第194回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2015年6月16日(火)12:59~13:22

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

  • 【委員】
    河上委員長、石戸谷委員長代理、阿久澤委員、岩田委員、齋藤委員、高橋委員、夏目委員、橋本委員、山本委員、唯根委員
  • 【説明者】
    公共料金等専門調査会 古城 座長
    消費者庁 石井 消費者調査課企画官
  • 【事務局】
    井内審議官、大貫参事官

議事次第

  1. 開会
  2. NTT東西プライスキャップ制度の基準料金指数の見直しについて
    説明者 古城 誠 公共料金等専門調査会座長
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○河上委員長 時間前ですけれども、お揃いですので、始めさせていただきます。

皆さん、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから「消費者委員会第194回本会議」を開催いたします。

それでは、配付資料の確認につきまして、事務局からお願いいたします。

○大貫参事官 議事次第の下に「配付資料」とございますが、資料1が公共料金等専門調査会の意見、参考資料として委員間打合せの概要を配付いたしております。

不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますようお願いいたします。


≪2.NTT東西プライスキャップ制度の基準料金指数の見直しについて≫

○河上委員長 本日の議題は「NTT東西プライスキャップ制度の基準料金指数の見直しについて」というものであります。

NTT東西の加入電話、公衆電話、ISDNの料金については、平成12年10月1日以降、プライスキャップ制度というものが導入されております。このプライスキャップ制度における料金水準の上限を示す基準料金指数、これについては、その算出方法の設定または変更が、物価問題に関する関係閣僚会議に付議する公共料金等となっております。

今般、総務省において本基準料金指数の見直しが行われたため、物価問題に関する関係閣僚会議に付議するに当たり、6月10日付で板東消費者庁長官から消費者委員会宛てに意見を求める付議がなされております。

これを受けて、公共料金等専門調査会で意見の取りまとめが行われました。本日は同調査会の古城座長にお越しいただいております。古城座長におかれましては、お忙しい中御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。

最初に古城座長から審議経過について簡単に御説明をいただき、引き続き事務局から意見の概要について御説明をいただきたいと思います。その後、意見交換を行った上で、消費者委員会としての意見を取りまとめたいと思います。

それでは、古城座長、よろしくお願いいたします。

○公共料金等専門調査会古城座長 「NTT東西プライスキャップ制度の基準料金指数の見直しについて」につきましては、6月11日開催の公共料金等専門調査会において総務省へのヒアリングを行い、本基準料金指数を算定する際の生産性向上見込率の算定等について、妥当に行われたのかを検討いたしました。

ヒアリングの結果を受けて、同日の調査会において議論を行い、意見の取りまとめを行いましたので、今般御報告させていただく次第です。

簡単に申しますと、X値の算定は妥当ということになっております。

もう一つ、後でお話があるかと思いますけれども、この基準料金指数につきましては、プライスキャップで料金を抑制することを目標としています。しかし、実勢価格について、平成17年、2005年にNTTが大幅に引き下げておりますので、プライスキャップより実勢価格がずっと下という状態になっております。

したがって、X値を高くしようが低くしようが、実勢価格のほうがずっと低いという状態なので、X値の問題は今のところ実益は余りなくて、むしろ問題は基準値をどう見るかということです。これについては総務省はこの秋から検討するということなので、そのときに今のプライスキャップ制度が妥当かどうかをもう一度検討するほうが重要かと思います。

以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。

それでは、事務局から説明をお願いします。

○大貫参事官 資料1を御覧いただきたいと思います。専門調査会の意見ということで、6月11日に取りまとめられております。

最初の部分、設定案の内容については御覧いただいたとおりで、音声伝送バスケットについて94.8、加入者回線サブバスケットについて102.3にする。これが平成27年10月から平成28年9月に適用される基準指数という設定案でございます。

この案につきまして調査審議した結果、上記設定案に関する公共料金等専門調査会の意見は以下のとおりであるということでございます。

最初に「1.結論」でございます。

座長からお話がございましたように「設定案の内容は、妥当であると認められる。なお、周知期間においては、基準料金指数の設定に当たっての算定の考え方等について、総務省は、消費者への分かりやすく丁寧な説明に努められたい。」としております。

1ページめくっていただきまして「2.理由」でございます。

電気通信事業法施行規則において、基準料金指数を算定する際の生産性向上見込率、これが先ほどお話がありましたX値でございます。これが3年ごとに現在の生産性に基づく将来原価及び今後の生産性向上を見込んだ将来原価から算定されるとしております。このため、基準料金指数の設定に関する審査に当たっては、このX値の算定について妥当に行われたかを審査することが必要でございます。

総務省からの報告等により、平成27年度から平成29年度までのX値を算定するに当たり、一つ目がNTT東西の収入の予測、二つ目がNTT東西の費用の予測、三つ目が適正報酬額の予測、四つ目が消費者物価指数変動率の予測が行われていること等について妥当性を確認することができた。

以上の審議結果により、1.の結論とするものであるとしております。

なお「3.留意事項」でございます。

基準料金指数と実際の料金指数については、平成17年10月以降、乖離が生じている事態が続いており、プライスキャップ制度が経営効率化のインセンティブとして十分に機能していないことが懸念される。この問題に対してどのように対応していくのか、平成30年度の設定、次回設定でございます。それに向けて、「プライスキャップ制度の在り方も含め、総務省としての考え方を整理されたい。その際、消費者団体等の意見を適切に反映するよう努められたい。」としております。

最後でございますけれども「今般のX値の算定のために、総務省において開催された『プライスキャップの運用に関する研究会』については簡略な議事概要が公表されるのみで十分な情報公開が行われていなかった。平成30年度の設定に向けて検討を行う際には、改善されたい。」としております。

専門調査会の意見は以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、御意見、御質問のある方は御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。

岩田委員、どうぞ。

○岩田委員 公共料金担当の委員ですので、この専門調査会に出席いたしました。古城座長が言われましたように、長年このプライスキャップが実勢価格とずっと乖離をしてきていて、その結果、NTTの東西の生産性向上を促す力になっていなかったということがあります。そういった乖離しているという問題。

もう一つは、このプライスキャップというのは固定電話についての抑制価格なのですけれども、実態はもう固定電話は減少の一途で、携帯電話とかIP電話のほうは増えています。そういう電話市場の中の固定電話のところだけにこのプライスキャップが効いているのですが、そういう規制の在り方がいいのだろうかという問題意識もあります。今回はこれで妥当だと思いましたけれども、そもそもの仕組みを検討しなければならないのではないかということがあります。

そして、電話料金の決め方というのは消費者生活に及ぼす影響が大きいと思いますので、この制度の見直しのプロセスに消費者団体の意見をちゃんと反映させるような形での見直しを行っていただきたいという旨の意見書になっています。私もそれはとても大事な点だと思います。

以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。

ほかにはいかがでしょうか。

石戸谷委員、どうぞ。

○石戸谷委員長代理 ありがとうございました。

これはこのテーマと資料が来たときに拝見して、率直に言って非常に理解しがたいものだと思いました。そのような場合は、もとの審議会の報告書に至る議事経過やそこに出されている資料などを丹念に読んでいくと大体見当がついてくるというものでありまして、それでわかるだろうと思って見てみたら、この意見の「3.留意事項」の2つ目の丸です。ここにありますように「プライスキャップの運用に関する研究会」のほうを見てみたのですけれども、議事概要というのも何々について審議したということしか書いていないし、資料が全然アップされていないので、これはやりようがないというのが率直な感想でした。

ですので、この2つ目の丸は全くそのとおりであって、これはぜひ改善していただきたいと思います。そういう意味では、この問題がどういう問題かというのは、公共料金等専門調査会のほうは議事録をアップして資料もつけますので、それを読んで初めてこういう問題だったのかとわかるというのが一般ではないかと思います。

それと「3.留意事項」の最初の丸のところなのですけれども、これもそのとおりだと。公共料金等専門調査会のほうの議論の中身を拝見していて、初めてこのプライスキャップ制というのが実際問題としては料金設定をそれ以下でずっとやってきていたのがなぜかということで、一定の競争が働いたということと代替手段が多様になったということがあったりということだと、確かにプライスキャップ制度の意義というのが問題になるということで、そこのところを質疑いただいていて、総務省としても、そこは脚注の4のところにありますような昨年12月18日付の情報通信審議会答申で、これは見てみたら大変幅広い内容を含んでいて、その中に入っているということでありますので、ここが重要なところだと思いますので、消費者団体等の意見を反映するというのと同時に、専門調査会でもぜひこの点について留意して活動していただければと。秋からということだと第4期の委員会になりますので、第4期の方針があるかと思いますけれども、私としては、ぜひここは大事なところなので、調査会で引き続きお願いしたいと思っております。

以上です。

○河上委員長 内容についての修正は特になしということでよろしいでしょうか。

○石戸谷委員長代理 はい。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。

橋本委員、どうぞ。

○橋本委員 私も内容の修正ということではないのですけれども、先ほど石戸谷委員がおっしゃったように、この資料が来たとき、これは何を意味するのかというところがよくわからなかったということがあります。

今後このプライスキャップ制度の在り方も含めて総務省で検討をすると書いてありますので、これに非常に期待を寄せるところです。その際「消費者団体等の意見を適切に反映する」となっているのですけれども、恐らくわかりやすいX値とか、この数字自体が妥当なのかというのもありますが、出し方等もよくわからないですし、情報も公開されていないというところで、本当にわかりにくい制度であり、かつ中身も見えてこないものだったので、今後このような整理をする際に当たっては、一般消費者の人がわかりやすい制度にしてほしいというのが私の願いです。

そういうことも含めて、ここにいろいろ意見を反映するように努められたいというところに入っているのかと思っておりますので、特に文言の修正ということではございませんが、これがぜひ含められているのだということを確認したかったので、意見を述べさせていただきました。

○河上委員長 ありがとうございました。

ほかにはいかがでしょうか。

私から一つだけいいですか。私もよくわからなかった人間のひとりなのですが、基本的にプライスキャップのX値というものがありますけれども、X値を定めるのは結局、一定の適用期間の間に収入と費用とか、利益対応税額とかいろいろなものがあって、それが言ってみれば収支相償するようになるようにX値をはじき出す。具体的な数式がありますけれども、これで収支が相償するようにということで今、はじき出しているのがX値です。これが実は高止まりになっていて、プライスキャップにも何もなっていないのが現状だということの意味は、それは現行の価格というのが収支相償ではないということを意味しているのですか。その辺がよくわからなかったのです。

○公共料金等専門調査会古城座長 過去は高いので、それからNTTの収支は償っていますから、前のプライスキャップをやるときに、前回は相償以上のキャップを設定したということになると思います。今回はまた同じことをやる可能性が非常に高い。

○河上委員長 そうすると。

○岩田委員 現実の価格はプライスキャップよりも低いところですから、それで適正な利益を出してやっているようになっております。

○河上委員長 やっているわけですね。そうするとX値の計算方法そのもの、計算の根拠のところが多分実勢を反映していないことになっているわけですね。例えば生産性向上がもっと進んでいるということですか。それとも、競争でほかのものがどんどん低くなってしまっているからいかんともしがたくなっているのですか。

○大貫参事官 今の委員長の御発言で、そのX値の計算において、実際の費用と収入を反映していないのではないかと伺わせていただいたのですが、計算においては、まさに現実の収入と費用を3年後の見通しを使ってやっておるということでございます。

○公共料金等専門調査会古城座長 3年後の見通しがそうだったら、大赤字にならなければいけないところをなっていないのだから、高止まりの3年後の予想をしているのではないですかというのが委員長の質問だと思います。

○河上委員長 そうです。

○公共料金等専門調査会古城座長 それは、そうです。Xの定め方で、おっしゃるように収支均衡というので実際の水準を見てやるのと、もう一つトータルエフィシェンシーというものがありまして、理論的にこれぐらい効率化するのだというものを出してやるやり方もあるのです。

毎年の失敗というよりも、2005年のとき大幅にNTTが下げたのです。下げたのをどう見るのか。NTTは相当無理をして下げたのだから、そのときは確かにものすごく大きな赤字になっているはずなのです。それをそのまま織り込んでまた無理させるのではなくて、しばらく許してやろうという、貯金として見ていこうという考え方で、今はやや緩目にずっと見ているのだと思うのです。

考え方が、うんと下げられただけの能力があったのだから、それは綿密にこれからそれをベースラインにして厳しくやっていくぞということになったらもっときつくやらなければいけないのですけれども、どんと下げたのをNTTが頑張ったのだから少し許してやろうと。こういう考え方でやっているのだと思うのですよ。だから、そこの評価です。それが抜本的にやり直していない。

○河上委員長 どうも、二重帳簿を見ているような気持ちになったのです。いろいろ検討委員会の資料を拝見して、数値の上では一応合っているように見えるのですが、しかし、実際にはこのX値を出してみた結果、必ずしもキャップとしての機能をしていないという現実を見ますと、なかなか理解しがたいという部分があったものですから。今の御説明で半分ぐらいわかりました。

○公共料金等専門調査会古城座長 今の御指摘部分が一番問題ではないでしょうか。だから、そこを突っ込んでいってX値の設定が甘過ぎるということも言えると思う。甘いという評価もできるのですけれども、そこは今回突っ込んでいません。それが入りますと大もとのところに引っ掛かってきますので、多分、総務省もX値の設定のときは従来からの考え方でやっていまして、基準価格のところを動かさないと話のつじつまが合わないのです。だから、そちらの検討はまだ先延ばしにしているということだと思います。

○河上委員長 データが出ていないから、余計、具体的に適正かどうかの判断がしづらいというところもあるのだろうと思います。

○公共料金等専門調査会古城座長 そうですね。だから、我々もデータの結果だけ報告してもらったので、データをどうやって用意したのかというところまで検討していませんので、おっしゃるとおりかと思います。

○河上委員長 ありがとうございました。それでは、よろしいでしょうか。

この意見の案については皆様の御了解をいただいたということで、消費者庁長官宛てに回答をいたしたいと思います。

○大貫参事官 委員長、お待ちいただけますか。今のは専門調査会の意見でございまして、委員会としての意見案を今、配付させていただきますので、それについて御検討いただきます。

○河上委員長 すみません。先走ってしまいました。今、追加資料が配られておりますけれども、御覧のようなことで意見の報告を受けた。「本報告を受けて審議を行った結果、消費者庁から意見を求められた設定案については、妥当であると認められる。消費者庁は本意見を踏まえて対応されたい。」という内容です。先ほど委員の間からも若干要望や意見が出ましたけれども、これは「意見」の中に組み込まれていることでございますので、しっかりと対応していただきたいと思います。

このような意見案でよろしゅうございましょうか。

○大貫参事官 次ページがございまして、総務省に対しても同じように。

○河上委員長 総務省に対しても同じことですね。

この2枚、よろしゅうございますか。

それでは、この意見案について皆様の御了解をいただいたということで、長官に回答したいと思います。

古城座長におかれましては、本当に短い時間で精力的な御審議をいただきまして、まことにありがとうございました。

それでは、「(案)」を取っていただければと思います。

本日の議題は以上でございます。


≪3.閉会≫

○河上委員長 最後に、事務局から今後の予定について何か説明がありましたら、お願いします。

○大貫参事官 次回の本会議の日程、議題につきましては、決まり次第委員会ホームページ等を通じてお知らせいたします。

この後、委員間打合せを開催いたしますので、委員の皆様におかれましては委員室に御移動いただきますようお願いいたします。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)