第205回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2015年11月6日(金)10:29~11:41

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

  • 【委員】
    河上委員長、池本委員長代理、阿久澤委員、蟹瀬委員、鹿野委員、長田委員、樋口委員、増田委員
  • 【説明者】
    消費者庁 真渕 表示対策課長
    経済産業省 大木 商務情報政策局情報家電戦略室長
    辻本 資源エネルギー庁省エネルギー対策課長
    一般社団法人日本電機工業会 田中 家電部長
    国土交通省 眞鍋 住宅局住宅生産課長
    成田 住宅局住宅生産課住宅ストック活用リフォーム推進官
  • 【事務局】
    黒木事務局長、小野審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 家庭用品品質表示法の告示改正について
  3. 住宅品質確保法の告示改正について
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○河上委員長 本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会第205回本会議」を開催いたします。

また、本日は所用によりまして大森委員、中原委員が御欠席の予定となっております。

それでは、配付資料の確認をお願いいたします。

○丸山参事官 事務局でございます。

議事次第の下部のほうに配付資料一覧を記載しております。

まず、資料1-1といたしまして「諮問書(家庭用品品質表示法)」。それから、資料1-2といたしまして「家庭用品品質表示法 電気機械器具品質表示規程の一部を改正する消費者庁告示案について」。資料1-3といたしまして「電気冷蔵庫のJIS改正について」。資料2-1といたしまして「諮問書」、住宅の品質確保法。それから、資料2-2といたしまして、住宅の品質確保法に係る告示改正関連資料。それから、資料2-3といたしまして「住宅性能表示制度の見直しに係る日本住宅性能表示基準・評価方法基準等の改正案に関する意見の募集について」。それから、参考資料といたしまして「委員間打合せ概要」となっております。もし不足がございましたら、事務局のほうにお申しつけくださいますよう、よろしくお願いいたします。


≪2.家庭用品品質表示法の告示改正について≫

○河上委員長 それでは、最初の議題でございますが、「家庭用品品質表示法の告示改正について」であります。消費者庁、経済産業省におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、ありがとうございます。

家庭用品品質表示法は、家庭用品の品質に関する表示の適正化を図り、一般消費者の利益を保護することを目的とし、その対象となる家庭用品を指定し、品質に関わる事項を表示の標準として規定しております。また、家庭用品品質表示法第11条に基づき、表示の標準となる事項を制定、変更等をしようとするときは、消費者委員会に諮問し、意見を求めることとなっております。

本日は、改正を予定している内容等について、消費者庁から御説明いただきまして、意見の取りまとめを行いたいと思います。

それでは、15分程度ということで、お願いいたします。

○消費者庁真渕表示対策課長 それでは、私、消費者庁の表示対策課長をしております真渕と申します。本日はよろしくお願いいたします。

私のほうから、お手元の資料の1-2の1ページと2ページに基づきまして、今回お諮りする案件の全体像について御説明をさせていただきます。その後、今回、JISの改正に伴って家庭用品品質表示法の電気機械機具品質表示規程を改正することになったのですけれども、そのJISの改正の背景の事情などについて、資源エネルギー庁の辻本課長のほうから御説明させていただいて、その後、JISの改正の内容等について、業界団体の方から御説明をさせていただくという説明の流れにさせていただきたいと思います。

それでは、お手元の資料1-2を御覧いただければと思います。

今、委員長のほうから御説明ございましたとおり、家庭用品品質表示法では、表示を義務付ける品目を具体的に指定しております。現在、90品目指定されているところでございます。その90品目の中に電気冷蔵庫がございまして、これに関しまして、今年の6月にJISという日本工業規格の改正が行われまして、今般、家庭用品品質表示法3条1項の規定に基づいて定められております電気機械機具品質表示規程の電気冷蔵庫に関する表示の標準となるべき事項に関しまして、JISを引用している部分がございますので、その部分の所要の改正を行うというものでございます。

1ページの3.ですが、改正内容については、また後ほど詳細は御説明させていただきますが、電気冷蔵庫に関するJISの改正ということで、もともと今年の2月に電気冷蔵庫に係るエネルギー消費効率について、より使用実態を反映した精度の高い表示ができるように、日本の提案により消費電力量試験方法に関する新しい国際規格が発行されたところでございます。これに合わせて、今年の6月に新しいJISが公示されたということでございます。それに伴って、家庭用品品質表示法の関係する規程の改正が必要になったということでございます。

では具体的にどのような改正を行うのかということでございますけれども、2ページを御覧いただくよりは、実際の改正の新旧対照表を御覧いただくのが一番わかりやすいかと思います。お手元の資料6ページから7ページの参考2に新旧対照表がございますけれども、こちらをご覧いただければ一番分かりやすいかと思います。

ここにございますように、傍線を引いてございますところが今回の改正の部分でございます。JISの番号が変わっておりますので、新JIS番号に変更する、7ページであれば、許容範囲がJISの中で変わっておりますので、それを反映させて、プラス15%だったものをプラス7%とするといった、いわゆるハネ改正でございます。

恐縮ですけれども、また2ページに戻っていただきまして、今後の予定ですけれども、消費者委員会へ今回、諮問させていただいて答申をいただきましたら、経済産業大臣への協議といった、法律に基づいた手続を踏んで、その他ここにございますような所定の手続を経て、来年3月に改正告示の公布・施行を予定しております。あと、事業者に対する周知、準備のための経過措置を設ける予定でございまして、施行後1年間に表示が行われるものについては、従前の例によることができるとする規定を設ける予定であります。

全体につきまして、私のほうからの説明は以上でございます。

○経済産業省辻本資源エネルギー庁省エネルギー対策課長 続きまして、経済産業省省エネルギー対策課長の辻本でございます。

3ページを御覧ください。これは、経済産業大臣から内閣総理大臣に対して宛てた規定に基づく要請文でございます。

めくっていただきまして、ページ右下4ページを御覧ください。先ほど消費者庁のほうから前段のほうのお話をいただきましたけれども、その背景について更に説明したいと思います。

「II.変更の概要」の「1.背景」の1パラグラフ目を御覧ください。エネルギー使用の合理化等に関する法律、これは俗に言う省エネ法でございます。省エネ法の中におきましては、例えばこの天井を見ていただきますと、蛍光灯とか、あと自動車といったものにエネルギー消費効率の目標とする水準を定めまして、我々、俗にトップランナー制度とあだ名を付けておりますけれども、その目標を達成するような形で、メーカーの方々にエネルギー消費効率の高い製品を作っていただくという措置を講じてございます。

今回、その中の冷蔵庫に関する部分であります。4ページの「1.背景」の2パラグラフ目を御覧いただきますと、先ほども少しお話がありましたけれども、電気冷蔵庫に係るエネルギー消費効率の測定方法に関して、国際整合化を進めております。その2パラグラフ目の最後の部分を見ていただきますと、より日本における使用実態を反映した精度の高い表示値を示すことができる。これが第1であります。

その上で、統一された測定方法に従って国際的にも展開することによりまして、省エネ技術、省エネ製品を世界に普及・拡大していくということが可能になったということでございます。

こういった状況を踏まえまして、5ページに参ります。一番上を御覧ください。非常に長いのですけれども、総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会省エネルギー小委員会電気冷蔵庫等判断基準ワーキンググループ、このワーキンググループにおきまして、電気冷蔵庫に関しましてトップランナー基準の見直しを行いました。その背景は、まさにJISの見直しに伴う国際整合化というのを意識したというものでございます。このJISの中身、方向性、どういったことを目的にしているかにつきましては、後ほど日本電機工業会のほうから中身について御説明いただける予定になっております。

改正の概要につきましては、先ほど御説明があったとおりでございますけれども、改正時期は来年、平成28年3月1日、その上で経過措置を1年程度持つことを予定しております。

私のほうから説明は以上でございます。

○一般社団法人日本電機工業会田中家電部長 日本電機工業会の家電部長をしております田中でございます。

JISの改正内容に関しまして、資料1-3をもとに説明させていただきます。

IECの国際規格への日本提案ということで、2007年度版、この2月以前まで使われていましたIEC規格でございますが、これは基本的に使用実態に合った測定方法にはなっていないという問題がございました。国際的に見た場合、日本は間接冷却方式ということで、冷たい風を冷蔵庫の中に回すという方式をとっておりますが、ヨーロッパを中心に、まだまだ昔の日本国内でよくありました直接冷却方式というものが使われておりました。どちらかというと、IECの旧版はこの方式を前提としておりました。

併せて、周囲温度25℃、1温度のみであるとか、扉開閉を行わないということがございまして、現在、グローバルに冷蔵庫が販売している中で、非常に偏った規格だということで、日本側から提案させていただきまして、間接冷却方式をきちんと配慮した試験方法としたうえ、周囲温度を2温度、15℃と30℃、扉開閉を行う、負荷を投入する、目標温度を見直す、ということで提案させていただいております。

中身に関しましては、3ページ目でございます。

最終的に日本提案が全て通ったわけではございませんが、周囲温度に関しましても32℃と16℃、2温度を使うということ。あるいは、扉開閉に関しましても再現性の問題がありまして、日本の従来提案は非常に回数多く開け閉めをしていたのですけれども、いろいろな国で測定するには再現性が重要ということで、扉の開閉は1回にする代わりに、負荷の投入量を大きくするということで、負荷変動の対応を反映したものになっております。併せて、内容積の測り方も各国で非常にばらついておりましたので、今回の会議の中で各国の意見を聞いて議論した結果、統一がされております。

以上のようなことを5年以上かけて検討いたしまして、やっとこの2月に使用実態に合ったIEC規格が発行されました。これを受けまして、日本のJIS規格もIEC整合ということで、今回、改正の手続をとらせていただきまして、6月に新JISが発行されているということでございます。

ただ、IECが5年もかけたということと、間接・直接等々のいろいろな方式のことも含めて作った関係がありまして、非常に膨大な量になりましたので、3部構成に分けております。その関係でJISも3部構成にさせていただいているということで、JISの番号が前回と変わっているという形になります。

それから、許容差に関しましては、今までのJISでは15%としておりましたけれども、今回の見直しに伴いまして、先ほどの再現性等々も盛り込みましたので、7%に圧縮するということで、家表法でも新JISで規定している7%に変更させていただきたいと考えております。

以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。

どうぞ、池本委員。

○池本委員長代理 池本と申します。

基本的には、これは国際的な協議の結果を踏まえての国内法への反映なので、これについては異論はありませんし、むしろ精度を高めたという意味では、消費者にとっても表示と実際の利用とで齟齬(そご)が生じにくい方向での改正であると受け止めていますので、そういう理解でいいかどうかということの確認です。

それから、先ほど決定に至るまでのワーキンググループというものがありましたが、こういう省内での協議の手続の中では、例えば消費者側なり学識経験者なり、そういう方の意見というのは何らかの形で反映されているのかどうか、手続の点についても併せてお伺いできればと思います。

○経済産業省辻本資源エネルギー庁省エネルギー対策課長 まず、1点目の点につきましては、御指摘どおりでございます。そのように理解しております。

2点目につきましては、非常に長い名前でございましたけれども、我々の総合エネルギー調査審議会の下部ワーキングでございまして、俗に言う三者構成であります。当然ながらメーカーの方々、あと大学等の有識者の方々、また消費者委員にも入っていただきまして議論して、それで御指摘いただいた上で修正して、ある一定の結論が出たという流れになってございます。

○池本委員長代理 ありがとうございました。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。

JIS改正まで5年もかかったということですけれども、何が大きな論点だったのですか。

○一般社団法人日本電機工業会田中家電部長 先ほど説明させていただきましたそもそも論が、欧州中心の考え方と日本の考え方に相違がございましたので、その間接冷却ということを取り入れていただくということ。それから、欧州は今まで扉開閉とかをやっておりませんでしたので、それに対しまして、扉開閉することによる精度ばらつき等々に対して、意見がいろいろございまして、そこも合わせまして、従来、日本提案では冷凍庫を8回、冷蔵庫を35回開け閉めすることにしておりましたが、さすがにそれをグローバルに、どこの試験機関でも精度よくやるというのは難しいということで1回にしたとか、こういう論議を非常に積み重ねてきたので時間がかかったということでございます。

○河上委員長 一見すると極めて合理的な提案なのに、なぜこんなに時間がかかったのだろうと思いましたけれども、よろしいですか。

それでは、委員会としての答申案を用意しておりますので、案を配付させていただきます。

(追加資料配付)

○河上委員長 お手元に配付していただいたものでして、平成27年11月5日付け消表対第1401号をもって当委員会に諮問のあった「家庭用品品質表示法第3条の規定に基づく表示の標準となるべき事項」の案については、家庭用品品質表示法の趣旨に鑑み妥当であり、その旨答申する。

こういうものでございますけれども、よろしゅうございましょうか。はい。

それでは、「(案)」を取っていただきまして、これで答申させていただきたいと思います。

消費者庁、経済産業省、日本電機工業会におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

(消費者庁、経済産業省、日本電機工業会退席)

≪3.住宅の品質確保の促進等に関する法律に係る告示改正について≫

○河上委員長 次の議題は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律に係る告示改正について」でございます。

国土交通省、消費者庁におかれましては、お忙しいところ御出席いただきまして、まことにありがとうございます。

住宅の品質確保の促進等に関する法律は、住宅の品質確保の促進、住宅購入者の利益の保護、住宅に係る紛争の迅速かつ適正な解決を目的としております。また、同法に基づき運用されております住宅性能表示制度の表示基準を変更する場合は、同法第3条4項において、あらかじめ消費者委員会の議決を得なければならないとされております。

本日は、告示改正を予定しておられる内容等について、国土交通省及び消費者庁から御説明いただきまして、意見の取りまとめを行いたいと思います。

それでは、説明を15分程度でお願いいたします。

○国土交通省眞鍋住宅局住宅生産課長 国土交通省住宅局でございます。よろしくお願い申し上げます。

今、委員長のほうから御紹介がありましたとおり、本日は住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく住宅の性能についての表示の基準、その改正案について御説明申し上げたいと思います。

資料は、2-1から2-2、2-3、この3種類でございますが、要点を2-2の形でまとめてございますので、それを中心に御説明してまいりたいと思います。

資料2-2でございますが、1枚おめくりいただきまして、右下にページ番号がございます。3ページ目を御覧いただきたいと思います。

先ほど委員長から御紹介がありましたとおり、住宅の品質確保の促進等に関する法律は、平成11年に公布され、平成12年4月より施行してございます。

この法律に基づきまして、大きく3つの制度が位置付けられております。1つ目は、国が定める共通のルールに基づき、第三者機関が住宅の性能を評価・表示するという住宅性能表示制度。新築住宅の取得契約において、基本構造部分の瑕疵担保責任を10年間義務付ける瑕疵担保責任の特例制度。さらには、住宅性能の評価を受けた住宅に関する裁判外の紛争処理体制を整備する、この3つが柱になってございますが、本日関連がございますのは、第1番目の住宅性能表示制度についての告示案の改正でございます。

次に、4ページ目と5ページ目を併せて御覧いただきたいと思います。住宅については、性能評価・表示の対象を、新築のもの、既存のもの、この2つのカテゴリーに大きく分けております。

まず、新築住宅の制度から御説明申し上げますが、国が定める共通のルール、これは表示の基準と評価の基準の2つからなってございますけれども、それに基づきまして、登録住宅性能評価機関という公正中立な第三者機関が、設計図書の段階での評価、施工現場での検査、この2段階を経まして、設計段階での評価と建設段階での評価という2段階の評価書をそれぞれ作成することにしております。この制度については平成12年度から運用が実施されておりますが、義務付けではございませんで、あくまでも任意に活用できる制度であります。

新築住宅の性能評価は、下にイラストがございますが、10分野33項目ございます。その中には、耐震性などの構造の安定性、耐久性に関係のある劣化の軽減に関すること、更には省エネルギーに関係のある温熱環境・エネルギー消費量、そうした項目が含まれております。

右下に行っていただきまして、制度開始から15年を経ておりますが、累計で約260万戸の評価の実績があり、最近では平成26年度に約20万戸、新築住宅の評価の実績がございます。

続いて5ページ目でございますが、既存住宅の性能表示でございます。

基本的なスキームは新築住宅のものと同じでございますが、新築住宅とは少し技術的な難度が異なるといった制約もあることから、7分野27項目について評価を行い、表示を行うことができるという仕組みになってございます。これも義務付けではなく、あくまでも任意の制度でございまして、適用実績は右下に記載のとおりでございます。

続きまして6ページ目、7ページ目に参りたいと思います。これら基準については、これまでにも複数回改正してございまして、直近では平成25年度に改正いたしましたが、今回の改正の概要を7ページ目に整理してございます。

先ほど申し上げましたように、この制度は住宅の性能の評価をし、表示するという仕組みですが、根本になる基準は2つございます。1つは、日本住宅性能表示基準。これは、当初、国土交通省の告示としてまとめたものでございますが、その後、消費者庁との共管の法律になったことから、現在では国土交通大臣と内閣総理大臣が併せて告示をするということに仕組みが改められております。それから、技術的にどのように評価するのかという評価方法基準もございます。この2つが表裏の関係になるということで御理解いただきたいと思います。

今回の見直しでございますけれども、さきの通常国会で建築物の省エネルギー性能の向上に関する新しい法律が制定されました。この新しい法律にさまざまな建物の省エネルギーの基準が設けられることを予定してございまして、従来の省エネルギーに関するさまざまな法律、そこに位置付けられた基準をそちらのほうに統合する、あるいは移行することが予定されておりますので、それに伴う形式的な改正でございます。

もう1つは、既存住宅、つまり中古住宅ですが、そうしたものについての性能を評価して、これを表示するというニーズの高まりから、技術的な検討を進め、今回、その項目を追加し、あるいは一部合理化するというものでございます。

8ページ目に参ります。

先ほども委員長から御紹介がありましたように、この表示の基準を改めるに際しましては、審議会の議決、消費者委員会の議決をそれぞれ必要としてございますので、本日御審議いただくことになってございます。

少し飛びまして10ページ目以降の説明に移りたいと思います。個別の見直しの項目、改正の項目について、順を追って御説明してまいりたいと思います。

まずは、新築住宅について、省エネルギー性能に関する見直しでございます。

11ページ目に掲げておりますように、さきの通常国会で建築物の省エネルギー性能の向上に関する新しい法律が成立しております。一部は来年4月から、残りは再来年4月からの施行を予定してございます。この建築物の新しい省エネルギー法の中に、さまざまな建築物の省エネルギーの性能に関する基準を設けることとしております。

具体的に言いますと、省エネ基準と単純に呼んでおりますけれども、一定規模の建物については適合の義務化、小規模な建物や住宅については届出の義務を課すという基準。さらに、下のほうに行っていただきますと、容積率の特例の対象になるような誘導的な、少しレベルの高い省エネルギー基準、そうしたものを設けることにしております。このようにさまざまな省エネルギーについてのレベルの異なる基準を、この法律の体系の中に位置付ける等々を予定しております。

なお、この法律に基づく基準については、1か月間、パブリックコメントを実施しておりまして、昨日、11月5日に意見公募を締め切ったところでございます。

12ページ目、13ページ目を御覧いただきたいと思います。

それでは、今までそれらの基準はどこに規定されていたのかということですが、これまで住宅性能表示制度及びその評価の制度の中では、エネルギーの使用の合理化等に関する法律、これは略称を省エネ法と言っております。これは従来からある法律でございます。それから、都市の低炭素化の促進に関する法律、略称をエコまち法と言っておりますが、こういった複数の法律に位置付けられている、レベルの異なる省エネルギーに関する基準を引用しながら定めておりました。

今回、新しい建築物省エネ法の制定に伴い、これらに位置付けられていた基準を、一部は移行し、または置き換えることが可能になるということが予定されておりますので、こちらの新しい法体系のほうに全て引用元を統一するということを考えております。

なお、前後で省エネルギー性能に関する大きな変更点はございませんので、基本的には形式的な改正と考えてございます。

13ページ目に参ります。省エネルギーの性能評価については、2項目からなっております。

1つ目は、13ページ目に位置付けられております断熱等性能等級というものでございまして、これは建物の断熱性のレベルについて評価し、表示するというものでございます。下にございますように、等級1、2、3、4という4段階になっておりまして、数字が大きいほど高い性能を表しているということでございます。

参考までに申し上げますと、この等級1、2、3、4のうち2、3、4につきましては、これまで省エネルギー法の中に定められております過去の省エネルギー基準、昭和55年時点の基準、平成4年時点の基準、平成25年時点の基準、それぞれに準拠したレベルということになってございます。つまり、この等級が省エネルギー基準の歴史を1つ表しているということも言えるわけでございます。これらについて、先ほど申し上げました新しい法律体系を引用する形で定めるというふうに、形式的な改正をさせていただきたいということでございます。

14ページ目に参ります。省エネルギーに関する2つ目の表示事項については、一次エネルギー消費量等級でございます。これは、断熱性だけではなく、設備の性能も含めた、住宅の中で行われるエネルギー消費の削減のための対策の程度を評価・表示するというものでございます。

これにつきましても形式的な改正でございますが、等級が前のページのものと少し異なっておりまして、1、4、5という飛び飛びの等級になってございます。これは、等級2、3に当たる過去の省エネルギー基準の中身を見てみますと、一次エネルギー消費量に関する基準が当時はなく、平成25年時点から、この一次エネルギー消費量の基準が設けられたという歴史的な経緯がございまして、それがゆえに等級1、4、5という3段階になってございます。

なお、等級5につきましては、先ほど御紹介したエコまち法、これは高いレベルの省エネルギーを推進するための誘導法でございますが、そこに位置付けられた高いレベルでの一次エネルギー消費量を評価する基準として、ここに位置付けられております。

続きまして15ページ目につきましては、これは個別に第三者機関が発行する評価書の記載イメージでございます。このイメージはあくまでも国が規定するものではございませんので、1つの実例として御覧いただければと思います。

続きまして、16ページ目以降でございます。今度は既存の建物、中古住宅についての基準の見直しについて順次御説明してまいりたいと思います。

先ほど申し上げましたように、新築住宅と既存の住宅については、その評価・表示について一定の技術的な制約がございますので、これまで既存住宅については性能を評価する項目、表示する項目というのを絞り込んでおりましたけれども、さまざまな中古住宅について、既存住宅評価の充実についてのニーズを踏まえまして、今回複数項目を追加しようと考えているわけでございます。

17ページ目に参ります。まず、1つ目は劣化対策等級でございます。

これは、構造躯体等に使用する材料の交換など、大規模な改修工事を必要とするまでの期間を延ばすために、必要な対策の程度を評価して表示する。言ってみれば、耐久性の程度を評価するものだと御理解いただければと思います。新築住宅の表示基準と同様に、等級1、2、3という3段階を設定し、等級1は建築基準法で求められる義務付けの基準をクリアしているかどうかということを表すものとして設定してございます。ただ、既存住宅の場合については、必ずしも建築基準法の規定に適合していなくても違法ではないという建物がございますので、そうしたものについては等級0というものを新たに設けまして、等級1に満たないものを評価すると設定してございます。

なお、新築住宅と比較いたしまして、経年変化に伴い、必ずしも等級1、2、3という基準に当てはまらないものもございますので、そうしたものについては、劣化対策に大きく影響すると見込まれる劣化事象があるかないかということを併せて評価し、その条件を付した上で等級0、1、2、3という評価をするということを考えてございます。

続きまして19ページ目でございます。これは、先ほど新築時点で見ていただきました断熱性の等級表示の既存住宅版でございます。

基本的には新築住宅と同じ考えをとっておりまして、等級の考えも同じと理解していただければと思います。ただし、これも断熱性等級に大きく影響すると見込まれる劣化事象が現場で見つかるか見つからないかということを併せて条件として付し、表示することにしてございます。

21ページ目でございます。これも新築の評価で先ほど見ていただきました、一次エネルギー消費量等級の表示基準の既存住宅版でございます。

大きく違っておりますのは、等級3というものが設けられております。この等級3と申しますのは、建築物の新しい省エネルギー法の中で、既存の建物に特有に適用される基準が今回新たに位置付けられることにしております。その既存の建物に特有に適用される基準のレベルということを引用いたしまして、等級3を加えるということになります。これは等級1と4の間になりますので、ここに位置付けるということを予定してございます。

続きまして、23ページ目以降の説明に移りたいと思います。既存住宅についての耐震等級の基準の見直しでございます。既存住宅の耐震については、従来から表示の仕組み、評価の仕組みがございます。今回は、その一部を合理化するというものでございます。

24ページ目を御覧いただきたいと思います。かなり技術的に細かい点になりますが、既存の建物についての耐震性を判断する上で耐震診断を行うことがありますが、その耐震診断の方法については、国土交通省のほうから告示で建築物の耐震診断の指針というものを出してございます。

現在の性能表示制度については、この指針に基づく方法によって耐震診断した結果を等級1、2、3と表示し、それに満たない場合は0という表示をすることにしておりますけれども、実はこの指針に基づく方法と同等と認められる方法を国土交通大臣が個別に認めるということを行ってございます。そうした方法が普及してきたことも踏まえまして、結果は変わらないのですけれども、そういった複数の方法をこの性能表示の中でも許容するという合理化を図る観点から、これを追加するものでございます。ただし、どの方法によって評価を行ったのかがわかるように、その方法を併せて表示するということでございます。

以上で改正の項目の説明は終わりますけれども、27ページ目を御覧いただきたいと思います。

今後のスケジュールでございますが、こうした検討会については、学識経験者の方々からなる委員会を踏まえ、原案を作り、細部の調整をし、10月23日からパブリックコメントを開始してございます。意見の提出の締切りを11月21日に置いております。本日、消費者委員会の審議をいただき、議決を賜りたいと考えてございますが、併せて、先ほど申し上げました、並行して御審議いただくべく、社会資本整備審議会の建築分科会、12月に予定されてございます。そちらのほうでも併せて審議・議決を賜りたいと考えてございます。

今後、建築物の新しい省エネルギー法の施行の日と合わせて、新しいこれらの基準についても施行していきたい、このようなつもりで考えてございます。

説明は以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、御意見のある方は発言をお願いします。いかがでしょうか。どうぞ、蟹瀬委員。

○蟹瀬委員 蟹瀬と申します。

教えていただきたいことは、この表示基準が変わることによって、消費者が建物の判断がしやすくなるということが1つあるわけですね。それは、その理解でいいのですか。

○国土交通省眞鍋住宅局住宅生産課長 まず、新築住宅のほうにつきましては、これは形式的な改正ですから、今と大きく変わることはないと思います。

○蟹瀬委員 既存についてはいかがですか。

○国土交通省眞鍋住宅局住宅生産課長 既存の住宅については、これまで省エネルギー性能についての表示がなく、劣化対策についての表示もありませんでしたので、そうした意味では選択の幅が広がることに貢献できるのではないかと思っております。

○蟹瀬委員 はい。

それから、もう1つですが、断熱の表示について、既存住宅の断熱というのは断熱材を入れて建物が建っています。今回、いろいろな事故が起こっている旭化成もそうですけれども、見えない部分の断熱材が落ちているとか、そういう非常に劣悪な既存の住宅が日本の中には結構あると思うのですけれども、そういうものはどういう基準でやられていくのですか。

○国土交通省眞鍋住宅局住宅生産課長 もちろん評価の信頼性を確保しなければいけない、これは全くおっしゃるとおりだと思います。住宅性能表示制度というのは、単に申請者からの申請を鵜呑みにして、それを表示するというものではなく、計画の内容と現場での検査を併せて行うことにしております。それで、例えば断熱性であれば、新築の時点でどのような設計で、どのような建材を使って、どのような施工がされたのかという記録をまず審査いたします。

あとは現場に行って、そのとおりの施工がなされているかどうかということをチェックして、その2つを重ね合わせて評価することになりますので、そうした記録がない、あるいは現場に行ってみたらかなり劣化しているという状況であると、これは狙った性能が出ていないと判断せざるを得ません。その場合には、一番低い性能と評価せざるを得ない場合があろうかと思います。

○蟹瀬委員 もう1つだけ質問ですが、20ページに地域区分というのがあったと思いますが、地域区分というのは何なのか教えてください。

○国土交通省眞鍋住宅局住宅生産課長 説明を省略いたしましたが、省エネルギーの性能を考えるときに、日本は列島が南北に幅広いことから、例えば北日本で求める性能と、南のほうの日本で求める性能と、これは区域ごとに省エネルギー基準の求める性能を区分しております。当然、北になればなるほど、それが厳しくなるということになってございます。
地域区分は、北のほうから1、2、3となるのですけれども、その地域区分ごとに求められる性能と比べて、高いのか低いのかということをそれぞれ判断することになりますので、東京の性能と北海道の性能、沖縄の性能というのは、それぞれ異なることになります。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。鹿野委員、どうぞ。

○鹿野委員 鹿野と申します。

先ほど蟹瀬委員からの質問に対して、新築の住宅の場合を例にとって表示に適合するかを判断する方法について御説明あったのですけれども、既存住宅についても併せて御説明いただければと思います。

○国土交通省眞鍋住宅局住宅生産課長 基本的には同じであります。既存住宅の場合でも、新築の時点で、まずどういった設計のもとに、どのような建材で、どのような施工がされたのかという記録を審査いたします。それと、現場での検査を重ね合わせて既存の住宅を評価することになりますので、基本的には新築の場合と既存の場合、同じだけの厳格性を求めようと考えてございます。

○鹿野委員 そうしますと、既存のものである程度前に建ったもので、新築時の記録とかがないということになると、先ほどの話にあったように、その基準を満たさないという判断になってくるのでしょうか。

○国土交通省眞鍋住宅局住宅生産課長 新築時点の記録がないとなりますと、証拠となるものがないということになります。その場合には、それを捉えて高いレベルの性能は判断できないことになります。もちろん現場に行って、実際に例えばどういう断熱材が使われているのか、どういう断熱サッシが使われているのかということが現場の実態として判断できれば、その性能の判断はできますけれども、そうしたことができない、証拠も残っていないということになれば、これは高いレベルの等級判断はできないということになります。

○鹿野委員 更に確認ですけれども、そうすると、前に作った建物について、今の時代ですから、省エネに適したようなリフォームをしようというケースは多いと思うのですけれども、その場合にはそのリフォームの時点における、その種の書面と、現場で実際にどういう工事をしているかという検査に基づいて、この基準を満たすと判断されると理解してよろしいでしょうか。

○国土交通省眞鍋住宅局住宅生産課長 おっしゃるとおりです。私どもは、ありのままの評価をするという制度ですけれども、リフォームによって高い性能を獲得する。それを評価するということも十分ニーズがあると思っております。その時点では、リフォームの計画、それから現場での検査ということも併せて行って、それで高い性能を判断することは十分にあり得ると思っております。

○鹿野委員 ありがとうございます。

○蟹瀬委員 続いて、いいですか。

○河上委員長 はい。

○蟹瀬委員 評価する人たちはどなたですか。

○国土交通省眞鍋住宅局住宅生産課長 これは、先ほど第三者機関と申し上げましたけれども、法律に基づいて国土交通大臣などに登録された性能評価機関であります。性能評価機関については、これは申請者と利害関係がないということで第三者性を確保しているということにしてございます。

○蟹瀬委員 ありがとうございます。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょう。長田委員、どうぞ。

○長田委員 先ほどの御説明の中で、既存住宅の今回の改正に当たってはニーズが非常に増加しているとおっしゃったと思うのですが、数字上からいくと、まだまだ既存住宅のほうの住宅性能表示の利用数というのは少ないと思うのですが、今回の改正の部分についてのニーズが高くなっているという解釈でよいのかどうかということ。

もう1つ、今回、変えられる既存住宅の劣化対策のことなのですが、どういう対策が具体的に行われると、この3世代、おおむね75年から90年までとかなり長期間、大規模な改修工事を必要とするまでの期間を伸張するということになるのか、これはちょっと関心があって、お尋ねしたいと思います。

○国土交通省眞鍋住宅局住宅生産課長 まず、ニーズですけれども、今回追加する項目は省エネルギーに関する項目と劣化対策に関する項目の2つになりますけれども、それぞれどのぐらいのニーズがあるのかという定量的な把握をしているわけではございません。ただし、既存住宅、つまり中古住宅を購入する消費者の方々にとってみれば、耐震性、省エネ性、耐久性という住宅の基本的な性能について知りたいというニーズは根強いものがあるのではないかと思ってございます。定量的な分析はしておりませんけれども、そのようなことだと考えております。

なお、先ほども御指摘があったように、新築住宅の性能表示制度については、かなり多数の住宅で活用されているということでございますが、既存住宅については、売り手あるいは買い手の側にこの制度が十分に周知されていないということもあるでしょうし、あるいは低い性能が出るとなかなか売り物にならないというお考えもあるのかもしれません。ただし、先ほど御指摘があったように、リフォームによって性能を上げて価値を高めて、これを貸したい、売りたいというニーズは今後とも出てくるのではないか、強いものがあるのではないかと思ってございますので、そうした局面でこの制度が活用できる余地というのは十分にあろう、そのための制度設計と考えてございます。

それから、劣化対策の基準ですけれども、実はこれは建物の構造は木造に関するもの、鉄筋コンクリート造に関するもの、鉄骨造に関するものなどいろいろなものがございますので、それぞれにおいて求める仕様なり性能なりは異なるのですけれども、例えば鉄筋コンクリート造の場合については、コンクリートに関する水とセメントとの比率が高いか低いかによって耐久性が変わってくるという科学的なデータがございますので、そうしたあたりを1つ評価しているということがございます。

さらに、鉄筋とコンクリートの外側までの厚み、鉄筋のかぶり厚と言っておりますけれども、それが薄いのか厚いのかということが評価の対象として重要なものだと考えております。

それから、木造住宅の場合については、木造住宅の床下の空間を十分にとるかどうかということが劣化対策に非常に重要だということがございますので、そうした床下空間について十分な高さを確保するかどうかということが、評価の大きな決め手になります。そのほか、床下や小屋裏の点検口、何かあったときに人が入ったり、見ることができるかどうか、そういった点検口があるかどうかということも評価の対象として考えてございます。実は、そのほか多岐にわたる評価事項があるのですけれども、そうしたことを重ね合わせて長持ちする工夫がどれだけ講じられているのかという度合いを評価することにしております。

○河上委員長 よろしいですか。では、池本委員、どうぞ。

○池本委員長代理 池本でございます。

先ほどの長田委員の最初の質問に関連したことがまず1点あります。資料2-2の4ページと5ページの新築住宅と既存住宅の普及率のことですが、平成12年に新築住宅について制度ができたというのは、当時大きく報道された記憶がありますし、その後、平成14年ですか、既存住宅についても拡大されたというのも当時、耳にした覚えがあるのですが、新築住宅について22%の利用率というのは、これはなかなか広がっているのだなという点は評価できるのですが、既存住宅が累積で4,400戸、平成26年度320戸、10年ちょっとで全然広がっていないというのは、この数字は私、驚いたのです。

お伺いしたいのは、新築住宅についてはこれから作るということで、建築する事業者もこの制度を位置付けているのだろうと思うのですが、既存住宅について、この制度を、一方では購入する人に目安があるということを伝えるのと、むしろ販売する側に普及しないといけないと思うのですか、その辺りは何がネックというか、どういうことはなさっていて、どういうところがなかなかうまくいかないというのがあるのか、その辺りについてお伺いしたいと思います。それが1点です。

もう1点は、これは本当の確認的なことです。先ほど省エネ法とエコまち法ですか、12ページ以下で、2つの法律の中でエコまち法の基準を合体させた、統合させたという御説明がありまして、14ページの御説明いただいたときには、その基準の高いほうであるエコまち法の考え方を採用したとおっしゃっていたのですが、全体として統合するときに、より高いほうの基準をそれぞれの場面で採用したという理解でよろしいのか、それとも場面によってはいずれを採用するかというのは、それぞれ判断されて選択されたということなのか。全体として高くしたのか、場面によっては違いますよということなのか、その点、確認をお願いします。

○国土交通省眞鍋住宅局住宅生産課長 1点目でございますけれども、確かに言われるとおり、既存住宅の性能表示制度については累積件数もまだ少数にとどまっております。これはおっしゃるとおりでございます。私ども、この制度を立ち上げるときから、特にこういった既存住宅の流通を主に担っておられる宅建業界の皆様方に、十分に周知に努めてきたつもりでございますけれども、先ほど触れたように、売り手の側にこの制度を活用して、性能の高いものとして売買あるいは賃貸していくというニーズがどれぐらいあるかということだと思います。

これまで特に築年数の古い住宅については、必ずしも高い性能のものは十分にないということから、評価を受けることによって、むしろ余り高くない性能が評価されてしまうのでいかがかという御意見もあろうかと思います。ただ、この制度ができて、新築については既に15年ということでございますので、評価を受けた住宅が市場に相当数、出ているということだと思いますし、先ほど申し上げましたように、リフォームして性能を高くして、これから流通するというニーズも出てこようかと思いますので、更に私ども、周知を図りまして、この制度が活用できるように計らってまいりたいと思っております。まだまだ努力が足りないのかもしれません。

2点目でございますけれども、説明が不十分だったかもしれませんが、例えば14ページ目を御覧いただきますと、エコまち法、これは高いレベルの省エネルギー性能を持った建物について支援策を講じるということを措置する法律ですが、これはかなり高いレベルの基準のみを定めている法律です。それを従来、等級5として定めておりました。これを今回の新しい省エネルギー法の体系で、同じ水準のものとして定める予定の誘導基準に移行するものでございます。これは、同じ水準のものを引用するということなので、結果的に前後に大きな差はないということになります。

それから、等級4を見ていただきますと、これは平成25年に省エネルギー法の中に位置付けられました省エネルギー基準の水準ということになり、先ほどのエコまち法の水準よりも若干下回る程度の水準になりますが、これについては、今回の新しい省エネルギー法の中で、建物についての適合義務あるいは届出義務の対象として求める水準の基準と同じでございますので、それを引用することにしております。

このように、新しい省エネルギー法の体系の中には、高い誘導レベルの基準と、もう少しスタンダードの基準と、さらに、既存住宅に位置付ける、少し低いレベルの基準と、こういう複数のレベルが設けられますので、それぞれぴったりするものについて移行するということで、選択的というよりは、そのレベルに合わせた設定をしているということになります。

○河上委員長 よろしいでしょうか。なかなか難しいですね。

○国土交通省眞鍋住宅局住宅生産課長 申し訳ございません。

○河上委員長 いえ。結局、レベルで表示されているものについては、ある種の担保責任が発生するということなのでしょうね。

○国土交通省眞鍋住宅局住宅生産課長 この住宅性能表示を位置付けております住宅品確法の規定の中に、これは新築住宅についてですが、設計段階での性能評価書を契約書に添付した場合については、それは契約書の内容としてみなされるという規定がございます。つまり、それは約束したということになります。そのように担保責任が生じるような法律構成になっております。

○河上委員長 その意味では、単なる選択の基準というだけではなくて、かなり法的にも意味のあるものですね。

○国土交通省眞鍋住宅局住宅生産課長 契約書に添付した場合にはそうなります。

○河上委員長 添付しなくてもいいのですか。

○国土交通省眞鍋住宅局住宅生産課長 評価だけをする場合もあります。ただ、添付した場合については、それは後になって、それは契約ではないですよということが言い逃れできないように、契約書の内容みなしという規定を置いております。

○蟹瀬委員 それは、消費者の側から添付してくださいと要求できるのですか。

○国土交通省眞鍋住宅局住宅生産課長 もちろんできます。ただ、あらかじめ性能評価をとっていない、評価書のないものについては、それはできませんけれども、評価書がある場合に添付してくださいということをお願いすることは可能かと思います。

○河上委員長 表示をしていれば、それを見て購入したということであれば、添付の有無に関わらず、実際の契約内容になっていると解釈される可能性が高いですね。

どうもありがとうございました。ほかにないようでしたら、委員会としての答申案を配付させていただきます。

(追加資料配付)

○河上委員長 平成27年11月5日付け消表対第1433号をもって当委員会に諮問のあった「住宅の品質確保の促進等に関する法律第3条第1項の規定に基づく日本住宅性能表示基準」の案については、住宅の品質確保の促進等に関する法律の趣旨に鑑み妥当であり、その旨答申する、というのが原案でございますけれども、いかがでございましょうか。よろしいですか。

それでは、「(案)」を取っていただきまして、この答申案、皆様の御了解をいただいたということで内閣総理大臣宛てに答申を作成いただきます。

国土交通省、消費者庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。

(国土交通省、消費者庁退席)


≪4.閉会≫

○河上委員長 本日の議題は、以上になります。

最後に、事務局から今後の予定について説明をお願いいたします。

○丸山参事官 次回の本会議の日程、議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページ等を通じて、お知らせさせていただきます。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)