め、審査に必要な検証データの水準を実際の状況に即して明確化すべきである。」

という点と、

「特保制度の目的が『健康増進・食生活の改善』であることから、当該条件を満たさなければ平成27年12月に改定された上記指導要領第7項に規定する(1)~(8)の要件を満たしても、特保として許可されるべきでないことは明らかである。上記指導要領はこの点が不明であり、明確化の観点から改定し、『健康増進・食生活の改善』が基本的条件であることを明らかにすべきである。」

この2点を求めております。

次に「(5)規格基準型の適用範囲の拡大」についてでございます。

35ページの「マル1規格基準型の範囲拡大のための定期的検討」としまして、

「 事業者・行政双方の審査に係る負担を軽減するためにも、規格基準型の範囲を拡大することは必要と考える。しかしながら、規格基準型は専門家が有効性、安全性を確認しない分類であるため、『行政の事務的審査だけで、有効性・安全性がいかに担保できるか』という点を十分に見極め、問題のないものについてのみ拡大を行うことが重要である。」

とまとめられました。

さらに、その下でございますけれども、

「規格基準型の拡大検討は、有効性・安全性を確実に担保するために、専門家の意見を聴きつつ実施すべきである。また、基礎条件をクリアしたものを実際に規格基準化できるか否かを、定期的に検討する仕組みや体制も早急に確立すべきである。」

とされております。

次に「(6)製品情報の情報開示や成分等に関する情報提供」についてでございます。

36ページの中ほどから「(イ)求められる取組」に書かれておりまして「マル1特保の製品情報公開の義務化等」についてです。

「 国立健康・栄養研究所の自主事業として行われている特保の製品情報提供は、国の責任で情報公開の義務化を行い、販売中の全許可品について情報公開すべきである。情報公開を義務化するにあたっては、掲載すべき情報の形式や基準を国が明確化し、企業が混乱しないようにする必要がある。」

とされておりまして、1段落飛びまして、3段落目でございますけれども、

「 当該事業の実施主体は国とすべきだが、専門家によって情報提供事業を行ったほうが適切であるため、現在の国立健康・栄養研究所のデータベース(以下、「データベース」)の充実を図ることとし、国は、データベースの運営に係る費用を担保するため、必要な対策を講じるべきである。」

とまとめられております。

また「マル2一般消費者向けの製品情報の判りやすい解説」を求めております。

最後、37ページ「マル3専門家向けの客観的情報の充実」として、

「医療関係者や栄養士といった専門家が、消費者から相談を受けた際などに利用できるよう、関与成分同士や、関与成分と医薬品との相互作用情報について、各種研究で公表されている情報などの客観的情報を、追加すべきである。」

とまとめられております。

最後「マル4関与成分ごとの被害情報の閲覧」「マル5各関与成分の摂取上限値に関する検討」となっております。

説明は以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの報告内容について、御質問、御意見のある方は御発言をお願いいたします。よろしくお願いします。

専門調査会での議論は、私も何回か拝聴させていただきましたけれども、非常に熱心に議論をしていただきました。本会議の委員の間でも非常に関心の強い問題でございましたので、その都度、この状況については連絡を受けていたところでございます。

特にございませんでしたら、御報告はこういう形でいただいたということで、まずは、短期間に広範な問題について非常に目配りのきいた報告書をまとめていただいたということで、寺本座長を初め、委員の方々には心からお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。

続いて、この報告書の扱いについてでございますけれども、委員の間でも少し話題にはなっていたことではございますが、本日、阿久澤委員から正式に御提案があるということでありますので、阿久澤委員から提案の説明をお願いしたいと思います。

○阿久澤委員 それでは、私から説明をさせていただきます。

私は、専門調査会にオブザーバーとして参加してまいりました。先ほど寺本座長より御報告があったとおり、専門調査会において、特保を含む健康食品の表示・広告について、それと、特保の制度・運用について、現状における課題と対応策がまとめられました。

これらについては、具体的に関係省庁において対策を進めていくべきだと考えておりますので、この本報告の「求められる取組」の内容を、消費者委員会として建議にまとめ、関係大臣宛てに発出することを提案いたします。

この建議案につきましては事前に作成しておりますので、建議とすることに同意をいただけましたならば、配付させていただきます。

○河上委員長 阿久澤委員から、報告書の内容のエッセンスの部分を建議の形にしたいという御提案がございましたけれども、建議とすることについて御意見をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

「賛成」という声がございました。では、これを建議にさせていただきます。

それでは、報告書の内容を消費者委員会の建議としてまとめることにいたしますが、阿久澤委員が用意された建議案について、御検討をお願いしたいと思います。

事務局から、建議案を配付していただけますでしょうか。

初めに、阿久澤委員からこの内容について簡単に御説明をお願いいたします。

○阿久澤委員 では、建議案について説明させていただきます。

ただいまの配付資料を御覧いただければと思います。

まず、この本建議案は、第1の建議とする背景、第2の建議する事項によって構成しております。

まず「第1 はじめに」として、消費者委員会が専門委員会を設置するに至った経緯を1から7と数字が振ってありますが、7つのパラグラフに分けてまとめております。

最初の1から4につきましては、昨年6月に、私も所属しておりました食品ワーキング・グループがまとめた論点整理を要約して記載しています。

2ページ目、5は専門調査会の審議状況、6は報告書に記載されている現状確認のうち、主なものをここにまとめております。7は建議先について記述しており、今回の建議は消費者担当の内閣府特命担当大臣宛てとしています。また、消費者庁に対し、今年10月までに建議への対応状況について報告することを求めております。

3ページ目、「第2 建議事項」が、具体的な建議内容です。

ここで挙げている項目は全部で22項目あります。(ア)(イ)(ウ)と振ってあるところの事項です。全て専門調査会報告書の「求められる取組」の中から具体的提言に当たる部分を抽出したものです。

その上で、1として、消費者委員会として、早急に対応を求める事項、2として、消費者委員会として、早急な検討及びしかるべき対応を求める事項の2つに分類しております。

1は3ページから5ページ中ほどまでの記述ですけれども、報告を求める10月までをめどとして対応を求める事項です。2は1より比較的時間がかかると思われる事項について、まず早急な検討としかるべき対応を求めるものです。

内容は、報告書の内容と重複しますので、以下、簡単に御説明いたします。

1の早急な対応を求める事項には、全項目22のうち13項目を記載しております。

「(1)表示・広告の一層の適正化に向けた取組の強化」として「1)『特定保健用食品の審査等取扱い及び指導要領』に関する改定」です。特保の表示・広告について、指導要領を見直すことを求めております。

「2)特保における表示・広告に関する制限に関する周知」として、1)の指導要領見直しとともに、事業者向けに特保の表示・広告に関する制限の周知をより一層行うことを記載しました。

「3)健康増進法における誇大表示の範囲の一層の明確化」として、健康増進法第31条の「著しい」の具体的事例の充実と、今年4月から新しく執行機関となった都道府県等への周知について求めております。

「4)消費者等への周知の強化」として、これは事業者や広告制作者等の製品販売に関わる人も含めてということですが、今よりも消費者の目にとまる形で健康食品に関する基礎知識や特保制度の周知を強化することを求めています。

また、対象者の特性に合わせて周知方法を変えるといった、よりきめ細かい対応を求めております。

次に「(2)特保の制度・運用の見直し」として「1)『特定保健用食品の審査等取扱い及び指導要領』に関する改定」、指導要領を改定し、これは(ア)の部分になりますが、倫理的義務に関するUMIN臨床試験登録システムへの実施計画書の登録と(イ)に当たりますが、許可に当たっては「健康増進・食生活の改善」が基本的要件であることの明確化を求めております。

「2)収去調査の実施」「3)規格基準型の範囲拡大検討」「4)特保の製品情報公開の義務化及び内容の充実」を求めております。

なお、この4)では特保の製品情報公開を特保制度として義務化し、現在は、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所が自主事業として運営しているデータベースを、国が財政的に担保して運営する仕組みとすることなどを求めております。

続いて「5)関与成分に関する客観的情報の提供」として、現在のデータベースに追加する。そのことにより「6)データベースの機能強化」を求めております。これらは先に述べた4)に記載したデータベースの情報追加や機能強化を求めるものに併せて、専門家向けとして客観的情報を加えることを求めているものです。

続いて、2の消費者委員会として、早急な検討及びしかるべき対応を求める事項に移ります。

項目数は9項目です。

「(1)健康食品の表示・広告の適正化等に向けた取組の強化」として「1)健康増進法改正に関する検討」です。

健康増進法を改正して(ア)の「不実証広告規制」を導入することについて、(イ)に当たります、同法第31条の「著しい」という文言を削除することについて、検討を求めています。

次は「2)健康食品の表示広告に関する監視強化」です。監視機能の強化に向けた方策として、栄養士などの専門家の活用を求めております。

次のページ「(2)特保の制度・運用の見直し」といたしまして「1)条件付き特定保健用食品に関する検討」ですが、機能性表示食品制度導入を受けて、特保の中で作用機序が曖昧な場合に該当する「条件付き特定保健用食品」について、見直し検討を求めております。

「2)再審査制の有効性の検証と見直し」として、(イ)に当たります再審査制が有効に機能しているかの検討と、(ウ)に当たります新たな科学的知見などの情報収集体制整備のための検討を求めております。また(エ)ですが、更新制の代替として、再審査制に試験水準の大幅な変化という要素を加えることを求めております。

最後に「3)『特定保健用食品の審査等取扱い及び指導要領』の改定」により、(オ)ですが、審査に必要な検討データの水準を明確化することを求めており、4)の(カ)で規格基準型の検討に関わる体制整備となっております。

説明は以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

この建議案について、御意見を伺いたいと思いますが、どなたかございますでしょうか。

長田委員、どうぞ。

○長田委員 報告書に基づいて必要な事項が網羅的に入っており、この建議案をそのまま支持したいと思います。

○河上委員長 ありがとうございました。

ほかにはいかがでしょうか。

池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 池本です。

私もこの建議案について賛成する立場で、一言発言したいと思います。

健康食品の問題は、特に消費者一般の期待度と表示との間で、今、機能性表示食品のことも含めて、さまざまな制度の中で消費者の混乱が起きているところがあります。その中で、まず一番その中核にあるこの特保について、健康増進法について、法制度のところも含めた当面の対応と法制度に関わる対応とを分けて建議を出し、それぞれについて検討していただくということ、特に、法制度の検討のところについては、健康増進法では「不実証広告規制」のこと、あるいは「著しく」という言葉のこと、これは関連する制度との関係も含めたしっかりとした検討をしていただいて、実効性のある法制度にしていただくということが重要なことで非常に注目しているところですので、是非これを受け止めていただきたいという思いも含めて、これを推し進めていただきたいと思います。

以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。

内容的には、これは特に修正は必要ないということですね。

○池本委員長代理 はい。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。よろしゅうございましょうか。

「健康食品」という言葉自体が、なかなか今まではっきりしなかったのですが、今回の報告書で非常にすっきりと定義をしていただきまして、国の制度で機能性の表示が認められている保健機能食品と、機能性の表示が認められていない「いわゆる健康食品」という概念が混在しているのだという話でございました。こういう形で整理していただき、ありがたく思いました。

では、特に御異論がないようですので、ただいま追加資料でお配りしました建議案のところから、「(案)」を取っていただいて、本日の日付である4月12日をここに入れていただくことにして、発出をしたいと思います。どうもありがとうございました。

阿久澤委員も御苦労様でございました。

本日の議題は以上になります。


≪4.閉会≫

○河上委員長 最後に、事務局から今後の予定について説明をお願いいたします。

○丸山参事官 次回の本会議の日程や議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページ等を通じてお知らせさせていただきます。

なお、この後16時20分をめどに当会議室におきまして、報道機関の皆様を対象といたしました、委員長記者会見を実施いたします。

委員におかれましては、事務的な連絡事項がございますので、委員室のほうにこの後お集まりいただきますようよろしくお願いいたします。

○河上委員長 本日はこれにて閉会とさせていただきます。寺本座長には、最後までありがとうございました。

○特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会寺本座長 どうもありがとうございました。

○河上委員長 お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)