第211回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2016年1月27日(水)13:00~16:28

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    河上委員長、池本委員長代理、阿久澤委員、大森委員、蟹瀬委員、鹿野委員、長田委員、中原委員、樋口委員、増田委員
  • 【説明者】
    厚生労働省 佐藤 老健局高齢者支援課長
    国土交通省 和田 住宅局安心居住推進課長
    石崎 住宅局建築指導課長
    眞鍋 住宅局住宅生産課長
    北村 土地・建設産業局建設業課長
    奥田 土地・建設産業局不動産業課不動産業指導室長
    川浪 土地・建設産業局不動産業課不動産業指導室不動産業監視官
    消費者庁   鈴木 消費者政策課長
    消費者政策課 担当者
  • 【事務局】
    黒木事務局長、小野審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 消費者基本計画の検証・評価・監視について
    (1)高齢者向け住まいにおける消費者保護について
    (2)マンションにおける基礎ぐい工事問題について
  3. 消費者安全の確保に関する基本的な方針の改定について
  4. その他
  5. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○河上委員長 それでは、時間になりましたので、始めさせていただきます。

本日は、皆様お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会第211回本会議」を開催いたします。

それでは、配付資料の確認をお願いいたします。

○丸山参事官 お手元に配付させていただいております議事次第の下部のほうに配付資料一覧を記しております。

まず、資料1につきましては、高齢者向け住まいの関係ということで、厚生労働省と国土交通省の提出資料になっております。

それから、資料2といたしまして、基礎ぐい工事問題についての資料となっております。

それから、資料3につきましては、消費者安全に関する基本方針の改正に関わる資料となっております。

それから、参考資料につきましては、1から6ということになっております。

もし、お手元のほう、不足がございましたら、事務局のほうまでお申し出いただきますよう、よろしくお願いいたします。


≪2.消費者基本計画の検証・評価・監視について≫

○河上委員長 最初の議題は「消費者基本計画の検証・評価・監視について」であります。

昨年12月には電気通信サービスに係る消費者保護及び商品先物取引法の不招請勧誘規制緩和後の現状について、それぞれヒアリングを行ったところですけれども、本日は、まず最初に「高齢者向け住まいにおける消費者保護について」、その次に「マンションにおける基礎ぐい工事問題について」、関係省庁の取組状況について御説明いただき、意見交換を行いたいと思います。

高齢者向け住まいにおける消費者保護については、当委員会において、平成22年12月に「有料老人ホームの前払金に係る契約の問題に関する建議」を発出しまして、その後、フォローアップを行っているほか、現行の消費者基本計画策定の際にもヒアリングを行っております。その際、当委員会からは、未届施設も含む高齢者住まいの施設・サービスの利用に係る契約上の問題に関する実態把握と、退去時に高額な退去費用の支払が求められる等のトラブルを防止するための事業者に対する処分・指導、サービス付き高齢者向け住宅に関する実態把握のための調査と消費者被害への対応などについて、基本計画に明記するよう意見表明を行ったところであります。

また、サービス付き高齢者向け住宅については、昨年11月の委員会本会議において、私のほうから、事業者が廃業・倒産等をした場合の消費者保護について、委員会としての問題意識を申し上げたところであります。

本日は、基本計画に明記された施設やサービス付き高齢者向け住宅の現状について、厚生労働省及び国土交通省からヒアリングを行いたいと思います。厚生労働省及び国土交通省におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、まことにありがとうございます。

まずは、御説明を両者合わせて20分程度でお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○厚生労働省佐藤老健局高齢者支援課長 それでは、厚生労働省高齢者支援課長の佐藤でございます。よろしくお願いします。

お手元の資料1-1におきまして、有料老人ホーム関係について御説明申し上げたいと思います。消費者委員会の皆様方におかれましては、日頃より有料老人ホーム、また、消費者の保護に対しまして、いろいろ御指導賜りまして、ありがとうございます。

まず、1ページから参りたいと思います。

消費者基本計画におきましては、高齢者向け住まいにおける消費者保護のための具体的な施策といたしまして、届出の促進及び前払金の在り方について述べられてございます。特に前払金につきましては、平成26年度までの実態把握を行うこととしておりまして、その実態把握等を踏まえて在り方を検討することとされております。

27年度の実施状況といたしましては、下に書いてございますとおり、特に前払金につきましては、平成26年度に実態把握の調査を行いましたので、この調査等を踏まえまして、運用等に関して適正かつ透明性を更に高められるよう課題の整理等を行い、引き続き検討してまいることと考えてございます。

以下、前払金の実態調査及びその調査結果を踏まえた対応等について御説明を申し上げます。

2ページをお願いいたします。

まず、前払金に関するこれまでの制度改正の経緯を前提として振り返りたいと思っております。平成18年と24年の2回、改正を行っておりまして、24年の改正は消費者委員会の建議を受けたものでございます。

平成18年の改正におきましては、入居者保護の充実といたしまして、上から4つ目にございますとおり、倒産等の場合に備えた一時金の保全措置の義務化を図ってございます。最大500万円までということでございます。

そして、平成24年の改正におきましては、1番上にございますように、入居後一定期間の契約終了の場合に、前払金を返還する契約を締結することを義務化したところでございます。

そして、その制度を担保するために、3ページに参りますけれども、有料老人ホームに対する改善命令・罰則につきましても、左下の青の手続違反の改善というところにございますように、手続上の違反行為が認められた場合には、権利金の受領の禁止あるいは前払金の保全措置、そして返還契約に関する違反が認められた場合には、改善に向けて指導していく。そして、必要に応じて命令ができるということで、罰則も付いているということでございます。こういった改正の経緯を踏まえまして、それ以降、改正法の運用の定着・徹底を図ってきているところでございます。

そして、昨年度のヒアリングも踏まえまして、その後の調査の状況につきまして、以下、4ページ以降、御説明を申し上げます。

まず、前払金の保全措置の実態についてでございますけれども、これは一昨年の10月31日現在、私ども行政、国が行っておりますフォローアップ調査の現時点の最新のものでございますが、保全措置を講じていない有料老人ホームが、この赤の117ございます。

右側、御覧いただきますと、法律的な手当をして以降、違反率といいますか、保全措置を講じていない割合というのは、徐々にではございますけれども、減ってきているというのがまず1つございます。毎年、有料老人ホームの数はどんどん増えておりまして、直近平成26年度におきましては、資料にはございませんけれども、9,600弱の施設、そして定員にしまして39万人弱になっておりまして、平成18年に定義を改正し、人数要件の撤廃、あるいは食事以外のさまざまなサービスを提供することも含めて、有料老人ホームに該当する定義を見直したこともあり、年々、数が増えているということでございます。そういった中で違反率が減ってきておるけれども、依然として117のホームが保全措置を講じていないという状況でございます。

一方、同時並行で、事業者あるいは消費者あるいは利用者を対象として、もう少し調べていく必要があろうということで、5ページ以降になりますけれども、事業者・消費者サイドを中心とする実態調査をいたしました。具体的には、5ページの左にありますように、施設長へのアンケート調査、そして消費者の方々へのアンケート調査でございます。以下、調査の結果について概要を御説明申し上げます。

6ページをお願いいたします。

まず、前払金の制度そのものがどの程度周知されているかということでございます。これは、行政のほうは、当然、毎年の意思疎通によりまして周知が図られているわけでございますけれども、そこから事業者あるいは消費者にどこまで伝わっているかということでございます。保全措置が義務化された平成18年度以降に、前払金を支払い、入居した入居者の方々について、お聞きしたところ、この中で棒グラフの緑と赤が内容までは余り知らなかったということでございまして、全体としては6割弱が保全措置についてはまだ理解されていないという状況でございまして、今後、さまざまな形で周知を行っていく必要があるという状況だと認識してございます。

それから、2点目でございますが、7ページをお開きいただきますと、一方で保全措置を講じる上での課題といたしまして、ホームの施設長に対して、どんな課題があるかということを聞いたということでございます。

下にグラフがございますけれども、課題がないと答えた方も3割程度おるわけでございますが、課題があるという中では、「保全措置導入時の初期費用が高額」である、あるいは「保全措置にかかる年間管理費用が高額」であるという回答がございました。

保全措置そのものは、銀行あるいは信託会社のほかに、全国有料老人ホーム協会の入居者生活保証制度というものを活用・選択できることになってございますけれども、それぞれで当然費用が違ってくるわけでございますけれども、施設長側としては、その初期費用や年間管理費用がかかる。一方で、手続が簡単な場合には、それほど負担にならないという認識が明らかになったところでございまして、引き続き、そういったところを注視していく必要があると考えております。

続きまして、8ページでございます。

3点目といたしまして、有料老人ホームは都道府県への届出という制度によって、都道府県等が把握して指導していくことになっておりますけれども、行政のチェック機能で見ますと、この前払金の保全措置につきましては、下のグラフを御覧いただきますと、マル1の「重要事項説明書において保全措置の記載があるか」どうかということをチェックするということ。あるいは、マル2の「保全機関との保全契約の締結状況(実際に契約を締結しているか)」どうかということをチェックするという2点においては、ケース・バイ・ケースで確認ということも含めますと、マル1のほうはほとんどの自治体が確認しております。

それから、マル2の今申し上げた締結状況のほうも、多くが確認しているという状況になっております一方で、およそ4分の1以上の自治体が、それ以上の具体的な内容まで踏み込んだ確認まではされていないという状況でございます。ある意味、行政のチェックがどこまで細かく行き届くかというところについて、今回、具体的にわかってきたことかと思っております。これにつきましては、重要事項説明書を公表していくとか、行政のチェック機能にある意味よらないようなやり方というものももう少し考えていく必要があると認識しております。

そして、4点目でございますけれども、最後、保全措置等による消費者保護の取組の促進ということでございまして、9ページでございます。

保全措置の具体的な手続について、入居者の方々等にお伺いしてみたところ、実際に保全機関から保全されていますという保証書、保全の証書の交付を受けるケースが多くございますけれども、交付を受けていない方が見られました。要は、ホームを通じて、利用者の方々、入居者の方々に保全証書を交付するということがございますけれども、そこまで行っていないということが見られました。右のほうは施設長アンケート、左が入居者のアンケートでございます。

消費者保護を担う一方で、行政の多くが保全措置の必要な入居者を把握していない。入居者単位で行政がどこまで把握できるかという課題が浮かび上がってきたという状況でございます。

おめくりいただきまして、10ページでございます。

以上を踏まえまして、これは調査と同時並行の部分がございますけれども、まず上のほうでございます。指導の強化を図っていただきたいということを都道府県等に要請してございます。平成26年度の今回の実態調査の結果では、老人福祉法に基づく前払金の保全措置が義務付けられている施設のうち、保全措置が講じられていない施設が多数、約10%弱でございますけれども、117存在し、法令遵守が図られていないという実態が確認されました。調査開始以降、違反物件の割合が初めて1割を下回り、一定程度の改善傾向は見られたものの、違法なホームが依然、多数存在している都道府県等があることは遺憾であり、市場全体の信頼を揺るがしかねない事態であるという認識のもとに、入居者保護の観点から指導を徹底していただきたいと要請させていただいているところでございます。

具体的には、ホームの事業者に対して、法令違反だということをしっかり措置を講ずる必要があるということを周知徹底していただきたいということ。

それから、行政のほうで検査、改善命令等の改善に向けた取組を実施していただきたいということでございます。罰則の適用も辞さないということを申し上げております。

あわせまして、7月に、これは定期的な調査を行っていることに合わせまして、同様の指導の徹底について呼び掛けてございます。

そうした状況でございまして、今後の検討スケジュールといたしましては、11ページにございますように、有料老人ホームにおける実態調査等を踏まえ、適正かつ透明性を更に高められるような課題の整理を引き続き行っていきたい。特に今回、感じておりますのは、行政の指導とともに、これから御説明申し上げますけれども、事業者自ら、あるいは事業者団体といったところがしっかり取り組めるかということが課題として浮かび上がってきたと思っております。消費者の観点からすれば、一定の情報開示をより一層しっかりしていくことと併せまして、事業者自ら、あるいは事業者団体の取組というものも1つ浮かび上がってきたと思っております。

その関連で、12ページから簡単に申し上げますと、前払金の保全措置の選択肢の1つとして、有料老人ホーム協会、これは老人福祉法に位置付けられた公益社団法人でございますけれども、この協会の入居者生活保証制度というものが平成3年からスタートしてございまして、これは倒産等により居住の場の提供及びこれに伴う各種サービスの提供に債務不履行が生じた場合に、入居者お一方当たり500万円支払うというものでございます。協会の会員企業、会員の事業者が一定の拠出金を負担することによって、入居者の保護が図られるということでございますけれども、平成18年に義務化されて以降、この運用状況が伸びてきておりまして、ここ数年、伸びが緩やかになってございますものの、毎年少しずつ伸びてきておるという状況でございます。

実際の保証事由の発生状況につきましては、12ページの下の表に書かせていただいたとおりでございまして、実際に保証の実行がなされている例がございます。

次に、13ページをお開きいただきますと、いわゆる倒産等に至る手前の段階で、経営が危ない、あるいは災害があって、実際、入居されている方々へのサービスの提供が難しくなったような場合に、入居者の生活及び事業者の運営のサポートを行う仕組みも、その協会のほうで設けております。こちらのほうは、詳細はちょっと省略いたしますけれども、これまで平成13年1月には、協会自身が事業の承継先を選定したということ。あるいは、東日本大震災でも約700人分の情報を提供した。会員企業からも協力できるというところがございますと、そこを募って、被災したホームに対して情報提供する。このときには、非登録ホーム、非会員のホームに対しても情報を提供してございます。

最後に、おめくりいただきまして、14ページでございます。今、申し上げた2つの仕組み、倒産時の生活の保証、それから経営が困難になりつつある場合、なった場合における入居者への生活の支援という仕組みによらずに、協会が独自に事業引継先の確保に向けて取り組んだ事例というのが、ヒアリングをしまして、今、ここに掲げてございますようなところでございます。いずれも詳細は省略いたしますけれども、管財人の方々に対して、いろいろ要望書を提出するという活動をしているという状況でございまして、引き続き、そういった取組を進めてまいりたいと聞いておるところでございます。

厚生労働省からは以上でございます。

○国土交通省和田住宅局安心居住推進課長 国土交通省の安心居住推進課長の和田でございます。

国土交通省の資料のほうを1枚おめくりいただきたいと思います。初めに、サービス付き高齢者向け住宅の運営事業者が破産等した際の入居者の保護について御説明させていただきたいと存じます。

高齢者住まい法の第43条、条文は下のほうに載せておりますけれども、こちらにおきまして、サービス付き高齢者向け住宅の登録事業者の破産等があった場合、都道府県知事が入居者の居住の安定を図るための措置を講ずるよう努めることとしております。

その内容につきまして、さらに、高齢者住まい法の施行通知、これは平成23年に発出されたものですが、こちらにおきまして、居住の継続が困難になる入居者に対する措置の例といたしまして、1つは、当該高齢者に適したほかの賃貸住宅等のリストの提示ということ。もう1つは、入居に必要な公的主体による支援措置の紹介ということを提示しております。この趣旨を踏まえまして、都道府県におきまして対応していただいているところでございます。

1枚おめくりいただきたいと思いますが、話がまた変わりまして、「サービス付き高齢者向け住宅の整備等のあり方に関する検討会」での議論について御説明させていただきたいと思います。

この検討会につきましては、メンバーは左側にございますが、委員の方5名とオブザーバーということで掲載しておりますけれども、国土交通省と厚生労働省が協力して議事を進めております。

開催の経緯、右側にございますが、平成26年9月に検討会を設置いたしまして、サ高住に関する施策の見直しについて検討を行っていただいているところでございます。

昨年4月に中間取りまとめを公表いたしております。その内容について、次のページで説明させていただきます。

4ページと次のページにまたがるわけですけれども、中間取りまとめにおきましては、サ高住の現状、そして課題を整理した上で、今後取り組むべき主な対策について取りまとめたものでございます。

主な対策ということで、大きな柱としては4つございます。サ高住の適切な立地の推進、それから、次のページになりますけれども、サ高住の質の向上、介護サービス利用の適正化、地域における生活支援サービスの提供体制の確保ということで、この4点、大きな柱として提言がされております。

4ページのほう、主なものを説明させていただきますが、サ高住の適切な立地の推進という項目がございます。

大きな柱としては、(1)になりますけれども、市町村において介護保険事業計画を作成しているわけですけれども、こちらの計画と整合する形で高齢者居住安定確保計画におきましてサ高住の供給方針の明示を推進するということで、こうした供給方針に即した形でのサ高住の整備を促進すべきであるということが1つうたわれております。

それから、(4)のほうを説明させていただきますが、サ高住につきましても、単なる高齢者の住まいということではなくて、例えば24時間対応の定期巡回・随時対応サービスであったり、小規模多機能型の事業所を併設したもの。つまり、地域の要介護者の方にとっての住まいとしての機能、プラス地域へのサービス供給の拠点といった機能も併せ持つ形でのサ高住。我々、名称を拠点型サ高住という言い方をよくしますけれども、こういった拠点型サ高住の整備を推進すべきであるということもうたわれております。

それから、5ページのほう、主なものの説明だけで大変恐縮ですが、御覧いただきたいと思います。

サ高住の質の向上の項目につきましては、さまざまな対応をしていく必要があるだろうと思います。ここに掲げてあるものとしては、例えば見守りや生活相談サービスの質の向上を図るために、サービスの提供体制を強化していくということ。それから、地域の医療・介護サービスとの適切な連携を確保していくといったこと。あるいは、自治体による指導監督を適切に行っていくとともに、サ高住の運営あるいは医療機関との連携等に対しまして、第三者による評価の指標を検討するといったことも提言されております。

それから、介護サービス利用の適正化というところにつきましては、保険者によるケアプランの調査・点検強化等によりまして、ケアプランの適正化を推進していくといったことが提言されております。

それから、地域における生活支援サービスの提供体制の確保といったところでは、居住支援協議会によります地域の居住支援に係る取組の実施といったこと。あるいは、地域のNPOなどとも連携した形で生活支援のサービスを提供していくといったことも盛り込まれております。

こちらの検討会につきましては、中間取りまとめが昨年4月に取りまとめられましたが、その後、10月から議論を再開しておりまして、まだ現在進行形という段階でございます。めどとしては今年度末ということなので、この春を目途に一定の取りまとめを行うべく作業を進めさせていただきたいと考えております。

それから、1枚おめくりいただきまして、この検討会の中間取りまとめでも盛り込まれておりました居住支援協議会について、概要・取組を説明させていただきます。

こちらの居住支援協議会につきましては、もともと住宅確保要配慮者、例えば低所得の高齢者であったり、障害者であったり、子育て世帯であったり、そういった方が念頭にありますけれども、そういった方が民間の賃貸住宅に円滑に入居できるようにしていくということを目的に、プレーヤーとしては地方公共団体と不動産の関係団体と居住支援団体等が連携する形で居住支援協議会を設置することになっております。この居住支援協議会を通じまして、住宅確保要配慮者及び民間賃貸住宅の賃貸人の双方に対しまして、住宅情報の提供等の支援を実施していくことにしております。

設立状況ですけれども、現在、全国で53の協議会が設立されております。都道府県レベルでは41、区市では12、ここに掲げてあるものでございます。都道府県レベルにつきましては、本年度中に全47都道府県で設立を行っていただく予定にしております。

それから、活動内容ですが、これは協議会によって活動内容・取組が異なっておりますけれども、ここに掲げておりますが、メンバー間の意見あるいは情報交換のほか、要配慮者向けの民間賃貸住宅の情報発信、紹介・斡旋であったり、住宅相談サービスの実施というところが基本になります。そのほかに、民間の事業者あるいはNPOとも連携しながら、家賃債務保証制度や安否確認サービス等を紹介したり、講演会を開催するなど、そういった工夫を凝らした取組を行っているところもございます。

こちらにつきましては、立ち上げ、そして居住支援協議会の取組を支援すべく、国土交通省から予算面での支援を行っているところでございます。

それから、1枚おめくりいただきますが、もう1つ、お求めにありました高齢者住まい法の改正について御説明させていただきたいと思います。

こちらにつきましては、平成27年の地方分権改革の関係で、地方からの提言・提案がございました。これについて、昨年来、検討していたわけですけれども、対応方針が昨年12月に閣議決定されました。こちらに抜粋を掲載しておりますが、その中で、高齢者住まい法を改正するということで、内容的には、高齢者居住安定確保計画、こちらにつきましては、現在の法律では都道府県が策定することになっているわけですけれども、この対応方針の中では、この計画を市町村が都道府県と協議の上、定めることができるようにする。それと、市町村が作成する計画に基づきまして、サ高住の登録基準の強化・緩和を行うことを可能とするといったことが盛り込まれております。これに対応した法律改正に向けまして、現在、検討・調整を進めているところでございます。

この法改正の趣旨・目的をちょっと申し上げますと、今回、この法律改正を行うことによって、もともと介護保険行政というところでは市町村が中心なわけですけれども、市町村が今回、高齢者居住安定確保計画を定めることができますので、住宅施策と福祉施策・介護施策との連携というところが促進されるのではないかと考えております。また、市町村が登録基準を強化あるいは緩和することができるということになりますと、それぞれの地域の実情に応じた形でのサービス付き高齢者向け住宅の供給促進が可能になるといった効果もあると考えております。

こちらにつきましては、地方分権改革の動きを踏まえまして、本年の通常国会に地方分権一括法が提出される予定となっておりますが、その中で高齢者住まい法を改正して、ここに掲げました措置を位置付けたいと考えております。

あと2枚、高齢者居住安定確保計画と、その次にサ高住の登録制度の概要について、参考までに付けさせていただきましたが、時間の関係で説明のほうは省略させていただきたいと思います。

私からは以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの報告内容について御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。

長田委員、どうぞ。

○長田委員 厚生労働省から御説明いただいた資料の10ページに、都道府県へ要請なさったと書いていただいておりますが、要請の結果、これが昨年3月にされていて、この要請を受けて、何か都道府県のほうで動きがあったとか、そういうことがありましたら教えていただきたいです。

○厚生労働省佐藤老健局高齢者支援課長 毎年、要請の結果の状況について定期的にフォローアップの調査をしてございます。今年度、平成27年度分はまだまとまっておりませんけれども、要請を踏まえて、個別に都道府県が事業者に対して指導をよりきめ細かくしていくという動きはございます。まだ整理できておりませんので、いずれ整理ができると思います。

あと、申し遅れましたけれども、これは自治事務でございまして、役割分担としては都道府県がしっかり指導・監督することになっておるのですが、都道府県独自の取組として、例えば8ページの前払金の保全措置等の課題の(3)の中で、上から3行目に重要事項説明書への記載というのをチェックしているということではあるのですが、更に各有料老人ホームの重要事項説明書を都道府県のレベルで公表しているという取組を行っている自治体もございます。直近でいろいろ調べてみますと、都道府県、政令市、中核市を合わせて全部で112ございますけれども、わかる範囲ですけれども、そのうち十数の自治体でそういった情報公開をしているところもございます。

引き続き、そういった自治体の取組を私どもで把握しまして、ほかの自治体に横展開していくということに努めてまいりたいと思っております。

○河上委員長 よろしいですか。

ついでですけれども、14ページに、協会から取組をした事業引継先の確保の主な事例という資料が挙げられていますけれども、これも要望書を提出したというのがいっぱい出てくるのですが、具体的な成果はどうなっているのか。昨年のものは結構ですけれども、それ以前のもので何かわかることはありますか。

○厚生労働省佐藤老健局高齢者支援課長 申し訳ありません。手元にそれ以上の情報がないのでございますけれども、倒産につきましては、再生型と清算型とございまして、それぞれ手続がございますので、どこまでこの要望書の中身が実現しているかというのは、個々の状況とか仕組みの中での限界というのはあろうかと思います。今、手元にないので。

○河上委員長 フォローアップはされているのですか。

○厚生労働省佐藤老健局高齢者支援課長 確認したいと思っております。

○河上委員長 お願いします。

ほかにはいかがでしょう。

池本委員。

○池本委員長代理 池本です。

今の資料1-1に関連して、2点ほど質問させていただきます。

4ページ、前払金の保全措置が講じられていない有料老人ホームという資料ですが、法改正とその後のデータとの関係を正確に理解できていないところがあるので、ちょっと教えていただきたいのですが、平成18年4月1日以降、設置された有料老人ホームの中の前払金を徴収しているところが1,260あって、その中で117が対応できていないという御説明だったと思います。しかも、その違反率のところが徐々に下がって、今、9.3%という御説明をいただきました。

私の理解不足で申し訳ないのですが、戻った2ページのところでは、平成18年法改正で前払金保全措置の義務化と書いてあって、ここの御説明をお聞きしたときには、それ以降の新たに設置されたところについては、当然保全措置を講じて、そのことが確認されてスタートされているのかなと理解したのですが、それ以降で、当初は19%、そして現在でも9.3%というと、そもそも保全措置を講じているかどうかというのは、設置時点ではどのようなチェックがあるのか、ないのかというところが、ちょっとよくわからないので教えていただきたい。その関係で、平成18年4月1日以前というのは、どのくらいの数あって、それについては、この保全措置の有無はどうなっているのかというところを教えていただきたいところです。

それから、ついでに14ページ、先ほど委員長の質問されたページですが、ここで事業引継先についての要望書を提出したなどの対応があった事例ということで書いてあるのですが、例えばここ数年で破産にせよ、再生にせよ、あるいはそういう手続を取らずに事実上の倒産ということを含めて、年間何件くらい倒産案件があるのかという数字は把握しておられるのか、把握しておられればどのくらいの件数かというのも教えていただければと思います。

○厚生労働省佐藤老健局高齢者支援課長 今、2点御質問がございました。

まず1点目が、4ページで、御指摘の理解で結構です。1,260が前払金を徴収している施設で、そのうちの1割弱の117がまだ保全措置を行っていない。これにつきまして、設置時点でチェックを行っているのか、いないのか、どう行っているのかということでございます。

2ページを御覧いただきますと、平成18年の法改正の欄の一番下に、人数要件の廃止あるいは提供サービス要件の見直しということを書いてございますが、高齢者を入居させ、食事、介護、洗濯、掃除などの家事又は健康管理、いずれかのサービスを行う施設が有料老人ホームと定義されてございまして、これはある意味、民間の創意工夫により、高齢者の住まいのニーズに対応するものとして、位置付けられております。したがいまして、設置時の届出等が必要でございますけれども、届出がなされたことが把握できたならば、あるいは届出がなされることを把握できたならば、基本的には保全措置を講じていない場合には指導をするということでございます。

実は、この117のうち61、全部が全部指導に至っていないという状況ではございますけれども、61については、それが判明した後、速やかに指導をしているという報告は受けてございます。それが1点目でございます。

それから、平成18年4月1日以前に設置された有料老人ホームについては、この一時金保全措置は努力義務になってございまして、それらについて、どのぐらい保全されているのかというデータは、今、手元にございません。わかりましたら、また後ほど報告させていただきたいと思います。

あと、14ページの方で倒産件数につきましてですけれども、これについても、私どもの行っております調査の中には項目としてはございませんで、これは有料老人ホームというのは多種多様な形態がございます。ある意味、まだ届出がなされていないもの等もございまして、引き続き把握していく必要がございますけれども、現時点においては、倒産がどのぐらいかというデータというのはない状況でございます。

○河上委員長 よろしいですか。

ほかにはいかがでしょうか。

大森委員、どうぞ。

○大森委員 全国有料老人ホーム協会の会員になっている事業者というのは、全体の何%ぐらいになるのですか。

○厚生労働省佐藤老健局高齢者支援課長 会員数は800超でございます。そして、全体の数が1万弱でございますので、1割弱という理解でございます。

○大森委員 協会に入っていない利用者を取りまとめていくというのがこれからの課題だと思うんですけれども、どういうことを考えていらっしゃいますか、具体的にお聞かせいただければ。

○厚生労働省佐藤老健局高齢者支援課長 1つは、協会自身の取組として、最近聞いておりますのは、比較的小規模な居室数のものも増えてきているようでございまして、特に地方でも見られる。そういったところに対して、協会サイドとして加入を促すために、費用面の負担を少し軽減するという取組を、ここ1年内外でスタートしているということを聞いています。それが1つです。

もう1つは、協会の会員でないようなものに対しては、ある意味事業者団体というルートを介してのサービスの質の維持といったことがなかなか難しいものですから、行政サイドで、都道府県からできるだけしっかりと指導監督をきめ細かく続けるということになると思っておりまして、その際にチェック体制というのも、数がどんどん増えていく中で、当然体制の充実も必要でございますものの、おのずときめ細かく、どこまで見られるかというのは限界がございますので、先ほど一言申し上げましたけれども、把握することがまず大事であって、その把握をしたならば、その把握した情報を、ある程度消費者の方々にとって、必要かつ十分な範囲で開示していくというか、公表していくといったやり方というのが、1つの方向性としてあり得るのではないかと考えてございます。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。

増田委員、どうぞ。

○増田委員 ありがとうございます。

消費者が選択するに当たっては、情報開示が非常に重要だということで、今おっしゃっていただいたことはありがたく思うのですけれども、先ほどの御説明の中で、全国の自治体で重要事項について開示しているところが非常に少ないと伺っております。消費者が重要事項説明書をいろいろなところから集めるというのは非常に困難なことでもありますし、比較するに当たっては、各自治体がそういうところをホームページにアップするということは非常に価値のあることではないかと思います。その辺のことをもっと強く進めていただく予定があるのかどうかということをお伺いしたいと思います。

それから、今、保全のお話もありましたけれども、最近は前払金ではなく月払いが多くなっている傾向にあると聞いておりますけれども、前払金の返金の額につきまして、権利金等の禁止などかありますが、賃料など、実際に必要な金額以外にプラスアルファのものを取っているケースも見受けられると思います。その辺りについて、どのようにお考えなのでしょうか。2点御質問です。

○厚生労働省佐藤老健局高齢者支援課長 まず、1点目につきましては、今、御指摘いただきましたように、情報開示を進めてくださいということは、これまでも都道府県等に要請してきてございますけれども、なお今後とも一層、そういった取組を推進していただくように強く求めていきたいと思っております。

それから、実際に前払金あるいは一時金として徴収する額が、必要以上の額を取っているのではないかというところは、先ほど御説明したペーパーの中で、どこまで具体的に行政が把握できるか、あるいは探知できるかというところに委ねられる部分がかなりあると思っておりまして、そういう情報を把握していくような、行政サイドが把握できるような、何がしかの方策というのを、今後の課題として研究していきたいと思います。申し上げましたように、個々の取引の消費者被害というのは消費者庁に大変お世話になっているわけでございますけれども、有料老人ホームの指導監督の立場でも、消費者庁とか消費生活センターあるいは国民生活センターとよく連携しまして、情報の把握をしっかりしていこうと思っております。

○国土交通省和田住宅局安心居住推進課長 ちょっと補足というか、私の立場からすみません。

サービス付き高齢者向け住宅についても、恐らく消費者の方から見て、必要な情報・サービスがきちんと行き渡っていくということが非常に大事だと思いますし、そこは我々も課題として認識しております。もちろん高齢者住まい法の中でも、入居契約を結ぶ前に、登録情報であったり、契約書の内容について、ちゃんと説明してくださいよということになっていますし。それから、サ高住について言うと、サ高住の情報提供システムという形で、ホームページ上になりますけれども、そこを見ていただくと、全国あるいはお住まいの地域の登録物件の情報、どういうサービスを提供しているのか、併設施設がどうか、家賃がどれぐらいかという情報も見られるようになっています。

ただ、現在の情報提供のシステムというのが、果たしてそれでいいのかどうか。情報提供の内容だったり、情報開示の方法、これで必要十分なのかというところについては、まさに我々が今、検討会をやっていますので、その議論も踏まえて、今後検討していきたいなと思っています。

それと、先ほどちょっと申し上げました検討会の中間取りまとめの中でも、第三者評価という話が書いてあったかと思いますけれども、第三者評価という仕組みも今後考えていく視点なのかなと思っています。それは、利用者の方から見て、きちんと適切なサービスを提供していただく事業者をちゃんと選んでいくという部分では、すごく手掛かりになると思いますし、それから、事業者の方にとっても、自分のところがいい、質の高いサービスを提供していくというのは、そういうつながりになる取組かなと思っています。

今、この検討会の議論も踏まえて、事業者が提供するサービスの質をどうやって評価していったらいいのかというところで、第三者が評価する際の評価指標を今、検討していただいているところでございます。ですので、こういった検討会あるいは委員会の検討結果を踏まえながら、そういった面でも具体的な事業の構築を考えていきたいなと思っています。

○河上委員長 よろしいですか。

池本委員。

○池本委員長代理 厚生労働省に対して、先ほどの私の質問に関連した点で1点、それから国土交通省に対しても1点質問があります。

まず、質問の前提として、特に今日の議論の中身である、施設に入居した後で、例えば倒産したり、あるいはサービス提供がなくなったりという事態というのが、一般の方の賃貸住宅であればほかへ引っ越しすればいいのですが、高齢者の場合はそうもいかない状態で非常に深刻なので、そこのフォローアップをきちんとしてほしいという思いがあって申し上げるわけですが、先ほど厚生労働省からの説明で、有料老人ホームについて、倒産案件あるいは事実上の倒産やサービス提供中止ということを含めて、そういうものが十分把握されていない、調べてあとでまたお教えいただくということではあったのですが。

むしろ都道府県あるいは市町村が、管内の届出をしたところが今、どうなっているのか。毎年じゃなくても、ある時期に実情を調査して、それを公表する。それを通じて、入り口で入居時点でサービスがたくさんついていれば安心だということではなくて、持続可能なのかどうかが大事だということの社会ヘのアピールになるのではないかと思うのです。そういう所管している自治体の協力も得てかもしれませんが、実態を経年的に少し出していただく、公表していただくというのが必要ではないかと思っています。

実は、同じ問題意識で、サ高住についてもそうなのですが、この制度が数年前、平成23年でしたか、スタートしたけれども、倒産したというのはまだそんなにないのかもしれないのですが、都道府県はそういう倒産とかサービス提供がなくなったときに、ちゃんと引き継ぎ、その他で措置するように努めるということは、倒産事案などはサ高住について把握しておられるのかどうか。もし把握しておられれば、その数字をお伺いしたいし、あるいは定期的にそういうものをフォローアップする体制があるのかどうかについて、教えていただきたいと思います。

最後、両方含めてですが、この2つの制度は厚労省と国交省で分かれていますが、自治体における執行機関というんですか、担当部署の連携というか、そこはどうなっているのか。それぞれ別なのか、両者の連携か何かがあるのか、もしおわかりでしたら教えていただきたい。

○厚生労働省佐藤老健局高齢者支援課長 まず、1点目の倒産に関する実態ですが、当然、私どもも、民間の調査会社あるいは新聞で報道が出ますと、入居者の方々が引き続き入居できるのか、すなわち、引受け事業主体が別におられるのか、その中の状況がどうなっているのか、極めて強い関心がございますので、都道府県の担当部局に連絡して確認する。当然、都道府県担当部局が施設と直接やり取りして、今、入居されている方々が、場合によってはどこか別のところに引き受けていただけるような施設に移れるということを、事実上、連絡調整といった形で支援するということもございます。

今、把握している限りでは、統計的なものは、ないと申し上げたのですけれども、そういった意味では、世の中にわかっている範囲内でいきますと、そんなに何十件もという感じではございません。数件というのが大体の相場感でございます。もちろん、報道されているようなものは、比較的経営規模が大きいというか、そういう場合が多いと思いますので、それ以外にどれだけあるかというのはちょっとあれですけれども、いずれにしても、引き続き実態をしっかり把握していくことが重要だと思っておりますというのが1点目でございます。

それから、両省の連携につきましてでございますけれども、これはこれまでも連携してきたわけでございますが、直近の取組を言わせていただきますと、住宅部局と福祉部局が一体的に取り組まないと現場がうまく回らないというところがございますので、今年度は、1つは、全国の都道府県の住宅と福祉の両方の部門の方々と、厚労省・国交省とが一堂に会して、特に高齢者の住まいに関するさまざまな課題を共有して、そして取り組んでいくということを、サ高住も有料も相互に、重複している部分がございますので、認識を共有するという全国会議を、開催させていただいて、少なくとも国のレベルでは、日々疎通して取り組んでいくということだと思っております。

○国土交通省和田住宅局安心居住推進課長 私のほうからちょっと補足的に説明させていただきます。

まず、サ高住の廃業・倒産ということですけれども、こちらについて、我々も網羅的というと、まだそこまでできていない状況でして、そういう意味では統計的に何件というところがあるわけではございません。実際問題、それほど多くどんどん出ているという話ではないと思っています。ただ、幾つか新聞報道等でもサ高住の廃業という事案が出たことがございますので、我々もちょっと注視していかなくてはいけないと思っていますし、もちろんこれは廃業ということになれば、サ高住の登録取消しということに当然つながってきますので、都道府県のほうには情報が入ってくるわけです。先ほど申し上げましたとおり、今回、高齢者住まい法とその施行通知の趣旨を踏まえた形で、都道府県できちんと対応していただくというのが前提だろうと思います。

そのときに、おっしゃったように、倒産・廃業といったときに入居者の方の転居先をどう確保していくのかということ、そこが一番大きな問題だろうと私も思います。恐らく今回のヒアリングのテーマに上がったというのは、昨年11月ぐらいに新聞報道でサ高住の廃業という話がちょっと載ったというところが多分契機になっているのかなと私、思っていますけれども、この件で申し上げますと、これは三重県の事業者ですけれども、三重県の事業者に三重県のほうから、まず廃業等に対してちゃんと手続を説明してくださいというところと、入居者の転居先の確保にちゃんと取り組んでくださいという指導を行っていただいています。

その上で、県だけでなかなかできるものではありませんので、実際のところ、これは事業者が四日市市にあったものですから、四日市市の福祉部局のほうで窓口となっていただいて、事業者と、更には高齢者の方のケアマネージャーに対して転居先の確保・協力をお願いして、かなりケアマネージャーが動いていただいて、このケースでは入居者全員がちゃんと移転、転居先が確保できましたよということにはなっているわけですけれども、そんなこともございました。

我々もこういった、万一、倒産・廃業した場合の部分でいうと、入居者の円滑な受入対応ということが一番大きなポイントだと思いますので、そこは引き続き、我々も都道府県等に対して周知なり、そういったところを取り組んでまいりたいと考えております。

それから、福祉部局と住宅部局との連携については、先ほど厚労省のほうからお話がありましたけれども、自治体レベルでも住宅部局と福祉部局との連携というのは当然必要になってきていますし、また我々も施行通知等で、住宅部局、福祉部局、連携する形で取り組んでくださいよということは申し上げております。どちらかというと、住宅の整備の段階では住宅部局が前に出てきますし、その後のサービスの提供の部分では、いわゆる福祉部局が前に出てくるわけですけれども、そこはどっちがどうということではなくて、ちゃんと一緒に、一体的にやってくださいよという指導はしております。

まだまだ、それが十分かどうかというところはあるかと思いますけれども、我々としても、国のレベルでもそうですし、自治体レベルでも一緒に取り組んでいただくというところを何らかの形でやっていきたいなと考えておりますので、また我々もそこは念頭に置きながら、取り組んでまいりたいと思います。

○河上委員長 ほかに。

大森委員、どうぞ。

○大森委員 消費者が選択する情報をホームページ等にアップしていただけるということで、ありがたいのですけれども、何分、契約当事者が高齢者である場合が多いので、ホームページにアップしても、情報を取ることがなかなかできない場合が多いと思うのです。難しい資料も、目が悪くなって読みづらいとか、いろいろありますので、できる限り、このサービスがあるから丸とか、わかりやすい、見やすい表みたいな形にして、具体的に相談するとしたら、民生委員の人とか包括支援センターの人とかケアマネージャーとか、身近な人のところに相談すると思うので、その人たちから情報がちゃんと行き渡るようなシステムというか、こういうふうに協力してほしいと市町村まで伝えていただけるようなことをちょっと考えていただけたらと思います。

○河上委員長 要望ということでよろしいですか。

○大森委員 はい。

○河上委員長 蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 これから高齢者が増えていったときに、この問題が大変大きな、今はないけれども、という言葉がたくさん出てきたのですけれども、今は少ないというのですが、今からどんどん数が増えていくという時代になっていったときに、私は福祉国家日本というものを掲げるのであれば、今、言われたような縦割りの建物はここで、サービスはここでというのは、消費者にとっては通用しないことなのですね。結局は、受ける側にしてみれば、その建物の中に入って受けるサービス、建物も含めて全てがサービスですから、それを統括して見ていく。有料ホームなりサ高住を見ていくという、何かモデルケースみたいなものを地方自治体とか、そういうところで1個お作りになれるかどうかということなのです。

それをベースにしながら、地方自治体も全てがこういうふうにうまくいくかもしれないというお手本にしながら、地域でそれなりの特徴を生かしながら広げていくということが考えられないかということが1つ、私、ずっとお聞きしていて、縦割りの弱さというものを感じましたので、今後、そういうことができるかどうかというのを考えていただきたい。モデルケースがあるとわかりやすいですね。それが1つです。

もう1つ、全国有料老人ホーム協会に登録しているところは、いろいろな危機のときに助けてもらえるけれども、実は届出の有無に関係なく有料老人ホームとして見ます。でも、届けていないと罰しますよということがいっぱい書いてあるのですが、実際に有料老人ホーム協会に登録していない人たちのハードルは何なのかというのが、もしおわかりなれば教えていただきたいのです。

○厚生労働省佐藤老健局高齢者支援課長 まず、1点目のモデルケースにつきましては、御指摘いただいたような問題意識を持って、私どももよく把握してよく検討してまいりたいと思っております。

それから、届出を行っていないところの理由についてでございますけれども、幾つかあると思っております。1つは、自らが比較的小さい規模の既存の建物を活用して、高齢者、少人数で入居いただいているようなところは、ある意味施設の構造ですとか居住環境が標準的な指導のレベルに達していないというところがあって、そして、なかなか届出に至らないところがあろうかと思います。

もう1つは、その実態がいわゆる有料老人ホームではなくて、住まい法の1つの類型だと、そもそも考えているような事業者もおられる。

こういったところについては、今日、資料にはございませんけれども、先ほども出ましたが、介護保険のサービスを受けられる場合には、介護保険法に基づきます地域包括支援センター、あるいはそこの中のケアマネージャー、各事業所の利用者に寄り添うスタッフの方々がおられますので、そういうところからの情報を得て実態の把握をし、届出の促進に取り組んでいくということがあろうかと思っています。

直近では、昨年の7月に有料老人ホームのガイドラインを見直し、これは仮に既存の建築物あるいは小規模の建築物で、廊下の幅が狭いという場合であったとしても、将来改善するという計画を出していただきながら届出をしていただくように促す形で、とにかくきめ細かく把握していくということを進めてございます。

以上でございます。

○国土交通省和田住宅局安心居住推進課長 ちょっと補足ですみません。

御指摘のように、我々は国のレベルでも国土交通省、厚労省、一緒にやっているつもりなのですが、組織上はもちろん分かれて別のものでございます。それから、都道府県・市町村レベルでも、それは体制として福祉部局があり、住宅部局がありというのは、これは事実そうであって、それを全く一体化しようというのは、現実、なかなか難しいだろうと思います。ただ、部局は違えど、それを一体的に取り組んでいくということは可能だし、そうしていかなくてはいけないだろうと我々、思っています。

というのは、サ高住というのは先ほど申し上げましたけれども、高齢者の方が安心して暮らすことができる住まいという面と、更には地域の高齢者の方にとっても必要なサービスを提供できるような拠点としての役割というのが、これから期待できるのかなと思っています。そういう意味で、先進的な市町村の中には、まさにまちづくりという観点と、一方で地域包括ケアという観点、両面をにらみながら、サ高住を地域の1つの拠点として位置付けて、そこを確認してサービスを提供していきましょうという方向性を打ち出しているような市町村もございます。

そういったところは、住宅部局と福祉部局がちゃんと連携できているのです。日頃からコミュニケーションがとれていて、その中でまちづくりもやっていくし、一方で地域包括ケアという形で高齢者が安心して暮らせるようなサービスの提供というのもちゃんとやっていきましょうという視点を持っているところはあると私は思っています。具体的な事例というとあれですけれども、実際幾つかあるかと思います。

先ほども申し上げましたけれども、自治体レベルでの連携をどう広げていくかというのは、我々も1つの課題だと思っていますので、それがどういうやり方がいいのかというのを我々も研究していきたいと思っています。もちろん、先ほど厚労省からお話ありましたけれども、今でも会議を一緒にやったり、そういう形での取組というのはありますけれども、実効性のある取組。我々は日頃から厚労省とずっとやっているので、顔が知れているのですけれども、意外と同じ市町村の中でも、部局が違うと全然顔がわからないところがまだあるように私は個人的に思っておりますので、その辺りは今後の研究課題として、是非取り組ませていただきたいと思います。

○河上委員長 大分時間がたってしまいました。私も大きな問題と小さな問題、幾つか聞きたかったことがあるのですけれども、大きな問題だけ質問させてください。

1つは、高齢者医療がかなりきつくなってきて、介護ベッドからどんどん出ていってもらうというときに、高齢者の方は決して経済的に恵まれている方ばかりじゃないので、出ていく場所がなくて、全体としては、サ高住なども含めて、安かろう悪かろうでもしようがないという形で入っていくようなケースが必ずしも少なくない。これからの高齢者の住まいというか、ケアも含めた高齢者住宅で、どういう方向を厚労省や国交省が狙っているのだろうというのが今一つよくわからないのです。

まずは受け皿を作ってあげるためには、基準を少しでも緩めて、たくさんの高齢者のサ高住を提供する方向でいくとか、そして、その提供ができた後、少しずつ底上げを図って環境を整えていくというやり方なのか、それとも最初から安全・安心な高齢者住宅というのを国としては提供していくという方針を持っているのか、その辺りの大きな感覚というのは、厚労省や国交省はどういうふうにお考えなのでしょうか。

○国土交通省和田住宅局安心居住推進課長 ちょっと私のほうから。また、補足があれば厚労省からと思います。

これから、まさに高齢化が更に急速に進んでいく。そして、要介護・要支援者が増えていく。その中で、高齢者の方の中でも単身の世帯がこれから増えていくという事情は、更に進んでいくだろうと思います。ですので、そういったことの受け皿ということは、これからも当然整備を進めていかなくてはいけないだろうと思います。

日本の場合、国際的な比較で言うと、施設関係、介護施設に関して言えば、国際水準と比べてもある程度遜色ないかなと私は思っていますけれども、高齢者人口全体に占める高齢者住まいの割合ということでいうと、サ高住を大分整備してきましたけれども、必ずしもこれで国際水準から見て十分というところではないのかなと思っています。ですので、サ高住、もう5年目になりますけれども、整備してきたわけですけれども、必要な整備は今後も進めていかなくてはいけないだろうと思います。

ただ、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、何でもかんでも作ればいいという話ではないだろうと思います。1つは、立地の面です。さっき申し上げましたけれども、まちづくりの観点ということも考えながら、必要な場所に必要なものが整備されていくということが必要なのだろうと思います。

それと、もう1つは、量だけを確保するということではなくて、サービスの質を確保していかなくてはいけないだろう。そこの視点も考えていかなくてはいけないと思います。

そういう意味では、サ高住、今まで割と順調に整備が進んできたと思いますけれども、今後、サ高住の量の面と質の面、両面をちゃんと追っていかなくてはいけない時代に入ってきているのかなと私は思っています。そういう意味では、住まいの受け皿をきちんと確保していくということ。今後もやっていくわけですけれども、質の確保と併せて、きちんと整備していく必要があると思います。

それと、恐らくもう1つの論点としては、高齢者の方といっても、本当にいろいろな方がいらっしゃる中で、サ高住に入れる方は入れる。それは喜ばしいことですけれども、サ高住の求めている家賃レベル、費用のレベルでは入れないという方が当然いらっしゃるわけです。そこの部分のいわゆる低所得の高齢者の方の住まいの確保は、非常に大きな課題になってくるだろうと思います。そこは、まさに住宅部門と厚労省・福祉部門と連携して取り組んでいく必要があるだろうと思います。

先ほど申し上げた、例えば国交省でいうと居住支援協議会というツールがあるわけですし、そういったところで、住宅困窮の方に対して民間の賃貸住宅をあっせんしたり、紹介するという仕組みはございますけれども、そういうツールはあるにしても、まだまだ、それじゃ十分じゃないだろうと思います。そういう低所得者の住まいの確保というのは、今後も非常に大きな課題として出てくると思いますし、当然、そういう重要な課題であるという認識を持ちながら、厚労省と連携しながら取り組んでいきたいと思っています。そこは、我々の大きな問題意識として、お話させていただきたいと思います。

○厚生労働省佐藤老健局高齢者支援課長 ちょっと補足といいますか、あれですけれども、地域包括ケアシステムの構築に向けて、各介護保険の保険者である市町村を中心に、それぞれの地域の実情に応じてサービスの提供をしていくということを進めてございます。今ございましたように、まちづくりと地域包括ケアシステムの連携という考え方のもとに、安心居住推進課長の言われたとおりだと思っております。

厚労省におきましても、居住支援協議会についても、つい先日も関係自治体の先進的な取組を関係者で共有して、福祉と住宅が連携して取り組んでいくという課題への取組を進めております。

そして、厚労省におきましても、低所得の高齢者の方々の住まいを確保するために、地域包括ケアシステムの一環としても、地域の中でさまざまな高齢者を見守る環境といいますか、ソフトな環境、ケアマネであったり、民生委員であったり、場合によっては住宅・不動産の事業者の方々、関係者がコミュニケーションをよくとって、そして高齢者の方々の住まいを確保するというモデル的な取組を平成26年度からスタートして、少しずつ進めておりますので、そういったものも御活用いただきながら、今、ようやく2桁を超えた自治体がその取組を進めているところでございます。常に国交省と一緒に、住宅部門とやっておりますので、現場レベルでの成功事例というか、仕組みが少しでも広がっていくような取組を進めてまいりたいと思っております。

以上です。

○蟹瀬委員 もう1つ。

○河上委員長 では、最後にしましょう。

○蟹瀬委員 最後に、立地の件ですが、私、2か所、対照的なサ高住を見たことがありまして、1か所は、前が海、後ろが山、すごく温暖な地域ですが、周りにまちが全くない。そして、余り訪れない場所ですが、車が止まっているほうに向かって、こうやって手を振っているおばあちゃまがいて、あの人はどなたかですかと聞いたら、あそこは老人ホームみたいなところです。えっ、ここにあるのですねというお話をしました。

もう1つは、すごく有名な遊園地のそばに建っている建物。そこは、ものすごくたくさんの家族が入居者のおじいちゃま、おばあちゃまに会いに来るそうです。なぜならば、遊園地がそばにあるから、あそこに行ったら、おじいちゃま、おばあちゃまに会えるけれども、遊園地もあるよ。どっちの建物を選択していくのかというのが、今後の大きな課題になるだろう。年を取ったから、暖かくて、海があって、山があって、人が来ないところがいいだろう。そうじゃないよという発想。

このどっちを私たちは目指していくのかというのを明確にできればできるほど、私たちがいい仕事ができるかなと思いますので、是非立地の面でもいろいろな都道府県の方々とお話をして、どういうライフスタイルを最期に、あるいはそこでみんな楽しんでいただけるのかというのを考えて立地を考えてほしいということを1つお願いして、私のお願いを終わらせていただきます。

○河上委員長 これは希望ということでよろしいですか。

○蟹瀬委員 はい。

○河上委員長 では、この辺にしたいと思いますけれども、本日の両省からの御説明、質疑を踏まえまして、今後、当委員会としても消費者基本計画への反映等について、いろいろと意見を取りまとめるなど、しかるべく対応をしていきたいと思います。今日伺っただけでも、前払金の保全措置の周知が不徹底であるとか、地方自治体の活動が必ずしも十分でないといった、さまざまな問題点がありそうですので、少し検討を加えた上で必要な対応をしていきたいと考えております。

また、その折には御協力をお願いしたいと思います。厚生労働省及び国土交通省におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。

(厚生労働省・国土交通省 退席、国土交通省 着席)

○河上委員長 続いてのヒアリングテーマですけれども、「マンションにおける基礎ぐい工事問題について」であります。

御承知のように、横浜市のマンションにおいて、2棟の建物のジョイント部で段差があるということが発覚して、昨年9月頃、一部の基礎ぐいに支持層への未達や根入れ不足の可能性があるということが判明いたしました。その後、くいを打つ際に支持層への到達の判断に資する電流計データの流用といったことが判明したとのことであります。この問題に関して、国土交通省は学識経験者で構成される有識者会議、基礎ぐい工事問題に対する対策委員会を設置して、先月25日に中間取りまとめ報告書を公表されたところであります。

本日は国土交通省にお越しいただきまして、この基礎ぐい工事問題の経緯と概要、基礎ぐい工事問題に関する対策委員会の中間取りまとめの概要などについてヒアリングを行いたいと思います。国土交通省におかれましては、お忙しいところ御出席いただきまして、まことにありがとうございます。

では、御説明は20分程度でお願いしたいと思います。

○国土交通省北村土地・建設産業局建設業課長 国土交通省の建設業課長をしております北村と申します。どうぞよろしくお願いします。関係課が幾つかまたがるものですから、冒頭、私のほうから一括して御説明して、少し補足いただきます。あと、事務局のほうから幾つか質問事項をいただいておりますけれども、資料に反映できなかったところもございますので、あとは質疑対応ということでお願いします。

お手元に「基礎ぐい工事問題について」ということでお配りしている資料でございます。

冒頭、事務局のほうから、建築工事について関係する法律にどんなものがあるかということを問われてございますので、1ページでございます。

今回はマンションでございましたので、マンションを念頭に置いて書きますと、プレーヤーといたしましては、マンションを建てるということでは、不動産の販売業者が当然消費者と相対するわけでございますけれども、それと、こちらが建設工事の発注者になりますので、発注者が建設業者に発注する。これが直接発注を受けるのが、我々、元請と呼んでおりまして、さらに、その下請業者がいる。また、別途、発注者が工事を行うに当たりましては、工事の前に設計が必要になりますので、設計者、それから、工事段階で設計図面どおりに工事ができているかを確認する人が必要になってまいりまして、これが工事監理者と、こういったプレーヤーが出てまいります。

関係する法令でございますけれども、不動産販売業者につきましては、宅地建物取引業法というもので免許制をとっております。後ほど御説明いたします。あと、設計や工事監理につきましては、建築士法。それから、建設業者に対しましては建設業法という法律がございます。あと、業法ではなく、建物の安全性を確認する、建物の基準を定めているものとして建築基準法というものがございます。併せて、こういった建物、住宅についてでございますけれども、住宅の適正な品質を確保するという観点から、右側のほうで消費者保護ということで書いてございますけれども、住宅の品質の確保の促進等に関する法律というものと、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律といったものが関連してございます。

特に、この中で消費者保護に関係する法律ということで、2ページでございます。

1つが宅地建物取引業法でございまして、これは先ほど申し上げました宅建業者を監督する法律でございまして、消費者庁ともいろいろ連携を取りながら法の運用をつかさどっているところでございます。

概要としまして、宅地建物取引業を営むために、国土交通大臣が免許を与えることになってごさいます。その専門としての宅地建物取引士、これは以前は宅地建物取引主任者と言ってございましたけれども、一昨年の法改正で取引士という名称に変わってございますけれども、こういう専門家の配置が必要である。違反する場合には、行政処分とか罰則ということで担保してございます。

特に消費者保護に関する規定としまして、営業保証金制度といったものがございまして、これは取引した際に保証するという制度でございます。また、瑕疵担保責任の特例といったものも置かせていただいております。

あと、住宅の建設と売買に関して消費者を保護するということで、右上の住宅の品質の確保の促進等に関する法律といったものがございまして、住宅の品質確保の促進と、あとは消費者が安心して住宅を取得できる市場条件の整備、それから紛争の処理体制といったことから、1つは、住宅性能表示制度というものを定めております。もう1つが、瑕疵担保責任の特例ということで、これは民法上の瑕疵担保責任について、特例で10年まで延ばすということを義務付けているものでございます。あと、紛争処理体制として、裁判外手続、ADR手続を整備してございます。

もう1つは、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律とございますけれども、これは品質確保法と対をなしているところでございますけれども、瑕疵担保責任をしっかりと業者の側に履行させるというための法律でございまして、この履行確保のために新築住宅の供給事業者、建設業者又は販売業者に対しまして、その保証金の供託とか保険の加入を義務付けるといったこと。その場合の措置として、保険の場合の引受け主体の整備というもの。それから、紛争処理体制の整備といったものが定められてございます。

以上、前置きでございますけれども、そういった法律体系がございまして、基礎ぐい工事問題の概要について、3ページ目でございます。

今回の事案につきましては、もともと発端になりましたのは横浜市都筑区のマンションで施工不良と見られるものが見つかったということで、平成26年11月でございますけれども、建物のジョイント部で2cmの段差があるということで、こちらのマンションは4棟からなるマンションでございましたけれども、その棟と棟の間の渡り廊下みたいなもので段差があるということを住民の方が発見したということが発端でございます。その後、販売業者・施工業者のほうでいろいろと調査していたわけでございます。

昨年の9月に、こちらの基礎ぐいは地下の固い地盤までしっかりと差し込んでいなければいけないくいだったわけでございますけれども、このうちの6本が届いていなくて、2本が届いているけれども、不十分な形で届いているのではないかという可能性が判明したということで、これを販売業者のほうが住民に説明して、世の中にオープンになったということでございます。こちらの施工不良を調べている過程で、当時、くい工事をしている際の施工データに流用等、等と言いますのは、単なる流用じゃなくて、書き換えみたいなものが合わせて70本あったということが判明してございます。

こちらについての住民対応等については、別途御説明いたしますけれども、建築物につきましては、そういう施工不良が疑われているということでございますので、施工の安全性については、先ほど申し上げた建築基準法を所管する横浜市のほうが安全性について検証することになってございまして、昨年11月24日の時点で、震度6強から7という大地震によって、倒壊・崩壊等することはないということは確認がとれてございます。ただ、中程度の地震によって大規模なひび割れがするといった損傷が起こるかどうかということについては、建築基準法違反があるかないかということについては、引き続き検証中ということになってございます。

前後しましたけれども、三井不動産レジデンシャルにつきましては、住民説明会を開催しまして補償の方針等を説明しているということでございます。ここに関連する事業者、事業主として三井不動産レジデンシャル、設計と元請、これは設計・施工一貫と言われているものでございますけれども、三井住友建設、くい工事についての1次下請が日立ハイテクノロジーズ、2次下請が旭化成建材といったものでございます。

この横浜で70本の施工データの流用があった。これが旭化成建材という下請業者が行ったということで、ほかにもやっているのではないかという疑惑といいますか、問題になってございまして、旭化成建材については国土交通省のほうで調査をさせて、点検いたしてございます。過去10年間の工事について調べさせたところ、これは工事現場とお考えいただければよろしいと思いますけれども、3,052の現場で調べたところ、360の現場でデータの流用があったということでございます。

これを私どもとしましては、データ流用があったということだとすると、それに施工不良が隠れているのではないかということが非常に心配でございましたので、全国の特定行政庁に御協力いただいて調査しまして、今、まだ新しいデータが集計できてございませんが、昨年末の時点で303件について安全性を確認したところでございまして、現時点で安全性について懸念が残っているのは横浜のマンションだけでございまして、それ以外のものについては、全てのくいはしっかりと到達しているとか、安全が確認されているところでございます。残りのものについては、引き続き確認することになってございます。

また、この旭化成建材で、こういうくい打ち業者がそういうデータ流用等をやっていたということで、ほかの業者はどうなのだということで、これも今回のくいと同じような施工をやっている協会、コンクリートパイル建設技術協会といった協会の会員企業について自主点検をしていただきまして、それについて調べたところ、会員40社、4,625件調べたところ、8社56件でデータ流用が判明したということで、こちらの安全性検証については、旭化成建材のものと併せて、引き続き確認中といった状況になってございます。

次のページのA3の資料でございますのが、国土交通省に設置いたしました対策委員会の中間取りまとめ報告書の概要でございます。

左上に対策委員会の概要が書いてございますけれども、首都大学東京の深尾先生を委員長に、ほか8名の学識経験者によって御議論いただいております。

それで、時間の関係もございますので、細かいところは省略させていただきますけれども、一番下のIVで再発防止策をまとめていただいております。

1つが左下でございますけれども、基礎ぐい工事に関する適正な設計・施工及び施工管理のための体制構築ということで、今回見つかっておりますのは、旭化成建材であれば360件と、コンクリートパイル建設技術協会の56件のデータ流用というものと、あとは、横浜市でくいが届いていないのではないかということが見られるということでございます。こういったくい打ちについてのルールをどのようにしていくかということで、設計段階、施工段階、工事監理の段階で、それぞれ私どものほうで用意しておりますいろいろな通達の類い、あと、施工については、これまで国交省としてはルールとかを定めてございませんでしたので、国土交通省として施工ルールを定めるといったことを現在作業中でございます。

もう1点が右側でございまして、建設業の構造的な課題に関する対策というもの。今回、非常に社会的な反響というか、話題というか、非常に大きくなっておりまして、国民の皆様にも非常に大きな御心配をおかけしたと理解しておりますが、その過程で、建設業界のこういった慣行とか実態が施工不良につながりかねないのではないか、今回の横浜の事案からは、直接判明していなくても、この際、いろいろ見直したほうがいいのではないかという御議論が各方面からなされており、また、この対策委員会でも御指摘いただいたところでございます。

こういったものについて、主に3つの課題ということでいただいてございます。

1点目は、元請・下請の責任・役割の明確化といったもの。特に建設業の場合には、重層下請構造ということで、2次下請、三次下請が行われるということで、そういう構造が安全性という点からどうかということの問題提起をいただいております。

2点目が、今回、くい打ちであれば、くいを実際に打つ労働者の方の処遇といったものが十分かどうか。あと、それを監督する技術者についても、併せてということでございますけれども、そちらのほうの処遇とか資質の向上というものを検討すべきではないか。

3点目としまして、民間工事における役割・責任の明確化と連携強化ということでございまして、これは公共工事であれば、国なり地方公共団体が発注者の立場からいろいろとチェックすることになりますけれども、民間工事の場合には民間の企業が発注するということになってまいります。そういった中で、民間の発注者が設計会社又は建設業者に請負契約という形で契約するわけですけれども、そういった契約条件等に無理があるんじゃないかという問題提起をいただいております。

この2点目の問題につきましては、今回の対策委員会は非常に短期間で、2か月ちょっとで結論をまとめていただいておりますので、こういう構造的な問題については、改めて議論をするようにという宿題という形で国土交通省のほうに投げかけられたということになってございます。実は、この2点目の課題につきましては、私どものほうで審議会がございまして、これについて、ちょうど今日の午前中に第1回目の検討会を開いて、これについての検討を始めたところでございます。

次の5ページでございますが、事業者に対する対応ということで、事業者についての処分を行ってございます。

上が建設業者への対応ということで、これは去る1月13日に建設業法に基づく監督処分を実施したということでございます。ただ、これは実は横浜のマンションにつきまして、現時点ではくいが本当に届いているのかいないのかということ自身が、科学的にまだ解明できてございませんので、工事自体が不良かどうかということについては、処分を保留した形になってございます。今後、必要があれば追加の処分の検討もあり得るということになってございまして、現時点では、そのプロセスで当時の施工体制に不備があったと。

具体的に申しますと、こちらの日立ハイテクノロジーズというのが1次下請ですけれども、こちらがほとんど自分では仕事をしないで、いわゆる丸投げをしていたということ、旭化成建材は丸投げを受けたということで、業法上、丸投げは投げるほうも受けるほうも同罪ということになってございまして、それで営業停止15日。

あと、日立と旭化成建材は建設業法で必要な技術者、建設業法は、現場にちゃんとした法律上の資格を有した資格者を置いて、その方が全体をちゃんと統括して工事の安全性を確保するという法体系になってございますが、その技術者が、本来であれば専任で置かなければならなかったものを置いていなかったということで、指示処分と書いてございます。これは、ほかの法律だと業務改善命令と言っているところが多いので、そのように理解していただければよろしいかと思いますけれども、建設業法上、指示処分と言っておりますが、業務を改善して、そういうことを国交省に報告しろという形で指示処分というものをさせていただいております。

あと、三井住友建設につきましては、そういう下請業者が法律違反をしていることを見過ごしていて、法律に基づく指導とかをしていなかったということで、これもまた指示処分ということになってございますが、併せまして指名停止1か月と書いてございます。これは、建設業法上の処分ではございませんが、国土交通省が発注者として、三井住友建設については1か月取引しません、私ども、建設業法に違反するような会社とは取引しないという、これはあくまでも発注者としての行為でございますけれども、これを1か月とるということを行ってございます。

あと、下に書いてございますジャパンパイル株式会社等の8社と、旭化成建材の右端に勧告と書いてございます。これは、施工データの流用についてでございまして、現時点では、先ほど申し上げましたように、施工データの流用については、横浜以外については、流用はしたけれども、くい工事自体は適正に行われていたという可能性が高いというか、逆に言うと施工不良と確認できたものは1つもございません。しかしながら、施工データの流用をしたこと自体、責められるべきでございますので、これは法律上、建設業法に基づく勧告という形で行政指導をさせていただいたということでございます。

あと、下の不動産販売業者への対応でございますが、不動産販売業者につきましては、宅地建物取引業法において、顧客に損害を与えるかどうかということが、ここの業者の行うべき責務という、仮に処分をするということであれば、不動産販売業者が何らかの対応をして、顧客に損害を与えたかどうかということが1つのメルクマールになってございます。そういった観点から、私どもとしては、こちらの三井不動産レジデンシャルがしっかりと住民対応・顧客対応しているかどうかということを注視しているところでございまして、そのようなしっかりとした対応をするように文書等で指示しているということで、3つほど書いてございますけれども、そういった形で指導しながら対応義務を負っているという状況でございます。

6ページについては、住宅局から申し上げます。

○国土交通省眞鍋住宅局住宅生産課長 住宅局住宅生産課長でございます。

6ページの御説明をしたいと思います。今回の基礎ぐい工事問題について、消費者への相談対応についてのお尋ねがございましたので、簡単にまとめております。

相談対応につきましては、従来から常設しております住宅リフォーム・紛争処理支援センター、こちらのほうで「住まいるダイヤル」という無料で電話相談が受けられる窓口がございます。その窓口の対応者、これは建築士の資格を持っており、相談に手慣れた職員でございますが、それを増強いたしまして、住宅所有者等からの電話相談を受け付けるということで対応しております。

下のフロー図を見ていただきたいのですが、ここで電話を受け付けます。これは、今回の基礎ぐい工事問題に限らず、さまざまな住宅についてのお問合せ、電話相談、紛争についての困り事を電話で受け付けておりますけれども、それらについて、今回の基礎ぐい問題については、住宅に関する相談、あるいはそのうちマンションの管理の方法についての相談、住宅以外の基礎ぐいのデータの流用があった建築物、そのほか、例えば地質の調査をする業者を紹介してくれないかというような、普段ではないような御相談もあるということがございますので、そうした質問を想定いたしまして、関係の団体、具体的に言いますと、弁護士会、建築士会、それからマンション関係の相談をしている団体、それから地質調査や建物の構造・基礎に関するそれぞれの専門団体と連携いたしまして、質問の内容に応じて、この「住まいるダイヤル」で対応できない内容については、それぞれ照会するということで対応させていただいております。

右下のほうに相談状況がございますけれども、10月14日から昨年末まで、累計いたしまして9,600件ほどの電話相談がございます。これは、基礎ぐいに限らず、窓口に電話をお寄せいただいた方の総数でございます。そのうち、マンションなどの共同住宅の関係が1,900件ほど、基礎ぐいに関係のある御質問・御相談が150件ほどとなってございます。

ただし、データの流用などがありますと、販売業者なり建設業者からマンションの居住者のほうに連絡があった物件ということを明らかにして御相談をいただいたものは、全体のうち17件ほどとなってございます。先ほども御説明しましたように、現段階では建築物の安全性についての確認をしている最中、あるいは安全性が確認されたというものがございまして、危険であると判断されたものはないということでございますので、具体的ないわゆる紛争処理に至ったものは、まだございません。

この住宅リフォーム・紛争処理支援センターによる対応のほか、私ども国土交通省本省のほうに、あるいは地方整備局のほうにも直接お問い合わせいただくという場合もございますし、都道府県レベルで言えば、北海道や神奈川県、長野県、埼玉県、愛知県、高知県、山口県などでそれぞれ相談窓口を、常設のものを拡充あるいは新設するということで対応いただいているという情報を把握してございます。そのほか、旭化成建材が専用の相談窓口を独自で開設したということも把握してございます。

説明は以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの御報告内容について、御質問、御意見のある方は発言をお願いします。

どうぞ。

○中原委員 中原と申します。御説明いただきまして、ありがとうございました。

対策委員会の中間取りまとめ報告書を拝見しました。今日の資料ですと、A3の横長のものですけれども、この中でIIの基礎ぐい工事問題の概要、A3のものの右上のほうですけれども、「安全性確認の状況」というところで、横浜市のマンション以外で安全上の問題が生じているものはなかったということで、データ流用と建築物の安全上の問題との関連性は低いとされております。

また、その次の「5つの論点」というところの一番左の「安全・安心と信頼」というところで、この表には載っておりませんけれども、データ流用の問題と安全性の問題は分けて考える必要があるとされておりまして、他方で、今回のデータ流用問題によって国民の信頼が揺らいでいることから、信頼回復のために再発防止に取り組むべきであるとされております。

確かに、これまでの事案においてデータ流用があったことが、必ずしも安全性の問題には結びついていないということは、そのとおりかと思うのですが、今後に向けて再発防止を考える上では、電流計のデータが建築物の安全性確保において、どのぐらい重要なものなのかという認識が恐らく前提にあって、その上で流用が絶対にあってはいけないということであれば再発防止を考えるということになると思うのですけれども、そのデータがどのぐらい建築物の安全性確保において重要なのかということが、技術的な問題ということもあり、この報告書を見てもよくわかりませんでしたので、それについて教えていただけますでしょうか。

○国土交通省北村土地・建設産業局建設業課長 現場の施工実態、私が承知していることで申し上げますと、現場において、くい打ち工事を行います。私も事務官ですので、詳しいところはわからないところがございますが、実際のくいの現場で上からドリルのようなもので掘っていく。支持層、地面の下の固い地盤のところまで打つ。そういった場合には、音とか振動で大体わかるということで、上から打っていくと支持層にいくと非常に大きな音がして、ドリルのモーターもそれまでよりも順調に進まなくなるので、そういうのは大体わかるそうです。

かつては、建設業者のいわゆる元請業者がそういうくいを1本1本チェックしていたというのが経緯ではあるようですけれども、施工の効率化とか人手不足という観点で、元請の会社が下請の工事をひとつひとつ目視できなくなった。そういう中で、自分は現場にいられないのだけれども、代わりに電流計ということで、これはドリルの抵抗が電流にいきまして、幅が振れる、支持層にいくと波形が非常に変わるものですから、ここで到達しているということが記録上、わかるということで、自分の目の代用品として電流計データというものを使っているというのが施工の実態でございます。

ですので、そこはくいに到達しているかどうかということを確認する手段は、この電流計データだけではございませんで、その場の振動とかいろいろなもので、あと、実際のドリルの先に付いた土を見るとかできますので、確認できるのですが、電流計データが一番重要なのは、後世まで残る。音とか振動というのは、その場にいた人は確認できるのですけれども、あとに残せないというものですから、あとで検証するときには、この電流計のデータがないと本当にくいが到達していたかどうかということを見るのは非常に難儀するということでございます。ですので、我々が調べた限りでは、電流計データが仮になくても、ほかにくいが到達しているかどうかという判断は可能ではあるのですけれども、これが一番手軽で、なおかつ後世に残せるデータだということでございますので、今後も電流計データは施工の安全性を確保する上では重要なツールの1つである。ですので、今後、これが流用とか偽装とかが行われないようにするということで、今回、対策でも盛り込んでございます。

一方で、安全性との関係性が薄いというのは、それが重要なツールでございますけれども、あくまでもワン・オブ・ゼムですから、これが流用されていたからといって全部施工不良があったかというと、少なくとも今まで調べた限りでは304分の1件だけが疑わしい。303は、当時の記録を随分ひっくり返して大変だったのですけれども、ほかの方法で安全性が確認できているといった実態でございます。

○河上委員長 鹿野委員、どうぞ。

○鹿野委員 関連するところですけれども、確かに中原委員もおっしゃったように、既に存在する建物については、データ流用がなされたものが全て安全性の上で問題があるものばかりだというわけではなく、安全上問題があるのは、そのうちの一部だということだと思います。その意味で、関連性は低いと表現されているのでしょう。けれども、関連性が低いとここに書かれると、データが流用されても問題がないよと、将来に向けても言っているかのようにも見えてしまうので、その点で、この中間報告の表現はいかがかと思いました。

しかも、今もおっしゃいましたように、このデータが全てではないとしても、データというのは、安全性を確保し、ほかの人が見ても、客観的にこれは大丈夫だということを確認するための重要な資料ですよね。それが別のものに差し替えられるとすれば、結局、客観的なチェックはできないということになるわけですから、そういう意味では、将来に向けて、この点は相当重要視すべきだと思われるのです。もちろん重大な問題だと認識していらっしゃると、私は思ってはいるのですけれども、その点につき、先ほども言いましたように、この表現ぶりがとられていることにより、誤解を招くのではないかと思いました。

それから、更に関連してよろしいでしょうか。

○河上委員長 はい。

○鹿野委員 今のような記載についての疑問は、安全性の確認状況というところもそうですけれども、概要の右上のマル3の「データ流用に係る主な原因」というところにもあります。これにつき、報告書の方ではエラーとかいう表現が使われていたところもあったと思いますけれども、概要では、「ミス等による」と書かれています。もともとのきっかけは、確かに機械がうまく作動しなかった、だから、データが取れなかった、ということがあるのかもしれません。けれども、その場合に、違うデータを持ってくるというのは単なるミスの問題ではないと思うのです。ですから、これを「原因」だと言うのは、おかしいのではないかと私は思います。

つまり、機械等の不具合があった、データが取れなかった。そこがきっかけとなったということは、そのとおりでしょうけれども、それは原因という言葉で表現すべきものではないと思います。その場合にどういうフォローをし、データをまた取り直すのか、あるいはデータに代わるチェックをちゃんとするのかという、その辺がうまくできていないということ、それ自体が問題であって、この原因の書き方にも問題があるのではないかと私は感じました。そのことについて、どのように認識されているのかについてもお聞きしたいと思います。

それから、併せて今後の対策についてです。事後的な救済等に向けた仕組みについては、例えば被害の救済が実効的に図られるような保全の措置が講じられていたりとか、幾つかあるわけですけれども、そのような事後的な対策では限界がありますので、事前にこれを防ぐためのルール作り、あるいは仕組み作りが極めて重要だと考えております。この報告書等によりますと、自主ルールなどをはじめとするところの、いわばソフトロー的なものが中心に置かれているように思われるのですけれども、これだけで十分に今後、未然にこのような問題を防ぐことができるとお考えでしょうか。この点についても御認識をお伺いできればと思います。

その対策に関わって更に、第三者による監視のシステムというものが必要なのではないでしょうか。自主ルールによって内部的なチェックを強化するというのは、もちろん必要だと思うのですけれども、それで今までなかなかうまくいっていなかったというところを踏まえると、客観的な目によるチェックというのが必要なのではないかと思うのです。その点についても今後検討されていくのだとは思いますけれども、どのようにお考えなのか、現時点での検討の方向性をお聞きしたいと思います。

それから、最後に説明で省略されたところについて伺いたいと思います。参考3、9ページで、どのような建築確認・検査が行われているのかということで、図等があります。今回のような基礎の問題については、恐らく例えば中間検査をする段階では、もう現場での確認というのは難しい状態になっているのではないかと想像するのですが、各検査でどのようなことが行われているのか、そこでどのような事態は把握できるのかということについて、若干御説明いただきたいと思います。仮に今回のようにごく最初の段階で生ずる問題については、現在の検査等ではなかなか十分にチェックができないということであれば、あるいは少なくとも書類と突き合わせるということですと、書類が間違っていたら、それ以上のチェックはできないということになりそうですが、そうであれば、今後、その点についての検査体制をどのようにしようとされているか、あるいはこれについての改善を考えていらっしゃるのかということについて、お聞きしたいと思います。

少し多くなりましたけれども、よろしくお願いします。

○国土交通省北村土地・建設産業局建設業課長 それでは、お答え申し上げます。

1つは、この概要紙で少し表現が拙いところがあるとすれば、お詫びしたいと思います。

まず、データ流用の原因がミスだと、私ども、書いているつもりはございませんで、このマル3の表現は、データ流用の主な要因は、データの取得ができなかったことによるものが多くて、データがなぜ取れなかったかというのは、単なるミスだったということを書いているつもりでございます。当然、これはデータ流用が、この辺の経緯からいくと、とにかく機械の不具合ですとか、非常に単純なミスによってデータが取れなかったり、あとは取れたデータを紛失してしまったというのが発端でございますけれども、それを流用したのは明らかに故意でございますので、それをミスだと言っているつもりは全くございませんので、そういうことが起こらないような対策を講じる必要があると。

ただ、先ほどはしょらせていただいたのですけれども、今回、私ども、施工ルールを定めるということで、この施工ルールは2つの側面がございます。1つは、今後、そういうデータが取れなかったからといって流用しないようにする。データ流用が起こらないようにするというルールと。あとは、施工そのもの、くい自体をしっかり打つという側面で施工ルールを定めたつもりでございます。

データ流用につきましては、今回、実際にデータ流用した人とかのヒアリング等を会社のほうでやっているものを、複数人いらっしゃいますけれども、原因を聞きますと、先ほど申し上げましたように、データというのは元請がチェックするために使っている資料です。そういったときに、とにかくくい打ちが終わったら、ここのくいのデータはこれですということを全部耳をそろえて出せということになっていて、データが取れなかったらどうするかということは全然決まっていなかった。現場の末端の職人さんたちは、データというのは、とにかく工事が終わったら全部そろえて元請に出すものだと思っていたので、取れなかったらどうするかというと、もう流用するしかないねという非常に嘆かわしい状態だったということでございます。

今回の施工ルールの中で、発端はそういうミスですが、それ自体としては人がやることですから、機械のスイッチを入れ忘れたとか、そういう単純なことが起こっておりますので、そういったときにデータの代わりにどうするか。先ほど申し上げましたように、電流計だけが唯一の方法じゃないものですから、実際に工事をやったら、くいはちゃんと打ったんだけれども、データが取れなかった。そうしたら、そこで元請の責任者を呼んできて、その場でドリルの先に付いている土を見るとか、やり方はいろいろあるわけですので、そういうデータが取れなかったときの方策というものをちゃんと決めておくことということをルールに入れてございます。

あと、それ以外でも施工の体制として、今回、この横浜の事案で、くい打ちの現場を旭化成建材の2次下請の担当者だけに放ったらかしにしていたというのが最大の問題だと我々、思っております。マンションの販売会社から直接工事を請け負っているのは元請ですので、元請会社が施工について責任をしっかりと取るという体制を構築するということで、先ほど申し上げましたが、建設業法では、元請の責任者、監理技術者という資格者をちゃんと配置して、その人が責任を取るということが法律で決まってございますので、その人にしっかりと責任を負わせて、どのくいについても計画とか、そういったものを適正に行わせるということを今回、ルールで定めています。

ただ、これが今までは、そういう個別の元請企業と下請企業の仕事のやり方みたいなものについて、国が一々ルールを作るということはしておらなかったのですけれども、今回、こういう問題が起こりましたので、ルールを定めて、そのとおりにやっていただく。そのルールを当然守っていただくように、我々としてはいろいろな施策で誘導するなり、場合によっては立入検査をするなり、そういったことでチェックしてまいりたいと考えております。

現時点では、国がわざわざそういうルールを作っているのに、それにあえて違反して、そういう施工を行う、さっき言いましたように、不注意とか、そういうことは今までもあったわけですけれども、ルールを定めたものをあえて破ってまでやるようなインセンティブも施工者側にはないと思いますので、我々としてはこれで一義的には施工の現場は改善できるのではないかと考えてございます。

残りについては、建築指導課長。

○国土交通省石崎住宅局建築指導課長 建築指導課長でございます。

まず、資料の一番最後、9ページでございますが、建築基準法に基づく建築確認・検査について、参考ということで先ほど説明を省略させていただきました。

これは、恐らく御存じいただいているかと思いますが、建物を建てる際に、まず建築計画を立てます。建築計画は基本的には図面でございますので、設計図書を作ります。その設計図書の内容が建築基準法、その法律に合っているかどうかということを、まず確認するというシステムがございます。ただ、この段階ではあくまで設計でございますので、実際の建築物がどうなっているかというのは実は施工しないとわからないということがどうしても出てきます。それは、その次の段階の話になります。いずれにしましても、この段階では設計図書を確認するということになります。

この後、工事に着工して、施工の状況というのはその後の検査で見ることになります。従前は完了検査ということで、一番最後、でき終わった後にその段階での記録を確認するというシステムだけだったわけですが、最近、累次でございますが、中間段階でも検査をして、基本的には配筋の途中の段階、鉄筋コンクリートの場合ですと、中にまず鉄筋を組み上げて、その上にコンクリートを流し込んでしまいますので、コンクリートを流し込んでしまうと中の鉄筋が見えなくなるものですから、配筋の一番わかる、1階の床を組み上げたような段階で検査の時期が指定されており、そういう段階で中間検査をさせていただいております。

ただ、今回のようなくいの状況につきましては、その段階では地面の下が全部終わっていますので、記録で確認するという形になります。今回の案件につきましても、その記録に関しては中間検査の段階で提出されて、指定確認検査機関が見ておりましたが、その記録の字面が合っていますので、確認することができなかったというものでございます。

今回の対策に関しましては、先ほど建設業課長のほうから話がありましたように、その記録が信用ならないとなると、今回の場合、まさしく現場でずっと常駐して立ち会って見なければわからないような記録の内容でございましたので、それを行政の人間なり、確認検査機関の人間が行って、じっと何か月も現場でいるのかというのは、余り現実的ではない。むしろ、記録をきちんと作っていただく。それを今回、しっかりするというのが対策の基本ではないかというのが、今回の委員会でいただいた御議論でございます。

このため、4ページ、先ほどのA3の表ですが、基礎ぐいの中に、設計、施工、工事監理とありますが、施工の段階でとにかく記録をきちんと取ってもらう。そのために施工のルールを策定して、国土交通省はそのルールの遵守について指導する。そこで、とにかく記録をきちんと作ってもらって、その記録をきちんと確認する。そういうシステムの中で今回の対策をやっていくということが、現在、この委員会の方向として定められ、我々として、それを受けて、この方向で対応することとしました。

その後、補足になりますが、工事監理というものがあります。工事監理というのは建築士が行うものでございます。これも工事監理者というのは、ずっと現場に立ち会っているわけじゃなくて、中間検査よりはもうちょっと頻繁に行くわけですけれども、定期的に行くという形になりますので、その方に施工管理を補完するため、きちんと定められた施工ルールに従ってやっているかどうかというのを見ていただくという役割を、ここで中間的に担っていただくという形で、今回の安全性についての対策を取っていこうとしているものでございます。

○河上委員長 大森委員、どうぞ。

○大森委員 お話を聞いていると、くいが到達しているかどうかの確認というのは書類上でしかしない。そういうことだと思うのですけれども、以前は確認していたというお話も出ていましたね。チェックするのも元請ということで、私たち一般の消費者から見ると、元請というのは、いつまでに作って、いつまでにマンションを売ってと計画がどんどんあるので、そんなに予定を遅くしたくないというのがある、身内の立場ですね。第三者とは言えないと思います。

確実にくいが到達したということがわかるまでは、上に物を載せられないようにしてもらわないと、消費者にとっては、一般的な会社員の場合はマンションというのは人生最大の買い物で、一生かかって、それを払っていくわけです。なので、データだけで確認している、しかも元請が確認しているというのではとても不安で、どれを買っていいかわからないということになるかと思います。

処分のこともいろいろ載っていましたけれども、勧告とか、いろいろあるのですけれども、流用というのはたまたまのミスではなくて、意識的にやっていることですね。そういうもので、こういう処分でいいのかなと、すごく疑問に思います。その辺、もう少し厳しい第三者機関のチェック、あと、罰則をもう少し厳しくするとか、その辺は考えていらっしゃらないのでしょうか。私たち消費者から見たら、確実にくいが到達した、では、オーケー、マンションを建ててもいい、販売してもいい、それでなかったら、そこから一歩も進めないという状況にしてもらわないと、とても不安だなと思います。

ついでに、安全性を自主的に検査したとかいう話がありましたけれども、それも結局は全部書類上ということですね。確認です。

○国土交通省北村土地・建設産業局建設業課長 分担してお答えしたいと思いますけれども、まず、ひょっとしたら誤解があるかもしれませんので、もう一度御説明しておきますと、書類上確認すると言っていますのは、これは行政庁は書類上確認するということでございまして、現場では元請の事業者が、重要なくいは下請任せにしないで自分でチェックする。それは書類だけではないと。

ただ、先ほど申し上げました、10年、20年前みたいに全てのくいを1本1本、元請の職員が見るというのはなかなか難しいということなので、そこは元請のほうでちゃんとルールを作って、これとこれは特に重要なくいだから、元請も見る、これとこれは書類をチェックするというルールをしっかり定めるということでございますので、現場では目視もかなりの程度行われるということになろうかと思います。

あと、第三者については後ほど御説明しますけれども、処分についてということでございますけれども、要は法律に基づいて行政処分をするということになりますと、私ども、行政手続法等に基づきまして、処分基準といったものをもとに処分せざるを得ないということでございます。ですので、今回のデータ流用が、例えば横浜のケースで施工不良を実際にしていて、それを隠すためにデータ流用していたということであれば、これは悪質な施工不良、手抜き工事ということになりますので、私どもの処分の対象になりますけれども、先ほど言いましたように、元請が自分の目でチェックしている現場は、そのデータはそもそも要らないわけです。

ですから、そういうデータについて、あくまでも元請・下請間の約束として求めているデータを流用したということについては、少なくともこれまでは私どもの処分基準では、それに基づいて処分するということはないものですから、ぎりぎりのところで行政指導ということで勧告ということをさせていただいておりますし、勧告したことを世の中に公表するということで、事業者の方には、ある意味、広い意味のペナルティーということになってございます。

私どものほうで施工ルールを定めましたので、今後、データ流用するということになりますと、国が定めたルールをわざと破ってデータ流用するということになりますので、それについての処分等については、また別途の対応もあり得るかなと考えてございますけれども、現時点、今回のケースで、おっしゃるとおりで非常に問題がある行為ではございますけれども、じゃ、より重い処分をするかというところについては、なかなか難しかったということを御理解いただければと思います。

○国土交通省石崎住宅局建築指導課長 まず、第三者がどこまでチェックするかということですけれども、基本的には先ほど申し上げた、第三者が1から現場にずっと張りついて、全てを見るシステムというのは、現段階では技術者の配置の観点からなかなか難しいのではないかと考えてございます。そのために、こういう建設業法の施工ルールと、当然ながら、先ほど申しました工事監理、この中身も中間検査で第三者が見ますので、そういう形のシステムを使いながら安全性を確認していくというのが、現段階では妥当と我々は考えてございます。

また、先ほどの安全性のチェックも書類上ではないかということでございましたが、今回、データが流用されているくいがどうであったかという確認でございますので、データが流用されていないものが一体どういう状態のデータなのか、これは確かに書類といえば書類でございますが、残されたデータから安全性が確認できるものはそのデータにより確認をしました。また、そういうデータから確認できないものに関しましては、直接ボーリング等を行って確認しています。

○大森委員 今回、こんな大きな問題が出たということでも、今までのルールをそのまま厳しくするだけですか。

○国土交通省北村土地・建設産業局建設業課長 質問の御趣旨が。

○大森委員 新たな検討とか改善とかはないわけですか。ずっと張りついておれとは言っていませんけれども、この部分に関しては、もっときっちり第三者がチェックするようにするとか、ルールの変更とかは考えていらっしゃらないのですか。

○長田委員 関連して。

○河上委員長 長田委員。

○長田委員 今回の検討の中で、例えばロサンゼルスでやっているインスペクションみたいな、何回か基礎の部分、骨組みのとき、屋根を乗せるときだけ、第三者の工事監理の人がちゃんと行って見るという制度とか、そういうことは検討されたりしなかったのでしょうか。

というのは、先ほどのお話の中にも出てきていましたけれども、今回もそうだったと思いますけれども、もともとは元請の建設会社の中に工事監理の人もいて、設計の人もいるという状態の中で現在行われていて、かつては元請の工事監理の人が基礎のときに全部目視で確認していたけれども、それがいろいろ国交省として認めておられるさまざまな理由の中でされなくなって、データでの確認になって少し緩くなっていっているのだと思うのですけれども、もう少しそれをきちんと制度として担保していこうという検討はされなかったのでしょうか。

○国土交通省石崎住宅局建築指導課長 まず、今、ロスの話が出ましたけれども、まさしく中間段階、従前は先ほど申しました完了検査で、一番最後に行って確認するという段階でしたが、それでは不十分ではないかということで、中間検査がしばらく前に入りました。3階以上の共同住宅全てと、全国一律になったのは、確か構造計算偽装問題を受けてという形だったと思いますが、まさしく海外の制度等も参考にしながら中間検査という制度を今は行っております。

ただ、それはあくまで、その段階で検査を行うということですので、その段階以前に施工されたものをどうやってデータとしてきちんと残してもらうかというのは、今回ありましたように、今までどおりという話ではなく、どういうふうにデータを残すかというやり方自体、決まっていないことが問題なので、そこについてはしっかりしようというのが今回の対策でございます。なので、何もやらないということではなくて、今ある対策、今、既にやっている対策の中身をきちんとやるということで、今回の対応ができるのではないかというのが、我々の現段階の結論になってございます。

○河上委員長 池本委員、どうぞ。

○池本委員長代理 池本でございます。

先ほどからデータ流用という言葉、報告書を読ませていただいた中に、データ流用の主な要因ということで、記録装置がアナログ式電流計か積分電流計かを問わず、データ流用の要因は電流計のデータ等が取得できなかったことによるものが多いのだとあります。しかし、件数、発生割合からすると随分多いですが、これは、この基礎ぐいのチェックをするための電流計というのはメーカーが何社ぐらいあって、どのぐらいの機種があるのか、そのデータが取れないことがしばしばあるのかどうか、メーカー側の事情聴取等はなさったのでしょうか。

なぜそれをお聞きするかというと、先ほどのやり取りにも関連するのですが、中間検査の制度を設けたというのは評価できるのですが、常時立会いはできなくても、ポイント、ポイントを突いてチェックする人の配置の問題と、それから今の時代ですから、機械的な、それをより客観的に記録できる方策があれば、それも活用できると思うのですが、これまでの構造計算書の偽装のときもそうですし、今回も共通ではないかと思うのは、発注者と建設会社というのが、自分が住む家だったら利害対立ですけれども、早く安く作って、早く売りたいということになると、安全性の問題では本当の意味の利害対立というよりは、もう簡単に済ませようという方向に流れてしまうというのが、いろいろなこの建築に関する問題の根底にあるのだと思うのですね。

だとすると、元請が見ているときは、そもそもこんなものを電流計で記録を取る必要もないのだという前提で出発するのか、むしろ、きちんとその機器を正確なものにして、必ず取って記録を保存する方向とするのかというところを含めて、客観的に検証可能なものをどう残すのか。そして、ポイント、ポイントについては、例えば中間検査といっても、一定規模以上のものについては、どの段階では第三者がチェックする場面が必要ではないかと、全体像の中で検討する必要があると考えるので、その辺りについて御意見を伺いたいと思います。

○国土交通省北村土地・建設産業局建設業課長 まず、機器の関係について御回答できる部分だけ。

何社くらいあるかというのは、手元にデータを持ち合わせておりませんので、必要があれば事務局のほうにお答えしますが、メーカーからのヒアリングも行ってございます。ただ、このデータが統計の数字の割合が多いというのは、多分、私どもの説明が不十分だからだと思いますが、先ほど現場と言いましたけれども、3,052の現場のうち、データ流用が見つかった現場が360という意味です。ですので、くいを1,000本打つ工事があって、そのうちの1本見つかっても1現場と数えてございますので、くいの本数で言えば相当低い率になってございます。とにかく1本でも見つかったところが、旭化成建材だと1割、それでもかなり多いと思っておりますけれども、そういうものでございます。

ですので、それは機械の不具合というよりは、旭化成建材のこの横浜の現場は、旧式のアナログタイプと言われているものでして、くいのデータがレジのレシートみたいな形でぴぴっと出てきます。そうすると、雨が降って濡れると印字がかすんでしまう。あと、ここの現場の担当者はある意味資料管理がルーズで、まとめて置いておいたらなくしちゃったとか、そんなこともどうもあるようでございまして、そういう非常に単純な、ばかばかしいと言うとあれなのですけれども、そんなことで流用になったという、あきれるような事例がいろいろございます。

ただ、いずれにしても、そういう機械の点についても当然、なるべく改良してということで、そういうアナログ式のものではなくて、中の画面に保存される、あと、今後、業界のほうでは、それをクラウド化するといいますか、現場のデータがすぐに本社とか元請のほうに飛んで、流用とかがしたくてもできないようにするという技術的な開発は、すぐにでも着手すると聞いてございます。

○河上委員長 よろしいですか。

蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 6ページの消費者からの相談対応体制について、お聞きしたいのですが、この基礎ぐいの問題が起こる前と起こった後の「住まいるダイヤル」を活用した相談窓口の設置、増強した数、どのぐらい増強なさったのか。後ろのページに、「相談員は35名(一級建築士)」と書いてありますが、これが増強した数なのか、あるいはそれがベースで増強されたのか、その数と。

それから、その中における専門家の割合。今、建築士だけになっていますが、この問題は弁護士も結構関係してきますので、ちゃんとそういう方々がいたのか。

3番目に、これに関する情報共有というのがなされて、その方々がお答えになっているのか、あるいは個人見解を窓口に出た人がお話なさったのか、その辺の状況がわかればお話いただきたいです。

○国土交通省眞鍋住宅局住宅生産課長 窓口の増強というのは、窓口の数を増やしたのではなく、対応の人数を増やしております。

○蟹瀬委員 人数を教えてください。

○国土交通省眞鍋住宅局住宅生産課長 35名が総勢でございまして、これが全て建築士の資格を持っておられる方になります。

○蟹瀬委員 その前は。

○国土交通省眞鍋住宅局住宅生産課長 35名は変わっておりません。実は、35名が交代で日替わりで対応してございます。従来、24名だったのを26名にしてございます。

○蟹瀬委員 それを増強と呼んでいらっしゃる。すみません、その数が増強という言葉にはならないと思います。増強という意味は、現在の数が35名で、40名になった、あるいは電話の数をもっと増やしたというのを増強という言葉で使うと思うのですが、増強と言ったときの意味が私はよくわからなくて、お聞きしております。

○国土交通省眞鍋住宅局住宅生産課長 普段24名で対応しておりますが、それをこの問題で2人、常駐を増やしております。35名が交代で日替わりで対応しておりますので、そのうち24名の対応を26名に増やしてございます。私どもは増強と。

○蟹瀬委員 では、2人が増強なのですね。

○国土交通省眞鍋住宅局住宅生産課長 そうです。

それで、これらの建築士の資格のある方が、当然のことながら情報共有しながら対応してございます。電話で一発で答えられるものもありますし、当然、相談しながら答えなければいけないものもございます。ただし、大体が一般的な制度の説明、法律の質問というものが多いものですから、従来の建築士の方々と、それから建築士の方々も研修しながら経験を積んでおりますので、そうしたノウハウの中で対応できることが多うございます。

実際、今回のくいに関することについては、くいの学識経験者の方をお招きして相談員の方の研修を行いまして、基礎知識を頭に置いた上で、共通認識を持った上で対応するということもしてございます。それでもなおかつ、専門的で難しいものについては、構造の関係団体とか基礎の関係団体あるいは地質調査の関係団体と連携を取りながら、そちらのほうの窓口と連携を取って御紹介するということをしております。

なお、弁護士につきましては、従来から建築士と連携を取るようにしてございました。説明を省略いたしましたが、8ページ目の上のほうにございますように、一般的な質問については、1級建築士の資格と、それから住宅の建築や設計の実務経験があって、一定の経験を積んだ者に応対していただいておりますけれども、法律的な問題を含む相談については、弁護士の方に交代で常駐していただいておりまして、その弁護士の方と相談しながら御回答するという方法をとってございます。

○蟹瀬委員 これは、「住まいるダイヤル」の在り方を説明していらっしゃるのですが、私は「住まいるダイヤル」がこういうことをやっていますということを聞きたいのではなくて、基礎ぐいというものが起こったときにみんなが非常に不安になった。だから、ここに電話しなきゃいけない。そのときの体制は、弁護士も随分必要だったと思います。訴えられますか、住み替えられますかという質問がたくさん出てきた。私だったら電話して聞きますが、そういうときに、言葉のあやかもしれないのですが、6ページに「住まいるダイヤル」を活用した相談窓口を増強し、電話相談を受け付けました。内容に応じて幅広く対応できるよう、弁護士会、建築士関係団体、その他団体と連携し、専門家による相談体制を充実。これは、そこにいてくれる人がいたり、増えたりしたという事実があれば、こういうものは私は納得するので、その数を聞きたかったわけです。だから、日頃やっていることを、基礎ぐいのときにそれで答えましたと言ったときは、増強したとか強化したという言葉にはならないと私は思うので、その辺のところが、もうちょっと消費者の立場に立って、ああいう問題がばあっと起こったときに、その窓口の人たちがどう対応できるか、どういうふうに国民に応えてあげられるかという体制ができていますかというのを、ちょっとお聞きしたかったです。普段のことはいいのです。だから、2人が増強と言われたら、そうなのかなと。

○国土交通省眞鍋住宅局住宅生産課長 普段のことではなくして、6ページ目の下にあります相談体制については、今回の基礎ぐい問題の発生に対応して、マンションの関係団体、弁護士会、建築士会、そのほか建築の構造や基礎や地質調査の専門団体とも連携を取った。これは、今回のオリジナルです。普段の対応ももちろんしっかりやりますけれども、この問題に対応して、こういった連携体制をとったということで、普段の体制を倍にしたとか、そういうことを御説明したということではありません。

どのくらいの質問があるかということに対応して、更なる増強もあるかなと考えておりましたが、実際のところ、このくい問題については、先ほど申し上げましたように安全性が確認されたものが多く、今の段階で安全性が損なわれたものがないこともあり、実際の込み入った紛争に至っていないということがございますので、現状、毎日、このくいの関係での御質問は、0件、1件というところが続いております。今後、こういったことで御質問なり、紛争なりが増えてくるということになれば、当然増強も考えざるを得ないなと思いますが、現状ではそのような状況だと思います。

○蟹瀬委員 現在の話を聞いているのではありません。今まで、くいが起こったときにどうなさったかというのを聞きたかっただけなので。

○国土交通省眞鍋住宅局住宅生産課長 それは、先ほど申し上げたとおりです。

○蟹瀬委員 ありがとうございました。

○河上委員長 よろしいですか。

かなり時間が過ぎましたので、この辺りにしたいと思います。

以前に耐震の構造計算の偽造問題があって、欠陥住宅問題が社会を非常に騒がせたことがありましたけれども、あのときの経験が今回、うまく生かされているのかどうか、どうしても疑問が残ってしまいます。根本的には、建築業界の構造的な問題があるのだろうということを先ほども触れておられましたけれども、施工の監理が形骸化しないようにするためには、中立的な第三者によるインスペクションが必要になってくるのではないかという感じが非常に強くいたしました。

今、いろいろ議論されているところですので、今後の議論に注目したいと思います。再発防止に向けて対策を講じているということなどの説明もいただいたところでありますけれども、消費者が住まいを安心して購入して生活していくことができるために、国土交通省におかれましては、一層の取組をお願いしたいと思います。

そのために、消費者基本計画にこの取組について明記するということについても、是非御検討いただければと思います。当委員会としても、本日のヒアリングを踏まえて、消費者基本計画への反映等について意見を取りまとめるなど、しかるべく対応していきたいと思いますので、そのときにはまた御協力をお願いできればと考えているところであります。

国土交通省におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。

(国土交通省 退席)

○河上委員長 さて、次の議題については、消費者庁からウェブ会議システムでの参加が入りますので、準備のために5分ほど休憩を挟みたいと思います。その間に準備作業をお願いいたします。

(休 憩)

(消費者庁 着席)

≪3.消費者安全の確保に関する基本的な方針の改定について≫

○河上委員長 それでは、再開したいと思いますけれども、ウェブ会議システムの参加者の方、そちらはこちらが見えていますか。

○消費者庁消費者政策課担当者 見えております。

○河上委員長 わかりました。

それでは、続いての議題ですけれども、「消費者安全の確保に関する基本的な方針の改定について」であります。

今回、消費者庁については、ウェブ会議システムでも参加していただいております。お忙しいところ、お時間をいただきまして、ありがとうございます。

消費者庁では、改正消費者安全法が本年4月1日に施行されることを踏まえまして、同法に規定する消費者安全の確保に関する基本方針の改正を予定しておりまして、今月21日より改正案をパブリックコメントにかけていると伺っております。消費者安全法では、この基本方針を変更するときは、消費者委員会等の意見を聞かなければならないとされておりますため、本日は消費者庁から改正素案について御説明いただき、意見交換を行いたいと思います。

それでは、10分ほどでお願いいたします。

○消費者庁鈴木消費者政策課長 消費者政策課長の鈴木でございます。よろしくお願いいたします。

資料は、この関係は資料3-1と3-2、それから参考資料を2枚付けてございます。消費者安全法に基づく制度的な仕組みにつきましては、今、委員長から御紹介いただいたとおりでございまして、参考資料1が関係条文の抜粋でございますが、説明を省略させていただきまして、資料3-1の説明に入らせていただきます。

改正の経緯ということで、消費者安全法では、内閣総理大臣決定で基本方針を定めることになっておりまして、基本方針は、最初、平成22年3月30日に策定されて、これまで平成25年4月に一度改正されております。

今回は、平成26年に消費者安全法が改正され、それが今年の4月1日に施行されるということで、当該改正に伴う所要の改正を行うというものでございます。消費者安全法の26年改正の概要につきましては、参考資料2も付けておりますが、更にその要約を、資料3-1の米印のところに書いてあるところでございます。

基本的には、地方自治体の体制・業務についての改正ということでございまして、消費生活相談に関して、民間委託する場合に基準を満たすことであるとか、消費生活センターの運営組織について条例を整備すること。

また、今回、「消費生活相談員」という職を法律に位置付けたということで、試験も行われるということ。それから、行政職員や相談員に対して研修を実施するということ。

それから、高齢者の見守りの関係で、「消費生活上特に配慮を要する購入者」、被害に遭っている方などに関する情報を、地方公共団体に情報提供できるようにするということ。

それから、見守りのための協議会、「消費者安全確保地域協議会」と名前が付いておりますが、それを設置するということについて、平成26年改正で定められたということでございます。

基本方針の改正の概要ということで、資料3-1の1ページ目の下から2ページ目にかけまして、全体の構成の中のどこに今回の改正内容が対応するか、新しい記述が入るとか項目が追加されるとかいうことを書いてございまして、中身としては、基本方針の第2の「消費者安全の確保に関する施策に関する基本的事項」の1つ目の項目に「消費生活相談等」ということがございまして、そこに既に括弧数字で入っている項目に新しい中身を記述する。それから、新しく括弧数字のレベルの単位で項目を追加しているものもあるということでございます。

具体的な改正内容は資料3-2でございまして、これは今、パブコメにかけている案でございますが、左側が「改正後」、つまり改正案で、右側が「改正前」、現在の基本方針という形で作ってございます。公用文の漢字の整理で「すき間」の「すき」が漢字になるとか、そういう細かいことも含めて改正しておりますが、改正部分は下線を引いているところでございます。最初の総論のところでは、資料3-2の2ページでございますが、今回の法改正の趣旨が1つのパラグラフとして入っています。

具体的な内容といたしましては、資料3-2の4ページから改正の内容が入っているということでございます。ひとつひとつ説明していくと時間の関係もあるので、資料3-1の改正概要でどういう内容がどこに入っているかということを見ていただければと思います。

資料3-1の2ページ目、「今後のスケジュール(現時点の想定)」でございますが、「パブコメの募集(1月中旬から2月中旬まで)」と書いてございますが、冒頭、委員長から御紹介がありましたように、1月21日からパブコメを始めておりまして、2月19日までということで実施しております。本日は、パブコメ期間中の改正案の消費者委員会への御説明ということで、1月のところの2行目に書いてあるところでございます。

基本方針は総理大臣決定でございますので、法律に基づきまして各省に協議し、それから消費者委員会と消費者安全調査委員会いわゆる事故調に対しても、法律に基づく正式な意見聴取を行うことになり、そのときには了解ということで答申をいただく必要がございますので、その事前の説明ということで、今回御説明しているということでございます。

パブコメで意見が出れば、その意見も踏まえ、それから今回の委員会で御意見が出れば、それも併せて検討し、修正する必要がある部分があれば修正して、正式な各省協議、それから正式な委員会への意見聴取を行いまして、最終的に年度中に内閣総理大臣決定という予定で考えてございます。

駆け足ですが、説明は以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの報告内容について、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。

池本委員。

○池本委員長代理 池本ですが、今日いただいた新旧対照表に書いてある改正案の中身でよいかどうかを、安全法の実際の条文や施行規則などとともに照合して見る必要があるのですが、基本的な項目は、今、ぱらぱらと見たところ、入っていると思うのですが、単に改正された法律や施行規則を埋め込むだけではなくて、それを国が、あるいは消費者庁が具体的に何をするかという、その一歩先のことを、改正されたものを具体的にどうするかというところを書いていくことになるのではないかと思うのです。

前後のほかの部分との比較がまだできていないのですが、その辺りの書き込み具合の具体化というのは、どういう。特に、この基本方針というのはどのくらいのスパンで、またいつ頃見直すために、例えば当面の1年、2年のことをいうのか、3年、4年、5年という中長期を考えるのかというところ。それから、より具体的な施策、例えば基本計画でいうと工程表が別にありますが、それとの比較で、これの具体性なりスパンはどうなのかというのを、ちょっと教えていただきたいと思います。

○消費者庁鈴木消費者政策課長 この消費者安全法の基本方針ですが、これまで1回改正されているということを先ほど御説明しましたけれども、平成22年3月に最初のものを作って、平成25年4月に一度改正しています。この平成25年4月の改正も、その前年の消費者安全法の改正に対応した内容を追加したというもので、定期的に改正するということは基本的に考えておりません。そういう意味で言うと、中長期的な、まさに基本的な考え方ということでございます。今、御指摘ありましたように、具体的な施策については、むしろ基本計画やその工程表のほうに書いていくという性格のものと考えております。

○河上委員長 よろしいですか。

ほかにはいかがでしょうか。

長田委員、どうぞ。

○長田委員 今回の案の中で、例えば消費者行政職員の研修等についても丁寧に書き込んでいただいて、よかったなと思っています。

この基本的な方針だけ読んでも、今、御指摘があったように、中長期に何を考えているのかというのはわかりやすいと思うのですが、余り活用されていないのかもしれないというのが正直な感想なので、基本計画等、あれを全部読み込んで、国として何をしていこうとしているのか読み取るのはなかなか難しいと思うので、最初の入り口としては、是非この基本的な方針も今後活用する方向を考えていただけたらいいなと思います。

○消費者庁鈴木消費者政策課長 今、御指摘ありましたように、この基本方針を今まで余りPRしていなくて、どちらかというと基本計画のほうを周知していたのですが、消費者安全法ということでのまとまりについては、こちらのほうに基本的な考え方が書いてあるということは、今後、周知していくといいのかなと思っております。特に今回、地方公共団体の体制の部分について充実されましたので、自治体向けの説明などに使うというのは1つの考え方としてあると思っております。

○河上委員長 よろしいですか。

ほかにはいかがでしょうか。

増田委員、どうぞ。

○増田委員 消費生活相談員を公的な資格にしていただいて、それについては感謝申し上げたいと思います。それにつきまして、きちんと各自治体がその資格を重要視して、そういう資格を持った者を雇用するということに重きを置いていただきたい。ただ、そういう同レベルの知識・経験等があれば首長判断で任用できることになっています。資格がなくても仕事ができる状況にはあるかと思うのですが、これから5年、10年先を見据えれば、有資格者の任用という方向に自治体にちゃんと理解していただく。これをきっかけとして、広く国民の方々がそういう資格者がいるのであるということを御理解いただき、事業者の方々も御理解いただく、すごくいいチャンスだと思いますので、周知についてもよろしくお願いしたいと考えています。

○消費者庁鈴木消費者政策課長 平成26年の消費者安全法改正で、従来、抽象的な、属性的な記述だったものを「消費生活相談員」という職として位置付けたというのは、まさに御指摘のような趣旨があってのものだと理解しております。先ほど御指摘があったように、法律の趣旨をもう少しわかりやすく書いているのがこの基本方針ということでございまして、相談員の処遇の確保とか配置のことについても書いてございますので、そういうことが国の方向性としてあるということを基本方針で示しているつもりでございますし、それをこれから周知していく中で普及していくということかと思います。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。

ウェブ会議の相手方のほうからは、何か付け加えたいことはございますか。

○消費者庁消費者政策課担当者 ちょっとよく聞き取れなかったのですが。

○河上委員長 こちらの委員の声は、大体聞こえていますか。

○消費者庁消費者政策課担当者 聞こえる方は大体聞こえるのですけれども、ほとんど聞き取れない方もおられます。半分ぐらいです。

○河上委員長 なるほど。

ほかには何か。いかがでしょうか。

長田委員、どうぞ。

○長田委員 パブリックコメントをとっていること自体も、割とひそやかな印象があるので、もうちょっと何か、私も努力しますが、せっかくなので。

○消費者庁鈴木消費者政策課長 パブリックコメントですので、e-Gov、政府の共通のサイトと、消費者庁のサイトの意見募集には載せておりますし、消費者庁のサイトの新着情報にもパブコメを始めましたということを載せているのですが、それ以外の周知の方法は考えます。

○河上委員長 ほかによろしいですか。

この方針というのは、法的にはどういう性格を持つのですか。

○消費者庁鈴木消費者政策課長 法的な位置付けとしては、基本方針でありまして、これが法的拘束力を持つものではありません。消費者安全法の下の施行令とか施行規則が法的拘束力を持つ体系なので、先ほど御説明したように、政令とか省令も含めた考え方を要約して、ここに書いているというものになります。既に消費者安全法の改正の内容については、政令や省令、ガイドラインを作っておりますけれども、その内容も盛り込んで要約して書いているところでございます。

○河上委員長 そうすると、法的にはともかくとして、消費者庁自身の態度表明みたいなものですか。

○消費者庁鈴木消費者政策課長 消費者庁というよりは、内閣総理大臣決定で、全省庁に協議をかけますので、政府としてのということになります。

○河上委員長 前にも説明を受けている部分でございますけれども、これでよろしゅうございますか。はい。

どうもありがとうございました。

本改正案に関しては、この改正消費者安全法の施行に伴う消費生活相談等に関する施策の実施に当たって、必要な事項が記載されているということで、実施のために大いに活用していただければと思います。

さて、基本方針とは少し話がそれますけれども、消費者基本計画についても若干御報告があると伺っておりますので、そちらの報告をお願いいたします。

○消費者庁鈴木消費者政策課長 引き続きまして、御説明いたします。

消費者基本計画の工程表の改定につきましては、昨年11月12日の消費者委員会で今年度の施策の進捗状況について御報告いたしまして、そのときに年度内の改定に向けて作業しますということで御説明しておりました。各省とも調整して、一旦素案をまとめつつあったところですが、消費者庁で上に上げていく中で、時間をもう少しかけてもいいから、よりよいものにするようにという指示がございまして、今、どこをどういうふうに充実させていくかということも含めて、検討することになっております。

具体的なスケジュールは固まっているわけではないのですが、作業の内容などから考えると、当初の想定から2か月ぐらい後ろ倒しになるかなと、これはまだ確定ではないのですけれども、そのぐらいの作業感で進めております。見直しといいますか、充実の内容につきましては、まとまったところで御説明したいと思っております。

○河上委員長 ありがとうございました。

当初お話いただいたスケジュールよりも若干遅れるということですけれども、真に実効性のある充実した計画とするために、消費者庁には更に御尽力いただきたいと思います。

消費者委員会としては、これまで当初のスケジュールで一定の意見を表明するというつもりでヒアリングなどを行ってまいりましたので、現時点で言えるようなことに関しては、早目に意見として第一弾を申し上げる。そして、消費者庁のほうで、若干、まだ時間的余裕があるということでしたら、その後、ヒアリングや、いろいろ計画しているものがございますので、そこで言えることが出てくれば、また追加的に申し上げるという形で作業を進めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

消費者庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

(消費者庁 退席)

≪4.その他≫

○河上委員長 続きまして、議題「その他」といたしまして、去る12月12日に実施いたしました「消費者問題シンポジウム in 小田原」の実施報告を事務局からお願いいたします。

○黒木事務局長 それでは、資料に基づきまして報告をさせていただきます。

昨年12月12日に「消費者問題シンポジウム in 小田原」をNPO法人消費者支援かながわと、同じくNPO法人神奈川県消費者の会連絡会と共催で開催させていただきました。その内容でございます。

当日は、神奈川県、小田原市を初め、近隣の市の消費者行政担当者あるいは相談員の方、消費者団体、弁護士、司法書士、事業者、一般消費者など95名の参加をいただきました。

シンポジウムのテーマは「消費者被害と消費者行政の在り方」でございまして、冒頭、NPO法人消費者支援かながわの上村副理事長に開会の御挨拶をいただき、その後、委員長から基調講演を、また武井弁護士に「神奈川における消費者被害救済・予防~弁護士・弁護士会の活動と適格消費者団体を目指す活動」と題する御報告をいただきました。その後、パネルディスカッションを開催したところでございます。

パネルディスカッションでは、「官民連携に向けて」をテーマに河上委員長にコーディネーターをしていただきまして、パネリストとして消費者庁総務課の阪口課長補佐、あるいは神奈川県県民局くらし県民部の渡邉部長、あるいはかながわ中央消費生活センターの大岡相談員、NPO法人神奈川県消費者の会連絡会の今井代表理事、また御報告いただいた武井弁護士に御出席いただきまして、それぞれのお立場での取組や必要となる体制について討論をしていただきました。

また、委員長におかれましては、12月9日に小田原市の加藤市長を、また12月11日に神奈川県の吉川副知事をそれぞれ表敬訪問していただいております。

以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

私、講演と、それからパネルディスカッションのコーディネーターをさせていただきましたけれども、なかなか熱心な議論を聞かせていただき参考になりました。小田原というまちは、神奈川の中でも大都市の間に挟まれた非常に難しい位置にあって、大都市であると同時に地方的な色彩も持っていて、それだけにいろいろな行政上の問題というのも抱えていらっしゃるということがよくわかりました。

相談員の方々は一生懸命やっているのですけれども、どうしても県の職員、市の職員の方と相談員との協力関係とか、いろいろなことについて考えさせられる問題がたくさんあるということで、今後の地方における消費者行政の1つの在り方について、いろいろな議論が整理できたのではないかと思います。先ほどの基本計画の中でも出てきましたけれども、職員とか相談員の待遇や地位、役割の問題といったことについても、非常に有益な議論をしていただきました。

また、あとで詳しいデータが出ると思いますので、御覧いただければと思います。

続きまして、新開発食品調査部会から報告がございます。

阿久澤部会長から説明をお願いいたします。

○阿久澤委員 それでは、特定保健用食品の表示許可に係る答申について御報告いたします。

平成27年12月18日に開催した第30回新開発食品調査部会の議決について、新開発食品調査部会設置・運営規程第7条に基づき、委員長の同意を得て委員会の議決とし、平成27年12月22日付け、平成28年1月19日付けで内閣総理大臣へ答申を行いました。

まず、参考資料4の1ページを御覧ください。

1.の品目ですが、内閣総理大臣より諮問を受けて、第30回新開発食品調査部会において安全性及び効果について審議を行った結果、特定保健用食品として認めることといたしました。

次の品目ですが、参考資料4の5ページを御覧ください。

これは第30回新開発食品調査部会において安全性及び効果について審議を行った結果、許可表示の表現について指摘事項がございまして、その回答を確認の上、了承することが部会長に一任され、申請者からの回答書を確認いたしまして、特定保健用食品として認めることといたしました。

報告は以上となります。

○河上委員長 どうもありがとうございました。御報告ということで、御了解いただきたいと思います。

次に、最後になりますけれども、消費者委員会に寄せられた意見等の概況について、事務局から御報告をいただいて、委員間で若干の意見交換を行いたいと思います。

では、よろしくお願いします。

○丸山参事官 お手元の参考資料5のほうを御覧いただければと思います。昨年10月1日から12月31日までに委員会に寄せられた要望書・意見書・声明文等の一覧となっております。こちらは定期的に公表している資料となっております。

この間、委員会のほうに寄せられました意見書・要望書等は、合計で47件ございました。

1ページ目の左のほうの矢印括弧を御覧いただければと思います。「取引・契約関係(特定商取引法)」で14件ということになっております。

それから、めくっていただきまして、3ページ目の中ほどでございますけれども、「取引・契約関係(その他)」ということで、割賦販売法の改正等につきまして、4件意見が寄せられてございます。

それから、1ページおめくりいただきまして、真ん中ほど、「食品表示関係」のほうで2点。

それから、下部のほう、「消費者安全関係」、これは薬物等の関係のことでございますけれども、4件寄せられてございます。

それから、5ページ目でございますけれども、中ほど、「個人情報保護制度関係」、これはマイナンバー関係でございますけれども、1件。

それから、下のほう、「その他」ということで整理させていただいておりますけれども、消費者庁等の移転関係ということで21件となっております。

それから、最後のページ、9ページ目でございますけれども、「その他」ということで、民法の成年年齢引下げに関することで1件寄せられてございます。

以上でございます。

○河上委員長 ありがとうございました。

それでは、御意見のある方は発言をお願いいたします。

樋口委員、どうぞ。

○樋口委員 この消費者委員会に寄せられた要望書・意見・声明の中で移転の話が出ているのですけれども、今日、実験をしたようですけれども、移転の話はどういうスケジュールで進んでいくのか。消費者団体も非常に心配して、いろいろ要望も出ているようですが、全体のスケジュールが今一つはっきりわからないのですが、どういうプロセスを経て、どういう議論をしていくのか。それがある程度明らかになった段階で、それに沿って議論していったほうがいいのではないかという気がするのですが、いかがでしょうか。

○河上委員長 これは事務的に何か情報提供はありますか。

○丸山参事官 まず、検討のスケジュールのほうでございますけれども、こちらは内閣官房の創生本部が主体になって担当されております。こちらにつきまして有識者会議が置かれておりますけれども、こちらの検討を経た上で、3月末を目途に創生本部のほうで移転に関する決定ということでなされる予定と聞いております。

その中で、事務局同士ということで、いろいろ意見、やり取りということでさせていただくことも、今後予定しておりますけれども、最終的には3月末までにつきまして、更に詳細な具体の予定については、ちょっと決まっておりませんので、こちらのほうとしてはそちらの状況の推移等を見守りつつ、対応していきたいと考えております。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。

蟹瀬委員。

○蟹瀬委員 ここに寄せられた声明文は、移転を担当している人たちのところには届くのですか。

○丸山参事官 こちらにつきまして、委員会のほうにだけ寄せられているということはございませんで、関係する政府機関、具体的には消費者庁とか国民生活センター、あるいは先ほど申し上げました内閣官房の創生本部についても、要望書ということで寄せられておりますので、関係のほうにはこういったものについて寄せられて、きちんと把握されているということで理解しています。

○河上委員長 よろしゅうございますでしょうか。

ほかにはいかがですか。

それぞれ重要な御指摘をいただいておりまして、特商法については、今、まさに立法に向けた動きがあるところでございますけれども、消費者庁において準備をしてくださっております。

割賦販売法について。これは別の審議会で議論が進んでいるということでして、これについても今、慎重に見守っている段階であります。

食品表示関係について。これは我々のほうで機能性食品の表示に関して、特保との関係も含めて議論を続けているということになります。

あと、個人情報保護との関係で、マイナンバー制度の問題がありますけれども、できましたら1度、新しい個人情報保護委員会とも意見交換したり、情報交換を行いたいと思います。聞いた話では、「マイナンバー占い」などというのがあるそうです。占いをするからマイナンバーを教えてほしいというので、それでやられている人が結構いるらしい。本当はそれはやっちゃいけないことなのですね。マイナンバー制度を導入する段階で、いろいろな詐欺的な手法が暗躍しているということで、実害はそれほど報道されていないようですけれども、セキュリティーの問題。本人自身もマイナンバーの管理については、よくよく注意していただく必要があろうかと思います。

移転の話は、これは徳島に限らず、地方移転の長所短所がございますから、慎重に検証していただくということで、我々も必要があれば、また意見を述べる機会を持つことにしたいと思います。

この要望書に限らず、委員の皆様の御関心事項などありましたら、この際、御意見を少し披露していただければと思いますが、いかがでしょうか。

大森委員。

○大森委員 バスの事故のことがすごく気になっていて、パイロットだったら何時間飛行しないと人を乗せられないとか、そういうルールがあると思うのですけれども、夜行バスに関しても、経験とか。あと、経験も必要ですけれども、ある意味高齢になると目も見えにくいし、反射神経も鈍るということで、何らかの規制が要るのではないかと思います。

○河上委員長 これは、国交省の調査委員会がまず動いているところで、消費者庁も事故調で消費者の視点で事故の原因や問題点を検討してみたいということを大臣自身が発言されていますから、私どもで何ができるかということは、それらの検証の様子を見ながら考えてみたいと思います。

ほかにはいかがでしょう。よろしいですか。

私も新聞を見ていていろいろ思うことがあります。例の冷凍カツの廃棄食品の横流しの問題。これもいろいろなところが既に扱っていて、消費者庁もやっているのですけれども、食品ロスのことを考えると、ちょっともったいないなとか、どういう形で問題を整理すべきか、よくわからないのですが、気になっております。

もう1点、気になりましたのは、例えば有料老人ホームのような、今日も問題が出ましたけれども、公益法人の職員がお金を預って、それを流用してしまったという事件がありました。公益法人に関する問題というのは、意外に規律が穴に陥っている部分がありまして、これも、もうちょっと掘ってみたほうがいいのかなと思います。

あと、電力自由化でいろいろなセット商品が出てくるのですけれども、どうも商品構成がよくわからない。価格で損得を評価しようと思っても、セット内容が不明確で、どういうふうに判断したらいいかわからない場合が少なくないという話があります。これも公共料金のところで何かやったほうがいいのかなと思いました。

もう1点、気になったのが民泊についてです。外国人観光客などを相手にして、通常のホテルじゃない、例えば共同住宅などの1室を使って、金を取って泊まらせる。旅館業法など、一定の法律の規制に引っかかる可能性があるらしいのですけれども、これは限界線上でどういうふうに判断したらいいのか、と思いながら見ていたのです。

ほかにも、幾つか気になる問題がありますので、また調査班で少し試し掘りをして、意見を述べる必要のある事柄があれば考えてみたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

はい、蟹瀬委員。

○蟹瀬委員 委員長が言われた廃棄食品がありますね。私は、あのときに家の中で、賞味期限というのがおかしいんじゃないのと言ってしまったのです。賞味期限の決め方が、何でもかんでも賞味期限と書いてあるのですけれども、例えば「さしすせそ」。私たち、子供の頃からみそ、しょう油、お酢。ああいう常備しておくものは、3年ぐらいたっているみそがよかったり、しょう油もたまりしょう油になるまで置いておきましょうみたいな生活をしていた中で、「さしすせそ」まで結構短い賞味期限で、子供たちは、ああ、これ駄目だと塩を捨てるのだけれども、えっ、塩を捨てるのみたいなものがあったりするのですね。

だから、冷凍食品とか、常備の「さしすせそ」に当たるようなものとか。冷凍物は別としても、従来、日本で保存食として置かれていたものに対する賞味期限が、ほかの生ものとかと同じように作られていく、お漬け物みたいなものと同じように作られていくというのがおかしいのではないかというのを、ふと、あの事件をもとに気付いて。それはそれで、世の中が成り立っているからいいのだと言われればいいのですけれども、それで無駄なものがいっぱい。

かまぼこでも、お正月、7日までと書いてあるけれども、実は1月いっぱい食べられたり、開けてみて何ともなかったら、ちょっと焼けば食べられるものを、7日までと書いてあると、家の人はどんどん捨ててしまうのです。だけれども、食べられるしと言うのですけれども、そういうところはどうなのですか。冷凍食品も含めて、無駄なことが多いなというのが私の中で、あの事件があって感じたことです。

○河上委員長 賞味期限・消費期限の問題もあります。ただ、少なくとも廃棄してくれと言われたものを廃棄しないというのは論外ですね。

○蟹瀬委員 それはまた別問題です。

○河上委員長 横流ししたというのは、これは許されないことなので、こういう問題を契機にして食品ロスの問題をもう1度考えてみるとか、消費期限に関する考え方というのを、賞味期限と併せて、表示の在り方、廃棄後のプロセス管理などについて検討してみることは必要なのかもしれませんね。

ほか、よろしいですか。また、お気付きになった点があったらよろしくお願いします。

それから、委員会に寄せられました意見書・要望書等については、今後とも全委員で情報共有をいたしますとともに、定期的に委員間で意見交換を行う機会を作っていきたいと思います。


≪5.閉会≫

○河上委員長 本日の議題は以上になります。

最後に、事務局から今後の予定について説明をお願いいたします。

○丸山参事官 次回の本会議の日程、議題につきましては、決まり次第、委員会のホームページ等を通じてお知らせさせていただきます。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会させていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)